(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】車両用ドアスイッチおよび車両用ドアスイッチの取り付け方法
(51)【国際特許分類】
B61D 19/02 20060101AFI20230104BHJP
【FI】
B61D19/02 E
(21)【出願番号】P 2018242319
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田邉 和男
(72)【発明者】
【氏名】牧平 郁夫
【審査官】金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/150623(WO,A1)
【文献】特開2008-265902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 19/00-19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアの閉鎖にともなって移動するロッドと
、前記ロッドを移動可能に支持するハウジングと、前記ハウジングに対して前記ロッドの一端が
第1所定距離以上移動した状態
から前記ロッドの一端が前記第1所定距離よりも長い第2所定距離だけ移動した状態までの範囲に位置するとき検知信号を出力する検出部と、前記検出部が検知信号を出力する
前記範囲における前記ロッドの移動量を制限する制限部とを備える車両用ドアスイッチ。
【請求項2】
前記ロッドは、前記ドアに設けられる押圧部が前記ロッドに接触することによって移動し、
前記制限部
としての第1の制限部は、前記ロッドの移動量を制限するためのスペーサとして構成されて、
前記ハウジングに取り付けら
れ、
前記スペーサは、前記押圧部の移動を制限することによって、前記ハウジングに対する前記ロッドの移動量を制限する、
請求項1に記載の車両用ドアスイッチ。
【請求項3】
前記制限部
としての第2の制限部は、前記ロッドの移動量を制限するための凸部として前記ロッドに設けら
れ、
前記凸部は、前記ハウジングに接触することによって、前記ハウジングに対する前記ロッドの移動量を制限するように構成される、
請求項1または2に記載の車両用ドアスイッチ。
【請求項4】
前記ロッドは、前記ドアに設けられる押圧部が前記ロッドに接触することによって移動し、かつ、前記押圧部が前記ハウジングに当接することによって移動を停止するように、前記ハウジングに配置され、
前記制限部
としての第3の制限部は、前記検出部が設けられる
前記ハウジングに対して前記検出部の配置位置を変更
する構造を有し、
前記検出部の配置が前記ロッドの移動方向に沿う方向に配置変更されることによって、前記ロッドの移動量が制限される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用ドアスイッチ。
【請求項5】
ドアの閉鎖にともなって移動するロッドと、
前記ロッドを移動可能に支持するハウジングと、前記ハウジングに対して前記ロッドの一端が
第1所定距離以上移動した状態
から前記ロッドの一端が前記第1所定距離よりも長い第2所定距離だけ移動した状態までの範囲に位置するとき検知信号を出力する検出部と、前記検出部が検知信号を出力する
前記範囲における前記ロッドの移動量を制限する制限部とを備える車両用ドアスイッチの取り付け方法であって、
前記車両用ドアスイッチを車両に取り付けた後、前記ドアに設けられて前記ロッドを押す押圧部の位置を調整する
車両用ドアスイッチの取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両のドアを検出する車両用ドアスイッチおよび車両用ドアスイッチの取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の車両用ドアスイッチとして、特許文献1に記載の技術が知られている。
車両用ドアスイッチは、ドアが全閉にあるか否かを検出する。車両用ドアスイッチは、ドアが全閉にあるときに、オンになり、ドアが開くとオフになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両用ドアスイッチは、ドアが実際に全閉になる直前状態を、全閉状態として検出する。したがって、車両用ドアスイッチがドアの全閉を検出した後、ドアは、全閉方向に僅かに移動する。ところで、車両用ドアスイッチが全閉を検出するときのドアの位置と、実際に全閉でドアが止まる位置との間の距離は、ドアの設計仕様によって最適な値が相違する。このような距離は、車両用ドアスイッチのロッドの移動量と相関する。ロッドの移動量は、各種車両それぞれに応じて設定される。しかし、ロッドの移動量が異なる複数種の車両用ドアスイッチを設計および開発するのは、手間を要する。本発明の目的は、ロッドの移動量を簡単に調整できる車両用ドアスイッチおよび車両用ドアスイッチの取り付け方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する車両用ドアスイッチは、ドアの閉鎖にともなって移動するロッドと、前記ロッドの一端が所定距離以上移動した状態であるとき検知信号を出力する検出部と、前記検出部が検知信号を出力する範囲における前記ロッドの移動量を制限する制限部とを備える。この構成によれば、ロッドの移動量を簡単に調整できる。また、ドアに挟まれる物を検出する場合において、検出に係る物の厚幅を簡単に調整できる。
【0006】
(2)上記車両用ドアスイッチにおいて、前記制限部は、前記ロッドの移動量を制限するためのスペーサとして構成されて、前記ロッドを移動可能に支持するハウジングに取り付けられる。この構成によれば、制限部を簡単に形成できる。
【0007】
(3)上記車両用ドアスイッチにおいて、前記制限部は、前記ロッドの移動量を制限するための凸部として前記ロッドに設けられる。この構成によれば、ロッドを変更することによって、またはロッドに部品を付けることによって、簡単に、ロッドの移動量を調整できる。
【0008】
(4)上記車両用ドアスイッチにおいて、前記制限部は、前記検出部が設けられるハウジングに対して前記検出部の配置位置を変更する。この構成によれば、車両用ドアスイッチの外形を変更せずに、ロッドの移動量を調整できる。
【0009】
(5)上記課題を解決する車両用ドアスイッチの取り付け方法は、ドアの閉鎖にともなって移動するロッドと、前記ロッドの一端が所定距離以上移動した状態であるとき検知信号を出力する検出部と、前記検出部が検知信号を出力する範囲における前記ロッドの移動量を制限する制限部とを備える車両用ドアスイッチの取り付け方法であって、前記車両用ドアスイッチを車両に取り付けた後、前記ドアに設けられて前記ロッドを押す押圧部の位置を調整する。この構成によれば、既存の車両用ドアスイッチと同様の方法で車両用ドアスイッチを設置できる。
【発明の効果】
【0010】
上記構成の車両用ドアスイッチによれば、ロッドの移動量を簡単に調整できる。上記の車両用ドアスイッチの取り付け方法によれば、既存の方法で、ドアスイッチを取り付けることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】既存のドアスイッチについて、実際の全閉時におけるドアスイッチ周辺の模式図。
【
図4】既存のドアスイッチについて、ロッドの位置と、ドアスイッチのオン・オフ状態との関係を示す図。
【
図5】既存のドアスイッチについて、全閉検出直前におけるドアスイッチ周辺の模式図。
【
図6】既存のドアスイッチについて、全閉検出時におけるドアスイッチ周辺の模式図。
【
図8】第1実施形態に係るドアスイッチについて、ロッドの位置と、ドアスイッチのオン・オフ状態との関係を示す図。
【
図9】第1実施形態に係るドアスイッチについて、実際の全閉時におけるドアスイッチ周辺の模式図。
【
図10】第1実施形態に係るドアスイッチについて、全閉検出直前におけるドアスイッチ周辺の模式図。
【
図11】第1実施形態に係るドアスイッチについて、全閉検出時におけるドアスイッチ周辺の模式図。
【
図12】第2実施形態に係るドアスイッチの模式図。
【
図13】第3実施形態に係るドアスイッチについて、ハウジング内の模式図。
【
図14】第4実施形態に係るドアスイッチについて、ロッドの位置と、ドアスイッチのオン・オフ状態との関係を示す図。
【
図15】第4実施形態に係るドアスイッチについて、検出部の回路図。
【
図16】第5実施形態に係るドアスイッチの模式図。
【
図17】第6実施形態に係るドアスイッチについて、その一部分の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
図1~
図11を参照して、車両用ドアスイッチ(以下、「ドアスイッチ」という。いずれの実施形態についても同じ。)について説明する。
【0013】
ドアスイッチ7は、鉄道車両のドア2の周辺に設けられる。本実施形態では、両開きのドア2に用いられるドアスイッチ7について説明する。なお、ドアスイッチ7は、片開きのドアにも適用可能である。
【0014】
ドア2は、駆動装置(図示省略)の動力に基づいて、車両の前後方向に沿って移動する。ドア2が閉鎖するときのドア2の移動方向を「閉方向DC」という。閉方向DCの反対方向を「開方向DP」という。ドア2以外の部品の説明に関しては、閉方向DCと同じ方向を「第1方向DX1」といい、開方向DPと同じ方向を「第2方向DX2」という。
【0015】
ドア2には、ドアスイッチ7を押すための押圧部3が設けられる。押圧部3は、ドア2の上部に設置される。押圧部3は、第1方向DX1及び第2方向DX2に位置調整可能にドア2に取り付けられる。押圧部3は、ドア2とともに移動する。押圧部3は、ドア2の全閉直前から全閉までにわたって、ドアスイッチ7のロッド13(後述参照)に接触するようにドア2に取り付けられる。
【0016】
ドアスイッチ7は、ドア2の全閉を検出する。
ドアスイッチ7は、例えば、車両本体1においてドア乗降口の上には取り付けられる。ドアスイッチ7は、ドア2が全閉直前の位置に配置されるとき、ドア2の押圧部3と接触する。ドアスイッチ7は、ドア2の押圧部3との接触により、電気的接点をオンからオフまたはオフからオンに切り替える。本実施形態では、ドアスイッチ7は、全閉直前に、オフからオンに切り替わる。以降、ドアスイッチ7において、電気的接点がオンである電気的状態を「オン状態」といい、電気的接点がオフである電気的状態を「オフ状態」という。ドアスイッチ7のオン・オフ状態を示す信号または情報は、車両の制御部またはドア制御部で使用される。例えば、車両の全てのドア2でドアスイッチ7が「オン状態」(すなわち全閉を検出した状態)になることが、車両発車の必要条件の一つとされる。いずれかのドア2に異物50が挟まると、ドアスイッチ7が全閉を検出せず、ドアスイッチ7が「オン状態」にならないため、車両発車の必要条件が満たされない。これにより、ドア2に異物50が挟まった状態で電車が発車することが抑制され、安全性が確保されている。
【0017】
図2~
図5を参照して、既存のドアスイッチ5について説明する。
図2に示されるように、ドアスイッチ5は、車両本体1に設置されるハウジング11と、ロッド13と、検出部15とを備える。
【0018】
ハウジング11は、ロッド13を移動可能に支持する。ハウジング11は、ロッド13の一部を収容する。ロッド13の第2方向DX2側の端部は、ハウジング11から露出する。ハウジング11は、全閉時にドア2の押圧部3(後述参照)が当接する全閉基準面12を有する。具体的には、全閉基準面12は、ロッド13が突出するハウジング11の端面に設けられている。全閉基準面12は、押圧部3の移動経路上に配置され、移動経路に対して垂直に配置される。ハウジング11は、全閉基準面12が次の位置に配置されるように、車両本体1に取り付けられる。
【0019】
図3に示されるように、全閉基準面12は、ドア2が実際に全閉するとき、押圧部3の押圧面4と全閉基準面12とが接触するようなところに、配置される。すなわち、全閉基準面12は、実際の全閉時にドア2の押圧部3の押圧面4が位置するところに、配置される。
【0020】
ロッド13は、押圧部3の移動方向と同じ方向に移動可能に、ハウジング11に取り付けられる。ロッド13の中心軸は、押圧部3の移動経路に沿う。ロッド13は、第2方向DX2に付勢される。ロッド13は、閉方向DCに移動する押圧部3との接触で、第1方向DX1に移動する。ロッド13は、押圧部3により押されることで、初期位置PAから、次の第1規定位置P1を通過し、第2規定位置P2まで移動する。初期位置PAは、ロッド13に押圧部3が接触していないときのロッド13の位置である。第1規定位置P1は、ロッド13が第1方向DX1に移動する場合に、後述の検出部15により検出されるロッド13の位置である。第2規定位置P2は、ドア2の全閉時に、押圧部3の押圧面4が全閉基準面12に接触するときの、ロッド13の位置である。
【0021】
検出部15は、ロッド13の一端が所定距離以上移動した状態であるとき検知信号を出力する。検出部15は、ロッド13が第1方向DX1に移動して第1規定位置P1に至った状態であるとき、検知信号を出力する。検出部15は、ロッド13が第1方向DX1に移動して第1規定位置P1に至った後、第1方向DX1に移動する間においても、検出信号を出力する。検出部15が検知信号を出力する範囲は、ロッド13が第1方向DX1に移動して第1規定位置P1に至った後から、ロッド13が止まる第2規定位置P2までの間の範囲である。具体的には、検出部15が検知信号を出力する範囲は、第1規定位置P1から第2規定位置P2までの間にわたってロッド13が移動する範囲である。第1規定位置P1から第2規定位置P2までの間の規定間隔距離xは、検出部15が検知信号を出力し続ける移動距離(移動量)に相当する。本実施形態では、検出部15が検知信号を出力することを「検出」という。例えば、検出部15は、接点を有するスイッチ(図示省略)を含む回路として構成される。検出部15は、ロッド13が第1方向DX1に移動して第1規定位置P1に配置されることに基づいて、電気的接点をオフからオンにする。
【0022】
このようにして、ドアスイッチ5は、ドア2が実際に全閉になる直前状態を全閉として検出する。実際の全閉の直前で全閉検出をする理由は、次のとおりである。仮に、ドアスイッチ5がオフからオンに切り替わる第1規定位置P1を、実際にドア2が全閉となる第2規定位置P2に一致させると、次のような事態になる。すなわち、この場合、ドアスイッチ5の取り付け位置ばらつきや押圧部3の取り付け位置ばらつきによって、ドア2が全閉であるにも拘わらず、ドアスイッチ5がオフからオンに切り替わらず、ドアスイッチ5が全閉を検出しない非検出状態が続く。このような非検出状態が続くと、車両の発車条件が成立せず、車両を運行させることが出来なくなる虞がある。このような理由で、ドアスイッチ5は、ドア2が実際に全閉になる位置よりも直前の位置を、全閉状態として検出する。
【0023】
図2及び
図4を参照して、ドアスイッチ5において、第1規定位置P1と第2規定位置P2との間の距離(以下、「規定間隔距離x」)について説明する。初期位置PAと第1規定位置P1との間の距離を「a」と定義する。「a」は0よりも大きい。初期位置PAと第2規定位置P2との間の距離を「d」と定義する。そうすると、規定間隔距離xは、「d-a」になる。
【0024】
図5及び
図6を参照して、ドア2の閉鎖に伴う、ドアスイッチ5の動作を説明する。
図5に示されるように、ドア2の押圧部3の押圧面4がロッド13の端面13aに接触するとき、ドアスイッチ5はオフである。すなわち、ドアスイッチ5は全閉を検出していない。
【0025】
図6に示されるように、ドア2の移動によりロッド13が第1方向DX1に押されて、ロッド13が第1規定位置P1に達するとき、ドアスイッチ5はオンになる。すなわち、ドアスイッチ5は全閉を検出する。このとき、2つのドア2の間には隙間が存在する。その後、ドア2が閉方向DCに移動して全閉になるまで、ドアスイッチ5のオン状態が持続する。
【0026】
ところで、既存のドアスイッチ5には、次の課題がある。
なお、以下の説明では、ロッド13が第1規定位置P1に配置されるようになるドア2の位置を、「ドア閉鎖検出位置」といい、ロッド13が第2規定位置P2に配置されるようになるドア2の位置(以下、「ドア全閉位置」)という。
【0027】
既存のドアスイッチ5では、ドア2が、ドア閉鎖検出位置とドア全閉位置との間の、いずれの位置で止まっているときでも、ドアスイッチ5は、オン状態になる。したがって、2つのドア2の間に紐等の異物50が挟まっている状態で、ドア2が、ドア閉鎖検出位置とドア全閉位置との間に位置するときでも、ドアスイッチ5はオン状態になるため、これに基づいて車両が発車する虞がある。このような事象は、ロッド13の第1規定位置P1と第2規定位置P2とが乖離することに起因する。両開きのドア2では、ドア2が、規定間隔距離xの2倍の距離よりも小さい厚幅の異物50を挟んだとき、このときのロッド13の位置と第2規定位置P2との間の距離が規定間隔距離xよりも短くなるため、ドアスイッチ5はオン状態となる。すなわち、この場合、ドアスイッチ5は、異物50を挟んでいることを検出しない。このように、規定間隔距離xは、異物50として検出可能な異物50の厚幅を規定する。一方、上述のように、第1規定位置P1と第2規定位置P2とを一致させることはできない。
【0028】
このようなことから、規定間隔距離xは、ドアスイッチ5の取り付け位置ばらつきや押圧部3の取り付け位置ばらつきとの関係と、検出するべき異物50の厚幅とによって、設定される。このような規定間隔距離xは、各種車両に応じて設定される。ドアスイッチ5の取り付け位置ばらつき精度や押圧部3の取り付け位置ばらつき精度が高い場合と、当該精度が低い場合とでは、規定間隔距離xの大きさは異なる。また、検出するべき異物50の厚幅の設定によっても、規定間隔距離xは異なる値になる。このようなことから、既存の複数機種のドアスイッチ5から、車両に合うドアスイッチ5が選択されるか、または、車両に適合するドアスイッチ5が製造される。しかし、車両毎にドアスイッチ5の機種が異なるため、ドアスイッチ5の調達上で部品管理が煩雑になる。また、各種の車両や仕様に適合するように、個別にドアスイッチ5を製造上する場合には、手間と時間を要する。このような事情から、ドアスイッチ5の改善が必要となっている。
【0029】
図7を参照して、本実施形態に係るドアスイッチ7を説明する。
ドアスイッチ7は、既存のドアスイッチ5を基に構成される。以下のドアスイッチ7の説明において、既存のドアスイッチ5と同じ構成には、既存のドアスイッチ5の構成と同じ符号を付す。
【0030】
既存のドアスイッチ5では、ロッド13は、第1規定位置P1と第2規定位置P2との間の距離である規定間隔距離xだけ移動する。上述のように、ロッド13が第1規定位置P1と第2規定位置P2との間に位置するとき、検出部15は検知信号を出力する。
【0031】
ドアスイッチ7は、ハウジング19を備える。ハウジング19は、ロッド13を移動可能に支持する。さらに、本実施形態に係るドアスイッチ7では、後述の制限部20によって、検出部15が検知信号を出力する範囲におけるロッド13の移動量が制限される。具体的には、ハウジング19における全閉基準面21sの位置は、ロッド13の移動方向に沿って変更可能である。この構成により、ロッド13の第2規定位置P2が変更されるようになり、規定間隔距離xが変更される。以下、ドアスイッチ7について具体的に説明する。
【0032】
ドアスイッチ7は、ハウジング19と、ロッド13と、検出部15とを備える。ドアスイッチ7は、さらに、制限部20を備える。制限部20は、検出部15が検知信号を出力する範囲におけるロッド13の移動量を制限する。検出部15が検知信号を出力する範囲とは、上述に規定されるように、ロッド13が第1規定位置P1から第2規定位置P2まで規定間隔距離x1だけ移動するときの範囲である。要するに、本実施形態に係るドアスイッチ7では、制限部20によって規定間隔距離x1の長さ(ロッド13の移動量)が制限される。具体的には、制限部20は、後述のようにスペーサ21として構成される。制限部20は、ハウジング19に取り付けられる。ハウジング19は、既存のドアスイッチ5のハウジング11により構成される。ハウジング19(既存のドアスイッチ5のハウジング11)と、ロッド13と、検出部15とから構成されるユニットは、既存のドアスイッチ5そのものである。
【0033】
制限部20は、全閉基準面21sを有する。制限部20は、例えば、板状のスペーサ21で構成される。スペーサ21は、ハウジング19に対して、第2方向DX2側の端面に取り付けられる。スペーサ21は、例えば、ボルト等の着脱可能な締結部材21cにより取り付けられる。スペーサ21は、第1面21aと、第1面21aの反対側の第2面21bを有する。第1面21aは、ハウジング19において第2方向DX2側の面(既存のドアスイッチ5においては、全閉基準面12)に接触する。第2面21bは、第2方向DX2に向き、全閉基準面21sを構成する。スペーサ21の厚幅は、各種車両に応じて設定される。スペーサ21の厚幅の変更により、全閉基準面21sの位置が変更される。
【0034】
図7及び
図8を参照して、ドアスイッチ7において、規定間隔距離x1について説明する。
スペーサ21の厚幅を「r」と定義する。初期位置PAと第2規定位置P2との間の距離は、スペーサ21の厚幅rだけ短く、「d-r」となる。初期位置PAと第1規定位置P1との間の距離は「a」である。そうすると、規定間隔距離x1は、「d-r-a」、すなわち「既存のドアスイッチ5の規定間隔距離x-厚幅r」となる。このように、規定間隔距離x1は、既存のドアスイッチ5の規定間隔距離xよりも短い。
【0035】
図9を参照して、ドアスイッチ7の設置方法を説明する。ドアスイッチ7の設置方法は、既存のドアスイッチ5と同じである。
図9に示されるように、全閉基準面21sは、ドア2が実際に全閉するとき、押圧部3の押圧面4と全閉基準面21sとが接触するようなところに、配置される。ドアスイッチ7の取り付け後、さらに次のように押圧部3の位置が調整される。すなわち、ドア2が全閉したときに、押圧部3の押圧面4が全閉基準面21sに接触するように、ドア2に対して押圧部3の位置が調整され得る。この構成によれば、既存のドアスイッチ5と同様の方法でドアスイッチ7を設置できる。
【0036】
図10及び
図11を参照して、ドア2の閉鎖に伴う、ドアスイッチ7の動作を説明する。
図10に示されるように、ドア2の押圧部3の押圧面4がロッド13の端面13aに接触するとき、ドアスイッチ7はオフである。すなわち、ドアスイッチ7は全閉を検出していない。
【0037】
図11に示されるように、ドア2の移動によりロッド13が第1方向DX1に押されて、ロッド13が第1規定位置P1に達するとき、ドアスイッチ7はオンになる。すなわち、ドアスイッチ7は全閉を検出する。上述のように、規定間隔距離x1(第1規定位置P1とスペーサ21によって変更された第2規定位置P2との間の距離)は、既存のドアスイッチ5の規定間隔距離xよりも短い。このため、厚幅が規定間隔距離x1の2倍よりも大きい異物50がドア2に挟まれると、ドアスイッチ7はオンにならない。ドア2の閉操作後、所定期間を経過してもドアスイッチ7がオンに移行しないことから、この事象に基づいて、当該ドア2に異物50が挟まっていると判定できる。
図4の場合に、所定の厚幅以上の物しか検出することができないが、この例では、規定間隔距離x1を調整することによって、厚幅が薄い物を挟んだとき、その物を検出できる。
【0038】
ドアスイッチ7の作用を説明する。
全閉基準面21sの位置は、スペーサ21の厚幅やスペーサ21の取り付け位置により、変更できる。このように、簡単に規定間隔距離x1を設定変更できる。したがって、車両に応じて規定間隔距離x1を簡単に変更することが出来る。また、ドアスイッチ7は、既存のドアスイッチ5を基に作られており、変更される部分はスペーサ21だけである。したがって、各種車両それぞれに適合するように作られる複数種のドアスイッチ7は、いずれも既存のドアスイッチ5に有するように、構成され得る。このように、複数種のドアスイッチ7は共通部品を有するため、製造管理上において煩雑性が緩和される。
【0039】
以下、ドアスイッチ7の効果を説明する。
(1)ドアスイッチ7は、ドア2の閉鎖にともなって移動するロッド13と、ロッド13の一端が所定距離以上移動した状態(移動によってロッド13が第1規定位置P1に至る状態)であるとき検知信号を出力する検出部15と、検出部15が検知信号を出力する範囲におけるロッド13の移動量を制限する制限部20とを備える。この構成によれば、ロッド13の移動量を簡単に調整できる。また、ドア2に挟まれる物を検出する場合において、検出に係る物の厚幅を簡単に調整できる。
【0040】
(2)ドアスイッチ7において、制限部20は、ロッド13の移動量を制限するためのスペーサとして構成される。制限部20は、ロッド13を移動可能に支持するハウジング19に取り付けられる。この構成によれば、制限部20を簡単に形成できる。
【0041】
(3)ドアスイッチ7を車両に取り付けた後、ドア2に設けられてロッド13を押す押圧部3の位置を調整する。この構成によれば、既存のドアスイッチ5と同様の方法でドアスイッチ7を設置できる。
【0042】
<第2実施形態>
図12を参照して、第2実施形態に係るドアスイッチ8について説明する。本実施形態に係るドアスイッチ8は、第1実施形態に係るドアスイッチ7からロッド13の構造を変更したものである。以下の説明において、第1実施形態に係るドアスイッチ7と共通する構成には、第1実施形態に係るドアスイッチ7の構成と同じ符号を付す。
【0043】
制限部20は、第1実施形態と同様の機能を有する。すなわち、制限部20は、検出部15が検知信号を出力する範囲におけるロッド13の移動量を制限する。
第1実施形態に係るドアスイッチ7では、制限部20は、ハウジング19に取り付けられるスペーサ21として構成される。この構成によって、規定間隔距離x2の長さが制限される。これに対して、本実施形態に係るドアスイッチ8では、制限部20は、ロッド13に取り付けられる凸部22として構成される。凸部22は、ロッド13の外周面から突出する。本実施形態では、凸部22は、ロッド13においてハウジング19から露出する部分に設けられる。凸部22は、ロッド13においてハウジング19内に配置される部分に設けられてもよい。凸部22は、ハウジング19の一部分に接触することによって、ロッド13の移動を規制する。本実施形態では、凸部22は、ハウジング19の全閉基準面12に接触する接触面22aを有する。凸部22の接触面22aがハウジング19の全閉基準面12に接触することによって、ロッド13の移動が制限される。凸部22とハウジング19との接触によって、ロッド13の規定間隔距離x2の長さが制限される。
【0044】
ドアスイッチ8において、規定間隔距離x2について説明する。
ロッド13の移動方向に沿う方向において凸部22の接触面22aからロッド13の端面13aまでの長さを「t」と定義する。ロッド13は、初期位置PAから、凸部22がハウジング19の全閉基準面12に接触する位置(2点鎖線参照)まで移動することから、ロッド13の移動量は、「d-t」となる。初期位置PAと第1規定位置P1との間の距離は「a」である。そうすると、ロッド13が第1規定位置P1から停止するまでの距離である規定間隔距離x2は、「d-t-a」となり、この量は、「既存のドアスイッチ5の規定間隔距離x-t」と等しい。このように、規定間隔距離x2は、既存のドアスイッチ5の規定間隔距離xよりも短い。
【0045】
本実施形態では、ドアスイッチ8は制限部20を有するため、第1実施形態の(1)に記載の効果に準じか効果を奏する。
また、上記ドアスイッチ8において、制限部20は、ロッド13の移動量を制限するための凸部22としてロッド13に設けられる。この構成によれば、ロッド13を変更することによって、またはロッド13に部品を付けることによって、簡単に、ロッド13の移動量を調整できる。
【0046】
<第3実施形態>
図13を参照して、第3実施形態に係るドアスイッチ9について説明する。本実施形態に係るドアスイッチ9は、第1実施形態に係るドアスイッチ7から検出部15の構造を変更したものである。以下の説明において、第1実施形態に係るドアスイッチ7と共通する構成には、第1実施形態に係るドアスイッチ7の構成と同じ符号を付す。
【0047】
本実施形態において、第1実施形態と同様に、制限部20は、検出部15が検知信号を出力する範囲におけるロッド13の移動量を制限するが、制限部20の構造が相違する。制限部20は、ハウジング19に対して、検出部15の位置を変更する。検出部15の位置の変更に伴ってロッド13の位置も変更される。これによって第1規定位置P1と第2規定位置P2との間の距離が変更される。
【0048】
具体的には、制限部20は、ハウジング19に対して検出部15およびロッド13の位置を変更可能とする。例えば、制限部20は、検出部15の位置を変更可能な位置調整部24として構成される。位置調整部24は、検出部15に設けられてロッド13の移動方向に沿う方向に延びる長孔24aと、長孔24aに挿通してハウジング19に締結されるボルト24bと、検出部15を固定するための固定部24cとを備える。固定部24cには、ロッド13の移動方向に沿うように検出部15を案内するガイド24dが設けられてもよい。ハウジング19において検出部15の位置を変更することによって、第1規定位置P1および規定間隔距離x3を変えることができる。
【0049】
ドアスイッチ9において、規定間隔距離x3について説明する。
検出部15の位置調整によって検出部15の移動した距離を「u」と定義する。ロッド13の端面13aは、位置調整前の初期位置PAから距離「u」だけ全閉基準面12に近づく。また、第1規定位置P1は、位置調整前の第1規定位置P1から距離「s」だけ全閉基準面12に近づいた位置に移動する。そうすると、ロッド13が第1規定位置P1から停止するまでの距離である規定間隔距離x3は、「d-u-a」となる。この量は、「既存のドアスイッチ5の規定間隔距離x-u」と等しい。このように、規定間隔距離x3は、既存のドアスイッチ5の規定間隔距離xよりも短い。したがって、この実施形態においても、第1実施形態の(1)に準じた効果を得ることができる。
【0050】
本実施形態では、ドアスイッチ9は制限部20を有するため、第1実施形態の(1)に記載の効果に準じか効果を奏する。
また、ドアスイッチ9において、制限部20は、検出部15が設けられるハウジング19に対して検出部15の配置位置を変更する。この構成によれば、ドアスイッチ9の外形を変更せずに、ロッド13の移動量を調整できる。
【0051】
<第4実施形態>
図14及び
図15を参照して、第4実施形態に係るドアスイッチについて説明する。本実施形態に係るドアスイッチは、第1実施形態に係るドアスイッチ7から検出部15の構造を変更したものである。以下の説明において、第1実施形態に係るドアスイッチ7と共通する構成には、第1実施形態に係るドアスイッチ7の構成と同じ符号を付す。
【0052】
規定間隔距離x1,x2,x3が短い場合、ドア2が全閉にあるときにドア2が大きく揺れると、検出部15が連続して切り替わるようになり、検出部15でチャタリングが生じる。ドア2が全閉になった後で、ドア2に異物50が挟まることが生じることはないため、ドア2の全閉後は、ドア2を開くための開操作が行われない限りは、検出部15のオン・オフ状態は切り替わらないことが好ましい。以下では、この点を改善した検出部15について説明する。
【0053】
本実施形態では、検出部25は、2つの出力部(以下、「第1出力部25a」及び「第2出力部25b」)を有する。また、検出部25は、次の2つの状態を検出する。
検出部25は、第1に、ロッド13が第1方向DX1に移動して第1規定位置P1に至ることを検出し(以下、「第1の検出」)、第2に、ロッド13が第2方向DX2に移動して第1規定位置P1とは異なる第3規定位置P3に至ることを検出する(以下、「第2の検出」)。第3規定位置P3は、第1規定位置P1よりも第2方向DX2側に位置する。例えば、検出部25は、第1の検出のとき、第1出力部25aをオフからオンに切り替える。検出部25は、第2の検出のとき、第2出力部25bをオフからオンに切り替える。
【0054】
図15を参照して、検出部25の回路構成の一例を説明する。検出部25は、有接点の2つのスイッチ(以下、第1スイッチ26及び第2スイッチ27)を有する。第1スイッチ26は、第2スイッチ27よりも第1方向DX1側に配置される。第1スイッチ26は、ロッド13の第1接触部28aで操作される。第1スイッチ26は、ロッド13の第1方向DX1に移動し第1規定位置P1に配置されることで、オフからオンになる。すなわち、第1スイッチ26は、第1の検出を構成する。第2スイッチ27は、ロッド13の第1接触部28aよりも第2方向DX2側にある第2接触部28bで操作される。第2スイッチ27は、ロッド13の第2方向DX2に移動し第3規定位置P3に配置されることで、オフからオンになる。すなわち、第2スイッチ27は、第2の検出を構成する。検出部25は、さらに、論理回路(図示省略)を備える。論理回路は、第1スイッチ26がオン及び第2スイッチ27がオフになったとき、出力用のオン信号を形成し、第1スイッチ26がオフ及び第2スイッチ27がオンになったとき、出力用のオフ信号を形成する。論理回路は、第1スイッチ26及び第2スイッチ27がともにオフである場合、直前の信号状態を維持する。このような構成によれば、ロッド13が第1規定位置P1と第3規定位置P3との間に位置するとき、検出部25は、直前のオン・オフ状態が維持される。このため、検出部25がオン状態になっているときに、ロッド13が第1規定位置P1の前後で振動したとしても、ロッド13が第3規定位置P3に戻るまでは、検出部25がオンから直接オフに切り替わらない。これによって、チャタリングが抑制される。ここで、チャタリングとは、検出部25が出力する出力信号について、オン信号とオフ信号とが短時間で連続して切り替わることを意味する。
【0055】
以下、ドアスイッチの効果を説明する。
ドアスイッチは、次の検出部25を備える。検出部25は、ロッド13の位置検出について、第1に、ロッド13が第1規定位置P1に至ることを検出し、第2に、ロッド13が第2方向DX2に移動して第3規定位置P3に至ることを検出する。この構成によれば、ロッド13が第1方向DX1の移動する場合において検出部25で検出される第1規定位置P1と、ロッド13が第1方向DX1と反対方向の移動する場合において検出部25で検出される第3規定位置P3とが、異なる位置に設定されるようになる。これにより、ロッド13の位置検出におけるチャタリングを抑制できる。
【0056】
<第5実施形態>
図16を参照して、第5実施形態に係るドアスイッチ30について説明する。本実施形態に係るドアスイッチ30は、第1実施形態に係るドアスイッチ7から、全閉基準面12の位置の変更構造を変更したものである。
【0057】
ドアスイッチ30は、既存のドアスイッチ5を基に構成される。以下では、ドアスイッチ30において、既存のドアスイッチ5と同じ構成には、既存のドアスイッチ5の構成と同じ符号を付す。
【0058】
本実施形態では、ドアスイッチ30は、既存のドアスイッチ5の構成と、ベース31とを備える。本実施形態の制限部20は、第1実施形態と同様に、検出部15が検知信号を出力する範囲におけるロッド13の移動量を制限する。制限部20は、既存のドアスイッチ5のハウジング11がベース31に位置調整可能に設けられることにより、全閉基準面35の位置を変更する。制限部20は、ベース31と、ベース31に対して既存のドアスイッチ5を位置調整可能に取り付ける位置調整取付構造37とを含む。ベース31は、例えば、ハウジング19(11)を覆うケースとして構成される。ベース31は、第2方向DX2側の端に全閉基準面35を有する。
【0059】
ハウジング19は、ベース31に位置調整可能に取り付けられる。ハウジング19の第2方向DX2側の端面(全閉基準面12)は、ベース31の全閉基準面35よりも第1方向DX1側に配置される。
【0060】
ハウジング19は、4つの取付部32を有する。取付部32には、ロッド13の移動方向に沿って延びる締結孔33が設けられる。締結孔33は、ねじ等の締結部材34が挿通する。締結部材34は、締結孔33に沿って任意の位置に配置される。このような構成により、ハウジング19は、ロッド13の移動方向に沿って位置調整可能である。なお、上述の位置調整取付構造37は、4つの取付部32と、締結部材34とを含む。
【0061】
図16を参照して、ドアスイッチ30において、規定間隔距離x4について説明する。
ハウジング19の全閉基準面12とベース31の全閉基準面35との間の距離を「r1」と定義する。初期位置PAと第2規定位置P2との間の距離は、上述の距離r1だけ短く、「d-r1」となる。初期位置PAと第1規定位置P1との間の距離は「a」である。そうすると、規定間隔距離x4は、「d-r1-a」、すなわち「既存のドアスイッチ5の規定間隔距離x-距離r1」となる。このように、規定間隔距離x4は、既存のドアスイッチ5の規定間隔距離xよりも短い。
【0062】
このようなドアスイッチ30によれば、ハウジング19の全閉基準面12とベース31の全閉基準面35との位置関係の調整により、規定間隔距離x4を調整できる。また、ベース31以外の部分は、既存のドアスイッチ5により構成できる。
【0063】
以下、ドアスイッチ30の効果を説明する。
(1)ドアスイッチ30は、制限部20を有する。制限部20は、少なくとも、全閉基準面35を有するベース31を備える。ハウジング19は、ベース31に位置調整可能に取り付けられる。この構成によれば、ベース31に対するハウジング19の位置調整により、全閉基準面35の位置を変更できる。よって、これにより、規定間隔距離x4を調整できる。
【0064】
(2)ハウジング19は、閉方向DCに沿う方向に延びる締結孔33を有する。また、この構成に代えて、ベース31に、同様の締結孔33を設けてもよいし、また、ハウジング11及びベース31に、同様の締結孔33を設けてもよい。
【0065】
この構成によれば、締結孔33に挿通したねじでベース31とハウジング19とを締結するときに、ベース31に対してハウジング19の取付位置を簡単に調整できる。このように、ハウジング19の位置調整構造が簡潔である。
【0066】
(3)上記ドアスイッチ30において、ベース31以外の部分は、既存のドアスイッチ5により構成され得る。例えば、ドアスイッチ30は、既存のドアスイッチ5にベース31が取り付けられたものとして構成され得る。この場合、複数種のドアスイッチ30において部品が共通化されるため、生産性が高まる。
【0067】
<第6実施形態>
図17を参照して、第6実施形態に係るドアスイッチ40について説明する。ドアスイッチ40は、既存のドアスイッチ5を基に構成される。さらに、ドアスイッチ40は、ドア2に取り付けられる押圧部43を備える。押圧部43の構造は、第1~第5実施形態で示された押圧部3と相違する。以下の説明では、ドアスイッチ40において、既存のドアスイッチ5と同じ構成には、既存のドアスイッチ5の構成と同じ符号を付す。
【0068】
ドアスイッチ40の制限部20は、第1実施形態と同様に、検出部15が検知信号を出力する範囲におけるロッド13の移動量を制限する。制限部20は、押圧部43の当接面45の位置を変更する。例えば、制限部20は、押圧部43に設けられる段差部43aとして構成される。以下、押圧部43について説明する。
【0069】
押圧部43は、ロッド13の端面13aを押す押圧面44と、ハウジング11の全閉基準面12に当接する当接面45とを有する。例えば、押圧部43の第1方向DX1側の面に、押圧面44が設けられる。押圧面44の周りに段差部43aが設けられる。段差部43aは、押圧面44の周りから第1方向DX1に突出する。この段差部43aにおいて第1方向DX1側に当接面45が設けられる。
【0070】
押圧面44に対して当接面45の位置が変更可能とされる。押圧面44に対する当接面45の位置変更は、押圧部43の部品変更により行われる。すなわち、押圧部43は、取り換え可能とされる。段差部43aの高さ(第1方向DX1の長さ)が異なる複数種の押圧部43が予め用意され得る。
【0071】
図17を参照して、ドアスイッチ40において、規定間隔距離x5について説明する。
段差部43aの高さ(第1方向DX1の高さ)を「s」と定義する。ドア2が第1方向DX1に移動すると、ロッド13が押圧部43で押される。押圧部43の当接面45がハウジング11の全閉基準面12に当接すると、ロッド13の移動が止まる。したがって、初期位置PAと第2規定位置P2との間の距離は、「d-s」となる。初期位置PAと第1規定位置P1との間の距離は「a」である。そうすると、規定間隔距離x5は、「d-s-a」、すなわち「既存のドアスイッチ5の規定間隔距離x-距離s」となる。このように、規定間隔距離x5は、既存のドアスイッチ5の規定間隔距離xよりも短い。
【0072】
このように、ドアスイッチ40によれば、押圧部43の押圧面44と当接面45との位置関係の調整により、規定間隔距離x5を調整できる。また、押圧部43以外の部品は、既存のドアスイッチ5により構成できる。
【0073】
ドアスイッチ40の効果を説明する。
(1)上記ドアスイッチ40において、ドア2に設けられる押圧部43を更に備える。押圧部43は、ロッド13を押圧する押圧面44と、全閉基準面12に当接する当接面45とを備える。押圧部43において、押圧面44に対して当接面45の位置が変更可能である。
【0074】
この構成によれば、押圧面44に対する当接面45の位置の変更により、ロッド13の第2規定位置P2を変更できる。規定間隔距離x5の変更において、変更される部分は、押圧部43だけであるため、その変更が簡単である。
【0075】
(2)押圧部43において、押圧面44を含む部分に対して、当接面45を含む部分が位置調整可能に構成されてもよい。これにより、ドア2に押圧部43を取り付けた状態で、押圧面44に対する当接面45の位置を変更できる。このような構成によれば、ドアスイッチ40の設置後、規定間隔距離x5を調整する場合に、押圧部43を取り外す必要がないため、規定間隔距離x5の調整作業時間を短縮できる。
【0076】
<変形例>
ドアスイッチ7,8,9,30,40は、上記の各実施形態に示された例に限定されない。例えば、各実施形態に係るドアスイッチ7,8,9,30,40は次のように変更され得る。
【0077】
・第1実施形態の制限部20の構成、第2実施形態の制限部20の構成、第3実施形態の制限部20の構成、第5実施形態の制限部20の構成、および第6実施形態の制限部20の構成は互いに組み合わされ得る。
【0078】
・各実施形態において、好ましくは、規定間隔距離x1,x2,x3,x4,x5(第1規定位置P1と第2規定位置P2との間の距離)は、既存のドアスイッチ5の規定間隔距離xよりも短い距離に変更される。
【0079】
この構成によれば、規定間隔距離x1,x2,x3,x4,x5は、規定間隔距離xよりも短くなる。このように規定間隔距離が変更されたドアスイッチ7,8,9,30,40が用いられることによって、規定間隔距離xを有する既存のドアスイッチ5を使用する場合に比べて、厚幅の小さい異物50を検出できる。これにより、薄い異物50であっても、発車条件が成立しないようになり、薄い異物50が挟まった状態で電車が発車することを抑制できる。
【0080】
・各実施形態において、ドアスイッチ7,8,9,30,40は、ドア2に設けられてもよい。この場合、押圧部3は、車両本体1において、ドア2の全閉時において、ドアスイッチ7,8,9,30,40のロッド13が接触するようなところに配置される。
【符号の説明】
【0081】
DC…閉方向、DP…開方向、DX1…第1方向、DX2…第2方向、PA…初期位置、P1…第1規定位置、P2…第2規定位置、P3…第3規定位置、r…厚幅、r1…距離、x…規定間隔距離、x1…規定間隔距離、x2…規定間隔距離、x3…規定間隔距離、x4…規定間隔距離、x5…規定間隔距離、1…車両本体、2…ドア、3…押圧部、4…押圧面、5…ドアスイッチ、7…ドアスイッチ、8…ドアスイッチ、9…ドアスイッチ、11…ハウジング、12…全閉基準面、13…ロッド、13a…端面、15…検出部、19…ハウジング、20…制限部、21…スペーサ、21a…第1面、21b…第2面、21c…締結部材、21s…全閉基準面、22…凸部、22a…接触面、24…位置調整部、24a…長孔、24b…ボルト、24c…固定部、24d…ガイド、25…検出部、25a…第1出力部、25b…第2出力部、26…第1スイッチ、27…第2スイッチ、28a…第1接触部、28b…第2接触部、30…ドアスイッチ、31…ベース、32…取付部、33…締結孔、34…締結部材、35…全閉基準面、37…位置調整取付構造、40…ドアスイッチ、43…押圧部、43a…段差部、44…押圧面、45…当接面、50…異物。