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特許7202729歯列矯正アドバイスシステム、歯列矯正アドバイス方法およびそのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】歯列矯正アドバイスシステム、歯列矯正アドバイス方法およびそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61C 7/00 20060101AFI20230104BHJP
【FI】
A61C7/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021170374
(22)【出願日】2021-10-18
【審査請求日】2022-01-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519435795
【氏名又は名称】株式会社Oh my teeth
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】西野 誠
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-103850(JP,A)
【文献】国際公開第2019/108978(WO,A1)
【文献】特表2002-543918(JP,A)
【文献】特表2020-503919(JP,A)
【文献】特表2018-534062(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0078343(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯列矯正をする前の患者の歯型データを取得する第1取得手段と、
前記患者から、どのような歯並びになりたいかの要望を取得する第2取得手段と、
取得した前記歯型データおよび要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する作成手段と、
作成した前記歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピースを、患者が装着した状態の口腔内を撮影した装着口腔内画像を取得する第3取得手段と、
取得した前記装着口腔内画像を解析して、前記マウスピースの歯列からの浮き具合を検出する検出手段と、
前記検出の結果から、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断する判断手段と、
前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力するアドバイス手段と、
所定のチャットツールを利用して、患者からの相談を受け付ける相談手段と、
を備え、
前記判断手段は、受け付けた前記相談の内容から、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断し、
前記アドバイス手段は、前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力し、
前記相談の内容は、前記装着口腔内画像と、文字列とを含み、
前記相談手段は、前記文字列に基づいて、受け付けた前記相談の内容を絞り込み、絞り込んだ前記相談の内容について、前記装着口腔内画像から解析し、
前記相談手段は、前記患者に対して前記マウスピースの装着状況を問い合わせ、前記患者から前記マウスピースの装着状況を含む相談を受け付け、
前記判断手段は、前記検出の結果と前記マウスピースの装着状況とから、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断し、
前記アドバイス手段は、前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正が完了するまでの期間や、次のマウスピースへの交換時期等を含む、歯列矯正のアドバイスを出力し、
前記相談手段は、前記患者に対して前記装着口腔内画像の送信を指示する歯列矯正アドバイスシステム。
【請求項2】
前記第1取得手段は、更に歯列矯正をする前の前記患者の矯正前口腔内画像を取得し、
前記作成手段は、取得した前記歯型データ、矯正前口腔内画像、および要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する、
請求項1に記載の歯列矯正アドバイスシステム。
【請求項3】
前記第1取得手段は、更に歯列矯正をする前の前記患者の矯正前口腔内画像を取得し、
取得した前記歯型データ、矯正前口腔内画像を解析して、取得した前記要望に応じられるか判定する判定手段と、
を備え、
前記作成手段は、前記判定手段が前記要望に応じられると判定した場合に、取得した前記歯型データ、矯正前口腔内画像、および要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する、
請求項1に記載の歯列矯正アドバイスシステム。
【請求項4】
医師の診断結果を取得する診断結果取得手段と、
取得した前記医師の診断結果に基づいて、取得した前記要望に応じられるか判定する判定手段と、
を備え、
前記作成手段は、前記判定手段が前記要望に応じられると判定した場合に、取得した前記歯型データ、および要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する、
請求項1に記載の歯列矯正アドバイスシステム。
【請求項5】
レントゲン撮影で歯根状態を取得する歯根状態取得手段と、
取得した前記歯根状態に基づいて、取得した前記要望に応じられるか判定する判定手段と、
を備え、
前記作成手段は、前記判定手段が前記要望に応じられると判定した場合に、取得した前記歯型データ、歯根状態、および要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する、
請求項1に記載の歯列矯正アドバイスシステム。
【請求項6】
前記第3取得手段は、更に作成した前記歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピースを、前記患者が装着した状態の口腔内を撮影した右顎画像、左顎画像、および正面顎画像を取得し、
前記検出手段は、取得した前記右顎画像、左顎画像、および正面顎画像を解析して、前記マウスピースの歯列からの浮き具合を検出する、
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の歯列矯正アドバイスシステム。
【請求項7】
歯列矯正アドバイスシステムが実行する歯列矯正アドバイス方法であって
歯列矯正をする前の患者の歯型データを取得するステップと、
前記患者から、どのような歯並びになりたいかの要望を取得するステップと、
取得した前記歯型データおよび要望に基づいて、歯列矯正計画を作成するステップと、
作成した前記歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピースを、患者が装着した状態の口腔内を撮影した装着口腔内画像を取得するステップと、
取得した前記装着口腔内画像を解析して、前記マウスピースの歯列からの浮き具合を検出するステップと、
前記検出の結果から、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断するステップと、
前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力するステップと、
所定のチャットツールを利用して、患者からの相談を受け付けるステップと、
を備え、
前記判断するステップは、受け付けた前記相談の内容から、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断し、
前記アドバイスを出力するステップは、前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力し、
前記相談の内容は、前記装着口腔内画像と、文字列とを含み、
前記相談を受け付けるステップは、前記文字列に基づいて、受け付けた前記相談の内容を絞り込み、絞り込んだ前記相談の内容について、前記装着口腔内画像から解析し、
前記相談を受け付けるステップは、前記患者に対して前記マウスピースの装着状況を問い合わせ、前記患者から前記マウスピースの装着状況を含む相談を受け付け、
前記判断するステップは、前記検出の結果と前記マウスピースの装着状況とから、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断し、
前記アドバイスを出力するステップは、前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正が完了するまでの期間や、次のマウスピースへの交換時期等を含む、歯列矯正のアドバイスを出力し、
前記相談を受け付けるステップは、前記患者に対して前記装着口腔内画像の送信を指示する歯列矯正アドバイス方法。
【請求項8】
コンピュータに
歯列矯正をする前の患者の歯型データを取得するステップ、
前記患者から、どのような歯並びになりたいかの要望を取得するステップ、
取得した前記歯型データおよび要望に基づいて、歯列矯正計画を作成するステップ、
作成した前記歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピースを、患者が装着した状態の口腔内を撮影した装着口腔内画像を取得するステップ、
取得した前記装着口腔内画像を解析して、前記マウスピースの歯列からの浮き具合を検出するステップ、
前記検出の結果から、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断するステップ、
前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力するステップ、
所定のチャットツールを利用して、患者からの相談を受け付けるステップ、
を実行させ、
前記判断するステップは、受け付けた前記相談の内容から、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断し、
前記アドバイスを出力するステップは、前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力し、
前記相談の内容は、前記装着口腔内画像と、文字列とを含み、
前記相談を受け付けるステップは、前記文字列に基づいて、受け付けた前記相談の内容を絞り込み、絞り込んだ前記相談の内容について、前記装着口腔内画像から解析し、
前記相談を受け付けるステップは、前記患者に対して前記マウスピースの装着状況を問い合わせ、前記患者から前記マウスピースの装着状況を含む相談を受け付け、
前記判断するステップは、前記検出の結果と前記マウスピースの装着状況とから、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断し、
前記アドバイスを出力するステップは、前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正が完了するまでの期間や、次のマウスピースへの交換時期等を含む、歯列矯正のアドバイスを出力し、
前記相談を受け付けるステップは、前記患者に対して前記装着口腔内画像の送信を指示するためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通院時以外にも、患者に歯列矯正のアドバイスを適切に行うことができる歯列矯正アドバイスシステムを提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、歯列矯正に関する技術が注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、スキャナで生歯の画像を獲得し、それがデータの三次元フレー
ムに転換され、数フレームからのデータが互いに対して位置合わせされて、生歯の完全三次元仮想モデルが提供され、個別の歯物体が仮想モデルから得られ、コンピュータインタラクティブなソフトウェアプログラムが、仮想歯モデルから、治療計画、診断および器具を提供する技術が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、口のモデルから、患者の口を走査して患者の歯の形状および患者の口中のそれらの位置の三次元デジタル化モデルを作り、歯の処理後位置と方位を計算して歯の三次元像を作り、矯正歯科医がコンピュータが計算した歯の処理後位置と方位を修正し、コンピュータが矯正歯科医の承認を受けるために自動的に歯列矯正装置を設計し、高い精密さで歯の処理後位置と方位を計算し直す技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-110203号公報
【文献】特開2011-081844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
歯列矯正を行う場合、通院時以外に患者に歯列矯正のアドバイスを適切に行うのが難しいという問題がある。
【0007】
その問題を解決するために、マウスピースを患者が装着した状態の装着口腔内画像を解析して、マウスピースの歯列からの浮き具合を検出して、歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断して、通院時以外であっても患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力する技術が求められている。
【0008】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の技術では、マウスピースを患者が装着した状態の装着口腔内画像を解析して、マウスピースの歯列からの浮き具合を検出して、歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断して、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力することはできない。
【0009】
従って、本発明は、マウスピースを患者が装着した状態の装着口腔内画像を解析して、マウスピースの歯列からの浮き具合を検出して、歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断して、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力する歯列矯正アドバイスシステム、歯列矯正アドバイス方法およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0011】
第1の特徴に係る発明は、
歯列矯正をする前の患者の歯型データを取得する第1取得手段と、
前記患者から、どのような歯並びになりたいかの要望を取得する第2取得手段と、
取得した前記歯型データおよび要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する作成手段と、
作成した前記歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピースを、患者が装着した状態の口腔内を撮影した装着口腔内画像を取得する第3取得手段と、
取得した前記装着口腔内画像を解析して、前記マウスピースの歯列からの浮き具合を検出する検出手段と、
前記検出の結果から、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断する判断手段と、
前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力するアドバイス手段と、
所定のチャットツールを利用して、患者からの相談を受け付ける相談手段と、
を備え、
前記判断手段は、受け付けた前記相談の内容から、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断し、
前記アドバイス手段は、前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力し、
前記相談の内容は、前記装着口腔内画像と、文字列とを含み、
前記相談手段は、前記文字列に基づいて、受け付けた前記相談の内容を絞り込み、絞り込んだ前記相談の内容について、前記装着口腔内画像から解析し、
前記相談手段は、前記患者に対して前記マウスピースの装着状況を問い合わせ、前記患者から前記マウスピースの装着状況を含む相談を受け付け、
前記判断手段は、前記検出の結果と前記マウスピースの装着状況とから、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断し、
前記アドバイス手段は、前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正が完了するまでの期間や、次のマウスピースへの交換時期等を含む、歯列矯正のアドバイスを出力し、
前記相談手段は、前記患者に対して前記装着口腔内画像の送信を指示する歯列矯正アドバイスシステムを提供する。
【0012】
第1の特徴に係る発明によれば、歯列矯正アドバイスシステムにおいて、歯列矯正をする前の患者の歯型データを取得する第1取得手段と、前記患者から、どのような歯並びになりたいかの要望を取得する第2取得手段と、取得した前記歯型データおよび要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する作成手段と、作成した前記歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピースを、患者が装着した状態の口腔内を撮影した装着口腔内画像を取得する第3取得手段と、取得した前記装着口腔内画像を解析して、前記マウスピースの歯列からの浮き具合を検出する検出手段と、前記検出の結果から、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断する判断手段と、前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力するアドバイス手段と、を備え、前記判断手段は、受け付けた前記相談の内容から、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断し、前記アドバイス手段は、前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力し、前記相談の内容は、前記装着口腔内画像と、文字列とを含み、前記相談手段は、前記文字列に基づいて、受け付けた前記相談の内容を絞り込み、絞り込んだ前記相談の内容について、前記装着口腔内画像から解析し、前記相談手段は、前記患者に対して前記マウスピースの装着状況を問い合わせ、前記患者から前記マウスピースの装着状況を含む相談を受け付け、前記判断手段は、前記検出の結果と前記マウスピースの装着状況とから、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断し、前記アドバイス手段は、前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正が完了するまでの期間や、次のマウスピースへの交換時期等を含む、歯列矯正のアドバイスを出力し、前記相談手段は、前記患者に対して前記装着口腔内画像の送信を指示する。
【0013】
第1の特徴に係る発明は、歯列矯正アドバイスシステムのカテゴリであるが、歯列矯正アドバイス方法、およびプログラムであっても同様の作用、効果を奏する。
【0014】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明である歯列矯正アドバイスシステムであって、
前記第1取得手段は、更に歯列矯正をする前の前記患者の矯正前口腔内画像を取得し、
前記作成手段は、取得した前記歯型データ、矯正前口腔内画像、および要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する、
歯列矯正アドバイスシステムを提供する。
【0015】
第2の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である歯列矯正アドバイスシステムにおいて、前記第1取得手段は、更に歯列矯正をする前の前記患者の矯正前口腔内画像を取得し、前記作成手段は、取得した前記歯型データ、矯正前口腔内画像、および要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する。
【0016】
第3の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明である歯列矯正アドバイスシステムであって、
前記第1取得手段は、更に歯列矯正をする前の前記患者の矯正前口腔内画像を取得し、
取得した前記歯型データ、矯正前口腔内画像を解析して、取得した前記要望に応じられるか判定する判定手段と、
を備え、
前記作成手段は、前記判定手段が前記要望に応じられると判定した場合に、取得した前記歯型データ、矯正前口腔内画像、および要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する、
歯列矯正アドバイスシステムを提供する。
【0017】
第3の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である歯列矯正アドバイスシステムにおいて、前記第1取得手段は、更に歯列矯正をする前の前記患者の矯正前口腔内画像を取得し、取得した前記歯型データ、矯正前口腔内画像を解析して、取得した前記要望に応じられるか判定する判定手段と、を備え、前記作成手段は、前記判定手段が前記要望に応じられると判定した場合に、取得した前記歯型データ、矯正前口腔内画像、および要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する。
【0018】
第4の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明である歯列矯正アドバイスシステムであって、
医師の診断結果を取得する診断結果取得手段と、
取得した前記医師の診断結果に基づいて、取得した前記要望に応じられるか判定する判定手段と、
を備え、
前記作成手段は、前記判定手段が前記要望に応じられると判定した場合に、取得した前記歯型データ、および要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する、
歯列矯正アドバイスシステムを提供する。
【0019】
第4の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である歯列矯正アドバイスシステムにおいて、医師の診断結果を取得する診断結果取得手段と、取得した前記医師の診断結果に基づいて、取得した前記要望に応じられるか判定する判定手段と、を備え、前記作成手段は、前記判定手段が前記要望に応じられると判定した場合に、取得した前記歯型データ、および要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する。
【0020】
第5の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明である歯列矯正アドバイスシステムであって、
レントゲン撮影で歯根状態を取得する歯根状態取得手段と、
取得した前記歯根状態に基づいて、取得した前記要望に応じられるか判定する判定手段と、
を備え、
前記作成手段は、前記判定手段が前記要望に応じられると判定した場合に、取得した前記歯型データ、歯根状態、および要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する、
歯列矯正アドバイスシステムを提供する。
【0021】
第5の特徴に係る発明によれば、第1の特徴に係る発明である歯列矯正アドバイスシステムにおいて、レントゲン撮影で歯根状態を取得する歯根状態取得手段と、取得した前記歯根状態に基づいて、取得した前記要望に応じられるか判定する判定手段と、を備え、前記作成手段は、前記判定手段が前記要望に応じられると判定した場合に、取得した前記歯型データ、歯根状態、および要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する。
【0022】
第6の特徴に係る発明は、第1の特徴から第5の特徴のいずれかに係る発明である歯列矯正アドバイスシステムであって、
前記第3取得手段は、更に作成した前記歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピースを、前記患者が装着した状態の口腔内を撮影した右顎画像、左顎画像、および正面顎画像を取得し、
前記検出手段は、取得した前記右顎画像、左顎画像、および正面顎画像を解析して、前記マウスピースの歯列からの浮き具合を検出する、
歯列矯正アドバイスシステムを提供する。
【0023】
第6の特徴に係る発明によれば、第1の特徴から第5の特徴のいずれかに係る発明である歯列矯正アドバイスシステムにおいて、前記第3取得手段は、更に作成した前記歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピースを、前記患者が装着した状態の口腔内を撮影した右顎画像、左顎画像、および正面顎画像を取得し、前記検出手段は、取得した前記右顎画像、左顎画像、および正面顎画像を解析して、前記マウスピースの歯列からの浮き具合を検出する。
【0028】
第7の特徴に係る発明は、
歯列矯正アドバイスシステムが実行する歯列矯正アドバイス方法であって
歯列矯正をする前の患者の歯型データを取得するステップと、
前記患者から、どのような歯並びになりたいかの要望を取得するステップと、
取得した前記歯型データおよび要望に基づいて、歯列矯正計画を作成するステップと、
作成した前記歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピースを、患者が装着した状態の口腔内を撮影した装着口腔内画像を取得するステップと、
取得した前記装着口腔内画像を解析して、前記マウスピースの歯列からの浮き具合を検出するステップと、
前記検出の結果から、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断するステップと、
前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力するステップと、
を備え、
前記判断するステップは、受け付けた前記相談の内容から、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断し、
前記アドバイスを出力するステップは、前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力し、
前記相談の内容は、前記装着口腔内画像と、文字列とを含み、
前記相談を受け付けるステップは、前記文字列に基づいて、受け付けた前記相談の内容を絞り込み、絞り込んだ前記相談の内容について、前記装着口腔内画像から解析し、
前記相談を受け付けるステップは、前記患者に対して前記マウスピースの装着状況を問い合わせ、前記患者から前記マウスピースの装着状況を含む相談を受け付け、
前記判断するステップは、前記検出の結果と前記マウスピースの装着状況とから、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断し、
前記アドバイスを出力するステップは、前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正が完了するまでの期間や、次のマウスピースへの交換時期等を含む、歯列矯正のアドバイスを出力し、
前記相談を受け付けるステップは、前記患者に対して前記装着口腔内画像の送信を指示する歯列矯正アドバイス方法を提供する。
【0029】
第8の特徴に係る発明は、
コンピュータに
歯列矯正をする前の患者の歯型データを取得するステップ、
前記患者から、どのような歯並びになりたいかの要望を取得するステップ、
取得した前記歯型データおよび要望に基づいて、歯列矯正計画を作成するステップ、
作成した前記歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピースを、患者が装着した状態の口腔内を撮影した装着口腔内画像を取得するステップ、
取得した前記装着口腔内画像を解析して、前記マウスピースの歯列からの浮き具合を検出するステップ、
前記検出の結果から、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断するステップ、
前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力するステップ、
所定のチャットツールを利用して、患者からの相談を受け付けるステップ、
を実行させ、
前記判断するステップは、受け付けた前記相談の内容から、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断し、
前記アドバイスを出力するステップは、前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力し、
前記相談の内容は、前記装着口腔内画像と、文字列とを含み、
前記相談を受け付けるステップは、前記文字列に基づいて、受け付けた前記相談の内容を絞り込み、絞り込んだ前記相談の内容について、前記装着口腔内画像から解析し、
前記相談を受け付けるステップは、前記患者に対して前記マウスピースの装着状況を問い合わせ、前記患者から前記マウスピースの装着状況を含む相談を受け付け、
前記判断するステップは、前記検出の結果と前記マウスピースの装着状況とから、作成した前記歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断し、
前記アドバイスを出力するステップは、前記判断の結果から、患者に対して歯列矯正が完了するまでの期間や、次のマウスピースへの交換時期等を含む、歯列矯正のアドバイスを出力し、
前記相談を受け付けるステップは、前記患者に対して前記装着口腔内画像の送信を指示するためのコンピュータ読み取り可能なプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、マウスピースを患者が装着した状態の装着口腔内画像を解析して、マウスピースの歯列からの浮き具合を検出して、歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断して、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力する歯列矯正アドバイスシステム、歯列矯正アドバイス方法およびそのプログラムを提供することが可能となる。それにより、通院時以外にも、患者に歯列矯正のアドバイスを適切に行うことができるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】歯列矯正アドバイスシステム1の概要を説明する図である。
図2】歯列矯正アドバイスシステム1の機能構成を示す図である。
図3】歯列矯正アドバイスシステム1が実行する歯列矯正アドバイス出力処理を示すフローチャート図である。
図4】歯列矯正アドバイスシステム1が判定処理を行う場合の機能構成を示す図である。
図5】歯列矯正アドバイスシステム1が判定処理を行う場合のフローチャート図である。
図6】歯列矯正アドバイスシステム1が診断結果取得処理を行う場合の機能構成を示す図である。
図7】歯列矯正アドバイスシステム1が診断結果取得処理を行う場合のフローチャート図である。
図8】歯列矯正アドバイスシステム1が歯根状態取得処理を行う場合の機能構成を示す図である。
図9】歯列矯正アドバイスシステム1が歯根状態取得処理を行う場合のフローチャート図である。
図10】歯列矯正アドバイスシステム1が相談処理を行う場合の機能構成を示す図である。
図11】歯列矯正アドバイスシステム1が相談処理を行う場合のフローチャート図である。
図12】歯列矯正前の3次元歯形データの一例を示す図である。
図13】歯列矯正後の3次元歯形データの一例を示す図である。
図14】歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピース250の一例を示す図である。
図15】矯正前口腔内画像の一例を示す図である。
図16】マウスピース250を装着した場合の装着口腔内画像の一例を示す図である。
図17】チャットツールを利用して、患者2からの相談を受け付け、アドバイスを出力する場合の患者端末200の表示の一例を示す図である。
図18】患者2がマウスピースを装着している時間を確認し、装着時間を記録する場合の患者端末200の表示の一例を示す図である。
図19】患者2のマウスピースの装着時間をグラフで表示する患者端末200の表示の一例を示す図である。
図20】患者2がマウスピースを装着した画像を取得して、歯列矯正の進捗を判断し、患者2に対してマウスピース交換の指示と、歯列矯正完了予定の通知を行う患者端末200の表示の一例を示す図である。
図21】患者2が歯列矯正の進捗確認を行い、患者2に対して歯列矯正の進捗を示す患者端末200の表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。以降の図においては、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号または符号を付している。
【0033】
[基本概念/基本構成]
図1は、歯列矯正アドバイスシステム1の概要を説明するための図である。歯列矯正アドバイスシステム1は、マウスピースを患者が装着した状態の装着口腔内画像を解析して、マウスピースの歯列からの浮き具合を検出して、歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断して、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力する歯列矯正アドバイスシステムである。歯列矯正アドバイスシステム1を制御するコンピュータ100と、患者端末200と、医師端末400と、を少なくとも含むシステムである。図1には図示していないが、コンピュータ100と患者端末200と医師端末400とは、ネットワーク3を介して通信可能であるものとする。
【0034】
まず、コンピュータ100の第1取得部101は、歯列矯正をする前の患者2の歯型データを取得する(ステップS01)。歯形データは、患者2の歯形を3次元スキャンして取得する。ここで、歯形データは、3次元の画像データであってもよいし、数値データであってもよい。3次元スキャンを行った歯形データを患者2と紐づけ、医師端末400に保持する。コンピュータ100の第1取得部101は、医師端末400を介して、歯形データを取得する。3次元スキャンを行うためのデバイスは医師端末400に含んでもよいし、外部デバイスであってもよい。
【0035】
図12は、歯列矯正前の3次元歯形データの一例を示す図である。患者2の歯形を3次元スキャンすることで、3次元歯形データを作成する機能は、第1取得部101に備えて医師端末400上で実行してもよいし、3次元スキャンを行うデバイスの機能を利用してもよい。この歯列矯正前の3次元歯形データを患者2に提示すれば、患者2は客観的に自分の歯列を確認することができる。
【0036】
図1に戻って、次に、コンピュータ100の第2取得部102は、患者2から、どのような歯並びになりたいかという歯列矯正の要望を取得する(ステップS02)。具体的には、患者2の要望を、医師4の所属する歯科医院で聞いて、医師端末400等を介して取得する。要望の聞き取りは、医師4が聞き取りを行って医師端末400に入力してもよいし、患者2がタブレット端末などを利用して入力を行ってもよい。歯列矯正の要望とは、例えば、「前歯の隙間をなくしたい」や「奥歯の噛み合わせをよくしたい」等があげられる。
【0037】
次に、コンピュータ100の作成部103は、ステップS01で取得した患者2の歯型データと、ステップS02で取得した患者2の歯列矯正の要望とに基づいて、歯列矯正計画を作成する(ステップS03)。ここでの歯列矯正計画とは、「いくつのステップに分けて何日間で歯列矯正を完了するのか」、「そのステップではどのような形状のマウスピースが何個ずつ必要なのか」、「歯列矯正を完了するために、いつ、どのくらい費用がかかるのか」等の計画であり、歯列矯正の期間、マウスピースの形状、マウスピースの個数、費用等を含むものとする。さらに、歯列矯正計画には、歯列矯正後の3次元歯形データを含めてもよい。3次元歯形データは、歯列矯正全てを完了した後のものだけでなく、各マウスピース使用後のそれぞれについて生成してもよい。この歯列矯正計画を、医師4が患者2に対して提示して、患者2の同意が得られた場合に、歯列矯正を行うものとする。歯列矯正を行うために、歯列矯正計画に基づいてマウスピース250を生成し、患者2に対して提供するものとする。
【0038】
図13は、歯列矯正後の3次元歯形データの一例を示す図である。患者2に対して、ステップS03で作成した歯列矯正計画に基づいて歯列矯正を行った場合の、歯列矯正後の状態として、この3次元歯形データを患者2に提示してもよい。患者2は歯列矯正により、どのように歯列が変化するのかを確認することができる。各マウスピース使用後や全ての歯列矯正完了後の3次元歯形データを確認することで、患者2の歯列矯正計画における歯列矯正の期間、マウスピースの形状、マウスピースの個数、費用等に対する理解を深め、納得度を高めることができる。
【0039】
図14は、歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピース250の一例を示す図である。マウスピース250は透明な素材で生成することで、患者2の装着時の歯列からの浮き具合や歯列矯正の進捗を判断しやすくすることができる。マウスピース250は、半透明や不透明の素材で生成してもよい。図14に示すように、生成されたマウスピース250は使用する順番がわかるように、使用する順番がわかるように包装材に数字を付与する。ここでは、包装材に上下のマウスピースを一緒に梱包し、矯正に必要なすべてのマウスピース250をまとめて患者2へと提供する場合のイメージを示している。マウスピース250の包装材に、使用する順番だけでなく、使用する期間を表示してもよい。また、マウスピース250をすべてまとめて提供するのではなく、費用の支払いに応じて分割して提供してもよいし、歯列矯正計画通りに進まない場合にも対応が可能なように、何段階かに分割して提供してもよい。
【0040】
図1に戻って、次に、コンピュータ100の第3取得部104は、ステップS03で作成した前記歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピース250を、患者2が装着した状態の口腔内を撮影した装着口腔内画像を取得する(ステップS04)。ここで、装着口腔内画像は、患者2の所有するデジタルカメラやスマートフォン等のカメラデバイス等を利用して撮影してもよい。撮影した画像は、患者2の所有するスマートフォンなどの患者端末200を介して、コンピュータ100へと送信することで、コンピュータ100の第3取得部104が取得する。装着口腔内画像は、静止画であっても動画であってもよい。
【0041】
図16は、マウスピース250を装着した場合の装着口腔内画像の一例を示す図である。画像1601が正面から撮影した画像(正面顎画像)、画像1602が右側から撮影した画像(右顎画像)、画像1603が左側から撮影した画像(左顎画像)である。図16では、口腔内を良く撮影できるように、口腔を広げるための器具を使って撮影した装着口腔内画像の例を表示しているが、器具を使用しない画像であってもよい。また、装着口腔内画像はここにしめした3種類のみの画像に限らず、口を開けたところ、口を閉じたところ、上顎の様子、下顎の様子、等、必要に応じた種類と枚数であるものとする。
【0042】
図1に戻って、次に、コンピュータ100の検出部105は、ステップS04で取得した装着口腔内画像を解析して、マウスピース250の歯列からの浮き具合を検出する(ステップS05)。透明なマウスピース250が、装着時に患者2の歯列からどの程度浮いているのかを、画像処理で検出するものとする。
【0043】
次に、コンピュータ100の判断部106は、ステップS05の検出結果から、ステップS03で作成した歯列矯正計画の通りに、歯列矯正が進捗しているかどうか判断する(ステップS06)。マウスピース250の浮きが少ないほど、患者2の歯が目指す歯列に近づいていると判断できる。また、検出結果をもとに、患者2のマウスピース250の装着方法が適切であるかどうかも、あわせて判断してもよい。
【0044】
最後に、コンピュータ100のアドバイス部107は、ステップS06の判断の結果から、患者に対して歯列矯正のアドバイスを出力する(ステップS07)。ここでは、アドバイス部107が患者2の患者端末200に対してアドバイスを送信し、患者端末200に、「力一杯噛むのではなく、優しく時間をかけて噛んでください。矯正は順調に進んでいます。」というメッセージを表示する例をしめしている。アドバイスの出力は、表示ではなく、音声出力等であってもよい。アドバイスは、「チューイーは力一杯噛むのではなく、優しく時間をかけて噛んでください。」や、「引き続き1日20時間以上のマウスピース装着を心がけましょう!」といった内容などでもよい。
【0045】
このような歯列矯正アドバイスシステム1によれば、マウスピース250を患者2が装着した状態の装着口腔内画像を解析して、マウスピース250の歯列からの浮き具合を検出して、歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断して、患者2に対して歯列矯正のアドバイスを出力する歯列矯正アドバイスシステムを提供することができる。また、通院時以外にも、患者2に歯列矯正のアドバイスを適切に行うことができる歯列矯正アドバイスシステムを提供することができる。
【0046】
[機能構成]
図2に基づいて、歯列矯正アドバイスシステム1の機能構成について説明する。歯列矯正アドバイスシステム1は、コンピュータ100と、このコンピュータ100とネットワーク3を介して通信可能に接続された患者端末200と、医師端末400と、を備える。コンピュータ100は、実在する装置に限らず、仮想的な装置であってもよい。
【0047】
コンピュータ100は、歯列矯正アドバイスシステム1を提供する管理者により管理されるサーバ機能を有するコンピュータやパーソナルコンピュータ等であり、上述した患者端末200、医師端末400、と、公衆回線網等のネットワーク3を介してデータ通信可能に接続されており、必要なデータの送受信や各種処理を実行する。
【0048】
コンピュータ100は、例えば、1台のコンピュータで実現されてもよいし、クラウドコンピュータのように、複数のコンピュータで実現されてもよい。本明細書におけるクラウドコンピュータとは、ある特定の機能を果たす際に、任意のコンピュータをスケーラブルに用いるものや、あるシステムを実現するために複数の機能構成を含み、その機能を自由に組み合わせて用いるものの何れであってもよい。
【0049】
コンピュータ100は、制御部(非図示)として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部(非図示)として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWi―Fi(Wireless―Fidelity)対応デバイス等を備える。また、コンピュータ100は、記憶部(非図示)として、ハードディスクや半導体メモリ、記憶媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、コンピュータ100は、処理部(非図示)として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0050】
コンピュータ100において、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部、記憶部、処理部と協働して、第1取得部101、第2取得部102、作成部103、第3取得部104、検出部105、判断部106、アドバイス部107を実現する。
【0051】
患者端末200は、患者2が利用するデジタルカメラやカメラと、そのデータを送信可能なコンピュータ等の組み合わせ、スマートフォンやタブレット端末や携帯電話やウェアラブル端末等の電子デバイス等であり、上述したコンピュータ100と、ネットワーク3を介してデータ通信可能に接続されている。患者端末200は、患者2がマウスピース250を装着した装着口腔内画像を撮影または取得し、コンピュータ100への送信を実行する機能を有する。また、コンピュータ100から受信した歯列矯正のアドバイスを出力する機能を有する。
【0052】
患者端末200は、患者端末制御部(非図示)として、上述したコンピュータ100における制御部と同様に、CPU、GPU、RAM、ROM等を備える。患者端末200は、通信部(非図示)として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイスを備える。また、患者端末200は、入出力部(非図示)として、データや画像や音声等を入出力する入出力デバイス等を備える。また、患者端末200は、記憶部(非図示)として、ハードディスクや半導体メモリ、記憶媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、患者端末200は、処理部(非図示)として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0053】
患者端末200において、端末制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部、入出力部、記憶部、処理部と協働して、アドバイス出力部201を実現する。
【0054】
医師端末400は、歯列矯正を行う患者2を担当する医師4が利用する、パーソナルコンピュータやスマートフォンやタブレット端末等の電子デバイス等であり、上述したコンピュータ100と、ネットワーク3を介してデータ通信可能に接続されている。医師端末400は、患者2の歯形データや歯列矯正にたいする要望を、コンピュータ100に対して送信する処理を実行するための機能を有する。また、コンピュータ100が作成した歯列矯正計画を取得し、医師4や患者2に対して提示可能であるものとする。
【0055】
医師端末400は、端末制御部(非図示)として、上述したコンピュータ100における制御部と同様に、CPU、GPU、RAM、ROM等を備える。医師端末400は、通信部(非図示)として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイスを備える。また、医師端末400は、入出力部(非図示)として、データや画像や音声等を入出力する入出力デバイス等を備える。また、医師端末400は、記憶部(非図示)として、ハードディスクや半導体メモリ、記憶媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、医師端末400は、処理部(非図示)として、各種処理を実行する各種デバイス等を備える。
【0056】
[歯列矯正アドバイス出力処理]
図3に基づいて、コンピュータ100が実行する歯列矯正アドバイス出力処理について説明する。図3は、歯列矯正アドバイスシステム1が実行する歯列矯正アドバイス出力処理を示すフローチャート図である。上述した各部が実行する処理について、本処理にあわせて説明する。
【0057】
初めに、コンピュータ100の第1取得部101は、医師端末400(非図示)から、歯列矯正をする前の患者2の歯型データを取得する(ステップS301)。歯形データは、患者2の歯形を3次元スキャンして取得する。ここで、歯形データは、3次元の画像データであってもよいし、数値データであってもよい。3次元スキャンを行った歯形データを患者2と紐づけ、医師端末400に保持する。コンピュータ100の第1取得部101は、医師端末400を介して、歯形データを取得する。3次元スキャンを行うためのデバイスは医師端末400に含んでもよいし、外部デバイスであってもよい。
【0058】
図12は、歯列矯正前の3次元歯形データの一例を示す図である。患者2の歯形を3次元スキャンすることで、3次元歯形データを作成する機能は、第1取得部101に備えて医師端末400上で実行してもよいし、3次元スキャンを行うデバイスの機能を利用してもよい。この歯列矯正前の3次元歯形データを患者2に提示すれば、患者2は客観的に自分の歯列を確認することができる。
【0059】
図3に戻って、次に、コンピュータ100の第2取得部102は、医師端末400(非図示)から、患者2がどのような歯並びになりたいかという歯列矯正の要望を取得する(ステップS302)。具体的には、患者2の要望を、医師4の所属する歯科医院で聞いて、医師端末400等を介して取得する。要望の聞き取りは、医師4が聞き取りを行って医師端末400に入力してもよいし、患者2がタブレット端末などを利用して入力を行ってもよい。歯列矯正の要望とは、例えば、「前歯の隙間をなくしたい」や「奥歯の噛み合わせをよくしたい」等があげられる。
【0060】
次に、コンピュータ100の作成部103は、ステップS301で取得した患者2の歯型データと、ステップS302で取得した患者2の歯列矯正の要望とに基づいて、歯列矯正計画を作成する(ステップS303)。ここでの歯列矯正計画とは、「いくつのステップに分けて何日間で歯列矯正を完了するのか」、「そのステップではどのような形状のマウスピースが何個ずつ必要なのか」、「歯列矯正を完了するために、いつ、どのくらい費用がかかるのか」等の計画であり、歯列矯正の期間、マウスピースの形状、マウスピースの個数、費用等を含むものとする。さらに、歯列矯正計画には、歯列矯正後の3次元歯形データを含めてもよい。3次元歯形データは、歯列矯正全てを完了した後のものだけでなく、各マウスピース使用後のそれぞれについて生成してもよい。この歯列矯正計画を、医師4が患者2に対して提示して、患者2の同意が得られた場合に、歯列矯正を行うものとする。歯列矯正を行うために、歯列矯正計画に基づいてマウスピース250を生成し、患者2に対して提供するものとする。
【0061】
図13は、歯列矯正後の3次元歯形データの一例を示す図である。患者2に対して、ステップS303で作成した歯列矯正計画に基づいて歯列矯正を行った場合の、歯列矯正後の状態として、この3次元歯形データを患者2に提示してもよい。患者2は歯列矯正により、どのように歯列が変化するのかを確認することができる。各マウスピース使用後や全ての歯列矯正完了後の3次元歯形データを確認することで、患者2の歯列矯正計画における歯列矯正の期間、マウスピースの形状、マウスピースの個数、費用等に対する理解を深め、納得度を高めることができる。
【0062】
図14は、歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピース250の一例を示す図である。マウスピース250は透明な素材で生成することで、患者2の装着時の歯列からの浮き具合や歯列矯正の進捗を判断しやすくすることができる。マウスピース250は、半透明や不透明の素材で生成してもよい図14に示すように、生成されたマウスピース250は使用する順番がわかるように、使用する順番がわかるように包装材に数字を付与する。ここでは、包装材に上下のマウスピースを一緒に梱包し、矯正に必要なすべてのマウスピース250をまとめて患者2へと提供する場合のイメージを示している。マウスピース250の包装材に、使用する順番だけでなく、使用する期間を表示してもよい。また、マウスピース250をすべてまとめて提供するのではなく、費用の支払いに応じて分割して提供してもよいし、歯列矯正計画通りに進まない場合にも対応が可能なように、何段階かに分割して提供してもよい。
【0063】
図3に戻って、患者端末200は、ステップS303で作成した前記歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピース250を、患者2が装着した状態の口腔内を撮影した装着口腔内画像をコンピュータ100へ送付する(ステップS304)。ここで、装着口腔内画像は、患者2の所有するデジタルカメラやスマートフォン等のカメラデバイス等を利用して撮影してもよい。撮影した画像は、患者2の所有するスマートフォンなどの患者端末200を介して、コンピュータ100へと送信する。装着口腔内画像は、静止画であっても動画であってもよい。装着口腔内画像の送付は、歯列矯正アドバイスシステム1の機能を利用してもよいし、既存のメールやチャットやSNS等を利用してもよい。
【0064】
コンピュータ100の第3取得部104は、患者端末200から、マウスピース250を患者2が装着した状態の口腔内を撮影した装着口腔内画像を取得する(ステップS305)。
【0065】
図16は、マウスピース250を装着した場合の装着口腔内画像の一例を示す図である。画像1601が正面から撮影した画像(正面顎画像)、画像1602が右側から撮影した画像(右顎画像)、画像1603が左側から撮影した画像(左顎画像)である。図16では、口腔内を良く撮影できるように、口腔を広げるための器具を使って撮影した装着口腔内画像の例を表示しているが、器具を使用しない画像であってもよい。また、装着口腔内画像はここにしめした3種類のみの画像に限らず、口を開けたところ、口を閉じたところ、上顎の様子、下顎の様子、等、必要に応じた種類と枚数であるものとする。
【0066】
図3に戻って、コンピュータ100の検出部105は、ステップS305で取得した装着口腔内画像を解析して、マウスピース250の歯列からの浮き具合を検出する(ステップS306)。透明なマウスピース250が、装着時に患者2の歯列からどの程度浮いているのかを、画像処理で検出するものとする。
【0067】
次に、コンピュータ100の判断部106は、ステップS306の検出結果から、ステップS303で作成した歯列矯正計画の通りに、歯列矯正が進捗しているかどうか判断する(ステップS307)。マウスピース250の浮きが少ないほど、患者2の歯が目指す歯列に近づいていると判断できる。また、検出結果をもとに、患者2のマウスピース250の装着方法が適切であるかどうかも、あわせて判断してもよい。
【0068】
次に、コンピュータ100のアドバイス部107は、ステップS307の判断の結果から、患者2に対する歯列矯正のアドバイスを作成し、患者端末200に送付する(ステップS308)。
【0069】
最後に、患者端末200のアドバイス出力部201は、歯列矯正のアドバイスを出力する(ステップS309)。例えば、患者2の患者端末200に、「力一杯噛むのではなく、優しく時間をかけて噛んでください。矯正は順調に進んでいます。」というメッセージを表示する。アドバイスの出力は、表示ではなく、音声出力等であってもよい。
【0070】
上記フローでは、ステップS301で、コンピュータ100の第1取得部101が患者2の歯形データのみを取得する例について記載したが、第1取得部101は、更に歯列矯正をする前の患者2の矯正前口腔内画像を取得してもよい。歯形データだけでなく、矯正前口腔内画像を取得することで、歯列矯正計画を作成する際に、より精度の良い歯列矯正計画を作成することが可能となる。また、検出部105によるマウスピース250の歯列からの浮き具合の検出処理や、判断部106による歯列矯正の進捗判断処理においても、矯正前口腔画像と比較することで、より歯列の変化が分かりやすくなり、検出処理や判断処理を精度よく行うことが可能となる。
【0071】
図15は、矯正前口腔内画像の一例を示す図である。画像1501が笑っていない患者2を正面から撮影した画像、画像1502が笑っている患者2を正面から撮影した画像、画像1503が笑っていない患者2を右側から撮影した画像、画像1504が閉じた歯列を正面から撮影した画像、画像1505が閉じた歯列を右側から撮影した画像、画像1506が閉じた歯列を左側から撮影した画像、画像1507が開いた上顎を撮影した画像、画像1508が開いた下顎撮影した画像である。矯正前口腔内画像はここにしめした8種類の画像に限らず、必要に応じた種類と枚数であるものとする。また、患者2の画像である、画像1501、画像1502、画像1503は、なくてもよいものとする。
【0072】
以上が、歯列矯正アドバイス出力処理である。
【0073】
このような歯列矯正アドバイスシステム1によれば、マウスピース250を患者2が装着した状態の装着口腔内画像を解析して、マウスピース250の歯列からの浮き具合を検出して、歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断して、患者2に対して歯列矯正のアドバイスを出力する歯列矯正アドバイスシステムを提供することができる。また、通院時以外にも、患者2に歯列矯正のアドバイスを適切に行うことができる歯列矯正アドバイスシステムを提供することができる。
【0074】
[判定処理]
図4は、歯列矯正アドバイスシステム1が判定処理を行う場合の機能構成を示す図である。コンピュータ100は、図2の構成に加えて、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部、記憶部、処理部と協働して、判定部108を実現する。
【0075】
図5は、歯列矯正アドバイスシステム1が判定処理を行う場合のフローチャート図である。図5のフローチャートのステップS501とステップS502は、図3のフローチャートのステップS301とステップS302に相当するものとする。
【0076】
コンピュータ100の判定部105は、ステップS501で取得した患者2の歯型データ、矯正前口腔内画像を解析して、ステップS502取得した患者2の歯列矯正の要望に応じられるかどうかを判定する(ステップS503)。要望に応じられると判定された場合には、ステップS504へと進む。要望に応じられないと判定された場合には、ステップS502に戻る。ステップS502に戻る場合には、医師4と患者2に対して、どのような理由で患者2の要望に応じられないのかを提示してもよい。例えば、患者2の要望が「歯を抜きたくない」と「奥歯の噛み合わせを改善する」であった場合に、歯を抜かずに奥歯の噛み合わせを改善することが難しいと判定された場合には、「歯を抜かないと奥歯の噛み合わせが改善しない」という理由を提示して、患者2にどちらの要望を優先させるか、再度設定してもらうことが可能になる。また、例えば、患者2の要望が「1年で歯列矯正を完了したい」と「前歯の隙間をなくしたい」であった場合に、1年では前歯の隙間をなくせないと判定された場合には、1年の歯列矯正で、前歯の隙間がどの程度改善するかや、完全に前歯の隙間をなくすにはどの程度の期間が必要か、を提示することで、患者2にどちらの要望を優先させるか、再度設定してもらうことが可能になる。このように、患者2の要望に応じられるか判定をおこなうことで、患者2の要望と歯列矯正の内容との擦り合わせを行うことが可能となる。
【0077】
以下、図5のフローチャートのステップS504からステップS510は、図3のフローチャートのステップS303からステップS309に相当するため、説明は省略する。
【0078】
以上が、判定処理である。
【0079】
このように歯列矯正アドバイスシステム1の判定処理によれば、患者2の要望と歯列矯正の内容との擦り合わせを行うことが可能となり、より患者2の満足度や納得度の高い歯列矯正アドバイスシステムを提供することができる。
【0080】
[診断結果取得処理]
図6は、歯列矯正アドバイスシステム1が診断結果取得処理を行う場合の機能構成を示す図である。コンピュータ100は、図4の構成に加えて、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部、記憶部、処理部と協働して、診断結果取得部109を実現する。
【0081】
図7は、歯列矯正アドバイスシステム1が診断結果取得処理を行う場合のフローチャート図である。図7のフローチャートのステップS701は、図5のフローチャートのステップS501に相当するものとする。
【0082】
コンピュータ100の診断結果取得部109は、患者2の歯列矯正に関する医師4の診断結果を取得する(ステップS702)。医師4は、医師端末400(非図示)等を用いて患者2の歯列矯正に関する診断結果を入力し、その診断結果をコンピュータ100に送信するものとする。
【0083】
次に、コンピュータ100の第2取得部102は、医師端末400から、患者2がどのような歯並びになりたいかという歯列矯正の要望を取得する(ステップS703)。具体的には、患者2の要望を、医師4の所属する歯科医院で聞いて、医師端末400等を介して取得する。要望の聞き取りは、医師4が聞き取りを行って医師端末400に入力してもよいし、患者2がタブレット端末などを利用して入力を行ってもよい。歯列矯正の要望とは、例えば、「前歯の隙間をなくしたい」や「奥歯の噛み合わせをよくしたい」等があげられる。
【0084】
次に、コンピュータ100の判定部108は、ステップS702で取得した医師4の診断結果に基づいて、ステップS703で取得した患者2の歯列矯正の要望に応じられるかどうかを判定する(ステップS704)。要望に応じられると判定された場合には、ステップS705へと進む。要望に応じられないと判定された場合には、ステップS703に戻る。ステップS703に戻る場合には、医師4と患者2に対して、どのような理由で患者2の要望に応じられないのかを提示してもよい。このように、医師4の診断結果に基づいて、患者2の要望に応じられるか判定をおこなうことで、要望に応じられるかの判定の精度を向上することが可能となる。
【0085】
次に、コンピュータ100の作成部103は、ステップS701で取得した患者2の歯型データと、ステップS702で取得した診断結果と、ステップS703で取得した患者2の歯列矯正の要望とに基づいて、歯列矯正計画を作成する(ステップS705)。ここでの歯列矯正計画とは、「いくつのステップに分けて何日間で歯列矯正を完了するのか」、「そのステップではどのような形状のマウスピースが何個ずつ必要なのか」、「歯列矯正を完了するために、いつ、どのくらい費用がかかるのか」等の計画であり、歯列矯正の期間、マウスピースの形状、マウスピースの個数、費用等を含むものとする。さらに、歯列矯正計画には、歯列矯正後の3次元歯形データを含めてもよい。3次元歯形データは、歯列矯正全てを完了した後のものだけでなく、各マウスピース使用後のそれぞれについて生成してもよい。この歯列矯正計画を、医師4が患者2に対して提示して、患者2の同意が得られた場合に、歯列矯正を行うものとする。歯列矯正を行うために、歯列矯正計画に基づいてマウスピース250を生成し、患者2に対して提供するものとする。
【0086】
以下、図7のフローチャートのステップS706からステップS711は、図5のフローチャートのステップS505からステップS510に相当するため、説明は省略する。
【0087】
以上が、診断結果取得処理である。
【0088】
このように歯列矯正アドバイスシステム1の診断結果取得処理によれば、患者2の要望に応じられるかの判定の精度が高い歯列矯正アドバイスシステムを提供することができる。
【0089】
[歯根状態取得処理]
図8は、歯列矯正アドバイスシステム1が歯根状態取得処理を行う場合の機能構成を示す図である。コンピュータ100は、図4の構成に加えて、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部、記憶部、処理部と協働して、歯根状態取得部110を実現する。
【0090】
図9は、歯列矯正アドバイスシステム1が歯根状態取得処理を行う場合のフローチャート図である。図9のフローチャートのステップS901は、図7のフローチャートのステップS701に相当するものとする。
【0091】
コンピュータ100の歯根状態取得部110は、患者2のレントゲン撮影による歯根状態を取得する(ステップS902)。医師4は、患者2の歯根状態をレントゲン撮影し、医師端末400(非図示)等を介して、その歯根状態をコンピュータ100に送信するものとする。
【0092】
次に、コンピュータ100の第2取得部102は、医師端末400から、患者2がどのような歯並びになりたいかという歯列矯正の要望を取得する(ステップS903)。具体的には、患者2の要望を、医師4の所属する歯科医院で聞いて、医師端末400等を介して取得する。要望の聞き取りは、医師4が聞き取りを行って医師端末400に入力してもよいし、患者2がタブレット端末などを利用して入力を行ってもよい。歯列矯正の要望とは、例えば、「前歯の隙間をなくしたい」や「奥歯の噛み合わせをよくしたい」等があげられる。
【0093】
次に、コンピュータ100の判定部108は、ステップS902で取得した歯根状態に基づいて、ステップS903で取得した患者2の歯列矯正の要望に応じられるかどうかを判定する(ステップS904)。要望に応じられると判定された場合には、ステップS905へと進む。要望に応じられないと判定された場合には、ステップS903に戻る。ステップS903に戻る場合には、医師4と患者2に対して、どのような理由で患者2の要望に応じられないのかを提示してもよい。このように、レントゲン画像による歯根状態に基づいて、患者2の要望に応じられるか判定をおこなうことで、要望に応じられるかの判定の精度を向上することが可能となる。
【0094】
次に、コンピュータ100の作成部103は、ステップS901で取得した患者2の歯型データと、ステップS902で取得した患者2の歯根状態と、ステップS903で取得した患者2の歯列矯正の要望とに基づいて、歯列矯正計画を作成する(ステップS905)。ここでの歯列矯正計画とは、「いくつのステップに分けて何日間で歯列矯正を完了するのか」、「そのステップではどのような形状のマウスピースが何個ずつ必要なのか」、「歯列矯正を完了するために、いつ、どのくらい費用がかかるのか」等の計画であり、歯列矯正の期間、マウスピースの形状、マウスピースの個数、費用等を含むものとする。さらに、歯列矯正計画には、歯列矯正後の3次元歯形データを含めてもよい。3次元歯形データは、歯列矯正全てを完了した後のものだけでなく、各マウスピース使用後のそれぞれについて生成してもよい。この歯列矯正計画を、医師4が患者2に対して提示して、患者2の同意が得られた場合に、歯列矯正を行うものとする。歯列矯正を行うために、歯列矯正計画に基づいてマウスピース250を生成し、患者2に対して提供するものとする。
【0095】
以下、図9のフローチャートのステップS906からステップS911は、図7のフローチャートのステップS706からステップS711に相当するため、説明は省略する。
【0096】
以上が、歯根状態取得処理である。
【0097】
このように歯列矯正アドバイスシステム1の歯根状態取得処理によれば、患者2の要望に応じられるかの判定の精度が高い歯列矯正アドバイスシステムを提供することができる。
【0098】
[相談処理]
図10は、歯列矯正アドバイスシステム1が相談処理を行う場合の機能構成を示す図である。コンピュータ100は、図4の構成に加えて、制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部、記憶部、処理部と協働して、相談部111を実現する。診断結果取得部109と歯根状態取得部110を備える構成であっても問題ない。また、患者端末200は、図4の構成に加えて、端末制御部が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部、記憶部、処理部、入出力部と協働して、相談入力部202を実現する。
【0099】
図11は、歯列矯正アドバイスシステム1が相談処理を行う場合のフローチャート図である。図11のフローは、患者2がマウスピース250を装着後の任意のタイミングであることを想定する。つまり、図3のフロー、図5のフロー、図7のフロー、図9のフローの何れかが一度は実行された後であり、歯列矯正アドバイスシステム1は、患者2の歯形データ、要望、歯列矯正計画、装着口腔内画像、矯正前口腔内画像、診断結果、歯根状態、等のこれまでの取得したデータを保持しており、利用可能であるものとする。
【0100】
最初に、端末200の相談入力部202は、患者2の入力した相談内容をコンピュータ100に送付する(ステップS1101)。患者2の相談内容は、所定のチャットツールを利用して送付するものとする。相談内容の入力は、端末200の入出力部を介して行うものとする。
【0101】
図17は、チャットツールを利用して、患者2からの相談を受け付け、アドバイスを出力する場合の患者端末200の表示の一例を示す図である。ここで、患者2は「マウスピースの装着方法はこれでよいですか?」と質問して、マウスピース250を装着した画像を送付している。
【0102】
図11に戻り、コンピュータ100の相談部111は、患者端末200から相談内容を受信する(ステップS1102)。ここでは、「マウスピースの装着方法はこれでよいですか?」という文字列と、マウスピース250を装着した画像を受信しているものとする。
【0103】
次に、コンピュータ100の相談部111は、相談内容を解析する(ステップS1103)。具体的には、取得した相談内容の文字列を基に、患者2の相談内容を絞り込み、「マウスピースの装着方法」が正しいかどうかを、マウスピース250を装着した画像から解析する。
【0104】
次に、コンピュータ100の判断部106は、ステップS1102で受け付けた相談の内容から、作成した歯列矯正計画の通りに、患者2の歯列矯正が進捗しているかを判断する(ステップS1104)。
【0105】
次に、コンピュータ100のアドバイス部107は、ステップS1104の判断の結果から、患者2に対する歯列矯正のアドバイスを作成し、患者端末200に送付する(ステップS1105)。
【0106】
最後に、患者端末200のアドバイス出力部201は、歯列矯正のアドバイスを出力する(ステップS1106)。ここでは、図17に示すように、チャットツールで「よいですよ。力一杯噛むのではなく、優しく時間をかけることが大切です。真ん中の歯よりもその隣の歯を意識して噛んでみてください。」というアドバイスを表示する。このように、チャットツールを利用して患者2からの相談を受け付けることで、通院時以外にも、患者2に歯列矯正のアドバイスを適切に行うことができる。アドバイスは、「よいですね。フィット感が足りないと感じた場合はチューイーと呼ばれるゴムチューブを噛んでください。」なとの内容でもよい。
【0107】
相談処理では、患者2が、毎日何時間マウスピースを装着しているか等のマウスピースの装着状況を含む相談を受け付けることで、歯列矯正の進捗状況を判断して、患者2に対して歯列矯正が完了するまでの期間や、次のマウスピースへの交換時期等の進捗状況や今後の予定を含む歯列矯正のアドバイスを行ってもよい。
【0108】
図18は、患者2がマウスピースを装着している時間を確認し、装着時間を記録する場合の患者端末200の表示の一例を示す図である。歯列矯正アドバイスシステム1は、例えば毎日患者2に対して昨日のマウスピースの装着状況を問い合わせ、患者2がそれに対して答えることで、患者2の日々のマウスピース装着時間を記録することが出来る。図18の例では、チャットツールで、歯列矯正アドバイスシステム1が、「2021年09月05日 昨日の装着状況は?選択してください。(1)ほぼ外していた(0時間)(2)寝ている間だけ(8時間)(3)ほぼつけていた(15時間)(4)食事以外つけた(20時間)」と問いかけを表示して、患者2が「2021年09月04日(4)」と回答することで、(4)の20時間を、2021年9月4日の装着時間として記録する。歯列矯正アドバイスシステム1は、この記録を基に、毎日の装着時間のグラフを表示したり、歯列矯正ためのマウスピース装着時間の達成率を表示したりしてもよい。図18では、「20時間達成率 現Stepでは50%(1/2日)」というように、達成率を表示する例を示している。装着時間の選択肢は、ここで記載したものに限らず、システムに応じて設定可能としてもよいし、ユーザが入力可能としてもよい。また、達成率も、現在のマウスピースに対しての達成率としてもよいし、歯列矯正が最終的に完了するまでの達成率としてもよいし、療法であってもよい。
【0109】
図19は、患者2のマウスピースの装着時間をグラフで表示する患者端末200の表示の一例を示す図である。図19の例では、チャットツールで、患者2が「装着時間確認」という問い合わせを行った場合に、歯列矯正アドバイスシステム1がフラフを表示する例を示している。ここでは、日々何時間装着したかという装着時間の割合を円グラフで、各日の装着時間を折れ線グラフで表示する例を示しているが、グラフの種類や表示方法はこれに限るものではない。また、ユーザが任意の期間やグラフの種類を指定して、表示することとしてもよい。また、患者2からの問い合わせがなくても、一定期間毎に装着時間の情報を患者2に対して送信してもよい。
【0110】
図20は、患者2がマウスピースを装着した画像を取得して、歯列矯正の進捗を判断し、患者2に対してマウスピース交換の指示と、歯列矯正完了予定の通知を行う患者端末200の表示の一例を示す図である。図20の例では、チャットツールで、歯列矯正アドバイスシステム1が、「2021年09月29日 今日はマウスピース交換予定日です。マウスピースを装着した写真を撮影して下さい。(1)スマホで写真撮影(2)送信(3)Dr.からアドバイス」とマウスピースを装着した写真を送信するような指示を表示して、患者2がそれに従って、マウスピース装着画像を送信した場合に、患者2に対して歯列矯正の進捗等のアドバイスを出力する例を示している。具体的にここでの歯列矯正アドバイスシステム1からのアドバイスは、「Step4の完了を確認しました。Step5のマウスピースに変更してください。毎日20時間装着すると2021年10月19日に完了予定です。」という内容である。マウスピース交換日である本日2021年09月29日に、予定通りマウスピースを交換していいことが確認でき、また、次のステップのマウスピースを、毎日どのくらいの時間装着すると、いつ頃完了することが出来るかも確認できる。このように、マウスピース交換予定日に、マウスピースを装着した画像を送信するよう、患者2に対して指示してもよいし、3日毎等一定期間毎に指示してもよい。
【0111】
図21は、患者2が歯列矯正の進捗確認を行い、患者2に対して歯列矯正の進捗を示す患者端末200の表示の一例を示す図である。図21の例では、チャットツールで、患者2が「進捗を確認する」ことを求めて、マウスピースの装着画像を送信する。それを受けて、歯列矯正アドバイスシステム1は、「2021年09月23日 残り91日 Steps4/16 20% 次回交換09月29日 卒業予定2021年12月23日」と表示する例を示している。現在、16ステップ中の4ステップ目であり、歯列矯正全体の進捗状況としては20パーセントであること、次回のマウスピース交換予定が9月29日であること、歯列矯正すべてが完了する予定が2021年12月23日であることを示している。このように、患者2が進捗を確認したいタイミングで、マウスピースの装着画像を送信することで、適切に進捗を確認することが可能である。歯列矯正の進捗は、マウスピースの装着時間等によって変わってくるため、随時進捗を確認できることで、患者2に対する利便性を向上することが可能である。
【0112】
以上が、相談処理である。
【0113】
このように歯列矯正アドバイスシステム1の相談処理によれば、患者2の相談に応じて、通院時以外にも、患者2に歯列矯正のアドバイスを適切に行うことができる歯列矯正アドバイスシステムを提供することができる。
【0114】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態やクラウドサービスで提供されてよい。また、プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置または外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0115】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0116】
1 歯列矯正アドバイスシステム
2 患者
3 ネットワーク
4 医師
100 コンピュータ
101 第1取得部
102 第2取得部
103 作成部
104 第3取得部
105 検出部
106 判断部
107 アドバイス部
108 判定部
109 診断結果取得部
110 歯根状態取得部
111 相談部
200 患者端末
201 アドバイス出力部
202 相談入力部
250 マウスピース
400 医師端末


【要約】      (修正有)
【課題】通院時以外にも、患者に歯列矯正のアドバイスを適切に行うことができる歯列矯正アドバイスシステムを提供する。
【解決手段】歯列矯正をする前の患者2の歯型データを取得する第1取得部101と、患者2から、どのような歯並びになりたいかの要望を取得する第2取得部102と、取得した歯型データおよび要望に基づいて、歯列矯正計画を作成する作成部103と、作成した歯列矯正計画に基づいて生成されたマウスピース250を、患者2が装着した状態の口腔内を撮影した装着口腔内画像を取得する第3取得部104と、取得した装着口腔内画像を解析して、マウスピース250の歯列からの浮き具合を検出する検出部105と、検出の結果から、作成した歯列矯正計画の通りに歯列矯正が進捗しているか判断する判断部106と、記判断の結果から、患者2に対して歯列矯正のアドバイスを出力するアドバイス部107と、を備える
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21