(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】不利地形におけるカテナリーの仮位置決めの施工方法
(51)【国際特許分類】
B60M 1/28 20060101AFI20230104BHJP
【FI】
B60M1/28 N
(21)【出願番号】P 2022505195
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(86)【国際出願番号】 CN2020136576
(87)【国際公開番号】W WO2021223443
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-01-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521550208
【氏名又は名称】中▲鉄▼九局集▲団▼▲電▼▲務▼工程有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHINA RAILWAY NO.9 GROUP ELECTRICAL ENGINEERING CO., LTD
【住所又は居所原語表記】No.36-5 Shenglibeijie Street, Heping District, Shenyang city, Liaoning, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 雄
(72)【発明者】
【氏名】邱 ▲暁▼▲傑▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲斉▼ 孟星
(72)【発明者】
【氏名】高 希斌
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 睿
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 睿
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】冀 ▲暁▼▲瑩▼
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109878380(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108973781(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110641319(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111469717(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107380012(CN,A)
【文献】特開2002-240597(JP,A)
【文献】特公昭49-037126(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60M 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不利地形におけるカテナリーの仮位置決めの施工方法であって、
[現場測定]であるステップS1であって、
カテナリーの線路に対応する、スイッチヘッドと、スイッチセンターと、スイッチエンドと、を含む仮レールスイッチの位置を確認し、
前記カテナリーの線路において同じ側の2つの支柱における第1支柱側面限界及び第2支柱側面限界をそれぞれ測定し、
前記スイッチセンターから
前記2つの支柱外縁までの第1垂直距離及び第2垂直距離をそれぞれ測定し、
前記スイッチヘッドから
前記スイッチセンターまでの距離及び
前記スイッチセンターから
前記スイッチエンドまでの距離を測定する
、ステップS1と、
[補助コードの算出及びプレハブ]であるステップS2であって、
前記ステップS1における
前記第1垂直距離及び
前記第2垂直距離に基づいて補助コードの全長を算出し、
算出された
前記補助コードの全長に基づいて
前記補助コードをプレハブする
、ステップS2と、
[横向きステーロープの算出及びプレハブ]であるステップS3であって、
横向きステーロープのプレハブ全長を算出し、且つ算出結果に基づいて
前記横向きステーロープをプレハブし、
レールスイッチ位置決め表に基づいて
前記横向きステーロープの取り付け位置を確定する
、ステップS3と、
[ステーワイヤーピットの掘削及び埋め戻し]であるステップS4であって、
前記2つの支柱の外側のそれぞれにステーワイヤーピットを掘削し、
前記ステーワイヤーピットにアンカプレート及びステーワイヤーロッドを取り付け、前記ステーワイヤーピットを埋め戻す
、ステップS4と、
[現場取り付け及び調整である]ステップS5であって、
前記2つの支柱のそれぞれに、アンカレッジ山形鋼及び仮ステーワイヤーを取り付ける、[アンカレッジ山形鋼及び仮ステーワイヤー
の取り付け
]であるステップと、
前記ステップS3で確定された
前記横向きステーロープの取り付け位置に基づいて、
前記横向きステーロープの一端を吊り下げワイヤクリップを介して
前記補助コードに接続する、
[横向きステーロープの一端
の取り付け
]であるステップと、
前記補助コードの両端のそれぞれを
、前記2つの支柱に取り付けられた
前記アンカレッジ山形鋼に接続する、
[補助コード
の取り付け
]であるステップと、
前記横向きステーロープの他端を
前記カテナリーに接続し、
前記横向きステーロープと
前記カテナリーとの接続点を
前記カテナリーの横向き調節位置決め点として、
前記横向きステーロープに
設けられる調節機
構の長さを調整することにより、
前記カテナリーの横向き調節位置決め点の引き出し値を制御する、
[横向きステーロープの他端
の取り付け
]であるステップと、を含む
、ステップS5と、
を含む、不利地形におけるカテナリー
の仮位置決めの施工方法。
【請求項2】
前記ステップS5において、前記仮ステーワイヤーの頂端は
前記アンカレッジ山形鋼を介して
前記支柱
の頂部に固定的に接続され、
前記仮ステーワイヤーの底端は
前記アンカプレート及び
前記ステーワイヤーロッドを介して
前記ステーワイヤーピット内に固定的に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の不利地形におけるカテナリーの仮位置決めの施工方法。
【請求項3】
前記ステップS5において、
前記補助コードの両端に
おいて、第1調節ボルトを介して
前記アンカレッジ山形鋼のダブルラグに接続されるダブルラグウェジワイヤクリップをプレハブし、
前記補助コードの取り付け過程において、
前記第1調節ボルトを最大長さまで緩め、取り付けが完了した後に両端の
前記第1調節ボルトを締め付ける、
ことを特徴とする請求項2に記載の不利地形におけるカテナリーの仮位置決めの施工方法。
【請求項4】
前記ステップS5において、
前記アンカレッジ山形鋼の取り付け高さは、
前記カテナリーの横向き調節位置決め点におけるメッセンジャーワイヤーの高さとコンタクトワイヤーの高さの平均値に150mmを加えるものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の不利地形におけるカテナリーの仮位置決めの施工方法。
【請求項5】
前記調節機構の一端には第1接続区間が設けられ、
前記調節機構の他端にはダブルホールヨークプレートと、碍子と、第2接続区間とが順次に接続され、前記第1接続区間は、
第1銅ストランドと、
前記第1銅ストランドの両端に設けられた第1ウェジワイヤクリップとを含んでおり、2つの
前記第1ウェジワイヤクリップのそれぞれは、
前記補助コード
及び前記調節機構を接続するために用いられ、前記第2接続区間は、
第2銅ストランドと、
前記第2銅ストランドの両端に設けられた第2ウェジワイヤクリップとを含み、2つの
前記第2ウェジワイヤクリップのそれぞれは、
前記碍子
及び前記カテナリーのメッセンジャーワイヤーを接続するために用いられ、
前記調節機構は第2調節ボルトである、
ことを特徴とする請求項1に記載の不利地形におけるカテナリーの仮位置決めの施工方法。
【請求項6】
前記ステップS5において、
前記横向きステーロープの一端の
前記第1ウェジワイヤクリップは、第1吊り下げワイヤクリップを介して
前記補助コードに接続され、
前記横向きステーロープの他端の第2ウェジワイヤクリップは、第2吊り下げワイヤクリップを介して
前記メッセンジャーワイヤーに接続され、かつ第2接続区間の
前記第2銅ストランドには、管型ポジショナーを介してコンタクトワイヤーに接続された眼型ワイヤクリップが設けられ、前記管型ポジショナーの位置決めワイヤクリップと
前記メッセンジャーワイヤーの
前記第2吊り下げワイヤクリップとは垂直面に沿って上下に配置される、
ことを特徴とする請求項5に記載の不利地形におけるカテナリーの仮位置決めの施工方法。
【請求項7】
前記補助コード及び
前記メッセンジャーワイヤーは、いずれもメインコードと、防滑バックアップラインと、パラレルグルーヴクランプと、を含み、前記パラレルグルーヴクランプは前記メインコードと前記防滑バックアップラインとを固定的に接続するために用いられ、
前記メッセンジャーワイヤーの
前記防滑バックアップラインは、銅ストランドを採用し、
前記補助コードの
前記防滑バックアップライン及び
前記補助コードは、いずれも同材質の鋼ストランドを採用する、
ことを特徴とする請求項6に記載の不利地形におけるカテナリーの仮位置決めの施工方法。
【請求項8】
前記支柱の外側から8mの箇所に
前記ステーワイヤーピットを掘削し、前記仮ステーワイヤーの仮ステーワイヤー角度は、
前記カテナリーの外側に向いて6~10°傾斜し、
前記仮ステーワイヤーと
前記アンカレッジ山形鋼との間は、シングルラグウェジワイヤクリップを介して接続される、
ことを特徴とする請求項2に記載の不利地形におけるカテナリーの仮位置決めの施工方法。
【請求項9】
前記補助コード及び
前記横向きステーロープは、いずれも1本のコードである、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の不利地形におけるカテナリーの仮位置決めの施工方法。
【請求項10】
前記補助コード及び
前記横向きステーロープは、いずれも2本あり、2本の
前記補助コードは上下に配置され、2本の
前記横向きステーロープは上下に配置され、上部の
前記横向きステーロープは
前記メッセンジャーワイヤーに対応して接続され、下部の
前記横向きステーロープは
前記管型ポジショナーを介して
前記コンタクトワイヤーに対応して接続される、
ことを特徴とする請求項
6又は請求項7に記載の不利地形におけるカテナリーの仮位置決めの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化鉄路カテナリー(catenary)施工の技術分野に属し、特に、不利地形におけるカテナリーの仮位置決め(temporary positioning)の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カテナリーは、支柱及び基礎、支持装置、コンタクトサスペンション(contact suspension)、接地及び還流装置などが含まれる、大きなシステムであり、コンタクトサスペンションは、メッセンジャーワイヤー、コンタクトワイヤー、吊り弦、及び関連部品が含まれ、前記吊り弦の上端はメッセンジャーワイヤーに接続され、前記吊り弦の下端はコンタクトワイヤーに接続されており、コンタクトワイヤーを吊り下げる役割を果たす。カテナリーの位置決めは、特に、メッセンジャーワイヤーとコンタクトワイヤーに対する位置決めを指す。
【0003】
既存の電気化鉄路駅の改修において、スロートエリア(throat area)のレールスイッチ(rail switch)の改造が多く、且ついずれも施工スカイライト(skylight)で作業する必要があり、駅の両端のスロートエリアには、既存の下貫通フレーム橋(under crossing frame bridge)が多く存在しているため、橋面に仮レールスイッチを挿入して過渡施工を行うことを回避するのが困難であり、この時、レールスイッチの上方のカテナリーは、同期に施工する必要がある。
【0004】
従来の施工において、しばしば、鉄道線路方向に沿って橋を跨ぐように一組のラージスパン特型過渡ハードビーム(large-span special transitional hard beam)を架設した後、ハードビームに過渡腕アームを取り付けてカテナリーを位置決める。この方法は、作業量が大きく、施工周期が長く、コストが高く、大型クレーンによる作業を必要とし、且つ最外側線路のカテナリーのみを位置決めできる、という欠点が存在している。
【0005】
従って、上記従来技術の不足を改善する技術案を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術に存在する問題を解決又は緩和するために、不利地形におけるカテナリーの仮位置決めの施工方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、本発明は以下のような技術案を提供する。
本発明は、
カテナリーの線路に対応する、スイッチヘッドと、スイッチセンターと、スイッチエンドと、を含む仮レールスイッチの位置を確認し、且つパイルハンドオーバー(pile handover)を実行し、
カテナリーの線路において同じ側の2つの支柱における第1支柱側面限界及び第2支柱側面限界をそれぞれ測定し、
スイッチセンターから2つの支柱外縁までの第1垂直距離及び第2垂直距離をそれぞれ測定し、
スイッチヘッドからスイッチセンターまでの距離及びスイッチセンターからスイッチエンドまでの距離を測定する、現場パイルハンドオーバー及び測定であるステップS1と、
ステップS1における第1垂直距離及び第2垂直距離に基づいて補助コードの全長を算出し、
算出された補助コードの全長に基づいて補助コードをプレハブする、補助コードの算出及びプレハブであるステップS2と、
横向きステーロープ(横向きランヤード、lateral stay rope)のプレハブ全長を算出し、且つ算出結果に基づいて横向きステーロープをプレハブし、
レールスイッチ位置決め表に基づいて横向きステーロープの取り付け位置を確定する、横向きステーロープの算出及びプレハブであるステップS3と、
2つの支柱の外側のそれぞれにステーワイヤーピット(stay wire pit)を掘削し、
ステーワイヤーピットにはアンカプレートやステーワイヤーロッドを取り付け、ステーワイヤーピットを埋め戻す、ステーワイヤーピットの掘削及び埋め戻しであるステップS4と、
スカイライト作業時間において、2つの支柱のそれぞれには、アンカレジ山形鋼及び仮ステーワイヤーを取り付ける、アンカレッジ山形鋼及び仮ステーワイヤーを取り付けることと、
ステップS3で確定された横向きステーロープの取り付け位置に基づいて、横向きステーロープの一端を吊り下げワイヤクリップを介して補助コードに接続する、横向きステーロープの一端を取り付けることと、
前記補助コードの両端のそれぞれを2つの支柱に取り付けられたアンカレッジ山形鋼に接続する、補助コードを取り付けることと、
横向きステーロープの他端をカテナリーに接続し、横向きステーロープとカテナリーとの接続点をカテナリーの横向き調節位置決め点として、横向きステーロープには調節機構が設けられ、調節機構の長さを調整することにより、カテナリーの横向き調節位置決め点の引き出し値を制御する、横向きステーロープの他端を取り付けることと、を含む、現場取り付け及び調整であるステップS5と、
を含む、不利地形におけるカテナリーの仮位置決めの施工方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明実施例の技術案は、最も近い先行技術と比べ、以下の有益な効果を奏する。
【0009】
1、本発明は、補助コードを採用して横向きステーロープを固定し、横向きステーロープでカテナリーを固定することにより、既存の橋に穿孔してアンカーボルトを埋め込むこと、及び、鋼柱を取り付けることを回避し、既存の橋に対する破壊を回避する。
【0010】
2、前期測定及び算出によりフレーム橋の上方のカテナリーの横向き調節位置決め点を確定し、施工段階を減少し、横向き調節位置決め点の精度を向上させる。
【0011】
3、採用された方法は、簡便で実用的であり、施工効率を向上させる。
【0012】
4、カテナリーレーザ測量機を用いてカテナリーの横向き調節位置決め点の引き出し値を測定して照合し、要求に合致しない場合に横向きステーロープにおける調節機構で調整することができ、橋上のカテナリーレールスイッチの技術パラメータが要求を満たすことを確保する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の一部を構成する明細書図面は、本発明への更なる理解を提供するために用いられ、本発明の模式的な実施例及びその説明は、本発明への解釈のために用いられ、本発明に対する不適当な限定にならない。
【
図2】
図1における補助コードの構造詳細図である。
【
図3】
図2における横向きステーロープの構造詳細図である。
【
図4】
図3における横向きステーロープとカテナリーとの接続点における構造詳細図である。
【
図7】実施例2におけるダブル横向きステーロープの構造模式図である。
【
図8】実施例2におけるダブル補助コードの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1~
図8に示すように、本発明は、不利地形におけるカテナリー交差ラインスイッチ又は橋上曲線の箇所における仮位置決めの施工方法を提供する。
【0015】
本実施例は、ハードビーム区間を例として、具体的な施工プロセスは、以下のとおりである。
【0016】
ステップS1、現場パイルハンドオーバー及び測定
図1に示すように、カテナリーの線路に対応する、スイッチヘッドWAと、スイッチセンター2と、スイッチエンド3と、を含む仮レールスイッチ位置を確認し、且つパイルハンドオーバーを実行する。
鋼巻尺を用いて以下の数値を測定する。
A、カテナリーの線路において同じ側の隣接する2つの支柱における第1支柱側面限界Cx1及び第2支柱側面限界Cx2を測定する。
B、スイッチセンター2から左右の2つの支柱外縁までの第1垂直距離S1及び第2垂直距離S2をそれぞれ測定する。
C、スイッチヘッドWAからスイッチセンター2までの距離y1及びスイッチセンター2からスイッチエンド3までの距離y2を測定する。
【0017】
ステップS2、補助コード6の算出及びプレハブ
A、補助コード6の長さの算出
補助コード6のプレハブ全長Sの算出
S=S1+S2
プレハブされた補助コード6のコード全長Lの算出
L=S-2Sx-2St
式において、
Sxは、第1調節ボルト9の算出長さであり、単位がミリメートル(mm)であり、
Stは、アンカレッジ山形鋼7の両ラグ孔とアンカレッジ山形鋼7の本体との間の垂直距離であり、単位がミリメートル(mm)である。
【0018】
B、補助コード6のプレハブ
補助コード6のコードの一端にはダブルラグウェジワイヤクリップ(double-lug wedge wire clip)8をプレハブし、且つプレハブされた補助コード6の一端を強固で確実な位置に接続した後、コードを広げてチェーンブロック及び掴線器を用いて補助コード6のコードの他端を締め付ける。上記Lは、補助コード6の両端のダブルラグウェジワイヤクリップ8のピッチであり、長さLに500mmの戻し距離(returning distance)を加えてから断線した後、他端のダブルラグウェジワイヤクリップ8をプレハブし、プレハブされた戻し長さを500mmにさせる。補助コードの他端にダブルラグウェジワイヤクリップ8をプレハブする。
さらに、補助コード6のコードは、70mm2のアルミニウム亜鉛めっき鋼ストランドを採用する。
【0019】
ステップS3、横向きステーロープ1の算出及びプレハブ
A、横向きステーロープ1の全長の算出
図3に示すように、本実施例は、ハードビーム区間を例として算出するものであるため、等径円支柱を採用し、支柱の傾きが考慮されない。(ソフトクロス区間(soft cross segment)は格子造りの鋼支柱を採用し、支柱の傾き及び支柱自体のテーパを考慮する必要がある)。また、支柱の撓みおよびコードが引っ張られることを考える場合、補助コード6の横方向のズレ量を100mm(この値は経験的な推定値であってもよい)に予め設定されている。
【0020】
横向きステーロープ1のプレハブ全長は、
Lx=Cx+(|Cx2-Cx1|)*(S1+x-y1)/(S1+S2)-a-100
であり、式において、
aはカテナリーの横向き調節位置決め点の引き出し値であって、予め設定値(例えば、その値は、設計図面に規定されたものであり、各位置決め点におけるサスペンションは、いずれも設計に規定された引き出し値を有し、鉄路カテナリー施工において常にアルファベットの小文字のaで表示する)であり、単位はミリメートル(mm)であり、
Cxは、Cx1、Cx2のうちの小さい方である。
【0021】
B、補助コード6における横向きステーロープ1の取り付け位置の算出
横向きステーロープ1の左側支柱4からの距離は、
D1=S1+x-y1
であり、式において、
y1は、スイッチヘッドWAからスイッチセンター2までの距離であり、単位がミリメートル(mm)であり、
xはスイッチヘッドWAから位置決め点までの垂直距離であり、単位がミリメートル(mm)である。
【0022】
ここでの位置決め点は、補助コード6における横向きステーロープ1の取り付け位置であり、xはスイッチヘッドWAから横向きステーロープを取り付ける位置決め点までの垂直距離であり、x値の確定方法は以下のとおりである。
列車レールは、一般的に、レールタイプが60Kg/mのレールを採用しており、異なるレールスイッチタイプ、例えばよくある12号レールスイッチに対して、レールスイッチ位置決め表(
図6に示すように)から分かるように、レールスイッチ柱におけるレールスイッチ開口の大きさが300mmである場合、対応する位置決め点からスイッチヘッドWAまでの距離は16.5mであり、すなわちxは16.5mであり、レールスイッチ柱におけるレールスイッチ開口の大きさが350mmである場合、対応する位置決め点からスイッチヘッドWAまでの距離は17.68mであり、すなわちxは17.68mである。表を検索する過程においてレールスイッチ柱におけるレールスイッチ開口の大きさの選択は、一般的に設計状況に応じて決定される。
【0023】
上記算出方法に基づいて横向きステーロープ1の左側支柱4からの距離D1を確定した後、横向きステーロープ1の一端を第1吊り下げワイヤクリップ12を介して補助コード6に取り付ける。
【0024】
ステップS4、ステーワイヤーピットの掘削及び埋め戻し
図1に示すように、ステーワイヤーピットの掘削と、アンカプレート及びステーワイヤーロッドの埋設と、仮ステーワイヤー20のプレハブとを含む。
【0025】
補助コード6が2つの支柱の内側に対して発生する張力をバランスさせるために、2つの支柱の外側のそれぞれに2本の仮ステーワイヤー20が張設され、まずステーワイヤーピットを掘削し、2つの支柱の外側から約8mの箇所にステーワイヤーピットを掘削する。
【0026】
さらに、横向きステーロープ1が施工過程において補助コード6を介して支柱に対して発生する張力をバランスさせ、支柱の安定性を保証するために、仮ステーワイヤー20はカテナリーの外側に向いて傾斜して設けられ、仮ステーワイヤー20と補助コード6との水平面における夾角は6~10°であり、その後、アンカプレート及びステーワイヤーロッドを取り付け、最後に基礎ピットの埋め戻しを行う。
【0027】
ステップS5、現場取り付け及び調整
A、アンカレッジ山形鋼7及び仮ステーワイヤー20を取り付ける。
スカイライト作業時間を利用し、2つの支柱のそれぞれには、アンカレッジ山形鋼7を取り付け、仮ステーワイヤー20の頂端はアンカレッジ山形鋼7を介して支柱頂部に固定的に接続され、仮ステーワイヤー20の底端はアンカプレート及びステーワイヤーロッドを介してステーワイヤーピット内に固定的に接続される。
【0028】
さらに、仮ステーワイヤー20とアンカレッジ山形鋼7との間には、シングルラグウェジワイヤクリップを介して接続される。
【0029】
さらに、アンカレッジ山形鋼7の取り付け高さは、カテナリーの横向き調節位置決め点におけるメッセンジャーワイヤー21の高さとコンタクトワイヤー22の高さの平均値に150mmを加えたものである。
【0030】
B、横向きステーロープ1の一端を取り付ける。
ステップS3で確定された横向きステーロープ1の取り付け位置に基づいて、横向きステーロープ1の一端を補助コード6に接続する。
【0031】
さらに、横向きステーロープ1の一端を第1吊り下げワイヤクリップ12を介して補助コード6に接続する。
【0032】
C、補助コード6を取り付ける。
前記補助コード6の両端のそれぞれを2つの支柱に取り付けられたアンカレッジ山形鋼7に接続する。
【0033】
具体的な操作は以下のとおりである。補助コード6の一端のダブルラグウェジワイヤクリップ8を左側支柱4上のアンカレッジ山形鋼7に接続し、補助コード6の他端のダブルラグウェジワイヤクリップ8をチェーンブロックを介して右側支柱5に接続し、チェーンブロックを徐々に締め付けた後、補助コード6の他端のダブルラグウェジワイヤクリップ8を右側支柱5上のアンカレッジ山形鋼7に接続する。
【0034】
さらに、ダブルラグウェジワイヤクリップ8は、第1調節ボルト9を介してアンカレッジ山形鋼7のダブルラグに接続される。
【0035】
さらに、補助コード6の取り付け過程において、第1調節ボルト9を最大長さまで緩め、取り付けが完了した後に両端の第1調節ボルト9を締め付ける。
【0036】
第1吊り下げワイヤクリップ12に合わせるために、補助コード6は、防滑バックアップライン(anti-skid backup line)の方式を採用して第1吊り下げワイヤクリップ12に接続され、補助コード6は、メインコードと、防滑バックアップラインと、パラレルグルーヴクランプ(parallel groove clamp)と、を含んでおり、パラレルグルーヴクランプは、メインコードと防滑バックアップラインとを固定的に接続するために用いられ、補助コード6に接続される防滑バックアップラインは、補助コード6と同材質の鋼ストランドを採用する。
【0037】
D、横向きステーロープ1の他端を取り付ける。
図1~
図4に示すように、横向きステーロープ1の他端はカテナリーに接続され、横向きステーロープ1とカテナリーとの接続点はカテナリーの横向き調節位置決め点であり、横向きステーロープ1には調節機構が設けられ、調節機構の長さを調整することにより、カテナリーの横向き調節位置決め点の引き出し値を制御する。
【0038】
図3に示すように、前記調節機構は第2調節ボルト17であり、前記第2調節ボルト17の一端には第1接続区間10が設けられ、前記第2調節ボルト17の他端にはダブルホールヨークプレート(double-hole yoke plate)18と、碍子19と、第2接続区間11とが順次に接続され、前記第1接続区間10は、銅ストランド102と、銅ストランド102の両端に設けられた第1ウェジワイヤクリップ101とを含んでおり、2つの第1ウェジワイヤクリップ101のそれぞれは、補助コード6および第2調節ボルト17を接続するために用いられ、前記第2接続区間11は、銅ストランド112と、銅ストランド112の両端に設けられた第2ウェジワイヤクリップ111とを含み、2つの第2ウェジワイヤクリップ111のそれぞれは、碍子19およびメッセンジャーワイヤー21を接続するために用いられる。
【0039】
図2及び
図3に示すように、横向きステーロープ1の一端の第1ウェジワイヤクリップ101は、第1吊り下げワイヤクリップ12を介して補助コード6に接続され、横向きステーロープ1の他端の第2ウェジワイヤクリップ111は、第2吊り下げワイヤクリップ13を介してメッセンジャーワイヤー21に接続され、第2接続区間11の銅ストランド112には、1300型の管型ポジショナー14を介してコンタクトワイヤー22に接続された眼型ワイヤクリップ15が設けられ、前記管型ポジショナー14の位置決めワイヤクリップとメッセンジャーワイヤー21の第2吊り下げワイヤクリップ13とは垂直面に沿って上下に配置される。
【0040】
さらに、
図4に示すように、第2吊り下げワイヤクリップ13に合わせるために、メッセンジャーワイヤー21も防滑バックアップラインの方式を採用して第2吊り下げワイヤクリップ13に接続され、メッセンジャーワイヤー21は、メインコード211と、防滑バックアップライン212と、パラレルグルーヴクランプ213と、を含んでおり、パラレルグルーヴクランプ213はメインコード211と防滑バックアップライン212を固定的に接続するために用いられ、メッセンジャーワイヤー21の防滑バックアップライン212は、銅ストランドを採用する。
【0041】
具体的な操作は以下のとおりである。
カテナリー作業梯子車がレールに乗り、
図4に示すように、メッセンジャーワイヤー21には防滑バックアップライン212を取り付け、チェーンブロックを用いてメッセンジャーワイヤー21と横向きステーロープ1とを接続し、チェーンブロックを締め付け、防滑バックアップラインの第2吊り下げワイヤクリップ13と横向きステーロープの第2ウェジワイヤクリップ111とを接続し、同様の方法でコンタクトワイヤー22と横向きステーロープの管型ポジショナー14の位置決めワイヤクリップとを接続する。その後、チェーンブロックを緩め、カテナリーレーザ測量機を用いてカテナリーの横向き調節位置決め点の引き出し値を測定し、且つ上記aと照合し、要求に合致しない場合に横向きステーロープ1における第2調節ボルト17を介して調節することができ、調節後にカテナリーの横向き調節位置決め点の引き出し値を仮レールスイッチに要求されるカテナリーの横向き調節位置決め点の引き出し値aと同じにすればよい。
【0042】
実施例2:
本実施例が実施例1と異なる点は、以下のとおりである。
実施例1における補助コード6と横向きステーロープ1は、いずれも1本のコードである。現場の実情に応じて、
図7及び
図8に示すように、補助コード及び横向きステーロープは、いずれも2本あり、補助コードは上下に配置された上部補助コード61及び下部補助コード62を含み、上部補助コード61の高さはメッセンジャーワイヤー21の横向き調節位置決め点より150mm高く、下部補助コード62の高さはコンタクトワイヤー22の横向き調節位置決め点より500mm高く、2つの横向きステーロープは上下に配置され、上部の横向きステーロープはメッセンジャーワイヤー21に対応して接続され、下部の横向きステーロープは管型ポジショナー14を介してコンタクトワイヤー22に対応して接続される。
【0043】
要するに、本発明は、不利地形におけるカテナリーの仮位置決めの施工方法を提供し、仮(臨時)の補助コード6を採用して横向きステーロープ1を固定し、横向きステーロープ1でカテナリーを固定することにより、既存の橋に穿孔してアンカーボルトを埋め込むこと、及び、鋼柱を取り付けることを回避し、既存の橋に対する破壊を回避し、前期測定及び算出によりフレーム橋の上方のカテナリーの横向き調節位置決め点を確定し、施工段階を減少し、横向き調節位置決め点の精度を向上させ、採用された方法は、簡便で実用的であり、施工効率を向上させ、カテナリーレーザ測量機を用いてカテナリーの横向き調節位置決め点の引き出し値を測定し、且つ横向きステーロープ1における調節機構でそれを調整することができ、橋上のカテナリーレールスイッチの技術パラメータが要求を満たすことを確保する。
【符号の説明】
【0044】
1 横向きステーロープ
2 スイッチセンター
3 スイッチエンド
4 左側支柱
5 右側支柱
6 補助コード
61 上部補助コード
62 下部補助コード
7 アンカレッジ山形鋼
8 ダブルラグウェジワイヤクリップ
9 第1調節ボルト
10 第1接続区間
101 第1ウェジワイヤクリップ
102 第1銅ストランド
11 第2接続区間
12 第1吊り下げワイヤクリップ
13 第2吊り下げワイヤクリップ
14 ポジショナー
15 眼型ワイヤクリップ
16 第2ウェジワイヤクリップ
17 第2調節ボルト
18 ダブルホールヨークプレート
19 碍子
20 仮ステーワイヤー
21 メッセンジャーワイヤー
22 コンタクトワイヤー