(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】サイドバイザー
(51)【国際特許分類】
B60R 13/04 20060101AFI20230104BHJP
B60J 3/00 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
B60R13/04 A
B60J3/00 C
(21)【出願番号】P 2018137133
(22)【出願日】2018-07-20
【審査請求日】2021-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】314014184
【氏名又は名称】DNP田村プラスチック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】森 高徳
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-094806(JP,A)
【文献】特開昭60-203548(JP,A)
【文献】特開平03-220038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/04
B60J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の窓枠に取り付け可能な鍔部と、前記鍔部に沿って形成される庇部とからなると共に、前記鍔部に係合部を設けたバイザー本体と、
前記バイザー本体の前記鍔部に沿って取り付けられる装飾モールと、
前記装飾モールを固定する固定部材とで少なくとも構成され、
前記固定部材に、
前記バイザー本体に向けて開口し、前記装飾モールを覆うことが可能な開口部と、前記係合部に係合する係合手段が設けられて、
前記係合部は、前記鍔部に複数設けられる、前記固定部材の位置決めを行う位置決め部及び/又は前記固定部材を保持する保持部からなり、
前記係合手段は、前記固定部材に複数設けられる、前記位置決め部に係合する位置決め手段及び/又は前記保持部に係合する取付手段からなり、
前記
位置決め手段及び/又は前記取付手段によって前記固定部材を前記
位置決め部及び/又は前記保持部に取り付けることで、前記装飾モールが前記バイザー本体に固定されることを特徴とするサイドバイザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の窓枠に沿って取り付けられるサイドバイザーに関する。
【背景技術】
【0002】
装飾モールをバイザー本体に取り付ける場合、係止部材を介して装飾モールをバイザー本体に取り付けることで、長年経過しても取付状態が安定し、装飾モールがバイザー本体から脱落する恐れがないことが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような係止部材を用いて装飾モールを取り付ける際、装飾モールの胴体部分を湾曲させてバイザー本体に取り付けているため、装飾モールの胴体部分に歪みが発生し、取付後に歪み部分がバイザー本体から浮くなどして見栄えが悪くなる恐れがあった。
また、係止部材によって装飾モールの端部表面を覆っているため、係止部材の厚み分だけ装飾モールがバイザー本体から外方向へ出ることになり、装飾モールとバイザー本体との一体感に欠け、美観を損ねる恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、装飾モールの固定を、歪みを発生させずに見栄え良く、容易に行うことができるサイドバイザーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、自動車の窓枠に取り付け可能な鍔部と、前記鍔部に沿って形成される庇部とからなると共に、前記鍔部に係合部を設けたバイザー本体と、前記バイザー本体の前記鍔部に沿って取り付けられる装飾モールと、前記装飾モールを固定する固定部材とで少なくとも構成され、前記固定部材に、前記バイザー本体に向けて開口し、前記装飾モールを覆うことが可能な開口部と、前記係合部に係合する係合手段が設けられて、前記係合部は、前記鍔部に複数設けられる、前記固定部材の位置決めを行う位置決め部及び/又は前記固定部材を保持する保持部からなり、前記係合手段は、前記固定部材に複数設けられる、前記位置決め部に係合する位置決め手段及び/又は前記保持部に係合する取付手段からなり、前記位置決め手段及び/又は前記取付手段によって前記固定部材を前記位置決め部及び/又は前記保持部に取り付けることで、前記装飾モールが前記バイザー本体に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、装飾モールを両面テープでバイザー本体に貼着した後で固定部材を取り付けることにより、装飾モールを容易に固定できる。その際、装飾モールを湾曲させないため装飾モールに歪みが発生せず、取付後に装飾モールが浮いて見えるなど見栄えが悪くなる恐れがない。さらに、固定部材と装飾モールとが別体であることから、車両に合わせた好みの色で構成し、デザインの多様化を図ることができる。
また、鍔部に位置決め部及び/又は保持部を設け、固定部材に、鍔部に設けた位置決め部及び/又は保持部にそれぞれ対応する位置決め手段及び/又は取付手段を設けることで、固定部材を望みの位置へ容易に固定することができる。加えて、固定部材の位置決め部に装飾モールを当接させることで、前後及び上下方向へのずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(A)は窓枠にサイドバイザーが取り付られた状態の全体図、(B)は丸枠Cに囲まれた部分の拡大図である。
【
図2】(A)は装飾モールを貼着したバイザー本体に固定部材を係止する前の状態を示す説明図、(B)は固定部材の内側を示す説明図である。
【
図3】(A)は装飾モールを貼着したバイザー本体に変形例1の固定部材を係止する前の状態を示す説明図、(B)は変形例1の固定部材の内側を示す説明図である。
【
図4】装飾モールを貼着したバイザー本体に変形例2の固定部材を係止する前の状態を示す説明図である。
【
図5】(A)は装飾モールを貼着したバイザー本体に変形例3の固定部材を係止する前の状態を示す説明図、(B)は鍔部の一部にのみ装飾モールを取り付けた状態の全体図である。
【
図6】金属で形成された変形例3の固定部材が取り付けられた部分の説明図である。
【
図7】(A)~(C)はそれぞれ固定部材のその他の変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1(A)に示すように、自動車用外装品であるサイドバイザー1は、図示しない取付金具と両面テープとを介して自動車2の窓枠3に取り付け可能で、帯状部材のバイザー本体4と、このバイザー本体4に沿って長尺に形成された装飾モール5とで少なくとも構成される。
バイザー本体4は、
図1(A)の丸枠Cに囲まれた部分を拡大した
図1(B)に示すように、鍔部7と庇部10とからなり、装飾モール5は、鍔部7の外側表面に、固定部材6及び両面テープ(図示せず)によって取り付けられる。
【0010】
図2(A)に示すように、サイドバイザー1のバイザー本体4において、係合部として鍔部7の上端部及び側部には保持部である切欠部8,8が設けられ、下部には位置決め部である位置決め孔9が設けられている。
一方、
図2(B)に示すように、固定部材6は、略箱体に形成されており、内側には、装飾モール5を覆う開口部11が設けられると共に、バイザー本体4への係合手段として、下辺内側には係合部としての位置決め孔9に係合する位置決め手段である平板状の位置決め片12が、上辺及び側面内側には同じく係合部としての切欠部8に係合する取付手段である取付爪13がそれぞれ設けられている。
【0011】
固定部材6を用いた装飾モール5の取付は以下のように行う。
まず、両面テープ(図示せず)により装飾モール5をバイザー本体4の鍔部7に貼り付ける。引き続き、
図2(A)上の矢印に示すように、固定部材6の位置決め片12を装飾モール5と庇部10の隙間から鍔部7に設けられた位置決め孔9に挿入すると共に、取付爪13,13をそれぞれ対応する切欠部8,8に係合することで、装飾モール5は、固定
部材6によってバイザー本体4の鍔部7に固定される。この時、位置決め片12から位置決め孔9へ先に当てることで取付爪13,13をそれぞれ対応する切欠部8,8へ適切に係合させることができる。また、固定部材6の左右に延びる下辺部14が鍔部7に当接することで、位置決め片12の過剰な押し込みを防ぎ、位置決め片12によって自動車2の窓枠3を傷つける恐れを防ぐことができる。このように、固定部材6により、鍔部7や装飾モール5の端部を覆うことでサイドバイザー1端部の凹凸を減らし、鍔部7や装飾モール5の端部に引っ掛けて鍔部7や装飾モール5が破損したり剥がれたりすることを防止すると共に、固定部材6の横壁15により装飾モール5の前後方向へのずれを防止する。
また、位置決め片12が位置決め孔9に挿入されることで、固定部材6の前後及び上下方向へのずれが防止されると共に、取付爪13が切欠部8に係合することで、固定部材6が外方向へ抜け落ちることを防止する。
【0012】
上記形態のサイドバイザー1は、自動車2の窓枠3に取り付け可能な鍔部7と、鍔部7に沿って形成される庇部10とからなると共に、鍔部7に係合部(切欠部8、位置決め孔9)を設けたバイザー本体4と、バイザー本体4の鍔部7に沿って取り付けられる装飾モール5と、装飾モール5を固定する固定部材6とで少なくとも構成され、固定部材6に、係合部に係合する係合手段(位置決め片12、取付爪13)が設けられて、係合手段によって固定部材6を係合部に取り付けることで、装飾モール5がバイザー本体4に取り付けられる。このように構成されたサイドバイザー1によれば、装飾モール5を両面テープ(図示せず)でバイザー本体4に貼着した後で固定部材6を取り付けることができるため、装飾モール5を容易に固定できる。その際、装飾モール5を湾曲させないため、装飾モールに歪みが発生せず、取付後の装飾モール5が浮いて見えるなど見栄えが悪くなる恐れがない。さらに、固定部材6と装飾モール5とが別体であることから、車両に合わせた好みの色で構成し、デザインの多様化を図ることができる。
特にここでは、係合部は、鍔部7に設けられた位置決め孔9及び切欠部8からなり、固定部材6は、位置決め孔9に係合する位置決め片12及び切欠部8に係合する取付爪13を備えている。従って、鍔部7に位置決め孔9及び切欠部8を設け、固定部材6に、鍔部7に設けた位置決め孔9及び切欠部8にそれぞれ対応する位置決め片12及び取付爪13を設けることで、固定部材6を望みの位置へ容易に固定することができる。加えて、固定部材6の位置決め片12に装飾モール5を当接させることで、上下方向へのずれを防止することができる。
【0013】
図3は、本発明の実施の形態の変形例1を示す説明図である。但し、
図1,2と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図3(A)に示すように、サイドバイザー1aのバイザー本体4において、鍔部7の上端部には保持部である切欠部8が設けられ、下部には位置決め部である位置決め孔9が設けられている。
一方、
図3(B)に示すように、固定部材6aは、略箱体に形成されており、鍔部7への係合手段として、バイザー本体4に設けられた位置決め孔9に係合する位置決め手段である位置決め片12、装飾モール5の端部に当接する位置決め手段である縦位置決め片12a及び切欠部8に係合する取付手段である取付爪13が設けられている。
固定部材6aは、両面テープ(図示せず)により装飾モール5をバイザー本体4の鍔部7に貼り付けた後、
図3(A)上の矢印に示すように、バイザー本体4へ取り付けられる。
【0014】
上記変形例1のサイドバイザー1aによれば、
図1,2で示した実施形態の効果に加え、装飾モール5の端部に縦位置決め片12aを当接させることで、装飾モール5の前後方向へのずれを防止し、バイザー本体4により安定して固定できる。
【0015】
図4は、本発明の実施の形態の変形例2を示す説明図である。但し、
図1,2と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図4に示すように、サイドバイザー1bのバイザー本体4において、鍔部7の上端部には位置決め部である位置決め孔9が後端部から前方へ向けてスリット状に切り込み形成され、位置決め孔9の前方には、内外方向へ延びる保持部である切欠部8が、鍔部7の下部にはスポット状の保持部である切欠部8が設けられている。
一方、固定部材6bは、略箱体に形成されており、バイザー本体4への係合手段として、上辺部下面にはバイザー本体4に設けられた位置決め孔9に係合する位置決め手段である位置決め片12が設けられ、前端上下には切欠部8,8に係合する取付手段である取付爪13,13が設けられている。
固定部材6bは、両面テープ(図示せず)により装飾モール5をバイザー本体4の鍔部7に貼り付けた後、
図4上の矢印に示すように、バイザー本体4へ後方からスライドさせて取り付けられる。
【0016】
上記変形例2のサイドバイザー1bによれば、
図1,2で示した実施形態の効果に加え、バイザー本体4に設けた位置決め孔9と切欠部8、固定部材6bの位置決め片12と取付爪13の形状及び位置を変更したことで、車両前後方向から固定部材6bの取付が可能となり、
図2,3における実施例のように位置決め片12の過剰な押し込みを考慮する必要がない。
【0017】
図5は、本発明の実施の形態の変形例3を示す説明図である。但し、
図1,2と同じ構成部には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
図5(A)に示すように、サイドバイザー1cのバイザー本体4において、鍔部7の中央部上部には保持部である切欠部8が設けられ、下部には位置決め部である位置決め孔9が設けられている。
一方、固定部材6cは、帯板を折り曲げた略コ字体に形成されており、バイザー本体4への係合手段として、バイザー本体4に設けられた位置決め孔9に係合する位置決め手段である平板状の位置決め片12及び切欠部8に係合する取付手段である取付爪13が設けられている。
固定部材6cは、両面テープ(図示せず)により装飾モール5をバイザー本体4の鍔部7に貼り付けた後、
図5(A)上の矢印に示すように、バイザー本体4へ取り付けられる。
【0018】
上記変形例3のサイドバイザー1cによれば、
図1,2で示した実施形態の効果に加え、装飾モール5の浮きが懸念される箇所を局所的に押さえ、より安定した固定ができる。また、
図5(B)に示すように、鍔部7の一部のみに装飾モール5を取り付ける(例えば、中央部から後方)など、デザインの多様化を図ることができる。
【0019】
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その技術範囲はこれに限定されるものではない。例えば、係合部を設ける箇所は、一箇所でも複数箇所でも良く、一箇所にのみ設ける場合は他方を袋状に形成し、この袋状部に装飾モールを差し込んだ後、固定部材で固定しても良い。また、バイザー本体に設けられる位置決め部や保持部、固定部材に設けられる位置決め手段や取付手段の形状や組み合わせは上記実施例に限定されず、例えば、位置決め手段を鍔部の上端部に設け、取付手段を鍔部の側部及び下部に設けることも考えられる。さらに、固定部材の素材は樹脂でも金属でも良い。固定部材を金属により成型した場合、
図6に示すように、固定部材6cをバイザー本体4へ取り付けた後、位置決め片12の先端をバイザー本体4の内側へ向けてく字状に折り曲げることで、より安定して固定部材を取り付けることができる。なお、
図6には変形例3を一例として図示したが、これに限定されるものではなく、他の形状であっても良い。加えて、固定部材は、例えば
図7の(A)に示した固定部材6dのように外面を曲面で形成しても、
図7(B)に示した固定部材6eのように端部のみ円形に形成しても、
図7(C)に示した固定部材6fのように位置決め片12と取付爪13とを備えた装飾モールを固定できる最低限の構造のみで形成しても良く、バイザー本体への取り付け及び装飾モールの固定が可能な形状であれば上記実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0020】
1・・サイドバイザー、4・・バイザー本体、5・・装飾モール、6・・固定部材、7・・鍔部、8・・切欠部、9・・位置決め孔、12・・位置決め片、13・・取付爪。