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特許7202919プリンタ制御システム、印刷システムおよび印刷データの作成方法
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  • 特許-プリンタ制御システム、印刷システムおよび印刷データの作成方法 図1
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  • 特許-プリンタ制御システム、印刷システムおよび印刷データの作成方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】プリンタ制御システム、印刷システムおよび印刷データの作成方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20230104BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230104BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
G06F3/12 344
B41J2/01 123
B41J5/30 Z
G06F3/12 305
G06F3/12 306
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019026305
(22)【出願日】2019-02-18
(65)【公開番号】P2020135262
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】中谷 公晃
(72)【発明者】
【氏名】金子 賢史
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-301267(JP,A)
【文献】特開2005-032144(JP,A)
【文献】特開2013-159470(JP,A)
【文献】特開2016-002735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09 - 3/12
B41J 2/01
B41J 2/165- 2/20
B41J 2/21 - 2/215
B41J 5/00 - 5/52
B41J 21/00 -21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体に所定の厚さの画像を印刷するインクジェットプリンタを制御するためのプリンタ制御システムであって、
前記画像のデータである画像データを作成および編集するための画像データ作成編集部と、前記画像データ作成編集部から送られてきた前記画像データを印刷データに変換して前記インクジェットプリンタに送るためのプリンタ制御部とを備え、
所定の厚さを有する前記画像の中の、前記画像に厚さを持たせるための部分を厚盛部とすると、
前記画像データ作成編集部から前記プリンタ制御部に送られる前記画像データには、前記厚盛部の厚さに関する厚さ情報および前記厚盛部の端部の形状に関する形状情報の少なくともいずれか一方が含まれており、
前記画像データには、特色が付与され、
前記画像データに含まれている前記厚さ情報および前記形状情報の少なくともいずれか一方は、前記特色で規定され、
前記厚さ情報および前記形状情報の少なくともいずれか一方が互いに異なる複数種類の前記特色が予め設定され、
前記特色では、前記厚さ情報および前記形状情報の少なくともいずれか一方と特色名とが関連付けられ、
前記画像データの作成編集時に、前記特色名により所望の前記厚さ情報および前記形状情報の少なくともいずれか一方が読み出し可能となっていることを特徴とするプリンタ制御システム。
【請求項2】
前記画像データには、前記厚さ情報および前記形状情報の両方が含まれていることを特徴とする請求項記載のプリンタ制御システム。
【請求項3】
前記厚盛部は、積層された複数のインク層によって構成され、
前記厚さ情報は、前記厚盛部を構成する前記インク層の層数または前記厚盛部の厚さであることを特徴とする請求項1または2記載のプリンタ制御システム。
【請求項4】
前記厚盛部は、クリアインクまたは白インクの前記インク層によって構成されていることを特徴とする請求項記載のプリンタ制御システム。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載のプリンタ制御システムと、前記印刷媒体に前記画像を印刷する前記インクジェットプリンタとを備え、
前記インクジェットプリンタは、前記プリンタ制御部から送られてきた前記印刷データに基づいて前記印刷媒体に前記画像を印刷することを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
印刷媒体に所定の厚さの画像を印刷するための印刷データの作成方法であって、
所定の厚さを有する前記画像の中の、前記画像に厚さを持たせるための部分を厚盛部とすると、
前記画像のデータである画像データには、前記厚盛部の厚さに関する厚さ情報および前記厚盛部の端部の形状に関する形状情報の少なくともいずれか一方が含まれており、
前記画像データには、特色が付与され、
前記画像データに含まれている前記厚さ情報および前記形状情報の少なくともいずれか一方は、前記特色で規定され、
前記厚さ情報および前記形状情報の少なくともいずれか一方が互いに異なる複数種類の前記特色が予め設定され、
前記特色では、前記厚さ情報および前記形状情報の少なくともいずれか一方と特色名とが関連付けられ、
前記画像データの作成編集時に、前記特色名により所望の前記厚さ情報および前記形状情報の少なくともいずれか一方が読み出し可能となっており、
前記画像データを変換して前記印刷データを作成することを特徴とする印刷データの作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体に所定の厚さの画像を印刷するプリンタを制御するためのプリンタ制御システムおよびこのプリンタ制御システムを備える印刷システムに関する。また、本発明は、印刷媒体に所定の厚さの画像を印刷するための印刷データの作成方法に関する。なお、本明細書において、「画像」には、文字を含む記号、図形および記号と図形との組合せが含まれているものとする。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷媒体に所定の厚さの画像を印刷する(すなわち、厚盛印刷を行う)インクジェットプリンタが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のインクジェットプリンタは、紫外線硬化型のインク滴を吐出するインクジェットヘッドと、印刷媒体に吐出されたインクに紫外線を照射する紫外線照射装置と、インクジェットヘッドおよび紫外線照射装置が搭載されるキャリッジとを備えている。特許文献1に記載のインクジェットプリンタでは、カラーインクによって形成されるインク層の上に、クリアインクによって形成される複数のインク層を順次積層することで、印刷媒体に厚盛印刷を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-106473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタには、たとえば、印刷媒体に印刷される画像のデータ(画像データ)を作成および編集するための画像編集ソフトウエアと、画像データを印刷用のデータ(印刷データ)に変換するためのソフトウエアRIPとがインストールされたパーソナルコンピュータが接続されている。また、特許文献1に記載のインクジェットプリンタで厚盛印刷が行われるときには、たとえば、まず、予め作成された画像データが画像編集ソフトウエアで読み出される。
【0005】
また、たとえば、印刷媒体に印刷される画像の中の、画像に厚みを持たせる部分が10層のクリアインクのインク層によって構成されている場合には、この部分の印刷データを作成するために、画像編集ソフトウエアで読み出された画像データが10回、画像編集ソフトウエアからソフトウエアRIPに送られる。画像編集ソフトウエアからソフトウエアRIPに画像データが送られると、オペレータは、10回に亘って送られてきた画像データを重ねて合成するとともに合成した画像データの形状を調整する等の所定の操作をソフトウエアRIPで行って、10回に亘って送られてきた画像データを、画像に厚みを持たせる部分の印刷データに変換する。また、印刷データが作成されると、印刷データがインクジェットプリンタに送られ、インクジェットプリンタが印刷データに基づいて、印刷媒体に厚盛印刷を行う。
【0006】
しかしながら、従来の場合、印刷媒体に厚盛印刷を行う際にソフトウエアRIPを用いてオペレータが行う操作は比較的煩雑であるため、画像データを印刷データに変換するときのオペレータの操作の負担が大きくなる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、印刷媒体に所定の厚さの画像を印刷するインクジェットプリンタを制御するためのプリンタ制御システムにおいて、画像データを印刷データに変換するときのオペレータの操作の負担を軽減することが可能なプリンタ制御システムを提供することにある。また、本発明の課題は、かかるプリンタ制御システムを備える印刷システムを提供することにある。さらに、本発明の課題は、印刷媒体に所定の厚さの画像を印刷するための印刷データの作成方法において、画像データを印刷データに変換するときのオペレータの操作の負担を軽減することが可能となる印刷データの作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のプリンタ制御システムは、印刷媒体に所定の厚さの画像を印刷するインクジェットプリンタを制御するためのプリンタ制御システムであって、画像のデータである画像データを作成および編集するための画像データ作成編集部と、画像データ作成編集部から送られてきた画像データを印刷データに変換してインクジェットプリンタに送るためのプリンタ制御部とを備え、所定の厚さを有する画像の中の、画像に厚さを持たせるための部分を厚盛部とすると、画像データ作成編集部からプリンタ制御部に送られる画像データには、厚盛部の厚さに関する厚さ情報および厚盛部の端部の形状に関する形状情報の少なくともいずれか一方が含まれており、画像データには、特色が付与され、画像データに含まれている厚さ情報および形状情報の少なくともいずれか一方は、特色で規定され、厚さ情報および形状情報の少なくともいずれか一方が互いに異なる複数種類の特色が予め設定され、特色では、厚さ情報および形状情報の少なくともいずれか一方と特色名とが関連付けられ、画像データの作成編集時に、特色名により所望の厚さ情報および形状情報の少なくともいずれか一方が読み出し可能となっていることを特徴とする。
【0009】
本発明のプリンタ制御システムでは、画像データ作成編集部からプリンタ制御部に送られる画像データに、厚盛部の厚さに関する厚さ情報および厚盛部の端部の形状に関する形状情報の少なくともいずれか一方が含まれている。そのため、本発明では、プリンタ制御部において画像データを印刷データに変換するときに、オペレータは、厚さ情報を印刷データに追加するための操作、および、形状情報を印刷データに追加するための操作の少なくともいずれか一方を行う必要がない。したがって、本発明では、画像データを印刷データに変換するときのオペレータの操作の負担を軽減することが可能になる。
【0010】
また、本発明では、画像データに、特色が付与されており、画像データに含まれている厚さ情報および形状情報の少なくともいずれか一方は、特色で規定されている。そのため、厚さ情報や形状情報を比較的容易に画像データに含ませることが可能になる。
【0011】
本発明において、画像データには、厚さ情報および形状情報の両方が含まれていることが好ましい。このように構成すると、画像データを印刷データに変換するときのオペレータの操作の負担をより軽減することが可能になる。
【0012】
本発明において、厚盛部は、積層された複数のインク層によって構成され、たとえば、厚さ情報は、厚盛部を構成するインク層の層数または厚盛部の厚さである。また、本発明において、たとえば、厚盛部は、クリアインクまたは白インクのインク層によって構成されている。
【0013】
本発明のプリンタ制御システムは、印刷媒体に画像を印刷するインクジェットプリンタを備える印刷システムに用いることができる。この印刷システムでは、インクジェットプリンタは、プリンタ制御部から送られてきた印刷データに基づいて印刷媒体に画像を印刷する。この印刷システムでは、画像データを印刷データに変換するときのオペレータの操作の負担を軽減することが可能になる。
【0014】
また、上記の課題を解決するため、本発明の印刷データの作成方法は、印刷媒体に所定の厚さの画像を印刷するための印刷データの作成方法であって、所定の厚さを有する画像の中の、画像に厚さを持たせるための部分を厚盛部とすると、画像のデータである画像データには、厚盛部の厚さに関する厚さ情報および厚盛部の端部の形状に関する形状情報の少なくともいずれか一方が含まれており、画像データには、特色が付与され、画像データに含まれている厚さ情報および形状情報の少なくともいずれか一方は、特色で規定され、厚さ情報および形状情報の少なくともいずれか一方が互いに異なる複数種類の特色が予め設定され、特色では、厚さ情報および形状情報の少なくともいずれか一方と特色名とが関連付けられ、画像データの作成編集時に、特色名により所望の厚さ情報および形状情報の少なくともいずれか一方が読み出し可能となっており、画像データを変換して印刷データを作成することを特徴とする。
【0015】
本発明の印刷データの作成方法では、厚盛部の厚さに関する厚さ情報および厚盛部の端部の形状に関する形状情報の少なくともいずれか一方が含まれている画像データを変換して印刷データを作成している。そのため、本発明では、画像データを印刷データに変換するときに、オペレータは、厚さ情報を印刷データに追加するための操作、および、形状情報を印刷データに追加するための操作の少なくともいずれか一方を行う必要がない。したがって、本発明の印刷データの作成方法で印刷データを作成すれば、画像データを印刷データに変換するときのオペレータの操作の負担を軽減することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明では、印刷媒体に所定の厚さの画像を印刷するインクジェットプリンタを制御するためのプリンタ制御システムにおいて、画像データを印刷データに変換するときのオペレータの操作の負担を軽減することが可能になる。また、本発明の印刷データの作成方法で印刷データを作成すれば、画像データを印刷データに変換するときのオペレータの操作の負担を軽減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態にかかる印刷システムの構成を説明するためのブロック図である。
図2図1に示すインクジェットプリンタの概略平面図である。
図3図1に示すインクジェットプリンタによって印刷媒体に印刷される画像の断面を説明するための図である。
図4図1に示すインクジェットプリンタによって予め印刷された複数の厚盛部のサンプル画像からなるパッチの平面図である。
図5】(A)は、図4のE-E断面の断面図であり、(B)は、図4のF-F断面の断面図であり、(C)は、図4のG-G断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
(印刷システムの構成および動作)
図1は、本発明の実施の形態にかかる印刷システム1の構成を説明するためのブロック図である。図2は、図1に示すインクジェットプリンタ4の概略平面図である。図3は、図1に示すインクジェットプリンタ4によって印刷媒体2に印刷される画像3の断面を説明するための図である。図4は、図1に示すインクジェットプリンタ4によって予め印刷された複数の厚盛部3dのサンプル画像からなるパッチ15の平面図である。図5(A)は、図4のE-E断面の断面図であり、図5(B)は、図4のF-F断面の断面図であり、図5(C)は、図4のG-G断面の断面図である。
【0020】
本形態の印刷システム1は、印刷用紙または樹脂板等の印刷媒体2に所定の厚さの画像3を印刷する(すなわち、印刷媒体2に厚盛印刷を行う)インクジェットプリンタ4と、インクジェットプリンタ4を制御するためのプリンタ制御システム5とを備えている。本形態のプリンタ制御システム5は、パーソナルコンピュータ(PC)である。したがって、以下では、プリンタ制御システム5を「PC5」とする。また、以下では、インクジェットプリンタ4を「プリンタ4」とする。
【0021】
プリンタ4は、印刷媒体2が載置されるテーブル6と、テーブル6に載置される印刷媒体2に向かってインク滴を吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジ7と、主走査方向への移動が可能となるようにキャリッジ7を保持するYバー8と、キャリッジ7を主走査方向に移動させるキャリッジ駆動機構と、Yバー8を副走査方向に移動させるYバー駆動機構とを備えている。キャリッジ7は、テーブル6の上方に配置されている。本形態のインクジェットヘッドは、紫外線硬化型のインクを吐出する。また、プリンタ4は、インクジェットヘッドから吐出されたインクに紫外線を照射する紫外線照射器を備えている。紫外線照射器は、キャリッジ7に搭載されている。
【0022】
プリンタ4では、インクジェットヘッドから吐出されるとともに紫外線照射器から照射される紫外線で硬化したインクによって形成されるインク層が印刷媒体2の上面に順次積層されて、印刷媒体2に所定の厚さの画像3が印刷される。すなわち、画像3は、積層された複数のインク層によって構成されている。また、画像3は、プライマーインクの層であるプライマーインク層3aと、カラーインクの層であるカラーインク層3bと、クリアインクの層であるクリアインク層3cとから構成されている。
【0023】
具体的には、画像3は、1層のプライマーインク層3aと、1層のカラーインク層3bと、複数のクリアインク層3cとから構成されている。また、画像3では、プライマーインク層3aとカラーインク層3bと複数のクリアインク層3cとが下側からこの順番で積層されている。本形態では、画像3の中の、積層された複数のクリアインク層3cは、所定の厚さを有する画像3の中の、画像3に厚さを持たせるための部分である厚盛部3dとなっている。すなわち、厚盛部3dは、積層された複数のクリアインク層3c(クリアインクのインク層)によって構成されている。
【0024】
PC5は、ROM、RAMおよびハードディスクドライブ等の記憶手段やCPU等の演算手段等の各種のハードウエアを備えている。PC5には、印刷媒体2に印刷される画像のデータである画像データを作成編集するためのソフトウエア(画像編集ソフトウエア)と、プリンタ4を制御するためのソフトウエア(ソフトウエアRIP)とがインストールされている。なお、画像編集ソフトウエアは、たとえば、アドビシステムズ社製のイラストレータである。
【0025】
また、PC5は、PC5の機能として、画像データの作成および編集を行うための画像データ作成編集部11と、画像データ作成編集部11から送られてきた画像データを印刷データに変換してプリンタ4に送るためのプリンタ制御部12とを備えている。画像データ作成編集部11は、画像編集ソフトウエアと、このソフトウエアのプログラムを実行するPC5のハードウエアとから構成されている。プリンタ制御部12は、ソフトウエアRIPと、このソフトウエアのプログラムを実行するPC5のハードウエアとから構成されている。
【0026】
プリンタ4で印刷媒体2に厚盛印刷を行うときには、オペレータは、たとえば、デザイナー等によって予め作成された画像データを画像データ作成編集部11で読み出す。あるいは、オペレータは、画像データ作成編集部11で画像データを作成する。画像データ作成編集部11で読み出された画像データ(または、画像データ作成編集部11で作成された画像データ)は、画像データ作成編集部11からプリンタ制御部12に自動的に送られる。
【0027】
プリンタ制御部12は、画像データ作成編集部11から送られてきた画像データを印刷データに変換して、プリンタ4に送る。すなわち、プリンタ制御部12は、画像データ作成編集部11から送られてきた画像データを変換して印刷データを作成し、作成した印刷データをプリンタ4に送る。プリンタ4は、プリンタ制御部12から送られてきた印刷データに基づいて印刷媒体2に画像3を印刷する。すなわち、プリンタ4は、印刷データに基づいて、1層のプライマーインク層3aと、1層のカラーインク層3bと、複数のクリアインク層3cとを印刷媒体2に順次積層する。
【0028】
画像データ作成編集部11からプリンタ制御部12に送られる画像データには、厚盛部3dの厚さ(高さ)に関する厚さ情報および厚盛部3dの端部の形状に関する形状情報が含まれている。画像データに含まれる厚さ情報は、厚盛部3dを構成するクリアインク層3cの層数または厚盛部3dの厚さt(図3参照)である。なお、画像データに含まれる厚さ情報が厚盛部3dの厚さtである場合には、プリンタ制御部12は、画像データを印刷データに変換する際に、厚盛部3dを構成するクリアインク層3cの層数を自動で算出する。
【0029】
また、画像データに含まれる形状情報は、厚盛部3dの端面の形状であり、この形状情報によって、たとえば、厚盛部3dの端面の形状が印刷媒体2の表面に直交する垂直面(図5(A)参照)であるのか、あるいは、厚盛部3dの端面の形状が緩やかな凸曲面(図5(C)参照)であるのか、それとも、厚盛部3dの端面の形状が垂直面と緩やかな凸曲面との中間形状(図5(B)参照)であるのかが特定される。
【0030】
本形態では、画像データ(具体的には、厚盛部3dの画像データ)に特色が付与されており、厚さ情報および形状情報は特色(スポットカラー)によって規定されている。たとえば、特色名「M_01A」の特色が厚盛部3dの画像データに付与されている場合には、厚盛部3dの厚さtが1(mm)であり、厚盛部3dの端面の形状が図5(A)に示す形状であることが規定されている。また、たとえば、特色名「M_03B」の特色が厚盛部3dの画像データに付与されている場合には、厚盛部3dの厚さtが3(mm)であり、厚盛部3dの端面の形状が図5(B)に示す形状であることが規定され、特色名「M_05C」の特色が厚盛部3dの画像データに付与されている場合には、厚盛部3dの厚さtが5(mm)であり、厚盛部3dの端面の形状が図5(C)に示す形状であることが規定されている。
【0031】
厚さ情報および形状情報と特色名とが関連付けられた(紐付けされた)各特色は、予め画像データ作成編集部11に記憶されている。あるいは、画像データ作成編集部11で画像データを作成編集するときに、厚さ情報および形状情報と特色名とが関連付けられた特色が画像データ作成編集部11に記憶されるとともに、厚盛部3dの画像データに付与される。
【0032】
また、本形態では、各特色に応じてプリンタ4で印刷された複数の厚盛部3dのサンプル画像からなるパッチ15が予め作成されている(図4参照)。たとえば、パッチ15には、特色名「M_01A」~「M_05A」、「M_01B」~「M_05B」、「M_01C」~「M_05C」のそれぞれの特色が付与された画像データに対応する厚盛部3dのサンプル画像が含まれている。画像データを作成するデザイナー等は、パッチ15を参照しながら、厚盛部3dの画像データに特色を付与する。
【0033】
なお、特色名「M_01A」~「M_05A」のそれぞれの特色が付与された画像データに対応する5個の厚盛部3dのサンプル画像では、厚盛部3dの端面の形状は同じであるが、厚盛部3dを構成するクリアインク層3cの層数または厚盛部3dの厚さtがそれぞれ異なっている。同様に、特色名「M_01B」~「M_05B」のそれぞれの特色が付与された画像データに対応する5個の厚盛部3dのサンプル画像では、厚盛部3dの端面の形状は同じであるが、厚盛部3dを構成するクリアインク層3cの層数または厚盛部3dの厚さtがそれぞれ異なっており、特色名「M_01C」~「M_05C」のそれぞれの特色が付与された画像データに対応する5個の厚盛部3dのサンプル画像では、厚盛部3dの端面の形状は同じであるが、厚盛部3dを構成するクリアインク層3cの層数または厚盛部3dの厚さtがそれぞれ異なっている。
【0034】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、画像データ作成編集部11からプリンタ制御部12に送られる画像データに、厚盛部3dの厚さに関する厚さ情報および厚盛部3dの端部の形状に関する形状情報が含まれている。そのため、本形態では、プリンタ制御部12において画像データを印刷データに変換するときに、オペレータは、厚さ情報を印刷データに追加するための操作および形状情報を印刷データに追加するための操作を行う必要がない。したがって、本形態では、画像データを印刷データに変換するときのオペレータの操作の負担を軽減することが可能になる。
【0035】
本形態において、画像データに特色が付与されており、厚さ情報および形状情報は、特色によって規定されている。そのため、本形態では、厚さ情報および形状情報を比較的容易に画像データに含ませることが可能になる。
【0036】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0037】
上述した形態において、画像データ作成編集部11からプリンタ制御部12に送られる画像データに厚さ情報および形状情報のいずれか一方が含まれていなくても良い。この場合には、画像データに含まれている厚さ情報および形状情報のいずれか他方が特色によって規定されている。この場合であっても、プリンタ制御部12において画像データを印刷データに変換するときに、オペレータは、厚さ情報を印刷データに追加するための操作および形状情報を印刷データに追加するための操作のいずれか一方を行う必要がない。したがって、画像データを印刷データに変換するときのオペレータの操作の負担を軽減することが可能になる。
【0038】
上述した形態において、プライマーインク層3aと複数のクリアインク層3cとカラーインク層3bとが下側からこの順番で積層されていても良い。また、上述した形態において、厚盛部3dは、積層された複数の白インクのインク層(白インク層)によって構成されていても良い。この場合には、プライマーインク層3aと複数の白インク層とカラーインク層3bとが下側からこの順番で積層されている。
【符号の説明】
【0039】
1 印刷システム
2 印刷媒体
3 画像
3c クリアインク層(インク層)
3d 厚盛部
4 プリンタ(インクジェットプリンタ)
5 PC(プリンタ制御システム)
11 画像データ作成編集部
12 プリンタ制御部
図1
図2
図3
図4
図5