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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】競技用具セット及び競技方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 67/00 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
A63B67/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022161273
(22)【出願日】2022-10-05
【審査請求日】2022-10-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522304925
【氏名又は名称】片桐 巖
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片桐 巖
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-116325(JP,A)
【文献】特開2014-180527(JP,A)
【文献】登録実用新案第3132382(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0087433(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0137452(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0180737(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0227296(US,A1)
【文献】米国特許第4453720(US,A)
【文献】中国実用新案第206631111(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0114078(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 67/00
A63B 63/00
A63B 71/02
A63D 15/00
A63F 3/00
A63F 7/00
A63F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先攻の第1チームと後攻の第2チームとが実世界の所定の競技場所で対戦する対戦競技にて使用される競技用具セットであって、
前記第1チームのチーム色である第1色を備えたN個(N:2以上の整数)の第1ボールであって、当該第1チームの第1チームメンバーが手投げ又は足蹴り又は投球機の操作により前記競技場所内において転がすための、前記複数の第1ボールと、
前記第2チームのチーム色であり前記第1色とは異なる第2色を備えた前記N個の第2ボールであって、当該第2チームの第2チームメンバーが手投げ又は足蹴り又は投球機の操作により前記競技場所内において転がすための、前記複数の第2ボールと、
前記第1ボール及び前記第2ボールを前記競技場所内において転がされるときの目標とされる、前記第1色及び前記第2色とは異なる第3色を備えた1個の第3ボールと、
前記第3ボールが内部に配置される可変区画領域であって、手投げ又は足蹴り又は投球機により転がされた前記第1ボール及び前記第2ボールの侵入停止数により前記第1チーム及び前記第2チームの得点をそれぞれ増大させる前記可変区画領域の環状の外郭線を可変に画定するための、前記第1色及び前記第2色及び前記第3色とは異なる第4色を備えた領域画定紐と、
手投げ又は足蹴り又は投球機により転がされて前記可変区画領域内に侵入した前記第1ボール及び前記第2ボールの進行方向又は進行速度を調整するために、前記第1チーム又は前記第2チームにより当該可変区画領域内に所望に配置される、少なくとも1つの傾斜付き円盤と、
を1セットとすることで、ボッチャ競技及びゴルフ競技それぞれの興趣を融合した前記対戦競技を手軽に楽しめるようにした
ことを特徴とする競技用具セット。
【請求項2】
請求項1記載の競技用具セットにおいて、
複数の前記傾斜付き円盤が、
競技開始後競技終了までの途中において前記第1チームが前記可変区画領域内の所望の位置に配置可能な1個の第1円盤と、
競技開始後競技終了までの途中において前記第2チームが前記可変区画領域内の所望の位置に配置可能な1個の第2円盤と、
競技開始前に、前記第2チームが所望の位置に配置可能な、前記第1円盤及び前記第2円盤とは異なる色を備えた、1個の第3円盤と、
を含むことを特徴とする競技用具セット。
【請求項3】
請求項2記載の競技用具セットにおいて、
手投げ又は足蹴り又は投球機により前記可変区画領域へと転がされる前記第1ボール及び前記第2ボールの転がし開始基準位置を画定するための、前記第1色及び前記第2色及び前記第3色とは異なる第5色を備えた基準位置画定紐と、
前記可変区画領域内に侵入停止した前記第1ボール及び前記第2ボールと前記第3ボールとの離間距離を実測するための距離測定具と、
前記第1色を備えた第1面と前記第2色を備えた第2面とを表裏一体に有し、前記第1チームが前記第1ボールを転がす第1場面であることを表す前記第1面、若しくは、前記第2チームが前記第2ボールを転がす第2場面であることを表す第2面、を審判員が選択的に示すための場面表示具と、
をさらに含むことを特徴とする競技用具セット。
【請求項4】
請求項3記載の競技用具セットにおいて、
前記第1チーム又は前記第2チームにより前記可変区画領域の周辺の所望の位置に配置され、手投げ又は足蹴り又は投球機により前記可変区画領域へと転がされる前記第1ボール及び前記第2ボールに対する障害物となるバンカー
をさらに含むことを特徴とする競技用具セット。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の競技用具セットを用いて、前記N個の前記第1ボールを使用可能な前記第1チームと前記N個の前記第2ボールを使用可能な前記第2チームとにより競われる競技方法であって、
前記第2チームが、前記領域画定紐を用いて前記可変区画領域の環状の外郭線を所望の形状に画定する第1ステップと、
前記第2チームが、前記第1ステップにより画定された前記可変区画領域内の所望の位置に1つの前記傾斜付き円盤を配置する第2ステップと、
前記第2ステップの後、前記第1チームが前記第1ボールを転がして前記可変区画領域内に侵入停止させるか、もしくは前記第2チームが前記第2ボールを転がして前記可変区画領域内に侵入停止させる、第3ステップと、
前記第3ステップの後、前記第1チーム又は前記第2チームが、前記N個の持ち球数が尽きるまで対応する前記第1ボール又は前記第2ボールを順次新たに転がす第4ステップと、
を有し、
前記第2ステップでは前記第2チームがさらに前記可変区画領域内の所望の位置に前記第3ボールを配置するとともに、前記第4ステップでは前記可変区画領域内に停止した前記第1ボール及び前記第2ボールのうち前記第3ボールから最も遠いボールに対応する前記第1チーム又は前記第2チームが対応する前記第1ボール又は前記第2ボールを順次新たに転がすようにし、最終的に、最も前記第3ボールに近い相手チームのボールより当該第3ボール側にある自チームのボールの数であるインボール数による得点を競うインボールゲーム、及び、
前記第1チーム及び前記第2チームのインボール数と、前記第4ステップにより、前記N個の持ち球数が尽きたとき、最終的に、前記可変区画領域内にある自チームのボールの数であるオンボール数とのそれぞれにおける合計値による得点に、さらにニアピン得点を加算した合計得点を競う、インボール・オンボール併合ゲーム、
のうち、いずれかのゲームを選択的に実行し、得点を競えるようにした
ことを特徴とする競技方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボッチャ競技及びゴルフ競技それぞれの興趣を融合した対戦競技を手軽に楽しめる競技用具セット及び競技方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、障害者のために考案され、パラリンピック競技の1種目でもある、ボッチャ競技が知られている。ボッチャ競技は白いジャックボールに対してカラーボールを投げ合うことで点数を競う競技である。これに関連する技術として、例えば、特許文献1に、寝たきりの重度障害者がライブカメラ等を視認しながら、遠隔操作でボールを転がすことでボッチャ競技に参加できる、投球機としての、ボッチャランプ装置1が開示されている(特許文献1の図1図15図16、段落[0007]、[0015]等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6962633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術のボッチャランプ装置1は競技場に行くことができない重度障害者等であっても競技を楽しめるよう配慮されているが、ボッチャ競技を通常の健常者等においても十分に楽しめるような工夫については特に配慮されていない。
【0005】
本発明の目的は、現状のボッチャの主たる競技者である障害者だけでなく、通常の健常者も含めた幅広い競技者層により手軽に楽しめる、新しい競技を提供する競技用具セット及び競技方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、先攻の第1チームと後攻の第2チームとが実世界の所定の競技場所で対戦する対戦競技にて使用される競技用具セットであって、前記第1チームのチーム色である第1色を備えたN個(N:2以上の整数)の第1ボールであって、当該第1チームの第1チームメンバーが手投げ又は足蹴り又は投球機の操作により前記競技場所内において転がすための、前記複数の第1ボールと、前記第2チームのチーム色であり前記第1色とは異なる第2色を備えた前記N個の第2ボールであって、当該第2チームの第2チームメンバーが手投げ又は足蹴り又は投球機の操作により前記競技場所内において転がすための、前記複数の第2ボールと、前記第1ボール及び前記第2ボールを前記競技場所内において転がされるときの目標とされる、前記第1色及び前記第2色とは異なる第3色を備えた1個の第3ボールと、前記第3ボールが内部に配置される可変区画領域であって、手投げ又は足蹴り又は投球機により転がされた前記第1ボール及び前記第2ボールの侵入停止数により前記第1チーム及び前記第2チームの得点をそれぞれ増大させる前記可変区画領域の環状の外郭線を可変に画定するための、前記第1色及び前記第2色及び前記第3色とは異なる第4色を備えた領域画定紐と、手投げ又は足蹴り又は投球機により転がされて前記可変区画領域内に侵入した前記第1ボール及び前記第2ボールの進行方向又は進行速度を調整するために、前記第1チーム又は前記第2チームにより当該可変区画領域内に所望に配置される、少なくとも1つの傾斜付き円盤と、を1セットとすることで、ボッチャ競技及びゴルフ競技それぞれの興趣を融合した前記対戦競技を手軽に楽しめるようにしたことを特徴としている。
【0007】
本願発明の競技用具セットは、複数の第1ボールと、複数の第2ボールと、1個の第3ボールとを含む。
先行チームである第1チームは、第1色(=第1チームのチームカラー。例えば赤色)を備えたN個の第1ボールを持ち球として使用できる。後攻チームである第2チームは、第2色(=第2チームのチームカラー。例えば青色)を備えたN個の第2ボールを持ち球として使用できる。
【0008】
各チームは、自チームのボール(第1ボール又は第2ボール)を、手投げ、又は足蹴り、又は所定の投球機(いわゆるランプ等)の操作により競技場所内において転がすことで、競技を進行する。なお、自分でボールを投げたり蹴ったり投球機を操作せず、補助者がボールを投げたり蹴ったり投球機を操作する場合、本願発明では当該補助者もチームの一員に含まれるものとする。その転がす際の目標とするために、本願発明の競技セットにおいては、上記第1色及び第2色とは異なる第3色(例えば白色)の1個の第3ボール(いわゆるジャックボール)が含まれている。この第3ボールを用いることで、ボッチャやカーリングと同様、例えば、最も第3ボールに近い相手チームのボールより当該第3ボール側にある自チームのボール(いわゆるINボール)の数(=インボール数)による得点を、競い合うことができる(=インボールゲーム)。
【0009】
また本願発明の競技用具セットにおいては、領域画定紐と、傾斜付き円盤と、がさらに含まれる。
領域画定紐は、ゴルフのグリーンのように、最終ゴール地点近くのある範囲の領域を形作るために用いられる。本願発明では、固形物ではなく形が不定で自由自在に変形可能な紐を用いて上記領域の外郭線を画定することで、上記ゴルフのグリーンに相当する領域(可変区画領域)を所望の形状に可変に形成することができる。
【0010】
この領域画定紐を用いることで、ゴルフのグリーンのような位置づけで、例えば、最終的に、可変区画領域内にある自チームのボール(いわゆるONボール)の数(オンボール数)による得点を、競い合うことができる(=オンボールゲーム)。この場合、第3ボールについては特に使用しなくてもよい。あるいは、第3ボールを使用した前述のインボールゲームと、このオンボールゲームとを組み合わせて、第1チーム又は第2チームの上記インボール数と、第1チーム及び第2チームの上記オンボール数と、の合計による得点を競いあうこともできる(=インボール・オンボール併合ゲーム)。インボール・オンボール併合ゲームの場合、最も第3ボール4に近い位置のINボール(いわゆるニアピン)を停止させたチームに、ニアピン得点(2得点)が加算される。この場合、既存のボッチャとゴルフとを融合させた、新しい態様の競技となる。上記2つのいずれの態様においても、領域画定紐を曲げたりひねったりして可変区画領域をどのような形状にするか、を作戦上重要な戦略ポイントとすることができる。
【0011】
また、傾斜付き円盤は、前述のようにして各チームがボールを転がして競技が進んでいくとき、ボールの進行方向や速度を調整するために用いられる。すなわち例えば、自チームのボールを、第3ボールの手前側に存在している相手チームのボールを迂回しつつ横から交わすような軌道で第3ボールにもっと近接させるように、傾斜付き円盤を配置することができる。あるいは、相手チームのボールに不利になるように進行方向を曲げたり速度を増大・低減させたりするように、傾斜付き円盤を配置することもできる。したがって、傾斜付き円盤をどのような位置に配置するか、についても作戦上重要な戦略ポイントとすることができる。
【0012】
以上のように、本願発明の競技用具セットによれば、ボッチャ競技及びゴルフ競技それぞれの興趣を融合した新しい競技を手軽に楽しむことができる。その結果、現状のボッチャの主たる競技者である障害者だけでなく、通常の健常者も含めた幅広い競技者層により手軽に楽しめる、新しい競技を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、現状のボッチャの主たる競技者である障害者だけでなく、通常の健常者も含めた幅広い競技者層により手軽に楽しめる、新しい競技を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る競技用具セットの斜視図である。
図2】競技用具セットに含まれる付属品の斜視図である。
図3】競技用具セットの配置概要図である。
図4】インボールゲームの得点方法を説明する図である。
図5】オンボールゲームの得点方法を説明する図である。
図6】インボール・オンボール併合ゲームの得点方法を説明する図である。
図7】競技結果の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。したがって、当業者であれば下記の各構成要素を均等なものに置換した実施形態を採用することができ、それらについても本発明の技術的範囲に含まれる。また、以下の説明では、本発明の理解を容易にするため、重要でない公知の技術的事項の説明を適宜省略又は簡略化する。
【0016】
<対戦競技の概要>
本実施形態に係る対戦競技は、所定の競技場所において、先攻の第1チームと後攻の第2チームとにより、競技用具セット1を用いて行われる。前記競技場所としては、特に限定されるものではないが、オンライン上やゲーム機器内等でなく実世界における競技場所であって、例えば会議室やオフィスの空きスペース、体育館等の各種公共施設やイベント会場等が挙げられる。以下、図1図3を用いて本実施形態に係る競技用具セット1を用いた対戦競技の概要について説明する。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の競技用具セット1は、複数の第1ボール2と、複数の第2ボール3と、1個の第3ボール4とを含む。
先攻チームである第1チームは、第1色(第1チームのチームカラーであって、例えば赤色)を備えたN個の第1ボール2を持ち球として使用できる。後攻チームである第2チームは、第2色(第2チームのチームカラーであって、例えば青色)を備えたN個の第2ボール3を持ち球として使用できる。前記Nは、2以上の整数であり、例えば、6である。なお、第1色と、第2色とは、異なる色であれば、何色であってもかまわない。
【0018】
各チームのプレイヤーは、自チームのチームカラーに対応する第1ボール2又は第2ボール3(いわゆる、カラーボール)を、手で投げるか、足で蹴るか、投球機(いわゆるランプ等)を操作する等の方法により、競技場所内において転がすことで、競技を進行する。なお、プレイヤーが身体的な障害を持つ場合、プレイヤー自身がボールを投げたり蹴ったり投球機を操作せず、補助者がボールを投げたり蹴ったり投球機を操作してもよい。その場合、当該補助者もチームの一員に含まれるものとする。なお、前記投球機としては、例えば、特許第6962633号公報に記載されるボッチャランプ装置1のような公知の構成の装置を用いることができる。
【0019】
本実施形態の競技用具セット1においては、上記第1色及び第2色とは異なる第3色(例えば白色)の1個の第3ボール4(いわゆるジャックボール)が含まれる。各チームのプレイヤーは、所定の場所に配置された第3ボール4を目標として、互いに第1ボール2及び第2ボール3を転がす。すなわち、第3ボール4を用いることで、例えば、第3ボール4に最も近い相手チームのボールよりも、当該第3ボール4に近い自チームのボール(いわゆるINボール)の数(インボール数)がいくつあるかにより、得点を競い合うことができる(インボールゲーム)。このインボールゲームにはボッチャ競技やカーリングと共通する興趣が取り入れられている。
【0020】
第1ボール2及び第2ボール3及び第3ボール4は例えば直径10センチメートル程度の球状のボールであって、例えば実用新案登録第3220001号公報に記載されるボッチャ用ボール100、200、300をはじめとする公知のボッチャ競技用のボールの構成と同様もしくはこれに準ずるものを用いることができる。
【0021】
図1に示すように、競技用具セット1は、領域画定紐5と、傾斜付き円盤6とをさらに含む。
【0022】
領域画定紐5は例えば太さ10~15ミリメートル、長さ6~9メートル程度の環状のロープである。領域画定紐5は第1色及び第2色及び第3色とは異なる第4色を備え、第4色は例えば薄緑色である。領域画定紐5の太さや長さは、上述したものに限られずどのようなものであってもよい。
【0023】
傾斜付き円盤6は、1個の第1円盤6aと、1個の第2円盤6bと、1個の第2円盤6cとを含む。第1円盤6a、第2円盤6b、第2円盤6cはいずれも同一の略円錐形状であり、第1円盤6a及び第2円盤6b(いわゆる追加マウンド)は同色(例えば、白色)で、第3円盤6c(いわゆるマウンド)は第1円盤6a及び第2円盤6bと異なる色(例えば、濃緑色)を備える。
【0024】
領域画定紐5は、ゴルフにおけるグリーンのように、最終ゴール地点近くの、ある範囲の領域を形作るために用いられる。図3に示すように、環状の領域画定紐5を広げて床に配置したとき、領域画定紐5で囲まれる可変区画領域Gが形成される。このとき領域画定紐5は可変区画領域Gの外郭線となる。ゴルフのグリーンは形状が固定されているが、領域画定紐5を用いて構成される前記外郭線の形状は不定形であり可変である。すなわち、領域画定紐5を曲げる等して配置の仕方を変え、外郭線の形状を自由に画定することで、上記ゴルフのグリーンに相当する領域(可変区画領域G)を所望の形状に可変に形成することができる。インボールゲームにおいては、可変区画領域Gの内部に最初に第3ボール4(ジャックボール)を配置し、各チームは可変区画領域Gの外側から、第1ボール2及び第2ボール3を転がし、可変区画領域Gの内部に侵入させて、第3ボール4の近くに停止させられるかどうかを、競い合う。
【0025】
また、この領域画定紐5を用いることで、可変区画領域Gをゴルフのグリーンのような位置づけとし、最終的に、可変区画領域G内にある自チームのボール(いわゆるONボール)の数(オンボール数)による得点を、競い合うことができる(オンボールゲーム)。この場合、第3ボール4については特に使用しなくてもよい。このオンボールゲームにはゴルフの興趣が取り入れられている。
【0026】
あるいは、第3ボール4を使用した前述のインボールゲームと、このオンボールゲームとを組み合わせて、第1チーム又は第2チームの上記インボール数と、第1チーム及び第2チームの上記オンボール数と、の合計による得点を競いあうこともできる(インボール・オンボール併合ゲーム)。インボール・オンボール併合ゲームの場合、最も第3ボール4に近い位置のINボールを停止させたチームに、ニアピン得点(2得点)が加算される。この場合、既存のボッチャとゴルフの興趣とを融合させた、新しい態様の競技を楽しむことができる。
【0027】
上記2つのいずれの態様においても、領域画定紐5の配置の仕方によって形状を自由に変化させることができる、可変区画領域Gをどのような形状にするか、を作戦上重要な戦略ポイントとすることができる。インボールゲームの場合、可変区画領域G内のどこに最初に第3ボール4を配置するかも戦略上のポイントとなる。オンボールゲームにおいては例えば可変区画領域Gを複雑な形状とすることで、難易度を上げることができる。
【0028】
また、傾斜付き円盤6は、前述のようにして各チームがボールを転がして競技が進んでいくとき、ボールの進行方向や速度を調整するために用いられる。例えば、自チームから見て、第3ボール4の手前側に相手側のボールが存在し、直線的に第3ボール4を狙う事が難しい場合、傾斜付き円盤6を所定の場所に配置することで、自チームのボールの軌道を、相手チームのボールを迂回しつつ横に躱したり、裏に回り込ませるように変化させることで、第3ボール4に近接させることができる。傾斜付き円盤6は、基本的には自チームを有利にするために使用するものであるが、相手チームに不利に配置することもできる。したがって、傾斜付き円盤6をどのような位置に配置するか、についても作戦上重要な戦略ポイントとすることができる。
【0029】
なお、インボールゲームにおいては、対戦の進行中に、第1チームが第1円盤6aを、第2チームが第2円盤6bを、それぞれ任意のタイミングで、可変区画領域G内に自由に配置可能とすることで、各チームが傾斜付き円盤6を用いた戦略を実行することができる。
【0030】
また、本実施形態においては、第1円盤6a及び第2円盤6bとは別に、対戦開始前に、第2チームが、第3ボール4(ジャックボール)とともに、濃緑色の第3円盤6c(マウンド)を1個、可変区画領域G内に配置することができる。これにより、競技の戦略性をさらに高め戦略の多様性を図る事ができるとともに、第2チームにおける後攻の不利を緩和して競技の公平化を図り、両チーム平等に競技を楽しむことができる。
【0031】
なお、インボールゲームにおいて、第1円盤6a及び第2円盤6bの使用は任意である。オンボールゲームにおいては、傾斜付き円盤6は使用されない。
【0032】
図3に示すように、可変区画領域Gから所定の距離離れた所定箇所に、準位置画定紐7を用いて転がし開始基準位置T(投球ライン)を画定し、各チームのプレイヤーは転がし開始基準位置Tを基準として定められる定位置から、第1ボール2及び第2ボール3を転がす。
【0033】
図2に示すように、準位置画定紐7は競技用具セット1に、付属品としてさらに含まれる。準位置画定紐7は例えば長さ2~3メートル程度のロープであり、第1色及び第2色及び第3色と異なる第5色を備える。ここでは、準位置画定紐7は領域画定紐5と同じ素材のロープを用いて構成され、第5色は第4色と同じ薄緑色である。準位置画定紐7の長さや色は上述のものに限定されず、適宜変更することができる。なお、この図では、転がし開始基準位置Tにおいて第1チーム及び第2チームがカラーボールを配置する目印とするため、準位置画定紐7の両端の表面に、第1色及び第2色のビニールテープを所定量巻き付けている。
【0034】
また、前述のインボールゲーム又はインボール・オンボール併合ゲームにおいては、自チームのボールから第3ボール4までの離間距離を正確に知る必要がある。そのため、競技用具セット1は上記離間距離を実測する距離測定具8(いわゆるコンパス、キャリパー)を、付属品としてさらに含む。
図2に示すように、距離測定具8は例えば第1色を備えた第1コンパス8aと第2色を備えた第2コンパス8bとが連結して構成されている。これにより、例えば、第3ボール4と、第3ボール4に最も近い第1ボール2の距離に合致するよう第1コンパス8aと第2コンパス8bとの角度を調整した距離測定具8を、第3ボール4と第3ボール4に最も近い第2ボール3の間に配置し、距離測定具8とボールの間に生じる隙間の有無及びその大きさを見ることで、第1ボール2と第2ボール3のどちらが第3ボール4に近いかを判断できるようになっている。
【0035】
また、競技用具セット1は、審判員が、第1チームによる転がし場面(第1場面)か第2チームによる転がし場面(第2場面)かを示す場面表示具9(いわゆるパドル)を、付属品としてさらに含む。
図2に示すように、場面表示具9は第1色を備えた第1面9aと第2色を備えた第2面9bとを表裏一体に有し、審判員は、プレイヤー達に対して、第1場面の時には第1面9aを表示させ、第2場面の時には第2面9bを表示する。
【0036】
競技用具セット1は付属品としてさらにスコアボード10を含む。スコアボード10は、各チームの得点等を表示させるために用いられ、公知の構成のものを用いることができる。
【0037】
このような準位置画定紐7、距離測定具8、場面表示具9及びスコアボード10を用いることで、競技の進行を円滑に行うことができる。
【0038】
また、競技用具セット1は、バンカー11をさらに含む。バンカー11の形状や材質については限定されるものではないが、例えば、図3に示すように、例えば略円形等の形状であって、例えば、衝撃吸収性を有する樹脂等の素材で構成されていてもよい。これ以外の形状や素材で構成されていてもかまわない。バンカー11は、第1チーム又は第2チームにより可変区画領域Gの周辺の所望の位置に配置され、プレイヤーが可変区画領域Gへ向けて第1ボール2及び第2ボール3を転がす際に、第1ボール2及び第2ボール3に対する障害物として機能する。バンカー11は可変区画領域Gの外側に自由に置くことができ、バンカー11をどのような位置に配置するかについて、作戦上重要な戦略ポイントとすることができる。
【0039】
<競技方法>
本実施形態に係る競技方法は、競技用具セット1を用いて、N個の前記第1ボール2を使用可能な第1チームとN個の第2ボール3を使用可能な第2チームとにより競われる競技方法であって、競技用具セット1を使用する使用方法でもある。
【0040】
前記競技方法は、少なくとも第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、第4ステップとを有する。以下に各ステップについて説明する。
【0041】
まず、第1ステップにおいて、第2チームが、領域画定紐5を用いて可変区画領域Gの環状の外郭線を所望の形状に画定する。
【0042】
第2ステップにおいて、第2チームが、第1ステップにより画定された可変区画領域G内の所望の位置に1つの第3円盤6cを配置する。
【0043】
第2ステップの後、第3ステップにおいて、第1チームが第1ボール2を転がして可変区画領域G内に侵入停止させるか、もしくは第2チームが第2ボール3を転がして可変区画領域内Gに侵入停止させる。
【0044】
第3ステップの後、第4ステップにおいて、第1チーム又は第2チームが、N個の持ち球数が尽きるまで対応する第1ボール2又は第2ボール3を順次新たに転がす。
【0045】
前記競技方法は、インボールゲーム、又はインボール・オンボール併合ゲームのいずれかを選択的に実行し、得点を競えるものである。
【0046】
インボールゲームを選択した場合、前記第2ステップにおいて、第2チームはさらに可変区画領域G内の所望の位置に1つの第3ボール4を配置する。また、前記第4ステップにおいて、可変区画領域G内において第3ボール4から遠くにボールを停止させている方のチーム、又は可変区画領域G内にボールを停止させていないチームが、自チームに対応する第1ボール2又は第2ボール3を順次新たに転がす。相手チームよりも第3ボール4に近接させて第1ボール2又は第2ボール3を可変区画領域G内に停止させることができた場合、投球の順番が相手チームに移ることとなる。最終的に、最も第3ボール4に近い相手チームのボールより第3ボール4側にある自チームのボールの数であるインボール数による得点を競う。
【0047】
インボール・オンボール併合ゲームを選択した場合、前記第4ステップにおいて、両チームともにN個の持ち球数が尽きたとき、最終的に、可変区画領域G内にある自チームのボールの数であるオンボール数と、前記インボール数とのそれぞれにおける合計値による得点を競う。さらに、最も第3ボール4に近い位置のINボールを停止させたチームには、ニアピン得点(2得点)が加算される。
【0048】
<得点方法>
図4にインボールゲームの得点方法を説明する図を示す。図4は、会議室の床に領域画定紐5を用いて可変区画領域Gの外郭線を画定し、可変区画領域Gの外側から両チームが互いの持ち球を全て投球し、1エンドが終わった状態の図である。この図では、可変区画領域Gの内部にある第3ボール4に対し、最も近接して停止している第2チームの第2ボール3は、第2ボール3aである。一方、第2ボール3aよりも第3ボール4に近い位置に第1チームの第2ボール2a及び第2ボール2bが停止している。この場合、第1チームのインボール数が2個として得点(例えば、2得点)が計算される。第2チームの得点は0となる。その結果、このエンドにおいては、2個(2得点)差で第1チームが勝利した例となっている。
【0049】
図5にオンボールゲームの得点方法を説明する図を示す。図5は両チームが互いの持ち球を全て投球し1エンドが終わった状態の図である。この図では、可変区画領域Gの内部に、5個の第1ボール2と、3個の第2ボール3とが停止している。この場合、第1チームのオンボール数が5個、第2チームのオンボール数が3個として得点が計算される。その結果、このエンドにおいては、2個(2得点)差で第1チームが勝利した例となっている。
【0050】
図6にインボール・オンボール併合ゲームの得点方法を説明する図を示す。図6は両チームが互いの持ち球を全て投球し1エンドが終わった状態の図である。この図では、図4と同様に、第3ボール4に対し、最も近接した第2ボール3は第2ボール3aであり、第2ボール3aよりも第3ボール4に近い第1ボール2として第1ボール2a及び第1ボール2bとが停止している。また、可変区画領域Gの内部に、6個の第1ボール2と、5個の第2ボール3とが停止している。この場合、第1チームのインボール数が2個、オンボール数が6個として得点が計算される。第2チームのインボール数は0個、オンボール数は5個として得点が計算される。さらに、最も第3ボール4に近い位置のINボールを停止させた第1チームに、ニアピン得点(2得点)が加算される。その結果、このエンドにおいては、3個(5得点)差で第1チームが勝利した例となっている。
【0051】
<競技の流れ>
以下に競技の流れの一例について順を追って説明する。競技の流れは例えば(1)~(13)のステップを含む。
【0052】
(1)2つのチームをそれぞれ1~3名のプレイヤーで構成し、2~6エンド、1マッチで対戦を行う。各プレイヤーは任意でスマートフォン等の端末を介して競技アプリに事前登録を行う。
【0053】
(2)各プレイヤーは準備運動及びストレッチを行う。
【0054】
(3)各プレイヤーは3~4メートル離れて互いに向き合い転がしキャッチボール等による投球練習を行う。
【0055】
(4)図3に示す「センターマークC」の位置を決め、必要に応じてテープ等で目印をつける。次いで、センターマークCから約3~4.5メートルの距離に「投球ラインT」を設定する。具体的には、環状の領域画定紐5を一直線状にすると、その長さが3~4.5メートルとなるので、これを床に置いて、センターマークCから約3~4.5メートルの距離の所定箇所に目印をつけ、準位置画定紐7を床に置いて転がし開始基準位置T(投球ライン)を画定する。投球ラインの後方にカラーボール(第1ボール2及び第2ボール3)を並べる。
【0056】
(5)審判員が、チーム名、プレイヤーのニックネーム、採用する得点ルールをアナウンスし、罰則規定を説明する。
【0057】
(6)各チームの代表プレイヤーが投球ラインから1球ずつカラーボールを投げ、相手チームよりもセンターマークCの近くにカラーボールを寄せて停止させることができたチームが先攻、後攻を選択する。この例では、以下、先攻のチームを第1チーム、後攻のチームを第2チームとして説明する。
【0058】
(7)第2チームが、センターマークCがおよそ中心となるように、領域画定紐5を床に配置して可変区画領域Gを形成する。可変区画領域Gは自由な形状となるように形成することができるが、領域画定紐5がクロスしないようにする。このステップは前記第1ステップに相当する。
【0059】
(8)第2チームが、第3ボール4(ジャックボール)と、第3円盤6c(マウンド)とを、可変区画領域G内の任意の場所に配置する。第3ボール4は可変区画領域G内のどこに置いてもよく、第3円盤6cは、第3ボール4から30センチメートル以上離れた場所に置く。このステップは前記第2ステップに相当する。
【0060】
(9)第2チームはオプションでバンカー11を配置することができる。バンカー11は可変区画領域Gの外であれば、領域画定紐5に接触していても、接触していなくてもよい。
【0061】
(10)第1チームのプレイヤーが投球ラインの幅(準位置画定紐の長さ)の中から最初の第1ボール2を投球する。
【0062】
(11)第2チームのプレイヤーが投球ラインTの幅の中から最初の第2ボール3を投球する。どちらか一方のチームのボールが可変区画領域Gの内部に侵入停止したら、次のステップに進む。このステップは前記第3ステップに相当する。
【0063】
(12)両方のチームのボールが可変区画領域Gの内部に停止した場合、第3ボール4より遠いボールを投げた方のチームのプレイヤーが次に投球する。片方のチームのボールのみ可変区画領域Gの内部に停止した場合、ボールを可変区画領域G内に停止させていないチームのプレイヤーが投球する。投げたボールを相手チームのボールよりも第3ボール4に近接して停止させることができなかった場合や、投げたボールが可変区画領域Gの外に出てしまった場合、次も同じチームのプレイヤーが投球する。
【0064】
(13)チーム内の全てのプレイヤーが同じ球数を投げる(投球順は自由)。前記(12)のステップとこのステップとが、前記第4ステップに相当する。
【0065】
上記(7)~(13)の一連のステップを1エンドとし、第1エンドから最大第6エンドまで、同様のステップを繰り返すことにより、1マッチが終了する。
【0066】
各エンド内において、各チームは一回ずつ、自チームが投球を行う前の任意のタイミングで、可変区画領域G内の任意の場所に追加マウンド(第1円盤6a及び第2円盤6b)を置くことができる。一度置いた追加マウンドはそのエンドが終わるまで動かすことができない。
【0067】
第3ボール4(ジャックボール)を可変区画領域Gの外に弾き出したチームは他のボールから30センチメートル以上離れた可変区画領域G内の任意の場所に第3ボール4を置くことができる。
【0068】
片方のチームが持ち球を全て投げ切ってしまった場合、もう片方のチームは続けて投球してもよいし、投げる必要がないと判断した場合はエンドの終了を宣言してもよい。
【0069】
1エンドの得点を記録し、負けたチームが次のエンドで先攻、勝ったチームが次のエンドで後攻となる。
【0070】
<ルール等>
インボールゲーム及びインボール・オンボール併合ゲームの場合、目視によるボール間の距離判断が難しい場合には、審判が距離測定具8を使用して距離を計測、判断する。
【0071】
第3ボール4から最も近い両チームのボールが完全に等距離にある場合は両チームともにインボール1個とカウントする。
【0072】
ペナルティとして、ミスしたチームメイトを批判したり、相手チームのミスをあからさまに喜んだり、これを期待するような言動が見られた場合、審判の判断で減点(マイナス1点)とする。
【0073】
ハンディキャップはプレイヤーの実力を表す1~5の整数であり、初級は5点、中級は3点、上級は1点が加算される。
【0074】
各エンドの終了時にスコアをスコアボード10又はアプリに記録し、全てのエンドの終了後、各エンドの得点を合計して、総得点の多いチームが勝者となる。
【0075】
総得点が同点の場合はタイブレーク・エンドを行う。各チーム1投ずつ投球し第3ボール4に近づけて停止させたチームの勝ちとする。
【0076】
対戦中の会話、可変区画領域Gの周辺に集まっての戦略会議は自由に行うことができる。ネガティブな発言は控え、ポジティブな発言、態度で競技を盛り上げることを心掛ける。審判はスムーズな競技進行を心掛ける。試合後はお互いの好プレーを振り返りつつ、記録目的を兼ねて自チームのボールを持ち写真撮影を行う等、交流を深めるための時間を作ることを心掛ける。
【0077】
<競技結果>
図7に競技結果の一例を表す図を示す。図7(a)は、第1チームと第2チームとがインボール・オンボール併合ゲームの得点方法により、第1エンド(1st)から第6エンド(6st)まで競技を行った場合にスコアボードに記録される競技結果の一例である。このスコアボードにおいて「ON」はオンボール数による得点、「IN」はインボール数による得点、「Near Pin」はニアピン得点、「Penalty」はペナルティによる減点、「HC Total」は、各プレイヤーの実力に応じて加算されるハンディキャップによる得点を意味する。「Total w/HC」は1マッチにおける各チームの全ての得点の合計数である。
【0078】
例えば第1チームは、第1エンドにおいて、インボール数による得点が3点、オンボール数による得点が6点、ニアピン得点が2点、ペナルティによる減点は0点で、第1エンドの合計得点は11点となっている。第1エンドから第6エンドまでのインボール数による得点は5点、オンボール数による得点は33点、ニアピン得点は4点であり、これらの合計に、プレイヤーのハンディキャップによる得点6点を加算した合計得点は48点となっている。例えば第2チームは、第1エンドにおいて、インボール数による得点が0点、オンボール数による得点が4点、ニアピン得点が0点、ペナルティによる減点は0点で、第1エンドの合計得点は4点となっている。第1エンドから第6エンドまでのインボール数による得点は7点、オンボール数による点数は30点、ニアピン得点は8点、ペナルティによる減点は―1点であり、これらの合計に、プレイヤーのハンディキャップによる得点8点を加算した合計得点は52点となり、第2チームの勝利となっている。
【0079】
図7(b)は、第1チームと第2チームとがインボールゲームの得点方法により、第1エンドから第6エンドまで競技を行った場合の競技結果の一例である。このスコアボードの形式は、図7(a)と同じだが、インボールゲームで使用されない、「ON」の列と、「Near Pin」の列とはグレーアウトされている。例えば第1チームは、第1エンドにおいて、インボール数による得点が5点となっている。第1エンドから第6エンドまでのインボール数の合計は10点となっている。例えば第2チームは、第1エンドにおいて、インボール数による得点が0点となっている。第1エンドから第6エンドまでのインボール数による得点の合計は9点となっており、第1チームの勝利となっている。
【0080】
<実施形態の効果>
本実施形態の競技用具セット1によれば、ボッチャ競技及びゴルフ競技それぞれの興趣を融合した新しい競技を手軽に楽しむことができる。競技用具セット1を用いた対戦競技は、例えば領域画定紐5を用いて可変区画領域Gの形状を可変としたり、傾斜付き円盤6を使用することで、ボッチャ競技にはない、多様な戦略要素やスキル要素を楽しむことができる。また、競技用具セット1は1マッチが10~30分程度という比較的短時間で終了し、例えば会社のオフィスの空きスペースや空き会議室等でも気軽に楽しむことができる。その結果、現状のボッチャの主たる競技者である障害者だけでなく、通常の健常者も含めた幅広い競技者層により手軽に楽しめる、新しい競技を提供することができる。
【0081】
前記対戦競技によれば、例えば上級者が多い場合には比較的戦略性の高いインボールゲームを選択したり、初心者が多い場合にはオンボールゲームを選択したり、色々な熟練度のプレイヤーがいる場合はインボール・オンボール併合ゲームを選択する等、誰がプレーしても、全員が楽しむことができるようになっている。
【0082】
前記対戦競技は高度かつ多彩な戦略要素を有する為、戦略会議を通じてチーム内での会話を要する競技である。前記対戦競技を例えば社内研修や、プロジェクト初期段階のチーム構成時に社員同士で行う事により、社内や、チームのコミュニケーションを高め、企業の生産性を向上させることができる。
【0083】
上述の例に限られず、例えば高齢者や、親子で何か一緒に活動したいと考える子育て世代等に各種のイベント会場等で前記対戦競技を提供したり、老人ホームやデイサービス等の高齢者施設で前記対戦競技を提供することで、地域社会や高齢者のコミュニケーション不足を改善し、幸福度を向上することができる。
【0084】
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0085】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。例えば、プレイヤーがアイマスクをして競技を行う等の興趣を取り入れてもよい。
【0086】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0087】
1 競技用具セット
2 第1ボール
3 第2ボール
4 第3ボール
5 領域画定紐
6 傾斜付き円盤
6a 第1円盤
6b 第2円盤
6c 第3円盤
7 準位置画定紐
8 距離測定具
9 場面表示具
10 スコアブック
11 バンカー
【要約】
【課題】幅広い競技者層により手軽に楽しめる、新しい競技を提供する。
【解決手段】
実世界の対戦競技にて使用される競技用具セット1であって、第1色を備えた複数の第1ボール2と、第2色を備えた複数の第2ボール3と、第3色を備えた1個の第3ボール4と、第3ボール4が内部に配置され、手投げ又は足蹴り又は投球機により転がされた第1ボール2及び第2ボール3の侵入停止数により第1チーム及び第2チームの得点をそれぞれ増大させる可変区画領域Gの環状の外郭線を可変に画定するための、第4色を備えた領域画定紐5と、第1ボール2及び第2ボール3の進行方向又は進行速度を調整するために可変区画領域G内に所望に配置される、少なくとも1つの傾斜付き円盤6とを1セットとすることで、ボッチャ競技及びゴルフ競技それぞれの興趣を融合した前記対戦競技を手軽に楽しめる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7