(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】両軸受リール
(51)【国際特許分類】
A01K 89/015 20060101AFI20230104BHJP
【FI】
A01K89/015 B
(21)【出願番号】P 2018241176
(22)【出願日】2018-12-25
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】503230070
【氏名又は名称】シマノコンポネンツ マレーシア エスディーエヌ.ビーエッチディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド シャムソル ジョハリ ビン イスマイル
(72)【発明者】
【氏名】アブ スピアン ビン アーマッド
(72)【発明者】
【氏名】バイハキ ビン サブツ
(72)【発明者】
【氏名】ワン キー チュン
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド シュクリ ナズリ ビン ムスタファ
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-176301(JP,A)
【文献】特開平10-210902(JP,A)
【文献】特開平10-056927(JP,A)
【文献】特開平10-052196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側板を有するフレームと、前記側板を覆う側カバーとを、有するリール本体と、
前記側カバーを前記側板に対して着脱する際に操作され前記側板に対して回動可能に構成される着脱操作部と、前記側板に設けられる第1ロック部材と、前記第1ロック部材に対して揺動可能に構成される第2ロック部材とを、有し、前記第1ロック部材及び前記第2ロック部材を用いて前記側板に対する前記着脱操作部の回動を許可又は規制する着脱機構と、
を備え、
前記着脱操作部は、前記側板に向けて突出する第1突出部を、有し、
前記第2ロック部材は、前記着脱操作部の回動を許可する許可位置と、前記着脱操作部の回動を規制する規制位置との間で、揺動し、前記第1突出部が係合する
係合凹部と、前記
係合凹部と異なる位置で前記第1ロック部材に係合する係合部とを、有し、
前記第1ロック部材は、前記着脱操作部の回動方向に開口し前記
係合凹部が配置される
配置凹部と、前記第2ロック部材が前記規制位置に配置された状態において前記着脱操作部が回動操作された場合に、前記規制位置から前記許可位置への前記第2ロック部材の揺動を規制するように、前記係合部によって押圧される被係合部とを、有する、
両軸受リール。
【請求項2】
前記第2ロック部材の揺動方向は、前記第2ロック部材が揺動中心まわりに前記許可位置から前記規制位置に向けて揺動する第1揺動方向と、前記第2ロック部材が前記揺動中心まわりに前記規制位置から前記許可位置に向けて揺動する第2揺動方向とを、有し、
前記第2ロック部材が前記規制位置に配置された状態において前記着脱操作部が回動操作された場合、前記第1揺動方向に前記係合部が前記被係合部を押圧する押圧力によって、前記規制位置から前記許可位置への前記第2ロック部材の揺動が規制される、
請求項1に記載の両軸受リール。
【請求項3】
前記係合部は、前記着脱操作部に向けて突出する第2突出部である、
請求項1又は2に記載の両軸受リール。
【請求項4】
前記第2ロック部材の揺動中心は、前記着脱操作部の回動中心とは異なる位置に、配置される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の両軸受リール。
【請求項5】
前記被係合部は、前記第2ロック部材の揺動方向に延びる長孔である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の両軸受リール。
【請求項6】
前記
係合凹部は、前記被係合部と前記
配置凹部の開口との間に、配置される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の両軸受リール。
【請求項7】
前記被係合部は、前記第2ロック部材が前記規制位置に配置された場合に前記係合部が係合する第1端部と、前記第2ロック部材が前記規制位置から前記許可位置に向けて揺動する揺動方向において前記第1端部とは反対側に設けられ、前記第2ロック部材が前記許可位置に配置された場合に前記係合部が係合する第2端部とを、有し、
前記第1端部及び前記着脱操作部の回動中心の間の第1距離は、前記第2端部及び前記着脱操作部の回動中心の間の第2距離より、長い、
請求項6に記載の両軸受リール。
【請求項8】
前記第2ロック部材の揺動中心及び前記着脱操作部の回動中心の間の第3距離は、前記第1距離より短く且つ前記第2距離より長い、
請求項7に記載の両軸受リール。
【請求項9】
前記係合部が前記第1端部に係合した状態において、前記
係合凹部の開口は、前記
配置凹部の内周面に対向して配置され、
前記係合部が前記第2端部に係合した状態において、前記
係合凹部の開口は、前記
配置凹部の開口に対向して配置される、
請求項7又は8に記載の両軸受リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両軸受リールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の両軸受リールには、着脱機構が開示されている(特許文献1を参照)。着脱機構は、支持部材と、ロック部材とを、有している。支持部材は、第1側板に固定される。ロック部材は、支持部材及び第1側板に揺動可能に支持される。着脱機構は、支持部材及びロック部材を用いて、第1側板に対する第1側カバーの回動を許可又は規制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の両軸受リールでは、ロック部材が規制位置に配置された状態において、第1側カバーの回動が規制されている(
図10を参照)。この状態において、ユーザが第1側カバーの回動方向に第1側カバーを押圧してしまうと、第1側カバーの突起部がロック部材の係合溝を押圧する押圧力によって、ロック部材が、規制位置(
図10の位置)から許可位置(
図11の位置)へと、回動してしまうおそれがある。
【0005】
すなわち、着脱機構が第1側カバーの回動を規制しているにもかかわらず、着脱機構が第1側カバーの回動を許可してしまうおそれがある。特に、第1側カバーの突起部が揺動中心から偏心して配置された場合(
図13を参照)、この影響が大きくなるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、着脱機構を規制位置において確実に機能させることができる両軸受リールを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る両軸受リールは、リール本体と、着脱機構とを、備える。リール本体は、側板を有するフレームと、側板を覆う側カバーとを、有する。着脱機構は、着脱操作部と、第1ロック部材と、第2ロック部材とを、有する。着脱操作部は、側カバーを側板に対して着脱する際に操作される。着脱操作部は、側板に対して回動可能に構成される。
【0008】
第1ロック部材は、側板に設けられる。第2ロック部材は、第1ロック部材に対して揺動可能に構成される。着脱機構は、第1ロック部材及び第2ロック部材を用いて、側板に対する着脱操作部の回動を許可又は規制する。
【0009】
ここで、着脱操作部は、側板に向けて突出する第1突出部を、有する。第2ロック部材は、着脱操作部の回動を許可する許可位置と、着脱操作部の回動を規制する規制位置との間で、揺動する。第2ロック部材は、係合凹部と、係合部とを、有する。係合凹部には、第1突出部が係合する。係合部は、係合凹部と異なる位置で、第2ロック部材に係合する。
【0010】
第1ロック部材は、配置凹部と、被係合部とを、有する。配置凹部は、着脱操作部の回動方向に開口する。配置凹部には、係合凹部が配置される。第2ロック部材が規制位置に配置された状態において、着脱操作部が回動操作された場合に、被係合部は、上記の規制位置から許可位置への第2ロック部材の揺動を規制するように、係合部によって押圧される。
【0011】
本両軸受リールでは、着脱機構が、第1ロック部材及び第2ロック部材を用いて、側板に対する着脱操作部の回動を許可又は規制する。第2ロック部材が規制位置に配置された状態において、着脱操作部が回動操作された場合に、上記の規制位置から許可位置への第2ロック部材の揺動を規制するように、第2ロック部材の係合部が、第1ロック部材の被係合部を、押圧する。
【0012】
この構成によって、第2ロック部材が規制位置に配置された状態において、着脱操作部が回動操作されたとしても、第2ロック部材を規制位置において確実に保持することができる。すなわち、本両軸受リールでは、着脱機構を規制位置において確実に機能させることができる。
【0013】
本発明の別の側面に係る両軸受リールでは、第2ロック部材の揺動方向は、第1揺動方向と、第2揺動方向とを、有することが好ましい。第1揺動方向は、第2ロック部材が揺動中心まわりに許可位置から規制位置に向けて揺動する揺動方向である。第2揺動方向は、第2ロック部材が揺動中心まわりに規制位置から許可位置に向けて揺動する揺動方向である。
【0014】
第2ロック部材が規制位置に配置された状態において、着脱操作部が回動操作された場合、上記の第1揺動方向に第2ロック部材の係合部が第1ロック部材を押圧する押圧力によって、規制位置から許可位置への第2ロック部材の揺動が、規制される。この構成によって、着脱機構を規制位置においてより確実に機能させることができる。
【0015】
本発明の別の側面に係る両軸受リールでは、第2ロック部材の係合部は、着脱操作部に向けて突出する第2突出部であることが好ましい。この構成によって、第2ロック部材の係合部を第1ロック部材の被係合部に容易に係合させることができる。
【0016】
本発明の別の側面に係る両軸受リールでは、第2ロック部材の揺動中心は、着脱操作部の回動中心とは異なる位置に、配置されることが好ましい。この構成によって、着脱操作部の回動を第2ロック部材によって容易に規制することができる。
【0017】
本発明の別の側面に係る両軸受リールでは、被係合部は、第2ロック部材の揺動方向に延びる長孔であることが好ましい。この構成によって、第2ロック部材の係合部を第1ロック部材の被係合部に容易に係合させることができ、且つ第2ロック部材を容易に揺動させることができる。
【0018】
本発明の別の側面に係る両軸受リールでは、係合凹部は、被係合部と配置凹部の開口との間に、配置されることが好ましい。この構成によって、上記の規制位置から許可位置への第2ロック部材の揺動を規制する押圧力を、第2ロック部材の係合部から第1ロック部材の被係合部へと好適に作用させることができる。
【0019】
本発明の別の側面に係る両軸受リールでは、被係合部は、第1端部と、第2端部とを、有することが好ましい。この場合、第2ロック部材が規制位置に配置された場合に、係合部は第1端部に係合する。第2端部は、第2ロック部材が規制位置から許可位置に向けて揺動する揺動方向において、第1端部とは反対側に設けられる。第2ロック部材が許可位置に配置された場合に、係合部は第2端部に係合する。
【0020】
第1端部及び着脱操作部の回動中心の間の第1距離は、第2端部及び着脱操作部の回動中心の間の第2距離より、長い。この構成によって、上記の規制位置から許可位置への第2ロック部材の揺動を規制する押圧力を、第2ロック部材の係合部から第1ロック部材の被係合部へと好適に作用させることができる。
【0021】
本発明の別の側面に係る両軸受リールでは、第2ロック部材の揺動中心及び着脱操作部の回動中心の間の第3距離は、第1距離より短く且つ第2距離より長いことが好ましい。
【0022】
この構成によって、上記の規制位置から許可位置への第2ロック部材の揺動を規制する押圧力を、第2ロック部材の係合部から第1ロック部材の被係合部へとより好適に作用させることができる。
【0023】
本発明の別の側面に係る両軸受リールでは、第2ロック部材の係合部が被係合部の第1端部に係合した状態において、第2ロック部材の係合凹部の開口は、第1ロック部材の配置凹部の内周面に対向して配置されることが好ましい。この場合、第2ロック部材の係合部が被係合部の第2端部に係合した状態において、第2ロック部材の係合凹部の開口は、第1ロック部材の配置凹部の開口に対向して配置される。
【0024】
この構成によって、第2ロック部材が規制位置に配置された状態において、第2ロック部材を規制位置において確実に保持することができる。また、第2ロック部材が許可位置に配置された状態において、着脱操作部を容易に回動操作することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、両軸受リールにおいて、着脱機構を規制位置において確実に機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態による両軸受リールの斜視図。
【
図3】両軸受リールから第1側カバーを取り外した側面図。
【
図4】フレーム及び着脱機構の位置関係を示す斜視図。
【
図6A】ロック部材が許可位置に位置する場合の着脱機構の側面図。
【
図6B】ロック部材が規制位置に位置する場合の着脱機構の側面図。
【
図7】支持部材の被係合部
の形成位置を説明するための図。
【
図9】本発明の他の実施形態における着脱機構の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態による両軸受リール1は、
図1に示すように、リール本体3と、着脱機構11とを、備える。詳細には、両軸受リール1は、リール本体3と、ハンドル5と、スプール7と、スプール軸9(
図3を参照)と、着脱機構11(
図2及び
図3を参照)とを、備えている。
【0028】
なお、本実施形態では、“軸方向”は、スプール軸9の軸心X(スプール軸心X)が延びる方向によって定義される。“径方向”は、スプール軸心Xから離れる径方向によって定義される。“周方向”は、スプール軸心Xまわりの周方向によって定義される。
【0029】
<リール本体>
図1に示すように、リール本体3は、フレーム13と、第1側カバー15(側カバー及び着脱操作部の一例)とを、有する。リール本体3は、第2側カバー17と、軸支持部19(
図3を参照)とを、さらに有する。
【0030】
詳細には、リール本体3は、フレーム13と、第1側カバー15と、第2側カバー17と、軸支持部19とを、有している。なお、第1側カバー15及び軸支持部19を、着脱操作部の一例と解釈してもよい。
【0031】
図4に示すように、フレーム13は、第1側板21(側板の一例)と、第2側板23と、複数の連結部25とを、有する。
【0032】
図3及び
図4に示すように、第1側板21は、開口部21aを有する。第1側板21には、軸支持部19を装着するための被装着部、例えば、バヨネット構造42(後述する)を構成する複数のバヨネット溝22aが、設けられる。第2側板23は、第1側板21と所定の間隔を隔てて、対向配置される。
【0033】
図4に示すように、複数の連結部25は、第1側板21及び第2側板23を連結する。複数の連結部25は、第1側板21及び第2側板23と一体に形成される。複数の連結部25のいずれか1つ、例えば下側の連結部25には、釣り竿を装着するための竿装着部25aが、一体に形成される。
【0034】
図1及び
図2に示すように、第1側カバー15は、第1側板21の外側を覆う。第1側カバー15は、第2側板23に対して回動可能に装着される。第2側カバー17は、第2側板23の外側を覆う。第2側カバー17は、固定手段例えばネジ部材によって、第2側板23に固定される。
【0035】
図3に示すように、軸支持部19は、スプール軸9を支持する。軸支持部19は、バヨネット構造42を介して、第1側板21に着脱可能に装着される。
【0036】
軸支持部19は、有底筒状部19aと、軸受収納部19bと、第1側板21に装着される装着部19cとを、有する。有底筒状部19aは、有底筒状に形成される。
【0037】
軸受収納部19bは、有底筒状部19aの底部、例えば底部の中央部に、設けられる。軸受収納部19bは、有底筒状部19aより小径の筒状に形成される。軸受収納部19bの内周部には、軸受20が収納される。軸受20は、スプール軸9の一端を支持する。
【0038】
装着部19cは、有底筒状部19aの外周面に、設けられる。装着部19cは、固定手段例えばネジ部材によって、第1側カバー15に固定される。有底筒状部19aの外周面には、バヨネット構造42を構成する複数のバヨネット突起19d(後述する)が、設けられる。すなわち、軸支持部19が第1側カバー15に固定された状態において、軸支持部19は、バヨネット構造42を介して、第1側板21に着脱可能に装着される。
【0039】
<ハンドル、スプール、及びスプール軸>
図1及び
図2に示すように、ハンドル5は、リール本体3の側方に配置される。本実施形態では、ハンドル5が、第2側カバー17の側方に配置される場合の例を示すが、第1側カバー15の側方に配置されてもよい。ハンドル5は、駆動軸(図示しない)と一体回転するように、駆動軸に装着される。
【0040】
スプール7には、釣り糸が巻き付けられる。スプール7は、第1側板21の開口部21a(
図4を参照)を介して、第1側板21及び第2側板23の間に配置される。スプール7は、スプール軸9を介して、リール本体3に回転可能に装着される。スプール7の回転中心は、スプール軸9の軸心と同芯である。
【0041】
スプール軸9には、スプール7が一体回転可能に装着される。スプール軸9は、リール本体3に回転可能に装着される。スプール軸をリール本体3に支持させる形態は、従来技術と実質的に同じであるので、ここでは、簡単に説明する。
【0042】
スプール軸9の一端は、上述したように、軸支持部19に回転可能に支持される。スプール軸9の他端は、第2側カバー17に回転可能に支持される。スプール軸9の略中央部は、第2側板23に回転可能に支持される。
【0043】
<着脱機構>
図4に示すように、着脱機構11は、第1側カバー15(
図1及び
図2を参照)と、支持部材31(第1ロック部材の一例)と、ロック部材33(第2ロック部材の一例)とを、有する。着脱機構11は、支持部材31及びロック部材33を用いて、第1側板21に対する第1側カバー15の回動を、許可又は規制する。
【0044】
着脱機構11は、バヨネット構造42(
図3を参照)をさらに有する。着脱機構11は、バヨネット構造42を用いて、第1側カバー15を第1側板21に対して回動させる。また、着脱機構11は、バヨネット構造42を用いて、第1側カバー15を第1側板21に対して位置決めする。
【0045】
(第1側カバー)
第1側カバー15は、第1側カバー15を第1側板21に対して着脱する際に操作される。第1側カバー15は、第1側板21に対して着脱可能に構成される。第1側カバー15は、第1側板21に対して回動可能に構成される。
【0046】
詳細には、上述したように、第1側カバー15は、軸支持部19を介して、第1側板21に対して回動可能且つ着脱可能に、装着される。第1側カバー15の回動中心C1は、スプール軸心X上に定義される。
【0047】
第1側カバー15は、第1側板21に向けて突出する第1突出部15a(
図3及び
図4を参照)を、有する。第1突出部15aは、第1側カバー15の内面から第1側板21に向けて、突出する。第1突出部15aは、例えば円柱状に形成される。
【0048】
図5Aに示すように、第1突出部15aは、ロック部材33の
係合凹部41(後述する)に係合する。詳細には、第1突出部15aは、第1突出部15aの軸心J1がロック部材33の揺動中心C2と同芯となるように、ロック部材33の
係合凹部41に係合する。第1突出部15aは、第1側カバー15の回動を規制する規制軸として、用いられる。
【0049】
(支持部材)
図4に示すように、支持部材31は、第1側板21に設けられる。支持部材31は、固定手段例えばボルト31aによって、第1側板21に固定される。支持部材31は、ロック部材33を揺動可能に支持する。
【0050】
図5Aに示すように、支持部材31は、
配置凹部34と、被係合部35とを、有する。詳細には、支持部材31は、第1本体部32と、
配置凹部34と、被係合部35と、固定部36とを、有する。
【0051】
第1本体部32は、実質的に板状に形成される。配置凹部34は、第1本体部32に設けられる。例えば、配置凹部34は、第1本体部32の縁部32aから凹んで形成される。
【0052】
図6Aに示すように、
配置凹部34は、第1側カバー15の回動方向Rに開口する。詳細には、支持部材31が第1側板21に固定された状態で、
配置凹部34は第1側カバー15の回動方向Rに開口する。
配置凹部34には、ロック部材33の
係合凹部41が配置される。
【0053】
配置凹部34は、第1開口34aと、第1内周面34bとを、有する。第1開口34aは、第1本体部32の縁部32a及び第1内周面34bの間に、設けられる。第1開口34aは、第1突出部15aを第1側カバー15の回動方向Rに案内可能に形成される。第1内周面34bの底部は、実質的に円弧状の平面によって形成される。第1内周面34bの底部及び第1開口34aの間の部分は、実質的に平面状に形成される。
【0054】
図6A及び
図6Bに示すように、被係合部35には、ロック部材33の係合部40が係合する。被係合部35は、係合部40によって押圧される。被係合部35は、ロック部材33の揺動方向RPに延びる長孔である。
【0055】
ここで、揺動方向RPは、第1揺動方向RP1と、第2揺動方向RP2とを、有する。第1揺動方向RP1は、ロック部材33が揺動中心C2まわりに許可位置から規制位置に向けて揺動する揺動方向RPである。第2揺動方向RP2は、ロック部材33が揺動中心C2まわりに規制位置から許可位置に向けて揺動する揺動方向RPである。
【0056】
ここでは、ロック部材33の揺動中心C2は、円弧状の配置凹部34(第1内周面34b)の中心によって、定義される。なお、ロック部材33の揺動中心C2は、ロック部材33の第2突出部39(後述する)の軸心によって、定義されてもよい。また、ロック部材33の揺動中心C2は、ロック部材33の第3突出部43(後述する)の軸心J2によって、定義されてもよい。
【0057】
図5Aに示すように、被係合部35(長孔)は、第1端部35aと、揺動方向RPにおいて第1端部35aとは反対側に設けられる第2端部35bとを、有する。
【0058】
第1端部35aは、被係合部35の一端部である。例えば、ロック部材33が許可位置に配置された場合(
図6Aを参照)、第1端部35aにはロック部材33の係合部40が配置される。
【0059】
第2端部35bは、被係合部35の他端部である。例えば、ロック部材33が規制位置に配置された場合(
図6Bを参照)、第2端部35bにはロック部材33の係合部40が配置される。
【0060】
図7に示すように、第1端部35a及び第1側カバー15の回動中心C1の間の第1距離L1は、第2端部35b及び第1側カバー15の回動中心C1の間の第2距離L2より、長い。すなわち、第1距離L1が第2距離L2より長くなるように、第1端部35a及び第2端部35bが、第1本体部32に設けられる。
【0061】
ロック部材33の揺動中心C2及び第1側カバー15の回動中心C1の間の第3距離L3は、第1距離L1より短く且つ第2距離L2より長い。すなわち、第1距離L1が第3距離L3より長く且つ第2距離L2が第3距離L3より短くなるように、第1端部35a及び第2端部35bが、第1本体部32に設けられる。
【0062】
第1端部35a及び第2端部35bの間の部分は、第1端部35a(又は第2端部35b)から第2端部35b(又は第1端部35a)に向けて、第2揺動方向RP2(又は第1揺動方向RP1)に、延びる。
【0063】
固定部36は、ロック部材33を第2側板23に固定する部分である。固定部36において上記のボルト31a(
図3を参照)を、第1側板21にネジ込むことによって、支持部材31が第2側板23の外側面に固定される。
【0064】
(ロック部材)
ロック部材33は、支持部材31に対して揺動可能に構成される。ロック部材33の揺動中心C2は、第1側カバー15の回動中心C1とは異なる位置に、配置される。ロック部材33は、第1側カバー15の回動を許可する許可位置(
図6Aを参照)と、第1側カバー15の回動を規制する規制位置(
図6Bを参照)との間で、揺動する。
【0065】
例えば、
図6Aに示すようにロック部材33が許可位置に配置された状態で、ロック部材33が第1揺動方向RP1に揺動すると、ロック部材33の姿勢が第1姿勢から第2姿勢に変更される。また、
図6Bに示すようにロック部材33が規制位置に配置された状態で、ロック部材33が第2揺動方向RP2に揺動すると、ロック部材33の姿勢が第2姿勢から第1姿勢に変更される。
【0066】
図5A及び
図5Bに示すように、ロック部材33は、
係合凹部41と、係合部40とを、有する。詳細には、ロック部材33は、第2本体部37と、つまみ部38と、
係合凹部41を含む第2突出部39と、第3突出部43と、係合部40とを、有する。
【0067】
-第2本体部及びつまみ部-
図5A及び
図5Bに示すように、第2本体部37は、支持部材31及び第1側板21の間に配置される。つまみ部38は、ロック部材33を揺動させる際に操作される部分である。つまみ部38は、第2本体部37に設けられる。つまみ部38は、第2本体部37から突出する。つまみ部38は、第1側カバー15及び第1側板21の間に設けられた孔部21c(
図2を参照)を介して、第1側カバー15及び第1側板21の外側に配置される。これにより、つまみ部38は、リール本体3の外側において操作可能になる。
【0068】
-第2突出部-
図5Aに示すように、第2突出部39は、第2本体部37から突出し、実質的に円柱状に形成される。第2突出部39は、
配置凹部34に配置される。例えば、第2突出部39は、
配置凹部34に揺動可能に配置される。第2突出部39が
配置凹部34に対して揺動した場合、第2突出部39の外周面が第1内周面34bに沿って摺動する。
【0069】
係合凹部41は、第2突出部39に設けられる。例えば、係合凹部41は、第2突出部39の外周面から凹んで形成される。
【0070】
係合凹部41は、支持部材31の配置凹部34に、配置される。詳細には、第2突出部39が配置凹部34に配置された状態において、係合凹部41は配置凹部34の内側に配置される。この状態において、係合凹部41は、被係合部35(長孔)と配置凹部34の第1開口34aとの間に、配置される。
【0071】
係合凹部41には、第1突出部15aが係合する。ロック部材33が許可位置に配置された状態において、
係合凹部41からの第1突出部15aの離脱が、許可される(
図6Aを参照)。ロック部材33が規制位置に配置された状態において、
係合凹部41からの第1突出部15aの離脱が、規制される(
図6Bを参照)。
【0072】
係合凹部41は、第2開口41aと、第2内周面41bとを、有する。第2開口41aは、第2突出部39の外周面及び係合凹部41の第2内周面41bの間に設けられる。第2内周面41bの底部は、実質的に円弧状の平面によって形成される。第2内周面41bの底部及び第2開口41aの間の部分は、実質的に平面状に形成される。
【0073】
-第3突出部-
図5Bに示すように、第3突出部43は、第2本体部37から突出し、実質的に円柱状に形成される。第3突出部43は、第1側板21に設けられた孔部21b(
図4を参照)に、揺動可能に配置される。第3突出部43は、ロック部材33の揺動軸として用いられる。
【0074】
図5Bでは、第3突出部43の軸心が“J2”によって示されている。第3突出部43の軸心J2は、第1突出部15aの軸心J1及びロック部材33の揺動中心C2と、同芯である。
【0075】
なお、本実施形態では、第2突出部39及び第3突出部43が、ロック部材33の揺動軸として用いられる場合の例を示すが、第2突出部39及び第3突出部43のいずれか一方だけを、ロック部材33の揺動軸として用いてもよい。
【0076】
-係合部-
図5Aに示すように、係合部40は、
係合凹部41と異なる位置で、支持部材31に係合する。詳細には、係合部40は、
配置凹部34と異なる位置に設けられた被係合部35に、係合する。
【0077】
係合部40は、第1側カバー15に向けて突出する突出部(請求項の第2突出部の一例)である。係合部40は、第2本体部37から突出する。例えば、係合部40は、第2本体部37から第1側カバー15に向けて、突出する。係合部40は、例えば円柱状に形成される。
【0078】
係合部40は、支持部材31の被係合部35(長孔)に係合する。例えば、
図6Bに示すように、ロック部材33が規制位置に配置された状態では、係合部40は、被係合部35の第1端部35aに配置される。この状態において、
係合凹部41の第2開口41aは、
配置凹部34の第1内周面34bに対向して配置される。
【0079】
ここで、ロック部材33が第2揺動方向RP2に揺動した場合、係合部40は、被係合部35に沿って移動し、被係合部35の第2端部35bに配置される(
図6Aを参照)。これにより、
係合凹部41の第2開口41aは、
配置凹部34の第1開口34aに対向して配置される。すなわち、ロック部材33は、許可位置に配置される。
【0080】
なお、ロック部材33が第1揺動方向RP1に移動する場合は、揺動方向RPが異なる点を除いて、ロック部材33が第2揺動方向RP2に移動する場合と実質的に同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0081】
ここで、
図8に示すようにロック部材33が規制位置に配置された状態において、第1側カバー15が回動操作された場合、係合部40は、規制位置から許可位置へのロック部材33の揺動を規制するように、被係合部35を押圧する。
【0082】
詳細には、ロック部材33が規制位置に配置された状態において、第1側カバー15が回動方向Rに回動操作された場合、係合部40が第1揺動方向RP1に被係合部35を押圧する押圧力(後述する第3分力f3)が、発生する。この押圧力によって、規制位置から許可位置へのロック部材33の揺動が、規制される。
【0083】
具体的には、ロック部材33が規制位置に配置された状態では、係合部40は、被係合部35の第1端部35aに係合する。この状態において、係合凹部41の第2開口41aは、配置凹部34の第1内周面34bに対向して配置される。
【0084】
ここで、第1側カバー15が回動操作された場合、第1突出部15aは、係合凹部41の第2内周面41bを押圧する。この場合、第1突出部15aが係合凹部41を押圧する第1主押圧力F1が、発生する。また、係合部40は、被係合部35の第1端部35a側における内周面35cを、押圧する。この場合、係合部40が被係合部35を押圧する第2主押圧力F2が、発生する。
【0085】
第1主押圧力F1は、第1分力f1と第2分力f2とに、分解される。第1分力f1は、第2揺動方向RP2に向かう分力である。第2分力f2は、揺動中心C2から離れる径方向に向かう分力である。
【0086】
一方で、第2主押圧力F2は、第3分力f3と第4分力f4とに、分解される。第3分力f3は、第1揺動方向RP1に向かう分力である。この第3分力f3は、係合部40が第1揺動方向RP1に被係合部35を押圧する押圧力に、対応する。第4分力f4は、揺動中心C2に向かう分力である。
【0087】
このように、
図8に示すように、ロック部材33が規制位置に配置された状態において、第1側カバー15が回動方向Rに回動操作された場合、第3分力f3は第1分力f1を低減するように作用するので、規制位置から許可位置へのロック部材33の揺動が、規制される。
【0088】
また、ロック部材33が規制位置に配置された状態において、第1側カバー15が回動操作された場合、第4分力f4は、被係合部35を介して、支持部材31から第1側板21に伝達される。すなわち、第4分力f4が第1側板21に負担されるので、第1突出部15aが係合凹部41を押圧する第2分力f2は、従来技術と比較して、小さくなる。
【0089】
(バヨネット構造)
図3に示すように、バヨネット構造42は、第1側板21及び軸支持部19に各別に設けられる。詳細には、バヨネット構造42は、第1側板21における複数のバヨネット溝22aと、軸支持部19のバヨネット突起19dとによって、構成される。バヨネット構造42は、従来の構成と同様であるので、ここでは簡単に説明する。
【0090】
上述したように、複数のバヨネット溝22aそれぞれは、開口部21aの近傍において周方向に間隔を隔てて、第1側板21の外側面に形成される。バヨネット突起19dそれぞれは、軸支持部19の周方向に間隔を隔てて、軸支持部19の外周面に形成される。
【0091】
各バヨネット溝22aに対する各バヨネット突起19dの係合又は係合解除は、第1側カバー15の回動、すなわち第1側カバー15に固定された軸支持部19の回動によって、実現される。
【0092】
各バヨネット突起19dが各バヨネット溝22aに配置された第1状態(
図3の係合状態)が、軸支持部19が第1側板21に取り付けられた状態である。すなわち、この第1状態では、第1側カバー15は、軸支持部19を介して、第1側板21に対して位置決めされている。
【0093】
各バヨネット突起19dが、周方向に隣り合うバヨネット溝22aの間に、配置された第2状態(係合解除状態)が、軸支持部19を第1側板21から取り外し可能な状態である。すなわち、この第2状態では、第1側カバー15は、第1側板21から取り外し可能である。
【0094】
<まとめ>
(1)本両軸受リール1では、着脱機構11が、支持部材31及びロック部材33を用いて、第1側板21に対する第1側カバー15の回動を、許可又は規制する。ロック部材33が規制位置に配置された状態において、第1側カバー15が回動操作された場合に、上記の規制位置から許可位置へのロック部材33の揺動を規制するように、ロック部材33の係合部40が、支持部材31の被係合部35を、押圧する。
【0095】
この構成によって、ロック部材33が規制位置に配置された状態において、第1側カバー15が回動操作されたとしても、ロック部材33を規制位置において確実に保持することができる。すなわち、本両軸受リール1では、着脱機構11を規制位置において確実に機能させることができる。
【0096】
(2)両軸受リール1では、ロック部材33が規制位置に配置された状態において、第1側カバー15が回動操作された場合、上記の第1揺動方向RP1にロック部材33の係合部40が支持部材31を押圧する押圧力(第3分力f3)によって、規制位置から許可位置へのロック部材33の揺動が、規制される。この構成によって、着脱機構11を規制位置においてより確実に機能させることができる。
【0097】
(3)両軸受リール1では、ロック部材33の係合部40は、第1側カバー15に向けて突出する突出部である。この構成によって、ロック部材33の係合部40を支持部材31の被係合部35に容易に係合させることができる。
【0098】
(4)本両軸受リール1では、ロック部材33の揺動中心C2は、第1側カバー15の回動中心C1とは異なる位置に、配置される。この構成によって、第1側カバー15の回動をロック部材33によって容易に規制することができる。
【0099】
(5)本両軸受リール1では、被係合部35は、ロック部材33の揺動方向RPに延びる長孔である。この構成によって、ロック部材33の係合部40を支持部材31の被係合部35に容易に係合させることができ、且つロック部材33を容易に揺動させることができる。
【0100】
(6)本両軸受リール1では、ロック部材33の係合凹部41は、支持部材31の被係合部35と、支持部材31の配置凹部34の第1開口34aとの間に、配置される。この構成によって、上記の規制位置から許可位置へのロック部材33の揺動を規制する押圧力を、ロック部材33の係合部40から被係合部35へと好適に作用させることができる。
【0101】
(7)本両軸受リール1では、第1端部35a及び第1側カバー15の回動中心C1の間の第1距離L1は、第2端部35b及び第1側カバー15の回動中心C1の間の第2距離L2より、長い。この構成によって、上記の規制位置から許可位置へのロック部材33の揺動を規制する押圧力を、ロック部材33の係合部40から支持部材31の被係合部35へと好適に作用させることができる。
【0102】
(8)本両軸受リール1では、ロック部材33の揺動中心C2及び第1側カバー15の回動中心C1の間の第3距離L3は、第1距離L1より短く且つ第2距離L2より長い。この構成によって、上記の規制位置から許可位置へのロック部材33の揺動を規制する押圧力を、ロック部材33の係合部40から支持部材31の被係合部35へとより好適に作用させることができる。
【0103】
(9)本両軸受リール1では、ロック部材33の係合部40が支持部材31の被係合部35の第1端部35aに係合した状態において、ロック部材33の係合凹部41の第2開口41aは、支持部材31の配置凹部34の第1内周面34bに対向して配置される。また、ロック部材33の係合部40が被係合部35の第2端部35bに係合した状態において、ロック部材33の係合凹部41の第2開口41aは、支持部材31の配置凹部34の第1開口34aに対向して配置される。
【0104】
この構成によって、ロック部材33が規制位置に配置された状態において、ロック部材33を規制位置において確実に保持することができる。また、ロック部材33が許可位置に配置された状態において、第1側カバー15を容易に回動操作することができる。
【0105】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に記載された実施形態は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0106】
(a)前記実施形態では、ロック部材33がレバータイプである場合の例を示したが、ロック部材33はダイヤルタイプであってもよい。
【0107】
(b)前記実施形態では、第1突出部15aの軸心J1がロック部材33の揺動中心C2と同芯である場合の例を、示した。これに代えて、
図9に示すように、第1突出部15aの軸心J1がロック部材33の揺動中心C2から偏心していてもよい。このように構成しても、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0108】
1 両軸受リール
3 リール本体
11 着脱機構
15 第1側カバー
21 第1側板
31 支持部材
33 ロック部材
34 配置凹部
34a 第1開口
35 被係合部
35a 第1端部
35b 第2端部
40 係合部
41 係合凹部
41a 第2開口
C1 回動中心
C2 揺動中心
f3 第3分力
J1 第1突出部の軸心
J2 第3突出部の軸心
L1 第1距離
L2 第2距離
L3 第3距離
R 回動方向
RP 揺動方向
RP1 第1揺動方向
RP2 第2揺動方向