(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】防護柵
(51)【国際特許分類】
E01F 7/04 20060101AFI20230104BHJP
【FI】
E01F7/04
(21)【出願番号】P 2022107210
(22)【出願日】2022-07-01
【審査請求日】2022-07-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000229128
【氏名又は名称】ベルテクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】福永 一基
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-179850(JP,A)
【文献】実公昭52-052403(JP,Y2)
【文献】実開昭56-077516(JP,U)
【文献】実開昭54-053806(JP,U)
【文献】特開2019-085691(JP,A)
【文献】特開2019-085692(JP,A)
【文献】特開2013-155493(JP,A)
【文献】特開2010-261185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔を隔てて自立可能に立設した支柱と、隣り合う支柱の間に横架した防護ネットとを具備して被捕捉物を捕捉する防護柵であって、
前記防護ネットが隣り合う前記支柱の上流側に横架した第1防護ネットと、
隣り合う前記支柱の下流側に横架した第2防護ネットからなり、
支柱を共有して支柱の両側に
エネルギー吸収性能が互いに同程度の第1防護ネットと第2防護ネットとを横架し、
前記第1防護ネットが前記第2防護ネットに対して減勢作用の開始時期と荷重負担のピーク時期を先行するように、前記支柱の両側に横架した前記第1防護ネットと第2防護ネットの間に予め間隔を設けると共に、下流側へ向けた前記第1防護ネットの限界撓み変形量が前記第2防護ネットの限界撓み変形量より小さい関係にあることを特徴とする、
防護柵。
【請求項2】
前記第1防護ネットの剛性が前記第2防護ネットの剛性より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の防護柵。
【請求項3】
前記第1防護ネットが隣り合う支柱の間に掛け渡した複数のロープ材と、該ロープ材の片面に一体に付設した第1ネットを少なくとも具備することを特徴とする、請求項1または2に記載の防護柵。
【請求項4】
前記第1防護ネットのロープ材が隣り合う支柱の間に略8字形に掛け渡した緩衝装置付きのクロスロープであることを特徴とする、請求項1または2に記載の防護柵。
【請求項5】
前記第1防護ネットのロープ材が隣り合う支柱の間に多段的に掛け渡した複数の水平ロープを少なくとも含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の防護柵。
【請求項6】
前記第1防護ネットのロープ材の一部に緩衝装置を介装していて、前記ロープ材に一定以上の引張力が作用したときにロープ材と緩衝装置の間で摺動が生じることを特徴とする、請求項5に記載の防護柵。
【請求項7】
前記第2防護ネットが隣り合う支柱の間に掛け渡した複数のロープ材と、前記ロープ材の一部に介装した緩衝装置と、該ロープ材の片面に一体に付設した第2ネットと、を具備し、前記ロープ材に一定以上の引張力が作用したときにロープ材と緩衝装置の間で摺動が生じることを特徴とする、請求項1または2に記載の防護柵。
【請求項8】
前記第2防護ネットが複数のリングを連結した柔構造体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の防護柵。
【請求項9】
前記第2防護ネットがワイヤロープを交差させた格子状の柔構造体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の防護柵。
【請求項10】
前記第1防護ネットと第2防護ネットが構成の異なる異種または同種の防護ネットの組合せであることを特徴とする、請求項1または2に記載の防護柵。
【請求項11】
前記被捕捉物が崩落物または飛来物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の防護柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は落石、土砂、雪崩、積雪等の崩落物または強風や竜巻等によって飛来する樹木、破壊された建造物、車両等の飛来物(以下「被捕捉物」という)を捕捉して防護する防護柵に関し、特に防護柵の高性能化と低コスト化の両立を図る防護柵に関する。
【背景技術】
【0002】
斜面から落下する落石や土砂等の崩落物を捕捉する防護柵は広く知られている。
この種の防護柵は、所定の間隔を隔てて立設した複数の支柱の間に防護ネットを取り付け、受撃時に防護ネットの阻止面が斜面谷側へ向けて塑性変形することで崩落物を減勢して捕捉する。
防護ネットは一般的にワイヤロープと金網とを組み合わせたネット状物が種々提案されている。
支柱に対する防護ネットの配設形態としては、防護ネットを支柱の斜面山側に配設する形態と(特許文献1)、防護ネットを支柱の斜面谷側に配設する形態が知られている(特許文献2)。
さらに同一の斜面上に上下に間隔を隔てて二組の防護柵を並設して防護性能を高めることが知られている(特許文献3,4)。
【0003】
また落石用防護柵を大型化して、強風や竜巻等によって飛来する樹木、破壊された建造物、車両等の飛来物を捕捉するための防護ネットと防護ネットを支える複数の支柱を具備した防護柵も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-81413号公報
【文献】特開2014-1584号公報
【文献】特開2001-164521号公報
【文献】特開2017-179999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既述した従来技術はつぎの問題点を内包している。
<1>防護柵の防護性能を高めるには、防護ネットの防護性能を高める必要がある。
防護ネットの防護性能を高めると、支柱の荷重負担が増すために、支柱を高強度に製作しなければならず、最終的に防護柵の資材コストが高くなる。
<2>防護ネットおよび支柱の防護性能を下げると防護柵の建設コストを低減できるが、防護柵全体としての防護性能が低下する。
このように従来は、防護柵の高性能化と防護柵の低コスト化の両立を実現することが困難であった。
<3>同一の斜面上に上下に間隔を隔てて二組の防護柵を並設した落石用の防護技術にあっては、全体としての防護性能を高めることが可能であるが、二組の防護柵を設置するために多くの敷設面積を必要とする。
【0006】
本発明の目的は、以上の点に鑑みてなされたもので、防護柵の高性能化と防護柵の低コスト化の両立を図ることが可能な防護柵を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、所定の間隔を隔てて自立可能に立設した支柱と、隣り合う支柱の間に横架した防護ネットとを具備して被捕捉物を捕捉する防護柵であって、前記防護ネットが隣り合う前記支柱の上流側に横架した第1防護ネットと、隣り合う前記支柱の下流側に横架した第2防護ネットからなり、支柱を共有して支柱の両側にエネルギー吸収性能が互いに同程度の第1防護ネットと第2防護ネットとを横架し、前記第1防護ネットが前記第2防護ネットに対して減勢作用の開始時期と荷重負担のピーク時期を先行するように、前記支柱の両側に横架した前記第1防護ネットと第2防護ネットの間に予め間隔を設けると共に、下流側へ向けた前記第1防護ネットの限界撓み変形量が前記第2防護ネットの限界撓み変形量より小さい関係にある。
本発明の他の形態において、前記第1防護ネットの剛性が前記第2防護ネットの剛性より大きい。
本発明の他の形態において、前記第1防護ネットが隣り合う支柱の間に掛け渡した複数のロープ材と、該ロープ材の片面に一体に付設した第1ネットを少なくとも具備する。
本発明の他の形態において、前記第1防護ネットのロープ材が隣り合う支柱の間に略8字形に掛け渡した。
本発明の他の形態において、前記第1防護ネットのロープ材が隣り合う支柱の間に多段的に掛け渡した複数の水平ロープを少なくとも含む。
本発明の他の形態において、前記第1防護ネットのロープ材が隣り合う支柱の間に略8字形に掛け渡した緩衝装置付きのクロスロープである。
本発明の他の形態において、前記第1防護ネットのロープ材の端部と支柱の間に緩衝装置を介装していて、前記ロープ材に一定以上の引張力が作用したときにロープ材と緩衝装置の間で摺動が生じる。
本発明の他の形態において、前記第2防護ネットが隣り合う支柱の間に掛け渡した複数のロープ材と、前記ロープ材の一部に介装した緩衝装置と、該ロープ材の片面に一体に付設した第2ネットと、を具備し、前記ロープ材に一定以上の引張力が作用したときにロープ材と緩衝装置の間で摺動が生じる。
本発明の他の形態において、前記第1防護ネットまたは第2防護ネットが構成の異なる異種または同種の防護ネットの組合せでもよい。
本発明の他の形態において、前記第2防護ネットが複数のリングを連結した柔構造体、またはワイヤロープを交差させた格子状の柔構造体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は少なくともつぎのひとつの効果を有する。
<1>第1防護ネットと第2防護ネット減勢時期をずらすことで、第1防護ネットと第2防護ネットに対して被捕捉物が段階的に衝突して、被捕捉物が保有する運動エネルギーを効率よく減衰することができる。
<2>第1防護ネットと第2防護ネットの機能時期(減勢開始時期と荷重負担のピーク時期)がずれることで、支柱の荷重負担が軽減されて、支柱に過大な荷重が作用するのを回避できる。
<3>防護柵は第1防護ネットおよび第2防護ネットの性能を加算した高い防護性能(緩衝性能)を発揮しつつ、防護柵を構成する支柱および第1および第2防護ネットの荷重負担を小さくして構成資材の低コスト化を実現できる。
<4>間隔を隔てて複数の防護柵を配置する従来の防護技術と比べて、ひとつの防護柵で済むので、防護柵の設置面積を最小限に抑えることができる。
<5>防護柵を構成する支柱の荷重負担を小さくしたことで、支柱の径等の変形性能に関わる形状を小さくできると共に、支柱を軽量化できるので施工性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一部を省略した本発明の防護柵の組立て説明図
【
図2】第1防護ネットの説明図で、(A)は防護柵を山側から見た側面図、(B)は第1防護ネットを構成するクロスロープの説明図
【
図3】第2防護ネットの説明図で、(A)は防護柵を谷側から見た側面図、(B)は第2防護ネットを構成する水平ロープの説明図
【
図5】一部を省略した支柱の説明図で、(A)は山側から見た支柱の斜視図、(B)は谷側から見た支柱の斜視図
【
図6】緩衝装置の説明図で、(A)は拘束板と仕切板で構成する緩衝装置の説明図、(B)は基板と拘束板で構成する緩衝装置の説明図
【
図7】第1防護ネットの減勢作用の説明図で、(A)は第1防護ネットの側面モデル図、(B)は第1防護ネットの断面モデル図
【
図8】第2防護ネットの減勢作用の説明図で、(A)は第2防護ネットの側面モデル図、(B)は第2防護ネットの断面モデル図
【
図9】防護柵を構成する第1、第2防護柵の荷重と変位の関係と支柱の反力の関係の説明図で、(A)は第1防護柵の荷重と変位の説明図、(B)は第2防護柵の荷重と変位の説明図、(C)は支柱の反力の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施例1]
1.被捕捉物
本発明に係る防護柵の捕捉対象は崩落物または飛来物を含んだ被捕捉物を指す。
崩落物とは、斜面に沿って崩落する落石、土砂、雪崩、積雪等を含み、飛来物とは強風、台風、竜巻等によって飛来する樹木、破壊された建造物の構成部材や車両等を含む。
【0011】
2.防護柵の概要
崩落物を対象とした防護柵と飛来物を対象とした防護柵は、柵本体の寸法が異なるだけで、その基本構成は同じである。
本例では崩落物を対象とした防護柵について説明する。
【0012】
図1~5を参照しながら説明すると、防護柵は、所定の間隔を隔てて自立可能に立設した複数の支柱10と、複数の支柱10の斜面山側(上流側または一方の側面側)に横架した第1防護ネットと、複数の支柱10の斜面谷側(下流側または他方の側面側)に横架した第2防護ネット30とを具備する。
【0013】
隣り合う支柱10の頭部間には竿状の間隔保持材12が横架してある。
支柱10の頭部と間隔保持材12の端部の間は、鉛直支軸と水平支軸を具備した自在ヒンジ機構を介して可動可能に連結してある。
【0014】
3.支柱
図1を参照して説明する。支柱10は、その配置位置により端末支柱と中間支柱に分類されるが、その基本構造は同一である。
【0015】
支柱10は支柱本体11を有する。支柱10の立設形態としては、支柱本体11の下部を基礎中に埋設して支柱10を立設する形態の他に、柱本体11の下端面を基礎面(現地地盤の表面、コンクリート基礎の上面等)に着地させて立設してもよい。
【0016】
<1>支柱本体
図4,5に例示した支柱本体11について説明する。
支柱本体11はコンクリート充填鋼管であり、鋼管13の内部に複数の補強材14を並行に配置した後にコンクリート15を充填して製作する。
コンクリート充填鋼管製の支柱10は、簡易な構造によって高い靭性を発揮できる。
支柱本体11は補強材13を省略したコンクリート充填鋼管でもよい。
【0017】
<2>係留要素とブラケット
支柱本体11の山側周面の上下部には、第1防護ネット20を構成するクロスロープ21を係留するための係留要素16,16を突設する。
支柱本体11の谷側周面の上下部には、第2防護ネット30を構成する水平ロープ31を連結するためのブラケット17,17を突設する。
【0018】
<2.1>係留要素
図4,5に例示した支柱10の係留要素16は、隣り合う2組のクロスロープ21,21を共有して巻き掛けるための部材である。
【0019】
本例の係留要素16は、支柱10の外周面に水平に突設した短柱16aと、短柱16aと支柱本体11の間に跨って設置した単数または複数の外れ止め16bとを具備する。
短柱16aの外周面は円弧面に形成してあり、第1防護ネット20のクロスロープ21との摺動抵抗を小さくしている。
【0020】
他の係留要素16としては、外れ止め13を省略して、短柱16aの外周面にクロスロープ30を収容可能なガイド溝を形成した構成や、短柱16aに代えてダブル滑車を回転可能に枢支した構成としてもよい。
【0021】
<2.2>ブラケット
図4,5に例示したブラケット17は、水平ロープ31,31の端部を支柱10に連結するための連結要素である。
ブラケット17は、その板面に複数の取付孔17aを有していて、溶接等により支柱本体11の谷側外周面に固着してある。
ブラケット17の各取付孔17aにシャックル34を介して各水平ロープ31を構成する分割ロープ31aの端部を連結する。
【0022】
4.防護ネット
本発明の防護柵は、支柱10を間に挟んで金属製または繊維製からなる第1防護ネット20と、金属製または繊維製からなる第2防護ネット30のふたつの防護ネットを具備する。
第1防護ネット20と第2防護ネット30の限界撓み変形量は異なり、第1防護ネット20の限界撓み変形量は第2防護ネット30の限界撓み変形量より小さい関係にある。
【0023】
<1>第1防護ネット
本例で例示した第1防護ネット20は、隣り合う支柱10,10の山側周面の上部間、下部間および交差して上下斜めに連続して略8字形に架け渡したクロスロープ21と、クロスロープ21と重合して配置した第1ネット23とを具備する。
クロスロープ21と第1ネット23の間は公知の連結コイル等で一体に連結する。
【0024】
<1.1>クロスロープ
クロスロープ21は、複数の分割ロープ21a,21bと、各分割ロープ21a,21bの端部近くの重合部を把持する緩衝装置22,22とを具備する。
【0025】
分割ロープ21a,21bは、隣り合う支柱10,10の上部間、下部間および交差して上下斜めに連続して略8字形に架け渡し可能な全長に、摺動長(スリップ長)である余長部21cを加えた全長を有する。
【0026】
クロスロープ21の組付け方法について説明すると、上半の分割ロープ21aの一部を支柱10,10の山側周面の上部間に掛け渡し、下半の分割ロープ21bの一部を支柱10,10の山側周面の下部間に掛け渡す。
各分割ロープ21a,21bの端部近くを重合させた重合部を摩擦摺動式の緩衝装置22で把持して略8字形に架け渡す。
【0027】
<1.2>クロスロープの余長部
緩衝装置22から外方ヘはみ出した分割ロープ21a,21bの部位が余長部21cとなる。
クロスロープ21は緩衝装置22で把持した余長部21cの摺動運動により、被捕捉物の運動エネルギー吸収作用(緩衝作用)を発揮する。
余長部21cが消失して緩衝装置22による緩衝作用が終了することで、クロスロープ21による緩衝作用を終了する。
したがって、第1防護ネット20の緩衝性能等に応じて、クロスロープ21の余長部21cの全長を適宜選択する。
【0028】
<1.3>クロスロープを略8字形に架け渡した理由
隣り合う支柱10,10の間にクロスロープ21を略8字形に架け渡したのは、受撃時にクロスロープ21の上下辺のロープを緊張させて、第1防護ネット20の高さ方向へ向けた変形を抑制するためである。
【0029】
<2>第2防護ネット
本例で例示した第2防護ネット30は、隣り合う支柱10,10の谷側周面の上部間および下部間に水平に架け渡した水平ロープ31,31と、水平ロープ31と重合して配置した第2ネット33とを具備する。
上下の水平ロープ31,31と第2ネット33の間は公知の連結コイル等で一体に連結する。
【0030】
<2.1>水平ロープ
水平ロープ31は、複数の分割ロープ31a,31aと、各分割ロープ31a,31aの端部近くの重合部を把持する緩衝装置32とを具備する。
水平ロープ31を構成する分割ロープ31aは、隣り合う支柱10,10の谷側周面の上部間および下部間に連続して架け渡し可能な全長に、摺動長(スリップ長)である余長部31cを加えた全長を有する。
【0031】
<2.2>水平ロープの余長部
各水平ロープ31はその端部を、シャックル34を介して支柱10のブラケット17に連結し、各分割ロープ31a,31aの端部近くを重合させた重合部を摩擦摺動式の緩衝装置32で把持する。
緩衝装置32から外方ヘ延出した分割ロープ31aの部位が余長部31cとなる。
【0032】
水平ロープ31と緩衝装置32の間の摺動運動により、被捕捉物の運動エネルギーの吸収作用(緩衝作用)を発揮し、余長部31cが消失することで緩衝作用を終了する。
したがって、第2防護ネット30の緩衝性能等に応じて、水平ロープ31の余長部31cの寸法を適宜選択する。
【0033】
<3>緩衝装置
緩衝装置22,33には公知の摩擦摺動式の緩衝装置または緩衝具が適用可能である。
【0034】
<3.1>緩衝装置の例示(1)
図6に例示した緩衝装置40,50について説明する。
図6(A)に例示した緩衝装置40は、バネ板の中央を折り返して拡張部42を形成した拘束板41と、拘束板41の拡張部42内に形成したロープ収容空間を二分する単数または複数の仕切板43と、拘束板41の拡張部42を収縮方向に締付けるボルト44、ナット45とからなる。
拡張部42内に収容した2本のロープ21a,21b(31a,31a)の重合部を拘束板41の拡張部42が拘束する。
【0035】
ロープに作用する引張力が、各ロープ21a,21b(31a,31a)と緩衝装置40との摩擦抵抗を超えることでロープ21a,21b(31a,31a)と緩衝装置40の間で摺動を生じる。
【0036】
<3.2>緩衝装置の例示(2)
図6(B)に例示した緩衝装置50は、平らな基板51と、基板51に対向して配置し、板面に各ロープロープ21a,21b(31a,31a)を収容可能な収容溝53を有するバネ板製の一対の拘束板52,52と、これらの基板51,52および拘束板52の間を締付けるボルト54、ナット55とからなる。
収容溝53の両端部は内側から外側へ向けてテーパ状に拡径している。
収容溝53内に収容した2本のロープ21a,21b(31a,31a)の重合部をボルト54、ナット55の締付力で拘束する。
【0037】
ロープに作用する引張力が、各ロープ21a,21b(31a,31a)と緩衝装置50の摩擦抵抗を超えることでロープ21a,21b(31a,31a)と緩衝装置50の間で摺動を生じる。
【0038】
<4>ネット
第1防護ネット20は第1ネット23を具備し、第2防護ネット30は第2ネット33を具備する。
各第1、第2ネット23,33は、鋼線や高張力鋼線で編成した公知の菱形金網が適用可能である。
第1ネット23は、公知の連結コイル等を介してクロスロープ21と一体化していて、第1ネット23とクロスロープ21の間での荷重伝達が可能である。
同様に第2ネット33は、公知の連結コイル等を介して水平ロープ31と一体化していて、第2ネット33と水平ロープ31の間での荷重伝達が可能である。
【0039】
<5>支柱の両側に防護ネットを設けた理由
本発明に係る防護柵では、支柱10を間に挟んで第1防護ネット20と第2防護ネット30の2つの防護ネットを配備しつつ、第1防護ネット20の限界撓み変形量を第2防護ネット30の限界撓み変形量より小さくした。
本発明の防護柵をこのように構成したのは、各防護ネット20,30で被捕捉物の運動エネルギーを分散して吸収することで防護性能(緩衝性能)を高めるためと、防護柵を構成する支柱10および防護ネット20,30の荷重負担を小さくして構成資材の低コスト化を図るためである。
【0040】
5.防護柵の施工方法
図1~3を参照しながら防護柵の施工方法について説明する。
【0041】
<1>支柱の立設
所定の間隔を隔てて複数の支柱10を斜面の途中、または斜面の裾部に立設し、隣り合う各支柱10,10の頭部間に間隔保持材12を横架する。
【0042】
<2>第1防護ネットと第2防護ネットの取付け
隣り合う支柱10の山側に第1防護ネット20を取り付けると共に、隣り合う支柱10の谷側に第2防護ネット30を取り付けて防護柵の施工を完了する。
同一の支柱10に対して、山側と谷側で作業へ並行して行うことで、第1防護ネット20と第2防護ネット30を効率よく取り付けることができる。
【0043】
6.防護柵の減勢作用
図7~9を参照しながら防護柵の減勢作用について説明する。
【0044】
<1>第1防護ネットによる減勢作用
図7は第1防護ネット20へ受撃したときの防護柵のモデル図を示している。
図7(A)は第1防護ネット20を山側から谷側へ向けて見た側面モデル図を示し、
図7(B)に第1防護ネット20単独の断面モデル図を示す。
【0045】
防護柵の斜面山側から落石等の被捕捉物Fが落下すると、被捕捉物Fは支柱10の山側に位置する第1防護ネット20に衝突する。
第1防護ネット20に作用した衝撃は第1防護ネット20を通じて支柱10が支持する。
【0046】
被捕捉物Fの衝突に伴い、第1防護ネット20が斜面谷側へ向けて変形する。
第1ネット23もクロスロープ21に追従して斜面谷側へ変形する。
【0047】
第1防護ネット20を構成するクロスロープ21は、クロスロープ21に作用する引張力が、緩衝装置22の摩擦抵抗を超えると、緩衝装置22とクロスロープ21の間で摺動が生じて被捕捉物Fの運動エネルギーを吸収する。
【0048】
被捕捉物Fの運動エネルギーが、第1防護ネット20の緩衝性能の範囲内であれば、第1防護ネット20のみによって被捕捉物Fが保有する運動エネルギーのすべてを吸収する。
【0049】
<2>第2防護ネットによる減勢作用
図8は第2防護ネット30へ受撃したときの防護柵のモデル図を示している。
図8(A)は第2防護ネット30を山側から谷側へ向けて見た側面モデル図を示し、
図8(B)は第2防護ネット30単独の断面モデル図を示す。
【0050】
図7に示した第1防護ネット20が限界撓み変形量に達する直前、または限界撓み変形量に達すると、被捕捉物Fが第2防護ネット30に衝突して第2防護ネット30が減勢作用(防護作用)を発揮する。
【0051】
図8に示すように、被捕捉物Fが衝突すると、第2防護ネット30を構成する第2ネット32と水平ロープ31が谷側へ向けて変形する。
水平ロープ31に作用する引張力が、緩衝装置32の摩擦抵抗を超えると、緩衝装置32と水平ロープ31の間で摺動が生じて運動エネルギーを吸収する。
第2防護ネット30に作用した衝撃は引き続き支柱10が支持する。
【0052】
<3>両防護ネットによる総合的な減勢作用
このように本発明では、第1防護ネット20が先行して減勢作用を発揮し、第1防護ネット20の減勢作用が低下し始めたときに、第2防護ネット30が減勢作用を発揮する。
換言すれば、両防護ネット20,30は荷重負担のピークが重ならず、第1防護ネット20がピークを過ぎた後に第2防護ネット30がピークを迎える。
【0053】
第1防護ネット20と第2防護ネット30のピークをずらしたのは、支柱10の荷重負担を軽減しながら、第1および第2防護ネット20,30を継続的に機能させることでエネルギーの吸収時間を長く確保し、防護柵全体としてのエネルギー吸収量を増やすためである。
【0054】
対比例として、防護ネットがシングルタイプの防護柵を想定する。
対比例の防護柵の場合、例えば300kJの性能を発揮させるには、防護ネットを構成するロープ材やネット材を300kJのエネルギーを支持可能な高強度の資材にする必要があり、さらに支柱も300kJのエネルギーを支持可能な高強度に設計しなければならず、対比例の防護柵では資材コストが格段に高くなる。
【0055】
これに対して本発明の防護柵では、エネルギー吸収性能が、例えば150kJの第1防護ネット20と、エネルギー吸収性能が150kJの第2防護ネット30とを組み合わせた場合、第1および第2防護ネット20,30によるエネルギーの吸収性能の合計は300kJと高い緩衝性能が得られる一方で、支柱10の支持反力は150~180kJと低い値に抑えることができる。
【0056】
<4>第1、第2防護ネットの受撃荷重と支柱反力の関係
図9を参照して、第1、第2防護ネット20,30の受撃荷重と支柱10の反力の関係について説明する。
【0057】
<4.1>第1防護ネットの荷重変化について
図9(A)は受撃時における第1防護ネット20の荷重変化と変形量の関係を示している。
被捕捉物Fが第1防護ネット20に衝突した瞬間に変形しながら第1防護ネット20の荷重が急激に増加し、ピークを過ぎると荷重負担が漸減する。
第1防護ネット20の変形が限界撓み変形量に達すると、第1防護ネット20の荷重負担が消失する。
【0058】
<4.2>第2防護ネットの荷重変化について
図9(B)は受撃時における第2防護ネット20の荷重変化と変形量の関係を示している。
第1防護ネット20が荷重のピークを過ぎたころで、第2防護ネット30が少しずつ変形を開始しながら負担荷重が徐々に増していく。
第2防護ネット30の荷重負担が増加していく過程で、第1防護ネット20の負担荷重が消失して、第2防護ネット30単独による荷重負担に切り替わる。
【0059】
<4.3>支柱の反力変化
図9(C)は受撃時における支柱10の反力変化を破線で示している。
第1または第2防護ネット20,30が個別に機能している区間に限らず、第1および第2防護ネット20,30が同時期に機能している区間においても、支柱10の反力は、両防護ネット20,30のピーク荷重より小さくなる。
したがって、第1および第2防護ネット20,30を共通の支柱10に設けても、受撃時において、支柱10に過大な反力が生じない。
【0060】
<5>第1防護ネットの限界撓み変形量の調整方法
第1防護ネット20は、第2防護ネット30と比べて限界撓み変形量が小さい関係にある。
第1防護ネット20の限界撓み変形量は、第1防護ネット20のクロスロープ21の変形量を変更することで調整可能である。
本例では、第1防護ネット20のクロスロープ21を構成する余長部21cの全長を短く設定したり、クロスロープ21の破断強度を水平ロープ31より小さく設定したりすることで、第1防護ネット20の限界撓み変形量を調整できる。
【0061】
7.第1防護ネットと第2防護ネットとの関係
既述したように第1防護ネット20と第2防護ネット30は、それぞれ運動エネルギーの吸収機能を発揮するが、その機能が発揮される変形性能と時間帯が異なる。
異なる変形性能とは、防護ネットの限界撓み変形量、防護ネットの剛性の高低、エネルギー吸収量、緩衝装置の要否、好適荷重の種類等であり、以下に詳しく説明する。
【0062】
<1>防護ネットの限界撓み変形量
既述したように、第1および第2防護ネット20,30は限界撓み変形量が相違し、第1防護ネット20の限界撓み変形量が第2防護ネット30の限界撓み変形量より小さい関係にある。
第1防護ネット20の限界撓み変形量を小さくしたのは、小さな変形で運動エネルギーを吸収するためである。
第2防護ネット20の限界撓み変形量を大きくしたのは、運動エネルギーの吸収時間を長く確保するためである。
【0063】
<2>防護ネットの剛性
第1および第2防護ネット20,30は、受撃面の剛性の点において相違する。
第1防護ネット20は短時間のうちに荷重を受け止められるように剛性が高い構造体であるのに対し、第2防護ネット30は受撃時間を長く確保するためにできるように剛性が低い構造体(柔構造体)である。
【0064】
<3>運動エネルギーの吸収量
第1および第2防護ネット20,30は運動エネルギーの吸収量が相違し、第2防護ネット30が第1防護ネット20と比べてエネルギー吸収量が大きい関係にある。
これは第2防護ネット30の変形量が第1防護ネット20の変形量より大きい関係にあるからである。
【0065】
<4>緩衝装置の要否
第1および第2防護ネット20,30は緩衝装置の有無の点で相違する。
本例では、第1および第2防護ネット20,30に緩衝装置22,32を配備した形態について説明したが、変形量の小さな第1防護ネット20では緩衝装置22が必須ではなく、変形量の大きな第2防護ネット30では緩衝装置32が必須である。
【0066】
<5>好適荷重の種類
第1防護ネット20は、落石等の点的に作用する動的荷重に対しても有効に機能するが、被捕捉物が崩落土砂や積雪等のように阻止面に対して面的に作用する静的荷重等に対してはより有効に機能を発揮する。
【0067】
これに対して第2防護ネット30は被捕捉物が落石等のように阻止面に対して点的に作用する動荷重等に対して有効に機能するように構成してある。
【0068】
<6>機能する時間帯
第1および第2防護ネット20,30は機能する時間帯が相違する。
換言すれば、各防護ネット20,30の荷重負担のピークが前後する。
第1防護ネット20が単独で機能し、第1防護ネット20の防護機能が低下したときに第2防護ネット30が機能を発揮する。
【0069】
8.被捕捉物が飛来物である場合
<1>防護柵の構成
以上は被捕捉物が崩落物である場合について説明したが、被捕捉物が飛来物である形態においても、全体寸法が異なるだけで、防護柵の基本的な構成は既述した構成と同じである。
【0070】
<2>防護柵の設置場所
防護柵は、飛来物からの保護を必要とする保護対象物の近傍に立設する。
例えば発電機器を内蔵する格納建屋を防護する場合には、格納建屋の周囲等の保護を必要とする範囲に亘って防護柵を設置する。
防護柵の寸法は保護範囲に応じて適宜選択する。
防護柵を設置する際、支柱10に対して第1防護ネット20を飛来物の飛来方向(上流側)側に向けて配置する。
【0071】
<3>防護柵の減勢作用
防護柵による飛来物の減勢作用は既述したとおりであるので、その説明を省略する。
【0072】
<4>効果
本発明は、被捕捉物が飛来物であっても、防護柵が飛来物を捕捉または飛来物の運動エネルギーを減衰して保護対象物を安全に防護することができる。
【0073】
[実施例2]
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0074】
<1>同種の防護ネットの組合せ
実施例1では、第1防護ネット20と第2防護ネット30をそれぞれ構成の異なる異種の防護ネットの組合せで構成した形態について説明したが、防護ネットは異種の組合せに限定されない。
【0075】
第1および第2防護ネット20,30は、同種の防護ネットの組合せでもよい。
すなわち、第1および第2防護ネット20,30を
図2に示したクロスロープ21とネット材を具備した防護ネットで構成するか、或いは
図3に示した水平ロープ31とネット材を具備した防護ネットで構成する。
【0076】
本例の場合も先の実施例1と同様に、第1防護ネット20の限界撓み変形量は第2防護ネット30の限界撓み変形量より小さくする。
例えば、支柱10間に同種の防護ネットを取り付ける際に弛みが生じるが、第1防護ネット20の弛み量を小さくしつつ、第2防護ネット30の弛み量を大きくすることで、第1および第2防護ネット20,30の限界撓み変形量に差を設けることができる。
【0077】
<2>本例の効果
本例にあっては、既述した実施例1と同様の作用効果を奏する。
特に本例では、第1および第2防護ネット20,30の構成資材が共通するので、資材管理が容易となる。
【0078】
[実施例3]
第1防護ネット20と第2防護ネット30は既述した形態に限定されない。
図10(A)~(F)を参照して、第1防護ネット20または第2防護ネット30に適用可能な防護ネットについて説明する。
【0079】
<1>防護ネット例1(
図10(A))
本例の防護ネット60Aは、隣り合う支柱10,10の片側(上流側または下流側)に8字形を呈して緩衝装置を具備する2組のクロスロープ21,21を上下二段に配置した形態を示す。
【0080】
<2>防護ネット例2(
図10(B))
本例の防護ネット60Bは、隣り合う支柱10,10の間に複数の水平ロープ63を多段的に配置した形態を示す。
本例では各水平ロープ63の両端部と支柱10の間に緩衝装置64を介装し、ている。
各水平ロープ63の両端部には、緩衝装置64から延出した余長部を形成している。
【0081】
<3>防護ネット例3(
図10(C))
本例の防護ネット60Cは、隣り合う支柱10,10の間に複数の水平ロープ63を多段的に配置した形態を示す。
本例では緩衝装置を具備せず、各水平ロープ63の両端部を支柱10の直接連結する。
【0082】
<4>防護ネット例4(
図10(D))
本例の防護ネット60Dは、隣り合う支柱10,10の間に複数のリング65に連続性を持たせて阻止面を形成した形態を示す。
すなわち、阻止面を複数のリング65の連結体で構成する。
リング65は鋼線製またはワイヤロープ製である。
本例の防護ネット60Dは緩衝装置を具備しない。
【0083】
<5>防護ネット例5(
図10(E))
本例の防護ネット60Eは、隣り合う支柱10,10の間にワイヤロープを交差させて格子状の阻止面を形成した形態を示す。
本例の防護ネット60Eは緩衝装置を具備しない。
【0084】
<6>防護ネットの剛性
例示した防護ネット60A~60Cは、剛性が比較的高く、変形量が小さい性質を有する。
より詳細には、防護ネット60Aから防護ネット60Cへ向けて剛性が高く、かつ変形量が小さくなっている。
【0085】
防護ネット60A,60Bは、第1防護ネット20または第2防護ネット30の何れにも使用できる。
【0086】
剛性が最も高い防護ネット60Cは、第1防護ネット20としての使用が好適である。
【0087】
防護ネット60D,60Eは、変形量が比較的大きな柔構造物のネットである。
防護ネット60D,60Eは、第2防護ネット30への使用が好適である。
【0088】
<7>本例の効果
本例にあっては、既述した実施例1と同様の作用効果を奏する。
特に本例は、衝撃力の大きさや、設置現場における防護ネットの許容変形量等を考慮して、現場に最適な第1防護ネット20と第2防護ネット30の組合せを選択ができる。
【符号の説明】
【0089】
10・・・・支柱
11・・・・支柱本体
12・・・・間隔保持材
13・・・・鋼管
14・・・・補強材
15・・・・コンクリート
16・・・・係留素子
17・・・・ブラケット
20・・・・第1防護ネット
21・・・・クロスロープ
21a・・・分割ロープ
21b・・・分割ロープ
21c・・・余長部
22・・・・緩衝装置
23・・・・第1ネット
30・・・・第2防護ネット
31・・・・水平ロープ
31a・・・分割ロープ
31c・・・余長部
32・・・・緩衝装置
33・・・・第2ネット
40・・・・緩衝装置
50・・・・緩衝装置
60A~60F・・・他の防護ネット
F・・・・・被捕捉物
【要約】
【課題】防護柵の防護性能を高めつつ、防護柵を構成する支柱および防護ネットの荷重負担を小さくして構成資材の低コスト化を実現すること。
【解決手段】隣り合う支柱10の間に横架した防護ネットを具備した防護柵であって、防護ネットが支柱10の斜面第1に横架した第1防護ネット20と、支柱10の斜面谷側に横架した第2防護ネット30からなり、第1防護ネット20による被捕捉物の減勢作用を終えた後に第2防護ネット30による被捕捉物の減勢作用を開始するように、谷側へ向けた第1防護ネット20の限界撓み変形量が第2防護ネット30の限界撓み変形量より小さい関係とした。
【選択図】
図1