(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】搬送装置及び搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
B65G1/00 501G
(21)【出願番号】P 2021574371
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 JP2020003470
(87)【国際公開番号】W WO2021152781
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】391032358
【氏名又は名称】平田機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 文吾
(72)【発明者】
【氏名】岩田 裕一
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-005116(JP,A)
【文献】特表2018-502388(JP,A)
【文献】特開2017-124914(JP,A)
【文献】特開2009-001131(JP,A)
【文献】実開昭60-151825(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00
B65G 47/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の装置と第二の装置との間に位置し、搬送対象物を所定の搬送方向に搬送する搬送装置であって、
前記第一の装置と前記第二の装置との間に設けられるベース部と、
前記搬送対象物を搬送する搬送手段と、
前記ベース部と前記搬送手段との間に設けられ、前記搬送方向と交差する方向に前記搬送手段を移動自在とする可動部と、
前記搬送手段に設けられ、前記搬送手段を前記搬送方向と交差する方向において位置決めを行う位置決め手段と、を備え、
前記位置決め手段は、
前記第一の装置が備える第一の係合部と係合し、前記第一の装置の搬送方向と前記搬送手段の搬送方向との位置合わせを行う第一の位置合わせ部と、
前記第二の装置の位置に対応して設けられた第二の係合部と係合し、前記第二の装置の搬送方向と前記搬送手段の搬送方向との位置合わせを行う第二の位置合わせ部と、を有する、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記可動部は、更に、前記搬送手段を揺動自在とする、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の搬送装置であって、
前記位置決め手段は、
前記第一の位置合わせ部を前記第一の装置に対して進退させ、また、前記第二の位置合わせ部を前記第二の装置に対して進退させる駆動手段を備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の搬送装置であって、
前記位置決め手段は、
前記搬送方向に延設された延設部材と、
前記延設部材の一方の端部に設けられ、前記第一の係合部と係合する第一の位置合わせ部と、
前記延設部材の他方の端部に設けられ、前記第二の係合部と係合する第二の位置合わせ部と、
前記延設部材を前記搬送方向に往復させるアクチュエータと、を備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項4に記載の搬送装置であって、
前記位置決め手段は、
前記アクチュエータを支持するプレートと、
前記プレートに設けられ、前記延設部材の往復を案内する案内部材と、を備え、
前記位置決め手段は、前記プレートを介して前記搬送手段に固定される、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の搬送装置であって、
前記第二の係合部は、前記ベース部に設けられている、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
請求項3に記載の搬送装置であって、
前記第一の位置合わせ部が退避位置から前記第一の係合部と係合する係合位置まで移動した移動量を検知する第一の検知手段と、
前記第二の位置合わせ部が退避位置から前記第二の係合部と係合する係合位置まで移動した移動量を検知する第二の検知手段と、を備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項8】
請求項3に記載の搬送装置であって、
前記第一の位置合わせ部が退避位置から前記第一の係合部と係合する係合位置まで移動した移動量を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づいて、前記第一の装置から前記搬送装置への前記搬送対象物の搬送を開始するか否かを判定する判定手段と、を備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項9】
請求項3に記載の搬送装置であって、
前記第二の位置合わせ部が退避位置から前記第二の係合部と係合する係合位置まで移動した移動量を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づいて、前記搬送装置から前記第二の装置への前記搬送対象物の搬送を開始するか否かを判定する判定手段と、を備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項10】
請求項4に記載の搬送装置であって、
前記延設部材の移動量を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づいて、
前記第一の位置合わせ部を前記第一の係合部に係合させた場合には前記第一の装置から前記搬送装置への前記搬送対象物の搬送を開始するか否かを判定し、
前記第二の位置合わせ部を前記第二の係合部に係合させた場合には前記搬送装置から前記第二の装置への前記搬送対象物の搬送を開始するか否かを判定する判定手段と、を備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の搬送装置であって、
前記搬送手段は、前記第一の装置から前記搬送対象物を前記搬送手段に引き込む引込手段を備える、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の搬送装置であって、
前記第一の位置合わせ部及び前記第二の位置合わせ部は、先細り形状の凸部を有する、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の搬送装置であって、
前記第一の位置合わせ部及び前記第二の位置合わせ部は、先広がり形状の凹部を有する、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の搬送装置であって、
前記第一の係合部の係合領域の幅は、前記第一の位置合わせ部の係合領域の幅よりも広い、
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項15】
第一の装置と、
第二の装置と、
前記第一の装置と前記第二の装置との間に位置し、搬送対象物を所定の搬送方向に搬送する搬送装置と、を備えた搬送システムであって、
前記搬送装置は、
前記第一の装置と前記第二の装置との間に設けられるベース部と、
前記搬送対象物を搬送する搬送手段と、
前記ベース部と前記搬送手段との間に設けられ、前記搬送方向と交差する方向に前記搬送手段を移動自在とする可動部と、
前記搬送手段に設けられ、前記搬送手段を前記搬送方向と交差する方向において位置決めを行う位置決め手段と、を備え、
前記位置決め手段は、
前記第一の装置が備える第一の係合部と係合し、前記第一の装置の搬送方向と前記搬送手段の搬送方向との位置合わせを行う第一の位置合わせ部と、
前記第二の装置の位置に対応して設けられた第二の係合部と係合し、前記第二の装置の搬送方向と前記搬送手段の搬送方向との位置合わせを行う第二の位置合わせ部と、を有する、
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項16】
第一の装置から離間した第二の装置と、
前記第一の装置と前記第二の装置との間に位置し、搬送対象物を所定の搬送方向に搬送する搬送装置と、を備えた搬送システムであって、
前記搬送装置は、
前記第一の装置と前記第二の装置との間に設けられるベース部と、
前記搬送対象物を搬送する搬送手段と、
前記ベース部と前記搬送手段との間に設けられ、前記搬送方向と交差する方向に前記搬送手段を移動自在とする可動部と、
前記搬送手段に設けられ、前記搬送手段を前記搬送方向と交差する方向において位置決めを行う位置決め手段と、を備え、
前記位置決め手段は、
前記第一の装置が備える第一の係合部と係合し、前記第一の装置の搬送方向と前記搬送手段の搬送方向との位置合わせを行う第一の位置合わせ部と、
前記第二の装置の位置に対応して設けられた第二の係合部と係合し、前記第二の装置の搬送方向と前記搬送手段の搬送方向との位置合わせを行う第二の位置合わせ部と、を有する、
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項17】
請求項
15又は請求項
16に記載の搬送システムであって、
前記第一の装置は、移動装置であり、
前記第二の装置は、位置が固定された装置であり、
前記ベース部は、前記第二の装置に隣接して、その位置が固定されている、
ことを特徴とする搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワークの搬送技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一の装置と他の装置との間でワークの搬送を行う場合、一の装置と他の装置との間で位置ずれがあると、ワークを円滑に搬送できない。このため、装置同士の位置合わせが必要となる。特に、無人搬送車(AGV)を用いた搬送システムのように、AGVから固定のコンベアにワークを受け渡す場合や、固定のコンベアからAGVにワークを受け渡す場合は、その都度、固定のコンベアに対してAGVを位置合わせすることが必要となる。
【0003】
特許文献1には、AGVを所定の位置に位置決めする機構が開示されている。特許文献2には、AGVの停止位置を制御により位置決めする技術が開示されている。特許文献3には、AGV上にスライドテーブルを設け、伸縮ロッドとの係合によるスライドテーブルの変位を利用して装置間の位置合わせをする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平05-069261号公報
【文献】特開2000-010632号公報
【文献】実開平01-079109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のように、駆動力によりAGV全体の位置を調整するものは、ワークやAGV自体の重量が重い場合、位置合わせに大きな駆動力、すなわち高価な駆動機構が必要となる点で、装置サイズおよび装置コストの面で不利である。また、特許文献2のように、位置を検出する装置と演算装置による制御により位置合わせを行うものは、調整に時間がかかる点で不利である。さらに、特許文献3の技術は、スライドテーブルの位置決めと、その後のワークの搬送動作との二段階の動作となり、搬送効率の点や、また、スライドテーブルの位置決め位置に対して、ワークの搬送系の位置決めを事前に行う必要がある点で改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、一の装置と他の装置との間でワークの搬送を行う際に、少なくとも一の装置の他の装置に対する位置合わせがルーズであっても、確実に装置間におけるワーク搬送が可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、例えば、
第一の装置と第二の装置との間に位置し、搬送対象物を所定の搬送方向に搬送する搬送装置であって、
前記第一の装置と前記第二の装置との間に設けられるベース部と、
前記搬送対象物を搬送する搬送手段と、
前記ベース部と前記搬送手段との間に設けられ、前記搬送方向と交差する方向に前記搬送手段を移動自在とする可動部と、
前記搬送手段に設けられ、前記搬送手段を前記搬送方向と交差する方向において位置決めを行う位置決め手段と、を備え、
前記位置決め手段は、
前記第一の装置が備える第一の係合部と係合し、前記第一の装置の搬送方向と前記搬送手段の搬送方向との位置合わせを行う第一の位置合わせ部と、
前記第二の装置の位置に対応して設けられた第二の係合部と係合し、前記第二の装置の搬送方向と前記搬送手段の搬送方向との位置合わせを行う第二の位置合わせ部と、を有する、
ことを特徴とする搬送装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一の装置と他の装置との間でワークの搬送を行う際に、少なくとも一の装置の他の装置に対する位置合わせがルーズであっても、確実に装置間におけるワーク搬送が可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る搬送システムの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<第一実施形態>
<システムの概要>
図1は本発明の一実施形態に係る搬送システム1の平面図、
図2は搬送システム1の側面図である。各図において矢印X、矢印Yは互いに直交する水平方向を示し、矢印Zは上下方向を示す。なお、
図1では位置決めユニット10Bのプレート11の図示が省略され、また、可動部45Bをその輪郭のみを破線で示している。
【0012】
搬送システム1は、搬送装置2~4を備え、パレットPLを搬送することにより、パレットPL上の、搬送対象物であるワークWを搬送する。パレットPLは、搬送装置2→搬送装置4→搬送装置3の順で、又は、搬送装置3→搬送装置4→搬送装置2の順で搬送される。パレットPLは、矩形枠状の本体と、本体の四隅に立設された係合ピンPとを有する。ワークWは、大型の薄板物、例えば、車両用ドアパネル等であり、パレットPLの本体に搭載されている。なお、本実施形態ではワークWの搬送にパレットPLを用いるが、パレットPLを用いず、ワークWを直接搬送する形態も採用可能である。
【0013】
搬送装置2は、無人搬送車(AGV)に代表される自走式搬送装置である。搬送装置2は、Y方向に離間して配置された搬送ユニット20A及び20Bと、搬送ユニット20A及び20Bを搭載した走行ユニット23とを備える。搬送ユニット20A及び20BはパレットPLが載置される載置部を構成する。本実施形態の搬送ユニット20Aは、パレットPLを搬送装置2→搬送装置4の方向に移載する場合に用いられる。また、搬送ユニット20Bは、パレットPLを搬送装置4→搬送装置2の方向に移載する場合に用いられる。本実施形態の場合、搬送ユニット20A及び20Bは同じ構成であり、以下の説明において、両者を区別せずに、搬送ユニット20A又は20Bを指す場合に搬送ユニット20と称する場合がある。
【0014】
搬送ユニット20は、Y方向に離間した一対のローラユニット21によって構成されている。各ローラユニット21は、X方向に配列された複数のローラ22からなる一列のローラ列を備える。各ローラ22はY方向に平行にそれぞれ設けられた軸周りに自由回転可能なフリーローラである。搬送装置2と搬送装置4との間のパレットPLの移載は、後述する引込ユニット7又は押出ユニット8により行う。なお、ローラユニット21の各ローラ22はパレットPLを搬送可能な駆動ローラであってもよい。この場合、一対のローラユニット21の駆動によって、搬送装置2と搬送装置4との間のパレットPLの移載を行うことができる。なお、搬送ユニット20の搬送機構は、本実施形態のようにローラコンベア以外の構成も採用可能であり、例えば、ベルトコンベアやチェーンコンベア等であってもよい。
【0015】
走行ユニット23は複数の車輪23aと、その一部の車輪23aを駆動するモータ等の駆動源とを備える。搬送装置2は、走行ユニット23の駆動によって床面上を走行可能である。また、走行ユニット23の前側(
図2中では左側)に固定された支持ブラケット24に、係合部5A、5Bが取り付けられている。係合部5A及び5Bは搬送装置2と搬送装置4との間の位置合わせのために用いられる。係合部5A及び5Bは、後述する位置合わせ部12と同じ高さとなるよう、支持ブラケット24の高さ及び係合部5A及び5Bの取り付け位置が調整される。
【0016】
搬送装置3は、床面上に設置される固定式搬送装置である。搬送装置3は、Y方向に離間して配置された搬送ユニット30A及び30Bを備える。本実施形態の搬送ユニット30Aは、パレットPLをD1方向(X方向と平行)に搬送する場合に用いられる。また、搬送ユニット30Bは、パレットPLをD3方向(X方向と平行でD1と逆方向)に搬送する場合に用いられる。本実施形態の場合、搬送ユニット30A及び30Bは同じ構成であり、以下の説明において、両者を区別せずに、搬送ユニット30A又は30Bを指す場合に搬送ユニット30と称する場合がある。
【0017】
搬送ユニット30は、Y方向に離間した一対のローラユニット31によって構成されている。各ローラユニット31は、X方向に配列された複数のローラ32からなる一列のローラ列を備える。各ローラ32はY方向に平行にそれぞれ設けられた軸周りに回転可能な駆動ローラである。なお、搬送ユニット30の搬送機構は、本実施形態のようにローラコンベア以外の構成も採用可能であり、例えば、ベルトコンベアやチェーンコンベア等であってもよい。
【0018】
搬送装置4は、搬送装置2と搬送装置3との間に位置し、床面上に設置される固定式搬送装置である。搬送装置4は、搬送装置2と搬送装置3との間でパレットPLの搬送を中継する点で、中継装置ということもできる。搬送装置4は、Y方向に離間して配置された搬送ユニット40A及び40Bを備える。本実施形態の搬送ユニット40Aは、パレットPLをD1方向に搬送する場合に用いられる。また、搬送ユニット40Bは、パレットPLをD3方向に搬送する場合に用いられる。本実施形態の場合、搬送ユニット40A及び40Bは同じ構成であり、以下の説明において、両者を区別せずに、搬送ユニット40A又は40Bを指す場合に搬送ユニット40と称する場合がある。
【0019】
搬送ユニット40は、Y方向に離間した一対のローラユニット41によって構成されている。各ローラユニット41は、X方向に配列された複数のローラ42からなる一列のローラ列を備える。各ローラ42はY方向に平行にそれぞれ設けられた軸周りに回転可能な駆動ローラである。なお、搬送ユニット40の搬送機構は、本実施形態のようにローラコンベア以外の構成も採用可能であり、例えば、ベルトコンベアやチェーンコンベア等であってもよい。
【0020】
ここで、搬送システム1の全体的な動作について説明する。パレットPLと共にワークWを搭載した搬送装置2は、搬送装置4に隣接する位置へ自走してくる。パレットPLは、矢印D1の方向に搬送装置2の搬送ユニット20A→搬送装置4の搬送ユニット40A→搬送装置3の搬送ユニット30Aの順で搬送される。
【0021】
パレットPLは、搬送装置3の矢印D1方向での下流端において、別の搬送系或いは加工装置等に受け渡される。そして、別の搬送系又は加工装置等から供給された同じ又は別のパレットPLが、搬送装置3に受け渡される。矢印D2は同じパレットPLが搬送装置3に戻される例を模式的に示している。その後、パレットPLは、矢印D3の方向に、搬送装置3の搬送ユニット30B→搬送装置4の搬送ユニット40B→搬送装置2の搬送ユニット20Bの順で搬送される。パレットPLと共にワークWを受け取った搬送装置2は、別のステーションへ自走する。こうして一単位の動作が完了する。
【0022】
搬送装置4は、搬送装置2と搬送装置3との間にY方向の位置ずれがあったとしても、パレットPLを搬送装置2と搬送装置3との間で滞りなく搬送させるために設けられている。搬送装置2と搬送装置3との間で正確な位置決めが可能であれば、言い換えると搬送装置2と搬送装置3との間にY方向の位置ずれが全くなければ、搬送装置4がなくともパレットPLを滞りなく搬送することができる。しかし、搬送装置2は、自走式の搬送装置であるため、停止位置にずれが生じる場合がある。このとき、より精度良く、搬送装置2の停止位置の制御を行う場合、コストアップや移送効率低下(サイクルタイム増加)の要因となる。
【0023】
本実施形態では、搬送ユニット40がY方向に自由移動可能となっている。搬送装置2と搬送装置4との間でパレットPLを受け渡す場合は、搬送ユニット40が移動し、搬送ユニット20と連続するように位置合わせが行われる。具体的には、搬送装置2と搬送装置4との間でのパレットPLの移送がスムースに行われるように、搬送ユニット40の搬送軌道が搬送ユニット20の搬送軌道に合うように位置合わせが行われる。また、搬送装置3と搬送装置4との間でパレットPLを受け渡す場合は、搬送ユニット40が移動し、搬送ユニット30と連続するように位置合わせが行われる。具体的には、搬送装置3と搬送装置4との間でのパレットPLの移送がスムースに行われるように、搬送ユニット40の搬送軌道が搬送ユニット30の搬送軌道に合うように位置合わせが行われる。これにより搬送装置4によって、搬送装置2と搬送装置3との間のY方向の位置ずれを吸収して、パレットPLを搬送できる。以下、搬送装置4の構成を詳細に説明する。
【0024】
<搬送装置>
図1及び
図2に加えて
図3及び
図4を参照して搬送装置4を説明する。
図3及び
図4は搬送装置4の分解図(平面図)と、分解図(側面図)である。なお、
図4は、搬送ユニット40B、位置決めユニット10B、可動部45B及び押出ユニット8の図示を省略している。
【0025】
搬送装置4は、上述した搬送ユニット40A及び40Bと、搬送ユニット40A及び40BをY方向に自由移動可能に支持する支持ユニット43と、位置決めユニット10A及び10Bとを備える。また搬送装置4は、引込ユニット7と、押出ユニット8とを備える。引込ユニット7及び押出ユニット8を備えることにより、パレットPLの搬出入機能を有していない搬送装置2との間で、搬送装置4が搬送対象物の受け渡しを行うことができる。搬送装置2がパレットPLの搬出入機能を有している場合、搬送装置4は引込ユニット7及び押出ユニット8を有していなくてもよい。
【0026】
支持ユニット43は、ベース部44と、可動部45A及び45Bとを備える。ベース部44は、搬送装置2と搬送装置3との間に位置し、工場内に据え置かれる固定式の架台であって、搬送装置3に隣接して固定されている。ベース部44は、フレーム443を備え、フレーム443にはX方向に離間した一対のローラユニット441が搭載されている。各ローラユニット441は、Y方向に配列された複数のローラ442からなる一列のローラ列を備える。各ローラ442はX方向の軸周りに自由回転可能な自由回転ローラである。また各ローラユニット441は、Y方向に配列された複数のローラ442に沿って設けられたガイド部441aを備える。なお、各ローラユニット441のローラ列のそれぞれのY方向の端部には、不図示の係止部材が設けられている。これにより、各ローラユニット441に支持される可動部45A及び45BのY方向における移動が規制され、各ローラユニット441からの落下が防止される。
【0027】
可動部45A及び45Bは、一対のローラユニット441上に載置されており、各ローラ442の自由回転によって、Y方向に自由移動可能である。可動部45Aには搬送ユニット40Aが搭載され、可動部45Bには搬送ユニット40Bが搭載されている。搬送ユニット40Aは可動部45Aと共に、搬送ユニット40Bとは独立してY方向に移動可能である。同様に、搬送ユニット40Bは可動部45Bと共に、搬送ユニット40Aとは独立してY方向に移動可能である。
【0028】
なお、本実施形態では、ローラ442の転動によって搬送ユニット40がY方向に自由移動可能な構成としたが、ローラ442以外にも、ボールキャスタ、低摩擦の滑動面を有するテーブル、エアーテーブル等、搬送ユニット40をフローティング支持する構造を採用可能である。
【0029】
本実施形態の場合、可動部45A及び45Bは同じ構成であり、以下の説明において、両者を区別せずに、可動部45A又は45Bを指す場合に可動部45と称する場合がある。可動部45は、矩形の枠46と、枠46の四隅からそれぞれ立設された支柱47とを備える。枠46は、一対のローラユニット441に跨るようにして、各ローラ442上に載置される。具体的には、枠46は、X方向に離間して配置され、Y方向に延設される二つの支持フレーム部46Aを含む。それぞれの支持フレーム部46Aは、Y方向に配置される少なくとも2つのローラ442に支持される長さでそれぞれ構成される。またそれぞれの支持フレーム部46Aは、一対のローラユニット441にそれぞれ設けられるガイド部441aにより、X方向への移動が規制される。支柱47は搬送ユニット40に固定される。
【0030】
ベース部44の中央部に固定された支持ブラケット444に、係合部6A、6Bが取り付けられている。具体的には、ベース部44は、支持ブラケット444、444を支持する支持フレーム443aを含む。支持フレーム443aは、支持ブラケット444,444を支持する支持部を含む。係合部6A及び6Bは搬送装置3と搬送装置4との間の位置合わせのために用いられる。係合部6A及び6Bは、後述する位置合わせ部13と同じ高さとなるよう、支持ブラケット444の高さ及び係合部6A及び6Bの取り付け位置が調整される。
【0031】
<位置決めユニット>
位置決めユニット10A及び10Bの構成について
図1~
図4に加えて、
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は位置決めユニット10Aの斜視図であり、
図6は位置決めユニット10Aの動作説明図である。なお、本実施形態の場合、位置決めユニット10A及び10Bは同じ構成であり、以下の説明において、両者を区別せずに、位置決めユニット10A又は10Bを指す場合に位置決めユニット10と称する場合がある。
【0032】
位置決めユニット10Aは、搬送ユニット40Aと一体に設けられており、位置決めユニット10Aによる位置決めに追従して搬送ユニット40AがY方向にフローティング移動される。位置決めユニット10Bは、搬送ユニット40Bと一体に設けられており、位置決めユニット10Bによる位置決めに追従して搬送ユニット40BがY方向にフローティング移動される。位置決めユニット10は、プレート11と、その他の構成部であるユニット本体部110とで構成される。プレート11の下面にユニット本体部110が設けられ、プレート11の上面が搬送ユニット40の底面に固定される。
【0033】
ユニット本体部110は、位置合わせ部12、13及び延設部材14を有している。位置合わせ部12は、延設部材14の一方の端部に設けられており、位置合わせ部13は延設部材14の他方の端部に設けられている。延設部材14はワークWの搬送方向であるX方向に延設された部材であり、二本のロッド14b、二本のロッド14bの両端部にそれぞれ固定される端部プレート14a、案内部材15およびアクチュエータ16を備える。X方向に延びる二本のロッド14bは、Y方向に離間して平行に設けられている。各端部プレート14aに位置合わせ部12及び13が設けられる。すなわちX方向に延びる延設部材14の両端に位置合わせ部12及び13が設けられている。
【0034】
プレート11の下面には、四つの案内部材15が設けられている。案内部材15は、2つを1組として、Y方向に離間させて左右一対に設けられており、それぞれがロッド14bを挿通させる孔を有している。この孔により、延設部材14(ロッド14b)のX方向の移動(往復)が案内される。また、プレート11の下面には、アクチュエータ16が設けられている。本実施形態のアクチュエータ16は電動シリンダであり、本体部からロッド16aがX方向に進退動される。ロッド16aの先端部が二つの端部プレート14aのうちの一方に固定されている。アクチュエータ16の駆動に伴い、ロッド16aがX方向に進退動することで、両端部プレート14a、すなわち位置合わせ部12及び13がX方向に進退動する。すなわち、位置合わせ部12が係合部5に対して進退し、また、位置合わせ部13が係合部6に対して進退する。
【0035】
プレート11の下面にブラケット17a、17aが設けられ、各ブラケット17aにセンサ17A、17Bが支持されている。また、二本のロッド14bの内の一方の両端近傍にそれぞれドグ18が設けられている。位置合わせ部13側に設けたドグ18は、位置合わせ部12と係合部5Aが係合した時にセンサ17Aが検知するよう、ロッド14bへの取り付け位置が調整される。また、位置合わせ部12側に設けたドグ18は、位置合わせ部13と係合部6Aが係合した時にセンサ17Bが検知するよう、ロッド14bへの取り付け位置が調整されている。センサ17Aは、位置合わせ部12が係合部5との係合位置に位置しているか否かを検知し、センサ17Bは位置合わせ部13が係合部6との係合位置に位置しているか否かを検知する。本実施形態では、ドグ18が案内部材15と接することはないが、位置合わせ部12と係合部5、位置合わせ部13と係合部6とが係合した時にドグ18が案内部材15と接するよう、ロッド14bに対するドグ18の取り付け位置を調整してもよい。これによって、位置合わせ部12(または13)が係合部5(または6)に対して必要以上の押付力を与えること無くすことができる。
【0036】
位置合わせ部12及び13は、Y方向の幅がX方向に変化した先細り形状の凸部を有している。換言すると、凸部は楔形を呈している。位置合わせ部12が係合される係合部5A、5Bは、位置合わせ部12の形状に合致するV字形の溝を有している。このため、位置合わせ部12と係合部5A又は5Bとが係合する際に、Y方向の位置決め(位置合わせ)がルーズで、双方の位置ずれがあったとしても、位置合わせ部12が係合部5A、5Bに嵌まり込むときに溝面に倣ってフローティング調心される。同様に、位置合わせ部13が係合される係合部6A、6Bは、位置合わせ部13の形状に合致するV字形の溝を有している。このため、位置合わせ部13と係合部6A又は6Bとが係合する際に、Y方向の位置決め(位置合わせ)がルーズで、双方の位置ずれがあったとしても、位置合わせ部13が係合部6A、6Bに嵌まり込むときに溝面に倣ってフローティング調心される。本実施形態においては、位置合わせ部12、13は、楔形状の突起部としているが、アーチ状の突起部であっても良い。また、係合部5A、5B(または6A、6B)の溝形は、位置合わせ部12(または13)が倣って嵌まり込むことができる形であれば特に限定するものではない。
【0037】
位置合わせ部12(または13)が係合部5A、5B(または6A、6B)の溝面に倣って嵌まり込む際、位置決めユニット10A及び10Bの全体、ひいては搬送ユニット40A、40Bの全体がY方向に僅かに移動する。その結果、搬送装置2と搬送装置4(または搬送装置3と搬送装置4)のY方向における位置合わせがルーズであったとしても、位置合わせ部12(または13)を係合部5A、5B(または6A、6B)に嵌め込むだけでフローティング調心され、搬送装置2と搬送装置4(または搬送装置3と搬送装置4)のY方向の完全な位置決めがなされる。
【0038】
図5に示すように、係合部5A~6Bの係合領域のZ方向の幅H1(V型の溝の長さ)は、位置合わせ部12、13の係合領域のZ方向の幅H2よりも広い(H1>H2)。係合部5A~6Bの係合領域を位置合わせ部12、13の係合領域よりも広くとることで、位置合わせ部12及び13と、対応する係合部5A、5B及び6A、6BとがZ方向にずれていても、両者の係合をより確実に行わせることができる。言い換えると、係合部5A~6Bの係合領域(V型の溝の範囲内)に位置合わせ部12、13が重複する範囲内であれば、両者の係合を確実に行わせることができる。
【0039】
本実施形態の場合、係合部5A及び5Bは同じ構成であり、以下の説明において、両者を区別せずに、係合部5A又は5Bを指す場合に係合部5と称する場合がある。係合部6A及び6Bも同様に係合部6と称する場合がある。
【0040】
図6を参照して位置決めユニット10Aの動作について説明する。状態ST1は、アクチュエータ16のロッド16aが収縮した状態にあり、位置合わせ部12は係合位置に位置し、係合部5Aと係合している状態を示す。位置合わせ部12が係合位置に位置していることは、同図のセンサ17Aが、同図左側(係合部6A側)のドグ18を検知することで確認される。状態ST1において、位置合わせ部13は係合部6Aから離間しており、退避位置に位置している。
【0041】
状態ST2は、アクチュエータ16のロッド16aが伸長した状態にあり、位置合わせ部13は係合位置に位置し、係合部6Aと係合している状態を示す。位置合わせ部13が係合位置に位置していることは、同図のセンサ17Bが、同図右側(係合部5A側)のドグ18を検知することで確認される。状態ST2において、位置合わせ部12は係合部5Aから離間しており、退避位置に位置している。なお、係合部5B、6Bに対する位置決めユニット10Bの動作も同じである。
【0042】
このように本実施形態の位置決めユニット10は、アクチュエータ16のロッド16aの伸縮によって、位置合わせ部12が係合部5に、又は、位置合わせ部13が係合部6に選択的に係合する。アクチュエータ16のロッド16aの伸縮を利用することで、比較的簡易な構成で選択的な係合動作が可能となる。位置合わせ部12と係合部5とが実際に実係合する位置は、搬送装置2の停止位置によって変動する。位置合わせ部13と係合部6とが実際に係合する位置は基本的に変動するものではなく、係合部6A、6Bが設けられる位置で定まる。本実施形態の場合、設計上および/または制御上、位置合わせ部12と係合部5とのX方向における係合位置、及び位置合わせ部13と係合部6とのX方向における係合位置は、アクチュエータ16のストロークの途中(ストローク端から離れた位置)に設定されている。
【0043】
例えば、アクチュエータ16の伸長ストロークが、0~100mmであるとする。この場合、設計上、或いは、制御上の位置合わせ部12と係合部5との係合位置は、例えば、10mmの位置とされる。また、位置合わせ部13と係合部6との係合位置は、例えば、90mmの位置とされる。
【0044】
本実施形態の場合、センサ17A、センサ17Bはドグ18を検知する磁気センサであり、その検知範囲はX方向に一定の幅を有している。検知範囲を5mmとすると、
図6においてセンサ17Aでドグ18の移動停止が検知されると、アクチュエータ16の伸長ストロークが7.5~12.5mmの範囲で位置合わせ部12と係合部5との係合があったとみなすことができる(正常な係合)。つまり、センサ17Aは、位置合わせ部12が状態ST2の退避位置から係合部5と係合する係合位置まで移動した移動量を検知していることになる。
【0045】
同様に、センサ17Bでドグ18の移動停止が検知されると、アクチュエータ16の伸長ストロークが87.5~92.5mmの範囲で位置合わせ部13と係合部6との係合があったとみなすことができる(正常な係合)。逆に捉えると、位置合わせ部12と係合部5との係合および位置合わせ部13と係合部6との係合が正常に係合されていないときは、センサ17A、17Bの検出がされないこととなる(係合異常)。つまり、センサ17Bも、位置合わせ部13が状態ST1の退避位置から係合部6と係合する係合位置まで移動した移動量を検知していることになる。
【0046】
本実施形態では、ロッド14bの長手方向(X方向)におけるドグ18の取り付け位置は変更可能であり、位置合わせ部12(または13)と係合部5A、5B(または6A、6B)の係合位置に応じて任意に設定可能である。
【0047】
<引込ユニット>
引込ユニット7について、
図1、
図3、
図4に加えて
図7及び
図8を参照して説明する。
図7及び
図8は引込ユニット7の動作説明図である。引込ユニット7は、搬送装置2から搬送装置4へパレットPLを取り込む装置である。引込ユニット7は、搬送ユニット40Aの側部に支持され、X方向に延びる駆動ユニット74と、駆動ユニット74の駆動と案内によりX方向に往復可能なスライダ73とを備える。駆動ユニット74は、X方向にスライダ73を移動させる機構を備え、該機構は例えば、モータを駆動源としたボールねじ機構やベルト伝動機構である。
【0048】
スライダ73にはZ方向の軸72の周りに回動可能なアーム71が設けられている。アーム71は
図7の状態ST3に示すように、アーム71の長手方向がY方向を指向した姿勢を初期位置とし、矢印D4方向に所定の角度範囲(例えば60度~90度)だけ回動可能である一方、初期位置から矢印D4方向と逆側には回動不能である。また、スライダ73にはアーム71をD5方向へ付勢する不図示のバネが設けられており、このバネの付勢によりアーム71は初期位置に維持される。
【0049】
図7及び
図8を参照してパレットTLの引込動作について説明する。状態ST3は、搬送ユニット20A上に、ワークWを搭載したパレットPLが載置されている状態を示している。スライダ73が同図右側に移動されるとアーム71とパレットPLのピンPとが干渉する。アーム71は矢印D4方向に回動可能なので、状態ST4に示すようにアーム71はピンPと干渉するも、スライダ73の移動を妨げずに回動する。状態ST5に示すように、アーム71がピンPを通過する位置までスライダ73が移動される。アーム71は不図示のバネの付勢力で初期位置に復帰する。
【0050】
状態ST6に示すようにスライダ73が同図左側に移動されると、アーム71がパレットPLのピンPと係合し、パレットPLがスライダ73の移動に従動して搬送ユニット40A上に引き込まれる。搬送ユニット40Aが駆動されつつスライダ73の移動を継続することで、状態ST8に示すようにパレットPLが搬送ユニット40A上に移載される。
【0051】
<押出ユニット>
押出ユニット8について、
図1、
図3、
図4に加えて
図9及び
図10を参照して説明する。
図9及び
図10は押出ユニット8の動作説明図である。押出ユニット8は、搬送装置4から搬送装置2へパレットPLを押し出す装置である。押出ユニット8は、搬送ユニット40Bの側部に支持され、X方向に延びる駆動ユニット84と、駆動ユニット84の駆動と案内によりX方向に往復可能なスライダ83とを備える。駆動ユニット84は、X方向にスライダ83を移動させる機構を備え、該機構は例えば、モータを駆動源としたボールねじ機構やベルト伝動機構である。
【0052】
スライダ83にはZ方向の軸82の周りに回動可能なアーム81が設けられている。アーム81は
図9の状態ST8に示すように、アーム81の長手方向がY方向を指向した姿勢を初期位置とし、矢印D7方向に所定の角度範囲(例えば60度~90度)だけ回動可能である一方、初期位置から矢印D7方向と逆側には回動不能である。また、スライダ83にはアーム81をD6方向へ付勢する不図示のバネが設けられており、このバネの付勢によりアーム81は初期位置に維持される。
【0053】
図9及び
図10を参照してパレットTLの引込動作について説明する。状態ST8は、搬送ユニット40B上に、ワークWを搭載したパレットPLが載置されている状態を示している。スライダ83が同図左側に移動されるとアーム81とパレットPLのピンPとが干渉する。アーム81は矢印D7方向に回動可能なので、状態ST9、ST10に示すようにアーム81はピンPと干渉するも、スライダ83の移動を妨げずに回動する。状態ST11に示すように、アーム81がピンPを通過する位置までスライダ83が移動される。アーム81は不図示のバネの付勢力で初期位置に復帰する。
【0054】
状態ST12に示すように、搬送ユニット40Bが駆動されつつスライダ83が同図右側に移動されると、アーム81がパレットPLのピンPと係合し、パレットPLがスライダ83の移動に従動して搬送ユニット20B上に押し出される。その後、状態ST13に示すようにパレットPLが搬送ユニット20B上に移載される。
【0055】
<制御装置>
図11は搬送装置4の制御装置100のブロック図である。制御装置100は、処理部101と、記憶部102と、インターフェース部103と、を備え、これらは互いに不図示のバスにより接続されている。処理部101は記憶部102に記憶されたプログラムを実行する。処理部101は例えばCPUである。記憶部102は、例えば、RAM、ROM、ハードディスク等である。インターフェース部103は、処理部101と、外部デバイス(ホストコンピュータ200、センサ、アクチュエータ)と、の間に設けられ、例えば、通信インターフェースや、I/Oインターフェースである。
【0056】
制御装置100は、ホストコンピュータ200の指示により、アクチュエータ16、搬送ユニット40A及び40B、引込ユニット7、押出ユニット8を制御する。また、制御装置100にはセンサ17A及び17Bの検知結果が入力される。アクチュエータ16は、駆動源であるモータ16bと、モータ16bの回転量を検知するロータリエンコーダ等のセンサ16cを備える。モータ16bの駆動中にセンサ16cの検知結果が変化しなくなった場合(回転が検知されなくなった場合)、位置合わせ部12又は13の移動が停止したとみなすことができる。位置合わせ部12又は13の移動の停止は、位置合わせ部12又は13が、対応する係合部5又は6と係合した場合に生じることになる。
【0057】
<位置合わせ動作例>
制御装置100による位置決めユニット10Aの制御例と、その際の搬送ユニット20Aの挙動の例について
図12~
図14を参照して説明する。
図12~
図14は搬送装置4の位置合わせ動作の説明図である。
【0058】
状態ST21は、搬送装置2の到着待ちの状態を示している。位置決めユニット10Aは、位置合わせ部13と係合部6Aとが係合した状態にあり、搬送ユニット40Aは搬送ユニット30Aに対してY方向の位置合わせがなされた状態にある。状態ST22は、搬送装置2が搬送装置4へパレットPLを移載する位置に到達した状態を示す(説明の便宜上、パレットPL及びワークWは図示していない。以下、同様。)。状態ST22において、搬送ユニット20Aと搬送ユニット40AのY方向における位置ずれは、ずれ量E1である。このため、このままでは搬送装置2から搬送装置4へパレットPLを移載することができない。よって、搬送ユニット20Aと搬送ユニット40Aとの位置合わせが必要である。
【0059】
そこで、状態ST22の位置に搬送装置2が到着すると、ホストコンピュータ200は制御装置100に対してパレットPLの移載動作を指示し、制御装置100は搬送装置4の制御を開始する。まず、位置決めユニット10Aによる位置合わせ動作が行われる。状態ST23は、アクチュエータ16が駆動し、ロッド16aが収縮を開始した状態を示す。このロッド16aの収縮により、位置合わせ部12が係合部5Aに向けて前進する。
【0060】
位置合わせ部12と係合部5AとのY方向の位置ずれはずれ量E1であるが、位置合わせ部12が係合部5Aと係合し始めると、係合部5Aによる位置合わせ部12の案内作用によって、位置決めユニット10AがY方向に調心される。その結果、搬送装置40AがY方向にフローティング移動される。状態ST24は、位置合わせ部12と係合部5Aとの係合が完了した状態を示す。状態ST24に示すように、位置合わせ部12と係合部5Aとの係合が完了した状態では、搬送ユニット40Aは搬送ユニット20Aに対してY方向の位置が整合した状態にある。逆に、搬送ユニット40Aは搬送ユニット30Aに対してY方向にずれ量E1だけ位置がずれている。この後、引込ユニット7が駆動され、パレットPLが搬送ユニット20Aから搬送ユニット40Aに引き込まれ、搬送装置2から搬送装置4へのパレットPLの移載が完了する。
【0061】
次に、搬送装置40Aから搬送装置30AへパレットPLを移載する場合の動作について説明する。状態ST24のままでは、搬送ユニット40Aは搬送ユニット30Aに対してY方向おける位置ずれは、ずれ量E1である。このため、このままでは搬送装置4から搬送装置3へパレットPLを移載することができない。よって、搬送ユニット30Aと搬送ユニット40Aとの位置合わせが必要である。ホストコンピュータ200は制御装置100に対してパレットPLの移載動作を指示し、制御装置100は搬送装置4の制御を開始する。まず、位置決めユニット10Aによる位置合わせ動作が行われる。状態ST25は、アクチュエータ16が駆動し、ロッド16aが伸長を開始した状態を示す。このロッド16aの伸長により、位置合わせ部13が係合部6Aに向けて前進される。
【0062】
位置合わせ部13と係合部6AとのY方向の位置ずれはずれ量E1であるが、位置合わせ部13が係合部6Aと係合し始めると、係合部5Aによる位置合わせ部12の案内作用によって、位置決めユニット10AがY方向に調心される。その結果、搬送装置40AがY方向にフローティング移動される。状態ST26は、位置合わせ部13と係合部6Aとの係合が完了した状態を示す。状態ST26に示すように、位置合わせ部13と係合部6Aとの係合が完了した状態では、搬送ユニット40Aは搬送ユニット30Aに対してY方向の位置が整合した状態にある。この後、搬送ユニット40Aと搬送ユニット30Aとの駆動によって、パレットPLが搬送ユニット40Aから搬送ユニット30Aに移載されることになる。
【0063】
以降、パレットPLを移載する装置間の組み合わせ(搬送ユニット20Aと搬送ユニット40A又は搬送ユニット40Aと搬送ユニット30A)に応じて、位置決めユニット10Aによる位置合わせ動作を選択的に行う。これにより、搬送ユニット40AのY方向における位置を、搬送ユニット20A又は搬送ユニット30Aのいずれか一方の位置に位置合わせすることができる。
図12~
図14では搬送ユニット20A~40Aについて説明したが、搬送ユニット20B~40B、係合部5B、6B等についても同様である。
【0064】
以上のとおり、本実施形態では、搬送ユニット40をY方向に自由移動可能に構成し、位置決めユニット10を係合部5(または6)に対して位置決め(嵌め込み)させるだけで、搬送ユニット40がフローティング移動し、搬送装置4を搬送元又は搬送先に対して選択的に位置合わせすることができる。すなわち、搬送装置3に対する搬送装置2の位置決め、位置合わせがルーズであった(正確でなかった)としても、位置決めユニット10を係合部5に嵌め合わせるだけで、搬送装置4の搬送ユニット40が搬送装置2の位置に倣ってフローティングし、完全な位置合わせがなされる。これにより、正確に位置合わせがなされなかった搬送装置2から、搬送装置4へ確実にパレットPLを移載(搬送)することができる。また、この時点においては、搬送装置3に対する搬送装置4の位置決め、位置合わせはルーズである(正確でない)が、その後、位置決めユニット10を係合部6に嵌め合わせるだけで、搬送装置4の搬送ユニット40が搬送装置3の位置に倣ってフローティングし、完全な位置合わせがなされる。これにより、搬送装置4から搬送装置3へ確実にパレットPLを移載することができる。
【0065】
また、本実施形態における搬送装置2、4および3、4の位置合わせは、位置合わせ部12(または13)と係合部5(または6)とによる物理的な係合によるものであり、検出装置や演算装置の制御による位置合わせに比べて簡易的な方法となっている。
【0066】
さらに、本実施形態における位置合わせの際、自由移動可能に支持された搬送ユニット40のみを移動させており、搬送装置2全体を移動させて位置合わせを行う従来の構成に比べて、被移動物が小型軽量となる。このため、仮に搬送装置2が大型の重量物であったとしても、位置合わせに要する力は小さくて済み、アクチュエータ16として、大きな駆動力を発揮可能な大型なものは不要である。加えて、搬送装置4が備えるアクチュエータ16は、ユニット本体部110のみを搬送方向に伸縮させるものであることから、搬送装置4全体の自重は関係が無く、ユニット本体部110を駆動させるのに十分な駆動力さえあれば良い。すなわち、本実施形態においては、搬送装置2、4および3、4の位置合わせの際に必要なアクチュエータ16は、小さな駆動力の、汎用の安価なもので十分である。
<係合状態の確認>
位置合わせ部12(または13)と係合部5(または6)との係合確認の例について説明する。本実施形態の場合、アクチュエータ16の駆動中、センサ16cによりモータ16bの回転が検知されなくなった時に位置合わせ部12(または13)と係合部5(または6)とが係合したと仮定し、センサ17A(または17B)の検知結果により係合位置を確認する。
【0067】
センサ17A(または17B)がドグ18を検知する前に、センサ16cの検知結果により係合が検知されると、本来の係合位置よりも手前で係合が発生しており、係合領域がY方向にずれて係合していない、或いは、異物の噛み込みといった異常が発生していると判定できる。
【0068】
センサ17A(または17B)がドグ18を検知した後に、センサ17A(または17B)がドグ18を検知しない状態となり、センサ16cの検知結果により係合が検知されると、本来の係合位置よりも遠くで係合が発生しており、搬送ユニット間のX方向の距離が離れすぎているといった異常が発生していると判定できる。この場合、搬送ユニット間のY方向の位置合わせは正常であるが、移載の際にパレットPLが搬送経路から脱落する虞があるため異常とする。
【0069】
図15は制御装置100が実行する処理例を示すフローチャートであり、位置決めユニット10の駆動時の処理例を示している。S1ではアクチュエータ16(モータ16b)が駆動され、位置合わせ部12(又は13)の係合部5(又は6)に対する移動が開始される。S2ではセンサ17A(又は17B)の検知結果が取得され、位置合わせ部12(又は13)が係合位置に到達したか否かが判定される。位置合わせ部12(又は13)が係合位置に到達したと判定された場合はS3へ進む。
【0070】
S3ではセンサ16cの検知結果を取得してモータ16bの回転が検知されなくなったか否かが判定される。回転が検知されなくなった場合、位置合わせ部12(又は13)が係合部5(又は6)と正常に係合したとみなしてS4へ進み、アクチュエータ16(モータ16b)の駆動を終了する。続いてS5へ進み、搬送ユニット間でのパレットPLの搬送(移載)を開始する。
【0071】
S3でモータ16bの回転が検知された場合はS6へ進む。S6ではセンサ17A(又は17B)の検知結果が取得され、位置合わせ部12(又は13)が係合位置を超えたか(ドグ18が検知されなくなったか)否かが判定される。係合位置を超えていないと判定された場合はS3へ戻る。係合位置を超えたと判定された場合はS7へ進み、エラー処理が行われる。
【0072】
S7のエラー処理では、アクチュエータ16(モータ16b)の駆動が終了され、エラーの発生がホストコンピュータ200に通知される。S7のエラー処理に至った場合、本来の係合位置よりも遠くで係合が発生している場合に相当する。搬送ユニット20と搬送ユニット40との位置合わせ動作の際にこの異常が発生した場合、搬送装置2の停止位置が搬送装置4から離れすぎていると考えられるので、搬送装置2を移動させて再度位置決め動作を行ってもよい。
【0073】
S2で位置合わせ部12(又は13)が係合位置に到達していないと判定された場合はS8へ進む。S8ではセンサ16cの検知結果を取得してモータ16bの回転が検知されなくなったか否かが判定される。回転が検知された場合はS2へ戻る。回転が検知されないと判定された場合はS9へ進み、エラー処理が行われる。
【0074】
S9のエラー処理では、アクチュエータ16(モータ16b)の駆動が終了され、エラーの発生がホストコンピュータ200に通知される。S9のエラー処理に至った場合、本来の係合位置よりも手前で係合が発生している場合に相当する。搬送ユニット20と搬送ユニット40との位置合わせ動作の際にこの異常が発生した場合、搬送装置2の停止位置が搬送装置4に対してY方向に大きくずれていると考えられるので、搬送装置2を移動させて再度位置決め動作を行ってもよい。
【0075】
<第二実施形態>
第一実施形態では位置合わせ部12、13の形状を先細り形状の凸部とし、係合部5、6の形状を位置合わせ部12、13の形状に合致したV型の溝としたが両者の形状はこれに限られない。例えば、
図16の例:EX1に示すように、係合部5の形状を先細り形状の凸部とし、位置合わせ部12の形状をV型の溝としてもよい。係合部6、位置合わせ部13も同様である。
【0076】
また、例えば、
図16の例:EX2に示すように、位置合わせ部12を一対の楔形部材で構成し、係合部5の形状を位置合わせ部12が完全に嵌まり込まない矩形の凹部としてもよい。係合部6、位置合わせ部13も同様である。このように位置合わせ部12、13と係合部5、6の形状は様々な形状を選択可能である。
【0077】
<第三実施形態>
第一実施形態では、搬送装置2~4がそれぞれ搬送ユニット20~40を二組備える構成であったが、搬送ユニット20~40をそれぞれ一つ備えた構成でもよい。
図17はその一例を示す搬送システム1のレイアウト図である。図示の例では、搬送装置2は一つの搬送ユニット20を備える。搬送装置3は一つの搬送ユニット30を備える。搬送装置4は搬送ユニット40と位置決めユニット10と可動部45とをそれぞれ一つ備える。パレットPL(ワークW)の搬送方向はD1でもよいし、D1と逆方向であってもよい。
【0078】
<第四実施形態>
第一実施形態では、係合部6を搬送装置4のベース部44に支持した構成としたが、係合部6を搬送装置3に支持した構成でもよい。
図18はその一例を示す搬送システム1のレイアウト図である。図示の例では、搬送装置3に係合部6が設けられている。状態ST27は、位置決めユニット10(プレート11は省略)により位置合わせ部12と係合部5とが係合している状態を示している。これにより搬送ユニット40と搬送ユニット20とのY方向の位置合わせが行われる。
【0079】
状態ST28は、11位置決めユニット10(プレート11は省略)により位置合わせ部13と係合部6とが係合している状態を示している。これにより搬送ユニット40と搬送ユニット30とのY方向の位置合わせが行われる。
【0080】
図18の例では、搬送装置2~4がそれぞれ搬送ユニット20~40を一つ備える構成であるが、第一実施形態のように二組または三組以上備える構成でもよい。
【0081】
<第五実施形態>
第一実施形態では、支持ユニット43の構成に関し、ベース部44に可動部45が載置されている構成であるが、可動部45が上方へ移動することを規制する部材を設けてもよい。
図19はその一例を示す支持ユニット43の側面図である。ローラユニット441の上部(ガイド部441a)には、規制部材445が設けられている。規制部材445は可動部45の枠46の上方において、枠46の側へ突出する部材である。可動部45が上側に変位しようとしたときに、規制部材445と可動部45の枠46とが干渉し、可動部45の上側への変位を防止できる。これは、例えば、パレットPL(ワークW)を移載する際、搬送ユニット40に対してX方向での荷重部分布に偏りが生じて可動部45のX方向の片側が浮き上がることを防止できる。
【0082】
図19の例では、枠46の側部にローラ46aが設けられている。ローラ46aはZ方向の軸周りに回転自在であり、ローラユニット441の側面(ガイド部441a)に当接して可動部45のY方向の移動をより円滑なものとする。
【0083】
なお、第一実施形態では、ベース部44の側にローラユニット441を設け、ここに可動部45を載置する構成としたが、可動部45の底部にローラ列等の転動体を設ける一方、ベース部44には転動体の転動面を設けることにより、可動部45がY方向に自由移動可能な構成であってもよい。
【0084】
<第六実施形態>
第一実施形態では、搬送ユニット40がY方向に自由移動可能であったが、更に、Z方向の軸周りに自由揺動可能であってもよい。
図20は本実施形態の支持ユニット43及び搬送ユニット40の側面図であり、
図21は平面図である。
【0085】
本実施形態の可動部45は板状の部材である。第一実施形態と同様、可動部45はベース部44の各ローラユニット441上に載置されており、Y方向に自由移動可能である。可動部45のX方向及びY方向の中央部には、Z方向に延びる軸461が設けられている。搬送ユニット40は、Y方向に離間したローラユニット41、41を連結するフレーム403を有しており、フレーム403のX方向及びY方向の中央部に軸461が揺動自在にされている。すなわち、フレーム403(搬送ユニット40)は、軸461に対して、X軸回り、Y軸回りおよびZ軸回りに回動自在(フローティング自在)である。言い換えると、フレーム403は、軸461に対してローリング、ピッチングおよびヨーイング運動が可能である。このX軸回り、Y軸回りおよびZ軸回りの回動を行う機構としては、例えばジンバル機構等の慣用の3軸回転機構を用いることができる。以上の構成により、搬送ユニット40はY方向に自由移動が可能であり、かつ、軸461の中心軸Z1を中心として自由揺動が可能である。
【0086】
本実施形態によれば、搬送ユニット40と、搬送ユニット20又は搬送ユニット30とのY方向のずれのみならず、Z方向の軸回りの姿勢のずれも吸収することが可能となる。すなわち、位置決めユニット10の位置合わせ部12(または13)と係合部5(または6)とを係合させることによって、搬送ユニット40がY方向にフローティング移動するとともに、ローリング、ピッチングおよびヨーイング運動するため、搬送装置2、4間または搬送装置3、4間の全ての位置ずれが解消可能である。例えば、搬送装置2が搬送装置4に対して、斜めの姿勢で到達した場合、位置決めユニット10の位置合わせ部12と、係合部5との係合によって、状態ST32に示すように搬送ユニット40が揺動する。これにより搬送ユニット20と搬送ユニット40とが、それらの搬送経路が同一線上に一致するように整列される。
【0087】
<第七実施形態>
第一実施形態では、搬送装置2が自走式搬送装置、搬送装置3が固定式搬送装置の例を例示したが、これに限られない。搬送装置2と搬送装置3との双方が自走式搬送装置であってもよい。この場合、係合部5は搬送装置2に、係合部6は搬送装置3に設けられることになる。
【0088】
また、搬送装置2と搬送装置3との双方が固定式搬送装置であってもよい。この場合、ワークの搬送時には位置決めユニット10により搬送ユニット間の位置合わせが行えるので、搬送装置2~4を工場内に設置する際、装置間の位置合わせの精度が低くてもよい(位置合わせ可能な範囲以内であれば、ラフに設置させてもよい)という利点がある。
【0089】
また、第一実施形態では、搬送装置2からパレットPL(ワークW)を搬送装置4へ引き込むために引込ユニット7を設けたが、搬送装置3からパレットPL(ワークW)を搬送装置4へ引き込むために引込ユニット7を設けてもよい。同様に、第一実施形態では、搬送装置4から搬送装置2へパレットPL(ワークW)を押し出すために押出ユニット8を設けたが、搬送装置4から搬送装置3へパレットPL(ワークW)を押し出すために押出ユニット8を設けてもよい。
【0090】
以上、発明の実施形態について説明したが、発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。