(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】樹脂被覆金属パイプの光学コード印刷方法、印刷装置及び樹脂被覆金属パイプ
(51)【国際特許分類】
B41M 1/40 20060101AFI20230104BHJP
B41F 17/10 20060101ALI20230104BHJP
B41F 17/34 20060101ALI20230104BHJP
G06K 1/12 20060101ALI20230104BHJP
G06K 19/06 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
B41M1/40 Z
B41F17/10 C
B41F17/34 C
B41M1/40 C
G06K1/12 B
G06K19/06 028
(21)【出願番号】P 2019016358
(22)【出願日】2019-01-31
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小森 裕文
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-124718(JP,A)
【文献】登録実用新案第3205475(JP,U)
【文献】特開平09-314804(JP,A)
【文献】特開2018-092738(JP,A)
【文献】特開昭58-147365(JP,A)
【文献】特開2015-139850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/40
B41F 17/10
B41F 17/34
G06K 1/12
G06K 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製パイプを樹脂被覆してなる樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷方法であって、
樹脂被覆金属パイプを印刷位置に搬送するステップと、
前記樹脂被覆金属パイプの側周面における平坦部を所定の方向に揃えるステップと、
前記平坦部に光学コードを印刷するステップとを備え
、
前記樹脂被覆金属パイプは円筒状のパイプ材であり、該パイプ材の側周面の長手方向に沿って断続的に多数形成された突起の列が複数列並行して設けられており、この隣り合う突起の列の間の表面平坦部に光学コードを付するようにしたものであって、
前記樹脂被覆金属パイプの平坦部を所定の方向に揃えるステップは、平坦面状に形成された吸着面を有するパイプ吸着手段を備え、前記平坦面状の吸着面に樹脂被覆金属パイプを吸着させたのち、樹脂被覆金属パイプの突起を除いた外径と略同一寸法の空隙を有する挟持手段によって、前記平坦面に対する垂直方向から前記空隙に樹脂被覆金属パイプを挟持させ、樹脂被覆金属パイプの平坦部を所定の方向に揃えるようにしたことを特徴とする、
樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷方法。
【請求項2】
金属製パイプを樹脂被覆してなる樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷装置であって、
前記樹脂被覆金属パイプを印刷位置に搬送する搬送手段と、
前記搬送手段によって印刷位置に搬送された樹脂被覆金属パイプの側周面における平坦部を所定の方向に揃える方向制御手段と、
前記平坦部に光学コードを印刷する印刷手段とを備え
、
前記樹脂被覆金属パイプは円筒状のパイプ材からなり、該パイプ材の側周面の長手方向に沿って断続的に多数形成された突起の列が複数列並行して設けられており、前記方向制御手段は、この隣り合う突起の列の間の表面平坦部を所定の方向に揃えるようにしたものであって、
前記樹脂被覆金属パイプの平坦部を所定の方向に揃える方向制御手段は、樹脂被覆金属パイプを吸着する吸着手段と、樹脂被覆金属パイプの突起を除いた外径と略同一寸法の空隙を有する挟持手段とを備え、前記吸着手段により、平坦面状に形成された吸着面に樹脂被覆金属パイプを吸着させたのち、樹脂被覆金属パイプの突起を除いた外径と略同一寸法の空隙を有する挟持手段によって、前記吸着面に対する垂直方向から前記空隙に樹脂被覆金属パイプを挟持させ、樹脂被覆金属パイプの平坦部を所定の方向に揃えるようにした
ことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製パイプに樹脂被覆してなり、農業資材用、園芸資材用及び獣害柵用の支柱等に用いられる樹脂被覆金属パイプの表面に、一次元バーコードや二次元コードなどの光学コードを印刷する印刷方法に関するものである。本発明はまた、上記印刷方法に使用される印刷装置、及び上記印刷方法によって光学コードが印刷された樹脂被覆金属パイプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、金属製パイプの外周面を樹脂被覆してなる長尺の樹脂被覆金属パイプが広く流通しており、例えば農業用資材用、園芸資材用及び獣害柵用の支柱として多く使用されている。このような樹脂被覆金属パイプは、ホームセンター他の量販店で広く販売されており、その販売・在庫管理やレジ精算における製品識別のためにバーコードが付されていることが多いが、一般的に、このバーコードは、通常紙にバーコードが印刷されたものをテープで貼り付けたり、シールにバーコードを印刷したものを貼り付けたりすることによって付されることが多い。
【0003】
ところが、このようにバーコードが印刷されたテープやシール等を樹脂被覆金属パイプに貼り付けることは、多くの手間を要することになり、製造工程が長くなったり、あるいは人件費増につながったりするため、コスト増を招く要因となる。また、この樹脂被覆金属パイプを購入するユーザは、当該パイプの利用時に、貼り付けられたバーコードを剥がす作業を要することになり、面倒な作業を負わされている。
【0004】
このような課題に対して、本出願人は、樹脂被覆金属パイプの被覆層の外表面にレーザー光を照射してバーコードを形成するようにした樹脂被覆金属パイプを提案している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、農園芸用支柱他に用いられる樹脂被覆金属パイプには、その外表面に突起が設けられているものが多い。より詳しくは、パイプ材の長手方向に沿って断続的に多数形成された突起の列が複数列並行して設けられており、この隣り合う突起の列の間の平坦部にバーコードを付することが望ましい。しかしながら、樹脂被覆金属パイプの製造ラインにおいて、所定時間内に多数の樹脂被覆金属パイプにバーコードを付する際に、バーコードを付する位置を制御することは困難であった。
【0007】
本発明は上記の課題を克服するためのものであり、樹脂被覆金属パイプの外表面にバーコード他の光学コードを印刷する印刷方法において、印刷位置を制御して樹脂被覆金属パイプの外表面の所望の位置に光学コードを付すことができる印刷方法を提供することを目的とする。また、本発明は、樹脂被覆金属パイプに形成された隣り合う突起の列の間の平坦部にバーコード他の光学コードを確実に付することを可能とした印刷方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、前記印刷方法によりバーコード他の光学コードが付された樹脂被覆金属パイプを提供することを目的とする。また、本発明は、樹脂被覆金属パイプの外表面にバーコード他の光学コードを印刷する印刷装置であって、印刷位置を制御して樹脂被覆金属パイプの外表面の所望の位置に光学コードを付すことができる印刷装置を提供することを目的とする。更に、当該印刷装置において、樹脂被覆金属パイプに形成された隣り合う突起の列の間の平坦部にバーコード他の光学コードを確実に付するための印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。すなわち、本発明に
係る樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷方法は、金属製パイプを樹脂被覆してなる樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷方法であって、樹脂被覆金属パイプを印刷位置に搬送するステップと、前記樹脂被覆金属パイプの側周面における平坦部を所定の方向に揃えるステップと、前記平坦部に光学コードを印刷するステップとを備え、前記樹脂被覆金属パイプは円筒状のパイプ材であり、該パイプ材の側周面の長手方向に沿って断続的に多数形成された突起の列が複数列並行して設けられており、この隣り合う突起の列の間の表面平坦部に光学コードを付するようにしたものであって、前記樹脂被覆金属パイプの平坦部を所定の方向に揃えるステップは、平坦面状に形成された吸着面を有するパイプ吸着手段を備え、前記平坦面状の吸着面に樹脂被覆金属パイプを吸着させたのち、樹脂被覆金属パイプの突起を除いた外径と略同一寸法の空隙を有する挟持手段によって、前記平坦面に対する垂直方向から前記空隙に樹脂被覆金属パイプを挟持させ、樹脂被覆金属パイプの平坦部を所定の方向に揃えるようにしたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷方法によれば、樹脂被覆金属パイプを印刷位置に搬送するステップと、前記樹脂被覆金属パイプの側周面における平坦部を所定の方向に揃えるステップと、前記平坦部に光学コードを印刷するステップとを備えているので、樹脂被覆金属パイプの外表面の所望の位置(樹脂被覆金属パイプの側周面における平坦部)に光学コードを付すことができる。
【0010】
また、本発明に係る樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷方法において、前記樹脂被覆金属パイプは円筒状のパイプ材であって、該パイプ材の側周面の長手方向に沿って断続的に多数形成された突起の列が複数列並行して設けられており、この隣り合う突起の列の間の表面平坦部に光学コードを付するようにしたことを特徴とする。このようにすれば、好適に読み取り可能な光学コードを、確実に所望の位置に印刷することができる。
【0011】
更に、本発明に係る樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷方法において、記樹脂被覆金属パイプの平坦部を所定の方向に揃えるステップは、樹脂被覆金属パイプの突起を除いた外径と略同一寸法の空隙を有する挟持手段によって、前記空隙に樹脂被覆金属パイプを挟持させて所定の方向に揃えるようにしたことを特徴とする。このようにすれば、樹脂被覆金属パイプの突起を除いた外径と略同一寸法の空隙に、樹脂被覆金属パイプが挟持されることとなる。それゆえ、当該樹脂被覆金属パイプがその円筒形状の週方向の所定角度で前記挟持手段の空隙に挟持され、周方向に回動することが規制されるので、より確実に所定位置に光学コードを印刷することが可能となる。
【0012】
また、本発明に係る樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷方法において、前記樹脂被覆金属パイプの平坦部を所定の方向に揃えるステップは、平坦面状に形成された吸着面を有するパイプ吸着手段を備え、前記平坦面状の吸着面に樹脂被覆金属パイプを吸着させたのち、樹脂被覆金属パイプの突起を除いた外径と略同一寸法の空隙を有する挟持手段によって、前記平坦面に対する垂直方向から前記空隙に樹脂被覆金属パイプを挟持させ、樹脂被覆金属パイプの平坦部を所定の方向に揃えるようにしたことを特徴とする。このようにすれば、先ず始めにパイプ吸着手段の前記平坦面状の吸着面に樹脂被覆金属パイプを吸着させるので、光学コードを印刷すべき平坦部が前記平坦面状の吸着面に接して所定の方向を向くこととなり、より確実に所定位置に光学コードを印刷することが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る金属製パイプを樹脂被覆してなる樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷装置は、金属製パイプを樹脂被覆してなる樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷装置であって、前記樹脂被覆金属パイプを印刷位置に搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって印刷位置に搬送された樹脂被覆金属パイプの側周面における平坦部を所定の方向に揃える方向制御手段と、前記平坦部に光学コードを印刷する印刷手段とを備え、前記樹脂被覆金属パイプは円筒状のパイプ材からなり、該パイプ材の側周面の長手方向に沿って断続的に多数形成された突起の列が複数列並行して設けられており、前記方向制御手段は、この隣り合う突起の列の間の表面平坦部を所定の方向に揃えるようにしたものであって、前記樹脂被覆金属パイプの平坦部を所定の方向に揃える方向制御手段は、樹脂被覆金属パイプを吸着する吸着手段と、樹脂被覆金属パイプの突起を除いた外径と略同一寸法の空隙を有する挟持手段とを備え、前記吸着手段により、平坦面状に形成された吸着面に樹脂被覆金属パイプを吸着させたのち、樹脂被覆金属パイプの突起を除いた外径と略同一寸法の空隙を有する挟持手段によって、前記吸着面に対する垂直方向から前記空隙に樹脂被覆金属パイプを挟持させ、樹脂被覆金属パイプの平坦部を所定の方向に揃えるようにしたことを特徴とする。
【0015】
本発明に係る樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷装置によれば、樹脂被覆金属パイプの側周面における平坦部を所定の方向に揃える方向制御手段を備えているので、樹脂被覆金属パイプの外表面の所望の位置(樹脂被覆金属パイプの側周面における平坦部)に光学コードを付すことができる。
【0016】
また、本発明に係る金属製パイプを樹脂被覆してなる樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷装置において、前記樹脂被覆金属パイプは円筒状のパイプ材からなり、該パイプ材の側周面の長手方向に沿って断続的に多数形成された突起の列が複数列並行して設けられており、前記方向制御手段は、この隣り合う突起の列の間の表面平坦部を所定の方向に揃えるようにしたことを特徴とする。本発明に係る印刷装置によれば、好適に読み取り可能な光学コードを、確実に所望の位置に印刷することができる。
【0017】
また、本発明に係る金属製パイプを樹脂被覆してなる樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷装置において、前記樹脂被覆金属パイプの平坦部を所定の方向に揃える方向制御手段は、樹脂被覆金属パイプの突起を除いた外径と略同一寸法の空隙を有する挟持手段を備え、前記空隙に樹脂被覆金属パイプを挟持させて所定の方向に揃えるようになされたことを特徴とする。本発明によれば、樹脂被覆金属パイプの突起を除いた外径と略同一寸法の空隙を有する挟持手段を備えたいため、当該挟持手段に設けられた樹脂被覆金属パイプの突起を除いた外径と略同一寸法の空隙に、樹脂被覆金属パイプが挟持されることとなる。それゆえ、当該樹脂被覆金属パイプがその円筒形状の週方向の所定角度で前記挟持手段の空隙に挟持され、周方向に回動することが規制されるので、より確実に所定位置に光学コードを印刷することが可能となる。
【0018】
また、本発明に係る樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷装置において、前記樹脂被覆金属パイプの平坦部を所定の方向に揃える方向制御手段は、樹脂被覆金属パイプを吸着する吸着手段と、樹脂被覆金属パイプの突起を除いた外径と略同一寸法の空隙を有する挟持手段とを備え、前記吸着手段により、平坦面状に形成された吸着面に樹脂被覆金属パイプを吸着させたのち、樹脂被覆金属パイプの突起を除いた外径と略同一寸法の空隙を有する挟持手段によって、前記吸着面に対する垂直方向から前記空隙に樹脂被覆金属パイプを挟持させ、樹脂被覆金属パイプの平坦部を所定の方向に揃えるようにしたことを特徴とする。このようにすれば、先ず始めにパイプ吸着手段の前記平坦面状の吸着面に樹脂被覆金属パイプを吸着させるので、光学コードを印刷すべき平坦部が前記平坦面状の吸着面に接して所定の方向を向くこととなり、より確実に所定位置に光学コードを印刷することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷方法によれば、樹脂被覆金属パイプを印刷位置に搬送するステップと、前記樹脂被覆金属パイプの側周面における平坦部を所定の方向に揃えるステップと、前記平坦部に光学コードを印刷するステップとを備えているので、樹脂被覆金属パイプの外表面の所望の位置(樹脂被覆金属パイプの側周面における平坦部)に光学コードを付すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷装置の一実施形態の要部を示す概略図である。
【
図2】
図1に示した印刷装置において、樹脂被覆金属パイプが、その円筒形状の週方向の所定角度で前記挟持手段の空隙に挟持され、周方向に回動することが規制された状態を示す説明図である。
【
図3】本発明に係る樹脂被覆金属パイプの一実施形態を示す図であり、光学コード(バーコード)が付された状態を示す部分拡大図である。
【
図4】本発明に係る樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷する印刷方法及び印刷装置の一実施形態を示すものであり、当該印刷装置により樹脂被覆金属パイプを所定の方向に向くようにして光学コードを印刷するステップを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
【0022】
図1及び
図2は、本発明に係る樹脂被覆金属パイプの表面に光学コードを印刷するための印刷装置の一実施形態を示すものであり、
図3は、当該印刷装置により光学コード(バーコード)が外表面に印刷された樹脂被覆金属パイプ1の一部を拡大した部分拡大図である。また、
図4は、
図1及び
図2に示した印刷装置Wを用いて樹脂被覆金属パイプ1の表面に光学コード(バーコード)7を付する各工程(ステップ)を示す説明図である。
【0023】
また、
図3は、
図1におけるαで囲まれた部分の部分拡大図であり、光コード(バーコード)7が印刷された樹脂被覆金属パイプ1を示したものである。
図3に示すように、樹脂被覆金属パイプ1の側周面において、断続的に形成された突起11(11a,11b)の列の間の平坦部15にバーコードが印刷されている。尚、ここでいう“平坦部”15とは、樹脂被覆金属パイプ1の外表面に形成された突起11の列と列の間(すなわち、
図2における突起11aの列と突起11bの列との間)に形成された、大きな凹凸のない面を意味する。
図2に示した実施形態においては、円筒形状の樹脂被覆金属パイプ本体10の外周面形状、すなわち円周状として周方向に円弧状を描く面であって、11aの列と11bの列との間の面を指すのであって、完全に水平面(フラット形状面)であることを指すものではなく、これに限定されるものでもない。
【0024】
図1及び
図2に示すように、本実施形態における樹脂被覆金属パイプ1の表面に光学コードを印刷するための印刷装置Wは、樹脂被覆金属パイプ1を印刷位置へと搬送する搬送手段(図示せず)と、印刷位置において樹脂被覆金属パイプ1の移動を規制するためのガイド手段2と、樹脂被覆金属パイプ1を磁力によって吸着するパイプ吸着手段3と、樹脂被覆金属パイプ1を印刷位置において挟持して、周方向所定角度に固定するための挟持手段4と、樹脂被覆金属パイプ1の外表面に光学コード印刷を施す印刷手段5とを備えている。
【0025】
図1及び
図2における樹脂被覆金属パイプ1は、適宜長さの金属製パイプ材の外表面に合成樹脂の樹脂被覆層を形成したものである。金属製パイプ材としては、磁石に吸着する鉄やニッケル等が含まれる鋼材であればどのような金属材料でも適用できるが、一般的には強度が高く安価な鋼管が好適に用いられる。また、この金属製パイプ材の断面形状は円形に限定されず、例えば楕円形でも良いが、真円形状のものが好適に使用される。
【0026】
また、樹脂被覆層の厚みは0.5mm程度のものであるが適宜調整可能なものである。樹脂被覆層の合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のα-オレフィンの重合体で用いてもよく、エチレンにα-オレフィンを共重合させたものなどを用いてもよく、エチレンに、酢酸ビニル、メタクリル酸又はそのエステル、アクリル酸又はそのエステル等と共重合させたものでもよく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂、AAS樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等の合成樹脂を用いてもよく、これらの樹脂を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0027】
また樹脂被覆金属パイプ本体10の外表面には、樹脂被覆金属パイプ1の側周面の長手方向に沿って断続的に多数形成された突起11の列が複数列並行して形成されている。本実施形態においては、円周方向に略90°の間隔をおいて4列並行に断続的に形成されている。かように被覆層の外表面に突起31を形成すれば、樹脂被覆金属パイプ1を突起11の位置において紐で縛ったり、植物の蔓を螺旋状に巻き付かせたりする場合でも、紐や蔓がずれることがなく好ましい。なお、突起11の数や大きさなどは特に限定されるものではなく、樹脂被覆金属パイプ1の径や長さにより適宜形成すればよいものである。
【0028】
尚、樹脂被覆金属パイプ1の一端部には、先端に向かって先細りの円錐形状とした栓体12が設けられている。これにより、樹脂被覆金属パイプ1を土中に挿して立設することが容易となる。栓体12を形成する合成樹脂としては、上記樹脂被覆層と同様にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のα-オレフィンの重合体で用いてもよく、エチレンにα-オレフィンを共重合させたものなどを用いてもよく、エチレンに、酢酸ビニル、メタクリル酸又はそのエステル、アクリル酸又はそのエステル等と共重合させたものでもよく、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ABS樹脂、AAS樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂等の合成樹脂でもよく、これらの樹脂を適宜組み合わせて用いることができる。
【0029】
次に、
図1、
図2及び
図4に基づいて、本実施形態における樹脂被覆金属パイプ1の表面に光学コードを印刷するための印刷装置Wおよび印刷方法について説明する。
【0030】
図1は、本実施形態における印刷装置Wの要部を示した概略図であり、樹脂被覆金属パイプ1は、ここでは図示しないコンベヤなどの搬送手段によって、準備位置(1a)から印刷位置(1b)へと搬送される(矢印P)。ここに示した実施形態では3本のパイプ1が同時に搬送され、光学コードが印刷されるようにしているが、これより少ない或いは多い本数を同時に搬送してこれに印刷を施すようにしてもよい。
【0031】
印刷位置に搬送された樹脂被覆金属パイプ1は、パイプ吸着手段3によって吸着される(
図1における矢印Q、
図4における矢印A)。パイプ吸着手段3は、ここでは電磁石が用いられ、この電磁石3の磁力により樹脂被覆金属パイプ1は矢印Qの方向へ持ち上げられ吸着される。このパイプ吸着手段3の底面部31は、
図4に示すように平面状となされている。これにより、
図4(a)~(b)に示すように、樹脂被覆金属パイプ1が吸着される際、突起11が点で底面部31に接することなく、周方向(図中のX方向又はY方向)に回動して、平坦部15が上面に向き、当該平坦部15においてパイプ吸着手段3の底面部31に接することとなる。
【0032】
尚、本実施形態の印刷装置Wにおいては、印刷位置において樹脂被覆金属パイプ1の移動を規制するためのガイド手段2が設けられている。この実施形態においては、上部において印刷装置本体に固定された板状部材の下部に、
図1における矢印Z方向視で上方に向かって間隔が狭くなる谷状部22が形成され、突状部21間に樹脂被覆金属パイプ1が嵌装されるようになされている。これによって、樹脂被覆金属パイプ1が搬送方向にズレたり、あるいは捻じれたりすることが防止され、光学コード7が所望を位置に印刷することができるよう、固定することが可能となる。本実施形態においては、ガイド手段2を一つしか設けられていないが、これを複数設けることもできる。また、このガイド手段2の形態や形状は、ここに示した形態や形状に限定されるものではなく、樹脂被覆金属パイプ1の動きを規制して好適に印刷位置に保持することができるものであれば、どのような形態や形状とすることもできる。
【0033】
以上によって、
図4(b)に示すように、3本の樹脂被覆金属パイプ1は、その平坦部15が上面に向いた状態でパイプ吸着手段3の底面部31に吸着され、当該パイプ吸着手段3とガイド手段2によって、印刷位置に好適に保持される。
【0034】
本実施形態では、続いて
図4(b)の矢印Bに示すように、挟持手段4が上方へ持ち上げられ移動する。挟持手段4は、挟持手段本体4aと該挟持手段本体4aから上方へ延びる複数の挟持片41とからなる。挟持片41は、各樹脂被覆金属パイプ1一本に対し、当該パイプ1を両側から挟み込むように左右一対設けられる。左右の挟持片41、41間には空隙43が設けられ、当該空隙43の間隔は樹脂被覆金属パイプ1の突起11を除いた外径寸法と略等しい寸法となされている。この点、前記空隙43の間隔は、少なくとも突起11を含んだ最大外径よりも小さい寸法となされ、これによって突起11部分が上面に位置した状態では、左右の挟持片41間に樹脂被覆金属パイプ1が挟持されない寸法とする必要がある。
【0035】
尚、この左右の挟持片は、挟持手段本体4aと一体に形成されてもよく、あるいは別部材として構成されてもよい。また左右の挟持片41は、弾性部材により形成され、パイプ1に押圧されて前記空隙43が僅かに拡がるようにすることができる。あるいは、バネ部材他を利用して、同様に前記空隙43が僅かに拡がるような構成としてもよい。このようにすれば、個々の樹脂被覆金属パイプ1に僅かな寸法差がある場合であっても、好適にパイプ1を左右の挟持片41間に挟持させることができる。
【0036】
また、左右の挟持片41の上端部であって、対向する内側面には、上方(先端方向)に向かって切り欠かれ先細りとなるテーパー部42が形成されている。これにより挟持手段4が上方へ移動し、左右の挟持片41によってパイプ1を挟持する際に、パイプ1が好適に滑り、あるいは周方向に回動するように転がって、挟持片41、41間の空隙43に挟持される。
【0037】
挟持手段4は、
図4(b)~(c)を経て、
図4(d)の位置で停止する。これによって、樹脂被覆金属パイプ1は、その平坦部15が上面に向いた状態で、印刷位置に確実に保持されることとなる。この点、上述した通りのパイプ吸着手段3と挟持手段4との構成と動作手順を備えることによって、樹脂被覆金属パイプ1の突起11が上面に表れることなく、確実に平坦部15が上面に向いた状態で保持することが可能になるものである。
【0038】
続いて、
図4(e)~(f)に示すように、印刷手段5が下方へ動く(矢印D)。この実施形態においては、印刷方法としてはパッド印刷を用いており、印刷手段5の下側面に設けられ、シリコン等により形成されたパッド部51の先端部に、所定の光学コード7の図柄や数字等の形状にインク511を付着させ、このパッド部51を樹脂被覆金属パイプ1の上面平坦部15に押し付ける。これによってインク511を転写し、樹脂被覆金属パイプ1の上面平坦部15に光学コード7を印刷するようにしている。
【0039】
このようにして、樹脂被覆金属パイプ1の上面平坦部15に光学コード7を付与したのち、
図4(g)に示すように印刷手段5は再び上昇し(矢印E)、続いて
図4(h)に示すように、挟持手段4が下降し(矢印F)、また電磁石3がOFFとされて、樹脂被覆金属パイプ1は元の搬送位置に戻る。そうして、
図4(i)に示すように、光学コード7が付された樹脂被覆金属パイプ1は、搬送手段(図示せず)によって矢印Gの方向へ搬出されると共に、次に光学コード7が付される樹脂被覆金属パイプ1が、搬送位置に搬送される。
【0040】
尚、印刷手段5に関しては、この実施形態においてはパッド印刷を採用しているが、これに限定されるものではなく、当該印刷装置及び印刷方法に適用可能な印刷手段が適宜選択されて採用されるものである。例えばインクジェット印刷でも良いし、あるいはレーザーマーキングなどが好適に用いられる。
【0041】
以上、本発明に係る樹脂被覆金属パイプの光学コード印刷方法、印刷装置及び樹脂被覆金属パイプについて、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲内で当業者が思いつく各種変形を施したものも本発明の範囲内に含まれる。例えば、本実施形態においては、パイプ吸着手段3の底面部31は、
図4に示すように平面状としているが、この平面状とは、吸着される樹脂被覆金属パイプ1が突起11において底面部31と点で接するのではなく、平坦部15において接するようにすることができる形状であればよく、パイプ1の形状や外径寸法等に応じて適宜好適な形状とすることができるものであって、そのような変形例も本発明の範囲に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、樹脂被覆金属パイプの外表面の所望の位置(樹脂被覆金属パイプの側周面における平坦部)に確実に光学コードを付すことが可能な印刷方法、印刷装置及び当該印刷方法又は印刷装置によって光学コードを付した樹脂被覆金属パイプを提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
W 印刷装置
1 樹脂被覆金属パイプ
10 樹脂被覆金属パイプ本体
11 突起
2 ガイド手段
21 突状部
22 谷状部
3 パイプ吸着手段
31 底面部
4 挟持手段
41 挟持片
42 テーパー部
5 印刷手段
51 パッド部
7 光学コード(バーコード)