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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】二次電池システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20230104BHJP
   H01M 10/6571 20140101ALI20230104BHJP
   H01M 10/6572 20140101ALI20230104BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20230104BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20230104BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20230104BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20230104BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20230104BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20230104BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20230104BHJP
   B60L 58/25 20190101ALI20230104BHJP
   B60L 58/26 20190101ALI20230104BHJP
   B60L 58/27 20190101ALI20230104BHJP
【FI】
H01M10/48 301
H01M10/48 P
H01M10/6571
H01M10/6572
H01M10/633
H01M10/613
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/647
H01M50/204 401H
B60L3/00 S
B60L58/25
B60L58/26
B60L58/27
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018150869
(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公開番号】P2020017509
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】516226183
【氏名又は名称】廣中 克行
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣中 克行
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1696750(KR,B1)
【文献】特開2009-170189(JP,A)
【文献】特開2013-195129(JP,A)
【文献】特開2018-107043(JP,A)
【文献】特開2008-108509(JP,A)
【文献】特開2015-156337(JP,A)
【文献】特開2008-047371(JP,A)
【文献】特開2010-067502(JP,A)
【文献】特表2012-507132(JP,A)
【文献】特表2016-513337(JP,A)
【文献】国際公開第2007/105612(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/124446(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42-10/48
H01M10/52-10/667
H01M50/20-50/298
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
G01R31/36-31/396
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車に搭載される二次電池システムにおいて、
ペルチエ素子またはスターリング冷凍機による冷却機構と薄膜ヒーターによる加熱機構と温度を測定するための温度計とペルチエ素子またはスターリング冷凍機と薄膜ヒーターの出力を制御するコントローラとを備えている充電方式の二次電池
充電時に測定した直流インピーダンス又は交流インピーダンスの値を記憶する不揮発性メモリを内蔵し、二次電池の劣化判定を行う劣化診断システムと、
充電時や放電時の二次電池の温度を任意の温度に制御し、前記二次電池の劣化判定を行う人工知能と、を備え、
二次電池の表面を銅板で被覆し、該銅板の上にペルチエ素子又はスターリング冷凍機と薄膜ヒーターとを張り付けて温度制御することを特徴とする二次電池システム。
【請求項2】
請求項に記載の二次電池システムにおいて、前記劣化診断システムは、充電開始前に、不揮発性メモリに記録した過去の測定インピーダンス値と測定したインピーダンス値を比較することで、充電に適合しないと判断しない場合には、充電を行わないで欠陥二次電池として、二次電池システムから自動的に切り離す機能を備えることを特徴とする二次電池システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の二次電池システムにおいて、二次電池の制御部、インバーター及び電気モーターを制御するコントロールユニットを含むことを特徴とする二次電池システム。
【請求項4】
請求項に記載の二次電池システムにおいて、空気又は液体を循環する循環装置の中に配置されることを特徴とする二次電池システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の二次電池システムにおいて、搭載される二次電池の種類が、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池、全固体二次電池のいずれかであることを特徴とする二次電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペルチエ素子やスターリング冷凍機による冷却機構とヒーターによる加熱機構と二次電池の温度をモニターするための温度計と二次電池の温度を制御するための温度コントローラを組み合わせた二次電池システムを開発することで、充電時における二次電池の温度上昇を抑制することが可能になることで、急速充電を可能にするとともに、寒冷地においてはヒーターによる加熱機構で二次電池の温度を適切な温度に保持する事で、安定した放電特性を確保する事が可能になった。また、電気自動車の充電時に搭載する二次電池の直流インピーダンスあるいは交流インピーダンスを内蔵の不揮発性メモリに記録することで、二次電池の劣化傾向を診断する事が可能になり、劣化した時点で、劣化した二次電池の使用を中止することが可能になり、電気自動車の安全性を飛躍的に向上させることができる。環境温度に依存せずに二次電池の温度を任意の温度に制御することで、充電時、放電時にそれぞれ望ましい特性を発現するスマートバッテリーを提供するものでる。
【背景技術】
【0002】
従来、二次電池には、電池本体の温度を任意に制御する機構が搭載されておらず、急速充電時の二次電池の温度上昇の防止や急速放電時の放電特性の向上を実現することができなかった。
【文献】特開2015-220949号公報
【文献】特開2018-107003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、二次電池には、電池本体の温度を任意に制御する機構が搭載されておらず、急速充電時の二次電池の温度上昇の防止や急速放電時の放電特性の向上を実現することができないという課題があった。
【0004】
本発明は、以上に説明した問題点を解決するためになされたものである。その目的は、電気自動車用の二次電池の特性を従来よりも飛躍的に向上させることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、電気自動車に搭載される二次電池システムにおいて、ペルチエ素子による冷却機構とヒーターによる加熱機構と温度を測定するための温度計とペルチエ素子とヒーターの出力を制御するコントローラとを備えている充電方式の二次電池を備え、充電時や放電時の二次電池の温度を任意の温度に制御できるようにする事で、二次電池システムの充電特性と放電特性を飛躍的に改善するものである。また、スターリング冷凍機による冷却機構とヒーターによる加熱機構と温度を測定するための温度計とスターリング冷凍機とヒーターの出力を制御するコントローラとを備えている充電方式の二次電池を備え、充電時や放電時の二次電池の温度を任意の温度に制御できるようにする事で、二次電池システムの充電特性と放電特性を同様に飛躍的に改善することができる。また、充電時に測定した直流インピーダンス又は交流インピーダンスの値を記憶する不揮発性メモリを内蔵し、人工知能により二次電池の劣化判定を行う劣化診断システムと、充電時や放電時の二次電池の温度を任意の温度に制御し、前記二次電池の劣化判定を行う人工知能と、を備える。二次電池の表面を銅板で被覆し、該銅板の上にペルチエ素子又はスターリング冷凍機と薄膜ヒーターとを張り付けて温度制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、充電時や放電時の二次電池の温度を任意の温度に制御できるようにする事で、二次電池システムの充電特性と放電特性を飛躍的に改善するものである。二次電池システムの性能をモーターの駆動性能に合わせて、制御することができるので、電気自動車の走行性能を飛躍的に向上させることができる。また、本発明は、二次電池システムに人工知能による劣化診断システムを搭載していて、充電開始前に、不揮発性メモリに記録した過去の測定インピーダンス値と測定したインピーダンス値を比較することで、充電に適合しないと判断しない場合には、充電を行わいないで欠陥二次電池として、二次電池システムから自動的に切り離す機能を備えていることで、急速充電時の安全性を飛躍的に改善するものである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態を示す図である。リチウムイオン電池の場合、充電中はリチウムイオンは、電解液中を正極4から負極3に向かって移動する。そして、放電中は、リチウムイオンは、電解液中を負極3から正極4に向かって移動する。急速充電中には、リチウムイオンが負極に移動する過程で発熱してリチウムイオン電池の温度が上昇する。温度上昇を抑制することが安全性を向上する上で重要である。本発明の二次電池システムではリチウムイオン電池に張り付けたペルチエ素子1で冷却することで急速充電中の二次電池の温度上昇を抑制することができる構造を採用している。
また、二次電池の温度がマイナス30℃以下であるなど、極端に低い場合には、急速放電時に十分な出力特性を実現することができない。この場合には二次電池の表面に張り付けた薄膜ヒーター2で加熱することで、十分な出力が得られる温度に二次電池を制御することで、放電特性を改善することができる。
【0010】
図2は、全固体二次電池にペルチエ素子1による冷却機構と薄膜ヒーター2による加熱機構とを備えている二次電池システムの概念図である。全固体二次電池の場合は、リチウムイオン二次電池より、固体電解質8により構成されていることから、充放電特性が優れていることから、リチウムイオン二次電池ほど温度を正確に制御する必要はないが、急速充放電特性の向上及び安全性の向上のためには、極めて有効である。リチウムイオン電池、全固体電池、ナトリウムイオン電池などの2次電池は、構成する材料設計が異なることから、充放電特性も異なっている。全固体電池の材料構成は、例えば特許文献、特開2017-126552に開示されている。本発明の二次電池システムは、使用する二次電池の種類に最適な温度コントルールができるように人工知能で制御されている。
【0011】
図3は、冷却機構にスターリング冷凍機10を使用した二次電池システムの概略図である。スターリング冷凍機10によって冷却した銅板を二次電池に張り付ける構造を採用することで、効率的に2次電池を冷却することができる。二次電池の温度を上昇させる場合には銅板をヒーター2で加熱することで二次電池の温度を上昇させることができる。
【0012】
図4は、本発明の二次電池システムが平板型の二次電池ユニットを5層積層した例を示したものである。図5は、本発明の二次電池システムが二次電池ユニットと送風機12を組み合わせたものである場合の例を示したものである。図6は、二次電池11を5個、直列に接続したユニットを2個並列に接続することで、電池容量を増大した例を模式的に示したものである。
図7は、平板型の二次電池11を5層、積層して、直列に接続した例を示したものである。
【0013】
図8は、本発明の二次電池ユニットがカートリッジ式になっており、回路ボード13に差し込む方式を採用することで、劣化した二次電池11の交換を容易にした構成を示したものである。
図9は、カートリッジ式の二次電池システムが空気あるいは液体の循環装置14の中に配置されることで、二次電池ユニットの温度を正確に充電モード、放電モードの各モードに最適な温度に設定することを可能にしたものである。図10は、二次電池ユニットの隙間に空気を送りこむ送風機12を設置することで、空気循環式の温度調節器15が適切に動作することを可能にしたものである。
【0014】
図11は、本発明の二次電池システムを電気自動車に搭載した場合の構成を模式的に示したものである。二次電池システムの制御部とインバーター及び電気モーターは、統合コントロールユニットにより制御されることを示したものである。
図12は、本発明の二次電池システムのシステム構成を示したものである。各電池ユニットの直流インピーダンスあるいは交流インピーダンスは、急速充電前に計測して、過去の測定値を比較することで、劣化判定を行い、正常と判断された電池ユニットのみに急速充電が行われる。二次電池システムの駆動用の電力は、補助2次電池から供給される電力でまかなわれる。
図13は、本発明の二次電池システムのシステム構成を示したものである。システムの構成は図12のシステム構成と同じであるが、二次電池システムを駆動するための電力が内燃機関を持つ発電機により生成された電力でまかなわれる方式になっている。内燃機関から供給される電力は、二次電池システムの駆動だけではなくて、非常時には2次電池の充電にも使用できる構成になっており、航続距離の長い電気自動車への搭載が期待される。
【0015】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の二次電池システムの断面図である。
図2】本発明の二次電池システムの断面図である。
図3】本発明のスターリング冷凍機の搭載した二次電池システムの断面図である。
図4】本発明の平板型二次電池を縦方向に5層積層した二次電池システムの図面である。
図5】本発明の送風機を備えた積層型二次電池システムの図面である。
図6】本発明の5個の二次電地を直列に接続したユニットを2ユニット並列接続した概略図面である。
図7】本発明の平板型二次電池を5層積層した場合の二次電池システムの図面である。
図8】本発明のカートリッジ式の二次電池ユニットを回路ボードに装着した二次電池システムの図面である。
図9】本発明の二次電池システムが空気あるいは液体の循環機構を備えている場合の二次電池システムの図面である。
図10】本発明の二次電池システムが空気送風機を備えている場合の二次電池システムの図面である。
図11】本発明の二次電池システムを電気自動車に搭載した場合の構成を示したものである。
図12】本発明の二次電池システムのシステム構成を示したものである。
図13】本発明の二次電池システムの駆動に発電機を使用する場合のシステム構成を示したものである。
【符号の説明】
【0017】
1ペルチエ素子
2ヒーター
3負極
4正極
5セパレーター
6電解液
7筐体
8固体電解質
9銅製の熱伝導板
10スターリング冷凍機
11二次電池
12二次電池の温度を均一にするための送風機
13カートリッジ式の二次電池ユニットを差し込むための回路ボード
14二次電池の温度を均一に保持するための空気あるいは液体の循環装置
15二次電池の温度を均一に保持するための空気循環装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13