(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】改善された潤滑回路を備える内燃機関
(51)【国際特許分類】
F01M 3/00 20060101AFI20230104BHJP
F04C 11/00 20060101ALI20230104BHJP
F04C 15/06 20060101ALI20230104BHJP
F01M 11/10 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
F01M3/00 D
F04C11/00 C
F04C15/06 A
F01M11/10 F
(21)【出願番号】P 2020521446
(86)(22)【出願日】2018-10-15
(86)【国際出願番号】 IB2018057964
(87)【国際公開番号】W WO2019077463
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】102017000117886
(32)【優先日】2017-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512185877
【氏名又は名称】ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Rinaldo Piaggio, 25, I-56025 Pontedera, PI,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ・ガッティ
(72)【発明者】
【氏名】アドリアーノ・マゲリーニ
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-019531(JP,A)
【文献】特開平09-317431(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0245050(US,A1)
【文献】特開2009-197796(JP,A)
【文献】特開2019-052615(JP,A)
【文献】実開平5-027329(JP,U)
【文献】特開2010-151011(JP,A)
【文献】特開2009-091989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 1/02
F01M 11/00
F04C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(4)であって、
クランクシャフト(12)にトルクを供給できる可動部(13,14,15,16,18)に接続されたクランクシャフト(12)を収納するクランクチャンバ(8)と、
前記クランクシャフト(12)及び/または前記可動部(13,14,15,16,18)に潤滑油を差すように構成された潤滑回路(20)と、
前記潤滑油を集めるための油受け(24)と、を備え、
前記
内燃機関(4)は、前記油受け(24)から前記クランクチャンバ(8)を分離する分離隔壁(32)を備え、
前記潤滑回路(20)は、第1のオイルポンプ(36)と第2のオイルポンプ(40)を備え、
前記第1のオイルポンプ(36)は、吸引で前記クランクチャンバ(8)と流体接続され、排出で前記油受け(24)と流体接続され、前記第2のオイルポンプ(40)は、前記潤滑回路(20)によって、吸引で前記油受け(24)と流体接続され、排出で前記クランクチャンバ(8)と流体接続され、前記クランクチャンバ(8)に前記油を再導入し、前記可動部(13,14,15,16,18)に油を差し、
前記クランクチャンバ(8)は、前記第1のオイルポンプ(36)の吸引側から前記油を集めるような形状にされたオイルスクレーパフィン(64)を備え
、
前記オイルスクレーパフィン(64)は、前記クランクシャフト(12)のカウンタウェイト(16)をかするように、前記カウンタウェイト(16)と反対の形状にされている、内燃機関(4)。
【請求項2】
前記第1及び第2のオイルポンプ(36,40)は、互いに直列に配置されている、請求項1に記載の内燃機関(4)。
【請求項3】
前記第1及び第2のオイルポンプ(36,40)は、前記第1のオイルポンプ(36)の排出流量(P1)が、前記第2のオイルポンプ(40)の排出流量(P2)より少ないような大きさである、請求項1または2に記載の内燃機関(4)。
【請求項4】
前記第1のオイルポンプ(36)は、
前記分離隔壁(32)の底部(60)に集められた前記油の第1の吸引ダクト(44)を有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の内燃機関(4)。
【請求項5】
前記第2のオイルポンプ(40)は、前記第1のオイルポンプ(36)と同軸である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の内燃機関(4)。
【請求項6】
前記第1及び/または第2のオイルポンプ(36,40)は、容積型ポンプである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の内燃機関(4)。
【請求項7】
前記第1及び/または第2のオイルポンプ(36,40)は、ローブ式容積型ポンプである、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の内燃機関(4)。
【請求項8】
前記第1及び第2のオイルポンプ(36,40)は、動作手段(76)に動作可能なように接続された
駆動軸(72)上に
設けられた羽根(68)を備える、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の内燃機関(4)。
【請求項9】
前記オイルスクレーパフィン(64)は、動作中の前記クランクシャフト(12)の回転の方向に対する油の広がりに障壁を作り出すように配置される、請求項1に記載の内燃機関(4)。
【請求項10】
前記油受け(24)は、前記クランクチャンバ(8)の下に設置される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の内燃機関(4)。
【請求項11】
前記油受け(24)は、前記内燃機関(4)の残りと接続する、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の内燃機関(4)。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の内燃機関(4)を備えるオートバイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された潤滑回路が装備された内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、潤滑回路は、内燃機関の適切な機能を確実にするための本質的な部分である。
【0003】
実際に、内燃機関の可動部に潤滑がないまたは不足する場合、可動部の差し押さえを引き起こし、指数関数的に摩耗を増加し及び/または著しく継続時間と信頼性を減らす。
【0004】
潤滑回路は、本質的に常に油の薄膜で潤滑される必要がある全ての固定または可動部に圧力をかけられた油を送るオイルポンプを備える。
【0005】
ウエットケースシステムにおいて、ポンプは、通常油受けにまたはその隣に設置される。油受けは、機関の内側に循環する全ての油を重力によって集めるように、クランクチャンバと連通し、その下に配置される。ポンプによって、油は、機関に再導入される。
【0006】
この解決法は欠点がないわけではない。
【0007】
実際に、油は、油受けに重力によって落ち、ここからオイルポンプによって再導入されるので、建設的な視点から全く単純である一方で、他方において、クランクチャンバの可動部によって放出された熱を直接に受けるので、油受けの油は、熱期間の高いストレスを加えられる。
【0008】
さらに、当該可動部は、クランクチャンバにおいて、燃焼ガスと混合される油蒸気の存在を増加することによって油を変質する傾向がある。この態様は、ガスをエンジンの吸入に再導入する前に、ガスから油を効率的に分離するための、遠心タイプの特別な油蒸気回収装置を用いる必要を必然的に伴う。
【0009】
潤滑油は、機関を適切に機能させるための本質的な要素であり、その加熱によって、急速な劣化を引き起こし、著しく潤滑力を減らす。これにより、油の変化時間を減らし、またパワートレイン性能を減らす。
【0010】
これらの問題を解決するために、例えば、クランクチャンバの可動部によって構成される加熱源からできるだけ油を遠ざけるように油受けの大きさを大きくすることが知られている。この解決法は、しかしながら、特にオートバイの分野で、常に受け入れるわけではない大きさの増加を必然的に伴う。
【0011】
油温度の増加を制限するために、潤滑油に特有の熱交換ラジエータを追加することも知られている。しかしながら、この解決法は、全体の大きさと回路のコストの両方を増加し、さらにオートバイの分野で、さらに一層、審美と大きさの外観の制限がある。
【0012】
これらの温度の問題を解決するために、油がクランクチャンバから完全に分離してタンクに集められ、しばしばその上に置かれるドライケース解決法も知られている。
【0013】
ポンプは、潤滑回路に油を送り、ドライケースの内側に置かれる。
【0014】
しかしながら、この解決法は、まだ、大きさの不利を有し、しばしばオートバイの分野で適用可能でなく、利用できる空間は、大きく減らされる。
【発明の概要】
【0015】
したがって、従来技術を参照して言及された欠点及び制限を解決する要求が感じられる。
【0016】
そのような目的は、請求項1に記載の内燃機関によって達成される。
【0017】
本発明のさらなる特性と利点は、その好ましい及び非限定の実施形態を有して以下に与えられる記載からさらに明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の1つの実施形態による改善された潤滑回路が設けられた内燃機関の概略図を示す。
【
図2】本発明の1つの実施形態による内燃機関の部分の、異なる断面平面に沿った、部分断面図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態による内燃機関の部分の、異なる断面平面に沿った、部分断面図である。
【
図4】本発明の1つの実施形態による内燃機関の部分の、異なる断面平面に沿った、部分断面図である。
【
図5】本発明によるオイルポンプの異なる角度からの概略斜視図を示す。
【
図6】本発明によるオイルポンプの異なる角度からの概略斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に記載される実施形態に共通の要素及び要素の部分は、同じ符号を用いて示されるであろう。
【0020】
前述の図を参照しながら、符号4は、全体に、本発明による内燃機関の概略全体図を意味する。
【0021】
本発明の目的のために、内燃機関と言う用語は、広い意味で当該カテゴリにおいて、8サイクル内燃機関、ディーゼルサイクルエンジン及びロータリエンジン(Wankel)を含む、内燃機関の全てのタイプまたは構造を備えると、考えられることを特定されるべきである。
【0022】
さらに、機関のタイプは、当該機関が取り付けられた車両のタイプに決して関係しない。
【0023】
予想通り、本発明は、大きさ、重さ、構造に関して極めて限定的な制限によって特徴付けられたオートバイにおいて特別な利点を有するが、一般に自動車、工業車両及び原動機の付いた車両に適用できる。
【0024】
用語オートバイは、少なくとも2つの車輪、すなわち前輪及び後輪を有するオートバイを意味すると解釈される。そのような定義は、それゆえ例えば、車両の前に2つの組のステアリングホイールと後の車軸に1つの駆動ホイールの3つの車輪を有するオートバイだけでなく、車両の前に1つのステアリングホイールと後の車軸に2つの駆動ホイールを備えるオートバイも含む。最後に、そのようなオートバイの定義は、また、車両の前に2つの車輪と後の車軸に2つの車輪を有するいわゆるクワッドバイクを含む。
【0025】
内燃機関4は、既知の方法で、クランクシャフト12にトルクを供給することができる可動部に接続された当該クランクシャフト12を収納するクランクチャンバ8を備える。
【0026】
例えば、可動部は、コネクティングロッドヘッド15においてロッド14によってクランクシャフト12に接続されるピストン13、ピストンマス13の往復直線運動のバランスを取るのに役立つカウンタウエイト16及びクランクシャフト12のクランクまたはエルボ18を備える。
【0027】
内燃機関4はさらに、コネクティングロッド14、クランクシャフト12、カムシャフト(図示せず)などの相対ブッシングをとくに参照して、当該クランクシャフト12及びまたは当該可動部13,14,15,16,18に潤滑油を差すように構成された潤滑回路20を備える。
【0028】
本発明の目的のために、当該潤滑油の作用によって潤滑され及び/または冷却される必要がある内燃機関4の全ての可動または固定部に圧力をかけられた油を送ることができるように、お互いに流体接続された複数のダクトを備える潤滑回路20のタイプ、構造または大きさは、重要ではない。
【0029】
内燃機関4は、当該潤滑油を集めるための油受け24を備える。
【0030】
特に、油受け24は、潤滑回路20に連続して循環される潤滑油の収集タンクを構成するように、クランクチャンバ8の下の内燃機関4の下部に配置される。
【0031】
油を冷却する目的のために、油受け24は冷却フィン30が装備された閉じたケース28を有する。
【0032】
有利に、内燃機関4は、油受け24からクランクチャンバ8を分離する分離隔壁32を備える。
【0033】
油受け24は、単一体を形成するように、内燃機関4の残りと接続される。油受け24は、クランクチャンバ8の下に配置されることが好ましい。
【0034】
分離隔壁32は、少量の油が、冷えたときに油の液面を制御することを容易にするために、クランクチャンバ8から油受け24に重力によって流れることができるように、クランクチャンバ8と油受け24の間に1またはそれ以上の連通穴を備えるので、クランクチャンバ8と油受け24の間の分離は、必ずしも密閉する必要がない。当該少量は、以下に記載されるように、第1のオイルポンプ36によってクランクチャンバ8から油受け24に移動される油の量未満である。いずれの場合でも、分離隔壁32は、著しくクランクチャンバ8から油受け24への直接の熱放射を遮断するので、より以下に記載されるように、クランクシャフトの回転によって作り出されるクランクチャンバのガス/蒸気と油の混合を防ぐ。
【0035】
有利に、潤滑回路20は、第1のオイルポンプ36と第2のオイルポンプ40を備える。
【0036】
第1のオイルポンプ36は、吸引でクランクチャンバ8と流体接続され、排出で油受け24と流体接続される。
【0037】
第1のオイルポンプ36とクランクチャンバ8の間の流体接続は、第1の吸引ダクト44による一方で、第1のオイルポンプ36と油受け24の流体接続は、第1の排出ダクト48による。
【0038】
第2のオイルポンプ40は、潤滑回路20によって吸引で油受け24と流体接続し、排出でクランクチャンバ8と流体接続し、機関の潤滑回路20に圧力をかけられた油を再導入する。
【0039】
特に、第2のオイルポンプ40と油受け24の間の流体接続は、第2の吸引ダクト52による一方で、第2のオイルポンプ40とクランクチャンバ8の間の流体接続は、第2の排出ダクト56による。
【0040】
クランクチャンバ8と油受け24のこの特定の配置は、油受け24の高さ、したがって、機関の全体の垂直の大きさを減らすことができる。
【0041】
第1のオイルポンプ36と第2のオイルポンプ40は、お互いに直列に配置されることが好ましい。
【0042】
当該第1及び第2のオイルポンプ36,40は、第1のオイルポンプ36の排出流量P1は、第2のオイルポンプ40の排出流量P2より少ないような大きさにされることが好ましい。
【0043】
1つの実施形態によると、第1のオイルポンプ36は、当該分離隔壁32の底部60の近くの油の第1の吸引ダクト44を有するように、当該分離隔壁32の近くに配置される。
【0044】
当該底部60は、クランクチャンバ8におけるその収集と第1の吸引ダクト44によるその吸引を容易にするために、ある種の油収集ウエルを示すような形状にされることが好ましい。
【0045】
実際に、見られるように、クランクチャンバ8の内側に集められた油の体積は、油受け24の内側に集められた油の体積より著しく少ない。この理由のために、分離隔壁32の近くの油のこの小さな体積の収集と続く吸引を容易にする一連の方法を選ぶことが好ましい。
【0046】
そのような目的に、クランクチャンバ8は、第1のオイルポンプ36の吸引側から油を集めるような形状にされたオイルスクレーパフィン64を備える。
【0047】
例えば、
図2で見られるように、オイルスクレーパフィン64は、ほとんどカウンタウエイト16をかするように、クランクシャフト12のカウンタウエイト16に対して、実質的に反対の形状にされる。
【0048】
オイルスクレーパフィン64の目的は、クランクチャンバ8の内側の油の制御できないこぼれを避け、かわりに第1のオイルポンプ36に流体接続される第1の排出ダクト48の側面に分離隔壁32の底部60のその収集に有利に働くことである。
【0049】
見られるように、当該オイルスクレーパフィン64は、動作中にクランクシャフト12の回転の方向に対して、油の広がりに障壁を作り出すように配置される。
【0050】
例えば、クランクシャフト12に垂直な断面平面において、オイルスクレーパフィン64と第1の吸引ダクト44は、当該クランクシャフト12に対して反対の側面に配置される。さらに、クランクシャフト12の回転方向に対して、クランクシャフトのカウンタウエイト16は、第1に第1の吸引ダクト44、その後オイルスクレーパフィン64を角ばって掃き、それにより第1の吸引ダクト44の側面にエンジンオイルを保持する。
【0051】
可能な実施形態によると、第2のオイルポンプ40は、単一の駆動モータを使用できるように当該第1のオイルポンプ36と同軸である。
【0052】
当該第1及び/または第2のオイルポンプ36,40は、容積型ポンプであることが好ましい。
【0053】
例えば、当該第1及び/または第2のオイルポンプ36,40は、ローブ式容積型ポンプであることが好ましい。
【0054】
明白に、本発明の目的のために、他のタイプのオイルポンプ36,40を用いることができ、特に容積型ポンプが好ましい。
【0055】
当該第1及び第2のオイルポンプ36,40は、動作手段76に動作可能なように接続された、当該駆動軸72上に適合された羽根68を備える。
【0056】
動作手段76は、クランクシャフト12が回転するときはいつでも潤滑を確実にするように、クランクシャフト12に接続されることが好ましい、ストラップ、チェーン、単一のまたは直列のギアなどを備える。
【0057】
本発明による内燃機関の機能は、ここから記載されるであろう。
【0058】
特に、内燃機関4の動作の間、第1のオイルポンプ36は、第1の吸引ダクト44を通って、分離隔壁32の下のクランクチャンバに重力によって集められる油を吸引する。
【0059】
見られるように、エンジンオイルは、また第1の吸引ダクト44の近くのモータオイルの蓄積を容易にするように、クランクシャフト12の回転方向に対して適切に配置されたオイルスクレーパフィン64の作用によって集められる。
【0060】
この油は、既知の方法で、全ての固定及び/または可動部に潤滑油を差し、及び/または冷却することができるように、第1のポンプ36によって油受け24に送られ、ここから、第2の吸引ダクト52によって次に送る第2のオイルポンプ40から第2の排出ダクト56を通って、潤滑回路20に吸引される。
【0061】
見られるように、クランクチャンバ8において分離隔壁32において集められる油の体積は、油受け24に存在する油の体積よりかなり小さいので、第2のオイルポンプ40の排出流量P2は、第1のオイルポンプ36の排出流量P1より大きい。
【0062】
非常に少量の油がクランクチャンバ8に集められる事実によると、そのような油は、例えばクランク18またはクランクシャフト12のカウンタウエイト16など可動部の打撃によって混合現象を受けない。
【0063】
2つのオイルポンプ36,40は、単一駆動とまた全体の大きさを減らすように、同じ駆動軸72上に適合されることが好ましい。
【0064】
油は、クランクチャンバ8に打撃され、混合されず、したがってクランクチャンバ8に存在する吹き抜けガスと混合する傾向がない。
【0065】
この理由のために、エンジンの吸引側に再注入される前に、シンプルラビリンスに当該吹き抜けガスを通すことができる。
【0066】
記載から理解されるように、本発明は、従来技術で述べられた欠点を克服することができる。
【0067】
特に、油受けとクランクチャンバの分離によって、油は、受ける放射が少なく、受ける混合が少なく、したがって受ける加熱が少ない。
【0068】
実際に、クランクチャンバで集められ、連続加熱作用を受ける油の量は、油受けに落ちる全ての油が発散する従来技術の解決法と比べて著しく減らされる。
【0069】
油は、温かい本体から熱を受けること、干渉する及び潤滑油を差す可動部によって機械的に圧力を与えられることの両方により、加熱される。クランクチャンバの油の量を減らすことは、可動部の「機械作用」による加熱を防ぐ。
【0070】
油の動作温度を減らすことにより、後者は、従来の解決法より少ない圧力を与えられる。結果として、同じ機関動作のために、油は、相対置換間隔が長くされ、パワートレインの性能が増加されることにより、受ける劣化が少ない。
【0071】
実験的な試験から、エンジンの同じ出力とタイプにおいて、本発明の解決法は、平均10℃の油温度を減らすことができることを証明した。
【0072】
さらに、クランクチャンバで集められた油の量が、従来の解決法に比べて著しく減らされる事実によると、油は、可動機械部の作用による混合現象を受けない。この場合においても、油は、相対置換間隔が長く、パワートレインの性能が増加されることにより、受ける劣化が少ない。
【0073】
さらに、油が実質的に混合されないことにより、吹き抜けガスで混合される油の量が著しく減少するので、遠心油蒸気回収装置の排除ができ、より単純で、安いラビリンスを優先する。
【0074】
全体の大きさを減らすように同軸の位置に2つのオイルポンプを設置し、従来の、単一のオイルポンプ解決法の大きさ内に収めることさえできる。
【0075】
さらに、本発明の解決法は、油受けの大きさと規模を増やすことなく、過熱する油の問題を解決することができる。この態様は、特にオートバイの分野で役立ち、利益がある。
【0076】
さらに、ドライケースシステムによる複雑さ及び特別な油ラジエータの使用を含む従来の解決法の重さとコストの増加は、回避される。
【0077】
当業者は、続く請求項によって定義される発明の保護の領域内に残したまま、付随する及び特定の要求を満たすように上記された機関とオイルポンプに非常に多くの改良とバリエーションを作ることができる。