(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】接眼ディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20230104BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20230104BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02F1/13 505
G02F1/1347
(21)【出願番号】P 2017224264
(22)【出願日】2017-11-22
【審査請求日】2020-03-11
(31)【優先権主張番号】201611050651.7
(32)【優先日】2016-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】500093133
【氏名又は名称】中強光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】▲荘▼ 福明
(72)【発明者】
【氏名】張 銓仲
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 瑞翊
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 乙白
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-066625(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101981497(CN,A)
【文献】特開2011-076107(JP,A)
【文献】特開平06-347816(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0070104(US,A1)
【文献】特開2008-209923(JP,A)
【文献】特開平07-134275(JP,A)
【文献】特開2003-195274(JP,A)
【文献】特開2003-005132(JP,A)
【文献】特開2005-227334(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0021226(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0097277(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
G02B 27/10-27/12
G02F 1/13
G02F 1/1333
G02F 1/1347
G02B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接眼ディスプレイであって、
表示パネル、液晶層及びレンズ素子を含み、
前記表示パネルは、映像光束を提供するために用いられ、
前記液晶層は、前記表示パネルの近傍に配置され、前記映像光束は、前記液晶層を通過し、
前記液晶層は、前記表示パネルと前記レンズ素子との間に配置され、前記液晶層の少なくとも一部は、位相変調が生じ、これにより、前記映像光束を変調し、
前記表示パネルは、透明型表示パネルであり、前記映像光束は、順に前記液晶層及び前記レンズ素子を通過し、且つ環境光束は、順に前記表示パネル、前記液晶層及び前記レンズ素子を通過し、
前記液晶層は、光学微細構造層をさらに含み、前記光学微細構造層は、前記レンズ素子と前記表示パネルとの間に位置し、前記光学微細構造層は、前記表示パネルに面し且つ配列されて設置される複数の光学微細構造を含み、各前記光学微細構造は、前記表示パネルに傾斜した傾斜面を含み、
前記液晶層は、第一基板、第二基板及び液晶材料をさらに含み、前記液晶材料は、前記第一基板と前記第二基板との間に充填され、
前記光学微細構造層は、前記第二基板上に配置され、且つ前記第二基板と前記表示パネルとの間に位置し、これらの光学微細構造の材料は、双軸屈折特性を有する、接眼ディスプレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の接眼ディスプレイであって、
前記表示パネルは、第一方向及び前記第一方向に垂直な第二方向に沿ってアレイ状に配列される複数の画素を含み、前記液晶層は、前記表示パネルに対して前記第一方向及び第三方向により構成される平面上で第一傾斜角を有し、前記液晶層は、位相変調が生じ、これにより、前記液晶層を通過した前記映像光束が前記第一方向上で第一変位を生成するようにさせ、前記第一変位は、前記画素の前記第一方向上での画素幅以下であり、
前記第三方向は、前記第一方向と前記第二方向のそれぞれに垂直である、接眼ディスプレイ。
【請求項3】
請求項2に記載の接眼ディスプレイであって、
前記液晶層は、前記表示パネルに対して前記第二方向及び前記第三方向により構成される平面上で第二傾斜角を有し、前記液晶層は、位相変調が生じ、これにより、前記液晶層を通過した前記映像光束が前記第二方向上で第二変位を生成するようにさせ、前記第二変位は、前記画素の前記第二方向上での画素幅以下である、接眼ディスプレイ。
【請求項4】
請求項1に記載の接眼ディスプレイであって、
前記表示パネルは、第一方向及び該第一方向に垂直な第二方に沿ってアレイ状に配列される複数の画素を含み、前記液晶層は、スタックされて設置される第一サブ液晶層及び第二サブ液晶層を含み、前記第一サブ液晶層は、前記表示パネルに対して前記第一方向上で第一傾斜角を有し、前記第一サブ液晶層は、位相変調が生じ、これにより、前記第一サブ液晶層を通過した映像光束が前記第一方向上で第一変位を生成するようにさせ、前記第一変位は、前記画素の前記第一方向上での画素幅以下であり、前記第二サブ液晶層は、前記表示パネルに対して前記第二方向上で第二傾斜角を有し、前記第二サブ液晶層は、位相変調が生じ、これにより、前記第二サブ液晶層を通過した前記映像光束が前記第二方向上で第二変位を生成するようにさせ、前記第二変位は、該画素の前記第二方向上での画素幅以下である、接眼ディスプレイ。
【請求項5】
請求項1に記載の接眼ディスプレイであって、
前記表示パネルは、第一方向及び前記第一方向に垂直な第二方向に沿ってアレイ状に配列される複数の画素を含み、各前記光学微細構造の前記第一方向上での幅は、前記画素の前記第一方向上での画素幅以上であり、各前記光学微細構造の前記第二方向上での幅は、前記画素の前記第二方向上での画素幅以上である、接眼ディスプレイ。
【請求項6】
請求項1に記載の接眼ディスプレイであって、
前記表示パネルは、第一方向及び前記第一方向に垂直な第二方向に沿ってアレイ状に配列される複数の画素を含み、各前記傾斜面は、前記表示パネルに対して前記第一方向上で第一傾斜角を有し、前記液晶層は、位相変調が生じ、これにより、前記液晶層を通過した前記映像光束が前記第一方向上で第一変位を形成するようにさせ、前記第一変位は、前記画素の前記第一方向上での画素幅以下である、接眼ディスプレイ。
【請求項7】
請求項
6に記載の接眼ディスプレイであって、
各前記傾斜面は、前記表示パネルに対して前記第二方向上で第二傾斜角を有し、前記液晶層は、位相変調が生じ、これにより、前記液晶層を通過した前記映像光束が前記第二方向上で第二変位を生成するようにさせ、前記第二変位は、該画素の前記第二方向上での画素幅以下である、接眼ディスプレイ。
【請求項8】
請求項1に記載の接眼ディスプレイであって、
前記レンズ素子は、マイクロレンズアレイである、接眼ディスプレイ。
【請求項9】
請求項1に記載の接眼ディスプレイであって、
前記液晶層を通過した前記映像光束は、前記レンズ素子を通過し、前記レンズ素子は、前記映像光束を集めて前記映像光束をピューピルに進入させる、接眼ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、接眼ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
NED(near-eye display、NED)の迅速な発展に伴い、使用者がNEDを装着する時に見た映像に、より本物そっくりでより快適な視覚効果を持たせるために、ライトフィールド(Light Field)NEDが誕生した。ライトフィールドNEDと従来NEDとの最大の相違点は、ライトフィールド映像のメカニズムにより、ライトフィールドNEDに、光路全体の長さを大幅に短縮し得る利点をさらに持たせ、これにより、より軽くて薄いNEDを実現し得ることにある。
【0003】
しかし、ライトフィールドNEDでは、二次元映像データだけでなく、映像光束を表示する三次元情報を提供しなければならず、これにより、大部分のライトフィールドNEDは、映像の解像度が急に下がるという問題がある。よって、如何に従来のライトフィールドNED又は一般のNEDの解像度を有効に向上させるかは、当業者が注目するキーポイントの1つである。
【0004】
なお、この「背景技術」の部分が、本発明の内容への理解を助けるためだけのものであるため、この「背景技術」の部分に開示されている内容は、当業者に知られていない技術を含む可能性がある。よって、この「背景技術」の部分に開示されている内容は、該内容、又は、本発明の1つ又は複数の実施例が解決しようとする課題が本発明出願前に既に当業者に周知されていることを意味しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来の接眼ディスプレイに比べ、比較的高い解像度を有する接眼ディスプレイを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的及び利点は、本発明に開示されている技術的特徴からさらに理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の1つ又は一部又は全部の目的或いは他の目的を達成するために、本発明の一実施例では、接眼ディスプレイが提供され、それは、表示パネル、液晶層及びレンズ素子を含む。表示パネルは、映像光束を提供するために用いられる。液晶層は、表示パネルの近傍に配置され、且つ映像光束は、液晶層を通過する。液晶層は、表示パネルとレンズ素子との間に配置される。液晶層の少なくとも一部は、映像光束を変調するように、位相変調(Phase Modulation)が生じる。
【0008】
上述により、本発明の実施例は、少なくとも次の1つの利点又は効果を有する。本発明の実施例では、接眼ディスプレイの液晶層は、表示パネルの近傍に配置され、且つ液晶層は、表示パネルとレンズ素子との間に配置される。また、表示パネルが提供した映像光束は、液晶層を通過し、且つ液晶層の少なくとも一部は、映像光束を変調するように、位相変調が生じる。よって、液晶層は、映像光束を変調することで、表示パネルに対応する映像の位置を調整し、これにより、調整後の映像の位置は、調整前の映像の位置に対して変位を有するようになる。液晶層が異なる時点で持続的に映像の位置に対して調整を行うことにより、使用者は、異なる時点で調整前及び調整後の映像の位置を見た時に、調整前の映像及び調整後の映像により形成された高解像度の映像を見ることができる。よって、本発明の実施例における接眼ディスプレイは、高解像度を有する。
【0009】
本発明の上述の特徴及び利点をより明らかにするために、以下、実施例を挙げ、添付した図面を参照することにより、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】本発明の一実施例における接眼ディスプレイの側面図である。
【
図1B】
図1Aの実施例における液晶層が表示パネルの近傍に配置される立体図である。
【
図1C】
図1Aの実施例における表示パネルの画素の位置及び液晶層による調整後の映像の位置を示す図である。
【
図2A】
図1Aの実施例における映像光束が液晶層を通過する光路を示す図である。
【
図2B】
図1Aの実施例における映像の液晶層による調整後の移動距離及び液晶層の表示パネルに対しての傾斜角を示す図である。
【
図3A】本発明のもう1つの実施例における液晶層が表示パネルの近傍に配置される様子を示す図である。
【
図3B】
図3Aの実施例における表示パネルの画素の位置及び液晶層による調整後の映像の位置を示す図である。
【
図4A】本発明のまたもう1つの実施例における液晶層が表示パネルの近傍に配置される様子を示す図である。
【
図4B】
図4Aの実施例における表示パネルの画素の位置及び液晶層による調整後の映像の位置を示す図である。
【
図5A】本発明の他の実施例における接眼ディスプレイの側面図である。
【
図6A】
図5Aの実施例における映像光束が液晶材料及び光学微細構造を通過する光路を示す図である。
【
図6B】
図5Aの実施例における映像の液晶層による調整後の移動距離及び光学微細構造の傾斜面の表示パネルに対しての傾斜角を示す図である。
【
図7】本発明のもう1つの実施例における接眼ディスプレイの液晶層の一部の領域の拡大図である。
【
図8A】本発明のまたもう1つの実施例における接眼ディスプレイの側面図である。
【
図8B】
図8Aの実施例における表示パネルの画素の位置及び複数の液晶ユニットの位置を示す図である。
【
図9A】本発明の実施例における表示パネルの画素の位置及び複数の液晶ユニットの位置を示す図である。
【
図9B】本発明の実施例における表示パネルの画素の位置及び複数の液晶ユニットの位置を示す図である。
【
図9C】本発明の実施例における表示パネルの画素の位置及び複数の液晶ユニットの位置を示す図である。
【
図9D】本発明の実施例における表示パネルの画素の位置及び複数の液晶ユニットの位置を示す図である。
【
図9E】本発明の実施例における表示パネルの画素の位置及び複数の液晶ユニットの位置を示す図である。
【
図9F】本発明の実施例における表示パネルの画素の位置及び複数の液晶ユニットの位置を示す図である。
【
図9G】本発明の実施例における表示パネルの画素の位置及び複数の液晶ユニットの位置を示す図である。
【
図9H】本発明の実施例における表示パネルの画素の位置及び複数の液晶ユニットの位置を示す図である。
【
図10】本発明の他の実施例の接眼ディスプレイの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の上述した及び他の技術的内容、特徴、機能及び効果は、添付した図面に基づく次のような好適な実施例の詳細な説明により明確になる。なお、次の実施例に言及されている方向についての用語、例えば、上、下、左、右、前又は後などは、添付した図面の方向に過ぎない。よって、使用されている方向の用語は、本発明を説明するためだけのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0012】
図1Aは、本発明の一実施例における接眼ディスプレイの側面図である。
図1Aを参照する。本実施例では、接眼ディスプレイ100は、表示パネル110、液晶層120及びレンズ素子130を含む。液晶層120は、表示パネル110の近傍に配置され、且つ液晶層120は、表示パネル110とレンズ素子130との間に配置される。表示パネル110は、映像光束IL(
図1Aでは、1つの映像光束ILを示しているが、本発明は、これに限定されない)を提供し、且つ映像光束ILは、液晶層120を通過する。本発明では、液晶層120とは、一般的に、この液晶層120に対して電圧印加又は電圧変更を行うことにより、液晶層120が光束の状態を変更するようにさせることができる光学素子を指し、例えば、電圧変化により屈折率などの光学性質を変更し得る材料であるが、本発明は、これについて限定しない。具体的に言えば、液晶層120を通過した映像光束ILは、レンズ素子130を通過し、且つレンズ素子130は、映像光束ILを集め、これにより、映像光束ILは、ピューピル(pupil)Pに進入し、そのうち、ピューピルPは、使用者の目の瞳又は映像取得装置(例えば、カメラ、CCD(Charge-coupled Device、CCD)又は他の類似した装置)であっても良いが、本発明は、これに限定されない。映像光束ILが瞳を通過した後に、映像光束ILは、使用者の目の網膜上で映像を形成することができる。しかし、他の実施例では、ピューピルPは、例えば、一般光学レンズのアパーチャー(aperture)の所在位置であっても良い。具体的に言えば、レンズ素子130は、例えば、マイクロレンズアレイ(Microlens Array)であり、接眼ディスプレイ100は、例えば、ライトフィールドNED(Near-Eye Light Field Display)である。表示パネル110は、レンズ素子130の設置と共に、二次元情報及び三次元情報を兼備する映像光束ILを提供することにより、ライトフィールド映像の表示を実現することができる。しかし、幾つかの実施例では、レンズ素子130は、接眼ディスプレイ100の接眼レンズ(ocular)とされても良く、例えば、単一レンズの態様であるが、本発明は、これに限定されない。
【0013】
本実施例では、表示パネル110は、例えば、透明型表示パネルであり、且つ映像光束ILは、順に液晶層120及びレンズ素子130を通過する。また、外部からの環境光束AL(
図1Aでは、1つの環境光束ALを示しているが、本発明は、これに限定されない)は、順に表示パネル110、液晶層120及びレンズ素子130を通過する。具体的に言えば、映像光束ILは、液晶層120及びレンズ素子130を通過した後にピューピルPに進入することができ、且つ環境光束ALも、透明表示パネル110、液晶層120及びレンズ素子130を通過した後にピューピルPに進入することができる。さらに言えば、表示パネル110からの映像光束IL及び外部からの環境光束ALは、共にピューピルPに進入し、これにより、使用者の目の網膜上で映像を形成することができる。よって、接眼ディスプレイ100が使用者の目の前方に設置され、且つ映像光束IL及び環境光束ALが共に使用者の目のピューピルPに進入した時に、使用者は、映像光束ILに対応する、表示画面に形成される虚像(図示せず)を見ることができると同時に、環境光束ALに対応する外部映像(図示せず)を見ることもでき、これにより、AR(Augmented Reality、AR)の表示効果を実現することができる。本実施例では、表示パネル110は、例えば、透明型薄膜トランジスタ液晶(thin film transistor-liquid crystal display、TFT-LCD)表示器、透明型有機発光ダイオード(organic light-emitting diode、OLED)表示器、又は他の適切な類型の透明型表示器であっても良いが、本発明は、これに限定されない。また、幾つかの実施例では、表示パネル110は、不透明型表示パネル(例えば、反射型液晶パネル又は他の適切な類型の表示器)であっても良く、この時に、接眼ディスプレイ100は、VR(Virtual Reality、VR)の表示効果を実現することができるが、本発明は、これに限定されない。
【0014】
図1Bは、
図1Aの実施例における液晶層が表示パネルの近傍に配置される様子を示す図であり、且つ
図1Cは、
図1Aの実施例における表示パネルの1つの画素の位置及び液晶層による調整後の映像の位置を示す図である。まず、
図1Bを参照する。
図1Bは、表示パネル110が複数の画素112を含むことを示している。各画素112をより明らかに示すために、
図1Bは、表示パネル110の一部及び液晶層120の一部のみを例示的に示しているので、
図1Bには、幾つかの画素112のみが示されている。しかし、実際には、表示パネル110に含まれる画素112の数量は、これに限定されない。また、
図1Cに示されている画素112は、例えば、3つのサブ画素(サブ画素112a、サブ画素112b及びサブ画素112c)を含むが、他の実施例では、表示パネル110の各画素112は、他の数量のサブ画素を含んでも良い。また、これらのサブ画素の色は、例えば、赤色、青色、緑色を含むが、これらのサブ画素の色は、実際の表示ニーズに応じて調整されても良い。本発明は、これに限定されない。
図1A及び
図1Bを同時に参照する。本実施例では、接眼ディスプレイ100は、例えば、第一方向D1、第二方向D2及び第三方向D3により構成される空間に位置し、且つ第一方向D1、第二方向D2及び第三方向D3は、互いに垂直である。具体的に言えば、表示パネル110は、第一方向D1及び第二方向D2により構成される平面に沿ってアレイ状に配列される複数の画素112を含む。また、接眼ディスプレイ100の液晶層120は、表示パネル110に対して第一方向D1及び第三方向D3により構成される平面上で第一傾斜角θ
1を有する。
【0015】
次に、
図1B及び
図1Cを同時に参照する。本実施例では、接眼ディスプレイ100の液晶層120の少なくとも一部は、位相変調(phase modulation)が生じ、これにより、映像光束IL(
図1B及び
図1Cに示されていない)を変調する。具体的に言えば、液晶層120は、位相変調が生じ、これにより、液晶層120を通過した映像光束ILは、第一方向D1上で第一変位DP1を生成する。映像光束ILが液晶層120により調整されて第一方向D1上で第一変位DP1を生成した後、使用者が見た、映像光束ILに対応する映像IMの位置も調整され、第一方向D1上で第一変位DP1を生成し、これにより、映像IMの位置は、実際の画素112の位置に対して第一変位DP1を有するようになる。本実施例では、1つの画素112は、第二方向D2上で画素幅PW2(即ち、画素112の第二方向D2に垂直な方向上での距離)を有する。また、1つの画素112は、第一方向D1上で画素幅PW1(即ち、画素112の第一方向D1に垂直な方向上での距離)を有する。具体的に言えば、映像IMの位置が第一方向D1上で生成した第一変位DP1は、画素112の第二方向D2上での画素幅PW1以下である。
【0016】
本実施例では、液晶層120は、位相変調前に、元の屈折率を有するが、位相変調後に、その屈折率を変更することができ、例えば、屈折率を増加させることができる。よって、映像光束ILが液晶層120を通過する時に、液晶層120の位相変調の有無に対応する映像光束ILの進行経路は異なる。具体的に言えば、液晶層120の位相変調有りに対応する映像IMの位置(即ち、調整後の映像IMの位置)は、液晶層120の位相変調無しに対応する映像IMの位置(即ち、調整前の映像IMの位置)とは異なる。液晶層120は、映像光束ILを変調することで、表示パネル110に対応する映像IMの位置を調整することにより、調整後の映像IMの位置が調整前の映像IMの位置に対して変位(第一変位DP1)を有するようにさせることができる。
【0017】
図2Aは、
図1Aの実施例における映像光束ILが液晶層120を通過する光路を示す図である。
図1A乃至
図2Aを参照する。本実施例では、映像光束ILは、例えば、垂直方向AX(垂直方向AXは、例えば、第三方向D3に平行である)に沿って液晶層120に入射する。液晶層120が表示パネル110に対して第一傾斜角θ
1を有するため、映像光束ILは、液晶層120の表面に入射する時に入射角θ
αを有し、入射角θ
αは、例えば、第一傾斜角θ
1に等しい。具体的に言えば、液晶層120は、位相変調無しの時に屈折率n
0を有するが、位相変調後に屈折率n
eを有する。液晶層120の位相変調無しの時に、映像光束ILは、液晶層120の表面で屈折される時に屈折角θ
β1を有するが、液晶層120の位相変調後に、映像光束ILは、液晶層120の表面で屈折される時に屈折角θ
β2を有する。また、液晶層120の外部の材料は、例えば、液晶層120を固定する光透過可能なゴム材であり、それは、屈折率n
sを有する。本実施例では、次のような関係式を得ることができる。
【0018】
【0019】
【数2】
上述の関係式(1)及び(2)に基づいて、次のような関係式を得ることができる。
【0020】
【数3】
上述により、液晶層120の位相変調無しの場合、液晶層120から射出した映像光束ILの変位X
0は、次のような関係式で計算することができる。
【0021】
【数4】
そのうち、dは、液晶層120の厚みである。また、液晶層120の位相変調有りの場合、液晶層120から射出した映像光束ILの変位X
eは、次のような関係式で計算することができる。
【0022】
【数5】
上述の関係式(4)及び(5)に基づいて、液晶層120の調整後の映像IMの位置と、晶層120の調整無しの映像IMの位置との間の距離ΔX=X
e-X
0(即ち、第一変位DP1)を次のように得ることができる。
【0023】
【数6】
上述の関係式(6)を簡略化すると、次のような関係式を得ることができる。
【0024】
【数7】
図2Bは、
図1Aの実施例における映像の液晶層による調整後の移動距離及び液晶層の表示パネルに対しての傾斜角を示す図である。
図2Bを参照する。
図2Bの縦軸は、映像移動距離であり、映像IMの液晶層120による調整後の移動距離、即ち、距離ΔX(第一変位DP1)を示し、その単位は、マイクロメートル(um)である。また、
図2Bの横軸は、傾斜角であり、液晶層120の表示パネル110に対しての第一傾斜角θ
1を示し、その単位は、度(°)である。
図2Bは、例えば、厚みdが50マイクロメートル、屈折率n
sが1.4985、屈折率n
0が1.5183、且つ屈折率n
eが1.7371の場合に得られたデータである。本発明の実施例では、上述のパラメータは、実際の設計に応じて調整されても良いが、本発明は、これに限定されない。例えば、本実施例では、第一傾斜角θ
1が例えば70度である時に、その対応する第一変位DP1は、例えば、15マイクロメートルに近いものである。
【0025】
本実施例では、液晶層120は、映像光束ILに対しての変調によって、表示パネル110に対応する映像IMの位置を調整することができ、これにより、調整後の映像IMの位置は、調整前の映像IMの位置に対して変位(第一変位DP1)を有するようになる。液晶層120が異なる時点で持続的に映像IMの位置を調整する時に、使用者は、異なる時点で調整前及び調整後の映像IMの位置を見ることができる。例えば、第一時点で液晶層120に対して位相変調を行わず、続いて、第二時点で液晶層120に対して位相変調を行い、且つ上述の第一時点と第二時点との間の操作を1つの周期として液晶層120の調整を行っても良い。上述の調整の速度が十分に速い時に、例えば、液晶層120に対して120ヘルツの周波数で調整を行う時に、使用者は、調整前の映像IM及び調整後の映像IMを同時に見ることができ、且つ使用者は、調整前の映像IM及び調整後の映像IMが、実際には異なる時点によるものであることに気付くことができない。この時に、使用者は、調整前の映像IM及び調整後の映像IMにより合成された高解像度の映像を見ることができる。よって、接眼ディスプレイ100は、従来の接眼ディスプレイに比べ、高解像度を実現することができる。
【0026】
図3Aは、本発明の他の実施例における液晶層が表示パネルの近傍に配置される様子を示す図であり、且つ
図3Bは、
図3Aの実施例における表示パネルの1つの画素の位置及び液晶層による調整後の映像の位置を示す図である。
図3A及び
図3Bを参照する。具体的に言えば、
図3Aの接眼ディスプレイ300は、
図1Aの接眼ディスプレイ100に類似したため、同じ素子は、同じ符号で表されるが、両実施例の相違点は、次の通りである。
図1Aの接眼ディスプレイ100では、液晶層120は、表示パネル110に対して第二方向D2上で第一傾斜角θ
1を有する。これに対して、
図3Aの接眼ディスプレイ300の表示パネル110は、第一方向D1及び第二方向D2により構成される平面に平行であるように設置され上、且つ液晶層120は、表示パネル110に対して第二方向D2及び第三方向D3により構成される平面上で第二傾斜角θ
2を有する。また、
図3Bを参照する。本実施例では、液晶層120は、位相変調が生じ、これにより、液晶層120を通過した映像光束ILが第二方向D2上で第二変位DP2を生成するようにさせることができ、且つ第二変位DP2は、画素112の第一方向D1上での画素幅PW2以下である。なお、
図3Aの実施例の他の関連部品は、
図1Aの実施例と同じであるため、ここでは、その具体的な説明を省略する。
【0027】
図4Aは、本発明のもう一つの実施例における液晶層が表示パネルの近傍に配置される様子を示す図であり、且つ、
図4Bは、
図4Aの実施例における表示パネルの1つの画素の位置及び液晶層による調整後の映像の位置を示す図である。
図4A及び
図4Bを参照する。具体的に言えば、
図4Aの接眼ディスプレイ400は、
図1Aの接眼ディスプレイ100に類似したため、同じ素子は、同じ符号で表されるが、両実施例の相違点は、次の通りである。
図1Aの接眼ディスプレイ100では、液晶層120は、表示パネル110に対して第一方向D1及び第三方向D3により構成される平面上で第一傾斜角θ
1を有する。これに対して、
図4Aの接眼ディスプレイ400の液晶層120は、表示パネル110に対して第一方向D1及び第三方向D3により構成される平面上で第一傾斜角θ
1を有し、且つその同時に、表示パネル110に対して第二方向D2及び第三方向D3により構成される平面上で第二傾斜角θ
2を有する。また、
図4Bを参照する。これ以外は、本実施例では、液晶層120は、位相変調が生じ、これにより、液晶層120を通過した映像光束ILが第一方向D1上で第一変位DP1を生成するようにさせることができ、且つ、第一変位DP1は、画素112の第二方向D2上での画素幅PW1以下である。その同時に、液晶層120は、位相変調が生じ、これにより、液晶層120を通過した映像光束ILが第二方向D2上で第二変位DP2を生成するようにさせることができ、且つ、第二変位DP2は、画素112の第一方向D1上での画素幅PW2以下である。なお、
図4Aの実施例の他の関連部品は、
図1Aの実施例と同様であるため、ここでは、その詳しい説明を省略する。
【0028】
また、幾つかの実施例では、液晶層120は、選択的に、スタックされた第一サブ液晶層及び第二サブ液晶層を含んでも良い。第一サブ液晶層は、表示パネル110に対して第一方向D1及び第三方向D3により構成される平面上で第一傾斜角θ
1を有し、且つ第二サブ液晶層は、表示パネル110に対して第二方向D2及び第三方向D3により構成される平面上で第二傾斜角θ
2を有する。また、第一サブ液晶層は、位相変調が生じ、これにより、第一サブ液晶層を通過した映像光束ILが第一方向D1上で第一変位DP1を生成するようにさせることができ、且つ第二サブ液晶層は、位相変調が生じ、これにより、第二サブ液晶層を通過した映像光束ILが第二方向D2上で第二変位DP2を生成するようにさせることができる。また、上述の第一変位DP1は、画素112の第二方向D2上での画素幅PW1以下であり、且つ第二変位D2は、画素112の第一方向D1上での画素幅PW2以下である。具体的に言えば、これらの実施例は、
図4Aの実施例における液晶層120により異なる方向で生成された変位は、その代わりに、異なるサブ液晶層(例えば、第一サブ液晶層及び第二サブ液晶層)により生成されるものである。なお、これらの実施例の他の関連部品は、
図1A、
図3A及び
図4Aの実施例と同様であるため、ここでは、その詳細な説明を省略する。
【0029】
図5Aは、本発明のまたもう1つの実施例における接眼ディスプレイの上面図であり、且つ
図5Bは、
図5Aの領域Aの拡大図である。
図5A、
図5Bの接眼ディスプレイ500は、
図1Aの接眼ディスプレイ100に類似したため、同じ素子は、同じ符号で表され、ここでは、その詳しい説明を省略する。接眼ディスプレイ500と接眼ディスプレイ100との相違点は、次の通りである。
図5A及び
図5Bを同時に参照する。本実施例では、接眼ディスプレイ500の液晶層520は、光学微細構造層522をさらに含む。光学微細構造層522は、レンズ素子130と表示パネル110との間に位置し、且つ光学微細構造層522は、表示パネル110に面し且つ配列されて設置される複数の光学微細構造523を含む。また、各光学微細構造523は、表示パネル110に対して傾斜した傾斜面ISを含む。具体的に言えば、光学微細構造523は、例えば、プリズム構造である。本実施例では、プリズム構造のサイズは、例えば、マイクロレンズアレイ(レンズ素子130)の1つのレンズの直径以下であるが、本発明は、これに限定されない。
【0030】
また、本実施例では、液晶層520は、第一基板524、第二基板526及び液晶材料528をさらに含み、且つ液晶材料528は、第一基板524と第二基板526との間に充填される。光学微細構造層522は、第一基板524上に配置され、且つ第一基板524と第二基板526との間に位置し、また、液晶材料528は、これらの光学微細構造523のこれらの傾斜面ISを覆い、且つこれらの傾斜面ISに配向される。本実施例では、第一基板524及び第二基板526は、例えば、透明ガラス板であり、且つ第一基板524は、これらの光学微細構造523をサポートする。また、各光学微細構造523の第一方向D1上での幅は、画素(
図5A及び5Bに示されていない)の第一方向D1上での画素幅以上であり、且つ各光学微細構造523の第二方向D2上での幅は、画素の第二方向D2上での画素幅以上である。
【0031】
本実施例では、各傾斜面ISは、表示パネル110に対して第一方向D1及び第二方向D2により構成される平面上で第一傾斜角θ
1(例えば、
図1Aの実施例に記載の第一傾斜角θ
1と同じである)を有する。また、液晶層520は、位相変調が生じ、これにより、液晶層520を通過したIL映像光束が第三方向D3上で第一変位(例えば、
図1Aの実施例に記載の第一変位DP1と同じである)を生成するようにさせることもでき、且つ、第一変位は、画素の第二方向D2上での画素幅(例えば、
図1Aの実施例に記載の画素幅PW1と同じである)以下である。具体的に言えば、
図5A、5Bの実施例のこれらの光学微細構造523のこれらの傾斜面ISは、例えば、
図1Aの実施例の第一傾斜角θ
1を有する液晶層120の傾斜面と等価する。また、幾つかの実施例では、各傾斜面ISは、表示パネル110に対して第二方向D2及び第三方向D3により構成される平面上で第二傾斜角θ
2(例えば、
図3Aの実施例に記載の第二傾斜角θ
2と同じである)を有する。これらの実施例では、液晶層は、位相変調が生じ、これにより、液晶層を通過した映像光束ILが第二方向D2上で第二変位(例えば、
図3Aの実施例に記載の第二変位DP2と同じでる)を生成するようにさせることができ、且つ、第二変位DP2は、画素の第一方向D1上での画素幅(例えば、
図3Aの実施例に記載の画素幅PW2と同じである)以下であるが、本発明は、これに限定されない。
【0032】
図6Aは、
図5A、5Bの実施例における映像光束が液晶材料及び光学微細構造を通過する光路を示す図である。
図6Aを参照する。本実施例では、映像光束ILは、例えば、垂直方向(例えば、第三方向D3に平行な方向)に沿って液晶層520に入射する。映像光束ILは、例えば、順に第二基板526、液晶材料528、これらの光学微細構造523及び第一基板524を通過する。これらの光学微細構造523の各傾斜面ISは、表示パネル110に対して第一方向D1及び第三方向D3により構成される平面上で第一傾斜角θ
1を有し、これにより、映像光束ILは、これらの傾斜面ISに入射する時に入射角θ
αを有し、且つ入射角θ
αは、例えば、第一傾斜角θ
1に等しい。また、映像光束ILは、これらの傾斜面ISで屈折される時に屈折角θ
βを有する。具体的に言えば、液晶層520は、位相変調後に屈折率n
pを有し、且つこれらの光学微細構造523は、屈折率n
sを有する。本実施例では、次のような関係式を得ることができる。
【0033】
【数8】
上述の関係式(8)に基づいて、次の関係式を得ることができる。
【0034】
【数9】
そのうち、dは、液晶層520の厚み(即ち、第一基板524と第二基板526との間の厚み)であり、sは、映像光束ILの入射点から第一基板524までの距離であり、且つdpは、傾斜面ISの高い端から映像光束ILまでの垂直距離である。上述の関係式(8)及び(9)に基づいて、映像光束ILがこれらの光学微細構造523により屈折されて生成した変位ΔX(即ち、第一変位DP1)は、次の式で得ることができる。
【0035】
【数10】
図6Bは、
図5Aの実施例における映像の液晶層による調整後の移動距離及び光学微細構造の傾斜面の表示パネルに対しての傾斜角を示す図である。
図6Bを参照する。
図6Bの縦軸は、映像移動距離であり、映像IMの液晶層520による調整後の移動距離、即ち、距離ΔX(第一変位DP1)を示し、その単位は、マイクロメートルである。また、
図6Bの横軸は、傾斜角であり、これらの傾斜面ISの表示パネル110に対しての第一傾斜角θ
1を示し、その単位は、度(°)である。具体的に言えば、
図6Bには、複数組の実験データ、例えば、第一実験データ、第二実験データ、第三実験データ、第四実験データ及び第五実験データが示されており、且つこれらのデータは、例えば、厚みdが100マイクロメートル、屈折率n
sが1.4985且つ屈折率n
pが1.6である場合に得られたものである。また、第一乃至第五実験データ中では、距離d
pが異なり、即ち、第一乃至第五実験データ中では、映像光束ILが光学微細構造523に進入する位置は異なる。本発明の実施例では、上述のパラメータは、実際の設計に応じて調整されても良いが、本発明は、これに限定されない。
【0036】
本実施例では、液晶層520は、映像光束ILに対しての変調によって、表示パネル110に対応する映像IMの位置を調整することにより、調整後の映像IMの位置が調整前の映像IMの位置に対して変位(第一変位DP1)を有するようにさせることができる。使用者が異なる時点で調整前及び調整後の映像IMの位置を見た時に、調整前の映像IM及び調整後の映像IMにより合成された高解像度の映像を見ることができる。具体的に言えば、本実施例の接眼ディスプレイ500は、
図1Aの実施例における接眼ディスプレイ100に類似した技術効果を得ることができ、従来の接眼ディスプレイに比べ、高解像度を有する。また、
図5Aの実施例における液晶層520は、
図1Aの実施例における液晶層120のように傾斜して設置する必要がなく、且つ
図5Aの実施例における液晶層520は、これらの光学微細構造523のこれらの傾斜面ISにより、
図1Aの実施例における第一傾斜角θ
1を有する液晶層120の傾斜面と等価する。よって、
図5Aの実施例における接眼ディスプレイ500は、
図1Aの実施例の接眼ディスプレイ100に比べ、比較的小さい体積を有する。
【0037】
図7は、本発明の他の実施例における接眼ディスプレイの液晶層の一部の領域の拡大図である。
図7を参照する。本実施例では、液晶層720は、
図5Aの実施例の液晶層520に類似し、その構成部品及び関連記載は、
図5Aの実施例の液晶層520を参照することができるため、同じ素子は、同じ符号で表され、ここでは、その詳しい説明を省略する。液晶層720と液晶層520との相違点は、次の通りである。本実施例では、液晶層720の光学微細構造層722は、第二基板526上に配置され、且つ第二基板526と表示パネル110との間に位置する。また、光学微細構造層722のこれらの光学微細構造723の材料は、双軸屈折(biconic)特性を有する。本実施例では、これらの光学微細構造723は、第一基板524と第二基板526との間に配置されず、且つ液晶材料728は、これらの光学微細構造723のこれらの傾斜面ISを覆わず、また、これらの傾斜面ISに配向されない。また、本実施例では、これらの光学微細構造723と表示パネル110との間には、選択的に、隔離板730を設置しても良く、例えば、ガラス板であり、これにより、光学微細構造723と表示パネル110との直接接触を避けることができる。具体的に言えば、これらの光学微細構造723が双軸屈折特性を有するため、本実施例における接眼ディスプレイは、液晶層720の液晶材料728の位相変調の有無により、表示パネル110に対応する映像IMの位置が少なくとも2つの状態にあるように調整することができる。よって、本実施例における接眼ディスプレイは、
図5Aの実施例の接眼ディスプレイ500に類似した技術効果を得ることができ、それは、高解像度を有する。また、
図5Aの実施例における接眼ディスプレイ500に比べ、
図7の本実施例における接眼ディスプレイは、液晶材料728をこれらの傾斜面ISに配向する必要がないため、従来の接眼ディスプレイに比べ、比較的小さい体積を有すると共に、製造ステップを減少することもできる。
【0038】
図8Aは、本発明のまたもう1つの実施例における接眼ディスプレイの上面図であり、且つ
図8Bは、
図8Aの実施例における表示パネルの1つの画素の位置及び複数の液晶ユニットの位置を示す図である。
図8Aの実施例における接眼ディスプレイ800は、
図1Aの実施例の接眼ディスプレイ100に類似したので、同じ素子は、同じ符号で表され、ここでは、その詳しい説明を省略する。接眼ディスプレイ800と接眼ディスプレイ100との相違点は、次の通りである。
図8A及び
図8Bを同時に参照する。本実施例では、接眼ディスプレイ800の表示パネル810は、第一方向D1及び第二方向D2により構成される平面に平行であるようにアレイ状に配列される複数の画素812を含み、各画素812は、例えば、サブ画素812a、サブ画素812b及びサブ画素812cを含む。また、接眼ディスプレイ800の液晶層820は、第一方向D1及び第二方向D2に沿ってアレイ状に配列される複数の液晶ユニット822を含む。具体的に言えば、
図8Bを参照するに、本実施例では、各液晶ユニット822の第一方向D1上での幅W1は、画素812の
第一方向D1上での画素幅PW1以下であり、且つ各液晶ユニット822の第二方向D2上での幅W2は、画素812の
第二方向D2上での画素幅PW2以下である。また、各液晶ユニット822は、少なくとも部分的に少なくとも1つのサブ画素を含む。例えば、これらの液晶ユニット822のうちの液晶ユニット822aは、少なくとも部分的に画素812のサブ画素812a、サブ画素812b及びサブ画素812cを覆い、且つこれらの液晶ユニット822のうちの液晶ユニット822bも、少なくとも部分的に画素812のサブ画素812a、サブ画素812b及びサブ画素812cを覆う。しかし、幾つかの実施例では、実際の表示ニーズに応じて、各液晶ユニット822が覆うサブ画素の数量及び面積を変更しても良いが、本発明は、これに限定されない。
【0039】
本実施例では、少なくともこれらの一部の液晶ユニット822は、位相変調が生じ、これにより、少なくとも一部の映像光束ILを調整する。具体的に言えば、少なくとも一部のこれらの画素812のうちの各画素812a、812b及び812cは、少なくとも2つの液晶ユニット822に対応する。画素812のこれらの液晶ユニット822に対応する少なくとも一部は、第一時点で位相変調が生じ、これにより、映像光束ILを変調し、且つ画素812のこれらの液晶ユニット822に対応する少なくとも他の部分は、第二時点で位相変調が生じ、これにより、映像光束ILを変調する。本実施例では、画素812及びその対応するこれらの液晶ユニット822は、例えば、画素812に垂直な方向上で重なり合う。以下、
図8A及び
図8Bに示されている液晶ユニット822a及び液晶ユニット822bを例とする。例えば、
図8Bに示されている画素812は、液晶ユニット822a及び液晶ユニット822bに対応する。第一時点で、液晶ユニット822aは、位相変調が生じ、これにより、映像光束IL1(映像光束ILの一部)を、液晶ユニット822aを通過させるようにすることができる。その同時に、液晶ユニット822bは、位相変調が生じ、これにより、映像光束IL2(映像光束ILの一部)を、液晶ユニット822bを通過させないようにすることができる。続いて、第二時点で、液晶ユニット822aは、位相変調が生じ、これにより、映像光束IL1を、液晶ユニット822aを通過させないようにすることができる。その同時に、液晶ユニット822bは、位相変調が生じ、これにより、映像光束IL2を、液晶ユニット822bを通過させるようにすることができる。言い換えれば、第一時点で、表示パネル810に対応する映像(図示せず)の位置は、液晶ユニット822aの所在位置に相当する。また、第二時点で、表示パネル810に対応する映像(図示せず)の位置は、液晶ユニット822bの所在位置に相当する。本実施例では、上述の第一時点と第二時点との間の操作を1つの周期として液晶層820の調整を行うことができる。上述の調整の速度が十分に速い時に、例えば、液晶層820に対して120ヘルツ又は240ヘルツの周波数で調整を行う時に、使用者は、第一時点の映像及び第二時点の映像により合成された高解像度の映像を見ることができる。これにより、本実施例における接眼ディスプレイ800は、
図1Aの実施例における接眼ディスプレイ100に類似した技術効果を得ることができ、従来の近眼表示システムに比べ、高解像度を有する。
【0040】
図9A乃至
図9Hは、本発明の幾つかの実施例における表示パネルの1つ又は複数の画素の位置及び複数の液晶ユニットの位置を示す。具体的に言えば、
図9A乃至
図9Hのこれらの実施例に記載の接眼ディスプレイは、
図8Aの実施例における接眼ディスプレイ800に類似したため、同じ素子は、同じ符号で表され、ここでは、その詳しい説明を省略する。
図9A乃至
図9Hでは、1つ又は複数の画素812及び複数の液晶ユニットのみが示されており、これにより、これらの液晶ユニットと、1つ又は複数の画素812との位置関係を説明する。具体的に言えば、これらの実施例では、画素812の数量及び液晶ユニットの数量は、例示に過ぎず、本発明は、これに限定されない。まず、
図9A乃至
図9Cを参照する。
図9Aでは、画素812の位置と、液晶層920aのこれらの液晶ユニット922aの位置とは、互いに交錯する。具体的に言えば、画素812の位置と、これらの液晶ユニット922aの位置とは、第二方向D2上で互いに交錯する。即ち、これらの液晶ユニット922aの第一方向D1に平行な辺は、画素812の第一方向D1に平行な辺にアライン(align)しない。また、本実施例では、1つの液晶ユニット922aのサイズは、1つのサブ画素(例えば、サブ画素812a、812b又はサブ画素812c)と同じである。
【0041】
図9Bでは、本実施例では、1つの画素812の空間は、液晶層920bの4つの液晶ユニット922bの配置を提供することができる。
図9Cでは、これらの画素812の位置と、液晶層920cのこれらの液晶ユニット922cの位置とは、第一方向D1上で互いに位置をずらす。また、
図9Dには、液晶層920dの複数の液晶ユニット922dと、これらの画素812との位置関係を示しており、そのうち、各液晶ユニット922dは、複数のサブ画素を覆うことができ、且つ
図9Eにも、液晶層920eの複数の液晶ユニット922eと、これらの画素812との位置関係を示している。具体的に言えば、実際の表示ニーズに応じて、これらの液晶ユニットと、これらの画素812との位置関係を設計しても良いが、本発明は、これに限定されない。
【0042】
また、
図9F乃至9Hを参照する。
図9F乃至
図9Hのこれらの実施例では、画素912は、サブ画素912a、サブ画素912b及びサブ画素912cを含む。画素912のこれらのサブ画素912a、サブ画素912b及びサブ画素912のサイズ及び配列方式は、
図9A乃至
図9Eのこれらの実施例における画素812のこれらのサブ画素812a、サブ画素812b及びサブ画素812cと異なる。具体的に言えば、
図9Fには、液晶層920fの複数の液晶ユニット922fと、これらの画素912との位置関係を示しており、
図9Gには、液晶層920gの複数の液晶ユニット922gと、これらの画素912との位置関係を示しており、且つ
図9Hには、液晶層920hの複数の液晶ユニット922hと、これらの画素912との位置関係を示している。具体的に言えば、実際の表示ニーズに応じて、異なるサブ画素サイズ及びサブ画素配列を有する画素を表示パネルの画素として採用することができる。また、これらの液晶ユニットと、これらの画素との間の位置関係の設計と共に、所要の表示効果を達成することもできるが、本発明は、これに限定されない。
【0043】
図10は、本発明の他の実施例の接眼ディスプレイの上面図である。本実施例では、接眼ディスプレイ100’は、表示パネル110、液晶層120、レンズ素子130及び処理器111を含む。本実施例の接眼ディスプレイ100’は、
図1Aの実施例の接眼ディスプレイ100に類似したので、同じ素子は、同じ符号で表され、ここでは、その詳しい説明を省略する。接眼ディスプレイ100’と接眼ディスプレイ100との相違点は、接眼ディスプレイ100’はさらに処理器111を含むことにある。接眼ディスプレイ100’の処理器111は、表示パネル110及び液晶層120に電気接続される。処理器111は、映像源(図示せず)により提供された所定の映像情報を受信し、そのうち、映像情報は、静的画面、動的画面、平面画面、又は立体画面を含んでも良い。所定の映像情報に基づいて、処理器111は、所定映像情報に対応する制御信号を生成し、これにより、表示パネル110が映像光束ILを提供するように制御することができる。
【0044】
本発明の実施例では、処理器111は、液晶層120に電気接続される。また、1つの調整装置(図示せず)が、処理器111に電気接続されても良く、該調整装置は、距離センサ(例えば、レーザーセンサ)(図示せず)、又は、操作インターフェース(キー又はつまみ(回転ボタン)であっても良く、図示せず)を含み、使用者は、操作インターフェースにより、手動で調整することができる。調整装置は、所要の解像度又は次元に対応する調整信号を取得し、調整信号を処理器111に提供し、そして、処理器111の演算により、処理器111は、所要の電圧値を液晶層120に提供し、これにより、映像光束ILの屈折率などの光学性質を変更し、高解像度の映像を得ることができるが、本発明は、これに限定されない。他の実施例では、他の処理器により、単独で液晶層120に所要の電圧値を提供しても良いが、これについて限定しない。そのうち、本実施例では、映像源、例えば、スマートフォン、タブレット、PDA(Personal Digital Assistant、PDA)又はノートパソコンなどの独立してワーキングし得る携帯型電子装置、又は、例えば、知能ロボット、中央制御システム、クラウドサーバ制御センター及びデスクトップコンピュータなどの映像内容提供機能を有する電子装置であっても良いが、本発明は、これについて限定しない。本実施例では、処理器111は、例えば、中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)、マイクロプロセッサ(Microprocessor)、映像サイズのスカラー(Scalar)、デジタル信号処理器(Digital Signal Processor、DSP)、プログラミング可能な制御器、プログラミング可能な論理装置(Programmable Logic Device、PLD)又は他の類似した装置、或いは、これらの装置の組み合わせを含んでも良いが、本発明は、これに限定されない。
【0045】
以上を纏めると、本発明の実施例は、少なくとも次のような1つの利点又は効果を有する。本発明の実施例では、接眼ディスプレイの液晶層は、表示パネルの近傍に配置され、且つ液晶層は、表示パネルとレンズ素子との間に配置される。また、表示パネルが提供した映像光束は、液晶層を通過し、且つ液晶層の少なくとも一部は、位相変調が生じ、これにより、映像光束を変調することができる。よって、液晶層は、映像光束に対しての変調によって、表示パネルに対応する映像の位置を調整し、調整後の映像の位置が調整前の映像の位置に対して変位を有するようにさせることができる。液晶層が異なる時点で持続的に映像の位置を調整することにより、使用者は、異なる時点で調整前及び調整後の映像の位置を見た時に、調整前の映像及び調整後の映像により合成された高解像度の映像を見ることができる。よって、本発明の実施例の接眼ディスプレイは、従来の接眼ディスプレイに比べ、高解像度を有する。
【0046】
本発明は、前述した好適な実施例に基づいて以上のように開示されたが、前述した好適な実施例は、本発明を限定するためのものでなく、当業者は、本発明の精神と範囲を離脱しない限り、本発明に対して些細な変更と潤色を行うことができるので、本発明の保護範囲は、添付した特許請求の範囲に定まったものを基準とする。また、本発明の何れの実施例又は特許請求の範囲は、本発明に開示された全ての目の又は利点又は特徴を達成する必要がない。また、要約の一部と発明の名称は、文献の検索を助けるためのみのものであり、本発明の権利範囲を限定するものでない。また、本明細書又は特許請求の範囲に言及されている「第一」、「第二」などの用語は、要素(element)に名前を付け、又は、異なる実施例又は範囲を区別するためのもののみであり、要素の数量上の上限又は下限を限定するためのものでない。
【符号の説明】
【0047】
100、100’、300、400、500、700、800:接眼ディスプレイ
110、810:表示パネル
111:処理器
112、812、912:画素
112a、112b、112c、812a、812b、812c、912a、912b、912c:サブ画素
120、320、420、520、720、820、920a、920b、920c、920d、920e、920f、920g、920h:液晶層
130:レンズ素子
522、722:光学微細構造層
523、723:光学微細構造
524:第一基板
526:第二基板
528、728:液晶材料
730:隔離板
822、822a、822b、922a、922b、922c、922d、922e、922f、922g、922h:液晶ユニット
A:領域
AL:環境光束
d:厚み
D1:第一方向
D2:第二方向
D3:第三方向
DP:変位
DP1:第一変位
DP2:第二変位
IL、IL1、IL2:映像光束
IM:映像
IS:傾斜面
P:ピューピル
PW1、PW2:画素幅
s、dp、ΔX:距離
W1、W2:幅
X0、Xe:変位
θ1:第一傾斜角
θ2:第二傾斜角
θα:入射角
θβ、θβ1、θβ2:屈折角