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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】付加製造による音響パネル用セプタム
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20230104BHJP
   B64D 33/00 20060101ALI20230104BHJP
   G10K 11/175 20060101ALI20230104BHJP
   B64C 1/40 20060101ALN20230104BHJP
【FI】
G10K11/16 130
B64D33/00 B
G10K11/16 110
G10K11/175
B64C1/40
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018218243
(22)【出願日】2018-11-21
(65)【公開番号】P2019109501
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-11-18
(31)【優先権主張番号】15/836,034
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】ザカリー ビー.レンウィック
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン エル.ベルトルッチ
(72)【発明者】
【氏名】エリック エレーラ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ウィリアム ヘイズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン シー.ウォルドロップ 三世
(72)【発明者】
【氏名】マシュー スコット トンプソン
【審査官】岩田 淳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/107909(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/041248(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0072638(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2389501(EP,A1)
【文献】国際公開第2019/018252(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/00-13/00
B64B 1/00- 1/70
B64C 1/00-99/00
B64D 1/00-47/08
B64F 1/00- 5/60
B64G 1/00-99/00
E04B 1/62- 1/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響パネルのセルのセプタムを作製するにあたり、
材料を加熱して溶融材料にし、
前記溶融材料を積層して、前記セプタムにおける下側チャンバを、垂直方向上方に延びるとともに入口を有するように形成し、
その後、前記溶融材料のフィラメントから成るレイヤを前記入口の上端において繰り返し積層し、その際に、各レイヤにおけるフィラメントが、垂直方向に隣接するレイヤに対する張り出し部を有するようにし、
前記張り出し部の位置に孔を形成する、
方法。
【請求項2】
レイヤを積層するに際し、前記レイヤにおけるフィラメントが、隣接するレイヤのフィラメントを越えて延びるように積層して、前記張り出し部を形成する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
レイヤの繰り返し積層では、各フィラメントは、凹部と凸部を含む複数の頂点を有する多角星形に積層され、各レイヤにおける凹部が、垂直方向に隣接するレイヤにおける凸部と整列して配置されて前記孔が形成される、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
さらに、積層後に各凸部を垂下させる、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記レイヤを繰り返し積層することにより、少なくも50レイヤを積層し、
各レイヤは、垂直方向に隣接するレイヤと共に、少なくとも10の孔を形成する、
請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
各レイヤにおいてシームを形成し、その際に、垂直方向に隣接するレイヤのシームが互いに重なるように積層する、
請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記孔の直径は、10,000分の1インチと1,000分の1インチの間である、
請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
さらに、溶融材料を積層して、前記レイヤを囲って音響セルの上側チャンバを画成する材料のソリッドな壁を形成する、
請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
音響セルのセプタムを含み、前記セプタムは、
垂直方向上方に延びるとともに、入口を有する下側チャンバと、
前記下側チャンバの前記入口の上端に一体的に積層された材料のレイヤのスタックであって、各レイヤは、垂直方向に隣接するレイヤに対する張り出し部を有するように積層されたフィラメントであるスタックと、
前記張り出し部が、隣接するレイヤを越えて延出していることによって、前記張り出し部の位置における前記レイヤ間に形成された孔と、を含む、
装置。
【請求項10】
前記スタックの各レイヤの厚さは、1,000分の1インチと100分の1インチの間
である、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記スタックの各レイヤは、凸部と凹部を含む複数の頂点を有する多角星形に形成されており、各レイヤにおける凹部は、隣接するレイヤにおける凸部と整列している、
請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記スタックの各レイヤは、前記スタックの各レイヤにおける空洞部に突出するシームを有し、前記スタックの前記レイヤにおける前記シームは、互いに重なって整列している、
請求項9~11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記スタックを囲って音響セルの上側チャンバを形成する材料のソリッドな壁をさらに含む、
請求項9~12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記孔の直径は、10,000分の1インチと1,000分の1インチの間である、
請求項9~13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記孔は、音響位相及びエネルギーを制御するように前記セプタムを振動させることによって、音響制御を行う、
請求項9~14のいずれかに記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音響パネル(acoustic panel)の分野に関し、具体的には、音響パネル用のセプタム(septa/septum)に関する。
【背景技術】
【0002】
音響パネルは、音の吸収、抑制、及び/又は、反射のために特別に設計された構造を含む。音響パネルは、例えば、航空機の離陸時、飛行中、及び、着陸時における航空機エンジンの騒音を低減するために使用される。航空機における音響パネルは、さらに、航空機の騒音を低減し、及び/又は、離着陸時において航空機が接近する周辺環境から騒音を逸らすために利用される。
【0003】
現行の音響パネルは、各パネルを航空機の複雑な形状に適合させるため、労力をかけてセル単位で入念に組み立てられている。各セルには、音響制御を促進するためにセプタムが挿入されており、航空機の音響パネルは、何万ものセプタムを含みうる。音響パネルにセプタムを挿入する手間のかかるプロセスは、航空機の製造コストを増大させることになり、望ましくない。このため、航空機の設計者は、航空機に音響パネルの追加する際には、快適さとコストとのバランスを慎重に考慮することになる。
【0004】
したがって、上述した問題のうちの少なくともいくつか、並びに、その他の潜在的問題を考慮に入れた方法及び装置の提供が望まれる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載の実施形態は、付加製造プロセスによって作製されたセプタムを提供する。つまり、これらのセプタムは、音響セル及び/又はパネルと一体のコンポーネントとして作製することができる。本明細書に記載のセプタムは、独自の多層構造(multi-layer geometry)を採用することで、対応する音響セルの内部空間につながる所望のサイズ及び数の流路を備えている。これにより、音響セルとは異なる材料で作製したセプタムが不要になる。加えて、音響セルにセプタムを挿入、接合するプロセスを別途行う必要がなくなる。さらに、流路のサイズ及び数を、設計段階で正確に制御することができるので、本明細書に記載のセプタムによれば、正確に調整された音響制御が可能になる。
【0006】
一実施形態は、音響パネルのセルのセプタムを作製する方法に関し、当該方法では、材料を加熱して溶融材料にし、前記溶融材料を積層して、前記セプタムにおける下側チャンバを、垂直方向上方に延びるとともに入口を有するように形成し、前記溶融材料のフィラメントから成るレイヤを前記入口において繰り返し積層し、その際に、各レイヤにおけるフィラメントが、垂直方向に隣接するレイヤに対する張り出し部を有するようにし、前記張り出し部の位置に孔を形成する。
【0007】
さらに別の実施形態は、プロセッサにより実行されると方法を実行するように動作させるプログラム命令を具体化した非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。前記方法は、音響パネルのセルのセプタムを作製する方法であって、その際に、材料を加熱して溶融材料にし、前記溶融材料を積層して、前記セプタムにおける下側チャンバを、垂直方向上方に延びるとともに入口を有するように形成し、前記溶融材料のフィラメントから成るレイヤを前記入口において繰り返し積層し、その際に、各レイヤにおけるフィラメントが、垂直方向に隣接するレイヤに対する張り出し部を有するようにし、前記張り出し部の位置に孔を形成する。
【0008】
さらに別の実施形態は、音響セルのセプタムを含む装置に関する。前記セプタムは、垂直方向上方に延びるとともに、入口を有する下側チャンバと、前記下側チャンバの前記入口の上端に積層された材料のレイヤのスタックと、を含む。前記スタックの各レイヤは、垂直方向に隣接するレイヤに対する張り出し部を有するように前記入口に積層されたフィラメントと、前記張り出し部が、隣接するレイヤを越えて延出していることによって、前記張り出し部の位置における前記レイヤ間に形成された孔と、を含む。
【0009】
その他の例示的な実施形態(例えば、上述の実施形態に関連する方法及びコンピュータ可読媒体)を、以下に記載する。上述の特徴、機能、及び、効果は、本開示の様々な実施形態において個別に達成可能であり、また、他の実施形態との組み合わせも可能である。この詳細については、以下の記載と図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下に、本開示のいくつかの実施形態を、あくまでも例として説明する。説明においては、添付図面を参照し、同一あるいは同じ種類の要素は、すべての図面を通じて同一の参照符号で示されている。
【0011】
図1】例示的な実施形態による音響セル用セプタムを示す側面図である。
図2】例示的な実施形態による図1のセプタムにおける複数のレイヤの断面図である。
図3】例示的な実施形態による図1のセプタムにおける複数のレイヤの透視図である。
図4】例示的な実施形態による音響セルの断面図である。
図5】例示的な実施形態による音響パネルの切り欠き図である。
図6】例示的な実施形態による音響パネルの上面図である。
図7】例示的な実施形態による融解フィラメント製造システムを示すブロック図である。
図8A】例示的な実施形態による、音響セル用セプタムを付加製造によって作成する方法を示すフローチャートである。
図8B】例示的な実施形態による音響エネルギーの制御方法を示すフローチャートである。
図9】例示的な実施形態による音響制御を示す回路図である。
図10】例示的な実施形態による音響パネルを、エンジンに取り付けられた状態で示すブロック図である。
図11】例示的な実施形態による航空機の製造及び使用方法を示すフロー図である。
図12】例示的な実施形態による航空機を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面及び下記の説明は、本開示における特定の例示的な実施形態を説明するものである。したがって、当業者であれば、これら実施形態の原理を具体化する様々な変形を想定することができ、これは、本明細書に明瞭な説明又は図示がなくても可能であり、また、そのような変形も実施形態の範囲に包含されことは理解されよう。さらに、本明細書に記載の実施例は、いずれも本開示の原理に対する理解を助けることを意図しており、これら具体的に説明された実施例又は条件に限定するものであると解釈すべきではない。つまり、本開示は、以下に説明する特定の実施形態又は実施例に限定されるものではなく、請求の範囲及びその均等範囲によって限定される。
【0013】
図1は、例示的な実施形態における音響セル用のセプタム100を示す側面図である。セプタム100は、一体的な材料(例えば、熱可塑性の部品)で構成されており、下側チャンバ150につながる小さな流路(例えば、その直径が10,000分の1インチと1,000分の1インチの間)が設けられている。下側チャンバは、垂直方向上方に延びるとともに入口(entry)132を有する。この構成によって、音響セル内にセプタム100を配置すれば、音響エネルギーの制御が促進される。
【0014】
本実施形態では、セプタム100は3つの領域からなり、各領域は、ポリアリールエーテルケトン(PAEK:Poly Aryl Ether Ketone)、ポリカーボネート(PC)ポリエーテルイミド(PEI)混合物などの熱可塑性材料で構成されている。これらの材料は、融解フィラメント製造システム(fused filament fabrication system)などの付加製造システムで使用可能なものであり、セプタム100は、材料の層を熱溶解積層(fused deposition)によって連続して積み上げて作製される。領域142は、壁144(例えば、熱可塑性材料で構成されたソリッドな壁(solid wall))を含む。この壁で囲うことで下側チャンバ150が画成される。傾斜部130は、壁144の一部分であって、下側チャンバ150の直径(D)が減少して入口132に繋がっている部分である。傾斜部130の角度は、付加製造プロセスにおいて許容される最大傾斜角に依存する。例えば、融解フィラメント製造システムによる最大傾斜角が45度であれば、傾斜部130の角度(θ)は、45度に限定されうる。周縁140は、入口132を囲む部分である。下側チャンバ150は、融解フィラメント製造により作製してもよいし、あるいは、その他の適当なプロセスにより作製してもよい。
【0015】
領域122は、材料の複数のレイヤ124が積層されたスタック120を含む。レイヤ124の形状寸法(geometry)によって、レイヤ124間に小さな孔/流路が形成されており、これにより、音響セル内の音響エネルギーの制御を容易化することができる。領域112には、ソリッドなキャップなど、セプタム100のキャップ110が形成されている。図1には、ソリッドなキャップ110を示しているが、さらに別の実施形態では、キャップ110は、追加のレイヤ124を含んでもよい。この追加のレイヤの付加製造では、上にいくほど各レイヤの直径が小さくなるように積層して、円錐形に造形にしてもよい。このような実施形態によれば、キャップ110の内部に流路を設けることができる。さらに別の実施形態では、キャップ110をセプタム100のベース層として形成する場合(例えば、セプタム100を、上側から下に、上下を逆にして作製する場合)、キャップ110は、完全に平坦に造形してもよい。セプタム100が採用するキャップ110の種類にかかわらず、セプタム100は、レイヤ124間の隙間によって画成される流路よりも大きな流路は一切含まない(例えば、直径が10,000分の1インチを超える流路は含まない)。
【0016】
レイヤ124については、図2図3を参照してさらに説明する。図2は、図1に示す例示的な実施形態のセプタム100における複数のレイヤの断面図であり、図1における矢印2の矢視図に相当する。
【0017】
本実施形態では、第1レイヤ210及び追加レイヤ220が示されている。各レイヤは、例えば、融解フィラメント製造システムにおいて1のノズルから吐出された熱可塑性材料など、図1の周縁140に沿って一周する経路で吐出された材料(single pathway of deposited material)から成る。さらに、各レイヤは、内側に空洞(hollow)を境界づける形状であって、例えば、N個の凸部214及び凹部212を含む頂点260を有する多角星形(multi-pointed star shape)に造形したフィラメント(filament)216で構成してもよい。追加レイヤ220は、第1レイヤ210に対して回転させた形状にする。これにより、追加レイヤ220の頂点260を、第1レイヤ210の頂点260からオフセットして配置することができる。このオフセットは、異なるレイヤの頂点260の平行移動、あるいは、回転により生じる。例えば、図2に示すように、追加レイヤ220の凸部224が第1レイヤ210の凹部212を部分的に覆っている。この結果、あるレイヤの一部分が、垂直方向に隣接するレイヤの一部分/境界/範囲よりも横方向に突出した部分である張り出し部(overhang)290が形成される。よって、各レイヤにおける凹部は、隣接するレイヤの凸部と整列する。このように、(入口132の上方に位置する)各レイヤの空洞部250は、隣接するレイヤを越えて延びている。別の表現をすれば、追加レイヤ220の空洞部250は、隣接するレイヤ(例えば、第1レイヤ210)のフィラメント216から延在して、孔230を形成している。したがって、孔230は、頂点260の近傍に位置する。これらの実施形態では、フィラメントが太いほど、所望のサイズの孔を形成するために張り出し部を大きくする必要が生じる。
【0018】
図2には、各レイヤがシーム(seam)240を有しうることを示している。この実施形態では、シーム240は、側部242及び側部244を含む。例えば、融解フィラメント製造では、側部242は、第1レイヤ210の積層始めにおいて吐出される部分であり、側部244は、積層終わりに吐出される部分であり、各側部の厚さはT/2である。これにより、各レイヤの始点と終点における吐出のムラや変動によって、レイヤ間に形成される流路のサイズが意図せず変わってしまうことを防止できる。
【0019】
図3は、例示的な実施形態による図1のセプタム100におけるの複数のレイヤの透視図である。具体的には、図3は、図1における矢印3の矢視図に相当する。この図は、追加レイヤ300を示しており、また、レイヤの凸部及び凹部が隣接するレイヤと整列していない場合であっても、レイヤのシーム240が互いに重なるように配置できることを示している。
【0020】
図2図3に基づくスタック120の理解に基づいて、図4は、例示的な実施形態における音響セル400を示す断面図である。本実施形態において、音響セル400は、周縁140で画成された下側チャンバ150を含む。加えて、音響セル400は、壁410及びフェースシート(facesheet)430で画成された上側チャンバ420も含む。音響エネルギーは、フェースシート430に設けられた開口(opening)432を経由して音響セル400の上側チャンバ420に入る。音響エネルギーは、その後、スタック120のレイヤ間に設けられた孔230を経由して伝達されて、下側チャンバ150に入る。つまり、孔230は、音響位相及びエネルギーを制御するようにセプタム100を振動させることで、音響制御の機能を果たす。音響セル400のすべてのコンポーネントは、付加製造によって、材料の一体物として同時に作製することができる。
【0021】
図5は、例示的な実施形態における音響パネル500を示す切り欠き図である。図5は、音響パネル500の音響セル400によって、音響エネルギーが制御される様子も示している。図5に示すように、音波エネルギー510は、フェースシート430を介して音響セルの上側チャンバ420に入り、その後、スタック120を介して下側チャンバ150に入る。次いで、音波エネルギー510は、音響セル400内で位相調整(phasing)によって制御されるか、及び/又は、セプタムが位相のずれた波を消去することにより減衰された後に、音響セル400から放出される。図6は、例示的な実施形態における音響パネルを示す上面図である。図6は、図5における矢印6の矢視図に相当する。図6が示すように、音響セル400は任意の態様で音響パネル500に配置可能であるとともに、任意の適当な形状を有するものでもよい。例えば、六角形又は円形など、モザイク状に配置可能な形状(tessellating shape)を用いることができ、これにより音響セル400を所望の密度で配置することができる。
【0022】
上記ではセプタム100、及び、対応する音響パネルについて記載したが、以下では、セプタム100の作製に使用可能な付加製造システム及び技術について説明する。図7は、例示的な実施形態における融解フィラメント製造システム700を示すブロック図である。融解フィラメント製造システム700は、熱可塑性材料の連続フィラメントで3次元の部品を作製する任意の適当なシステムである。本実施形態では、融解フィラメント製造システム700は、アクチュエータ720を含み、これによりヘッド730を様々な位置及び/又は方向に移動させて付加製造を行う。ヘッド730はヒータ732を含み、これによりフィラメント貯蔵部(filament reserve)740から供給される熱可塑性材料742を溶融させて、溶融熱可塑性材料750を得る。溶融熱可塑性材料750はノズル734に供給され、このノズルがコントローラ710の命令にしたがって、所望の位置に溶融熱可塑性材料750を吐出する。コントローラ710は、例えば、数値制御(NC)プログラム712などのNCプログラムに格納された命令に基づいて、アクチュエータ720、ヒータ732、及び/又は、ノズル734の動作を制御する。コントローラ710は、例えば、カスタマイズされた回路、プログラムされた命令を実行するハードウェアプロセッサ、又は、それらの組み合わせにより実現することができる。
【0023】
融解フィラメント製造システム700の動作の例示的な詳細については、図8を参照して説明する。本実施形態では、融解フィラメント製造システム700に材料のフィラメントが充填されており、また、コントローラ710は、メモリに格納されたNCプログラムに基づいて作製を開始することを前提とする。
【0024】
図8Aは、付加製造を用いて例示的な実施形態における音響セルのセプタムを作成する方法800を示すフローチャートである。方法800のステップは、図7の融解フィラメント製造システム700を参照して説明されているが、その他の任意の付加製造環境においても方法800を実行可能であることは、当業者なら認識できるであろう。本明細書で説明するフローチャートのステップは、すべてのステップを網羅しているものではなく、ここに示した以外のステップも含まれうる。本明細書で説明するステップは、異なる順で実行することもできる。さらに、これらのステップは、数値制御(NC)プログラムに、例えば図7に示すNCプログラム712にしたがって動作して、自動制御プロセスを実現するマシンにより実行されうる。
【0025】
コントローラ710は、アクチュエータ720に命令して、ノズル734をセプタム100の作製開始位置に移動させる。コントローラ710は、ヒータ732に命令して、材料(例えば、熱可塑性材料742)を溶融温度(例えば、華氏720度)に加熱して、溶融材料(例えば、溶融熱可塑性材料750)を得る(ステップ802)。コントローラ710は、NCプログラム712をロードして、融解フィラメント製造システム700の移動経路、溶融材料の積層位置、及び、積層させる溶融材料の量を示す、セプタム100の作製命令を取得する(ステップ803)。コントローラ710は、さらに、アクチュエータ720及びノズル734に命令して、実際に溶融材料を積層させて、セプタム100の作製を開始する。このプロセスは、溶融材料を積層して、セプタム100の下側チャンバ150を形成することを含み、この際に、下側チャンバは、垂直方向上方に延び、周縁140を有する入口132を含むように形成される(ステップ804)。
【0026】
下側チャンバ150が作製されると、コントローラ710は、アクチュエータ720及びノズル734に命令して、溶融材料をさらに追加で積層させる。具体的には、コントローラ710は、アクチュエータ720及びノズル734に命令して、入口132に溶融材料のフィラメント(例えば、入口132の周縁140に沿ったフィラメント)であるレイヤを積層させる(ステップ806)。このフィラメントは、内側に空洞を境界づける形状に積層される。さらに、追加のフィラメント状レイヤを積層させる。各レイヤは、垂直方向に隣接するレイヤに対する張り出し部(overhang)を有する。このプロセスを継続して、追加レイヤの積層を繰り返す。すべてのレイヤ124の積層を完了していないとコントローラ710が判定すれば(ステップ808)、コントローラ710は、アクチュエータ720及びノズル734に命令して、ステップ806に戻り、追加のレイヤを積層させる。
【0027】
レイヤ124が固化する(例えば、冷却される)際に、張り出し部290が垂れ下がるので、張り出し部290の位置において、垂直方向に隣接するレイヤとレイヤの間に孔230が形成される(ステップ810)。これらの孔230は、セプタム100の下側チャンバ150に連通する。例えば、各レイヤ124のフィラメントは、孔230を形成すべく、垂直方向に隣接する(例えば、接触する)レイヤ124のフィラメントよりもわずかに張り出すように積層される。そのような実施形態では、各フィラメントは、下支えなしに片持ち梁状に突出した部分(cantilevered protrusion)を含むように積層される。これら突出部分が、フィラメントの積層後に下方に垂れ下がり、孔230が形成される。スタック120は、例えば、100レイヤ、あるいは、それ以上など、任意の適当な数のレイヤを含むことができる。
【0028】
スタック120のこの独自の形状寸法により、付加製造技術を用いてセプタム100に孔230を設けることが可能になる。これにより、セプタム100は、上側チャンバ420及び下側チャンバ150を通過する音響エネルギーの流れを制御することが可能になる。さらに、セプタム100は付加製造技術により作製されるので、音響パネル500を一体成形することができる。これにより、音響パネルを自動で製造することが可能になり、コストの低減が可能になる。さらに、音響セルのその他の部分(例えば、壁410、フェースシート430)についても、セプタム100の付加製造と同一プロセスで作成することができる。これにより、音響セルとセプタムを、同時に作成することが可能になる。
【0029】
上述のセプタムを用いることにより、音響セルにおいて方法が実行される。これを、図8Bの方法850に関して説明する。本方法は、例えば、複数の音響セルを含むパネルのフェースシートを貫通する空気流を受けること(ステップ852)を含む。本方法は、フェースシートを介して空気流を音響パネルのセルに導入すること(ステップ854)と、音響エネルギー及び位相を制御するように、セルのセプタを振動させること(ステップ856)を含む。
【0030】
音響セルによる音響エネルギーの調整制御は、回路図を使ってモデル化することができる。具体的には、図9の回路図900を用いて、音響パネル全体のインピーダンスを調整することができる。このような実施形態において、R1及びR2は、図9に示す抵抗-コイル-コンデンサ(RLC:Resistive Inductive Capacitive)回路における抵抗を表し、C1及びC2は、図9のRLC回路におけるコンデンサを表し、L1はRLC回路におけるインダクタを表す。これらの要素から、Z1、Z2、及び、Z系(z#system)(回路の様々な部分のインピーダンスを表す)を算出することができる。具体的には、R1は、パネルのフェースシートにより与えられる音響抵抗に対応する。L1は、フェースシートに設けられた開口の形状、数、及び/又は、サイズによって生じる空気流(質量)インピーダンスに対応する(これは、例えば、フェースシートに対する開口面積率(POA:Percent Open Area)を調節することで、調整可能である)。さらに、C1は、セプタムとフェースシートの間の空気キャパシタンスの大きさ(volume of air capacitance)に対応し、C2は、セプタムと裏側シート(backing sheet)の間の空気キャパシタンスの大きさに対応する。R2は、セプタム内を音響エネルギーが伝播するのに伴って生じる抵抗を表す。R1、L1及びC1を所望のように変化させることで、Z1を調整することが可能である。同様に、Z2についても、R2とC2の値に基づいて調整することが可能である。このように、音響パネル全体のZ系を迅速に算出することができる。例えば、フェースシート430の開口面積率は、音響セル400に流入する空気流に対して、特定のレベルの抵抗を与えるように選択することができる。音響セルは、選択された周波数(又は周波数域)の音響エネルギーに抵抗を与え/これを減衰させるよう構成されている。なお、フェースシート430の厚みによって、音響セル400に流れ込む空気の質量流量を規制する誘導性応答(inductive response)が生じる場合がある。音響セル400に含まれるセプタム100は、セルキャパシタンス(エネルギー貯蔵量)を規定し、さらに、空気流に抵抗を与える。したがって、音響セル400内の自由空間の体積、及び、音響セル400の総体積を考慮し、これを2自由度(DOF)制御系におけるプログラムを用いて制御して、これにより、音響セル400の音響特性を制御して特定の周波数を制御/減衰することができる。この手法は、航空機エンジンからの特定周波数の騒音が航空機の乗客に知覚され、航空機の乗客に不快感をもたらすことが分かっているような場合に特に有用である。
[実施例]
【0031】
後述する実施例において、付加製造プロセスで作製されたセプタムを有する音響パネルに関連して、さらに追加のプロセス、システム、及び、方法について説明する。
【0032】
図10は、例示的な実施形態において、エンジン1000(例えば、航空機のエンジン)に取り付けられた音響パネル(1020)を示すブロック図である。本実施形態では、エンジン1000の給気口1010には、音響エネルギーを制御する1以上の音響パネル1020が設けられている。音響パネル1020は、裏側シート1022を含み、これは、音響パネル1020のコア1024のベース/土台を構成する。コア1024は、所定数の音響セル1030を含む。各音響セル1030は、複数の壁1032を含み、また、セプタム1040を含む。各セプタム1040は、下側チャンバ1042を画成する壁1044を含み、下側チャンバは周縁1043を有する。スタック1046は、複数のレイヤ1047を含み、周縁1043の上端に配置されている。各レイヤ1047は、頂点1048を有し、また、シーム(seam)1049を有する場合もある。キャップ1041は、セプタム1040の終端に設けられている。フェースシート1026は、開口1028を有し、各音響セル1030を覆っている。これにより、音響エネルギーを通過させて、音響制御用の音響セル1030に進入させている。
【0033】
図面をより具体的に参照すると、本開示の実施形態は、図11に示す航空機の製造及び使用方法1100に関連させて、また、図12に示す航空機1102に関連させて説明することができる。生産開始前において、例示的な方法1100は、航空機1102の仕様決定及び設計1104と、材料調達1106とを含む。製造中には、航空機1102の部品及び小組立品の製造1108、及び、システム統合1110が行われる。その後、航空機1102は、認可及び納品1112を経て、使用1114の期間に入る。顧客による使用の期間中は、航空機1102は、定期的な整備及び保守1116(改良、再構成、改修、及び他の適当な保守を含みうる)のスケジュールに組み込まれる。本明細書で具体化した装置及び方法は、製造及び使用方法1100における1以上の任意の適当な工程(例えば、仕様決定及び設計1104、材料調達1106、部品及び小組立品の製造1108、システム統合1110、認可及び納品1112、使用1114、整備及び保守1116)、及び/又は、航空機1102の任意の適当なコンポーネント(例えば、機体1118、システム1120、内装1122、推進系1124、電気系1126、油圧系1128、環境系1130)において、採用することができる。
【0034】
方法1100の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又は、オペレータ(例えば顧客)によって実行又は実施することができる。なお、システムインテグレータは、航空機メーカ及び主要システム下請業者をいくつ含んでいてもよく、その数は特に限定されない。また、第三者は、売主、下請業者、供給業者をいくつ含んでいてもよく、オペレータは、例えば、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織、及び他の適当なオペレータを含んでもよい。
【0035】
図12に示すように、例示的な航空機の製造及び使用方法1100によって製造された航空機1102は、複数のシステム1120及び内装1122を有する機体1118を含みうる。複数のハイレベルシステム1120の例としては、推進系1124、電気系1126、油圧系1128、及び、環境系1130のうちの1以上が挙げられる。また、その他のシステムをいくつ含んでもよい。また、航空宇宙産業に用いた場合を例として説明したが、本開示の原理は、例えば自動車産業、農業、海洋産業、家電産業などの他の産業に適用してもよい。
【0036】
既に言及したように、本明細書において具体化される装置及び方法は、航空機の製造及び使用方法1100における1以上の任意の工程で採用してもよい。例えば、製造工程1108において製造される部品及び小組立品を、航空機1102の使用期間において製造される部品及び小組立品と同様に製造してもよい。また、1以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせを、製造工程1108及び1110で用いることによって、例えば、実質的に航空機1102の組み立て速度を大幅に速めたり、コストを大幅に削減したりすることができる。同様に、1以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又は、それらの組み合わせを、航空機1102の使用期間において、例えば、限定するものではないが、整備及び保守1116に用いてもよい。例えば、本明細書に記載の技術及びシステムを、ステップ1106、1108、1110、1114及び/又は1116において用いてもよいしい、及び/又は、機体1118及び/又は内装1122について用いてもよい。これらの技術及びシステムは、例えば、推進系1124、電気系1126、油圧系1128、及び/又は、環境系1130を含むシステム1120について用いることもできる。
【0037】
一実施形態において、音響パネル500は、機体1118の一部に連結され、部品及び小組立品の製造1108の工程において作製される。音響パネル500は、摩耗によって音響パネル500が使用不可能な状態になるまで、継続的に使用1114されうる。次いで、整備及び保守1116において、音響パネル500は、廃棄され、新たに製造された部品と交換される。本発明のコンポーネント及び方法は、部品及び小組立品の製造1108において、新たな音響パネル500の製造に、及び、これら音響パネル500のセプタムの製造に用いることができる。
【0038】
図示あるいは本明細書に記載した様々な制御素子(例えば電気又は電子部品)はいずれも、ハードウェア、ソフトウェアを実装したプロセッサ、ファームウェアを実装したプロセッサ、又は、これら何らかの組み合わせとして実現することができる。例えば、ある素子を、専用ハードウェアとして実現することができる。専用ハードウェア素子は、「プロセッサ」、「コントローラ」、又は、これに類するその他の用語で呼ばれる場合がある。プロセッサによって実現される場合、その機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、又は、共有可能な複数の別個のプロセッサによって、実現することができる。さらに、「プロセッサ」又は「コントローラ」なる用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのみを指すと解釈されるべきではない。限定するものではないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)若しくは他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを格納した読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性記憶装置、論理回路、又は、他の物理的なハードウェア部品若しくはモジュールを暗黙的に含みうる。
【0039】
また、制御素子は、当該素子の機能を実行すべくプロセッサ又はコンピュータによって実行可能な命令として実現することができる。命令の例をいくつか挙げると、ソフトウェア、プログラムコード及びファームウェアがある。これらの命令は、プロセッサにより実行されると、当該プロセッサを指令して素子の機能を実行させる。これらの命令は、プロセッサにより読み取り可能な記憶装置に格納することができる。記憶装置の例としては、デジタルメモリ若しくは固体メモリ、磁気ディスクや磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は、光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体などが挙げられる。
【0040】
本方法は、以下の付記においても言及されるが、これらは請求の範囲と混同されるべきではない。
【0041】
A1.音響パネルのセルのセプタムを作製するにあたり、
材料を加熱して溶融材料にし(802)、
前記溶融材料を積層して、前記セプタムにおける下側チャンバを、垂直方向上方に延びるとともに入口を有するように形成し(804)、
前記溶融材料のフィラメントから成るレイヤを前記入口において繰り返し積層し、その際に、各レイヤにおけるフィラメントが、垂直方向に隣接するレイヤに対する張り出し部を有するようにし(806~808)、
前記張り出し部の位置に孔を形成する(810)、
方法。
【0042】
A2.レイヤを積層するに際し、前記レイヤのうちの1つにおけるフィラメントが、隣接するレイヤのフィラメントを越えて延びるように積層して、前記張り出し部を形成する、
付記A1に記載の方法。
【0043】
A3.レイヤの積層では、各フィラメントは、凹部と凸部を含む複数の頂点を有する多角星形に積層され、各レイヤにおける凹部が、垂直方向に隣接するレイヤにおける凸部と整列して配置されて前記孔が形成される、
付記A1に記載の方法。
【0044】
A4.さらに、積層後に各凸部を垂下させる、
付記A3に記載の方法。
【0045】
A5.前記レイヤを繰り返し積層することにより、少なくも50レイヤを積層し、
各レイヤは、垂直方向に隣接するレイヤと共に、少なくとも10の孔を形成する、
付記A1に記載の方法。
【0046】
A6.前記セプタムの作製を、融解フィラメント製造により行う、
付記A1に記載の方法。
【0047】
A7.各レイヤにおいてシームを形成し、その際に、垂直方向に隣接するレイヤのシームが互いに重なるように積層する、
付記A1に記載の方法。
【0048】
A8.前記孔の直径は、10,000分の1インチと1,000分の1インチの間である、
付記A1に記載の方法。
【0049】
A9.さらに、溶融材料を積層して、前記レイヤの上端に材料のソリッドなキャップを形成する、
付記A1に記載の方法。
【0050】
A10.さらに、溶融材料を積層して、前記レイヤを囲って音響セルの上側チャンバを画成する材料のソリッドな壁を形成する、
付記A1に記載の方法。
【0051】
A11.付記A1に記載の方法によって組み立てられた航空機の部品。
【0052】
本開示のさらに別の側面において、以下の媒体が提供される。
【0053】
B1.プロセッサにより実行されると方法を実行するプログラム命令を具体化した非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
音響パネルのセルのセプタムを作製にあたり、
材料を加熱して溶融材料にし(802)、
前記溶融材料を積層して、前記セプタムにおける下側チャンバを、垂直方向上方に延びるとともに入口を有するように形成し(804)、
前記溶融材料のフィラメントから成るレイヤを前記入口において繰り返し積層し、その際に、各レイヤにおけるフィラメントが、垂直方向に隣接するレイヤに対する張り出し部を有するようにし(806~808)、
前記張り出し部の位置に孔を形成する(810)方法である。
【0054】
B2.レイヤを積層するに際し、前記レイヤのうちの1つにおけるフィラメントが、隣接するレイヤのフィラメントを越えて延びるように積層して、前記張り出し部を形成する、
付記B1に記載の媒体。
【0055】
B3.レイヤの積層では、各フィラメントは、凹部と凸部を含む複数の頂点を有する多角星形に積層され、各レイヤにおける凹部が、垂直方向に隣接するレイヤにおける凸部と整列して配置されて前記孔が形成される、
付記B1に記載の媒体。
【0056】
B4.前記方法は、さらに、積層後に各凸部を垂下させる、
付記B3に記載の媒体。
【0057】
B5.前記レイヤを繰り返し積層することにより、少なくも50レイヤを積層し、
各レイヤは、垂直方向に隣接するレイヤと共に、少なくとも10の孔を形成する、
付記B1に記載の媒体。
【0058】
B6.前記セプタムの作製を、融解フィラメント製造により行う、
付記B1に記載の媒体。
【0059】
B7.前記方法は、さらに、各レイヤにおいてシームを形成し、その際に、垂直方向に隣接するレイヤのシームが互いに重なるように積層する、
付記B1に記載の媒体。
【0060】
本開示のさらに別の側面において、以下の装置が提供される。
【0061】
C1.音響セル(400)のセプタム(100)を含み、前記セプタムは、
垂直方向上方に延びるとともに、入口(132)を有する下側チャンバ(150)と、
前記下側チャンバの前記入口の上端に積層された材料のレイヤ(124)のスタックであって、各レイヤは、垂直方向に隣接するレイヤに対する張り出し部(290)を有するように前記入口に積層されたフィラメント(216)であるスタックと、
前記張り出し部が、隣接するレイヤを越えて延出していることによって、前記張り出し部の位置における前記レイヤ間に形成された孔(230)と、を含む、
装置。
【0062】
C2.前記スタックの各レイヤの厚さは、1,000分の1インチと100分の1インチの間である、
付記C1に記載の装置。
【0063】
C3.前記材料は、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)を含む、
付記C1に記載の装置。
【0064】
C4.前記スタックの各レイヤは、凸部(224)と凹部(212)を形成する複数の頂点(260)を有する多角星形に形成されており、各レイヤにおける凹部は、隣接するレイヤにおける凸部と整列している、
付記C1に記載の装置。
【0065】
C5.前記スタックの各レイヤは、前記スタックの各レイヤにおける空洞部(250)に突出するシーム(240)を有し、前記スタックの前記レイヤにおける前記シームは、互いに重なって整列している、
付記C1に記載の装置。
【0066】
C6.前記スタックを囲って音響セル(400)の上側チャンバ(420)を画成する材料のソリッドな壁(410)をさらに含む、
付記C1に記載の装置。
【0067】
C7.前記孔の直径は、10,000分の1インチと1,000分の1インチの間である、
付記C1に記載の装置。
【0068】
C8.前記レイヤの上端に材料のソリッドなキャップ(110)をさらに含む、
付記C1に記載の装置。
【0069】
C9.前記孔は、音響位相及びエネルギーを制御するように前記セプタムを振動させることによって、音響制御を行う、
付記C1に記載の装置。
【0070】
C10.付記C1に記載の装置を用いて航空機の部品を作製すること。
【0071】
本明細書において特定の実施形態を説明したが、本開示の範囲は、これらの実施形態に限定されるものではない。本開示の範囲は、添付の請求の範囲及びその均等範囲によって定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12