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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】発光デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20230104BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20230104BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
H01L33/50
G02B5/08 Z
G02B5/20
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020030015
(22)【出願日】2020-02-26
(62)【分割の表示】P 2016535543の分割
【原出願日】2014-08-12
(65)【公開番号】P2020109849
(43)【公開日】2020-07-16
【審査請求日】2020-02-26
(31)【優先権主張番号】61/867,773
(32)【優先日】2013-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517152128
【氏名又は名称】ルミレッズ ホールディング ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】マジューア,クラリス
(72)【発明者】
【氏名】モ,チンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】クオ,メイ-リン
(72)【発明者】
【氏名】リ,リン
(72)【発明者】
【氏名】シュシェチン,オレグ ボリショヴィチ
【審査官】大西 孝宣
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102008025923(DE,A1)
【文献】特表2010-514187(JP,A)
【文献】国際公開第2010/061592(WO,A1)
【文献】特開2013-105877(JP,A)
【文献】特開2008-294224(JP,A)
【文献】特表2012-503876(JP,A)
【文献】特表2012-516044(JP,A)
【文献】国際公開第2009/069671(WO,A1)
【文献】特開2008-010749(JP,A)
【文献】特開2013-038115(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0063520(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイスであって:
発光面を各々が有する複数の発光素子と、
前記複数の発光素子にわたって延在し且つ前記複数の発光素子の各々に取り付けられた単独の波長変換素子であって、前記複数の発光素子が有する複数の発光面に垂直でも平行でもない複数の反射面を有し、各々の反射面は2つの隣接する発光素子の間に位置し、少なくとも1つの反射面は鏡面反射コーティングを有する、単独の波長変換素子と、
を有し、前記波長変換素子は、前記複数の発光素子のうちの最も外側の発光素子の外端に位置する少なくとも1つの外側反射面を更に有し、前記外側反射面は前記複数の発光面に垂直でも平行でもない、発光デバイス。
【請求項2】
前記反射面のうちの少なくとも1つは傾斜した平坦面である、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記反射面のうちの少なくとも1つは拡散反射性である、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記反射面の各々は鏡面反射コーティングを含む、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記反射面の各々は傾斜した平坦面である、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項6】
基板を更に有し、前記複数の発光素子の各々は前記基板上の回路トレースに電気的に結合されている、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記外側反射面は、前記最も外側の発光素子の発光面に対して鈍角を形成するように傾斜した第1部分を有する、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記外側反射面は、前記最も外側の発光素子の方へ傾斜した第2部分を有する、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記複数の発光素子の間に配置された反射材料を更に有する、請求項1に記載の発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光デバイスの分野に関連し、特に、燐光体(phosphors)のような波長変換材料を有する発光デバイスに関連する。
【背景技術】
【0002】
これまでの半導体発光デバイスの利用拡大は、そのようなデバイスの著しい競争市場を生み出してきた。この市場では、ベンダ間で製品の差別化を図るために、パフォーマンスや価格がしばしば重要になる。
【0003】
デバイスのパフォーマンスを改善する技術の1つは、デバイスから実際に放出される生成光の割合を増やし、それに応じて、デバイス内で捕捉されて最終的には吸収される光の量を減らすことである。光抽出面ではないデバイス表面でリフレクタを利用することは、光抽出面の方に光を向け直すために使用される一般的な技術であり、デバイスの横にリフレクタを利用するようなものである。
【0004】
図1A-1Bは、反射側面を有する従来の発光デバイスの製造を示し、図1Cはそのようなデバイスからの光放出を示す。
【0005】
図1Aでは、一般にサブマウント(submount)と言及される基板110が、一般的にははんだバンプ130により、外部電源を発光素子150に結合するための金属トレース120を含む。アンダーフィル材料140は、発光素子150に対する機械的な支え(サポート)を提供し;アンダーフィル材料140は反射性を有してもよい。
【0006】
この例では、波長変換素子160が、発光素子150の発光面155の上に位置している。波長変換素子は、発光素子150により放出された光の一部を吸収し、異なる波長で光を放出する。発光素子150から放出される光と波長変換素子160により放出される光との混合は、光抽出表面165から装置を出る。
【0007】
図1Bでは、デバイスを囲むように反射材料170が適用され、波長変換素子160の縁/端部に当たる光は、光抽出表面165の方に改めて方向付けられる。
【0008】
以後、基板110は、単一化されたデバイスを提供するようにスライス/ダイシングされる。選択的に、デバイスが単一化される前又は後で、発光デバイスを封止するようにエポキシのような保護材料が成形(モールド)又は形成され、特定の光学的効果を提供するように整形されてもよい。
【0009】
図1Cは、デバイスの抽出表面165からの光放出の例を示す。表面165は、波長変換素子160と周辺の媒体との間の界面を形成し、波長変換素子及び周辺媒体の屈折率は、光抽出の臨界角(critical angle)を決定し、この臨界角は表面165の各ポイントにおけるエスケープコーン(escape cone)168を規定する。表面に比較的垂直な角度(臨界角より小さな角度(すなわち、エスケープコーンの内側に収まる角度))で表面に当たる光101,102は 、表面から逃れることになり;臨界角より大きな角度で表面に当たる光106,107は内部全反射(total internal reflection:TIR)を経験することになり、光抽出表面165により反射されて遠ざかる。以下で詳細に説明されるように、波長変換素子160の中で内部全反射される光は、反復的に内部全反射される傾向があり、従って、発光デバイス内に吸収されてしまう傾向が強い。
【発明の概要】
【0010】
波長変換素子を有する発光デバイス内で吸収される光の量を減らし、そのような光を光抽出表面から退出させることにより、光抽出効率を改善することは、有利なことであろう。波長変換素子を有する発光デバイスのアレイから放出される光の一様性を改善することも有利なことであろう。
【0011】
これらの課題のうちの1つ以上に適切に対処するため、本発明の一形態では、予め形成される波長変換素子が、内部全反射の反復的な出現を減らすように形作られる(整形される)。整形される素子の側端部は、光抽出表面における反射光の入射角に変化を導入するように傾斜させられる或るいはそのように整形される。予め形成される波長変換素子は、発光素子のアレイを超えて伸びるように構成され、発光素子間の特徴部は、内部全反射の反復的な出現を減らすように整形されている。
【0012】
光が直線的な構造の中で内部全反射される場合、対向する(平行な)表面に当たる反射光は同じ入射角でそこに当たる。上側又は下側の表面からの反射光が、直線的な構造の側端部に当たる場合、表面での入射角に対して直角をなす(orthogonal to the angle of incidence)入射角で当たることになる。側端部からの反射光が上側又は下側の表面に当たる場合、側端部での入射角に対して直角をなす入射角で当たることになる。従って、表面から側端部へそして反対側の表面に至る光は、最初の表面における元の入射角と同じ入射角で対向表面に当たることになる。従来の発光デバイスの例では、内部全反射に起因して光抽出表面165から逃れることができない光は、最終的に吸収されるまで、同じ入射角で表面165に反復的に当たり、発光デバイス内に捕らえられることになる。光が再び入る場合に角度変化が生じるかもしれないが、発光素子150は、表面155での屈折率、直線的な構造150の対称性に起因して、内部全反射を反復させる傾向がある。
【0013】
平行な表面の間で、従来のように垂直な側壁ではなく、垂直でない表面を提供するように、波長変換素子が整形される場合、垂直でない表面から反射される光は、対向する表面に、同じ入射角では当たらなくなる。垂直でない表面から反射された後、入射角は変化するので、最終的にエスケープコーンの内側で光抽出表面に当たる反射光の確率が増え、これにより光抽出効率が増進することになる。代替的又は追加的に、入射角は、分散反射表面(diffuse reflective surface)を提供することにより変更されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら一例として詳細に本発明を説明する。
図1A】反射側端部を有する従来例の発光デバイスを製造する様子を示す。
図1B】反射側端部を有する従来例の発光デバイスを製造する様子を示す。
図1C】そのようなデバイスからの放出例を示す。
図2A】整形された波長変換素子を有する例示的な発光デバイスを製造する様子を示す。
図2B】整形された波長変換素子を有する例示的な発光デバイスを製造する様子を示す。
図2C】そのようなデバイスからの放出例を示す。
図3】予め形成された波長変換素子の例示的な形状を示す。
図4】垂直でない側壁を有する波長変換プレートレットを形成するための波長へ間シートのスライス例を示す。
図5A】発光素子のアレイに配置される例示的な整形された波長変換素子を示す。
図5B】発光素子のアレイに配置される例示的な整形された波長変換素子を示す。
図5C】発光素子のアレイに配置される例示的な整形された波長変換素子を示す。
図5D】発光素子のアレイに配置される例示的な整形された波長変換素子を示す。
図5E】発光素子のアレイに配置される例示的な整形された波長変換素子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図中、同じ参照番号は類似する又は対応する特徴又は機能部を示す。図面は例示の目的で含まれているに過ぎず、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。
【0016】
以下の説明では、限定ではなく説明の目的で、特定のアーキテクチャ、特定のインターフェース、特定の技術等のような具体的な詳細が説明され、本発明の概念の十分な理解を促す。しかしながら、本発明はそのような具体的な詳細から離れた他の形態で実現されてもよいことは、当業者に明らかであろう。同様に、本説明の文章は、図面に示されるような実施例に方向付けられているが、特許請求の範囲に明示的に含まれる限定以上に、請求項に係る発明を限定するようには意図されていない。簡明化のため、周知のデバイス、回路及び方法の詳細な記述は、不必要な詳細事項により本発明の記述を曖昧にしてしまわないように省略されている。
【0017】
上述したように、従来の予め形成される波長変換素子の垂直性又は直交性(orthogonal nature)は、内部全反射が、同じ入射角で対向表面に当たることを引き起こし、それが最終的に吸収されるまで、発光デバイスの中で反射光の継続的な循環を招いてしまう。本発明の形態によれば、予め形成される波長変換素子は、非直交な鏡面的な反射表面をもたらし、内部反射光の入射角に変化を導入するように形成される。本発明の他の形態によれば、予め形成される波長変換素子は、内部反射光の入射角に変化を導入するように1つ以上の分散した(diffusely)反射表面を提供するように形成される。
【0018】
実施例では、別段の断りがある場合を除いて、反射表面は鏡面的な反射性を有することが仮定されている。本願で使用される用語に関し、「反射表面(reflective surface)」は、その表面が発光デバイスに位置する場合に、発光素子から放出された光を反射する表面である。すなわち、波長変換素子の表面に取り付けられる材料は、表面で反射を引き起こす反射性の材料であってよい。
【0019】
図2A-2Bは、光抽出面265に対して非直交な傾斜側壁262を有するように整形された波長変換素子260を有する例示的な発光装置200を製造する様子を示す。図2Aに示されるように、予め形成される波長変換素子260は、発光素子150の発光面155に取り付けられる。例えば接着、結合、ボンディング等を利用することを含む任意の取り付け技術が使用されてよい。一形態において、発光面155は、発光素子150からの光抽出効率を促すように粗面化される。
【0020】
図2Bに示されるように、側壁(又はサイドウォール)262に当たる光を反射するように、反射材料170が適用される。側壁262は光抽出面265に対して非直交であるので、反射光は、側壁262における光の入射角に対して非直交である角度(直角を形成しない角度)で表面265又は表面155に当たることになる。
【0021】
図2Cは発光装置200からの光放出例を示す。図1Cの例に示されるように、エスケープコーン(又は脱出円錐)168の中で光抽出面265に当たる光201は、表面265から逃れることになる。
【0022】
エスケープコーン168から外れる入射角で光抽出面265に当たる光206は、内部全反射を受ける。図1Cの従来例とは異なり、反射光が非垂直な側壁262から反射される場合、反射光は、抽出面265での光206の入射角とで直角をなす角度では、側壁262に当たらない。その結果、側壁262から反射される光は、元の内的に反射された光(例えば、内部全反射光)206の入射角とは異なる入射角で、表面265又は表面155の何れかに当たる。
【0023】
図2Cの例では、鏡面反射の場合に、内的に反射される光206は、側壁262から反射され、エスケープコーン168の中で抽出面265に当たる。今や反射光はエスケープコーン内に収まる入射角で表面265に当たるので、反射光は、光206aとして表面265から逃れる。同様に、光207は、側壁262が表面262に対して(仮に従来のように)垂直であったならば表面265から内的に反射されていたであろうが、光207はエスケープコーン168の中で表面265に当たるので、光207aとして表面265から逃れる。
【0024】
たとえ側壁262から反射される光がエスケープコーン168の中で表面265に直ちに当たらなかったとしても、側壁262による以後の反射は、以後、光が表面265に当たる場合に光の入射角を変化させ、最終的に、それらの反射のうちの何れかがエスケープコーンの中で表面265に当たって表面265から逃れることに、留意を要する。これに反して、抽出面165に対して垂直な側壁を有する従来の発光デバイスは、表面165における入射角に実質的な変化を導入せず、表面165から出る内部反射光の確率は、実質的にゼロである。
【0025】
図3は、予め形成される波長変換素子の例示的な形状を示す。図3では、波長変換素子360の4つの側壁362の各々が、図2A-2Cに図示される側壁262と同様に、発光素子150から「遠ざかる(away from)」ように形成される。しかしながら、内部反射光の経路に如何なる非直交面の導入も、光抽出面における入射角の変化をもたらすので、側壁の傾斜が、何らかの特定の方向にあることは必須でない。
【0026】
非直交面の予め形成される形状は、ソーイング(sawing)、ミリング(milling)、ルーティング(routing)、エッチング等を含む様々な技術のうちの何れを利用して実行されてもよい。一形態では、非直交面を形成するのに使用される技術は、予め形成される波長変換素子を形成するために使用される材料に依存してよい。
【0027】
一実施形態では、波長変換粒子が組み込まれた結晶材料のシート(sheet)が形成され、その後に、傾斜側壁を有する「プレートレット(platelet)」を形成するようにスライスされてもよい。従来の鋸刃は、図4に示されるように留め継ぎカット(mitered cut)をもたらすように方向付けられる。この形態では、鋸刃は、対向するカット410,420を形成するように2つの角度で方向付けられ、これによりプレートレット460-1,460-2,460-3,460-4,460-5を形成し、それら各々は台形状の輪郭を有する。
【0028】
非直交の側壁の導入の仕方は、個々の発光素子に位置するプレートレットには限定されない。図5A-5Eは、基板510における発光素子150a-150dのアレイに位置付けられる例示的な形状の波長変換素子560a-560eを示す。発光素子のうちの1つのアレイ(配列)のみが示されているが、基板510は発光素子の複数のアレイを含んでもよい。本開示の目的に関し、「アレイ(又は配列)」という用語は、一般的な意味で使用され、発光素子の「ライン」又は「ストリップ」、発光素子の「リング」等を含む発光素子の任意に並べられた構成を含む。特に留意すべきことに、互いに対する各々の発光素子の発光面の位置が既知であるように、発光素子のアレイは配置される。
【0029】
図5Aに示されるように、単体の波長変換素子560aは、基板510上に配置される発光素子150a-150dのアレイの発光面155a-155dにわたって延びるように形成される。基板510は、サブマウント、印刷回路基板、又は、その他の実装表面であってもよい。一形態において、基板510は或るウェファに対応し、発光素子150a-150dのウェファレベルの処理の際に、そのウェファ上に発光素子が形成される又は移される。上述したように、発光面155a-155dに波長変換素子560aを取り付けるために任意の様々な技術が使用されてよく、表面155a-155dは、発光素子150a-150dからの光抽出を促すように粗面化されてもよい。
【0030】
波長変換素子560aは傾斜特徴部562aを含み、傾斜特徴部562aは、発光面155a-155dの間に位置し、光抽出面565に対して垂直ではない。傾斜特徴部562aにより形成されるクレバス(裂け目又は隙間)の中に、反射材料が配置される。この例では、傾斜特徴部562aは、図2A-2Cの側壁262と機能的に類似している。発光面565からの内部反射光が反射傾斜特徴部562aに当たる場合、抽出面565に対する以後の入射角に変化が導入される。
【0031】
傾斜特徴部562aは発光面155a-155dの間に位置するように示されているが、他の形態ではより少ない傾斜特徴部を有していてもよく、例えば、傾斜特徴部は一つおきに発光面155a-155dの間にあってもよいし、或いは、中心からの距離に応じて傾斜特徴部の密度が変化してもよい。傾斜特徴部の形状及び位置は、所望の光出力パターンを達成するように、光学モデルのシミュレーション又は実験に基づいていてもよい。
【0032】
複数の発光素子にわたって延在する単体の燐光素子(又は燐光要素)を利用することは、個々の燐光素子による発光デバイスのアレイよりも、いっそう光出力の一様な分散を促すことに、留意することは重要である。発光素子の間の領域から逃れる光の量を増やすことにより、光出力の一様性を更に増進するように、傾斜特徴部の形状及び位置が選択されてもよい。
【0033】
図5Bの例では、特徴部562bは上位表面565と平行であるが、表面565から内的に反射される光を分散して反射するように形成されている。特徴部562bに当たる光の入射角に変化を付加する場合に、拡散反射(diffuse reflections)は、各々の特徴部562b上の領域における表面565に存在することになる光の量を増やし、表面565から出力される光の一様性を更に増進する。
【0034】
この例では、外側表面562aは鏡面反射性を有し、その傾斜は、図5Aの例におけるもののように内的に反射される光の入射角に変化をもたらす。しかしながら、当業者は、外側表面562aも拡散反射性を有し、傾斜面を要しないようにしてもよいことを認めるであろう。
【0035】
図5Cにおいて、波長変換素子560cは、傾斜特徴部562cにより形成されるそれぞれの間の中に反射材料566を適用するように事前に処理される。一形態において、反射材料層566は、特徴部562cが形成された後に、波長変換素子560cの下側に塗布され、その後に特徴部562cの間の平坦な部分561から除去されてもよい。別の形態では、反射材料566は、平坦な部分561をカバーするステンシル(又は型)を介して塗布される。特徴部562により形成されるクレバスに反射材料566を適用することにより、デバイスの効率は、クレバス内の下部材料の反射特性やアプリケーションに依存しにくくなる。
【0036】
図5Dでは、波長変換素子560dが、素子560dの周辺に傾斜壁568を有し、光抽出領域を減らし且つデバイスからの見かけ上の光強度を増やす。
【0037】
本発明の実施形態は平坦な壁や特徴には限定されないことを、当業者は認めるであろう。図5Eでは、波長変換素子560eは半球状の特徴部562eを含む。
【0038】
各々の実施形態5A-5Eでは、特徴部562a-562eは、特別に形成されたビット(bit)やエッチング等によるミリング又はルーティングを含む様々な任意の技術により形成されてよい。
【0039】
以上、本発明は上記の記述及び図面により詳細に説明及び記述されてきたが、そのような説明及び記述は例示的なものであって限定ではないように考えられるべきである;本発明は開示された実施形態に限定されない。
【0040】
例えば、鏡面性だけでなく拡散(分散)の恩恵も活用するために、1つ以上の反射表面が、鏡面性及び拡散性の双方の反射特性を提供する表面であってもよい。そのような実施形態では、表面により提供される鏡面性及び拡散性の反射比率が、デバイスの表面に対する光出力の一様性を更に増進するように選択されてもよい。
【0041】
開示される実施形態に対する他の変形例は、明細書、図面及び添付の特許請求の範囲を学ぶことによって、請求項に係る発明を実施する当業者により理解及び把握されることが可能である。特許請求の範囲において、「有する」等のような言葉は、他の要素やステップを排除しておらず、「或る」又は「ある」のような不定冠詞的な語は、複数個存在することを排除していない。特許請求の範囲に記載されるいくつかの事項についての複数の機能を、単独のプロセッサ又は他のユニットが発揮してもよい。所定の(複数の)事項が互いに異なる従属請求項で言及されているというただそれだけの事実は、これらの事項の組み合わせを有利に活用できないことを示してはいない。特許請求の範囲に何らかの参照符号が存在する場合、それらは特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきでない。
【0042】
以下、本願により教示される手段を例示的に列挙する。
(付記1)
発光デバイスであって:
発光素子;及び
前記発光素子の発光面に取り付けられる予め形成された波長変換素子;
を有し、前記予め形成された波長変換素子は、前記波長変換素子の光抽出面に対して垂直でも平行でもない少なくとも1つの反射面を含む、発光デバイス。
(付記2)
前記反射面は、前記波長変換素子の側壁を含む、付記1に記載の発光デバイス。
(付記3)
前記波長変換素子の表面で前記反射面を形成する反射コーティングを含む付記1に記載の発光デバイス。
(付記4)
前記反射面は傾斜した平坦面である、付記1に記載の発光デバイス。
(付記5)
前記反射面は鏡面反射性を有する、付記1に記載の発光デバイス。
(付記6)
当該発光デバイスは、複数の発光素子に対応する複数の発光面を含み、前記波長変換素子は、前記複数の発光素子にわたって延びる単体素子である、付記1に記載の発光デバイス。
(付記7)
前記少なくとも1つの反射面が、少なくとも幾つかの前記発光面の間に位置する複数の反射面のうちの何れかである、付記6に記載の発光デバイス。
(付記8)
前記波長変換素子が少なくとも1つの拡散反射面を含む、付記6に記載の発光デバイス。
(付記9)
前記波長変換素子の前記複数の反射面のうちの少なくとも1つの上に配置される反射コーティングを含む付記6に記載の発光デバイス。
(付記10)
前記複数の反射面の各々が傾斜した平坦面である、付記6に記載の発光デバイス。
(付記11)
発光デバイスであって:
発光素子;及び
前記発光素子の発光面に取り付けられる波長変換素子;
を有し、前記波長変換素子は少なくとも1つの拡散反射面を含む、発光デバイス。
(付記12)
当該発光デバイスは複数の発光素子を含み、前記波長変換素子は前記複数の波長変換素子にわたって延びる単一の素子である、付記11に記載の発光デバイス。
(付記13)
基板であって:
前記基板上の回路トレースに電気的に結合される複数の発光素子;及び
前記複数の発光素子の発光面に取り付けられる複数の予め形成された波長変換素子;
を有し、前記予め形成された波長変換素子の各々が、前記波長変換素子の光抽出面に対して垂直でも平行でもない反射面を含む、基板。
(付記14)
前記反射面が前記波長変換素子の側壁を含む、付記13に記載の基板。
(付記15)
各々の波長変換素子の表面に前記反射面を形成する反射コーティングを含む付記13に記載の基板。
(付記16)
各々の反射面が傾斜した平坦面である、付記13に記載の基板。
(付記17)
前記反射面は、所与の寸法の範囲に及ぶ光抽出領域を提供するように方向付けられ、前記光抽出領域は、所与の寸法の範囲に及ぶ光放出領域より小さい、付記13に記載の基板。
(付記18)
各々の波長変換素子は、1つより多い光放出面に取り付けられる、付記13に記載の基板。
(付記19)
前記反射面は鏡面反射性を有する、付記13に記載の基板。
(付記20)
基板であって:
前記基板上の回路トレースに電気的に結合される複数の発光素子;及び
前記複数の発光素子の発光面に取り付けられる複数の波長変換素子;
を有し、前記波長変換素子の各々が拡散反射面を含む、基板。
(付記21)
各々の波長変換素子は、1つより多い光放出面に取り付けられる、付記20に記載の基板。
(付記22)
方法であって:
基板に発光素子を設けるステップ;及び
前記発光素子の発光面に、予め形成された波長変換素子を取り付けるステップ;
を有し、前記予め形成された波長変換素子は、前記波長変換素子の光抽出面に対して垂直でも平行でもない少なくとも1つの反射面を含む、方法。
(付記23)
前記基板は複数の発光素子を含み、当該方法は、複数の予め形成された波長変換素子を前記発光素子に取り付けるステップを含み、各々の波長変換素子は、1つより多い数の前記発光素子に取り付けられる、付記22に記載の方法。
(付記24)
前記反射面が鏡面反射性を有する、付記22に記載の方法。
(付記25)
方法であって:
基板に発光素子を設けるステップ;及び
前記発光素子の発光面に、予め形成された波長変換素子を取り付けるステップ;
を有し、前記予め形成された波長変換素子は、少なくとも1つの拡散反射面を含む、方法。
(付記26)
各々の波長変換素子は、1つより多い光放出面に取り付けられる、付記25に記載の方法。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【文献】特開2008-294224号公報
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E