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  • 特許-ポリマー非含有の適合性光学部材支持体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】ポリマー非含有の適合性光学部材支持体
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20230104BHJP
   C09J 1/00 20060101ALI20230104BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20230104BHJP
【FI】
G02B7/02 A
C09J1/00
G02B7/00 F
G02B7/02 B
G02B7/02 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018565893
(86)(22)【出願日】2017-06-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-08-29
(86)【国際出願番号】 US2017037597
(87)【国際公開番号】W WO2017218728
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】62/351,426
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】マックマスター,ブライアン モンロー
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-003137(JP,A)
【文献】米国特許第04733945(US,A)
【文献】特開2000-227533(JP,A)
【文献】特開2001-026754(JP,A)
【文献】特開2003-037040(JP,A)
【文献】特開2004-363559(JP,A)
【文献】特開2002-084028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
C09J 1/00
G02B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を光学系に設置するための組立体であって、
前記組立体は:
前記光学系への堅固な取り付けのために構成された、マウント;
前記マウントに取り付けられるか又は前記マウントと一体となって前記マウントから延在する第1の端部と、前記光学素子を支持するための支承面を画定する自由端部とをそれぞれ有する、複数の可撓性金属部材;及び
無機接着剤を用いて前記複数の可撓性金属部材の前記支承面に接合された、前記光学素子
を備え、
前記複数の可撓性金属部材のそれぞれは、前記第1の端部と前記自由端部の間に延在する第1の部分、湾曲部分、および第2の部分と備えるカンチレバー部材から成り、前記第1の部分は第1の方向へ延び、前記第2の部分は前記第1の方向とは異なる第2の方向へ延び、前記湾曲部分が前記第1の部分を前記第2の部分と接続し、
前記複数の可撓性金属部材は径方向内向きに前記光学素子の光軸に向かって延在するとともに、前記第1の端部と前記自由端部は前記光学素子の周方向に延在する、組立体。
【請求項2】
前記マウントはリング形状を有する、請求項1に記載の組立体。
【請求項3】
前記可撓性金属部材は、モノリシック金属本体から、前記マウントと一体として形成される、請求項1又は2に記載の組立体。
【請求項4】
前記可撓性金属部材は、前記マウントの内周壁に当接して前記内周壁に固定されたリング状壁部を有するリテーナと一体となった部分である、請求項1~3のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項5】
前記可撓性金属部材の前記第1の部分、湾曲部分、および第2の部分は、逆U字型プロファイルを形成する、請求項1~4のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項6】
前記光学素子と前記可撓性金属部材との間の接着は、前記光学素子の結合面上に接着促進コーティングを設けることによって増強される、請求項1~5のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項7】
前記光学素子と前記可撓性金属部材との間の接着は、前記可撓性金属部材の前記支承面上に接着促進コーティングを設けることによって増強される、請求項1~6のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項8】
前記接着促進コーティングは、チタン酸塩、ジルコン酸塩又はシランからなる、請求項6~7のいずれか1項に記載の組立体。
【請求項9】
前記無機接着剤は金属酸化物を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組立体。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下で、2016年6月17日出願の米国仮特許出願第62/351,426号の優先権を主張するものであり、上記仮特許出願の内容は信頼できるものであり、全体が参照によって本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、光学素子用の支持構造体に関し、より詳細には、光学部材を応力及び熱ひずみから効果的に分離する、光学素子用の適合性支持構造体に関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフィ装置用の精密レンズといった光学素子を設置するための産業上の慣行は、レンズをマウントに固定するための適合性材料の使用を含む。上記適合性材料は、上記マウントが機械的応力又は熱ひずみを受けた場合に上記光学素子に誘発される変形を低減する。
【0004】
典型的には、上記適合性材料は、上記光学素子に結合する有機ポリマーで構成されるプラスチックである。更に、上記適合性材料が有機材料を含むか金属等の無機材料を含むかにかかわらず、光学部材をマウントに連結する上記適合性材料は典型的には、エポキシ樹脂又はシアノアクリレート樹脂といった有機接着剤を用いて、光学部材に固定される。
【0005】
特定の光学系では、有機ポリマーは、光学素子の性能を損なう汚染の問題を生み出す場合がある。
【発明の概要】
【0006】
ここで開示されるのは、光学素子の適切な機能を可能とするための上記光学素子の位置合わせを容易にするための所望の自由度を提供しながら、及び適合性材料及び接着剤からポリマーを排除しながら、上記光学素子を機械的応力及び熱ひずみから分離するように、上記光学素子を固定するための、支持構造体である。
【0007】
上記光学素子組立体は:リソグラフィ機械の光学系のレンズハウジングといった光学系への堅固な取り付けのために構成できる光学素子マウント;上記マウントに取り付けられるか又は上記マウントと一体となって上記マウントから延在する第1の端部と、光学素子を支持するための支承面を画定する自由端部とをそれぞれ有する、複数の可撓性金属部材;並びに無機接着剤を用いて上記可撓性部材の各上記支承面に接合された光学素子を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示による、光学素子を設置するための組立体の断面斜視図
図2】本開示による、光学素子を設置するための代替的な組立体の断面斜視図
図3】本開示による、可撓性金属部材へのレンズの接着取り付けの詳細を示す概略図
図4】本開示による、可撓性金属部材へのレンズの代替的な接着取り付けの詳細を示す概略図
図5】本開示による、光学素子を設置するための更なる代替的な組立体の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の光学素子組立体は、正確な位置合わせを促進し、かつ有機材料を採用した場合に発生し得る汚染の問題を回避しながら、レンズとレンズマウントとの間の変形を分離するためのバネのように作用する可撓性金属部材に光学素子を取り付けるために、無機接着剤を採用する。
【0010】
図1は、本開示による光学素子組立体10のある実施形態を示す。組立体10はマウント12を含み、これはリング形状を有しており、リソグラフィ装置で使用される光学素子の組み合わせのためのハウジングといった光学系に、ネジ又は他の締結器具を用いて上記マウントを取り付けるための、取り付け用特徴部分又は孔14を画定する。クランプ又は他の固定デバイスを用いた、光学系への上記マウントの堅固な取り付けを促進するために、代替的な取り付け用特徴部分を用いてもよい。図1に示す実施形態では、可撓性金属部材16は、リング状マウント12の内周壁22に当接してこれに固定されたリング状壁部20を有するリテーナ18と一体となった部分である。可撓性部材16は径方向内向きに、壁20から光学素子24の光軸に向かって略垂直に延在する。「光軸(optical axis)」は、光学素子の主延長平面の中心を通って垂直に延在する直線を指す。可撓性部材16は離間しており、また、光学素子24を機械的応力及び熱ひずみから効果的に隔離及び分離するために上記可撓性部材の湾曲を可能とするために好適な厚さを有する。可撓性部材16は逆U字型プロファイルを有し、これにより弾性、弾力性及び/又は反発特性が付与される。
【0011】
リテーナ18の一体型壁20及び可撓性部材16は、締結器具(例えばネジ)、摩擦締り嵌め、及び/又は無機(若しくは有機)接着剤を用いてマウント12の壁22に固定できる金属で形成される。各可撓性部材16の第1の端部26は、壁20と一体となって壁20から延在し、また反対側の自由端部28は、光学素子24を支持するための上側支承面30を画定する。
【0012】
無機接着剤32は支承面30上の、可撓性部材16と光学素子24の対応する表面との間に配置されて、光学素子24をリテーナ18上に固定し、従って光学素子24は、リテーナ18の可撓性部材16によって機械的応力及び熱ひずみから依然として分離されたまま、マウント12によって保持される。
【0013】
本明細書中で使用される場合、「無機接着剤(inorganic adhesive)」は、表面付着によって複数の材料を一体として保持できる物質を指す。更に、本明細書中で使用される場合、「無機接着剤組成物(inorganic adhesive composition)」又は「無機接着剤組成物前駆体(inorganic adhesive composition precursor)」はそれぞれ、金属酸化物、他の無機添加物又はこれら両方といった無機材料を、通常は全重量の大半として含有する、接着剤又は接着剤の前駆体である。本明細書に記載されるように、無機接着剤組成物は、有機接着促進剤といった有機材料をある程度の量だけ含有してよい。しかしながら、一実施形態では、無機接着剤組成物は一般にセラミック材料を含んでよい。いくつかの実施形態では、無機接着剤組成物は、限定するものではないが、亜鉛、スズ、アルミニウム、インジウム、鉄、タングステン、チタン、ジルコニウム、ケイ素、窒化ケイ素、ホウ素、窒化ホウ素、銅、銀、イットリウム、希土類イオンの酸化物又はこれらの組み合わせといった、1つ以上の金属酸化物を含んでよい。無機接着剤は、本明細書中で「YSZ」と呼ばれることもあるイットリア安定化ジルコニアといった、1つ以上の他の金属酸化物でドープされた1つ以上の金属酸化物を含んでよい。
【0014】
上記光学素子は:無機接着剤組成物前駆体を光学素子24上及び/又は支承面30上に堆積させるステップ;並びにその後、光学素子24及び支承面30を互いに接触させ、上記無機接着剤組成物前駆体を固化させて、無機接着剤組成物を形成するステップを一般に含む方法によって、可撓性部材16に固定してよい。
【0015】
無機接着剤組成物前駆体は、金属塩又は他の金属イオン含有化合物を溶媒中に含んでよい。上記金属塩及び/又は他の金属イオン含有化合物は、亜鉛、スズ、アルミニウム、インジウム、鉄、タングステン、チタン、ジルコニウム、ケイ素、窒化ケイ素、ホウ素、窒化ホウ素、銅、銀、イットリウム、希土類のイオン、又はこれらの組み合わせを含んでよい。一実施形態では、上記金属塩及び/又は他の金属イオン含有化合物は、ジルコニウム、イットリウム又はこれら両方のイオンを含んでよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、上記溶媒は、極性非プロトン性溶媒であってよい。本明細書に記載の極性非プロトン性溶媒は、安定した無機接着剤組成物前駆体を作製するプロセスを促進するイオン溶媒和特性を有する。無機接着剤組成物前駆体は、ゾル‐ゲル溶液であってよい。本明細書に記載のゾル‐ゲルは、従来のゾル‐ゲルの化学的特徴とはいくつかの重要な点で異なっていてよい。例えば、上記ゾル‐ゲル溶液を形成するための、提案される材料の反応は、アルコール溶媒又は従来の水/酸触媒を用いなくてよい。その代わりに、上記反応は、比較的高濃度(0.5~2.0M)である極性非プロトン性溶媒(例えばDMF、NMP)中の金属塩濃度を利用してよい。
【0017】
例えばジメチルホルムアミド(DMF)及びn‐メチルピロリドン(NMP)といった極性非プロトン性溶媒を用いて、金属塩及び/又は他の金属イオン含有化合物を含む安定した前駆体溶液を製造できる。極性非プロトン性溶媒は、プロトン性溶媒とイオン溶解力を共有するものの酸性水素を含まない溶媒として記述できる。これらの溶媒は一般に、中程度の比誘電率及び極性を有する。非プロトン性溶媒は一般に水素結合を示さず、又は酸性水素を有しない。これらは一般にイオンを安定化できる。好適な極性非プロトン性溶媒の例としては、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル及びジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。
【0018】
無機接着剤組成物前駆体の成分に基づいて、様々な金属酸化物が無機接着剤組成物中に含まれ得る。例えばYSZを含む無機接着剤組成物を、無機接着剤組成物前駆体を利用して調製できる。このような無機接着剤組成物前駆体は、第1のジルコニア含有金属塩溶液と、第2のイットリア含有塩溶液とを混合することによって調製できる。上記第1の溶液は、N,N‐ジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解したオキシ塩化ジルコニウム八水和物(Zr(OCl).8HO、>99%、Sigma‐Aldrich社製)を含んでよい。上記第2の溶液は、N,N‐ジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解した塩化イットリウム(YCl、Sigma‐Aldrich社製)を含んでよい。上記第1及び第2の溶液は、ジルコニアの原子%値とイットリウムの原子%値との間のある比率を達成するための化学量論を有するモル濃度で調製してよい。例えば試料は、ジルコニア中に1%、2%、4%及び8%の原子含有量のイットリウムを含有してよい。超音波浴を用いて混合を促進してよい。無機接着剤組成物前駆体は透明で、かなりの粘度を有したものであってよい。
【0019】
本明細書で開示される無機接着剤組成物の利点は、無機接着剤組成物前駆体の安定性である。無機接着剤組成物前駆体は、金属イオン又は溶媒のゾル‐ゲル化学構造を大きく劣化させることなく、環境条件下で少なくとも1ヶ月保存できる。
【0020】
無機接着剤組成物前駆体は、固化ステップによって無機接着剤組成物に変換される。この固化は、無機接着剤組成物前駆体を約200℃~約1200℃の温度に曝露するステップを含む。他の実施形態では、上記固化は、無機接着剤組成物前駆体を約250℃~約1100℃、約300℃~約800℃、又は約300℃~約600℃の温度に曝露するステップを含む。固化中、溶媒を無機接着剤組成物前駆体から遊離させることができ、また無機接着剤組成物前駆体の成分の少なくとも一部が沈殿し得る。
【0021】
加熱は、オーブン、ホットプレート又は他のいずれの好適な加熱機構によるものであってよい。いくつかの実施形態では、マイクロ波及び誘導加熱といった他の加熱機構を用いてよい。このような加熱プロセスの時間及び温度は、固化ステップで利用する加熱機構に応じて変化し得る。一実施形態では、無機接着剤組成物前駆体をレーザで加熱してよい。例えば、およそ2mmのスポットサイズに集束する、40Wの電力定格を有する810nmのレーザを使用してよい。しかしながらここで、様々なレーザ出力、波長及び表面積の使用が考えられる。この加熱ステップは、約3分未満、約2分未満、約1分未満、約45秒未満、約30秒未満、約20秒未満、約15秒未満、約10秒未満、又はわずか約5秒未満であってよい。しかしながらこの時間は、レーザの出力及びレーザの接触表面に応じて変化し得る。次に接着剤組成物を、いずれのプロセスによって、例えば加速冷却によって、又は室温若しくは室温付近の環境雰囲気下での冷却によって、冷却してよい。
【0022】
光学素子を設置するための本開示の組立体の別の実施形態110を図2に示す。この実施形態では、可撓性金属部材116は、マウント112を形成する材料と一体として形成される。換言すれば、可撓性金属部材116及びマウント112は、モノリシック固定具の一部分である。その他の点では、実施形態110の構造は実施形態10と同様又は略同一である。この実施形態110は、リテーナ18をマウント12に取り付ける作業を排除する。
【0023】
本開示の実施形態のうちのいずれにおいて、光学素子24、124と可撓性金属部材16、116との間の接着は任意に、図3に示すように、光学素子の結合面、可撓性金属部材の結合面(支承面)又は光学素子及び可撓性金属部材の両方の結合面に接着促進性コーティング40を塗布することによって、増強できる。上記接着促進性コーティングとしては、限定するものではないが、チタン酸塩(例えばDuPont社から市販されているTyzor131)、ジルコン酸塩(例えばDuPont社から市販されているTyzor217)、シラン(Gelest社から市販されているSIB1824及びSIB1821)が挙げられる。
【0024】
図4は、光学部材224の縁部表面に沿った、可撓性金属部材216への光学素子224の代替的な設置を示す。これらの幾何学的形状は例示的なものであり、複数の代替的な幾何学的形状を採用してよいことは明らかである。
【0025】
図5は、可撓性部材316が径方向内向きに、光学素子324の光軸に向かって延在し、また可撓性部材316が側方部分又は自由端部を含み、これらは周方向に延在して、光学部材を機械的応力及び熱ひずみから隔離しながらレンズをリング状マウント312に接着接合するための支承面を画定する、別の実施形態310を示す。図5の湾曲部は、光学素子を光学素子の側部周囲の周りで固定できるように連接されている。湾曲部の幾何学的形状にかかわらず、上述のものと同一の任意の1つ以上のコーティング及び結合剤を用いて、光学素子を固定でき、また把持による応力が光学素子に伝わらないことを保証できる。
【0026】
特段の記載がない限り、いずれの実施形態のいずれの特徴は、不適合なものでない限りは、他のいずれの実施形態において使用できると想定される。採用してよい光学素子としては、レンズ、鏡及びプリズムが挙げられる。
【0027】
上述の実施形態は好ましいもの及び/又は例示的なものであり、限定的なものではない。添付の請求項の範囲内において、様々な修正が考えられる。
【0028】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0029】
実施形態1
光学素子を光学系に設置するための組立体であって、
上記組立体は:
上記光学系への堅固な取り付けのために構成された、マウント;
上記マウントに取り付けられるか又は上記マウントと一体となって上記マウントから延在する第1の端部と、上記光学素子を支持するための支承面を画定する自由端部とをそれぞれ有する、複数の可撓性金属部材;及び
無機接着剤を用いて上記複数の可撓性部材の上記支承面に接合された、上記光学素子
を備える、組立体。
【0030】
実施形態2
上記マウントはリング形状を有する、実施形態1に記載の組立体。
【0031】
実施形態3
上記可撓性金属部材は、モノリシック金属本体から、上記マウントと一体として形成される、実施形態1又は2に記載の組立体。
【0032】
実施形態4
上記マウントは、上記マウントを上記光学系に取り付けるための、取り付け用特徴部分を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組立体。
【0033】
実施形態5
上記マウントは、上記マウントを上記光学系に取り付けるための孔を含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の組立体。
【0034】
実施形態6
上記可撓性金属部材は、上記マウントの内周壁に当接して上記内周壁に固定されたリング状壁部を有するリテーナと一体となった部分である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組立体。
【0035】
実施形態7
上記可撓性金属部材は、逆U字型プロファイルを有する、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組立体。
【0036】
実施形態8
上記光学素子と上記可撓性金属部材との間の接着は、上記光学素子の結合面上に接着促進コーティングを設けることによって増強される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組立体。
【0037】
実施形態9
上記光学素子と上記可撓性金属部材との間の接着は、上記可撓性金属部材の上記支承面上に接着促進コーティングを設けることによって増強される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組立体。
【0038】
実施形態10
上記光学素子と上記可撓性金属部材との間の接着は、上記光学素子の上記結合面及び上記可撓性金属部材の上記支承面の両方に接着促進コーティングを設けることによって増強される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組立体。
【0039】
実施形態11
上記接着促進コーティングは、チタン酸塩、ジルコン酸塩又はシランからなる、実施形態8に記載の組立体。
【0040】
実施形態12
上記接着促進コーティングは、チタン酸塩、ジルコン酸塩又はシランからなる、実施形態9に記載の組立体。
【0041】
実施形態13
上記接着促進コーティングは、チタン酸塩、ジルコン酸塩又はシランからなる、実施形態10に記載の組立体。
【0042】
実施形態14
上記無機接着剤は金属酸化物を含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の組立体。
【0043】
実施形態15
上記金属酸化物は、亜鉛、スズ、アルミニウム、インジウム、鉄、タングステン、チタン、ケイ素、窒化ケイ素、ホウ素、窒化ホウ素、銅、銀、イットリウム、希土類のイオン、及びこれらの組み合わせの酸化物から選択される、実施形態14に記載の組立体。
【符号の説明】
【0044】
10 光学素子組立体
12 マウント、リング状マウント
14 取り付け用特徴部分又は孔
16 可撓性金属部材
18 リテーナ
20 リング状壁部
22 マウント12の内周壁
24 光学素子
26 可撓性金属部材16の第1の端部
28 可撓性金属部材16の自由端部
30 上側支承面
32 無機接着剤
40 接着促進性コーティング
110 光学素子組立体
112 マウント
116 可撓性金属部材
124 光学素子
224 光学素子、光学部材
310 光学素子組立体
312 リング状マウント
316 可撓性部材
324 光学素子
図1
図2
図3
図4
図5