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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】導波管及び導波システム
(51)【国際特許分類】
   H01P 3/12 20060101AFI20230104BHJP
   H01P 3/14 20060101ALI20230104BHJP
   H04B 7/185 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
H01P3/12
H01P3/14
H04B7/185
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019040737
(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公開番号】P2020145588
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】512308340
【氏名又は名称】株式会社テクノソルバ
(73)【特許権者】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(73)【特許権者】
【識別番号】596127576
【氏名又は名称】光洋マテリカ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】598011259
【氏名又は名称】太陽金網株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】中村 和行
(72)【発明者】
【氏名】小澤 悟
(72)【発明者】
【氏名】西 顕太郎
(72)【発明者】
【氏名】森 正俊
(72)【発明者】
【氏名】松本 大介
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04323867(US,A)
【文献】特開2002-076755(JP,A)
【文献】特開2003-143051(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 3/12
H01P 3/14
H04B 7/185
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の本体部と、前記本体部の内面に設けられた金属メッシュと、を備え
前記本体部は、屈曲可能な可撓性材料により蛇腹状に形成されており、
前記金属メッシュは内腔断面積が略一定の管状に形成されており、
前記本体部の内周面と前記金属メッシュとの接合部が、前記本体部の軸方向において間欠的に配置されている導波管。
【請求項2】
前記本体部は樹脂材料を含んで構成されている請求項1に記載の導波管。
【請求項3】
前記本体部は、内腔断面積が相対的に大きい大断面積部と内腔断面積が相対的に小さい小断面積部とを軸方向において交互に有し、
前記接合部は、前記本体部の前記小断面積部の内周面と前記金属メッシュとを接合している請求項1又は2に記載の導波管。
【請求項4】
前記金属メッシュは、面内の直交二軸方向における一方の軸方向における伸縮率が他方の軸方向における伸縮率よりも大きくなる態様で編組されており、
前記金属メッシュの前記一方の軸方向が本体部の軸方向に沿って配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載の導波管。
【請求項5】
前記金属メッシュはダブルアトラス編で編組されている請求項に記載の導波管。
【請求項6】
アンテナ鏡面と、アンテナ給電部と、信号処理部と、前記アンテナ給電部と前記信号処理部とを接続している導波路と、を備え、
請求項1からのいずれか一項に記載の導波管が前記導波路の少なくとも一部分を構成している導波システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導波管及び導波システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人工衛星などにおける機器間で電波を伝達するために導波管が知られている。
特許文献1には、金属製のパイプを有するリジッド導波管が記載されている。
特許文献2には、蛇腹構造のフレキシブル導波管が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-271333号公報
【文献】特開2014-78897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の導波管は、軽量化の観点で改善の余地がある。
特許文献2の導波管は、電波の伝送効率の観点(ロスを低減する観点)で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、上記した課題の少なくともいずれか1つを解決可能な構造の導波管を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、管状の本体部と、前記本体部の内面に設けられた金属メッシュと、を備え
前記本体部は、屈曲可能な可撓性材料により蛇腹状に形成されており、
前記金属メッシュは内腔断面積が略一定の管状に形成されており、
前記本体部の内周面と前記金属メッシュとの接合部が、前記本体部の軸方向において間欠的に配置されている導波管が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、軽量化、又は、ロスの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る導波管の斜視図である。
図2】第1実施形態に係る導波管の軸方向に沿った断面図である。
図3】第1実施形態に係る導波管の製造方法の例を説明するための断面図である。
図4図3の部分拡大図である。
図5】第1実施形態に係る導波システムの模式図である。
図6】第2実施形態に係る導波管の斜視図である。
図7】第2実施形態に係る導波管の軸方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0010】
〔第1実施形態〕
先ず、図1から図5を用いて第1実施形態を説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る導波管100は、管状の本体部10と、本体部10の内面に設けられた金属メッシュ20と、を備える。
このため、本体部10を金属材料以外の材料で構成しても、本体部10の内面における電波の十分な反射率を確保することができるため、本体部10の軽量化を容易に実現することができる。
【0011】
本体部10は、より詳細には、例えば、管状に形成された管状部11と、管状部11の両端にそれぞれ形成されたフランジ状のフランジ部12と、を備えて構成されている。
管状部11の軸心方向に対して直交する断面形状は、例えば、長方形状である。
フランジ部12には、例えば、当該フランジ部12を外部に止着するための止着孔13が形成されている。一例として、フランジ部12は、角が面取りされた長方形状に形成されており、フランジ部12の4つの角にそれぞれ止着孔13が配置されている。
図示しないビスなどの止着部材を用いて、例えば、複数の導波管100のフランジ部12同士を止着することによって連接したり、導波管100を他の導波管(不図示)と連接したり、導波管100を導波管以外の機器に接続したりすることができる。
【0012】
本体部10の材料は、特に限定されないが、導波管100の軽量化の観点から、樹脂材料又は炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)とすることができ、本体部10の強度の観点から炭素繊維強化プラスチックであることが好ましい。
【0013】
本実施形態の場合、本体部10は、炭素繊維強化プラスチックにより構成されており、したがって、樹脂材料を含んで構成されている。
【0014】
金属メッシュ20は、管状部11の断面長方形状の内周面、すなわち四角筒状の内周面の全面に沿って設けられている。したがって、金属メッシュ20は、本体部10の一端から他端に亘る全域に配置されている。つまり、両端のフランジ部12の、互いに反対向きの端面間に亘って金属メッシュ20が配置されている。
金属メッシュ20を構成する金属線23(図4)の材料は、特に限定されないが、金属線23は、例えば、モリブデンの線材、又は、タングステンの線材とすることができ、いずれの場合にも、線材の外周面に金メッキが施されていることが好ましい。
本実施形態においては、金属メッシュ20の編組の仕方は、特に限定されず、金属メッシュ20は、金属線23の織物であってもよいし、金属線23の編み物であってもよい。
【0015】
また、本体部10を構成する樹脂材料が金属メッシュ20に含浸している。すなわち、本体部10は、炭素繊維14(図4参照)と樹脂材料(図4の樹脂15)とを含む炭素繊維強化プラスチックにより構成されており、本体部10を構成する樹脂材料が炭素繊維14と金属メッシュ20とに亘って含浸している。このため、本体部10と金属メッシュ20との良好な一体性を実現することができる。
より詳細には、例えば、本体部10を構成する炭素繊維14が金属メッシュ20に接している。
【0016】
次に、図3及び図4を用いて、導波管100を製造する方法の例を説明する。
【0017】
先ず、図3に示すように、断面長方形状の長尺な芯材である内型41の外周面に、金属メッシュ20により構成されたシート材を周回状に巻き付ける。内型41は、後述するプリプレグシート80を構成する樹脂15よりも線膨張率が高い材料により構成されている。
ここで、図3に示すように、内型41の断面形状における角部に金属メッシュ20の始端21(巻き付け始めの端)を位置合わせし、金属メッシュ20を内型41の軸周りに1周以上巻き付ける。金属メッシュ20の終端22の位置は特に限定されないが、例えば、内型41の断面形状における長辺におけるいずれかの部位とすることができる。したがって、例えば、金属メッシュ20の断面形状における長辺20aと短辺20bとのうち、長辺20aにおけるいずれかの部位に、終端22が位置している。
始端21が金属メッシュ20の断面形状における角に位置するようにできるため、金属メッシュ20の内周面の良好な平滑性を確保することが可能である。
導波管100の軽量化の観点で、金属メッシュ20の巻回数は1回であることが好ましく、金属メッシュ20同士の重複領域(図3において下側の長辺20aに沿っている部分であって始端21と終端22との間の領域)は、長辺20a(又は短辺20b)の長さ未満であることが好ましい。
なお、反射率の向上のため、金属メッシュ20の巻回数は2回以上としてもよい。
【0018】
内型41に金属メッシュ20を巻回した後、炭素繊維14(図4)に樹脂15(図4)が含浸することにより構成されたプリプレグシート80を金属メッシュ20の上から内型41の周囲に巻き付ける。プリプレグシート80は、本体部10の材料である。このとき、プリプレグシート80を構成する硬化前の樹脂15が金属メッシュ20にも含浸する。また、プリプレグシート80を構成する炭素繊維14が金属メッシュ20に接した状態となる。
次に、巻回したプリプレグシート80の周囲に外型42を設ける。外型42は、プリプレグシート80を構成する樹脂15よりも線膨張率が低い材料により構成されている。
また、フランジ部12については、プリプレグシート80を適宜の方法でフランジ部12の形状にする。
次に、プリプレグシート80に熱処理を施すことによって、プリプレグシート80を構成する樹脂材料を硬化させる。
これにより、プリプレグシート80を材料とする本体部10が、金属メッシュ20と一体に成形される。
すなわち、金属メッシュ20及び管状部11が一体の管状に成形されるとともに、この管状の部分の両端にそれぞれフランジ部12が形成される。
その後、管状部11から外型42を取り外し、管状部11及び金属メッシュ20から内型41を抜去することによって、導波管100が得られる。
なお、フランジ部12については、必ずしも管状部11と一体成形されていなくてもよく、管状部11とは別途成形した後で、管状部11と一体に設けられていてもよい。
【0019】
ここで、図4に示すように、プリプレグシート80の硬化処理前において、プリプレグシート80を構成する炭素繊維14同士の間隙に、プリプレグシート80を構成する樹脂15が含浸しているとともに、この樹脂15が金属メッシュ20を構成する金属線23同士の間隙にも含浸している。
また、金属メッシュ20の少なくとも最内周の金属線23は内型41に接している。
その後、プリプレグシート80を構成する樹脂15が硬化することによって、炭素繊維14と金属線23とが一体的となる。
また、金属メッシュ20の少なくとも最内周の金属線23は内型41に接しているため、その後に内型41が抜去されることで導波管100の内部空間30が形成された状態では、一部の金属線23は、樹脂15から露出した状態(内部空間30に露出した状態)となる。このため、電波が内部空間30を伝搬する際における反射率を十分に確保することができ、電波の良好な伝送効率を実現できる。
【0020】
次に、図5を用いて本実施形態に係る導波システム200について説明する。
本実施形態の場合、導波システム200は、人工衛星である。ただし、本発明は、この例に限らず、導波システム200は、人工衛星以外の宇宙機器であってもよいし、地上で用いられるシステムであってもよい。
【0021】
導波システム200は、例えば、アンテナ部50と、人工衛星本体60と、人工衛星本体60とアンテナ部50とを相互に連結しているブーム65と、を備えている。
アンテナ部50は、アンテナ鏡面51と、サポート部52を介してアンテナ鏡面51によって支持されているアンテナ給電部53と、を備えている。
人工衛星本体60は、構体61と、構体61に設けられている信号処理部62と、を備えている。
信号処理部62とアンテナ給電部53とは導波路70を介して相互に接続されている。このため、導波路70の内部空間を介して、アンテナ給電部53から信号処理部62へ電波を伝送することができる。
導波路70の少なくとも一部分が、上述した導波管100により構成されている。
【0022】
このように、本実施形態に係る導波システム200は、アンテナ鏡面51と、アンテナ給電部53と、信号処理部62と、アンテナ給電部53と信号処理部62とを接続している導波路70と、を備え、本実施形態に係る導波管100が導波路70の少なくとも一部分を構成している。
【0023】
〔第2実施形態〕
次に、図6及び図7を用いて第2実施形態を説明する。
本実施形態に係る導波管100も、管状の本体部10と、本体部10の内面に設けられた金属メッシュ20と、を備えて構成されている。すなわち、本実施形態の場合も、本体部10の管状部11の内面に金属メッシュ20が設けられている。
【0024】
本実施形態の場合、本体部10は、屈曲可能な可撓性材料により蛇腹状に形成されている。すなわち、図6及び図7に示すように、本体部10の管状部11は、蛇腹状に形成されており、軸方向に伸縮可能となっているとともに、軸方向が屈曲する方向に屈曲可能となっている。
一方、金属メッシュ20は内腔断面積が略一定の管状に形成されている。
そして、本体部10の内周面と金属メッシュ20との接合部91(図7)が、本体部10の軸方向(管状部11の軸方向)において間欠的に配置されている。
このため、蛇腹状の本体部10(管状部11)の内周側に設けた金属メッシュ20の内周面の良好な平滑性を確保することができる。また、金属メッシュ20は管状部11の屈曲や伸縮に追従して伸縮することができる。よって、フレキシブル性を有し且つ電波の伝送効率が良好な導波管100を実現することができる。つまり、蛇腹状の本体部10の内面に金属メッシュ20が設けられていない場合と比べて、ロスの低減を図ることができる。
【0025】
より詳細には、図7に示すように、本体部10は(本体部10の管状部11は)、内腔断面積が相対的に大きい大断面積部と内腔断面積が相対的に小さい小断面積部とを軸方向において交互に有し、接合部91は、本体部10の小断面積部の内周面と金属メッシュ20とを接合している。
【0026】
ここで、管状に設けられた金属メッシュ20の内周面の良好な平滑性を実現するため、管状部11の軸方向において金属メッシュ20にテンションを付与した状態で、金属メッシュ20と管状部11とを接合部91において接合することが好ましい。
【0027】
接合部91は、管状部11の周方向において連続的に形成されていてもよいし(すなわち連続的な周回状に形成されていてもよいし)、管状部11の周方向において間欠的に形成されていてもよい。
接合部91は、例えば、金属メッシュ20と管状部11の小断面積部の内周面との接触部に接着剤を塗布及び硬化させることによって形成されている。
【0028】
本実施形態の場合、本体部10の材料は、樹脂材料であってもよいし、アルミニウムなどの金属材料であってもよい。
【0029】
本実施形態の場合も、金属メッシュ20の編組の仕方は、特に限定されない。
ただし、本実施形態の場合、金属メッシュ20は、管状部11の軸方向における伸縮性に優れたものであることが好ましい。
このため、一例として、金属メッシュ20は、当該金属メッシュ20の面内の直交二軸方向における一方の軸方向における伸縮率が他方の軸方向における伸縮率よりも大きくなる態様で編組されており、金属メッシュ20の一方の軸方向が本体部10の(管状部11の)軸方向AX1(図7)に沿って配置されている。
金属メッシュ20の面内の直交二軸方向における他方の軸方向は、軸方向AX1の軸周りの方向、すなわち管状部11の周方向に沿って配置されている。
このようにすることで、管状部11が軸方向に伸縮した場合に、金属メッシュ20も良好に追従して伸縮することができる。
【0030】
このような特性を有する金属メッシュ20の編組の仕方としては、トリコット編が好ましく、ダブルアトラス編がより好ましい。本実施形態では、金属メッシュ20は、ダブルアトラス編で編組されている。
ダブルアトラス編とは、トリコット編の一種であって、ダブルバンダイク編とも称される編み方である。ダブルアトラス編では、二枚おさのたて糸で、互いに反対方向にシングルアトラス編が行われることによって、二重組織が形成される。つまり、ダブルアトラス編では、シングルアトラス編を二重に重ねた組織が得られる。シングルアトラス編とは、バンダイク編とも称される経編の一種であり、ジグザグ状(千鳥状)の編目が形成される編み方である。シングルアトラス編は、一種の振り編みであり、たて糸をコースごとに右と左に数回ずつ移行させることを繰り返して行われる。
【0031】
本実施形態の場合、管状に設けられた金属メッシュ20の外周面に沿って、樹脂などの可撓性の材料により構成されたベースシートが管状に設けられていてもよい。この場合、ベースシートと管状部11とが接合部91において接合され、金属メッシュ20と管状部11とは、ベースシートを介して相互に接合される。
【0032】
ここで、図5に示す導波システム200の導波路70の少なくとも一部分が、本実施形態に係る導波管100、すなわちフレキシブル性を有する導波管100で構成されていることによって、アンテナ部50と人工衛星本体60との相対的な位置の変化や振動を当該導波管100が吸収することができる。
より詳細には、図5の導波路70は、例えば、それぞれ直線状に形成されている複数の直線部(例えば、第1直線部71、第2直線部73、第3直線部74及び第4直線部75)と、これら直線部同士を接続している屈曲部72と、を備えている。
複数の直線部のうち、第2直線部73は、最も長く、アンテナ部50側から人工衛星本体60側に向けて延びている。第1直線部71及び第3直線部74は、それぞれ第2直線部73に対して交差(例えば直交)している。第4直線部75は、例えば、第3直線部74に対して直交しており、第2直線部73に対して平行に延在している。
本実施形態に係る導波管100、すなわちフレキシブル性を有する導波管100は、典型的には、第1直線部71の少なくとも一部分と、第3直線部74の少なくとも一部分と、をそれぞれ構成していることが好ましい。第2直線部73がリジッドな導波管(例えば第1実施形態に係る導波管100)である場合に、当該リジッドな導波管が熱膨張又は熱収縮するときに、第1直線部71と第3直線部74を構成するフレキシブルな導波管100が屈曲することで、導波路70に生じる歪みを吸収することができる。
このように、一例として、導波路70を構成する複数の直線部のうち最も長い直線部である最長直線部(第2直線部73)をリジッドな導波管により構成し、当該最長直線部に隣接していて当該最長直線部に対して交差する方向に延在する直線部である隣接直線部(第1直線部71、第3直線部74)の少なくとも一方、好ましくは両方の一部分を、フレキシブルな導波管100により構成することが好ましい。
ただし、本実施形態に係る導波管100は、屈曲部72を構成するのに用いられてもよいし、その他の直線部(第2直線部73、第4直線部75)を構成するのに用いられてもよい。
【0033】
本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
また、上記の実施形態は、相反しない範囲で組み合わせることができる。
また、導波管100の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等を許容する。
【0034】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)管状の本体部と、前記本体部の内面に設けられた金属メッシュと、を備える導波管。
(2)前記本体部は樹脂材料を含んで構成されている(1)に記載の導波管。
(3)前記本体部を構成する樹脂材料が前記金属メッシュに含浸している(2)に記載の導波管。
(4)前記本体部は、屈曲可能な可撓性材料により蛇腹状に形成されており、
前記金属メッシュは内腔断面積が略一定の管状に形成されており、
前記本体部の内周面と前記金属メッシュとの接合部が、前記本体部の軸方向において間欠的に配置されている(1)又は(2)に記載の導波管。
(5)前記本体部は、内腔断面積が相対的に大きい大断面積部と内腔断面積が相対的に小さい小断面積部とを軸方向において交互に有し、
前記接合部は、前記本体部の前記小断面積部の内周面と前記金属メッシュとを接合している(4)に記載の導波管。
(6)前記金属メッシュは、面内の直交二軸方向における一方の軸方向における伸縮率が他方の軸方向における伸縮率よりも大きくなる態様で編組されており、
前記金属メッシュの前記一方の軸方向が本体部の軸方向に沿って配置されている(4)又は(5)に記載の導波管。
(7)前記金属メッシュはダブルアトラス編で編組されている(6)に記載の導波管。
(8)アンテナ鏡面と、アンテナ給電部と、信号処理部と、前記アンテナ給電部と前記信号処理部とを接続している導波路と、を備え、
(1)から(7)のいずれか一項に記載の導波管が前記導波路の少なくとも一部分を構成している導波システム。
【符号の説明】
【0035】
10 本体部
11 管状部
12 フランジ部
13 止着孔
14 炭素繊維
15 樹脂
20 金属メッシュ
20a 長辺
20b 短辺
21 始端
22 終端
23 金属線
30 内部空間
41 内型
42 外型
50 アンテナ部
51 アンテナ鏡面
52 サポート部
53 アンテナ給電部
60 人工衛星本体
61 構体
62 信号処理部
65 ブーム
70 導波路
71 第1直線部
72 屈曲部
73 第2直線部
74 第3直線部
75 第4直線部
80 プリプレグシート
91 接合部
100 導波管
200 導波システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7