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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】光学ズーム装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20230104BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20230104BHJP
   G02B 3/14 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/02 Z
G02B3/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020505386
(86)(22)【出願日】2018-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2018071085
(87)【国際公開番号】W WO2019030129
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】17185039.9
(32)【優先日】2017-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518044871
【氏名又は名称】ネクストレンズ スウィッツァーランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】アシュヴァンデン マヌエル
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-525718(JP,A)
【文献】特表2016-528559(JP,A)
【文献】特開2011-112757(JP,A)
【文献】特開2002-130114(JP,A)
【文献】特開2000-147354(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102422185(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 - 7/16
G03B 3/12 - 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレンズアセンブリ(2)と、光軸(A)に沿って移動するとき、光(L)が前記第1のレンズアセンブリ(2)を通過することができ、その後第2のレンズを通過する方向に前記第1のレンズアセンブリ(2)に続く第2のレンズアセンブリ(3)とを備えた光学ズームデバイス(1)において、
前記第1のレンズアセンブリ(2)は、第1の剛性光学素子(21)と、隣接する第1の焦点調節可能なレンズ(31)を備え、前記第1の焦点調節可能なレンズは、第1のコンテナ(41)と第1のリザーバ(51)を備え、前記第1のコンテナと前記第1のリザーバは、流れ接続され、透明な流体(F)で充填され、前記第1のコンテナは、前記流体(F)に接触する透明で弾性的に拡張可能な第1の膜(61)を備え、前記第1のレンズアセンブリはさらに、前記第1の膜(61)の曲率を調節し、それにより前記第1の焦点調節可能なレンズの焦点距離を調節するために前記第1のリザーバから前記第1のコンテナへおよび前記第1のコンテナから前記第1のリザーバへ流体をポンピングするための第1のアクチュエータ(107)をさらに備え、前記第1のアクチュエータ(107)は、少なくとも第1のスプリング(81)と少なくとも第1の形状記憶合金(120)を備え、および/または
前記第2のレンズアセンブリ(3)は、第2の剛性光学素子(22)と隣接する第2の焦点調節可能なレンズ(32)を備え、前記第2の焦点調節可能なレンズは、第2のコンテナ(42)と第2のリザーバ(52)を備え、前記第2のコンテナと前記第2のリザーバは、流れ接続され、透明な流体(F)で充填され、前記第2のコンテナは、前記流体(F)と接触する透明で弾性的に拡張可能な第2の膜(62)を備え、
前記第2のレンズアセンブリは前記第2の膜(62)の曲率を調整し、それにより前記第2の焦点調節可能なレンズの焦点距離を調節するために、前記第2のリザーバから前記第2のコンテナへおよび前記第2のコンテナから前記第2のリザーバへ流体をポンピングするための第2のアクチュエータ(207)をさらに備え、前記第2のアクチュエータ(207)は、少なくとも第2のスプリング(82)と少なくとも第2の形状記憶合金(220)を備え
アクチュエータは、それぞれ、ピストン、形状記憶合金、スプリングを備え、
前記形状記憶合金は、フレームおよび前記スプリングに接続されており、前記形状記憶合金に電流を印加すると、収縮し、前記スプリングを変形させ、
前記スプリングが前記ピストンに接続されている点における前記スプリングの機械的動きが、前記形状記憶合金が前記スプリングに接続されている点における前記スプリングの動きと比較して大きくなるように、前記形状記憶合金は、前記スプリングに接続される、ことを特徴とする光学ズームデバイス(1)。
【請求項2】
前記第1および第2の剛性光学素子(21、22)は、前記光軸(A)の方向に互いに固定の一定距離(D)を備える、請求項1に記載の光学ズームデバイス。
【請求項3】
前記第1の剛性光学素子(21)は、前記第1のコンテナ(41)の壁を形成し、前記第1の膜(61)に面しており、および/または前記第2の剛性光学素子(22)は、前記第2のコンテナ(42)の壁を形成し、前記第2の膜(62)に面していることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学ズームデバイス。
【請求項4】
前記第1の膜(61)は、前記第1の膜(61)の曲率調節可能なエリア(61a)を定義するための円周方向の第1のレンズ形成素子(71)に接続され、前記第1の膜(61)の前記曲率調節可能なエリア(61a)は、調節される前記曲率を備え、および/または前記第2の膜(62)は、前記第2の膜(62)の曲率調節可能なエリア(62a)を定義するための円周方向の第2のレンズ形成素子(72)に接続され、前記第2の膜(62)の前記曲率調節可能なエリア(62a)は調節される前記曲率を備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学ズームデバイス。
【請求項5】
前記光学ズームデバイス(1)は、内面(74a)を備える円周方向壁(74)を有するホルダ(73)を備え、前記第1のレンズ形成素子(71)と前記第1の剛性光学素子(21)は、前記内面(74a)に接続され、および/または前記第2のレンズ形成素子(72)と前記第2の剛性光学素子(22)は前記内面(74a)に接続されることを特徴とする、請求項4に記載の光学ズームデバイス。
【請求項6】
前記第1および/または前記第2のリザーバ(51、52)は、前記円周方向壁(74)の横方向に配列される、請求項5に記載の光学ズームデバイス。
【請求項7】
前記第1のリザーバ(51)と前記第1のコンテナ(41)との間の前記流れ接続は、前記ホルダ(73)の前記円周方向壁(74)の第1の開口部(75)を備え、および/または前記第2のリザーバ(52)と前記第2のコンテナ(42)との間の前記流れ接続は、前記ホルダ(73)の前記円周方向壁(74)の第2の開口部(76)を備えることを特徴とする、請求項5または6に記載の光学ズームデバイス。
【請求項8】
前記第1のリザーバ(51)は、弾性的に変形可能な壁(501)を備え、および/または前記第2のリザーバ(52)は、弾性的に変形可能な壁(502)を備えることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光学ズームデバイス。
【請求項9】
前記第1のアクチュエータ(107)は、前記第1のリザーバ(51)の前記弾性的に変形可能な壁(501)に接続された第1の部材(101)に作用するように構成され、前記第1のアクチュエータ(107)は、中間位置を介して第1の位置と第2の位置の間で前記第1の部材(101)を移動するように構成され、前記第1の部材(101)が前記第1の位置へ移動されると、前記第1のリザーバ(51)の前記弾性的に変形可能な壁(501)は、変形され、前記第1のリザーバ(51)の容量は減少し、流体(F)は、前記第1のリザーバ(51)から前記第1のコンテナ(41)へポンピングされ、前記第1の部材(101)が前記第2の位置へ移動すると、前記第1のリザーバ(51)の前記弾性的に変形可能な壁(501)は、変形され、前記第1のリザーバ(51)の前記容量は、増大し、流体(F)は、前記第1のコンテナ(41)から前記第1のリザーバ(51)へポンピングされ、前記第1の部材(101)が前記第1の位置にあるとき、前記第1の膜(61)の前記曲率調節可能なエリア(61a)は、第1の半径の曲率を備え、前記第1の部材(101)が前記中間位置にあるとき、前記第1の膜(61)の前記曲率調節可能なエリア(61a)は、前記第1の部材(101)の前記第1の位置に関連した前記第1の半径の曲率より大きい第2の半径の曲率を備え、前記第1の部材(101)が前記第2の位置にあるとき、前記第1の膜(61)の前記曲率調節可能なエリア(61a)は、第3の半径の曲率を備え、および/または
前記第2のアクチュエータ(207)は、前記第2のリザーバ(52)の前記弾性的に変形可能な壁(502)に接続された第2の部材(201)に作用するように構成され、前記第2のアクチュエータ(207)は、中間位置を介して第1の位置と第2の位置の間で前記第2の部材(201)を移動するように構成され、前記第2の部材(201)が前記第1の位置へ移動されると、前記第2のリザーバ(52)の前記弾性的に変形可能な壁(502)は変形され、前記第2のリザーバ(52)の容量は減少され、流体(F)は、前記第2のリザーバ(52)から前記第2のコンテナ(42)へポンピングされ、前記第2の部材(201)が前記第2の位置へ移動すると、前記第2のリザーバ(52)の前記弾性的に変形可能な壁(502)は、変形され、前記第2のリザーバ(52)の前記容量は、増大し、流体(F)は、前記第2のコンテナから前記第2のリザーバ(52)へポンピングされ、前記第2の部材(201)が前記第1の位置にあるとき、前記第2の膜(62)の前記曲率調節可能なエリア(62a)は、第1の半径の曲率を備え、前記第2の部材(201)が前記中間位置にあるとき、前記第2の膜(62)の前記曲率調節可能なエリア(62a)は、前記第2の部材(201)の前記第1の位置に関連した前記第1の半径の曲率よりも大きい第2の半径の曲率を備え、前記第2の部材(201)が前記第2の位置にあるとき、前記第2の膜(62)の前記曲率調節可能なエリア(62a)は、第3の半径の曲率を備えることを特徴とする、請求項4または5に記載の光学ズームデバイス。
【請求項10】
前記第1の形状記憶合金(120)は、第1のポイント(X1)において前記第1のスプリング(81)に接続され、前記第1のスプリング(81)は、第2のポイント(Y1)において、前記第1の部材(101)に接続され、特に、前記第1のポイント(X1)は、少なくとも2回移動し、特に前記第1のアクチュエータ(107)がアクチュエートされるとき前記第2のポイント(Y1)と同じ5回移動し、および/または
前記第2の形状記憶合金(220)は、第1のポイント(X2)において前記第2のスプリング(82)に接続され、前記第2のスプリング(82)は、第2のポイント(Y2)において、前記第2の部材(201)に接続され、特に、前記第1のポイント(X2)は、少なくとも2回移動し、特に、前記第2のアクチュエータ(207)がアクチュエートされると、前記第2のポイント(Y2)と同じ少なくとも5回移動する、ことを特徴とする、請求項9に記載の光学ズームデバイス。
【請求項11】
前記光学ズームデバイス(1)は、前記第1の形状記憶合金(120)の抵抗を測定することにより、前記第1の形状記憶合金(120)の変形を検出するように構成され、および/または前記光学ズームデバイス(1)は、前記第2の形状記憶合金(220)の抵抗を測定することにより前記第2の形状記憶合金(220)の変形を検出するように構成されることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の光学ズームデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、請求項1のプリアンブルに従う光学ズーム装置に関する。そのような光学ズームシステムは特に、2つの基本的特性、すなわち、調節可能な焦点距離並びに固定された画像面を含む。一般的な光学ズームシステムは、通常互いに配置可能ないくつかのレンズアセンブリを備える。ここでは、光学ズームシステムの焦点距離は、レンズアセンブリの配置により連続的に調節される。特に、個々のレンズアセンブリは、適切なズーミングを提供するために複雑な機械/電動システムが必要になるように、事前に定義された方法で配置される必要がある。
【0002】
上記に基づいて、本発明によって解決される課題は、改良された光学ズーム装置を提供することである。この課題は、請求項1または請求項27の特徴を有する光学ズーム装置により解決される。この発明の好適実施形態は、それぞれの従属項に記載されるとともに以下に記載される。
【0003】
請求項1によれば、光学ズーム装置は、第1のレンズアセンブリと、第1のレンズアセンブリに続く第2のレンズアセンブリであって、すなわち、特に光学ズーム装置の光軸の方向において、光が第1のレンズアセンブリを通過し、その後、光学軸に沿って移動するときに第2のレンズアセンブリを通過する、第1のアセンブリと第2のアセンブリを備え、本発明によれば、第1のレンズアセンブリは、第1の剛性(rigid)光学素子と、隣接する第1の焦点調整可能レンズとを備え、前記第1の焦点調節可能なレンズは、第1のコンテナ(container)と第1のリザーバ(reservoir)を含み、第1の容器および第1のリザーバは流れ接続状態にあり、透明な流体で満たされ、第1のコンテナは、流体と接触する透明で弾性的に拡張可能な第1の膜(membrane)を備え、第1レンズアセンブリは、第1膜の曲率(curvature)を調整し、それにより第1焦点調整可能なレンズの焦点距離を調整するために、第1リザーバから第1容器に、および第1容器から第1リザーバに流体を圧送する第1アクチュエータをさらに備え、第1のアクチュエータは、第1の永久電磁石(electro permanent magnet)を備え、および/または第2のレンズアセンブリは、第2の剛性光学素子および隣接する第2の焦点調節可能レンズを備え、第2の焦点調節可能なレンズは、第2のコンテナおよび第2のリザーバを備え、第2のコンテナと第2のリザーバは、流れ接続状態にあり、透明な流体で満たされ、第2のコンテナは、流体と接触する透明で弾性的に拡張可能な第2の膜を備え、前記第2のレンズアセンブリは、さらに、第2の膜の曲率を調整し、それにより、第2の焦点調節可能なレンズの焦点距離を調節するために第2のリザーバから第2のコンテナへおよび第2のコンテナから第2のリザーバへ送り込む(pump)第2のアクチュエータを備え、第2のアクチュエータは、第2の永久電磁石を備える。
【0004】
特に、本発明の意味における永久電磁石は、少なくともコイルと、第1の飽和保磁力(coercivity)を有する第1磁石とを備え、コイルは前記第1磁石を取り囲んでいる。言い換えれば、この発明は、液体膜ベースの光学ズームレンズを作る新しい手法を記載する。鍵となる発明は、レンズコンテナに流体を出し入れするためのアクチュエータとして永久磁石を使用しているアクチュエータ機構に関する。このようなアクチュエータは、非常にコンパクトで電力効率が高い。何故ならば、ズーム状態に切り替えられたときのみ、およびローカルオートフォーカススイープ(a local autofocus sweep)のためにのみ電力を必要とするからである。
【0005】
このようなシステムは、また、画像センサシフト機構、プリズムチルト機構、チューン可能プリズム、またはレンズシフト機構のいずれかを使用することができる光学画像安定化システムと組み合わせることができる。特に、この発明の一実施形態によれば、第1および第2の剛性光学素子は、光学軸の方向に互いに固定された一定の距離を備える。さらに、特に、第1および/または第2の膜は、下記材料の少なくとも1つから作ることができる。ガラス、高分子化合物、エラストマー(elastomer)、プラスチックまたは任意の他の透明でストレッチ可能なまたは可撓性の材料。例えば、それぞれの膜は、PDMSとしても知られているポリ(ジメチルシロキサン)などのシリコーン系ポリマー、またはPETまたは二軸方向に配向した(biaxially-oriented)ポリエチレンテレフタル酸エステル(例えば「マイラー(Mylar)」)などのポリエステル材料から作ることができる。さらに、前記流体は、液体金属、ゲル、液体、気体、または変形可能な透明な吸収材料または反射材料であるか、それらを含むことが好ましい。例えば、流体は、シリコンオイルであり得る。
【0006】
さらに、この発明の一実施形態によれば、第1および第2の剛性光学素子は、透明である。さらに、この発明の一実施形態によれば、第1および/または第2の光学素子は、剛性レンズ、特に両凸レンズである、特に、剛性(rigid)は、レンズ/光学素子が、焦点調節可能なレンズの流体と対照的に、固体である1つまたはいくつかの材料から形成される。従って、それぞれの剛性レンズは、固定の焦点距離を含む。レンズの代わりに、第1および/または第2の剛性光学素子は、平らな透明部材(例えば、平らなガラスまたはプラスチック部材)であり得る。さらに、特に、それぞれの剛性光学素子は、ガラス、プラスチック、ポリマーから形成することができる。それぞれの剛性光学素子は、屈折、回析、反射構造を備える。さらに、それぞれの剛性光学要素は、反射防止コーティングを含む。
【0007】
さらに、この発明の一実施形態によれば、第1の剛性光学素子は、第1のコンテナの壁を形成し、第1の膜に(例えば、光学ズーム装置の光軸の方向に)面している。さらに、一実施形態によれば、第2の剛性光学素子は、第2のコンテナの壁を形成し、第2の膜に(前記光軸の方向に)面している。さらに、この発明の一実施形態によれば、第1の膜は、第1の膜の曲率調節可能なエリアを定義する第1のレンズアセンブリの円周の第1のレンズ成形素子に接続され、第1の膜の曲率調節可能エリアは、前記調節される曲率を備える。
【0008】
さらに、一実施形態によれば、第2の膜は、第2の膜の曲率調整可能なエリアを定義する第2のレンズアセンブリの円周の第2のレンズ形成素子に接続され、第2の膜の曲率調整可能なエリアは、調節される前記曲率を備える。それぞれのレンズ形成素子は、環状部材であり得る。それぞれの部材は、レンズ形成素子に接続されるので、後者は、膜のそれぞれの曲率調節可能なエリアを定義し、それにより、それぞれの焦点調節可能なレンズの可能な形状を定義する。流体が、それぞれのリザーバ(reservoir)から、それぞれの焦点調節可能なレンズのそれぞれのコンテナへ移動されると、弾性的に変形可能な膜、すなわち、それぞれの曲率調節可能なエリアは、さらに膨らみ、例えばより顕著な凸状の湾曲となり、これは、それぞれのコンテナからそれぞれのリザーバに流体を移動させることにより減少させることができる。これは、凸状湾曲から凹状湾曲へ低減/変形可能にする。従って、流体を、それぞれのコンテナへ送り込み、およびコンテナから送り出すことにより、それぞれの曲率調節可能なエリアのそれぞれの曲率は、調節可能であり、それにより、それぞれの焦点調節可能なレンズの焦点距離が調節可能である。
【0009】
さらに、この発明の一実施形態によれば、光学ズーム装置は、内面を備えた円周方向壁(circumferential wall)を有するホルダ(例えば、鏡筒(lens barrel))を備え、第1のレンズ形成素子および第1のレンズ剛性光学素子は、内面に接続される。さらに、一実施形態によれば、第2のレンズ形成素子と第2の剛性光学素子は、また、内面に接続される。さらに、アクチュエータの永久電磁石は、望ましくは、ホルダに接続される(例えば、取り付けらる)。
【0010】
さらに、この発明の一実施形態によれば、第1および/第2のリザーバは、ホルダの横方向(例えば、ホルダの壁の横方向、特に、ホルダの壁の外側に)に配置される。さらに、この発明の一実施形態によれば、第1のリザーバと第1のコンテナとの間の流体接続は、ホルダの前記壁の第1の開口部を備える。さらなる実施形態によれば、第2のリザーバと第2のコンテナとの間の流体接続もホルダの前記壁の第2の開口部を備えることができる。従って、流体は、特に、光軸に垂直な方向にそれぞれのコンテナへ送り込まれ、およびそれぞれのコンテナから送り出される。
【0011】
さらに、この発明の一実施形態によれば、流体を、第1のコンテナへ送り込み、第1のコンテナから送り出すために、第1のリザーバは、弾性的に変形可能な壁を備える。さらに、一実施形態によれば、第2のリザーバは、また、前記流体を、第2のコンテナへ送り込み、第2のコンテナから送り出すために弾性的に変形可能な壁を備える。第1のリザーバの弾性的に変形可能な壁を移動/変形するために、第1のアクチュエータは、第1のリザーバの弾性的に変形可能な壁に接続された第1の部材上で動作するように構成され、第1のアクチュエータは、中間位置を介して第1および第2の位置の間の第1の部材を移動するように構成され、前記第1の部材が第1の位置に移動されると、第1のリザーバの弾性的に変形可能な壁は変形され、第1のリザーバの容積は低減され、流体は、流体接続を介して第1のリザーバから第1のコンテナへ送り込まれ、第1の部材が第2の位置へ移動すると、第1のリザーバの弾性的に変形可能な壁は、変形され、第1のリザーバの容積は、増大され、流体は、流体接続を介して第1のコンテナから第1のリザーバへ送り込まれ、第1の部材が第1の位置にあるとき、第1の膜の曲率調節可能なエリアは、凸状湾曲を備え、第1の部材が中間位置にあるとき、第1の膜の曲率調節可能なエリアは、第1の位置に関連した曲率の前記凸面曲率半径(convex radius)より大きい凸面曲率半径を備え、第1の部材が第2の位置にあるとき、第1の膜の曲率調節可能なエリアは、平坦であり得るか、または凹面曲率さえ有することができる。
【0012】
同様に、一実施形態によれば、第2のリザーバの弾性的に変形可能な壁を変形/移動させるために、第2のアクチュエータは、第2のリザーバの弾性的に変形可能な壁に接続された第2の部材上で動作するように構成され、第2のアクチュエータは、中間位置を介して第1の位置と第2の位置の間に第2の部材を移動させるように構成され、第2の部材が第1の位置に移動されると、第2のリザーバの弾性的に変形可能な壁は、変形され、第2のリザーバの容積は減少し、流体接続を介して、流体が、第2のリザーバから第2のコンテナへ送り込まれ、第2の部材が第2の位置へ移動すると、第2のリザーバの弾性的に変形可能な壁は、変形され、第2のリザーバの容積は、増大し、流体は、流体接続を介して第2のコンテナから第2のリザーバへ送り込まれ、第2の部材が第1の位置にあるとき、第2の部材の曲率調節可能なエリアは、凸状湾曲を備え、第2の部材が中間位置にあるとき、第2の部材の曲率調節可能なエリアは、第1の位置に関連した前記凸面曲率半径より大きな凸面曲率半径を備え、第2の部材が、第2の位置にあるとき、第2の膜の曲率調節可能なエリアは、平坦であり得るかまたは凹面湾曲を有することさえできる。
【0013】
さらに、一実施形態によれば、光学ズーム装置は、以下のセンサの1つを用いて第1または第2の部材の位置を測定するように構成される。ホールセンサ(Hall sensor)、誘導センサ(an inductive sensor)、光センサ、静電気センサ、歪センサ。さらに、この発明の一実施形態によれば、第1の永久電磁石は、第1の磁石(例えば、半硬質磁石(semi-hard magnet))およびコイルを備え、第1の永久電磁石のコイルは、第1の永久電磁石のコイルのコイル軸の周りに巻回された電気的に誘導するコンダクタを備え、第1の永久電磁石のコイルは、第1の永久電磁石の第1の磁石の周りに延伸し、第1の永久電磁石の第1の磁石は第1の飽和保持力(coercivity)を備える。さらに、一実施形態によれば、第2の永久電磁石は、第1の磁石(例えば、半硬質磁石)とコイルを備え、第2の永久電磁石のコイルは、第2の永久電磁石のコイルのコイル軸に巻回された電気的に誘導するコンダクタを備え、第2の永久電磁石のコイルは、第2の永久電磁石の第1の磁石の周りに延伸し、第2の永久電磁石の第1の磁石は、第1の飽和保持力を備える。
【0014】
さらに、この発明の一実施形態によれば、第1の部材は、第1の永久電磁石のコイルのコイル軸に平行に延伸する磁化を備えた永久磁石(例えば、硬磁石)である。同様に、一実施形態によれば、第2の部材は、第2の永久電磁石のコイルのコイル軸に平行に延伸する磁化を備えた永久電磁石(例えば、硬磁石)である。特に、永久電磁石は、磁化された材料から形成された物体であり、固有の永続的な磁界を発生する。特に、永久電磁石は、消磁することが困難なアルニコ(alnico)およびフェライトのような硬質磁性材料(例えば、強磁性体)で作ることが可能である。アルニコ合金の組成は、典型的に8%乃至12%のアルミニウムと、15%乃至26%のニッケルと、5%乃至24%のコバルトと、最大6%の銅と、最大1%のチタンと、残りは鉄である。
【0015】
さらに、レアアースメタルのいくつかの合金は、永久磁石に使用することができる。特に、磁化されたままでも磁化されたままにならない焼きなまし鉄のような磁気的に柔らかい強磁性材料とは対照的に、磁気的に硬い材料は、磁化されたままになる傾向がある。さらに、この発明の一実施形態によれば、第1の永久電磁石のコイルのコイル軸および/または第1の部材(例えば、永久磁石)の磁化は、第1のリザーバの弾性的に変形可能な壁に垂直に延伸し、および/または光学ズーム装置の光軸に垂直に延伸する。さらに、第2の永久電磁石のコイルのコイル軸および/または第2の部材(例えば、永久磁石)の磁化は、第2のリザーバの弾性的に変形可能な壁に垂直に延伸することができ、および/またはこの発明の一実施形態に従う光学ズーム装置の光軸に垂直に延伸することができる。
【0016】
さらに、この発明の他の実施形態によれば、光学ズーム装置は、ズーム係数の粗いチューニングを可能にする。このため、一実施形態によれば、光学ズーム装置は、第1の永久電磁石の第1の磁石の磁化が反対方向を指すか、または第1の部材の磁化と同じ方向を指すように、第1の永久電磁石の第1の磁石を磁化するように、または、第1の永久電磁石の第1の磁石の磁化が必然的に消磁するように第1の永久電磁石の第1の磁石を消磁するように、第1の永久電磁石のコイルに電流パルスを印加するように構成され、第1の永久電磁石の第1の磁石が消磁されると、第1の部材は、中間位置に移動され、第1の部材の磁化と反対方向に磁化が指すように、第1の永久電磁石の第1の磁石が磁化されると、第1の部材は、第1の位置に移動され、第1の部材の磁化と同じ方向に磁化が指すように第1の永久電磁石の第1の磁石が磁化されると、第1の部材は、第2の位置に移動される。さらに、ズーム機能の粗いチューニングは、第2のレンズアセンブリにも適用される。このため、一実施形態において、第2の永久電磁石の第1の磁化が、第2の部材の磁化と反対方向または同じ方向を指すように第2の永久電磁石の第1の磁石を磁化するために、あるいは、第2の永久電磁石の第1の磁石の磁化が必然的に消失するように第2の永久電磁石の第1の磁石を消磁するように、第2の永久電磁石のコイルに電流パルスを印加するように構成され、第2の永久電磁石の第1の磁石が消磁されると、第2の部材は、中間位置に移動され、第2の部材の磁化と同じ方向に磁化が指すように、第2の永久電磁石の第1の磁石が磁化されると、第2の部材は第1の位置に移動され、第2の部材の磁化と同じ方向にその磁化が指すように第2の永久電磁石の第1の磁石が磁化されると、第2の部材は、第2の位置に移動され、さらなる実施形態によれば、この粗いチューニングは、システムの焦点距離の微調整により補足することができる。
【0017】
このため、一実施形態によれば、光学ズームは、第1の部材が第1の位置または第2の位置または中間位置にあるとき一定の電流を第2の永久電磁石のコイルに印加し、それにより、第1の永久電磁石のコイルが、前記第1の部材の磁界と相互作用(例えば、ロレンツ力)する磁界を発生し、それにより、第1の部材がそれぞれの位置から移動し、それにより、前記第1の膜の曲率調整可能なエリアの曲率が微調整される。
【0018】
さらに、一実施形態によれば、光学ズームは、第2の部材が第1の位置、または第2の位置または中間位置にあるとき、第2の永久電磁石のコイルに一定の電流を印加するように構成されるので、第2の永久電磁石のコイルは、第2の部材の磁界と相互作用する磁界(例えば、ロレンツ力)を発生し、それにより、第2の部材は、それぞれの位置から移動され、それにより第2の膜の曲率調整可能なエリアの曲率が微調整される。さらに、この発明の一実施形態によれば、第1の部材は、第1のスプリング構造を介して第1の永久電磁石に結合される。
【0019】
さらに、同様に、一実施形態によれば、第2の部材は、第2のスプリング構造を介して第2の永久電磁石に結合される。これらのスプリング構造は、望ましくは、以下に記載する永久電磁石と共に使用される。この発明に従う光学ズームデバイスの代替実施形態によれば、2つのレンズアセンブリの永久電磁石は、磁化および消磁可能な第1の磁石だけでなく、一方向に永久に磁化される第2の磁石(例えば、硬磁石)を備える。ここでは、第1の永久電磁石のコイルはまた、第1の永久電磁石の第2の磁石の周りにも延伸し、第1の永久電磁石の第2の磁石は、第1の永久電磁石の第1の磁石の第1の導電性より大きい第2の飽和保持力を備える。
【0020】
さらに、一致実施形態によれば、第2の永久電磁石は、さらに、第2の磁石(例えば、硬磁石)を備え、第2の永久電磁石のコイルは、また、第2の永久電磁石の第2の磁石の周りに延伸し、第2の永久電磁石の第2の磁石は、第2の永久電磁石の第1の飽和保持力より大きい第2の飽和保持力を備える。さらに、一実施形態によれば、第1の永久電磁石が上述した2つの磁石を備えるとき、第1の部材は、(例えば、磁気的に軟質材料/金属からの)磁束誘導部材であり、第1の永久電磁石の磁束誘導構造とギャップを形成し、磁束誘導構造は、第1の永久電磁石の第1および第2の磁石に接続され、第1の部材は、第1のスプリング構造を介して第1の永久電磁石に結合される。
【0021】
さらに、一実施形態によれば、(第2の永久電磁石が上述した2つの磁石を備えるとき)、第2の部材は、また(磁気的に軟質な材料/金属からの)磁束誘導部材であり、第2の永久電磁石の磁束誘導構造とギャップを形成し、磁束誘導構造は、第2の永久電磁石の第1および第2の磁石に接続され、第2の部材は、第2のスプリング構造を介して第2の永久電磁石に結合される。特に、ここでは、一実施形態によれば、第1の永久電磁石のコイルのコイル軸は、第1の部材に平行に、および/または光学ズーム装置の光軸に平行に延伸することもできる。同様に、特に、第2の永久電磁石のコイルのコイル軸は、また、前記第2の部材に平行に、および/または光学ズーム装置の光軸に平行に延伸することができる。
【0022】
さらに、この発明に従う光学ズーム装置の一実施形態によれば、第1の永久電磁石の前記第1の磁石および前記第2の磁石が第1の永久電磁石の磁束誘導構造の両方の素子に接触するか、または磁束誘導方式で両方の素子に接続されるように、第1の永久電磁石の磁束誘導構造は、第1の電磁石の前記第1の磁石と前記第2の磁石が配列された、2つの離間した素子を備え、各素子は、第1の部材(磁束誘導部材)とのギャップを形成する第1の部材に面する面側(face side)を含む。特に、前記2つの素子は、第1の永久電磁石のコイルのコイル軸の方向に互いに面する。同様に、光学デバイスの一実施形態によれば、第2の永久電磁石の磁束誘導構造は、第2の永久電磁石の第1および第2の磁石が、第2の永久電磁石の磁束誘導構造の両方の素子に接触するか、または磁束誘導方式で両方の素子に接続されるように、第2の永久電磁石の第1の磁石と第2の磁石が配列された間に2つの離間した素子を備え、各素子は、第2の部材に面する面側を備え、面側は、第2の部材(磁束誘導部材)とギャップを形成する。
【0023】
特に、前記2つの素子は、第2の永久電磁石のコイルのコイル軸の方向に互いに面する。また、永久電磁石毎に2つの磁石を備える光学ズーム装置の実施形態において、ズーム機能の粗い調整を設けることが望ましい。このため、光学ズーム装置は、第1の永久電磁石の第1の磁石の磁化が、第1の永久電磁石の第2の磁石の磁化と反対方向または同じ方向を指すように、あるいは、第1の永久電磁石の第1の磁石が必須的に消失するように第1の永久電磁石の第1の磁石を消磁するように、第1の永久電磁石の第1の磁石を磁化するように第1の永久電磁石のコイルに電流パルスを印加するように構成され、第1の永久磁石の第1の磁石が消磁されると、第1の部材は、第1の部材上の第1のバネ構造によって第1の部材に加えられる反力に抗して中間位置に移動され、第1の永久電磁石の第2の磁石の磁化と反対方向に磁化が指すように、第1の永久電磁石の第1の磁石が磁化されると、第1の部材は、第1の部材の第1のスプリング構造により抽出された力の方向の第1の位置に移動され、第1の永久電磁石の第2の磁石の磁化と同じ方向にその磁化がされるように第1の永久電磁石の第1の磁石が磁化されると、第1の部材は、第1の部材上の第1のバネ構造によって抽出された反力に抗して第2の位置に移動される。
【0024】
同様に、一実施形態によれば、光学ズーム装置はまた、第2の永久電磁石の第1の磁石の磁化が、第2の永久電磁石の第2の磁石の磁化と反対方向または同じ方向を指すように第2の永久電磁石の第1の磁石を磁化するように、あるいは、第2の永久電磁石の第1の磁石の磁化が必須的に消失するように第2の永久電磁石の第1の磁石を消磁するように、第2の永久電磁石のコイルに電流パルスを印加するように構成され、第2の永久電磁石の第1の磁石が消磁されると、第2の部材は、第2の部材上の第2のバネ構造により抽出された反力に抗して中間位置に移動され、第2の永久電磁石の第2の磁石の磁化と反対方向にその磁化が指すように第2の永久電磁石の第1の磁石が磁化されると、第2の部材は、第2の部材上の第2のバネ構造により抽出された力の方向の第1の位置に移動され、第2の永久電磁石の第2の磁石の磁化と同じ方向にその磁化が指すように、第2の永久電磁石の第1の磁石が磁化されると、第2の部材は、第2の部材上の第2のバネ構造により抽出された反力に抗して第2の位置に移動される。さらに、この発明の一実施形態によれば、特に、それぞれのレンズアセンブリの微調整を提供するために、第1の部材(磁束誘導部材)がそれぞれの位置から移動されるように第1の永久電磁石の磁束誘導構造を介して磁束を変更する磁界を第1の永久電磁石のコイルが生成するように、第1の部材が第1の位置、または第2の位置、または中間位置にあるとき、第1の永久電磁石のコイルに一定の電流を印加するように光学ズームが構成され、それにより、第1の膜の曲率調整可能なエリアの曲率が微調整される。
【0025】
同様に、一実施形態によれば、光学ズームは、第2の部材が第1の位置、または第2の位置、または中間位置にあるとき、第2の電磁石のコイルに一定の電流を印加するように構成されるので、第2の電磁石のコイルは、第2の永久電磁石の磁束誘導構造を介して磁束を変更する磁束を第2の永久電磁石のコイルが生成し、第2の部材(磁束誘導部材)は、それぞれの位置から移動し、それにより、第2の部材の曲率調整可能なエリアの曲率が微調整される。特に、それぞれの最適焦点距離を提供するために、最適ズームデバイスは、第1の永久電磁石のコイルに印加された前記定電流を見つけるために第1の永久電磁石のコイルに印加された電流を掃引するように構成される。
【0026】
さらに、一実施形態において、光学ズームデバイスは、または第2の永久電磁石のコイルに印加された前記定電流を見つけるために第2の永久電磁石のコイルに印加された電流を掃引するように構成される。さらに、この発明に従う光学ズーム装置の一実施形態によれば、光学ズーム装置は、第1の永久電磁石のコイルに印加された電流を発生するように第1の電気永久磁石のコイルに電圧パルスを印加する第1の永久電磁石のコイルに接続された電圧源を備える。さらに、一実施形態によれば、光学ズーム装置は、第2の永久電磁石のコイルに印加された前記電流を発生するように第2の電気永久磁石のコイルに電圧パルスを印加するための第2の永久電磁石のコイルに接続された電圧源を備える。さらに、この発明の一実施形態によれば、電圧源は、それに応じて第1の永久電磁石のコイルに印加された対応する電圧パルスの期間を調節することにより、または、(パルス期間定数を維持しながら)それに応じて第1の永久電磁石のコイルに印加された対応する電圧パルスの電圧を調節することにより、第1の永久電磁石の第1の磁石の磁化を調節するように構成される。
【0027】
同様に、一実施形態によれば、電圧源は、それに応じて第2の永久電磁石のコイルに印加された対応する電圧パルスの期間を調節することにより、または(パルス期間定数を維持しながら)それに応じて第2の永久電磁石のコイルに印加された対応する電圧パルスを調節することにより、第2の永久電磁石の第1の磁石の磁化を調節するように構成される。さらに、一実施形態によれば、電圧源は、特に、電圧源により第1の永久電磁石のコイルに印加された電圧にパルス幅変調を印加することにより、光学ズーム装置のノイズリダクションを達成するように第1の永久電磁石の前記コイル内の電流を形成するように構成され、および/または電圧源は、特に、電圧源により第2の永久電磁石のコイルに印加された電圧にパルス幅変調を印加することにより、光学ズーム装置のノイズリダクションを達成するように第2の永久電磁石の前記コイル内の電流を形成するように構成される。
【0028】
さらに、この発明の一実施形態によれば、光学ズーム装置は、イメージセンサ(例えば、CMOSまたはCCDセンサ)を備えているので、2つのレンズアセンブリおよび他の補正レンズ(例えば、プラスチックまたはガラスレンズ)を介して光学ズーム装置の光学経路に沿って通過する光は、イメージセンサに衝突する。さらに、この発明の一実施形態によれば、光学ズーム装置は、調節可能な膜の変形を検出するか、またはアクチュエータの変形を検出するフィードバック方法(例えば、アルゴリズム)を行うように構成される。
【0029】
特に、以下の検出方法の1つを使用することができる。ホールセンサのような電磁センサ、容量検出または光学検出のような静電センサ。一実施形態によれば、イメージセンサは、光学式手ぶれ補正(OIS)を提供するためにイメージセンサの拡張面に移動するように構成される。光学式手ぶれ補正は、光学ズーム装置の突然の(無用の)移動によるイメージセンサ上の光ビームの偏移が、イメージセンサの対応する移動により、(または角度調整可能で、同調可能なプリズムまたは横方向にシフトされたレンズにより光ビームの対応する偏向により、下記参照)補償される。
【0030】
代替的に一実施形態によれば、光学ズーム装置は、光学ズーム装置に、前記光学経路に配列されたプリズムを備え、前記プリズムは、光学式手ぶれ補正を提供するために、プリズムを通過する光ビームを偏向し、イメージセンサに衝突させるように構成される。他の代替実施形態によれば、光学ズーム装置は、光学ズーム装置の前記光学経路に配列された同調可能なプリズムを備えることができ、同調可能なプリズムは、光学式手ぶれ補正を提供するために、プリズムを通過する光ビームを偏向し、イメージセンサに衝突するように構成される。
【0031】
他の代替実施形態によれば、光学ズーム装置は、光軸に垂直に移動可能であり、光学ズーム装置の前記光路に配列されたレンズを備え、移動可能なレンズは、光学式手ぶれ補正を提供するために移動可能なレンズを通過し、イメージセンサに衝突する光ビームを偏向するように構成される。さらに、他の実施形態によれば、光学ズーム装置は、バネ、特に板バネ、ピストン、形状記憶合金から構成される、または含むアクチュエータを備える。形状記憶合金は、フレームおよびスプリングに接続される。形状記憶合金に電流を印加すると、収縮し、バネを変形させる。形状記憶合金は、バネに接続されているため、バネがピストンに接続されている点における、バネの機械的動きは、形状記憶合金が接続されている位置でのバネの動きと比較して大きくなる。
【0032】
この発明は、多種多様な異なるアプリケーション、特に、フォロプター(phoropter)、屈折計、厚度計、pptバイオメトリ(ppt.biometrie)、ペリメータ(perimeter)、屈折ケラトメーター(refrakto-keratometer)、屈折レンズアナライザ(refra.Lensanalyzer)、眼圧計(tonometer)、アノマロスコップ(anomaloskop)、コントラストメータ(kontrastometer)、内皮顕微鏡(endothelmicroscope)、アノマロスコープ(anomaloscope)、ビンオプトメータ(binoptometer)、OCT、ロダテスト(roda test)、検眼鏡、RTA、マシンビジョンのような眼科機器、携帯電話カメラ、医療機器、ロボットカム(robot cams)、バーチャルリアリティまたは拡張現実カメラ(virtual reality or augmented reality camera)、顕微鏡、望遠鏡、内視鏡、ドローンカメラ、監視カメラ、ウェブカム、自動車用カメラ、モーショントラッキング(motion tracking)、双眼鏡、リサーチ(research)、自動車、プロジェクター、眼科用レンズ、レンジファインダー、バーコードリーダー等。以下において、さらなる利点、特徴並びにこの発明の実施形態が図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、3つの異なる状態/位置(A)、(B)、(C)における光学ズーム装置の第1(第2)のレンズアセンブリの概略断面図を示す。
図2図2は、この発明による光学ズーム装置の一実施形態の概略断面図を示す。
図3図3は、図1および2に示す種類のこの発明に従う光学ズーム装置の一実施形態の断面斜視図を示す。
図4図4は、3つの異なる状態/位置(A)、(B)、(C)におけるこの発明に従う光学ズーム装置のさらなる実施形態の第1(第2)レンズアセンブリの概略断面図を示す。
図5図5は、図4に示す種類のこの発明に従う光学ズーム装置の一実施形態の斜視図を示す。
図6図6は、この発明に従う光学ズーム装置の永久電磁石(アクチュエータ)と、永久電磁石と相互作用する部材との間の力対距離を示し、前記力と前記距離との間の関数関係は、永久電磁石が、制御された効率的な方法で、前記部材を配置するために使用することができる。
図7図7は、永久電磁石の4つの異なる磁化に対して、永久電磁石に印加された電流を掃引するとき、前記部材上の永久電磁石により生成された力の変化を示す。線形関係は、それぞれの永久電磁石のある磁化、前記磁石の位置の微調整は、適切な(より小さな)電流を永久電磁石の磁化を変化させない、それぞれの永久電磁石に印加することにより確立することができることを示す。
図8図8は、永久磁石Mrと飽和保持力Heとの間の関係を示す。特に、飽和保持力は、前記部材の磁化が飽和に駆動された後で、考察される部材の磁化をゼロにするのに必要な磁界の強度である。それゆえ、飽和保持力は、強磁性材料の消磁に対する抵抗を測定する。
図9図9は、この発明による光学ズーム装置の一実施形態の永久電磁石の磁化を変化させる異なる電圧パルスと対応する電流パルスを示す。
図10図10は、この発明による光学ズーム装置の一実施形態の永久電磁石のノイズを低減するために使用することができる特定の電圧パルスと対応する電流を示す。
図11図11は、この発明による光学装置に使用することができる永久電磁石の異なる構成(A)乃至(M)を示す。
図12図12は、光学式手ぶれ補正(OIS)を備えたこの発明に従う光学ズーム装置の一実施形態を示す。
図13図13は、図12に示す一実施形態の斜視図を示す。
図14図14は、3つの異なる状態/位置(A)、(B)、(C)における形状記憶合金に基づいて光学ズーム装置の第1の(第2の)レンズアセンブリ、並びに、光学ズーム装置(D)の第2のレンズアセンブリの概略断面図を示す
図15図15は、図14(A)乃至(D)に示す実施形態に使用される形状記憶合金ベースの上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
この発明は、光学ズーム装置1に関する。特に、光学ズーム装置1は、焦点距離(および視野角)が変更可能なレンズアセンブリのメカニカルアセンブリである。特に、光学ズーム装置1のようなこの発明(図1乃至5参照)によれば、少なくともイメージセンサと、固定焦点補正レンズと、第1および第2のアセンブリ2、3を備え、各レンズアセンブリ2、3は、剛性光学エレメント21、22および隣接する焦点調節レンズ31、32を備える。特に、以下において、前記剛性光学素子21、22は、剛性レンズ21、22である。特に、レンズアセンブリ2、3は、互いに固定距離Dを備えるので、互いに、剛性レンズ21、22の複雑なモーダ駆動配置を省略することができる。
【0035】
図1乃至3に示す第1の実施形態によれば、光学ズーム装置1の各焦点調節可能なレンズ31、32は、永久電磁石107、207によりアクチュエートされ、第1の実施形態によれば、前記永久電磁石107、207は、反対方向に磁化並びに消磁することができる単一の第1の磁石104、204を備える。それぞれの永久電磁石107、207はそれにより永久磁石により形成された第1の部材(101、201)と相互作用するので、それぞれの永久電磁石は、第1の部材(例えば、双極子間相互作用)に作用する引力並びに反発力を発生することができる。
【0036】
詳細には、図1および2によれば、この光学ズーム装置1は、第1のレンズアセンブリ2、および光学ズーム装置1の光軸Aの方向に第1のレンズアセンブリ2に従う第2のレンズアセンブリ3を備えるので、光軸Aに沿って移動するとき、光Lは、第1のレンズアセンブリ2を通過し、その後、第2のレンズアセンブリ3を通過し、装置1によりズームインすることができるイメージセンサ上にイメージを形成することができる。
【0037】
特に、第1のレンズアセンブリ2は、第1の剛性レンズ21と隣接する第1の焦点調節可能なレンズ31を備え、第1の焦点調節可能なレンズは、第1のコンテナ41と第1のリザーバ51を備え、第1のコンテナ41と第1のリザーバ51はフロー接続され(in flow connection)、透明流体Fで充填される。第1のコンテナ41は、透明であり、流体Fに接触する弾性的に拡張可能な第1の部材61を備える。第1のコンテナ41と第1のリザーバとの間で流体Fを前後にポンピング(pumping)するために、第1のレンズアセンブリ31は、さらに、第1の永久電磁石107により形成された第1のアクチュエータを備える。第1の永久電磁石107を用いて、第1のリザーバ51から第1のコンテナ41へ流体Fがポンピングされる場合、第1のコンテナ41における圧力は、増大し、流体Fは、膜61の曲率調節可能なエリアを押圧し、前記エリア61の増大した凸状挙動と焦点調節可能なレンズ31の減少した焦点距離を生ずる。
【0038】
図1は、第1のレンズアセンブリ31のみを示すが、同様に第2のレンズアセンブリを設計することができる。図2は、2つのそのようなレンズアセンブリ2を有する光学ズーム装置1を示す。また、第2のレンズアセンブリ3は、第2の剛性レンズ22と、隣接する第2の焦点調節可能なレンズ32を備え、同様に第2の焦点調節可能なレンズは、第2のコンテナ42と第2のリザーバ52を備える。第2のコンテナ42と第2のリザーバ52は、フロー接続され、また、透明流体Fで充填される。また、ここでは、第2のコンテナ42は、流体Fに接触する透明で弾性的に拡張可能な第2の膜62を備える。第2のレンズアセンブリ3はさらに、第2の部材62の曲率調節可能なエリア62aの曲率を調節し、それにより第1の焦点調節可能なレンズ32の焦点距離を調節するために、第2のリザーバ52から第2のコンテナ42へ、および第2のコンテナ42から第2のリザーバ52へ流体Fをポンピングする第2の永久電磁石により形成された第2のアクチュエータ207をさらに備える。
【0039】
上で示したように、第1および第2の剛性レンズ21、22は、光学軸A(図2参照)の方向に体外に固定された一定の距離Dを備える。特に、それぞれの剛性レンズ21、22は、両凸、両凹、またはフラットであり得、または任意の他の形状(上記参照)であり得る。さらに、それぞれの剛性レンズ21、22は、それぞれのコンテナ41の壁を形成し、その関連する膜61、62に面している。
【0040】
前記曲率調節可能なエリア61a、62aを定義するために、それぞれの膜61は、それぞれ関連する円周の第1のレンズ形成素子71、72に接続される。これらのレンズ形成素子71、72は、望ましくは、それぞれの部材61、62が取り付けられた環状リング部材71、72として形成される。それぞれのレンズ形成素子71、72の中央開口部は、それぞれの曲率調節可能なエリア61a,62aによりカバーされ、流体Fがこれらのエリア61a、62aを押圧することにより弾性的に変形/湾曲可能である。
【0041】
剛性レンズ21、22と、隣接する焦点調節可能なレンズ31、32は、ホルダ/レンズバレル(holder/lens barrel)73の内部空間に配列され、内部空間は、ホルダ73の周壁74により囲まれ、剛性レンズ21、22とレンズ形成素子71、72は、前記周壁74の内面74aに接続される。したがって、周壁74は、また、それぞれのコンテナ41、42の側壁を定義する。
【0042】
図2からわかるように、第1および第2のリザーバ51、52は、周壁74の横方向に配列され、各々が、ホルダ73の周壁74に形成された開口部75、76を介して関連するリザーバに接続される。さらに、各リザーバ51、52は、弾性的に変形可能な壁501、502を備え、それぞれの壁501、502が変形すると、それぞれのリザーバ51、52の容量は、減少し得(図2(B)と図4(B)、流体Fは、それぞれのコンテナ41にポンピングされ、それぞれのレンズ31、32の屈折力は増大する)、または増大し得る(図2(C)と図4(C)、流体Fは、それぞれのリザーバ51、52にポンピングされ、それぞれのレンズ31、32の屈折力は減少する)。
【0043】
図1乃至3または図4乃至5を考察すると、それぞれのアクチュエータ107、207は、それぞれのリザーバ51、52のそれぞれの弾性的に変形可能な壁501、502に接続されたそれぞれの(第1または第2の)部材101、201に作用するように構成され、それぞれのアクチュエータ107、207は、中間位置(図2(A)および図4(A))を介して第1の位置(図2(B)および図4(B))および第2の位置(図2(C)および図4(C))との間でそれぞれの部材101、201を移動するように構成され、それぞれの部材101、201が第1の位置に移動されると、それぞれの弾性的に変形可能な壁501、502は、変形され、それぞれのリザーバ51、52の容量は、減少し、流体Fは、それぞれのリザーバから関連するコンテナ41、42へポンピングされ、それぞれの部材101、201が第2の位置へ移動されると、それぞれのリザーバ51、52の弾性的に変形可能な壁501、502は、変形され、それぞれのリザーバ51、52の容量は、増大され、流体Fは、それぞれのコンテナ41、42から関連するリザーバ51、52へポンピングされる。
【0044】
前記部材101、202の個々の位置は、それぞれの部材101、201が第1の位置にあるとき、それぞれの曲率調節可能なエリア61a、62aは、凸状湾曲を備え、それぞれの部材101、201が中間位置にあるとき、曲率調節可能なエリア61a、62aは、より大きな凸状半径を備え、それぞれの部材101、201が第2の位置にあるとき、それぞれの曲率調節可能なエリア61a、62aは、凹状曲率を備えるように、前記部材101、202の個々の位置が設計される。
【0045】
次に、図1乃至3によれば、それぞれの部材101、201は、永久磁石であり、それぞれのアクチュエータ/永久電磁石107、207のコイル軸Cに並行に走る磁化Mを備え、アクチュエータ107、207は、ホルダ73に取り付けられる。各アクチュエータ/永久電磁石107、207は、電流がコイル103に印加されないとき、最小力が第1の部材101に作用するように、図1(A)に示すように消磁可能であるそれぞれのアクチュエータ107、207の第1の磁石104、204を囲むコイル103、203を備える。対応して、第1の部材101と弾性的に圧縮可能な壁501は、前記中間位置にある。十分に高い電流を印加することにより、第1の磁石104が磁化され得るので、第1の部材101と第1の磁石104の磁化M、M1は、反対であり、第1の部材101は、それゆえ第1の磁石104から押しやられる(pushed away)。したがって、第1の部材101と弾性的に変形可能な壁501は、図1(B)に示すように第1の位置にある。さらに、コイル103に印加された適切な電流パルスを用いることにより、第1の磁石104の磁化M1は、両方の磁化点M1、Mが同じ方向を指し、第1の部材101が、第1の磁石104により引っ張られるように配向することができる。したがって、第1の部材101と弾性的に変形可能な壁501は、図1(C)に示すように第2の位置にある。
【0046】
したがって、十分な大きさの電流パルスは、システム1の焦点距離のコース調整(course adjustment)を得るのに使用することができる。特に、レンズアセンブリ2および3の両方は、このようにして、光学ズーム装置1によって生成された画像の特定のズームを達成するために、この方法で調整することができる。そのような電流パルスは、約5Aの典型的な大きさと数マイクロ秒の期間を有することができる。さらに、焦点距離の微調整は、以下のように行うことができる。それぞれの部材101、201が上述した位置の1つにあるとき、より小さな電流(例えば、-500mA乃至500mA)は、それぞれの第1の磁石104、204の磁化M1が変化しないように、それぞれのコイル103、203に印加することができる。しかしながら、それぞれのコイル103、203を流れる電流は、部材101、201によって発生された磁界と相互作用し、ロレンツ力が発生される。このロレンツ力は、従前に調節された位置の周りのそれぞれの部材101、201の位置を調節可能にし、それにより、それぞれの曲率調節可能なエリア61a、62aの曲率の対応する微調整を可能にする。
【0047】
さらに、図4と5は、第1のレンズアセンブリ2(またここでは、第2のレンズアセンブリ3は、図2の第1のレンズアセンブリ2と同様に設計することができる)の代替実施形態を示す。ここでは、第1の磁石104、204の他に、それぞれのアクチュエータ/永久電磁石107、207は、また、第1の磁石104、204よりも、より高い飽和保持力を有する第2の磁石105,205を備える。これらの2つの磁石104、105、または204、205は、図4(A)乃至(C)に示されるように、それぞれのコイル103、203により囲まれている。飽和保持力は、それぞれの第1の磁石の磁化M1が、電流パルスをそれぞれのコイル103、203に印加することにより変化することができ、一方それぞれの第2の磁石105、205の磁化は、変わらないように、選択される。
【0048】
さらに、図1乃至3と対照的に、それぞれの部材101、201は、磁束誘導部材であるが、永久磁界を含まない。それぞれの永久電磁石107、207は、単に引力リラクタンス力(attractive reluctance forces)を発生するので、それぞれの部材101、201は、バネ構造81、82により、それぞれの永久電磁石に結合される。このバネ構造は、板バネ(leaf spring)、巻回バネ(wound spring)、または任意の他のバネであり得る。
【0049】
特に、図4(A)乃至(C)および図5に示すように、それぞれの永久電磁石107、207のそれぞれのコイル103、203のコイル軸Cは、それぞれの部材101、201および/または光学ズーム装置1の光軸Aに並行に延伸する。定義されたリラクタンス力を発生するために、それぞれの永久電磁石107、207は、望ましくは、それぞれ第1および第2の磁石104、105または204、205が配列された2つの離間した素子102、202を備える磁束誘導構造102、202を備えるので、それぞれ第1および第2の磁石104、105または204、205が、それぞれの磁束誘導構造102、202の両方の素子102、202に接触するか、または磁束を誘導する態様で両方の素子102、202に接続される。さらに、各素子102、202は、それぞれの部材101、201に面する面側102a、202aを備え、面側102a、202aは、それぞれの部材101、202とギャップG1、G2を形成する。
【0050】
特に、前記2つの素子102、202は、それぞれの永久電磁石107、207のそれぞれのコイル103、203のコイル軸Cの方向に互いに面している。また、ここでは、粗調整(coarse tuning)のために、第1レンズアセンブリに関して図4(A)乃至(B)に示すように、光学ズーム装置1は、第1の永久電磁石107のコイル103に電流パルスを印加するように構成されるので、第1の電気永久磁石107の第1の磁石104の磁化M1は、第1の永久電磁石107の第2の磁石105の磁化M2と反対方向を指すか、または同じ方向を指し、または第1の永久電磁石107の第1の磁石104を消磁して、第1の永久電磁石107の第1の磁石104が必須的に消磁する。
【0051】
図4(A)に示すように、第1のコイル103に適切な電流を印加することにより、第1の永久電磁石107の第1の磁石104が消磁されると、第1の部材101は、第1の部材101上の第1のバネ構造81により抽出された反力(counterforce)に対して中間位置に移動される。ここでは、第2の磁石105の残りの磁化M2により、第1の部材101を第1の永久電磁石107から押し離そうとする第1のバネ構造81によりバランスが取られるリラクタンス力(ギャップG1を介した円形磁束」により)が依然としてある。さらに、磁化M1が第2の磁石105の磁化M2と反対方向を指すように、第1の永久電磁石107の第1の磁石104がコイル103に印加された電流パルスにより磁化されると、第1の部材101は、第1の部材101上の第1のバネ構造81により抽出された力の方向の第1の位置に移動される。ここで、2つの磁石104、105は、反対方向に磁化されるため、磁束はギャップG1を介して流れない。その結果、第1のバネ構造81は、第1の部材101を永久磁石107から離れて第1の位置に押圧する。
【0052】
さらに、磁化M1が、第1の永久電磁石107の第2の磁石105の磁化M2と同じ方向を指すように、第1の永久電磁石107の第1の磁石104が対応する電流パルスにより磁化されると、より強いリラクタンス力により第1の部材101上の第1のバネ構造81により抽出される反力(counterforce)に対して、第2の位置に移動される(磁束は、第1の部材を介してギャップG1を介して流れ、ギャップG1を最小にする傾向がある)。また、ここでは、焦点距離の微調整は、第1の磁石104の磁化M1を変化させないコイル103により、小さな電流(上記参照)を印加することにより達成することができる。この結果得られる変更された磁束は、その粗調整された位置(すなわち、第1、第2または中間位置)の周りに第1の部材を移動可能にする。上述した永久電磁石107、207の他に、他の構成も図1乃至5に関連した上述した実施形態に使用することができる。
【0053】
特に、図11A)乃至M)は、そのような代替永久電磁石107、207の異なる構成を示す。以下の記述では、第1の永久電磁石のみが描画されていることに留意する必要がある。第2の永久電磁石207は、同様に形成することができる。さらに、図12A)乃至M)において、第1の部材101は、第1のリザーバ51の弾性的に変形可能な壁501に接続され、一方、第1(第2)の永久電磁石107(207)は、ホルダ73に接続される。
【0054】
図11A)によれば、永久電磁石107は、磁石104、105に接続された磁束誘導構造102を備え、磁束誘導構造102は、第1のリザーバ51の弾性的に変形可能な壁501の第1の部材101とそれぞれのギャップG1を形成する。ここでは、特に、磁束誘導構造は、間に前記第1の磁石104と前記第2の磁石105が配列された、互いに離間した2つの磁束誘導素子102を備え、各磁石104、105が両方の素子102と接触し、各素子102は、第1の部材101に面する面側102aを備え、面側102aは、第1の部材101とギャップG1を形成する。特に、第1の磁石104は、単にコイル103により囲まれ、第1の磁石104の飽和保持力は、第2の磁石105の飽和保持力より小さい。
【0055】
図11A)乃至11L)に示す永久電磁石107の動作原理は、図11A)を用いて容易に説明することができる。第2の磁石105の第2の磁化M2が右を指す場合、図11Aに示すように、第1の磁石104の磁化MIも右に切り替えると、素子102を介して誘導される磁束を右側に生成し、磁束誘導部材(第1の部材)101を、磁束誘導構造の他の素子102(左側)に戻す。これは、ギャップG1を最小にしようとするリラクタンス力を発生する。磁化M1、M2が逆平行になるように第1の磁石104の磁化M1を切り替えると、リラクタンス力が消失するように構造102内の磁束が閉じる。第1の磁石M1の切り替えは、電流パルスを、第1の磁石104を取り巻くコイル103に印加することにより達成することができる。有利なことに、エネルギは、第1の磁石104の磁化M1の方向に切り替える場合にのみ必要であり、切り替えた方向に維持するためには必要でない。従って、ここに記載したアクチュエータ107は、かなりの量のエネルギを節約する一連の電流パルスにより駆動することができる。特に、両方の磁石104、105は、それらの磁化M1、M2が平行または逆平行のいずれかであり、必須的に第1の部材101の平面に延伸するように配列される。
【0056】
代替的に、(図11D)参照)下部では、第1の部材101は、二重矢印によって示される方向に傾斜運動(tilting movement)を生成するために、前記磁化に対して垂直に延びることもできる。これは、また、第1のリザーバ51の圧縮または伸張をもたらすことができる。図11B)に示すように、コイル103は、また第2の磁石105を取り囲む。さらに、図11B)は、また、コイル103の一部または別個のコイルが磁束誘導素子102の一部の周りに巻回されることを示す。さらに、第2の磁石105は、別個のさらなるコイル103a(図11C参照)により囲まれることができる。
【0057】
さらに、図11D)に示すように、少なくとも1つのさらなる永久磁石132を第1の部材101に取り付けることができる。磁石132を備えた第1の部材101が非常に接近していない場合、磁力(双極子-双極子相互作用)が支配的である。磁石132が永久電磁石107に非常に近接している(例えば、1mmより小さい)場合、永久電磁石107をオンにすると、双極子-双極子相互作用を発生し、永久電磁石107がオフの場合、素子102方向へのリラクタンス力が発生される。双極子-双極子相互作用/力は、磁石132および永久電磁石107の分極に依存して反発または引きつけることができる。力の方向は、場勾配(field gradient)に依存する。少なくとも1つの磁石132が2つの素子/プレート102の間に位置する場合、主として、機械モーメントが、それぞれ磁石132(複数の場合もある)と部材101に作用する。双極子-双極子相互作用または/およびメカニカルスプリングと結合されたリラクタンス力を用いて、部材101の安定した停止点を作り出すことができる。さらなる利点は、永久電磁石の切り替えの期間に部材101への力の衝動(force impulse)の欠如によるノイズの低減であり得る。
【0058】
さらに、図11E)に示すように、そのような永久磁石132は、また、前記部材101に配列された永久磁石132と反発するように相互作用するように永久電磁石107の非磁性サポート(例えばホルダ)73に取り付けることもできる。前記1つまたはいくつかの永久磁石132は、また、部材101のモーメントを強化するのに使用することもできる。
【0059】
図11F)および11G)によれば、第1の磁石104は、または第2の磁石の周りに円周方向に延伸することができ、単一コイル103は、両方の磁石(図11F)を取り囲むか、またはさらなるコイル103aが内部の第2の磁石105を取り囲むので、外部コイル103は、また更なるコイル103a(図11G参照)を取り囲む。
【0060】
さらに、図11H)によれば、永久電磁石107は、磁束誘導部材101の第1および第2の部材1011、1012間に配列することができるので、永久電磁石107は、部材1011および1012と、2つのギャップG1およびG11を形成することができる。したがって、第1の部材101は、永久電磁石107がオンになると、部材1011、1012が電気永久磁石107に近接することに依存して、両方の側から永久電磁石107に引き付けることができる。したがって、2つの接触点(touching)または2つの安定点に到達できます。
【0061】
さらに、図11I)に示すように、永久電磁石107は、さらなる第2の磁石105を備えることができ、第1の磁石104は、2つの第2の磁石105の間に配列され、第1および2つの第2の磁石104、105は、単一の磁束誘導/プレート102上の底側に配列される。個々では、第1および2つの第2の磁石104、105は、各々上側104a、105aを備え、上側は、第1の部材101に取り付けられた永久磁石132とギャップG1を形成し、磁束誘導領域101であり得るが、非磁性でもあり得る。ここで、特に、硬質の第2の磁石(大きな保磁力)105は、永久磁石132と比較して反対方向に磁化される(図11I)を参照)。
【0062】
さらに、図11J)に示すように、第1の磁石104は、第2の磁石105を取り囲み、第1と第2の磁石104、105は、間に第1と第2の磁石104、105が配列された、外側部(lateral portion)102pを備えた磁束誘導構造102上の底側に配列される、第1と第2の磁石104、105は、各々対向する上側104a、105aを備え、第1の磁石104の上側104fは、第2の磁石105の上側105aをカバーする。特に、前記外側部102pは、前記第1の部材101(磁束誘導部材)とギャップG1を形成する。
【0063】
さらに、図11K)において、第1の磁石104は、第2の磁石の上側105aをカバーしない。ここでは、2つの磁石104、105は、単に2つの磁石104、15の底側が単一の磁束誘導構図/プレート102に配列され、一方第1の磁石104と第2の磁石105の上側104a、105aは、第1の部材101(磁束誘導領域101であるが、非磁性でもあり得る)に取り付けられた永久磁石132とギャップG1を形成する。特に、永久磁石132と第2の磁石105は、反発力を発生するように取り付けられる。最後に、図30L)は、別個の磁束誘導構造102を伴わない構成を示す。
【0064】
ここでは、第1の磁石104は、再び第2の磁石105を取り囲み、第1と第2の磁石804、805は、各々上側104a、105aおよび対向する外側104b、105bを備え、第1の磁石104の上側804aは、第2の磁石105の上側105aをカバーし、第1の磁石104の底側104bは、第2の磁石805の底側105bをカバーするので、第2の磁石105は、完全に第1の磁石104により取り囲まれ、第2の磁石104の上側104aは、第1の部材(例えば磁束誘導部材)の第1の部分101とギャップG1を形成し、一方第1の磁石104の底側104bは、第1の部材101の第2の部分1012とギャップG11を形成する。また、ここでは、部材101は、永久電磁石107がオンになったとき、どの部分1011、1012が電気永久磁石107により近接しているかに応じて両側から永久電磁石107に引きつけることができる。したがって、再び、2つの接触点または2つの安定点に到達することができる。
【0065】
特に、図11A)乃至11L)において、第2の磁石105の磁化は、上方向または下方向を指す。第1の磁石104の磁化M1は、電圧源とコイル103、特に、第2の磁石(複数の場合もある)105の固定された磁化M2に平行または逆平行のいずれかである、さらなるコイル103aにより切り替えることが可能である。加えて、コイル103aを使用して第2の電磁場を生成し、結果として生じる場全体を微調整することができる。さらに、このコイルは、検知目的に使用でき、永久電磁石107のスイッチング中に磁束を維持することによりノイズを低減するのに役立たせることができる(101に大きな力パルスはない)。さらに、特に、磁束誘導部材101は、鋼、ばね鋼、コバルト鉄軟磁性合金、例えば、パーメンジュール(permendur)、ハイパコ(hyperco)などの軟磁石/磁束誘導材料から形成することができる。
【0066】
さらに、図11M)によれば、第2の磁石105は、リング磁石105であり得、ここでは、第1の磁石104は、コイル103で囲まれ、前記コイル103を囲む円周方向壁102pを備えた磁束誘導構造102の底部に配列される。さらに、リング磁石105の中央開口部は、磁束誘導素子102mで充填され、その下に第1の磁石104が配列される。コイル103は、リング磁石105bの下部に配列される。ここに記載した永久電磁石107、207は図6に示す力と距離の関係からわかるように焦点調節可能なレンズ31、32をアクチュエートするのによく適している。さらに、それぞれのコイル103、203に印加された電流と図7に示す結果として生じる力との間の線形関係は、永久電磁石107、207は、特にそれぞれの部材101、102の位置を微調整するのに適している。
【0067】
図8に示すように、そのような微調整は、可能である。なぜならば、十分に小さな電流は、それぞれのコイル103、203に印加することができるので、第1の磁石104、204の磁化M1は変化されないが、それぞれのコイル103、203により発生された対応する磁界による第1および第2の部材101、201の位置の微調整を可能にする。
【0068】
更に、図9に示すように、第1の磁石104、204の磁化は、印加された電圧パルス(図9(A)および(C))の期間パルスを増加させることにより制御することができ、または、パルス期間を一定に維持しながら(図9(B)および(D))印加されたパルス電圧の大きさを増加することにより制御することができる。
【0069】
さらに、ノイズリダクション(noise reduction)は、図10(A)および10(B)に示すように印加された電圧のパルス幅変調(PWM)またはローパスフィルタリングを用いることにより達成することができる。さらに、この発明による光学デバイス1のすべての実施形態は、光学画像安定化機能を備えることができる。ここでは、光学ズーム装置1は、イメージセンサIを備えるので、2つのレンズアセンブリ2、3を介して光学ズームデバイス1の光路に沿って通過する光Lは、イメージセンサIに衝突し、画像を形成する。
【0070】
特に、イメージセンサIは、光学画像を安定化するためにイメージセンサIの拡張面に移動するように構成されることができる。画像センサIのそのような動きは、光学ズーム装置1が突然の望ましくない動きを受けるときの画像の望ましくないシフトを補償するために使用することができる。
【0071】
特に、図12および13に示すように、光学ズームデバイス1は、光学ズームデバイス1の光路に配列されたプリズム301を備えることができ、プリズム301は、プリズム304を介して通過する光ビームLを偏向し、イメージセンサ(I)に衝突させて光画像の安定化を提供するように傾斜させる(tilt)ように構成することができる。プリズム301を傾斜させるために、後者は、磁石302が取り付けられたジンバル302に取り付けることができる。磁石303とジンバル302とプリズム304は、基板304に集積されたコイル305(例えば、印刷回路基板に埋め込まれたキドニーコイル(kidney coils))により発生されたロレンツ力により2つの独立した軸の周りを傾斜することができる。ホールセンサ306は、磁石303の位置を検出するように使用することができる。ホールセンサ306の対応する信号は、磁石302の位置を示し、プリズム301のチルト動作(tilting)を制御するフィードバック信号として使用することができる。
【0072】
代替的に、調整可能なプリズムを使用することができる。調整可能なプリズムは、2つのフラットな光の窓により囲まれた流体を構成する2つの窓を互いに傾斜させることにより、2つの窓間の角度が変化され、それゆえ調整可能なプリズムが生成される。次に、これは、調整可能なプリズムを通過させて光をシフトし、それゆえ光画像安定化素子として作用する。代替的に、光ズームデバイスは、光軸Aに対して垂直に移動可能なレンズを備えることができる。移動可能なレンズは、可動レンズを通過する光ビームを偏向し画像センサに衝突させて光画像安定化を提供するように構成される。
【0073】
図14(A)-(D)は、図15と併せて、この発明による光学ズームデバイス1の代替実施形態を示す。図14(A)-(D)は、3つの異なる状態におけるデバイス1の第1のレンズアセンブリ2を示し、すなわち、第1の位置(図14(A))と、中間位置(図14(B))と、第2の位置(図14(C))に配列された第1の部材101を示す。図14(D)は、上述したように第1のレンズアセンブリ2に類似して設計することができる第2のレンズアセンブリ3を示す。ここでは、第2の部材201の第2の位置のみが示される。
【0074】
図15は、図14に示す光学ズームデバイスの第1/第2の部材101、202の上面図を示す。図14および15に従う光学ズームデバイス1は、上述したように構成することができ、上述した実施形態とは対照的に、第1及び第2の部材101、202は、特に、ピストンとして形成され、永久電磁石と相互作用しない。代わりに、それぞれの部材101、202は、関連する形状記憶合金120、220と関連するスプリング81、82により移動され、それぞれのスプリング81、82は、それぞれの部材101、201をホルダ73、例えば、関連するフレーム901、902に接続する板バネでありえる。
【0075】
さらに、それぞれの形状記憶合金120、220は、それぞれのスプリング81、82をそれぞれのフレーム901、902に接続する。光学ズームデバイス1は、それぞれのプリズム/部材101、201を、図14(A)乃至(C)に示すそれぞれの位置に移動するようにそれぞれの形状記憶合金120、220を介して電流を印加し、それぞれの焦点調節可能なレンズ31、32の曲率調節可能なエリア61a、62aの変形を制御するように構成される。非アクチュエート位置において、それぞれの板バネ81、82は、それぞれのピストン101、201が最も低い(第1の)位置にあり、レンズ31、32をその最も出っ張った位置に押し込むように形成される。電流が増加すると、それぞれの形状記憶合金120、22は、収縮し、それゆえ、それぞれの板バネ81、82を上方向に傾ける。それぞれの板バネ81、82に接続されたそれぞれの位置101、201は、それゆえ、上方向に押されレンズはフラットになるか、または窪んだ(図14(B))中央位置になる。

図1(A)】
図1(B)】
図1(C)】
図2
図3
図4(A)】
図4(B)】
図4(C)】
図5
図6
図7
図8
図9
図10(A)】
図10(B)】
図11-1】
図11-2】
図11-3】
図11-4】
図11-5】
図12
図13
図14
図14(D)】
図15