(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
F16H 63/34 20060101AFI20230104BHJP
B60T 1/06 20060101ALI20230104BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20230104BHJP
B60T 13/74 20060101ALI20230104BHJP
F16H 61/22 20060101ALI20230104BHJP
F16H 63/48 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
F16H63/34
B60T1/06 G
B60T7/12 A
B60T13/74 G
F16H61/22
F16H63/48
(21)【出願番号】P 2019002460
(22)【出願日】2019-01-10
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嵩 聖矢
(72)【発明者】
【氏名】辻 太一
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-116568(JP,A)
【文献】特開2010-208462(JP,A)
【文献】特開2008-290562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 63/34
B60T 1/06
B60T 7/12
B60T 13/74
F16H 61/22
F16H 63/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
停車状態を保持するブレーキホールド機能を備えた車両用制御装置であって、
車輪に連結される動力伝達経路の回転を禁止するロック状態と、前記動力伝達経路の回転を許容する解除状態と、に制御されるパーキングロック機構と、
運転者の選択操作によって駐車レンジが選択された場合に、前記パーキングロック機構をロック状態に制御するパーキングロック制御部と、
を有し、
前記パーキングロック制御部は、運転者の選択操作によって走行レンジが選択された状態のもとで、停車状態に保持された車両が運転者の発進操作を伴わずに移動し始めた場合に、前記パーキングロック機構をロック状態に制御
し、
前記パーキングロック制御部は、車両が移動し始めることで前記パーキングロック機構をロック状態に制御した後に、車両が移動し続けた場合に前記パーキングロック機構を解除状態に制御する、
車両用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用制御装置において、
運転者のブレーキ操作によって車両が停止した場合に、車輪を制動して停車状態に保持する電動パーキングブレーキ、を有し、
前記パーキングロック制御部は、前記電動パーキングブレーキによって停車状態に保持された車両が移動し始めた場合に、前記パーキングロック機構をロック状態に制御する、
車両用制御装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の車両用制御装置において、
前記パーキングロック制御部は、車両が移動し始めることで前記パーキングロック機構をロック状態に制御した後に、運転者のアクセル操作が行われた場合に前記パーキングロック機構を解除状態に制御する、
車両用制御装置。
【請求項4】
請求項1~
3の何れか1項に記載の車両用制御装置において、
車両が移動し始めることで前記パーキングロック機構がロック状態に制御される場合に、運転者に異常状況を通知する通知制御部、を有する、
車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキホールド機能を備えた車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の運転操作を支援する観点から、停車状態を保持するブレーキホールド機能の採用が増加している(特許文献1~3参照)。ブレーキホールド機能を備えた車両においては、ブレーキキャリパ等が電動アクチュエータによって自動的に制御される。このブレーキホールド機能を用いることにより、渋滞や坂道等での停車時においてブレーキ操作が解除された場合であっても、アクセル操作が行われる迄は停車状態を保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-116002号公報
【文献】特開2010-208462号公報
【文献】特開2015-30293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、路面勾配が大きい場合や荷物積載量が多い場合などには、ブレーキホールド機能による停車状態の保持が困難になる虞がある。このため、ブレーキホールド機能による停車状態を適切に保持することが求められている。
【0005】
本発明の目的は、ブレーキホールド機能による停車状態を適切に保持することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用制御装置は、停車状態を保持するブレーキホールド機能を備えた車両用制御装置であって、車輪に連結される動力伝達経路の回転を禁止するロック状態と、前記動力伝達経路の回転を許容する解除状態と、に制御されるパーキングロック機構と、運転者の選択操作によって駐車レンジが選択された場合に、前記パーキングロック機構をロック状態に制御するパーキングロック制御部と、を有し、前記パーキングロック制御部は、運転者の選択操作によって走行レンジが選択された状態のもとで、停車状態に保持された車両が運転者の発進操作を伴わずに移動し始めた場合に、前記パーキングロック機構をロック状態に制御し、前記パーキングロック制御部は、車両が移動し始めることで前記パーキングロック機構をロック状態に制御した後に、車両が移動し続けた場合に前記パーキングロック機構を解除状態に制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パーキングロック制御部は、運転者の選択操作によって走行レンジが選択された状態のもとで、停車状態に保持された車両が運転者の発進操作を伴わずに移動し始めた場合に、パーキングロック機構をロック状態に制御する。これにより、ブレーキホールド機能による停車状態を適切に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態である車両用制御装置を備えた車両の構成例を示す概略図である。
【
図2】ブレーキホールド制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【
図3】ブレーキホールド制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】(A)および(B)は、ブレーキホールド制御における電動パーキングブレーキおよびパーキングロック機構の作動状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
[車両構成]
図1は本発明の一実施の形態である車両用制御装置10を備えた車両11の構成例を示す概略図である。
図1に示すように、車両11には、エンジン12、トルクコンバータ13およびトランスミッション14を備えたパワートレイン15が搭載されている。また、トランスミッション14には、前後進切替機構16が組み込まれるとともに、自動変速機構等の変速機構17が組み込まれている。さらに、トランスミッション14には、前後進切替機構16や変速機構17等に作動油を供給するバルブユニット18が設けられている。
【0011】
また、変速機構17の出力軸19には、プロペラ軸20、デファレンシャル機構21およびドライブ軸22等を介して車輪23が連結されている。つまり、車輪23に連結される動力伝達経路24は、出力軸19、プロペラ軸20、デファレンシャル機構21およびドライブ軸22等によって構成されている。なお、前後進切替機構16は、変速機構17の入力軸25の回転方向を切り替える機構であり、図示しない遊星歯車列、前進クラッチおよび後退ブレーキ等によって構成される。
【0012】
トランスミッション14には、前述した動力伝達経路24の回転を停止させるパーキングロック機構30が設けられている。パーキングロック機構30は、出力軸19に設けられるパーキングギア31と、噛合位置と退避位置とに揺動するロックレバー32と、ロックレバー32に接触するロッド33を備えたロックアクチュエータ34と、を有している。また、ロックレバー32は、図示しないスプリングによって、パーキングギア31に噛み合う噛合位置に付勢されている。後述するコントローラ50によってロックアクチュエータ34を制御することにより、ロッド33を伸縮させてロックレバー32を噛合位置と退避位置とに制御することができる。
【0013】
つまり、ロックアクチュエータ34のロッド33を縮めることにより、スプリングのバネ力によってロックレバー32をパーキングギア31に噛み合う噛合位置に移動させることができる。これにより、パーキングロック機構30はロック状態に制御され、動力伝達経路24の回転を禁止することができる。一方、ロックアクチュエータ34のロッド33を伸ばすことにより、バネ力に抗してロックレバー32をパーキングギア31から外れる退避位置に移動させることができる。これにより、パーキングロック機構30は解除状態に制御され、動力伝達経路24の回転は許容される。
【0014】
また、車輪23を制動するブレーキ装置40は、車輪23に固定されるディスクロータ41と、ブレーキパッドを付勢するピストン42を備えたキャリパ43と、を有している。このキャリパ43にはブレーキ配管44を介して図示しないマスターシリンダ等が接続されており、運転者によってブレーキペダルが踏み込まれた場合には、マスターシリンダからキャリパ43にブレーキ液圧が供給され、ブレーキ液圧によってピストン42が押し出されてディスクロータ41が制動される。
【0015】
また、キャリパ43には、ピストン42を押し出す電動モータを備えたパーキングアクチュエータ45が設けられている。このパーキングアクチュエータ45を駆動することにより、ピストン42をディスクロータ41に向けて押し出すことができるため、ブレーキ液圧が供給されていない場合であっても、ディスクロータ41を制動することができる。後述するセレクトレバー操作によって駐車レンジ(Pレンジ)が選択されると、コントローラ50によってパーキングアクチュエータ45が制御され、ピストン42が押し出されてディスクロータ41が制動される。このように、パーキングアクチュエータ45を備えたブレーキ装置40は、電動パーキングブレーキとして機能している。
【0016】
[制御系]
図1に示すように、車両用制御装置10は、パワートレイン15、ブレーキ装置40(以下、電動パーキングブレーキ40と記載する)およびパーキングロック機構30等を制御するため、マイコン等からなるコントローラ50を有している。このコントローラ50には、エンジン12を制御するエンジン制御部51、トランスミッション14のバルブユニット18を制御するミッション制御部52、パーキングロック機構30を制御するパーキングロック制御部53、電動パーキングブレーキ40を制御するパーキングブレーキ制御部54、および後述する異常状況を運転者に通知する通知制御部55が設けられている。
【0017】
また、コントローラ50には各種センサが接続されている。コントローラ50に接続されるセンサとして、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ60、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサ61、車速を検出する車速センサ62、および路面勾配を検出する勾配センサ63等がある。さらに、コントローラ50に接続されるセンサ等として、後述するセレクトレバー70の操作位置を検出する位置検出センサ64があり、駐車レンジ(Pレンジ)を選択する際に運転者に操作されるパーキングスイッチ65がある。
【0018】
[制御レンジ]
車両11には、パワートレイン15の作動状態を制御する複数の制御レンジが設定されている。これらの制御レンジとして、前進走行用の前進レンジ(Dレンジ,走行レンジ)、後退走行用の後退レンジ(Rレンジ,走行レンジ)、動力切断用の中立レンジ(Nレンジ)、駐車用の駐車レンジ(Pレンジ)がある。これら制御レンジのうち、Dレンジ、Rレンジ、Nレンジについては、後述するセレクトレバー70を運転者が操作することによって選択される。また、Pレンジについては、パーキングスイッチ65を運転者が操作することによって選択される。
【0019】
図1に示すように、車両用制御装置10には、運転者が制御レンジ(Dレンジ、Rレンジ、Nレンジ)を選択するため、運転者が操作するセレクトレバー70を備えたレバーユニット71が設けられている。例えば、運転者がセレクトレバー70を前進位置PDに操作すると、制御レンジとしてDレンジが選択される。また、運転者がセレクトレバー70を後退位置PRに操作すると、制御レンジとしてRレンジが選択される。さらに、運転者がセレクトレバー70を中立位置PNに操作すると、制御レンジとしてNレンジが選択される。なお、レバーユニット71は、手動操作後にセレクトレバー70がホーム位置PHに復帰する所謂モーメンタリ式のレバーユニットである。
【0020】
セレクトレバー操作(選択操作)によってDレンジが選択された場合には、コントローラ50によってバルブユニット18が制御され、前後進切替機構16の前進クラッチが締結されて後退ブレーキが解放される。また、セレクトレバー操作によってRレンジが選択された場合には、コントローラ50によってバルブユニット18が制御され、前後進切替機構16の前進クラッチが解放されて後退ブレーキが締結される。また、セレクトレバー操作によってNレンジが選択された場合や、パーキングスイッチ操作によってPレンジが選択された場合には、コントローラ50によってバルブユニット18が制御され、前後進切替機構16の前進クラッチおよび後退ブレーキが共に解放される。
【0021】
さらに、セレクトレバー操作によってDレンジ、Rレンジ、Nレンジが選択された場合には、コントローラ50によってロックアクチュエータ34が制御され、パーキングロック機構30は解除状態に制御される。また、パーキングスイッチ操作(選択操作)によってPレンジが選択された場合には、コントローラ50によってロックアクチュエータ34が制御され、パーキングロック機構30はロック状態に制御される。
【0022】
[ブレーキホールド制御]
続いて、コントローラ50によるブレーキホールド制御について説明する。車両用制御装置10は、Dレンジで停車する際に停車状態を保持するブレーキホールド機能を有している。つまり、車両用制御装置10は、走行レンジであるDレンジが選択された状態のもとで、運転者がブレーキペダルを踏み込んで車両11を停止させた場合に、コントローラ50によってパーキングアクチュエータ45を制御し、キャリパ43によってディスクロータ41を制動することで停車状態を保持している。このようなブレーキホールド制御は、オートブレーキホールド制御やヒルホールド制御とも呼ばれている。ところで、路面勾配が大きい場合や荷物積載量が多い場合等には、ブレーキホールド制御による停車状態の保持が困難になる虞がある。そこで、本発明の一実施の形態である車両用制御装置10は、路面勾配が大きい場合や荷物積載量が多い場合等であっても、停車状態を保持するように前述したブレーキホールド制御を実行している。
【0023】
ここで、
図2および
図3はブレーキホールド制御の実行手順の一例を示すフローチャートである。
図2および
図3に示すフローチャートは符号Aの箇所で互いに接続されている。
図2に示すように、ステップS10では、制御レンジがDレンジであるか否かが判定される。ステップS10において、制御レンジがDレンジであると判定された場合には、ステップS11に進み、運転者によるブレーキ操作が行われているか否か、つまりブレーキペダルが踏み込まれているか否かが判定される。ステップS11において、ブレーキ操作が行われていると判定された場合には、ステップS12に進み、車両11が停車状態であるか否か、つまり車速が0[km/h]であるか否かが判定される。
【0024】
ステップS12において、停車状態であると判定された場合には、ステップS13に進み、パーキングアクチュエータ45によってピストン42が押し出され、電動パーキングブレーキ40が制動状態に制御される。このように、電動パーキングブレーキ40を制動状態に制御することにより、ブレーキ操作が解除された場合であっても停車状態を保持することができ、車両11の運転操作を簡単にすることができる。続いてステップS14では、運転者によるアクセル操作(発進操作)が行われている否か、つまりアクセルペダルが踏み込まれているか否かが判定される。ステップS14において、アクセル操作が行われていると判定された場合には、ステップS15に進み、パーキングアクチュエータ45によってピストン42が戻されて電動パーキングブレーキ40の制動状態が解除される。このように、運転者によるアクセル操作が行われた場合には、車両発進に備えて電動パーキングブレーキ40の制動状態が解除される。
【0025】
一方、ステップS14において、アクセル操作が行われていないと判定された場合には、ステップS16に進み、車速が所定の第1閾値V1(例えば、数km/h)を上回るか否かが判定される。ステップS16において、車速が第1閾値V1以下であると判定された場合、つまり停車状態が保持されていると判定された場合には、ステップS13に進み、電動パーキングブレーキ40の制動状態が継続される。一方、ステップS16において、車速が第1閾値V1を上回ると判定された場合、つまり停車状態に保持されていた車両11がアクセル操作を伴わずに移動し始めたと判定された場合には、
図3に示したステップS17に進み、制御レンジが自動的にPレンジに切り替えられ、パーキングロック機構30がロック状態に制御される。
【0026】
ここで、
図4(A)および(B)は、ブレーキホールド制御における電動パーキングブレーキ40およびパーキングロック機構30の作動状況を示す図である。
図4(A)に示すように、上り坂等において車両11が停止した場合には、コントローラ50からブレーキアクチュエータに制動指令が出力され、コントローラ50からロックアクチュエータ34に解除指令が出力される。これにより、パーキングアクチュエータ45によってピストン42が押し出され、電動パーキングブレーキ40によって車輪23が制動されるため、ブレーキ操作が解除された場合であっても停車状態を保持することができる。なお、
図4(A)に示す状況において、パーキングロック機構30は解除状態に制御される。
【0027】
続いて、
図4(B)に矢印αで示すように、電動パーキングブレーキ40によって停車状態に保持されていた車両11が移動し始めた場合には、コントローラ50からロックアクチュエータ34にロック指令が出力される。これにより、ロックアクチュエータ34によってロックレバー32が噛合位置に移動するため、パーキングロック機構30によって動力伝達経路24の回転が禁止される。このように、パーキングロック機構30をロック状態に制御することにより、上り坂等において移動し始めた車両11を再び停止させることができ、ブレーキホールド機能による停車状態を適切に保持することができる。
【0028】
また、
図3に示すように、ステップS17において、パーキングロック機構30がロック状態に制御されると、ステップS18に進み、コントローラ50は運転者に異常状況を通知する。つまり、車両11が移動し始めることでパーキングロック機構30がロック状態に制御された状況、つまり電動パーキングブレーキ40によって停車状態が保持されていない異常状況が運転者に通知される。なお、ステップS18においては、警告音を発することで異常状況を通知しても良く、警告表示を行うことで異常状況を通知しても良い。
【0029】
次いで、ステップS19では、運転者によるアクセル操作が行われているか否かが判定される。ステップS19において、アクセル操作が行われていると判定された場合には、ステップS20に進み、制御レンジが自動的にDレンジに切り替えられ、パーキングロック機構30が解除状態に制御される。つまり、コントローラ50は、車両11が移動し始めることでパーキングロック機構30をロック状態に制御した後に、運転者のアクセル操作が行われた場合にはパーキングロック機構30を解除状態に制御する。また、ステップS19において、アクセル操作が行われていると判定された場合には、ステップS20を経てステップS21に進み、パーキングアクチュエータ45によってピストン42が戻されて電動パーキングブレーキ40による制動が解除される。このように、運転者によるアクセル操作が行われた場合には、車両発進に備えてパーキングロック機構30のロック状態および電動パーキングブレーキ40の制動状態が解除される。
【0030】
一方、ステップS19において、アクセル操作が行われていないと判定された場合には、ステップS22に進み、車速が所定の第2閾値V2(例えば、数km/h)を上回るか否かが判定される。ステップS22において、車速が第2閾値V2以下であると判定された場合、つまりパーキングロック機構30のロック状態によって停車状態が保たれていると判定された場合には、ステップS17に進み、パーキングロック機構30のロック状態が継続される。一方、ステップS22において、車速が第2閾値V2を上回ると判定された場合、つまり車両11が移動し続けていると判定された場合には、ステップS23に進み、制御レンジが自動的にDレンジに切り替えられ、パーキングロック機構30が解除状態に制御される。
【0031】
このように、コントローラ50は、車両11が移動し始めることでパーキングロック機構30をロック状態に制御した後に、車両11が移動し続けた場合にパーキングロック機構30を解除状態に制御している。すなわち、車速が上昇してパーキングギア31の回転速度が上昇した場合には、パーキングロック機構30をロック状態に制御することが既に困難であることから、車速が第2閾値V2を上回る場合にはパーキングロック機構30を解除状態に制御している。なお、ステップS23において、パーキングロック機構30が解除状態に制御された場合には、例えば警告音等を用いて運転者によるブレーキペダルの踏み込みが促される。
【0032】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。図示する例では、トランスミッション14内にパーキングロック機構30を設けているが、これに限られることはなく、トランスミッション14外にパーキングロック機構30を設けても良い。また、図示する例では、ブレーキ装置40としてディスクブレーキを用いているが、これに限られることはなく、ブレーキ装置40としてドラムブレーキを用いても良い。また、図示する例では、キャリパ43に対して一体にパーキングアクチュエータ45を組み付けているが、これに限られることはなく、キャリパ43からパーキングアクチュエータ45を分離しても良い。この場合には、例えば、キャリパ43とパーキングアクチュエータ45とがケーブルを介して接続され、パーキングアクチュエータ45がケーブルを操作することでキャリパ43が制御される。
【0033】
前述の説明では、運転者がパーキングスイッチ65を操作することにより、制御レンジとしてPレンジを選択しているが、これに限られることはなく、セレクトレバー操作によってPレンジを選択しても良い。また、前述の説明では、Dレンジが選択された状態のもとでブレーキホールド制御を実行しているが、これに限られることはなく、Rレンジが選択された状態のもとでブレーキホールド制御を実行しても良い。また、
図2および
図3に示すように、ブレーキホールド制御において第1閾値V1および第2閾値V2を用いているが、第1閾値V1と第2閾値V2とを同じ値に設定しても良く、第2閾値V2を第1閾値V1よりも高く設定しても良い。
【0034】
前述の説明では、コントローラ50に、エンジン制御部51、ミッション制御部52、パーキングロック制御部53、パーキングブレーキ制御部54、通知制御部55を設けているが、これに限られることはない。例えば、各制御部51~55を他のコントローラに設けても良く、各制御部51~55を複数のコントローラに分けて設けても良い。
【符号の説明】
【0035】
10 車両用制御装置
11 車両
23 車輪
24 動力伝達経路
30 パーキングロック機構
40 ブレーキ装置(電動パーキングブレーキ)
53 パーキングロック制御部
55 通知制御部