(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
F21S 41/675 20180101AFI20230104BHJP
F21V 7/09 20060101ALI20230104BHJP
F21S 41/141 20180101ALI20230104BHJP
F21S 41/16 20180101ALI20230104BHJP
F21S 41/365 20180101ALI20230104BHJP
F21S 41/65 20180101ALI20230104BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20230104BHJP
F21W 103/60 20180101ALN20230104BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230104BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20230104BHJP
【FI】
F21S41/675
F21V7/09 200
F21V7/09 510
F21S41/141
F21S41/16
F21S41/365
F21S41/65
F21W102:00
F21W103:60
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2019532539
(86)(22)【出願日】2018-07-18
(86)【国際出願番号】 JP2018026984
(87)【国際公開番号】W WO2019021913
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2017144668
(32)【優先日】2017-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】金森 昭貴
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/104167(WO,A1)
【文献】特開2014-029858(JP,A)
【文献】特開2015-026628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/675
F21V 7/09
F21S 41/141
F21S 41/16
F21S 41/365
F21S 41/65
F21W 102/00
F21W 103/60
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射した出射光を、周期的に反射方向が変わる第1の反射領域で反射する第1のリフレクタと、
前記第1のリフレクタで反射された第1の反射光を、周期的に反射方向が変わる第2の反射領域で再度反射する第2のリフレクタと、を備え、
前記第1のリフレクタは、
第1の回転軸を中心に一方向に回転しながら前記第1の反射領域で前記出射光を反射するものであり、前記第1の反射光で前記第2の反射領域を走査するように構成されており、
前記第1の回転軸の周囲に設けられている前記第1の反射領域として機能する一つ以上の第1のブレードを有し、
前記第2のリフレクタは、
第2の回転軸を中心に一方向に回転しながら前記第2の反射領域で前記第1の反射光を反射するものであり、前記第1の反射光を反射した第2の反射光を走査することで配光パターンを形成するように前記第2の反射領域が構成されて
おり、
前記第2の回転軸の周囲に設けられている前記第2の反射領域として機能する一つ以上の第2のブレードを有し、
前記第2のブレードの半径は、前記第1のブレードの半径よりも大きい、
ことを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
前記配光パターンに応じて前記光源の駆動電流の大きさを制御する制御部を更に有することを特徴とする請求項
1に記載の光学ユニット。
【請求項3】
前記
第2のブレードは、
前記第2の回転軸を中心とする周方向に向かうにつれて、
前記第2の回転軸と反射面とが成す角が変化するように構成された形状を有していることを特徴とする請求項
1または2に記載の光学ユニット。
【請求項4】
前記第2の反射領域は、前記第1の反射領域よりも広いことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項5】
前記第1のリフレクタの回転速度は、前記第2のリフレクタの回転速度よりも速いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【請求項6】
前記第1のリフレクタは、前記第2の反射領域上で前記第1の反射光を第1の方向に走査することでライン状のパターンを形成し、
前記第2のリフレクタは、前記第2の反射光として前記ライン状のパターンを、前記第1の方向と交差する第2の方向に走査することで前記配光パターンを形成することを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関し、例えば、車両用灯具に用いられる光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光源から出射した光を車両前方に反射し、その反射光で車両前方の領域を走査することで所定の配光パターンを形成する装置が考案されている。例えば、光源から出射した光を反射しながら回転軸を中心に一方向に回転する回転リフレクタと、発光素子からなる光源と、を備え、回転リフレクタは、回転しながら反射した光源の光が所望の配光パターンを形成するよう反射面が設けられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の装置では、一つの発光素子の光源像を水平方向に走査することで、または、一列に並んだ複数の発光素子の水平方向に延びた光源像を水平方向に走査することで配光パターンを形成する。そのため、仮に所定のタイミングで発光素子を点消灯しても、配光パターンの一部に形成される非照射領域の位置や大きさのバリエーションには大きな制約がある。
【0005】
一方、複数のLED(Light Emitting Diode)をマトリックス状に配置した車両用灯具も考案されているが、このような灯具で実現できる非照射領域の位置や大きさもLEDの数やレイアウトに依存する。そのため、非照射領域の位置や大きさのバリエーションを増やすためにはLEDの数を多くしなければならず、灯具の大型化やコストの上昇を招く。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡易な構成の光源でより多くの配光パターンを形成可能な新たな光学ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の光学ユニットは、光源と、光源から出射した出射光を、周期的に反射方向が変わる第1の反射領域で反射する第1のリフレクタと、第1のリフレクタで反射された第1の反射光を、周期的に反射方向が変わる第2の反射領域で再度反射する第2のリフレクタと、を備える。第1のリフレクタは、第1の反射光で第2の反射領域を走査するように構成されており、第2のリフレクタは、第1の反射光を反射した第2の反射光を走査することで配光パターンを形成するように第2の反射領域が構成されている。
【0008】
この態様によると、周期的に反射方向が変わる第1の反射領域で光源の出射光が反射され、反射された第1の反射光で第2の反射領域が少なくともライン状に走査される。そして、更にライン状のパターンが周期的に反射方向が変わる第2の反射領域で反射され、反射された第2の反射光で2次元的な範囲が走査される。したがって、仮に一つの発光素子しか備えていない光源であっても、発光素子の点消灯を制御することで、配光パターンの所定の位置に非照射領域を形成することが可能となり、より多くの配光パターンを形成できる。
【0009】
第2のリフレクタは、回転軸を中心に一方向に回転しながら第2の反射領域で第1の反射光を反射してもよい。
【0010】
第2のリフレクタは、第2の反射領域として機能する一つ以上のブレードが回転軸の周囲に設けられていてもよい。
【0011】
第1のリフレクタは、回転軸を中心に一方向に回転しながら第1の反射領域で出射光を反射してもよい。
【0012】
第1のリフレクタは、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems)で構成されていてもよい。
【0013】
配光パターンに応じて光源の駆動電流の大きさを制御する制御部を更に有してもよい。
【0014】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構成の光源でより多くの配光パターンを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施の形態に係る光学ユニットの概略構成を示す上面図である。
【
図2】
図1に示す光学ユニットをA方向から見た概略構成を示す側面図である。
【
図3】
図3(a)は、第1のリフレクタや第2のリフレクタとして用いることができる回転リフレクタの一例を示す斜視図、
図3(b)は、
図3(a)に示す回転リフレクタの側面図である。
【
図4】
図4(a)~
図4(c)は、第1のリフレクタとして回転リフレクタを用いた場合に第1の反射光L1が走査される様子を模式的に示した図である。
【
図5】
図5(a)~
図5(c)は、第2のリフレクタとして回転リフレクタを用いた場合に第2の反射光L2が走査される様子を模式的に示した図である。
【
図6】本実施の形態に係るハイビーム用配光パターンによる照射範囲を模式的に示した図である。
【
図7】
図7(a)は、ハイビーム用配光パターンPHを形成する際の光源の出力変化を示す図、
図7(b)は、二次元的な走査を説明するための模式図である。
【
図8】本実施の形態に係る部分ハイビーム用配光パターンによる照射範囲を模式的に示した図である。
【
図9】部分ハイビーム用配光パターンPH’を形成する際の光源の出力変化を示す図である。
【
図10】
図10(a)~
図10(c)は、第1のリフレクタとしてMEMSミラーを用いた場合に第1の反射光L1が走査される様子を模式的に示した図である。
【
図11】第3の実施の形態に係る光学ユニットの概略構成を示す上面図である。
【
図12】
図11に示す光学ユニットをB方向から見た概略構成を示す側面図である。
【
図13】
図13(a)は、第3の実施の形態に係る第2のリフレクタの形状を説明するための模式図、
図13(b)は、第2のリフレクタの具体的な形状を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述される全ての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0018】
(第1の実施の形態)
本実施の形態に係る光学ユニットは、種々の車両用灯具に用いることができる。例えば、車両用前照灯に搭載することで、車両前方の様々な状況に適したハイビーム用配光パターンを形成できる。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る光学ユニットの概略構成を示す上面図である。
図1において、X方向は車両の前後方向を示し、Y方向は車両の車幅方向を示し、Z方向は車両の高さ方向を示す。
図2は、
図1に示す光学ユニットをA方向から見た概略構成を示す側面図である。
【0020】
光学ユニット10は、光源12と、光源12から出射した出射光Lを、周期的に反射方向が変わる第1の反射領域R1で反射する第1のリフレクタ14と、第1のリフレクタ14で反射された第1の反射光L1を、周期的に反射方向が変わる第2の反射領域R2で再度反射する第2のリフレクタ16と、を備える。
【0021】
第1のリフレクタ14は、第1の反射光L1で第2の反射領域R2を走査するように構成されている。第2のリフレクタ16は、第1の反射光L1を反射した第2の反射光L2を走査することでハイビーム用配光パターンPHを形成するように第2の反射領域R2が構成されている。
【0022】
光源12は、照明や灯具の配光に適したものであれば特に制限されるものではないが、小型化の観点では、LED素子やLD(Laser Diode)素子等の半導体発光素子が好適である。また、光源12が含む発光素子の数は一つ以上であればよい。
【0023】
次に、第1のリフレクタ14および第2のリフレクタ16の形状について説明する。
図3(a)は、第1のリフレクタ14や第2のリフレクタ16として用いることができる回転リフレクタの一例を示す斜視図、
図3(b)は、
図3(a)に示す回転リフレクタの側面図である。
【0024】
図3(a)、
図3(b)に示す回転リフレクタ50は、不図示のモータなどの駆動源により回転軸Rを中心に一方向に回転する。また、回転リフレクタ50は、光源12が備えるLEDから出射した光を回転しながら反射し、所望の配光パターンを形成するように構成された反射面を備えている。
【0025】
回転リフレクタ50は、反射面として機能する、形状の同じ2枚のブレード50aが筒状の回転部50bの周囲に設けられている。ブレード50aは、回転軸Rを中心とする周方向に向かうにつれて、回転軸Rと反射面とが成す角が変化するように捩られた形状を有している。これにより、
図1に示すように第1の反射光L1や第2の反射光L2を用いた走査が可能となる。
【0026】
図4(a)~
図4(c)は、第1のリフレクタ14として回転リフレクタ50を用いた場合に第1の反射光L1が走査される様子を模式的に示した図である。
図4(a)~
図4(c)に示すように、第1のリフレクタ14のブレード14a(回転リフレクタ50のブレード50aに相当)が回転すると、回転軸Rに対して反射面が徐々に変化する。その結果、第1の反射光L1が第2の反射領域R2上で走査され、ライン状のパターンP1が形成される。
【0027】
図5(a)~
図5(c)は、第2のリフレクタ16として回転リフレクタ50を用いた場合に第2の反射光L2が走査される様子を模式的に示した図である。
図5(a)~
図5(c)に示すように、第2のリフレクタ16のブレード16a(回転リフレクタ50のブレード50aに相当)が回転すると、回転軸Rに対して反射面が徐々に変化する。その結果、光源像13が第1の反射光L1として第2の反射領域R2上で走査されることで形成されたライン状のパターンP1が、車両前方で上下方向に走査される。
【0028】
このように構成された光学ユニット10は、周期的に反射方向が変わる第1の反射領域R1で光源12の出射光Lが反射され、反射された第1の反射光L1で第2の反射領域R2が少なくともライン状に走査される。そして、更にライン状のパターンP1が周期的に反射方向が変わる第2の反射領域R2で反射され、反射された第2の反射光L2で2次元的な範囲が走査され、ハイビーム用配光パターンPHが形成される。
【0029】
図6は、本実施の形態に係るハイビーム用配光パターンによる照射範囲を模式的に示した図である。
図6に示すように、ハイビーム用配光パターンPHによって自車両前方の遠方領域や対向車線領域が照射されることとなる。
【0030】
図7(a)は、ハイビーム用配光パターンPHを形成する際の光源の出力変化を示す図、
図7(b)は、二次元的な走査を説明するための模式図である。なお、以下の説明では、一つの発光素子を備えた光源の点消灯を制御する場合について説明するが、光源の構成はこれに限らず、複数の発光素子をライン状あるいはマトリックス状に備えた光源であっても、同様な制御が可能である。
【0031】
光源12の駆動を制御する制御部は、例えば、
図7(a)に示すように、所定の点灯開始タイミングt
sにおいて光源12の出力Pが0からP’に増加するように、光源12の駆動電流を制御する。これにより、
図7(b)に示すように光源像13が第1の反射領域R1上に形成される。そして、光源12の駆動電流が維持されたまま、光源像13が第1の反射光L1として第2の反射領域R2上で走査され、ライン状のパターンP1が形成される。更に、光源12の駆動電流が維持されたまま、パターンP1が第2の反射光L2として車両前方の仮想スクリーン上で走査され、矩形のハイビーム用配光パターンPHが形成される(時間t=t
e)。
【0032】
その後、同様のタイミングで繰り返し光源12の点消灯が行われることで、ハイビーム用配光パターンPHが周期的に形成され、残像効果によって車両前方の広い範囲が常に明るい状態であるように運転者に認識させることができる。
【0033】
したがって、仮に一つの発光素子しか備えていない光源12であっても、光源12の光源像の大きさよりもはるかに広い範囲を照射する配光パターンを形成できる。
【0034】
一方、車両前方の状況によっては、ハイビーム用配光パターンPHでは適正でない場合も有り得る。
図8は、本実施の形態に係る部分ハイビーム用配光パターンによる照射範囲を模式的に示した図である。
図8に示す状況では、自車線の前方を走行する先行車18や対向車線を走行する対向車20、路肩や歩道を歩く歩行者22に対して、ハイビーム用配光パターンはグレアを与えてしまう。そこで、
図8に示す部分ハイビーム用配光パターンPH’は、ハイビーム用配光パターンPHの一部の領域を非照射状態としたものである。
【0035】
図9は、部分ハイビーム用配光パターンPH’を形成する際の光源の出力変化を示す図である。制御部は、カメラやセンサ等から得た外部情報に基づいて、車両前方の照射範囲を制御できる。具体的には、制御部は、
図9に示すように、所定の点灯開始タイミングt
sにおいて光源12の出力Pが0からP’に増加するように、光源12の駆動電流の大きさを制御する。これにより、
図9の部分ハイビーム用配光パターンPH’の上段右隅の領域S1から左方に向かって光源像13が走査され上段左隅に到達し、次に、中段右端の領域S2から左方に向かって光源像13が走査され中段左端に到達し、次に、下段右端の領域S3から左方に向かって光源像13が走査され下段左隅に到達する。
【0036】
その際、時間t1~t2、t3~t4、t5~t6、t7~t8のタイミングでそれぞれ光源12の出力Pを0とする。これにより、先行車18、対向車20、歩行者22に対応する範囲が非照射状態となった部分ハイビーム用配光パターンPH’が形成される。なお、制御部は、照射範囲内の明るさを調整できるように、出力のON、OFFだけでなく、出力Pの大きさの制御も行う。
【0037】
このように、本実施の形態に係る光学ユニット10は、仮に一つの発光素子しか備えていない光源12であっても、発光素子の点消灯を制御することで、配光パターンの所定の位置に非照射領域を形成することが可能となり、より多くの配光パターンを形成できる。換言すると、多数の発光素子をマトリックス状に配置した光源でなくても、配光パターンの所定の位置に非照射領域を形成することが可能となる。
【0038】
なお、第2のリフレクタ16の第2の反射領域R2は、矩形または円形の光源像13が走査されることで形成されるライン状のパターンP1を反射するため、第1のリフレクタ14の第1の反射領域R1よりも広い方が好ましい。つまり、第2のリフレクタ16の一つのブレード16aの半径は、第1のリフレクタ14の一つのブレード14aの半径よりも大きい方が好ましい。
【0039】
また、本実施の形態に係る光学ユニット10においては、ハイビーム用配光パターンPHに相当する領域をパターンP1で一度走査する間に、光源像13の複数回の走査が必要である。したがって、本実施の形態に係る光学ユニット10においては、ハイビーム用配光パターンPHや部分ハイビーム用配光パターンPH’を形成する際の第1のリフレクタ14の回転速度は、第2のリフレクタ16の回転速度よりも速い。
【0040】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、第1のリフレクタ14として
図3に示した回転リフレクタ50を用いた場合について説明した。しかしながら、第2のリフレクタ16の第2の反射領域R2上にライン状のパターンP1を形成できるものであれば、他の構成であってもよい。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)ミラーを利用できる。
【0041】
図10(a)~
図10(c)は、第1のリフレクタ24としてMEMSミラーを用いた場合に第1の反射光L1が走査される様子を模式的に示した図である。
図10(a)~
図10(c)に示すように、第1のリフレクタ24の反射面24aがZ方向を回転軸Rとして回転すると、回転軸Rに対して反射面24aが徐々に変化する。その結果、第1の反射光L1が第2の反射領域R2上で走査され、ライン状のパターンP1が形成される。その後の動作は第1の実施の形態と同様なため説明は省略する。
【0042】
このように、第1のリフレクタ24としてMEMSミラーを用いた場合、
図3に示したような回転リフレクタ50と比較して小型化が可能である。また、比較的高い周波数での駆動も可能であり、一定の振幅で共振させるだけではなく、振幅を一時的に変更することも可能であり、配光パターンの形成においてより多様な制御が可能となる。
【0043】
(第3の実施の形態)
上述の実施の形態に係る光学ユニットでは、第1のリフレクタで水平(横)方向に走査して形成された横長のパターンを、第2のリフレクタで鉛直(縦)方向に走査することでハイビーム用配光パターンPHが形成されている。
【0044】
一方、以下の第3の実施の形態に係る光学ユニットでは、第1のリフレクタで鉛直(縦)方向に走査して形成された縦長のパターンを、第2のリフレクタで水平(横)方向に走査することでハイビーム用配光パターンPHを形成できる。
【0045】
図11は、第3の実施の形態に係る光学ユニットの概略構成を示す上面図である。
図11において、X方向は車両の前後方向を示し、Y方向は車両の車幅方向を示し、Z方向は車両の高さ方向を示す。
図12は、
図11に示す光学ユニットをB方向から見た概略構成を示す側面図である。
【0046】
光学ユニット30は、光源12と、光源12から出射した出射光Lを、周期的に反射方向が変わる第1の反射領域R1で反射する第1のリフレクタ14と、第1のリフレクタ14で反射された第1の反射光L1を、周期的に反射方向が変わる第2の反射領域R2で再度反射する第2のリフレクタ26と、を備える。
【0047】
第1のリフレクタ14は、第1の反射光L1で第2の反射領域R2を走査するように構成されている。第2のリフレクタ26は、第1の反射光L1を反射した第2の反射光L2を走査することでハイビーム用配光パターンPHを形成するように第2の反射領域R2が構成されている。
【0048】
第2のリフレクタ26は、第1の実施の形態に係る第2のリフレクタ16と、ブレード26aの反射面の形状が異なる。
図13(a)は、第3の実施の形態に係る第2のリフレクタ26の形状を説明するための模式図、
図13(b)は、第2のリフレクタ26の具体的な形状を説明するための図である。
【0049】
第2のリフレクタ26は、2つのブレード26aの境界を回転角度0°とすると、その位置での反射面の法線と回転軸Rとの成す角がα°(
図13(b)参照)であり、
図12のハイビーム用配光パターンの右端をパターンP1が照射するように構成されている。また、第2のリフレクタ26は、回転角度90°の場合、その位置での反射面の法線と回転軸Rとの成す角が0°(
図13(b)参照)であり、
図12のハイビーム用配光パターンの中央をパターンP1が照射するように構成されている。また、第2のリフレクタ26は、回転角度180°の場合、その位置での反射面の法線と回転軸Rとの成す角が-α°(
図13(b)参照)であり、
図12のハイビーム用配光パターンの左端をパターンP1が照射するように構成されている。
【0050】
このように構成された光学ユニット30においても、第1の実施の形態に係る光学ユニット10と同様の作用効果を得られる。
【0051】
(第4の実施の形態)
上述の各実施の形態では、光源が一つの発光素子を備えている場合について説明したが、光源が複数の発光素子を備える必要がある場合、あるいは、光源自体を複数配置する必要がある場合も有り得る。例えば、発光素子一つの出力が不足している場合や、照射範囲をより広げたい場合、あるいは、各リフレクタの駆動周波数(回転速度)が不足している場合等である。
【0052】
発光素子一つの出力が十分でない場合、各リフレクタの駆動周波数(回転速度)がそのままであると、ハイビーム用配光パターンが全体的に暗くなってしまう。一方、各リフレクタの駆動周波数(回転速度)を低いと、照射範囲の一部に光源像で走査されない隙間が生じてしまう。
【0053】
そこで、本実施の形態に係る光源では、各光源が発光素子を複数備えるようにしている。例えば、光源は、m×n(m、nは共に自然数であり、m≠1またはn≠1である。)のマトリックス状に配列された発光素子を備えている。これにより、第1の発光素子から出射された出射光によって、ハイビーム用配光パターンの上半分の領域を形成し、第2の発光素子から出射された出射光によって、ハイビーム用配光パターンの下半分の領域を形成する、といったことが可能となる。その結果、発光素子一つの出力が不足している場合や、照射範囲をより広げたい場合等において、所望の特性を備えた配光パターンを形成できる。
【0054】
以上、本発明を上述の各実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【0055】
例えば、上述の各実施の形態に係る光源は、照明や灯具の配光に適した可視光を発するものが好適であるが、例えば、LiDAR(light detection and ranging)用のレーザー光源であってもよい。また、光学ユニットは、LiDAR用の光源からパルス状に発光するレーザー照射に対する散乱光を受光する受光器を備えていてもよい。ここで、レーザー光源は、例えば、紫外線、可視光線、近赤外線等の比較的波長の短い電磁波を発するものである。これにより、車両周囲の状況(歩行者や他車両の有無や位置、道路形状や建築物の位置等)を精度良く把握できるため、車両周囲の状況に応じた適切な配光制御が可能となる。
【符号の説明】
【0056】
L1 第1の反射光、 P1 パターン、 R1 第1の反射領域、 L2 第2の反射光、 R2 第2の反射領域、 10 光学ユニット、 12 光源、 13 光源像、 14 第1のリフレクタ、 14a ブレード、 16 第2のリフレクタ、 16a ブレード、 24 第1のリフレクタ、 24a 反射面、 26 第2のリフレクタ、 26a ブレード、 30 光学ユニット。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、車両用灯具に利用できる。