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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】滑り防止用固定具
(51)【国際特許分類】
   A45C 13/30 20060101AFI20230104BHJP
【FI】
A45C13/30 G
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020508937
(86)(22)【出願日】2018-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2018028958
(87)【国際公開番号】W WO2019187190
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2018058296
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】500459029
【氏名又は名称】株式会社赤ん坊カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100090251
【氏名又は名称】森田 憲一
(72)【発明者】
【氏名】三島 世記
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3102112(JP,U)
【文献】国際公開第2002/040763(WO,A1)
【文献】特開2017-200526(JP,A)
【文献】国際公開第2014/030402(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3092556(JP,U)
【文献】特開2005-059925(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0136436(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0277991(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースとベルトと滑り防止具とを含み、前記ベルトが前記滑り防止具に挿通される、滑り防止用固定具であって、
前記ベースが、
(1)巻付け状態において被巻付け体と直接的に接触させる挟持面と、その挟持面の反対側で、取付具を取り付けるための取付面とを備えた中央部、
(2)結合用スリットを介してその中央部に隣接して設け、前記ベルトの結合端部を取り付けるための結合バー、及び
(3)前記結合バーとは反対側で、折返スリットを介して前記中央部に隣接して設けた折返バーを含み;
前記ベルトが、
(1)前記ベースの結合バーに取り付けられる結合端部、
(2)前記結合端部と反対側の自由端部、
(3)前記巻付け状態において被巻付け体側の表面となる挟持面、及び
(4)前記挟持面とは反対側の表面で、面ファスナー領域を有する接合面を含み;そして、
前記滑り防止具が、
(1)巻付け状態において被巻付け体と直接的に接触させる滑り防止面、及び
(2)前記ベルトを挿通可能なベルト挿通用開口部を含む;
ことを特徴とする、滑り防止用固定具。
【請求項2】
前記ベースの挟持面において滑り防止部材を更に有する、請求項1に記載の滑り防止用固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑り防止用固定具に関する。具体的には、被巻き付け体(例えば、棒状体)に巻き付けられた巻付け体が、その巻付け位置から重力に従って移動しないようにするための滑り防止用固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
水平面(床面又は地面)に対して垂直方向又は任意の角度の方向に延びる棒状体の任意の位置において飲料容器を固定するために、図15図17に示すような、飲料容器用のホルダー70が知られている。
【0003】
この飲料容器用のホルダー70は、主に、飲料容器用のホルダー70を棒状体80に巻き付けるための巻付け具71と、飲料容器79を収納するための収納具72とからなり、そして、収納具72は、巻付け具71に取り付けられている。
巻付け具71は、平板状のベース73と、帯状のベルト74とからなり、ベルト74の一方の端部(結合端部74a)は、ベース73の中央部75に隣接して設けられた結合バー76に結合されている。
ベルト74は、飲料容器用のホルダー70を棒状体80に巻き付けた状態において、棒状体と接触する接触面74cを有しており(図15参照)、更に、接触面74cとは反対側の面において、第1面ファスナー領域74e(フック状起毛面又はループ状起毛面)及び第2面ファスナー領域74f(ループ状起毛面又はフック状起毛面)からなる接合面74dを有している(図16参照)。
【0004】
棒状体80への飲料容器用のホルダー70の巻付けは、図17に示すように、ベル74の結合端部74aとは反対側の端部(自由端部74b)を、ベース73の結合バー76とは反対側に設けた折返しスリット77に挿通し、次に、挿通させたベルト74を、ベルト74の接合面74d側に折り返して、最後に、第1面ファスナー領域74eと第2面ファスナー領域74fとを貼り合せることによって行われている。
ベース73の中央部75の接触面75aと、ベルト74の接触面74cとが棒状体80を取り囲むように、飲料容器用のホルダー70が棒状体80に巻き付けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
飲料容器用のホルダー70に収納される飲料容器が(飲料の量によって)重くなり、そして、特に、棒状体が水平面に対して垂直方向に延びている場合には、図17に示すように、飲料容器用のホルダー70が、棒状体80に巻き付けた位置から床面又は地面側に重力に従って移動してしまう不都合がある。
こうした不都合を解消するために、図17に示すように、支持部81が設けられた棒状体80に対して、支持部81の上方側に飲料容器用のホルダー70を取り付けることが考えられる。しかしながら、飲料容器用のホルダー70の取り付けが、支持部81を有する棒状体80に限られてしまうために、支持部を有しない棒状体に飲料容器用のホルダー70を取り付ける場合には、依然として、上記不都合は解消されていない。
本発明者は、前記不都合を解消するために鋭意研究を重ねた結果、外径の大きさが異なる種々の被巻き付け体(例えば、棒状体)に巻付け可能であり、更に、被巻き付け体が支持部を有しない場合であっても、巻き付け位置から床面又は地面側に巻付け体を重力に従って移動させないことが可能である滑り防止用固定具の開発に成功した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題は、本発明による、
ベースとベルトと滑り防止具とを含み、前記ベルトが前記滑り防止具に挿通される、滑り防止用固定具であって、
前記ベースが、
(1)巻付け状態において被巻付け体と直接的に又は間接的に接触させる挟持面と、その挟持面の反対側で、取付具を取り付けるための取付面とを備えた中央部、
(2)その中央部に結合用スリットを介して隣接して設け、前記ベルトの結合端部を取り付けるための結合バー、及び
(3)前記結合バーとは反対側で、折返スリットを介して前記中央部に隣接して設けた折返バーを含み;
前記ベルトが、
(1)前記ベースの結合バーに取り付けられる結合端部、
(2)前記結合端部と反対側の自由端部、
(3)前記巻付け状態において被巻付け体側の表面となる挟持面、及び
(4)前記挟持面とは反対側の表面で、面ファスナー領域を有する接合面を含み;そして、
前記滑り防止具が、
(1)巻付け状態において被巻付け体と直接的に又は間接的に接触させる滑り防止面、及び
(2)前記ベルトを挿通可能なベルト挿通用開口部を含む;
ことを特徴とする、滑り防止用固定具によって解決することができる。
【0007】
本発明による滑り防止用固定具の好ましい態様によれば、前記ベースの挟持面において滑り防止部材を更に有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明による滑り防止用固定具は、外径の大きさが異なる種々の被巻き付け体(例えば、棒状体)に巻付け可能であり、そして、被巻き付け体が支持部を有しない場合であっても、巻き付け位置から床面又は地面側に巻付け体を重力に従って移動させないことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による滑り防止用固定具に取付具を取り付けた状態を示す斜視図である。
図2図1に示す状態から、ベースの結合バーを回転中心としてベルトのみを180度回転させた状態の巻付け体の斜視図である。
図3】滑り防止具の一態様を示す斜視図及び正面図である。
図4図1に示す巻付け体を被巻付け体に巻き付けている途中の状態を示す斜視図である。
図5図1に示す巻付け体10を、外径の大きい棒状体に巻き付けた状態を示す正面図である。
図6図1に示す巻付け体10を、外径の小さい棒状体に巻き付けた状態を示す正面図である。
図7】滑り防止具の別の態様を示す斜視図である。
図8】第3ガイドの外側面をプレートの担持面側に近づけた場合における、第1面ファスナー領域と第2面ファスナー領域との貼り合せ状態を示す模式的側面断面図である。
図9】可動橋型ガイドを有する滑り防止具、及びその滑り防止具をベルトに取り付ける方法を示す斜視図である。
図10】非連結型ガイドの一態様を示す斜視図である。
図11】可動橋型ガイドに係止手段を設けた一態様を示す斜視図である。
図12】本発明による滑り防止用固定具の別の態様を示す斜視図である。
図13】本発明による滑り防止用固定具におけるベルトを短くする方法の説明図である。
図14】本発明による滑り防止用固定具におけるベルトを短くする方法の説明図である。
図15】従来の飲料容器用ホルダーを示す斜視図である。
図16図13に示す状態から、ベースの結合バーを回転中心としてベルトのみを180度回転させた状態の巻付け体の斜視図である。
図17】従来の飲料容器用ホルダーの使用方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による滑り防止用固定具の代表的態様を添付図面に沿って説明するが、本発明は以下の添付図面に示す態様に限定されるものではない。
【0011】
図1は、本発明による滑り防止用固定具11に取付具12を取り付けて巻付け体10にした状態を示す斜視図であり、図2は、図1に示す状態から、ベース1の結合バー21を回転中心としてベルト3のみを180度回転させた状態の巻付け体10の斜視図である。また、図3(a)は、本発明による滑り防止用固定具11に使用される滑り防止具4の斜視図であり、図3(b)は、本発明による滑り防止用固定具11に使用する滑り防止具4の正面図である。更に、図4は、図1に示す巻付け体10を被巻付け体60(例えば、棒状体)に巻き付けている途中の状態を示す斜視図であり、図5は、図1に示す巻付け体10を、外径の大きい棒状体60に巻き付けた状態を示す正面図であり、図6は、図1に示す巻付け体10を、外径の小さい棒状体60に巻き付けた状態を示す正面図である。
【0012】
図1図6に示す態様の本発明による滑り防止用固定具11は、ベース1とベルト3と滑り防止具4とを含む。ベルト3は、滑り防止具4に挿通させることが可能であり、更に、挿通後には、滑り防止具4をベルト3に対してスライドさせることができる。
ベース1は、中央部14と結合バー21と折返バー23とを含む。ベース1の形状は、代表的には、大略長方形型または大略正方形型プレート状であり、略円形型プレート状、又は略楕円形型プレート状とすることもできる。
中央部14は、図5及び図6に示す巻付け状態において被巻付け体60側の表面となる挟持面16と、その挟持面16の反対側の表面で、取付具12を取り付けるための取付面18とを有する。
結合バー21は、結合用スリット24を介して、中央部14に隣接して設けられている。折返バー23は、結合バー21とは反対側で、折返スリット22を介して中央部14に隣接して設けられている。
【0013】
ベルト3の結合端部30は、結合バー21に取り付けられ、結合バー21へのベルト3の結合端部30の取り付けは、公知の方法で行うことができる。例えば、連結前のベルト3の端部を結合用スリットに通過させて折り返して筒状体を形成し、その筒状体の中に結合バー21を装入した状態で、折返した端部を熱融着することにより行うことができる。この方法によって、ベルト3の結合端部30を結合バー21に対して回転可能にすることができる。
【0014】
ベルト3は、例えば、軟質材料又は繊維材料からなる帯状部材である。ベルト3は、結合バー21に取り付けられる結合端部30、結合端部30と反対側の端部である自由端部31、挟持面32、及び接合面34を有する。
挟持面32は、図5及び図6に示す巻付け状態において、被巻付け体60側の面となり、接合面34は、挟持面32とは反対側の面であり、第1面ファスナー領域35及び第2面ファスナー領域36を有する。第1面ファスナー領域35(フック状起毛面又はループ状起毛面)と第2面ファスナー領域36(ループ状起毛面又はフック状起毛面)とは貼り合せることが可能であり、貼り合せた際の接合力は、公知の面ファスナー同士を貼り合せた際の接合力があれば十分である。
接合面34は、面ファスナーとしてのフック状起毛面とループ状起毛面との組合せタイプではなく、フック状起毛面とループ状起毛面との区別のないタイプを有することもできる。
【0015】
滑り防止具4は、図3に示すように、プレート40と、第1ガイド42と、第2ガイド44と、第3ガイド46とを含む。
プレート40は、第1ガイド42及び第2ガイド44を担持するための担持面40aと、担持面40aとは反対側に滑り防止面40bとを有する。プレート40の形状は、代表的には、大略長方形型プレート又は大略正方形型プレートであり、略円形型プレート状、又は略楕円形型プレート状とすることもできる。
第1ガイド42と第2ガイド44とは、滑り防止具4における、ベルト3の幅方向[図3(a)の矢印Aの距離]の動きを規制するものであり、第3ガイド46とプレート40とは、ベルト3の厚み方向[図3(a)の矢印Bの距離]の動きを規制するものである。
第1ガイド42及び第2ガイド44は、プレート40の担持面40aにおいて、ベルト3を挿通する方向(挿通方向C)に対して平行に配置される。
第3ガイド46は、非可動橋型ガイドであり、第1ガイド42と第2ガイド44との間に後述するような切り込みを有さずに、非可動式の橋を架けるように配置される。
【0016】
第1ガイド42及び第2ガイド44によって、主に、ベルト3の滑り防止具4への挿通作業を容易にすることができ、第3ガイド46によって、主に、ベルト3と滑り防止具4との一体化を維持することができる。
【0017】
第1ガイド42及び第2ガイド44の形状は、代表的には、略四角柱であり、略三角柱、略円柱、又は略楕円柱とすることもできる。
第3ガイド46の形状は、代表的には、大略長方形型または大略正方形型プレート状であり、略四角柱、略角柱、略円柱、又は略楕円柱とすることもできる。
【0018】
第3ガイド46の挿通方向の長さ[図3(a)の矢印L1の距離]は、図3(a)に示すように、第1ガイド42の挿通方向の長さ[図3(a)の矢印L2の距離]及び第2ガイド44の挿通方向の長さ[図3(a)の矢印L3の距離]のそれぞれの長さよりも短くすることができる。すなわち、第1ガイド42と第2ガイド44と第3ガイド46との外観形状を、プレート40の担持面40a側から観察した場合において、H字状とすることができる。
図3(a)に示すようなH形状の場合には、第3ガイド46の挿通方向の上流側及び下流側のそれぞれに、上流側露出用開口部50a及び下流側露出用開口部50bを有することができる。上流側露出用開口部50a及び下流側露出用開口部50bによって、図2及び図4に示すように、ベルト3を挿通した状態において、ベルト3の接合面34を滑り防止具4から露出させることができる。これによって、図4に示すように、滑り防止具4において第1面ファスナー領域35と第2面ファスナー領域36との貼り合せ面積が大幅に減少することはないので、被巻付け体60に巻付け体10を巻き付けた状態において、第1面ファスナー領域35と第2面ファスナー領域36との接合力が大幅に減少することはない。
【0019】
第3ガイド46の挿通方向の長さ(L1)を、第1ガイド42の挿通方向の長さ(L2)及び第2ガイド44の挿通方向の長さ(L3)のそれぞれの長さと略同一にすること、すなわち、上流側露出用開口部50a及び下流側露出用開口部50bを有しないようにすることもできる。第1ガイド42と第2ガイド44と第3ガイド46との外観形状を、プレート40の担持面40a側から観察した場合において、大略長方形型または大略正方形型プレート状とすることができる。
【0020】
図3(b)に示すように、第1ガイド42の外側面42aと、第2ガイド44の外側面44aと、第3ガイド46の外側面46aとを、同一面にすることもできる。また、後述するように、第3ガイド46の外側面46aを、第1ガイド42の外側面42a及び第2ガイド44の外側面44aよりも、プレート40の担持面40a側に近づけることもできる。
【0021】
プレート40の担持面40aと、第1ガイド42のガイド面42bと、第3ガイド46の内側面46bと、第2ガイド44のガイド面44bとによって、ベルト挿通用開口部48を形成することができる。
このベルト挿通用開口部48にベルト3を挿通することによって、ベルト3と滑り防止具4とを一体化させることができる。
【0022】
第3ガイド46の内側面46bとプレート40の担持面40aとの間の距離[図3(b)の矢印Hの距離]、及び/又は第1ガイド42のガイド面42bと第2ガイド44のガイド面44bとの間の距離[図3(a)の矢印Wの距離]を適宜調整して、ベルト挿通用開口部48にベルト3を挿通する作業を向上させたり、ベルト挿通用開口部48とベルト3との挿通状態を向上させたりすることができる。
【0023】
滑り防止具4は、その全体(又は、少なくとも、プレート40)が、(通常の滑り止め手段と同様の材料と同じ)弾性変形可能な軟質材料からなり、具体的には、エラストマー(例えば、熱可塑性エラストマー)、シリコン、ゴム材料(例えば、合成ゴム)、又はウレタンである。
プレート40の滑り防止面40bだけに(通常の滑り止め手段と同様の材料と同じ)弾性変形可能な軟質材料を使用し、それ以外の部分には、(通常の滑り止め手段と同様の材料とは異なる)弾性変形可能な軟質材料を使用することもできる。
【0024】
滑り防止具4は、例えば、一体成形することによって形成することも、第1ガイド42、第2ガイド44、及び第3ガイド46を予め一体成形した後に、プレート40にそれらを取り付けることもできる。
【0025】
本発明による滑り防止用固定具11を含む巻付け体10は、以下の方法によって、被巻付け体60に巻き付けることができる。図4に示すように、ベース1の挟持面16と滑り防止具4の滑り防止面40bとによって被巻付け体60を挟み込むように、ベルト3の自由端部31をベース1の折返スリット22に通過させ、次に、挿通させたベルト3を、ベルト3の接合面34側に折り返して、最後に、第1面ファスナー領域35と第2面ファスナー領域36とを貼り合せることによって行われる。
【0026】
滑り防止具4はベルト3の長手方向に沿ってスライド可能であるので、図5及び図6に示すように、被巻付け体60としての棒状体の外径に応じて、滑り防止具4を適宜移動させて、ベース1の挟持面16と滑り防止具4の滑り防止面40bとによって棒状体を挟み込むことができる。
滑り防止具4に弾性変形可能な軟質材料を使用しているので、種々の棒状体に巻付け体10を巻き付けた場合には、プレート40の滑り防止面40bの全体を棒状体の表面に接触させることができる。
ベース1の挟持面16と滑り防止具4の滑り防止面40bとによる棒状体の挟み込みと、棒状体の表面へのプレート40の滑り防止面40bの全表面の接触とによって、巻付け体を巻き付けた位置から床面又は地面側に移動させないことが可能となる。
【0027】
図7は、滑り防止具4の別の実施態様を示す。
図7(a)に示すように、図3に示す滑り防止具4において、第3ガイド46の数を2個にして、一方の第3ガイド46を挿通方向に対して上流側の端部に配置して、もう一方の第3ガイド46を挿通方向に対して下流側の端部に配置することもできる。この場合、第3ガイド46と第3ガイド46との間にベルト露出用開口部(ベルト露出用中央開口部)50が形成される。第1ガイド42と第2ガイド44と第3ガイド46との外観形状は、プレート40の担持面40a側から観察した場合において、矩形枠状とすることができる。
【0028】
また、図7(b)に示すように、図3に示す滑り防止具4において、第3ガイド46を下流側の端部に配置することもできる。第1ガイド42と第2ガイド44と第3ガイド46との外観形状は、プレート40の担持面40a側から観察した場合において、略U字状とすることができる。もちろん、第3ガイド46を上流側の端部に配置することもできる。
【0029】
更に、図7(c)に示すように、図3に示す滑り防止具4において、第3ガイド46の外側面46aを、第1ガイド42の外側面42a及び第2ガイド44の外側面44aよりも、プレート40の担持面40a側に近づけることもできる。第3ガイド46の外側面46aをプレート40の担持面40a側に近づけることによって、図8に示すように、第1面ファスナー領域35と第2面ファスナー領域36とを貼り合せた際に発生する第3ガイド46の上流側及び下流側の非接合領域55を少なくすることができる。
【0030】
図7(d)に示すように、第3ガイド46の挿通方向の長さ(L1)と第1ガイド42の挿通方向の長さ(L2)と第2ガイド44の挿通方向の長さ(L3)の長さとを同一にして、それらの各長さをプレート40の挿通方向の長さ(L4)よりも短くすることもできる。第1ガイド42と第2ガイド44と第3ガイド46との外観形状は、プレート40の担持面40a側から観察した場合において、I字状である。
【0031】
第3ガイド46の個数及び配置位置は、ベルト3の第1面ファスナー領域35と第2面ファスナー領域36との接合力を大幅に低下させない限り、任意に選択することができる。
また、第3ガイド46の挿通方向の長さ(L1)、第1ガイド42の挿通方向の長さ(L2)、第2ガイド44の挿通方向の長さ(L3)、及びプレート40の挿通方向の長さ(L4)の比率は、任意に選択することができる。
【0032】
図9に示すように、図3(a)に示す滑り防止具4における第3ガイド46としての非可動橋型ガイドに対して切り込みを入れることもできる。この場合、第3ガイド46は、第1ブリッジ52a及び第2ブリッジ52bを有する可動橋型ガイドであり、第1ガイド42と第2ガイド44との間に可動式の橋を架けるように配置される。上記切り込みは、第1ブリッジ52aと第2ブリッジ52bとが接触可能な程度の切り込みであり、第1ブリッジ52aと第2ブリッジ52bとの間に完全に空間を有する程度の切り込みではない。
【0033】
図1図8で説明した全ての滑り防止具において、第3ガイド46を可動橋型ガイドとすることもできる。
可動橋型ガイドを有する滑り防止具4をベルト3へ取り付ける作業は、図9に示すように、最初に、第1ブリッジ52a及び第2ブリッジ52bをプレート40の担持面40aとは反対方向に開放し、次に、第1ブリッジ52a及び第2ブリッジ52bを開放した状態で滑り防止具4をベルト3に接近させて、最後に、プレート40の担持面40aとベルト3の挟持面32とを接触させた後に、第1ブリッジ52a及び第2ブリッジ52bの開放状態を解除することによって行われる。
【0034】
第3ガイド46を可動橋型ガイドとした場合であっても、図4に示すように、滑り防止具はその上側からベルトによって覆われるので、巻付け状態において、可動橋型ガイドを有する滑り防止具4がベルト3から取り外れることはない。
【0035】
図10に示すように、第3ガイド46としての可動橋型ガイドにおいて、第1ブリッジ52a及び第2ブリッジ52bの形状を半円形状とすることもできる。
この場合、図10に示すように、第1ブリッジ52aと第2ブリッジ52bとの間に空間[図10の矢印Dの距離]を設けてそれらを接触させないようにすることもできる。すなわち、第3ガイド46を、第1ブリッジ52aと第2ブリッジ52bとが連結しない非連結型ガイドとすることができる。全ての滑り防止具において、第3ガイド46を非連結型ガイドとすることもできる。
もちろん、図10に示す態様において、可動橋型ガイドと同様に、第1ブリッジ52aと第2ブリッジ52bとを接触させることもできる。
【0036】
可動橋型ガイドにおいて、図11に示すように、第1ブリッジ52a及び第2ブリッジ52bにおける一方の外側面及び他方の内側面に、係止手段67(例えば、ボタン)または接合手段(例えば、面ファスナー)を公知の方法で取り付けることもできる。第1ブリッジ52a及び/又は第2ブリッジ52bの(挿通方向に対して垂直方向の)長さを適宜変更することによって、係止手段67または接合手段を取り付けることが可能となる。
これらの手段を取り付けることによって、巻付け状態以外の状態において、可動橋型ガイドを含む滑り防止具4がベルト3から取り外れることを防止することができる。
【0037】
滑り防止具の別の態様として、プレート40のみを使用する滑り防止具(平坦型滑り防止具)、すなわち、第1ガイド、第2ガイド及び第3ガイドを使用しない滑り防止具を用いることができる。
この態様では、ベルト挿通用開口部をプレートの上流側及び下流側にそれぞれ設けることよって、ベルトと滑り防止具とを一体化させることができる。例えば、上流側のベルト挿通用開口部において、プレートの滑り防止面から担持面に向かってベルトの自由端部を挿通させて、次に、下流側のベルト挿通用開口部において、プレートの担持面から滑り防止面に向かってベルトの自由端部を挿通させることによって、最終的に、ベルトと滑り防止具とを一体化させることができる。
【0038】
ベース1の中央部14の挟持面16において、図12に示すように、滑り防止部材62を設けることができる。この滑り防止部材62は、通常の滑り止め手段と同様の材料と同じ弾性変形可能な軟質材料からなり、具体的には、エラストマー(例えば、熱可塑性エラストマー)、シリコン、ゴム材料(例えば、合成ゴム)、又はウレタンである。
滑り防止部材62を設けることによって、図14に示すように、被巻付け体60としての棒状体が、滑り防止具4と滑り防止部材62との間に挟まれるので、巻付け体10を被巻付け体に強固に巻き付けることができる。
【0039】
また、中央部14と結合バー21との間において、図12に示すように、巻回バー64及び巻回スリット65を設けることもできる。巻回バー64及び巻回スリット65の数は、特に限定されない。
例えば、被巻付け体60としての棒状体の外径が極めて小さい場合には、最初に、その被巻付け体の外径に応じて、図13に示すように、ベルト3の自由端部31を巻回スリット65に挿通させる作業を1回又は複数回行うことによって、ベルト3の結合端部30を結合バー21及び巻回バー64に1回又は複数回巻き付けて、これによって、ベルト3の長軸方向の長さを短くすることができる。次に、図14に示すように、折返スリット22にベルト3の自由端部31を挿通させて、最後に、面ファスナー領域同士を貼り合せる。これによって、外径が極めて小さい被巻付け体に巻付け体10を適切に巻き付けることができる。
このベルト3の長軸方向の長さを短くする作業は、被巻付け体としての棒状体の外径に応じて適宜行うことができる。
【0040】
巻回スリット65又は折返スリット22に滑り防止具4を挿通させることができない場合には、ベルト3の自由端部31から滑り防止具4を予め取り外し、そして、面ファスナー領域同士を貼り合せる直前にベルト3に滑り防止具4を再び取り付けることによって、ベルト3の長軸方向の長さを短くする作業を行うことができる。
第3ガイド46として可動橋型ガイド及び非連結型ガイドを使用する場合には、図13に示すように、ベルト3の自由端部31から滑り防止具を取り外す必要が無いので、ベルト3から滑り防止具を取り外す作業を非常に効率的に行うことができる。同様に、図14に示すように、ベルト3の自由端部31から滑り防止具を取り付ける必要が無いので、ベルト3から滑り防止具を取り付ける作業を非常に効率的に行うことができる。
【0041】
取付具12としては、限定されるものではないが、把持手段(例えば、クリップ又はピンチ)、係止手段(例えば、リング又はフック)、又は保持手段(例えば、袋体、ドリンク用ホルダー、スマートフォン用ホルダー、ミラー用ホルダー、又は拡大鏡用ホルダー)が挙げられる。
ベース1と取付具12との取り付けは、公知の手段を使用して直接的に取り付けたり、公知の連結手段を使用して間接的に取り付けたりすることができる。
公知の連結手段としては、限定されるものではないが、例えば、
(1)ベース1の取付面18に連結用球状体を設け、更にその連結用球状体を収納可能な球状収納室を、取付具12(例えば、把持手段の端部若しくはプレート部、係止手段の端部若しくはプレート部、又は保持手段の端部若しくはプレート部)に設ける連結手段、あるいは、ベース1の取付面18に球状収納室を設け、更にその連結用球状収納室に収納される連結用球状体を、取付具12(例えば、把持手段の端部若しくはプレート部、係止手段の端部若しくはプレート部、又は保持手段の端部若しくはプレート部)に設ける連結手段、
(2)ベース1の取付面18と取付具12との両方に連結用球状体を設け、それらの連結用球状体を、連結用球状収納室を含む継手(例えば、円柱型継手)を介して、連結させる連結手段(なお、この継手を複数使用し、これらの継手を相互に連結させて、様々な角度に屈曲可能な棒状体とすることもできる)、及び
(3)ベース1の取付面18の表面から相互に平行に立設する少なくとも1対の係止小柱部(又は、L型に屈曲された平板)をベース1の取付面18に設け、更にその係止小柱部(又は、L型に屈曲された平板)と係止可能な係止溝を取付具12に設ける連結手段(すなわち、係止小柱部、又はL型に屈曲された平板を係止溝にスライドさせながら係止させる連結手段)、あるいは、相互に平行に立設する少なくとも1対の係止小柱部(又は、L型に屈曲された平板)を取付具12に設けて、その係止小柱部(又は、L型に屈曲された平板)と係止可能な係止溝をベース1の取付面18に設ける連結手段が、挙げられる。
【0042】
本発明の滑り防止用固定具を含む巻付け体を巻き付ける対象物は、滑り防止用固定具に含まれるベースとベルトと滑り防止具とによって巻き付けることができるものであれば、その対象物は限定されず、代表的には、棒状体である。棒状体としては、例えば、自動車内の各種棒状体、自転車の各種棒状体、ベビーカーやシルバーカーの各種棒状体(例えば、側面バー)、家庭内又はオフィス内の各種棒状体を挙げることができる。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変法や改良は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1・・・ベース;
3・・・ベルト;
4・・・滑り防止具;

10・・・巻付け体;
11・・・滑り防止用固定具;
12・・・取付具;
14・・・中央部;
16・・・挟持面;
18・・・取付面;
21・・・結合バー;
22・・・折返スリット;
23・・・折返バー;
24・・・結合用スリット;

30・・・結合端部;
31・・・自由端部;
32・・・挟持面;
34・・・接合面;
35・・・第1面ファスナー領域;
36・・・第2面ファスナー領域;

40・・・プレート;
40a・・・担持面;
40b・・・滑り防止面;
42・・・第1ガイド;
42a・・・外側面;
42b・・・ガイド面;
44・・・第2ガイド;
44a・・・外側面;
44b・・・ガイド面;
46・・・第3ガイド;
46a・・・外側面;
46b・・・内側面;
48・・・ベルト挿通用開口部;
50・・・ベルト露出用開口部;
50a・・・上流側露出用開口部;
50b・・・下流側露出用開口部;
52a・・・第1ブリッジ;
52b・・・第2ブリッジ;
55・・・非接合領域;

60・・・被巻付け体;
62・・・滑り防止部材;
64・・・巻回バー;
65・・・巻回スリット;
67・・・係止手段;

70・・・飲料容器用のホルダー;
71・・・巻付け具;
72・・・収納具;
73・・・ベース;
74・・・ベルト;
74a・・・結合端部;
74b・・・自由端部;
74c・・・接触面;
74d・・・接合面;
74e・・・第1面ファスナー領域;
74f・・・第2面ファスナー領域;
75・・・中央部;
75a・・・接触面;
76・・・結合バー;
77・・・折返しスリット;
79・・・飲料容器;
80・・・棒状体;
81・・・支持部;
図1
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