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特許7203030動的ブラシヘッドを有する電動式ユーティリティブラシ
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  • 特許-動的ブラシヘッドを有する電動式ユーティリティブラシ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】動的ブラシヘッドを有する電動式ユーティリティブラシ
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/26 20060101AFI20230104BHJP
【FI】
A61C17/26 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019540342
(86)(22)【出願日】2018-01-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2018051764
(87)【国際公開番号】W WO2018138173
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-11-10
(31)【優先権主張番号】S2017/0028
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】315010950
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン コンシューマー ヘルスケア(ユーケー) アイピー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダイアモンド,デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ダイアモンド,ジーン
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-523239(JP,A)
【文献】米国特許第06032313(US,A)
【文献】国際公開第2011/141577(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/22 - 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナードライブシャフトと、
同心のアウタードライブシャフトと、
前記アウタードライブシャフトの端部に固定されるブラシヘッドの第1の部分と、前記インナードライブシャフトと係合して駆動されるように前記ブラシヘッドの前記第1の部分に回転可能に取り付けられている前記ブラシヘッドの第2の部分とを有する回転可能なブラシヘッドと、
前記インナードライブシャフトと前記ブラシヘッドの前記第2の部分との間に設けられる一組の噛み合うギヤ、とを有する電動式ユーティリティブラシであって、
前記ブラシヘッドは球状であり、前記第1の部分及び前記第2の部分は実質的に半球状であり、
前記一組の噛み合うギヤは、
前記インナードライブシャフトの端部に一体に形成される駆動ギヤの歯と、
前記ブラシヘッドの前記第2の部分の端部面に一体に形成される相補形の従動ギヤの歯と、を備え、両方の前記歯は直交してかみ合っている
電動式ユーティリティブラシ。
【請求項2】
請求項1に記載の電動式ユーティリティブラシであって、
前記第1の部分は、前記第2の部分よりサイズが大きい電動式ユーティリティブラシ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電動式ユーティリティブラシであって、
前記ブラシヘッドの前記第2の部分は、端部面から突出する軸を備え、
前記ブラシヘッドの前記第1の部分は、前記軸が収容される相補形のソケットを有する電動式ユーティリティブラシ。
【請求項4】
請求項3に記載の電動式ユーティリティブラシであって、
前記ブラシヘッドは、前記軸と前記ソケットとの間に配置されるベアリングを有する電動式ユーティリティブラシ。
【請求項5】
請求項4に記載の電動式ユーティリティブラシであって、
前記ベアリングは、前記ソケットに保持されるブッシュを有する電動式ユーティリティブラシ。
【請求項6】
請求項5に記載の電動式ユーティリティブラシであって、
前記ブッシュは、
前記軸がその内部に配置されるスリーブと、
前記スリーブの端部から半径方向外側に延び、前記ブラシヘッドの前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置されるフランジとを有する電動式ユーティリティブラシ。
【請求項7】
請求項6に記載の電動式ユーティリティブラシであって、
前記フランジは、少なくとも1対の平行側面を画定する電動式ユーティリティブラシ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の電動式ユーティリティブラシであって、
前記ブラシヘッドは、外面から突出するブラシ毛の配列を有する電動式ユーティリティブラシ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の電動式ユーティリティブラシであって、
前記電動式ユーティリティブラシは、前記アウタードライブシャフトを少なくとも部分的に囲むスリーブを備える電動式ユーティリティブラシ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の電動式ユーティリティブラシであって、
前記電動式ユーティリティブラシは、前記インナードライブシャフトが前記アウタードライブシャフトから独立して駆動される場合に、前記アウタードライブシャフトを、設定される角度配向に位置決めさせるように動作可能なインデックス機構を備える電動式ユーティリティブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動的ブラシヘッドを有する電動式ユーティリティブラシ、特に電動歯ブラシ等の手持ち式の電動式ユーティリティブラシに関し、複数のモードのブラシングを達成するために2つの別々の軸の周りに回転することができる回転可能なヘッドを有する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電動歯ブラシ、研磨ブラシ、清掃用ブラシ等の様々な用途の電動ブラシは、周知であり、多くの形態を取り、通例、ブラシ毛の配列を有するヘッドと、ヘッドに対して少なくとも1つの駆動動作を与えるように構成され、通例では電気モータ等の形態の駆動手段とを包含する。
【0003】
電動歯ブラシの場合は、最も一般的な駆動動作の1つは回転である。いくつかの場合、例えば、ブラシヘッドを1つの駆動モードとして1つの軸の周りに回転駆動することができ、また代わりに、第2の駆動モードとして第2の軸の周りに回転駆動することができるように、多くの駆動モードが利用できる。このことは、特定の用途に関して、例えば、ブラシヘッドの回転軸を2以上の異なる方向に配置できる電動歯ブラシの場合に有益であり、磨かれる歯の特定のグループに対して最も効果的なブラッシング動作を提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば頬に隣接する口腔の特定の領域において歯を磨く場合、ブラシヘッドの一部が頬の柔らかい組織に押し付けられて、そのため回転するヘッドのブラシ毛が頬をこすり、不快感又は炎症を引き起こすおそれがある。よって、ブラシのこのような回転動作は避けることが望ましい場合がある。
【0005】
手持ち型の歯ブラシは、特にブラシヘッド自体のサイズが小さいので、複雑な駆動要素をヘッドの内部、従って極めて限定されたスペースに配置することが必要とされる。上記の2軸回転を可能とするために様々な駆動要素を製作しようとする場合、大幅な設計上及び製造上の制限に直面する。さらに、ブラシヘッドは、外面から突出するブラシ毛の配列が必要とされ、またブラシ毛は、堅牢でかつこのような製品に期待される必要な寿命を提供するために、ブラシに対して十分機械的に固定されなければならない。このことは、ブラシ毛を固定するためにヘッド内部に利用可能なスペースを保持するという観点から、また、このような小さな部品を扱う場合の製造の観点からさらに困難な問題となる。
【0006】
従って、本発明は上述の問題に対処することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
電動式ユーティリティブラシは、インナードライブシャフトと、同心のアウタードライブシャフトと、前記アウタードライブシャフトの端部に固定される第1の部分と、前記インナードライブシャフトと係合して駆動されるように前記第1の部分に回転可能に取り付けられている第2の部分とを有する回転可能なヘッドとを備える。
【0008】
好適には、前記ブラシヘッドは球状であり、前記第1及び第2の部分は実質的に半球状である。
【0009】
好適には、前記第1の部分は前記第2の部分よりサイズが大きい。
【0010】
好適には、前記ヘッドの前記第2の部分は端部面から突出する軸を備え、前記ヘッドの前記第1の部分は、前記軸が収容される相補形のソケットを有する。
【0011】
好適には、前記ブラシヘッドは、前記軸と前記ソケットとの間に配置されるベアリングを有する。
【0012】
好適には、前記ベアリングは、前記ソケットに保持されるブッシュを有する。
【0013】
好適には、前記ブッシュは、前記軸がその内部に配置されるスリーブと、前記スリーブの端部から半径方向外側に延び、前記ヘッドの前記第1の部分と前記第2の部分との間に配置されるフランジとを有する。
【0014】
好適には、前記フランジは少なくとも1対の平行側面を画定する。
【0015】
好適には、前記ユーティリティブラシは、前記インナードライブシャフトと前記ヘッドの前記第2の部分との間に設けられる一組の噛み合うギヤを備える。
【0016】
前記一組の噛み合うギヤは、前記インナードライブシャフトの端部に一体に形成される駆動ギヤの歯と、前記ヘッドの前記第2の部分の端部面に一体に形成される相補形の従動ギヤの歯とを有する。
【0017】
好適には、前記ブラシヘッドは外面から突出するブラシ毛の配列を有する。
【0018】
好適には、前記ユーティリティブラシは、前記アウタードライブシャフトを少なくとも部分的に囲むスリーブを有する。
【0019】
好適には、前記ユーティリティブラシは、前記インナードライブシャフトが前記アウタードライブシャフトから独立して駆動される場合に、前記アウタードライブシャフトを、設定される角度配向に位置決めさせるように動作可能なインデックス機構を備える。
【図面の簡単な説明】
【0020】
次に、添付図面を参照して本発明を説明する。
図1】本発明の好適な実施形態に係る電動歯ブラシの形態の電動式ユーティリティブラシの断面側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、添付図面を参照すると、電動歯ブラシ(図示せず)等の小型の手持式装置において特に用途がある、通常は10として示される電動式ユーティリティブラシが示されている。
【0022】
ユーティリティブラシ10は、図示の実施形態において実質的に球形であるブラシヘッド12を備え、また実質的に半球状である第1の部分14と、同様に実質的に半球状で、第1の部分14に回転可能に取り付けられた第2の部分16とを備える。第1の部分14と第2の部分16の両方は実質的に半球状であるが、図示の好適な実施形態では、第1の部分14は第2の部分16より大きく、以下において詳細に説明するように、多くの設計上及び製造上の利点を提供する。
【0023】
ユーティリティブラシ10は、中実のインナードライブシャフト18と、インナードライブシャフト18を囲む同心に配置される中空のアウタードライブシャフト20とをさらに備え、両ドライブシャフト18、20は、以下において再度詳細に説明するように、ブラシヘッド12を回転させるためにブラシヘッド12と作動可能に係合している。ユーティリティブラシ10は、アウタードライブシャフト20を囲むアウター保護スリーブ22をさらに備えてもよく、インナードライブシャフト18とアウタードライブシャフト20とはその中で回転することができるが、アウター保護スリーブ22は使用中固定されたままである。使用中において、インナードライブシャフト18とアウタードライブシャフト20とは、スリーブ22と共に、電動歯ブラシのネック又はステムを構成し、本体又は把手(図示せず)は、ユーザがユーティリティブラシ10を手で握ることを可能にするためにヘッド12とは反対側のそれらの端部に設けられており、また、本体又は把手(図示せず)は、電気モータ、バッテリー、及び回路を収容することができる場所も提供する。これらの構成要素についてのさらなる説明は以下において提供されず、他の任意の適切な機能等価物をそれらの代わりに設けることができることは理解されよう。
【0024】
ブラシヘッド12の第1の部分14は、その中に形成された円筒形のソケット24を有し、一方、ブラシヘッド12の第2の部分16は、それから外側に突出する短い軸26を備え、それは、第1の部分14と第2の部分16が互いに固定された状態で、ソケット24内に配置される。図1において、ユーティリティブラシ10の構成と動作のより明確な理解を可能にするために、第2の部分16が第1の部分14からわずかに離れて示されていることが理解されよう。
【0025】
ブラシヘッド12は、ソケット24と軸26との間に設けられたブッシュ28の形態のベアリングをさらに備え、ブッシュは、軸26が回転のために保持されている円筒形スリーブ30と、使用中において、ブラシヘッド12の第1の部分14と第2の部分16の対向する面の間に位置する半径方向に延びるフランジ32とを有する。図示の好適な実施形態において、ソケット24の円筒形の壁にはねじが切られており、また、球形のブラシヘッド12として第1の部分14と第2の部分16を一緒に固定するために、ブッシュ28が軸26の周りに配置された状態で、第2の部分16を第1の部分14にねじ込むことを可能にするためにスリーブ30の外面には対応するねじが設けられている。従って、ブッシュ28をねじが切られたソケットにねじ込むために、フランジ32は、ブッシュ28を回転させるために薄いスパナによって係合することができるナット又はボルトヘッドを効果的に画定するように、六角形状が好ましい。従って、フランジ32は、少なくとも1対の平行な側面又は平行な端部を有しなければならないこと、さらに六角形状であることが最も好ましいことが理解されよう。
【0026】
軸26には、一旦軸26がブッシュ28に挿入されて、ブッシュ28がソケット24にねじ込まれる前に、ナット36がねじ込まれるねじ付き端部34が設けられている。ナット36は、軸26に形成されスリーブ30の端部から少しの距離だけ外側にあるショルダー38に対して締め付けられ、第2の部分16が依然としてブッシュ28内で自由に回転可能である間、軸26がスリーブ30から引き抜かれることを防止するために、ナット36はスリーブ30の端部と重なり合う。このようにして、第2の部分16は、ブッシュ28の中で、軸26の長手方向の軸の周りに第1の部分14に対して回転することができる。
【0027】
次に、ブラシヘッド12とドライブシャフト18、20との間の接続部まで旋回すると、ブラシヘッド12の第1の部分14は、アウタードライブシャフト20の端部に固定され、又はアウタードライブシャフト20の端部と一体に形成され、それによって、2つのドライブシャフト18、20を一緒に回転させることによって、ブラシヘッド12全体がドライブシャフト18、20の長手方向の軸の周りに回転することが可能になる。これにより、ブラシヘッド12全体がこの軸上で回転しても、第2の部分16は第1の部分14に対して確実に固定されたままとなる。
【0028】
ユーティリティブラシ10は、インナードライブシャフト18の端部に設けられる又はインナードライブシャフト18の端部と一体に形成される駆動ギヤ40という形態のギヤの組と、ブラシヘッド42の第2の部分16に設けられる又は第2の部分16と一体に形成される従動ギヤの相補の組も備える。駆動ギヤ40と従動ギヤ42は、第2の部分16がブラシヘッド12の第1の部分14に固定された場合に互いにかみ合い、インナードライブシャフト18がアウタードライブシャフト20から独立して駆動される場合、第1の部分14に対して第2の部分16の回転を生じさせるために、インナードライブシャフト18から第2の部分16へ90度にわたって駆動を伝達することが可能になる。
【0029】
こうして、使用中において、ユーティリティブラシ10は、ブラシヘッド12に対する第1及び第2の独立したブラッシング動作を与えることができる。すなわち、ブラシヘッド12全体がドライブシャフト18、20の同期回転によってドライブシャフト18、20の長手方向の軸の周りに回転する第1のブラッシング動作と、アウタードライブシャフト20が固定されてインナードライブシャフト18のみがその中で回転し、それによって、軸26の長手方向の軸の周りにブラシヘッド12の第2の部分16が回転し、従って、第1のブラッシング動作に対して垂直な回転を生じさせる第2の独立したブラッシング動作とを与えることができる。この動作は、ブラシヘッド12の静止した第1の部分が頬の内側に置かれた場合に、一方で、回転する第2の部分16が頬に面する歯の表面の洗浄を達成することができるので、ユーティリティブラシ10の電動歯ブラシ用途に特に適している。これにより、従来、歯ブラシのヘッドにおいてあったように、ブラシヘッド12の外面がブラシ毛の配列で覆われている場合にブラシヘッド12全体が回転すると、特に顕著である頬の擦り傷を引き起こして本構成でなければ発生する恐れがある頬の柔らかい組織の炎症を防止する。
【0030】
ヘッド12の第1の部分14をアウタードライブシャフト20に対して固定することによって、第1の部分14は半球よりサイズが大きく、従って第2の部分は対応してサイズが縮小されて半球より小さくなるように、第2の部分16に対して第1の部分14のサイズを大きくすることが可能になる。このように、第1の部分14のサイズを大きくすることによって、駆動要素の収容とヘッド12へのブラシ毛の束の固定の両方のためのヘッド12の内部のスペースが増大する。
【0031】
従って、ユーティリティブラシ10には、第1の又は第2のブラッシング動作がユーザによって選択され、又はユーティリティブラシ10の配向に依存して自動的に選択されることを可能にする適切な制御(図示せず)が設けられてもよい。ユーティリティブラシ10は、さらに、又はそれに代わって、ブラシヘッド12の第2の部分16の独立した回転を生じさせるために、インナードライブシャフト18がアウタードライブシャフト20から独立して駆動されるべき場合に、アウタードライブシャフト20を設定された角度配向に位置決めするように動作可能なインデックス機構(図示せず)を備えてもよい。
図1