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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20230104BHJP
   A01C 11/00 20060101ALI20230104BHJP
   A01C 19/00 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
A01C11/02 313C
A01C11/00 302
A01C19/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019041487
(22)【出願日】2019-03-07
(65)【公開番号】P2020141614
(43)【公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】柴原 藍
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-101713(JP,A)
【文献】特開2000-300016(JP,A)
【文献】特開2009-213384(JP,A)
【文献】特開2013-201920(JP,A)
【文献】特開平05-246258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
A01C 11/00
A01C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置と、
前記作業装置のクラッチである作業クラッチと、
前記作業クラッチに連係しているクラッチ連係部と、
第1ロッド、リンク部、第2ロッドを介して前記クラッチ連係部を移動させるクラッチ操作機構と、を備え、
前記第1ロッドの一端部は、前記クラッチ操作機構に接続しており、
前記第1ロッドの他端部は、前記リンク部に接続しており、
前記第2ロッドの一端部は、前記リンク部に接続しており、
前記第2ロッドの他端部は、前記クラッチ連係部に接続しており、
前記クラッチ操作機構によって、前記第1ロッドが前記第1ロッドの一端側または他端側へ移動操作された場合、前記リンク部が第1揺動軸芯周りに揺動することにより前記作業クラッチの入切状態が変化し、
前記リンク部において前記第2ロッドが接続される接続部は、第1位置と、前記第1位置とは異なる第2位置と、を含む複数箇所に設けられ、
前記第1位置及び前記第2位置は、前記第1揺動軸芯を中心とする1つの円弧上に位置している作業機。
【請求項2】
作業装置と、
前記作業装置のクラッチである作業クラッチと、
前記作業クラッチに連係しているクラッチ連係部と、
第1ロッド、リンク部、第2ロッドを介して前記クラッチ連係部を移動させるクラッチ操作機構と、を備え、
前記第1ロッドの一端部は、前記クラッチ操作機構に接続しており、
前記第1ロッドの他端部は、前記リンク部に接続しており、
前記第2ロッドの一端部は、前記リンク部に接続しており、
前記第2ロッドの他端部は、前記クラッチ連係部に接続しており、
前記クラッチ操作機構によって、前記第1ロッドが前記第1ロッドの一端側または他端側へ移動操作された場合、前記リンク部が第1揺動軸芯周りに揺動することにより前記作業クラッチの入切状態が変化し、
前記リンク部において前記第2ロッドが接続される位置は、第1位置と、前記第1位置とは異なる第2位置と、から選択可能であり、
前記第1位置及び前記第2位置は、前記第1揺動軸芯を中心とする1つの円弧上に位置し、
前記リンク部は、第1部材及び第2部材を有しており、
前記第1部材は、前記第1ロッドが接続される部位である第1接続部位を有しており、
前記第2部材は、前記第2ロッドが接続される部位である第2接続部位を有しており、
前記第1部材は、前記第1揺動軸芯周りに、機体に対して揺動可能であり、
前記第2部材は、前記第1揺動軸芯に平行な第2揺動軸芯周りに、前記第1部材に対して揺動可能であり、且つ、前記第1部材に対して前記第2揺動軸芯周りに揺動することにより、第1揺動姿勢と、第2揺動姿勢と、の間で姿勢変更可能であり、
前記第2部材が前記第1揺動姿勢である場合、前記第2接続部位は、前記リンク部において前記第1位置に位置しており、
前記第2部材が前記第2揺動姿勢である場合、前記第2接続部位は、前記リンク部において前記第2位置に位置している作業機。
【請求項3】
前記第1揺動姿勢からの揺動角度が前記第2揺動姿勢よりも小さい姿勢である中間揺動姿勢で前記第2部材の姿勢を維持する姿勢維持機構を備える請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記姿勢維持機構は、前記第1揺動姿勢からの揺動角度が互いに異なる複数の前記中間揺動姿勢で前記第2部材の姿勢を維持可能である請求項3に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置と、作業装置のクラッチである作業クラッチと、を備える作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような作業機として、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この作業機(特許文献1では「田植機」)は、作業クラッチ(特許文献1では「植付クラッチ」)に連係しているクラッチ連係部(特許文献1では「アーム」)を備えている。
【0003】
また、この作業機は、クラッチ操作機構(特許文献1では「クラッチモータ」)を備えている。このクラッチ操作機構は、第1ロッド、リンク部(特許文献1では「揺動プレート」)、第2ロッドを介してクラッチ連係部を移動させる。
【0004】
そして、第1ロッドの上端部は、クラッチ操作機構に接続している。また、第1ロッドの下端部は、リンク部に接続している。
【0005】
また、第2ロッドの後端部は、リンク部に接続している。また、第2ロッドの前端部は、クラッチ連係部に接続している。
【0006】
そして、この作業機においては、クラッチ操作機構によって、第1ロッドが第1ロッドの下端側へ移動操作された場合、リンク部が第1揺動軸芯(特許文献1では「支軸」の軸芯)周りに揺動することにより、作業クラッチが切状態から入状態へ変化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-300016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の作業機においては、クラッチ操作機構、第1ロッド、リンク部、第2ロッドの組み付け位置に誤差が生じることがある。そのため、この誤差を吸収するために、リンク部において、第2ロッドを接続可能な接続部を、複数設けることが考えられる。
【0009】
しかしながら、この構成では、複数の接続部のうち、何れの接続部に第2ロッドが接続されるかによって、クラッチ操作機構がクラッチ連係部を移動させるために必要なトルクが異なる場合がある。その結果、クラッチ連係部に作用する応力が過大となる事態、あるいは、クラッチ操作機構にかかる負荷が過大となる事態が想定される。
【0010】
例えば、リンク部において第2ロッドを接続可能な2つの接続部が設けられる構成において、一方の接続部と第1揺動軸芯と間の距離が、他方の接続部と第1揺動軸芯と間の距離よりも長い場合が考えられる。この場合、クラッチ操作機構がクラッチ連係部を移動させるために必要なトルクは、他方の接続部に第2ロッドが接続された状態よりも、一方の接続部に第2ロッドが接続された状態の方が大きい。
【0011】
ここで、一方の接続部に第2ロッドが接続された状態において必要となるトルクを基準にしてクラッチ操作機構が設計されている場合、第2ロッドが一方の接続部に接続されていれば、クラッチ連係部に作用する応力は適切な大きさとなる。
【0012】
しかしながら、この場合に、第2ロッドが他方の接続部に接続されていると、クラッチ連係部に作用する応力は過大となる。従って、過大な応力によるクラッチ連係部の破損を回避するべく、クラッチ連係部を強度の比較的高い素材から形成する等の必要が生じる。
その結果、製造コストが増大しがちとなる。
【0013】
また、他方の接続部に第2ロッドが接続された状態において必要となるトルクを基準にしてクラッチ操作機構が設計されている場合、第2ロッドが他方の接続部に接続されていれば、クラッチ操作機構にかかる負荷は適切な大きさとなる。
【0014】
しかしながら、この場合に、第2ロッドが一方の接続部に接続されていると、クラッチ操作機構にかかる負荷は過大となる。これにより、クラッチ操作機構が正常に作動せず、作業クラッチの入切操作が正常に行われない事態が想定される。
【0015】
本発明の目的は、クラッチ連係部に作用する応力が過大となる事態、及び、クラッチ操作機構にかかる負荷が過大となる事態を回避しやすい作業機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の特徴は、作業装置と、前記作業装置のクラッチである作業クラッチと、前記作業クラッチに連係しているクラッチ連係部と、第1ロッド、リンク部、第2ロッドを介して前記クラッチ連係部を移動させるクラッチ操作機構と、を備え、前記第1ロッドの一端部は、前記クラッチ操作機構に接続しており、前記第1ロッドの他端部は、前記リンク部に接続しており、前記第2ロッドの一端部は、前記リンク部に接続しており、前記第2ロッドの他端部は、前記クラッチ連係部に接続しており、前記クラッチ操作機構によって、前記第1ロッドが前記第1ロッドの一端側または他端側へ移動操作された場合、前記リンク部が第1揺動軸芯周りに揺動することにより前記作業クラッチの入切状態が変化し、前記リンク部において前記第2ロッドが接続される接続部は、第1位置と、前記第1位置とは異なる第2位置と、を含む複数箇所に設けられ、前記第1位置及び前記第2位置は、前記第1揺動軸芯を中心とする1つの円弧上に位置している。
【0017】
本発明であれば、第1位置と第1揺動軸芯と間の距離は、第2位置と第1揺動軸芯と間の距離に等しい。そのため、クラッチ操作機構がクラッチ連係部を移動させるために必要なトルクは、第1位置に第2ロッドが接続された状態と、第2位置に第2ロッドが接続された状態と、の間で等しい。
【0018】
従って、第1位置または第2位置に第2ロッドが接続された状態において必要となるトルクを基準にしてクラッチ操作機構が設計されていれば、第1位置及び第2位置の何れに第2ロッドが接続されていても、クラッチ連係部に作用する応力は適切な大きさとなり、且つ、クラッチ操作機構にかかる負荷は適切な大きさとなる。
【0019】
即ち、本発明であれば、クラッチ連係部に作用する応力が過大となる事態、及び、クラッチ操作機構にかかる負荷が過大となる事態を回避しやすい作業機を実現できる。
【0020】
また、本発明の特徴は、作業装置と、前記作業装置のクラッチである作業クラッチと、前記作業クラッチに連係しているクラッチ連係部と、第1ロッド、リンク部、第2ロッドを介して前記クラッチ連係部を移動させるクラッチ操作機構と、を備え、前記第1ロッドの一端部は、前記クラッチ操作機構に接続しており、前記第1ロッドの他端部は、前記リンク部に接続しており、前記第2ロッドの一端部は、前記リンク部に接続しており、前記第2ロッドの他端部は、前記クラッチ連係部に接続しており、前記クラッチ操作機構によって、前記第1ロッドが前記第1ロッドの一端側または他端側へ移動操作された場合、前記リンク部が第1揺動軸芯周りに揺動することにより前記作業クラッチの入切状態が変化し、前記リンク部において前記第2ロッドが接続される位置は、第1位置と、前記第1位置とは異なる第2位置と、から選択可能であり、前記第1位置及び前記第2位置は、前記第1揺動軸芯を中心とする1つの円弧上に位置し、前記リンク部は、第1部材及び第2部材を有しており、前記第1部材は、前記第1ロッドが接続される部位である第1接続部位を有しており、前記第2部材は、前記第2ロッドが接続される部位である第2接続部位を有しており、前記第1部材は、前記第1揺動軸芯周りに、機体に対して揺動可能であり、前記第2部材は、前記第1揺動軸芯に平行な第2揺動軸芯周りに、前記第1部材に対して揺動可能であり、且つ、前記第1部材に対して前記第2揺動軸芯周りに揺動することにより、第1揺動姿勢と、第2揺動姿勢と、の間で姿勢変更可能であり、前記第2部材が前記第1揺動姿勢である場合、前記第2接続部位は、前記リンク部において前記第1位置に位置しており、前記第2部材が前記第2揺動姿勢である場合、前記第2接続部位は、前記リンク部において前記第2位置に位置している。
【0021】
この構成によれば、リンク部及び第2ロッドの組み付け時において、第2部材を第1部材に対して第2揺動軸芯周りに揺動させることにより、リンク部において第2ロッドを接続するための位置を、第1位置と第2位置との間で容易に変更することができる。
【0022】
これにより、リンク部及び第2ロッドの組み付け作業が容易となる。
【0023】
さらに、本発明において、前記第1揺動姿勢からの揺動角度が前記第2揺動姿勢よりも小さい姿勢である中間揺動姿勢で前記第2部材の姿勢を維持する姿勢維持機構を備えると好適である。
【0024】
この構成によれば、第2部材の姿勢を中間揺動姿勢とすることにより、第2接続部位を、第1位置と第2位置との何れとも異なる位置に位置させることができる。従って、リンク部において第2ロッドが接続される位置が第1位置と第2位置との2つのみから選択される構成に比べて、選択可能な位置の個数が多くなる。
【0025】
これにより、リンク部及び第2ロッドの組み付け位置の誤差を適切に吸収しやすい。
【0026】
さらに、本発明において、前記姿勢維持機構は、前記第1揺動姿勢からの揺動角度が互いに異なる複数の前記中間揺動姿勢で前記第2部材の姿勢を維持可能であると好適である。
【0027】
姿勢維持機構により維持される中間揺動姿勢が1つのみである場合、第2部材の姿勢は、第1姿勢、第2姿勢、中間揺動姿勢の3つの姿勢から選択可能である。この場合、第2接続部位の位置として選択可能な位置の個数は3つである。
【0028】
ここで、上記の構成によれば、姿勢維持機構によって、複数の中間揺動姿勢で第2部材の姿勢を維持可能である。そのため、第2部材の姿勢は、第1姿勢、第2姿勢、複数の中間揺動姿勢の中から選択可能である。即ち、第2部材の姿勢として選択可能な姿勢の個数は4つ以上である。この場合、第2接続部位の位置として選択可能な位置の個数は4つ以上である。
【0029】
従って、姿勢維持機構により維持される中間揺動姿勢が1つのみである構成に比べて、第2接続部位の位置として選択可能な位置の個数が多くなる。これにより、リンク部及び第2ロッドの組み付け位置の誤差を適切に吸収しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】田植機の左側面図である。
図2】クラッチ操作機構及びリンク部に関する構成を示す右側面図である。
図3】クラッチ操作機構及びリンク部に関する構成を示す右側面図である。
図4】リンク部の構成を示す右側面図である。
図5】リンク部の構成を示す平面図である。
図6】操作ロッド及び操作部材に関する構成を示す右側面図である。
図7】操作ロッド及び操作部材に関する構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、図1から図7に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、図5及び図7に示す矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、図1から図4図6に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0032】
〔田植機の全体構成〕
図1に示すように、乗用型の田植機A(本発明に係る「作業機」に相当)は、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2を備えた機体3の後部に、リンク機構4が上下に揺動可能に支持されて後側に延出されており、リンク機構4を昇降操作する油圧シリンダ5が設けられている。
【0033】
苗植付装置6(本発明に係る「作業装置」に相当)が、リンク機構4の後部に支持されている。機体3の後部及び苗植付装置6に亘って、田面に肥料を供給する施肥装置7(本発明に係る「作業装置」に相当)が設けられている。
【0034】
機体3は、前後方向に沿った右及び左の機体フレーム60を有している。機体フレーム60の前部にミッションケース73が連結され、ミッションケース73の前部にエンジン34が支持されている。
【0035】
また、田植機Aには、作業者が着座可能な運転座席20と、操向操作が可能なステアリングホイール77が設けられている。
【0036】
〔苗植付装置の構成〕
図1に示すように、苗植付装置6に、植付伝動ケース9、回転ケース10、植付アーム11、フロート12、苗のせ台13等が設けられている。
【0037】
植付伝動ケース9の後部の右部及び左部に、回転ケース10が回転可能に支持され、回転ケース10に、植付アーム11が支持されている。苗のせ台13が、左右方向に往復移動可能に支持されている。
【0038】
エンジン34の動力が、ミッションケース73の内部の植付クラッチ21(本発明に係る「作業クラッチ」に相当)から、伝動軸35を介して、苗のせ台13及び回転ケース10に伝達される。この動力により、苗のせ台13が左右方向に往復横送り駆動される。また、回転ケース10が回転駆動され、植付アーム11が苗のせ台13の下部から交互に苗を取り出して田面に植え付ける。
【0039】
このように、田植機Aは、苗植付装置6と、苗植付装置6のクラッチである植付クラッチ21と、を備えている。
【0040】
〔施肥装置の構成〕
図1に示すように、施肥装置7に、ホッパー15、繰り出し部16、ブロア17、作溝器18及びホース19等が設けられている。
【0041】
機体3において運転座席20よりも後側に、肥料を貯留するホッパー15及び繰り出し部16が支持されており、繰り出し部16の左の横外側にブロア17が設けられている。
フロート12に作溝器18が取り付けられて、複数の作溝器18が設けられており、繰り出し部16と作溝器18とに亘って複数のホース19が接続されている。
【0042】
エンジン34の動力が、ミッションケース73の内部の施肥クラッチ22(本発明に係る「作業クラッチ」に相当)(図2参照)を介して、伝動アーム81に伝達される。伝動アーム81は、左の機体フレーム60を通って左外側に延出されており、左右方向の軸芯周りに回転駆動される。伝動アーム81と繰り出し部16とに亘って、伝動ロッド82が接続されており、伝動ロッド82は側面視で直線的に配置されている。
【0043】
エンジン34の動力が、施肥クラッチ22及び伝動アーム81を介して、伝動ロッド82に伝達され、伝動ロッド82が前後方向に押し引き駆動されて、繰り出し部16が駆動される。
【0044】
ホッパー15の肥料が、繰り出し部16により繰り出され、ブロア17の搬送風によりホース19を通って作溝器18に供給される。作溝器18により田面に溝が形成されながら、肥料が作溝器18から田面の溝に供給される。
【0045】
このように、田植機Aは、施肥装置7と、施肥装置7のクラッチである施肥クラッチ22と、を備えている。
【0046】
〔植付クラッチ及び施肥クラッチの操作について〕
図2に示すように、田植機Aは、クラッチ操作機構40と、リンク部41と、第1ロッド63と、第2ロッド65と、操作ロッド68(本発明に係る「クラッチ連係部」に相当)と、操作部材75(本発明に係る「クラッチ連係部」に相当)と、を備えている。
【0047】
また、ステアリングホイール77の近傍に、ポンパレバーPLが設けられている。
【0048】
図2及び図3に示すように、操作ロッド68は、上下方向に移動可能に構成されている。また、操作ロッド68は、植付クラッチ21に連係している。
【0049】
操作ロッド68が上方へ移動すると、植付クラッチ21は動力を遮断する状態となる。
即ち、このとき、植付クラッチ21は切状態となる。
【0050】
また、操作ロッド68が下方へ移動すると、植付クラッチ21は動力を伝達する状態となる。即ち、このとき、植付クラッチ21は入状態となる。
【0051】
また、操作部材75は、上下方向に沿う軸芯P11周りに揺動可能に構成されている。
また、操作部材75は、施肥クラッチ22に連係している。
【0052】
操作部材75が図7における反時計回り方向に揺動すると、施肥クラッチ22は動力を遮断する状態となる。即ち、このとき、施肥クラッチ22は切状態となる。
【0053】
また、操作部材75が図7における時計回り方向に揺動すると、施肥クラッチ22は動力を伝達する状態となる。即ち、このとき、施肥クラッチ22は入状態となる。
【0054】
尚、操作部材75の揺動は、本発明における「移動」に相当する。
【0055】
〔クラッチ操作機構の構成〕
図2に示すように、クラッチ操作機構40は、操作軸55と、操作ギヤ55aと、揺動アーム55cと、電気モータ56と、減速機構57と、を有している。
【0056】
操作軸55は、機体左右方向に延びている。また、操作ギヤ55a及び揺動アーム55cは、操作軸55に固定されている。そして、操作軸55と操作ギヤ55aと揺動アーム55cとは、機体左右方向に沿う軸芯P7周りに一体的に回転可能に構成されている。
【0057】
減速機構57は、ピニオンギヤ57aを有している。ピニオンギヤ57aは、操作ギヤ55aに咬合している。また、ポンパレバーPLの操作に応じて、電気モータ56が駆動する。そして、電気モータ56が駆動することにより、ピニオンギヤ57aが正逆に回転する。ピニオンギヤ57aの回転に伴って、操作軸55と操作ギヤ55aと揺動アーム55cとが、機体左右方向に沿う軸芯P7周りに一体的に回転する。
【0058】
以上の構成により、電気モータ56が駆動することによって、揺動アーム55cが、機体左右方向に沿う軸芯P7周りに揺動する。
【0059】
〔リンク部に関する構成〕
図2に示すように、リンク部41は、第1部材64及び第2部材86を有している。第1部材64は、第1長孔64a(本発明に係る「第1接続部位」に相当)を有している。
【0060】
また、第1ロッド63の後端部は、揺動アーム55cに接続している。即ち、第1ロッド63の後端部は、クラッチ操作機構40に接続している。
【0061】
図2及び図5に示すように、第1ロッド63の前端部には、第1挿入部63aが形成されている。第1挿入部63aは、左方へ延びている。そして、第1挿入部63aは、 第1長孔64aに挿入されている。即ち、第1長孔64aは、第1ロッド63が接続される部位である。
【0062】
この構成により、第1ロッド63の前端部は、リンク部41に接続している。
【0063】
また、第1部材64は、機体左右方向に沿う第1揺動軸芯P9周りに、機体3に対して揺動可能である。
【0064】
また、第2部材86は、機体左右方向に沿う第2揺動軸芯P12周りに、第1部材64に対して揺動可能である。また、図4に示すように、第2部材86は、第1部材64に対して第2揺動軸芯P12周りに揺動することにより、第1揺動姿勢と、第2揺動姿勢と、の間で姿勢変更可能である。尚、第2揺動軸芯P12は、第1揺動軸芯P9に並行である。
【0065】
また、第2部材86は、接続孔86a(本発明に係る「第2接続部位」に相当)と、調節孔90と、を有している。
【0066】
図5に示すように、第2ロッド65の後端部には、第2挿入部65bが形成されている。第2挿入部65bは、右方へ延びている。また、右の機体フレーム60には、第1開口部60aが形成されている。さらに、第1部材64において、第1開口部60aに対向する部分に、第2開口部64bが形成されている。そして、第2挿入部65bは、第1開口部60a及び第2開口部64bを通過すると共に、接続孔86aに挿入されている。即ち、接続孔86aは、第2ロッド65が接続される部位である。
【0067】
この構成により、第2ロッド65の後端部は、リンク部41に接続している。
【0068】
そして、以上の構成により、電気モータ56が正方向に駆動することによって、第1ロッド63が、後上方へ引っ張られる。即ち、クラッチ操作機構40によって、第1ロッド63は、第1ロッド63の後端側へ移動操作される。これに伴い、リンク部41は、第1揺動軸芯P9周りに揺動する。その結果、第2ロッド65は、後方へ引っ張られる。
【0069】
また、電気モータ56が逆方向に駆動することによって、第1ロッド63が、前下方へ押される。即ち、クラッチ操作機構40によって、第1ロッド63は、第1ロッド63の前端側へ移動操作される。これに伴い、リンク部41は、第1揺動軸芯P9周りに揺動する。その結果、第2ロッド65は、前方へ押される。
【0070】
〔植付クラッチ及び施肥クラッチに関する構成〕
図2図6図7に示すように、ミッションケース73の後部の内部に、植付クラッチ21が設けられている。植付クラッチ21を伝動位置及び遮断位置に操作する操作ロッド68が、上下方向にスライド可能にミッションケース73に支持されている。
【0071】
ミッションケース73における操作ロッド68の近傍部分に、上下方向及び前後方向に沿った平板状(リブ状)の一対の支持部83が設けられており、一方側及び他方側の支持部83の内面が、所定の間隔に開けられている。ピン状の支持軸84が設けられて、支持軸84の一方側の部分及び他方側の部分が、一方側及び他方側の支持部83により支持されている。
【0072】
板材が折り曲げられて構成された揺動リンク69が設けられている。揺動リンク69に、一方側のアーム基部69a、他方側のアーム基部69b、一方側及び他方側のアーム基部69a,69bに亘って接続された間隔部分69c、一方側及び他方側のアーム基部69a,69bから前側に延出されたアーム部69d、一方側のアーム基部69aから下側に延出された揺動部分69e、揺動部分69eに開口された長孔69f、間隔部分69cから延出された当たり部69gが設けられている。
【0073】
支持軸84における一方側及び他方側の支持部83の間の部分に、揺動リンク69の一方側及び他方側のアーム基部69a,69bが、支持軸84の軸芯P10周りに揺動可能に支持されている。また、揺動リンク69のアーム部69dが操作ロッド68の下部に接続されている。
【0074】
第2ロッド65の前端部には、第3挿入部65aが形成されている。第3挿入部65aは、揺動リンク69の長孔69fに挿入されている。
【0075】
即ち、第2ロッド65の前端部は、揺動リンク69を介して、操作ロッド68に接続している。
【0076】
以上の構成により、電気モータ56が駆動することによって、第2ロッド65は、前後方向に押し引き操作される。これに伴い、揺動リンク69は、軸芯P10周りに揺動する。
【0077】
揺動リンク69が軸芯P10周りに揺動操作されることにより、操作ロッド68(植付クラッチ21)が伝動位置及び遮断位置に操作される。揺動リンク69が遮断位置に操作された際に、揺動リンク69の当たり部69gが他方側の支持部83に当たり、揺動リンク69の伝動位置を越えての揺動が阻止される。
【0078】
このように、クラッチ操作機構40は、第1ロッド63、リンク部41、第2ロッド65を介して操作ロッド68を移動させる。
【0079】
また、揺動リンク69に、第1バネ71が接続されている。第1バネ71により揺動リンク69が図6の反時計回り方向に付勢されている。即ち、操作ロッド68及び揺動リンク69、植付クラッチ21が、第1バネ71により遮断位置に付勢されている。
【0080】
揺動リンク69の間隔部分69cによって、揺動リンク69の一方側及び他方側のアーム基部69a,69bの外面の間隔が所定の間隔に維持されている。これにより、揺動リンク69が揺動操作される際に、揺動リンク69の一方側及び他方側のアーム基部69a,69bの外面が、一方側及び他方側の支持部83の内面に接触しながら摺動する。
【0081】
このことについて言い換えると、揺動リンク69の一方側及び他方側のアーム基部69a,69bの支持軸84の軸芯P10に沿った方向での間隔が、揺動リンク69の一方側のアーム基部69aが一方側の支持部83に接触し、且つ、揺動リンク69の他方側のアーム基部69bが他方側の支持部83に接触する間隔に維持されるように、揺動リンク69の間隔部分69cが設けられている。
【0082】
また、田植機Aは、板材が折り曲げられて構成された連係部材70を備えている。
【0083】
連係部材70に、一方側の連係部材部分70a、他方側の連係部材部分70b、一方側及び他方側の連係部材部分70a,70bに亘って接続された連係部材間隔部分70c、一方側の連係部材部分70aから下側に延出された連係部材揺動部分70e、連係部材揺動部分70eに設けられた接続部70d、連係部材揺動部分70eに開口された長孔70fが設けられている。
【0084】
支持軸84における一方側の支持部83に対して揺動リンク69の反対側の外側の部分に、連係部材70の一方側の連係部材部分70aが、支持軸84の軸芯P10周りに揺動可能に支持されている。支持軸84における他方側の支持部83に対して揺動リンク69の反対側の外側の部分に、連係部材70の他方側の連係部材部分70bが、支持軸84の軸芯P10周りに揺動可能に支持されている。
【0085】
連係部材70の連係部材間隔部分70cにより、連係部材70の一方側及び他方側の連係部材部分70a,70bの内面の間隔が、一方側及び他方側の支持部83の外面の所定の間隔に維持されている。これにより、連係部材70が揺動操作される際に、連係部材70の一方側及び他方側の連係部材部分70a,70bの内面が、一方側及び他方側の支持部83の外面に接触しながら摺動する。
【0086】
このことについて言い換えると、連係部材70の一方側及び他方側の連係部材部分70a,70bの支持軸84の軸芯P10に沿った方向での間隔が、連係部材70の一方側の連係部材部分70aが一方側の支持部83に接触し、且つ、連係部材70の他方側の連係部材部分70bが他方側の支持部83に接触する間隔に維持されるように、連係部材70の連係部材間隔部分70cが設けられている。
【0087】
また、揺動リンク69の揺動部分69eと、連係部材70の連係部材揺動部分70eとが隣接している。そして、第3挿入部65aが、揺動リンク69の長孔69fと、連係部材70の長孔70fとに亘って挿入されている。
【0088】
第3挿入部65aにおいて、揺動リンク69の揺動部分69eと、連係部材70の連係部材揺動部分70eとの間の部分に、スペーサ85が取り付けられている。これにより、揺動リンク69の揺動部分69eと連係部材70の連係部材揺動部分70eとの間隔が、スペーサ85の幅に維持されている。
【0089】
図2図6図7に示すように、ミッションケース73の後部に、施肥クラッチ22が設けられている。
【0090】
施肥クラッチ22を伝動位置及び遮断位置に操作する操作部材75が、施肥クラッチ22の下部において、上下方向の軸芯P11周りに揺動可能に支持されている。連係部材70の接続部70dと操作部材75とに亘って、ロッド状の連係部76が接続されている。
【0091】
即ち、第2ロッド65の前端部は、連係部材70及び連係部76を介して、操作部材75に接続している。
【0092】
以上の構成により、電気モータ56が駆動することによって、第2ロッド65は、前後方向に押し引き操作される。これに伴い、連係部材70は、軸芯P10周りに揺動する。
【0093】
連係部材70が軸芯P10周りに揺動操作されることにより、操作部材75(施肥クラッチ22)が伝動位置及び遮断位置に操作される。
【0094】
このように、クラッチ操作機構40は、第1ロッド63、リンク部41、第2ロッド65を介して 操作部材75を移動させる。
【0095】
また、クラッチ操作機構40によって、第1ロッド63が第1ロッド63の後端側または前端側へ移動操作された場合、リンク部41が第1揺動軸芯P9周りに揺動することにより、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22の入切状態が変化する。
【0096】
操作部材75に第2バネ72が接続されている。第2バネ72により操作部材75が図7の反時計回り方向に付勢されている。これにより、操作部材75及び施肥クラッチ22が、第2バネ72により遮断位置に付勢されている。
【0097】
〔接続孔の位置を変化させる機構〕
図4に示すように、第2部材86が第1部材64に対して揺動することにより、リンク部41における接続孔86aの位置が変化する。第2部材86が第1揺動姿勢である場合、接続孔86aは、リンク部41において第1位置Q1に位置している。また、第2部材86が第2揺動姿勢である場合、接続孔86aは、リンク部41において第2位置Q2に位置している。
【0098】
また、図4及び図5に示すように、田植機Aは、姿勢維持機構AMを備えている。姿勢維持機構AMは、貫通孔64c、固定ボルト87、調節孔90を含んでいる。
【0099】
調節孔90は、第2部材86に形成されている。調節孔90は、第2揺動軸芯P12を中心とする円弧に沿って連続して並ぶ第1孔91、第2孔92、第3孔93、第4孔94、第5孔95、第6孔96により構成されている。
【0100】
また、図5に示すように、貫通孔64cは、第1部材64に形成されている。そして、固定ボルト87が、調節孔90及び貫通孔64cに挿入されている。これにより、第1部材64に対する第2部材86の揺動姿勢が固定されることとなる。即ち、姿勢維持機構AMは、第2部材86の揺動姿勢を維持する。また、固定ボルト87を取り外すことにより、第1部材64に対する第2部材86の揺動姿勢を変更することが可能となる。
【0101】
作業者は、第2部材86を第1部材64に対して揺動させることにより、第1孔91、第2孔92、第3孔93、第4孔94、第5孔95、第6孔96のうちの何れかを、貫通孔64cに対向する位置に位置させる。そして、作業者が固定ボルト87を取り付けることにより、第1部材64に対する第2部材86の揺動姿勢が固定される。
【0102】
例えば、作業者が、第2部材86を第1揺動姿勢にすると、第1孔91が貫通孔64cに対向する状態となる。この状態で、作業者が固定ボルト87を取り付けることにより、第2部材86は第1揺動姿勢で固定される。
【0103】
また、作業者が、第2部材86を第2揺動姿勢にすると、第6孔96が貫通孔64cに対向する状態となる。この状態で、作業者が固定ボルト87を取り付けることにより、第2部材86は第2揺動姿勢で固定される。
【0104】
即ち、固定ボルト87が第1孔91及び貫通孔64cに挿入されている状態において、第2部材86は第1揺動姿勢である。また、固定ボルト87が第6孔96及び貫通孔64cに挿入されている状態において、第2部材86は第2揺動姿勢である。
【0105】
この構成により、作業者は、固定ボルト87を取り外し、第2部材86を第1揺動姿勢とした後、固定ボルト87を第1孔91及び貫通孔64cに挿入した状態で取り付けることにより、接続孔86aの位置を第1位置Q1に固定することができる。
【0106】
また、作業者は、固定ボルト87を取り外し、第2部材86を第2揺動姿勢とした後、固定ボルト87を第6孔96及び貫通孔64cに挿入した状態で取り付けることにより、接続孔86aの位置を第2位置Q2に固定することができる。尚、第2位置Q2は、第1位置Q1とは異なる位置である。
【0107】
即ち、リンク部41において第2ロッド65が接続される位置は、第1位置Q1と、第1位置Q1とは異なる第2位置Q2と、から選択可能である。
【0108】
ここで、図4に示すように、第1位置Q1及び第2位置Q2は何れも、必然的に、第2揺動軸芯P12を中心とする1つの円弧である第1円弧C1上に位置することとなる。
【0109】
また、図4には、第1揺動軸芯P9を中心とする1つの円弧である第2円弧C2が示されている。第1孔91及び第6孔96は、第1位置Q1及び第2位置Q2が、何れも第2円弧C2上に位置するように形成されている。即ち、第1位置Q1及び第2位置Q2は、第1円弧C1と第2円弧C2との2つの交点に位置している。
【0110】
このように、第1位置Q1及び第2位置Q2は、第1揺動軸芯P9を中心とする1つの円弧である第2円弧C2上に位置している。
【0111】
また、図4に示すように、固定ボルト87が第2孔92、第3孔93、第4孔94、第5孔95の何れかに挿入されている場合、第2部材86の姿勢は、姿勢維持機構AMにより、中間揺動姿勢で維持されることとなる。尚、中間揺動姿勢とは、第1揺動姿勢からの揺動角度が第2揺動姿勢よりも小さい姿勢である。
【0112】
例えば、固定ボルト87が第3孔93及び貫通孔64cに挿入されている状態において、第2部材86は第3揺動姿勢である。尚、第1揺動姿勢から第3揺動姿勢までの揺動角度は、第1揺動姿勢から第2揺動姿勢までの揺動角度よりも小さい。即ち、第3揺動姿勢は中間姿勢である。
【0113】
そして、第2部材86が第3揺動姿勢である場合、接続孔86aは、リンク部41において第3位置Q3に位置している。第3位置Q3は、第1位置Q1及び第2位置Q2の何れとも異なる位置である。
【0114】
また、固定ボルト87が第4孔94及び貫通孔64cに挿入されている状態において、第2部材86は第4揺動姿勢である。尚、第1揺動姿勢から第4揺動姿勢までの揺動角度は、第1揺動姿勢から第2揺動姿勢までの揺動角度よりも小さい。即ち、第4揺動姿勢は中間姿勢である。また、第1揺動姿勢から第4揺動姿勢までの揺動角度は、第1揺動姿勢から第3揺動姿勢までの揺動角度よりも大きい。
【0115】
そして、第2部材86が第4揺動姿勢である場合、接続孔86aは、リンク部41において第4位置Q4に位置している。第4位置Q4は、第1位置Q1、第2位置Q2、第3位置Q3の何れとも異なる位置である。
【0116】
このように、姿勢維持機構AMは、中間揺動姿勢で第2部材86の姿勢を維持する。また、姿勢維持機構AMは、第1揺動姿勢からの揺動角度が互いに異なる複数の中間揺動姿勢で第2部材86の姿勢を維持可能である。
【0117】
以上の構成により、本実施形態では、リンク部41において第2ロッド65が接続される位置は、第1孔91、第2孔92、第3孔93、第4孔94、第5孔95、第6孔96に対応する6つの異なる位置から選択可能である。
【0118】
以上で説明した構成によれば、第1位置Q1と第1揺動軸芯P9と間の距離は、第2位置Q2と第1揺動軸芯P9と間の距離に等しい。そのため、クラッチ操作機構40が操作ロッド68及び操作部材75を移動させるために必要なトルクは、第1位置Q1に第2ロッド65が接続された状態と、第2位置Q2に第2ロッド65が接続された状態と、の間で等しい。
【0119】
従って、第1位置Q1または第2位置Q2に第2ロッド65が接続された状態において必要となるトルクを基準にしてクラッチ操作機構40が設計されていれば、第1位置Q1及び第2位置Q2の何れに第2ロッド65が接続されていても、操作ロッド68及び操作部材75に作用する応力は適切な大きさとなり、且つ、クラッチ操作機構40にかかる負荷は適切な大きさとなる。
【0120】
即ち、以上で説明した構成であれば、操作ロッド68及び操作部材75に作用する応力が過大となる事態、及び、クラッチ操作機構40にかかる負荷が過大となる事態を回避しやすい田植機Aを実現できる。
【0121】
尚、以上に記載した実施形態は一例に過ぎないのであり、本発明はこれに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0122】
〔その他の実施形態〕
(1)クラッチ操作機構40は、電気モータ56を有していなくても良い。例えば、クラッチ操作機構40は、人為操作されるレバーと、このレバーに作用する人為操作力を第1ロッド63に伝達する伝達機構と、により構成されていても良い。
【0123】
(2)施肥装置7は設けられていなくても良い。即ち、施肥クラッチ22は設けられていなくても良い。
【0124】
(3)姿勢維持機構AMによって維持可能な第2部材86の中間揺動姿勢が1つのみであっても良い。例えば、姿勢維持機構AMによって維持可能な第2部材86の姿勢が、第1揺動姿勢と、第2揺動姿勢と、第3揺動姿勢と、の3つのみであっても良い。
【0125】
(4)姿勢維持機構AMは、第2部材86の姿勢を中間揺動姿勢で維持できないように構成されていても良い。
【0126】
(5)第2部材86は、第1部材64に対して揺動不能であっても良い。この場合、第2部材86において、第2ロッド65の接続される孔を複数設けると共に、それらの孔が、第2円弧C2上に位置するように構成されていても良い。
【0127】
(6)リンク部41は、単一の部材により構成されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、田植機だけではなく、普通型コンバイン、自脱型コンバイン、トラクタ、建設作業機等の種々の作業機に利用可能である。
【符号の説明】
【0129】
3 機体
6 苗植付装置(作業装置)
7 施肥装置(作業装置)
21 植付クラッチ(作業クラッチ)
22 施肥クラッチ(作業クラッチ)
40 クラッチ操作機構
41 リンク部
63 第1ロッド
64 第1部材
64a 第1長孔(第1接続部位)
65 第2ロッド
68 操作ロッド(クラッチ連係部)
75 操作部材(クラッチ連係部)
86 第2部材
86a 接続孔(第2接続部位)
A 田植機(作業機)
AM 姿勢維持機構
C2 第2円弧(円弧)
P12 第2揺動軸芯
P9 第1揺動軸芯
Q1 第1位置
Q2 第2位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7