(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】カッター装置及びパンツ型吸収性物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20230104BHJP
【FI】
A61F13/15 351A
A61F13/15 310
(21)【出願番号】P 2020161192
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2021-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木崎 康泰
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 貴仁
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢司
(72)【発明者】
【氏名】千葉 祥悟
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-227544(JP,A)
【文献】特開2015-188965(JP,A)
【文献】特開2005-001012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の両脚が通される一対のレッグ開口部を有する着用物品の製造時において、複数の該着用物品それぞれの前身頃を構成する部材が一方向に連なり且つ該一方向に伸縮性を有する第1連続シートを、該一方向と平行な搬送方向に搬送するとともに、複数の該着用物品それぞれの後身頃を構成する部材が一方向に連なり且つ該一方向に伸縮性を有する第2連続シートを、該第1連続シートに対して該搬送方向と直交する搬送直交方向に所定間隔を置いて、該第1連続シートと同方向に搬送し、両連続シートの搬送中に、両連続シートの少なくとも一方から、平面視において2つの該着用物品どうしの境界を該搬送方向に跨ぎ且つ該境界を基準として該搬送方向に対称をなす形状を有する、切除対象部分を切除して、2つの該着用物品それぞれの該一対のレッグ開口部の一方を同時に形成するのに使用される、カッター装置であって、
カッター刃を外周面に有し、該カッター刃を回転軸周りに回転させつつ前記切除対象部分を有する前記連続シートの一方の面に当接させるカッターロールと、該連続シートの他方の面に当接しつつ、該カッター刃を受ける受け部とを有し、
前記カッター刃は、前記連続シートの前記搬送方向に沿う一側縁に対し2つの交点で交わり、且つ平面視において該一側縁側とは反対側に凸をなす凸状湾曲部を有し、
前記凸状湾曲部は、前記2つの交点の中点を通って前記搬送直交方向に延びる搬送方向中心線を基準として、一方側と他方側とが非対称である、カッター装置。
【請求項2】
前記凸状湾曲部における前記2つの交点どうしの離間距離は、前記切除対象部分の切除後の該2つの交点に対応する部分どうしの離間距離に比べて長い、請求項1に記載のカッター装置。
【請求項3】
前記2つの交点うち、前記カッター刃の回転方向の前方側に位置するものをA1,後方側に位置するものをA2、前記中点をP、前記搬送方向中心線と前記凸状湾曲部との交点をB、該交点A1及び該交点Bの垂直二等分線と該凸状湾曲部との交点をC1、該交点A2及び該交点Bの垂直二等分線と該凸状湾曲部との交点をC2とした場合、
前記交点A1,C1,Bを通る円弧の曲率半径と、前記交点A2,C2,Bを通る円弧の曲率半径とが互いに異なる、請求項1又は2に記載のカッター装置。
【請求項4】
前記交点A1,C1,Bを通る円弧の曲率半径は、前記交点A2,C2,Bを通る円弧の曲率半径に比べて小さい、請求項3に記載のカッター装置。
【請求項5】
着用者の両脚が通される一対のレッグ開口部を有する着用物品の製造時において、複数の該着用物品が一方向に連なる着用物品連続体を構成し且つ該一方向に伸縮性を有する連続シートを、該一方向と平行な搬送方向に搬送中に、該連続シートから、平面視において2つの該着用物品どうしの境界を該搬送方向に跨ぎ且つ該境界を基準として該搬送方向に対称をなす形状を有する、切除対象部分を切除して、該2つの着用物品それぞれの該一対のレッグ開口部の一方を同時に形成するのに使用される、カッター装置であって、
カッター刃を外周面に有し、該カッター刃を回転軸周りに回転させつつ前記連続シートの一方の面に当接させるカッターロールと、該連続シートの他方の面に当接しつつ、該カッター刃を受ける受け部とを有し、
前記カッター刃は、平面視において閉じた形状を有し、該カッター刃の回転方向の最前方点と最後方点との中点を通って前記搬送
方向と直交
する方向に延びる搬送方向中心線を基準として、一方側と他方側とが非対称である、カッター装置。
【請求項6】
前記最前方点と前記最後方点との離間距離は、前記切除対象部分の切除後の該最前方点に対応する部分と該最後方点に対応する部分との離間距離に比べて長い、請求項5に記載のカッター装置。
【請求項7】
前記カッター刃において、前記最前方点と前記最後方点とを結ぶ仮想直線を基準として、一方側に位置する部分を第1の部分、他方側に位置する部分を第2の部分とし、
前記第1の部分及び前記第2の部分それぞれについて、前記最前方点をD1、前記最後方点をD2、前記中点をP、前記搬送方向中心線と前記カッター刃との2つ交点をB、該最前方点D1及び各該交点Bの垂直二等分線と該カッター刃との交点をC1、該交点D2及び各該交点Bの垂直二等分線と該カッター刃との交点をC2とした場合、
前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方において、前記点D1,C1,Bを通る円弧の曲率半径と、前記点D2,C2,Bを通る円弧の曲率半径とが互いに異なる、請求項5に記載のカッター装置。
【請求項8】
前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方において、前記点D1,C1,Bを通る円弧の曲率半径は、前記点D2,C2,Bを通る円弧の曲率半径に比べて小さい、請求項7に記載のカッター装置。
【請求項9】
着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、体液を吸収保持する吸収体を含む吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを具備し、前身頃及び後身頃それぞれにおける該外装体の該縦方向に沿う両側部どうしが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されている、パンツ型吸収性物品の製造方法であって、
複数の前記吸収性物品それぞれの前身頃を構成する部材が一方向に連なり且つ該一方向に伸縮性を有する第1連続シートを、該一方向と平行な搬送方向に搬送するとともに、複数の該吸収性物品それぞれの後身頃を構成する部材が一方向に連なり且つ該一方向に伸縮性を有する第2連続シートを、該第1連続シートに対して該搬送方向と直交する搬送直交方向に所定間隔を置いて、該第1連続シートと同方向に搬送し、搬送中の両連続シートの一方の面に、前記吸収性本体を、該搬送方向に間欠的に且つ両連続シートに架け渡して配置して、吸収性物品連続体を形成する工程と、
前記吸収性本体の配置前又は配置後に、前記第1連続シート及び前記第2連続シートの少なくとも一方から、平面視において2つの前記吸収性物品どうしの境界を前記搬送方向に跨ぎ且つ該境界を基準として該搬送方向に対称をなす形状を有する、切除対象部分をカッター装置により切除して、2つの該吸収性物品それぞれの前記一対のレッグ開口部の一方を同時に形成するレッグ開口部形成工程と、を有し、
前記カッター装置は、カッター刃を外周面に有し、該カッター刃を回転軸周りに回転させつつ前記連続シートの一方の面に当接させるカッターロールと、該連続シートの他方の面に当接しつつ、該カッター刃を受ける受け部とを有し、
前記カッター刃は、前記連続シートの前記搬送方向に沿う一側縁に対し2つの交点で交わり、且つ平面視において該一側縁側とは反対側に凸をなす凸状湾曲部を有し、
前記凸状湾曲部は、前記2つの交点の中点を通って前記搬送直交方向に延びる搬送方向中心線を基準として、一方側と他方側とが非対称である、パンツ型吸収性物品の製造方法。
【請求項10】
前記凸状湾曲部における前記2つの交点どうしの離間距離は、前記切除対象部分の切除後の該2つの交点に対応する部分どうしの離間距離に比べて長い、請求項9に記載のパンツ型吸収性物品の製造方法。
【請求項11】
前記2つの交点うち、前記カッター刃の回転方向の前方側に位置する方をA1,後方側に位置する方をA2、前記中点をP、前記搬送方向中心線と前記凸状湾曲部との交点をB、該交点A1及び該交点Bの垂直二等分線と該凸状湾曲部との交点をC1、該交点A2及び該交点Bの垂直二等分線と該凸状湾曲部との交点をC2とした場合、
前記交点A1,C1,Bを通る円弧の曲率半径と、前記交点A2,C2,Bを通る円弧の曲率半径とが互いに異なる、請求項9又は10に記載のパンツ型吸収性物品の製造方法。
【請求項12】
前記交点A1,C1,Bを通る円弧の曲率半径は、前記交点A2,C2,Bを通る円弧の曲率半径に比べて小さい、請求項11に記載のパンツ型吸収性物品の製造方法。
【請求項13】
前記切除対象部分を有する前記連続シートにおける該切除対象部分の近傍に、前記搬送方向に交差する方向に延びる弾性部材が伸長状態で固定されており、
前記切除対象部分は、前記弾性部材と前記搬送直交方向において同位置に存在する部分と、該弾性部材と該搬送直交方向において同位置に存在しない部分とを有し、後者の部分において、前記交点A1,C1,Bを通る円弧の曲率半径は、前記交点A2,C2,Bを通る円弧の曲率半径に比べて小さい、請求項12に記載のパンツ型吸収性物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等のレッグ開口部を有する着用物品の製造時に該レッグ開口部を形成するのに使用されるカッター装置、及び該カッター装置を用いたパンツ型吸収性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
着用物品の一種であるパンツ型吸収性物品は、典型的には、着用者の腹側に配される腹側部を含む前身頃と、着用者の背側に配される背側部を含む後身頃とを備えるとともに、着用者の股間部に配される股下部に、着用者の両脚が通される一対のレッグ開口部を備えており、パンツ型の形態を有している。また、このようなパンツ型吸収性物品の製造方法には、典型的には、複数の吸収性物品が一方向に連なる吸収性物品連続体を形成し、該吸収性物品連続体をその連続方向に沿って搬送しつつ、該吸収性物品連続体の一部を切除してレッグ開口部を形成する工程が含まれる。
【0003】
レッグ開口部を形成する装置として、ロータリーカッター装置が知られている。ロータリーカッター装置は、典型的には、外周面にカッター刃が突出して設けられたカッターロールと、該カッターロールの外周面に対向配置され、該カッター刃を受ける面状の受け部を有するアンビルロールとを含んで構成されている。これら両ロール間に、前記吸収性物品連続体等の切断対象物を通過させることによって、該切断対象物の一部が切除されるなどして、該切断対象物は切断される。特許文献1には、吸収性物品のレッグ開口部形成用のロータリーカッター装置(脚周り形成装置)の改良技術が記載されている。
【0004】
特許文献2には、伸縮性シートとこれよりも伸長性の低い低伸長性シートとが積層されてなる複合シートが吸収性物品の構成部材として使用されている場合において、該複合シートにロータリーカッター装置を用いてレッグ開口部を形成する場合に、該伸縮性シートの伸縮性に起因して、未切断部が生じるなど、該複合シートを設計どおりに切断できない問題があることが記載され(特許文献2の[0006]~[0008]等参照)、この問題を解決し得るカッター装置として、該伸縮性シート側から該複合シートに当接するカッター刃と、該低伸長性シート側から該複合シートに当接しつつ、該カッター刃を受ける面状の受け部とを有するものが記載されている。特許文献2には、前記問題を解決するためにカッター刃の形状を工夫することは記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-227544号公報
【文献】特開2015-186548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記吸収性物品連続体などの着用物品の連続体をその連続方向に沿って搬送しつつ、該連続体の一部を切除してレッグ開口部を形成する工程では、該連続体において搬送方向に隣り合う2つの着用物品の境界を跨ぐ所定の切除対象部分を切除し、それにより該2つの着用物品それぞれの片側のレッグ開口部の開口縁部(レッグ縁部)を同時に形成するところ、こうして同時に形成される2つのレッグ縁部どうしは、通常、それらの境界を基準として搬送方向に対称であることが要望される。しかしながら、着用物品の連続体の構成、伸縮性、切除対象部分の位置などによっては、搬送方向に隣り合う複数のレッグ縁部どうしを設計どおりに対称に形成することが困難となる場合がある。この問題を解決し得る技術は未だ提供されていない。
【0007】
本発明の課題は、複数の着用物品の連続体をその連続方向に搬送中に一部を切除し、その切除した部分を挟んで両側にレッグ開口部の開口縁部を形成する場合に、それらの開口縁部どうしを設計どおりに対称に形成することができる技術を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明(第1発明)は、着用者の両脚が通される一対のレッグ開口部を有する着用物品の製造時において、複数の該着用物品それぞれの前身頃を構成する部材が一方向に連なり且つ該一方向に伸縮性を有する第1連続シートを、該一方向と平行な搬送方向に搬送するとともに、複数の該着用物品それぞれの後身頃を構成する部材が一方向に連なり且つ該一方向に伸縮性を有する第2連続シートを、該第1連続シートに対して該搬送方向と直交する搬送直交方向に所定間隔を置いて、該第1連続シートと同方向に搬送し、両連続シートの搬送中に、両連続シートの少なくとも一方から、平面視において2つの該着用物品どうしの境界を該搬送方向に跨ぎ且つ該境界を基準として該搬送方向に対称をなす形状を有する、切除対象部分を切除して、2つの該着用物品それぞれの該一対のレッグ開口部の一方を同時に形成するのに使用される、カッター装置である。
本発明(第1発明)のカッター装置の一実施形態では、カッター刃を外周面に有し、該カッター刃を回転軸周りに回転させつつ前記切除対象部分を有する前記連続シートの一方の面に当接させるカッターロールと、該連続シートの他方の面に当接しつつ、該カッター刃を受ける受け部とを有している。
本発明(第1発明)のカッター装置の一実施形態では、前記カッター刃は、前記連続シートの前記搬送方向に沿う一側縁に対し2つの交点で交わり、且つ平面視において該一側縁側とは反対側に凸をなす凸状湾曲部を有している。
本発明(第1発明)のカッター装置の一実施形態では、前記凸状湾曲部は、前記2つの交点の中点を通って前記搬送直交方向に延びる搬送方向中心線を基準として、一方側と他方側とが非対称である。
【0009】
また本発明(第2発明)は、着用者の両脚が通される一対のレッグ開口部を有する着用物品の製造時において、複数の該着用物品が一方向に連なる着用物品連続体を構成し且つ該一方向に伸縮性を有する連続シートを、該一方向と平行な搬送方向に搬送中に、該連続シートから、平面視において2つの該着用物品どうしの境界を該搬送方向に跨ぎ且つ該境界を基準として該搬送方向に対称をなす形状を有する、切除対象部分を切除して、該2つの着用物品それぞれの該一対のレッグ開口部の一方を同時に形成するのに使用される、カッター装置である。
本発明(第2発明)のカッター装置の一実施形態では、カッター刃を外周面に有し、該カッター刃を回転軸周りに回転させつつ前記連続シートの一方の面に当接させるカッターロールと、該連続シートの他方の面に当接しつつ、該カッター刃を受ける受け部とを有している。
本発明(第2発明)のカッター装置の一実施形態では、前記カッター刃は、平面視において閉じた形状を有し、該カッター刃の回転方向の最前方点と最後方点との中点を通って前記搬送直交方向に延びる搬送方向中心線を基準として、一方側と他方側とが非対称である。
【0010】
また本発明は、着用者の腹側から股間部を介して背側に延びる縦方向と該縦方向に直交する横方向とを有し、体液を吸収保持する吸収体を含む吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に配された外装体とを具備し、前身頃及び後身頃それぞれにおける該外装体の該縦方向に沿う両側部どうしが接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されている、パンツ型吸収性物品の製造方法である。
本発明のパンツ型吸収性物品の製造方法の一実施形態では、複数の前記吸収性物品それぞれの前身頃を構成する部材が一方向に連なり且つ該一方向に伸縮性を有する第1連続シートを、該一方向と平行な搬送方向に搬送するとともに、複数の該吸収性物品それぞれの後身頃を構成する部材が一方向に連なり且つ該一方向に伸縮性を有する第2連続シートを、該第1連続シートに対して該搬送方向と直交する搬送直交方向に所定間隔を置いて、該第1連続シートと同方向に搬送し、搬送中の両連続シートの一方の面に、前記吸収性本体を、該搬送方向に間欠的に且つ両連続シートに架け渡して配置して、吸収性物品連続体を形成する工程を有している。
本発明のパンツ型吸収性物品の製造方法の一実施形態では、前記吸収性本体の配置前又は配置後に、前記第1連続シート及び前記第2連続シートの少なくとも一方から、平面視において2つの前記吸収性物品どうしの境界を前記搬送方向に跨ぎ且つ該境界を基準として該搬送方向に対称をなす形状を有する、切除対象部分をカッター装置により切除して、2つの該吸収性物品それぞれの前記一対のレッグ開口部の一方を同時に形成するレッグ開口部形成工程を有している。
本発明のパンツ型吸収性物品の製造方法の一実施形態では、前記カッター装置は、カッター刃を外周面に有し、該カッター刃を回転軸周りに回転させつつ前記連続シートの一方の面に当接させるカッターロールと、該連続シートの他方の面に当接しつつ、該カッター刃を受ける受け部とを有している。
本発明のパンツ型吸収性物品の製造方法の一実施形態では、前記カッター刃は、前記連続シートの前記搬送方向に沿う一側縁に対し2つの交点で交わり、且つ平面視において該一側縁側とは反対側に凸をなす凸状湾曲部を有している。
本発明のパンツ型吸収性物品の製造方法の一実施形態では、前記凸状湾曲部は、前記2つの交点の中点を通って前記搬送直交方向に延びる搬送方向中心線を基準として、一方側と他方側とが非対称である。
本発明の他の特徴、効果及び実施形態は、以下に説明される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の着用物品の連続体をその連続方向に搬送中に一部を切除し、その切除した部分を挟んで両側にレッグ開口部の開口縁部を形成する場合に、それらの開口縁部どうしを設計どおりに対称に形成することができる技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明(第1発明)によって製造される着用物品の一実施形態であるパンツ型吸収性物品の模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すおむつの展開且つ伸長状態における肌対向面(吸収性本体の配置側)を模式的に示す展開平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すおむつの模式的な分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すおむつの製造ラインの概略構成を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示すおむつの製造工程におけるレッグ開口部形成工程を示す図であり、
図5(a)は、本発明のカッター装置の一実施形態の斜視図、
図5(b)は、該カッター装置によって連続シートから切除対象部分が切除される様子を、該カッター装置を省略して模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図5(a)に示すカッター装置をカッターロール側から見た場合の該カッターロールにおけるカッター刃の模式的な平面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すカッター刃の各部の近似円弧の説明図である。
【
図8】
図8は、本発明(第2発明)によって製造される着用物品の他の一実施形態であるパンツ型吸収性物品の模式的な斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示すおむつの製造工程におけるレッグ開口部形成工程を示す図であり、
図9(a)は、本発明のカッター装置の他の一実施形態の斜視図、
図9(b)は、該カッター装置によって連続シートから切除対象部分が切除される様子を、該カッター装置を省略して模式的に示す平面図である。
【
図10】
図10は、
図9(a)に示すカッター装置をカッターロール側から見た場合の該カッターロールにおけるカッター刃の模式的な平面図(
図6相当図)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
【0014】
本発明のカッター装置は、着用者の両脚が通される一対のレッグ開口部を有する着用物品の製造時において、該レッグ開口部を形成するのに使用される。
図1~
図3には、本発明(第1発明)が適用される着用物品の一種であるパンツ型吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1が示されている。
【0015】
おむつ1は、着用者の前後方向、すなわち腹側から股間部を介して背側に延びる方向に対応する縦方向Xと、縦方向Xに直交する横方向Yとを有し、体液を吸収保持する吸収体22を含む吸収性本体2と、吸収性本体2の非肌対向面側に配された外装体4とを具備し、前身頃F及び後身頃Rそれぞれにおける外装体4の縦方向Xに沿う両側部4Sどうしが接合されて、一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部WH及び一対のレッグ開口部LH,LHが形成されている。吸収性本体2の縦方向Xに沿う両側部には、おむつ1の着用時に着用者の肌側に起立する一対の防漏カフ3,3が設けられている。
【0016】
本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば吸収性本体)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、すなわち着用者の肌から相対的に近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側に向けられる面、すなわち着用者の肌から相対的に遠い側である。なお、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、すなわち当該吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
【0017】
おむつ1は、着用者の股間部に配され、着用者の陰茎等の排泄部に対向する排泄部対向部(図示せず)を含む股下部Bと、股下部Bよりも着用者の腹側(前側)に配される腹側部Aと、股下部Bよりも着用者の背側(後側)に配される背側部Cとの3つに区分される。おむつ1は、横中心線CLy(
図2参照)を挟んで一方側と他方側とで対称に形成されている。腹側部Aは、おむつ1の前身頃Fの一部であり、背側部Cは、おむつ1の後身頃Rの一部である。股下部Bは、縦中心線CLx(
図2参照)を縦方向Xに跨いでおり、前身頃Fから後身頃Rに存在している。
横中心線CLyは、
図2に示す如き展開且つ伸長状態のおむつ1を横方向Yに二等分して縦方向Xに延びる仮想直線である。縦中心線CLxは、展開且つ伸長状態のおむつ1を縦方向Xに二等分して横方向Yに延びる仮想直線である。
前記「展開且つ伸長状態」とは、おむつ1をサイドシール部Sで切り離して展開状態とし、その展開状態のおむつ1を各部の弾性部材を伸長させて設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法)となるまで拡げた状態をいう。
本発明において、腹側部A、股下部B及び背側部Cは、展開且つ伸長状態のおむつ1を縦方向Xに三等分した場合の各領域であり得る。
【0018】
本実施形態では、吸収性本体2は、
図2に示すように、平面視長方形形状を有し、その長手方向をおむつ1の縦方向Xに一致させて、外装体4の横方向Yの中央部に配置され、腹側部Aから股下部Bを介して背側部Cにわたって縦方向Xに延在している。吸収性本体2の平面視における輪郭は、吸収体22の輪郭と一致する。
吸収性本体2は、着用者の肌から相対的に近い位置に配置された液透過性の表面シート21、着用者の肌から相対的に遠い位置に配置された液不透過性若しくは液難透過性又は撥水性(要するに防漏性)の裏面シート(図示せず)、及び両シート間に介在配置された吸収体22を含んで構成されている。
吸収体22は、体液を吸収保持可能な吸収性コア(図示せず)と、該吸収性コアの肌対向面及び非肌対向面を含む外面を被覆するコアラップシート(図示せず)とを含んで構成されている。
吸収性本体2を構成するこれらの部材どうしは、接着剤等の公知の接合手段により一体とされている。
吸収性本体2を構成する前記の各部材としては、この種の吸収性物品において通常使用されているものを特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート21としては各種の不織布や開孔フィルム等を用いることができ、前記裏面シートとしては樹脂製フィルムや、樹脂製フィルムと不織布等とのラミネート等を用いることができる。前記吸収性コアは、典型的には、吸水性材料を主体とし、該吸水性材料として、木材パルプ等の繊維材料及び吸水性ポリマーから選択される1種以上を含有する。前記コアラップシートは液透過性を有し、典型的には、紙、不織布等からなる。前記コアラップシートは無くてもよい。
【0019】
本実施形態では、外装体4は、腹側部Aを構成する腹側外装体4Aと、背側部Cを構成する背側外装体4Cとを有している。両外装体4A,4Cどうしは、縦方向Xに離間しており、吸収性本体2は、両外装体4A,4Cに架け渡されて固定されている。
なお、以下の外装体4についての説明は、特に断らない限り、両外装体4A,4Cに適用される。
【0020】
腹側外装体4Aは、
図2に示す如きおむつ1の展開且つ伸長状態において、平面視で縦方向Xよりも横方向Yの長さが長い長方形形状を有している。
一方背側外装体4Cは、おむつ1の展開且つ伸長状態において、縦中心線CLxから相対的に遠い側(サイドシール部Sと縦方向Xにおいて同位置に存在する領域)と、縦中心線CLxから相対的に近い側とで平面視形状が異なっており、前者は、平面視で縦方向Xよりも横方向Yの長さが長い長方形形状を有し、後者は、横方向Yの長さ(幅)が縦方向Xにおいて変化しており、より具体的には、縦中心線CLxに向かうに従って漸次減少している。背側外装体4Cにおける平面視長方形形状の部分は、腹側外装体4Aの同じく平面視長方形形状の部分(本実施形態では腹側外装体4Aの全域)とともに、着用者の胴周りに配される胴周り部Dを形成している。背側外装体4Cにおける幅が縦方向Xにおいて変化している部分は、股下部Bの一部を形成し、その縦方向Xに沿う両側縁部4S,4Sは、それぞれ、レッグ開口部LHの開口縁部(以下、「レッグ縁部」とも言う。)LSを形成する。
【0021】
外装体4は、
図2に示すように、吸収性本体2(吸収体22)よりも面積が大きく、吸収性本体2の周縁から外方に延出する延出部を有している。この外装体4の吸収性本体2の周縁からの延出部はフラップ部とも呼ばれる。また、前記フラップ部のうち、吸収性本体2の縦方向Xに沿う両側縁及びその仮想延長線よりも横方向Yの外方に位置する部分はサイドフラップ部とも呼ばれる。
【0022】
本実施形態では、外装体4(腹側外装体4A、背側外装体4C)は、
図3に示すように、吸収性本体2から相対的に遠い位置に配された外層シート41と、吸収性本体2から相対的に近い位置に配された内層シート42とを含む。両シート41,42どうしは、接着剤、融着等の接合手段により互いに接合され一体化されている。後述する折り返された延出部41Eを除き、外層シート41は、外装体4の最外層であり、外装体4の非肌対向面を形成するとともに、おむつ1の外面を形成し、また内層シート42は、外装体4の最内層であり、外装体4の肌対向面を形成する。吸収性本体2は、内層シート42の肌対向面に接合されている。
【0023】
外層シート41及び内層シート42としては、それぞれ、各種製法による不織布、樹脂製フィルムなどを用いることができ、不織布としては例えば、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ニードルパンチ不織布等が挙げられる。両シート41,42は、それぞれ、単層構造でもよく、2枚以上のシートが積層された積層構造でもよい。また両シート41,42は、それぞれ、横方向Yに伸縮性を有する伸縮シートでもよく、伸縮性を有さない非伸縮シートでもよい。伸縮シートの一例として、特開2009-61743号公報に記載の「互いに交差せずに一方向に延びるように配列した多数の弾性フィラメントが、実質的に非伸長状態で、非弾性繊維を含んで構成される伸張可能な不織布に接合されてなる伸縮シート」を例示できる。例えば、外層シート41をこの伸縮シートとし、内層シート42を非伸縮シートとすることができる。
【0024】
腹側外装体4A及び背側外装体4Cそれぞれの胴周り部D、すなわちサイドシール部Sと縦方向Xにおいて同位置に存在する領域は、横方向Yに伸縮性を有している。具体的には、胴周り部Dの外装体4を構成する外層シート41と内層シート42との間に、横方向Yに伸縮可能に配置された複数の胴周り弾性部材5が配されており、この弾性部材5の弾性伸縮性により、胴周り部Dは横方向Yに伸縮性を有している。
複数の胴周り弾性部材5は、胴周り部Dにおいて横方向Yに延在し、縦方向Xに間欠配置されている。胴周り部Dは、両シート41,42の間に弾性部材5を横方向Yに伸長させた状態で固定した後、弾性部材5を伸長状態から解放することで作製されている。おむつ1の着用状態では、弾性部材5の収縮により胴周り部Dの表面に、弾性部材5と交差する方向(縦方向X)に延びる複数の襞(ギャザー)が形成される。
なお、胴周り部Dにおける平面視で吸収体22(吸収性本体2)と重なる部分は、胴周り弾性部材5が分断されるなどして、弾性部材5の弾性伸縮性が発現しないように処理されており、したがって該部分は横方向Yに伸縮性を有さない。
【0025】
本実施形態では、レッグ縁部LSにレッグギャザーが形成されている。前記レッグギャザーは、外装体4を含んで構成され、より具体的には背側外装体4Cと、背側外装体4Cに固定され、レッグ縁部LSに沿って延びる部分を有するレッグ部弾性部材6とを含んで構成されている。前記レッグギャザーは、背側外装体4Cを構成する外層シート41と内層シート42との間に、弾性部材6を伸長状態で固定した後、弾性部材6を伸長状態から解放することで作製されている。おむつ1の着用状態では、弾性部材6の収縮により、レッグ縁部LSに実質的に連続した環状の前記レッグギャザーが形成される。
【0026】
おむつ1を構成する前述の各弾性部材31,5,6をはじめとする、おむつ1における各種の弾性部材の素材としては、特に断らない限り、この種の吸収性物品に通常用いられる各種公知の弾性材料を特に制限なく用いることができ、例えば、スチレン-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、ネオプレン等の合成ゴム、天然ゴム、EVA、伸縮性ポリオレフィン、ポリウレタン等が挙げられる。弾性部材の形態としては、断面が長方形、正方形、円形、多角形状等の糸状(糸ゴム等)若しくは紐状(平ゴム等)のもの、又はマルチフィラメントタイプの糸状のもの等を好ましく用いることができる。
【0027】
本実施形態では、腹側外装体4A及び背側外装体4Cそれぞれ外層シート41は、
図2及び
図3に示すように、内層シート42の縦方向Xの端部から外方に延出する延出部41Eを有している。延出部41Eは、内層シート42側に折り返され、吸収性本体2の縦方向Xの端部を被覆している。この内層シート42側に折り返された延出部41Eは、該延出部41Eに対向する他の部材(内層シート42、吸収性本体2、防漏シート30)に接着剤によって接合されている。
【0028】
次に、本発明のパンツ型吸収性物品の製造方法について、前述したおむつ1の好適な製造方法を例にとり、図面を参照しながら説明する。
図4には、おむつ1を製造する製造ラインの概略構成、
図5には、該製造ラインにおけるレッグ開口部LH(レッグ縁部LS)の形成工程(レッグ開口部形成工程)に対応する部分が示されている。
【0029】
本発明のパンツ型吸収性物品の製造方法は、第1連続シート11をその連続方向と平行な搬送方向MDに搬送するとともに、第2連続シート12を、第1連続シート11に対して搬送方向MDと直交する搬送直交方向CDに所定間隔を置いて、第1連続シート11と同方向すなわち搬送方向MDに搬送し、搬送中の両シート11,12の一方の面(
図4では上面)に、吸収性本体2を、搬送方向MDに間欠的に且つ両シート11,12に架け渡して配置して、吸収性物品(着用物品)連続体であるおむつ連続体13を形成する工程(連続体形成工程)を有する。
【0030】
なお本実施形態では、搬送方向MDはおむつ1の横方向Yに一致し、搬送直交方向CDは、おむつ1の縦方向Xに一致する。また、後述するカッターロール55及びアンビルロール56等の各種ロールの回転軸は、特に断らない限り、搬送直交方向CDに対して平行で、搬送方向MDに対して直交している。
【0031】
第1連続シート11は、複数のおむつ1(吸収性物品)それぞれの前身頃Fを構成する部材、具体的には本実施形態では腹側外装体4Aが、一方向(横方向Y)に連なって構成されたもので、該一方向すなわち搬送方向MDに伸縮性を有する。第1連続シート11(腹側外装体4Aの連続体)が搬送方向MDに伸縮性を有しているのは、主として、同方向MDに伸長状態で配置された胴周り弾性部材5の伸縮性によるものである。
また第2連続シート12は、複数のおむつ1(吸収性物品)それぞれの後身頃Rを構成する部材、具体的には本実施形態では背側外装体4Cが、一方向(横方向Y)に連なって構成されたもので、該一方向すなわち搬送方向MDに伸縮性を有する。第2連続シート12(背側外装体4Cの連続体)が搬送方向MDに伸縮性を有しているのは、主として、同方向MDに伸長状態で配置された胴周り弾性部材5の伸縮性によるものである。
【0032】
具体的には、おむつ1の製造方法では、
図4に示すように、先ず、原反ロール(図示せず)から連続的に供給される帯状の外層シート41と、原反ロール(図示せず)から連続的に供給される帯状の内層シート42の間に、胴周り弾性部材5及びレッグ部弾性部材6を、所定の伸長率に伸長させた伸長状態で各々複数本配する。このとき、レッグ部弾性部材6は、搬送方向MDとは直交して往復運動する公知の揺動ガイド(図示せず)を介して、所定の脚周りパターンを形成しながら配される。また、帯状の外層シート41及び帯状の内層シート42には、それらを重ね合わせる前に、両シート41,42のいずれか一方又は双方の対向する面の所定部位に、接着剤塗工機(図示せず)によりホットメルト型接着剤等の接着剤を塗工する。
【0033】
次に、ニップロール対51の間に、弾性部材5,6を伸長状態で挟み込んだ帯状の外層シート41及び帯状の内層シート42を送り込んで加圧することにより、帯状シート41,42間に複数の弾性部材5,6が伸長状態で配された帯状の外装体4を形成する。
その後、弾性部材プレカット手段52を用い、外装体4における吸収性本体2の配置予定位置の弾性部材5を複数に分断するなどして、該弾性部材5の弾性伸縮性が発現しないように処理する。
【0034】
次に、スリッター53を用いて、帯状の外装体4を搬送直交方向CDに2つに分断し、第1連続シート11(腹側外装体4Aの連続体)と第2連続シート12(背側外装体4Cの連続体)とを形成し、更に拡幅手段(図示せず)を用いて、両シート11,12どうしを搬送直交方向MDに離間させる。こうして離間された両シート11,12は、ガイドロール等の公知の手段により、互いに平行になるように案内される。
【0035】
次に、別工程で製造された吸収性本体2に、ホットメルト型接着剤等の接着剤を予め塗工しておき、接着剤が塗工された吸収性本体2を、
図4に示すように、吸収性本体2の搬送方向に対して90度回転させ、互いに平行な状態で搬送中の帯状の両シート11,12に対して間欠的に供給して固定して、複数のおむつ1が横方向Yに連なった帯状のおむつ連続体13を形成する(連続体形成工程)。なお、吸収性本体2を両シート11,12に固定するための接着剤は、吸収性本体2ではなく、両シート11,12における吸収性本体2の配置予定位置に予め塗工してもよい。
【0036】
その後、おむつ連続体13の両シート11,12(腹側外装体4A及び背側外装体4C)それぞれの外層シート41における、内層シート42の搬送直交方向CD(縦方向X)の端部から外方に延出する延出部41Eを、内層シート42側に折り返す。これにより
図2に示すように、吸収性本体2の搬送直交方向CDすなわち縦方向Xの両端部が、折り返された外層シート41の延出部41Eで被覆される。
【0037】
次に、
図4及び
図5に示すように、前記連続体形成工程で形成されたおむつ連続体13の搬送中に、第1連続シート11及び第2連続シート12の少なくとも一方から、所定形状の切除対象部分CTをカッター装置54により切除して、おむつ連続体13における搬送方向MDに隣り合う2つのおむつ1(吸収性物品)それぞれの一対のレッグ開口部LH,LH(
図1参照)の一方を同時に形成する(レッグ開口部形成工程)。
【0038】
本実施形態では、カッター装置54を用いて切除対象部分CTを切除するのは、第2連続シート12(背側外装体4Cの連続体)のみであり、第1連続シート11(腹側外装体4Aの連続体)はカッター装置54によって切断されない。第2連続シート12における切除対象部分CTが切除されてできた切断端部は、最終的に、個々のおむつ1の背側外装体4Cが有するレッグ縁部LSとなる(
図2参照)。
なお本実施形態では、吸収性本体2を帯状の両シート11,12に固定した後(前記連続体形成工程後)に、カッター装置54を用いておむつ連続体13から切除対象部分CTを切除しているが、吸収性本体2の配置前にカッター装置54を用いて帯状の両シート11,12の一方又は両方から切除対象部分CTを切除してもよい。
【0039】
次に、
図4に示すように、おむつ連続体13を搬送直交方向CDに2つ折りして、両シート11,12どうしを重ねた後、おむつ連続体13における搬送方向MDに隣り合う2つのおむつ1どうしの境界又はその近傍に、超音波処理、加熱加圧処理等の、外装体4の加熱溶融を伴う処理を施してサイドシール部Sを形成する。その後、おむつ連続体13を搬送しつつ個々のおむつ1に切断することで、複数のおむつ1が連続的に製造される。
【0040】
以下、本発明の特徴的な構成の1つである、カッター装置54について説明する。カッター装置54は、
図4及び
図5に示すように、着用者の両脚が通される一対のレッグ開口部LH,LHを有するおむつ1(着用物品の一種であるパンツ型吸収性物品)の製造時において、複数のおむつ1それぞれの前身頃Fを構成する部材が一方向(本実施形態では横方向Y)に連なり且つ該一方向に伸縮性を有する第1連続シート11を、該一方向と平行な搬送方向MDに搬送するとともに、複数のおむつ1それぞれの後身頃Rを構成する部材が一方向(本実施形態では横方向Y)に連なり且つ該一方向に伸縮性を有する第2連続シート12を、第1連続シート11に対して搬送直交方向CDに所定間隔を置いて、第1連続シート11と同方向の搬送方向MDに搬送し、両連続シート11,12の搬送中に、両連続シート11,12の少なくとも一方から、平面視において2つのおむつ1,1の境界を搬送方向MDに跨ぎ且つ該境界を基準として搬送方向MDに対称をなす形状を有する、切除対象部分CTを切除して、2つのおむつ1,1それぞれの一対のレッグ開口部LH,LHの一方を同時に形成するのに使用されるものである。
【0041】
カッター装置54は、
図5に示すように、カッター刃57を外周面に有し、カッター刃57を回転軸周りに回転させつつ、切除対象部分CTを有する連続シートの一方の面に当接させるカッターロール55と、該連続シートの他方の面に当接しつつ、カッター刃57を受ける受け部としてのアンビルロール56とを有している。図中の符号RCは、カッターロール55の回転方向を示す。カッター刃57は回転方向RCに回転する。
カッターロール55及びアンビルロール56は、何れも円筒状を有し、それらの外周面どうしが対向するように配置されている。カッター刃57は、カッターロール55の外周面から突出している。カッター装置54は、両ロール55,56間におむつ連続体等の切断対象物を通過させることによって、該切断対象物の一部がカッター刃57によって切除されるようになされている。
本実施形態では、前述したとおり、カッター装置54に向けて搬送される連続シート11,12のうち、カッター装置54による切断対象となるのは第2連続シート12(背側外装体4Cの連続体)であり、カッター刃57は第2連続シート12の一方の面(
図5に示す形態では上面)に当接する。
第2連続シート12は、
図5に示すように、該連続シート12と並んで同方向MDに搬送される第1連続シート11から相対的に近い側縁120と、第1連続シート11から相対的に遠い側縁121とを有しているところ、切除対象部分CTは、第1連続シート11から相対的に近い側縁120に沿って存在し、該側縁120とレッグ部弾性部材6とに挟まれている。切除対象部分CTの搬送方向MDの中央は、第2連続シート12における個々のおむつ1の境界(後述する搬送方向中心線CLm)に略一致する。
【0042】
図6には、カッター装置54が有する備えるカッター刃57の平面図、すなわち、カッター刃57が設けられたカッターロール55の外周面を、カッターロール55の回転軸(搬送直交方向CD)に沿って切断し展開した状態を示す図である。
本明細書において、カッターロール55の外周面の如き、湾曲面に設けられたカッター刃についての「平面図」又は「平面視」といった用語の意味するところは、特に断らない限り、前記のように、該湾曲面を平面状に展開した状態のものを指す。
カッター刃57は、
図6に示すように、切断対象物である第2連続シート12の搬送方向MDに沿う一側縁120に対し2つの交点A1,A2で交わり、且つ平面視において該一側縁120側とは反対側に凸をなす凸状湾曲部60を有している。
なお
図6に示す形態では、凸状湾曲部60は、平面視で略円弧状を有しているが、凸状湾曲部60の平面視形状は円弧状に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜選択可能である。
【0043】
カッター刃57において、第2連続シート12からの切除対象部分CTの切除に利用される部分は、凸状湾曲部60における、第2連続シート12の側縁120よりも搬送直交方向CD(カッターロール55の回転軸方向)の内方に位置する部分(
図6では側縁120よりも右側に位置する部分)のみである。凸状湾曲部60における側縁120よりも搬送直交方向CDの外側に位置する部分は、切除対象部分CTの切除に利用されない、いわゆる捨て刃である。
【0044】
カッター装置54は、
図6に示すように、カッター刃57の凸状湾曲部60が、切断対象物である第2連続シート12の搬送方向MDに沿う一側縁120との2つの交点A1,A2の中点Pを通って搬送直交方向CD(カッターロール55の回転軸方向)に延びる搬送方向中心線CLmを基準として、一方側60Aと他方側60Bとが非対称である点で特徴付けられる。
【0045】
カッターロール55の回転方向RCに対して、交点A1を含む、凸状湾曲部60の一方側60Aは前方側に位置し、交点A2を含む、他方側60Bは後方側に位置している。したがって、搬送方向MDに搬送中の切断対象物(第2連続シート12)が有する切除対象部分CTに対しては、凸状湾曲部60の一方側60A(交点A1)、他方側60B(交点A2)の順で合流し、切除対象部分CTの搬送方向MDの下流側を切断するのは一方側60A、切除対象部分CTの搬送方向MDの上流側を切断するのは他方側60Bである。交点A1は、切除対象部分CTの切除開始位置に対応し、交点A2は、切除対象部分CTの切除終了位置に対応する。
これを踏まえて、以下では、凸状湾曲部60の一方側60Aを「入側部60A」、他方側60Bを「出側部60B」とも言う。
図6中、符号60Bmで示す曲線は、出側部60Bに対し搬送方向中心線CLmを基準として対称の関係にある仮想線である。仮に、入側部60Aと出側部60Bとが搬送方向中心線CLmを基準として対称である場合、仮想線60Bmは入側部60Aと一致するが、本発明では、入側部60Aと出側部60Bとが搬送方向中心線CLmを基準として非対称になされているため、
図6では、仮想線60Bmと入側部60Aとは一致しておらず、両者は少なくとも一部がずれている。
【0046】
カッター刃57によって切断される第2連続シート12は、複数のおむつ1それぞれの後身頃Rを構成する部材が一方向(搬送方向MD)に連なったものであり、この第2連続シート12からカッター刃57によって切除する切除対象部分CT(
図5参照)は、前述したとおり、平面視において2つのおむつ1,1の境界を搬送方向MDに跨ぎ且つ該境界を基準として搬送方向MDに対称をなす形状を有するものである。
すなわち、カッター刃57によって第2連続シート12から切除された切除対象部分CTは、該切除対象部分CTを搬送方向MDに二等分する搬送方向中心線CLm(該連続シート12における隣り合う2つのおむつ1,1の境界線)を基準として、一方側(搬送方向MDの上流側)と他方側(搬送方向MDの下流側)とが対称の関係にあるものである。また当然であるが、このような搬送直交方向CDに延びる搬送方向中心線CLmを挟んで搬送方向MDに対称状の切除対象部分CTをカッター刃57によって切除することで第2連続シート12に形成される切断端部、すなわち、搬送方向中心線CLmを挟んで隣り合う2つのおむつ1,1の一方のレッグ縁部LSと他方のレッグ縁部LSとの連結体は、同様に搬送方向中心線CLmを挟んで搬送方向MDに対称状をなす。
つまり本発明では、搬送方向中心線CLmを挟んで搬送方向MDに対称状の切除対象部分CTを形成するため、換言すれば、第2連続シート12において隣り合う2つの複数のおむつ1,1の一方のレッグ縁部LSと他方のレッグ縁部LSとをそれらの境界(搬送方向中心線CLm)を挟んで対称にするため、すなわち、「複数の着用物品の連続体をその連続方向に搬送中に一部を切除し、その切除した部分を挟んで両側にレッグ開口部の開口縁部を形成する場合に、それらの開口縁部どうしを設計どおりに対称に形成する」ために、カッター刃57(凸状湾曲部60)を
図6に示すように、搬送方向中心線CLmを挟んで搬送方向MDに非対称状に形成している。
【0047】
従来、この種のカッター刃は、切除対象部分の形状と同形状にするのが通常であり、カッター刃57を例にとれば、目的とする切除対象部分CTの平面視形状が、搬送方向中心線CLmを挟んで搬送方向MDに対称状であることから、
図6を参照して、凸状湾曲部60も同様の対称状とするべく、入側部60Aを、出側部60Bと搬送方向中心線CLmに対して対称の関係にある仮想線60Bmに一致させるのが従来技術の典型である。しかしながら、搬送方向MDに伸縮性を有する第2連続シート12を同方向MDに搬送中に、そのような搬送方向MDに対称状のカッター刃を用いて切断すると、そうして切除された切除対象部分CTは、意図に反して、搬送方向MDに非対称状となってしまうことが判明した。これは、切断中に生じる第2連続シート12(切断対象物)の搬送テンションの変化に起因するものと推察される。
【0048】
この点について
図5(b)を参照して説明すると、カッター装置54による連続シート12の切断は連続シート12の搬送中に実施されるので、カッター刃による切除対象部分CTの切除中には、連続シート12に搬送方向MDと平行な搬送テンションがかかるところ、切除対象部分CTは、搬送直交方向CDに所定の長さを有する形状(具体的には略平面視半円形状)を有しているため、切断開始時点の連続シート12の搬送直交方向CDの長さ(幅)L1と、カッター刃が搬送方向MDに隣り合う2つのおむつ1,1の境界(
図6の搬送方向中心線CLmに相当)に達した時点の連続シート12の幅L2との差が比較的大きくなり、それに伴い、連続シート2の切断中に、連続シート12が搬送直交方向CDに対して受ける単位長さ当たりの搬送テンション(線圧)が比較的大きく変化する。連続シート12の搬送テンションをTとした場合、切断開始時点の連続シート12の線圧T1=T/L1、カッター刃が前記境界に達した時点の連続シート12の線圧T2=T/L2であるところ、L1>L2であるため、連続シート12の切断中には線圧について、T1<T2の大小関係が成立する。斯かる連続シート12の部分的な線圧の差に起因して、切断中に連続シート12の伸びが変化し、その結果、連続シート12から切除された切除対象部分が、意図に反して、搬送方向MDに非対称状となってしまうと推察される。特に
図5に示す形態のように、搬送直交方向CDに間隔を置いて一方向MDに搬送中の2つの連続シート11,12のうちの一方である連続シート12のみを切断する場合は、このような切断中の線圧の変化の程度が顕著になる傾向があり、切断対象部分CTの切除後の平面視形状を搬送方向MDに対称状とすることがより困難であった。
【0049】
これに対し本発明では、カッター刃57の凸状湾曲部60を、前述したとおり
図6に示すように、切断対象物の搬送方向MDに沿う一側縁(本実施形態では第2連続シート12の側縁120)との2つの交点A1,A2の中点Pを通って搬送直交方向CDに仮想的に延びる搬送方向中心線CLmを基準として一方側(入側部)60Aと他方側(出側部)60Bとが非対称となるようにした、すなわち凸状湾曲部60を、搬送方向中心線CLmを挟んで搬送方向MDに非対称状としたので、
図4及び
図5に示す着用物品の製造方法の如き、切断中のシートの線圧の変化の程度が比較的大きくなりやすい形態(搬送直交方向CDに間隔を置いて一方向MDに搬送中の2つの連続シートのうちの一方のみを切断する形態)であっても、切断対象部分CTの切除後の平面視形状を搬送方向MDに対称状とすることが可能である。
【0050】
前述の作用効果を確実に奏させるようにする観点から、
図6を参照して、カッター刃57の凸状湾曲部60における、第2連続シート12の側縁120(切断対象物の搬送方向MDに沿う一側縁)との2つの交点A1,A2どうしの離間距離は、切除対象部分CT(
図5参照)の切除後の該2つの交点A1,A2に対応する部分どうしの離間距離(以下、「切除部離間距離」とも言う。)に比べて長いことが好ましい。つまり、搬送方向中心線CLmを挟んで搬送方向MDに非対称状の凸状湾曲部60の方が、該凸状湾曲部60によって切断され、搬送方向中心線CLmを挟んで搬送方向MDに対称状の切除対象部分CTに比べて、搬送方向MDの最大長さが長いことが好ましい。
なお、前記切除部離間距離に関し、切除対象部分CTは典型的には伸縮性を有していないが、仮に切除対象部分CTが伸縮性を有している場合は、該切除部離間距離の測定に際し、測定対象の切除対象部分CTを設計寸法まで伸長させた状態で測定する。
【0051】
前述の作用効果を確実に奏させるようにする観点から、
図7を参照して、前述したカッターロール55の回転方向RCの前方側に位置する交点A1、回転方向RCの後方側に位置する交点A2、それらの中点P、中点Pを通って搬送直交方向CD(カッターロール55の回転軸方向)に延びる搬送方向中心線CLmに対し、搬送方向中心線CLmと凸状湾曲部60との交点をB、交点A1及び交点Bの垂直二等分線DL1と凸状湾曲部60との交点をC1、交点A2及び交点Bの垂直二等分線DL2と凸状湾曲部60との交点をC2とした場合、交点A1,C1,Bを通る円弧(入側部60A側の円弧)の曲率半径R1と、交点A2,C2,Bを通る円弧(出側部60B側の円弧)の曲率半径R2とが互いに異なることが好ましい
【0052】
切断対象部分CTの切除後の平面視形状を搬送方向MDに対称状にするためには、前記の曲率半径R1,R2が互いに異なればよく、「曲率半径R1>曲率半径R2」の大小関係が成立してもよいが、「曲率半径R1<曲率半径R2」の大小関係が成立することがより好ましい。すなわち凸状湾曲部60は、入側部60A(切除対象部分CTの搬送方向MDの下流側に対応する部分)の方が、出側部60B(切除対象部分CTの搬送方向MDの上流側に対応する部分)に比べて曲率半径が小さいことがより好ましい。
「曲率半径R1<曲率半径R2」の大小関係が成立するということは、曲率半径R2を有する出側部60B側の円弧(交点A2,C2,Bを通る円弧)の方が、曲率半径R1を有する入側部60A側の円弧(交点A1,C1,Bを通る円弧)に比べて長さが短いということである。
図6では、「曲率半径R1<曲率半径R2」の大小関係が成立しているので、出側部60Bの円弧と搬送方向中心線CLmを基準として対称の関係にある仮想線60Bmは、入側部60A側の円弧よりも内側に位置している(
図6参照)。
【0053】
カッター装置54において、曲率半径R1と曲率半径R2との比率は、凸状湾曲部60の平面視形状によって異なるが、例えば凸状湾曲部60の平面視形状が
図6に示す如き円弧状又はこれに準じる形状の場合、前者<後者を前提として、後者/前者として、好ましくは1.01以上、より好ましくは1.02以上、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下である。
【0054】
本実施形態では、
図5(b)に示すように、切除対象部分CTを有する第2連続シート12における切除対象部分CTの近傍に、搬送方向MDに交差する方向に延びる弾性部材6が伸長状態で固定されている。そして、切除対象部分CTは、弾性部材6と搬送直交方向CDにおいて同位置に存在する(弾性部材6を搬送方向MDに投影した場合にその投影像と重なる)部分CT1と、弾性部材6と搬送直交方向CDにおいて同位置に存在しない(弾性部材6を搬送方向MDに投影した場合にその投影像と重ならない)部分CT2とを有しているところ、後者の部分CT2において前記のように、交点A1,C1,Bを通る円弧(入側部60A側の円弧)の曲率半径R1は、交点A2,C2,Bを通る円弧(出側部60B側の円弧)の曲率半径R2に比べて小さいことが好ましい。前記部分CT2、すなわち、切除対象部分CTにおける第2連続シート12の搬送方向MDに沿う側縁120及びその近傍は、比較的剛性が高く搬送テンションの影響を受け難い吸収体22の影響により、搬送テンションの解放時に復元し難い部位であり、前記部分CT1とは特性が大きく異なるため、所定の目的(切断対象部分CTの切除後の平面視形状を搬送方向MDに対称状とする)を果たすためには、前記の「曲率半径R1<曲率半径R2」の大小関係は前記部分CT1でのみ成立することが好ましい。
【0055】
図8~
図10には、本発明(第2発明)の他の実施形態が示されている。後述する他の実施形態については、
図1~
図7に基づいて説明した前記実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は前記実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施形態についての説明が適宜適用される。
【0056】
本発明は、
図1に示すおむつ1の如き、外装体4が縦方向Xに複数に分割された構成の着用物品(パンツ型吸収性物品)のみならず、
図8に示すおむつ1Aの如き、外装体4が縦方向Xに連続した構成のものにも適用できる。おむつ1Aは、外装体4が縦方向Xに連続しており、腹側外装体4A及び背側外装体4Cを有していない点以外は、おむつ1と同様に構成されており、着用者の両脚が通される一対のレッグ開口部LH,LHを有する着用物品である。
【0057】
図9及び
図10には、
図8に示すおむつ1Aを製造する製造ラインにおけるレッグ開口部形成工程に対応する部分が示されている。おむつ1の製造ラインでは、搬送直交方向CDに間隔を置いて一方向MDに搬送される複数の連続シート11,12のうちの一方(第2連続シート12)から切除対象部分CTを切除してレッグ開口部LHを形成したが(
図5参照)、おむつ1Aを製造する製造ラインでは、搬送直交方向CDに分割されていない連続シート40から切除対象部分CTを切除してレッグ開口部LHを形成する。
連続シート40は、複数のおむつ1Aそれぞれの外装体4が、一方向(横方向Y)に連なって構成されたいわゆる帯状の外装体4であり、該一方向すなわち搬送方向MDに伸縮性を有する。連続シート40が搬送方向MDに伸縮性を有しているのは、主として、同方向MDに伸長状態で配置された胴周り弾性部材5の伸縮性によるものである。
【0058】
おむつ1Aの製造に使用するカッター装置54Aは、
図9に示すように、複数のおむつ1Aが一方向に連なるおむつ連続体13Aを構成し且つ該一方向に伸縮性を有する連続シート40を、該一方向と平行な搬送方向MDに搬送中に、連続シート40から、平面視において2つのおむつ1A,1Aどうしの境界を搬送方向MDに跨ぎ且つ該境界を基準として搬送方向MDに対称をなす形状を有する、切除対象部分CTを切除して、該2つのおむつ1A,1Aそれぞれの一対のレッグ開口部LH,LHの一方を同時に形成するのに使用される。
図9に示す形態では、切除対象部分CTは、連続シート40の搬送直交方向CDの中央部に位置している。連続シート40では、搬送直交方向CDと吸収性本体2とが搬送方向MDに交互に配置されている。連続シート40の複数の切除対象部分CTそれぞれの周囲には、搬送方向MDに隣り合う2つのおむつ1A,1Aそれぞれの片側のレッグ部弾性部材6が配されており、切除対象部分CTは複数のレッグ部弾性部材で包囲されている。切除対象部分CTの搬送方向MDの中央は、連続シート40における個々のおむつ1Aの境界(搬送方向中心線CLm)に略一致する。
カッター装置54Aは、カッター刃58を外周面に有し、カッター刃58を回転軸周りに回転方向RCに回転させつつ連続シート40の一方の面(
図9に示す形態では上面)に当接させるカッターロール55と、該連続シートの他方の面に当接しつつ、カッター刃58を受ける受け部としてのアンビルロール56とを有している。
【0059】
カッター装置54Aは、
図10に示すように、カッター刃58が平面視において閉じた形状を有し、その平面視で閉じた形状のカッター刃58の回転方向RCの最前方点D1と最後方点D2との中点Pを通って搬送直交方向CD(カッターロール55の回転軸方向)に延びる搬送方向中心線CLmを基準として、一方側58Aと他方側58Bとが非対称である点で特徴付けられる。
【0060】
搬送方向MDに搬送中の切断対象物(連続シート40)が有する切除対象部分CTに対しては、カッター刃58の一方側58A(最前方点D1)、他方側58B(最後方点D2)の順で合流し、切除対象部分CTの搬送方向MDの下流側を切断するのは一方側58A、切除対象部分CTの搬送方向MDの上流側を切断するのは他方側58Bである。最前方点D1は、切除対象部分CTの切除開始位置に対応し、最後方点D2は、切除対象部分CTの切除終了位置に対応する。
これを踏まえて、以下では、カッター刃58の一方側58Aを「入側部58A」、他方側58Bを「出側部58B」とも言う。
図10中、符号58Bmで示す曲線は、出側部58Bに対し搬送方向中心線CLmを基準として対称の関係にある仮想線である。前述したとおり、カッター刃58の入側部58Aと出側部58Bとが搬送方向中心線CLmを基準として非対称になされているため、
図10では、仮想線58Bmと入側部58Aとは一致しておらず、両者は少なくとも一部がずれている。
カッター装置54Aによっても、カッター装置54と同様の効果が奏される。
【0061】
カッター装置54Aによる作用効果を確実に奏させるようにする観点から、最前方点D1と最後方点D2との離間距離は、切除対象部分CT(
図9参照)の切除後の最前方点D1に対応する部分と最後方点D2に対応する部分との離間距離(前記「切除部離間距離」に相当)に比べて長いことが好ましい。つまり、搬送方向中心線CLmを挟んで搬送方向MDに非対称状のカッター刃58の方が、該カッター刃58によって切断され、搬送方向中心線CLmを挟んで搬送方向MDに対称状の切除対象部分CTに比べて、搬送方向MDの最大長さが長いことが好ましい。
【0062】
カッター装置54Aによる作用効果を確実に奏させるようにする観点から、
図11を参照して、カッター刃58において、最前方点D1と最後方点D2とを結ぶ仮想直線VLを基準として、一方側(図示の形態では背側部C側)に位置する部分を第1の部分581、他方側に位置する部分(図示の形態では腹側部A側)を第2の部分582とし、第1の部分581及び第2の部分582それぞれについて、前記の最前方点D1、最後方点D2、中点P及び搬送方向中心線CLmに対し、搬送方向中心線CLmとカッター刃58(第1の部分581、第2の部分582)との2つの交点をそれぞれB、最前方点D1及び各交点Bの垂直二等分線DL1とカッター刃58(第1の部分581、第2の部分582)との交点をC1、最後方点D2及び各交点Bの垂直二等分線DL2とカッター刃58(第1の部分581、第2の部分582)との交点をC2とした場合、第1の部分581及び第2の部分582の少なくとも一方において、点D1,C1,Bを通る円弧(入側部58A側の円弧)の曲率半径R1と、点D2,C2,Bを通る円弧(出側部58B側の円弧)の曲率半径R2とが互いに異なることが好ましい。
第1の部分581及び第2の部分582の双方で、曲率半径R1と曲率半径R2とが互いに異なることがより好ましい。
【0063】
カッター装置54Aにおいても、前述したカッター装置54と同様に、前記の曲率半径R1,R2の大小関係は特に制限されず、「曲率半径R1>曲率半径R2」でも「曲率半径R1<曲率半径R2」でもよいが、カッター装置54Aによる作用効果を確実に奏させるようにする観点から、後者がより好ましい。すなわちカッター刃58は、第1の部分581及び第2の部分582のうち曲率半径R1と曲率半径R2とが互いに異なる部分において、入側部58A(切除対象部分CTの搬送方向MDの下流側に対応する部分)の方が、出側部58B(切除対象部分CTの搬送方向MDの上流側に対応する部分)に比べて曲率半径が小さいことがより好ましい。
【0064】
カッター装置54Aにおいて、曲率半径R1と曲率半径R2との比率は、カッター刃58の平面視形状によって異なるが、例えばカッター刃58の平面視形状が
図10に示す如き形状又はこれに準じる形状の場合、前者<後者を前提として、後者/前者として、好ましくは1.01以上、より好ましくは1.02以上、そして、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下である。
【0065】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。前述の一の実施形態が具備する構成は、他の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1,1Aパンツ型使い捨ておむつ(パンツ型吸収性物品)
2 吸収性本体
3 防漏カフ
4 外装体
40 連続シート(帯状の外装体)
4A 腹側外装体
4C 背側外装体
41 外層シート
42 内層シート
5 胴周り弾性部材
6 レッグ部弾性部材
F 前身頃
R 後身頃
LH レッグ開口部
LS レッグ縁部
11 第1連続シート
12 第2連続シート
13,13A おむつ連続体(吸収性物品連続体)
CT 切除対象部分
54,54A カッター装置
55 カッターロール
56 アンビルロール
57,58 カッター刃
581 第1の部分
582 第2の部分
60 凸状湾曲部
60A,58A 入側部
60B,58B 出側部
MD 搬送方向
CD 搬送直交方向
RC カッターロールの回転方向