IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-不整脈検出についての信頼性 図1
  • 特許-不整脈検出についての信頼性 図2
  • 特許-不整脈検出についての信頼性 図3
  • 特許-不整脈検出についての信頼性 図4
  • 特許-不整脈検出についての信頼性 図5
  • 特許-不整脈検出についての信頼性 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】不整脈検出についての信頼性
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/349 20210101AFI20230104BHJP
   A61N 1/37 20060101ALI20230104BHJP
   A61N 1/39 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
A61B5/349
A61N1/37
A61N1/39
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018552747
(86)(22)【出願日】2017-04-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-18
(86)【国際出願番号】 US2017025894
(87)【国際公開番号】W WO2017176714
(87)【国際公開日】2017-10-12
【審査請求日】2018-10-30
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】62/319,055
(32)【優先日】2016-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505003528
【氏名又は名称】カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ペルシュバッハー、デイビッド エル.
(72)【発明者】
【氏名】マハジャン、ディーパ
(72)【発明者】
【氏名】シェイコ、クシシュトフ ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン、キース エル.
(72)【発明者】
【氏名】クルーガー、ジョナサン ウォルター
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】渡戸 正義
【審判官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-528933(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0297907(US,A1)
【文献】再公表特許第2016/024495(JP,A1)
【文献】特表2014-507187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/02-5/03
A61B5/24-5/398
A61N1/08
A61N1/36-1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者からの生理学的信号を感知するための感知増幅器を含む、生理学的センサ回路と、
感知された前記生理学的信号から生成された、第1の1つ以上の信号メトリックを用いて、心不整脈の存在を示す不整脈イベントを検出するように構成された、第1の不整脈検出器回路と、
前記第1の不整脈検出器回路による前記不整脈イベントの検出についての信頼性レベルを示す信頼性スコアを生成するように構成された、信頼性インジケータ生成器回路と、
前記第1の不整脈検出器回路とは異なる第2の不整脈検出器回路であって、前記信頼性スコアが信頼性閾値を下回ることに応じて、前記感知された生理的信号から生成された、第2の1つ以上の信号メトリックを用いて、前記第1の不整脈検出器回路から独立して不整脈イベントを検出するように構成され、前記第2の1つ以上の信号メトリックは前記第1の1つ以上の信号メトリックとは異なり、及び、前記第2の不整脈検出回路は、前記感知された生理学的信号から生成された前記第2の1つ以上の信号メトリックを用いて、前記第1の不整脈検出器回路によって検出された前記心不整脈の存在を確認し、又は否決する、第2の不整脈検出器回路と、
前記第2の不整脈検出器回路に結合されたコントローラ回路であって、該コントローラ回路が、
前記信頼性スコアが一定の信頼性閾値を下回ることに応答して、前記第1の不整脈検出器回路によって検出された前記心不整脈の存在を前記第2の不整脈検出器回路が確認するために、前記第1の不整脈検出器回路によって検出された前記不整脈イベントを前記第2の不整脈検出器回路に与えるように構成される、コントローラ回路と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記第1の不整脈検出器回路が、心房性または心室性不整脈を含む前記不整脈イベントを検出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラ回路が、信頼性閾値を上回る前記信頼性スコアに応答して
出された前記不整脈イベントをメモリ回路内に記憶すること、または
アラート信号を生成すること
を実行する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の不整脈検出器回路が、前記第1の不整脈検出器回路よりも高い計算能力を有し、またはさらに計算集約的なアルゴリズムを実行する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記生理学的センサ回路が、心臓信号を含む前記生理学的信号を受け取るように構成され、
前記第1の不整脈検出器回路が、前記心臓信号から生成される信号メトリックを含んでなる、前記第1の1つ以上の信号メトリックを生成、前記第1の不整脈検出器回路が、指定された条件を満足する前記信号メトリックに応答して、前記不整脈イベントを検出するように構成される、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の不整脈検出器回路によって前記心臓信号から生成された前記信号メトリックが、
指定された時間期間内における前記心臓信号からの安定な拍動についての第1の数、
前記指定された時間期間内における前記心臓信号からの不安定な拍動についての第2の数、または
前記第1の数と前記第2の数との間の相対数についての第3の数
を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記心臓信号から生成された前記信号メトリックが、前記心臓信号からの複数の心拍数測定の心拍数分布を含み、該心拍数分布が、
前記心拍数測定の中心傾向、または
前記心拍数測定の中心傾向の指定された限度内に含まれる心拍動の相対数
を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記心臓信号から生成された前記信号メトリックが、前記心臓信号からの複数の心拍動の形態測定を含み、前記第1の不整脈検出器回路が、前記複数の心拍動の形態測定を使用して、前記不整脈イベントを検出するためのものである、請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記信頼性インジケータ生成器回路は、出された前記不整脈イベントについて決定するためのものであり、前記信頼性スコア前記心臓信号から生成された前記信号メトリックの基準値からの偏差に比例する信頼性スコアを含む、請求項5乃至8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記信頼性インジケータ生成器回路が、2つ以上の信号メトリックのそれぞれの基準値からの偏差の組み合わせを使用して、前記信頼性スコアを決定するためのものである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記信頼性インジケータ生成器回路が、前記心臓信号から生成された前記信号メトリックの信号品質に基づいて、前記信頼性スコアを決定するためのものであり、前記信号品質が、
信号対雑音比、
モーション・アーチファクトの検出、または
異所性拍動の検出
のうちの1つを含む、請求項5乃至10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記信頼性インジケータ生成器回路が、
失神歴、
不整脈歴、
アブレーション治療、または
先の不整脈イベントの持続時間
のうちの1つを含む、前記被験者の病歴に基づいて、前記信頼性スコアを決定するためのものである、請求項5乃至11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
出された前記不整脈イベントについての人間が知覚可能な提示を生成するように構成される、出力回路を備える、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
2つ以上の検出された不整脈イベントを、前記それぞれの信頼性スコアに基づいて、優先順位付けするための、比較器回路を含む、優先順位付け器回路をさらに備え、
前記出力回路が、優先順位付けされた2つ以上の検出された前記不整脈イベントの少なくとも一部を含む前記提示を生成するように構成される、
請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、一般に、医療デバイスに関し、より詳細には、心不整脈を検出および管理するためのシステム、デバイス、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の健康状態または病状を監視し、治療を施すために、植え込み型医療デバイス(IMD)が、使用されてきた。例えば、ある異常な心拍リズムを監視し、心臓に電気エネルギーを供給して、異常なリズムを矯正するために、植え込み型除細動器(ICD)が、使用されることがある。いくつかのIMDは、鬱血性心不全(CHF)などに起因する、心血行動態パフォーマンスの慢性悪化を監視し、心臓再同期療法(CRT)を含む、心刺激療法を提供して、心室内または心室間における心臓同期不全を矯正するために、使用されることがある。
【0003】
IMDは、生理学的データをメモリ内に記憶するようにプログラムされてよい。生理学的データは、引き出され、表示デバイス内において、臨床医などのシステム・ユーザに提示されてよい。システム・ユーザは、生理学的イベントの存在もしくは原因を決定するために、またはデバイス療法が所望の治療結果をもたらしたかどうかを決定するために、記憶された生理学的データを検討することができる。
【0004】
いくつかのIMDは、心房細動(AF)などの心不整脈を検出することができる。AFは、数百万人の人々を襲う、最も一般的な臨床的不整脈である。AFの間、心房内または心房付近の部位から生じた無秩序な電気パルスが、心室への不規則な伝導をもたらすことがあり、それによって、不適切に速く、不規則な心拍数を引き起こす。AFは、発作性であり得、それがひとりでに止むまでに、数分から数日続くことがあり、持続性であり得、1週間以上にわたって続き、一般に、正常な洞調律に復帰するためには、薬物治療もしくは他の治療を必要とすることがあり、または永続性であり得、正常な心拍リズムは、治療を行っても回復され得ない。AFのタイムリな検出、ならびにAFと関連付けられた電位図および他の生理学的情報を記憶することは、AFの進行を評価するために、臨床的に重要なことがある。
【発明の概要】
【0005】
植え込み型医療デバイスは、心不整脈、または慢性心疾患の進行などの、生理学的イベントを検出し、電位図などの心臓電気的活動信号のサンプリングされた値を獲得することが可能である。いくつかのIMDは、さらに、様々な生理学的信号を測定することができる、複数の生理学的センサと通信してよい。IMDは、生理学的センサのいくつかまたはすべてからの感知されたデータを監視および記憶するようにプログラムされてよい。
【0006】
正確な電位図、または規則的にスケジュールされた外来患者の来院から次の来院までの長期間にわたってなど、より長い時間期間にわたって獲得される他の生理学的センサ情報を獲得することは、医者が、必要に応じて、デバイスを再プログラムすることを、または患者の状態を診断および評価することを、助けることができる。電位図または他の生理学的センサ・データの記録は、IMD内において利用可能な制約されたデータ記憶空間によって、制限されることがある。心房細動(AF)イベントなどの心不整脈を検出するようにプログラムされたIMDにおいては、AFイベント以外の、ノイズ、モーション・アーチファクト、または心調律が、AFイベントとして、不適切に検出されることがある。不適切な不整脈検出は、検出特異度を低減させ、患者に対する不適切な治療をもたらすことがある。加えて、不適切に検出された不整脈イベントを記憶することは、デバイス・メモリを浪費し、速やかに使い尽くし得る。不適切に検出された不整脈イベントについての臨床医に対するアラート、または検討または判定のために、大量の不適切に検出された不整脈イベントを臨床医に提示することは、デバイスの有効性に悪影響を与え、患者管理と関連付けられたコストを不当に増加させることがある。少なくともこれらの理由のため、本発明の発明者らは、とりわけ、最も関連性の高い不整脈イベントを記憶し、またはこれらのイベントを臨床医に提示しながら、より効率的に不整脈を検出および報告するシステムに対する多くの課題と、需要とを認識した。
【0007】
本文書は、とりわけ、不整脈イベントを検出し、検出された不整脈イベントと関連付けられた生理学的情報を記憶するためのシステム、デバイス、および方法について説明する。システムは、被験者から感知された生理学的信号から不整脈イベントを検出し、不整脈イベントの検出についての信頼性レベルを示す信頼性インジケータを生成するための、第1の検出器を含んでよい。信頼性インジケータが、不整脈検出について相対的に高い信頼性を示す場合、システムは、検出された不整脈イベントを、検出された不整脈イベントを記憶し、またはアラートを生成するための、第1の処理過程に提供してよい。信頼性インジケータが、不整脈検出について相対的に低い信頼性を示す場合、システムは、検出された不整脈イベントを、検出された不整脈イベントを確認することを含む、少なくとも第2の処理過程に提供してよい。
【0008】
例1においては、システムは、被験者からの生理学的信号を感知するための、生理学的センサ回路と、感知された生理学的信号から不整脈イベントを検出するように構成された、第1の不整脈検出器回路と、検出された不整脈イベントについての信頼性インジケータを生成するように構成された、信頼性インジケータ生成器回路であって、信頼性インジケータは、不整脈イベントの検出についての信頼性レベルを示す、信頼性インジケータ生成器回路と、不整脈検出器回路に結合され、第1の信頼性レベルを示す信頼性インジケータに応答して、検出された不整脈イベントを、第1の処理過程に提供することと、異なる第2の信頼性レベルを示す信頼性インジケータに応答して、検出された不整脈イベントを、第1の処理過程とは異なる少なくとも第2の処理過程に提供することとを行うように構成された、コントローラ回路とを含んでよい。
【0009】
例2は、心房性または心室性不整脈を含む不整脈イベントを検出することができる第1の不整脈検出器回路を含んでよく、またはそれを任意選択で含むように、例1の主題と任意選択で組み合わされてよい。
【0010】
例3は、不整脈イベントの検出についての高い信頼性を示す、信頼性閾値を上回る信頼性インジケータに応答して、検出された不整脈イベントを、第1の処理過程に提供するように構成されてよい、コントローラ回路を含んでよく、またはそれを含むように、例1もしくは2の一方もしくは任意の組み合わせの主題と任意選択で組み合わされてよい。第1の処理過程は、検出された不整脈イベントをメモリ回路内に記憶すること、またはアラート信号を生成することを含んでよい。
【0011】
例4は、不整脈イベントの検出についての低い信頼性を示す、信頼性閾値を下回る信頼性インジケータに応答して、検出された不整脈イベントを、少なくとも第2の処理過程に提供してよい、コントローラ回路を含んでよく、またはそれを含むように、例1乃至3の1つもしくは任意の組み合わせの主題と任意選択で組み合わされてよい。第2の処理過程は、検出された不整脈イベントを確認するために、少なくとも第2の不整脈検出器回路を使用して、不整脈イベントを検出することを含んでよい。第2の不整脈検出器回路は、第1の不整脈検出器よりも高い計算能力を有してよく、またはさらに計算集約的なアルゴリズムを実行してよい。
【0012】
例5は、心臓信号を含む生理学的信号を受け取ってよい、生理学的センサ回路と、心臓信号から信号メトリックを生成するためのフィルタ回路を含んでよい、第1の不整脈検出器回路であって、指定された条件を満足する信号メトリックに応答して、不整脈イベントを検出するように構成された、第1の不整脈検出器回路とを含んでよく、またはそれらを含むように、例1乃至4の1つもしくは任意の組み合わせの主題と任意選択で組み合わされてよい。
【0013】
例6は、指定された時間期間内における心臓信号からの安定な拍動についての第1の数、指定された時間期間内における心臓信号からの不安定な拍動についての第2の数、または第1の数と第2の数との間の相対数についての第3の数を含んでよい、信号メトリックを含んでよく、またはそれを任意選択で含むように、例5の主題と任意選択で組み合わされてよい。
【0014】
例7は、心臓信号からの複数の心拍数測定の心拍数分布を含んでよい、信号メトリックを含んでよく、またはそれを任意選択で含むように、例5の主題と任意選択で組み合わされてよい。心拍数分布は、心拍数測定の中心傾向、または心拍数測定の中心傾向の指定された限度内に含まれる心拍動の相対数を含んでよい。
【0015】
例8は、心臓信号からの複数の心拍動の形態測定を含んでよい、信号メトリックを含んでよく、またはそれを任意選択で含むように、例5の主題と任意選択で組み合わされてよい。第1の不整脈検出器回路は、複数の心拍動の形態測定を使用して、不整脈イベントを検出してよい。
【0016】
例9は、検出された不整脈イベントについて決定するためのものである信頼性インジケータ生成器回路を含んでよく、またはそれを含むように、例5乃至8の1つもしくは任意の組み合わせの主題と任意選択で組み合わされてよく、信頼性インジケータは信号メトリックの基準値からの偏差に比例する信頼性スコアを含む。
【0017】
例10は、2つ以上の信号メトリックのそれぞれの基準値からの偏差の組み合わせを使用して、信頼性スコアを決定してよい、信頼性インジケータ生成器回路を含んでよく、またはそれを任意選択で含むように、例9の主題と任意選択で組み合わされてよい。
【0018】
例11は、信号メトリックの信号品質に基づいて、信頼性インジケータを決定してよい、信頼性インジケータ生成器回路を含んでよく、またはそれを含むように、例5乃至10の1つもしくは任意の組み合わせの主題と任意選択で組み合わされてよい。信号品質は、信号対雑音比、モーション・アーチファクトの検出、または異所性拍動の検出のうちの1つを含んでよい。
【0019】
例12は、失神歴、不整脈歴、アブレーション治療、または先の不整脈イベントの持続時間のうちの1つを含む、被験者の病歴に基づいて、信頼性インジケータを決定してよい、信頼性インジケータ生成器回路を含んでよく、またはそれを含むように、例5乃至11の1つもしくは任意の組み合わせの主題と任意選択で組み合わされてよい。
【0020】
例13は、検出された不整脈イベントについての人間が知覚可能な提示を生成するように構成されてよい、出力回路を含んでよく、またはそれを含むように、例1乃至12の1つもしくは任意の組み合わせの主題と任意選択で組み合わされてよい。
【0021】
例14は、2つ以上の検出された不整脈イベントを、それぞれの信頼性インジケータに基づいて、優先順位付けするための、比較器回路を含んでよい、優先順位付け器回路を含んでよく、またはそれを任意選択で含むように、例13の主題と任意選択で組み合わされてよい。出力回路は、優先順位付けされた2つ以上の検出された不整脈イベントの少なくとも一部を含む提示を生成してよい。
【0022】
例15は、第1の不整脈検出器回路を含んでよい、第1の植え込み型デバイスと、第2の不整脈検出器回路を含む、異なる第2のデバイスとを含んでよく、またはそれらを任意選択で含むように、例4の主題と任意選択で組み合わされてよい。
【0023】
例16においては、医療システムを介して不整脈イベントを検出するための方法が、開示される。方法は、被験者からの生理学的信号を感知する工程と、第1の不整脈検出器を介して、感知された生理学的信号から不整脈イベントを検出する工程と、検出された不整脈イベントについての信頼性インジケータを生成する工程であって、信頼性インジケータは、不整脈イベントの検出についての信頼性レベルを示す、工程と、第1の信頼性レベルを示す信頼性インジケータに応答して、検出された不整脈イベントを、第1の処理過程に提供する工程、または異なる第2の信頼性レベルを示す信頼性インジケータに応答して、検出された不整脈イベントを、第1の処理過程とは異なる少なくとも第2の処理過程に提供する工程とを含んでよい。
【0024】
例17は、心臓信号から1つまたは複数の信号メトリックを生成する方法を含んでよく、またはそれを任意選択で含むように、例16の主題と任意選択で組み合わされてよい。不整脈イベントの検出は、1つまたは複数の信号メトリックを使用して、心房性または心室性不整脈を検出することを含んでよい。
【0025】
例18は、心臓信号からの複数の心拍動の形態測定を含んでよい、1つまたは複数の信号メトリックを含んでよく、またはそれを任意選択で含むように、例17の主題と任意選択で組み合わされてよく、不整脈イベントの検出は、複数の心拍動の形態測定に基づいてよい。
【0026】
例19は、不整脈イベントの検出についての高い信頼性を示す、信頼性閾値を上回る信頼性インジケータに応答して、検出された不整脈イベントを、検出された不整脈イベントをメモリ回路内に記憶すること、またはアラート信号を生成することを含んでよい、第1の処理過程に提供する工程を含んでよく、またはそれを任意選択で含むように、例16の主題と任意選択で組み合わされてよい。
【0027】
例20は、不整脈イベントの検出についての低い信頼性を示す、信頼性閾値を下回る信頼性インジケータに応答して、第1の不整脈検出器よりも高い計算能力を有し、またはさらに計算集約的なアルゴリズムを実行する、少なくとも第2の不整脈検出器を介して、検出された不整脈イベントを、検出された不整脈イベントを確認することを含んでよい、少なくとも第2の処理過程に提供する方法を含んでよく、またはそれを任意選択で含むように、例16の主題と任意選択で組み合わされてよい。
【0028】
例21は、1つまたは複数の信号メトリックのそれぞれの基準値からの偏差に比例する信頼性スコアを含んでよい信頼性インジケータを含んでよく、またはそれを任意選択で含むように、例16の主題と任意選択で組み合わされてよい。
【0029】
例22は、信号メトリックの信号品質、または被験者の病歴のうちの一方に基づいて生成されてよい、信頼性インジケータを含んでよく、またはそれを任意選択で含むように、例16の主題と任意選択で組み合わされてよい。信号品質は、信号対雑音比、モーション・アーチファクトの検出、または異所性拍動の検出のうちの1つを含んでよく、病歴は、失神歴、不整脈歴、アブレーション治療、または先の不整脈イベントの持続時間のうちの1つを含んでよい。
【0030】
例23は、2つ以上の検出された不整脈イベントを、それぞれの信頼性インジケータに基づいて、優先順位付けする工程と、優先順位付けされた2つ以上の検出された不整脈イベントの少なくとも一部の提示を生成する工程と、優先順位付けされた2つ以上の検出された不整脈イベントの少なくとも一部の判定を、ユーザ・インターフェースを介して、ユーザから受け取る工程とを含んでよく、またはそれらを任意選択で含むように、例16の主題と任意選択で組み合わされてよい。
【0031】
この概要は、本出願の教示のいくつかについての概要であり、本主題の排他的または網羅的な取り扱いであることは意図されていない。本主題についてのさらなる詳細は、詳細な説明および添付の特許請求の範囲において見出される。本開示の他の態様は、以下の詳細な説明を読み、理解し、それの一部を形成する、その各々が限定的な意味で解釈されるべきではない、図面を見るときに、当業者に明らかである。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれの法的均等物によって確定される。
【0032】
様々な実施形態が、添付の図面の図において、例として説明される。そのような実施形態は、例証的なものであり、本主題の網羅的または排他的な実施形態であることは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】心調律管理(CRM)システム、およびCRMシステムが動作し得る環境の部分についての例を示す図。
図2】患者からターゲット心不整脈を検出するように構成された不整脈検出システムについての例を全体として示す図。
図3】心不整脈イベントの検出と関連付けられた信頼性スコアを生成するための回路についての例を全体として示す図。
図4】不整脈検出および優先順位付けシステムの一部についての例を全体として示す図。
図5】患者からターゲット心不整脈を検出するための方法についての例を全体として示す図。
図6】検出された不整脈イベントを、検出された不整脈イベントと関連付けられた信頼性インジケータに基づいて、さらなる処理に提供するための方法についての例を全体として示す図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本願明細書においては、ターゲット生理学的イベントを検出し、ターゲット生理学的イベントと関連付けられた生理学的情報を記憶するためのシステム、デバイス、および方法が、開示される。心房細動(AF)発現などの、ターゲット生理学的イベントは、第1の検出器を使用して、生理学的信号から検出され得る。不整脈イベントの検出についての信頼性レベルを示す信頼性インジケータが、生成されてよい。システムは、信頼性インジケータが第1の信頼性レベルを示す場合、検出された不整脈イベントを第1の処理過程に提供してよく、信頼性インジケータが異なる第2の信頼性レベルを示す場合、検出された不整脈イベントを少なくとも第2の処理過程に提供してよい。
【0035】
図1は、心調律管理(CRM)システム100、およびCRMシステム100が動作し得る環境の部分についての例を全体として示している。CRMシステム100は、1つまたは複数のリード線108A~Cなどを通して、心臓105に電気的に結合されてよい、植え込み型医療デバイス(IMD)110などの、携帯型医療デバイスと、通信リンク103などを介して、IMD110と通信してよい、外部システム120とを含んでよい。IMD110は、ペースメーカなどの植え込み型心臓デバイス、植え込み型除細動器(ICD)、または心臓再同期療法除細動器(CRT-D)を含んでよい。いくつかの例においては、CRMシステムは、皮下植え込み型デバイス、装着型外部デバイス、神経刺激器、薬物送達デバイス、生物療法デバイス、または1つもしくは複数の他の携帯型医療デバイスなどの、1つまたは複数の監視または治療用デバイスを含んでよい。IMD110は、ベッドサイドまたは他の外部モニタなどの、監視用医療デバイスに結合されてよく、またはそれによって置き換えられてよい。
【0036】
IMD110は、心臓105における生理学的信号を感知することができ、1つまたは複数のリード線108A~Cなどを通して、心臓などのターゲット部位に、1つまたは複数の治療用電気パルスを供給することができる、電子回路を収容してよい、密封された金属容器ハウジング112を含んでよい。CRMシステム100は、108Bなど、ただ1つのリード線を含んでよく、または108Aおよび108Bなど、2つのリード線を含んでよい。
【0037】
リード線108Aは、IMD110に接続されるように構成されてよい、近位端と、心臓105の右心房(RA)131内など、ターゲット・ロケーションに配置されるように構成されてよい、遠位端とを含んでよい。リード線108Aは、それの遠位端に、または遠位端付近に位置付けられてよい、第1のペーシング感知電極141と、電極141のところに、または電極141付近に位置付けられてよい、第2のペーシング感知電極142とを有してよい。電極141および142は、右心房活動の感知、および心房ペーシング・パルスの任意選択の供給を可能にすることなどのために、リード線108A内の別々の導体などを介して、IMD110に電気的に接続されてよい。リード線108Bは、IMD110に接続されてよい、近位端と、心臓105の右心室(RV)132内など、ターゲット・ロケーションに配置されてよい、遠位端とを含んでよい、除細動リード線であってよい。リード線108Bは、遠位端に位置付けられてよい、第1のペーシング感知電極152と、電極152付近に位置付けられてよい、第2のペーシング感知電極153と、電極153付近に位置付けられてよい、第1の除細動コイル電極154と、上大静脈(SVC)配置などのために、遠位端からある距離のところに位置付けられてよい、第2の除細動コイル電極155と、を有してよい。電極152乃至155は、リード線108B内の別々の導体などを介して、IMD110に電気的に接続されてよい。電極152および153は、心室電位図の感知を可能にしてよく、1つまたは複数の心室ペーシング・パルスの供給を可能にしてよく、電極154および155は、1つまたは複数の心室電気的除細動/除細動パルスの供給を可能にしてよい。例においては、リード線108Bは、3つの電極152、154、および155だけを含んでよい。電極152および154は、1つまたは複数の心室ペーシング・パルスの感知または供給のために、使用されてよく、電極154および155は、1つまたは複数の心室電気的除細動または除細動パルスの供給のために、使用されてよい。リード線108Cは、IMD110に接続されてよい、近位端と、心臓105の左心室(LV)134内など、ターゲット・ロケーションに配置されるように構成されてよい、遠位端とを含んでよい。リード線108Cは、冠状静脈洞133を通して植え込まれてよく、1つまたは複数のペーシング・パルスのLVへの供給を可能にすることなどのために、LV上の冠状静脈内に配置されてよい。リード線108Cは、リード線108Cの遠位端に位置付けられてよい、電極161と、電極161付近に位置付けられてよい、別の電極162とを含んでよい。電極161および162は、LV電位図の感知を可能にすること、およびLVからの1つまたは複数の再同期ペーシング・パルスの供給を可能にすることなどのために、リード線108C内の別々の導体などを介して、IMD110に電気的に接続されてよい。追加の電極が、リード線108C内に、またはリード線108C沿いに含まれてよい。例においては、図1に示されるように、第3の電極163および第4の電極164が、リード線108内に含まれてよい。(図1に示されない)いくつかの例においては、リード線108A~C、またはリード線108A~C以外の追加のリード線のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの心腔内に、または心臓組織に、もしくは心臓組織付近に存在することなく、皮膚表面下に植え込まれてよい。
【0038】
IMD110は、生理学的信号を感知することができる、電子回路を含んでよい。生理学的信号は、電位図、または心臓105の機械的機能を表す信号を含んでよい。密封された金属容器ハウジング112は、感知またはパルス供給などのための、電極として機能してよい。例えば、リード線108A~Cの1つまたは複数からの電極は、電位図の単極感知、または1つもしくは複数のペーシング・パルスを供給することなどのために、金属容器ハウジング112と一緒に使用されてよい。リード線108Bからの除細動電極は、1つまたは複数の電気的除細動/除細動パルスを供給することなどのために、金属容器ハウジング112と一緒に使用されてよい。例においては、IMD110は、リード線108A~Cまたは金属容器ハウジング112のうちの1つまたは複数の上に位置付けられた電極間などにおける、インピーダンスを感知してよい。IMD110は、1対の電極間に電流を注入し、同じまたは異なる1対の電極間における結果の電圧を感知し、オームの法則を使用してインピーダンスを決定するように構成されてよい。インピーダンスは、電流の注入と、電圧の感知のために、同じ1対の電極が使用されてよい、双極構成において、電流の注入のための1対の電極と、電圧の感知のための1対の電極が、共通の電極を共用してよい、3極構成において、または電流の注入のために使用される電極が、電圧の感知のために使用される電極と異なってよい、4極構成において、感知されてよい。例においては、IMD110は、RVリード線108B上の電極と金属容器ハウジング112との間に電流を注入し、同じ電極間における、またはRVリード線108B上の異なる電極と金属容器ハウジング112との間における、結果の電圧を感知するように構成されてよい。生理学的信号は、IMD110内に組み込まれてよい、1つまたは複数の生理学的センサから、感知されてよい。IMD110は、1つもしくは複数の外部生理学的センサからの、またはIMD110に結合されてよい、1つもしくは複数の外部電極からの生理学的信号を感知するように構成されてもよい。生理学的信号の例は、胸郭インピーダンス、心内インピーダンス、動脈圧、肺動脈圧、RV圧、LV冠状動脈圧、冠血液温度、血液酸素飽和度、1つもしくは複数の心音、身体活動もしくは運動レベル、姿勢、呼吸、体重、または体温のうちの1つまたは複数を含んでよい。
【0039】
これらのリード線および電極の配置および機能は、限定的にではなく、非限定的な例として、上で説明された。患者の必要性、および植え込み型デバイスの能力に応じて、これらのリード線および電極の他の配置および使用が、企図される。
【0040】
示されたように、CRMシステム100は、心房細動(AF)イベントなどの、不整脈を検出するための、信頼性ベースの不整脈検出器113を含んでよい。信頼性ベースの不整脈検出器113は、検出された不整脈についての信頼性レベルを示す信頼性インジケータを生成してよい。不整脈の検出、および信頼性スコアの決定は、生理学的信号から導出される、1つまたは複数の信号メトリックに基づいてよい。信頼性インジケータが、不整脈が検出されていることについて高い信頼性を示す場合、検出された不整脈イベントは、検出された不整脈をメモリに記憶すること、または医療関係者に対するアラートを生成することなどを行うために、第1の処理過程に提供されてよい。信頼性インジケータが、検出された不整脈と関連付けられた低い信頼性を示す場合、検出された不整脈イベントは、検出された不整脈イベントを確認するための、より高い計算能力またはより多くのリソースを有する、2次不整脈検出器を構成すること、または臨床医から不整脈判定を受け取るための、不整脈判定器を構成することなどを行う、第1の処理過程とは異なる少なくとも第2の処理過程に提供されてよい。信頼性ベースの不整脈検出器113の例は、図2図4を参照するなどして、以下で説明される。
【0041】
外部システム120は、IMD110のプログラミングを可能にしてよく、通信リンク103を介して受け取られるなどしてよい、IMD110によって獲得された1つまたは複数の信号についての情報を受け取ることができる。外部システム120は、ローカル外部SMDプログラマを含んでよい。外部システム120は、リモート・ロケーションなどから、患者の状態を監視すること、または1つまたは複数の治療を調整することができる、リモート患者管理システムを含んでよい。
【0042】
通信リンク103は、インダクティブ遠隔測定リンク、無線周波遠隔測定リンク、またはインターネット接続などの遠隔通信リンクのうちの1つまたは複数を含んでよい。通信リンク103は、IMD110と外部システム120との間のデータ伝送を提供してよい。伝送されるデータは、例えば、IMD110によって獲得されるリアルタイム生理学的データ、IMD110によって獲得され、IMD110内に記憶される生理学的データ、IMD110内に記憶される病歴データまたはIMD動作状態を示すデータ、プログラム的に指定可能な感知電極および構成を使用するなどした生理学的データ獲得、デバイス自己診断テスト、または1つもしくは複数の治療を施すことを含んでよい、1つまたは複数のアクションを実行するように、IMD110を構成することなどを行うための、IMD110に対する1つまたは複数のプログラミング命令を含んでよい。
【0043】
信頼性ベースの不整脈検出器113は、IMD110内において実施されるものとして、図1には示されているが、代替として、皮下植え込み型デバイス、装着型外部デバイス、神経刺激器、薬物送達デバイス、生物療法デバイス、または1つもしくは複数の診断デバイス内において、実施されてよい。いくつかの例においては、信頼性ベースの不整脈検出器113は、外部システム120内において、実施されてよい。外部システム120は、IMD110から抽出されたデータ、または外部システム120内のメモリに記憶されたデータを使用するなどして、悪化心不全(WHF)イベント検出を実行するように構成されてよい。外部システム120は、開始閾値およびリセット閾値を含む、ターゲット生理学的イベントの検出についての情報を表示してよい、ユーザ・インターフェースを含んでよい。例においては、信頼性ベースの不整脈検出器113の部分は、IMD110と外部システム120との間に分散されてよい。
【0044】
IMD110または外部システム120の部分は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの任意の組み合わせを使用して、実施されてよい。IMD110または外部システム120の部分は、1つもしくは複数の特定の機能を実行するように構築もしくは構成されてよい、特定用途向け回路を使用して、実施されてよく、または1つもしくは複数の特定の機能を実行するようにプログラムされてよく、もしくは他の方法で構成されてよい、汎用回路を使用して、実施されてよい。そのような汎用回路は、マイクロプロセッサもしくはその部分、マイクロコントローラもしくはその部分、またはプログラマブル論理回路もしくはその部分を含んでよい。例えば、「比較器」は、とりわけ、2つの信号間の比較である特定の機能を実行するように構築されてよい、電子回路比較器を含んでよく、または比較器は、2つの信号間の比較を実行するように、汎用回路の一部に命令する、コードによって駆動されてよい、汎用回路の一部として、実施されてよい。IMD110を参照して説明されたが、CRMシステム100は、皮下医療デバイス(例えば、皮下ICD、皮下診断デバイス)、装着型医療デバイス(例えば、パッチ・ベースの感知デバイス)、または他の外部医療デバイスを含むことができる。
【0045】
図2は、心房細動(AF)イベントなど、ターゲット心不整脈を患者から検出するように構成されてよい、不整脈検出システム200についての例を全体として示している。不整脈検出システム200は、信頼性ベースの不整脈検出器113の実施形態であってよい。不整脈検出システム200は、生理学的センサ回路210と、信号プロセッサ回路220と、不整脈検出器回路230と、コントローラ回路240と、ユーザ・インターフェース・ユニット250とのうちの1つまたは複数を含んでよい。
【0046】
生理学的センサ回路210は、患者から感知される生理学的信号を感知するための、感知増幅器回路を含んでよい。生理学的信号は、疾病状態または身体的もしくは生理学的状態を示してよく、またはそれらと相関関係があってよい。生理学的信号は、1つまたは複数の植え込み型、装着型、または患者と関連付けられた他の方法による携帯型センサを使用して、感知されてよい。生理学的信号の例は、とりわけ、体表上の電極から感知されなどする表面心電図記録法(ECG)、皮膚下に配置された電極から感知されなどする皮下ECG、リード線108A~Cまたは金属容器ハウジング112の1つまたは複数の電極から感知される心内電位図(EGM)、心拍数信号、心拍数変動信号、胸郭または心臓インピーダンス信号、動脈圧信号、肺動脈圧信号、左心房圧信号、RV圧信号、LV冠状動脈圧信号、冠血液温度信号、血液酸素飽和度信号、携帯型加速度計または音響センサによって感知されなどする心音信号、活動に対する生理学的反応、無呼吸低呼吸指数、呼吸速度信号または1回換気量信号などの1つまたは複数の呼吸信号、脳内ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、血液パネル、ナトリウムおよびカリウム値、血糖値、ならびに他の生物マーカおよび生化学マーカを含んでよい。生理学的センサ回路210は、受け取られた生理学的信号をデジタル化し、フィルタリングし、またはそれに対して他の信号調整操作を実行するための、1つまたは複数の他のサブ回路を含んでよい。
【0047】
例においては、信号生理学的センサ回路210は、コマンド信号に応答して、電子医療記録(EMR)システムから、1つまたは複数の患者履歴生理学的信号を引き出してよい。コマンド信号は、命令受信機250に結合された入力デバイスを介するなどして、システム・ユーザ(例えば、医療関係者)によって発行されてよく、または指定されたイベントに応答して、システムによって自動的に生成されてよい。信号生理学的センサ回路210は、1つまたは複数の生理学的信号に対して、信号増幅、デジタル化、またはフィルタリングを含む、信号調整または前処理を実行することができる、1つまたは複数のサブ回路を含んでよい。
【0048】
生理学的センサ回路210に結合される、信号プロセッサ回路220は、感知された生理学的信号をフィルタリングして、1つまたは複数の信号メトリック222を生成するための、フィルタ回路を含んでよい。例においては、信号プロセッサ回路220は、感知された生理学的信号から、これ以降「拍動」と呼ばれる、心臓の脈動活動を検出するための、拍動検出器を含む。拍動は、表面心電図記録法(ECG)、皮下ECG、または心内電位図(EGM)などの心臓電気的信号から、検出されてよい。拍動は、加えて、または代替として、とりわけ、心臓インピーダンス信号、心音信号、または血圧信号を含む、心臓の脈動収縮を示す心臓力学的信号から、検出されてよい。心臓力学的信号は、心周期内において変化してよく、周期的な心臓電気的活動に整合した脈動パターンを示してよい。拍動検出は、P波、R波、T波、もしくはQRS群などのEGC信号成分、EGM信号から感知される局所化された心筋脱分極もしくは再分極、または振幅のピークもしくはトラフ、包絡線もしくは積分のピーク値、または心臓インピーダンス信号、心音信号、もしくは血圧信号の他の強度値の検出を含んでよい。
【0049】
信号メトリック222は、感知された生理学的信号から検出された拍動と関連付けられた、タイミング・パラメータを含んでよい。タイミング・パラメータの例は、心拍周期(CI)または心拍数(HR)信号、ECGにおけるQRS群の開始または心内EGMにおける心房興奮イベントと、S2心音との間において測定されなどする、収縮期タイミング間隔(STI)、QRS群の開始とS1心音との間において測定されなどする、前駆出期(PEP)、S2心音と、次の心周期のECGにおけるQRS群の開始または心内EGMにおける心房興奮イベントとの間において測定されなどする、拡張期タイミング間隔(DTI)などの電気機械的遅延を含んでよい。加えて、または代替として、信号メトリック222は、感知された生理学的信号からの検出された拍動と関連付けられた、統計的または形態学的パラメータを含んでよい。統計的または形態学的パラメータの例は、とりわけ、心周期などの指定された時間期間内における、信号最大値もしくは最小値、正勾配もしくは負勾配、もしくはより高次の統計値、または指定された周波数範囲における信号電力スペクトル密度を含んでよい。感知された生理学的信号のタイプに応じて、信号メトリックの例は、とりわけ、胸郭インピーダンスの大きさ、S3心音強度、S3心音強度の(S1心音強度、R波とS2との間の心音信号エネルギー、もしくは心周期内における心音信号エネルギーなどの)基準心音強度に対する比、呼吸速度、1回換気量、呼吸速度の1回換気量に対する比、活動強度、または活動強度が指定された範囲内にある、もしくは指定された閾値を上回る、時間持続を含んでよい。
【0050】
不整脈検出器回路230は、少なくとも信号メトリック222を使用して、ターゲット心不整脈イベントを検出し、検出された不整脈イベントについての信頼性インジケータを決定するように構成されてよい。心不整脈の例は、とりわけ、心房細動(AF)、心房粗動(AFL)、心房性頻拍、発作性上室性頻拍(PSVT)、ウォルフ-パーキンソン-ホワイト(WPW)症候群、心室性頻拍、心室細動、除脈、または洞停止を含んでよい。
【0051】
不整脈検出器回路230は、マイクロプロセッサ回路の一部として、実施されてよい。マイクロプロセッサ回路は、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、マイクロプロセッサ、または生理学的センサ回路210から受け取られた生理学的信号を含む情報を処理するための、他のタイプのプロセッサなどの、専用プロセッサであってよい。代替として、マイクロプロセッサ回路は、本願明細書において説明される機能、方法、または技法を実行する命令のセットを受け取り、実行することができる、汎用プロセッサであってよい。
【0052】
不整脈検出器回路230は、第1の不整脈検出器232、信頼性インジケータ生成器234、少なくとも第2の不整脈検出器236、アラート生成器238、およびメモリ回路239のうちの1つまたは複数など、1つまたは複数の他の回路またはサブ回路を備える、回路セットを含んでよい。回路またはサブ回路は、単独で、または組み合わされて、本願明細書において説明される機能、方法、または技法を実行してよい。例においては、回路セットのハードウェアは、特定の動作を実施するように不変的に(例えば、配線接続で)設計されてよい。例においては、回路セットのハードウェアは、特定の動作の命令をエンコードするために物理的に変更される(例えば、磁気的な変更、電気的な変更、不変質量粒子の可動配置など)コンピュータ可読媒体を含む、可変的に接続された物理的構成要素(例えば、実行ユニット、トランジスタ、単純な回路など)を含んでよい。物理的構成要素を接続する際、ハードウェア要素の基本的な電気的特性は、例えば、絶縁体から導体に、またはその逆に変化させられる。命令は、埋め込まれたハードウェア(例えば、実行ユニットまたはローディング機構)が、動作時に、特定の動作の部分を実施するように、可変接続を介して、回路セットのメンバをハードウェア的に生成することを可能にする。したがって、コンピュータ可読媒体は、デバイスが動作しているとき、回路セットのメンバの他の構成要素に通信可能に結合される。例においては、物理的構成要素のいずれも、2つ以上の回路セットの2つ以上のメンバにおいて、使用されてよい。例えば、動作下において、実行ユニットは、1つの時点においては、第1の回路セットの第1の回路において使用されてよく、異なる時間においては、第1の回路セット内の第2の回路によって、または第2の回路セット内の第3の回路によって、再使用されてよい。
【0053】
第1の不整脈検出器回路232は、感知された生理学的信号の信号メトリック222を使用して、不整脈イベントの初期検出を生成するように構成されてよい。例においては、検出された拍動と関連付けられたCIまたはHRの変動に基づいて、検出された心拍動は、安定拍動クラス、不安定拍動クラス、およびランダム拍動クラスを含む、複数の拍動クラスのうちの1つに分類されてよい。第1の不整脈検出器232は、安定な拍動、不安定な拍動、またはランダムな拍動の拍動数(すなわち、指定された時間期間内における拍動の数)を決定してよく、拍動クラスの拍動数を使用して、差、比、割合、またはパーセンテージなどの、相対量を生成してよい。相対量の例は、不安定な拍動の数の安定な拍動および不安定な拍動の数の和に対する比、またはランダムな拍動の数の安定な拍動および不安定な拍動の数の和に対する比を含んでよい。第1の不整脈検出器232は、拍動クラス、および少なくとも拍動クラスを使用したAF検出についての開示を含む、その全体を本願明細書に援用する、本出願の譲受人に譲渡された、2015年1月30日に出願された、「生理学的イベント検出およびデータ記憶(PHYSIOLOGIC EVENT DETECTION AND DATA STORAGE)」と題する、マハジャンら(Mahajan et al.)の米国仮特許出願第62/109963号に開示された条件など、指定された条件を満足する相対量に応答して、AFイベントなど、ターゲット心不整脈イベントを検出してよい。
【0054】
心拍数分布が、指定された時間期間内における心臓信号からの複数の心拍動から生成されてよく、信号メトリックは、心拍数分布から抽出されたパラメータを含んでよい。例においては、分布パラメータは、指定された時間期間内における心拍数の中心傾向を含んでよい。中心傾向の例は、とりわけ、平均値、中央値、または最頻値を含んでよい。別の例においては、分布パラメータは、心拍数の中心傾向の指定された限度内に含まれる心拍動の相対数を含んでよい。
【0055】
心拍数分布は、複数の心拍数ビンの各々に含まれる、指定された時間期間の間における、心拍動のパーセンテージを含む、心拍数ヒストグラムによって表されてよい。各心拍数ビンは、心拍数の範囲を定義する。インジケータは、最も多くの心拍動を含むヒストグラム・ビン(またはそのヒストグラム・ビンの代表的な心拍数値)など、心拍数の最頻値を含んでよく、そのヒストグラム・ビン内には、対応する心拍数が、含まれる。インジケータは、代替として、または加えて、心拍数の最頻値を含むヒストグラム・ビン内に含まれる心拍動のパーセンテージとして計算されてよい、心拍数密度指数(HRDI)を含んでよい。第1の不整脈検出器232は、HRDI、および少なくともHRDIを使用したAF検出についての開示を含む、その全体を本願明細書に援用する、本出願の譲受人に譲渡された、2015年4月2日に出願された、「心房細動検出(ATRIAL FIBRILLATION DETECTION)」と題する、マハジャンらの米国仮特許出願第62/142184号に開示された条件など、各々が指定された条件を満足する、心拍数の最頻値またはHRDIに応答して、AFイベントなど、ターゲット心不整脈を検出してよい。
【0056】
様々な例においては、信号メトリックは、心臓電気的または力学的信号からの複数の心拍動の形態測定を含んでよい。形態測定は、拍動(または心周期)内における信号メトリックの波形の一部から選択されたサンプルなど、複数の形態学的特徴を含んでよい。例においては、形態学的特徴は、ピーク、トラフ、変曲点、または特徴点間における1つもしくは複数の中間点など、波形の特徴点を含んでよい。第1の不整脈検出器232は、洞調律などの知られた律動、またはAFなど指定された不整脈の間に獲得される同じ信号メトリックの形態を表すテンプレートを、ユーザ・インターフェース・ユニット250を介するなどして、ユーザから受け取ってよく、またはメモリ・デバイスから引き出してよい。第1の不整脈検出器232は、複数の拍動の形態測定をテンプレートと比較し、形態測定とテンプレートとの間の類似性スコアを計算してよい。類似性スコアの例は、相関、形態測定とスケーリングされたテンプレートとの間の差の和、または多次元信号特徴空間における距離値を含んでよい。例においては、不整脈検出器232は、(指定された範囲内に含まれる類似性スコアなど)受け取られたテンプレートまたは引き出されたテンプレートに形態学的に類似する先行する1つまたは複数の拍動の形態測定を使用して、テンプレートを動的に更新してよい。第1の不整脈検出器232は、差が指定された検出閾値を下回るときなど、指定された条件を満足する類似性スコアに応答して、心不整脈を検出してよい。
【0057】
信頼性インジケータ生成器234は、検出された不整脈イベントについて、不整脈イベントの検出についての信頼性レベルを示す信頼性インジケータを生成してよい。信頼性インジケータは、「高」、「中」、もしくは「低」信頼性などの、カテゴリ記述子、またはより高いスコアが心不整脈イベントの存在についてのより高い信頼性を示す、指定された範囲内にある数値信頼性スコアを含んでよい。図2に示される例においては、信頼性インジケータ生成器234は、信号プロセッサ回路220に結合され、信号メトリック222と1つまたは複数の閾値との比較に基づいて、信頼性インジケータを生成してよい。例においては、心不整脈イベントを検出するために第1の不整脈検出器232によって使用されるのと同じ信号メトリックが、信頼性インジケータを生成するために使用されてよい。例においては、信頼性インジケータを生成するための少なくとも1つの信号メトリックは、第1の不整脈検出器232によって心不整脈イベントを検出するための信号メトリックと異なってよい。信頼性インジケータ生成器234の例は、図3を参照するなどして、以下で説明される。
【0058】
第2の不整脈検出器236は、第1の不整脈検出器232および信頼性インジケータ生成器234に結合され、「低」信頼性レベルが示された、または数値信頼性スコアが信頼性閾値を下回ったときなど、第1の検出と関連付けられた信頼性インジケータが、指定された条件を満足するとき、心不整脈イベントをさらに検出するように構成されてよい。例においては、第2の不整脈検出器236は、第1の不整脈検出器232によって検出された不整脈イベントの存在を確認するためのものである。第2の不整脈検出器236は、第1の不整脈検出器よりも高い計算能力を有してよい。例においては、第2の不整脈検出器236は、より高い感度もしくは特異度を有し、または不整脈イベントを検出するために、第1の不整脈検出器232よりも大量のデータを処理するように構成されてよい、計算集約的なアルゴリズムを使用して、心不整脈を検出してよい。計算集約的なアルゴリズムの例は、線形または非線形パターン認識方法の中でもとりわけ、決定木、ニューラル・ネットワーク、またはサポート・ベクトル・マシンを含んでよい。計算集約的なアルゴリズムは、回路もしくはサブ回路、またはデータ処理のためなどに命令のセットを記憶および実行するマイクロプロセッサを使用して、実施されてよい。例においては、第2の不整脈検出器236は、より長く待ってよく、または信号メトリック222に加えて、様々な生理学的センサによって獲得される追加のデータなど、心不整脈イベントを検出または確認するための情報を使用してよい。例においては、第2の不整脈検出器236は、第1の不整脈検出器によって使用されなどするリアルタイム分析とは対照的に、患者から収集された履歴生理学的データの遡及的な分析を実行してよい。いくつかの例においては、第2の不整脈検出器236に加えて、追加の不整脈検出器が、不整脈イベントの存在をさらに確認または否決するために、含まれてよい。
【0059】
第2の不整脈検出器236は、図2においては、例として、不整脈検出器回路230内に存在するように示されているが、いくつかの例においては、第2の不整脈検出器236は、プログラマ、ハンドヘルド、装着型、もしくは他のポータブル・デバイス、またはサーバ内など、第1の不整脈検出器232とは別のデバイス内において、実施されてよい。例においては、第1の不整脈検出器232および第2の不整脈検出器236など、不整脈検出器回路230内のサブ回路の部分は、IMD110および外部システム120の間に分散させてよい。
【0060】
アラート生成器238は、第1の不整脈検出器232および信頼性インジケータ生成器234に結合され、「高」信頼性レベルが示された、または数値信頼性スコアが検出閾値を上回ったときなど、第1の検出と関連付けられた信頼性インジケータが、指定された条件を満足するとき、臨床医に提示するためのアラートを生成するように構成されてよい。加えて、または代替として、不整脈イベントの第1の検出について高信頼性レベルが示された場合、検出された不整脈イベントは、メモリ回路239内に記憶されてよい。例においては、記憶されるデータの量は、より効率的なメモリ使用を達成するために、第1の検出についての信頼性レベルに基づいてよい。例えば、信頼性スコアが、検出閾値よりも高い信頼性閾値を上回るときなど、信頼性が、「非常に高い」と示された場合、検出されたAFイベントのより短い発現が、記憶されてよい。信頼性が、「僅かに高い」と示された場合、AFイベントの検出された開始に先行する、もしくは検出されたAFイベントに後続する、生理学的データの少なくとも一部をカバーする、より長い持続時間の検出されたAFイベントが、記憶されてよく、または加えて、検出されたAFイベントの間における患者の他の生理学的情報と一緒に、記憶されてよい。自動化された不整脈検出についての僅かな信頼性のケースにおいて、不整脈判定を支援するために、より関連性の高い情報を臨床医に提供することによって、本願明細書において説明される信頼性ベースの情報記憶は、コンピューティング・リソースおよび記憶空間のより効率的な使用を提供することができ、または臨床医が、僅かな信頼性の不整脈をより効率的に識別および検討すること、または検討を省くことを可能にすることができる。
【0061】
信頼性インジケータ生成器234は、第2の不整脈検出器236に結合され、第2の不整脈検出器236が、心不整脈イベントを確認するときに、第2の検出と関連付けられた信頼性インジケータを生成してよい。「高」信頼性レベルが示された、または数値信頼性スコアが信頼性閾値を上回ったときなど、信頼性レベルが、指定された条件を満足するとき、アラート生成器238は、臨床医に提示するためのアラートを生成してよい。例においては、アラートには、第1および第2の不整脈検出を含む、臨床医に提示する報告が同伴してよい。また、不整脈イベントの第2の検出についての高信頼性レベルに応答して、検出された不整脈イベントは、第2の不整脈検出器236によって確認されたものとして、メモリ回路239内に記憶されてよい。
【0062】
コントローラ回路240は、生理学的センサ回路210、信号プロセッサ回路220、不整脈検出器回路230、ユーザ・インターフェース・ユニット250の動作、ならびにこれらの構成要素間におけるデータおよび命令フローを制御してよい。コントローラ回路240は、第1および第2の不整脈検出器を制御してよく、検出に基づいて、検出と関連付けられた信頼性で、動作を制御してよい。例えば、コントローラ回路240は、第1の信頼性レベルを示す信頼性スコアに応答して、第1の不整脈検出器232による第1の不整脈検出を、信頼性インジケータが、検出されている不整脈について高い信頼性を示す場合に、検出された不整脈をメモリ回路に記憶すること、または臨床医に対するアラートを生成することなどを行う、第1の処理過程に提供してよい。コントローラ回路240は、異なる第2の信頼性レベルを示す信頼性スコアに応答して、検出された不整脈イベントを、第1の不整脈検出器232によって検出されたものとして、信頼性インジケータが、検出された不整脈と関連付けられた低い信頼性を示す場合に、検出された不整脈イベントを確認するための2次不整脈検出器を構成すること、または不整脈判定を臨床医から受け取るための不整脈判定器を構成することなどを行う、第1の処理過程と異なる少なくとも第2の処理過程に提供してよい。
【0063】
ユーザ・インターフェース・ユニット250は、ユーザ入力モジュール251と、出力モジュール252とを含んでよい。例においては、ユーザ・インターフェース・ユニット250の少なくとも一部は、外部システム120において実施されてよい。ユーザ入力モジュール251は、とりわけ、第1の不整脈検出器232および第2の不整脈検出器236によって使用される、不整脈検出のためのそれぞれのパラメータ、または信頼性レベルを高もしくは低信頼性レベルにカテゴライズするための閾値など、ユーザのプログラミング入力を受け取ってよい。ユーザ入力モジュール251は、キーボード、オンスクリーン・キーボード、マウス、トラックボール、タッチパッド、タッチスクリーン、または他のポインティングもしくはナビゲーティング・デバイスなどの、入力デバイスを含んでよい。入力デバイスは、とりわけ、生理学的信号を感知し、不整脈を検出し、アラートを生成するために使用されるパラメータを、システム・ユーザがプログラムすることを可能にしてよい。出力モジュール252は、ターゲット心不整脈の検出、検出された不整脈イベントと関連付けられた信頼性インジケータ、検出された不整脈について生成されたアラート、または他のシステム情報のうちの1つまたは複数を含む、人間が知覚可能な情報の提示を生成してよい。出力モジュール252は、情報を表示するためのディスプレイを含んでよい。情報は、システム・ユーザに表示するために、表、チャート、図、または他の任意のタイプのテキスト、表、もしくはグラフィカル提示フォーマットで、提示されてよい。出力情報の提示は、検出された生理学的イベントについてシステム・ユーザにアラートを出すための、オーディオまたは他のメディア・フォーマットを含んでよい。
【0064】
いくつかの例においては、不整脈検出システム200は、加えて、不整脈の検出に応答して、患者に治療を施すように構成された、治療回路260を含んでよい。治療の例は、心臓、神経組織、他のターゲット組織に施される電気刺激療法、電気的除細動療法、除細動療法、または組織もしくは器官に薬物を送達することを含む薬物療法を含んでよい。いくつかの例においては、治療回路260は、刺激パラメータまたは薬物用量を調整するなど、既存の療法を変更してよい。
【0065】
図2に示される例は、心不整脈を検出するために使用されてよいが、いくつかの例においては、不整脈検出器回路230の少なくとも一部は、とりわけ、悪化心不全、心不全代償不全、肺水腫、肺疾患増悪、ぜんそくおよび肺炎、心筋梗塞、拡張型心筋症、虚血性心筋症、弁膜症、腎疾患、慢性閉塞性肺疾患、末梢血管疾患、脳血管疾患、肝疾患、糖尿病、貧血症、またはうつ病など、慢性疾患の進行を含む、心不整脈以外の様々な生理学的イベントを検出するように、変更および構成されてよい。
【0066】
図3は、心不整脈イベントの検出と関連付けられた信頼性スコアを生成するための信頼性スコア生成器回路300についての例を全体として示している。信頼性スコア生成器回路300は、図2の信頼性インジケータ生成器234の実施形態であってよく、IMD110内において、または外部システム120の一部として、実施されてよい。信頼性スコア生成器回路300は、信号メトリック比較器310、信号品質分析器320、患者インジケーション受信機330、および混合回路350のうちの1つまたは複数を含んでよい。
【0067】
信号メトリック比較器310は、信号メトリック222を1つまたは複数の閾値と比較し、不整脈検出と関連付けられた信頼性スコアを生成してよい。信頼性スコアは、信号メトリック222の、心不整脈イベントを検出するために使用される検出閾値などの基準値からの偏差に比例してよい。例においては、第1の不整脈検出器232は、安定および非安定な拍動の数の和に対する不安定な拍動の数(N)の拍動比(R)、すなわち、R=N/(N+N)を生成してよい。拍動比が、拍動比閾値RTHを上回る場合(すなわち、R>RTH)、AFイベントが、検出されたと見なされる。第1の不整脈検出器232は、不整脈検出と関連付けられた信頼性スコア(C)を、C=f(R-RTH)として決定してよい。例においては、第1の不整脈検出器232は、テンプレートと信号メトリックの形態測定との間の形態学的類似性スコアSを計算し、Sが類似性閾値STHを上回る場合、不整脈イベントを検出する。第1の不整脈検出器232は、不整脈検出と関連付けられた信頼性スコア(C)を、C=f(S-STH)として決定してよい。関数fおよびfは、各々、線形増加、指数増加、または他のタイプの増加関数など、増加関数であってよい。例においては、第1の不整脈検出器232は、拍動比Rおよび形態学的類似性Sの両方を使用して、AFイベントを検出してよい。混合回路350は、検出された不整脈イベントと関連付けられた信頼性スコアを、線形関数C=k+kを使用するなどして、結合してよく、ここで、kおよびkは、スケーリング因子である。代替として、混合回路350は、少なくとも拍動数偏差(R-RTH)および類似性スコア偏差(S-STH)の両方の多変数関数(g)、すなわち、C=g(R-RTH,S-STH)を含んでよい。信頼性スコアSは、非不整脈イベントと洞調律との間の統計的または形態学的差に比例してもよい。いくつかの例においては、1つまたは複数の生理学的信号から抽出された2つ以上の信号メトリックが、心不整脈を検出するために、およびそれぞれの信頼性スコアを生成するために、使用されてよい。混合回路350は、2つ以上の信号メトリックのそれぞれの検出閾値からの偏差の線形または非線形結合を使用して、合成信頼性スコアを生成してよい。
【0068】
信号品質分析器320は、信号メトリック222、または信号メトリック222がそれから生成される生理学的信号から、信号品質インジケータを決定し、信号品質に比例した信頼性スコアを生成してよい。信号品質インジケータの例は、信号対雑音比(SNR)、モーション・アーチファクトの検出、または心房期外収縮(PAC)もしくは心室期外収縮(PVC)などの異所性拍動の検出を含んでよい。低信号品質のインジケータは、指定された時間期間内における異所性拍動数が閾値を上回る、またはモーション・アーチファクトの程度が指定されたノイズ・フロアを上回る、またはSNRが閾値を下回る場合に、生成されてよい。信号品質分析器310は、SNR、モーション・アーチファクト・レベル、または異所性拍動数の、それぞれの閾値など、それぞれの基準値からの偏差に比例する、信頼性スコアを生成してよい。例においては、混合回路350は、様々な信号品質インジケータのそれぞれの閾値からの偏差の線形または非線形結合を使用して、合成信頼性スコアを生成してよい。
【0069】
患者インジケーション受信機330は、ユーザ入力モジュール151から、ユーザ入力を、またはメモリ回路239から、患者病歴の記憶された情報を受け取ってよい。患者病歴は、不整脈イベントを発症する患者リスク、または不整脈イベントに対する生理学的センサの反応性に関連する情報を含む。病歴の例は、とりわけ、失神歴、不整脈歴、アブレーション治療などの医療処置、または先の不整脈イベントの持続時間を含んでよい。例えば、検出されたAFイベントと関連付けられた信頼性スコアを決定する際、患者が以前に失神発現を起こした場合、信頼性スコアは、減少させられてよく、一方、患者が以前にAFアブレーション治療を受けた場合、信頼性スコアは、増加させられてよい。持続時間が短いAF発現が、指定された時間フレーム内において、頻繁に検出された場合、今現在検出されているAFイベントは、潜在する持続的なAF律動の継続である可能性がより高く、したがって、より高い信頼性スコアが、割り当てられてよい。
【0070】
混合回路350は、異なる信号メトリックから生成される、または310~330の各々の中に異なる情報ソースを有する、信頼性を結合するのに加えて、310~330の2つ以上からの不整脈検出についての信頼性に影響する因子を組み合わせてもよく、第2の不整脈検出器236において、検出された不整脈を確認するかどうか、またはアラート生成器238において、アラートを生成するかどうか、またはメモリ回路239において、検出された不整脈イベントを記憶するかどうかを決定する際に使用される、合成信頼性スコアを生成してよい。
【0071】
図4は、不整脈検出および優先順位付けシステム400の一部についての例を全体として示している。システム400は、不整脈検出システム200の実施形態であってよい。システム400は、2つ以上の不整脈イベントを検出および確認するための、不整脈検出器回路230を含んでよい。2つ以上の確認された不整脈イベント、およびそれぞれの信頼性スコアは、メモリ回路239内に記憶されてよい。システム400は、不整脈検出器回路230に結合された優先順位付け器回路410を含んでよい。優先順位付け器回路410は、2つ以上の検出された不整脈イベントを、信頼性スコアの昇順または降順など、それぞれの信頼性スコアに基づいた順序で優先順位付けするための、比較器回路を含んでよい。優先順位付けされた不整脈イベントは、任意選択で、それぞれの信頼性スコアとともに、出力モジュール252において、臨床医に提示されてよい。優先順位付け器回路410および不整脈判定器モジュール420は、本願明細書において説明される動作を実施するために、1つまたは複数のプロセッサに通信可能に結合された、ハードウェア、ソフトウェア、またはファームウェアを含んでよい。例においては、優先順位付け器回路410または不整脈判定器モジュール420は、マイクロプロセッサ回路の一部として実施されてよい。優先順位付け器回路410または不整脈判定器モジュール420の部分は、IMD110において、もしくは外部システム120において実施されてよく、またはIMD110と外部システム120との間で分散されてよい。
【0072】
例においては、優先順位付けされた不整脈イベントは、検出された不整脈イベントについての判定入力を臨床医が提供することを可能にする、不整脈判定器モジュール420に伝送されてよい。判定入力は、検出された不整脈イベントを確認すること、無効にすること、訂正すること、または他の方法で編集することを含んでよい。例においては、優先順位付け器回路410は、検出された不整脈イベントの一部を、判定のために、不整脈判定器モジュール420に提示するように、コントローラ回路240などによって、構成されてよい。例えば、指定された信頼性閾値を下回る、または指定された範囲内にある、信頼性スコアを有し、したがって、検出についての相対的に低い信頼性を示す、検出された不整脈イベントだけが、不整脈判定器モジュール420に提示される。例においては、不整脈判定器モジュール420は、ユーザ・インターフェース・ユニット450の一部として実施され、臨床医などのユーザが、出力モジュール420上に提示される検出された不整脈イベントを対話的に判定することを可能にするために、ユーザ入力モジュール251および出力モジュール252に結合されてよい。
【0073】
図5は、患者からターゲット心不整脈を検出するための方法500についての例を全体として示している。心不整脈の例は、とりわけ、心房細動(AF)、心房粗動(AFL)、心房性頻拍、発作性上室性頻拍(PSVT)、ウォルフ-パーキンソン-ホワイト(WPW)症候群、心室性頻拍、心室細動、除脈、または洞停止を含んでよい。方法500は、植え込み型もしくは装着型医療デバイスなどの、携帯型医療デバイスにおいて、またはリモート患者管理システムにおいて、実施され、動作してよい。例においては、方法500は、信頼性ベースの不整脈検出器113もしくはそれの任意の実施形態によって、または外部システム120によって、実施されてよい。
【0074】
方法500は、510において、患者からの生理学的信号を感知することによって開始する。生理学的信号の例は、とりわけ体表上の電極から感知されなどする表面心電図記録法(ECG)、皮膚下に配置された電極から感知されなどする皮下ECG、リード線108A~Cまたは金属容器ハウジング112の1つまたは複数の電極から感知される心内電位図(EGM)、心拍数信号、心拍数変動信号、胸郭または心臓インピーダンス信号、動脈圧信号、肺動脈圧信号、左心房圧信号、RV圧信号、LV冠状動脈圧信号、冠血液温度信号、血液酸素飽和度信号、携帯型加速度計または音響センサによって感知されなどする心音信号、活動に対する生理学的反応、無呼吸低呼吸指数、呼吸速度信号または1回換気量信号などの1つまたは複数の呼吸信号、脳内ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、血液パネル、ナトリウムおよびカリウム値、血糖値、ならびに他の生物マーカおよび生化学マーカを含んでよい。
【0075】
感知された生理学的信号は、信号増幅、デジタル化、フィルタリング、または他の信号調整操作のうちの1つまたは複数を含む、前処理を施されてよい。例においては、複数の心拍動が、心臓電気的信号または心臓力学的信号から検出されてよい。1つまたは複数の統計的または形態学的信号メトリックが、前処理された信号から抽出されてよい。信号メトリックは、タイミング・パラメータ、または感知された生理学的信号から検出された拍動と関連付けられた、統計的もしくは形態学的パラメータを含んでよい。
【0076】
520において、不整脈イベントが、図2に示されるような不整脈検出器回路230を使用することなどによって、信号メトリックから検出されてよい。不整脈検出は、信号メトリックからのタイミング情報または形態学的測定に基づいてよい。例においては、検出された拍動と関連付けられたCIまたはHRの変動に基づいて、検出された心拍動は、安定拍動クラス、不安定拍動クラス、およびランダム拍動クラスを含む、複数の拍動クラスのうちの1つに分類されてよい。指定された時間期間内における各拍動クラスの拍動数が、決定されてよく、不安定な拍動の数の安定な拍動および不安定な拍動の数の和に対する比、またはランダムな拍動の数の安定な拍動および不安定な拍動の数の和に対する比などの、相対量が、計算されてよい。AFイベントなどの不整脈イベントは、相対量が検出閾値を上回った場合に、検出されてよい。別の例においては、心拍数分布が、指定された時間期間内における複数の心拍数を使用して、生成されてよく、心拍数分布から抽出されたパラメータが、AFイベントなどの不整脈イベントを検出するために、使用されてよい。分布パラメータの例は、指定された時間期間内における心拍数の中心傾向(例えば、最頻値)、または心拍数の中心傾向の指定された限度内に含まれる心拍動の相対数(例えば、パーセンテージ)を含んでよい。AFイベントなどの不整脈イベントは、心拍数の中心傾向、または中心傾向の限度内の心拍動の相対数が、指定された条件を満足する場合に、検出されてよい。さらに別の例においては、形態測定が、複数の心拍動から抽出され、正常洞調律またはAFなど、知られた心律動の形態テンプレートと比較されてよい。AFイベントなどの不整脈イベントは、差が指定された検出閾値を下回るときなど、テンプレートと信号メトリックの形態測定との間の類似性スコアが、指定された条件を満足する場合に、検出されてよい。
【0077】
530において、信頼性インジケータが、検出された不整脈イベントについて生成されてよい。信頼性インジケータは、カテゴリ値または数値を有してよい。数値信頼性スコアは、信号メトリックと1つまたは複数の閾値との比較に基づいて、計算されてよい。例においては、信頼性スコアは、1つまたは複数の信号メトリックの、それぞれの検出閾値など、それぞれの基準値からの偏差に比例してよい。図3を参照して先に説明されたように、検出されたAFイベントと関連付けられた信頼性スコアは、(安定および非安定な拍動の数の和に対する不安定な拍動の数の比などの)拍動比(R)と、拍動比閾値RTHとの、または(テンプレートと信号メトリックの形態測定との間の相関もしくは距離などの)形態類似性(S)と、閾値STHとの、線形または非線形増加関数であってよい。例においては、信頼性インジケータは、2つ以上の信号メトリックのそれぞれの閾値からの偏差の線形または非線形結合として計算される、合成信頼性スコアであってよい。いくつかの例においては、信頼性インジケータは、信号メトリックの信号品質、または患者の病歴を含む、追加の情報に基づいて、調整されてよい。信号品質の例は、信号対雑音比、モーション・アーチファクトの検出、または心房期外収縮(PAC)もしくは心室期外収縮(PVC)などの異所性拍動の検出のうちの1つを含んでよい。例においては、信頼性スコアは、SNR、モーション・アーチファクト・レベル、または異所性拍動数の、それぞれの閾値からの偏差に比例してよい。病歴の例は、失神歴、不整脈歴、アブレーション治療、または先の不整脈イベントの持続時間のうちの1つを含んでよい。例においては、信頼性スコアは、患者が以前に失神発現を起こした場合、減少させられてよく、一方、信頼性スコアは、患者が以前にAFアブレーション治療を受けた場合、増加させられてよい。
【0078】
540において、検出された不整脈は、信頼性インジケータに基づいて、異なる処理過程に提供されてよい。信頼性インジケータが、不整脈が検出されていることについて高い信頼性を示す場合、検出された不整脈イベントは、医療関係者に対する検出された不整脈イベントについてのアラートを生成することなどを行うために、第1の処理過程に提供されてよい。信頼性インジケータが、検出された不整脈と関連付けられた低い信頼性を示す場合、検出された不整脈イベントは、異なる検出処理過程を使用する検出された不整脈イベントの再確認などを行う、第1の処理過程とは異なる、少なくとも第2の処理過程に提供されてよい。ターゲット心不整脈の検出、検出された不整脈イベントと関連付けられた信頼性インジケータ、または検出された不整脈についてのアラートのうちの1つまたは複数を含む、人間が知覚可能な情報の提示が、生成され、図2に示されるようなユーザ・インターフェース・ユニット250を介するなどして、臨床医に提示されてよい。
【0079】
図5に示されるような、いくつかの例においては、方法500は、加えて、不整脈の検出に応答して、患者に治療を施す工程550を含んでよい。治療の例は、心臓、神経組織、他のターゲット組織に施される電気刺激療法、電気的除細動療法、除細動療法、または組織もしくは器官に薬物を送達することを含む薬物療法を含んでよい。いくつかの例においては、550において、既存の療法は、刺激パラメータまたは薬物用量を調整するなど、検出された不整脈を扱うように変更されてよい。
【0080】
図6は、検出された不整脈イベントを、検出された不整脈イベントと関連付けられた信頼性インジケータに基づいて、さらなる処理に提供するための方法600についての例を全体として示している。方法600は、方法500の工程540の実施形態であってよい。例においては、方法600は、図2における不整脈検出システム200において実施され、それによって実行されてよく、または図4における不整脈検出および優先順位付けシステム400において実施され、それによって実行されてよい。
【0081】
602において、図5における530において生成されたような信頼性スコアは、ユーザによって事前決定されてよい、または編集可能であってよい、信頼性閾値と比較されてよい。信頼性スコアが、信頼性閾値を上回る場合、検出された不整脈イベントについての高い信頼性が、示される。検出された不整脈イベント、および任意選択で対応する信頼性スコアは、第1の処理過程610に提供されてよい。第1の処理過程610は、612において、(検出された不整脈の間の生理学的データなど)検出された不整脈イベントをメモリ内に記憶することを含んでよい。例においては、図2を参照して先に説明されたように、記憶されるデータの量は、より高い信頼性を有する検出された不整脈イベントについては、より短い持続時間の生理学的データが記憶され、より低い信頼性を有する検出された不整脈イベントについては、より長い持続時間の生理学的データが記憶されるように、信頼性スコアに基づいてよい。第1の処理過程610は、代替として、または加えて、614において、臨床医に対する検出された不整脈イベントについてのアラートを生成することを含んでよい。アラートには、不整脈イベントの検出、検出された不整脈イベントと関連付けられた信頼性インジケータ、または他のシステム情報などの情報を含んでよい、臨床医に提示する報告が同伴してよい。
【0082】
602において、信頼性スコアが、信頼性閾値位を上回らない場合、検出された不整脈イベントについての低い信頼性が、示される。検出された不整脈イベント、および任意選択で対応する信頼性スコアは、第2の処理過程620に提供されてよい。第2の処理過程620は、622において、第2の不整脈検出器236または追加の不整脈検出器を使用することなどによって、検出された不整脈イベントを確認することを含んでよい。検出された不整脈イベントの確認は、より計算集約的な不整脈検出アルゴリズム、または追加の生理学的センサからのデータを使用するなどして、患者から収集された履歴生理学的データの遡及的な分析を含んでよい。不整脈イベントが、確認された場合、624において、再確認された不整脈イベントについての信頼性スコアが、決定されてよい。例においては、624において使用される信頼性スコアは、530において決定されるような、初期検出と関連付けられた信頼性スコアであってよい。別の例においては、624において使用される信頼性スコアは、信頼性スコアが、第2の不整脈検出器236によって使用される信号メトリックの対応する閾値からの偏差に比例するように、少なくとも622における不整脈確認結果を使用して、生成されてよい。そのように計算された結果の信頼性スコアは、530において決定されるような、初期検出と関連付けられた信頼性スコアと異なってよい。
【0083】
624において、信頼性スコアが、信頼性閾値位を上回る場合、確認された不整脈イベントについての高い信頼性が、示される。確認された不整脈イベント、および任意選択で対応する信頼性スコアは、第1の処理過程610に提供されてよく、そこにおいて、確認された不整脈イベントは、記憶されてよく、またはアラートおよび任意選択で報告が、生成され、臨床医に提示されてよい。しかしながら、624において、(第2の不整脈検出器236が、第1の不整脈検出器232によって検出されたのと同じ不整脈イベントを検出しないなど)不整脈イベントが確認されない場合(または信頼性スコアが信頼性閾値を下回る場合)、626において、検出された不整脈イベントは、信頼性スコアの昇順または降順など、それぞれの信頼性スコアに基づいた順序で、優先順位付けされてよい。628において、優先順位付けされた不整脈イベント、または指定された閾値を下回る信頼性スコアを有するものなど、優先順位付けされた不整脈イベントの選択された一部が、不整脈検討または判定のために、臨床医に提示されてよい。判定処理過程は、検出された不整脈イベントを確認すること、無効にすること、訂正すること、または他の方法で編集することを含む、検出された不整脈イベントについての分類入力を、臨床医が提供することを可能にする、不整脈判定器モジュール420を介して、実行されてよい。
【0084】
上で詳述された説明は、添付の図面に対する参照を含み、それは、詳述された説明の一部を形成する。図面は、例示として、本開示が実施されてよい、特定の実施形態を示している。これらの実施形態は、本願明細書においては、「例」とも呼ばれる。そのような例は、示されたまたは説明された要素に加えて、要素を含んでよい。しかしながら、本発明の発明者らは、示されたまたは説明された要素だけが提供される例も企図している。さらに、本発明の発明者らは、特定の例(もしくはその1つもしくは複数の態様)に関する、または本願明細書において示されたもしくは説明された他の例(もしくはその1つもしくは複数の態様)に関する、示されたもしくは説明された要素(またはそれらの1つもしくは複数の態様)の任意の組み合わせまたは置換を使用する、例も企図している。
【0085】
本文書と本願明細書に援用される任意の文書との間において用法に一貫性がない場合には、本文書における用法が、支配する。
本文書においては、「a」または「an」という用語は、特許文書において一般的であるように、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」の他の任意の実例または用法とは無関係に、1つまたは1つよりも多くを含む意味で使用される。本文書においては、「or(または)」という用語は、特段の指摘がない限り、非排他性を示して、または「AまたはB」が「B以外のA」、「A以外のB」、および「AおよびB」を含むように、使用される。本文書においては、「including(~を含む)」および「in which(~における~)」という用語は、それぞれ、「comprising(~を含む)」および「wherein(~における~)」という用語のプレイン・イングリッシュにおける同義語として使用される。また、以下の特許請求の範囲においては、「including(~を含む)」および「comprising(~を含む)」という用語は、開放語であり、すなわち、請求項においてそのような用語の後に列挙される要素に加えて、要素を含む、システム、デバイス、物品、組成物、定式化、または処理過程は、依然として、その請求項の範囲内に含まれると見なされる。さらに、以下の特許請求の範囲においては、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、単にラベルとして使用され、それらの対象に数的要件を課すことは意図されていない。
【0086】
本願明細書において説明された方法の例は、少なくとも部分的に、機械またはコンピュータ実施されてよい。いくつかの例は、上の例において説明されたような方法を実行するように電子デバイスを構成するように動作可能な命令を有するようにエンコードされた、コンピュータ可読媒体または機械可読媒体を含んでよい。そのような方法の実施は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、または高水準言語コードなどの、コードを含んでよい。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含んでよい。コードは、コンピュータ・プログラム製品の部分を形成してよい。さらに、例においては、コードは、実行中または他のときなどに、1つまたは複数の揮発性、非一時的、または不揮発性の有形なコンピュータ可読媒体上に、有形に記憶されてよい。これらの有形なコンピュータ可読媒体の例は、限定されることなく、ハード・ディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクト・ディスクおよびデジタル多用途ディスク)、磁気カセット、メモリ・カードまたはスティック、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、ならびにリード・オンリ・メモリ(ROM)などを含んでよい。
【0087】
上の説明は、説明的であることが意図され、限定的であることは意図されていない。例えば、上で説明された例(またはそれの1つもしくは複数の態様)は、互いに組み合わされて、使用されてよい。上の説明を検討したうえで、当業者などによって、他の実施形態が、使用されてよい。読者が本技術開示の本質を速やかに確認することを可能にするために、米国特許法施行規則1.72条第(b)項に準拠して、要約書が、提供される。それは、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されないという了解のもとで提出される。また、上の詳細な説明においては、開示を簡潔にするために、様々な特徴が、一緒にまとめられていることがある。これは、特許請求されない開示された特徴がいずれかの請求項にとって必須であることを意図するものとして、解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態のすべての特徴よりも少ない特徴に存してよい。したがって、以下の特許請求の範囲は、例または実施形態として、詳細な説明に援用され、各請求項は、個別の実施形態として、それだけで成り立ち、そのような実施形態は、様々な組み合わせまたは置換を行って、互いに組み合わされてよいことが企図される。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲を、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに参照して、決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6