(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】フライトレコーダーのメモリコアの熱絶縁
(51)【国際特許分類】
H01L 23/34 20060101AFI20230104BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
H01L23/34 A
H05K7/20 F
(21)【出願番号】P 2020523298
(86)(22)【出願日】2018-10-26
(86)【国際出願番号】 US2018057829
(87)【国際公開番号】W WO2019084483
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-10-20
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520103735
【氏名又は名称】エル3 テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワゲナー,ウィリアム エヌ.
【審査官】平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-149644(JP,A)
【文献】特開平09-024899(JP,A)
【文献】特表2011-524839(JP,A)
【文献】特開2005-039128(JP,A)
【文献】特開2001-313487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 1/00-85/00
B63J 1/00-99/00
B64B 1/00-1/70
B64C 1/00-99/00
B64D 1/00-47/08
B64F 1/00-5/60
B64G 1/00-99/00
H01L 23/29
H01L 23/34-23/36
H01L 23/373-23/427
H01L 23/44
H01L 23/467-23/473
H05K 5/00-5/06
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリコアと、
前記メモリコアを格納した内部チェンバーと、
前記内部チェンバーとの間に真空を有した状態で、前記内部チェンバーを格納した外部チェンバーと、
前記外部チェンバーの外側からの電源を前記メモリコアに選択的に接続及び非接続にするように構成された、前記外部チェンバー内の第1のリレーと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記外部チェンバーの外側から前記メモリコアへのファイバーオプティック信号経路を更に備える、請求項1のシステム。
【請求項3】
前記外部チェンバーの外側から前記メモリコアへの信号経路を選択的に接続及び非接続にするように構成された、前記外部チェンバー内の第2のリレーを更に備える、請求項1のシステム。
【請求項4】
前記メモリコアの集積回路から熱を除去するように構成された、前記内部チェンバー内のヒートシンクを更に備える、請求項1のシステム。
【請求項5】
前記内部チェンバー及び前記外部チェンバーが、円筒、同心の箱、又は同心の球体である、請求項1のシステム。
【請求項6】
前記内部チェンバーが、1つ以上の遮断サポートによって、前記外部チェンバーから離して設定される、請求項1のシステム。
【請求項7】
前記外部チェンバーが、ステンレス鋼又はチタニウムで構成される、請求項1のシステム。
【請求項8】
前記外部チェンバーの内部表面が、放射熱を吸収するように構成された材料で被覆された、請求項1のシステム。
【請求項9】
前記内部チェンバーが、ステンレス鋼又はチタニウムで構成される、請求項1のシステム。
【請求項10】
前記内部チェンバーの外部表面が、放射熱を反射するように構成された材料で被覆される、請求項1のシステム。
【請求項11】
水中ロケータービーコンを更に備える、請求項1のシステム。
【請求項12】
前記水中ロケータービーコンが、前記外部チェンバーの一端に配置される、請求項11のシステム。
【請求項13】
外部コアの周りに設けられた耐衝撃外殻を更に備える、請求項1のシステム。
【請求項14】
前記耐衝撃外殻が、アルミニウムハニカム構造を有する、請求項13のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々なシステムは、熱から適切に保護することによって恩恵を受けることができる。例えば、様々なフライトレコーダーシステムは、フライトレコーダーのメモリコアの熱絶縁から恩恵を受けることができる。
【背景技術】
【0002】
航空機が墜落した際、墜落に関する非常に重要な情報源の一つがフライトレコーダーである。したがって、実用性を備えるために、フライトレコーダーは、墜落しても残存可能なメモリを備えるように設計されている。
【0003】
業界の要求は、複数の長時間の音声及びビデオチャンネル、並びに他のデータに対応する、墜落しても残存可能な、より大きなメモリ容量を望む傾向にある。それと同時に、大型の商用メモリは、試験された場合、温度試験要件に合格するのが困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のある実施例によれば、システムは、メモリコアを含む。システムは、メモリコアを格納した内部チェンバーも含む。システムは、内部チェンバーとの間に真空を有した状態で、内部チェンバーを格納した外部チェンバーを更に含む。システムは、外部チェンバーの外側からの電源をメモリコアに選択的に接続及び非接続にするように構成された、外部チェンバー内の第1のリレーを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、本発明のある実施例による、真空保護メモリの実施例を示す。
【
図2】
図2は、本発明のある実施例による、真空保護メモリの更なる実施例を示す。
【
図3】
図3は、本発明のある実施例による、真空保護メモリの追加の実施例を示す。
【
図4A】
図4Aは、本発明のある実施例による、閉位置にある高絶縁回路を示す。
【
図4B】
図4Bは、本発明のある実施例による、開位置にある高絶縁回路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
発明の適切な理解のために、添付の図面を参照すべきである。
【0007】
本発明のある実施例は、規則が要求する温度試験に耐え得るフライトレコーダーに関する。そのような規則の一例が、EUROCAE ED-112A、「衝突保護型空中レコーダーシステムの最低動作性能仕様書」(Minimum Operational Performance Specification for Crash Protected Airborne Recorder Systems)である。
【0008】
例えば、本発明のある実施例は、真空を遮断媒体として用いて極度の温度からメモリを保護可能にする、フライトレコーダーメモリの概念に関する。したがって、本発明のある実施例は、要求された火炎試験に現在は耐えられない高容量メモリのテクノロジーを使用できるようにする。この高容量メモリのテクノロジーは、フラッシュメモリやソリッドステート記憶装置を例とするNVRAM等の不揮発性メモリ、EPROM、EEPROM、マスクROM、及びPROM等の読み出し専用メモリ(ROM)、並びにSRAM及びDRAM等の揮発性メモリを含むが、これらには限定されない。これらのメモリは全て、フライトデータを記憶している実際のチップではなくても、保護することができる。他の集積回路及びメモリが、データを記憶するために使用される電気回路全体の一部であるクラッシュサバイバブルメモリユニット(CSMU)に含められる場合もある。
【0009】
レコーダーのメモリアーキテクチャのコアは、1892年の発明で高い評価を得ているサー・ジェイムズ・デュワーにちなんで名づけられた、デュワーフラスコ又はデュワー瓶等のあらゆる所望の真空フラスコを使用できる。このアプローチを用いて、熱の伝導及び対流をほとんどなくすことができる。放射された熱は、銀めっき等の追加の技術、他の反射技術、又は他のあらゆる所望の技術を用いて、減らすことができる。
【0010】
一例示的実施例では、メモリ電子装置を内部コアに格納できる。内部コアを外部コアで取り囲んで、2つのコアを真空で分離できる。この真空による分離は、様々なやり方の何れでも実現可能である。
【0011】
例えば、内部コアに格納可能なメモリ電子装置を、直径がより大きな他の圧力容器に挿入し、封止してもよい。内部コアと外部容器の間の空間は、それらの間の空気を空にすることができる。他のアプローチとして、複数の同心の容器(例えば、円筒形の容器又は他のあらゆる所望の形状)を設け、両端を封止して、その間の空気を弁を通して吸い出してもよい。更なる実施例では、同心の容器(例えば、円筒形の容器、又は他のあらゆる所望の形状)のそれぞれの開口端を、真空空間内で電子ビーム溶接を用いて溶接することによって、円筒の間に真空を閉じ込めることができる。容器は円筒形である必要はないので、用途に特化した要件に合わせた多数の形状が使用可能である。
【0012】
メモリコアへの信号通信は、従来の銅配線によって電気的に行うことができる。これに代えて、ファイバーオプティックケーブルを使用することで、メモリコアに銅が侵入しないようにすることができる。メモリコアへの電源は、従来の配線で与えることができ、熱経路伝導絶縁のための技術を採用できる。この熱経路伝導絶縁のための技術は、磁界又は電界を介した電源伝達を含むが、これには限定されない。幾つかの具体例として、電磁誘導、電気力学的誘導、静電誘導、誘導結合、磁界共振誘導、マイクロ波電源、無線周波(RF)電源、及び光電源又はレーザー電源が挙げられる。
【0013】
図1は、本発明のある実施例による、真空保護メモリを示す。
図1に示すように、メモリ集積回路(IC)を備えた回路カードを、内部圧力容器内に取り付けることができる。この特定の実例では、内部圧力容器はステンレス鋼だが、他の材料でもよい。任意選択で、内部圧力容器を熱遮断材で作ってもよい。この熱遮断材は、セラミック遮断を含むがこれに限定されず、ガラス又は金属等の気密な(耐真空性の)外被で覆ってもよい。メモリには、ヒートシンクを設けることができるが、ヒートシンクも内部圧力容器内に配置可能である。
【0014】
内部圧力容器は、外部圧力容器内に格納することができる。外部圧力容器は、ステンレス鋼製として図示されているが、他の材料でもよい。1つ以上の密閉リレーが、内部圧力容器と外部圧力容器の間の真空で動作してもよい。このリレーで、熱流経路を絶縁することができる。外部圧力容器は、データ及び電源用の入力ポート、並びに圧力ポートを含むことができる。圧力ポートを使用して、容器の間から空気を除去することにより、内部圧力容器と外部圧力容器の間に真空を作り出すことができる。
【0015】
データ線及び電源線は図示しないが、データ及び電源用の入力から、内部圧力容器の内部データ/電源ポートに接続することができる。上述したように、1つ以上の密閉リレーを使用して、例えば電源線に対して、熱流経路を絶縁することができる。
【0016】
外部圧力容器の一端には、水中ロケータービーコンを取り付けることができる。この例では、水中ロケータービーコンは、データ及び電源用の入力とは反対側の外部圧力容器の端に配置されているが、水中ロケータービーコンを、データ及び電源用の入力と同じ端、又は外部圧力容器の他のあらゆる所望の場所、若しくは、当然ながら、
図1に示した真空保護メモリの構造体全体の他のあらゆる部分に設けてもよい。
【0017】
図2は、本発明のある実施例による、真空保護メモリの更なる実施例を示す。
図2に示すように、装置は、例えば、
図1に図示及び記載したように構成可能な真空保護メモリを含むことができる。
【0018】
図2に示すように、装置は、更なるポートを備えた耐衝撃シェルを更に含むことができる。更なるポートは、外部容器のデータ及び電源用入力電源ポートと同じ接続性を与えることができる。
【0019】
耐衝撃シェルは、真空保護メモリを、墜落時の力及び貫徹力から更に保護するように設計可能である。例えば、耐衝撃シェルは、その容器内に、アルミニウムハニカムサンドイッチ等の、あらゆる所望の構造体を備えた真空保護メモリモジュールを入れて、弾道貫通に対する抵抗力を与えることができる。
【0020】
この耐衝撃シェルの使用は、進歩的な保護理念と一貫させることができる。例えば、運動エネルギーの吸収をシェルで行って、この後に、火炎からの保護及び高い残存熱からの保護のために取り入れた、真空領域の確保等の技術を加えればよい。
【0021】
本発明のある実施例によれば、システムは、フライトレコーダー用のメモリコアを含むことができる。このメモリコアは、
図1及び
図2に示すような、メモリ集積回路等のあらゆる所望のメモリを含むことができる。
【0022】
システムは、メモリコアを格納した内部チェンバーも含むことができる。この内部チェンバーは、例えば、上述した内部圧力容器でよい。あらゆる所望のヒートシンクをメモリコア用に設けることができる。ヒートシンクは、内部チェンバー内に設けることができる。ヒートシンクは、内部チェンバーの壁に熱を伝達するように設計できる。
【0023】
システムは、内部チェンバーとの間に真空を有した状態で、内部チェンバーを格納した外部チェンバーを更に含むことができる。外部チェンバーは、例えば、上述した外部圧力容器でよい。
【0024】
内部チェンバー及び外部チェンバーは、円筒でよい。他のフォームファクタでもよい。例えば、フォームファクタは、同心の箱(例えば、長方形、三角形、又は正方形)等の他の3次元の同心の形状、又は同心の球体でもよい。本発明の実施例では、内部チェンバーの形状が外部チェンバーの形状と一致しなくてもよい。例えば、正方形の箱状の内部チェンバーを長方形の箱状の外部チェンバーが格納してもよい。
【0025】
内部チェンバーは、1つ以上の遮断サポートによって、外部チェンバーから離して設定することができる。これらの遮断サポートは、内部チェンバーの壁を外部チェンバーの壁から離して設定して、壁と壁が物理的に直接接触しないようにする、例えば、遮断ワッシャー又は他のサポート(例えば、リング状のサポート)でよい。
【0026】
内部チェンバー及び外部チェンバーは、各々、ステンレス鋼、チタニウム、他の類似の材料、又はあらゆる他の所望の材料でよい。これに代えて、内部チェンバーを、外部チェンバーとは異なる材料で作ってもよい。何れの場合でも、この材料は、構造的な強度が良好なものから選択できる。
【0027】
外部チェンバーの内部表面は、外部チェンバーの材料よりも放射熱を良好に吸収する材料、例えば、黒色の材料、又は所望の熱吸収特性を備えるあらゆる他の材料等で覆うことができる。対照的に、内部チェンバーの外部表面は、内部チェンバーの材料よりも良好に放射熱を反射する材料、例えば、銀色の表面、鏡面、又は所望の熱関連特性を備えるあらゆる他の材料等で覆うことができる。
【0028】
システムには、外部チェンバー及び内部チェンバーを通る、アビオニクス機器からメモリコアへの信号経路も含めてよい。
【0029】
システムは、外部チェンバー及び内部チェンバーを通る、メモリコア用の電源経路を更に含むことができる。
【0030】
上述したように、水中ロケータービーコンを外部チェンバーの一端に設けることができる。
図2に示すように、外部コアの周りには耐衝撃外殻を設けることができる。耐衝撃外殻は、アルミニウムハニカム構造、又はあらゆる他の類似の力吸収構造を有することができる。耐衝撃外殻は、耐衝撃外殻が燃焼しないように設計された難燃性材料から作るか、又は難燃性材料を浸透させることができる。
【0031】
図3は、本発明のある実施例による、真空保護メモリの追加の実施例を示す。
図3に示すように、追加の増強機能を適用することにより、真空を維持しつつ、真空保護メモリを貫通及び押しつぶしに対して更に強化することができる。
【0032】
図3に示すように、内部の真空容器は、2つの同心ステンレス鋼管で構成できる。上述したように、チタニウム等の他の材料でもよく、管以外の他の形状でもよい。内部管の外側と外部管の内側との半径差は、真空領域として機能することができる。1個又は複数個の熱遮断スペーサーを、2つの管の間の隔離材としてもよい。
【0033】
大きい方の管を内部管にネックダウン又はピンチロールして、真空空間中で電子ビーム溶接することができる。いわゆるゲッター材料を真空領域に含めて、真空の質を更に高めることができる。上述したように、内部容器の外部表面は、反射性を備えたり、銀めっきしたり、又は放射熱を反射するための他の態様で構成することができる。
【0034】
メモリ用の回路カードを、真空容器の内部空間に挿入して、この容器を、セラミックや高温ポリマー等の高温遮断材料で作られた栓、又は真空空間である空洞を中間に備えた金属製のデュワー栓によって、栓をすることができる。回路カードは、回路が発した熱を散逸するためのヒートシンクに搭載してもよい。信号及び電源ケーブルをストッパーから引き出して、真空容器の側部に延ばしてもよい。
【0035】
ステンレス鋼外部容器をステンレス鋼管材料から構築して、サーマルセラミックス又は先進セラミックスから構築されたセラミック遮断材料を充填することができる。セラミック遮断材料の形状を、真空容器に合わせてもよい。
【0036】
真空容器は、ストッパーを先頭にして外部容器に挿入することができる。このように配置すると、ペイロードをストッパーから最も遠くすることができ、ストッパー側を、外部容器の端部キャップ側から最も遠く離すことができる。信号ケーブルは、外部容器端部キャップから延出できる。
【0037】
この配置では、外部容器は、貫通及び押しつぶし試験に対処することができ、セラミック遮断は、真空が何らかの原因で失われてしまった場合に備えた予備となることができる。他の選択肢は、真空容器をゼラチンで充填する(又は部分的に充填する)ことであろう。真空容器の内側を、熱伝導グリース等の材料、又は追加したヒートシンクで充填することも、更なる(図示されていない)選択肢となり得る。
【0038】
より具体的には、本発明のある実施例は、信号又は電源ワイヤーによって設けられた熱経路等の、銅又は他の熱伝導材料等によって設けられた直接熱経路から、メモリ又は他の回路を隔離するための方法又は機構を提供することができる。
【0039】
本発明のある実施例は、フライトレコーダーメモリと協働することができ、真空を遮断媒体として用いて極度の温度から回路を保護できる。レコーダーアーキテクチャのコアは、真空フラスコによる保護アプローチを用いることができる。このアプローチにおいては、メモリ電子装置が、他のより大きな直径の圧力容器に挿入されて封止された内部コア内に格納される。2つの円筒間の空間からは、空気を抜くことができる。真空は、メモリを周辺環境熱から保護できるが、メモリコアの外側から電気回路への配線は、特に銅配線等の優れた熱伝導体を通して、熱経路となることができる。
【0040】
メモリコアへの信号通信は、従来の銅配線によって、又はファイバーオプティックケーブルを介して、電気的に行うことができる。ファイバーオプティックケーブルの場合、メモリコアへの銅の侵入がなくなる。しかしながら、メモリコアへの電源が、高い外側温度から保護されたメモリエリアへと延びるワイヤーによって与えられる場合、ワイヤーを、
図1に示すように、真空チェンバーの内側に搭載された、熱伝導を絶縁するリレーに通すことができる。リレー又は他の断路装置を密閉して、メモリコアへの熱の伝導経路又は対流経路が残らないようにできる。リレーは、熱センサー、コンピュータ制御、又は航空機電源の喪失等の幾つかの要素の1つ以上によって始動又は開くことができる。
【0041】
図4Aは、本発明のある実施例による、閉位置にある高絶縁回路を示す。上記に開示したように、メモリコアへの信号は、ファイバーオプティック送信を通すか、又はリレーでバッファリングできる。前述例のように、外部圧力容器及び内部圧力容器があってよい。内部圧力容器の内部には複数の集積回路、この例示的な場合ではIC1及びIC2があってよく、これらはヒートシンクへのパッド接続を有することができる。内部圧力容器への電源接続部は2つ以上あってよく、この例示的な場合では、直流(DC)電圧(VDC)経路及びリターン(RTN)経路である。VDC経路及びリターン経路RTNは両方とも、内部圧力容器の壁を通り、密閉リレーを通り、次いで外部圧力容器の壁を通って延出することができる。
【0042】
リレーは密閉されているので、リレーは真空を含めてもいいし、又は任意選択で含めなくてもよい。リレーは、電圧VDCがリターン電圧VDC RTNに近づき過ぎると、回路を開くように構成することができる。例えば、リレーは、リレー接点の閉状態を維持する十分な励振電圧をリレーにもはや与えられないという程度まで電圧VDCの振幅が減少した場合に、回路を開いてもよい。
【0043】
外部圧力容器の外側では、コンピュータ制御されたリレーを使用して、VDCを与えるか、又は回路を開くことができる。コンピュータ制御されたリレーは、所定の条件が存在する場合に回路を開いてもよい。コンピュータ制御されたリレーがリレー回路を開く条件の例として、センサーによる高い周囲温度の検出、G-Switch、脆弱線の破損、若しくは他の手段による航空機墜落の検出、又は航空機電源の切迫した喪失若しくは実際の喪失の検出がある。回路は、ある温度で開くように構成可能な熱スイッチも含むことができる。熱スイッチは、ある温度に達すると直ちに開いてもよい。容認できない温度は何度かに関する判断を行って、その温度に達したら開くように熱スイッチを設計してもよい。VDC経路には、28ボルトDC電圧源等の電圧源によって電源を与えることができる。コンピュータ制御装置は、プロセッサー及びメモリを含んでよく、コンピュータ制御されたリレーを制御できる。
【0044】
図4Bは、本発明のある実施例による、開位置にある高絶縁回路を示す。
図4Bは、
図4Aと同じ例示的な回路を示しているが、コンピュータ制御されたリレーは開いており、熱スイッチは開いており、密閉リレーは開いている。
【0045】
当業者は、上述した発明が、異なる順のステップで、及び/又は、開示した構成とは異なる構成のハードウエア要素で実施可能であることを容易に理解するであろう。したがって、これらの開示された実施例に基づいて発明を記載してきたが、ある変更形態、変形形態、及び代替の構造が、本発明の精神と範囲に留まる限り明白であることが、当業者には明白であろう。