(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法及びその応用
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20230104BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20230104BHJP
【FI】
G06Q50/02
G06Q10/04
(21)【出願番号】P 2021051311
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】202011018293.8
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516217413
【氏名又は名称】上海海洋大学
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI OCEAN UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.999, Huchenghuan Rd, Pudong New District, Shanghai 201306 China
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】陳 新軍
(72)【発明者】
【氏名】解 明陽
(72)【発明者】
【氏名】張 忠
(72)【発明者】
【氏名】陸 化傑
(72)【発明者】
【氏名】胡 貫宇
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107341565(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106251006(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106295833(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111667112(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111652443(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110533245(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109543878(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108229720(CN,A)
【文献】特表2019-511783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に適用される灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法であって、
(1)
電子機器のデータ収集装置が、期間Aにおける海域Bの魚類Cの生産統計データに基づいて、該期間における海域Bの魚類Cの各年のCPUE
dayシーケンスを得て、前記CPUE
dayは日単位漁獲努力量当たり漁獲量であるステップと、
(2)
電子機器のプロセッサが、各年のCPUE
dayシーケンスに対して該年のCPUE
dayの平均値CPUE
Avを
算出し、さらに
該データ収集装置が期間Aにおける海域Bの魚類Cのすべての盛漁期日付シーケンスを取得し、
該プロセッサが連続7日間のCPUE
day値がいずれも該年のCPUE
Avよりも大きいと、該シーケンス中の1日目を盛漁期開始日とし、連続7日間のCPUE
day値がいずれも該年のCPUE
Avよりも小さいと、該シーケンス中の1日目を盛漁期終了日とするステップと、
(3)
該プロセッサが、灰色GM(1,1)モデルを用いて、ステップ(2)で取得したすべての盛漁期開始日付シーケンス、盛漁期終了日付シーケンスに対して時系列の予測モデルをそれぞれ確立
し保存するステップと、
(4)
該プロセッサが、ステップ(3)で
保存された予測モデルに対して有効性分析を行い、有効性分析は相対誤差分析を含み、前記相対誤差分析は、予測モデルを用いて算出されたある盛漁期の開始日と対応する実際の盛漁期の開始日とを比較することによって取得され、又は予測モデルを用いて算出されたある盛漁期の終了日と対応する実際の盛漁期の終了日とを比較することによって取得され、相対誤差の大きさに基づいて盛漁期開始日付シーケンス予測モデル又は盛漁期終了日付シーケンス予測モデルを評価するステップと、を含むことを特徴とする灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法。
【請求項2】
前記期間Aは2003~2016年、前記海域Bの座標範囲は35°~45°N、140°~179°E、前記魚類Cは北太平洋アカイカであることを特徴とする請求項1に記載の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法。
【請求項3】
前記生産統計データは日付、経度、緯度、日間漁獲量及び作業漁船を含み、その空間分解能が1°×1°であることを特徴とする請求項2に記載の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法。
【請求項4】
前記CPUE
dayは以下の式に基づいて算出されることを特徴とする請求項3に記載の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法。
(式中、Catchは毎日の総漁獲量、単位がtであり、effortは毎日の漁獲作業船の数、単位が隻であり、CPUE
dayは毎日の単位漁獲努力量当たり漁獲量、単位がt・隻
-1・日
-1である。)
【請求項5】
前記プロセッサが、任意の期間の漁期日付シーケンスを切り取り、複数のGM(1,1)モデルを確立することを特徴とする請求項4に記載の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法。
【請求項6】
前記時系列の予測モデルによって予測される数値は各年の盛漁期日付シーケンスに対応し、日付を参照指標とすることを特徴とする請求項5に記載の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法。
【請求項7】
相対誤差分析を行うとともに、さらにすべてのGM(1,1)モデルのフィッティング日付シーケンス結果と実際の結果との平均誤差を計算することによって、予測モデルの精度及び安定性を分析及び評価し、さらに精度が最も高い予測モデルを最適予測モデルとして選択することを特徴とする請求項6に記載の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法。
【請求項8】
前記電子機器であって、1つ又は複数の
前記プロセッサ、1つ又は複数のメモリ、1つ又は複数のプログラム、及び
前記データ収集装置を備え、
前記データ収集装置は期間Aにおける海域Bの魚類Cの生産統計データを取得することに用いられ、前記1つ又は複数のプログラムは前記メモリに記憶されており、前記1つ又は複数のプログラムが前記プロセッサにより実行されると、請求項1~7のいずれか一項に記載の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法を前記電子機器に実行させることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遠洋漁期予測の技術分野に属し、灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
アカイカ(Ommastrephesbartramii)は北太平洋海域の重要な経済的頭足類の一つであり、1993年に中国がアカイカ資源を開発して利用して以来、年間漁獲量が6~10万トンで安定しており、中国の遠洋漁業の重要な漁獲対象となっている。
【0003】
アカイカの漁期特徴を把握して盛漁期予測モデルを確立することで、漁況の予報作業を効果的に行うことができ、中国の漁業企業が作業時間を合理的に手配し、コストを削減し、漁獲効率を向上させることに寄与する。研究によると、アカイカは「一年生」の種であり、その漁期が年を周期とし、年間の変動が大きく、従来の統計分析方法を用いて漁況予報モデルを確立する場合、通常、サンプル量が少なすぎ、データ分布の法則が不明確である等の問題があり、その結果、モデルの確立が難しくなる。灰色離散GMモデルによる予測は灰色システムにおける時系列の予測方法であり、GM(1,1)モデルをもとに、データ量が少なく且つ任意の分布に従う時系列に対して中長期予測を行うことができる。現在、この方法はいくつかの経済種の資源豊度の予測に応用されているが、その応用が大きく制限され、漁期中の盛漁期の予測を実現できない。一方、盛漁期の予測は漁期予測分野で最も中心的な研究方向である。盛漁期予測モデルを確立することで、漁業の漁獲効率を大幅に向上させることができ、企業の科学的生産に寄与し、北太平洋の漁業生産企業の科学的かつ持続可能な管理に技術支援を提供することができる。
【0004】
従って、灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法を開発することは非常に現実的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術で盛漁期を正確に予測できない欠陥を克服し、灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法を提供することで、中国の漁業企業が作業時間を合理的に手配し、コストを削減し、漁獲量を向上させるために技術支援を提供することを目的とする。本発明の方法は北太平洋のイカ釣り漁業の科学的生産に根拠を提供し、中心漁場を探す時間を短縮させ、漁船の漁獲効率を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明は以下の技術案を提供する。
【0007】
灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法であって、電子機器に適用され、
(1)期間Aにおける海域Bの魚類Cの生産統計データに基づいて、該期間における海域Bの魚類Cの各年のCPUEdayシーケンスを得て、前記CPUEdayは日単位漁獲努力量当たり漁獲量であるステップと、
(2)各年のCPUEdayシーケンスに対して該年のCPUEdayの平均値CPUEAvを求め、該年の盛漁期日付シーケンスを決定し、さらに期間Aにおける海域Bの魚類Cのすべての盛漁期日付シーケンスを取得し、連続7日間のCPUEday値がいずれも該年のCPUEAvよりも大きいと、該シーケンス中の1日目を盛漁期開始日とし、連続7日間のCPUEday値がいずれも該年のCPUEAvよりも小さいと、該シーケンス中の1日目を盛漁期終了日とするステップと、
(3)ステップ(2)で取得したすべての盛漁期開始日付シーケンス、漁期終了日付シーケンスに対して任意の期間の切り取りを行い、切り取った日付シーケンスごとに1つのGM(1,1)モデルを確立し、盛漁期開始日付シーケンスと盛漁期終了日付シーケンスに対してそれぞれ5つのGM(1,1)モデル(即ち、予測モデル)を確立し、モデルの具体的な数について当業者は実際の需要に応じて選択できるステップと、
(4)ステップ(3)で得た予測モデルに対して有効性分析を行い、有効性分析は相対誤差分析を含み、前記相対誤差分析は、予測モデルを用いて算出されたある盛漁期の開始日(終了日)と対応する実際の盛漁期の開始日(終了日)とを比較することによって取得され、相対誤差の大きさに基づいて予測モデルを評価するステップと、を含む。
【0008】
本発明の方法は、CPUEdayを考察することで、海水魚の漁期を日単位で正確に計算し、それにより盛漁期を正確に予測できるとともに、盛漁期開始日及び盛漁期終了日の概念を導入し、CPUEAvと比較することで盛漁期を正確かつ迅速に画定でき、その後、灰色離散GMモデルによる予測方法を用いて、すべての盛漁期開始日付シーケンス、盛漁期終了日付シーケンスの任意の期間から切り取った日付シーケンスに対して1つのGM(1,1)モデル(即ち、予測モデル)を確立し、GM(1,1)モデルは異なる年度の盛漁期のいくつかの特性を反映でき、最後に、予測モデルを分析及び評価し、一方では、予測モデルの精度及び安定性を大幅に向上させることができ、より科学的かつ効率的な漁業生産に根拠を提供し、他方では、データ処理量を大幅に低減させ、本発明の方法のハードウェア要件を低下させることができる。本発明の方法は、海洋の中層・表層魚類の予測に適用でき、適用性が優れ、海洋漁業生産に良好な指導作用を果たすことができ、漁獲効率を大幅に向上させ、漁獲コストを削減することができ、将来性が期待でき、また、本発明による最適予測モデルは変わらないものではなく、リアルタイムに取得される最新データに応じて最適予測モデルを改めて取得でき、適応性が優れ、将来性が期待できる。
【0009】
好ましい技術案として、
上記の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法において、前記期間Aは2003~2016年、前記海域Bの座標範囲は35°~45°N、140°~179°E、前記魚類Cは北太平洋アカイカである。本発明の保護範囲はこれらに限定されず、単に該期間、該海域の該魚類を例示しており、本発明の予測方法は任意の期間、任意の海域の中層・表層魚類の盛漁期予測に適用できる。
【0010】
上記の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法において、前記生産統計データは日付、経度、緯度、日間漁獲量及び作業漁船を含み、その空間分解能が1°×1°である。
【0011】
上記の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法において、前記CPUE
dayは以下の式に基づいて算出される。
式中、Catchは毎日の総漁獲量、単位がtであり、effortは毎日の漁獲作業船の数、単位が隻であり、CPUE
dayは毎日の単位漁獲努力量当たり漁獲量、単位がt・隻
-1・日
-1である。
【0012】
上記の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法において、任意の期間の漁期日付シーケンスを切り取り、複数のGM(1,1)モデルを確立する。
【0013】
上記の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法において、前記時系列の予測モデルによって予測される数値は各年の盛漁期日付シーケンスに対応し、日付を参照指標とする。
【0014】
上記の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法において、相対誤差分析を行うとともに、さらにすべての予測モデルの相対誤差の分散を計算することによって予測モデルの安定性を分析することができる。
【0015】
本発明は電子機器をさらに提供し、1つ又は複数のプロセッサ、1つ又は複数のメモリ、1つ又は複数のプログラム、及びデータ収集装置を備え、
前記データ収集装置は期間Aにおける海域Bの魚類Cの生産統計データを取得することに用いられ、前記1つ又は複数のプログラムは前記メモリに記憶されており、前記1つ又は複数のプログラムが前記プロセッサにより実行されると、上記の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法を前記電子機器に実行させる。
【発明の効果】
【0016】
有益な効果は以下のとおりである。
(1)本発明の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法は、海水魚の盛漁期を日単位で正確に予測することを実現する。
【0017】
(2)本発明の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法は、予測精度が高く、方法の適用性が優れ、海洋漁業生産に良好な指導作用を果たすことができ、漁獲効率を大幅に向上させ、漁獲コストを削減することができ、また、本発明による予測モデルは変わらないものではなく、リアルタイムに取得される最新データに応じて最適予測モデルを改めて取得でき、適応性が優れ、将来性が期待できる。
【0018】
(3)本発明の電子機器は、構造が簡単で、コストが低く、海水魚の盛漁期予測を迅速に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は本発明の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は実施例1における漁期中の月間平均単位漁獲努力量当たり漁獲量の分布図である。
【
図3】
図3は盛漁期予測モデルの予測値フィッティング図である(
図3でフィッティングされる盛漁期予測モデルはそれぞれ盛漁期開始時間予測モデル中のモデル5及び盛漁期終了時間予測モデル中のモデル4である)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例の図面を参照しながら本発明の実施例の技術案を明確かつ完全に説明し、明らかなように、説明される実施例は本発明の一部の実施例であり、全部の実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を必要とせずに取得するすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0021】
実施例1
灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法は、
図1に示すように、具体的に以下の通りである。
【0022】
(1)2003~2016年における座標範囲が35°~45°N、140°~179°Eの北太平洋アカイカの生産統計データ(日付、経度、緯度、日間漁獲量及び作業漁船を含み、その空間分解能が1°×1°である)に基づいて、該期間における座標範囲が35°~45°N、140°~179°Eの北太平洋アカイカの各年のCPUE
dayシーケンスを得て、CPUE
dayは日単位漁獲努力量当たり漁獲量であり、CPUE
dayは以下の式に基づいて算出される。
式中、Catchは毎日の総漁獲量、単位がtであり、effortは毎日の漁獲作業船の数、単位が隻であり、CPUE
dayは毎日の単位漁獲努力量当たり漁獲量、単位がt・隻
-1・日
-1である。
【0023】
(2)盛漁期の画定及び予測の便宜上、主漁期(
図2参照)日付シーケンスを数字1~183の昇順で並べ、即ち、数字1(6月1日)、数字2(6月2日)、…、数字183(11月31日)であり、各年のCPUE
dayシーケンスに対して該年の高漁獲量CPUE
day値を求め、該年の盛漁期日付シーケンスを決定し、さらに2003~2016年における座標範囲が35°~45°N、140°~179°Eの北太平洋アカイカのすべての盛漁期日付シーケンスを取得し、連続7日間のCPUE
day値がいずれもCPUE
Av(該年のCPUE
dayの平均値)よりも大きいと、該シーケンス中の1日目を盛漁期開始日とし、連続7日間のCPUE
day値がいずれもCPUE
Avよりも小さいと、該シーケンス中の1日目を盛漁期終了日とし、
計算した結果、2003~2016年の平均CPUE
day値は1.31~3.60t・隻
-1・日
-1、最高CPUE
day値は4.10~10.34t・隻
-1・日
-1であり、2003~2016年の盛漁期は具体的に表1に示され、表1を分析したところ、盛漁期は一般に8月に見られ、7月の中下旬にも見られることがあり、一般に11月末に終了し、又は10月末に繰り上げて終了することがわかった。
【0024】
【0025】
(3)灰色離散GMモデルによる予測方法を用いて、ステップ(2)で取得したすべての盛漁期開始(又は終了)時系列から任意の5つの期間を切り取り、日付を参照指標とし、各期間の日付シーケンスに対応付けて1つのGM(1,1)モデルを確立し、GM(1,1)モデルは予測モデルである。
【0026】
(4)予測モデルによりフィッティングされる日付シーケンス及びそれに対応する実際値によって、予測モデルの精度及び安定性を分析し、GM(1,1)モデルのフィッティング結果は表2に示される。
【0027】
ステップ(3)で得た予測モデルに対して有効性分析を行い、有効性分析は相対誤差及び分散を含み、相対誤差分析は、予測モデルを用いて算出されたある盛漁期の開始日と対応する実際の盛漁期の開始日とを比較することによって取得され、分散分析は異なる期間の日付シーケンスに対して確立される5つのGM(1,1)モデルの相対誤差の分散を計算することによって取得され、表2を分析したところ、各予測モデルの相対誤差がいずれも20%以下であり、漁期開始時間予測モデルの平均相対誤差が17.15%、漁期終了時間予測モデルの平均相対誤差が9.24%であり、検証データ結果から見て、漁期開始時間予測モデルの平均相対誤差が10.17%、漁期終了時間予測モデルの平均相対誤差が13.70%であり、モデルの精度が高く、各モデルの分散から見て、漁期開始時間予測各モデルの分散が3.59、漁期終了時間予測各モデルの分散が1.14であり、モデルの安定性が高いことがわかった。
【0028】
【0029】
表2の「相対誤差」は相対誤差平均値、「検証」はモデルを用いて予測された来年の日付シーケンスと実際の日付シーケンスとの誤差率、「分散」はモデル1~モデル5の相対誤差平均値の分散であり、表中の単位が%である。
【0030】
検証を行った結果、本発明の予測方法は、海水魚の盛漁期を日単位で正確に予測することを実現し、予測精度が高く、方法の適用性が優れ、海洋漁業生産に良好な指導作用を果たすことができ、漁獲効率を大幅に向上させ、漁獲コストを削減することができ、また、本発明による予測モデルは変わらないものではなく、リアルタイムに取得される最新データに応じて最適予測モデルを改めて取得でき、適応性が優れ、将来性が期待できる。
【0031】
実施例2
電子機器は、
図4に示すように、1つ又は複数のプロセッサ、1つ又は複数のメモリ、1つ又は複数のプログラム、及びデータ収集装置を備え、
データ収集装置は期間Aにおける海域Bの魚類Cの生産統計データ(2003~2016年における座標範囲が35°~45°N、140°~179°Eの北太平洋アカイカの生産統計データ)を取得することに用いられ、1つ又は複数のプログラムはメモリに記憶されており、1つ又は複数のプログラムがプロセッサにより実行されると、実施例1に記載の灰色システム理論に基づく海水魚の盛漁期予測方法を電子機器に実行させる。
【0032】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、当業者が理解できるように、これらは単に例示的な説明であり、本発明の原理及び趣旨を逸脱せずにこれらの実施形態に対して様々な変更や修正を行うことができる。