(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】微小流体の分析のためのシステム、デバイス、及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/03 20060101AFI20230104BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230104BHJP
G01N 35/08 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
G01N21/03 Z
G01N37/00 101
G01N35/08 D
(21)【出願番号】P 2019557408
(86)(22)【出願日】2018-04-23
(86)【国際出願番号】 US2018028855
(87)【国際公開番号】W WO2018195530
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-03-09
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515230154
【氏名又は名称】ゾエティス・サービシーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】シャートル,ロバート・ジャスティス
(72)【発明者】
【氏名】エドモンソン,シャーブ・エム,ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン,ボブ
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0243813(US,A1)
【文献】特開2005-030906(JP,A)
【文献】特表2013-527424(JP,A)
【文献】特開2016-161546(JP,A)
【文献】特開2004-069397(JP,A)
【文献】特開平05-045359(JP,A)
【文献】特開2007-033226(JP,A)
【文献】特表2007-525647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00- G01N 21/61
G01N 35/00- G01N 35/10
G01N 33/48- G01N 33/98
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口部と
、第2開口部
と、前記第1開口部と前記第2開口部との間の流体連通経路を確立する微小流体チャネルと、を画定する第1層であって、実質的に透明である前記第1層
と、
前記第1層に連結された第2層であって
、部分的に不透明である前記第2層
と
を含
み、
前記第1層は装置の最上部であり、前記第2層は装置の底面であり、
前記第1開口部は、前記第2開口部より大きく、流体を受容するように構成されており、
前記第2開口部は、前記微小流体チャネルが流体で満たされている場合に装置から気体を放出するように構成されており、
前記微小流体チャネルの高さは、前記第1開口部から前記第2開口部に向かって連続的に減少する、又は、
前記第1層に形成された前記微小流体チャネルの側面が階段の組を画定し、前記微小流体チャネルの高さが、前記第1開口部から前記第2開口部に向かって階段状に減少する、
装置。
【請求項2】
前記第1層が、紫外線、可視光、及び近赤外光の少なくとも1つに対して実質的に透明である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記微小流体チャネルが
、前記微小流体チャネルの延在方向に沿った前記装置の縦軸に対して線形である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記微小流体チャネルが
、前記微小流体チャネルの延在方向に沿った前記装置の縦軸に対して湾曲している、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記微小流体チャネルが
、前記微小流体チャネルの延在方向に沿った前記装置
の長手方向
に平行
であり、かつ
前記長手方向に直交する短手方向の中心からずれて延在している、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記微小流体チャネルが
、前記微小流体チャネルの延在方向に沿った前記装置
の長手方向
に直交する短手方向の中心に沿って画定される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記微小流体チャネルの前記
階段の各ステップの高さが約0.1mm~約0.9mmである、請求項
1に記載の装置。
【請求項8】
前記微小流体チャネルの前記
階段の少なくとも1つのステップが前記流体から1つ以上の構成要素を分離するように構成される、請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
前記微小流体チャネルの前記
階段の各ステップが前記流体から1つ以上の構成要素を分離するように構成される、請求項
7に記載の装置。
【請求項10】
前記微小流体チャネルの側面に連結された試薬をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記微小流体チャネルが親水性材料から構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記微小流体チャネルが親水性コーティングを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記第1層及び前記第2層が、アクリル、ポリカーボネート、環状オレフィン共重合体(COC)、及びポリエステルの1つ以上から構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記微小流体チャネルが、前記微小流体チャネルで受け取られた流体から1つ以上の構成要素を分離するように構成されたフィルタを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記微小流体チャネルがチャネルセットの第1チャネルである、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記第2開口部が開口部セットの1つの開口部である、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記第1開口部が前記第1層の近位端にあり、前記第2開口部は前記第1層の遠位端にある、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記第2層は、カーボンブラック及びレーザ吸収色素の少なくとも一方の0.5重量%を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記微小流体チャネルが約1μL~約1mLの体積を規定する、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
尿を受け取るように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
赤血球、白血球、白血球の塊、硝子円柱、病理学的鋳造物、扁平上皮細胞、非扁平上皮細胞、細菌、酵母、結晶、シュウ酸カルシウム一水和物、シュウ酸カルシウム二水和物、尿酸、三重フォトフェート、粘液、及び精子の1つ以上を含む1つ以上の検体を受け取るように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記微小流体チャネルの位置を示すように構成された1つ以上の基準を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
第1開口部と
、第2開口部
と、前記第1開口部と前記第2開口部との間の流体連通経路を確立する微小流体チャネルと、を画定する
、実質的に透明である第1層を形成することと、
前記第1層に連結され、部分的に不透明である
、第2層を形成すること
と、
前記微小流体チャネルが前記第1開口部と前記第2開口部との間に
前記流体連通経路を確立するように前記第1層を前記第2層に接合すること
を含
み、
前記第1層は装置の最上部であり、前記第2層は装置の底面であり、
前記第1開口部は、前記第2開口部より大きく、流体を受容するように構成されており、
前記第2開口部は、前記微小流体チャネルが流体で満たされている場合に装置から気体を放出するように構成されており、
前記微小流体チャネルの高さは、前記第1開口部から前記第2開口部に向かって連続的に減少する、又は、
前記第1層に形成された前記微小流体チャネルの側面が階段の組を画定し、前記微小流体チャネルの高さが、前記第1開口部から前記第2開口部に向かって階段状に減少する、
装置の製造方法。
【請求項24】
微小流体チャネルに親水性処理を適用することをさらに含む、請求項
23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1層及び前記第2層がダイカット、押出、及び射出成形の1つ以上を用いて形成される、請求項
23に記載の方法。
【請求項26】
前記第1層及び前記第2層が接着剤、超音波溶接、レーザ溶接、及び溶媒接合の1つ以上を用いて接合される、請求項
23に記載の方法。
【請求項27】
前記レーザ溶接が940nmレーザダイオード光を含む、請求項
26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1層及び前記第2層の少なくとも1つがPMMA及びポリカーボネートの少なくとも1つを含む、請求項
23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年4月21日に出願された米国仮出願係属番号第62/488,377号に対する優先権を主張するものであり、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
対象から得た生体液の分析は、疾患の診断ツールとして、及び対象の健康状態をモニタするために利用され得る。例えば、対象の尿試料の分析(すなわち、尿検査)は、疾患(糖尿病など)を診断するために利用する、及び/または試料の中の1つ以上の堆積物を特定するために利用することができる。顕微鏡ベースの堆積物解析システムの中には、1つ以上の堆積物を識別するために使用される一連の画像を生成するものがある。ただし、これらのシステムには、よく混合された試料(例えば遠心分離された試料)が必要でそれが細胞の損失を引き起こす可能性があり、また1以上の希釈が必要であり、そのため、これらのシステムの操作に必要な時間とスキルレベルが増加することがある。したがって、生体液分析を行うためのさらなるデバイス、システム、及び方法が望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0003】
概して、第1開口部と第2開口部を画定する第1層であって、実質的に透明である第1層を含む装置が提供される。第2層が第1層に連結されてもよい。第2層は、第1開口部と第2開口部との間の流体連通経路を確立する微小流体チャネルを画定し、第2層の少なくとも一部が実質的に不透明であり得る。
【0004】
いくつかの実施形態では、第1層が、紫外線、可視光、及び近赤外光の少なくとも1つに対して実質的に透明であってもよい。いくつかの実施形態では、微小流体チャネルが装置の縦軸に対して線形であってよい。いくつかの実施形態では、微小流体チャネルが装置の縦軸に対して湾曲していてよい。いくつかの実施形態では、微小流体チャネルが装置の中央長手方向の平面から平行及び片寄っていてよい。いくつかの実施形態では、微小流体チャネルが装置の中央長手方向の平面に沿って画定されてよい。いくつかの実施形態では、微小流体チャネルの高さが第1開口部から第2開口部まで継続的に減少してもよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、第2層に形成された微小流体チャネルの側面が、微小流体チャネルの高さが第1開口部から第2開口部まで段階的に減少するようにステップセットを画定してもよい。いくつかの実施形態では、微小流体チャネルのステップセットの各ステップの高さが約0.1mm~約0.9mmであってよい。いくつかの実施形態では、第1開口部が流体を受け取るように構成されてもよい。微小流体チャネルのステップセットの少なくとも1つのステップが流体から1つ以上の構成要素を分離するように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1開口部が流体を受け取るように構成されてもよく、微小流体チャネルのステップセットの各ステップが流体から1つ以上の構成要素を分離するように構成され得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1開口部は、第2開口部よりも大きくてもよい。いくつかの実施形態では、試薬は、微小流体チャネルの側面に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、微小流体チャネルは、親水性材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態では、微小流体チャネルは、親水性コーティングを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1層及び第2層は、アクリル、ポリカーボネート、環状オレフィン共重合体(COC)、及びポリエステルの1つ以上から構成されてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、微小流体チャネルが、微小流体チャネルで受け取られた流体から1つ以上の構成要素を分離するように構成されたフィルタを含んでよい。いくつかの実施形態では、微小流体チャネルがチャネルセットの第1チャネルであってよい。いくつかの実施形態では、第2開口部が開口部セットの1つの開口部であってよい。いくつかの実施形態では、第1開口部が第1層の近位端にあり、第2開口部は第1層の遠位端にあってよい。いくつかの実施形態では、第2層は、カーボンブラック及びレーザ吸収色素の少なくとも一方の約0.01重量%~1.0重量%を含んでよい。いくつかの実施形態では、微小流体チャネルが約1μL~約1mLの体積を規定してよい。例えば、微小流体チャネルは、約5μL~約200μLの体積を規定してもよい。別の例として、微小流体チャネルは、約10μL~約50μLの体積を規定してもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、装置は尿を受け取るように構成されていてよい。いくつかの実施形態では、装置は赤血球、白血球、白血球の塊、硝子円柱、病理学的鋳造物、扁平上皮細胞、非扁平上皮細胞、細菌、酵母、結晶、シュウ酸カルシウム一水和物、シュウ酸カルシウム二水和物、尿酸、三重フォトフェート、粘液、及び精子の1つ以上を含む1つ以上の検体を受け取るように構成され得る。いくつかの実施形態では、装置は微小流体チャネルの位置を示すように構成された1つ以上の基準を含んでよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、生体液分析システムは、微小流体デバイス上の試料を自動的に処理及び分析し、屈折率及び浸透性を含むがこれらに限定されない生体液の特性を分析及び/または測定することができる。生体液(例えば、尿)の1つ以上の検体は、赤血球、白血球、白血球の塊、硝子円柱、病理学的鋳造物、扁平上皮細胞、非扁平上皮細胞、細菌、酵母、結晶、シュウ酸カルシウム一水和物、シュウ酸カルシウム二水和物、尿酸、三重フォトフェート、粘液、及び精子を含む。いくつかの実施形態では、生体液分析システムは、アセンブリ、放射線源、検出器、及びコントローラを含んで提供される。
【0010】
アセンブリは装置を保持するように構成され得る。装置が第1開口部と第2開口部を画定する第1層であって、実質的に透明である第1層を含み得る。第2層が、第1層に連結されてもよく、第1開口部と第2開口部との間の流体連通経路を確立する微小流体チャネルを画定する。第2層の少なくとも一部が実質的に不透明であり得る。装置は、流体を受け取るように構成され得る。微小流体チャネルを照射する第1光信号を発するように放射線源が構成され得る。第2光信号を受信するように検出器が構成され得る。第2光信号が、第1光信号を使用した微小流体チャネルの照射に応答して生成され得る。コントローラが、検出器に連結され、プロセッサとメモリを含んでよい。コントローラは、検出器によって受信された第2光信号に対応する信号データを受信し、信号データを使用して検体データを生成し、また検体データを使用して流体の1つ以上の検体を識別するように構成され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、検体が赤血球、白血球、白血球の塊、硝子円柱、病理学的鋳造物、扁平上皮細胞、非扁平上皮細胞、細菌、酵母、結晶、シュウ酸カルシウム一水和物、シュウ酸カルシウム二水和物、尿酸、三重フォトフェート、粘液、及び精子の少なくとも1つを含んでよい。
【0012】
いくつかの実施形態では、アセンブリは、装置を保持し、少なくとも2つの自由度で装置を移動するように構成されたプラットフォームを含んでよい。いくつかの実施形態では、放射線源が発光ダイオード、レーザ、顕微鏡、及び光学センサの1つ以上を含んでよい。いくつかの実施形態では、装置が微小流体チャネルの位置を示すように構成された少なくとも1つの基準を含んでよい。検出器は、少なくとも1つの基準を画像化するように構成され得る。いくつかの実施形態では、入力デバイスがコントローラに連結され、入力デバイスがアセンブリの移動を制御するように構成され得る。
【0013】
本明細書には、生体液分析方法に対応する実施形態も記載されている。概して、これらの方法は、第1開口部と第2開口部を画定する第1層であって、実質的に透明である第1層を含む装置に尿試料を適用するステップを含み得る。第2層が、第1層と連結し、第1開口部と第2開口部との間の流体連通経路を確立する微小流体チャネルを画定し、第2層の少なくとも一部が実質的に不透明であってよい。第1光信号が微小流体チャネルを照射するよう放出することができる。検出器で第2光線を受け取り得る。第2光線が検出器で受け取られ得る。第2光線が第1光信号を使用した微小流体チャネルの照射に応答して生成され得る。検出器から検体データを生成し得る。検体データから尿試料の1つ以上の検体を同定し得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、検体は、赤血球、白血球、白血球の塊、硝子円柱、病理学的鋳造物、扁平上皮細胞、非扁平上皮細胞、細菌、酵母、結晶、シュウ酸カルシウム一水和物、シュウ酸カルシウム二水和物、尿酸、三重フォトフェート、粘液、及び精子の1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、試薬が微小流体チャネルに適用され得る。
【0015】
また、本明細書に記載されているのは、装置の製造方法に対応する実施形態である。概して、これらの方法は、第1層が実質的に透明である、第1開口部と第2開口部を画定する第1層を形成すること、第2層の少なくとも一部が実質的に不透明である、微小流体チャネルを画定する第2層を形成することというステップを含み得る。微小流体チャネルが第1開口部と第2開口部との間に流体連通経路を確立するように、第1層を第2層に接合し得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、微小流体チャネルに親水性処理を適用してもよい。いくつかの実施形態では、第1層及び第2層は、ダイカット、押出、及び射出成形の1つ以上を用いて形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1層及び第2層は、接着剤、超音波溶接、レーザ溶接、及び溶媒接合の1つ以上を用いて接合され得る。これらの実施形態の一部では、レーザ溶接は、940nmレーザダイオード光を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1層及び第2層の少なくとも1つが、PMMA及びポリカーボネートの少なくとも1つを含んでもよい。
【0017】
これら及び他の実施形態、利点、及び本開示の目的は、詳細な説明を参照して遥かによく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図1Aは分解時の斜視図である。
【
図1B】実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図1Bは組み立て時の斜視図である。
【
図2A】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図2Aは分解時の斜視図である。
【
図2B】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図2Bは組み立て時の斜視図である。
【
図3A】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図3Aは分解時の斜視図である。
【
図3B】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図3Bは組み立て時の斜視図である。
【
図4A】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図4Aは分解時の斜視図である。
【
図4B】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図4Bは組み立て時の斜視図である。
【
図5A】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図5Aは分解時の斜視図である。
【
図5B】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図5Bは組み立て時の斜視図である。
【
図6A】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図6Aは分解時の斜視図である。
【
図6B】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図6Bは組み立て時の斜視図である。
【
図6C】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図6Cは別の斜視図である。
【
図6D】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図6Dは断面の斜視図である。
【
図7A】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図7Aは、分解時の斜視図である。
【
図7B】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図7Bは組み立て時の斜視図である。
【
図7C】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図7Cは別の斜視図である。
【
図7D】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図7Dは断面の斜視図である。
【
図8A】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図8Aは分解時の斜視図である。
【
図8B】他の実施形態による、微小流体デバイスの例示的な図である。
図8Bは組み立て時の斜視図である。
【
図9】
図9A及び
図9Bは、他の実施形態による、微小流体デバイスハウジングの例示的な図である。
【
図10A】実施形態による、分析システムの例示的な図である。
図10Aは斜視図である。
【
図10B】実施形態による、分析システムの例示的な図である。
図10Bは別の斜視図である。
【
図12】実施形態による、流体分析法の例示的なフローチャートである。
【
図13】実施形態による、微小流体デバイスを製造する方法の例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
微小流体デバイス、生体液分析システムに関する発明及び実施形態、ならびに尿などの生体液から得た検体を識別及び分析するための方法及び微小流体デバイスの製造方法に関する発明及び実施形態を、本明細書で説明する。これらのシステム及び方法を使用して、試料を特徴付け及び/または定量化し、対象の健康の評価及び/または状態の診断を可能にすることができる。
【0020】
一般に、本明細書に記載のシステム及び方法は、微小流体デバイスに置いた試料を画像化し、分析し、特徴付けるように構成された生体液分析システムを含み得る。微小流体デバイスは、測定対象の検体に応じてドライまたはウェットの使い捨てセンサとして構成でき、わずかな量の生体液(例えば、約10μL)を使用できる。いくつかの実施形態において。
【0021】
いくつかの実施形態では、生体液分析システムは、1つ以上の検体を識別及び特徴付けるために、微小流体デバイスに置かれた試料(例えば生体液、尿)の分析を実現する。例えば、使用者は、微小流体デバイス(例えば、透明な微小流体デバイス)の開口部に少量の生体液を適用してもよい。いくつかの実施形態では、微小流体デバイスは、微小流体デバイスの微小流体チャネルの長さに沿って異なる検体を分離するように構成されてもよい。次いで、放射線源(例えば、光源、照明源)を使用して、1つ以上の微小流体チャネルを含む微小流体デバイスの透明部分に光線を向けることができる。検出器(例えば、光学センサ)を使用して、微小流体デバイスを通過した光を受け取って、光線から信号を受信することができる。検出器は、検体データを生成するように構成してもよく、検体データは、いくつかの実施形態では、その後、試料の1つまたは複数の検体を識別及び/または特徴付けるために使用され得る。試料には、例えば、赤血球、白血球、白血球の塊、硝子円柱、病理学的鋳造物、扁平上皮細胞、非扁平上皮細胞、細菌、酵母、結晶、シュウ酸カルシウム一水和物、シュウ酸カルシウム二水和物、尿酸、三重フォトフェート、粘液、及び精子、それらの組み合わせなどの1つ以上を含むことのできる尿が含まれ得る。
【0022】
I.デバイス
本明細書に記載されるのは、記載される様々なシステムのいくつかの実施形態において使用され得るデバイスである。本明細書に記載されるような微小流体デバイスは、微小流体デバイスの長さに沿って延びる透明な微小流体チャネルセットを含み得る。試料は、第1開口部を介して微小流体チャネルセットの第1の端部に投入されてもよい。微小流体デバイスへ試料の投入をすると、毛細管作用により微小流体チャネルセットを流れることができる。出口(例えば、通気口)が微小流体チャネルセットの第2の端部に設けられ、微小流体チャネルセットが試料で満たされると、微小流体デバイスから空気を排出するように構成され得る。いくつかの実施形態では、微小流体チャネルは、親水性材料で処理及び/または形成されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の特定の検体の識別及び/または分析を補助するために、1つ以上の物質(例えば、試薬)を微小流体デバイスに適用してもよい。
【0023】
本明細書で詳細に説明される微小流体装置(100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000)のそれぞれは、尿を含むがこれに限定されない試料を受け取ることができる。この装置は、屈折率及び浸透圧を含むがこれらに限定されない特性、ならびに赤血球、白血球、白血球の塊、硝子円柱、病理学的鋳造物、扁平上皮細胞、非扁平上皮細胞、細菌、酵母、結晶、シュウ酸カルシウム一水和物、シュウ酸カルシウム二水和物、尿酸、三重フォトフェート、粘液、及び精子、それらの組み合わせなどを含む尿中の1つまたは複数の検体を識別及び分析するために生体液分析システムと関連させて使用するように構成できる。
【0024】
図1Aは、いくつかの実施形態による、微小流体デバイス(100)の例示的な例の分解時の斜視図である。微小流体デバイス(100)は、第1開口部(130)(例えば、近位開口部)及び第2開口部(140)(例えば、遠位開口部)を含む第1層(110)(例えば、カバー、上部)、微小流体チャネル(120)を含む第2層(112)(例えば、チャネル層、中間部分)、及び第3層(114)(例えば、ベース、基板、底部)を含み得る。いくつかの実施形態では、各層(110、112、114)は一般に細長い長方形の構造を形成することができ、
図1Bに示すように、層が上下に一体構造へと組み立てられるように構成できる。第1層(110)は実質的に透明であってもよく、一方で第2層(112)の少なくとも一部は実質的に不透明であってもよい。本明細書で使用するとき、透明度は、基材を通る約10%以上の光透過率を含むことができ、一方で不透明度は、基材を通る約10%以下の光透過率を含むことができる。例えば、アクリルは約90%のUV波長透明率を提供するため、透明とみなすことができる。ほとんどのプラスチックは透明であり、レーザ溶接を使用して形成されるプラスチックは透明性を保持し得る。
図1Bの組み立て時の構成では、微小流体チャネル(120)は、第1開口部(130)と第2開口部(140)との間に連結され得る。第2層(112)は、微小流体チャネルが第1開口部(130)と第2開口部(140)との間に流体連通経路を確立するように第1層(110)に連結され得る。いくつかの実施形態では、間のすべての値と副次的な範囲を含めて、微小流体デバイス(100)は、約1mm~約100mmの長さ、約1mm~約50mmの幅、及び約1mm~約10mmの厚さを有することができる。
【0025】
デバイス(100)は、微小流体チャネル(120)の長さに沿った透明部分を含むことができる。透明部分は、高い透明率と最小の複屈折をもたらすように構成できる。実際問題として、複屈折は残留応力のために常に存在し、完全に除去することはできない。例えば、透明部分は、第2層(112)の微小流体チャネル(120)と、微小流体チャネル(120)を覆う(すなわち、真上及び真下にある)第1層(110)及び第3層(114)の領域を含むことができる。しかし、光線が微小流体チャネル(120)を通過し、検出器(例えば、光学センサ)によって受け取られ得る限り、透明部分は必ずしも微小流体デバイスの平面に垂直である必要はない。透明部分は、紫外光、可視光、及び近赤外光のうちの少なくとも1つに対して実質的に透明であってもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(100)の1つ以上の追加の領域は透明であってもよい。別の例として、デバイス(100)の実質的に全体が透明であってもよい。デバイス(100)は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状オレフィン共重合体(COC)、及びポリエステルのうちの1つまたは複数によって形成されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、デバイス(100)は、アクリル、ポリカーボネート、それらの組み合わせなどの透明ポリマーから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(100)は、約0.01重量%~約1.0重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料の少なくとも一方を含むことができる。例えば、第2層(112)は、約0.1重量%~約1.0重量%、または約0.2重量%~約0.3重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料の少なくとも一方を含むことができる。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(120)は、微小流体チャネル(120)の親水性を高めることができるポリカーボネート、COC、及びポリエステルなどの低表面エネルギープラスチックを使用して形成され得る。追加的または代替的に、微小流体チャネル(120)は、試料の表面エネルギー及び湿潤性を増加させるために、毛細管充填を強化する親水性処理を受けてもよい。例えば、酸素プラズマを使用して微小流体チャネルをプラズマエッチングすることができる。あるいは、親水性ポリマー(PVP、PEG、界面活性剤など)コーティングを、コーティング溶液または化学蒸着を使用して微小流体チャネルに適用できる。いくつかの実施形態では、1つ以上の物質(例えば、試薬)を微小流体チャネルに配置して、試料分析を促進できる。例えば、試薬は溶解剤及び/または造影剤を含んでもよい。溶解剤は、赤血球などの特定の細胞の種類を溶解できる。造影剤(例えば、染色剤)には、特定の細胞の抗原に対応する核、細胞質、及びミトコンドリア(例えば、蛍光色素を含む抗体及び抗体コンジュゲート)が含まれてもよい。例えば、1つ以上の物質は、微小流体チャネル(120)の特定の領域(例えば、近位端)に、または微小流体チャネル(120)の長さ全体に配置され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1層(110)は、
図1Bに示すように組み立てられたときに、微小流体チャネル(120)の片側を覆うことができる。第1層(110)は、第2層(112)及び/または第3層(114)と同じまたは異なる厚さを有してもよい。各層の厚さは、約25μm~2mmの間での厚さを有し得る。例えば、各層は、約25μm~約1mmの厚さを有し得る。
図1A~
図1Bでは、各層は実質的に等しい厚さを有する。第1層(110)によって形成される平面は、デバイス(100)の第1縦側面に対応でき、一方で第3層(114)によって形成される平面は、デバイス(100)の第2縦側面に対応できる。第1及び第2縦側面は、第2層(112)の反対側に設けられてもよい。
図1Bにおいて、微小流体チャネル(120)は、第1縦側面及び第2縦側面からほぼ等距離にあり得る。すなわち、微小流体チャネル(120)は、装置の中央長手方向の平面に沿って画定され得る。微小流体チャネル(120)は、第1縦側面に実質的に平行に配置され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、第2層(112)の微小流体チャネル(120)は、約1mm~約50mmの長さ、約50μm~約5000μmの深さ、及び約50μm~約5000μmの幅を有してもよい。
図1Bにおいて、微小流体チャネル(120)は、微小流体デバイス(100)の縦軸(102)に対して線形であり得る。しかし、他の変形例では、微小流体チャネル(120)は、微小流体デバイス(100)の縦軸(102)に対して湾曲していてもよい。例えば、微小流体チャネル(120)は、概ね蛇行した形状を有し得る。
【0029】
第1層(110)の第1開口部(130)は、ピペットなどから試料を受け取るように構成されてもよい。第1開口部(130)は、試料を受け入れるのに適した任意の形状及び/またはサイズを有することができる。
図1A~
図1Bにおいて、第1開口部(130)は、デバイス(100)の近位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(120)の第1の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第1開口部(130)は、約5000μm~約2mmの直径を有し得る。
【0030】
第1層(110)の第2開口部(140)は、微小流体チャネル(120)が流体で満たされるとガス(例えば、空気)を自然に排出するように構成された出口(例えば、通気口)を含み得る。
図1A~
図1Bにおいて、第2開口部(140)は、デバイス(100)の遠位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(120)の第2の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第2開口部(140)は、約10μm~約50μmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、第1開口部(130)及び第2開口部(140)は、約1mm~約100mmで離間し得る。
図1A~
図1Bに示されるように、第1開口部(130)は、第2開口部(140)よりも大きくてもよい。
図1A~
図1Bは、単一の第1開口部(130)及び単一の第2開口部(140)を示すが、微小流体デバイス(100)は、第1開口部(130)セット及び第2開口部(140)セットを有し得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(100)は、生体液分析システムの光学検出器によって画像化、及び/または別の場合には検出され得る基準のセット(図示せず)を含み得る。例えば、基準のセット(例えば、色付き/不透明な点、定規、スリット、目印、マーカー)は、画像分析を補助するために、微小流体チャネル(120)の長さに沿って所定の間隔で配置され得る。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(120)は、サイズに基づいて試料内の検体を分離するように構成された1つ以上のフィルタ(図示せず)を含み得る。
【0032】
図1A~
図1Bに示されるデバイス(100)は、3つの層を含むが、より多くの層またはより少ない層を使用して微小流体デバイス(100)を形成できることを認識されたい。いくつかの実施形態では、デバイス(100)は、
図9に関してより詳細に説明されるように、概ね湾曲した部分を含み得る。この場合、微小流体チャネルセットは、ハウジングの湾曲した形状をたどってもよい。
【0033】
一部の実施形態において、第3層(114)及び第2層(120)は、ダイカット押出フィルムを使用して形成され得、第1層(11)は、射出成形を使用して形成され得る。いくつかの実施形態では、第2層(112)は、超音波溶接、レーザ溶接、接着剤、及び/または溶剤結合の1つ以上を使用して第1層(110)及び第3層(114)に連結され得る。
【0034】
本明細書でより詳細に説明するように、微小流体デバイス(100)は、微小流体デバイスに適用される試料の取り扱い、追跡、及び識別のうちの1つまたは複数を補助するために微小流体デバイスケース(例えば、試料ホルダ、消耗品、使い捨て)に連結されてもよい。例えば、微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスに触れずに、微小流体デバイスの光学的な性質に潜在的に影響を及ぼすことなく、使用者が握るためのグリップ部分を含んでもよい。微小流体装置ケースは、微小流体装置ケースに対して固定した位置で微小流体装置を保持するように構成されてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(100)の第3層(114)を平坦な水平面上に配置して、第1開口部(130)(例えば試料ポート、生体液投入部)を通して試料(図示せず)を微小流体チャネル(120)に投入することができる。試料には、尿、全血、血漿、血清、それらの組み合わせなどが含まれ得るが、これらに限定されない。試料は、微小流体チャネル(120)の近位端から遠位端へと、毛細管作用を利用して微小流体チャネル(120)を流れることができる。微小流体チャネル(120)が試料で満たされると、微小流体チャネル内のガス(例えば、空気)は、微小流体デバイス(100)から第2開口部(140)を通って排出され得る。いくつかの実施形態では、第1開口部(130)は、試料の継続的な流れを微小流体デバイス(100)に供給するように構成された少なくとも1つのマイクロポンプに連結できる。
【0036】
いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(120)が満たされているとき、及び/または所定の時間が経過した後に、試料を検出(例えば、画像化)することができる。例えば、1よりも大きい特定の比重を有する試料の検体(例えば、堆積物、粒子状物質)は、第3層(114)の1つ以上の領域上の微小流体チャネル(120)内に沈殿し得る。これは、試料の粒子濃度が粒子の重なるのを避けるのに十分に希釈されている限り、試料の画像分析を補助できる。いくつかの実施形態において、高い粒子濃度を有する試料の分析(例えば、画像分析)は、1つ以上の検体が微小流体チャネル(120)内に沈殿する前に実行され得る。例えば、赤血球、血小板、白血球、尿酸などの検体を分析できる。赤血球の濃度は約5テラセル/Lであってよく、血小板の濃度は約0.3テラセル/Lであってよく、白血球の濃度は約7ギガセル/Lであってよく、尿酸の濃度は約100μmol/Lであってよい。いくつかの実施形態では、単結晶などの試料の中の単一粒子を分析することができる。追加的または代替的に、超音波振動を定期的に微小流体デバイス(100)に加えて、沈降を低減し、1つまたは複数の検体の懸濁を維持してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(100)は、放射線源と光学検出器との間に配置されてもよい。例えば、試料は、第1層(110)の露出面に面する放射線源と第3層(114)の露出面に面する光学検出器を使用して画像化することができる。本明細書でより詳細に説明するように、検出器データを使用して、屈折率及び浸透圧を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の検体及び/または試料の属性を識別するために使用できる検体データを生成することができる。
【0038】
図2Aは、いくつかの実施形態による、微小流体デバイス(200)の例示的な例の分解時の斜視図である。微小流体デバイス(200)は、第1開口部(230)(例えば、近位開口部)及び第2開口部(240)セット(例えば、遠位開口部)を含む第1層(210)(例えば、カバー、上部)、微小流体チャネル(220)セットを含む第2層(212)(例えば、チャネル層、中間部分)、及び第3層(214)(例えば、ベース、基板、底部)を含み得る。いくつかの実施形態では、層(210、212、214)の各々は一般に細長い長方形の構造を形成することができ、
図2Bに示すように、層が上下に一体構造へと組み立てられるように構成され得る。第1層(210)は実質的に透明であり、一方で第2層(112)の少なくとも一部は実質的に不透明であってもよい。
図2Bの組み立て時の構成では、微小流体チャネル(220)セットは、第1開口部(230)と第2開口部(240)セットとの間に連結され得る。微小流体チャネル(220)セットは、チャネル(220)セットの第1チャネル、第2チャネル、及び第3チャネルを含み得る。第2開口部(240)セットは、開口部(240)セットの第1開口部、第2開口部、及び第3開口部を含むことができる。第2層(112)は、微小流体チャネル(220)が第1開口部(230)と第2開口部(240)との間に流体連通経路を確立するように第1層(110)に連結され得る。
図2A~
図2Bにおいて、微小流体チャネル(220)セットは、3つの平行なチャネルを含んでもよいが、より多くのまたはより少ないチャネルが設けられてもよい。これにより、試料の分離及び/または試料の平行分析が可能になる。例えば、第1の試薬及び第2の試薬は、試料の異なる検体の分析を促進するために、それぞれの微小流体チャネル(220)に配置され得る。追加的または代替的に、同一の並列チャネルにより、試料分析の質を向上できる。いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(210)は、約1mm~約100mmの長さ、約1mm~約50mmの幅、及び約1mm~約10mmの厚さを有し得る。
【0039】
デバイス(200)は、微小流体チャネル(220)セットの長さに沿った透明部分を含むことができる。透明部分は、高い透明率と最小の複屈折をもたらすように構成できる。例えば、透明部分は、第2層(212)の微小流体チャネル(220)セットと、微小流体チャネル(220)セットを覆う(すなわち、真上及び真下)第1層(210)及び第3層(214)の領域を含み得る。しかし、光線が微小流体チャネル(220)セットを通過し、検出器(例えば、光学センサ)によって受け取られ得る限り、透明部分は必ずしも微小流体デバイスの平面に垂直である必要はない。透明部分は、紫外光、可視光、及び近赤外光のうちの少なくとも1つに対して実質的に透明であってもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(200)の1つ以上の追加の領域は透明であってもよい。別の例として、デバイス(200)の実質的に全体が透明であってもよい。デバイス(200)は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状オレフィンコポリマー(COC)、及びポリエステルのうちの1つ以上によって形成され得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、デバイス(200)は、アクリル、ポリカーボネート、それらの組み合わせなどの透明ポリマーから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(200)は、約0.01重量%~約1.0重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、層は、約0.1重量%~約1.0重量%、または約0.2重量%~約0.3重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料の少なくとも一方を含むことができる。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(220)セットは、微小流体チャネル(220)セットの親水性を高めることができるポリカーボネート、COC、及びポリエステルなどの低表面エネルギープラスチックを使用して形成され得る。追加的または代替的に、微小流体チャネル(220)セットのうちの1つ以上は、試料の表面エネルギー及び湿潤性を高めるために、毛細管充填を強化する親水性処理を受けてもよい。例えば、親水性ポリマー(例えば、PVP、PEG、界面活性剤)は、プラズマエッチング蒸着(例えば、化学的なもの)を利用して微小流体チャネルに適用してもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の物質(例えば、試薬)を微小流体チャネル(220)セットに配置して、試料分析を促進してもよい。例えば、試薬は溶解剤及び/または造影剤を含んでもよい。溶解剤は、赤血球などの特定の種類の細胞を溶解できる。造影剤(例えば、染色剤)には、特定の細胞の抗原に対応する核、細胞質、及びミトコンドリア(例えば、蛍光色素を含む抗体及び抗体コンジュゲート)が含まれてもよい。例えば、1つ以上の物質は、微小流体チャネル(220)セットの特定の領域(例えば、近位端)に、または微小流体チャネル(220)セットの長さ全体に配置されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1層(210)は、
図2Bに示されるように組み立てられたときに、微小流体チャネル(220)セットの片側を覆うことができる。第1層(210)は、第2層(212)及び/または第3層(214)と同じまたは異なる厚さを有してもよい。
図2A~
図2Bでは、各層は実質的に等しい厚さを有する。各層の厚さは、約25μm~2mmであり得る。例えば、各層は、約25μm~約1mmの厚さを有し得る。第1層(210)によって形成される平面は、デバイス(200)の第1縦側面に対応でき、一方で第3層(214)によって形成される平面は、デバイス(200)の第2縦側面に対応できる。第1及び第2縦側面は、第2層(212)の反対側に設けられてもよい。
図2Bにおいて、微小流体チャネル(220)セットは、第1縦側面及び第2縦側面からほぼ等距離にあり得る。すなわち、微小流体チャネル(220)は、装置の中央長手方向の平面に沿って画定され得る。微小流体チャネル(220)セットは、第1縦側面に実質的に平行に配置されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、第2層(212)の微小流体チャネル(120)セットは、約1mm~約50mmの長さ、約50μm~約5000μmの深さ、及び約50μm~約5000μmの幅を有し得る。
図2Bにおいて、微小流体チャネル(220)は、微小流体デバイス(200)の縦軸(202)に対して線形であり得る。しかし、微小流体チャネル(220)は、微小流体デバイス(200)の縦軸(202)に対して湾曲していてもよい。例えば、微小流体チャネル(220)は、概ね蛇行した形状を有し得る。
【0043】
第1層(210)の第1開口部(230)は、ピペットなどから試料を受け取るように構成されてもよい。第1開口部(230)は、試料を受け入れるのに適した任意の形状及び/またはサイズを含むことができる。
図2A~
図2Bにおいて、第1開口部(230)は、デバイス(200)の近位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(220)セットの第1の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第1開口部(230)は、約5000μm~約2mmの直径を有し得る。
【0044】
第1層(210)の第2開口部(240)セットは、微小流体チャネル(220)セットが流体で満たされるとガス(例えば、空気)を自然に排出するように構成される出口(例えば、通気口)を含み得る。
図2A~
図2Bにおいて、第2開口部(240)セットは、ハウジング(2102)の遠位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(220)の第2の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第2開口部(240)セットは、約10μm~約50μmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、第1開口部(230)及び第2開口部(240)セットは、約1mm~約100mmで離間し得る。
図2A~
図2Bは、単一の第1開口部(230)を示しているが、微小流体デバイス(100)は、第1開口部(230)セット及び第2開口部(240)セットを含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(200)は、生体液分析システムの光学検出器によって画像化及び/または検出され得る基準のセット(図示せず)を含み得る。例えば、基準のセットは、画像解析を補助するために、微小流体チャネル(220)セットの長さに沿って所定の間隔で配置されてもよい。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(220)は、サイズに基づいて試料内の検体を分離するように構成された1つ以上のフィルタ(図示せず)を含み得る。
【0046】
図2A~
図2Bに示すデバイス(200)は、3つの層を含むが、より多くのまたはより少ない層を使用して微小流体デバイス(200)を形成できることを理解されたい。いくつかの実施形態では、デバイス(200)は、
図9に関してより詳細に説明されるように、概ね湾曲した部分を含み得る。この場合、微小流体チャネルセットは、ハウジングの湾曲した形状をたどってもよい。
【0047】
一部の実施形態において、第3層(214)及び第2層(212)は、ダイカット押出フィルムを使用して形成され得、第1層(210)は、射出成形を使用して形成され得る。いくつかの実施形態では、第2層(212)は、超音波溶接、レーザ溶接、接着剤、及び/または溶剤結合の1つ以上を使用して第1層(210)及び第3層(214)に接合され得る。
【0048】
本明細書でより詳細に説明するように、微小流体デバイス(200)は、微小流体デバイスケース(例えば、試料ホルダ、消耗品、使い捨て)に連結して、微小流体デバイスに適用される試料の取り扱い、追跡、及び識別の1つ以上を補助することができる。例えば、微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスに触れずに、微小流体デバイスの光学的な性質に潜在的に影響を及ぼすことなく、使用者が握るためのグリップ部分を含んでもよい。微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスケースに対して固定した位置に微小流体デバイスを保持するように構成されてもよい。
【0049】
一部の実施形態では、微小流体デバイス(200)の第3層(214)は、試料(図示せず)が第1開口部(230)(試料ポート、生体液投入部など)を通して微小流体チャネル(220)に投入されることを可能にする平坦な水平面に配置されてもよい。試料には、尿、全血、血漿、血清、それらの組み合わせなどが含まれ得るが、これらに限定されない。試料は、毛細管作用を使用して、微小流体チャネル(220)の近位端から遠位端まで微小流体チャネル(220)を流れることができる。微小流体チャネル(220)が試料で満たされると、微小流体チャネル内のガス(例えば、空気)は、第2開口部(240)セットを通して微小流体デバイス(200)から排出され得る。いくつかの実施形態では、第1開口部(230)は、試料の継続的な流れを微小流体デバイス(200)に供給するように構成された少なくとも1つのマイクロポンプに連結され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(220)が満たされているとき、及び/または所定の時間が経過した後に、試料を検出(例えば、画像化)することができる。例えば、1よりも大きい比重を有する試料の検体(例えば、堆積物、粒子状物質)は、第3層(214)の1つ以上の領域上の微小流体チャネル(220)内に沈殿することが許容され得る。これは、試料の粒子の濃度が粒子の重なりを避けるのに十分希釈されている限り、試料の画像分析を補助できる。いくつかの実施形態において、高い粒子濃度を有する試料の分析(例えば、画像分析)は、1つ以上の検体が微小流体チャネル(220)内に沈殿する前に実行され得る。例えば、赤血球、血小板、白血球、尿酸などの検体を分析できる。赤血球の濃度は約5テラセル/Lであってよく、血小板の濃度は約0.3テラセル/Lであってよく、白血球の濃度は約7ギガセル/Lであってよく、尿酸の濃度は約100μmol/Lであってよい。いくつかの実施形態では、単結晶などの試料中の単一粒子を分析することができる。追加的または代替的に、微小流体デバイス(200)に周期的に超音波振動を加えて、沈降を低減し、1つまたは複数の検体の懸濁を維持することができる。
【0051】
一部の実施形態では、微小流体デバイス(200)は、放射線源と光学検出器との間に配置されてもよい。例えば、試料は、第1層(210)の露出側に面する放射線源と、第3層(214)の露出面に面する光学検出器を使用して画像化することができる。本明細書でより詳細に説明するように、検出器データを使用して、屈折率及び浸透圧を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の検体及び/または試料の属性を識別するために使用できる検体データを生成することができる。
【0052】
図3Aは、いくつかの実施形態による、微小流体デバイス(300)の例示的な例の分解時の斜視図である。微小流体デバイス(300)は、微小流体チャネル(320)、第1開口部(330)(例えば、近位開口部)、及び第2開口部(340)(例えば、遠位開口部)を含む第1層(310)(例えば、チャネル層、上部、カバー)及び第2層(312)(例えば、ベース、基板、底部)を含み得る。いくつかの実施形態では、層(310、312)の各々は一般に細長い長方形の構造を形成することができ、
図3Bに示されるように、層が上下に一体構造へと組み立てられるように構成され得る。第1層(310)または第2層(320)は実質的に透明であり、一方で第2層(312)及び第1層(310)の少なくとも一部の他方は実質的に不透明であってもよい。
図3Bの組み立て時の構成では、微小流体チャネル(320)は、第1開口部(330)と第2開口部(340)との間に連結され得る。第2層(312)は、微小流体チャネルが第1開口部(330)と第2開口部(340)との間に流体連通経路を確立するように第1層(310)に連結され得る。いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(300)は、約1mm~約100mmの長さ、約1mm~約50mmの幅、及び約1mm~約10mmの厚さを有し得る。
【0053】
デバイス(300)は、微小流体チャネル(320)の長さに沿った透明部分を含むことができる。透明部分は、高い透明率と最小の複屈折をもたらすように構成できる。例えば、透明部分は、第1層(310)の微小流体チャネル(320)と、微小流体チャネル(320)を覆う(すなわち、真下にある)第2層(312)の領域とを含み得る。しかし、光線が微小流体チャネル(320)を通過し、検出器(例えば、光学センサ)によって受け取られ得る限り、透明部分は必ずしも微小流体デバイスの平面に垂直である必要はない。透明部分は、紫外光、可視光、及び近赤外光のうちの少なくとも1つに対して実質的に透明であってもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(300)の1つまたは複数の追加の領域は透明であってもよい。別の例として、デバイス(300)の実質的に全体が透明であってもよい。デバイス(300)は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状オレフィン共重合体(COC)、及びポリエステルのうちの1つまたは複数によって形成されてもよい。
【0054】
一部の実施形態では、デバイス(300)は、アクリル、ポリカーボネート、それらの組み合わせなどの透明ポリマーから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(300)は、約0.01重量%~約1.0重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、第2層は、約0.1重量%~約1.0重量%、または約0.2重量%~約0.3重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料の少なくとも一方を含むことができる。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(320)は、微小流体チャネル(320)の親水性を高めることができるポリカーボネート、COC、及びポリエステルなどの低表面エネルギープラスチックを使用して形成され得る。追加的または代替的に、微小流体チャネル(320)は、試料の表面エネルギー及び湿潤性を増加させるために、毛細管充填を強化する親水性処理を受けてもよい。例えば、親水性ポリマー(例えば、PVP、PEG、界面活性剤)は、プラズマエッチング蒸着(例えば、化学的なもの)を利用して微小流体チャネルに適用されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の物質(例えば、試薬)を微小流体チャネル(320)に配置して、試料分析を促進してもよい。例えば、試薬は溶解剤及び/または造影剤を含んでもよい。溶解剤は、赤血球などの特定の種類の細胞を溶解できる。造影剤(例えば、染色剤)には、特定の細胞の抗原に対応する核、細胞質、及びミトコンドリア(例えば、蛍光色素を含む抗体及び抗体コンジュゲート)が含まれてもよい。例えば、1つ以上の物質は、微小流体チャネル(320)の特定の領域(例えば、近位端)または微小流体チャネル(320)の長さ全体に配置されてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1層(310)は、
図3Bに示すように組み立てられたときに、微小流体チャネル(320)の片側を覆うことができる。第1層(310)は、第2層(312)とは異なる厚さを有し得る。第1層(310)は、約0.5mm~約2mmの厚さを有することができ、第2層(312)は、約25μm~約0.5mmの厚さを有することができる。
図3A~
図3Bでは、第2層(312)は第1層(310)よりも薄い。
図3Bにおいて、微小流体チャネル(320)は、第1及び第2開口部(330、340)の入口よりも第2層(312)により近くてもよい。微小流体チャネル(320)は、第1層(310)の平面に実質的に平行に、及び/または微小流体デバイス(300)の中央長手方向の平面から平行及び片寄って配置され得る。
【0056】
一部の実施形態では、第1層(310)の微小流体チャネル(320)は、約1mm~約50mmの長さ、約50μm~約5000μmの深さ、及び約50μm~約5000μmの幅を有してもよい。
図3Bにおいて、微小流体チャネル(320)は、微小流体デバイス(300)の縦軸(302)に対して線形であり得る。しかし、他の変形形態では、微小流体チャネル(320)は、微小流体デバイス(300)の縦軸(302)に対して湾曲していてもよい。例えば、微小流体チャネル(320)は、概ね蛇行した形状を含んでもよい。
【0057】
第1層(310)の第1開口部(330)は、ピペットなどから試料を受け取るように構成されてもよい。第1開口部(330)は、試料を受容するための任意の適切な形状及び/またはサイズを含み得る。
図3A~
図3Bにおいて、第1開口部(330)は、デバイス(300)の近位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(320)の第1の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第1開口部(330)は、約5000μm~約2mmの直径を有し得る。
【0058】
第2層(312)の第2開口部(340)は、微小流体チャネル(320)が流体で満たされるとガス(例えば空気)を自然に排出するように構成された出口(例えば通気口)を含み得る。
図3A~
図3Bにおいて、第2開口部(340)は、デバイス(300)の遠位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(320)の第2の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第2開口部(340)は、約10μm~約50μmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、第1開口部(330)及び第2開口部(340)は、約1mm~約100mm離間し得る。
図3A~
図3Bは、単一の第1開口部(330)及び単一の第2開口部(340)を示すが、微小流体デバイス(300)は、第1開口部(330)セット及び第2開口部(340)セットを含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(300)は、生体液分析システムの光学検出器により画像化及び/または別段には検出され得る基準のセット(図示せず)を含み得る。例えば、基準のセット(例えば、色付き/不透明な点、定規、スリット、目印、マーカー)は、画像解析を補助するために、微小流体チャネル(320)の長さに沿って所定の間隔で配置されてもよい。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(320)は、サイズに基づいて試料内の検体を分離するように構成された1つ以上のフィルタ(図示せず)を含み得る。
【0060】
図3A~
図3Bに示すデバイス(300)は、2つの層を含むが、より多くのまたはより少ない層を使用して微小流体デバイス(300)を形成できることを認識されたい。いくつかの実施形態では、デバイス(300)は、
図9に関してより詳細に説明されるように、概ね湾曲した部分を含み得る。この場合、微小流体チャネルセットは、ハウジングの湾曲した形状をたどってもよい。
【0061】
一部の実施形態では、第1層(310)及び第2層(320)は、ダイカット押出フィルムまたは射出成形を使用して形成されてもよい。例えば、第2層(312)はダイカット押出フィルムで形成されてもよく、一方、第1層(310)は射出成形されてもよい。いくつかの実施形態では、第2層(312)は、超音波溶接、レーザ溶接、接着剤、及び/または溶剤結合の1つ以上を利用して第1層(310)に接合され得る。
【0062】
本明細書でより詳細に説明するように、微小流体デバイス(300)は、微小流体デバイスケース(例えば、試料ホルダ、消耗品、使い捨て)に連結して、微小流体デバイスに適用される試料の取り扱い、追跡、及び識別の1つ以上を補助することができる。例えば、微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスに触れずに、微小流体デバイスの光学的な性質に潜在的に影響を及ぼすことなく、使用者が握るためのグリップ部分を含んでもよい。微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスケースに対して固定した位置に微小流体デバイスを保持するように構成されてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(300)の第2層(312)を平坦な水平面に配置して、第1開口部(330)(例えば試料ポート、生体液投入部)を通して試料(図示せず)を微小流体チャネル(320)に投入することができる。試料には、尿、全血、血漿、血清、それらの組み合わせなどが含まれ得るが、これらに限定されない。試料は、微小流体チャネル(320)の近位端から遠位端への毛細管作用を使用して、微小流体チャネル(320)を流れることができる。微小流体チャネル(320)が試料で満たされると、微小流体チャネル内のガス(例えば、空気)は、第2開口部(340)を通って微小流体デバイス(300)から排出され得る。いくつかの実施形態では、第1開口部(330)は、試料の継続的な流れを微小流体デバイス(300)に供給するように構成された少なくとも1つのマイクロポンプに連結され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(320)が満たされているとき、及び/または所定の時間の後に、試料が検出(例えば、画像化)され得る。例えば、1より大きい比重を有する試料の検体(例えば、堆積物、粒子状物質)は、第2層(312)の1つ以上の領域上の微小流体チャネル(320)内に沈殿することが許容され得る。これは、試料の粒子の濃度が粒子の重なりを避けるのに十分希釈されている限り、試料の画像分析を補助できる。いくつかの実施形態では、高い粒子濃度を有する試料の分析(例えば、画像分析)は、1つ以上の検体が微小流体チャネル(320)内に沈殿する前に実行され得る。例えば、赤血球、血小板、白血球、尿酸などの検体を分析できる。赤血球の濃度は約5テラセル/Lであってよく、血小板の濃度は約0.3テラセル/Lであってよく、白血球の濃度は約7ギガセル/Lであってよく、尿酸の濃度は約100μmol/Lであってよい。いくつかの実施形態では、単結晶などの試料中の単一粒子を分析することができる。追加的または代替的に、微小流体デバイス(300)に周期的に超音波振動を加えて、沈降を低減し、1つ以上の検体の懸濁を維持することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(300)は、放射線源と光学検出器との間に配置されてもよい。例えば、第1層(310)の露出面に面する放射線源と第2層(312)の露出面に面する光学検出器を使用して試料を画像化でき、検出器が微小流体チャネル(320)に近づくようにする。本明細書でより詳細に説明するように、検出器データを使用して、屈折率及び浸透圧を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の検体及び/または試料の属性を識別するために使用できる検体データを生成することができる。
【0066】
図4Aは、いくつかの実施形態による、微小流体デバイス(400)の例示的な例の分解時の斜視図である。微小流体デバイス(400)は、第1開口部(430)(例えば、近位開口部)及び第2開口部(440)(例えば、遠位開口部)を含む第1層(410)(例えば、上部、カバー)と、微小流体チャネル(420)を含む第2層(412)(例えば、ベース、チャネル層、基板、底部)を含み得る。いくつかの実施形態では、各層(410、412)は一般に、細長い長方形の構造を形成し、
図4Bに示すように、層が上下に一体構造に組み立てられるように構成されてもよい。第1層(410)または第2層(420)は実質的に透明であってよく、一方で第2層(412)または第1層(410)の少なくとも一部の他方は実質的に不透明であってもよい。
図4Bの組み立て時の構成では、微小流体チャネル(420)は、第1開口部(430)と第2開口部(440)との間に連結され得る。第2層(412)は、微小流体チャネル(420)が第1開口部(430)と第2開口部(440)との間に流体連通経路を確立するように第1層(410)に連結され得る。いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(400)は、約1mm~約100mmの長さ、約1mm~約50mmの幅、及び約1mm~約10mmの厚さを有し得る。
【0067】
デバイス(400)は、微小流体チャネル(420)の長さに沿った透明部分を含んでもよい。透明部分は、高い透明率と最小の複屈折をもたらすように構成できる。例えば、透明部分は、第2層(412)の微小流体チャネル(420)と、微小流体チャネル(420)を覆う(すなわち、真上にある)第1層(410)の領域とを含み得る。しかし、光線が微小流体チャネル(420)を通過し、検出器(例えば、光学センサ)によって受け取られ得る限り、透明部分は必ずしも微小流体デバイスの平面に垂直である必要はない。透明部分は、紫外光、可視光、及び近赤外光のうちの少なくとも1つに対して実質的に透明であってもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(400)の1つまたは複数の追加の領域は透明であってもよい。別の例として、デバイス(400)の実質的に全体が透明であってもよい。デバイス(400)は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状オレフィン共重合体(COC)、及びポリエステルのうちの1つ以上によって形成され得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、デバイス(400)は、アクリル、ポリカーボネート、それらの組み合わせなどの透明ポリマーから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(400)は、約0.01重量%~約1.0重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料の少なくとも一方を含むことができる。例えば、層は、約0.1重量%~約1.0重量%、または約0.2重量%~約0.3重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料の少なくとも一方を含むことができる。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(420)は、微小流体チャネル(420)の親水性を高めることができるポリカーボネート、COC、及びポリエステルなどの低表面エネルギープラスチックを使用して形成され得る。追加的または代替的に、微小流体チャネル(420)は、試料の表面エネルギー及び湿潤性を高めるために、毛細管充填を強化する親水性処理を受けてもよい。例えば、親水性ポリマー(例えば、PVP、PEG、界面活性剤)は、プラズマエッチング蒸着(例えば、化学的なもの)を利用して微小流体チャネルに適用されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の物質(例えば、試薬)を微小流体チャネルに配置して、試料分析を促進してもよい。例えば、試薬は溶解剤及び/または造影剤を含んでもよい。溶解剤は、赤血球などの特定の種類の細胞を溶解できる。造影剤(例えば、染色剤)には、特定の細胞の抗原に対応する核、細胞質、及びミトコンドリア(例えば、蛍光色素を含む抗体及び抗体コンジュゲート)が含まれてもよい。例えば、1つ以上の物質は、微小流体チャネル(420)の特定の領域(例えば、近位端)に、または微小流体チャネル(420)の長さ全体に配置されてもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、第1層(410)は、
図4Bに示すように組み立てられたときに、微小流体チャネル(420)の片側を覆うことができる。第1層(410)は、第2層(412)とは異なる厚さを有してもよい。第2層(412)は、約0.5mm~約2mmの厚さを有することができ、第1層(410)は、約25μm~約0.5mmの厚さを有することができる。
図4A~
図4Bでは、第2層(412)は第1層(410)よりも厚い。
図4Bにおいて、微小流体チャネル(420)は、第2層(412)の底面よりも第1層(410)に近くてもよい。微小流体チャネル(420)は、第1層(410)の平面に実質的に平行に配置されてもよい。すなわち、微小流体チャネル(420)は、装置の中央長手方向の平面から平行及び片寄っていてよい。
【0070】
一部の実施形態では、第1層(412)の微小流体チャネル(420)は、約1mm~約50mmの長さ、約50μm~約5000μmの深さ、及び約50μm~約5000μm幅を有してもよい。
図4Bにおいて、微小流体チャネル(420)は、微小流体デバイス(400)の縦軸(402)に対して線形であり得る。しかし、他の変形例では、微小流体チャネル(420)は、微小流体デバイス(400)の縦軸(402)に対して湾曲していてもよい。例えば、微小流体チャネル(420)は、概ね蛇行した形状を含み得る。
【0071】
第1層(410)の第1開口部(430)は、ピペットなどから試料を受け取るように構成されてもよい。第1開口部(430)は、試料を受け入れるのに適した任意の形状及び/またはサイズを含むことができる。
図4A~
図4Bにおいて、第1開口部(430)は、装置(400)の近位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(420)の第1の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第1開口部(430)は、約5000μm~約2mmの直径を有し得る。
【0072】
第1層(410)の第2開口部(440)は、微小流体チャネル(420)が流体で満たされるとガス(例えば、空気)を自然に排出するように構成された出口を含み得る。
図4A~
図4Bにおいて、第2開口部(440)は、装置(400)の遠位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(420)の第2の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第2開口部(440)は、約10μm~約50μmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、第1開口部(430)及び第2開口部(440)は、約1mm~約100mmで離間し得る。
図4A~
図4Bは、単一の第1開口部(430)及び単一の第2開口部(440)を示すが、微小流体デバイス(400)は、第1開口部(430)セット及び第2開口部(440)セットを含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(400)は、生体液分析システムの光学検出器により画像化及び/または別段には検出され得る基準のセット(図示せず)を含み得る。例えば、基準のセット(例えば、色付き/不透明な点、定規、スリット、目印、マーカー)は、画像解析を補助するために、微小流体チャネル(420)の長さに沿って所定の間隔で配置されてもよい。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(420)は、サイズに基づいて試料内の検体を分離するように構成された1つ以上のフィルタ(図示せず)を含み得る。
【0074】
図4A~
図4Bに示すデバイス(400)は2つの層を含むが、より多くのまたはより少ない層を使用して微小流体デバイス(400)を形成できることを認識されたい。いくつかの実施形態では、デバイス(400)は、
図9に関してより詳細に説明されるように、概ね湾曲した部分を含み得る。この場合、微小流体チャネルセットは、ハウジングの湾曲した形状をたどってもよい。
【0075】
一部の実施形態では、第1層(410)及び第2層(420)は、ダイカット押出フィルムまたは射出成形を使用して形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2層(412)は、超音波溶接、レーザ溶接、接着剤、及び/または溶剤結合の1つ以上を使用して第1層(410)に接合され得る。
【0076】
本明細書でより詳細に説明するように、微小流体デバイス(400)は、微小流体デバイスケース(例えば、試料ホルダ、消耗品、使い捨て)に連結して、微小流体デバイスに適用される試料の取り扱い、追跡、及び識別の1つ以上を補助することができる。例えば、微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスに触れずに、微小流体デバイスの光学的な性質に潜在的に影響を及ぼすことなく、使用者が握るためのグリップ部分を含んでもよい。微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスケースに対して固定した位置に微小流体デバイスを保持するように構成されてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(400)の第2層(412)は、第1開口部(430)(例えば試料ポート、生体液投入部)を通して試料(図示せず)を微小流体チャネル(420)に投入できるように、平坦な水平面に配置されてもよい。試料には、尿、全血、血漿、血清、それらの組み合わせなどが含まれ得るが、これらに限定されない。試料は、微小流体チャネル(420)の近位端から遠位端への毛細管作用を利用して、微小流体チャネル(420)を流れることができる。微小流体チャネル(420)が試料で満たされると、微小流体チャネル内のガス(例えば、空気)は、微小流体デバイス(400)から第2開口部(440)を通って排出され得る。いくつかの実施形態では、第1開口部(430)は、試料の継続的な流れを微小流体デバイス(400)に供給するように構成された少なくとも1つのマイクロポンプに連結され得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(420)が満たされているとき、及び/または所定の時間が経過した後に、試料を検出(例えば、画像化)することができる。例えば、1よりも大きい比重を有する試料の検体(例えば、堆積物、粒子状物質)は、第2層(412)の1つ以上の領域上の微小流体チャネル(420)内に沈殿することが許容され得る。これは、試料の粒子の濃度が粒子の重なりを避けるのに十分希釈されている限り、試料の画像分析を補助できる。いくつかの実施形態において、高い粒子濃度を有する試料の分析(例えば、画像分析)は、1つ以上の検体が微小流体チャネル(420)内に沈殿する前に実行され得る。例えば、赤血球、血小板、白血球、尿酸などの検体を分析できる。赤血球の濃度は約5テラセル/Lであってよく、血小板の濃度は約0.3テラセル/Lであってよく、白血球の濃度は約7ギガセル/Lであってよく、尿酸の濃度は約100μmol/Lであってよい。いくつかの実施形態では、単結晶などの試料中の単一粒子を分析することができる。追加的または代替的に、微小流体デバイス(400)に周期的に超音波振動を加えて、沈降を低減し、1つ以上の検体の懸濁を維持することができる。
【0079】
一部の実施形態では、微小流体デバイス(400)は、放射線源と光学検出器との間に配置されてもよい。例えば、第2層(412)の露出面に面する放射線源と第1層(410)の露出面に面する光学検出器を使用して試料を画像化でき、検出器が微小流体チャネル(420)に近づくようにする。本明細書でより詳細に説明するように、検出器データを使用して、屈折率及び浸透圧を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の検体及び/または試料の属性を識別するために使用できる検体データを生成することができる。
【0080】
図5Aは、いくつかの実施形態による、微小流体デバイス(500)の例示的な例の分解時の斜視図である。微小流体デバイス(500)は、微小流体チャネル(520)セット、第1開口部(530)(例えば、近位開口部)、及び第2開口部(540)セット(例えば、遠位開口部)を含む第1層(510)(例えば、チャネル層、上部、カバー)、及び第2層(512)(例えば、ベース、基板、底部)を含み得る。いくつかの実施形態では、層(510、512)の各々は一般に、細長い長方形の構造を形成してもよく、
図5Bに示すように、層が上下に一体構造に組み立てられるように構成されてもよい。第1層(510)または第2層(510)は実質的に透明であってよく、一方で第2層(512)または第1層(510)の少なくとも一部の他方は実質的に不透明であってよい。
図5Bの組み立て時の構成では、微小流体チャネル(520)セットは、第1開口部(530)と第2開口部(540)セットとの間に流体連通経路を確立するために流体結合され得る。微小流体チャネル(520)セットは、チャネル(520)のセットの第1チャネル、第2チャネル、及び第3チャネルを含み得る。第2開口部セット(540)は、開口部セット(540)の第1開口部、第2開口部、及び第3開口部を含むことができる。いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(500)は、約1mm~約100mmの長さ、約1mm~約50mmの幅、及び約1mm~約10mmの厚さを有し得る。
【0081】
デバイス(500)は、微小流体チャネル(520)の長さに沿った透明部分を含むことができる。透明部分は、高い透明率と最小の複屈折をもたらすように構成できる。例えば、透明部分は、第2層(512)の微小流体チャネル(520)セットと、微小流体チャネル(520)セットを覆う(すなわち直下)にある第1層(510)の領域とを含み得る。しかし、光線が微小流体チャネル(520)セットを通過し、検出器(例えば、光学センサ)によって受け取られ得る限り、透明部分は必ずしも微小流体デバイスの平面に垂直である必要はない。透明部分は、紫外光、可視光、及び近赤外光のうちの少なくとも1つに対して実質的に透明であってもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(500)の1つ以上の追加の領域は透明であってもよい。別の例として、デバイス(500)の実質的に全体が透明であってもよい。デバイス(500)は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状オレフィン共重合体(COC)、及びポリエステルのうちの1つまたは複数によって形成され得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、デバイス(500)は、アクリル、ポリカーボネート、それらの組み合わせなどのような透明ポリマーから形成され得る。いくつかの実施形態では、デバイス(500)は、約0.01重量%~約1.0重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料の少なくとも一方を含むことができる。例えば、層は、約0.1重量%~約1.0重量%、または約0.2重量%~約0.3重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料の少なくとも一方を含むことができる。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(520)セットは、微小流体チャネル(520)セットの親水性を強化し得るポリカーボネート、COC、及びポリエステルなどの低表面エネルギープラスチックを使用して形成され得る。追加的または代替的に、微小流体チャネル(520)セットは、試料の表面エネルギー及び湿潤性を増加させるために、毛細管充填を強化する親水性処理を受けてもよい。例えば、親水性ポリマー(例えば、PVP、PEG、界面活性剤)は、プラズマエッチング蒸着(例えば、化学的なもの)を利用して微小流体チャネルに適用されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の物質(例えば、試薬)を各微小流体チャネルに配置して、試料分析を促進してもよい。例えば、試薬は溶解剤及び/または造影剤を含んでもよい。溶解剤は、赤血球などの特定の種類の細胞を溶解できる。造影剤(例えば、染色剤)には、特定の細胞の抗原に対応する核、細胞質、及びミトコンドリア(例えば、蛍光色素を含む抗体及び抗体コンジュゲート)が含まれてもよい。例えば、1つ以上の物質は、微小流体チャネル(520)セットの特定の領域(例えば、近位端)または微小流体チャネル(520)セットの長さ全体に配置されてもよい。微小流体チャネル(520)セットにより、より大量の生体液を分析でき、微小流体チャネル(520)セットを通る生体液の独立した流れが可能になる。
【0083】
いくつかの実施形態では、第1層(510)は、
図5Bに示されるように組み立てられたときに、微小流体チャネル(520)セットの片側を覆うことができる。第1層(510)は、第2層(512)とは異なる厚さを有してもよい。
図5A~
図5Bでは、第2層(512)は第1層(510)よりも厚い。第1層(510)は、約0.5mm~約2mmの厚さを有してもよく、第2層(512)は、約25μm~約0.5mmの厚さを有してもよい。
図5Bにおいて、微小流体チャネル(520)セットは、第1及び第2開口部(530、540)の入口よりも第1層(510)に近くてもよい。微小流体チャネル(520)セットは、第1層(510)の平面に実質的に平行に配置されてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、第2層(512)の微小流体チャネル(520)セットは、約1mm~約50mmの長さ、約50μm~約5000μmの深さ、及び約50μm~約5000μmの幅を有し得る。
図5Bにおいて、微小流体チャネル(520)セットは線形であり得る。しかし、微小流体チャネル(520)セットは、1つ以上の湾曲部分を有し得る。例えば、微小流体チャネル(520)セットは、概ね蛇行した形状を含み得る。
【0085】
第2層(512)の第1開口部(530)は、ピペットなどから試料を受け取るように構成されてもよい。第1開口部(530)は、試料を受け入れるのに適した任意の形状及び/またはサイズを含むことができる。
図5A~
図5Bにおいて、第1開口部(530)は、デバイス(500)の近位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(520)セットの第1の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第1開口部(530)は、約5000μm~約2mmの直径を有し得る。
【0086】
第2層(512)の第2開口部(540)セットは、微小流体チャネル(520)セットが流体で満たされるとガス(例えば、空気)を自然に排出するように構成される出口を含み得る。
図5A~
図5Bにおいて、第2開口部(540)は、デバイス(500)の遠位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(520)セットの第2の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第2開口部(540)セットは、約10μm~約50μmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、第1開口部(530)及び第2開口部(540)セットは、約1mm~約100mmで離間し得る。
図5A~
図5Bは、単一の第1開口部(530)及び3つの第2開口部(540)セットを示すが、微小流体デバイス(500)は、第1開口部(530)セット及び第2開口部(540)セットを含むことができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(500)は、生体液分析システムの光学検出器によって画像化及び/または別段には検出され得る基準のセット(図示せず)を含み得る。例えば、基準のセット(例えば、色付き/不透明な点、定規、スリット、目印、マーカー)は、画像分析を補助するために、微小流体チャネル(520)セットの長さに沿って所定の間隔で配置され得る。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(520)セットは、サイズに基づいて試料内の検体を分離するように構成された1つ以上のフィルタ(図示せず)を含み得る。
【0088】
図5A~
図5Bに示されているデバイス(500)は2つの層を含むが、より多くのまたはより少ない層を使用して微小流体デバイス(500)を形成できることを認識されたい。いくつかの実施形態では、デバイス(500)は、
図9に関してより詳細に説明されるように、概ね湾曲した部分を含み得る。この場合、微小流体チャネルセットは、ハウジングの湾曲した形状をたどってもよい。
【0089】
一部の実施形態では、第1層(510)及び第2層(512)は、ダイカット押出フィルムまたは射出成形を使用して形成されてもよい。例えば、第1層(510)はダイカット押出フィルムで形成されてもよく、一方で第2層(512)は射出成形されてもよい。いくつかの実施形態において、第2層(512)は、超音波溶接、レーザ溶接、接着剤、及び/または溶剤結合の1つ以上を使用して第1層(510)に接合され得る。
【0090】
本明細書でより詳細に説明するように、微小流体デバイス(500)は、微小流体デバイスケース(例えば、試料ホルダ、消耗品、使い捨て)に連結でき、微小流体デバイスに適用される試料の1つ以上の取り扱い、追跡、及び識別を補助することができる。例えば、微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスに触れずに、微小流体デバイスの光学的な性質に潜在的に影響を及ぼすことなく、使用者が握るためのグリップ部分を含んでもよい。微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスケースに対して固定した位置に微小流体デバイスを保持するように構成されてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(500)の第1層(510)は、試料(図示せず)が第1開口部(530)(例えば、試料ポート、生体液投入部)を通して微小流体チャネル(520)セットに投入されることを可能にするために、平らな水平面に配置されてもよい。試料には、尿、全血、血漿、血清、それらの組み合わせなどが含まれるが、これらに限定されない。試料は、微小流体チャネル(520)セットの近位端から遠位端への毛細管作用を使用して、微小流体チャネル(520)セットを流れることができる。微小流体チャネル(520)セットが試料で満たされると、微小流体チャネル(520)セット内のガス(例えば、空気)は、微小流体デバイス(500)から第2開口部(540)を通って排出できる。いくつかの実施形態では、第1開口部(530)は、試料の継続的な流れを微小流体デバイス(500)に供給するように構成された少なくとも1つのマイクロポンプに連結され得る。
【0092】
いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(520)セットが満たされているとき、及び/または所定の時間が経過した後に、試料が検出(例えば、画像化)され得る。例えば、1より大きい比重を有する試料の検体(例えば、堆積物、粒子状物質)は、第1層(510)の1つ以上の領域上の微小流体チャネル(520)セット内に収まることが許容され得る。これは、試料の粒子の濃度が粒子の重なりを避けるのに十分希釈されている限り、試料の画像分析を補助できる。いくつかの実施形態において、高い粒子濃度を有する試料の分析(例えば、画像分析)は、1つ以上の検体が微小流体チャネルセット(520)内で安定する前に実行され得る。例えば、赤血球、血小板、白血球、尿酸などの検体を分析できる。赤血球の濃度は約5テラセル/Lであってよく、血小板の濃度は約0.3テラセル/Lであってよく、白血球の濃度は約7ギガセル/Lであってよく、尿酸の濃度は約100μmol/Lであってよい。いくつかの実施形態では、単結晶などの試料中の単一粒子を分析することができる。追加的または代替的に、超音波振動を定期的に微小流体デバイス(500)に加えて、沈降を低減し、1つまたは複数の検体の懸濁を維持することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(500)は、放射線源と光学検出器との間に配置されてもよい。例えば、試料は、検出器が微小流体チャネルセット(520)により近くなるように、第2層(512)の露出面に面する放射線源及び第1層(510)の露出面に面する光学検出器を使用して画像化されてもよい。本明細書でより詳細に説明するように、検出器データを使用して、屈折率及び浸透圧を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の検体及び/または試料の属性を識別するために使用できる検体データを生成することができる。
図5A~
図5Bに示されている微小流体チャネル(520)セットは、3つのチャネルを含んでいるが、より多くのまたはより少ないチャネルを使用して微小流体装置(500)を形成できることを認識されたい。
【0094】
図6Aは、いくつかの実施形態による、微小流体デバイス(600)の例示的な例の分解時の斜視図である。微小流体デバイス(600)は、対応する高さのセットを有するステップ領域(620a、620b、620c)のセットを含む微小流体チャネル(620)、第1開口部(630)(例えば、近位開口部)、及び第2開口部(640)(例えば、遠位開口部)を含む第1層(610)(例えば、チャネル層、上部、カバー)、及び第2層(612)(例えば、ベース、基板、底部)を含み得る。いくつかの実施形態では、各層(610、612)は、一般に、細長い長方形の構造を形成することができ、
図6Bに示すように、層が上下に一体構造へと組み立てられるように構成され得る。第1層(610)または第2層(612)は実質的に透明であってよく、一方で第2層(612)及び第1層(610)の少なくとも一部の他方は実質的に不透明であり得る。
図6Bの組み立て時の構成では、ステップ領域(620a、620b、620c)のセットを有する微小流体チャネル(620)は、第1開口部(630)と第2開口部(640)との間に連結され得る。第2層(612)は、微小流体チャネル(620)が第1開口部(630)と第2開口部(640)との間に流体連通経路を確立するように第1層(610)に連結され得る。いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(600)は、約1mm~約100mmの長さ、約1mm~約50mmの幅、及び約1mm~約10mmの厚さを有し得る。
【0095】
図6C~
図6Dに示されるように、微小流体チャネル(620)は、微小流体チャネル(620)の高さが第1開口部(630)から第2開口部(640)まで段階的に減少するようにステップ(620a、620b、620c)のセットを規定し得る。すなわち、各ステップの容積は、第1開口部(630)から第2開口部(640)まで減少し得る。いくつかの実施形態では、ステップ(620a、620b、620c)のセットの各ステップの高さは、約0.1mm~約0.9mmであってもよい。例えば、第1ステップ(620a)の高さは約0.9mmであってよく、第2ステップ(620b)の高さは約0.4mmであってよく、第3ステップ(620c)の高さは約0.1mmであってよい。
【0096】
デバイス(600)は、微小流体チャネル(620)の長さに沿った透明部分を含むことができる。透明部分は、高い透明率と最小の複屈折をもたらすように構成できる。例えば、透明部分は、第1層(610)の微小流体チャネル(620)と、微小流体チャネル(620)を覆う(すなわち、直下の)第2層(612)の領域とを含み得る。しかし、光線が微小流体チャネル(620)を通過し、検出器(例えば、光学センサ)によって受け取られ得る限り、透明部分は必ずしも微小流体デバイスの平面に垂直である必要はない。透明部分は、紫外光、可視光、及び近赤外光のうちの少なくとも1つに対して実質的に透明であってもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(600)の1つ以上の追加の領域は透明であってもよい。別の例として、デバイス(600)の実質的に全体が透明であってもよい。デバイス(600)は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状オレフィン共重合体(COC)、及びポリエステルのうちの1つ以上によって形成され得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、デバイス(600)は、アクリル、ポリカーボネート、それらの組み合わせなどの透明ポリマーから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(600)は、約0.01重量%~約1.0重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、層は、約0.1重量%~約1.0重量%、または約0.2重量%~約0.3重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料の少なくとも一方を含むことができる。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(620)は、微小流体チャネル(620)の親水性特性を強化し得るポリカーボネート、COC、及びポリエステルなどの低表面エネルギープラスチックを使用して形成され得る。追加的または代替的に、微小流体チャネル(620)の1つまたは複数の領域(620a、620b、620c)は、試料の表面エネルギー及び湿潤性を高めるために毛細管充填を強化する親水性処理を受けてもよい。例えば、親水性ポリマー(例えば、PVP、PEG、界面活性剤)は、プラズマエッチング蒸着(例えば、化学的なもの)を利用して微小流体チャネルに適用されてもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上の物質(例えば、試薬)は、試料分析を促進するために、微小流体チャネル(620)の1つ以上の領域に配置され得る。例えば、試薬は溶解剤及び/または造影剤を含んでもよい。溶解剤は、赤血球などの特定の種類の細胞を溶解できる。造影剤(例えば、染色剤)には、特定の細胞の抗原に対応する核、細胞質、及びミトコンドリア(例えば、蛍光色素を含む抗体及び抗体コンジュゲート)が含まれてもよい。例えば、1つ以上の物質は、微小流体チャネル(620)の特定の領域(620a、620b、620c)(例えば、近位端)または微小流体チャネル(620)の長さ全体に配置されてもよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、第2層(612)は、
図6Bに示されるように組み立てられたときに、微小流体チャネル(620)の片側を覆うことができる。第1層(610)は、第2層(612)とは異なる厚さを有してもよい。
図6A~
図6Bでは、第1層(610)は第2層(612)よりも厚い。第1層(610)は、約0.5mm~約2mmの厚さを有してもよく、第2層(612)は、約25μm~約0.5mmの間の厚さを有してもよい。
図6Bにおいて、微小流体チャネル(620)は、第1開口部(630)から第2開口部(640)まで高さが減少し得る。微小流体チャネル(620)は、第2層(612)の平面に実質的に平行に配置され得る。
【0099】
一部の実施形態では、第1層(610)の微小流体チャネル(620)は、約1mm~約50mmの長さ、約50μm~約5000μmの深さ、及び約50μm~約5000μmの幅を有してもよい。
図6Bにおいて、微小流体チャネル(620)は、微小流体デバイス(100)の縦軸(602)に対して線形であり得る。しかし、他の変形形態では、微小流体チャネル(620)は、微小流体デバイス(600)の縦軸(602)に対して湾曲していてもよい。例えば、微小流体チャネル(620)は、概ね蛇行した形状を含み得る。微小流体チャネル(620)の領域(620a、620b、620c)は、ほぼ同じ長さを含むか、異なる長さを有し得る。第1領域(620a)は、第3領域(620c)の約3倍の高さを有してもよく、第2領域(620b)は、第3領域(620c)の約3倍の高さを有し得る。微小流体チャネル(620)は、一定の幅を有していてもよく、領域(620a、620b、620c)ごとに異なる幅を有していてもよい。
【0100】
第1層(610)の第1開口部(630)は、ピペットなどから試料を受け取るように構成されてもよい。第1開口部(630)は、試料を受容するための任意の適切な形状及び/またはサイズを含み得る。
図6A~
図6Bにおいて、第1開口部(630)は、デバイス(600)の近位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(620)の第1の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第1開口部(630)は、約5000μm~約2mmの直径を有し得る。
【0101】
第1層(610)の第2開口部(640)は、微小流体チャネル(620)が流体で満たされるとガス(例えば、空気)を自然に排出するように構成された出口を含み得る。
図6A~
図6Bにおいて、第2開口部(640)は、デバイス(600)の遠位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(620)の第2の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第2開口部(640)は、約10μm~約50μmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、第1開口部(630)及び第2開口部(640)は、約1mm~約100mm離間し得る。
図6A~
図6Bは、単一の第1開口部(630)及び単一の第2開口部(640)を示すが、微小流体デバイス(600)は、第1開口部(630)セット及び第2開口部(640)セットを含み得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(600)は、生体液分析システムの光学検出器によって画像化及び/または別段には検出され得る基準のセット(図示せず)を含み得る。例えば、基準のセット(例えば、色付き/不透明な点、定規、スリット、目印、マーカー)は、画像分析を補助するために微小流体チャネル(620)の長さに沿って所定の間隔で配置されてもよい。例えば、微小流体チャネル(620)の各領域(620a、620b、620c)は、対応する基準を含み得る。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(620)は、サイズに基づいて試料内の検体を分離するように構成された1つ以上のフィルタ(図示せず)を含み得る。例えば、微小流体チャネル(620)の各領域(620a、620b、620c)の間にフィルタが設けられてもよい。
【0103】
図6A~
図6Bに示されるデバイス(600)は、2つの層を含むが、より多くのまたはより少ない層を使用して微小流体デバイス(600)を形成できることを認識されたい。いくつかの実施形態では、デバイス(600)は、
図9に関してより詳細に説明されるように、概ね湾曲した部分を含み得る。この場合、微小流体チャネルセットは、ハウジングの湾曲した形状をたどってもよい。
【0104】
いくつかの実施形態では、第1層(610)及び第2層(612)は、ダイカット押出フィルムまたは射出成形を使用して形成されてもよい。例えば、第1層(610)はダイカット押出フィルムで形成されてもよく、一方で第2層(612)は射出成形されてもよい。いくつかの実施形態において、第2層(612)は、超音波溶接、レーザ溶接、接着剤、及び/または溶剤結合の1つ以上を使用して第1層(610)に接合され得る。
【0105】
本明細書でより詳細に説明するように、微小流体デバイス(600)は、微小流体デバイスに適用される試料の取り扱い、追跡、及び識別の1つまたは複数を補助するために微小流体デバイスケース(例えば、試料ホルダ、消耗品、使い捨て)に連結されてもよい。例えば、微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスに触れずに、微小流体デバイスの光学的な性質に潜在的に影響を及ぼすことなく、使用者が握るためのグリップ部分を含んでもよい。微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスケースに対して固定した位置に微小流体デバイスを保持するように構成されてもよい。
【0106】
いくつかの実施形態において、微小流体デバイス(600)の第2層(612)は、試料(図示せず)が第1開口部(630)(例えば試料ポート、生体液投入部)を通して微小流体チャネル(620)に投入されることを可能にするために、平らな水平面に置かれてもよい。試料には、尿、全血、血漿、血清、それらの組み合わせなどが含まれるが、これらに限定されない。試料は、微小流体チャネル(620)の近位端から遠位端への毛細管作用を使用して、微小流体チャネル(620)を流れることができる。微小流体チャネル(620)が試料で満たされると、微小流体チャネル内のガス(例えば、空気)は、微小流体デバイス(600)から第2開口部(640)を通って排出され得る。いくつかの実施形態では、第1開口部(630)は、試料の継続的な流れを微小流体デバイス(600)に供給するように構成された少なくとも1つのマイクロポンプに連結され得る。
【0107】
いくつかの実施形態において、試料は、微小流体チャネル(620)が満たされているとき、及び/または所定の時間後に検出(例えば、画像化)され得る。例えば、1よりも大きい比重を有する試料の検体(例えば、堆積物、粒子状物質)は、第2層(612)の1つ以上の領域上の微小流体チャネル(620)内に沈殿することが許容され得る。これは、試料の粒子の濃度が粒子の重なりを避けるのに十分希釈されている限り、試料の画像分析を補助できる。いくつかの実施形態において、高い粒子濃度を有する試料の分析(例えば、画像分析)は、1つ以上の検体が微小流体チャネル(620)内に沈殿する前に実行され得る。例えば、赤血球、血小板、白血球、尿酸などの検体を分析できる。赤血球の濃度は約5テラセル/Lであってよく、血小板の濃度は約0.3テラセル/Lであってよく、白血球の濃度は約7ギガセル/Lであってよく、尿酸の濃度は約100μmol/Lであってよい。いくつかの実施形態では、単結晶などの試料中の単一粒子を分析することができる。追加的または代替的に、微小流体デバイス(600)に周期的に超音波振動を加えて、沈降を低減し、1つまたは複数の検体の懸濁を維持することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(620)のステップ(620a、620b、620c)セットのうちの少なくとも1つのステップは、ステップ間の高さの変化に起因して試料から1つ以上の構成要素(例えば種)を分離するように構成され得る。ステップの高さを変えることにより、粒子が重なる可能性を最小限に抑えながら、沈降した検体(粒子状物質など)を画像化することが可能になる。例えば、沈降後粒子の重なり合う可能性を低減するために、他のステップ領域(620b、620a)よりも低い高さ/体積を有している第3ステップ領域(620c)で、高い濃度の種を画像化することができる。同様に、低い濃度の種は、粒子の重ね合わせを増加させ、画像分析の検出を補助できる、より高い高さ/体積を有する第1ステップ領域(620a)で画像化され得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(600)は、放射線源と光学検出器との間に配置されてもよい。例えば、検出器が微小流体チャネル(620)に近くなるように、第1層(610)の露出面に面する放射線源と第2層(612)の露出面に面する光学検出器を使用して試料を画像化してもよい。本明細書でより詳細に説明するように、検出器データを使用して、屈折率及び浸透圧を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の検体及び/または試料の属性を識別するために使用できる検体データを生成することができる。
【0110】
図7Aは、いくつかの実施形態による、微小流体デバイス(700)の例示的な例の分解時の斜視図である。微小流体デバイス(700)は、微小流体チャネル(720)、第1開口部(730)(例えば近位開口部)、及び第2開口部(740)(例えば、遠位開口部)を含む第1層(710)(例えばチャネル層、上部、カバー)、及び第2層(712)(例えば、ベース、基板、底部)を含み得る。微小流体チャネル(720)は、第1開口部(730)から第2開口部(740)まで継続的に減少する高さを有する。いくつかの実施形態では、各層(710、712)は、一般に、細長い長方形の構造を形成し、
図7Bに示すように、層が上下に一体構造に組み立てられるように構成されてもよい。第1層(710)または第2層(712)は実質的に透明であってよく、一方で第2層(712)及び第1層(710)の少なくとも一部の他方は実質的に不透明であり得る。
図7Bの組み立て時の構成では、継続的に減少する高さを有する微小流体チャネル(720)は、第1開口部(730)と第2開口部(740)との間に連結され得る。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(720)の勾配は、約0.01~約0.1であり得る。第2層(712)は、微小流体チャネル(720)が第1開口部(730)と第2開口部(740)との間に流体連通経路を確立するように第1層(710)に連結され得る。いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(700)は、約1mm~約100mmの長さ、約1mm~約50mmの幅、及び約1mm~約10mmの厚さを有し得る。微小流体チャネル(720)の高さは、約0.1mm~約0.9mmで継続的に変化し得る。例えば、
図7C~7Dに示されるように、微小流体チャネル(720)は、第1開口部(730)から第2開口部(740)まで継続的に減少する高さを有し得る。すなわち、チャネル(720)の体積は、第1開口部(730)から第2開口部(740)まで減少し得る。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(720)は、その長さに沿って一組の領域を有し得る。各領域は、チャネル(720)の隣接領域とは異なる勾配を有していてもよい。例えば、微小流体チャネル(720)は、各領域が第1開口部(730)から第2開口部(740)に向かって減少する勾配を有する4つの領域のセットを含むことができる。いくつかの実施形態では、領域のセットは、固定された高さを有するいくつかの領域と、ゼロではない勾配を有する他の領域とを含み得る。例えば、第1開口部(730)を含むチャネル(720)の第1の領域は約0.1の勾配を有し、一方、第2開口部(740)を含むチャネル(720)の第2の領域は0の勾配及び約0.1mmの高さを有し得る。
【0111】
デバイス(700)は、微小流体チャネル(720)の長さに沿った透明部分を含むことができる。透明部分は、高い透明率と最小の複屈折をもたらすように構成できる。例えば、透明部分は、第1層(710)の微小流体チャネル(720)と、微小流体チャネル(720)を覆う(すなわち、直下の)第2層(712)の領域とを含み得る。しかし、光線が微小流体チャネル(720)を通過し、検出器(例えば、光学センサ)によって受け取られ得る限り、透明部分は必ずしも微小流体装置の平面に垂直である必要はない。透明部分は、紫外光、可視光、及び近赤外光のうちの少なくとも1つに対して実質的に透明であってもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(700)の1つ以上の追加の領域は透明であってもよい。別の例として、実質的にデバイス(700)全体が透明であってもよい。装置(700)は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状オレフィン共重合体(COC)、及びポリエステルのうちの1つ以上によって形成されてもよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、デバイス(700)は、アクリル、ポリカーボネート、それらの組み合わせなどの透明ポリマーから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(700)は、約0.01重量%~約1.0重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料のうちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、層は、約0.1重量%~約1.0重量%、または約0.2重量%~約0.3重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料の少なくとも一方を含むことができる。いくつかの実施形態において、微小流体チャネル(720)は、微小流体チャネル(720)の親水性を強化し得るポリカーボネート、COC、及びポリエステルなどの低表面エネルギープラスチックを使用して形成され得る。追加的または代替的に、微小流体チャネル(720)の1つ以上の部分は、試料の表面エネルギー及び湿潤性を増加させるために毛細管充填を強化する親水性処理を受けてもよい。例えば、親水性ポリマー(例えば、PVP、PEG、界面活性剤)は、プラズマエッチング蒸着(例えば、化学的なもの)を利用して微小流体チャネルに適用されてもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上の物質(例えば、試薬)は、試料分析を促進するために、微小流体チャネル(720)の1つ以上の領域に配置され得る。例えば、試薬は溶解剤及び/または造影剤を含んでもよい。溶解剤は、赤血球などの特定の種類の細胞を溶解できる。造影剤(例えば、染色剤)には、特定の細胞の抗原に対応する核、細胞質、及びミトコンドリア(例えば、蛍光色素を含む抗体及び抗体コンジュゲート)が含まれてもよい。例えば、1つ以上の物質は、微小流体チャネル(720)の特定の領域(例えば、近位端)に、または微小流体チャネル(720)の長さ全体に配置されてもよい。
【0113】
いくつかの実施形態では、第2層(712)は、
図7Bに示すように組み立てられたときに、微小流体チャネル(720)の片側を覆うことができる。第1層(710)は、第2層(712)とは異なる厚さを有し得る。
図7A~
図7Bでは、第1層(710)は第2層(712)よりも厚い。第1層(710)は、約0.5mm~約2mmの厚さを有してもよく、第2層(712)は、約25μm~約0.5mmの厚さを有してもよい。
図7Bにおいて、微小流体チャネル(720)は、第1開口部(730)から第2開口部(740)まで高さが減少し得る。微小流体チャネル(720)は、第2層(712)の平面に実質的に平行に配置されてもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、第1層(710)の微小流体チャネル(720)は、約1mm~約50mmの長さ、約50μm~約5000μmの深さ、及び約50μm~約5000μmの幅を有してもよい。
図7Bにおいて、微小流体チャネル(720)は、微小流体デバイス(700)の縦軸(702)に対して線形であり得る。しかし、他の変形例では、微小流体チャネル(720)は、微小流体デバイス(700)の縦軸(702)に対して湾曲していてもよい。例えば、微小流体チャネル(720)は、概ね蛇行した形状を含み得る。いくつかの実施形態では、生体液チャネル(720)は、階段状領域の少なくとも1つが別の階段状領域の勾配とは異なる勾配を有し得る継続的な可変の高さを有する階段状領域のセットを有し得る。微小流体チャネル(720)は、一定の幅を有しても、領域(720a、720b、720c)ごとに異なる幅を有してもよい。
【0115】
第1層(710)の第1開口部(730)は、ピペットなどから試料を受け取るように構成されてもよい。第1開口部(730)は、試料を受け入れるのに適した任意の形状及び/またはサイズを含むことができる。
図7A~
図7Dにおいて、第1開口部(730)は、装置(700)の近位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(720)の第1の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第1開口部(730)は、約5000μm~約2mmの直径を有し得る。
【0116】
第1層(710)の第2開口部(740)は、微小流体チャネル(720)が流体で満たされるとガス(例えば、空気)を自然に排出するように構成された出口を含み得る。
図7A~
図7Dにおいて、第2開口部(740)は、装置(700)の遠位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(720)の第2の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第2開口部(740)は、約10μm~約50μmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、第1開口部(730)及び第2開口部(740)は、約1mm~約100mmで離間し得る。
図7A~
図7Dは、単一の第1開口部(730)及び単一の第2開口部(740)を示すが、微小流体デバイス(700)は、第1開口部(730)セット及び第2開口部(740)セットを含み得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(700)は、生体液分析システムの光学検出器によって画像化及び/または別段には検出され得る基準のセット(図示せず)を含み得る。例えば、基準のセット(例えば、色付き/不透明な点、定規、スリット、目印、マーカー)は、画像解析を補助するために、微小流体チャネル(720)の長さに沿って所定の間隔で配置されてもよい。例えば、微小流体チャネル(720)の所定の高さは、対応する基準を含み得る。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(720)は、サイズに基づいて試料内の検体を分離するように構成された1つ以上のフィルタ(図示せず)を含み得る。例えば、微小流体チャネル(720)の所定の高さにフィルタを設けることができる。
【0118】
図7A~
図7Dに示されるデバイス(700)は2つの層を含むが、より多くのまたはより少ない層を使用して微小流体デバイス(700)を形成できることを理解されたい。いくつかの実施形態では、デバイス(700)は、
図9に関してより詳細に説明されるように、概ね湾曲した部分を含み得る。この場合、微小流体チャネルセットは、ハウジングの湾曲した形状をたどってもよい。
【0119】
いくつかの実施形態では、第1層(710)及び第2層(712)は、ダイカット押出フィルムまたは射出成形を使用して形成され得る。例えば、第2層(712)は、ダイカット押出フィルムで形成されてもよく、一方、第1層(710)は射出成形されてもよい。いくつかの実施形態では、第2層(712)は、超音波溶接、レーザ溶接、接着剤、及び/または溶剤結合の1つ以上を使用して第1層(710)に接合され得る。
【0120】
本明細書でより詳細に説明するように、微小流体デバイス(700)は、微小流体デバイスケース(例えば、試料ホルダ、消耗品、使い捨て)に連結して、微小流体デバイスに適用される試料の取り扱い、追跡、及び識別の1つ以上を補助することができる。例えば、微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスに触れずに、微小流体デバイスの光学的な性質に潜在的に影響を及ぼすことなく、使用者が握るためのグリップ部分を含んでもよい。微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスケースに対して固定した位置に微小流体デバイスを保持するように構成されてもよい。
【0121】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(700)の第2層(712)を平坦な水平面に配置して、第1開口部(730)(例えば試料ポート、生体液投入部)を通して試料(図示せず)を微小流体チャネル(720)に投入できるようにしてもよい。試料には、尿、全血、血漿、血清、それらの組み合わせなどが含まれ得るが、これらに限定されない。試料は、微小流体チャネル(720)の近位端から遠位端への毛細管作用を使用して、微小流体チャネル(720)を流れることができる。微小流体チャネル(720)が試料で満たされると、微小流体チャネル内のガス(例えば、空気)は、微小流体デバイス(700)から第2開口部(740)を通って排出され得る。いくつかの実施形態では、第1開口部(730)は、試料の継続的な流れを微小流体デバイス(700)に供給するように構成された少なくとも1つのマイクロポンプに連結され得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(720)が満たされているとき、及び/または所定の時間の後に、試料が検出(例えば、画像化)され得る。例えば、1より大きい比重を有する試料の検体(例えば、堆積物、粒子状物質)は、第2層(712)の1つ以上の領域上の微小流体チャネル(720)内に沈殿することが許容され得る。これは、試料の粒子の濃度が粒子の重なりを避けるのに十分希釈されている限り、試料の画像分析を補助できる。いくつかの実施形態において、高い粒子濃度を有する試料の分析(例えば、画像分析)は、1つ以上の検体が微小流体チャネル(720)内に沈殿する前に実行され得る。例えば、赤血球、血小板、白血球、及び尿酸などの検体を分析できる。赤血球の濃度は約5テラセル/Lであってよく、血小板の濃度は約0.3テラセル/Lであってよく、白血球の濃度は約7ギガセル/Lであってよく、尿酸の濃度は約100μmol/Lであってよい。いくつかの実施形態では、単結晶などの試料中の単一粒子を分析することができる。追加的または代替的に、微小流体デバイス(700)に周期的に超音波振動を加えて、沈降を低減し、1つまたは複数の検体の懸濁を維持することができる。
【0123】
いくつかの実施形態において、微小流体チャネル(720)の継続的に減少する高さは、高さの変化により試料から1つ以上の成分(例えば、検体、種)を分離するように構成され得る。多様なチャネルの高さは、粒子が重なる可能性を最小限に抑えながら、沈降した検体(粒子状物質など)の画像化を可能にする。例えば、高濃度の種は、沈降後の粒子の重畳の可能性を低減するために、近位領域よりも低い高さ/体積を有するチャネル(720)の遠位領域で画像化され得る。同様に、粒子の重ね合わせを増加させ、画像分析での検出を補助し得る、より高い高さ/体積を有する近位領域で低濃度種を画像化することができる。このようにして、微小流体デバイス(700)は、微小流体デバイス(700)の長さ全体にわたる試料の成分のセットの分析を補助し得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(700)は、放射線源と光学検出器との間に配置されてもよい。例えば、検出器が微小流体チャネル(720)に近くなるように、第1層(710)の露出面に面する放射線源及び第2層(712)の露出面に面する光学検出器を使用して試料を画像化することができる。本明細書でより詳細に説明するように、検出器データを使用して、屈折率及び浸透圧を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の検体及び/または試料の属性を識別するために使用できる検体データを生成することができる。
【0125】
図8Aは、いくつかの実施形態による、微小流体デバイス(800)の例示的な例の分解時の斜視図である。微小流体デバイス(800)は、第1開口部(830)(例えば、近位開口部)及び第2開口部(840)(例えば、遠位開口部)を含む第1層(810)(例えば、上部、カバー)と、微小流体チャネル(820)及びフィルタ(850)を含む第2層(812)(例えば、ベース、チャネル層、基板、底部)を含み得る。いくつかの実施形態では、各層(810、812)は一般に、細長い長方形の構造を形成することができ、この場合
図8Bに示すように、層が上下に一体構造へと組み立てられるように構成され得る。第1層(810)または第2層(820)は実質的に透明であってよく、一方で第2層(812)または第1層(810)の少なくとも一部の他方は実質的に不透明であってもよい。
図8Bの組み立て時の構成では、微小流体チャネル(820)は、第1開口部(830)と第2開口部(840)との間に連結され得る。第2層(812)は、微小流体チャネル(820)が第1開口部(830)と第2開口部(840)との間に流体連通経路を確立するように第1層(810)に連結され得る。いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(800)は、約1mm~約100mmの長さ、約1mm~約50mmの幅、及び約1mm~約10mmの厚さを有し得る。
【0126】
デバイス(800)は、微小流体チャネル(820)の長さに沿った透明部分を含むことができる。透明部分は、高い透明率と最小の複屈折をもたらすように構成できる。例えば、透明部分は、第2層(812)の微小流体チャネル(820)と、微小流体チャネル(820)を覆う(すなわち、真上にある)第1層(810)の領域とを含み得る。しかし、光線が微小流体チャネル(820)を通過し、検出器(例えば、光学センサ)によって受け取られ得る限り、透明部分は必ずしも微小流体デバイスの平面に垂直である必要はない。透明部分は、紫外光、可視光、及び近赤外光のうちの少なくとも1つに対して実質的に透明であってもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(800)の1つ以上の追加の領域は透明であってもよい。別の例として、デバイス(800)の実質的に全体が透明であってもよい。デバイス(800)は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状オレフィンコポリマー(COC)、及びポリエステルのうちの1つ以上によって形成され得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、デバイス(800)は、アクリル、ポリカーボネート、それらの組み合わせなどの透明なポリマーから形成されてもよい。いくつかの実施形態では、デバイス(800)は、約0.01重量%~約1.0重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料の少なくとも一方を含むことができる。例えば、層は、約0.1重量%~約1.0重量%、または約0.2重量%~約0.3重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料の少なくとも一方を含むことができる。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(820)は、微小流体チャネル(820)の親水性を高めることができるポリカーボネート、COC、及びポリエステルなどの低表面エネルギープラスチックを使用して形成され得る。追加的または代替的に、微小流体チャネル(820)は、試料の表面エネルギー及び湿潤性を増加させるために、毛細管充填を強化する親水性処理を受けてもよい。例えば、親水性ポリマー(例えば、PVP、PEG、界面活性剤)は、プラズマエッチング蒸着(例えば、化学的なもの)を利用して微小流体チャネルに適用されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の物質(例えば、試薬)を微小流体チャネルに配置して、試料分析を促進してもよい。例えば、試薬は溶解剤及び/または造影剤を含んでもよい。溶解剤は、赤血球などの特定の種類の細胞を溶解できる。造影剤(例えば、染色剤)には、特定の細胞の抗原に対応する核、細胞質、及びミトコンドリア(例えば、蛍光色素を含む抗体及び抗体コンジュゲート)が含まれてもよい。例えば、1つ以上の物質は、微小流体チャネル(820)の特定の領域(例えば、近位端)に、または微小流体チャネル(820)の長さ全体に配置されてもよい。
【0128】
いくつかの実施形態では、
図8Bに示されるように組み立てられたときに、第1層(810)は、微小流体チャネル(820)の片側を覆ってもよい。第1層(810)は、第2層(812)とは異なる厚さを有し得る。
図8A~
図8Bにおいて、第2層(812)は第1層(810)よりも厚い。第2層(812)は、約0.5mm~約2mmの厚さを有してもよく、第1層(810)は、約25μm~約0.5mmの厚さを有してもよい。
図8Bに示されるように、微小流体チャネル(820)は、第2層(812)の底面よりも第1層(810)に近くてもよい。微小流体チャネル(820)は、第1層(810)の平面に実質的に平行に配置されてもよい。すなわち、微小流体チャネル(820)は装置の中央長手方向の平面と平行であっても、片寄りがあってもよい。
【0129】
いくつかの実施形態では、第1層(812)の微小流体チャネル(820)は、約1mm~約50mmの長さ、約50μm~約5000μmの深さ、及び幅約50μm~約5000μmの幅を有し得る。
図8Bにおいて、微小流体チャネル(820)は、微小流体デバイス(800)の縦軸(802)に対して線形であり得る。しかし、他の変形例では、微小流体チャネル(820)は、微小流体デバイス(800)の縦軸(802)に対して湾曲していてもよい。例えば、微小流体チャネル(820)は、概ね蛇行した形状を含んでもよい。
【0130】
第1層(810)の第1開口部(830)は、ピペットなどから試料を受け取るように構成されてもよい。第1開口部(830)は、試料を受け入れるのに適した任意の形状及び/またはサイズを含むことができる。
図8A~
図8Bにおいて、第1開口部(830)は、デバイス(800)の近位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(820)の第1の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第1開口部(830)は、約5000μm~約2mmの直径を有し得る。
【0131】
第1層(810)の第2開口部(840)は、微小流体チャネル(820)が流体で満たされるとガス(例えば、空気)を自然に排出するように構成された出口を含み得る。
図8A~
図8Bにおいて、第2開口部(840)は、装置(800)の遠位端に設けられてもよく、微小流体チャネル(820)の第2の端部に流体接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第2開口部(840)は、約10μm~約50μmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、第1開口部(830)及び第2開口部(840)は、約1mm~約100mm離間させてもよい。
図8A~
図8Bは、単一の第1開口部(830)及び単一の第2開口部(840)を示すが、微小流体デバイス(800)は、第1開口部(830)セット及び第2開口部(840)セットを含み得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(800)は、生体液分析システムの光学検出器によって画像化及び/または別段には検出され得る基準のセット(図示せず)を含み得る。例えば、基準のセット(例えば、色付き/不透明な点、定規、スリット、目印、マーカー)は、画像解析を補助するために、微小流体チャネル(820)の長さに沿って所定の間隔で配置されてもよい。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(820)は、微小流体チャネル(820)で受けた流体から1つ以上の成分を分離するように構成された1つ以上のフィルタ(850)を含み得る。フィルタ(850)は、サイズに基づいて試料内の検体を分離するように構成することができる。例えば、フィルタ(850)は、1つ以上の種を除去して、多数の検体を有する試料の画像化を補助するように構成されてもよい。
【0133】
図8Bにおいて、フィルタ(850)は、微小流体チャネル(820)の第1の領域(822a)を第2の領域(822b)から分離するように構成されてもよい。したがって、フィルタリングされた第2の領域(822b)は、フィルタリングされていない第1の領域(822a)よりも少ない検体を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の試薬は、フィルタ(850)の側面及び/または第2の領域(822b)の側壁に適用されてもよい。これにより、試料のフィルタリングされた部分の流体の成分の分析が容易になる。
【0134】
図8A~
図8Bに示されるデバイス(800)は2つの層を含むが、より多くのまたはより少ない層を使用して微小流体デバイス(800)を形成できることを認識されたい。いくつかの実施形態では、デバイス(800)は、
図9に関してより詳細に説明されるように、概ね湾曲した部分を含み得る。この場合、微小流体チャネルセットは、ハウジングの湾曲した形状をたどってもよい。
【0135】
いくつかの実施形態では、第1層(810)及び第2層(820)は、ダイカット押出フィルムまたは射出成形を使用して形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2層(812)は、超音波溶接、レーザ溶接、接着剤、及び/または溶剤結合の1つ以上を使用して第1層(810)に接合され得る。
【0136】
本明細書でより詳細に説明するように、微小流体デバイス(800)は、微小流体デバイスケース(例えば、試料ホルダ、消耗品、使い捨て)に接合して、微小流体デバイスに適用される試料の取り扱い、追跡、及び識別の1つ以上を補助することができる。例えば、微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスに触れずに、微小流体デバイスの光学的な性質に潜在的に影響を及ぼすことなく、使用者が握るためのグリップ部分を含んでもよい。微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスケースに対して固定した位置に微小流体デバイスを保持するように構成されてもよい。
【0137】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(800)の第2層(812)を平坦な水平面上に配置して、第1開口部(830)(例えば試料ポート、生体液投入部)を通して試料(図示せず)を微小流体チャネル(820)に投入できるようにしてもよい。試料には、尿、全血、血漿、血清、それらの組み合わせなどが含まれ得るが、これらに限定されない。試料は、微小流体チャネル(820)の近位端から遠位端への毛細管作用を使用して、微小流体チャネル(820)を流れることができる。微小流体チャネル(820)が試料で満たされると、微小流体チャネル内のガス(例えば、空気)は、微小流体デバイス(800)から第2開口部(840)を通って排出され得る。いくつかの実施形態では、第1開口部(830)は、試料の継続的な流れを微小流体デバイス(800)に供給するように構成された少なくとも1つのマイクロポンプに連結され得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(820)が満たされているとき、及び/または所定の時間が経過した後に、試料を検出(例えば、画像化)することができる。例えば、1より大きい比重を有する試料の検体(例えば、堆積物、粒子状物質)は、第2層(812)の1つ以上の領域上の微小流体チャネル(820)内に沈殿することが許容され得る。これは、試料の粒子の濃度が粒子の重なりを避けるのに十分希釈されている限り、試料の画像分析を補助できる。いくつかの実施形態では、高い粒子濃度を有する試料の分析(例えば、画像分析)は、1つ以上の検体が微小流体チャネル(820)内に沈殿する前に実行され得る。例えば、赤血球、血小板、白血球、尿酸などの検体を分析できる。赤血球の濃度は約5テラセル/Lであってよく、血小板の濃度は約0.3テラセル/Lであってよく、白血球の濃度は約7ギガセル/Lであってよく、尿酸の濃度は約100μmol/Lであってよい。いくつかの実施形態では、単結晶などの試料中の単一粒子を分析することができる。追加的または代替的に、超音波振動を定期的に微小流体デバイス(800)に加えて、沈降を低減し、1つまたは複数の検体の懸濁を維持することができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイス(800)は、放射線源と光学検出器の間に配置されてもよい。例えば、試料は、検出器が微小流体チャネル(820)に近くなるように、第2層(812)の露出面に面する放射線源と第1層(810)の露出面に面する光学検出器を使用して画像化することができる)。本明細書でより詳細に説明するように、検出器データを使用して、屈折率及び浸透圧を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の検体及び/または試料の属性を識別するために使用できる検体データを生成することができる。
【0140】
図9A~
図9Bは、微小流体デバイスハウジングの例示的な斜視図である。
図9Aは、傾斜面を有する微小流体デバイスハウジング(910)の斜視図である。いくつかの実施形態では、微小流体チャネル(図示せず)のセットは、チャネルが均一な深さを持たないようにハウジング(910)の傾斜をたどることができ、異なる濃度の粒子を分離するのに役立ち得る。継続的に変化する傾斜を有するチャネルは、粒子がチャネルの長さに沿ってでも分布できるようにし、さらにチャネルの長さに沿って継続的に画像分析をできるようにし得る。追加的または代替的に、微小流体チャネルセットは、傾斜なし、階段状、湾曲、及び/または蛇行形状を有してもよい。蛇行形状は、より多くの試料を分析できるようにするのに有用なことがある。
図9Bは、概ね湾曲した形状と傾斜面を有する微小流体デバイスハウジング(920)の斜視図である。湾曲したハウジング(920)は、ディスクまたはローター内などの湾曲した形状を有するカートリッジに保持されてもよい。いくつかの実施形態において、微小流体チャネル(図示せず)のセットは、チャネルが線形ではないようにハウジング(920)の曲率をたどってもよく、異なる濃度を有する粒子を分離するのに有用であり得る。追加的または代替的に、微小流体チャネルセットは、傾斜なし、階段状、湾曲、及び/または蛇行の形状を有してもよい。ハウジング(910、920)の形状に関係なく、微小流体チャネルセットの経路の長さは、ハウジング(910、920)を見ると継続的に変化し得る。
【0141】
II.システム
本明細書に記載されるのは、本明細書に記載される様々な実施形態によるデバイスを使用して生体液分析を実行するのに必要な構成要素の1つ以上を含み得る生体液分析システムである。例えば、本明細書に記載の生体液分析システムは、検出器を使用して微小流体デバイスの試料を自動的に処理及び分析し、1つまたは複数の検体を識別及び/または分析することができる。一般に、本明細書に記載の生体液分析システムは、微小流体デバイスアセンブリ、放射線源、検出器、及びコントローラ(メモリ、プロセッサ、コンピュータ命令を含む)のうちの1つまたは複数を含んでもよい。放射線源は、光信号(例えば、光線)を発し、微小流体チャネルを照射するように構成されてもよい。微小流体デバイスアセンブリは、微小流体デバイスを保持し、光線を受け取るように構成されてもよい。検出器は、微小流体デバイスを通過した光線を受け取るように構成されてもよい。検出器に連結されたコントローラは、検出器によって受け取られた光線に対応する信号データを受信し、信号データを使用して検体データを生成するように構成されてもよい。生体液の1つまたは複数の検体は、検体データを使用してコントローラによって識別され得る。1つ以上の検体は、赤血球、白血球、白血球の塊、硝子円柱、病理学的鋳造物、扁平上皮細胞、非扁平上皮細胞、細菌、酵母、結晶、シュウ酸カルシウム一水和物、シュウ酸カルシウム二水和物、尿酸、三重フォトフェート、粘液、及び精子のうちの少なくとも1つを含み得る。本明細書に記載の生体液は、尿、血液、血清、精液、それらの組み合わせなどを含むがこれらに限定されない、本明細書に記載の任意の生体液を含んでもよい。
【0142】
図10A~
図10Bは、分析システム(1000)の外部斜視図である。いくつかの実施形態では、システム(1100)は、外部ハウジング(1010)、微小流体デバイス(1050)及び/または本明細書にて詳細に説明される微小流体デバイスケースを受け入れるように構成される試料投入開口部(1020)(例えば、入口穴)、及び出力デバイス(1030)(例えば、ディスプレイデバイス)を含み得る。例えば、微小流体デバイス(1050)は、試料投入開口部(1020)を通ってシステム(1000)内に進められてもよい。システム(1000)は、テーブル、机、カート、床、側壁、または他の適切な支持面に配置(例えば、据付け)されてもよい。いくつかの実施形態では、システム(1000)は、検出器用の光線を受け取るように構成された1つ以上の微小流体デバイスを処理し、流体試料から1つ以上の検体を識別するのに有用な信号データを生成し得る。
図10Aは、システム(1000)の外部の微小流体デバイス(1050)を示し、
図10Bは、投入開口部(1020)に部分的に挿入された微小流体デバイス(1050)を示している。システム(1000)の内部構成要素(例えば、放射線源、微小流体デバイスアセンブリ、検出器、制御デバイスなど)は、
図11A~
図11Bに関してより詳細に説明される。
【0143】
図11A~
図11Bは、いくつかの実施形態による生体液分析システム(1100)のブロック図である。システム(1100)は、放射線源(1110)、微小流体デバイスアセンブリ(1112)、及び検出器(1114)のうちの1つまたは複数を制御するように構成された制御デバイス(1120)を含み得る。
図12A~
図12Bは、生体液分析システムの例示的な変形例の斜視図である。
図12Aに示されるように、システム(1200)は、微小流体デバイス(1250)を受容するように構成された微小流体デバイス投入部(1220)(例えば、入口ポート)を含み得る。例えば、微小流体デバイス(1250)は、微小流体デバイス投入部(1220)を使用してシステム(1200)に対して前進及び/または後退させることができる。システム(1200)は、ディスプレイ(1230)及びユーザインターフェースをさらに含むことができる。例えば、ユーザインターフェースは、ディスプレイ(1230)と統合された容量性タッチスクリーンであってもよい。システム(1200)は、テーブル、机、カート、床、側壁、または他の適切な支持面に配置(例えば、据付け)されてもよい。いくつかの実施形態では、システム(1200)は、1つ以上の微小流体デバイスを処理して、試料から1つ以上の検体を識別するのに有用な検体データに対応する信号データを生成し得る。
【0144】
放射線源
本明細書に記載される生体液分析システムは、微小流体デバイスに向けられた第1光信号を発するように構成された放射線源を含んでもよい。放射線源は、UV、可視、及び/または近IR波長の光線を生成するように構成されてもよい。本明細書で説明される検出器は、微小流体デバイスから第2光線を受け取るように構成されてもよい。第2光信号は、第1光信号を使用する微小流体チャネルの照射に応じて生成されてもよい。第2光信号は、分析用の検体データを生成するために使用され得る。いくつかの実施形態では、放射線源は、発光ダイオード、レーザ、顕微鏡、光学センサ、レンズ、及びフラッシュランプのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0145】
微小流体デバイスアセンブリ
生体液分析システムの微小流体デバイスアセンブリを使用して、放射線源や検出器などの生体液分析システムの他のコンポーネントに対する微小流体デバイスの操作及び位置決めを補助することができる。例えば、使用者は、本明細書に記載されているアブレーションデバイス(100、200、300、400、500、600、700、800、900)のいずれかに構造的及び/または機能的に類似し得る微小流体デバイス(1050)を、システム(1000)のハウジング(1010)の微小流体デバイス投入部(1020)(例えば、入口穴)を通る微小流体デバイスアセンブリの並進可能なプラットフォームに配置してもよい。微小流体デバイスアセンブリは、生体液分析中にプラットフォームに対して微小流体デバイスを所定の位置に保持(例えば、固定)してもよい。次いで、プラットフォームは、システムに引き込まれ、放射線源による照射と分析のために微小流体デバイスを配置することができる。プラットフォームは、放射線源を微小流体デバイスに位置合わせするための較正の処置に応じて、少なくとも1つの自由度を有する並進機構を含んでもよい(例えば、可動XYステージを使用してX軸及び/またはY軸に沿って並進する)。いくつかの実施形態では、微小流体デバイスアセンブリは、微小流体デバイスの第1開口部セットに流体的に連結するように構成されたマイクロポンプを含み得る。マイクロポンプは、微小流体チャネルを通る生体液の継続的な流れをもたらし得る。これにより、より多くの試料を分析することができ、それにより比較的濃度の低い堆積物の分析が可能になる。第2開口部セットは、流体の出口の対応するセットに連結してもよい。
【0146】
微小流体デバイス及び微小流体デバイスケース
本明細書に記載の微小流体デバイス(100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100)のいずれも、本明細書に記載の生体液分析システムで使用することができる。いくつかの実施形態において、微小流体デバイスは、微小流体デバイスに適用される試料の取り扱い、機能化、処理、及び識別を補助するために、微小流体デバイスケース(例えば、消耗品、使い捨て、ホルダ、携帯用ハウジング)内に取り外し可能に保持されてもよい。微小流体デバイスを有する微小流体デバイスケースは、試料の自動処理のために、使用者によって生体液分析システムに配置されてもよい。微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスに物理的な支えと保護を提供するのに役立ち得る。微小流体デバイスは、ハウジングに対して微小流体デバイスを固定した位置に保持するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、微小流体デバイスケースは、1つ以上の基準点(例えば、色付き/不透明点、定規、スリット、目印、マーカー)及びバーコード、QRコード、それらの組み合わせなどの1つ以上の識別子を含み得る。
【0147】
検出器
一般に、本明細書に記載される生体液分析システムは、微小流体デバイスの透明な微小流体チャネル内の試料を通過する光信号(例えば、光線)を受信するために使用される検出器を含み得る。受け取られた光は、検体データを生成するためにプロセッサとメモリによって処理される信号データを生成するために使用できる。検出器は、微小流体デバイスの透明部分を通過した放射線源からの光線(例えば、第2光信号)を検出器が受け取るように、放射線源の反対側の微小流体デバイスの側に配置されてもよい。検出器はさらに、1つ以上の基準点(例えば、色付き/不透明な点、定規、スリット、目印、マーカー)及び微小流体デバイスの識別子を画像化するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、検出器は、レンズ、カメラ、及び測定光学系のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0148】
制御デバイス
本明細書に記載される生体液分析システムは、1つ以上の制御デバイス(例えば、コンピュータシステム)及び/またはネットワークに連結し得る。
図11Bは、制御デバイス(1120)のブロック図である。制御デバイス(1120)は、プロセッサ(1124)及びメモリ(1126)を含むコントローラ(1122)を含み得る。いくつかの実施形態では、制御デバイス(1120)は、通信インターフェース(1130)をさらに含み得る。コントローラ(1122)は、使用者が制御デバイス(1120)、放射線源(1110)、微小流体デバイスアセンブリ(1112)、検出器(1114)、及びシステム(1100)の他の任意のコンポーネントを遠隔制御できるように通信インターフェース(1130)に連結され得る。通信インターフェース(1130)は、有線及び/または無線ネットワークを介して制御デバイス(1120)を別のシステム(例えば、インターネット、リモートサーバ、データベース)に接続するように構成されたネットワークインターフェース(1132)を含み得る。通信インターフェース(1130)は、使用者が制御デバイス(1120)を直接制御できるように構成されたユーザインターフェース(1134)をさらに含むことができる。
【0149】
コントローラ
一般に、本明細書に記載される生体液分析システムは、微小流体デバイスと、放射線源及び検出器に連結された対応する制御デバイスとを含み得る。いくつかの実施形態では、検出器は、信号データを生成するように構成されてもよい。信号データは、コントローラによって受信され、試料の1つ以上の検体に対応する検体データを生成するために使用されてもよい。したがって、制御デバイスは、試料の1つまたは複数の検体を識別及び/または特徴付けることができる。本明細書でより詳細に説明するように、コントローラ(1122)は、ネットワークインターフェース(1132)を使用して1つまたは複数のネットワークに連結されてもよい。コントローラ(1122)は、ユーザインターフェース(1134)を含む通信インターフェース(1130)に連結されたプロセッサ(1124)及びメモリ(1126)を含み得る。コントローラ(1122)は、微小流体デバイスの較正、インデックス付け、画像分析、及び検体分析の1つ以上のステップを自動的に実行し、したがって生体液分析の特異度、感度、及び速度の1つ以上を改善し得る。
【0150】
コントローラ(1122)は、プロセッサ(1124)に本明細書に記載のステップの1つまたは複数を実行させるために、それにおいて動作するためのコンピュータ命令を含むことができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ命令は、プロセッサが検出器から信号データを受信し、信号データを使用して検体データを生成し、検体データを使用して生体液の1つ以上の検体を識別するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ命令は、コントローラに画像化データパラメータを設定させるように構成されてもよい。コンピュータ命令は、コントローラに検体データを生成させるように構成されてもよい。信号データと分析は、各微小流体デバイスの各微小流体チャネルについて保存できる。
【0151】
図11Bに示されるように、制御デバイス(1120)は生体液分析システム(1100)(例えば、放射線源(1110)、微小流体デバイスアセンブリ(1112)、及び検出器(1114))と通信するコントローラ(1122)を含み得る。コントローラ(1122)は、1つまたは複数のプロセッサ(1124)と、1つまたは複数のプロセッサ(1124)と通信する1つまたは複数の機械可読メモリ(1126)を含むことができる。プロセッサ(1124)は、メモリ(1126)から受信したデータと、システム(1100)を制御するための使用者入力を組み込んでもよい。メモリ(1126)は、システム(1100)に関連するモジュール、プロセス、及び/または機能をプロセッサ(1124)に実行させる命令をさらに格納することができる。コントローラ(1122)は、有線及び/または無線通信チャンネルによって、放射線源(1110)、微小流体デバイスアセンブリ(1112)、検出器(1114)、通信インターフェース(1130)などの1つまたは複数に接続及び制御することができる。
【0152】
コントローラ(1122)は、多数の汎用または専用のコンピューティングシステムまたは構成と一致して実装することができる。本明細書に開示されるシステム及びデバイスでの使用に適し得る様々な例示的なコンピューティングシステム、環境、及び/または構成には、限定されないが、サーバまたはサーバコンピューティングデバイス、例えばルーティング/接続コンポーネント、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、分散コンピューティングネットワーク、パーソナルコンピューティングデバイス、ネットワークアプライアンス、ポータブル(ハンドヘルドなど)またはラップトップデバイス内にあるかそれらに具現化されたソフトウェアまたは他の構成要素を含み得る。ポータブルコンピューティングデバイスの例には、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、タブレットPC、スマートウォッチなどの形をとるウェアラブルコンピュータ、センサを介して患者の環境と連動して視覚化、視線追跡、及び使用者入力のためのヘッドマウントディスプレイを使用できるポータブルまたはウェアラブル拡張現実デバイスが含まれる。
【0153】
プロセッサ
プロセッサ(1124)は、命令またはコードのセットを動作及び/または実行するように構成された任意の適切な処理デバイスであり得、1つ以上のデータプロセッサ、画像プロセッサ、グラフィックス処理ユニット、物理処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、及び/または中央処理装置を含み得る。プロセッサ(1124)は、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、それらの組み合わせなどであり得る。プロセッサ(1124)は、システム及び/またはそれに関連するネットワークに関連するアプリケーションプロセス及び/または他のモジュール、プロセス及び/または機能を動作及び/または実行するように構成されてもよい。基礎となるデバイスの技術は、相補型金属酸化物半導体(CMOS)などの金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、エミッタ結合ロジック(ECL)などのバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、シリコン共役ポリマー及び金属共役ポリマー-金属構造)、アナログ及びデジタルの混合、それらの組み合わせなどを含む様々な構成要素のタイプにて提供できる。
【0154】
メモリ
いくつかの実施形態では、メモリ(1126)はデータベース(図示せず)を含むことができ、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、それらの組み合わせなどであり得る。本明細書で使用される場合、データベースは、データストレージリソースを指す。メモリ(1126)は、較正、インデックス付け、微小流体デバイス信号処理、画像分析、検体分析、通知、通信、認証、使用者設定、それらの組み合わせなど、制御デバイス(1120)に関連付けられたモジュール、プロセス、及び/または機能をプロセッサ(1124)に実行させる命令を格納し得る。いくつかの実施形態では、ストレージはネットワークベースであってよく、1人または複数の許可された使用者がアクセス可能であり得る。ネットワークベースのストレージは、リモートデータストレージまたはクラウドデータストレージと呼ばれる場合がある。クラウドデータストレージ(データベースなど)に保存されている信号データと分析は、インターネットなどのネットワークを介して許可された使用者がアクセスできる場合がある。いくつかの実施形態では、データベース(1140)はクラウドベースのFPGAであり得る。
【0155】
本明細書で説明されるいくつかの実施形態は、様々なコンピュータ実装操作を実行するための命令またはコンピュータコードを有する非一時的コンピュータ可読媒体(非一時的プロセッサ可読媒体とも呼ばれ得る)を備えたコンピュータストレージ製品に関する。コンピュータ可読媒体(またはプロセッサ可読媒体)は、一時的な伝播信号自体(例えば、空間やケーブルなどの伝送媒体で情報を伝える伝播電磁波)を含まないという意味で非一時的である。メディア及びコンピュータコード(コードまたはアルゴリズムとも呼ばれ得る)は、特定の目的または諸目的のために設計及び構築されたものである。
【0156】
非一時的コンピュータ可読媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスク、及び磁気テープなどの磁気記憶媒体;コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)などの光学記憶媒体;コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM);ホログラフィックデバイス;光ディスクなどの光磁気記憶媒体;ソリッドステートドライブ(SSD)やソリッドステートハイブリッドドライブ(SSHD)などのソリッドステートストレージデバイス;搬送波信号処理モジュール;及びアプリケーション固有の集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、読み取り専用メモリ(ROM)、及びランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスなど、プログラムコードを格納及び実行するように特別に構成されたハードウェアデバイスが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で説明される他の実施形態は、例えば、本明細書で開示される命令及び/またはコンピュータコードを含むことができるコンピュータプログラム製品に関する。
【0157】
本明細書で説明されるシステム、デバイス、及び方法は、ソフトウェア(ハードウェアで実行される)、ハードウェア、またはそれらの組み合わせによって実行され得る。ハードウェアモジュールは、例えば、汎用プロセッサ(またはマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、それらの組み合わせなどを含み得る。ソフトウェアモジュール(ハードウェアで実行)は、C、C++、Java(登録商標)、Python、Ruby、Visual Basic(登録商標)、及び/またはその他のオブジェクト指向、手続き型、または他のプログラミング言語と開発ツールを含む様々なソフトウェア言語(コンピュータコードなど)で表現できる。コンピュータコードの例には、マイクロコードまたはマイクロ命令、コンパイラによって生成されるような機械の命令、ウェブのサービスを生成するために使用されるコード、及び解釈プログラムを使用するコンピュータによって実行される高レベルの命令を含むファイルが含まれるが、これらに限定されない。コンピュータコードのさらなる例には、制御信号、暗号化コード、及び圧縮コードが含まれるが、これらに限定されない。
【0158】
通信インターフェース
通信インターフェース(1130)は、使用者がシステム(1100)と直接及び/または遠隔で、対話及び/または制御することを可能にし得る。例えば、システム(1100)のユーザインターフェース(1134)は、使用者がコマンドを入力するための入力デバイスと、使用者及び/または他の使用者(例えば、技術者)がシステム(1100)の操作に関連する出力を受け取る(例えば、ディスプレイデバイスの試料データを見る)ための出力デバイスとを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書でさらに詳細に説明されているように、ネットワークインターフェース(1132)は、制御デバイス(1120)が、ネットワーク(1170)(例えば、インターネット)、リモートサーバ(1150)、及びデータベース(1140)の1つ以上と通信することを許容し得る。
【0159】
ユーザインターフェース
ユーザインターフェース(1134)は、使用者(例えば、操作者)と制御デバイス(1120)との間の通信インターフェースとして機能し得る。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース(1134)は、入力デバイス及び出力デバイス(例えば、タッチスクリーン及びディスプレイ)を含み、1つまたは複数のセンサ、入力デバイス、出力デバイス、ネットワーク(1170)、データベース(1140)、及びサーバ(1150)から入力データ及び出力データを受信するように構成され得る。例えば、検出器によって生成された信号データは、プロセッサ(1124)及びメモリ(1126)によって処理され、1つまたは複数の出力デバイス(ディスプレイなど)によって視覚的に出力されてもよい。信号データ、画像データ、及び/または検体データは、ユーザインターフェース(1134)によって受信され、視覚的、可聴的、及び/または1つ以上の出力デバイスを介した触覚フィードバックを通じて出力され得る。別の例として、入力デバイス(例えば、ジョイスティック、キーボード、タッチスクリーン)の使用者の制御は、ユーザインターフェース(1134)によって受信され、その後、プロセッサ(1124)がメモリ(1126)によって処理されてユーザインターフェース(1134)が生体液分析システム(1100)の1つ以上のコンポーネントへの制御信号を出力するようにし得る。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース(1134)は、入力デバイス及び出力デバイス(例えば、制御信号を生成すると同時に触覚フィードバックも使用者に提供するように構成されたハンドヘルドコントローラ)として機能し得る。
【0160】
出力デバイス
ユーザインターフェース(1134)の出力デバイスは、試料及び/またはシステム(1100)に対応する画像データ及び/または検体データを出力してもよく、ディスプレイデバイス、オーディオデバイス、及び触覚デバイスのうちの1つ以上を含み得る。ディスプレイデバイスは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表示するように構成されてもよい。ユーザコンソール(1160)は、インターネットまたはネットワークを介してアクセス可能なリモートディスプレイを含む1つまたは複数の汎用ディスプレイへの出力に接続できる統合ディスプレイ及び/またはビデオ出力を含み得る。出力データはまた、プライバシーを確保するために暗号化することもでき、出力データのすべてまたは一部をサーバまたは電子医療記録システムに保存することもできる。ディスプレイデバイスは、使用者が信号データ、較正データ、機能化データ、画像データ、検体データ、システムデータ、生体液データ、患者データ、及び/またはコントローラ(1122)によって処理される他のデータを見ることができるようにする。いくつかの実施形態において、出力デバイスは、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセントディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機発光ダイオード(OLED)、電子ペーパー/電子インクディスプレイ、レーザディスプレイ、ホログラフィックディスプレイ、それらの組み合わせなどのうちの少なくとも1つを含むディスプレイデバイスを含み得る。
【0161】
オーディオデバイスは、患者データ、生体液データ、画像データ、検体データ、システムデータ、アラーム及び/または警告を音声で出力できる。例えば、オーディオデバイスは、微小流体デバイスアセンブリへの微小流体デバイスの不適切な挿入が発生すると、可聴警告を出力できる。いくつかの実施形態では、オーディオデバイスは、スピーカー、圧電オーディオデバイス、磁歪スピーカー、及び/またはデジタルスピーカーのうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態では、使用者は、オーディオデバイスと通信チャネルを使用して他の使用者と通信してもよい。
【0162】
使用者に追加の感覚出力(例えば、力のフィードバック)を提供するために、入力及び出力デバイスの1つまたは複数に触覚デバイスが組み込まれてもよい。例えば、触覚デバイスは、入力デバイス(例えば、ジョイスティック、キーボード、タッチ面)への使用者入力を確認するために、触覚的な応答(例えば、振動)を生成する場合がある。いくつかの実施形態では、触覚デバイスは、触覚・触知フィードバックを使用者に提供するように構成された振動モータを含んでもよい。触覚フィードバックは、いくつかの実施形態では、微小流体デバイス処理の開始と完了を確認する場合がある。追加的または代替的に、触覚フィードバックは、微小流体デバイスアセンブリへの微小流体デバイスの不適切な配置及び/または挿入などのエラーを使用者に通知してもよい。これにより、システムへの潜在的な害を防ぐことができる。
【0163】
入力デバイス
入力デバイスのいくつかの実施形態は、制御信号を生成するように構成された少なくとも1つのスイッチを含み得る。例えば、入力デバイスは、微小流体デバイスアセンブリの動きを制御するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、入力デバイスは、コントローラ(1122)の有線及び/または無線受信機に制御信号を送信するように構成された有線及び/または無線の送信機を含むことができる。例えば、入力デバイスは、制御信号に対応する入力(例えば、タッチ面への指の接触)を使用者が提供するためのタッチ面を含んでもよい。タッチ表面を含む入力デバイスは、容量性、抵抗性、赤外線、光学イメージング、分散信号、音響パルス認識、及び表面音響波技術を含む複数のタッチ感度技術のいずれかを使用して、タッチ表面での接触及び動きを検出するように構成できる。少なくとも1つのスイッチを含む入力デバイスの実施形態では、スイッチは、例えば、ボタン(例えば、ハードキー、ソフトキー)、タッチ面、キーボード、アナログスティック(例えば、ジョイスティック)、方向性パッド、ポインティングデバイス(マウスなど)、トラックボール、ジョグダイヤル、ステップスイッチ、ロッカースイッチ、ポインターデバイス(スタイラスなど)、モーションセンサ、イメージセンサ、及びマイクの少なくとも1つを含み得る。モーションセンサは、光学センサから使用者の動きのデータを受信し、使用者のジェスチャーを制御信号として分類することができる。マイクは音声を受信し、使用者の声を制御信号として認識することができる。
【0164】
ネットワークインターフェース
図11Aに示されるように、本明細書で説明される制御デバイス(1120)は、ネットワークインターフェース(1132)を介して1つ以上のネットワーク(1170)及びコンピュータシステム(1150)と通信し得る。いくつかの実施形態では、制御デバイス(1120)は、1つまたは複数の有線及び/または無線のネットワークを介して他のデバイスと通信していてもよい。ネットワークインターフェース(1132)は、他のデバイスに直接、またはネットワーク(例えば、インターネット無線LAN)を介して間接的に繋げるように構成された1つまたは複数の外部ポート(ユニバーサルシリアルバス(USB)、マルチピンコネクターなど)を介した他のデバイスとの通信を容易にし得る)。
【0165】
いくつかの実施形態では、ネットワークインターフェース(1132)は、1つ以上のデバイス及び/またはネットワークと通信するように構成された無線周波数受信機、送信機、及び/または光学(例えば赤外線)受信機及び送信機を含み得る。ネットワークインターフェース(1132)は、センサ、ユーザインターフェース(1134)、ネットワーク(1170)、データベース(1140)、及びサーバ(1150)の1つ以上と有線及び/または無線で通信してもよい。
【0166】
いくつかの実施形態では、ネットワークインターフェース(1132)は、1つまたは複数のデバイス及び/またはネットワークと通信するよう構成される受信機、送信機、及び/または光学(例えば、赤外線)受信機及び送信機のうちの1つ以上を含む無線周波数(RF)回路(例えば、RFトランシーバ)を含み得る。RF回路は、RF信号(例えば、電磁信号)を受信及び送信し得る。RF回路は、電気信号と電磁信号を変換したり、電磁信号を介して通信ネットワークや他の通信デバイスと通信したりする。RF回路には、アンテナシステム、RFトランシーバー、1つ以上の増幅器、チューナー、1つ以上の発振器、デジタルシグナルプロセッサ、CODECチップセット、サブスクライバーアイデンティティモジュール(SIM)カード、メモリなどの1つ以上を含み得る。ワイヤレスネットワークとは、あらゆる種類のケーブルで接続されていないあらゆるタイプのデジタルネットワークを指すことができる。
【0167】
ワイヤレスネットワークにおけるワイヤレス通信の例には、セルラー通信、ラジオ通信、衛星通信、及びマイクロ波通信が含まれるが、これらに限定されない。無線通信は、複数の通信規格、プロトコル、及び技術のいずれかを使用できる。これには、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)、拡張データGSM環境(EDGE)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、広帯域コード分割多元接続(W-CDMA)、コード分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、Bluetooth、近距離無線通信(NFC)、無線周波数識別(RFID)、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)(例:IEEE 802.11a、IEEE 802.11b、IEEE 802.11g、IEEE 802.11n)、Voice over Internet Protocol(VoIP)、Wi-MAX、メール用プロトコル(例えば、Internet Message Access Protocol(IMAP)、Post Office Protocol(POP))、インスタントメッセージング(例えば、eXtensible Messaging and Presence Protocol(XMPP)、Session Initiation Protocol for Instant Messaging、Presence Leveraging Extensions(SIMPLE)、Instant Messaging and Presence Service(IMPS))、Short Message Service(SMS)、またはその他の任意の適切な通信プロトコルが含まれるが、これらに限定されない。一部のワイヤレスネットワーク展開では、複数のセルラーネットワーク由来のネットワークを組み合わせたり、セルラー、Wi-Fi、及び衛星通信を混ぜて使用したりする。
【0168】
いくつかの実施形態では、無線ネットワークは、インターネット、他の伝搬音声及びデータネットワーク、ビジネスネットワーク、及びパーソナルネットワークとインターフェースするために有線ネットワークに接続し得る。有線ネットワークは、通常、銅線ツイストペア、同軸ケーブル、及び/または光ファイバーケーブルで伝えられる。ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットエリアネットワーク(IAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、グローバルエリアネットワーク(GAN)、インターネットと類似のもの、ワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(PAN)(Bluetooth、Bluetooth Low Energyなど)、仮想プライベートネットワーク(VPN)などの多種の有線ネットワークが存在する。本明細書で使用する場合、ネットワークは、一般的にインターネットを介して相互接続され、統一されたネットワーキング及び情報アクセスシステムを提供する、ワイヤレス、有線、公的、及び私的データネットワークの任意の組み合わせを指す。
【0169】
III.方法
本明細書で、尿などの生体液を分析し、微小流体装置を製造する方法に対応する実施形態を説明する。これらの方法は、試料を識別及び/または特徴付けることができ、いくつかの実施形態では、説明されているシステム及びデバイスとともに使用することができる。例えば、生体液分析システムは、微小流体デバイスに置かれた尿試料を分析及び特性評価し、1つまたは複数の検体を識別してもよい。微小流体デバイスは、試料分析を補助するために、1つまたは複数の物質(試薬)を追加することで機能できる。
【0170】
生体液の調製
いくつかの実施形態では、試料は、微小流体デバイスへの適用及び生体液分析システムによる処理の前に前処理されてもよい。試料には、例えば、尿、血液からの血漿、血液からの血清、粘液、精液、それらの組み合わせなどが含まれ得る。生体液分析システムは、広範囲の検体を識別及び特性評価するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上の物質(例えば、湿潤試薬または乾燥試薬)が試料に添加され得る。例えば、試薬は、微小流体デバイスに投入される前に試料に追加してもよく、及び/または微小流体デバイスの微小流体チャネル内に試薬を配置してもよい。試薬は、特定の成分の優先的溶解、特定の成分の優先的染色、沈降を促進または遅れさせる液相の比重の変更、浸透圧の変更、粒子状の物質の浮上を促進または遅らせる液相の比重の変更、及び液相の化学的特性評価などを含むがそれらに限定されない、様々な機能を実行できる。
【0171】
生体液分析
いくつかの実施形態における生体液を分析する方法は、本明細書に記載の生体液分析システム及び/または微小流体デバイスを使用してもよい。ここで説明する方法は、少量の試料を使用して生体液から検体を迅速に識別することができる。概して、ここで説明する方法には、試料を微小流体デバイスに適用し、微小流体デバイスを生体液分析システムに挿入することが含まれ得る。
【0172】
図12は、生体液を分析する方法(1200)を全体的に説明するフローチャートである。プロセス(1200)は、試料を微小流体デバイスに適用することにより、ステップ1202で始まり得る。例えば、尿などの試料を、微小流体デバイスの第1開口部に投入できる。いくつかの実施形態では、微小流体チャネルの1つ以上は、試料を微小流体デバイスに適用する前に、1つ以上の物質(例えば、試薬)を含み得る。例えば、試薬は溶解剤及び/または造影剤を含んでもよい。溶解剤は、赤血球などの特定の種類の細胞を溶解し得る。造影剤(例えば、染色剤)には、特定の細胞の抗原に対応する核、細胞質、及びミトコンドリア(例えば、蛍光色素を含む抗体及び抗体コンジュゲート)が含まれてもよい。
【0173】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイスの第1開口部及び/または第2開口部は、試料を微小流体デバイスに適用した後に塞ぐ及び/または別段には封止することができる。このようにして、微小流体デバイスは、微小流体デバイスの微小流体チャネルの1つまたは複数の領域に粒子状物質を濃縮するために遠心分離させてもよい。いくつかの実施形態において、微小流体デバイスは、生体液分析の前に、1つ以上の温度(例えば、室温及び/または高温)でインキュベートされ得る。ステップ1204で、微小流体デバイスは、微小流体デバイスケース(例えば、消耗品、使い捨て、パレット、カートリッジ、ホルダ及び/または類似物)に配置してもよい。微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスに適用される試料の取り扱い、追跡、及び識別の1つまたは複数を補助するために使用されてもよい。例えば、微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスに触れずに、微小流体デバイスの光学的な性質に潜在的に影響を及ぼすことなく、使用者が握るためのグリップ部分を含んでもよい。微小流体デバイスケースは、微小流体デバイスケースに対して固定した位置で微小流体装置を保持するように構成されてもよい。
【0174】
ステップ1206で、微小流体デバイスが配置された微小流体デバイスケースを生体液分析システムに挿入し、プラットフォーム(例えば、微小流体デバイスアセンブリ)上に配置することができる。例えば、
図12Bに示されるように、微小流体デバイスケースは、生体液分析システム(1200)の微小流体デバイス投入部(1220)を通してプラットフォームに挿入されてもよい。ステップ1208で、プラットフォームを所定の位置(例えば、放射線源の出力の下)に移動させて較正することができる。微小流体デバイス及びその微小流体チャネルセットの位置は、放射線源及び検出器によって放出される光線(例えば、第1光信号)に対して較正されてもよい。すなわち、微小流体チャネルの位置を特定し、インデックスを付けることができる。インデックスを付けたデータは、微小流体デバイス及び/または微小流体デバイスケースの基準及び識別子に対応する位置を含んでもよい。いくつかの変形例では、微小流体デバイスは、水平面(例えば、XY平面)または垂直面(Z平面)に平行に配置されてもよい。
【0175】
ステップ1210で、微小流体チャネルセットは、放射線源の第1光信号によって連続的に、または一度にすべて照射されてもよい。微小流体デバイスは、イメージング、トモグラフィー、顕微鏡法、蛍光分光法、共焦点レーザ走査顕微鏡法、分光測光法、及び電気化学の1つまたは複数を使用して分析することができる。ステップ1212で、各微小流体チャネルの検出器で第2光信号を受信し、メモリに保存することができる。検出器は、放射線源の反対側に設けられてもよい。検出器は、受信した第2光信号を使用して信号データを生成してもよい。ステップ1214で、受信された信号データを使用して、コントローラ(例えば、プロセッサ及びメモリ)の使用により検体データを生成することができる。
【0176】
本明細書で詳細に説明されるように、微小流体デバイスは、1つ以上の領域で画像化され得る。いくつかの実施形態において、微小流体デバイスの画像化は、様々な試料の状態で起こり得る。例えば、画像化は、使用中の液相の密度、重力の場、及び微小流体デバイスの向きなどの要因に依存し得るいくつかの試料の状態で実行され得る。例えば、試料は、沈殿物(粒子など)が微小流体チャネルセット全体に均一に分散した後、底面に沈降した後、チャネルの上部に浮上した後、沈降の前後に分析できる。微小流体デバイスは、室温、室温より上(例えば、37℃)、及び室温より下などの任意の所定の温度で分析されてもよい。
【0177】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイスの試料は、懸濁した状態で画像化され得る。試料を再懸濁すると、分析中に粒子状物質が同時に減少する場合がある。微小流体デバイスアセンブリは、微小流体デバイスを揺動、反転、及び振盪することのうちの1つまたは複数によって、試料の中の沈殿物を懸濁するように構成され得る。いくつかの実施形態において、微小流体デバイスアセンブリは、超音波を使用して試料の中の沈殿物を懸濁するように構成された超音波トランスデューサを含み得る。
【0178】
ステップ1214で、検出器からの信号データを使用して検体データを生成するようにコントローラを構成することができる。ステップ1216で、検体データを使用して1つまたは複数の生体液の特性及び/または検体を識別するようにコントローラを構成することができる。例えば、生体液の特性には屈折率と浸透圧が含まれる場合があり、生体液内の1つ以上の特定の検体には、赤血球、白血球、白血球の塊、硝子円柱、病理学的鋳造物、扁平上皮細胞、非扁平上皮細胞、細菌、酵母、結晶、シュウ酸カルシウム一水和物、シュウ酸カルシウム二水和物、尿酸、三重フォトフェート、粘液、及び精子を含み得る。ステップ1218で、検体データ及び生体液分析の少なくとも1つを使用者に出力することができる。
【0179】
微小流体デバイスの製造
また、本明細書には、本明細書に開示される生体液分析システムの実施形態と共に、いくつかの実施形態で使用され得る微小流体デバイスを製造する方法に対応する実施形態が記載される。本明細書に記載の方法は、開口部セット及び微小流体チャネルセットを規定するハウジングを含む微小流体デバイスを製造し得る。本明細書に記載されるように製造された微小流体デバイスは、生体液の特性に対応する検体データを生成するために処理されてもよい。
【0180】
概して、本明細書に記載の方法は、ハウジングの層のセットそれぞれを形成すること、親水性処理及び/または試薬を適用すること、及び層を一緒に取り付けて単一構造を形成することを含む。ステップ1302で、第1層(例えば、上部、カバー)は、ダイカット、押出フィルムのレーザカット、及び射出成形によって形成され得る。押出フィルムは、アクリル、ポリカーボネート、及びポリエステルポリマーの1つまたは複数を使用して形成されてもよい。レーザ溶接を促進するために、カーボンブラックやレーザ吸収染料などの添加剤を追加することができる。添加剤は、プラスチックに配合されてもよく、及び/または溶接の前にコーティングされてもよい。例えば、約0.01重量%~約1.0重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料の少なくとも一方を第1の部分に添加することができる。例えば、第1の部分は、約0.1重量%~約1.0重量%、または約0.2重量%~約0.3重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料の少なくとも一方を含むことができる。第1開口部セット及び一組の第2開口部セットが第1層に形成されてもよい。
【0181】
ステップ1304では、第2層(例えば、チャネル層)を、ダイカット、レーザ切断押し出しフィルム、及び射出成形によって形成できる。突出するフィルムは、アクリル、ポリカーボネート、及びポリエステルポリマーの1つ以上を用いて形成されてもよい。約0.01重量%~約1.0重量%のカーボンブラックとレーザ吸収染料の少なくとも一方の添加剤を第2の部分に添加してもよい。例えば、第2の部分は、約0.1重量%~約1.0重量%または約0.2重量%~約0.3重量%のカーボンブラックとレーザ吸収染料の重量を含んでもよい。微小流体チャネルセットは、第2の部分に形成されてもよい。さらに、第3層(例えば、底部、基部)は、ダイカット、レーザ切断押し出しフィルム、及び射出成形によって任意選択に形成されてもよい。突出するフィルムは、アクリル、ポリカーボネート、及びポリエステルポリマーの1つ以上を用いて形成されてもよい。約0.01重量%~約1.0重量%のカーボンブラックとレーザ吸収染料の少なくとも一方の添加剤は第3の部分に添加してもよい。例えば、第3の部分は、約0.1重量%~約1.0重量%または約0.2重量%~約0.3重量%のカーボンブラック及びレーザ吸収染料の一方を含んでもよい。ステップ1306では、親水性処理を1つ以上の層に適用できる。追加的または代替的に、疎水性及び傷に強いコーティングは、層の1つまたは複数に適用されてもよい。ステップ1308では、試薬のセットが、微小流体チャネルの側面に連結されてもよい。ステップ1310では、各層が互いに取り付けられ(例えば、接着、溶接)、単体構造を形成してもよい。例えば、レーザ吸収染料の約0.5重量%でPMMAまたはポリカーボネート射出成形部品に添加し、約940nmのレーザダイオード光を用いて溶接してもよい。
【0182】
いくつかの実施形態では、部分の1つ以上は、超音波溶接を用いて溶接されてもよい。エネルギー指示器は、超音波エネルギーを集中し、超音波溶接を生成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、超音波溶接は、約15kHz~約40kHzで行われてもよい。例えば、超音波溶接は、約15kHz、20kHz、30kHz、35kHz、及び約40kHzで行うことができる。
【0183】
追加的または代替的に、部分は、接着剤での接着を用いて取り付け(例えば、接着)てもよい。接着剤での接着は、大量、低コスト、連続的なウェブ製造のために構成され得る。例えば、両面テープは、第1層と第2層との間、第2層と第3層との間で使用することができる。両面テープは、圧力感受性アクリルまたはシリコーン接着剤で両面に被覆された基材を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、両面テープは、約25ミクロン~約1000ミクロンの厚さで変化してもよい。
【0184】
いくつかの実施形態では、微小流体デバイスは、不透明性ホイルパウチに包装されてもよいし、さらに乾燥剤のパッケージを含んでもよい。乾燥剤は、微小流体デバイス内に配置された試薬に対する水分の影響を最小限に抑えることができる。
【0185】
本明細書で使用される場合、数値及び/または範囲と組み合わせて使用される場合の「約」及び/または「およそ」という用語は、概して、記載された数値及び/または範囲に近い数値及び/または範囲を指す。場合によっては、「約」及び「およそ」という用語は、記載の値の±10%以内を意味する場合がある。例えば、いくつかの例では、「約100[単位]」は100の±10%以内(例えば、90~110)を意味し得る。「約」及び「およそ」という用語は、同じ意味で使用されてもよい。
【0186】
前述の説明は、説明の目的のために、本明細に開示される種々の発明及び実施形態の完全な理解を実現するために特定の命名法を用いている。しかし、開示された発明及び実施形態を実践するために特定の詳細が必要とされないことは当業者に明らかである。したがって、本発明の特定の実施形態の前述の説明及びそれに対応する実施形態は、図解及び説明の目的のために提示される。それらは、網羅している、または開示された正確な形態に発明を制限することを意図していない。明らかに、上記の教示の観点から、多くの変更や実施形態が可能である。実施形態は、本発明の原理、その対応する実施形態、及び実用的な適用を最もよく説明するために選択され、説明され、考えられる特定の使用に適しているように、当業者が様々な改変を伴う発明及び種々の実施を最も有効に利用できるようにする。以下の特許請求の範囲及びその同等物が本発明の範囲を規定することを意図する。
【0187】
さらに、本明細書に開示されているそのような特徴、構造、システム、物品、材料、キット、ステップ、及び方法の2つ以上の任意の組合せは、そのような特徴、構造、システム、物品、材料、キット、ステップ及び/または方法が相互に矛盾していなければ、本開示の発明の範囲内に含まれる。さらに、本明細書に開示される様々な発明のいくつかの実施形態は、参照または参照の組み合わせに見出される1つまたは複数の特徴/要素/機能性を具体的に欠いているため、従来技術と区別できる場合がある(すなわち、そのような実施形態を対象としたクレームは負の制限を含む場合がある)。
【0188】
本願の任意の場所に提示される特許、特許出願、記事、ウェブページ、書籍などを含むがこれらに限定されない、いずれかまたすべての言及された出版物または他の文書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書で定義及び使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書の定義、及び/または定義された用語の通常の意味を制すると理解されるべきである。