(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】プロセスユニットおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20230104BHJP
G03G 15/02 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
G03G21/18 164
G03G21/18 114
G03G21/18 150
G03G15/02 101
(21)【出願番号】P 2018226480
(22)【出願日】2018-12-03
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 武志
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-215607(JP,A)
【文献】特開平06-161171(JP,A)
【文献】特開2017-090739(JP,A)
【文献】特開平08-030177(JP,A)
【文献】特開2005-157186(JP,A)
【文献】特開平08-050438(JP,A)
【文献】特開平06-273987(JP,A)
【文献】特開2013-156321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に設けられたプロセスユニット装着部に対して、前記画像形成装置本体の
前記プロセスユニット装着部の手前の挿入側から
奥の装着側に向
かう挿入方向に挿入されるプロセスユニットであって、
感光体ドラムと、
帯電ローラと、
前記感光体ドラムを支持する枠体と、
前記帯電ローラを支持するとともに、前記帯電ローラを前記感光体ドラムに接触させる方向に付勢する軸受部材と、
前記帯電ローラを前記感光体ドラムから離間させた状態に保持する保持状態と、前記保持状態を解除して前記帯電ローラを前記感光体ドラムに接触させた状態に移行させる解除状態と、の間で切り替え可能な保持部と、
を備え、
前記プロセスユニット装着部の内部、
および、前記プロセスユニット装着部に前記プロセスユニットが装着された状態において前記画像形成装置本体の
前記挿入側に装着される装着体に、前記保持部を前記保持状態から前記解除状態に移行させる解除部材が設けられており、
前記プロセスユニット装着部に前記プロセスユニットが装着された状態において、
前記プロセスユニット装着部の内部に設けられた前記解除部材は、前記プロセスユニットの前記装着側に設けられた前記保持部を前記保持状態から前記解除状態に移行させ、前記画像形成装置本体の前記挿入側に前記装着体が装着されることにより、
前記装着体に設けられた前記解除部材は、前記プロセスユニットの前記挿入側に設けられた前記保持部を前記保持状態から前記解除状態に移行させることを特徴とするプロセスユニット。
【請求項2】
前記保持部は、
前記枠体および前記軸受部材のいずれか一方に設けられる係合部と、
前記枠体および前記軸受部材のいずれか他方に設けられる被係合部と、
を有し、
前記保持状態では、前記被係合部に前記係合部が係合し、前記解除状態では、前記被係合部から前記係合部が離脱する、
請求項1に記載のプロセスユニット。
【請求項3】
前記係合部は、
前記プロセスユニット装着部に前記プロセスユニットが装着された状態において、前記画像形成装置本体の
前記挿入方向に対して平行な方向に作動することにより、前記被係合部に係合した状態から離脱した状態に移行する、
請求項2に記載のプロセスユニット。
【請求項4】
前記係合部は、
前記プロセスユニット装着部に前記プロセスユニットが装着された状態において、前記画像形成装置本体の
前記挿入方向に対して交差する方向に作動することにより、前記被係合部に係合した状態から離脱した状態に移行する、
請求項2に記載のプロセスユニット。
【請求項5】
前記保持部は、
前記解除部材を挿通させる挿通部をさらに有し、
前記解除部材が前記挿通部を介して前記係合部に接触することにより、前記保持状態から前記解除状態に移行する、
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項6】
前記装着体は、
現像ユニット、位置決めユニット、廃トナーボックス、および前カバーのいずれかである、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項7】
前記プロセスユニット装着部の前記挿入側は、前記プロセスユニット装着部の前面側であり、前記プロセスユニット装着部の前記装着側は、前記プロセスユニット装着部の後面側である、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のプロセスユニット。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか1項に記載されたプロセスユニットを備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置、および画像形成装置に備えられるプロセスユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、メンテナンスの容易性等を考慮して、感光体ドラムおよび各機能部がユニット化されたプロセスユニットが用いられている。プロセスユニットは、画像形成装置本体に対して容易に着脱できる構成となっている。
【0003】
プロセスユニットに感光体ドラムを帯電させる帯電ローラが設けられている場合、帯電ローラを感光体ドラム表面に均一に接触させるため、帯電ローラを感光体ドラムに対して付勢し、所定の圧力で接触させるようにしている。
【0004】
帯電ローラが感光体ドラムに対して所定の圧力で接触しているため、プロセスユニットが長期間に渡って使用されずに保管されると、帯電ローラに変形等が生じるおそれがある。そこで、感光体ドラムと帯電ローラを離間させておき、プロセスユニットが画像形成装置に装着されて、画像形成装置の駆動負荷が所定の負荷以上になった場合に、帯電ローラが離間状態から当接状態へ移行するようにした画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、帯電ローラを離間状態から当接状態へ移行させるための機構が別途必要であり、画像形成装置およびプロセスユニットの構造が複雑化するという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、構造を複雑化することなく、感光体ドラムと帯電ローラを非接触の状態から接触させた状態に移行させることができ、帯電ローラの変形等を抑制することができる、プロセスユニットおよび画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプロセスユニットは、画像形成装置本体に設けられたプロセスユニット装着部に対して、前記画像形成装置本体の前面側から後面側に向けて挿入されるプロセスユニットであって、
感光体ドラムと、
帯電ローラと、
前記感光体ドラムを支持する枠体と、
前記帯電ローラを支持するとともに、前記帯電ローラを前記感光体ドラムに接触させる方向に付勢する軸受部材と、
前記帯電ローラを前記感光体ドラムから離間させた状態に保持する保持状態と、前記保持状態を解除して前記帯電ローラを前記感光体ドラムに接触させた状態に移行させる解除状態と、の間で切り替え可能な保持部と、
を備え、
前記プロセスユニット装着部の内部、および/または、前記プロセスユニット装着部に前記プロセスユニットが装着された状態において前記画像形成装置本体の前面側に装着される装着体に、前記保持部を前記保持状態から前記解除状態に移行させる解除部材が設けられており、
前記プロセスユニット装着部に前記プロセスユニットが装着された状態において、前記画像形成装置本体の前面側に前記装着体が装着されることにより、前記解除部材が前記保持部を前記保持状態から前記解除状態に移行させることを特徴とする(第1の構成)。
【0009】
上記構成によれば、プロセスユニット装着部に前記プロセスユニットが装着された状態において、前記画像形成装置本体の前面側に前記装着体が装着されることにより、前記解除部材が前記保持部を前記保持状態から前記解除状態に移行させる。画像形成装置本体に装着体を装着する動作によってプロセスユニットが保持状態から解除状態に移行されるため、プロセスユニットの構造を複雑化することなく、感光体ドラムと帯電ローラを非接触の状態から接触させた状態に移行させることができ、帯電ローラの変形等を抑制することができる。
【0010】
上記第1の構成において、
前記保持部は、
前記枠体および前記軸受部材のいずれか一方に設けられる係合部と、
前記枠体および前記軸受部材のいずれか他方に設けられる被係合部と、
を有し、
前記保持状態では、前記被係合部に前記係合部が係合し、前記解除状態では、前記被係合部から前記係合部が離脱するようにしてもよい(第2の構成)。
【0011】
上記構成によれば、前記保持状態では、前記被係合部に前記係合部が係合し、前記解除状態では、前記被係合部から前記係合部が離脱する。このため、簡易な構成によって感光体ドラムと帯電ローラを非接触の状態から接触させた状態に移行させることができる。
【0012】
上記第2の構成において、
前記係合部は、
前記プロセスユニット装着部に前記プロセスユニットが装着された状態において、前記画像形成装置本体の前面側から後面側に向かう方向に対して平行な方向に作動することにより、前記被係合部に係合した状態から離脱した状態に移行するようにしてもよい(第3の構成)。
【0013】
上記構成によれば、係合部は、前記画像形成装置本体の前面側から後面側に向かう方向に対して平行な方向に作動することにより、前記被係合部に係合した状態から離脱した状態に移行する。このため、画像形成装置本体に装着体を装着する動作を利用して、簡易な構成で係合部を被係合部から離脱した状態に移行させることができる。
【0014】
上記第2の構成において、
前記係合部は、
前記プロセスユニット装着部に前記プロセスユニットが装着された状態において、前記画像形成装置本体の前面側から後面側に向かう方向に対して交差する方向に作動することにより、前記被係合部に係合した状態から離脱した状態に移行するようにしてもよい(第4の構成)。
【0015】
上記構成によれば、係合部は、前記画像形成装置本体の前面側から後面側に向かう方向に対して交差する方向に作動することにより、前記被係合部に係合した状態から離脱した状態に移行する。このため、係合部および被係合部の位置を様々な位置に設けることができ、画像形成装置本体に装着体を装着する動作を利用して、係合部を被係合部から離脱した状態に移行させることができる。
【0016】
上記第2から第4のいずれかの構成において、
前記保持部は、
前記解除部材を挿通させる挿通部をさらに有し、
前記解除部材が前記挿通部を介して前記係合部に接触することにより、前記保持状態から前記解除状態に移行するようにしてもよい(第5の構成)。
【0017】
上記構成によれば、前記解除部材が前記挿通部を介して前記係合部に接触することにより、前記保持状態から前記解除状態に移行する。このため、プロセスユニットから突出する部分を少なくすることができ、プロセスユニットおよび画像形成装置本体のプロセスユニット装着部の大型化を抑制することができる。
【0018】
上記第1から第5のいずれかの構成において、
前記装着体は、
現像ユニット、位置決めユニット、廃トナーボックス、および前カバーのいずれかとしてもよい(第6の構成)。
【0019】
上記構成によれば、現像ユニット、位置決めユニット、廃トナーボックス、および前カバーのいずれかを装着体として用いることができ、画像形成装置本体に装着体を装着する動作によってプロセスユニットを保持状態から解除状態に移行させることができる。
【0020】
本発明の画像形成装置は、上記第1から第6のいずれかの構成のプロセスユニットを備える(第7の構成)。
【0021】
上記構成によれば、画像形成装置本体に装着体を装着する動作によってプロセスユニットが保持状態から解除状態に移行されるため、プロセスユニットの構造を複雑化することなく、感光体ドラムと帯電ローラを非接触の状態から接触させた状態に移行させることができ、帯電ローラの変形等を抑制することができるとともに、メンテナンスを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のプロセスユニットおよび画像形成装置によれば、画像形成装置本体に装着体を装着する動作によってプロセスユニットが保持状態から解除状態に移行されるため、プロセスユニットの構造を複雑化することなく、感光体ドラムと帯電ローラを非接触の状態から接触させた状態に移行させることができ、帯電ローラの変形等を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態1に係るプロセスユニットを適用した画像形成装置の断面図である。
【
図2】画像形成装置本体にプロセスユニットを装着した状態を示す斜視図である。
【
図3】プロセスユニットの一部を模式的に示す断面図である。
【
図4】プロセスユニットの一部を模式的に示す断面図である。
【
図5】プロセスユニットの後面側の端部を示す斜視図である。
【
図6】プロセスユニットの前面側の端部を示す斜視図である。
【
図7】実施形態1に係る画像形成装置にプロセスユニットを装着した状態の断面図である。
【
図8】実施形態1に係る画像形成装置にプロセスユニットを装着した状態の断面図である。
【
図9】実施形態2に係る画像形成装置にプロセスユニットを装着した状態の断面図である。
【
図10】実施形態3に係る画像形成装置にプロセスユニットを装着した状態の断面図である。
【
図11】実施形態4に係る画像形成装置にプロセスユニットを装着した状態の断面図である。
【
図12】実施形態5に係るプロセスユニットの一部を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係るプロセスユニットを適用した画像形成装置の断面図である。画像形成装置1は、カラー画像およびモノクロ画像の読取り印刷を行うものであり、画像を記録用紙に印刷するプリント機能、原稿の画像を読み取るスキャナ機能、および原稿の画像を読取って原稿の画像を記録用紙に印刷する複写機能等を有している。
【0025】
画像形成装置1は、原稿読取り装置2、原稿搬送装置3、プロセスユニット4、給紙カセット5、および用紙搬送装置6を備えている。プロセスユニット4、給紙カセット5、および用紙搬送装置6は、画像形成装置本体8に内蔵されている。原稿読取り装置2および原稿搬送装置3は、画像形成装置本体8の上側に搭載されている。原稿読取り装置2の前面側(利用者の立ち位置側)の端部には、操作パネル(図示せず)が設けられている。操作パネルは、画像形成装置1のプリント機能、スキャナ機能、および複写機能等を選択的に動作させたり、カラー画像およびモノクロ画像のいずれかを選択したりするために利用者により操作される。
【0026】
プロセスユニット4においては、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像を記録用紙に印刷するために、現像ユニット12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、および帯電ローラ15をそれぞれ4個ずつ設け、それぞれをブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローに対応付けて、4つの画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdを構成している。また、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdの下方に光走査装置11を設けている。
【0027】
各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdのいずれにおいても、ドラムクリーニング装置14により感光体ドラム13表面の残留トナーを除去および回収した後、帯電ローラ15により感光体ドラム13の表面を所定の電位に均一に帯電させ、光走査装置11から感光体ドラム13表面への露光を受けて、感光体ドラム13の表面に静電潜像を形成し、現像ユニット12により感光体ドラム13表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13表面にトナー像を形成する。これにより、各感光体ドラム13表面に各色のトナー像が形成される。
【0028】
引き続いて、中間転写ベルト21を矢印方向Cに周回移動させつつ、ベルトクリーニング装置22により中間転写ベルト21の残留トナーを除去および回収した後、各感光体ドラム13表面の各色のトナー像を中間転写ベルト21に順次転写して重ね合わせ、中間転写ベルト21上にカラーのトナー像を形成する。
【0029】
中間転写ベルト21と2次転写装置23の転写ローラ23aとの間にはニップ域が形成されており、用紙搬送経路Sを通じて搬送されて来た記録用紙をそのニップ域に挟み込んで搬送しつつ、中間転写ベルト21表面のカラーのトナー像を記録用紙上に転写する。そして、定着装置17の加熱ローラ18と定着ローラ19との間に記録用紙を挟み込んで加熱および加圧し、記録用紙上のカラーのトナー像を定着させる。
【0030】
用紙搬送装置6において、記録用紙は、ピックアップローラ24により給紙カセット5から引き出されて、用紙搬送経路Sを通じて搬送され、2次転写装置23や定着装置17を経由し、各排紙ローラ25を介して排紙トレイ39へと排出される。用紙搬送経路Sには、記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃えた後、中間転写ベルト21と転写ローラ23a間のニップ域でのカラーのトナー像の転写タイミングに合わせて記録用紙の搬送を開始する各レジストローラ27、記録用紙の搬送を促す各搬送ローラ28、および各排紙ローラ25等が配置されている。
【0031】
次に、画像形成装置本体8上部に搭載された原稿読取り装置2および原稿搬送装置3の概略構成を説明する。原稿搬送装置3は、後面側の一辺が原稿読取り装置2に軸支されており、原稿搬送装置3の前面側が昇降するように開閉される。原稿搬送装置3が開かれると、原稿読取り装置2の原稿読取りガラス31および原稿載置ガラス32が開放され、原稿載置ガラス32上に原稿を載置することができる。
【0032】
原稿読取り装置2では、第1および第2走査部33、34を相互に所定の速度関係を維持しつつ移動させ、第1走査部33の光源33aにより原稿載置ガラス32上の原稿を照明し、第1および第2走査部33、34の各ミラー33b、34bによって原稿からの反射光を結像レンズ36へと導き、結像レンズ36によって原稿の画像をCCD(ChargeCoupledDevice)37上に結像する。CCD37は、原稿の画像を主走査方向に繰り返し読取り、原稿の画像を示す画像データを出力する。
【0033】
原稿読取り装置2は、静止原稿だけではなく、原稿搬送装置3により搬送されている原稿の画像を読み取ることができる。この場合は、第1走査部33を原稿読取りガラス31下方の読取り位置に移動し、第1走査部33の位置に応じて第2走査部34を位置決めし、この状態で、原稿搬送装置3による原稿の搬送を開始する。
【0034】
原稿搬送装置3では、ピックアップローラ41により原稿トレイ42上の原稿を引き出し、原稿搬送経路43を通じて原稿を搬送し、原稿を原稿読取りガラス31と対向ガイド板46との間に通して各排紙ローラ47から排紙トレイ48へと排出する。
【0035】
原稿の搬送に際し、第1走査部33の光源33aにより原稿を原稿読取りガラス31を介して照明し、原稿からの反射光を第1および第2走査部33、34の各ミラー33b、34bで反射して結像レンズ36へと導き、結像レンズ36により原稿の画像をCCD37上に結像させ、CCD37により原稿の画像を読み取る。
【0036】
CCD37により読み取られた原稿の画像は、CCD37からアナログ信号として出力され、このアナログ信号がデジタル信号にA/D変換される。このデジタル信号(画像データ)は、種々の画像処理を施されてからプロセスユニット4の光走査装置11に入力され、プロセスユニット4で画像データによって示される画像が記録用紙に形成される。
【0037】
図2は、画像形成装置本体8にプロセスユニット4を装着した状態を示す斜視図である。
図2では、プロセスユニット4の一部を破断して示している。
図2に示すように、画像形成装置本体8には、プロセスユニット4を装着するためのプロセスユニット装着部20が設けられている。プロセスユニット4は、プロセスユニット装着部20に対して画像形成装置本体8の前面側から後面側に向けて挿入されて装着される。矢印Fは画像形成装置本体8の前面側を示し、矢印Rは画像形成装置本体8の後面側を示している。矢印D1は、プロセスユニット装着部20にプロセスユニット4を装着する場合におけるプロセスユニット4の挿入方向を示している。
【0038】
プロセスユニット装着部20に装着されたプロセスユニット4の周辺には、現像ユニット12、位置決めユニット51、廃トナーボックス81、および前カバー9が配置されている。
【0039】
現像ユニット12は、感光体ドラム13表面の静電潜像を現像して、感光体ドラム13表面にトナー像を形成するユニットである。現像ユニット12は、画像形成装置本体8に対して着脱可能である。現像ユニット12は、画像形成装置本体8にプロセスユニット4が装着された状態において、画像形成装置本体8に装着される。現像ユニット12が画像形成装置本体8に装着された状態では、現像ユニット12の一部がプロセスユニット4の前面側Fに配置された状態となる。
【0040】
位置決めユニット51は、プロセスユニット4を画像形成装置本体8に対して位置決めするためのユニットである。位置決めユニット51は、画像形成装置本体8に対して着脱可能である。位置決めユニット51は、画像形成装置本体8に対してプロセスユニット4が装着された状態において、プロセスユニット4の前面側Fに装着される。本実施形態において、位置決めユニット51は、本発明の装着体に相当する。
【0041】
廃トナーボックス81は、ドラムクリーニング装置14によって感光体ドラム13表面から除去された残留トナーを収容する。廃トナーボックス81は、画像形成装置本体8に対して着脱可能である。廃トナーボックス81は、画像形成装置本体8に対してプロセスユニット4が装着された状態で、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pd(
図1参照)の前面側Fに配置される。
【0042】
前カバー9は、画像形成装置本体8の前面を開閉するカバーである。前カバー9は、画像形成装置本体8のメンテナンスを行う場合等に開閉される。前カバー9は、プロセスユニット4の交換等を実施してプロセスユニット4が装着された後、閉じられることでプロセスユニット4の前面側Fに配置される。
【0043】
プロセスユニット4は、感光体ドラム13、帯電ローラ15、クリーニングローラ16、枠体61、軸受部材63、および保持部71を有している。
【0044】
クリーニングローラ16は、帯電ローラ15に接触しており、帯電ローラ15に従動して回転することにより、帯電ローラ15の表面をクリーニングする。
【0045】
枠体61は、感光体ドラム13および軸受部材63(前側軸受部材63Fおよび後側軸受部材63R)を支持する部材である。具体的には、枠体61は、感光体ドラム13の軸131の前面側Fおよび後面側Rの端部を回転可能に支持するとともに、軸受部材63(前側軸受部材63Fおよび後側軸受部材63R)を感光体ドラム13に対して接離する方向に移動可能に支持している。
【0046】
軸受部材63は、前側軸受部材63Fおよび後側軸受部材63Rを有しており、帯電ローラ15およびクリーニングローラ16を支持する部材である。前側軸受部材63Fおよび後側軸受部材63Rは、付勢部材64によって帯電ローラ15が感光体ドラム13に接触する方向に付勢されている。
【0047】
保持部71は、保持状態PA1(
図3参照)と解除状態PA2(
図4参照)との間で切り替え可能である。具体的には、保持部71は、枠体61に対する軸受部材63(前側軸受部材63Fおよび後側軸受部材63R)の位置を切り換える。保持部71が保持状態PA1(
図3参照)にある場合、保持部71は、帯電ローラ15を感光体ドラム13から離間させた状態に保持する。保持部71が解除状態PA2(
図4参照)にある場合、保持部71は帯電ローラ15を感光体ドラム13に接触させる状態に移行させる。枠体61、軸受部材63、および保持部71の構成については後に詳細に説明する。
【0048】
図3および
図4は、プロセスユニット4の一部を模式的に示す断面図である。
図3では、保持部71は保持状態PA1であり、帯電ローラ15は感光体ドラム13に対して離間している。
図4では、保持部71は解除状態PA2であり、帯電ローラ15は感光体ドラム13に接触している。
図3および
図4を参照して枠体61、軸受部材63、および保持部71の構成について詳細に説明する。
【0049】
図3に示すように、枠体61は、底部611、前側側壁612F、後側側壁612R、前側摺動壁613F、後側摺動壁613Rを有している。底部611は、挿入方向D1に沿って延びている。前側側壁612Fは、底部611の前面側Fの端部に立設されており、後側側壁612Rは、底部611の後面側Rの端部に立設されている。前側側壁612Fおよび後側側壁612Rは、挿入方向D1に対して直交するように立設されている。前側摺動壁613Fは、底部611の前面側Fの端部において、挿入方向D1に対して平行に立設されている。後側摺動壁613Rは、底部611の後面側Rの端部において、挿入方向D1に対して平行に立設されている。
【0050】
軸受部材63は、前側軸受部材63Fおよび後側軸受部材63Rを有している。前側軸受部材63Fは、枠体61の前側側壁612Fおよび前側摺動壁613Fによって摺動可能に支持されており、感光体ドラム13に対して接離する方向に移動可能である。後側軸受部材63Rは、枠体61の後側側壁612Rおよび後側摺動壁613Rによって摺動可能に支持されており、感光体ドラム13に対して接離する方向に移動可能である。
【0051】
保持部71は、係合部72(前側係合部72Fおよび後側係合部72R)、被係合部73(前側被係合部73Fおよび後側被係合部73R)、挿通部75(前側挿通部75Fおよび後側挿通部75R)、および当接部77(前側当接部77Fおよび後側当接部77R)を有している。
【0052】
前側係合部72Fおよび後側係合部72Rは、それぞれ前側被係合部73Fおよび後側被係合部73Rに係合する部分であり、爪状の形状を有している。前側係合部72Fは、前側軸受部材63Fに設けられており、前側側壁612Fに対向するように設けられている。後側係合部72Rは、後側軸受部材63Rに設けられており、後側側壁612Rに対向するように設けられている。
【0053】
前側被係合部73Fおよび後側被係合部73Rは、それぞれ前側係合部72Fおよび後側係合部72Rが係合する部分であり、爪状の前側被係合部73Fおよび後側被係合部73Rが係合可能となる段部を有している。前側被係合部73Fは、前側側壁612Fに設けられており、後側被係合部73Rは、後側側壁612Rに設けられている。前側被係合部73Fおよび後側被係合部73Rは、それぞれ前側係合部72Fおよび後側係合部72Rが係合した状態で、帯電ローラ15は感光体ドラム13に対して離間するように、形成される位置が設定されている。
【0054】
図3に示すように、前側被係合部73Fおよび後側被係合部73Rが、それぞれ前側係合部72Fおよび後側係合部72Rが係合した状態で、保持部71は保持状態PA1となり、帯電ローラ15は感光体ドラム13に対して離間した状態となる。また、
図4に示すように、前側被係合部73Fおよび後側被係合部73Rが、それぞれ前側係合部72Fおよび後側係合部72Rとの係合から解除された状態で、保持部71は解除状態PA2となり、帯電ローラ15は感光体ドラム13に対して接触した状態となる。
【0055】
前側挿通部75Fおよび後側挿通部75Rは、それぞれ前側側壁612Fおよび後側側壁612Rに設けられている。前側挿通部75Fおよび後側挿通部75Rは、それぞれ挿入方向D1に貫通するように設けられている。前側挿通部75Fおよび後側挿通部75Rの端部に、それぞれ前側被係合部73Fおよび後側被係合部73Rが設けられている。
【0056】
前側当接部77Fおよび後側当接部77Rは、それぞれ前側側壁612Fおよび後側側壁612Rに設けられている。前側当接部77Fおよび後側当接部77Rは、保持部71は解除状態PA2となった場合に、それぞれ前側係合部72Fおよび後側係合部72Rが当接する。前側当接部77Fおよび後側当接部77Rに前側係合部72Fおよび後側係合部72Rが当接することにより、帯電ローラ15が感光体ドラム13に対して接触した状態において、枠体61に対する前側軸受部材63Fおよび後側軸受部材63Rの位置決めがなされる。
【0057】
前側解除部材91Fおよび後側解除部材91Rは、保持部71を保持状態PA1から解除状態PA2へ移行させる部分である。本実施形態では、前側解除部材91Fおよび後側解除部材91Rは、それぞれ挿入方向D1に沿って延びる突条である。前側解除部材91Fおよび後側解除部材91Rは、それぞれ前側挿通部75Fおよび後側挿通部75Rを介して前側係合部72Fおよび後側係合部72Rに当接可能な位置に設けられている。本実施形態では、前側解除部材91Fは、位置決めユニット51に設けられている。後側解除部材91Rは、プロセスユニット装着部20の内部であって、後面側Rの端部に設けられている。
【0058】
図5は、プロセスユニット4の後面側Rの端部を示す斜視図であり、
図6は、プロセスユニット4の前面側Fの端部を示す斜視図である。
図5は、プロセスユニット4がプロセスユニット装着部20に挿入される状態を示している。
図6は、プロセスユニット4がプロセスユニット装着部20に挿入された状態において、プロセスユニット4の前面側Fに位置決めユニット51が装着される状態を示している。
【0059】
図5に示すように、プロセスユニット4がプロセスユニット装着部20に対して挿入方向D1に向けて挿入されると、プロセスユニット装着部20の内部に設けられている後側解除部材91Rが、後側挿通部75Rを介して後側係合部72Rに当接して後側係合部72Rを前面側Fに弾性変形させ、後側係合部72Rと後側被係合部73Rとの係合が解除される。言い換えると、後側解除部材91Rによって後側係合部72Rが挿入方向D1に平行な方向に作動することにより、後側係合部72Rは、後側被係合部73Rに係合した状態から離脱した状態に移行する。
【0060】
また、
図6に示すように、プロセスユニット4がプロセスユニット装着部20に挿入された状態において、プロセスユニット4の前面側Fに位置決めユニット51が装着されると、位置決めユニット51に設けられている前側解除部材91Fが、前側挿通部75Fを介して前側係合部72Fに当接して前側係合部72Fを後面側Rに弾性変形させ、前側係合部72Fと前側被係合部73Fとの係合が解除される。言い換えると、前側解除部材91Fによって前側係合部72Fが挿入方向D1に平行な方向に作動することにより、前側係合部72Fは、
前側被係合部73Fに係合した状態から離脱した状態に移行する。
【0061】
図5および
図6に示したように、プロセスユニット4がプロセスユニット装着部20に挿入された状態において、プロセスユニット4の前面側Fに位置決めユニット51が装着されると、保持部71は、保持状態PA1(
図3参照)から解除状態PA2(
図4参照)に移行し、帯電ローラ15は感光体ドラム13に対して離間した状態から、帯電ローラ15が感光体ドラム13に接触した状態に移行する。
【0062】
図7および
図8は、実施形態1に係る画像形成装置1にプロセスユニット4を装着した状態の断面図である。
図7は、プロセスユニット4の後面側Rの端部付近を示している。
図7に示すように、プロセスユニット装着部20の内部に設けられている後側解除部材91Rが、後側挿通部75Rを介して後側係合部72Rに当接したことにより、後側係合部72Rを弾性変形させ、後側係合部72Rと後側被係合部73Rとの係合を解除させている。
【0063】
図8は、プロセスユニット4の前面側Fの端部付近を示している。
図8に示すように、位置決めユニット51に設けられている前側解除部材91Fが、前側挿通部75Fを介して前側係合部72Fに当接したことにより、前側係合部72Fを弾性変形させ、前側係合部72Fと前側被係合部73Fとの係合を解除させている。
【0064】
図7および
図8に示すように、プロセスユニット4がプロセスユニット装着部20に挿入された状態において、プロセスユニット4の前面側Fに位置決めユニット51が装着されると、保持部71は、保持状態PA1(
図3参照)から解除状態PA2(
図4参照)に移行し、帯電ローラ15は感光体ドラム13に接触した状態となり、画像形成可能な状態となる。
【0065】
〔実施形態2〕
実施形態1に係る画像形成装置1およびプロセスユニット4では、位置決めユニット51に前側解除部材91Fが設けられていた。本発明の実施形態2に係る画像形成装置1Aおよびプロセスユニット4Aでは、廃トナーボックス81に前側解除部材91FAが設けられている。
【0066】
図9は、実施形態2に係る画像形成装置1Aにプロセスユニット4Aを装着した状態の断面図である。
図9は、プロセスユニット4Aの前面側Fの端部付近を示している。
図9に示すように、廃トナーボックス81に設けられている前側解除部材91FAが、前側挿通部75Fを介して前側係合部72Fに当接することにより、前側係合部72Fを弾性変形させ、前側係合部72Fと前側被係合部73Fとの係合を解除させている。
【0067】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る画像形成装置1Bおよびプロセスユニット4Bでは、現像ユニット12に前側解除部材91FBが設けられている。
【0068】
図10は、実施形態3に係る画像形成装置1Bにプロセスユニット4Bを装着した状態の断面図である。
図10は、プロセスユニット4Bの前面側Fの端部付近を示している。
図10に示すように、現像ユニット12に設けられている前側解除部材91FBが、前側挿通部75Fを介して前側係合部72Fに当接することにより、前側係合部72Fを弾性変形させ、前側係合部72Fと前側被係合部73Fとの係合を解除させている。
【0069】
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4に係る画像形成装置1Cおよびプロセスユニット4Cでは、前カバー9に前側解除部材91FCが設けられている。
【0070】
図11は、実施形態4に係る画像形成装置1Cにプロセスユニット4Cを装着した状態の断面図である。
図11は、プロセスユニット4Cの前面側Fの端部付近を示している。
図11に示すように、前カバー9に設けられている前側解除部材91FCが、前側挿通部75Fを介して前側係合部72Fに当接することにより、前側係合部72Fを弾性変形させ、前側係合部72Fと前側被係合部73Fとの係合を解除させている。
【0071】
〔実施形態5〕
図12は、実施形態5に係るプロセスユニット4Dの一部を模式的に示す断面図である。実施形態1に係る画像形成装置1およびプロセスユニット4では、前側係合部72Fおよび後側係合部72Rは、前側解除部材91Fおよび後側解除部材91Rが当接することによって挿入方向D1に平行な方向に作動し、これにより、前側被係合部73Fおよび後側被係合部73Rに係合した状態から離脱した状態に移行する。これに対して、本発明の実施形態5に係る画像形成装置1Dおよびプロセスユニット4Dでは、
図12Aおよび
図12Bに示すように、前側係合部72FDおよび後側係合部72RDは、前側解除部材91FDおよび後側解除部材91RDが当接することによって挿入方向D1に直交する方向D2に作動し、これにより、前側被係合部73FDおよび後側被係合部73RDに係合した状態から離脱した状態に移行する。
【0072】
〔他の実施形態〕
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0073】
例えば、本実施形態では、解除部材は、現像ユニット12、位置決めユニット51、廃トナーボックス81、および前カバー9のいずれかに設けることとしたが、プロセスユニットの前面側Fに装着される他のユニット等に解除部材を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置、およびこれに備えられるプロセスユニットに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 画像形成装置
4 プロセスユニット
8 画像形成装置本体
13 感光体ドラム
15 帯電ローラ
20 プロセスユニット装着部
61 枠体
63 軸受部材
71 保持部
91 解除部材
PA1 保持状態
PA2 解除状態