(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】NFT発行の支援装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/06 20120101AFI20230104BHJP
【FI】
G06Q40/06
(21)【出願番号】P 2022083298
(22)【出願日】2022-05-20
【審査請求日】2022-05-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518134275
【氏名又は名称】額賀 泰尾
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】額賀 泰尾
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-061685(JP,A)
【文献】特開2012-058772(JP,A)
【文献】特開2020-009121(JP,A)
【文献】特許第7044936(JP,B1)
【文献】uniqx,ICO CROWD JAPAN ,日本,ICO CROWD合同会社,2018年10月27日,第8号 ,p.70-74
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された森林に対応するカーボン・オフセットのオフセット・クレジットに関し、前記オフセット・クレジットの発行依頼を受付可能な受付部と、
前記発行依頼の受付に応じて、
記憶部に格納された森林情報テーブルに基づき、所定の計算式により前記森林による温室効果ガスの吸収量を見積り可能な見積部と、
前記見積りに基づいて前記オフセット・クレジットとして利用可能なNFT(非代替性トークン)を発行可能な発行部と、
前記見積部は、前記森林の森林情報に基づいて前記吸収量を見積り可能であり、前記森林情報は、前記森林の面積と前記森林における面積当たりの二酸化炭素吸収量を算出可能な情報とを少なくとも含み、
前記見積りが妥当であるか否かを判別可能な判別部をさらに備え、前記見積りが記憶部に格納された判別基準(群)を満たす場合に、前記発行部は、前記NFTを発行可能であり、
前記森林情報の一部又は全部を提供可能なデータベース等から取得できない場合には、前記森林情報の少なくとも一部又は全部の調査依頼を送信する調査依頼部を備える、NFT発行の支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NFT発行の支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活及び/又は経済活動において避けることができないCO2等の温室効果ガスの排出について、カーボン・オフセットの考え方がある。カーボン・オフセットの考え方は、まずできるだけ排出量が減るよう削減努力を行い、どうしても排出される温室効果ガスについて、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資すること等により、排出される温室効果ガスを埋め合わせる考え方である。
【0003】
カーボン・オフセットの考え方に関し、カーボン・オフセットの考え方に基づく投資をよりいっそう促進することを意図して、温室効果ガスの削減・吸収量をオフセット・クレジットとして認証することが行われている。温室効果ガスの削減・吸収量をオフセット・クレジットとして認証することにより、企業等は、認証されたオフセット・クレジットを介した、より信頼性の高い削減活動への投資を行える。
【0004】
ところで、投資等の取引の信頼性を高めることに関し、より信頼性の高いデータの取引を実現可能な技術として、当事者間の取引を効率的かつ検証可能で恒久的な方法で記録することができるオープンな分散型台帳であるブロックチェーンが知られている。オフセット・クレジットをブロックチェーン上に記録された非代替性トークン(NFT)として取引可能とすることにより、企業等は、さらにいっそう信頼性の高い削減活動への投資を行い得る。
【0005】
また、オフセット・クレジットをNFTとして取引可能とすることにより、ブロックチェーンを実現・運用することによって排出された温室効果ガスを、ブロックチェーンそのものに記録されたNFTによって埋め合わせることが可能となり得る。これにより、ブロックチェーン外部のシステムを用いてブロックチェーンに関して排出された温室効果ガスを埋め合わせる場合より効率的に該温室効果ガスを埋め合わせることが見込まれ得る。
【0006】
ブロックチェーン上にオフセット・クレジットを記録することに関し、特許文献1は、カーボンオフセット用クレジット、又は/及びカーボンオフセット用クレジットの所有権に関連する情報であるカーボンオフセット用クレジット情報を関連付けた仮想通貨であるC仮想通貨の仮想通貨発行情報であるC仮想通貨発行情報を出力するC仮想通貨発行情報出力手段等を有するバッテリー管理装置と、仮想通貨発行情報に含まれるバッテリー蓄電情報とカーボンオフセット用クレジット情報等に基づいてカーボンオフセット用クレジットの権利を包含する仮想通貨であるC仮想通貨を生成するC仮想通貨生成手段等を有する仮想通貨発行装置と、からなるバッテリー蓄電情報対応仮想通貨発行システムを開示している。
【0007】
また、特許文献1は、上述のシステムにおいてカーボンオフセット用クレジット情報を獲得する方法の一例として、スマートメーター等によって獲得されている電気の由来に関する情報を取得して、グリーンエネルギーを由来とする蓄電情報と、グリーンエネルギーを由来としない蓄電情報とを区別可能として、グリーンエネルギー由来の蓄電情報に応じてカーボンオフセット用クレジット情報を取得する方法を示している。
【0008】
特許文献1の発明によれば、該発明のシステムによって発行される仮想通貨を保有する人物に対し、それをもって環境問題に意識的に取り組んでいるという事実を外部に表示することが可能となり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の技術は、スマートメーター等の外部から取得した電気の由来に関する情報に基づいてカーボンオフセット用クレジットの権利を包含する仮想通貨を発行可能なシステムを実現し得るにとどまる。特許文献1は、温室効果ガスを削減・吸収する具体的な手段について、該手段による温室効果ガスの吸収量を見積り、該見積りに基づいてオフセット・クレジットを発行する手段等を示していない。したがって、特許文献1は、温室効果ガスを削減・吸収する具体的な手段に対応するオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを発行する点において、さらなる改良の余地がある。
【0011】
本発明は、上述のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、温室効果ガスを削減・吸収する具体的な手段である森林について、指定された森林による温室効果ガスの吸収量を見積り、この見積りに基づいて該森林に対応するオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを適切に発行することを支援可能な手段の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、オフセット・クレジットの発行依頼の受付に応じて森林による温室効果ガスの吸収量を見積り、この見積りに基づいてオフセット・クレジットとして利用可能なNFT(非代替性トークン)を発行可能とすること等によって上述の課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的に、本発明は以下のものを提供する。
【0013】
第1の特徴に係る発明は、指定された森林に対応するカーボン・オフセットのオフセット・クレジットに関し、前記オフセット・クレジットの発行依頼を受付可能な受付部と、前記発行依頼の受付に応じて、前記森林による温室効果ガスの吸収量を見積り可能な見積部と、前記見積りに基づいて前記オフセット・クレジットとして利用可能なNFT(非代替性トークン)を発行可能な発行部と、を備える、NFT発行の支援装置を提供する。
【0014】
第1の特徴に係る発明によれば、支援装置は、温室効果ガスを吸収する具体的な手段である森林について、この森林による温室効果ガスの吸収量を見積るため、温室効果ガスを削減・吸収する具体的な手段に対応するオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを適切に発行できる。
【0015】
よって、第1の特徴に係る発明によれば、企業等は、森林という温室効果ガスの具体的な吸収手段に対応する、より信頼性の高い削減活動への投資を行える。これにより、温室効果ガスの削減活動がよりいっそう促進され得る。
【0016】
また、第1の特徴に係る発明によれば、オフセット・クレジットとして利用可能なNFTを発行することにより、ブロックチェーンを実現・運用することによって排出された温室効果ガスを、ブロックチェーンそのものに記録されたNFTによって埋め合わせることが可能となり得る。これにより、ブロックチェーン外部のシステムを用いてブロックチェーンに関して排出された温室効果ガスを埋め合わせる場合より効率的に該温室効果ガスを埋め合わせることが見込まれ得る。
【0017】
したがって、第1の特徴に係る発明は、温室効果ガスを削減・吸収する具体的な手段である森林について、指定された森林による温室効果ガスの吸収量を見積り、この見積りに基づいて該森林に対応するオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを適切に発行することを支援可能な手段を提供できる。
【0018】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、前記見積部は、前記森林の森林情報に基づいて前記吸収量を見積り可能であり、前記森林情報は、前記森林の面積と前記森林における面積当たりの二酸化炭素量を算出可能な情報とを少なくとも含む、支援装置を提供する。
【0019】
第2の特徴に係る発明によれば、支援装置は、森林の面積と森林における面積当たりの二酸化炭素量を算出可能な情報とを少なくとも含む森林情報に基づいて指定された森林による温室効果ガスの吸収量を見積るため、温室効果ガスの吸収量をより適切に見積り、該見積りに基づいてオフセット・クレジットをより適切に発行できる。したがって、企業等は、温室効果ガスの適切な見積りに基づく、より信頼性の高い削減活動への投資を行える。
【0020】
したがって、第2の特徴に係る発明は、温室効果ガスを削減・吸収する具体的な手段である森林について、指定された森林による温室効果ガスの吸収量を見積り、この見積りに基づいて該森林に対応するオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを適切に発行することを支援可能な手段を提供できる。
【0021】
第3の特徴に係る発明は、第2の特徴に係る発明であって、前記森林情報の少なくとも一部又は全部の調査を依頼可能な調査依頼部をさらに備える、支援装置を提供する。
【0022】
調査済みの森林情報は、地理情報システム(GIS)に情報を提供可能なデータベース等から取得され得る。しかしながら、森林情報が未調査である、森林情報を取得可能な権限を有しない等の理由により、支援装置は、指定された森林について、森林情報の一部又は全部をデータベースから取得できない場合があり得る。
【0023】
第3の特徴に係る発明によれば、支援装置は、指定された森林について、森林情報の一部又は全部をデータベース等から取得できない場合であっても、森林情報の少なくとも一部又は全部の調査を依頼し、取得できない森林情報を調査によって得うる。よって、第3の特徴に係る発明によれば、支援装置は、十分な森林情報に基づいて、温室効果ガスの吸収量をより適切に見積り、該見積りに基づいてオフセット・クレジットをより適切に発行できる。したがって、企業等は、十分な森林情報に基づいた温室効果ガスの適切な見積りに基づく、より信頼性の高い削減活動への投資を行える。
【0024】
したがって、第3の特徴に係る発明は、温室効果ガスを削減・吸収する具体的な手段である森林について、指定された森林による温室効果ガスの吸収量を見積り、この見積りに基づいて該森林に対応するオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを適切に発行することを支援可能な手段を提供できる。
【0025】
第4の特徴に係る発明は、第1の特徴から第3の特徴のいずれかに係る発明であって、前記見積りが妥当であるか否かを判別可能な判別部をさらに備え、前記発行部は、前記見積りが妥当であると判別された場合に前記NFTを発行可能である支援装置を提供する。
【0026】
カーボン・オフセットの考え方においては、オフセット・クレジットが一定の基準を満たす妥当なものであることも重要である。オフセット・クレジットが一定の基準を満たすか判別することに関し、例えば、環境省による「オフセット・クレジット(J-VER)制度」がある。オフセット・クレジットが妥当なものであると判別されたものであることにより、企業等は、より信頼性の高い削減活動への投資を行える。
【0027】
第4の特徴に係る発明によれば、支援装置は、温室効果ガスの吸収量の見積りが妥当であるか否かを判別し、見積りが妥当であると判別された場合にオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを発行可能である。したがって、第4の特徴に係る発明によれば、支援装置は、妥当な見積りに基づく、妥当なものであるオフセット・クレジットを適切に発行し得る。
【0028】
したがって、第4の特徴に係る発明は、温室効果ガスを削減・吸収する具体的な手段である森林について、指定された森林による温室効果ガスの吸収量を見積り、この見積りに基づいて該森林に対応するオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを適切に発行することを支援可能な手段を提供できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、温室効果ガスを削減・吸収する具体的な手段である森林について、指定された森林による温室効果ガスの吸収量を見積り、この見積りに基づいて該森林に対応するオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを適切に発行することを支援可能な手段を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本実施形態の支援システムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における森林情報テーブル121の一例である。
【
図3】
図3は、本実施形態におけるNFT発行の支援処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図3のステップS2で実行される温室効果ガス吸収量見積処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0032】
<支援システムS>
図1は、本実施形態の支援システムSのハードウェア構成及びソフトウェア構成を示すブロック図である。支援システムSは、指定された森林に対応するカーボン・オフセットのオフセット・クレジットとして利用可能なNFT発行の支援装置1を少なくとも含んで構成される。
【0033】
支援システムSは、ネットワークNを介して支援装置1と通信可能に構成された1以上の端末Tを含んで構成可能である。これにより、支援装置1は、オフセット・クレジットの発行依頼を、端末Tを介して受付し得る。また、これにより、支援装置1は、森林情報の少なくとも一部又は全部の調査を、端末Tを介して依頼し得る。
【0034】
〔支援装置1〕
支援装置1は、制御部11と、記憶部12と、を少なくとも備える。支援装置1は、特に限定されず、例えば、各種のサーバ装置、互いに通信可能な複数のコンピュータを用いて構成されたクラウドサーバ、オフセット・クレジットの発行を支援する支援者等が利用する端末、等でよい。
【0035】
支援装置1は、支援装置1を端末T等と通信可能とする通信部13をさらに備えることが好ましい。これにより、支援装置1は、オフセット・クレジットの発行依頼を、端末Tを介して受付し得る。また、これにより、支援装置1は、森林情報の少なくとも一部又は全部の調査を、端末Tを介して依頼し得る。
【0036】
[制御部11]
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を備える。
【0037】
制御部11は、必要に応じて記憶部12及び/又は通信部13等と協働し、支援装置1のソフトウェア構成要素である、受付部111、調査依頼部112、見積部113、判別部114、発行部115、等を実現可能である。支援装置1のソフトウェア構成要素それぞれが提供する機能は、後述する支援処理の好ましい流れの説明において示される。
【0038】
[記憶部12]
記憶部12は、データ及び/又はファイルが記憶される装置であって、ハードディスク、半導体メモリ、記録媒体、及びメモリカード等によるデータのストレージ部を有する。
【0039】
記憶部12は、ネットワークNを介してNAS(Network Attached Storage)、SAN(Storage Area Network)、クラウドストレージ、ファイルサーバ及び/又は分散ファイルシステム等の記憶装置又は記憶システムとの接続を可能にする仕組みを有してもよい。
【0040】
記憶部12には、マイクロコンピューターで実行される制御プログラム、NFTの発行依頼(群)、森林情報テーブル121、森林による温室効果ガスの吸収量の見積りが妥当であるかの判別基準(群)、等が記憶されている。
【0041】
(森林情報テーブル121)
森林情報テーブル121は、森林情報を格納する。森林情報は、特に限定されず、森林に関する各種情報を含む。これら各種情報は、その一部又は全体を用いることにより、森林による温室効果ガスの吸収量を見積り可能とする情報(群)を含む。
【0042】
森林情報は、森林の面積と該森林における面積当たりの二酸化炭素吸収量を算出可能な情報(群)とを少なくとも含むことが好ましい。これにより、支援装置1は、該森林における面積当たりの二酸化炭素吸収量を算出可能な情報(群)に基づいて該森林における面積当たりの二酸化炭素吸収量を算出し、算出された面積当たりの二酸化炭素量に該森林の面積を乗じて、森林による温室効果ガスの吸収量を見積ることができる。
【0043】
これにより、支援装置1は、温室効果ガスの吸収量をより適切に見積り、該見積りに基づいてオフセット・クレジットをより適切に発行できる。したがって、企業等は、温室効果ガスの適切な見積りに基づく、より信頼性の高い削減活動への投資を行える。
【0044】
以下、森林情報が含む各種情報を例示する。
【0045】
森林情報は、森林の面積FAを含むことが好ましい。これにより、支援装置1は、算出された面積当たりの二酸化炭素量に該森林の面積を乗じて、森林による温室効果ガスの吸収量を見積ることができる。森林の面積は、例えば、該森林の施業対象区域面積等である。
【0046】
森林情報は、面積当たりの二酸化炭素吸収量を算出可能な情報(群)として、森林における単位面積当たりの年間幹成長量F1と、枝部分の容積を付加するための拡大係数F2と、樹木の地上部(幹及び枝)の容積に対する根の容積の割合を示す地下部比率F3と、木材の容積を重量に変換する係数である容積密度F4と、単位重量の木材当たりの炭素含有量を示す割合である炭素含有率F5と、を含むことが好ましい。
【0047】
これにより、支援装置1は、以下の式(1)を用いて、該森林の単位面積当たりの二酸化炭素吸収量GUを算出できる。ただし、CO2換算係数FCO2は、44分の12である。
GU = F1×F2×(1+F3)×F4×F5×FCO2・・・(1)
【0048】
上述の年間幹成長量F1、拡大係数F2、地下部比率F3、容積密度F4、炭素含有率F5を森林情報が含む必須の情報としない場合、森林情報は、面積当たりの二酸化炭素吸収量を算出可能な情報(群)として、樹種名FS、齢級FTA、単位面積当たりの立木本数FN、樹高FH、及び立木の平均直径FRを含むことが好ましい。これにより、支援装置1は、樹種名等の上述の情報から、年間幹成長量F1、拡大係数F2、地下部比率F3、容積密度F4、及び炭素含有率F5を算出し得る。
【0049】
また、森林情報は、再造林・保育を行うことにより当該森林に吸収される二酸化炭素量の増加分に関し、再造林・保育を行う場合と行わない場合の森林の見込み蓄積量の差F6をさらに含むことが好ましい。
【0050】
これにより、支援装置1は、以下の式(2)を用いて、再造林・保育を行うことにより当該森林に吸収される二酸化炭素量の増加分(GR)を計算できる。これにより、支援装置1は、再造林・保育を行うことにより当該森林に吸収される二酸化炭素量の増加分(GR)をさらに含む、より適切な温室効果ガスの吸収量の見積りを行い得る。
GR = F6×F2×(1+F3)×F4×F5×FCO2・・・(2)
【0051】
加えて、森林情報は、森林の育成により保持される土壌炭素量の計算に関し、単位面積あたりの土壌の炭素蓄積量である土壌平均炭素蓄積量F7をさらに含むことが好ましい。
【0052】
これにより、支援装置1は、以下の式(3)を用いて、算定対象年数FPに対する、森林の育成により保持される土壌炭素量(GS)を計算できる。これにより、支援装置1は、森林の育成により保持される土壌炭素量(GS)をさらに含む、より適切な温室効果ガスの吸収量の見積りを行い得る。ただし、森林の育成により保持される土壌量に関する係数FKを0.006とし、土壌が流出した場合に炭素が空気中に排出される係数FLを0.3とする。
GS = F7×FK×FA×FP×FL×FCO2・・・(3)
【0053】
森林情報は、森林の区分、森林の所在地、森林の名称、及び/又は森林の管理者等の連絡先を含むことが好ましい。これにより、支援装置1は、上述の情報を用いて見積りが妥当であるか否かを判別できる。
【0054】
森林情報は、上述の情報以外にも、森林に関する各種情報を含んでよい。各種情報は、特に限定されず、例えば、森林の外観を示す画像・映像、森林に関する記事・作品等の情報、森林に生息する動植物に関する情報、森林の所以・来歴に関する情報、等が挙げられる。これらの情報を含むことにより、支援装置1は、各種情報の一部又は全部を含むNFTの発行を支援し得る。これにより、購入者は、NFTを購入する動機を高められ得る。
【0055】
森林情報は、森林情報を識別可能な森林情報IDと関連付けられて格納されることが好ましい。これにより、支援装置1は、森林情報IDを用いて森林情報を格納及び取得できる。
【0056】
図2は、本実施形態における森林情報テーブル121の一例である。
図2に示す森林情報テーブル121は、森林情報ID「F0001」と関連付けられた以下の森林情報を含む:
森林の面積F
Aとして2.0ha、
年間幹成長量F
1として16m
3/ha、
拡大係数F
2として1.55、
地下部比率F
3として0.26、
容積密度F
4として407kg/m
3、
炭素含有率F
5として0.5、
再造林・保育を行う場合と行わない場合の森林の見込み蓄積量の差F
6として〇〇、
土壌平均炭素蓄積量F
7として3t/ha、
森林の所在地「〇〇県〇〇町〇〇」。
【0057】
森林情報テーブル121が森林情報ID「F0001」と関連付けられた上述の森林情報を含むことにより、支援装置1は、上述の式(1)並びに(2)及び/又は(3)等を用いて、温室効果ガスの吸収量の見積りを適切に行い得る。
【0058】
また、森林情報テーブル121は、森林情報ID「F0002」と関連付けられた以下の森林情報を含む:
森林の面積FAとして2.0ha、
樹種名FSとしてヒノキ、
齢級FTAとして15、
単位面積当たりの立木本数FNとして1950本/ha、
樹高FHとして6m、
立木の平均直径FRとして6cm、
区分として伐捨て間伐対象森林、
森林の管理者の連絡先「電話番号〇〇〇〇(〇〇)〇〇〇〇」。
【0059】
森林情報テーブル121が森林情報ID「F0002」と関連付けられた上述の森林情報を含むことにより、支援装置1は、上述の森林情報に基づいて森林情報テーブル121に直接格納されていない情報である年間幹成長量F1、拡大係数F2、地下部比率F3、容積密度F4、及び炭素含有率F5を算出し、上述の式(1)等を用いて、温室効果ガスの吸収量の見積りを適切に行い得る。
【0060】
ここまで、森林情報テーブル121が記憶部12に記憶される場合について説明した。しかし、森林情報テーブル121の態様は、上述の態様に限定されない。森林情報テーブル121は、例えば、支援装置1が森林情報を取得可能な外部のデータベースに記憶されていてもよい。これにより、支援装置1は、地理情報システム(GIS)に情報を提供可能なデータベース等から取得可能な調査済みの森林情報等を利用し得る。
【0061】
また、森林情報テーブル121は、格納対象となる森林情報の一部が記憶部12に記憶され、他の森林情報が1以上の外部のデータベースに記憶された態様でもよい。これにより、支援装置1は、例えば、利用頻度が高い森林情報を記憶部12に記憶させて取得に要する時間を短縮しつつ、1以上の外部のデータベースに記憶された豊富な森林情報を利用し得る。
【0062】
[通信部13]
通信部13は、支援装置1をネットワークNに接続して端末T等と通信可能にするものであれば特に限定されない。通信部13として、例えば、携帯電話ネットワークに対応した無線装置、IEEE802.11に準拠したWi-Fi(Wireless Fidelity)対応デバイス、Bluetooth(登録商標)規格等に対応した近距離無線装置、及びイーサネット規格に対応したネットワークカード等が挙げられる。
【0063】
[その他の構成要素]
支援装置1が端末である場合、支援装置1は、表示部(図示せず)及び入力部(図示せず)を備えることが好ましい。これにより、支援装置1の利用者は、端末T等を介することなく、支援装置1が提供する各種の支援を利用できる。
【0064】
〔端末T〕
端末Tは、ネットワークNを介して支援装置1と通信可能であれば、特に限定されない。端末Tは、例えば、スマートフォン及びタブレット端末等の携帯端末、パーソナルコンピュータ等の据置型端末等によって例示される各種端末でよい。
【0065】
〔ネットワークN〕
ネットワークNの種類は、支援装置1と端末Tとを通信可能にするものであれば特に限定されない。ネットワークNは、例えば、パーソナルエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、イントラネット、エクストラネット、インターネット、Wi-Fiネットワーク、携帯電話ネットワーク、移動体通信ネットワーク、あるいはこれらのネットワークを複数組み合わせたネットワーク等が挙げられる。
【0066】
〔支援処理のメインフローチャート〕
図3は、本実施形態におけるNFT発行の支援処理の好ましい流れの一例を示すメインフローチャートである。以下、
図3を用いて、支援装置1で実行されるNFT発行の支援処理の好ましい流れの一例を説明する。
【0067】
[ステップS1:発行依頼を受付けたか判別]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して受付部111を実行し、指定された森林に対応するカーボン・オフセットに関し、該カーボン・オフセットのオフセット・クレジットの発行依頼を受付けたか判別する処理を行う(ステップS1、受付ステップ)。受付けたと判別したならば、制御部11は、処理をステップS2に移す。受付けたと判別しなかったならば、制御部11は、支援処理を終了し、ステップS1からステップS4の処理を繰り返す。
【0068】
ステップS1において受付ける発行依頼は、森林情報テーブル121に格納された森林情報から、指定された森林に対応する森林情報を識別可能な情報を含むことが好ましい。該情報として、例えば、該森林の所在地、該森林の名称等が挙げられる。これにより、支援装置1は、指定された森林に対応する森林情報を森林情報テーブル121から識別し、取得できる。
【0069】
[ステップS2:温室効果ガス吸収量見積処理]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して見積部113を実行し、ステップS1で受付けた発行依頼において指定された森林の温室効果ガス吸収量を見積る、温室効果ガス吸収量見積処理を行う(ステップS2、温室効果ガス吸収量見積ステップ)。制御部11は、処理をステップS3に移す。
【0070】
温室効果ガス吸収量見積処理において、支援装置1は、温室効果ガスを吸収する具体的な手段である森林について、この森林による温室効果ガスの吸収量を見積る。これにより、支援装置1は、後述する発行ステップにおいて、温室効果ガスを削減・吸収する具体的な手段に対応するオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを適切に発行できる。
【0071】
ステップS2で実行される温室効果ガス吸収量見積処理は、後に
図4を用いてより詳細に説明される。
【0072】
必須の態様ではないが、支援処理は、温室効果ガス吸収量見積ステップにおける見積りが妥当であるか判別可能な判別ステップ(ステップS3)を含むことが好ましい。これにより、支援装置1は、見積りが妥当であると判別された場合に、後述する発行ステップにおいてオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを発行可能である。
【0073】
[ステップS3:見積りが妥当であるか判別]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して判別部114を実行し、ステップS2で見積もった見積りが妥当であるか判別する処理を行う(ステップS3、判別ステップ)。妥当であると判別したならば、制御部11は、処理をステップS4に移す。妥当であると判別しなかったならば、制御部11は、処理をステップS2に移す。
【0074】
判別ステップにおける見積りが妥当であるか判別する処理は、特に限定されない。該処理として、例えば、該見積りが記憶部12に格納された判別基準(群)を満たす場合に見積りが妥当であると判別する手順、支援装置1の外部に見積りが妥当であるかの判別を依頼し、該依頼先から妥当であるとの判別結果を得た場合に見積りが妥当であると判別する一連の手順、等の1以上を含む処理でよい。
【0075】
見積りが妥当であるか判別する処理が、該見積りが記憶部12に格納された判別基準(群)を満たす場合に見積りが妥当であると判別する手順を含むことにより、支援装置1は、判別基準に基づく妥当な見積りが行われた場合にのみ、後述する発行ステップにおいてオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを発行可能である。
【0076】
見積りが妥当であるか判別する処理が、支援装置1の外部に見積りが妥当であるかの判別を依頼等する一連の手順を含むことにより、支援装置1は、該依頼先が妥当であると判別するような妥当な見積りが行われた場合にのみ、後述する発行ステップにおいてオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを発行可能である。
【0077】
[ステップS4:オフセット・クレジットとして利用可能なNFTを発行]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して発行部116を実行し、ステップS2の見積りに基づいてオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを発行する処理を行う(ステップS4、発行ステップ)。制御部11は、支援処理を終了し、ステップS1からステップS4の処理を繰り返す。
【0078】
支援装置1は、上述の支援処理を実行可能であることにより、温室効果ガスを削減・吸収する具体的な手段に対応するオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを適切に発行できる。
【0079】
これにより、企業等は、森林という温室効果ガスの具体的な吸収手段に対応する、より信頼性の高い削減活動への投資を行える。これにより、温室効果ガスの削減活動がよりいっそう促進され得る。
【0080】
また、支援装置1が支援処理を実行することを介してオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを発行することにより、ブロックチェーンを実現・運用することによって排出された温室効果ガスを、ブロックチェーンそのものに記録されたNFTによって埋め合わせることが可能となり得る。これにより、ブロックチェーン外部のシステムを用いてブロックチェーンに関して排出された温室効果ガスを埋め合わせる場合より効率的に該温室効果ガスを埋め合わせることが見込まれ得る。
【0081】
したがって、上述の支援処理を実行可能な支援装置1は、温室効果ガスを削減・吸収する具体的な手段である森林について、指定された森林による温室効果ガスの吸収量を見積り、この見積りに基づいて該森林に対応するオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを適切に発行することを支援可能な手段となり得る。
【0082】
〔温室効果ガス吸収量見積処理のフローチャート〕
図4は、
図3のステップS2で実行される温室効果ガス吸収量見積処理の好ましい流れの一例を示すフローチャートである。以下、
図4を用いて、温室効果ガス吸収量見積処理の好ましい流れの一例を説明する。
【0083】
温室効果ガス吸収量見積処理は、少なくとも、温室効果ガス吸収量を見積る見積ステップ(ステップS15)を含む。温室効果ガス吸収量見積処理は、以下に示す調査依頼ステップ、森林情報取得ステップ等の各種ステップをさらに含むことが好ましい。
【0084】
必須の態様ではないが、温室効果ガス吸収量見積処理は、森林情報の調査依頼に関する一連の処理を含む調査依頼ステップ(ステップS11からステップS13)を含むことが好ましい。
【0085】
これにより、支援装置1は、指定された森林について、森林情報の一部又は全部を森林情報テーブル121等のデータベースから取得できない場合であっても、森林情報の少なくとも一部又は全部の調査を依頼し、データベースから取得できない森林情報を調査によって得うる。
【0086】
[ステップS11:森林情報が利用可能か判別]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して調査依頼部112を実行し、ステップS1で受付けた発行依頼において指定された森林の森林情報が利用可能か判別する処理を行う(ステップS11)。利用可能であると判別したならば、制御部11は、処理をステップS15に移す。利用可能であると判別しなかったならば、制御部11は、処理をステップS12に移す。
【0087】
調査依頼ステップがステップS11の処理を含むことにより、森林情報が利用可能である場合に調査を依頼して労力等を費やすことを防ぎ得る。
【0088】
指定された森林の森林情報が利用可能か判別する処理は、特に限定されず、例えば、森林情報の全部を森林情報テーブル121等のデータベースから取得できる場合に指定された森林の森林情報が利用可能あると判別する処理等でよい。
【0089】
[ステップS12:森林情報の調査が必要か判別]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して調査依頼部112を実行し、森林情報の調査が必要か判別する処理を行う(ステップS12)。必要であると判別したならば、制御部11は、処理をステップS13に移す。必要であると判別しなかったならば、制御部11は、処理をステップS14に移す。
【0090】
調査依頼ステップがステップS12の処理を含むことにより、調査を依頼することなく不足の森林情報を取得可能である場合に調査を依頼して労力等を費やすことを防ぎ得る。
【0091】
調査が必要か判別する処理する処理は、特に限定されず、例えば、発行依頼を行った依頼者が不足の森林情報を提供可能であると支援装置1が判別した場合に指定された森林の森林情報が利用可能あると判別する処理等でよい。
【0092】
[ステップS13:森林情報の調査を依頼]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して調査依頼部112を実行し、森林情報の調査を依頼する処理を行う(ステップS13)。制御部11は、処理をステップS14に移す。
【0093】
森林情報の調査を依頼する処理は、特に限定されない。該処理として、例えば、端末Tに森林情報の調査を依頼する調査依頼を送信する処理が挙げられる。
【0094】
森林情報の調査を依頼する処理が端末Tに調査依頼を送信する処理を含むことにより、該端末Tを介して、該端末Tを利用する者であって、森林情報を調査可能な者に森林情報の調査を依頼できる。
【0095】
必須の態様ではないが、温室効果ガス吸収量見積処理は、森林情報を取得する森林情報取得ステップ(ステップS14)を含むことが好ましい。これにより、支援装置1は、後述するステップS15において、森林の面積と森林における面積当たりの二酸化炭素量を算出可能な情報とを少なくとも含む森林情報に基づいて、指定された森林による温室効果ガスの吸収量を見積ることができる。
【0096】
[ステップS14:森林情報を取得]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して見積部113を実行し、ステップS1で受付けた発行依頼において指定された森林の森林情報を取得する処理を行う(ステップS14、森林情報取得ステップ)。制御部11は、処理をステップS15に移す。
【0097】
指定された森林の森林情報を取得する処理は、特に限定されない。該処理は、例えば、森林情報テーブル121等のデータベースから指定された森林の森林情報を取得する手順を含む処理でよい。これにより、支援装置1は、データベースに記憶された信頼できる森林情報を取得できる。
【0098】
温室効果ガス吸収量見積処理が上述の調査依頼ステップを含む場合、指定された森林の森林情報を取得する処理は、調査依頼に基づいて調査された森林情報を取得する手順を含むことが好ましい。これにより、支援装置1は、調査依頼に基づいて調査された信頼できる森林情報を取得できる。
【0099】
森林情報取得ステップは、森林の面積と森林における面積当たりの二酸化炭素量を算出可能な情報とを少なくとも含む森林情報を取得可能であることが好ましい。これにより、支援装置1は、後述する見積ステップにおいて、該森林情報に基づく温室効果ガスの吸収量のより適切な見積りを行える。
【0100】
[ステップS15:温室効果ガス吸収量を見積る]
制御部11は、記憶部12及び通信部13と協働して見積部113を実行し、ステップS1で受付けた発行依頼において指定された森林の温室効果ガス吸収量を見積る処理を行う(ステップS15、見積ステップ)。制御部11は、処理をステップS3に移す。
【0101】
指定された森林の温室効果ガス吸収量を見積る処理は、特に限定されない。該処理は、例えば、ステップS14で取得した森林情報に基づいて温室効果ガス吸収量を見積る手順を含む処理でよい。これにより、支援装置1は、データベースに記憶された信頼できる森林情報を取得できる。
【0102】
森林情報取得ステップが森林の面積と森林における面積当たりの二酸化炭素量を算出可能な情報とを少なくとも含む森林情報を取得可能である場合、見積ステップは、指定された森林における面積当たりの二酸化炭素量を算出可能な情報に基づいて面積当たりの二酸化炭素量を算出する手順と、算出された面積当たりの二酸化炭素量に指定された森林の面積を乗じて温室効果ガスの吸収量を得る手順と、を含むことが好ましい。これにより、支援装置1は、温室効果ガスの吸収量をより適切に見積ることができる。
【0103】
<支援装置1の使用例>
続いて、本実施形態における支援装置1の使用例を説明する。
【0104】
〔オフセット・クレジットの発行を依頼〕
まず、森林の管理者及び該管理者にオフセット・クレジットの発行依頼に係る業務を委託された委託者等によって例示される依頼者は、森林を指定し、該森林に対応するカーボン・オフセットのオフセット・クレジットの発行依頼を支援装置1に行う。
【0105】
該発行依頼は、例えば、支援装置1が備える入力部等を介して依頼する手順、端末Tを介して依頼する手順等の任意の手順で行われる。
【0106】
支援装置1は、オフセット・クレジットの発行依頼を受付ける。
【0107】
〔森林情報の調査を依頼〕
支援装置1は、必要に応じて、指定された森林に関する森林情報の調査を外部に依頼する。調査を依頼された調査者は、依頼された調査を実施し、該森林情報を支援装置1に提供する。
【0108】
〔温室効果ガス吸収量を見積る〕
支援装置1は、森林情報テーブル121に格納された森林情報及び調査者から提供された森林情報等によって例示される各種森林情報を用いて、指定された森林に対応する温室効果ガス吸収量を見積る。
【0109】
該見積りは、例えば、指定された森林における面積当たりの二酸化炭素量を算出可能な情報と、指定された森林の面積と、に基づいて温室効果ガスの吸収量を得る手順によって行われる。面積当たりの二酸化炭素量を算出可能な情報と、森林の面積と、は、上述の各種森林情報から得られ得る。該手順は、例えば、面積当たりの二酸化炭素量を算出可能な情報に基づいて面積当たりの二酸化炭素量を算出し、算出された面積当たりの二酸化炭素量に指定された森林の面積を乗じて温室効果ガスの吸収量を得る手順等である。
【0110】
〔見積りが妥当であるか判別〕
支援装置1は、上述の見積りが妥当であるか判別し、妥当でない場合に再見積を行い、妥当である場合にNFTを発行する処理に進む。
【0111】
上述の見積りが妥当であるかの判別は、例えば、該見積りが記憶部12に格納された判別基準(群)を満たすかの判別、支援装置1の外部にある判別者による判別、等によって実現される。
【0112】
〔オフセット・クレジットとして利用可能なNFTを発行〕
支援装置1は、発行依頼において指定された森林に対応するカーボン・オフセットのオフセット・クレジットを発行する。該発行は、例えば、各種のブロックチェーンプラットフォームのいずれかにアクセス可能なスマートコントラクトを介して、該オフセット・クレジットを発行する手順等によって実現される。
【0113】
〔発行されたNFTを利用〕
依頼者は、発行されたNFTを利用する。該利用は、例えば、該NFTが記録されたブロックチェーンの実現・利用に伴い発生する温室効果ガス(ブロックチェーン由来温室効果ガス)を該NFTが含むオフセット・クレジットによって埋め合わせること、該NFTの取引(例えば、販売、譲渡等)、等を含む。
【0114】
特に、該利用がブロックチェーン由来温室効果ガスを該NFTが含むオフセット・クレジットによって埋め合わせることを含むことにより、依頼者は、ブロックチェーン由来温室効果ガスを、ブロックチェーンそのものに記録されたNFTによって埋め合わせることが可能となり得る。これにより、ブロックチェーン外部のシステムを用いてブロックチェーン由来温室効果ガスを埋め合わせる場合より効率的にブロックチェーン由来温室効果ガスを埋め合わせることが見込まれ得る。
【0115】
また、該利用が該NFTの取引を含むことにより、この取引によって該NFTの所有者となった新所有者は、新所有者がブロックチェーンを利用することで発生した温室効果ガスを該NFTが含むオフセット・クレジットによって埋め合わせることができる。これにより、ブロックチェーン由来温室効果ガスを該NFTが含むオフセット・クレジットによって埋め合わせる場合と同様の効果が見込まれ得る。
【0116】
また、これにより、新所有者(例えば、企業等)は、該NFTの取引を介して、森林という温室効果ガスの具体的な吸収手段に対応する、より信頼性の高い削減活動への投資を行える。これにより、温室効果ガスの削減活動がよりいっそう促進され得る。
【0117】
よって、本実施形態の支援装置1は、温室効果ガスを削減・吸収する具体的な手段である森林について、指定された森林による温室効果ガスの吸収量を見積り、この見積りに基づいて該森林に対応するオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを適切に発行することを支援することにより、温室効果ガスの削減活動をよりいっそう促進し得る。
【0118】
なお、本発明の思想の範疇において、当業者であれば各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0119】
S 支援システム
1 支援装置
11 制御部
111 受付部
112 調査依頼部
113 見積部
114 判別部
115 発行部
12 記憶部
121 森林情報テーブル
13 通信部
T 端末
N ネットワーク
【要約】
【課題】温室効果ガスを削減・吸収する具体的な手段である森林について、指定された森林による温室効果ガスの吸収量を見積り、この見積りに基づいて該森林に対応するオフセット・クレジットとして利用可能なNFTを適切に発行することを支援可能な手段を提供すること。
【解決手段】本発明のNFT発行の支援装置1は、指定された森林に対応するカーボン・オフセットのオフセット・クレジットに関し、オフセット・クレジットの発行依頼を受付可能な受付部111と、発行依頼の受付に応じて、森林による温室効果ガスの吸収量を見積り可能な見積部113と、見積りに基づいてオフセット・クレジットとして利用可能なNFT(非代替性トークン)を発行可能な発行部115と、を備える。
【選択図】
図1