IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社英松建設の特許一覧

<>
  • 特許-仮設足場用部材 図1
  • 特許-仮設足場用部材 図2
  • 特許-仮設足場用部材 図3
  • 特許-仮設足場用部材 図4
  • 特許-仮設足場用部材 図5
  • 特許-仮設足場用部材 図6
  • 特許-仮設足場用部材 図7
  • 特許-仮設足場用部材 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】仮設足場用部材
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/06 20060101AFI20230104BHJP
   E04G 7/32 20060101ALI20230104BHJP
   E04G 5/04 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
E04G5/06 A
E04G7/32 A
E04G5/04 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022115200
(22)【出願日】2022-07-20
【審査請求日】2022-08-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年5月1日に、株式会社英松建設が三栄工業株式会社に対し、松原岳陽が発明した仮設足場用部材について説明し、公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年6月6日に、株式会社英松建設が株式会社Oosawaに対し、松原岳陽が発明した仮設足場用部材について試作相談し、公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年6月24日に、株式会社英松建設が平和技研株式会社に対し、松原岳陽が発明した仮設足場用部材について説明し、公開した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522289600
【氏名又は名称】株式会社英松建設
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】松原 岳陽
【審査官】清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-190126(JP,A)
【文献】特開平11-100989(JP,A)
【文献】特開2014-091989(JP,A)
【文献】実開平05-035958(JP,U)
【文献】特開2008-291586(JP,A)
【文献】登録実用新案第3003824(JP,U)
【文献】特開2004-116193(JP,A)
【文献】特開2017-048659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/06
E04G 7/32
E04G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物に併設され、略鉛直に伸ばされた複数の支柱と、複数の前記支柱の間に略水平に架橋された複数の足場板と、を含む仮設足場に用いられる仮設足場用部材であって、
前記足場板を支持するブラケット部と、前記仮設足場が前記建築物に向かって傾倒することを防止する壁当てジャッキ部と、前記ブラケット部と前記壁当てジャッキ部とを固定する固定手段と、前記支柱への取付手段と、を備え、
前記ブラケット部は、前記足場板を当接支持する支持部と、前記支持部に設けられ、前記支柱に当接することで、前記支持部と協働して前記足場板を支持する補助支持部と、を有し、
前記壁当てジャッキ部は、略柱体に形成されたジャッキ本体と、前記ジャッキ本体の一端に設けられ、前記建築物に面で当接する壁当て部と、を有し、
前記支持部は、前記ジャッキ本体を挿入可能に形成され、
前記固定手段は、前記支持部に挿入された前記ジャッキ本体を、前記支持部に固定及び固定解除可能であり、
前記取付手段は、前記支持部の両端に設けられている、仮設足場用部材。
【請求項2】
前記仮設足場は、前記支柱がくさび受けを有するくさび緊結式足場であり、
前記取付手段は、前記くさび受けに嵌合するくさびである、請求項1に記載の仮設足場用部材。
【請求項3】
前記ジャッキ本体は、略円柱形に形成され、その側面の少なくとも一部に雄ネジが切られ、
前記支持部は、その少なくとも一部に、前記ジャッキ本体の雄ネジに螺合される雌ネジが切られ、
前記固定手段は、前記支持部の雌ネジ及び前記ジャッキ本体の雄ネジである、請求項1又は2に記載の仮設足場用部材。
【請求項4】
前記ジャッキ本体は、その側面の略全部に雄ネジが切られ、
前記支持部は、その略全部に、前記ジャッキ本体の雄ネジに螺合される雌ネジが切られている、請求項3に記載の仮設足場用部材。
【請求項5】
前記固定手段は、ボルトであり、
前記支持部は、その側面に前記ボルトを螺入可能な貫通ネジ孔が設けられ、
前記ボルトは、前記支持部の外側から前記貫通ネジ孔に螺入され、その先端面を前記支持部に挿入された前記ジャッキ本体に押圧及び押圧解除させることで、前記ジャッキ本体を前記支持部の内側面に圧接固定及び圧接固定解除可能である、請求項1又は2に記載の仮設足場用部材。
【請求項6】
前記ジャッキ本体は、略円柱形に形成され、その側面の少なくとも一部に雄ネジが切られ、
前記固定手段は、略円筒形に形成され、その内側面に、前記ジャッキ本体の雄ネジに螺合される雌ネジが切られている、ストッパーであり、
前記ストッパーは、前記支持部に当接することで、前記支持部に挿入された前記ジャッキ本体が、さらに挿入される向きに相対移動することを阻止可能である、請求項1又は2に記載の仮設足場用部材。
【請求項7】
前記ストッパーは、使用者が握持可能なハンドルが取り付けられている、請求項6に記載の仮設足場用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設足場の安全性を向上させる、ブラケット及び壁当てジャッキに関するものである。
【背景技術】
【0002】
仮設足場は、建築物の新築又は修繕の場合に架設されることで、作業員に安全な作業スペースを提供する。
【0003】
通常の仮設足場は、略鉛直に伸ばされた複数の支柱と、複数の支柱の間に略水平に架橋された複数の足場板と、を含む。
【0004】
足場板は、その脱落防止のために、支持部材によって支持される。
このような支持部材では、例えば、ブラケットが公知である。
【0005】
ブラケットは、足場板を当接支持する支持部と、支持部と協働して足場板を支持する補助支持部と、を含む。
【0006】
支持部は、略柱体に形成された鋼材であり、仮設足場の種類に対応する取付手段で支柱に取付可能である。
補助支持部は、略柱体に形成された鋼材であり、支持部に、斜めに当接するように設けられている。
【0007】
ブラケットは、支柱に取り付けられることで、足場板を、支持部を利用して架橋可能にする。
【0008】
ブラケットの公知な改良例として、特許文献1に記載の足場板支持用ブラケットは、枠組足場に用いられるブラケットであって、足場板支持部材(支持部に対応)は、丸パイプ材の固定筒部と、固定筒部に出入自在に挿通された可動筒部と、によって構成され、可動筒部は、固定筒部に締結用ボルトで固定可能である、ブラケットである。
【0009】
このようなブラケットは、可動筒部の固定筒部からの抽出長さが調整されることで、幅が広い足場板を架橋可能にし、又は複数の足場板を並列に架橋可能にし、以て、作業員の作業スペースの十分な確保を可能にする。
【0010】
一方、仮設足場は、その傾倒防止のために、傾倒防止部材によって支持される。
この傾倒防止部材では、例えば、壁当てジャッキが公知である。
【0011】
壁当てジャッキは、建築物に突っ張られるジャッキ本体と、ジャッキ本体の一端に設けられ、建築物に面で当接する壁当て部と、ジャッキ本体を挿通可能に形成されたホルダー部と、ホルダー部から抽出されるジャッキ本体の長さを調整するストッパーと、を含む。
【0012】
ジャッキ本体は、略円柱形に形成された鋼材であり、その側面に雄ネジが切られている。
壁当て部は、略円環形の板状に形成された鋼材であり、ジャッキ本体の端部に、略垂直に当接するように設けられている。
ホルダー部は、略円筒形に形成された鋼材であり、仮設足場の種類に対応する取付手段で支柱に取付可能である。
ストッパーは、短尺の略円筒形に形成された鋼材であり、その内側面に、ジャッキ本体の雄ネジに螺合される雌ネジが切られている。また、ストッパーは、使用者が握持可能なハンドルが取り付けられている。
【0013】
壁当てジャッキは、ホルダー部が支柱に取り付けられ、ストッパーが螺合されたジャッキ本体がホルダー部に挿通され、ジャッキ本体の支持部からの抽出長さがストッパーによって調整され、壁当て部が建築物に突っ張られることで、仮設足場の建築物への傾倒防止を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2006-70486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、ブラケット及び壁当てジャッキを、それぞれ支柱に取り付ける工程は、仮設足場の架設者の負担を増大させている。
【0016】
以上の現状に鑑みて、本発明は、仮設足場の架設工程の一部を統合し、以て、仮設足場の架設者の負担を軽減することを課題として、これを解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明は、建築物に併設され、略鉛直に伸ばされた複数の支柱と、複数の支柱の間に略水平に架橋された複数の足場板と、を含む仮設足場に用いられる仮設足場用部材であって、
足場板を支持するブラケット部と、仮設足場が建築物に向かって傾倒することを防止する壁当てジャッキ部と、ブラケット部と壁当てジャッキ部とを固定する固定手段と、支柱への取付手段と、を備え、
ブラケット部は、足場板を当接支持する支持部と、支持部に設けられ、支柱に当接することで、支持部と協働して足場板を支持する補助支持部と、を有し、
壁当てジャッキ部は、略柱体に形成されたジャッキ本体と、ジャッキ本体の一端に設けられ、建築物に面で当接する壁当て部と、を有し、
支持部は、ジャッキ本体を挿入可能に形成され、
固定手段は、支持部に挿入されたジャッキ本体を、支持部に固定及び固定解除可能である、仮設足場用部材である。
【0018】
上記の構成によって、本発明は、ブラケットと壁当てジャッキの両方の効果を奏することで、壁当てジャッキの代わりに使用し、架設工程を短縮することを可能にする。
【0019】
本発明は、好ましくは、仮設足場は、支柱がくさび受けを有するくさび緊結式足場であり、
取付手段は、くさび受けに嵌合するくさびである、仮設足場用部材である。
【0020】
くさび緊結式足場は、特に狭隘な敷地に併設される場合、傾倒防止部材として壁当てジャッキが好適に用いられる。
このような場合、上記の構成によって、本発明は、壁当てジャッキの代わりに使用し、架設工程を顕著に短縮することを可能にする。
【0021】
本発明は、一つの実施形態において、ジャッキ本体は、略円柱形に形成され、その側面の少なくとも一部に雄ネジが切られ、
支持部は、その少なくとも一部に、ジャッキ本体の雄ネジに螺合される雌ネジが切られ、
固定手段は、支持部の雌ネジ及びジャッキ本体の雄ネジである、仮設足場用部材である。
【0022】
上記の構成によって、本発明は、ジャッキ本体が支持部に螺入され、ジャッキ本体の支持部からの抽出長さが調整されることで、ジャッキ本体を建築物に好適に突っ張らせることを可能にする。
【0023】
また、上記の構成によって、本発明は、ジャッキ本体と支持部とが広い面で接触するため、仮設足場が揺れた場合であっても、抗力が分散することで、破損しにくいものとなっている。
【0024】
本発明は、他の実施形態において、固定手段は、ボルトであり、
支持部は、その側面にボルトを螺入可能な貫通ネジ孔が設けられ、
ボルトは、支持部の外側から貫通ネジ孔に螺入され、その先端面を支持部に挿入されたジャッキ本体に押圧及び押圧解除させることで、ジャッキ本体を支持部の内側面に圧接固定及び圧接固定解除可能である、仮設足場用部材である。
【0025】
上記の構成によって、本発明は、ジャッキ本体が支持部に挿入され、ボルトが貫通ネジ孔に奥まで螺入されることで、ジャッキ本体と支持部を容易に固定及び固定解除させることを可能にする。
【0026】
本発明は、さらに他の実施形態において、ジャッキ本体は、略円柱形に形成され、その側面の少なくとも一部に雄ネジが切られ、
固定手段は、略円筒形に形成され、その内側面に、ジャッキ本体の雄ネジに螺合される雌ネジが切られている、ストッパーであり、
ストッパーは、支持部に当接することで、支持部に挿入されたジャッキ本体が、さらに挿入される向きに相対移動することを阻止可能である、仮設足場用部材である。
【0027】
上記の構成によって、本発明は、ストッパーがジャッキ本体に螺合された状態で、ジャッキ本体が支持部に挿入され、ジャッキ本体の支持部からの抽出長さがストッパーによって調整されることで、ジャッキ本体を建築物に好適に突っ張らせることを可能にする。
【0028】
本発明は、上記の実施形態において、好ましくは、ストッパーは、使用者が握持可能なハンドルが取り付けられている、仮設足場用部材である。
【0029】
上記の構成によって、本発明は、ストッパーをジャッキ本体に容易に螺入して、その位置を容易に調整することを可能にする。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、仮設足場の架設工程の一部を統合し、以て、仮設足場の架設者の負担を軽減することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態に係る仮設足場用部材の全体の斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る仮設足場用部材の全体のAA´断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る仮設足場用部材の使用方法を説明するための側面図である。
図4】本発明の実施形態に係る仮設足場用部材の使用方法を説明するための上面図である。
図5】本発明の実施形態の変更例に係る仮設足場用部材の全体の斜視図である。
図6】本発明の実施形態の変更例に係る仮設足場用部材の全体のBB´断面図である。
図7】本発明の実施形態の他の変更例に係る仮設足場用部材の全体の斜視図である。
図8】本発明の実施形態の他の変更例に係る仮設足場用部材の全体のCC´断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、本発明の実施形態を、図1~8を用いながら説明する。
なお、本発明は、他の実施形態においても実施され得るものである。
【0033】
符号Xは、本発明の実施形態に係る仮設足場用部材を示すものとする。
また、仮設足場用部材Xは、くさび緊結式足場に用いられるものであり、符号Jは、くさび緊結式足場が併設された建築物を、符号Kは、くさび緊結式足場の支柱を、符号K1は、支柱Kが有するくさび受けを、符号Lは、くさび緊結式足場の足場板を、符号L1は、足場板Lが有するフックを、それぞれ示すものとする。
【0034】
仮設足場用部材Xの各構成の位置関係を明確にするために、本発明を実施する様態で、方位を定義する。
仮設足場用部材Xは、その実施において、建築物Jと支柱Kとの間に配置されるため、支柱Kがある側を支柱側、建築物Jがある側を建築物側と定義する。
【0035】
第一に、仮設足場用部材Xの各構成を、図1及び2を用いながら説明する。
【0036】
仮設足場用部材Xは、図1及び2に記載の構成として、ブラケット部1と、第一くさび2と、第二くさび3(図1中、前面透過)と、壁当てジャッキ部4と、を備える。
これらの構成は、すべて鋼材を素材とする。
【0037】
ブラケット部1は、図1及び2に記載の構成として、支持部11(図1中、前面透過)と、斜め補助支持部12と、鉛直補助支持部13と、当接板14と、脱落防止板15と、を有する。
【0038】
支持部11は、細長の略円筒形に形成され、その一端が建築物側に向かい、その他端が支柱側に向かうように、略水平に配置される。
また、支持部11の内側面(図1中、細破線)には、その建築物側の端部から、支柱側に向けて、所定の長さだけ雌ネジが切られている。この所定の長さは、長いほうがより好ましく、支持部11の全長であってもよい。
また、支持部11は、足場板LのフックL1を引っ掛け可能な寸法となっている。
【0039】
斜め補助支持部12は、細長の略柱体に形成され、その一端が建築物側の上方に向かい、その他端が支柱側の下方に向かうように、水平から傾斜して配置されている。
また、斜め補助支持部12の建築物側の端部は、支持部11の外側面の建築物側に下方から溶接されている。
また、斜め補助支持部12の支柱側の端部は、支持部11の支柱側の端部の略鉛直下方に配置されている。
【0040】
鉛直補助支持部13は、細長の略柱体に形成され、その長手方向が略鉛直方向に沿うように配置されている。
また、鉛直補助支持部13の一端は、支持部11の外側面の支柱側に下方から溶接され、鉛直補助支持部13の他端は、斜め補助支持部12の側面に上方から溶接されている。
【0041】
上記の配置において、支持部11、斜め補助支持部12、及び鉛直補助支持部13は、略直角三角形を形成するように配置されている。
【0042】
当接板14は、板状に形成され、その一方の板面が建築物側に対面し、その一方の板面が支柱側に対面するように、略鉛直に配置されている。
また、当接板14の建築物側の板面は、斜め補助支持部12の支柱側の端部に溶接されている。
【0043】
脱落防止板15は、板状に形成され、その一方の板面が建築物側に対面し、その一方の板面が支柱側に対面するように、略鉛直に配置されている。
また、脱落防止板15の下端部は、支持部11の外側面の建築物側の端部に上方から溶接されている。
【0044】
第一くさび2は、縦長の板状に形成され、その一方の板面が建築物側に対面し、その一方の板面が支柱側に対面するように、略鉛直に配置されている。
また、第一くさび2の上部は、支持部11の支柱側の端部に溶接されている。
また、第一くさび2の下部は、支柱Kのくさび受けK1に嵌合可能な寸法となっている。
【0045】
第二くさび3は、縦長の板状に形成され、その一方の板面が建築物側に対面し、その一方の板面が支柱側に対面するように、略鉛直に配置されている。
また、第二くさび3の上部は、支持部11の建築物側の端部に溶接されている。
また、第二くさび3の上部には、支持部11の内部に連通される貫通孔が空けられている。
また、第二くさび3の下部は、支柱Kのくさび受けK1に嵌合可能な寸法となっている。
【0046】
上記の構成において、ブラケット部1、第一くさび2、及び第二くさび3の外形は、公知のブラケットと類似の寸法になっている。
【0047】
壁当てジャッキ部4は、図1及び2に記載の構成として、ジャッキ本体41と、壁当て部42と、を有する。
また、壁当てジャッキ部4は、ブラケット部1と別体に構成されている。
【0048】
ジャッキ本体41は、細長の略円柱形に形成され、その一端が建築物側に向かい、その他端が支柱側に向かうように、略水平に配置されている。
また、ジャッキ本体41は、第二くさび3の貫通孔を介して支持部11の内部に挿入可能な寸法となっている。
また、ジャッキ本体41の側面には、その支柱側の端部から、建築物側に向けて、所定の長さだけ雄ネジが切られている。この所定の長さは、長いほうがより好ましく、ジャッキ本体41の全長であってもよい。
また、ジャッキ本体41に切られている雄ネジは、ジャッキ本体41が支持部11の内部に挿入される場合に、支持部11に切られている雌ネジに螺合されるものである。
【0049】
壁当て部42は、略円環形の板状に形成され、その一方の板面が建築物側に対面し、その一方の板面が支柱側に対面するように、略鉛直に配置されている。
また、壁当て部42の支柱側の板面は、ジャッキ本体41の建築物側の端部に溶接されている。
また、壁当て部42の建築物側の板面には、図1及び2に不記載の、例えばゴムを素材とするパッドが取り付けられていることが好ましい。
【0050】
第二に、仮設足場用部材Xの使用方法を、図3及び4を用いて説明する。
なお、図3及び4において、仮設足場用部材Xの構成でないものは、細破線及び前面透過で記載している。
【0051】
まず、使用者は、二側足場のくさび緊結式足場の架設方法に則り、複数の支柱Kとして、建築物Jから近い内柱と、建築物Jから遠い外柱と、を立設する。
このとき、使用者は、内柱の支柱Kを、外柱の支柱Kに対して1本飛ばしに立設する。
なお、上記架設方法は、労働安全衛生規則に則るものである。すなわち、内柱同士の間隔は1.85メートル以下である。
【0052】
次に、使用者は、壁当てジャッキ部4のジャッキ本体41を、ブラケット部1の支持部11の内部に螺入し、仮設足場用部材Xの全長を、建築物Jと外柱の支柱Kとの距離より短くする。
【0053】
次に、使用者は、第一くさび2を、内柱がない位置にある外柱のくさび受けK1に、上方から嵌合させる。使用者は、第一くさび2をハンマーで叩くことで、第一くさび2を、外柱のくさび受けK1に深く嵌合させることが好ましい。
【0054】
次に、使用者は、仮設足場用部材Xを取り付けていない支柱Kに、公知のブラケットを取り付ける。
【0055】
上記工程までに、内柱がある位置では、公知のブラケットが取り付けられ、内柱がない位置では、仮設足場用部材X又は公知のブラケットが取り付けられることになる。
なお、使用者は、仮設足場用部材Xであって、壁当てジャッキ部4を除いたものを、公知のブラケットとして用いることができる。
【0056】
次に、使用者は、足場板LのフックL1をブラケット部1の支持部11又は公知のブラケットの支持部に引っ掛け、足場板Lを架橋する。
【0057】
そして、使用者は、支持部11の内部に螺合されたジャッキ本体41を抽出し、壁当て部42を建築物Jの壁面に当接させる。
【0058】
第三に、仮設足場用部材Xが奏する効果を説明する。
【0059】
ブラケット部1は、公知のブラケットと同様の機構にて、足場板Lを安定的に支持することができる。
すなわち、ブラケット部1は、支持部11が、第一くさび2を介して支柱Kに固定され、また、斜め補助支持部12と鉛直補助支持部13が、当接板14を介して支柱Kに突っ張られることで、これらが協働して、足場板Lを略水平に支持することを可能にする。
このとき、脱落防止板15は、足場板Lの、ブラケット部1の支持部11からの脱落防止を可能にする。
【0060】
また、ブラケット部1は、第二くさび3が設けられていることで、壁当てジャッキ部4を支持部11の内部に挿入しない形態で、公知のブラケットとして使用することができる。
【0061】
壁当てジャッキ部4は、ジャッキ本体41が支持部11に螺入され、ジャッキ本体41の支持部11からの抽出長さが調整されることで、ジャッキ本体41を建築物Jに好適に突っ張らせることを可能にする。
【0062】
なお、支持部11の雌ネジとジャッキ本体41の雄ネジが長く切られていれば、ジャッキ本体41と支持部11とがさらに広い面で接触するため、壁当てジャッキ部4は、さらに好適に、ジャッキ本体41を建築物Jに好適に突っ張らせることを可能にする。
【0063】
また、仮設足場用部材Xは、ジャッキ本体41と支持部11とが広い面で接触するため、仮設足場が揺れた場合であっても、抗力が分散することで、破損しにくいものとなっている。
【0064】
壁当て部42の建築物側の板面にパッドが取り付けられていれば、建築物Jの壁面との摩擦力がさらに大きくなるため、壁当てジャッキ部4は、さらに好適に、仮設足場の傾倒防止を可能にする。
【0065】
仮設足場用部材Xは、内柱の支柱Kがない位置で、外柱の支柱Kに公知のブラケットの代わりに取付可能であることで、公知のブラケットを取り付ける工程と公知の壁当てジャッキを取り付ける工程を統合し、以て、作業員の負担を軽減することを可能にする。
【0066】
最後に、仮設足場用部材Xの構成の変更例を説明する。
なお、仮設足場用部材Xの構成は、下記の変更例のみならず、設計要求等に基づいて適宜変更され得るものである。
【0067】
仮設足場は、壁当てジャッキを用いることができるものであれば、くさび緊結式足場でなくてもよい。
この場合、第一くさび2及び第二くさび3は、その仮設足場に対応する取付手段に変更される。
例えば、仮設足場が枠組足場又は単管足場である場合、支持部11の両端には、支柱を挟持可能なクランプが設けられる。
【0068】
仮設足場は、二側足場ではなく、ブラケット一側足場であってもよい。
【0069】
ブラケット部1、第一くさび2、及び第二くさび3の外形は、任意の公知のブラケットと類似の寸法になっていてもよい。
一例として、ブラケット部1は、鉛直補助支持部13を備えなくてもよい。
【0070】
ブラケット部1と壁当てジャッキ部4との固定手段は、支持部11の雌ネジとジャッキ本体41の雄ネジではなく、別の手段であってもよい。
【0071】
固定手段の一変更例として、固定手段がボルト5である仮設足場用部材Xを、図5及び6を用いながら説明する。
【0072】
本変更例において、支持部11は、その内側面に雌ネジが切られていないものとなっている。
また、支持部11の側面には、その建築物側に、ボルト5に螺合される貫通ネジ孔6が下方から設けられている。
【0073】
本変更例において、ジャッキ本体41は、その側面に雄ネジが切られていないものとなっている。
【0074】
上記の構成に変更された仮設足場用部材Xにおいて、ブラケット部1と壁当てジャッキ部4とを固定するために、まず、使用者は、壁当てジャッキ部4のジャッキ本体41を、ブラケット部1の支持部11に挿入する。
【0075】
次に、使用者は、ボルト5を支持部11の貫通ネジ孔6に螺入する。
【0076】
そして、使用者は、ボルト5の先端面でジャッキ本体41の側面を押圧して、ジャッキ本体41を支持部11の内側面に押圧して固定する。
【0077】
なお、ジャッキ本体41は、ボルト5の押圧に好適に、その形状を変更してもよい。
【0078】
一例として、ジャッキ本体41の側面は、その支柱側の端部から、建築物側に向けて、所定の長さだけ平面に形成されていてもよい。
これによって、使用者は、ボルト5の先端面でジャッキ本体41の側面を、さらに広い面で押圧することができる。
【0079】
また、他の一例として、ジャッキ本体41の側面は、その支柱側の端部から、建築物側に向けて、所定の長さだけ、ボルト5を挿入可能な溝が形成されていてもよい。
これによって、使用者は、ボルト5の先端面でジャッキ本体41の溝の底部を押圧することで、ジャッキ本体41を、支持部11の内側面にさらに近い位置で押圧することができる。
【0080】
また、他の一例として、ジャッキ本体41は、略円筒形に形成され、その支柱側の端部から、建築物側に向けて、所定の長さだけ、ボルト5が挿入可能な隙間が形成されていてもよい。
これによって、使用者は、ボルト5の先端面でジャッキ本体41の内側面を押圧することで、ジャッキ本体41を、支持部11の内側面にさらに近い位置で押圧することができる。
【0081】
固定手段の他の一変更例として、固定手段が、略円筒形に形成され、その内側面に、ジャッキ本体の雄ネジに螺合される雌ネジが切られているストッパー7である仮設足場用部材Xを、図7及び8を用いながら説明する。
【0082】
本変更例において、支持部11は、その内側面に雌ネジが切られていないものとなっている。
【0083】
ストッパー7の外側面には、細長の略柱体に形成されたハンドル71が溶接されていることが好ましい。
【0084】
上記の構成に変更された仮設足場用部材Xにおいて、ブラケット部1と壁当てジャッキ部4とを固定するために、まず、使用者は、予めストッパー7を壁当てジャッキ部4に螺合させる。
そして、使用者は、ストッパー7の位置を調整し、壁当てジャッキ部4の壁当て部42を、建築物Jの壁面に当接させ、同時に、ストッパー7の支柱側の端部を第二くさび3に当接させることで、ブラケット部1と壁当てジャッキ部4とを固定することができる。
【0085】
なお、ストッパー7の外側面に、細長の略柱体に形成されたハンドル71が溶接されていれば、使用者は、ハンドル71を握持することで、ストッパー7をジャッキ本体41に容易に螺合させ、その位置を容易に調整することができる。
【符号の説明】
【0086】
X 仮設足場用部材
1 ブラケット部
11 支持部
12 斜め補助支持部
13 鉛直補助支持部
14 当接板
15 脱落防止板
2 第一くさび
3 第二くさび
4 壁当てジャッキ部
41 ジャッキ本体
42 壁当て部
5 ボルト
6 貫通ネジ孔
7 ストッパー
71 ハンドル
J 建築物
K 支柱
K1 くさび受け
L 足場板
L1 フック
【要約】      (修正有)
【課題】仮設足場の架設工程の一部を統合し、仮設足場の架設者の負担を軽減する。
【解決手段】仮設足場用部材であって、足場板Lを支持するブラケット部1と、仮設足場が建築物Jに向かって傾倒することを防止する壁当てジャッキ部4と、ブラケット部と壁当てジャッキ部とを固定する固定手段と、支柱Kへの取付手段である第一くさび2と、を備え、ブラケット部1は、足場板Lを当接支持する支持部11と、支持部11に設けられ、支柱Kに当接することで、支持部11と協働して足場板Lを支持する斜め補助支持部12及び鉛直補助支持部13と、を有し、壁当てジャッキ部4は、略柱体に形成されたジャッキ本体41と、ジャッキ本体41の一端に設けられ、建築物Jに面で当接する壁当て部42と、を有し、支持部11は、ジャッキ本体41を挿入可能に形成され、固定手段は、支持部11に切られている雌ネジ及びジャッキ本体41に切られている雄ネジである。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8