IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本自動車部品総合研究所の特許一覧 ▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許-電力変換装置 図1
  • 特許-電力変換装置 図2
  • 特許-電力変換装置 図3
  • 特許-電力変換装置 図4
  • 特許-電力変換装置 図5
  • 特許-電力変換装置 図6
  • 特許-電力変換装置 図7
  • 特許-電力変換装置 図8
  • 特許-電力変換装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20230104BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019110346
(22)【出願日】2019-06-13
(65)【公開番号】P2020202722
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】柏▲崎▼ 貴司
(72)【発明者】
【氏名】佐野 友久
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-030321(JP,A)
【文献】特開2004-032863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機(10)に設けられ、直流電源(40)と多相の巻線(14)を有する前記回転電機との間において電力を変換する電力変換装置(20)であって、
スイッチング動作により前記直流電源から各相の前記巻線に流れる電流の通電方向を制御するスイッチング素子(22,23)を有する複数のスイッチモジュール(UM,VM,WM)と、
前記スイッチング動作により前記電流に発生する高周波振動を抑制するコンデンサ(26)を有する複数のコンデンサモジュール(CM1~CM3,CM7)と、
前記直流電源の正極側に接続される正極側導電体(LU)と、
前記直流電源の負極側に接続される負極側導電体(LD)と、を備え、
複数の前記スイッチモジュール及び複数の前記コンデンサモジュールは、前記正極側導電体及び前記負極側導電体の間に並列に接続されており、
複数の前記スイッチモジュール及び複数の前記コンデンサモジュールは、環状に配置されており、
前記正極側導電体及び前記負極側導電体は、環状をなし、周方向において各前記スイッチモジュール及び各前記コンデンサモジュールの並び順序で、それらの各モジュールの端子(TP,TM)に接続されており、
各前記スイッチモジュールの両隣に前記コンデンサモジュールが配置されており、その両隣に配置された前記コンデンサモジュールに含まれる前記コンデンサの容量が互いに等しく、
複数の前記スイッチモジュール及び複数の前記コンデンサモジュールが並ぶ仮想円上において、隣り合う各モジュールの間隔が他よりも拡張された拡張部(19)が設けられており、その拡張部を挟んで両側に、それぞれ前記コンデンサモジュールが配置されている電力変換装置。
【請求項2】
前記回転電機は、
回転軸(13)と共に一体回転可能に設けられる回転子(RA)と、
前記回転子に径方向に対向する位置に設けられ、前記多相の巻線を備える筒状の固定子(SA)と、
前記固定子の径方向内側又は径方向外側に固定される円筒部(16A)を有するハウジング(16)と、を備え、当該回転電機に組み付けられる電力変換装置であって、
複数の前記スイッチモジュール及び複数の前記コンデンサモジュールは、前記ハウジングにおいて前記円筒部に沿って周方向に並べて配置されている請求項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に設けられ、直流電源と回転電機との間において電力を変換する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電力変換装置としては、例えば下記特許文献1に見られるように、環状の正極側導電体及び負極側導電体を備える電力変換装置が知られている。この電力検出装置では、正極側導電体及び負極側導電体の間に、環状に配置された複数のスイッチモジュール及び複数のコンデンサモジュールが並列に接続されている。これらのモジュールでは、周方向に隣接する少なくとも2つのコンデンサモジュールによりコンデンサグループが形成されており、コンデンサグループ内ではコンデンサモジュールが密に配置されるとともに、コンデンサグループ間ではコンデンサモジュールが疎に配置される。これにより、コンデンサグループ間に、他の部品を配置するためのスペースが確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-19346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、コンデンサグループ内のコンデンサモジュールが密に配置されると、環状に配置された複数のスイッチモジュール及び複数のコンデンサモジュールの周方向において、スイッチモジュールの一方側にコンデンサモジュールが隣接して配置される一方、他方側にコンデンサモジュールが隣接して配置されないことがある。この場合、スイッチモジュールから、このスイッチモジュールに最も近い一方側のコンデンサモジュールに含まれるコンデンサに集中して電流が流れ、コンデンサに流れる電流に偏りが生じる。この結果、コンデンサモジュールの発熱量に偏りが生じ、熱性能が悪化する。
【0005】
コンデンサモジュールにおける発熱量の偏りを抑制するために、スイッチモジュールの両隣にコンデンサモジュールを配置することも考えられる。しかし、両隣に配置されたコンデンサモジュールに含まれるコンデンサの容量が異なると、スイッチモジュールから両隣のコンデンサモジュールに同量の電流が流れた場合でも、容量の小さいコンデンサを含むコンデンサモジュールの発熱量が大きくなり、熱性能が悪化する。特許文献1では、コンデンサの容量については検討されていない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コンデンサモジュールにおける発熱量の偏りを抑制できる電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の手段は、回転電機に設けられ、直流電源と多相の巻線を有する前記回転電機との間において電力を変換する電力変換装置であって、スイッチング動作により前記直流電源から各相の前記巻線に流れる電流の通電方向を制御するスイッチング素子を有する複数のスイッチモジュールと、前記スイッチング動作により前記電流に発生する高周波振動を抑制するコンデンサを有する複数のコンデンサモジュールと、前記直流電源の正極側に接続される正極側導電体と、前記直流電源の負極側に接続される負極側導電体と、を備え、複数の前記スイッチモジュール及び複数の前記コンデンサモジュールは、前記正極側導電体及び前記負極側導電体の間に並列に接続されており、複数の前記スイッチモジュール及び複数の前記コンデンサモジュールは、環状に配置されており、前記正極側導電体及び前記負極側導電体は、環状をなし、周方向において各前記スイッチモジュール及び各前記コンデンサモジュールの並び順序で、それらの各モジュールの端子に接続されており、各前記スイッチモジュールの両隣に前記コンデンサモジュールが配置されており、その両隣に配置された前記コンデンサモジュールに含まれる前記コンデンサの容量が互いに等しい。
【0008】
直流電力を複数相の交流電力に変換する電力変換装置では、複数のスイッチモジュール及び複数のコンデンサモジュールが備えられており、これらが正極側導電体及び負極側導電体の間に並列に接続されている。これら複数のスイッチモジュール及び複数のコンデンサモジュールが環状に配置され、これに対応させて正極側導電体及び負極側導電体が環状をしていると、周方向における各モジュールの並び順序により、コンデンサモジュールにおける発熱量が偏ることがある。この点、上記構成では、各スイッチモジュールの両隣にコンデンサモジュールを配置するとともに、その両隣に配置されたコンデンサモジュールに含まれるコンデンサの容量を互いに等しくする。この構成によれば、各スイッチモジュールから、容量の等しい両隣のコンデンサに略等しい電流が流れるため、各コンデンサモジュールにおける発熱量を均等化でき、コンデンサモジュールにおける発熱量の偏りを抑制できる。
【0009】
第2の手段では、複数の前記スイッチモジュール及び複数の前記コンデンサモジュールは、前記スイッチモジュールと前記コンデンサモジュールとが周方向に交互に並ぶように配置されている。
【0010】
上記構成によれば、各コンデンサモジュールに含まれるコンデンサに流れる電流を均等化しつつ、電力変換装置に必要なコンデンサモジュールの数を減らすことができ、電力変換装置の構成を簡略化できる。
【0011】
第3の手段では、周方向に並ぶ複数の前記スイッチモジュール及び複数の前記コンデンサモジュールにおいて、隣り合う前記スイッチモジュールの間に、前記正極側導電体及び前記負極側導電体に異なる接続位置で接続されている2つの前記コンデンサモジュールがそれぞれ配置される。
【0012】
上記構成によれば、各コンデンサモジュールの両隣にスイッチモジュールが配置されることがない。そのため、両隣のスイッチモジュールから各コンデンサモジュールに含まれるコンデンサに電流が流れ、このコンデンサに過度の電流が流れることを抑制できる。
【0013】
第4の手段では、周方向に並ぶ複数の前記スイッチモジュール及び複数の前記コンデンサモジュールにおいて、隣り合う前記スイッチモジュールの間に、2以上の前記コンデンサモジュールがそれぞれ配置され、当該2以上の前記コンデンサモジュールが、前記正極側導電体及び前記負極側導電体に同じ接続位置で接続されている。
【0014】
上記構成によれば、接続位置を同一にすることで、周方向に隣り合うスイッチモジュールの間に2以上のコンデンサモジュールを配置した場合であっても、これらのコンデンサモジュールに均等に電流を流すことができ、コンデンサモジュールにおける発熱量の偏りを抑制できる。
【0015】
第5の手段では、前記正極側導電体及び前記負極側導電体において、前記スイッチモジュール及び前記コンデンサモジュールにおける各前記端子との接続位置が、周方向において等間隔に配置されている。
【0016】
上記構成によれば、各スイッチモジュールから見た、両隣のコンデンサモジュールに含まれるコンデンサのインピーダンスを等しくすることができる。これにより、各コンデンサに流れる電流を等しくすることができ、コンデンサモジュールにおける発熱量の偏りを抑制できる。
【0017】
第6の手段では、複数の前記スイッチモジュール及び複数の前記コンデンサモジュールが並ぶ仮想円上において、隣り合う各モジュールの間隔が他よりも拡張された拡張部が設けられており、その拡張部を挟んで両側に、それぞれ前記コンデンサモジュールが配置されている。
【0018】
回転電機では、回転電機を冷却するための冷却水を循環させる循環通路が形成されることがある。この回転電機に電力変換装置を設け、電力変換装置を構成する複数のスイッチモジュール及び複数のコンデンサモジュールを環状に配置しようとすると、これらモジュールが並ぶ仮想円上に循環通路の一部が配置されることがあり、隣り合う各モジュールの間隔が他よりも拡張された拡張部が設けられることがある。この場合に、周方向における拡張部の一方側にスイッチモジュールが配置され、周方向における拡張部の他方側に、スイッチモジュールの両隣に配置されるコンデンサモジュールのうちの一方が配置されると、このスイッチモジュールから他方のコンデンサモジュール、つまり拡張部とは逆側に配置されたコンデンサモジュールに集中して電流が流れ、コンデンサモジュールの発熱量に偏りが生じる。上記構成では、拡張部を挟んで両側に、それぞれコンデンサモジュールが配置されている。そのため、拡張部によりコンデンサモジュールの発熱量に偏りが生じることを抑制できる。
【0019】
第7の手段では、前記回転電機は、回転軸と共に一体回転可能に設けられる回転子と、前記回転子に径方向に対向する位置に設けられ、前記多相の巻線を備える筒状の固定子と、前記固定子の径方向内側又は径方向外側に固定される円筒部を有するハウジングと、を備え、当該回転電機に組み付けられる電力変換装置であって、複数の前記スイッチモジュール及び複数の前記コンデンサモジュールは、前記ハウジングにおいて前記円筒部に沿って周方向に並べて配置されている。
【0020】
回転子と固定子とが径方向に対向配置され、かつ固定子の径方向内側又は径方向外側にハウジングの円筒部が固定されている回転電機では円筒部に沿って環状の空間が形成されており、その環状の空間に、電力変換装置のスイッチモジュール及びコンデンサモジュールが配置される構成となっている。この場合、回転電機において回転子及び固定子に対して径方向内側又は径方向外側に各モジュールが配置されることになり、回転電機において電力変換装置を効率良く配置できる。また、固定子とハウジングとが一体化され、そのハウジングに電力変換装置が組み付けられる構成では、電力変換装置において固定子の熱の影響を受けることも考えられるが、上記のとおり各コンデンサモジュールの配置が工夫されていることで好適な熱対策を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】回転電機システムの全体構成図。
図2】第1実施形態に係る回転電機の横断面図。
図3】比較例のインバータの概略構成図。
図4】コンデンサに流れる電流とコンデンサモジュールの発熱量との関係を示す図。
図5】コンデンサモジュールの電流増幅率の周波数特性を示す図。
図6】第2実施形態に係るインバータの概略構成図。
図7】第3実施形態に係る回転電機の横断面図。
図8】第4実施形態に係るインバータの概略構成図。
図9】その他の実施形態に係るスイッチモジュールの回路構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る電力変換装置を、車載の回転電機システム100に適用した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係る電力変換装置20は、バッテリ40と回転電機10との間において電力を変換するものであり、インバータ21と、回転電機10を制御対象とする制御装置30と、を備えている。
【0024】
回転電機10は、回生発電及び力行駆動の機能を有し、具体的には、MG(Motor Generator)である。回転電機10は、バッテリ40との間で電力の入出力を行うものであり、力行時には、バッテリ40から供給される電力により車両に推進力を付与し、回生時には、車両の減速エネルギーを用いて発電を行い、バッテリ40に電力を出力する。
【0025】
回転電機10は、スター結線型の3相の巻線14を有する。巻線14は、U,V,W相巻線14U,14V,14Wを含む。回転電機10の各相の巻線14は、インバータ21を介して、直流の電源部であるバッテリ40に接続されている。バッテリ40は、充放電可能な蓄電池であり、具体的には、複数のリチウムイオン蓄電池が直列接続された組電池である。なお、バッテリ40は、他の種類の蓄電池であってもよい。本実施形態において、バッテリ40は「直流電源」に相当する。
【0026】
インバータ21は、高電位側のスイッチング素子である上アームスイッチ22(22A,22B,22C)、及び低電位側のスイッチング素子である下アームスイッチ23(23A,23B,23C)の直列接続体を有する複数のスイッチモジュールUM,VM,WMを備える。各上アームスイッチ22と下アームスイッチ23の接続点には、回転電機10の対応する相の巻線14の第1端が接続されている。なお、本実施形態では、スイッチ22,23として、電圧制御形の半導体スイッチング素子を用いており、より具体的にはIGBTを用いている。各スイッチには、フリーホイールダイオード24が逆並列にそれぞれ接続されている。
【0027】
また、インバータ21は、コンデンサ26(26A,26B,26C)を有する複数のコンデンサモジュールCM1~CM3を備える。本実施形態では、インバータ21に、スイッチモジュールUM,VM,WMの個数と同数の3つのコンデンサモジュールCM1~CM3が備えられており、各コンデンサモジュールCM1~CM3に含まれるコンデンサ26の容量が互いに等しく設定されている。なお、本実施形態では、コンデンサ26として電解コンデンサを用いている。
【0028】
複数のスイッチモジュールUM,VM,WM及び複数のコンデンサモジュールCM1~CM3は、正極側導電体LU及び負極側導電体LDの間に並列に接続されている。正極側導電体LUは、電源線LEによりバッテリ40の正極側に接続されており、負極側導電体LDは、接地線LGによりバッテリ40の負極側に接続されている。
【0029】
制御装置30は、指令値を取得し、回転電機10の制御量をその指令値に制御すべく、インバータ21を制御する。制御量は、例えばトルクである。具体的には、制御装置30は、インバータ21の制御において、デッドタイムを挟みつつスイッチ22,23を交互にオン状態とするスイッチング動作をすべく、スイッチ22,23それぞれに対応する駆動信号SCを、スイッチ22,23に出力する。
【0030】
各スイッチモジュールUM,VM,WMは、この駆動信号SCに基づくスイッチ22,23のスイッチング動作により、バッテリ40から各相の巻線14に流れる電流IMの通電方向を制御する。各コンデンサモジュールCM1~CM3は、スイッチング動作により電流IMに発生する高周波振動をコンデンサ26により抑制する。
【0031】
次に、回転電機10の構成を詳細に説明する。回転電機10は、アウタロータ式の表面磁石型回転電機であり、車両の車輪におけるインホイールモータとして用いられている。
【0032】
図2は、回転電機10の横断面図である。回転電機10は、回転子RAと、固定子SAと、インバータユニットIUと、を備えている。これらは、いずれも回転子RAに一体に設けられた回転軸13に対して同軸に配置され、所定順序で軸方向に組み付けられることで回転電機10が構成されている。
【0033】
回転電機10において、回転子RA及び固定子SAはそれぞれ円筒状をなしており、所定のエアギャップAGを挟んで互いに対向配置されている。回転子RAが回転軸13と共に一体回転することにより、固定子SAの径方向外側にて回転子RAが回転する。
【0034】
回転子RAは、略円筒状の回転子キャリア11と、その回転子キャリア11に固定された環状の磁石ユニット12と、を備えている。回転子キャリア11は、回転軸13に固定されている。
【0035】
回転子キャリア11は、円筒部11Aを有している。円筒部11Aの径方向内側には磁石ユニット12が固定されている。つまり、磁石ユニット12は、回転子キャリア11の円筒部11Aに径方向外側から包囲された状態で設けられている。なお、本実施形態では、回転子キャリア11は、冷間圧延鋼板(SPCC)や、鍛造用鋼、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により形成されている。
【0036】
磁石ユニット12は、回転子RAの周方向に沿って極性が交互に変わるように配置された複数の永久磁石により構成されている。これにより、磁石ユニット12は、周方向に複数の磁極を有する。永久磁石は、例えば接着により回転子キャリア11に固定されている。なお、本実施形態では、永久磁石として、焼結ネオジム磁石が用いられている。
【0037】
固定子SAは、前述の巻線14と、固定子コア15と、を備えている。巻線14は、略筒状(環状)に巻回形成されており、その巻線14の径方向内側にベース部材としての固定子コア15が組み付けられている。
【0038】
固定子コア15は、軸方向に複数の電磁鋼板が積層され、かつ径方向に所定の厚さを有する円筒状をなしており、固定子コア15において回転子RA側となる径方向外側に巻線14が組み付けられている。固定子コア15の外周面は凹凸のない曲面状をなしており、巻線14が組み付けられた状態では、固定子コア15の外周面に、巻線14を構成する導線が周方向に並べて配置されている。
【0039】
インバータユニットIUは、インバータハウジング16と、前述のインバータ21と、を備えている。インバータハウジング16は、円筒状をなす円筒部16Aを有している。円筒部16Aの径方向外側には固定子コア15が固定されている。これにより、固定子SAとインバータユニットIUとが一体化されるようになっている。
【0040】
円筒部16Aの内周面には、インバータ21の各モジュールを取り付けるための平坦面を有する複数のスペーサ16Bが固定され、そのスペーサ16Bにインバータ21の各モジュールが取り付けられている。これにより、各モジュールは、インバータハウジング16において円筒部16Aに沿って周方向に並べて配置される。
【0041】
円筒部16Aにおけるスペーサ16Bの径方向外側には、冷媒としての冷却水を流通させる冷却水通路17が形成されており、その冷却水通路17を流れる冷却水により各モジュールが冷却されるようになっている。なお、冷媒として、冷却水に代えて冷却用オイルを用いることも可能である。冷却水通路17は、円筒部16Aに沿って環状に設けられており、冷却水通路17内を流れる冷却水は、各モジュールを1つずつ経由しながら上流側から下流側に流通する。
【0042】
インバータ21は、インバータハウジング16に組み付けられている。インバータ21の各モジュールは、円筒部16Aに沿って環状に配置されており、仮想円KE上に並ぶように配置されている。これら各モジュールは、この仮想円KE上において、周方向におけるモジュール同士の間隔Xが、等間隔となるように配置されている。ここで、間隔Xは、例えば周方向に隣り合う2つのモジュールの中心位置同士の間の距離である。
【0043】
なお、周方向におけるモジュール同士の間隔は、仮想円KEにおける回転軸13を中心とする角度間隔θで定義されていてもよい。
【0044】
本実施形態では、各モジュールは、周方向において、U相スイッチモジュールUM、第1コンデンサモジュールCM1、V相スイッチモジュールVM、第2コンデンサモジュールCM2、W相スイッチモジュールWM、及び第3コンデンサモジュールCM3の順序で配置されている。つまり、インバータ21では、スイッチモジュール#M(#=U,Y,W)とコンデンサモジュールCMとが周方向に交互に並ぶように配置されており、周方向において、スイッチモジュール#Mが分散配置されている。
【0045】
正極側導電体LUは、円環状をなしており、回転軸13に対して同軸に配置されている。正極側導電体LUは、周方向において各モジュールの並び順序で、それらの各モジュールの正極端子TPに接続されている。本実施形態では、正極側導電体LUは、各モジュールの正極端子TPに対して、互いに異なる接続位置DPで接続されており、正極側導電体LUにおいて、これらの接続位置DPが、周方向において等間隔に配置されている。また、正極側導電体LUは、電源線LEに接続位置DEで接続されている。
【0046】
負極側導電体LDは、円環状をなしており、正極側導電体LUに対して同軸に配置されている。負極側導電体LDは、周方向において各モジュールの並び順序で、それらの各モジュールの負極端子TMに接続されている。本実施形態では、負極側導電体LDは、各モジュールの負極端子TMに対して、互いに異なる接続位置DMで接続されており、負極側導電体LDにおいて、これらの接続位置DMが、周方向において等間隔に配置されている。また、負極側導電体LDは、接地線LGに接続位置DGで接続されている。
【0047】
なお、制御装置30は、回転電機10に内蔵されていてもよければ、回転電機10の外部に設けられていてもよい。
【0048】
上述したとおり、本実施形態では、スイッチモジュール#MとコンデンサモジュールCMとが周方向に交互に並ぶように配置されているため、各スイッチモジュール#Mの両隣にコンデンサモジュールCMが配置される。そして、各コンデンサモジュールCMに含まれるコンデンサ26の容量が互いに等しく設定されている。この場合、各スイッチモジュール#Mに含まれるスイッチ22,23のスイッチング動作時に、各スイッチモジュール#Mから、容量の等しい両隣のコンデンサ26に略等しい電流IMが流れる。これにより、各コンデンサモジュールCMにおける発熱量を均等化でき、コンデンサモジュールCM1~CM3における発熱量の偏りを抑制できる。
【0049】
図3に、比較例のインバータ121を示す。インバータ121では、各モジュールは、周方向において、U相スイッチモジュールUM、V相スイッチモジュールVM、W相スイッチモジュールWM、第1コンデンサモジュールCM1、第2コンデンサモジュールCM2、及び第3コンデンサモジュールCM3の順序で配置されている。つまり、インバータ121では、周方向において、スイッチモジュール#Mが集中配置されており、コンデンサモジュールCMが集中配置されている。
【0050】
この場合、各スイッチモジュール#Mから見た、各コンデンサモジュールCMに含まれるコンデンサ26のインピーダンスが異なる。そのため、各スイッチモジュール#Mに含まれるスイッチ22,23のスイッチング動作時に、各スイッチモジュール#Mから、導電体LU,LDにおける経路長が最も短くなるコンデンサ26、すなわち導電体LU,LDのインダクタンスが最も小さくなるコンデンサ26に集中して電流IMが流れる。この結果、集中配置されたコンデンサモジュールCM1~CM3のうち、周方向の両端に位置する第1,第3コンデンサモジュールCM1,CM3に含まれるコンデンサ26に流れる電流IMが大きくなる。一方、周方向の中央に位置する第2コンデンサモジュールCM2に含まれるコンデンサ26に流れる電流IMが小さくなる。
【0051】
このように、比較例のインバータ121では、各コンデンサモジュールCMに含まれるコンデンサ26に流れる電流IMに偏りが生じる。図4に、電流IMとコンデンサモジュールCMにおける発熱量との関係を示す。図4に示すように、コンデンサ26に流れる電流IMに偏りが生じると、コンデンサモジュールCMにおける発熱量の偏りが生じる。この結果、コンデンサモジュールCMの熱性能が悪化する。
【0052】
図5に、コンデンサモジュールCMの熱性能の一例として、コンデンサモジュールCMの電流増幅率の周波数特性を示す。ここで、図5(A)は、本実施形態のインバータ21における周波数特性を示し、図5(B)は、比較例のインバータ121における周波数特性を示す。なお、図5において、第1,第3コンデンサモジュールCM1,CM3の電流増幅率が破線で示されており、第2コンデンサモジュールCM2の電流増幅率が実線で示されている。
【0053】
図5(B)に示すように、比較例のインバータ121では、コンデンサモジュールCM1~CM3における発熱量の偏りが生じるため、所定周波数ωthよりも大きい周波数ωにおいて、第1,第3コンデンサモジュールCM1,CM3の電流増幅率と、第2コンデンサモジュールCM2の電流増幅率との間に差Δが乗じている。この結果、回転電機10における各相の巻線14に流れる電流IMが変動し、巻線14に流れる電流IMを適切に制御できない。
【0054】
図5(A)に示すように、本実施形態のインバータ21では、コンデンサモジュールCM1~CM3における発熱量の偏りが抑制されているため、全ての周波数ωにおいて、各コンデンサモジュールCMにおける電流増幅率が等しくなる。そのため、回転電機10における各相の巻線14に流れる電流IMの変動が抑制され、巻線14に流れる電流IMを適切に制御できる。
【0055】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0056】
・本実施形態では、インバータ21に、複数のスイッチモジュールUM,VM,WM及び複数のコンデンサモジュールCM1~CM3が備えられており、これらが正極側導電体LU及び負極側導電体LDの間に並列に接続されている。これら複数のスイッチモジュールUM,VM,WM及び複数のコンデンサモジュールCM1~CM3が環状に配置され、これに対応させて正極側導電体LU及び負極側導電体LDが環状をしていると、周方向における各モジュールの並び順序により、コンデンサモジュールCMにおける発熱量が偏ることがある。
【0057】
この点、本実施形態では、各スイッチモジュール#Mの両隣にコンデンサモジュールCMを配置するとともに、その両隣に配置されたコンデンサモジュールCMに含まれるコンデンサ26の容量を互いに等しくする。この構成によれば、各スイッチモジュール#Mから、容量の等しい両隣のコンデンサ26に略等しい電流IMが流れるため、各コンデンサモジュールCMにおける発熱量を均等化することができ、コンデンサモジュールCMにおける発熱量の偏りを抑制できる。
【0058】
・特に、本実施形態では、回転電機10において、回転子RAと固定子SAとが径方向に対向配置され、かつ固定子SAの径方向内側にインバータハウジング16の円筒部16Aが固定されている。円筒部16Aでは、インバータ21の各モジュールが、円筒部16Aに沿って周方向に並べて配置されている。
【0059】
この構成によれば、回転電機10において回転子RA及び固定子SAに対して径方向内側に各モジュールが配置されることになり、回転電機10において電力変換装置20を効率良く配置できる。一方、固定子SAとインバータハウジング16とが一体化され、そのインバータハウジング16にインバータ21が組み付けられる構成では、電力変換装置20において固定子SAの熱の影響を受けることも考えられる。本実施形態では、上述したように各コンデンサモジュールCMの配置が工夫されているため、好適な熱対策を実現できる。
【0060】
・本実施形態では、複数のスイッチモジュールUM,VM,WM及び複数のコンデンサモジュールCM1~CM3が、スイッチモジュール#MとコンデンサモジュールCMとが周方向に交互に並ぶように配置されている。この構成によれば、各コンデンサモジュールCMに含まれるコンデンサ26に流れる電流IMを均等化しつつ、電力変換装置20に必要なコンデンサモジュールCMの数を減らすことができ、電力変換装置20の構成を簡略化できる。
【0061】
・本実施形態では、正極側導電体LU及び負極側導電体LDにおいて、スイッチモジュール#M及びコンデンサモジュールCMにおける各端子TP,TMとの接続位置DP,DMが、周方向において等間隔に配置されている。この構成によれば、各スイッチモジュール#Mから見た、両隣のコンデンサモジュールCMに含まれるコンデンサ26のインピーダンスを等しくすることができる。これにより、各コンデンサ26に流れる電流IMを等しくすることができ、コンデンサモジュールCMにおける発熱量の偏りを抑制できる。
【0062】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、先の第1実施形態との相違点を中心に図6を参照しつつ説明する。図6において、先の図2に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
本実施形態では、インバータ21に、スイッチモジュールUM,VM,WMの個数の2倍の6つのコンデンサモジュールCM1~CM6が備えられている点で、第1実施形態と異なる。図6に示すように、各モジュールは、周方向において、U相スイッチモジュールUM、第1コンデンサモジュールCM1、第5コンデンサモジュールCM5、V相スイッチモジュールVM、第2コンデンサモジュールCM2、第6コンデンサモジュールCM6、W相スイッチモジュールWM、第3コンデンサモジュールCM3、及び第4コンデンサモジュールCM4の順序で配置されている。つまり、本実施形態のインバータ21では、周方向に隣り合うスイッチモジュール#Mの間に、2つのコンデンサモジュールCMがそれぞれ配置されている。
【0064】
本実施形態では、周方向に隣り合うスイッチモジュール#Mの間に配置された2つのコンデンサモジュールCMは、正極側導電体LU及び負極側導電体LDに異なる接続位置DP,DMで接続されている。正極側導電体LU及び負極側導電体LDでは、接続位置DP,DMは周方向において等間隔に配置されている。そのため、本実施形態では、各スイッチモジュール#Mから両隣のコンデンサ26までのインダクタンスが、第1実施形態に比べて小さくなっている。
【0065】
・以上説明した本実施形態によれば、周方向において、2つのコンデンサモジュールCMが隣り合うことから、各コンデンサモジュールCMの両隣にスイッチモジュール#Mが配置されることがない。そのため、両隣のスイッチモジュール#Mから各コンデンサモジュールCMに含まれるコンデンサ26に電流IMが流れ、このコンデンサ26に過度の電流IMが流れることを抑制できる。
【0066】
・本実施形態では、各コンデンサモジュールCMに含まれるコンデンサ26に流れる電流IMが抑制されており、且つ、各スイッチモジュール#Mから両隣のコンデンサ26までのインダクタンスが抑制されている。そのため、各コンデンサモジュールCMにおける発熱量を好適に抑制できる。
【0067】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、先の第1実施形態との相違点を中心に図7を参照しつつ説明する。図7において、先の図2に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
本実施形態では、インバータハウジング16の円筒部16Aにおける冷却水通路17の径方向内側に、突出部18が設けられている点で、第1実施形態と異なる。突出部18には、冷却水通路17の入口通路17A及び出口通路17Bが形成されており、この入口通路17A及び出口通路17Bを介して、冷却水通路17に冷却水を流通させることができる。
【0069】
本実施形態では、この突出部18の一部が、各モジュールが並ぶ仮想円KE上に位置している。そのため、インバータハウジング16では、この仮想円KE上において、周方向に隣り合うモジュール同士の間隔が他よりも拡張された拡張部19が設けられており、その拡張部19内に突出部18が配置されている。具体的には、図7に示すように、各モジュールは、周方向におけるモジュール同士の間隔を、第1間隔X1又は第2間隔X2として周方向に並べて配置されている。第2間隔X2は、第1間隔X1よりも広い間隔である。この場合、突出部18を挟まずに周方向に隣り合うモジュール同士の間隔は第1間隔X1となり、突出部18を挟んで周方向に隣り合うモジュール同士の間隔、つまり拡張部19の間隔は第2間隔X2となっている。
【0070】
なお、周方向におけるモジュール同士の間隔は、仮想円KEにおける回転軸13を中心とする角度間隔θ1,θ2で定義されていてもよい(θ1<θ2)。
【0071】
そして、拡張部19を挟んで両側に、それぞれコンデンサモジュールCMが配置されている。この配置を実現するために、本実施形態では、インバータ21に、スイッチモジュールUM,VM,WMの個数よりも1個多い4つのコンデンサモジュールCM1~CM3,CM7が備えられている。図7に示すように、各モジュール及び突出部18は、周方向において、U相スイッチモジュールUM、第1コンデンサモジュールCM1、V相スイッチモジュールVM、第2コンデンサモジュールCM2、突出部18、第7コンデンサモジュールCM7、W相スイッチモジュールWM、及び第3コンデンサモジュールCM3の順序で配置されている。
【0072】
・以上説明した本実施形態によれば、拡張部19を挟んで両側に、それぞれコンデンサモジュールCMが配置され、周方向における拡張部19の一方側にスイッチモジュール#Mが配置されることが抑制されている。
【0073】
仮に、周方向における拡張部19の一方側にスイッチモジュール#M(以下、特定スイッチモジュール#M)が配置されるとする。すると、各スイッチモジュール#Mの両隣にコンデンサモジュールCMが配置されることから、周方向における拡張部19の他方側には、特定スイッチモジュール#Mの両隣に配置されるコンデンサモジュールCMのうちの一方が配置されることとなる。
【0074】
この場合、特定スイッチモジュール#Mから両隣のコンデンサモジュールCMまでの正極側導電体LU及び負極側導電体LDのインダクタンスは、他方のコンデンサモジュールCM、つまり拡張部19とは逆側に配置されたコンデンサモジュールCMのインピーダンスのほうが小さくなる。そのため、特定スイッチモジュール#Mから他方のコンデンサモジュールCMに集中して電流IMが流れ、コンデンサモジュールCMの発熱量に偏りが生じる。
【0075】
本実施形態では、拡張部19を挟んで両側に、それぞれコンデンサモジュールCMが配置されている。そのため、拡張部19によりコンデンサモジュールCMの発熱量に偏りが生じることを抑制できる。
【0076】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態について、先の第1実施形態との相違点を中心に図8を参照しつつ説明する。図8において、先の図2に示した構成と同一の構成については、便宜上、同一の符号を付して説明を省略する。
【0077】
本実施形態では、インバータ21に、スイッチモジュールUM,VM,WMの個数の2倍の6つのコンデンサモジュールCMA~CMFが備えられている点で、第1実施形態と異なる。図8に示すように、本実施形態のインバータ21では、周方向に隣り合うスイッチモジュール#Mの間に、2つのコンデンサモジュールCMがそれぞれ配置されている。これら2つのコンデンサモジュールは、例えば、インバータハウジング16の円筒部16Aにおいて、円筒部16Aの径方向又は軸方向に並んで配置されている。
【0078】
本実施形態では、周方向に隣り合うスイッチモジュール#Mの間に配置された2つのコンデンサモジュールCMは、正極側導電体LU及び負極側導電体LDに同じ接続位置DP,DMで接続されている。具体的には、コンデンサモジュールCMA及びコンデンサモジュールCMBは、周方向に隣り合うU相スイッチモジュールUM及びV相スイッチモジュールVMの間に配置されており、正極側導電体LU及び負極側導電体LDに同じ接続位置DP,DMで接続されている。
【0079】
そのため、コンデンサモジュールCMA,CMBに含まれるコンデンサ26では、U相スイッチモジュールUM及びV相スイッチモジュールVMからのインダクタンスが等しくなる。また、コンデンサモジュールCMA,CMBに含まれるコンデンサ26は、これらコンデンサ26の容量を加算した合成容量を形成する。本実施形態では、コンデンサモジュールCMA及びコンデンサモジュールCMBにより、第1コンデンサモジュールCM1が形成されている。つまり、これらコンデンサ26の合成容量が、第1コンデンサモジュールCM1に含まれるコンデンサ26の容量に相当する。
【0080】
同様に、コンデンサモジュールCMC及びコンデンサモジュールCMDは、V相スイッチモジュールVM及びW相スイッチモジュールWMの間に配置されており、コンデンサモジュールCMC及びコンデンサモジュールCMDにより、第2コンデンサモジュールCM2が形成されている。また、コンデンサモジュールCME及びコンデンサモジュールCMFは、W相スイッチモジュールWM及びU相スイッチモジュールUMの間に配置されており、コンデンサモジュールCME及びコンデンサモジュールCMFにより、第3コンデンサモジュールCM3が形成されている。
【0081】
・以上説明した本実施形態によれば、接続位置DP,DMを同一にすることで、周方向に隣り合うスイッチモジュール#Mの間に2つのコンデンサモジュールCMを配置した場合であっても、これらのコンデンサモジュールCMに含まれるコンデンサ間のインダクタンスが変わらない。そのため、これらのコンデンサモジュールCMに均等に電流IMを流すことができ、コンデンサモジュールCMにおける発熱量の偏りを抑制できる。
【0082】
・本実施形態では、第1~第3コンデンサモジュールCM1~CM3に含まれるコンデンサ26の容量を、それぞれ2つのコンデンサ26の合成容量により形成する。そのため、1つのコンデンサ26により形成する場合に比べて、第1~第3コンデンサモジュールCM1~CM3に含まれるコンデンサ26の容量を好適に調整できる。
【0083】
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、次のように実施されてもよい。
【0084】
・回転電機10としては、3相のものに限らず、2相のものまたは4相以上のものであってもよい。この場合、スイッチモジュール#Mの個数は、回転電機10の相数に基づいて設定することができ、コンデンサモジュールCMの個数は、スイッチモジュール#Mの個数に基づいて設定することができる。
【0085】
・回転電機10としては、アウタロータ式のものに限らず、インナロータ式のものであってもよい。また、回転電機10における巻線14の結線方法は、スター結線に限られず、オープンデルタ結線であってもよい。
【0086】
・スイッチモジュール#Mとしては、直列接続体を1つ備えるものに限らず、図9(A)に示すように、複数の直列接続体を備えるものであってもよい。さらに、図9(B)に示すように、サージ電圧を抑制するためのスナバコンデンサ28が直列接続体に並列接続されていてもよい。なお、スナバコンデンサ28の容量は、コンデンサモジュールCMに含まれるコンデンサ26の容量に比べて小さいため、スイッチング動作により電流IMに発生する高周波振動をスナバコンデンサ28により抑制することはできない。
【0087】
そして、直列接続体にスナバコンデンサ28が並列接続されている場合、周方向において、スイッチモジュール#MとコンデンサモジュールCMとを交互に並ぶように配置することが好ましい。これにより、コンデンサモジュールCMに含まれるコンデンサ26の電流量を好適に均等化することができ、コンデンサモジュールCMにおける発熱量の偏りを確実に抑制できる。
【0088】
・上記実施形態では、正極側導電体LU及び負極側導電体LDを円環状としたが、多角形状の環状にすることも可能であり、要は環状であればよい。また、正極側導電体LU及び負極側導電体LDを閉じた環状としたが、閉じた環状の一部が切り欠かれていてもよい。
【0089】
・拡張部19に配置されるものは、突出部18に限られず、電源線LE及び接地線LGを引き回すための配線部材や制御装置30であってもよい。
【0090】
・第4実施形態では、周方向に隣り合うスイッチモジュール#Mの間に、2つのコンデンサモジュールCMがそれぞれ配置される例を示したが、これらのスイッチモジュール#Mの間に配置されるコンデンサモジュールCMの個数は、3個以上であってもよい。
【0091】
この場合、コンデンサモジュールCMの個数が3個以上であっても、これらのコンデンサモジュールCMが、正極側導電体LU及び負極側導電体LDに同じ接続位置DP,DMで接続されていることで、これらのコンデンサモジュールCMに含まれるコンデンサ間のインダクタンスが変わらない。そのため、これらのコンデンサモジュールCMに均等に電流IMを流すことができ、コンデンサモジュールCMにおける発熱量の偏りを抑制できる。
【符号の説明】
【0092】
10…回転電機、14…巻線、20…電力変換装置、40…バッテリ、CM1~CM3…コンデンサモジュール、LD…負極側導電体、LU…正極側導電体、TP…負極端子、TM…正極端子、UM,VM,WM…スイッチモジュール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9