(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】無線通信システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 76/11 20180101AFI20230104BHJP
H04W 76/12 20180101ALI20230104BHJP
H04W 88/18 20090101ALI20230104BHJP
【FI】
H04W76/11
H04W76/12
H04W88/18
(21)【出願番号】P 2019068239
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 拓也
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-195164(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0249389(US,A1)
【文献】国際公開第2018/078987(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
H04B 7/24-7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末と無線により接続される基地局と、
前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うコア設備と、
前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うサーバとを備える無線通信システムにおいて、
前記コア設備は、前記ユーザ端末に通知した当該ユーザ端末の端末アドレスと、前記端末アドレスに対応する通信識別情報であって前記基地局に通知した前記通信識別情報とに基づいて、前記ユーザ端末と前記無線通信システムの外部の通信ネットワークとの間の通信を中継する、前記無線通信システムであって、
ユーザ端末が前記コア設備から当該ユーザ端末の端末アドレスを通知してもらうときに実行する所定の手順により前記コア設備から端末アドレスを取得し、取得した端末アドレスを前記サーバへ通知するアドレス取得部と、
前記アドレス取得部が前記コア設備から取得した端末アドレスに対応する通信識別情報を取得し、取得した通信識別情報を前記サーバへ通知する通信識別情報取得部と、を備え、
前記サーバは、前記アドレス取得部から受信した端末アドレスと前記通信識別情報取得部から受信した通信識別情報とを使用して、前記コア設備を介して、前記無線通信システムの外部の通信ネットワークを利用する通信を行う、
無線通信システムであり、
前記サーバは、通信部を備え、
前記通信部は、前記アドレス取得部から受信した端末アドレスを送信元アドレスに使用したIP通信のIPパケットを、前記通信識別情報取得部から受信した通信識別情報を使用したGTP(GPRS Tunnelling Protocol)-U(User plane)通信によって、自サーバと前記コア設備との間で転送
し、
前記アドレス取得部は、前記基地局に接続し、前記基地局を介して、前記コア設備に対してユーザ端末認証接続手順を実行することにより前記コア設備から端末アドレスを取得する、仮想ユーザ端末である、
無線通信システム。
【請求項2】
前記コア設備と前記基地局との間の通信は、GTP(GPRS Tunnelling Protocol)により行われる通信であり、
前記端末アドレスは、IP(Internet Protocol)アドレスであり、
前記通信識別情報は、TEID(Tunnel Endpoint Identifiers)であり、
前記サーバは、前記アドレス取得部から受信したIPアドレスと前記通信識別情報取得部から受信したTEIDとを使用して、GTPにより前記コア設備を介して、前記無線通信システムの外部の通信ネットワークを利用する通信を行う、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記アドレス取得部が前記コア設備から取得したIPアドレスが使用されるIP通信において、前記アドレス取得部が使用するTCP/UDP送信元ポート番号と前記サーバが使用するTCP/UDP送信元ポート番号とが異なる、
請求項1又は2のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記通信識別情報取得部は、前記基地局と前記コア設備との間で伝送される通信データから、前記アドレス取得部が前記コア設備から取得した端末アドレスに対応する通信識別情報を取得する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項5】
前記サーバは、MEC(Multi-access Edge Computing)サーバである、
請求項1から4のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項6】
ユーザ端末と無線により接続される基地局と、
前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うコア設備と、
前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うサーバとを備える無線通信システムにおいて、
前記コア設備は、前記ユーザ端末に通知した当該ユーザ端末の端末アドレスと、前記端末アドレスに対応する通信識別情報であって前記基地局に通知した前記通信識別情報とに基づいて、前記ユーザ端末と前記無線通信システムの外部の通信ネットワークとの間の通信を中継する、前記無線通信システムの通信方法であって、
アドレス取得部が、ユーザ端末が前記コア設備から当該ユーザ端末の端末アドレスを通知してもらうときに実行する所定の手順により前記コア設備から端末アドレスを取得し、取得した端末アドレスを前記サーバへ通知するアドレス取得ステップと、
通信識別情報取得部が、前記アドレス取得部が前記コア設備から取得した端末アドレスに対応する通信識別情報を取得し、取得した通信識別情報を前記サーバへ通知する通信識別情報取得ステップと、
前記サーバが、前記アドレス取得部から受信した端末アドレスと前記通信識別情報取得部から受信した通信識別情報とを使用して、前記コア設備を介して、前記無線通信システムの外部の通信ネットワークを利用する通信を行う通信ステップと、
を含む通信方法であり、
前記通信ステップは、前記アドレス取得部から受信した端末アドレスを送信元アドレスに使用したIP通信のIPパケットを、前記通信識別情報取得部から受信した通信識別情報を使用したGTP(GPRS Tunnelling Protocol)-U(User plane)通信によって、自サーバと前記コア設備との間で転送
し、
前記アドレス取得部は、前記基地局に接続し、前記基地局を介して、前記コア設備に対してユーザ端末認証接続手順を実行することにより前記コア設備から端末アドレスを取得する、仮想ユーザ端末である、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動通信網(Mobile Network)において、ユーザ端末(User Equipment:UE)により近い場所でアプリケーション等のサービスをUEに提供するためのMEC(Multi-access Edge Computing)技術が知られている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1には、ETSI(European Telecommunications Standards Institute)によるMEC標準化技術が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】ETSI White Paper No. 24、“MEC Deployments in 4G and Evolution Towards 5G”、[平成31年3月13日検索]、インターネット<URL:https://www.etsi.org/images/files/ETSIWhitePapers/etsi_wp24_MEC_deployment_in_4G_5G_FINAL.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来のMEC標準化技術の「Bump in the wire」方式において、MECサーバは移動通信網の内部に配置されるが、MECサーバが移動通信網の外部のインターネット等の通信ネットワークを利用する通信を行うことが難しい場合があった。この理由は、移動通信網の内部と外部との間の通信を中継する移動通信網の内部のコア設備が、MECサーバとの認証及び接続を行う機能を有していないために、MECサーバがコア設備を介して移動通信網の外部の通信ネットワークを利用する通信を行うことができないからである。この問題の解決方法として、MECサーバと移動通信網の外部の通信ネットワーク例えばインターネットとの間を専用回線で接続することにより、MECサーバがコア設備を介さずにインターネットを利用する通信を行うことはできる。しかしながら、当該専用回線を設けることにより、コストアップや運用形態の複雑化等の新たな問題が生じる可能性があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、無線通信システムの内部のMECサーバ等のサーバが当該無線通信システムの外部のインターネット等の通信ネットワークを利用する通信を行うことを、当該サーバと当該外部の通信ネットワークとの間に専用回線を設けることなく実現することを図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、ユーザ端末と無線により接続される基地局と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うコア設備と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うサーバとを備える無線通信システムにおいて、前記コア設備は、前記ユーザ端末に通知した当該ユーザ端末の端末アドレスと、前記端末アドレスに対応する通信識別情報であって前記基地局に通知した前記通信識別情報とに基づいて、前記ユーザ端末と前記無線通信システムの外部の通信ネットワークとの間の通信を中継する、前記無線通信システムであって、ユーザ端末が前記コア設備から当該ユーザ端末の端末アドレスを通知してもらうときに実行する所定の手順により前記コア設備から端末アドレスを取得し、取得した端末アドレスを前記サーバへ通知するアドレス取得部と、前記アドレス取得部が前記コア設備から取得した端末アドレスに対応する通信識別情報を取得し、取得した通信識別情報を前記サーバへ通知する通信識別情報取得部と、を備え、前記サーバは、前記アドレス取得部から受信した端末アドレスと前記通信識別情報取得部から受信した通信識別情報とを使用して、前記コア設備を介して、前記無線通信システムの外部の通信ネットワークを利用する通信を行う、無線通信システムであり、前記サーバは、通信部を備え、前記通信部は、前記アドレス取得部から受信した端末アドレスを送信元アドレスに使用したIP通信のIPパケットを、前記通信識別情報取得部から受信した通信識別情報を使用したGTP(GPRS Tunnelling Protocol)-U(User plane)通信によって、自サーバと前記コア設備との間で転送し、前記アドレス取得部は、前記基地局に接続し、前記基地局を介して、前記コア設備に対してユーザ端末認証接続手順を実行することにより前記コア設備から端末アドレスを取得する、仮想ユーザ端末である、無線通信システムである。
(2)本発明の一態様は、前記コア設備と前記基地局との間の通信は、GTP(GPRS Tunnelling Protocol)により行われる通信であり、前記端末アドレスは、IP(Internet Protocol)アドレスであり、前記通信識別情報は、TEID(Tunnel Endpoint Identifiers)であり、前記サーバは、前記アドレス取得部から受信したIPアドレスと前記通信識別情報取得部から受信したTEIDとを使用して、GTPにより前記コア設備を介して、前記無線通信システムの外部の通信ネットワークを利用する通信を行う、上記(1)の無線通信システムである。
(3)本発明の一態様は、前記アドレス取得部が前記コア設備から取得したIPアドレスが使用されるIP通信において、前記アドレス取得部が使用するTCP/UDP送信元ポート番号と前記サーバが使用するTCP/UDP送信元ポート番号とが異なる、上記(1)又は(2)のいずれかの無線通信システムである。
(4)本発明の一態様は、前記通信識別情報取得部は、前記基地局と前記コア設備との間で伝送される通信データから、前記アドレス取得部が前記コア設備から取得した端末アドレスに対応する通信識別情報を取得する、上記(1)から(3)のいずれかの無線通信システムである。
(5)本発明の一態様は、前記サーバは、MEC(Multi-access Edge Computing)サーバである、上記(1)から(4)のいずれかの無線通信システムである。
【0007】
(6)本発明の一態様は、ユーザ端末と無線により接続される基地局と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うコア設備と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うサーバとを備える無線通信システムにおいて、前記コア設備は、前記ユーザ端末に通知した当該ユーザ端末の端末アドレスと、前記端末アドレスに対応する通信識別情報であって前記基地局に通知した前記通信識別情報とに基づいて、前記ユーザ端末と前記無線通信システムの外部の通信ネットワークとの間の通信を中継し、前記無線通信システムにおいて前記コア設備とは別個に設けられる前記サーバであって、ユーザ端末が前記コア設備から当該ユーザ端末の端末アドレスを通知してもらうときに実行する所定の手順によりアドレス取得部が前記コア設備から取得した端末アドレスを前記アドレス取得部から受信するアドレス受信部と、前記アドレス受信部が前記アドレス取得部から受信した端末アドレスに対応する通信識別情報を通信識別情報取得部から受信する通信識別情報受信部と、前記アドレス取得部から受信した端末アドレスと前記通信識別情報取得部から受信した通信識別情報とを使用して、前記コア設備を介して、前記無線通信システムの外部の通信ネットワークを利用する通信を行う通信部と、を備え、前記通信部は、前記アドレス取得部から受信した端末アドレスを送信元アドレスに使用したIP通信のIPパケットを、前記通信識別情報取得部から受信した通信識別情報を使用したGTP(GPRS Tunnelling Protocol)-U(User plane)通信によって、自サーバと前記コア設備との間で転送する、サーバである。
(7)本発明の一態様は、ユーザ端末と無線により接続される基地局と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うコア設備と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うサーバとを備える無線通信システムにおいて、前記コア設備は、前記ユーザ端末に通知した当該ユーザ端末の端末アドレスと、前記端末アドレスに対応する通信識別情報であって前記基地局に通知した前記通信識別情報とに基づいて、前記ユーザ端末と前記無線通信システムの外部の通信ネットワークとの間の通信を中継し、前記無線通信システムにおいて前記コア設備とは別個に設けられる前記サーバのコンピュータに、ユーザ端末が前記コア設備から当該ユーザ端末の端末アドレスを通知してもらうときに実行する所定の手順によりアドレス取得部が前記コア設備から取得した端末アドレスを前記アドレス取得部から受信するアドレス受信ステップと、前記アドレス受信ステップが前記アドレス取得部から受信した端末アドレスに対応する通信識別情報を通信識別情報取得部から受信する通信識別情報受信ステップと、前記アドレス取得部から受信した端末アドレスと前記通信識別情報取得部から受信した通信識別情報とを使用して、前記コア設備を介して、前記無線通信システムの外部の通信ネットワークを利用する通信を行う通信ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記通信ステップは、前記アドレス取得部から受信した端末アドレスを送信元アドレスに使用したIP通信のIPパケットを、前記通信識別情報取得部から受信した通信識別情報を使用したGTP(GPRS Tunnelling Protocol)-U(User plane)通信によって、自サーバと前記コア設備との間で転送する、コンピュータプログラムである。
【0008】
(8)本発明の一態様は、ユーザ端末と無線により接続される基地局と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うコア設備と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うサーバとを備える無線通信システムにおいて、前記コア設備は、前記ユーザ端末に通知した当該ユーザ端末の端末アドレスと、前記端末アドレスに対応する通信識別情報であって前記基地局に通知した前記通信識別情報とに基づいて、前記ユーザ端末と前記無線通信システムの外部の通信ネットワークとの間の通信を中継する、前記無線通信システムのサーバ支援装置であって、ユーザ端末が前記コア設備から当該ユーザ端末の端末アドレスを通知してもらうときに実行する所定の手順により前記コア設備から端末アドレスを取得し、取得した端末アドレスを前記サーバへ通知するアドレス取得部、を備えるサーバ支援装置である。
(9)本発明の一態様は、前記コア設備と前記基地局との間の通信は、GTP(GPRS Tunnelling Protocol)により行われる通信であり、前記端末アドレスは、IP(Internet Protocol)アドレスであり、前記通信識別情報は、TEID(Tunnel Endpoint Identifiers)であり、前記サーバは、前記アドレス取得部から受信したIPアドレスと通信識別情報取得部から受信したTEIDとを使用して、GTPにより前記コア設備を介して、前記無線通信システムの外部の通信ネットワークを利用する通信を行い、前記サーバ支援装置は、前記アドレス取得部が前記コア設備から取得したIPアドレスが使用されるIP通信に使用されるTCP/UDP送信元ポート番号を管理するポート番号管理部をさらに備え、前記ポート番号管理部は、前記アドレス取得部が前記コア設備から取得したIPアドレスが使用されるIP通信において、前記アドレス取得部が使用するTCP/UDP送信元ポート番号と前記サーバが使用するTCP/UDP送信元ポート番号とを異なるものにする、上記(8)のサーバ支援装置である。
(10)本発明の一態様は、ユーザ端末と無線により接続される基地局と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うコア設備と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うサーバとを備える無線通信システムにおいて、前記コア設備は、前記ユーザ端末に通知した当該ユーザ端末の端末アドレスと、前記端末アドレスに対応する通信識別情報であって前記基地局に通知した前記通信識別情報とに基づいて、前記ユーザ端末と前記無線通信システムの外部の通信ネットワークとの間の通信を中継する、前記無線通信システムのサーバ支援装置のコンピュータに、ユーザ端末が前記コア設備から当該ユーザ端末の端末アドレスを通知してもらうときに実行する所定の手順により前記コア設備から端末アドレスを取得し、取得した端末アドレスを前記サーバへ通知するアドレス取得ステップ、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0009】
(11)本発明の一態様は、ユーザ端末と無線により接続される基地局と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うコア設備と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うサーバとを備える無線通信システムにおいて、前記コア設備は、前記ユーザ端末に通知した当該ユーザ端末の端末アドレスと、前記端末アドレスに対応する通信識別情報であって前記基地局に通知した前記通信識別情報とに基づいて、前記ユーザ端末と前記無線通信システムの外部の通信ネットワークとの間の通信を中継する、前記無線通信システムのサーバ支援装置であって、ユーザ端末が前記コア設備から当該ユーザ端末の端末アドレスを通知してもらうときに実行する所定の手順によりアドレス取得部が前記コア設備から取得した端末アドレスに対応する通信識別情報を取得し、取得した通信識別情報を前記サーバへ通知する通信識別情報取得部、を備えるサーバ支援装置である。
(12)本発明の一態様は、前記通信識別情報取得部は、前記基地局と前記コア設備との間で伝送される通信データから、前記アドレス取得部が前記コア設備から取得した端末アドレスに対応する通信識別情報を取得する、上記(11)のサーバ支援装置である。
(13)本発明の一態様は、ユーザ端末と無線により接続される基地局と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うコア設備と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うサーバとを備える無線通信システムにおいて、前記コア設備は、前記ユーザ端末に通知した当該ユーザ端末の端末アドレスと、前記端末アドレスに対応する通信識別情報であって前記基地局に通知した前記通信識別情報とに基づいて、前記ユーザ端末と前記無線通信システムの外部の通信ネットワークとの間の通信を中継する、前記無線通信システムのサーバ支援装置のコンピュータに、ユーザ端末が前記コア設備から当該ユーザ端末の端末アドレスを通知してもらうときに実行する所定の手順によりアドレス取得部が前記コア設備から取得した端末アドレスに対応する通信識別情報を取得し、取得した通信識別情報を前記サーバへ通知する通信識別情報取得ステップ、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0010】
本発明の一態様は、ユーザ端末と無線により接続される基地局と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うコア設備と、前記基地局を介して前記ユーザ端末と通信を行うサーバとを備える無線通信システムにおいて、前記コア設備は、前記ユーザ端末に通知した当該ユーザ端末の端末アドレスと、前記端末アドレスに対応する通信識別情報であって前記基地局に通知した前記通信識別情報とに基づいて、前記ユーザ端末と前記無線通信システムの外部の通信ネットワークとの間の通信を中継する、前記無線通信システムの通信方法であって、アドレス取得部が、ユーザ端末が前記コア設備から当該ユーザ端末の端末アドレスを通知してもらうときに実行する所定の手順により前記コア設備から端末アドレスを取得し、取得した端末アドレスを前記サーバへ通知するアドレス取得ステップと、通信識別情報取得部が、前記アドレス取得部が前記コア設備から取得した端末アドレスに対応する通信識別情報を取得し、取得した通信識別情報を前記サーバへ通知する通信識別情報取得ステップと、前記サーバが、前記アドレス取得部から受信した端末アドレスと前記通信識別情報取得部から受信した通信識別情報とを使用して、前記コア設備を介して、前記無線通信システムの外部の通信ネットワークを利用する通信を行う通信ステップと、を含む通信方法であり、前記通信ステップは、前記アドレス取得部から受信した端末アドレスを送信元アドレスに使用したIP通信のIPパケットを、前記通信識別情報取得部から受信した通信識別情報を使用したGTP(GPRS Tunnelling Protocol)-U(User plane)通信によって、自サーバと前記コア設備との間で転送し、前記アドレス取得部は、前記基地局に接続し、前記基地局を介して、前記コア設備に対してユーザ端末認証接続手順を実行することにより前記コア設備から端末アドレスを取得する、仮想ユーザ端末である、通信方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無線通信システムの内部のMECサーバ等のサーバが当該無線通信システムの外部のインターネット等の通信ネットワークを利用する通信を行うことを、当該サーバと当該外部の通信ネットワークとの間に専用回線を設けることなく実現することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係るMECサーバの構成例を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る仮想UEの構成例を示すブロック図である。
【
図4】一実施形態に係る仮想基地局の構成例を示すブロック図である。
【
図5】一実施形態に係る通信方法の手順の例を示すシーケンス図である。
【
図6】一実施形態に係る無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
【
図7】一実施形態に係る通信方法の手順の例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示される無線通信システム1は、移動通信網(Mobile Network)を実現するものである。無線通信システム1は、基地局3と、パケットフィルタリング装置4と、コア設備5と、MEC(Multi-access Edge Computing)システム10と、を備える。MECシステム10は、MECサーバ20と、仮想ユーザ端末(仮想UE)30と、仮想基地局40とを備える。
【0015】
無線通信システム1は、自己の外部の通信ネットワークに接続される。本実施形態では、無線通信システム1の外部の通信ネットワークとして、インターネット(Internet)100を例に挙げて説明する。無線通信システム1はインターネット100に接続される。
【0016】
無線通信システム1において、基地局3は、UE2と無線により接続される。パケットフィルタリング装置4は、基地局3とコア設備5とMECシステム10の間に設けられる。パケットフィルタリング装置4は、通信データを転送する通信データ転送機能を有する。パケットフィルタリング装置4は、基地局3とコア設備5の間で伝送される通信データからMECシステム10に転送する通信データを抽出してMECシステム10へ転送する。また、パケットフィルタリング装置4は、MECシステム10から送信された通信データを、基地局3又はコア設備5へ転送する。
【0017】
コア設備5は、無線通信システム1の内部と外部との間の通信を中継する機能を有する。
図1の例では、コア設備5は、無線通信システム1の内部とインターネット100との間の通信を中継する。コア設備5は、基地局3を介してUE2と通信を行う。コア設備5は、UEとの認証及び接続を行う機能を有する。UE2は、コア設備5に対して所定の認証及び接続の手順(以下、UE認証接続手順と称する)を実行してコア設備5と接続することにより、コア設備5を介して、インターネット100を利用する通信を行うことができる。UE認証接続手順は、3GPP(3rd Generation Partnership Project)で規定される既知の手順である。
【0018】
本実施形態では、コア設備5と基地局3との間の通信として、GTP(GPRS Tunnelling Protocol)により行われるGTP通信を例に挙げて説明する。ユーザプレーン(User plane)の通信は、GTP-U(GTP-User plane)における通信(GTP-U通信)である。UE2は、コア設備5に対してUE認証接続手順を実行する。コア設備5は、当該UE2のUE認証接続手順に対応する認証及び接続の手順により、当該UE2の端末アドレスであるIP(Internet Protocol)アドレス(以下、端末IPアドレスと称する)を当該UE2へ通知する。また、当該UE2の端末IPアドレスに対応する「GTP-U TEID(Tunnel Endpoint Identifiers)」を、当該UE2が接続する基地局3へ通知する。本実施形態において、TEIDは通信識別情報に対応する。
【0019】
UE2は、コア設備5から受信した端末IPアドレスを送信元アドレスに使用したIP通信を行う。このUE2のIP通信のIPパケットは、基地局3がコア設備5から受信した「GTP-U TEID」を使用したGTP-U通信によって、基地局3とコア設備5との間で転送される。コア設備5は、当該GTP-U通信によって基地局3との間で転送されるインターネット100向けのUE2のIP通信のIPパケットを、インターネット100に中継する。これにより、UE2は、コア設備5を介して、インターネット100を利用する通信を行うことができる。
【0020】
MECシステム10において、仮想UE30は仮想基地局40に接続される。仮想基地局40はパケットフィルタリング装置4に接続される。MECサーバ20はパケットフィルタリング装置4に接続される。
【0021】
MECサーバ20は、基地局3を介してUE2と通信を行う。また、MECサーバ20は、仮想基地局40を介して仮想UE30と通信を行う。仮想UE30は、仮想基地局40を介してコア設備5と通信を行う。仮想UE30及び仮想基地局40は、MECサーバ20がインターネット100を利用する通信を行うための支援を行う装置である。本実施形態において、仮想UE30及び仮想基地局40は、サーバ支援装置に対応する。
【0022】
仮想UE30は、UEがコア設備5から当該UEの端末IPアドレスを通知してもらうときに実行するUE認証接続手順によりコア設備5から端末IPアドレスを取得し、取得した端末IPアドレスをMECサーバ20へ通知する。
【0023】
仮想基地局40は、仮想UE30がコア設備5から取得した端末IPアドレスに対応する「GTP-U TEID」を取得し、取得した「GTP-U TEID」をMECサーバ20へ通知する。本実施形態では、仮想UE30がUE認証接続手順によりコア設備5から端末IPアドレスを取得する際に、当該端末IPアドレスに対応する「GTP-U TEID」がコア設備5から仮想基地局40へ通知されることによって、仮想基地局40は当該「GTP-U TEID」を取得する。
【0024】
MECサーバ20は、仮想UE30から受信した端末IPアドレスと仮想基地局40から受信した「GTP-U TEID」とを使用して、GTPによりコア設備5を介して、インターネット100を利用する通信を行う。具体的には、MECサーバ20は、仮想UE30から受信した端末IPアドレスを送信元アドレスに使用したIP通信のIPパケットを、仮想基地局40から受信した「GTP-U TEID」を使用したGTP-U通信によって、自MECサーバ20とコア設備5との間で転送する。コア設備5は、当該GTP-U通信によってMECサーバ20との間で転送されるインターネット100向けのMECサーバ20のIP通信のIPパケットを、インターネット100に中継する。これにより、MECサーバ20は、コア設備5を介して、インターネット100を利用する通信を行うことができる。
【0025】
図2は、第1実施形態に係るMECサーバの構成例を示すブロック図である。
図2において、MECサーバ20は、アドレス受信部21と、TEID受信部22と、通信部23とを備える。
【0026】
アドレス受信部21は、仮想UE30から端末IPアドレスを受信する。この端末IPアドレスは、仮想UE30がUE認証接続手順によりコア設備5から取得した端末IPアドレスである。
【0027】
TEID受信部22は、仮想基地局40から「GTP-U TEID」を受信する。この「GTP-U TEID」は、アドレス受信部21が仮想UE30から受信した端末IPアドレスに対応する「GTP-U TEID」である。
【0028】
通信部23は、仮想UE30から受信した端末IPアドレスと仮想基地局40から受信した「GTP-U TEID」とを使用して、GTPによりコア設備5を介して、インターネット100を利用する通信を行う。具体的には、通信部23は、仮想UE30から受信した端末IPアドレスを送信元アドレスに使用したIP通信のIPパケットを、仮想基地局40から受信した「GTP-U TEID」を使用したGTP-U通信によって、自MECサーバ20とコア設備5との間で転送する。コア設備5は、当該GTP-U通信によってMECサーバ20との間で転送されるインターネット100向けのMECサーバ20のIP通信のIPパケットを、インターネット100に中継する。これにより、MECサーバ20は、コア設備5を介して、インターネット100を利用する通信を行うことができる。
【0029】
MECサーバ20の機能は、MECサーバ20がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、MECサーバ20として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。又は、MECサーバ20は、MECシステム10が備えるコンピュータハードウェア上に構成された仮想マシン(virtual machine:VM)を利用して実現されてもよい。例えば、MECシステム10が複数のコンピュータ装置を有するブレードサーバ装置を備え、当該ブレードサーバ装置のいずれかのコンピュータ装置により構成された仮想マシン上でMECサーバ20の機能を実現するサーバアプリケーションを実行することによって、MECサーバ20の機能が実現されてもよい。
【0030】
図3は、第1実施形態に係る仮想UE(サーバ支援装置)の構成例を示すブロック図である。
図3において、仮想UE30は、アドレス取得部31と、ポート番号管理部32とを備える。
【0031】
アドレス取得部31は、UEがコア設備5から当該UEの端末IPアドレスを通知してもらうときに実行するUE認証接続手順によりコア設備5から端末IPアドレスを取得し、取得した端末IPアドレスをMECサーバ20へ通知する。
【0032】
ポート番号管理部32は、アドレス取得部31がコア設備5から取得した端末IPアドレスが使用されるIP通信に使用されるTCP(Transmission Control Protocol)又はUDP(User Datagram Protocol)の送信元ポート番号(以下、TCP/UDP送信元ポート番号と称する)を管理する。
【0033】
ポート番号管理部32は、アドレス取得部31がコア設備5から取得した端末IPアドレスが使用されるIP通信において、アドレス取得部31が使用するTCP/UDP送信元ポート番号とMECサーバ20が使用するTCP/UDP送信元ポート番号とを異なるものにする。アドレス取得部31のTCP/UDP送信元ポート番号とMECサーバ20のTCP/UDP送信元ポート番号とが異なることにより、アドレス取得部31とMECサーバ20とがそれぞれに同じ端末IPアドレスを使用するIP通信を行っても、アドレス取得部31のIP通信とMECサーバ20のIP通信とをTCP/UDP送信元ポート番号によって識別することができる。
【0034】
ポート番号管理部32は、複数のMECサーバ20が設けられる場合、各MECサーバ20に割り当てるTCP/UDP送信元ポート番号を管理する。具体的には、各MECサーバ20に対して、アドレス取得部31のTCP/UDP送信元ポート番号とは異なるTCP/UDP送信元ポート番号であって、MECサーバ20ごとに異なるTCP/UDP送信元ポート番号を割り当てる。また、MECサーバ20が増設された場合には、新規のMECサーバ20に対して、アドレス取得部31のTCP/UDP送信元ポート番号とは異なる新規のTCP/UDP送信元ポート番号を割り当てる。また、MECサーバ20が減設された場合には、当該MECサーバ20に割り当てていたTCP/UDP送信元ポート番号を未使用のTCP/UDP送信元ポート番号に設定する。
【0035】
仮想UE30の機能は、仮想UE30がCPU及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、仮想UE30として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。又は、仮想UE30は、MECシステム10が備えるコンピュータハードウェア上に構成された仮想マシン(VM)を利用して実現されてもよい。例えば、MECシステム10が複数のコンピュータ装置を有するブレードサーバ装置を備え、当該ブレードサーバ装置のいずれかのコンピュータ装置により構成された仮想マシン上で仮想UE30の機能を実現するアプリケーションを実行することによって、仮想UE30の機能が実現されてもよい。
【0036】
図4は、第1実施形態に係る仮想基地局(サーバ支援装置)の構成例を示すブロック図である。
図4において、仮想基地局40は、TEID取得部41を備える。
【0037】
TEID取得部41は、仮想UE30がコア設備5から取得した端末IPアドレスに対応する「GTP-U TEID」を取得し、取得した「GTP-U TEID」をMECサーバ20へ通知する。具体的には、TEID取得部41は、仮想UE30がUE認証接続手順によりコア設備5から端末IPアドレスを取得する際に、当該端末IPアドレスに対応する「GTP-U TEID」がコア設備5から仮想基地局40へ通知されることによって、TEID取得部41は当該「GTP-U TEID」を取得する。
【0038】
仮想基地局40の機能は、仮想基地局40がCPU及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、仮想基地局40として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。又は、仮想基地局40は、MECシステム10が備えるコンピュータハードウェア上に構成された仮想マシン(VM)を利用して実現されてもよい。例えば、MECシステム10が複数のコンピュータ装置を有するブレードサーバ装置を備え、当該ブレードサーバ装置のいずれかのコンピュータ装置により構成された仮想マシン上で仮想基地局40の機能を実現するアプリケーションを実行することによって、仮想基地局40の機能が実現されてもよい。
【0039】
次に
図5を参照して、第1実施形態に係る通信方法を説明する。
図5は、第1実施形態に係る通信方法の手順の例を示すシーケンス図である。
【0040】
(ステップS1) パケットフィルタリング装置4は、自己の通信データ転送機能に対して、自己が受信した通信データのうち仮想基地局40のIPアドレス宛ての通信データを仮想基地局40向けの通信回線へ転送する設定を行う。これにより、仮想基地局40とコア設備5との間の通信が可能になる。
【0041】
(ステップS2) 仮想UE30は、仮想基地局40に接続する。仮想UE30のアドレス取得部31は、仮想基地局40を介して、コア設備5に対してUE認証接続手順を実行することによりコア設備5から端末IPアドレスを取得する。アドレス取得部31は、当該端末IPアドレスを記録する。仮想UE30がUE認証接続手順によりコア設備5から取得した端末IPアドレスに対応する「GTP-U TEID」は、コア設備5から仮想基地局40へ通知される。仮想基地局40のTEID取得部41は、コア設備5から仮想基地局40に通知された「GTP-U TEID」を取得する。仮想基地局40は、仮想UE30の端末IPアドレスと当該端末IPアドレスに対応する「GTP-U TEID」とを関連付けて記録する。
【0042】
(ステップS3) 仮想UE30のアドレス取得部31は、コア設備5から取得した端末IPアドレスをMECサーバ20へ通知する。MECサーバ20のアドレス受信部21は、仮想UE30から端末IPアドレスを受信する。MECサーバ20において、アドレス受信部21は、仮想UE30から受信した端末IPアドレスを通信部23へ通知する。通信部23は、アドレス受信部21から受信した端末IPアドレスを記録する。
【0043】
(ステップS4) 仮想基地局40のTEID取得部41は、コア設備5から取得した「GTP-U TEID」をMECサーバ20へ通知する。MECサーバ20のTEID受信部22は、仮想基地局40から「GTP-U TEID」を受信する。MECサーバ20において、TEID受信部22は、仮想基地局40から受信した「GTP-U TEID」を通信部23へ通知する。通信部23は、TEID受信部22から受信した「GTP-U TEID」を記録する。
【0044】
(ステップS5) 仮想UE30のポート番号管理部32は、アドレス取得部31がコア設備5から取得した端末IPアドレスが使用されるIP通信においてMECサーバ20が使用するTCP/UDP送信元ポート番号を割り当てる。この割り当てられたTCP/UDP送信元ポート番号は、インターネット100を利用する通信において利用することができるものである。ポート番号管理部32は、MECサーバ20に割り当てたTCP/UDP送信元ポート番号を記録する。ポート番号管理部32は、MECサーバ20に割り当てたTCP/UDP送信元ポート番号を、MECサーバ20へ通知する。MECサーバ20の通信部23は、仮想UE30から受信したTCP/UDP送信元ポート番号を記録する。
【0045】
(ステップS6) MECサーバ20の通信部23は、上記ステップS3,S4,S5で各々受信して記録した端末IPアドレスと「GTP-U TEID」とTCP/UDP送信元ポート番号とをパケットフィルタリング装置4へ通知する。
【0046】
(ステップS7) パケットフィルタリング装置4は、MECサーバ20から受信した端末IPアドレス(以下、MEC端末IPアドレスと称する)と「GTP-U TEID」(以下、「MEC GTP-U TEID」と称する)とTCP/UDP送信元ポート番号(以下、MECTCP/UDP送信元ポート番号と称する)とに基づいて、基地局3とコア設備5の間で伝送される通信データからMECサーバ20に転送する通信データを抽出してMECサーバ20へ転送する設定を行う。この通信データの転送において、パケットフィルタリング装置4は、基地局3とコア設備5の間で伝送される通信データから、「MEC GTP-U TEID」で識別される通信データを抽出する。次いで、パケットフィルタリング装置4は、当該抽出した通信データから、宛先アドレスがMEC端末IPアドレスであり且つTCP/UDP送信元ポート番号がMECTCP/UDP送信元ポート番号であるIPパケットを抽出する。次いで、パケットフィルタリング装置4は、当該抽出したIPパケットをMECサーバ20へ転送する。
【0047】
(ステップS8) MECサーバ20の通信部23は、上記ステップS3,S4,S5で各々受信して記録した端末IPアドレス(MEC端末IPアドレス)と「GTP-U TEID」(「MEC GTP-U TEID」)とTCP/UDP送信元ポート番号(MECTCP/UDP送信元ポート番号)とを使用して、GTPによりコア設備5を介して、インターネット100を利用する通信を行う。具体的には、通信部23は、MEC端末IPアドレスを送信元アドレスに使用したIP通信のIPパケットを、「MEC GTP-U TEID」を使用したGTP-U通信によって、自MECサーバ20とコア設備5との間で転送する。コア設備5は、当該GTP-U通信によってMECサーバ20との間で転送されるインターネット100向けのMECサーバ20のIP通信のIPパケットを、インターネット100に中継する。これにより、MECサーバ20は、コア設備5を介して、インターネット100を利用する通信を行うことができる。
【0048】
上述した第1実施形態によれば、無線通信システム1の内部のMECサーバ20が当該無線通信システム1の外部のインターネット100を利用する通信を行うことを、当該MECサーバ20と当該インターネット100との間に専用回線を設けることなく実現することができる。これにより、MECサーバ20とインターネット100との間に専用回線を設けることによるコストアップや運用形態の複雑化等の新たな問題の発生を回避することができる。
【0049】
また、MECサーバ20がインターネット100を利用する通信を行うことができることによって、無線通信システム1の外部からMECサーバ20にアクセスすることができるので、MECサーバ20の運用や保守等の作業を無線通信システム1の外部から遠隔で実施することができる。これは、MECサーバ20に対する利便性の向上に寄与するという効果を奏する。
【0050】
なお、仮想UE30のポート番号管理部32は、アドレス取得部31がコア設備5から取得した端末IPアドレスが使用されるIP通信において、アドレス取得部31が使用するTCP/UDP送信元ポート番号とMECサーバ20が使用するTCP/UDP送信元ポート番号とを異なるものとして各TCP/UDP送信元ポート番号を割り当ててもよい。これら割り当てられた各TCP/UDP送信元ポート番号は、インターネット100を利用する通信において利用することができるものである。この場合、ポート番号管理部32は、アドレス取得部31に割り当てたTCP/UDP送信元ポート番号とMECサーバ20に割り当てたTCP/UDP送信元ポート番号とを記録する。ポート番号管理部32は、アドレス取得部31に割り当てたTCP/UDP送信元ポート番号をアドレス取得部31へ通知する。アドレス取得部31は、当該TCP/UDP送信元ポート番号を記録する。アドレス取得部31は、自己の端末IPアドレス及びTCP/UDP送信元ポート番号をパケットフィルタリング装置4へ通知する。
【0051】
パケットフィルタリング装置4は、仮想UE30から受信した端末IPアドレス(これはMEC端末IPアドレスと同じである)及びTCP/UDP送信元ポート番号(以下、仮想UETCP/UDP送信元ポート番号と称する)と、当該MEC端末IPアドレスに対応する「GTP-U TEID」である「MEC GTP-U TEID」とに基づいて、基地局3とコア設備5の間で伝送される通信データから仮想UE30に転送する通信データを抽出して、仮想基地局40を介して仮想UE30へ転送する設定を行う。この通信データの転送において、パケットフィルタリング装置4は、基地局3とコア設備5の間で伝送される通信データから、「MEC GTP-U TEID」で識別される通信データを抽出する。次いで、パケットフィルタリング装置4は、当該抽出した通信データから、宛先アドレスがMEC端末IPアドレスであり且つTCP/UDP送信元ポート番号が仮想UETCP/UDP送信元ポート番号であるIPパケットを抽出する。次いで、パケットフィルタリング装置4は、当該抽出したIPパケットを、仮想基地局40を介して仮想UE30へ転送する。これにより、仮想UE30は、コア設備5を介して、インターネット100を利用する通信を行うことができる。
【0052】
仮想UE30がインターネット100を利用する通信を行うことができることによって、無線通信システム1の外部から仮想UE30にアクセスすることができるので、仮想UE30の運用や保守等の作業を無線通信システム1の外部から遠隔で実施することができる。これは、仮想UE30に対する利便性の向上に寄与するという効果を奏する。
【0053】
また、仮想基地局40について、仮想UE30と同様に、仮想基地局40用のTCP/UDP送信元ポート番号を割り当てて、仮想基地局40がインターネット100を利用する通信を行うことができるようにしてもよい。これにより、仮想基地局40の運用や保守等の作業を無線通信システム1の外部から遠隔で実施することができる。
【0054】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態に係る無線通信システムの構成例を示すブロック図である。
図6において、
図1の各部に対応する部分には同一の符号を付け、その説明を省略する。
図6に示される無線通信システム1aでは、仮想UE30は基地局3に接続される。仮想UE30は、例えば既存のUE2と同様に無線により基地局3に接続してもよい。又は、仮想UE30は、基地局3に付設されてもよい。例えば、仮想UE30は、基地局3とは独立した装置として基地局3に付設されてもよく、又は、基地局3の付属の機能として設けられてもよい。例えば、仮想UE30は、基地局3と同じコンピュータハードウェア上に構成された仮想マシン(VM)を利用して実現されてもよい。
【0055】
パケットフィルタリング装置4aは、TEID取得部41aを備える。TEID取得部41aは、基地局3とコア設備5との間で伝送される通信データから、仮想UE30のアドレス取得部31がコア設備5から取得した端末アドレスに対応する「GTP-U TEID」を取得する。
【0056】
MECサーバ20は、
図2と同様の構成である。仮想UE30は、
図3と同様の構成である。本実施形態において、仮想UE30及びTEID取得部41aは、サーバ支援装置に対応する。
【0057】
次に
図7を参照して、第2実施形態に係る通信方法を説明する。
図7は、第2実施形態に係る通信方法の手順の例を示すシーケンス図である。
【0058】
(ステップS11) 仮想UE30は、基地局3に接続する。仮想UE30のアドレス取得部31は、基地局3を介して、コア設備5に対してUE認証接続手順を実行することによりコア設備5から端末IPアドレスを取得する。アドレス取得部31は、当該端末IPアドレスを記録する。仮想UE30がUE認証接続手順によりコア設備5から取得した端末IPアドレスに対応する「GTP-U TEID」は、コア設備5から基地局3へ通知される。
【0059】
(ステップS12) 仮想UE30のアドレス取得部31は、コア設備5から取得した端末IPアドレスをMECサーバ20へ通知する。MECサーバ20のアドレス受信部21は、仮想UE30から端末IPアドレスを受信する。MECサーバ20において、アドレス受信部21は、仮想UE30から受信した端末IPアドレスを通信部23へ通知する。通信部23は、アドレス受信部21から受信した端末IPアドレス(以下、MEC端末IPアドレスと称する)を記録する。
【0060】
(ステップS13) MECサーバ20の通信部23は、上記ステップS12で受信して記録したMEC端末IPアドレスをパケットフィルタリング装置4aへ通知する。
【0061】
(ステップS14) パケットフィルタリング装置4aのTEID取得部41aは、MECサーバ20から受信したMEC端末IPアドレスに基づいて、基地局3とコア設備5との間で伝送される通信データから、MEC端末IPアドレスに対応する「GTP-U TEID」(以下、「MEC GTP-U TEID」と称する)を取得する。具体的には、TEID取得部41aは、基地局3とコア設備5との間で伝送されるGTP-U通信データから、送信元アドレス又は宛先アドレスがMEC端末IPアドレスであるIPパケットを有するGTP-U通信データを検出する。TEID取得部41aは、当該検出したGTP-U通信データに付されている「GTP-U TEID」を、「MEC GTP-U TEID」として取得する。
【0062】
(ステップS15) パケットフィルタリング装置4aのTEID取得部41aは、上記ステップS14で取得した「MEC GTP-U TEID」をMECサーバ20へ通知する。MECサーバ20のTEID受信部22は、パケットフィルタリング装置4aから「MEC GTP-U TEID」を受信する。MECサーバ20において、TEID受信部22は、パケットフィルタリング装置4aから受信した「MEC GTP-U TEID」を通信部23へ通知する。通信部23は、TEID受信部22から受信した「MEC GTP-U TEID」を記録する。
【0063】
(ステップS16) 仮想UE30のポート番号管理部32は、アドレス取得部31がコア設備5から取得した端末IPアドレスが使用されるIP通信においてMECサーバ20が使用するTCP/UDP送信元ポート番号(以下、MECTCP/UDP送信元ポート番号と称する)を割り当てる。この割り当てられたMECTCP/UDP送信元ポート番号は、インターネット100を利用する通信において利用することができるものである。ポート番号管理部32は、MECTCP/UDP送信元ポート番号を記録する。ポート番号管理部32は、MECTCP/UDP送信元ポート番号をMECサーバ20へ通知する。MECサーバ20の通信部23は、仮想UE30から受信したMECTCP/UDP送信元ポート番号を記録する。
【0064】
(ステップS17) MECサーバ20の通信部23は、自己に記録されたMEC端末IPアドレスと「MEC GTP-U TEID」とMECTCP/UDP送信元ポート番号とをパケットフィルタリング装置4へ通知する。
【0065】
(ステップS18) パケットフィルタリング装置4は、MECサーバ20から受信したMEC端末IPアドレスと「MEC GTP-U TEID」とMECTCP/UDP送信元ポート番号とに基づいて、基地局3とコア設備5の間で伝送される通信データからMECサーバ20に転送する通信データを抽出してMECサーバ20へ転送する設定を行う。この通信データの転送において、パケットフィルタリング装置4は、基地局3とコア設備5の間で伝送される通信データから、「MEC GTP-U TEID」で識別される通信データを抽出する。次いで、パケットフィルタリング装置4は、当該抽出した通信データから、宛先アドレスがMEC端末IPアドレスであり且つTCP/UDP送信元ポート番号がMECTCP/UDP送信元ポート番号であるIPパケットを抽出する。次いで、パケットフィルタリング装置4は、当該抽出したIPパケットをMECサーバ20へ転送する。
【0066】
(ステップS19) MECサーバ20の通信部23は、自己に記録されたMEC端末IPアドレスと「MEC GTP-U TEID」とMECTCP/UDP送信元ポート番号とを使用して、GTPによりコア設備5を介して、インターネット100を利用する通信を行う。具体的には、通信部23は、MEC端末IPアドレスを送信元アドレスに使用したIP通信のIPパケットを、「MEC GTP-U TEID」を使用したGTP-U通信によって、自MECサーバ20とコア設備5との間で転送する。コア設備5は、当該GTP-U通信によってMECサーバ20との間で転送されるインターネット100向けのMECサーバ20のIP通信のIPパケットを、インターネット100に中継する。これにより、MECサーバ20は、コア設備5を介して、インターネット100を利用する通信を行うことができる。
【0067】
上述した第2実施形態によれば、無線通信システム1の内部のMECサーバ20が当該無線通信システム1の外部のインターネット100を利用する通信を行うことを、当該MECサーバ20と当該インターネット100との間に専用回線を設けることなく実現することができる。これにより、MECサーバ20とインターネット100との間に専用回線を設けることによるコストアップや運用形態の複雑化等の新たな問題の発生を回避することができる。
【0068】
また、MECサーバ20がインターネット100を利用する通信を行うことができることによって、無線通信システム1の外部からMECサーバ20にアクセスすることができるので、MECサーバ20の運用や保守等の作業を無線通信システム1の外部から遠隔で実施することができる。これは、MECサーバ20に対する利便性の向上に寄与するという効果を奏する。
【0069】
なお、上述した第1実施形態と同様に、仮想UE30のポート番号管理部32は、アドレス取得部31がコア設備5から取得した端末IPアドレスが使用されるIP通信において、アドレス取得部31が使用するTCP/UDP送信元ポート番号とMECサーバ20が使用するTCP/UDP送信元ポート番号とを異なるものとして各TCP/UDP送信元ポート番号を割り当ててもよい。これにより、上述した第1実施形態と同様に、仮想UE30は、コア設備5を介して、インターネット100を利用する通信を行うことができる。また、仮想基地局40について、仮想UE30と同様に、仮想基地局40用のTCP/UDP送信元ポート番号を割り当てて、仮想基地局40がインターネット100を利用する通信を行うことができるようにしてもよい。
【0070】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0071】
上述した各実施形態では、MECサーバを例に挙げたが、無線通信システムの内部に設けられる各種のサーバに適用してもよい。
【0072】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0073】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0074】
1,1a…無線通信システム、3…基地局、4,4a…パケットフィルタリング装置、5…コア設備、10…MECシステム、20…MECサーバ、21…アドレス受信部、22…TEID受信部、23…通信部、30…仮想UE(サーバ支援装置)、31…アドレス取得部、32…ポート番号管理部、40…仮想基地局(サーバ支援装置)、41…TEID取得部41a…TEID取得部(サーバ支援装置)、100…インターネット