(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】多材料アイアンゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20230104BHJP
A63B 53/06 20150101ALI20230104BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20230104BHJP
【FI】
A63B53/04 E
A63B53/06 C
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2020544781
(86)(22)【出願日】2019-02-26
(86)【国際出願番号】 US2019019661
(87)【国際公開番号】W WO2019165467
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-04-30
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591086452
【氏名又は名称】カーステン マニュファクチュアリング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ ティー. クラーク
(72)【発明者】
【氏名】コリー エス. ベーコン
(72)【発明者】
【氏名】デイブ ウー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン アール. ジャーツソン
(72)【発明者】
【氏名】トラビス ディ. ミレマン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン エム. ストック
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-009142(JP,A)
【文献】特開2012-024409(JP,A)
【文献】特表2007-500544(JP,A)
【文献】特開2007-325932(JP,A)
【文献】特開2004-016737(JP,A)
【文献】特開平10-277186(JP,A)
【文献】特開平07-144029(JP,A)
【文献】特開2002-224255(JP,A)
【文献】特開2013-059680(JP,A)
【文献】特開2003-052867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00 - 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブヘッドであって、
フェースプレートと、
上部、下部、ソール部、リア部、
ヒール部、トウ部、及びトップレール部を備える本体と、
インサートと、
を備え、
前記フェースプレート及び前記本体の一部は、前記ゴルフクラブヘッドの打撃面を画定し、
前記フェースプレート、前記ソール部、前記リア部、及び前記トップレール部はキャビティを囲み、
前記キャビティは、前記ゴルフクラブヘッドの容積の17%から32%の間の容積を有し、
前記リア部は、屈曲継ぎ目を備え、
前記ソール部は、グランド面と接し、
ロフト面は、前記フェースプレートに対して接線方向であり、前記グランド面と交差し、
中心面は、前記グランド面に垂直であり、前記ロフト面に垂直であり、前記打撃面の中心と一致し、
前記上部は、前記トップレール部と前記屈曲継ぎ目とにより境界付けられ、
前記上部は、前記ロフト面に平行な方向において、前記トップレール部から前記屈曲継ぎ目まで、前記中心面に沿って測定される高さを含み、
前記下部は、前記ロフト面に平行な方向において、前記ソール部から前記屈曲継ぎ目まで、前記中心面に沿って測定される高さを含み、
前記上部の前記高さと前記下部の前記高さは、9:8から6:11の範囲の比を有し、
前記上部は第1の深さを含み、前記下部は第2の深さを含み、これらの深さは、前記打撃面から前記リア部の外側面まで、前記中心面に沿って、前記ロフト面に対して垂直に測定され、
前記第1の深さは、一定であり、前記第2の深さより小さく、
前記インサートは、前記キャビティ内に受け入れられ、前記インサートは前記キャビティの90%以上を占め、
前記フェースプレートは、第1の密度を有する第1の材料を含み、
前記本体は、第2の密度を有する第2の材料を含み、
前記インサートは、第3の密度を有する第3の材料を含み、
前記第3の密度は、前記第1の密度及び前記第2の密度よりも小さ
く、
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
前記フェースプレートに対して前記インサートを固定するために、前記インサートと前記フェースプレートとの間に配置されるテープと、
前記ヒール部から前記トウ部への方向へ延在し、前記打撃面に対して平行であり、前記ゴルフクラブヘッドの重心と一致するx軸と、
前記グランド面に直交し、前記重心と一致するy軸と、
を備え、
前記x軸の周りで測定される慣性モーメントIxxは、78グラム平方インチから120グラム平方インチ(503グラム平方センチメートルから774グラム平方センチメートル)の範囲であり、
前記y軸の周りで測定される慣性モーメントIyyは、310グラム平方インチから466グラム平方インチ(2000グラム平方センチメートルから3006グラム平方センチメートル)の範囲である、
ゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記第3の密度は2.4g/ccから5.0g/cc(2.4g/立方センチメートルから5.0g/立方センチメートル)の範囲である、
請求項
1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記第3の材料は、アルミニウム及びチタンからなる群から選択される材料を含む、
請求項
2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記第1の密度は2.6g/ccから8.7g/cc(2.6g/立方センチメートルから8.7立方センチメートル)の範囲であり、前記第2の密度は7.7g/ccから8.1g/cc(7.7g/立方センチメートルから8.1立方センチメートル)の範囲である、
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記第1の材料は、鋼ベース材料、チタンベース材料、アルミニウム合金、及びチタン合金からなる群から選択される材料を含み、
前記第2の材料は、鋼ベース材料及び鋼合金から成る群から選択される材料を含む、
請求項
4に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
総質量と
トウウェイトと、
を備え、
前記本体は、さらに、トウキャビティを備え、
前記トウキャビティは、前記トウウェイトを受け入れ、
前記トウウェイトは、前記ゴルフクラブヘッドの前記総質量の5%から45%の範囲の質量を含む、
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
前記第1の深さと前記第2の深さの最大値との比は、1:3から4:5の範囲である、
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
重心と、
前記グランド面に平行であり、ヒール部からトウ部への方向に延在し、前記打撃面上で最も低い前記中心面上の点と一致する前縁軸と、
前記グランド面に平行であり、前記前縁軸と一致する前縁面と
、
を備え、
前記ゴルフクラブヘッドの前記重心は、0.380インチから0.670インチ(0.965センチメートルから1.70センチメートル)の範囲で前記前縁面より上方に位置する、
請求項1から請求項
7のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項9】
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに
、
前記本体に一体化された円筒形ホーゼ
ルを備え、
前記円筒形ホーゼルは、
トウ側面から見たときに、前記円筒形ホーゼルの前縁に平行なホーゼル基準面と、
前記円筒形ホーゼルの中心軸として定義されるホーゼル軸と、
前記グランド面に平行であり、前記ヒール部から前記トウ部への方向に延在し、前記打撃面上で最も低い前記中心面上の点と一致する前縁軸と、
正面から見たときに、前記前縁軸と前記中心面との交点から、前記前縁軸と前記ホーゼル軸との交点まで測定されるホーゼル-X距離であって、1.5インチ(3.8センチメートル)未満である前記ホーゼル-X距離と、
前記前縁軸と前記ホーゼル基準面との間の最小距離として測定されるオフセット距離であって、0.05インチから0.27インチ(0.13センチメートルから0.69センチメートル)の範囲である前記オフセット距離と、
を備える、
請求項1から請求項
8のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項10】
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに
、
前記ヒール部から前記トウ部への方向において、前記ヒール部における前記打撃面の縁から前記トウ部の最外側の点まで測定されるブレード長
さを備え、
前記ブレード長さは2.8インチ(7.1センチメートル)未満である、
請求項1から請求項
9のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項11】
前記フェースプレートは、前記本体に加締められており(swedged)、前記フェースプレートと前記本体との間の境界は、レーザー溶接されている、
請求項1から請求項
10のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項12】
前記本体は、窪みをさらに備え、
前記窪みは前記キャビティの周囲に当接し、
前記フェースプレートのリア面の領域は、前記インサートに接触し、
前記フェースプレートの前記リア面の残りの領域は、前記窪みに接触する、
請求項1から請求項
11のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項13】
ゴルフクラブヘッドの製造方法であって、
(1)第1の密度を有する第1の材料を含むフェースプレートを提供することと、
(2)第2の密度を有する第2の材料と、上部と、下部と、ソール部と、リア部と、
ヒール部と、トウ部と、トップレール部と、を備える本体を提供することと、を含み、
前記フェースプレート及び前記本体の一部は、前記ゴルフクラブヘッドの打撃面を画定し、
前記リア部は、屈曲継ぎ目を備え、
前記ソール部は、グランド面と接し、
ロフト面は、前記フェースプレートに対して接線方向であり、前記グランド面と交差し、
中心面は、前記グランド面に垂直であり、前記トップレール部から前記ソール部への方向に延在し、前記打撃面の中心点と一致し、
前記上部は、前記トップレール部と前記屈曲継ぎ目とにより境界付けられ、
前記上部は、前記ロフト面に平行な方向において、前記トップレール部から前記屈曲継ぎ目まで、前記中心面に沿って測定される高さを含み、
前記下部は、前記ロフト面に平行な方向において、前記ソール部から前記屈曲継ぎ目まで、前記中心面に沿って測定される高さを含み、
前記上部の前記高さと前記下部の前記高さは、9:8から6:11の範囲の比を有し、
前記上部は第1の深さを含み、前記下部は第2の深さを含み、これらの深さは、前記打撃面から前記リア部の外側面まで、前記中心面に沿って、前記ロフト面に対して垂直に測定され、
前記第1の深さは、一定であり、前記第2の深さより小さく、
前記ソール部、前記リア部、及び前記トップレール部は、キャビティを画定し、
前記製造方法は、さらに、
(3)前記第1の密度及び前記第2の密度よりも小さい第3の密度を有する第3の材料を含むインサートを提供することと、
(4)前記キャビティ内に前記インサートを配置することであって、前記インサートは前記キャビティの90%以上を占め
、前記キャビティは、前記ゴルフクラブヘッドの体積の17%から32%の間の体積を備える、前記配置することと、
(5)前記フェースプレートを前記本体に固定することであって、前記フェースプレートは前記キャビティをさらに画定する、前記固定することと、
を含
み、
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
前記ヒール部から前記トウ部への方向へ延在し、前記打撃面に対して平行であり、前記ゴルフクラブヘッドの重心と一致するx軸と、
前記グランド面に直交し、前記重心と一致するy軸と、
を備え、
前記x軸の周りで測定される慣性モーメントIxxは、78グラム平方インチから120グラム平方インチ(503グラム平方センチメートルから774グラム平方センチメートル)の範囲であり、
前記y軸の周りで測定される慣性モーメントIyyは、310グラム平方インチから466グラム平方インチ(2000グラム平方センチメートルから3006グラム平方センチメートル)の範囲である、
ゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項14】
前記(5)における前記フェースプレートを前記本体に固定することは、
前記フェースプレートを前記本体へ加締める(swedging)ことと、
前記フェースプレートと前記本体との境界をレーザー溶接することと、
を含む、
請求項
13に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項15】
前記フェースプレートと前記本体との前記境界をレーザー溶接することは、
0.070インチ(0.178センチメートル)未満の深さを含む熱影響部を生成することを含む、
請求項
14に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項16】
前記製造方法は、さらに、
前記(4)と前記(5)との間に、前記インサート上にテープ層を配置することを含み、
前記テープ層は、前記(5)の完了時に、前記インサートと前記フェースプレートとの間に挟まれる、
請求項
13から請求項
15のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項17】
前記製造方法は、さらに、
前記本体に一体化された円筒形ホーゼルを形成することを含み、
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
ヒール部と、
トウ部と、
を備え、
前記円筒形ホーゼルは、
トウ側面から見たときに、前記円筒形ホーゼルの前縁に平行なホーゼル基準面と、
前記円筒形ホーゼルの中心軸として定義されるホーゼル軸と、
前記グランド面に平行であり、前記ヒール部から前記トウ部への方向に延在し、前記打撃面上で最も低い前記中心面上の点と一致する前縁軸と、
正面から見たときに、前記前縁軸と前記中心面との交点から、前記前縁軸と前記ホーゼル軸との交点まで測定されるホーゼル-X距離であって、1.5インチ(3.8センチメートル)未満である前記ホーゼル-X距離と、
前記前縁軸と前記ホーゼル基準面との間の最小距離として測定されるオフセット距離であって、0.05インチから0.27インチ(0.13センチメートルから0.69センチメートル)の範囲である前記オフセット距離と、
を備える、
請求項
13から請求項
16のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【請求項18】
前記ゴルフクラブヘッドは、総質量を有し、
前記本体は、さらに、トウキャビティを備え、
前記製造方法は、さらに、
トウウェイトを形成することであって、前記トウウェイトは、前記ゴルフクラブヘッドの前記総質量の5%から45%の範囲の質量を含む、前記形成することと、
前記トウウェイトを前記トウキャビティ内に固定することと、
を含む、
請求項
13から請求項
17のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、平成30年2月26日に出願された米国仮特許出願第62/635,020号、平成30年8月1日に出願された米国仮特許出願第62/713,424号、及び平成30年11月16日に出願された米国仮特許出願第62/768,543号の優先権の利益を主張し、これらの全ての内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、ゴルフ用具に関し、より詳細には、多材料アイアンゴルフクラブヘッド、及び前記ゴルフクラブヘッドを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
典型的には、アイアンタイプゴルフクラブヘッドは、マッスルバック、キャビティバック、又はツアーアイアン等の様々なスタイルを含む。低ハンディキャップを有する技術力の高いゴルファーは、小型で美的に滑らかなツアーアイアンを好む。ツアーアイアンは、ロフトが高く、重心(以下、「CG」)が低く、シャフトの長さが短く、輪郭が小さく、トップラインが薄い。ツアーアイアンは、一般に、美しく、古典的な外観を有し、好ましい音を有する。鍛造されたツアーアイアンは、特に、ギプスアイアンのような他のタイプのアイアンよりも改善された「感触」を提供し、美的な視線を提供すると考えられる。一般的に、ツアープレイヤーのような低ハンディキャップのゴルファーは、CGが低く、クラブの面に近いアイアンタイプのクラブヘッドを望んでいる。ツアーアイアンは、直線飛行のためのスイートスポットがより小さいため、ゴルフボールに衝突するクラブフェースの部分を操作することによって、これらのゴルファーがショットをさらに決めることを可能にする。高ハンディキャップのゴルファーが効果的に使用することは難しいが、ツアーアイアンは、高度に熟練し、かつ、しばしば低いハンディキャップのゴルファーに対するニッチな需要を満たす。
【0004】
一方、ゲームインプルーブメントアイアンは、アイアンの寛容性の向上とロフトの向上を望む高ハンディキャップのゴルファーに対応するように設計されているのが典型的である。高ハンディキャップゴルファーは、より高い慣性モーメント(MOI)を有するアイアンタイプクラブヘッドをプレイする傾向があり、高MOIはクラブヘッドに対してより多くの寛容性を与える。ディープキャビティバック、マッスルバック、又は中空本体アイアン等のゲームインプルーブメントアイアンは、周辺重み付けを可能にし、周辺重み付けはクラブヘッドの寛容性を増加させ、フェースが曲がる余地を有するために、より大きな飛距離をもたらす。しかしながら、ゲームインプルーブメントアイアンは、当然のことながら、中実の本体のツアーアイアンのような「感触」ではなく、従来の中実のアイアンに慣れているゴルファーには純粋ではないように感じ得る。ゲームインプルーブメントアイアンは、大きな外形を有し、かさばった感触をもたらす。このようなゲームインプルーブメントアイアンは、また、厚いトップラインや、多くのゴルファーがあまり美的でないと考えている他の形状の特徴を持ち得る。本明細書に記載されるゴルフクラブヘッドは、ゲームインプルーブメントアイアンとツアーアイアンの両方の利益を共有するクラブを望むゴルファーの望みを満たす。
【0005】
本技術分野では、中程度から低いハンディキャップのプレーヤーが使用することができる、従来のゲームインプルーブメントアイアンの高い慣性モーメント及び周辺重み付けを犠牲にすることなく、従来のツアーアイアンの小型な大きさ及び中実な感触及び音を有するクラブヘッドが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態によるゴルフクラブヘッドの分解斜視図を示す。
【0007】
【0008】
【0009】
【
図4】
図1のゴルフクラブヘッドのトウ側面図を示す。
【0010】
【
図5】
図3のV-V線に沿った、
図1のゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0011】
【
図6】多材料インサートを備えた第1の実施形態による、
図3のV-V線に沿った、
図1のゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0012】
【
図7】多材料インサートを備えた第2の実施形態による、
図3のV-V線に沿った、
図1のゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0013】
【
図8】多材料インサートを備えた第3の実施形態による、
図3のV-V線に沿った、
図1のゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0014】
【
図9】多材料インサートを備えた第4の実施形態による、
図3のV-V線に沿った、
図3のゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0015】
【
図10】リア部棚を有する実施形態による、ゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0016】
【
図11】ロフト平面から90度の角度をなすリア部棚を有する実施形態による、ゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0017】
【
図12】テープ層を含む、
図3のV-V線に沿った、
図1のゴルフクラブヘッドのトウ側断面図を示す。
【0018】
【
図13】トウキャビティ及びトウウェイトの分解図を含む、
図1のゴルフクラブヘッドの後方斜視図を示す。
【0019】
【
図14】第2の実施形態によるゴルフクラブヘッドの分解図を示す。
【0020】
【0021】
【
図16】
図15のXVI-XVI線に沿った、
図14のゴルフクラブヘッドのヒール側断面図を示す。
【0022】
【
図17】
図14のゴルフクラブヘッドの本体の正面斜視図を示す。
【0023】
【0024】
【
図19】
図15のXVI-XVI線に沿った、
図14のゴルフクラブヘッドのヒール側断面図を示す。
【0025】
【
図20】部分充填インサートを有する第1の実施形態による、
図15のXVI-XVI線に沿った、
図14のゴルフクラブヘッドのヒール側断面図を示す。
【0026】
【
図21】部分充填インサートを有する第2の実施形態による、
図15のXVI-XVI線に沿った、
図14のゴルフクラブヘッドのヒール側断面図を示す。
【0027】
【
図22】部分充填インサートを有する第3の実施形態による、
図15のXVI-XVI線に沿った、
図14のゴルフクラブヘッドのヒール側断面図を示す。
【0028】
【
図23】部分充填インサートを有する第4の実施形態による、
図15のXVI-XVI線に沿った、
図14のゴルフクラブヘッドのヒール側断面図を示す。
【0029】
【
図24】
図1のゴルフクラブヘッドの製造方法を示す。
【0030】
【発明を実施するための形態】
【0031】
ツアーアイアンは、その大きさ及び外観の両方によってゲームインプルーブメントアイアンとは視覚的に区別されることが、ゴルフに精通した人々によってよく理解されている。従って、ツアーアイアンは、ゲームインプルーブメントアイアンとは異なる設計要件を備える。本明細書に記載されるゴルフクラブは、ゲームインプルーブメントアイアンの機能的利点を保持しながら、ツアースタイルアイアンの市場需要を満たす。
【0032】
具体的には、本明細書に記載されるゴルフクラブヘッドは、ツアーアイアンの美的に魅力的な特徴(例えば、小型な大きさ、鍛造、中実な感触)、及びゲームインプルーブメントアイアンの性能利点(例えば、周囲の重み付け及び高い寛容性)を併せ持つ。キャビティを形成する本体を有するゴルフクラブヘッドが本明細書に記載され、インサートはキャビティ内に嵌合することができ、キャビティは、本体のリア部のキャップによって、又は本体のフェースプレートによって囲まれる。従って、ゴルフクラブヘッドは、中級又は初級のスキルゴルファーが技術レベルに対して可能な限り正確なショットを行うために必要な寛容性の水準を維持しつつ、ツアースタイルを有するアイアンクラブをゴルファーに提供する。一般に、ツアーアイアンは、高度に熟練したゴルファー又は低ハンディキャップから中程度のハンディキャップのプレーヤーのために設計され、一方、ゲームインプルーブメントアイアンは、高度のハンディキャップ(10を超える)も有する、低スキルから中程度のスキルレベルのゴルファーのために設計される。本説明のゴルフクラブヘッドは、従来のツアーアイアンを使用するスキルを欠いた、一連のツアーアイアンで遊びたいと願うゴルファーのための選択肢を提供する。
【0033】
さらに、ゴルフクラブヘッドは、高度に熟練したゴルファーに、高MOI設計を通して、ショットの精度を高めることを望む選択肢を提供する。本明細書に記載のゴルフクラブヘッドは、特定のゲームインプルーブメントアイアン又は標準アイアンよりも低いMOIを備えることができるが、それにもかかわらず、クラブヘッドは、同じカテゴリー内の他のゴルフクラブヘッド、即ちツアーアイアン又は小型アイアンよりも高いMOIを備える。さらに、開示されたゴルフクラブヘッドは、高スキルゴルファーにとって望ましい低いCGを提供する。本明細書に記載されるゴルフクラブヘッドは、これらの実施形態によって例示され得るが、これらに限定されない。
【0034】
ゴルフクラブヘッドは、フェースプレートをゴルフクラブヘッドの本体上に加締めること(swedging)(スエージすること(swagging))を含む方法によって製造することができる。表面融着処理プロセスにおいて、加締め後のフェースプレートと本体の間の境界をレーザー溶接することができる。インサートは、加締めやレーザー溶接によって損傷を受けない。
【0035】
説明を簡単かつ明確にするために、図面は、一般的な構成方法を示し、周知の特徴及び技法の説明及び詳細は、本開示を不必要に曖昧にすることを避けるために省略され得る。さらに、図面中の要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。例えば、図中の幾つかの要素の寸法は、本開示の実施形態の理解を改善するのを助けるために、他の要素に対して誇張されていることがある。異なる図面における同じ参照番号は、同じ要素を示す。
【0036】
本明細書では、中空ゴルフクラブヘッド、又は部分的に/ほぼ中空のゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブが記載され、その各々のゴルフクラブヘッドは、低密度インサートを備える(中空ゴルフクラブヘッド又は部分的に/ほぼ中空のゴルフクラブヘッドは、以下、「ゴルフクラブヘッド」と呼ばれる)。ゴルフクラブは、ゴルフクラブヘッドと、シャフトと、グリップとを備える。ゴルフクラブヘッドは、ホーゼルと、フロント部と、リア部と、トップレール部と、ソール部とを備える本体を備える。本体は、キャビティを備えることができる。フェースプレート、ソール部、リア部、及びトップレール部は、キャビティを囲んでいる。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドのキャビティは、フェースプレートによってフロント部から囲まれることができる。幾つかの実施形態では、キャビティは、クラブのリア部で開くことができ、キャビティを部分的に露出させる。インサートは、キャビティ内に嵌合することができる。ゴルフクラブヘッドのフロント部は、キャビティをフロント部から取り囲むフェースプレートをさらに備えることができる。
【0037】
本明細書に記載されるゴルフクラブヘッドの一実施形態は、キャビティを形成する本体と、低密度インサートとを含み、キャビティは、ゴルフクラブヘッドのフロント部に向かって開口する。本体は、クラブヘッドの中心に形成された内部キャビティを有する。本体は鋳造又は鍛造することができる。キャビティは、低密度インサートを受け入れ、収容することができる。
【0038】
ゴルフクラブヘッドは、低密度中心、高密度周辺部、及び、前述のように、重量を周辺部に移動させるための低密度インサートを有し、それによって、全体的な寛容性が向上される。インサートは、アルミニウム、チタン、又は複合材料等の低密度材料を含む。中実インサートでキャビティを充填することにより、他の同様の中空本体アイアンよりもゴルフクラブヘッドの音響及び感触が向上される。幾つかの実施形態では、インサートをキャビティ内にさらに固定し、がたつきを防止するために、接着剤及び/又はテープが用いられる。
【0039】
フェースプレートは、ゴルフクラブヘッドのフロント開口を取り囲み、キャビティを形成する。フェースプレートの固定には、加締め、圧入、その他の低温方法が使用される。TIG溶接は使用しない。幾つかの実施形態では、レーザー溶接は非常に精密であり、インサート、テープ、及び/又は接着剤に影響を及ぼす大きな熱影響部(以下、「HAZ」という)を生じないので、フェースプレートは、レーザー溶接によってさらに本体に固定することができる。フェースプレートがゴルフクラブヘッド本体のフロント部にTIG溶接される場合、インサート、テープ、及び/又は接着剤は、高温に曝され、損傷を受け、それによってインサートの重量分布を損ない、かつ、テープ及び/又は接着剤の材料特性を損なう。
【0040】
ゴルフクラブヘッドの高密度周辺部は、ホーゼル内のトウウェイト及び/又はチップウェイトによっても達成することができる。幾つかの実施形態では、本体は、トウキャビティをさらに備えることができる。トウウェイトはトウキャビティ内に取り付けることができる。トウウェイトは、タングステン等の高密度材料を含む。さらに、幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、スイングウェイティングのためのトウスクリューウェイトを備えることができる。
【0041】
ゴルフクラブヘッドの第2の実施形態では、本体のキャビティは、リア部の上部の開口部を介して露出される。第1の実施形態と同様に、第2の実施形態のゴルフクラブヘッドは、本体及び低密度インサートを備える。本体は鋳造又は鍛造することができる。本体は、本体の上部にリア開口を備える。低密度インサートは、本体のキャビティ内に収容される。この実施形態では、インサートは、熱可塑性複合材料、発泡材料、又は他の充填減衰材料等、キャビティ内に注入することができる材料を含む。
【0042】
ゴルフクラブヘッドは、キャビティの前方境界を形成するフェースプレートをさらに備える。射出成形プロセスは、本体のキャビティ内に低密度インサートを形成することができる。ゴルフクラブヘッドは、周辺重み付けのために、本体のトウキャビティ内にトウウェイトを、及び/又はホーゼル内にチップウェイトをさらに含むことができる。さらに、ゴルフクラブヘッドは、スイングウェイティングのためのトウスクリューウェイトを含むことができる。
【0043】
説明及び特許請求の範囲において、用語「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」等は、もしあれば、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも特定の順序又は時系列順序を説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、例えば、本明細書で説明される実施形態は、本明細書で図示される又は別の方法で説明される順序以外の順序で作用することができることを理解されたい。さらに、用語「含む」、「有する」、及びその任意の変形は、要素のリストを備えるプロセス、方法、システム、物品、デバイス、又は装置等の非排他的包含を意図しているが、必ずしもそれらの要素に限定されず、そのようなプロセス、方法、物品、システム、及び装置に対して、明確に挙げられていないあるいは固有の他の要素を含んでいてもよい。
【0044】
明細書及び特許請求の範囲における用語「前」、「後(back)」、「後(rear)」、「上」、「下」等は、もしあれば、説明の目的で使用され、必ずしも恒久的な相対位置を説明するために使用されるわけではない。そのように使用される上記の用語は、本明細書で説明される装置、方法、及び/又は製品の実施形態が、例えば、本明細書で図示されるか、又は他の方法で説明されるもの以外の他の配向でも作用することができるように、適切な状況下で交換可能であることを理解されたい。
【0045】
用語「結合する」及び同様の用語は、広く理解されるべきであり、機械的及び/又は他の方法で、二つあるいはそれ以上の要素を接続することを言及する。例えば、二つあるいはそれ以上の機械的要素は、機械的に結合されてもよいが、電気的に結合されていなくてもよいし、そうでなければ結合されていなくてもよい。結合は、任意の長さの時間、例えば、永久的又は半永久的であってもよく、又は一瞬だけであってもよい。
【0046】
本明細書に記載のMOIという用語は、角加速度に抵抗する本体の傾向を表す量とすることができる。MOIは、角度質量又は回転慣性としても知られている。MOIは、回転軸を中心とする所望の角加速度を達成するのに必要なトルクを決定する。より高いMOIはクラブヘッドをより寛容にする。つまり、ゴルフボールが中央から外れた打撃面の一部で打たれた場合でも、ゴルファーはより一貫したショットに気付くだろう。MOIは、ゴルフクラブヘッドの中心から離れて、及びゴルフクラブヘッドの周囲に向かって、重量を移動させることによって上昇する。MOIを増加させるため、望ましいゴルフクラブヘッド全体の重量を維持するために、ゴルフクラブヘッドの中心は、キャビティ又はメインゴルフクラブヘッドよりも軽い材料のいずれかを含まなければならない。
【0047】
本明細書に記載されるゴルフクラブの形態は、一組のアイアン内の一つあるいは複数のゴルフクラブに適用されてもよい。幾つかの実施形態では、そのアイアンの組は、変動するクラブヘッドサイズ、シャフト長さ、ライ角度、ロフト角度、ヘッド重量、及び/又は他のパラメータを有するアイアンを含む。アイアンの組の各クラブヘッドは、1から10の範囲の数で慣例に従って番号付けすることができる。最も一般的には、セットは3から9の番号が付けられる。さらに、アイアンの組は、番号付けされたアイアンよりも高いロフト角を有する一つ以上のウェッジを含むことができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドはウェッジであり得る。多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッドのロフト角は、約50度未満、約49度未満、約48度未満、約47度未満、約46度未満、約45度未満、約44度未満、約43度未満、約42度未満、約41度未満、又は約40度未満である。さらに、多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッドのロフト角は、約16度よりも大きく、約17度よりも大きく、約18度よりも大きく、約19度よりも大きく、約20度よりも大きく、約21度よりも大きく、約22度よりも大きく、約23度よりも大きく、約24度よりも大きく、又は約25度よりも大きい。
【0049】
多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッドのロフト角は、約64度未満、約63度未満、約62度未満、約61度未満、約60度未満、約59度未満、約58度未満、約57度未満、約56度未満、約55度未満、又は約54度未満である。さらに、多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッドのロフト角は、約46度よりも大きく、約47度よりも大きく、約48度よりも大きく、約49度よりも大きく、約50度よりも大きく、約51度よりも大きく、又は約52度よりも大きい。
【0050】
多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、1.9立方インチから2.7立方インチの範囲の総体積を備えることができる。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドの総体積は、1.9立方インチから2.4立方インチ、2.0立方インチから2.5立方インチ、2.1立方インチから2.6立方インチ、2.2立方インチから2.7立方インチ、2.3立方インチから2.7立方インチ、又は2.4立方インチから2.7立方インチの範囲とすることができる。他の実施形態において、ゴルフクラブヘッド100の総体積は、1.9立方インチ、2.0立方インチ、2.1立方インチ、2.2立方インチ、2.3立方インチ、2.4立方インチ、2.5立方インチ、2.6立方インチ、又は2.7立方インチとすることができる。
【0051】
多くの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、200グラムから300グラムの範囲の総質量を含むことができる。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッドは、200グラムから210グラム、210グラムから220グラム、220グラムから230グラム、230グラムから240グラム、240グラムから250グラム、250グラムから260グラム、255グラムから260グラム、260グラムから270グラム、265グラムから275グラム、270グラムから280グラム、275グラムから280グラム、又は250グラムから270グラムの範囲とすることができる。他の実施形態では、総質量は、200グラム、205グラム、210グラム、220グラム、225グラム、230グラム、235グラム、240グラム、245グラム、250グラム、255グラム、260グラム、265グラム、270グラム、275グラム、280グラム、285グラム、290グラム、295グラム又は300グラムとすることができる。
【0052】
本明細書に記載されるゴルフクラブヘッドは、アドレス位置にある間、様々な視点から見ることができ、これには、正面図、背面図、トウ側面図、ヒール側面図、上面図、ソール側面図、及び様々な斜視図が含まれるが、これらに限定されない。例えば、ゴルフクラブヘッド100の正面図は、グランド面10に平行な、ロフト面20の前方の方向からクラブヘッドを見る。ゴルフクラブヘッド100の背面図は、グランド面10に平行な、リア部103の後方の方向からクラブヘッドを見る。ゴルフクラブヘッド100のトウ側面図は、グランド面10に平行なトウ部からヒール部の方向からクラブヘッドを見る。ゴルフクラブヘッド100のヒール側面図は、グランド面10に平行なヒール部からトウ部方向からクラブヘッドを見る。ゴルフクラブヘッド100のソール側面図は、グランド面10に直交するソール部からトップ部への方向からクラブヘッドを見る。ゴルフクラブヘッド100の上面図は、グランド面10に直交するトップ部からソール部の方向からクラブヘッドを見る。
【0053】
I.インサート及び囲むフェースプレートを有するゴルフクラブヘッド
ここでは、ゴルフクラブヘッド100について説明する。ゴルフクラブヘッド100は、上述したように、寛容性を備えたツアースタイルのゴルフクラブヘッドとすることができる。ゴルフクラブヘッド100は、インサートを収容するキャビティを有する本体を備えることができる。ゴルフクラブヘッドは、フェースプレートと、本体と、インサートとを備える。本体は、上部と、下部と、ソール部と、リア部と、トップレール部とを備える。リア部は、屈曲継ぎ目をさらに備えることができる。屈曲継ぎ目は、ゴルフクラブヘッドの上部と下部の間の境界である。フェースプレート及び本体の一部は、ゴルフクラブヘッドの打撃面を画定する。フェースプレート、ソール部、リア部、及びトップレール部は、キャビティを囲んでいる。
【0054】
本体のキャビティは、ゴルフクラブヘッドのフロント部に向かって開口し、フェースプレートによって囲まれている。フェースプレートは、本体へ加締め、あるいはレーザー溶接することができる。クラブヘッドは、ツアーアイアンクラブヘッドであり、1.8立方インチから2.7立方インチ(30立方センチメートル(cc)から45cc)の範囲の体積を有する。ゴルフクラブヘッドの本体は、金属材料から鋳造又は鍛造することができる。
【0055】
インサートは、低密度材料を含み、ゴルフクラブヘッドの本体によって形成されたキャビティを充填する。ゴルフクラブヘッドの中心の質量を減少させることは、ゴルフクラブヘッドの慣性モーメント値を増加させるために、その周辺に余分な質量を集中させることを可能にする。上述のように、ゴルフクラブヘッドは、下部及び上部を備える。下部は、上部よりも大きい深さを備える。これにより、下部は、周辺のヒール端部、トウ端部、及びソール部に集中したより多くの質量を有する。本体の質量を下げるとCGが低くなり、それは打ち上げ角度が増し、スピンが減少する。上記で説明したように、周辺重み付けからの比較的高い慣性モーメントと、質量の低い位置に由来する低いCGとで、ツアーアイアンサイジングを結合するアイアンが、本技術分野で必要とされている。幾つかの実施形態では、ホーゼル内に配置されたチップウェイト及び/又は本体のトウキャビティ内に配置されたトウウェイトは、付加的な周辺重み付けを提供する。
【0056】
図1~
図13を参照すると、上述のように、ゴルフクラブヘッド100は、フェースプレート155、本体110、及びインサート140を備える。本体110は、上部108、下部109、ソール部107、リア部103、トウ部101、ヒール部102、及びトップレール部106をさらに備えてもよい。フェースプレート155及び本体の一部は、打撃面111を画定してもよい。フェースプレート155、ソール部107、リア部103、及びトップレール部106は、キャビティ120を囲んでいる。上部108は、トップレール部106によって境界が定められている。下部109は、ソール部107によって境界が定められている。リア部103は、屈曲継ぎ目130を含んでいてもよい。屈曲継ぎ目130は、ゴルフクラブヘッドのトウ部101からヒール部102まで延びることができる。屈曲継ぎ目130は、上部108をトップレール部106と境界付ける。屈曲継ぎ目130は、下部109をソール部107と境界付ける。屈曲継ぎ目130は、後述するように、均一な上部深さ116の端部を目立たせる。
図4~
図12に示すように、屈曲継ぎ目130は、トウ側面視において、トップレール部からソール部方向に取られた任意の断面図における、屈曲点として描かれている。
【0057】
図2及び
図3に示すように、グランド面10は、ゴルフクラブがアドレス位置にあるときに、グランドの基準となる。
図4に示すように、ロフト面20は、打撃面111に平行である。
図2に示すように、中心面45は、グランド面10に垂直であり、ロフト面20に垂直であり、打撃面111の中心点80と一致する。
図2及び
図4に示すように、ゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッド100のCG60を中心とする座標系を有することができる。後述するゴルフクラブヘッド600は、同様の座標軸を有することができる。x軸30の基準軸は、トウ部からヒール部方向に、CG60を通って延びている。x軸30は、打撃面111と平行である。y軸40の基準軸は、トップレール部からソール部方向に、CG60を通って延びている。y軸40は、ゴルフクラブヘッド100がアドレス位置にあるとき、グランド面10に直交する。z軸50の基準軸は、フロント部からリア部方向に、CG60を通って延びている。z軸50は、グランド面10に平行であり、x軸30及びy軸40に垂直である。さらに、ホーゼル軸70の基準軸は、ホーゼル105の同心中心を通って延びている。前縁軸35は、グランド面10に平行であり、ヒール部からトウ部への方向に延在し、打撃面111の中心に沿ってほぼ平面の打撃面111上で最も低い点と一致する。前縁面は、前縁軸35と一致し、グランド面10と平行である。
【0058】
1)ゴルフクラブヘッドの上部及び下部
図4及び
図5に示すように、ゴルフクラブヘッド100は、上部108及び下部109とを含む。上述したように、上部108は、屈曲継ぎ目130によって下部109から分離されることができる。リア部103の上部108は、均一な深さ116を有することができる。リア部103は、上壁131及び下壁132とを備える。ロフト面20に実質的に平行にとどまることによって、リア部103の上壁131は、ゴルフクラブヘッド100の上部108における均一な深さ116を可能にする。屈曲継ぎ目130において、リア外形は、ゴルフクラブヘッド100の上部108と下部109との間を移行し、ゴルフクラブヘッド100の深さにおいて変化をもたらす。この深さの変化は、後述するように、上部108よりも大きい深さ118を有する下部109につながる。下部109の深さが深いほど、ゴルフクラブヘッド100のCGを低下させ、打ち上げ特性を向上するのに有益である。
【0059】
ゴルフクラブヘッド100のリア部103のこの外形は、平坦なリア部設計を有するゴルフクラブヘッドよりも、ゴルフクラブヘッド100において質量を低く配置することを可能にする。クラブヘッド内で質量を下げることによって、CGが下げられる。これは、ゴルフクラブヘッド100によるインパクト時の、ゴルフボールの向上されたボール打ち上げ及びスピン特性を可能にする。CG位置の完全な利点は、以下の例3で提供されるように、平坦なリア部を有するゴルフクラブヘッドとの比較によって最も良く理解される。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100は、フラットバックの比較ゴルフクラブヘッドのCGよりも、0.030インチから0.050インチの範囲で低いCGを含むことができる。幾つかの実施形態において、CGは0.030インチから0.032インチ、0.032インチから0.034インチ、0.034インチから0.036インチ、0.036インチから0.038インチ、0.038インチから0.040インチ、0.040インチから0.042インチ、0.042インチから0.044インチ、0.044インチから0.046インチ、0.046インチから0.048インチ、又は0.048インチから0.050インチの範囲で低下する。
【0060】
リア外形は、上部108及び下部109が異なる深さ、体積、又は質量を有することを可能にするために、複数の実施形態間で変化することができる。
図10及び
図11の断面図に示すように、幾つかの実施形態では、リア部103の下壁132は、屈曲継ぎ目130のすぐ下に棚139を備えることができる。棚139は、上壁131と、下壁132の残りの部分との間に存在することができる。これらの実施形態では、棚139は、屈曲継ぎ目130から後方及び/又は下方に延びる。
図11に示す一つの実施形態では、棚139はロフト面20に対してほぼ垂直である。リア部外形を変化させることによって、上部108及び下部109の深さ、体積、又は質量を変更することができ、これは前記CGの位置及びMOIの値に影響を及ぼす。
【0061】
2)上部及び下部の高さ
図4及び
図5に示すように、ゴルフクラブヘッド100は、上部108及び下部109を含んでおり、前記屈曲継ぎ目130によって分割されている。上部108は、トップレール部106から屈曲継ぎ目130まで、中心面45に沿って、ロフト面20に平行な方向に測定された高さ188を備える。上部高さ188は、0.60インチから0.90インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、上部高さ188は、0.60インチから0.65インチ、0.65インチから0.70インチ、0.70インチから0.75インチ、0.75インチから0.80インチ、0.80インチから0.85インチ、0.85インチから0.90インチ、0.60インチから0.70インチ、0.70インチから0.80インチ、又は0.80インチから0.90インチの範囲とすることができる。
【0062】
下部109は、ソール部107から屈曲継ぎ目130までの中心面45に沿って、ロフト面20に平行な方向に測定された高さ189を備える。下部高さ189は、0.80インチから1.10インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、下部高さ189は、0.80インチから0.85インチ、0.85インチから0.90インチ、0.90インチから0.95インチ、0.95インチから1.0インチ、1.0インチから1.05インチ、1.05インチから1.10インチ、0.9インチから1.0インチ、又は1.0インチから1.1インチの範囲とすることができる。
【0063】
上部高さ188と下部高さ189との比は、9:8(54:48)から6:11(54:99)の範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、上部高さ188と下部高さ189との比は、9:8(54:48)から6:8(54:72)、6:8(54:72)から9:11(54:66)、又は9:11(54:66)から6:11(54:99)の範囲とすることができる。上部高さ188と下部高さ189との比が高くなると、以下に説明するように、下部109がより大きな深さと質量とを有するので、CGが低くなり得る。低いCGは、ゴルフボールとのインパクト時にゴルフクラブヘッド100に与えられるトルクを低減することによって、打ち上げ及びスピン特性を向上させる。低いCGはまた、ボール速度を増加させ、ゴルフクラブヘッド100の感触を向上させることができる。
【0064】
3)ゴルフクラブヘッド上部及び下部の深さ
図4及び
図5に示すように、ゴルフクラブヘッド100の上部108は、均一な深さを有することができる。クラブヘッド100の上部深さ116は、0.200インチから0.250インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、上部深さ116は、0.200インチから0.210インチ、0.205インチから0.215インチ、0.210インチから0.220インチ、0.215インチから0.225インチ、0.220インチから0.230インチ、0.225インチから0.235インチ、0.230インチから0.240インチ、0.235インチから0.245インチ、0.240インチから0.250インチ、又は0.245インチから0.250インチの範囲とすることができる。
【0065】
下部109は、中心面45に沿って、打撃面111からリア部103の外側面まで、ロフト面20に対して垂直に測定された深さ118を含む。下部深さ118は、トップレール部からソール部方向及び/又はヒール部からトウ部方向に変化することができる。下部深さ118は、ゴルフクラブヘッド100の上部深さ116と等しいか、又はそれより深い。下部深さ118は、0.270インチから0.780インチの範囲とすることができる。他の実施形態では、下部深さ118は、0.270インチから0.320インチ、0.320インチから0.380インチ、0.380インチから0.430インチ、0.430インチから0.480インチ、0.480インチから0.530インチ、0.530インチから0.580インチ、0.580インチから0.630インチ、0.630インチから0.680インチ、0.680インチから0.730インチ、0.730インチから0.780インチ、0.270インチから0.470インチ、0.320インチから0.520インチ、0.370インチから0.570インチ、0.420インチから0.620インチ、0.470インチから0.670インチ、0.520インチから0.720インチ、及び0.570インチから0.770インチの範囲とすることができる。
【0066】
クラブヘッド100のトウ部101及びヒール部102において、下部深さ118は、中心面45における下部深さ118とは異なることができる。トウ部101内の最小の下部深さ118は、0.300インチから0.460インチの範囲とすることができる。他の実施形態では、トウ領域101の下部深さ118は、0.300インチから0.320インチ、0.320インチから0.330インチ、0.330インチから0.340インチ、0.340インチから0.360インチ、0.360インチから0.380インチ、0.380インチから0.400インチ、0.400インチから0.420インチ、0.420インチから0.440インチ、又は0.440インチから0.460インチの範囲とすることができる。
【0067】
ヒール部102における下部深さ118も同様に、中心面45における下部深さと異なることができる。ヒール領域102内の最小の下部深さ118は、0.270インチから0.315インチの範囲とすることができる。他の実施形態では、ヒール領域102の下部深さ118は、0.270インチから0.280インチ、0.280インチから0.290インチ、0.290インチから0.300インチ、0.300インチから0.310インチ、0.310インチから0.320インチ、0.320インチから0.340インチ、0.340インチから0.360インチ、0.360インチから0.380インチ、0.380インチから0.400インチ、0.400インチから0.420インチ、0.420インチから0.440インチ、又は0.440インチから0.460インチの範囲とすることができる。
【0068】
クラブヘッド100の最大深さは、本体110の下部109内に位置している。クラブヘッド100の深さの最大値は、打撃面111からリア部103の外側面まで、ロフト面20に対して垂直に測定される。最大深さは0.670インチから0.770インチの範囲とすることができる。他の実施形態では、最大深さは、0.670インチから0.690インチ、0.690インチから0.710インチ、0.710インチから0.730インチ、0.730インチから0.750インチ、又は0.750インチから0.770インチの範囲とすることができる。
【0069】
幾つかの実施形態では、上部深さ116と下部深さ118との間の比は、1:3から4:5の範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、上部深さ116と下部深さ118との間の比は、1:3から1:2、1:2から2:3、又は2:3から4:5の範囲とすることができる。
【0070】
4)ゴルフクラブヘッド上部及び下部の容積
図4及び
図5を参照すると、ゴルフクラブヘッド100の上部108及び下部109は、容積(a volume)を含むことができる。その容積は、ヒール部102に隣接し、フェースプレート155の端部/周縁に一致する平面から、トウ部101まで測定される。上部108の容積は、0.20立方インチから0.60立方インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、上部108の容積は、0.20立方インチから0.30立方インチ、0.25立方インチから0.35立方インチ、0.30立方インチから0.40立方インチ、0.35立方インチから0.45立方インチ、0.40立方インチから0.50立方インチ、0.45立方インチから0.55立方インチ、又は0.50立方インチから0.60立方インチの範囲であることができる。幾つかの実施形態において、上部108の容積は、0.48立方インチである。
【0071】
図5に示すように、上部108と下部109は共に本体110を形成し、それはキャビティ120を画定する。本体110の上部108内にあるキャビティ120の一部は、0.05立方インチから0.40立方インチ(0.82ccから6.55cc)の範囲の容積を有することができる。幾つかの実施形態では、上部108内のキャビティ容積は、0.05立方インチから0.15立方インチ、0.10立方インチから0.20立方インチ、0.15立方インチから0.25立方インチ、0.20立方インチから0.30立方インチ、0.25立方インチから0.35立方インチ、0.30立方インチから0.40立方インチ、又は0.35立方インチから0.45立方インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、上部108におけるキャビティ容積は、0.17立方インチである。
【0072】
CGをゴルフクラブヘッド100内に適切に低く配置するために、屈曲継ぎ目130より低いゴルフクラブヘッド100(即ち、下部109)は、屈曲継ぎ目130より高いゴルフクラブヘッド100(即ち、上部108)よりも容積が大きい。クラブヘッド100の下部109の容積は、上部108と同様に測定される(即ち、ヒール部102に隣接し、フェースプレート155の縁部/周縁部に一致する平面から、トウ部まで測定される)。下部109の容積は、1.15立方インチから1.55立方インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、下部109の容積は、1.15立方インチから1.35立方インチ、1.25立方インチから1.45立方インチ、1.35立方インチから1.55立方インチ、1.20立方インチから1.30立方インチ、1.30立方インチから1.40立方インチ、又は1.40立方インチから1.50立方インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、上部の容積は、1.36立方インチである。
【0073】
下部109内のキャビティ120の一部は、0.15立方インチから0.60立方インチ(2.46ccから9.83cc)の範囲の容積を有することができる。幾つかの実施形態において、下部109におけるキャビティ容積は、0.15立方インチから0.25立方インチ、0.20立方インチから0.30立方インチ、0.25立方インチから0.35立方インチ、0.30立方インチから0.40立方インチ、0.35立方インチから0.45立方インチ、0.40立方インチから0.50立方インチ、0.45立方インチから0.55立方インチ、又は0.50立方インチから0.60立方インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、下部109のキャビティ容積は、0.37立方インチである。
【0074】
5)キャビティの全容積
再び
図1を参照すると、ゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッド100の中央部分にキャビティ120を備える、本体110を備えることができる。キャビティ120は、低密度インサート140で満たされており、それは、ツアーアイアンの中実な感触及び外観を犠牲にすることなく、ゴルフクラブヘッド100の寛容性を増加させる。ゴルフクラブヘッド100の寛容性は、周辺重み付けの量に対応し、それはキャビティ120の容積に影響される。より大きなキャビティは、より小さなキャビティよりも、ゴルフクラブヘッド100の中央領域からより多くの質量を排除する。その結果、より大きなキャビティは、より多くの重量がゴルフクラブヘッド100の周囲に配置されることを可能にする。
【0075】
キャビティ120は、0.2立方インチから0.8立方インチ(3.28ccから13.11cc)の範囲の容積を有することができる。幾つかの実施形態において、キャビティ120の容積は、0.2立方インチから0.3立方インチ、0.2立方インチから0.25立方インチ、0.25立方インチから0.30立方インチ、0.30立方インチから0.40立方インチ、0.30立方インチから0.35立方インチ、0.35立方インチから0.40立方インチ、0.40立方インチから0.50立方インチ、0.40立方インチから0.45立方インチ、0.45立方インチから0.50立方インチ、0.50立方インチから0.60立方インチ、0.50立方インチから0.55立方インチ、0.55立方インチから0.60立方インチ、0.60立方インチから0.70立方インチ、0.60立方インチから0.65立方インチ、0.65立方インチから0.70立方インチ、0.70立方インチから0.80立方インチ、0.70立方インチから0.75立方インチ、又は0.75立方インチから0.80立方インチの範囲とすることができる。他の実施形態では、キャビティ120は、0.20立方インチ、0.22立方インチ、0.24立方インチ、0.26立方インチ、0.28立方インチ、0.30立方インチ、0.32立方インチ、0.34立方インチ、0.36立方インチ、0.38立方インチ、0.40立方インチ、0.42立方インチ、0.44立方インチ、0.46立方インチ、0.48立方インチ、0.50立方インチ、0.52立方インチ、0.54立方インチ、0.56立方インチ、0.58立方インチ、0.60立方インチ、0.62立方インチ、0.64立方インチ、0.66立方インチ、0.68立方インチ、0.70立方インチ、0.72立方インチ、0.74立方インチ、0.76立方インチ、0.78立方インチ、又は0.80立方インチの容積を有することができる。
【0076】
キャビティ120は、上述のように、クラブヘッド全容積の5%から60%の間の容積を有することができる。幾つかの実施形態では、キャビティ120は、クラブヘッド全容積の5%から10%、10%から30%、15%から35%、20%から40%、25%から45%、30%から50%、35%から55%、又は40%から60%の範囲の容積を有することができる。一実施形態では、キャビティ120の容積は、クラブヘッド容積の17%から32%の範囲である。
【0077】
キャビティ120の容積を増大させることにより、本体110の中央領域から重量が排除される。この除かれた重量は、ゴルフクラブヘッド100の周囲に再分配されることができ、ゴルフクラブヘッド100により大きな寛容性を与える。
【0078】
本体110の上部及び下部108、109の高さ、深さ、及び体積は、低位置に配置されたCG60をクラブヘッド100に与える。従って、ゴルフクラブヘッド100は、以下の例3に例示されるように、平坦なリア部を有するゴルフクラブヘッドよりも低いCGを備える。上述のように、ゴルフクラブヘッド100は、0.030インチから0.050インチの範囲で、フラットバックの比較ゴルフクラブヘッドのCGよりも低いCG60を備えることができる。CG60が低いほど、ゴルフクラブヘッド100は、フラットバックゴルフクラブヘッドよりも良好な打ち上げ特性、良好なスピン特性、及び高いボール速度を有する。
【0079】
6)ゴルフクラブヘッドの厚さプロファイル
本体110のリア部103の厚さも、ゴルフクラブヘッド100の重さと、そしてCG位置に影響を及ぼす。この厚さは、リア部103の外表面からキャビティ120内のリア部103の内表面まで測定される。幾つかの実施形態では、本体110のリア部103は、本体110のソール部107の隣においてより厚い。本体110材料の密度に起因して、ソール部107の隣における大きな厚さは、均一なリア部厚さを有するゴルフクラブヘッド本体と比較して、質量を下方に移動させる。
図5の断面図に示すように、本体110のリア部103は、厚さ113を有することができる。リア部の厚さ113は、0.030インチから0.100インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、その厚さ113は、0.030インチ、0.040インチ、0.050インチ、0.060インチ、0.070インチ、0.080インチ、0.090インチ、又は0.100インチであり得る。リア部の厚さ113は、リア部103にわたり一定であることができる。幾つかの実施形態において、リア部の厚さ113は、リア部103にわたり、ヒール部からトウ部の方向及び/又はトップレール部からソール部の方向に変化する。リア部103の厚さ113を変化させることは、ゴルフクラブヘッド100の、ソール部107及びリア部103に向かって質量を移動させるのを助けることができる。質量をソール部107及びリア部103に向かって移すと、CGが下がり、これにより打ち上げ特性が向上され、スピン特性が向上され、ボール速度が増加する。
【0080】
7)本体のキャビティ
図1及び
図5に示すように、本体110は、キャビティ120の外側境界を画定する内周縁127を含むことができる。内周縁127はキャビティ120の周囲を囲む。内周縁127は、トップレール部106、ソール部107、トウ部101、及びヒール部102を内部で境界付ける。内周縁127は、ゴルフクラブヘッド100の外縁の外形に従ってもよい。キャビティ120の内周縁127は、ゴルフクラブヘッド100の縁にできるだけ近接して延在するため、キャビティ120の大きさが最大になる。その結果、低密度インサート140の大きさ及びその重み付けの利点も最大化される。
【0081】
幾つかの実施形態において、描かれてはいないが、内周縁127は、フロントからリア方向に取られたゴルフクラブヘッド100の断面図において、キャビティ120が、フロント部104により近いより大きな領域と、リア部103により近いより小さな領域とを覆うように、緩やかにテーパー状になっている。これらの実施形態では、このテーパー形状により、フロント部104に隣接するより大きな領域が、低密度インサートのより多くの表面積を取り込むことが可能となり、よってそれをフロント部104により近く配置する。低密度インサートのために残される内部キャビティ面積はより小さく、より多くの高密度材料がゴルフクラブヘッド100のリア部103に残される。従って、キャビティ120の成形は、ゴルフクラブヘッド100のリア部103及びソール部107に隣接してより多くの質量を配置することを可能にし、CGを下方及び後方に移動させることができる。
【0082】
8)ゴルフクラブヘッドのキャビティ中の窪み
図1及び
図5に示すように、本体110のフロント部104は、フェースプレート155を受け入れるための窪み(indentation)142をさらに備えている。窪み142は、キャビティ120の前方開口部に接続するが、キャビティ120の一部とはみなされない。窪み142は、ゴルフクラブヘッド100の外形にほぼ追従する周縁143を備え、外形はトップレール部106、トウ部101内の本体の縁部、ソール部107、及びヒール部102に隣接するほぼ垂直な分割線を含むが、これらに限定されない。窪み142の周縁143は、キャビティ120を画定する内周縁127からオフセットされている。窪み142の面積は、周縁143によって境界付けされるように、キャビティ120のフロント部で内周縁127によって外接される領域よりも大きい。窪み142は、後述するように、フェースプレート155の厚さとほぼ同等の深さを有する。
【0083】
フェースプレート155は、窪み142と一致し、キャビティ120内に位置し、窪み142上に載置されている。インサート140(以下に説明する)は、窪み142と同一平面にある容積までキャビティ内に嵌合する。キャビティ120の残りの容積は、窪み142上に置かれるフェースプレート155によって満たされる。併せて、インサート140とフェースプレート155は、キャビティ120の全容積と、ゴルフクラブヘッド100の窪み142とを満たす。インサート140は、窪み142を覆わず、むしろ窪み142と同一平面に位置する。これにより、インサート140は、窪み142上に位置するフェースプレート155と干渉しない。
【0084】
以下に説明する他の実施形態では、インサート140は、窪み142までキャビティ120の容積を満たさず、一部分のみを満たす。また、これらの実施形態は、窪み142上に位置するフェースプレート155と干渉しないインサート140を伴う。
【0085】
B.ゴルフクラブヘッドのインサート
従来の単一材料ツアーアイアンとは対照的に、ゴルフクラブヘッド100は、本体110のキャビティ120内に嵌合する低密度インサート140を備える。
図1に示されるように、インサート140は、キャビティ120内に嵌合するように成形される。インサート140は、上述のように、キャビティ120を完全に充填するか、又は部分的に充填する。幾つかの実施形態において、インサート140は、キャビティ120と壁の形状を共有する。インサート140の形状は、キャビティ120の形状と同一あるいは、ほぼ同一であることができる。インサートがキャビティ120を実質的に充填する実施形態では、インサート140の容積及び他の寸法は、キャビティ120のそれぞれの容積及び他の寸法にほぼ対応する。以下に説明するように、製造公差及びキャビティ120へのテープ及び/又は接着剤の挿入は、キャビティ120と比較して、インサート140がわずかに小さい容積を持つことを必要とし得る。
【0086】
1)多材料(多密度)インサート
幾つかの実施形態では、インサート140の代わりに多材料インサート440が使用される。多材料インサート440は、インサート140の寸法及び容積と同様の寸法及び容積を備えることができる。多材料インサート440は、異なる密度を有する異なる材料からなる、第1の部分450及び第2の部分460を含むことができる。幾つかの実施形態では、第1の部分450は低密度部分であり、第2の部分460は重りである。インサート440の低い部分に重量を加えると、ゴルフクラブヘッド100のCG60が下がり、これによって打ち上げ特性が向上され、ボール速度が増加する。CG60を下げるために重量を加えることは、ボール速度を増加させ、ゴルフクラブヘッド100の感触を向上することもできる。他の実施形態では、第1の部分450は振動減衰材料であり、第2の部分460は低密度材料である。振動減衰材料から第1の部分450を形成することは、ゴルフクラブヘッド100の感覚及び音に影響を与え得る。複数の材料からインサート440を形成することによって、ゴルフクラブヘッド100の感覚、音、及び周辺重み付けを変えることができる。
【0087】
上述のように、第1の部分450及び第2の部分460が本体110のキャビティ120内に嵌合するように構成されたインサート440を形成する限り、インサート440は、互いに対して任意の向き又は組み合わせである第1の部分450及び第2の部分460で形成することができる。第1の部分450は、第2の部分460から分離されてもよく、又は単一の多材料インサート440に一体的に形成されてもよい。多材料インサート440、440B、440C、及び440Dの様々な実施形態が、
図6~
図9に示され、以下で説明される。
【0088】
図6を参照すると、インサート440は、第1の部分450と第2の部分460とを備える。インサート440は、ゴルフクラブヘッド100のキャビティ120内に適合するように設計されることができる。
図6の断面は、ゴルフクラブヘッド100の中心面45に沿って切り取られている。インサート440の第1の部分450は、フェースプレート155に隣接し、第1の材料を備える。インサート440の第2の部分460は、本体110のリア部103に隣接し、第2の材料を備える。第1の部分450は、第2の部分460と重なる。インサート440の第1の部分450は、フェースプレート155のリア面128に当接するフロント面を備える。第2の部分460は、フェースプレート155と係合しない。第2の部分460は、第1の部分450のリア面と係合するフロント面を備える。第2の部分460は、ゴルフクラブヘッド100の下部109内のキャビティ120の部分内に閉じ込められる。
【0089】
幾つかの実施形態では、第1及び第2の部分450、460の一方又は両方の係合する表面は、係合表面積を増大させるために、ほぼ平坦な表面から外に延びる小さい特徴(図示せず)を備える。これらの小さな特徴は、突起、リップ、リブ、フック、又は任意の他の適切な特徴を含み得る。これらの特徴により、第1の部分450は、成形プロセス又は同時成形プロセスを通して第2の部分460上に固定されることが可能になる。
【0090】
ここで
図7~9を参照すると、多材料インサートの3つのさらなる例示的な実施形態が、中心面45に沿ったクラブヘッド100の断面図内に描かれている。多材料インサート440Bの第2の実施形態は、
図7に示すように配置された第1の部分450B及び第2の部分460Bを備える。この実施形態では、第1の部分450Bはインサート440Bの上部を形成し、第2の部分460Bはインサート440Bの下部を形成する。第1の部分450B及び第2の部分460Bの両方は、フェースプレート155と接している。第1の部分450Bは、本体110の上部108内のキャビティ120の部分を充填する。第2の部分460Bは、本体110の下部109内のキャビティ120の部分を充填する。第2の部分460Bは、キャビティ120の内側ソール部の壁全体と接している。
【0091】
多材料インサート440Cの第3の実施形態は、
図8に示すように配置された第1の部分450C及び第2の部分460Cを備える。この実施形態では、第1の部分450Cは、インサート440Cの容積の大部分を含む。第1の部分450Cは、インサート440Cの後端内に部分的に延びる。第2の部分460Cの全体は、第1の部分450Cの後方に位置している。第1の部分450Cは、ゴルフクラブヘッド100のキャビティ内において、トップレール部106からソール部107までのフェースプレート155に接している。第2の部分460Cは、フェースプレート155と係合しない。第2の部分460Cは、本体110の下部109内のキャビティ120の部分を部分的に充填し、その部分に完全に配置される。第2の部分460Cは、キャビティ120の内側ソール部の壁及びリア部背壁の一部と係合する。幾つかの実施形態では、第2の部分460Cは、高密度材料から形成される。
【0092】
多材料インサート440Dの第4の実施形態は、
図9に示すように配置された第1の部分450D及び第2の部分460Dを備える。この実施形態では、第1の部分450Dは、インサート440Dの後端内に部分的に延びる。第1の部分450Dは、ロフト面20に対して角度が付けられた平面に沿って、第2の部分460Dと係合する。さらに、第1の部分450Dは、インサート440Dの頂部に隣接する部分よりも、インサート440Dの底部に隣接する部分の方が幅広である。ゴルフクラブヘッド100に関して、第1の部分450Dは、トップレール部106に隣接する部分よりもソール部107に隣接する部分の方が広い。第1の部分450Dは、ゴルフクラブヘッド100のキャビティ120内において、トップレール部106からソール部107まで、フェースプレート155に対して接している。第2の部分460Dは、フェースプレート155と係合しない。第2の部分460Dは、本体110の下部109内のキャビティ120の部分を部分的に充填し、その部分に完全に配置される。第2の部分460Dは、キャビティ120のリア部背壁と係合する。幾つかの実施形態では、第2の部分460Dは、高密度材料から形成される。多材料インサート440を有するゴルフクラブヘッド100は、インサートがないツアーアイアンに比べて、感触及び音の向上を提供する。
【0093】
多材料インサートを有するゴルフクラブヘッド100のさらに別の実施形態では、図示されないが、第2の部分460、460B、460C、460Dと同様の第2の部分を、主にゴルフクラブヘッド100のトウ部101に配置することができる。これは、以下に説明するトウウェイト161と同様に作用する、トウウェイト効果を提供する。トウウェイトとして作用するインサートの第2の部分を有する実施形態は、外部トウウェイトを必要としない。このことは、トウウェイトでの溶接の必要性が排除することによって、美観の向上と製造の簡素化を可能にする。
【0094】
2)ゴルフクラブヘッドのインサートで充填されたキャビティの容積
上述のように、インサート140は、ゴルフクラブヘッド100のキャビティ120を完全に又は部分的に充填することができる。インサート140は、80%から100%の範囲のキャビティ120の容積を充填することができる。幾つかの実施形態では、インサート140は、80%から85%、85%から90%、90%から95%、95%から100%、80%から90%、又は90%から100%の範囲のキャビティ120の容積を充填することができる。インサート440のような多材料インサートを有する実施形態では、第1の部分450は、キャビティ120の大部分を充填することができる。第2の部分460は、キャビティ120の残りの部分を充填することができる。幾つかの実施形態では、図示されないが、第1及び第2の部分は、共に、キャビティ120を部分的にしか充填しない。多材料インサート440を有する実施形態では、第1の部分450は、20%から90%の範囲のキャビティの容積を充填することができる。幾つかの実施形態では、第1の部分450は、20%から30%、30%から40%、40%から50%、50%から60%、60%から70%、70%から80%、又は80%から90%の範囲を充填することができる。第2の部分460は、キャビティ120の容積の10%から80%の範囲を充填することができる。幾つかの実施形態では、第2の部分460は、10%から20%、20%から30%、30%から40%、又は40%から50%の範囲を充填することができる。
【0095】
第1及び第2の部分450、460は、以下で詳細に説明するように、異なる密度を有する異なる材料で形成されるため、第1及び第2の部分450、460の体積は、ゴルフクラブヘッド100の全体的な重量に影響を及ぼす。ゴルフクラブヘッドの設計では、多くの設計パラメータが一緒に考慮されなければならない。複数の材料からインサートを形成することにより、周囲の重みを増し、CGを下げるように、質量配置を制御することができ、打ち上げ特性の向上とボール速度の高速化につながる。
【0096】
3)ゴルフクラブヘッドのインサートと組み合わされたテープ層
幾つかの実施形態では、テープ層150は、インサート140と打撃面111との間のキャビティ120内に配置される。
図12に見られるように、テープ層150は、インサート140とフェースプレート155との間に挟まれる。インサート440のような多材料インサートを有するゴルフクラブヘッドの実施形態は、同様に、第1の部分450とフェースプレート155との間、又はインサート440の第1の部分450と本体110との間にテープ層150を備えることができる。ゴルフクラブヘッド100内では、インサート140は本体110内に嵌合し、テープ層150はインサート140上に任意に載置することができ、フェースプレート155はテープ層150を覆い、本体110の窪み142を充填する。
【0097】
図示されていない幾つかの実施形態では、第2のテープ層は、キャビティ120内で本体110のリア部103の内側表面と同一平面に位置することができる。第2のテープ層は、本体110のリア部103とインサート140との間に挟むことができる。幾つかの実施形態では、第3のテープ層は、キャビティ120の底部に面一に位置することができる。第3のテープ層は、本体110のソール部107とインサート140との間に挟まれることができる。ゴルフクラブヘッド100は、第1のテープ層150、第2のテープ層、及び第3のテープ層のうちの一つ又は複数を備えることができる。
【0098】
テープ層150、第2のテープ層、又は第3のテープ層は、極高結合性(very high bond)(以下、「VHB」)テープ等の材料を含むことができる。VHBテープは、最初に設けられたときのテープ層150の元の厚さ(打撃面111に対して直交して測定される)が、組み立てられたゴルフクラブヘッド100内の圧縮されたテープ層の厚さよりも大きいように、圧縮性である。第2及び第3のテープ層は、同様に圧縮可能であってもよい。一つ又は複数のテープ層の圧縮性の性質は、本体110とインサート140との間の製造公差によって生じるがたつきの可能性を低減する。さらに、この一つ又は複数のテープ層は、ゴルフクラブヘッド100の感覚及び音に積極的に影響を与えるだけでなく、振動減衰を提供することができる。
【0099】
C.ゴルフクラブヘッドのフェースプレート
完全なゴルフクラブヘッド100は、本体110、インサート140、及びフェースプレート155の組み合わせによって形成される。本体110は、ゴルフクラブヘッド100のフロント部104にキャビティ120の開口部を備える。開口部は、キャビティ120及びインサート140を完全に囲むように、フェースプレート155によって覆われている。
図2及び
図3に示すように、キャビティ120及びインサート140は、インサート140がキャビティ120内に配置されたとき、ゴルフクラブヘッド100の外側からは見えない。ゴルフクラブヘッド100内にインサート140を隠すことにより、ゴルフクラブヘッド100の外観は、従来のツアーアイアンの外観に類似することができる。
【0100】
従って、本体110のフロント部104の一部とフェースプレート155が打撃面111を形成する。打撃面111は、ゴルフクラブヘッド100のフロント部104の表面積の70%から95%の範囲を覆うことができる。幾つかの実施形態では、打撃面111は、ゴルフクラブヘッド100のフロント部の表面積の70%から80%、75%から85%、80%から90%、又は85%から95%の範囲を覆うことができる。さらに、打撃面111のフロント面は、一つ又は複数の溝を備えていてもよい。幾つかの実施形態では、その溝は、フェースプレート155の縁部を越えて本体110の一部の上に延在する。
【0101】
フェースプレート155は、以下に説明するように、本体110とは異なる材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、フェースプレート155の材料は、本体110の材料よりも強い。フェースプレート155の材料の利益を活用するために、打撃面111の大部分は、フェースプレート155によって形成される。フェースプレート155は、ゴルフクラブヘッド100のフロント部104の表面積の50%から95%の範囲を形成することができる。幾つかの実施形態では、フェースプレート155は、打撃面111の表面積の50%から60%、60%から70%、70%から80%、80%から90%、又は85%から95%の範囲を形成することができる。インサート140がフェースプレート155をしっかりと支持するので、フェースプレート155及び打撃面111の本体110部分は、異なる材料を有するにもかかわらず、両方とも、しっかりとした感触を与える。本体110、インサート140、及びフェースプレート155はすべて、ゴルフクラブヘッド100がフェースプレート155の様々な領域上でゴルフボールに衝突したときに、ゴルフクラブヘッド100の一貫した感触及び音に寄与することができる。
【0102】
1)フェースプレートのその他の特性
インサート140によってフェースプレート155に提供される支持は、薄いフェースプレート155がゴルフクラブヘッド100において使用されることを可能にする。
図5に示すように、ゴルフクラブヘッド100のフェースプレート155は厚さ112を有する。厚さ112は、0.030インチから0.100インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、フェースプレートの厚さ112は、0.030インチ、0.040インチ、0.050インチ、0.060インチ、0.070インチ、0.080インチ、0.090インチ、又は0.100インチとすることができる。フェースプレートの厚さ112は、フェースプレート155にわたって一定であることができる。幾つかの実施形態では、フェースプレートの厚さ112は、ヒール部からトウ部の方向、又はトップレール部からソール部の方向に変化することができる。幾つかの実施形態では、フェースプレートの厚さ112は、フェースプレート155の中心から半径方向に変化することができる。
【0103】
他の実施形態では、フェースプレート155は、可変厚さ領域をさらに備えることができる。幾つかの実施形態では、フェースプレート155の中央領域は、フェースプレート155の周辺領域よりも厚くすることができる。幾つかの実施形態では、厚くなった中央領域は、楕円形を有することができる。フェースプレート155の厚さは、フェースプレート155の中心部から周縁部に向かってテーパー状となることができる。
【0104】
D.ゴルフクラブヘッドの他の周辺重み付け(チップウェイト、トウウェイト)
ゴルフクラブヘッド100は、インサート140及び本体110によって提供される周辺重み付け及びスイング特性に加えて、他の周辺タイプの重みをさらに備えることができる。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100は、チップウェイト160をさらに備えることができる。チップウェイト160は、ホーゼル105とゴルフクラブシャフトとの間の接合部に嵌合するウェイトである。チップウェイト160は、クラブヘッド100に付加的な周辺重み付けを与える。
図13に示すように、チップウェイト160は、本体110のホーゼル105内に嵌合する。チップウェイト160は、円筒形、球形、立方体形、又は任意の他の適切な形状とすることができる。チップウェイト160は、
図13に示されているよりもホーゼル105内でより高い、又はより低い位置にあってもよい。
【0105】
図1及び
図13に示すように、ゴルフクラブヘッド100の本体110は、トウキャビティ114をさらに備えることができる。トウキャビティ114は、トウウェイト161を収容するように設計されており、このトウウェイトは、ゴルフクラブヘッド100の周辺重み付け及びスイング特性を向上する。
図3は、トウウェイト161が取り付けられたトウキャビティ114を示している。
図13は、トウキャビティ114から取り外されたトウウェイト161を示している。幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、部分的にソール部107内に配置され、部分的にトウ部101内に配置される。幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、ゴルフクラブヘッド100のトウ部101内に完全に位置し、ソール部107に隣接する。幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、ソール部107内に完全に位置し、トウ部101に隣接する。幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、完全にトウ部101内に位置する。幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、トウ部101の中央に位置し、トップレール部106とソール部107との間のほぼ半分である。
【0106】
幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、クラブヘッド100の本体110の背面図から見ることができる。他の実施形態では、トウキャビティ114は、本体110の背面図からは見えない。幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、本体110のトウ側面図から見ることができる。他の実施形態では、トウキャビティ114は、本体110のトウ側面図からは見えない。幾つかの実施形態では、トウキャビティ114は、本体110のソール側面図から見ることができる。他の実施形態では、トウキャビティ114は、本体110のソール側面図からは見えない。
図1~
図13の実施形態では、トウキャビティ114は、背面図、ソール側面図、及びトウ側面図から見ることができる。
【0107】
トウウェイト161は、本体110のトウキャビティ114の外形に一致するように形成されている。トウウェイト161の外壁は、ゴルフクラブヘッドの本体110の曲線に沿って設計されている。幾つかの実施形態では、トウウェイト161の質量は、本体110の質量の5%から45%の範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、トウウェイト161の質量は、本体110の質量の5%から20%、5%から15%、10%から20%、15%から25%、20%から40%、20%から30%、30%から40%、又は35%から45%の範囲とすることができる。
【0108】
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100の本体110は、図示されていないが、トウ部101にトウスクリューウェイトポートをさらに備えることができる。ゴルフクラブヘッド100は、スクリューウェイトポート内に嵌合するトウスクリューウェイトをさらに備えることができる。幾つかの実施形態では、トウスクリューウェイトは、後述するように、2グラムから15グラムの範囲の重量を備えることができる。ゴルフクラブヘッド100をゴルファーのスイングに合わせてカスタマイズするために、一つの重量値を有するスクリューウェイトを、異なる重量値を有する異なるスクリューウェイトと交換することができる。
【0109】
幾つかの実施形態では、インサート、トウウェイト、チップウェイト、及びトウスクリューウェイトを含む、上述のウェイトの組み合わせがある。他の実施形態は、トウウェイト、チップウェイト、及びトウスクリューウェイトのうちの一つ又は複数と組み合わされた多材料インサートを備えることができる。
【0110】
E.材料
本体110、インサート140、及びフェースプレート155を形成する材料は、ゴルフクラブヘッド100の質量分布に影響を及ぼす。その結果、ゴルフクラブヘッド100のMOI及びCGも、材料の密度の影響を受ける。さらに、これらの材料は、ゴルフクラブヘッド100に必要な強度及び柔軟性を提供する。ゴルフクラブヘッド100は、一つ以上、二つ以上、三つ以上、又は四つ以上の材料を含む。幾つかの実施形態では、それらの材料は、第1の密度、第2の密度、第3の密度、第4の密度、第5の密度、又は第6の密度であってもよい。
【0111】
幾つかの実施形態では、フェースプレート155は、第1の密度を有する第1の材料を含むことができる。本体110は、第2の密度を有する第2の材料を含むことができる。インサート140は、第3の密度を有する第3の材料を含むことができる。第3の密度は、第1の密度及び/又は第2の密度よりも小さくすることができる。幾つかの実施形態では、フェースプレート155は、本体110と同じ材料(従って、同じ密度)とすることができる。上述したように、幾つかの実施形態では、インサート440は、互いに異なる密度であり、フェースプレート155及び/又は本体110の材料にわたって異なるか又は同じであり得る、二つあるいはそれ以上の材料を含むことができる。
【0112】
1)本体材料
本体110は、鋼、鋼合金、又は任意の他の適切な材料等の材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、本体110は、フェースプレート155及びインサート140に渡って異なる密度の材料を含むことができる。材料は、鋼ベース材料及び鋼合金からなる群から選択される材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、本体材料は、8620炭素鋼とすることができ、これは、鉄と、約0.17~0.23重量%の炭素と、約0.15~0.35重量%のケイ素と、約0.60~0.90重量%のマンガンと、約0.15~0.30重量%のモリブデンと、約0.40~0.70重量%のニッケルと、約0.40~0.65重量%のクロムと、約0.040重量%のリンと、微量の他の元素とを含む。幾つかの実施形態では、本体材料は、300グレード鋼とすることができ、鉄と、約18~19重量%のニッケルと、約8.5~9.5重量%のコバルトと、約4.6~5.2重量%のモリブデンと、約0.5~0.8重量%のチタンと、約0.05~0.15重量%のアルミニウムと、微量の他の元素とを含む。幾つかの実施形態では、本体材料は、マルエージング鋼とすることができ、鉄と、約17~19重量%のニッケルと、約8~12.5重量%のコバルトと、約3.0~5.2重量%のモリブデンと、約0.15~1.6重量%のチタンと、約0.05~0.15重量%のアルミニウムと、微量の他の元素とを含む。本体110材料の密度は、1立方センチメートル当たり7.70から8.10グラム(以下、「g/cc」)の範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、本体材料の密度は、7.70g/cc、7.75g/cc、7.80g/cc、7.85g/cc、7.90g/cc、7.95g/cc、8.05g/cc、又は8.10g/ccとすることができる。一実施形態では、本体材料の密度は7.85g/ccである。
【0113】
2)インサート材料
インサート140は、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、エラストマー、ポリマーマトリックス複合材料、任意の他の適切な低密度材料、又は本体110材料よりも低密度である任意の他の適切な密度材料等の材料を含む。アルミニウム合金は、高強度アルミニウム合金、又は高強度合金で被覆された複合アルミニウム合金とすることができる。ポリマーマトリックス複合体は、ガラス充填エラストマー、ステンレス鋼充填エラストマー、タングステン充填エラストマー、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性エラストマー(TPE)、又は、Kevlar(登録商標)(アラミド)繊維強化ポリマー、炭素繊維強化ポリマー、又は適切な樹脂と適切な強化繊維との任意の組み合わせである、任意の他のエラストマーマトリックス複合体、であり得る。ポリマーマトリックス複合材料は、エラストマーマトリックス複合材料とすることができる。幾つかの実施形態では、金属材料は、鋼ベース材料、チタンベース材料、アルミニウム合金、チタン合金、又はそれらの任意の組合せとすることができる。鋼ベース材料は、17-4PHステンレス鋼、431、455、457、C300、マルエージング鋼、又は他のタイプのステンレス鋼とすることができる。アルミニウム合金は、高強度アルミニウム合金、又は高強度合金で被覆された複合アルミニウム合金とすることができる。チタン合金はTi-9S,Ti-6-4,Ti-15-3-3-3とすることができる。チタン合金はα-βチタン合金とすることができる。
【0114】
インサート140は、本体110及びフェースプレート155に渡って異なる密度の材料を含むことができる。インサート140に適した材料は、本体材料の密度よりも低い密度を有する任意の材料を含むことができる。幾つかの実施形態、特に金属インサート材料を有する実施形態では、インサート140材料の密度は、2.4g/ccから5.0g/ccの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、インサート140材料の密度は、2.4g/cc、2.5g/cc、2.6g/cc、2.7g/cc、2.8g/cc、2.9g/cc、3.0g/cc、3.1g/cc、3.2g/cc、3.3g/cc、3.4g/cc、3.5g/cc、3.6g/cc、3.7g/cc、3.8g/cc、3.9g/cc、4.0g/cc、4.1g/cc、4.2g/cc、4.3g/cc、4.4g/cc、4.5g/cc、4.6g/cc、4.7g/cc、4.8g/cc、4.9g/cc、又は5.0g/ccとすることができる。一実施形態では、インサート140の材料はアルミニウムであり、インサート140の材料の密度は約2.7g/ccである。他の実施形態では、インサート140の材料はチタンであり、インサート140の材料の密度は約4.5g/ccである。
【0115】
幾つかの実施形態、特にポリマーマトリックス複合材料を有する実施形態では、インサート140の密度は、1.0g/ccから12.0g/ccの範囲とすることができる。ポリマーマトリックス複合材料の好ましい実施形態では、インサート140の密度は、1.0g/ccから5.0g/ccの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、インサート140の密度は、1.0g/cc、1.5g/cc、2.0g/cc、2.5g/cc、3.0g/cc、3.5g/cc、4.0g/cc、4.5g/cc、又は5.0g/ccとすることができる。インサート140の密度が低いと、インサート140を収容するクラブヘッドの中央部分が軽くなり、重量をクラブヘッドの周囲に再配分することができる。再分配された重量は、MOIを増加させる。
【0116】
ゴルフクラブヘッド100の幾つかの実施形態では、インサート440は、異なる材料及び異なる密度から形成された別個の部分を含む。幾つかの実施形態では、インサート440の第1及び第2の部分450、460はそれぞれ、単一材料インサートについて上述した材料のいずれかから形成することができる。幾つかの実施形態では、インサート440の第1の部分450は、0.8g/ccから1.4g/ccの範囲の密度を含むエラストマー又はポリマーマトリックス複合材料から形成され、インサート440の第2の部分460は、1.5g/ccから3.0g/ccの範囲の密度を含むアルミニウム又はアルミニウム合金から形成される。
【0117】
ゴルフクラブヘッド100の幾つかの実施形態では、インサート440の第1の部分450は、1.0g/ccから12.0g/ccの範囲の密度を有する上述の材料のいずれかを含むことができる。幾つかの実施形態では、インサート440の第2の部分460は、本体材料の密度よりも高い密度を有する材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、インサート440の第2の部分460は、トウウェイト161について以下で説明する材料のいずれかを含み、14.0g/ccから19.6g/ccの範囲の密度を有するウェイト部分とすることができる。これらの実施形態の幾つかでは、インサート440の第2の部分460が同様の目的を果たすので、トウウェイト161は必要ではない。
【0118】
インサート140又は440の重量は、10グラムから50グラムの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、インサート140の重量は、10グラム、11グラム、12グラム、13グラム、14グラム、15グラム、16グラム、17グラム、18グラム、19グラム、20グラム、21グラム、22グラム、23グラム、24グラム、25グラム、26グラム、27グラム、28グラム、29グラム、30グラム、31グラム、32グラム、33グラム、34グラム、35グラム、36グラム、37グラム、38グラム、39グラム、40グラム、41グラム、42グラム、43グラム、44グラム、45グラム、46グラム、47グラム、48グラム、49グラム、又は50グラムとすることができる。インサートの第2の部分460が、以下で説明するトウウェイト161の材料と同様の材料を含む多材料インサートの実施形態では、インサート140又は440、及びインサート140又は440の重量は、10グラムから70グラムの範囲とすることができる幾つかの実施形態では、多材料インサート140又は440の重量は、10グラムから20グラム、20グラムから30グラム、30グラムから40グラム、40グラムから50グラム、50グラムから60グラム、又は60グラムから70グラムの範囲とすることができる。
【0119】
さらに、インサート140及び440は、打撃面111に構造的支持を提供する。金属インサート材料を有する実施形態では、インサート140又は440、又はインサート140又は440の一部は、30HRBから100HRBの範囲のロックウェルB硬度を含むことができる。幾つかの実施形態において、インサート140又は440、又はインサート140又は440の一部は、30HRBから40HRB、40HRBから50HRB、50HRBから60HRB、60HRBから70HRB、70HRBから80HRB、80HRBから90HRB、90HRBから100HRBの範囲のロックウェルB硬度を有することができる。他の実施形態では、インサート140又はインサート140の一部は、30HRB、31HRB、32HRB、33HRB、34HRB、35HRB、36HRB、37HRB、38HRB、39HRB、40HRB、41HRB、42HRB、43HRB、44HRB、45HRB、46HRB、47HRB、48HRB、49HRB、50HRB、51HRB、52HRB、53HRB、54HRB、55HRB、56HRB、57HRB、58HRB、59HRB、60HRB、61HRB、62HRB、63HRB、64HRB、65HRB、66HRB、67HRB、68HRB、69HRB、70HRB、71HRB、72HRB、73HRB、74HRB、75HRB、76HRB、77HRB、78HRB、79HRB、80HRB、81HRB、82HRB、83HRB、84HRB、85HRB、86HRB、87HRB、88HRB、89HRB、90HRB、91HRB、92HRB、93HRB、94HRB、95HRB、96HRB、97HRB、98HRB、99HRB、又は1000HRBを有することができる。金属インサートを有する他の実施形態では、インサート140又は440、又はインサート140又は440の一部は、30HRCから60HRCの範囲のロックウェルC硬度を含むことができる。幾つかの実施形態において、インサート140又は440は、30HRCから40HRC、35HRCから45HRC、40HRCから50HRC、45HRCから50HRC、又は50HRCから60HRCの範囲の硬度を有することができる。他の実施形態では、インサートは、30HRC、31HRC、32HRC、33HRC、34HRC、35HRC、36HRC、37HRC、38HRC、39HRC、40HRC、41HRC、42HRC、43HRC、44HRC、45HRC、46HRC、47HRC、48HRC、49HRC、50HRC、51HRC、52HRC、53HRC、54HRC、55HRC、56HRC、57HRC、58HRC、59HRC、又は60HRCのロックウェルC硬度を有することができる。チタン又はチタン合金インサート140又は440を含む幾つかの実施形態では、インサート硬度は44HRCである。
【0120】
3)フェースプレート材料
フェースプレート155は、フェースプレート材料から形成することができる。幾つかの実施形態では、フェースプレート材料は、本体110材料と同じ材料である。他の実施形態では、フェースプレート材料は、本体材料とは異なる材料である。幾つかの実施形態では、フェースプレート155は、本体110及びインサート140に渡って異なる密度の材料を含むことができる。
【0121】
フェースプレート材料は、鋼ベース材料、チタンベース材料、チタン合金、又はそれらの任意の組合せとすることができる。鋼ベース材料は、炭素鋼、17-4PHステンレス鋼、431、455、475、C300、マルエージング鋼、又は他のタイプのステンレス鋼とすることができる。チタン合金は、Ti-7S+(ST721)、Ti-9S、Ti-6-4、Ti-15-3-3-3、又は任意の他の適切なチタン合金とすることができる。このチタン合金は、α-β型チタン合金であってもよい。フェースプレート155がチタンベース材料、アルミニウム合金、チタン合金、又はそれらの任意の組み合わせである実施形態では、フェースプレート155の材料の密度は、2.6g/ccから8.7g/ccの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、フェースプレート材料の密度は、2.6g/cc、2.8g/cc、3.0g/cc、3.2g/cc、3.4g/cc、3.6g/cc、3.8g/cc、4.0g/cc、4.2g/cc、4.4g/cc、4.6g/cc、4.8g/cc、5.0g/cc、5.2g/cc、5.4g/cc、5.6g/cc、5.8g/cc、6.0g/cc、6.2g/cc、6.4g/cc、6.6g/cc、6.8g/cc、7.0g/cc、7.2g/cc、7.4g/cc、7.6g/cc、7.8g/cc、8.0g/cc、8.2g/cc、8.4g/cc、8.6g/cc、又は8.7g/ccの範囲とすることができる。フェースプレート155が鋼ベースの材料である実施形態では、フェースプレート材料の密度は、7.7g/ccから8.1g/ccの範囲とすることができる。
【0122】
4)チップウェイト材料
チップウェイト160は、本体110、フェースプレート155、及びインサート140又は440の材料とは異なる材料を含むことができる。チップウェイト160は、タングステン又は他の任意の適切な金属又は金属合金材料等の高密度材料を含む。チップウェイト160の密度は、1.1g/ccから19.6g/ccの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、チップウェイト160材料の密度は、1.1g/cc、1.5g/cc、2.0g/cc、2.5g/cc、3.0g/cc、3.5g/cc、4.0g/cc、4.5g/cc、5.0g/cc、5.5g/cc、6.0g/cc、6.5g/cc、7.0g/cc、7.5g/cc、8.0g/cc、8.5g/cc、9.0g/cc、9.5g/cc、10.0g/cc、10.5g/cc、11.0g/cc、11.5g/cc、12.0g/cc、12.5g/cc、13.0g/cc、13.5g/cc、14.0g/cc、14.5g/cc、15.0g/cc、15.5g/cc、15.8g/cc、16.0g/cc、16.2g/cc、16.4g/cc、16.6g/cc、16.8g/cc、17.0g/cc、17.2g/cc、17.4g/cc、17.6g/cc、17.8g/cc、18.0g/cc、18.2g/cc、18.4g/cc、18.6g/cc、18.8g/cc、19.0g/cc、19.2g/cc、19.4g/cc、又は19.6g/ccの範囲とすることができる。チップウェイト160の重量は、0グラムから18グラムの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、チップウェイト160の重量は、0グラム(チップウェイトがない実施形態では)、1グラム、2グラム、3グラム、4グラム、5グラム、6グラム、7グラム、8グラム、9グラム、10グラム、11グラム、12グラム、13グラム、14グラム、15グラム、16グラム、17グラム、又は18グラムとすることができる。ほとんどの実施形態では、チップウェイト160は、0グラムから9グラムの範囲である。
【0123】
5)トウウェイト材料
トウウェイト161は、本体110、フェースプレート155、チップウェイト160、及びインサート140又は440の材料とは異なる材料を含むことができる。トウウェイト161は、タングステン又は任意の他の適切な金属又は金属合金材料等の高密度材料を含む。トウウェイト161材料の密度は、14.0g/ccから19.6g/ccの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、トウウェイト161材料の密度は、14.0g/cc、14.2g/cc、14.4g/cc、14.6g/cc、14.8g/cc、15.0g/cc、15.2g/cc、15.4g/cc、15.6g/cc、15.8g/cc、16.0g/cc、16.2g/cc、16.4g/cc、16.6g/cc、16.8g/cc、17.0g/cc、17.2g/cc、17.4g/cc、17.6g/cc、17.8g/cc、18.0g/cc、18.2g/cc、18.4g/cc、18.6g/cc、18.8g/cc、19.0g/cc、19.2g/cc、19.4g/cc、又は19.6g/ccの範囲とすることができる。トウウェイト161の重量は、10グラムから40グラムの範囲とすることができる。幾つかの実施形態において、トウウェイト161の重量は、10グラム、11グラム、12グラム、13グラム、14グラム、15グラム、16グラム、17グラム、18グラム、19グラム、20グラム、21グラム、22グラム、23グラム、24グラム、25グラム、26グラム、27グラム、28グラム、29グラム、30グラム、31グラム、32グラム、33グラム、34グラム、35グラム、36グラム、37グラム、38グラム、39グラム、及び40グラムとすることができる。幾つかの実施形態では、トウウェイト161の重量は、12グラムから26.5グラムの範囲とすることができる。
【0124】
6)トウスクリューウェイト材料
トウスクリューウェイト(スイングウェイト)は、チップウェイト又はトウウェイトの高密度材料と同様の任意の高密度材料を含むことができる。トウスクリュー材料の密度は、チップウェイト材料の密度と類似することができる。トウスクリューウェイトの重量は、上述したチップウェイトの重量と同様とすることができる。
【0125】
II.リア開口を有するゴルフクラブヘッド
ここでは、ゴルフクラブヘッド600を説明する。ゴルフクラブヘッド100と同様に、ゴルフクラブヘッド600は、上述したような寛容性を有するツアースタイルのゴルフクラブヘッドとすることができる。ゴルフクラブヘッド600は、インサート640を収容するキャビティ620を有する本体610を備えることができる。ゴルフクラブヘッド600は、フェースプレート655と、本体610と、インサート640とを備える。本体610は、上部608と、下部609と、ソール部607と、リア部603と、トップレール部606とを備える。リア部603は、屈曲継ぎ目630をさらに備えることができる。屈曲継ぎ目630は、ゴルフクラブヘッド600の上部608と下部609との間の境界である。フェースプレート655及び本体の一部は、ゴルフクラブヘッドの打撃面611(打撃表面)を画定する。フェースプレート655、ソール部607、リア部603、及びトップレール部606は、キャビティ620を囲む。
【0126】
図14~23は、ゴルフクラブヘッド100と同様のゴルフクラブヘッド600を示す。ゴルフクラブヘッド600は、キャビティ620を形成する本体610と、フェースプレート655と、リア開口680と、キャビティ内の低密度インサート640とを備える。本体610は、上部608と、下部609と、ソール部607と、リア部603と、トップレール部606とを備える。リア部603は、屈曲継ぎ目630をさらに備えることができる。屈曲継ぎ目630は、ゴルフクラブヘッド600の上部608と下部609との間の境界である。フェースプレート655及び本体610の一部は、ゴルフクラブヘッド600の打撃面611(打撃表面)を画定する。
【0127】
本体610は本体110に類似している。フェースプレート655、ソール部607、及びリア部603は、ゴルフクラブヘッド600の上部608にリア開口680を備えたキャビティ620を形成する。本体610のリア開口680は、キャビティ620を部分的に露出させる。組み立て後、インサート640は、リア部603の開口680を通して見える。本体610は、クラブヘッド100について上述した窪み142と同様に、フェースプレート655を受け入れるための窪み642を本体610のフロント部604にさらに備える。
【0128】
インサート640は、キャビティ620内に収容されている。インサート640は、非金属又はポリマーベースの材料を含むことができる。インサート材料は、キャビティ620内にインサート640を形成するために、リア開口を通してゴルフクラブヘッド600のキャビティ620内に注入されることができる。他の実施形態では、インサート640は、上述のインサート140と同様の金属材料を含むことができる。フェースプレート655は、ゴルフクラブヘッド600のフロント部604でキャビティ620を囲む。フェースプレート655及び本体610のフロント部604は共に、打撃面611を画定する。
【0129】
ゴルフクラブヘッド600は、ツアーアイアンクラブヘッドであり、1.8立方インチから2.7立方インチ(30立方センチメートル(cc)から45cc)の体積を有する。ゴルフクラブヘッド600の本体610は、金属材料から鋳造又は鍛造することができる。
【0130】
インサート640は、低密度材料を含み、ゴルフクラブヘッド600の本体610よって形成されたキャビティ620を充填する。ゴルフクラブヘッド600の中心の質量を減少させることは、ゴルフクラブヘッド600の慣性モーメント値を増加させるために、その周辺に余分な質量を集中させることを可能にする。上述のように、ゴルフクラブヘッド600は、下部609及び上部608を備える。下部609は、上部608よりも大きい深さを備える。これにより、下部609は、周辺のヒール部602、トウ部601、及びソール部607に集中したより多くの質量を有する。本体610の質量を低くすることは、低いCG60をもたらし、これによって打ち上げ角を増加させ、スピンを減少させ、ボール速度を増加させる。上記で説明したように、周辺重み付けからの比較的高い慣性モーメントと、質量の低い位置に由来する低いCGとを有するツアーアイアンサイジングを結合するアイアンが、本技術分野で必要とされている。幾つかの実施形態では、ホーゼル内に配置されたチップウェイト660及び/又は本体610のトウキャビティ614内に配置されたトウウェイト661は、付加的な周辺重み付けを提供する。幾つかの実施形態では、本体610のトウスクリューウェイトキャビティ663(スイングウェイトキャビティ)内に配置されたトウスクリューウェイト662(スイングウェイト)は、付加的な周辺重み付けを提供する。
【0131】
ゴルフクラブヘッド600は、ゴルフクラブヘッド100と同じ基準面及び軸で説明することができる。グランド面10、ロフト面20、中心面45、中心点80、前縁軸35、前縁面、x軸30、y軸40、z軸50、及びホーゼル軸70の定義は、ゴルフクラブヘッド100の場合と同様に、ゴルフクラブヘッド600の場合と変わらない。
【0132】
A.ゴルフクラブヘッドの部分
図15及び
図16で上述し、図示したように、本体610は、少なくとも上部608、下部609、ソール部607、トップレール部606、リア部603、フロント部604、トウ部601、ヒール部602、及びホーゼル605とを備え、そのそれぞれは、上部108、下部109、ソール部107、トップレール部106、リア部103、フロント部104、トウ部101、ヒール部102、及びゴルフクラブヘッド100のホーゼル105と同様である。幾つかの実施形態において、本体610のフロント開口にわたってフェースプレート655は溶接又は加締められている。
【0133】
本体610は、ゴルフクラブヘッド100の屈曲継ぎ目130及びリア外形と類似する、屈曲継ぎ目630及びリア外形を備える。上部及び下部608、609の高さ、上部及び下部608、609の深さ、及びリア部603の厚さは、ゴルフクラブヘッド100の上部及び下部108、109の高さ、上部及び下部108、109の深さ、及びリア部103の厚さに類似している。
【0134】
本体610は、本体610のリア部に開口壁682をさらに備える。開口壁682は、リア開口680を画定する。本体610のリア開口680は、屈曲継ぎ目630の上方であるクラブヘッド600の上部608に位置する。上部608全体内のリア開口680の位置と連動する上部608の均一な深さは、開口680を取り囲む平坦な表面を可能にする。本体610の開口壁682(リア開口680)の全ての側面では、ゴルフクラブヘッド600の外面は平面である。この平坦な表面は、以下でさらに説明するように、製造中にキャビティ620内へインサート材料を注入する間に、リア開口680の周りに密閉性を提供するために必要である。
【0135】
リア開口680の大きさを識別するために、ロフト面20に平行な、リア部603(ホーゼル605あるいはソール部607を含まない)の投影面積を取ることができる。リア部603の投影面積は、開口壁682によって外接される投影面積と比較され得る。開口壁682は、クラブヘッド600のリア部603の投影面積の25%から50%の範囲の面積と外接する(リア開口が覆う)。幾つかの実施形態では、開口壁682は、25%から30%、25%から35%、30%から40%、35%から45%、40%から50%、又は45%から50%の範囲でリア領域の割合を囲むことができる。他の実施形態では、開口壁682は、リア領域の25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、446%、47%、48%、49%、又は50%の割合を囲むことができる。
【0136】
幾つかの実施形態において、インサート640は、リア開口680を通して見える。幾つかの実施形態では、インサートの10%から60%の範囲を、リア開口680を通して見ることができる。幾つかの実施形態では、インサート640の10%から20%、15%から25%、20%から30%、25%から35%、30%から40%、35%から45%、40%から50%、45%から55%、又は50%から60%の範囲を、リア開口680を通して見ることができる。図示していないが、幾つかの実施形態では、バッジが、リア開口680の上に配置される。これらの実施形態では、バッジは、インサートの10%から60%の範囲を覆うことができる。幾つかの実施形態では、バッジは、インサート640の10%から20%、15%から25%、20%から30%、25%から35%、30%から40%、35%から45%、40%から50%、45%から55%、又は50%から60%の範囲を覆うことができる。
【0137】
リア開口680を画定する開口壁682を備えたリア部603は、上部608の低い質量に寄与する。本体材料の密度よりも低い密度を有する材料でリア開口680を充填することにより、低いCGを有するゴルフクラブヘッド600が得られる。上部608の質量を小さくすることは、CGを下げ、かつ、ゴルフクラブヘッドの寛容性を向上させるために重量を周囲に分配することを可能にする。種々の設計パラメータは、上部の低質量に寄与し得る。ゴルフクラブヘッド100について上述したように、均一な上部深さを保つことは、上部608の低質量にも寄与する。
【0138】
本体610を形成するために使用される材料は、一般に、インサート640の材料よりも高い密度を有するので、開口壁682によって囲まれたリア部本体610の部分をインサート材料で置き換えることによって、上部608の質量を低減することができる。本体材料からのみ形成された中実のリア部を有する同様のゴルフクラブヘッドと比較すると、ゴルフクラブヘッド600は、リア開口680のために、より低いCGを備える。開口680の投影面積割合及びインサート材料の密度は、1グラムから17グラムの範囲で、上部608の質量を減少させることができる。幾つかの実施形態では、上部608の質量は、1グラムから3グラム、3グラムから5グラム、5グラムから7グラム、7グラムから9グラム、9グラムから11グラム、11グラムから13グラム、13グラムから15グラム、又は15グラムから17グラムの範囲で減少させることができる。他の実施形態では、上部608の質量は、1グラム、2グラム、3グラム、4グラム、5グラム、6グラム、7グラム、8グラム、9グラム、10グラム、11グラム、12グラム、13グラム、14グラム、15グラム、16グラム、又は17グラム減少させることができる。本体610の上部108の質量のこの減少は、CGの低下、打ち上げ及びスピン特性の向上、及びボール速度の増加を補助する。
【0139】
ゴルフクラブヘッド600の本体610は、キャビティ620を画定する。本体610のキャビティ620は、ツアーアイアンの好ましい固い感覚を犠牲にすることなく、ゴルフクラブヘッド600のMOIを増大させる低密度インサート640を受け入れるように構成することができる。キャビティ620の領域、容積、及び外形は、キャビティ120の領域、容積、及び外形と同様である。キャビティ620の前面開口に隣接して、本体610は、ゴルフクラブヘッド100の内周縁127と同様の内周縁627を備える。ソール部607、トップレール部606、リア部603、内周縁627、及びフェースプレート655は、キャビティ620を画定する。キャビティ620は、本体610のリア開口680に接続し、フェースプレート655によって本体610のフロント部604で囲まれている。キャビティ620は、本体610のリア部603のリア開口680を通して露出される。
【0140】
B.ゴルフクラブヘッドのインサート
インサート640は、MOIを増大させ、ゴルフクラブヘッド600の中実な感触を保持するために、本体610のキャビティ620内に嵌合するように構成される。インサート640の体積は、ゴルフクラブヘッド100のインサート140の体積と同様とすることができる。幾つかの実施形態では、インサート640は、キャビティ620を越えてリア開口680内に延びるので、インサート640の体積は、キャビティ620の容積よりも大きくすることができる。
【0141】
インサート640は、ゴルフクラブヘッド100について上述したように、キャビティ620を完全に充填するか、又は部分的に充填する。インサート640は、ゴルフクラブヘッド100について説明したように、キャビティ620の体積パーセント(a percent volume)を充填することができる。幾つかの実施形態では、
図19に示すように、インサート640は、キャビティ620の100%を満たし、リア開口680内に延びることができる。
図20に示すように、インサート640は、キャビティ620の60%を充填することができる。
図21に示すように、インサート640は、キャビティ620の70%を充填し、リア開口680内に部分的に延びることができる。
図22に示すように、インサート640は、キャビティ620の80%を充填し、リア開口680内に部分的に延びることができる。
図23に示すように、インサート640は、キャビティ620の90%を満たし、リア開口680内に部分的に延びることができる。図示していないが、幾つかの実施形態において、インサート640は、キャビティ620のみを充填し、リア開口680を充填しなくてもよい。幾つかの実施形態では、インサート640は、金属材料を含むことができ、キャビティ620のみを充填することができる。この例示的な実施形態では、図示されていないが、本体610の開口壁682は、インサート640内に融合するようにテーパー状とすることができ、リア開口680のためのより明確でない境界を提供する。
【0142】
幾つかの実施形態では、インサート640は、以下に記載されるように、ゴルフクラブヘッド600に挿入される前に形成される。他の実施形態では、インサート640は、本体610のキャビティ620内に形成される。これらの実施形態では、リア開口680を形成する開口壁682は、後述するように、インサート640がキャビティ620内に注入されるためのポートとして機能することができる。
【0143】
C.本体のキャビティ
本体キャビティ620のフロント面は、フェースプレート655によって囲むことができる。フェースプレート655及び打撃面611は、ゴルフクラブヘッド100のフェースプレート155及び打撃面611と同様とすることができる。しかしながら、幾つかの実施形態では、打撃面611は、本体610と一体的に形成することができる。打撃面611は、ゴルフクラブヘッド100の打撃面111の厚さ112と同様の厚さ612を備える。
【0144】
本体610は、インサート640によって部分的又は完全に充填され、そのインサートはフェースプレート655によってゴルフクラブヘッド600内に固定される。幾つかの実施形態では、キャビティ620は、ゴルフクラブヘッド100のテープ層150及び/又は接着剤と同様に、テープ層150及び/又は接着剤をさらに収容する。
【0145】
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド600は、ゴルフクラブヘッド100のシャフトチップウェイト160と同様のシャフトチップウェイト660をさらに備える。幾つかの実施形態では、本体610は、ゴルフクラブヘッド100のトウキャビティ114及びトウウェイト161と同様に、トウウェイト661を収容するトウキャビティ614をさらに備える。ゴルフクラブヘッド600は、
図17及び18に示すように、スイングウェイトを調整するためのトウスクリューキャビティ663及びトウスクリューウェイト662をさらに備えることができる。トウスクリューウェイトは、ゴルフクラブヘッド100の任意のトウスクリューウェイトについて記載されているように、2グラムから15グラムの範囲の重量を備えることができる。トウスクリューウェイト662は、ゴルファーのスイングに合わせてゴルフクラブヘッド600をカスタマイズするために、取り外し、異なる重量値を有する異なるスクリューウェイト662と交換することができる。
【0146】
D.リア開口型クラブヘッド本体の材料
ゴルフクラブヘッド600の構成要素を形成するために使用される材料は、上述のように、ゴルフクラブヘッド100の構成要素を形成するために使用される材料と同様であり得る。特に、本体610は、本体110と同じ本体材料を含むことができる。インサート640は、インサート140と同じインサート材料を含むことができる。フェースプレート655は、フェースプレート155と同じフェースプレート材料を含むことができる。トウウェイト661、チップウェイト660、及びトウスクリューウェイト662は、ゴルフクラブヘッド100と同じトウウェイト161、チップウェイト160、及びトウスクリューウェイト材料を含むことができる。
【0147】
III.ゴルフクラブヘッド特性
A.ゴルフクラブヘッド測定
ゴルフクラブヘッド100、600は、ツアーアイアンであることができる。本明細書に記載されるゴルフクラブヘッド100、600は、ブレード長さと、ホーゼル-X長さと、オフセット距離と、ツアーアイアンの上部深さ特性とを備えるツアーアイアンヘッドであり得る。
【0148】
図2に示すように、ゴルフクラブヘッド100はブレード長さ173を有する。ブレード長さ173は、ヒール領域102内の打撃面111の縁からトウ領域101内のクラブヘッド100の縁までの最大距離として測定される。一般的なツアーアイアンのブレード長さは、2.8インチ未満とすることができる。ゲームインプルーブメントアイアンのブレード長さは、一般に2.8インチより大きい。ゴルフクラブヘッド100のブレード長さ173は、ツアーアイアンの特徴であるように、2.8インチ未満である。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100のブレード長さ173は、2.2インチから2.8インチ、2.2インチから2.4インチ、2.4インチから2.6インチ、又は2.6インチから2.8インチの範囲とすることができる。
【0149】
図2に示すように、ホーゼル-X長さ174は、中心面45から、ホーゼル軸70と前縁軸35との交点まで測定される。ツアーアイアンのホーゼル?X長さは、一般に1.5インチ未満であり、ゲームインプルーブメントアイアンのホーゼル?X長さは、一般に1.5インチより大きい。ゴルフクラブヘッド100のホーゼル?X長さは、ツアーアイアンの特徴であるように、1.5インチ未満である。幾つかの実施形態では、ホーゼル-X長さ174は、1.30インチから1.50インチ、1.30インチから1.40インチ、又は1.40インチから1.50インチの範囲とすることができる。
【0150】
図4に図示されているように、オフセット距離173は、ホーゼル105の前縁からゴルフクラブヘッド100の最前の点までの間で測定される。典型的には、最前の点は、打撃面111の底部に位置し、ソール部107に隣接している。オフセット距離172は、ロフト角が異なるために、同じセット内のゴルフクラブヘッドによって変化し得る。従って、アイアンのセットを比較するために、セット内のすべてのゴルフクラブのオフセット距離173の平均が取られる。ツアーアイアンセットの平均オフセットは、一般に0.140インチ未満である。ゲームインプルーブメントアイアンセットの平均オフセットは、一般に、0.140インチより大きい。クラブヘッド100と同様のゴルフクラブヘッドを含むゴルフクラブのセットの平均オフセットは、0.140インチ未満である。単一のゴルフクラブヘッド100のオフセット距離172は、0.100インチから0.160インチの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、オフセット距離は、0.100インチから0.110インチ、0.110インチから0.120インチ、0.120インチから0.130インチ、0.130インチから0.140インチ、0.140インチから0.150インチ、又は0.150インチから0.160インチの範囲とすることができる。
【0151】
上部深さ116は、
図4に示すように、トップレール部106に隣接し、打撃面111に直交して、フロント部104からリア部103まで測定される。ツアーアイアンの平均上部深さは、一般に0.290インチ未満である。ゲームインプルーブメントアイアンの平均上部深さは、一般に、0.290インチより大きい。ゴルフクラブヘッド100と同様のゴルフクラブヘッドを含むゴルフクラブのセットの平均上部深さは、ツアーアイアンのセットの特徴であるように、0.290インチ未満である。
【0152】
ゲームインプルーブメントアイアンとツアーアイアンの間に類似したパラメータは、ゴルフクラブヘッドの高さである。
図2に示すように、ゴルフクラブヘッド100はそれぞれ、前縁軸35からトップレール部106上の最高点まで、ロフト面20に沿って測定された最大高さ175を有することができる。ゴルフクラブヘッド600は、ゴルフクラブヘッド100と同様の高さを有することができる。最大高さ175は、2.0インチから2.5インチとの範囲とすることができる。幾つかの実施形態では、最大高さ175は、2.0インチから2.1インチ、2.1インチから2.2インチ、2.2インチから2.3インチ、2.3インチから2.4インチ、及び2.4インチから2.5インチの範囲とすることができる。
【0153】
以下の表Iは、ゲームインプルーブメントアイアンとツアーアイアンのブレード長さ、ホーゼル-X長さ、平均オフセット距離、平均上部深さ、及び最大高さを比較する。
【0154】
【0155】
B.ゴルフクラブヘッドのCG及びMOI
ゴルフクラブヘッド100の周辺重み付けの利点を正確に理解するために、ゴルフクラブヘッド100のMOI及びCG特性とゴルフクラブヘッド100のツアーサイズの両方を考慮しなければならない。ゲームインプルーブメントアイアンはMOI値が高いことで知られているが、ツアーアイアンに特有の他の特徴を欠いている。本明細書に記載されるゴルフクラブは、ゲームインプルーブメントアイアンの利点をツアーアイアンスタイルと結びつける。
【0156】
幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100、600のCG60は、フラットバックツアーアイアンと比較して、下方及び後方に移動された。ゴルフクラブヘッド100のCG60位置は、前縁面から測定することもできる。
【0157】
ゴルフクラブヘッド100、600のCG60は、0.380インチから0.670インチの範囲で前縁面より上方に位置することができる。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100、600のCG60は、0.400インチから0.650インチ、0.380インチから0.400インチ、0.400インチから0.420インチ、0.420インチから0.440インチ、0.440インチから0.460インチ、0.460インチから0.480インチ、0.480インチから0.500インチ、0.500インチから0.520インチ、0.520インチから0.540インチ、0.540インチから0.560インチ、0.560インチから0.580インチ、0.580インチから0.600インチ、0.600インチから0.620インチ、0.620インチから0.640インチ、0.640インチから0.660インチ、又は0.660インチから0.670インチの範囲で前縁面より上方に位置することができる。他の実施形態では、CG60は、0.380インチ、0.390インチ、0.400インチ、0.410インチ、0.420インチ、0.430インチ、0.440インチ、0.450インチ、0.460インチ、0.470インチ、0.480インチ、0.490インチ、0.500インチ、0.510インチ、0.520インチ、0.530インチ、0.540インチ、0.550インチ、0.560インチ、0.570インチ、0.580インチ、0.590インチ、0.600インチ、0.610インチ、0.620インチ、0.630インチ、0.640インチ、0.650インチ、0.660インチ、又は0.670インチの範囲で前縁面より上方に位置することができる。
【0158】
上述のように、本明細書に記載のゴルフクラブヘッド100及び600は、ゴルフクラブヘッドの中心に軽量インサート140、440、及び640を備えることができる。これらの重量は、ゴルフクラブヘッド100、600の全重量を大きく変えることなく、ゴルフクラブヘッド100及び600の周囲に加えることができ、CG60の移動及びMOIの上昇を可能にする。この周辺重み付けは、トウウェイト、チップウェイト、又は周辺部の周りに追加された本体材料の形態であってもよい。ゴルフクラブヘッド100及び600のコンパクトな性質は、構造特性よりもMOI向上においてより大きな役割を果たす材料特性をもたらす。上述のように、CG60の周り及びx軸30の周りのMOI、Ixxは、78グラム平方インチから120グラム平方インチの範囲とすることができる。CG60の周り及びy軸40の周りのMOI、Iyyは、310グラム平方インチから466グラム平方インチの範囲とすることができる。これらのMOI値は、ゴルフクラブヘッド100及び600に適用することができる。これらのMOI値は、インサート140、640、又は多材料インサート440を有する任意の実施形態にさらに適用することができる。
【0159】
IV.方法
図24に示されるように、ゴルフクラブヘッド100を製造する方法500が本明細書に記載される。この方法は、各構成要素を提供するステップ510と、本体内にインサートを配置するステップ520と、フェースプレートを本体上に加締めるステップ530と、フェースプレートと本体との間の境界をレーザー溶接するステップ540と、研削及び研磨を通して最終製品を清掃するステップ550とを含む。方法500の幾つかの実施形態では、方法500は、ステップ510、520、530、540及び550からなることができる。
【0160】
ステップ510は、ゴルフクラブヘッド100の構成要素として、少なくとも本体110、インサート140又は多材料インサート440、及びフェースプレート155を提供することを含むことができる。幾つかの実施形態では、本体110を提供することは、鍛造、鋳造、付加的製造による成形、機械加工、又は本体110を形成するための任意の他の適切な方法のうちの一つ又は複数を含むことができる。ステップ510は、本体110を一体部品として形成することを含むことができる。
【0161】
幾つかの実施形態では、インサート140を提供することは、鍛造、鋳造、付加的製造による成形、機械加工、又はインサート140を形成するための任意の他の適切な方法のうちの一つ又は複数を含むことができる。幾つかの実施形態では、インサート140又は多材料インサート440の一部は、エラストマーマトリックス複合体を形成するために、樹脂を繊維強化構造に注ぐことによって成形される。インサート140は、均一な密度を有する単一片として、又は異なる密度を有する複数片として形成することができる。多材料インサート440を有する幾つかの実施形態では、インサート440は、単一ユニットに形成されてもよいし、あるいは二つの別個の部分でキャビティ120内に配置されてもよい。
【0162】
幾つかの実施形態では、多材料インサート440を提供することは、(1)インサート440の第1の部分450を提供すること、(2)インサート440の第2の部分460を提供すること、及び(3)インサート440の第1及び第2の部分450、460を接合することとを含む。インサート440の第1の部分450を提供することは、第1の部分450を成形することを含むことができる。インサート440の第2の部分460を提供することは、鋳造、鍛造、スタンピング、ダイカスト、又は第2の部分460を提供する他の手段を含むことができる。幾つかの実施形態では、第1の部分450が成形され、第2の部分460に接合される場合、(1)第2の部分460を提供するサブステップ、及び(2)第1の部分450及び第2の部分460を接合するサブステップは、組み合わされる。幾つかの実施形態では、インサート440は、ゴルフクラブヘッド100のキャビティ120に挿入される前に、研磨(sanded)、研削、又は研磨(polished)されてもよい。
【0163】
幾つかの実施形態では、フェースプレート155を形成することは、鍛造、鋳造、機械加工、付加的製造による形成、又は他の方法でフェースプレート155を形成することを含むことができる。幾つかの実施形態では、フェースプレート155を形成することは、フェースプレート155内に可変厚さの幾何形状を、機械加工、鋳造、又は鍛造することを含むことができる。
【0164】
幾つかの実施形態では、方法500のステップ510は、トウウェイト、チップウェイト、及び/又はトウスクリューウェイトを提供することをさらに含むことができる。これらの実施形態では、ステップ510は、トウウェイト161を本体110のトウキャビティ114に溶接するステップをさらに含む。他の実施形態では、トウウェイト161は、本体610上に加締め(スエージ加工)、接着、又は他の方法で固定することができる。トウスクリューウェイトをさらに備えるゴルフクラブヘッド100の実施形態では、トウスクリューウェイトは、ステップ510、520、530、又は550で、ゴルフクラブヘッドにねじ込まれることができる。
【0165】
方法500のステップ520は、インサート140を本体110のキャビティ120内に配置することを含む。インサート140は、本体110のフロント部104でキャビティ120の前部開口を通して挿入される。幾つかの実施形態では、このステップ520は、エポキシ等の接着剤を本体110のキャビティ120及びインサート140に塗布して、インサート140を本体110内に固定することを含む。幾つかの実施形態では、このステップ520は、インサート140をキャビティ内に配置する前に、テープ層150等の一つ以上のテープ層をキャビティ120に適用することを含む。テープ層150等の一つ又は複数のテープ層は、インサート140と本体110のキャビティ120との間に強固で耐久性のある結合を形成することができる。さらに、テープの使用は、がたつき及び他の望ましくない品質問題の可能性を低減することができる。幾つかの実施形態では、インサート140を本体110に固定する様々な他の方法が、最大限の安全性のために組み合わされる。方法500の全ての実施形態が、インサート140をキャビティ120内に接着又は固定することを必要とするわけではない。
【0166】
方法500のステップ530は、フェースプレート155を本体110上に固定することを含む。フェースプレート155は、窪み142内に配置される。フェースプレート155を窪み142内に配置することによって、フェースプレート155は、本体110のインサート140及びキャビティ120を覆うように配置される。ステップ530は、フェースプレート155が本体110のフロント部104上の窪み142に埋め込まれるように、フェースプレート155を本体110上に加締める(スエージする)工程をさらに含むことができる。このようにして、インサート140は、ゴルフクラブヘッド100内に保持され、ゴルフクラブヘッド100の外側から完全に隔離される。他の実施形態では、フェースプレート155は、本体に接着されるか、圧入されるか、又は他の方法で固定される。
【0167】
ゴルフクラブヘッドの中には、共鍛造(統合鍛造としても知られる)、及び高温・高印加圧力による個々の鋳造部品の接合を含む方法によって製造されるものがある。これらの方法は、任意のインサートを含むゴルフクラブヘッドの複数の構成要素に影響を及ぼす高温を適用する。例えば、共鍛造プロセスは、700℃から1000℃の範囲の温度で行われる。一部のアルミニウム合金の融点は650℃から680℃の範囲に下がる。従って、アルミニウムインサートの場合、共鍛造は、アルミニウム材料の完全性を損なうことになる。インサート140、440、本体110、及びフェースプレート155は、共鍛造によってインサート140、440を損なう可能性のある高温に至る可能性があるため、一緒に共鍛造されない。
【0168】
さらに、フェースプレートをゴルフクラブヘッドにTIG溶接することによっても、ゴルフクラブヘッドに高温が付与され、これによってインサートが損なわれる可能性がある。アイアンタイプゴルフクラブヘッドの低密度中心のための可能な材料は、従来の製造プロセスのために著しく制限される。ゴルフクラブヘッド100は、製造プロセスが最終組立を高温下に置かないので、多種多様なインサート材料で製造することができる。さらに、熱可塑性複合材料のような、本明細書に記載された幾つかのインサート材料は、絶対に金属本体材料と共鍛造することができない。本明細書に記載される製造方法500は、インサート140、440が、材料が本体110と共鍛造されることを必要とせずに、任意の適切な材料から形成されることを可能にする。
【0169】
後述するステップ530及びステップ540は、いずれも、インサート140をキャビティ120に封入するために、フェースプレート155を固定する低熱方法を採用する。フェースプレート155を加締め、レーザー溶接、及び他の低温方法は、音響特性、感触、及び重み付けを微調整するために、インサート140又は440が多種多様な材料を含むことを可能にする。ステップ530及び540のローヘッド方法は、望ましくないがたつき及び振動を低減するために、キャビティ120の周りに接着剤及び/又はテープを使用する等、設計の融通性をさらに可能にする。
【0170】
ステップ540は、フェースプレート155と本体110との間の境界をレーザー溶接するステップを含む。ステップ540のプロセスは、表面融着処理とも呼ばれる。フェースプレート155がステップ530で本体110上に加締められた後、フェースプレート155と本体110との間の重複領域又は境界がレーザー溶接される。このレーザー溶接プロセスは、深い熱影響部(以下、「HAZ」という)を作ることなく、フェースプレート155と本体110の金属材料を融合する。境界をレーザー溶接することにより、フェースプレート155と本体110との間の任意の亀裂又は継ぎ目が除去される。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド100は、以下に記載されるように、ステップ550においてコーティングで仕上げられる。仮に境界に微小な亀裂や継ぎ目があると、コーティングが継ぎ目に浸透し、品質問題を引き起こす可能性がある。ステップ540で境界をレーザー溶接することにより、この製造上の問題が解消される。
【0171】
上述のステップ540は、HAZ深さが0.03インチから0.08インチの範囲であり、フェースプレート155の厚さ112よりも小さくできるためで、キャビティ120内の材料の完全性を損なうことなく実施することができる。幾つかの実施形態では、HAZ深さは、0.08インチ未満、0.07インチ未満、0.06インチ未満、0.05インチ未満、0.04インチ未満、又は0.03インチ未満とすることができる。幾つかの実施形態では、HAZ深さは、0.03インチ、0.04インチ、0.05インチ、0.06インチ、0.07インチ、又は0.08インチとすることができる。レーザー溶接は、インサート及びテープ層のような他のキャビティ充填材を、インサート材料の溶融温度よりも低い温度に加熱する。ステップ540の間にゴルフクラブヘッド100に与えられる熱は、キャビティ120内に密閉される材料のいずれも損なわない。
【0172】
方法500のステップ550において、ゴルフクラブヘッド100は、研削及び研磨を通して清掃される。研削は、ゴルフクラブヘッド100の打撃面111上に滑らかな表面を形成するために用いられる。さらに、このステップ550は、研削後にゴルフクラブヘッド100の表面を研磨することを含んでもよい。幾つかの実施形態においては、溝をフェースプレート155の打撃面111に研磨し、その後打撃面111を研磨する。製造方法500におけるどのステップも、異なる材料との共鍛造を含まない。
【0173】
図25に示すように、ゴルフクラブヘッド100と同様に、ゴルフクラブヘッドを製造する方法700は、少なくとも本体610、インサート材料、フェースプレート655を提供すること、フェースプレート655を本体610に溶接又は加締めること、インサート材料を本体610のキャビティ620に注入すること、及びゴルフクラブヘッド600を研磨及び清掃することを含む。
【0174】
ステップ710において、本体610は、鍛造、鋳造、又は付加的製造によって形成することができる。フェースプレート655は、鍛造、鋳造、又は付加的製造によって形成することができる。製造プロセス700の一変形例では、フェースプレート655は、フェースプレート655として別個に形成されるのではなく、本体610の一部として一体的に形成され、本体610の前面開口に溶接されるか、又は加締められる。幾つかの実施形態では、方法700のステップ710は、トウウェイト661、チップウェイト660、及び/又はトウスクリューウェイト662を提供することをさらに含む。これらの実施形態では、ステップ710は、トウウェイト661を本体610のトウキャビティ614に溶接することをさらに含む。他の実施形態では、トウウェイト661は、本体610上に加締め(スエージ加工)、接着、又は他の方法で固定することができる。トウスクリューウェイト662をさらに備えるゴルフクラブヘッド600の実施形態では、トウスクリューウェイト662は、ステップ710、720、730、又は750でゴルフクラブヘッドにねじ込まれることができる。
【0175】
さらに、方法700のステップ710において、リア開口680を画定する開口壁682は、本体610に形成されてもよく、又は本体610が形成された後に本体610のリア部603に切り込まれてもよい。ステップ710は、リア部603の開口壁682を研磨又は仕上げるステップをさらに含むことができる。
【0176】
ステップ720は、本体の窪み642内にフェースプレート655を配置することを含む。フェースプレート655は、溶接、加締め(スエージ加工)、又はその他の方法で本体610に固定される。本体610及びフェースプレート655は、キャビティ620を形成する。フェースプレート655が本体610に固定された後、キャビティ620への唯一の開口は、
図14~23の実施形態について示されるように、本体610のリア開口680である。幾つかの実施形態では、方法700のステップ720は、上記の方法500のステップ540で説明したものと同様の、レーザー溶接又は表面融着処理プロセスをさらに含むことができる。
【0177】
ステップ730において、インサート材料は、液体の形態で、リア部の開口680を通してキャビティ620内に注入される。本体610のキャビティ620は、射出された材料のための型として機能する。幾つかの実施形態では、射出成形プロセスは、インサート材料をキャビティ620の表面に結合させる。加圧下でキャビティ620内に材料を注入するために、注入装置は、リア開口680の口を塞がなければならない。ゴルフクラブヘッド600の上部608におけるリア開口680を囲む平面表面は、注入装置とゴルフクラブヘッド600の本体610との間が良好に密閉されることを可能にする。幾つかの実施形態では、インサート640がキャビティ620を部分的にのみ充填する場合、注入装置は、材料がキャビティ620全体を充填することを防止するために、キャビティ620の一部をさらに密閉するように構成される。
【0178】
方法700のステップ740では、ゴルフクラブヘッド600は、研削及び研磨によって清掃される。研削は、ゴルフクラブヘッド600の打撃面611上に滑らかな表面を形成するために使用される。さらに、このステップ740は、研削後にゴルフクラブヘッド600の表面を研磨することを含んでもよい。幾つかの実施形態において、溝をフェースプレート655の打撃面611に研磨し、その後打撃面611を研磨する。
【0179】
ゴルフクラブヘッド600の幾つかの実施形態を製造する方法は、上述の方法700よりも方法500により類似している。幾つかの実施形態では、ゴルフクラブヘッド600が金属インサート640を備えるゴルフクラブヘッド600を形成する方法は、フェースプレート655上に加締める前に、キャビティ620にインサート640を配置することを必要とする。
【0180】
V.例
例1:ゴルフクラブヘッドの測定
ゴルフクラブヘッド100は、上述のように、幾つかの異なるパラメータを用いて測定された。ブレード長さ173、ホーゼル-X長さ174、オフセット距離172、上部深さ116、及び最大高さ175が含まれていた。これらの値をゲームインプルーブメントアイアンと比較し、両方を下記の表IIに示す。測定されたゴルフクラブヘッド100及びゲームインプルーブメントアイアンは、いずれも7アイアンであり、ほぼ同等のロフト角を有していた。
【0181】
【0182】
例2:慣性モーメント(MOI)比較及び重心(CG)比較
従来のツアーアイアンヘッドのMOIを上述のゴルフクラブヘッド100と比較するために試験を行った。この比較試験で使用される従来のツアーアイアンヘッドは、サンプルゴルフクラブヘッドとサイズ及びヘッド重量が同一である。従って、この試験は、従来のツアーアイアンヘッドに対するサンプルの性能の正確な比較を提供するために、MOIを変数として分離した。この試験は、サンプルクラブヘッドについて約108グラム平方インチのIxx値、及び従来のツアーアイアンヘッドについて約103グラム平方インチのIxx値を生じた。従って、x軸30の周りのMOIは、サンプルクラブヘッドにおいて約4.8%高い。この試験は、サンプルクラブヘッドについてはおよそ413グラム平方インチのIyy値を、従来のツアーアイアンヘッドについてはおよそ398グラム平方インチのIyy値を生じた。従って、y軸40の周りのMOIは、サンプルクラブヘッドにおいて約3.7%高い。この試験は、ゴルフクラブヘッド100用の軽量インサートが、ゴルフクラブヘッド100のサイズ又は重量を変えることなく、MOIの向上を提供することを示す。
【0183】
さらに、(1)リア部に開口部を有し、TPCから形成されたインサートを有するゴルフクラブヘッド600に類似したアイアン、(2)リア部に開口部を有し、アルミニウムから形成されたインサートを有するゴルフクラブヘッド600に類似したアイアン、(3)TPCインサートで充填された密閉キャビティを有するゴルフクラブヘッド100に類似したアイアン、(4)アルミニウムインサートで充填された密閉キャビティを有するゴルフクラブヘッド100に類似したアイアン、及び(5)本明細書に記載されたゴルフクラブヘッドに類似した全体的なクラブヘッド容積を有する中実鋼クラブヘッド、の5つのクラブヘッド間で比較を行った。測定は、各ゴルフクラブヘッドのコンピュータ支援設計(CAD)モデルを用いて行った。以下の表IIIは、収集されたMOIデータを集約する。以下の表IVは、収集されたCGデータを集約する。
【0184】
【0185】
MOIは、CGからの距離及び質量の関数であるので、MOIは、ゴルフクラブヘッドの全体質量の変化を反映する。従って、クラブヘッドのMOIを正確に比較するためには、ゴルフクラブヘッドの総質量の差異を考慮しなければならない。比較されるゴルフクラブヘッドに渡るMOIの効率を示すために、MOIをゴルフクラブヘッドの質量で割って、MOI効率値に到達した。ゴルフクラブヘッドのMOI効率値は、ゴルフクラブヘッドの構造及び局所的な重み付けがどのようにMOIに影響を及ぼすかを示すために、質量とは無関係に比較することができる。従って、x軸30及びy軸40方向の両方におけるMOI値は、低密度インサートゴルフクラブヘッド(1)から(4)よりも中実鋼ゴルフクラブヘッド(5)の方が高かったが、中実鋼ゴルフクラブヘッド(5)のMOI効率は、ゴルフクラブヘッド(1)から(4)のMOI効率よりも低かった。従って、低密度インサートを有するゴルフクラブヘッド(1)から(4)は、本明細書に記載のゴルフクラブヘッド100、600の低密度インサート140、440、460を欠くゴルフクラブヘッドよりも寛容である。
【0186】
表IIIから分かるように、低密度インサートを有するゴルフクラブヘッド(1)から(4)は、中実鋼ゴルフクラブヘッド(5)よりも5.9%から11.2%の範囲で高いx軸30方向におけるMOI効率を有する。表IIIから分かるように、低密度インサートを有するクラブヘッド(1)から(4)は、中実鋼ゴルフクラブヘッド(5)より8.5%から15.5%高いy軸40方向におけるMOI効率を有する。
【0187】
MOIを増加させることに加えて、CGを低下させることはまた、ゴルフクラブヘッド性能に有益であり得る。本明細書に記載されるゴルフクラブヘッド100、600は、ゴルフクラブヘッド100及び600と同様の形状を有する同等の中実鋼よりも低いCG60を備える。より低いCGは、CGがより低い場合にショットを形成するのがより容易であるため、ツアーアイアンにおいて望ましい。ゴルフクラブヘッド600の場合、CGの低下は、部分的には、リア部603に開口680を含めることによる高密度本体材料の排除によるものである。
【0188】
【0189】
図1を参照すると、CGyは、前縁軸35からy軸40方向(垂直)及び上方に測定される。CGx値が正の場合には、CGがヒール部102により近くなるように、CGxは、y軸40を原点として、前縁軸35に沿って水平に測定される。CGzは、前縁軸35からz軸50に水平方向に沿って、後方へ測定される。CGy値は、ゴルフクラブヘッド(3)~(5)よりもゴルフクラブヘッド(1)及び(2)の方が低い。これは、本体のリア部に開口部を有するゴルフクラブヘッド(上述のゴルフクラブヘッド600と同様)は、好ましいより低いCGを有することを示す。CGは、鋼クラブヘッド(5)よりもクラブヘッド(2)の方が2.06%低い。CGは、鋼ゴルフクラブヘッド(5)よりもゴルフクラブヘッド(1)の方が2.84%低く、低密度TPCインサートが、そのアルミニウムインサートの対応物(ゴルフクラブヘッド(2))よりもはるかに良好なCG配置をもたらすことを示している。
【0190】
表III及びIVにおける比較データは、密閉キャビティ実施形態及びリア開口実施形態の強度をさらに示す。本発明のすべての実施形態(比較ゴルフクラブヘッド(1)から(4))は、中実クラブヘッド(5)を上回る改善を示すが、密閉キャビティ実施形態(比較ゴルフクラブヘッド(3)及び(4))及びリア開口実施形態(比較ゴルフクラブヘッド(1)及び(2))の両方は、固有の利点を提供する。比較データは、表IIIのMOI効率に示されるように、x軸30方向及びy軸40方向の両方におけるMOI効率が、密閉キャビティクラブヘッド(3)及び(4)において、クラブヘッド(1)、(2)及び(5)におけるMOI効率よりも高いことを示す。これは、本明細書に記載のゴルフクラブヘッド100又は比較クラブヘッド(3)及び(4)と同様の密閉キャビティ実施形態が、ゴルフクラブヘッド600又は比較クラブヘッド(1)及び(2)等のリア部に開口を有する実施形態よりも寛容であることを示唆する。しかしながら、本体610にリア開口680を有する実施形態は、表IVのCGy欄に示されるように、密閉キャビティを有する実施形態よりも低いCG値を有する。
【0191】
例3:重力中心フラットバック対屈曲継ぎ目比較
MOI及び感触に加えて、ゴルフクラブヘッドのCGの位置が性能に影響を及ぼす。特に、CG位置は、ゴルフボールとの衝突時にゴルフクラブヘッドに与えられるトルクの量に影響を及ぼす。CGを下げることによって、ゴルフボールが典型的には打撃面の下部で打たれるので、ゴルフボールによって加えられる力とCGとの間のアームが小さくなる。この付加された力とCGとの間の短縮されたアームは、低いトルクをもたらし、ゴルフボールとの衝突時の打ち上げ特性を向上する。従って、ゴルファーに最良の可能な体験を提供するために、本明細書に記載のゴルフクラブヘッドは、低いCGを備える。
【0192】
ゴルフクラブヘッド100、600の上部108、608の均一な深さがどのようにして下方CG60につながるかを示すために、ゴルフクラブヘッド100及び600と同様のゴルフクラブヘッドと、そのトップレール部からそのソール部まで様々な深さを有する比較ゴルフクラブヘッドとの間で比較を行った。比較ゴルフクラブヘッドは、そのトップレール部からそのソール部まで延びる平坦なリア部を有する。正確な説明を提供するために、100及び600と同様の比較ゴルフクラブヘッド及びゴルフクラブヘッドは、両方とも同じ総質量でモデル化された。比較の結果を以下の表Vに説明する。
【0193】
【0194】
表Vに示されるように、垂直なy軸40に沿って測定されるCGy値は、100及び600と同様のゴルフクラブヘッドについて有意に低い。具体的には、100及び600と同様のゴルフクラブヘッドは、比較ゴルフクラブヘッドよりも0.039インチ低いCGyを備える。これは、屈曲継ぎ目130、630より上の上部108、608の均一な深さが、CGを下げ、より良い打ち上げ特性及びスピン特性、及びより高いボール速度を提供することを示す。
【0195】
さらに、CGz値は、z軸50に沿って測定され、CG60の後方は負であり、CG60の前方は正である。100及び600に類似するゴルフクラブヘッドのCG60は、ゴルフクラブヘッドのフロント部により近い。
【0196】
例4:感触と音
ツアーアイアンの魅力の一部は、コンパクトな輪郭と滑らかな美的設計である。さらに、鍛造ゴルフクラブヘッドは、多くのゴルファーに鋳造クラブヘッドよりも優れていると認識される。従って、ツアーアイアンがこれらの期待を満足させることが重要である。ゴルファーは、特に、他のタイプのアイアンに比べて、鍛造ツアーアイアンの音と感触を楽しむ。ゴルフにおいて、ゴルフクラブヘッドの「感触」は、ゴルファーが知覚するように、ゴルファーの業績において大きな役割を果たす。「感触」は、一般に、重量、材料、音響、及び打撃面の厚さによって影響される。多くのゴルファーは、ツアーアイアンが、他の多くのタイプのアイアンにはない中実な感触を提供することに同意する。本明細書に記載されるゴルフクラブヘッドは、既存のツアーアイアンを超えないとしても等しい中実な感触及び音響品質を示す。
【0197】
本明細書に記載のゴルフクラブヘッド100と同様のゴルフクラブヘッドを有するサンプルツアーアイアンの感触を定量化するために、調査が行われた。20人のゴルファーが調査に参加し、サンプルアイアンとの経験を、従来のツアーアイアンとの経験と比較した。サンプルアイアンと従来のアイアンの両方を使用した後、調査参加者は、各アイアンについて以下の質問を受けた。「このアイアンが提供する衝突体験(感触/音)にどの程度満足しているか。」大多数のプレーヤーは、従来のツアーアイアンよりもサンプルツアーアイアンの衝突体験を好んだ。
【0198】
最後に、アイアンの品質と耐久性は、持続的な性能にとって極めて重要である。打撃面111及び611は、単独で、ゴルフボールを打つことによりその上に置かれる応力に耐えるように設計される。しかしながら、熱可塑性複合インサート140、640、完全金属インサート140、640、又は多材料インサート440を含めることにより、ゴルフクラブヘッドに付加的に中実な感触が与えられ、同様の中空本体ゴルフクラブヘッドよりもゴルフクラブヘッドの音響品質が向上される。フェースプレート155、655は、インサート140、640が常にゴルフクラブヘッドの内側に固定されたままであることを確実にすることによって、ゴルフクラブヘッドの品質及び耐久性を向上することができる。
【0199】
CG配置、MOIのための周辺重み付け、及びツアーアイアン外観及び感触を組み合わせ、釣り合いをとることによって、本明細書に記載されるゴルフクラブヘッド100、600は、ゲームインプルーブメントアイアンの信頼性をツアーアイアンの上品さと結びつける、アイアン型クラブヘッドに対する当技術分野での需要を満たす。
【0200】
本明細書に記載のゴルフクラブヘッド100及び600は、ツアータイプゴルフクラブヘッドとして機能する。それらは、一般的なゲームインプルーブメントアイアンよりも小さいままで、高いMOIを提供する。これらの多材料ゴルフクラブヘッド100及び600は、非常に寛容で小型の製品を提供する。
【0201】
図1~23は、ゴルフクラブヘッドの特定の実施形態を示すが、実施形態の開示は、本開示の範囲を例示することを意図しており、限定することを意図していない。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって要求される範囲に限定されることが意図されている。
【0202】
ゴルフに対する規則は、変更される可能性があるので(例えば、新しい規則が採用され、又は古い規則がゴルフ標準組織及び/又は支配団体によって排除又は修正される可能性がある)、本明細書中に記載される方法、装置、及び/又は製品に関連するゴルフ用具は、ある特定の時代におけるゴルフの規則に適合する場合もあるし、適合しない場合もある。従って、本明細書に記載される方法、装置、及び/又は製品に関連するゴルフ用具は、適合又は不適合ゴルフ用具として宣伝され、販売の申し出がされ、及び/又は販売される可能性がある。本明細書に記載される方法、装置、及び/又は製品は、この点に関して限定されない。
【0203】
一つあるいは複数の特許請求されている要素の置換は、再構成を構成し、修理を構成しない。加えて、効果、他の利点、及び課題に対する解決策が特定の実施形態に関して記載されてきた。しかしながら、効果、利点、課題に対する解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策を生じさせるか、又はより顕著にすることができる任意の一つあるいは複数の要素は、そのような利益、利点、解決策、又は要素がそのような請求項に記載されていない限り、請求項のいずれか又はすべてに重要な、必要な、又は本質的な特徴又は要素として解釈されるべきではない。
【0204】
さらに、本明細書に開示する実施形態及び限定事項は、実施形態及び/又は限定事項が、(1)請求項に明示的に記載されておらず、かつ(2)均等論に基づいて請求項における表現要素及び/又は限定事項の均等物となる、又は均等物となる可能性のある場合には、寄与論に基づいて公衆に寄与されるものとはならない。
【0205】
項目1:
ゴルフクラブヘッドであって、
フェースプレートと、
上部、下部、ソール部、リア部、及びトップレール部を備える本体と、
インサートと、
を備え、
前記フェースプレート及び前記本体の一部は、前記ゴルフクラブヘッドの打撃面を画定し、
前記フェースプレート、前記ソール部、前記リア部、及び前記トップレール部はキャビティを囲み、
前記リア部は、屈曲継ぎ目を備え、
前記ソール部は、グランド面と接し、
ロフト面は、前記フェースプレートに対して接線方向であり、前記グランド面と交差し、
中心面は、前記グランド面に垂直であり、前記ロフト面に垂直であり、前記打撃面の中心点と一致し、
前記上部は、前記トップレール部と前記屈曲継ぎ目とにより境界付けられ、
前記上部は、前記ロフト面に平行な方向において、前記トップレール部から前記屈曲継ぎ目まで、前記中心面に沿って測定される高さを含み、
前記下部は、前記ロフト面に平行な方向において、前記ソール部から前記屈曲継ぎ目まで、前記中心面に沿って測定される高さを含み、
前記上部の前記高さと前記下部の前記高さは、9:8から6:11の範囲の比を有し、
前記上部は第1の深さを含み、前記下部は第2の深さを含み、これらの深さは、前記打撃面から前記リア部の外側面まで、前記中心面に沿って、前記ロフト面に対して垂直に測定され、
前記第1の深さは、一定であり、前記第2の深さより小さく、
ソール部、リア部、トップレール部、及びフェースプレートは、キャビティを囲み、
前記インサートは、前記キャビティ内に受け入れられ、前記インサートは、前記キャビティの90%以上を占め、
前記フェースプレートは、第1の密度を有する第1の材料を含み、
前記本体は、第2の密度を有する第2の材料を含み、
前記インサートは、第3の密度を有する第3の材料を含み、
前記第3の密度は、前記第1の密度及び前記第2の密度よりも小さい、
ゴルフクラブヘッド。
【0206】
項目2:
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
ヒール部と、
トウ部と、
前記ヒール部から前記トウ部への方向へ延在し、前記打撃面に対して平行であり、前記クラブヘッドの重心と一致するx軸と、
前記グランド面に直交し、前記重心と一致するy軸と、
を備え、
前記x軸の周りで測定される慣性モーメントIxxは、78グラム平方インチから120グラム平方インチ(503グラム平方センチメートルから774グラム平方センチメートル)の範囲であり、
前記y軸の周りで測定される慣性モーメントIyyは、310グラム平方インチから466グラム平方インチ(2000グラム平方センチメートルから3006グラム平方センチメートル)の範囲である、
項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0207】
項目3:
前記第3の密度は2.4g/ccから5.0g/cc(2.4g/立方センチメートルから5.0g/立方センチメートル)の範囲である、
項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0208】
項目4:
前記第3の材料は、アルミニウム及びチタンからなる群から選択される材料を含む、
項目3に記載のゴルフクラブヘッド。
【0209】
項目5:
前記第1の密度は2.6g/ccから8.7g/cc(2.6g/立方センチメートルから8.7立方センチメートル)の範囲であり、前記第2の密度は7.7g/ccから8.1g/ccの範囲である、
項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0210】
項目6:
前記第1の材料は、鋼ベース材料、チタンベース材料、アルミニウム合金、及びチタン合金からなる群から選択される材料を含み、
前記第2の材料は、鋼ベース材料及び鋼合金からなる群から選択される材料を含む、
項目5に記載のゴルフクラブヘッド。
【0211】
項目7:
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
総質量と、
トウウェイトと、
を備え、
前記本体は、さらに、トウキャビティを備え、
前記トウキャビティは、前記トウウェイトを受け入れ、
前記トウウェイトは、前記クラブヘッドの総質量の5%から45%の範囲の質量を含む、
項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0212】
項目8:
前記第1の深さと前記第2の深さの最大値との比は、1:3から4:5の範囲である、
項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0213】
項目9:
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
重心と、
前記グランド面に平行であり、ヒール部からトウ部方向への方向に延在し、前記打撃面上で最も低い前記中心面上の点と一致する前縁軸と、
前記グランド面に平行であり、前記前縁軸と一致する前縁面と、
前記グランド面に直交し、前記重心と一致するy軸と、
を備え、
前記ゴルフクラブヘッドの重心は、0.380インチから0.670インチ(0.965センチメートルから1.70センチメートル)の範囲で前記前縁面より上方に位置する、
項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0214】
項目10:
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
ヒール部と、
トウ部と、
前記本体に一体化された円筒形ホーゼルと、
を備え、
前記円筒形ホーゼルは、
前記トウ側面から見たときに、前記円筒形ホーゼルの前縁に平行なホーゼル基準面と、
前記円筒形ホーゼルの中心軸として定義されるホーゼル軸と、
前記グランド面に平行であり、前記ヒール部から前記トウ部への方向に延在し、前記打撃面上で最も低い前記中心面上の点と一致する前縁軸と、
正面から見たときに、前記前縁軸と前記中心面との交点から、前記前縁軸と前記ホーゼル軸との交点まで測定されるホーゼル-X距離であって、1.5インチ(3.8センチメートル)未満である前記ホーゼル-X距離と、
前記前縁軸と前記ホーゼル基準面との間の最小距離として測定されるオフセット距離であって、0.05インチから0.27インチ(0.13センチメートルから0.69センチメートル)の範囲である前記オフセット距離と、
を備える、
項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0215】
項目11:
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
ヒール部と、
トウ部と、
前記ヒール部から前記トウ部への方向において、前記ヒール部における前記打撃面の縁から前記トウ部の最外側の点まで測定されるブレード長さと、
を備え、
前記ブレード長さは2.8インチ未満(7.1センチメートル)である、
項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0216】
項目12:
前記ゴルフクラブヘッドは、前記インサートと前記フェースプレートとの間に配置される高密度テープを備える、
項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0217】
項目13:
本体は、窪みをさらに備え、
前記窪みは前記キャビティの周囲に当接し、
前記フェースプレートのリア面の領域は、前記インサートに接触し、
前記フェースプレートの前記リア面の残りの領域は、前記窪みに接触する、
項目1に記載のゴルフクラブヘッド。
【0218】
項目14:
ゴルフクラブの製造方法であって、
(1)第1密度を有する第1の材料を含むフェースプレートを提供することと、
(2)第2密度を有する第2の材料と、上部と、下部と、ソール部と、リア部と、トップレール部と、を備える本体を提供することと、を含み、
前記フェースプレート及び前記本体の一部は、前記ゴルフクラブヘッドの打撃面を画定し、
前記リア部は、屈曲継ぎ目を備え、
前記ソール部は、グランド面と接し、
ロフト面は、前記フェースプレートに対して接線方向であり、前記グランド面と交差し、
中心面は、前記グランド面に垂直であり、前記トップレール部から前記ソール部への方向に延在し、前記打撃面の中心点と一致し、
前記上部は、前記トップレール部と前記屈曲継ぎ目とによって境界付けられ、
前記上部は、前記ロフト面に平行な方向において、前記トップレール部から前記屈曲継ぎ目まで、前記中心面に沿って測定される高さを含み、
前記下部は、前記ロフト面に平行な方向において、前記ソール部から前記屈曲継ぎ目まで、前記中心面に沿って測定される高さを含み、
前記上部の前記高さと前記下部の前記高さは、9:8から6:11の範囲の比を有し、
前記上部は第1の深さを含み、前記下部は第2の深さを含み、これらの深さは、前記打撃面から前記リア部の外側面まで、前記中心面に沿って、前記ロフト面に対して垂直に測定され、
前記第1の深さは、一定であり、前記第2の深さより小さく、
前記ソール部、前記リア部、及び前記トップレール部は、キャビティを画定し、
前記製造方法は、さらに、
(3)前記第1の密度及び前記第2の密度より小さい第3の密度を有する第3の材料を含むインサートを提供することと、
(4)前記キャビティ内に前記インサートを配置することであって、前記インサートはキャビティの90%以上を占める、前記配置することと、
(5)前記フェースプレートを前記本体に固定することであって、前記フェースプレートは前記キャビティをさらに画定する、前記固定することと、
を含む、
ゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0219】
項目15:
前記(5)における前記フェースプレートを前記本体に固定することは、
前記フェースプレートを前記本体上へ加締める(swedging)ことと、
前記フェースプレートと前記本体との境界をレーザー溶接することと、
を含む、
項目14に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0220】
項目16:
前記フェースプレートと前記本体との前記境界をレーザー溶接することは、
0.070インチ(0.178センチメートル)未満の深さを含む熱影響部を生成することを含む、
項目15に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0221】
項目17:
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
ヒール部と、
トウ部と、
前記ヒール部から前記トウ部への方向に延在し、前記打撃面に対して平行であり、前記クラブヘッドの重心と一致するx軸と、
前記グランド面に直交し、前記重心と一致するy軸と、
を備え、
前記x軸の周りで測定される慣性モーメントIxxは、78グラム平方インチから120グラム平方インチ(503グラム平方センチメートルから774グラム平方センチメートル)の範囲であり、
前記y軸の周りで測定される慣性モーメントIyyは、310グラム平方インチから466グラム平方インチ(2000グラム平方センチメートルから3006グラム平方センチメートル)の範囲である、
項目15に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0222】
項目18:
前記製造方法は、さらに、
前記(4)と前記(5)との間に、前記インサート上にテープ層を配置することを含み、
前記テープ層は、前記(5)の完了時に、前記インサートと前記フェースプレートとの間に挟まれる、
項目14に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0223】
項目19:
前記製造方法は、さらに、
前記本体に一体化された円筒形ホーゼルを形成することを含み、
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
ヒール部と、
トウ部と、
を備え、
前記円筒形ホーゼルは、
前記トウ部側から見たときに、前記円筒形ホーゼルの前縁に平行なホーゼル基準面と、
前記円筒形ホーゼルの中心軸として定義されるホーゼル軸と、
前記グランド面に平行であり、前記ヒール部から前記トウ部への方向に延在し、前記打撃面上で最も低い中心面上の点と一致する前縁軸と、
正面から見たときに、前記前縁軸と前記中心面との交点から、前記前縁軸と前記ホーゼル軸との交点まで測定されるホーゼル-X距離であって、1.5インチ(3.8センチメートル)未満である前記ホーゼル-X距離と、
前記前縁軸と前記ホーゼル基準面との間の最小距離として測定されるオフセット距離であって、0.05インチから0.27インチ(0.13センチメートルから0.69センチメートル)の範囲である前記オフセット距離と、
を備える、
項目14に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0224】
項目20:
前記ゴルフクラブヘッドは、総質量を有し、
前記本体は、さらに、トウキャビティを備え、
前記製造方法は、さらに、
トウウェイトを形成することであって、前記トウウェイトは、前記ゴルフクラブヘッドの前記総質量の5%から45%の範囲の質量を含む、前記形成することと、
前記トウウェイトを前記トウキャビティ内に固定することと、
を含む、
項目14に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0225】
項目21:
ゴルフクラブヘッドは、
フェースプレートと、
上部、下部、ソール部、リア部、及びトップレールを備える本体と、
インサートと、
を備え、
前記フェースプレート及び前記本体の一部は、前記ゴルフクラブヘッドの打撃面を画定し、
前記フェースプレート、前記ソール部、前記リア部、及び前記トップレール部は、キャビティを囲み、
前記リア部は、屈曲継ぎ目を備え、
前記ソール部は、グランド面と接し、
ロフト面は、前記フェースプレートに対して接線方向であり、前記グランド面と交差し、
中心面は、前記グランド面に垂直であり、前記ロフト面に垂直であり、前記打撃面の中心点と一致し、
前記上部は、前記トップレール部と前記屈曲継ぎ目とにより境界付けられ、
前記上部は、前記ロフト面に平行な方向において、前記トップレール部から前記屈曲継ぎ目まで、前記中心面に沿って測定される高さを含み、
前記下部は、前記ロフト面に平行な方向において、前記ソール部から前記屈曲継ぎ目まで、前記中心面に沿って測定される高さを含み、
前記上部の前記高さと前記下部の前記高さは、9:8から6:11の範囲の比を有し、
前記上部は第1の深さを含み、前記下部は第2の深さを含み、これらの深さは、前記打撃面から前記リア部の外側面まで、前記中心面に沿って、前記ロフト面に対して垂直に測定され、
前記第1の深さは、一定であり、前記第2の深さより小さく、
前記ソール部、前記リア部、前記トップレール部、及び前記フェースプレートは、キャビティを囲み、
前記インサートは、前記キャビティ内に受け入れられ、前記インサートは、前記キャビティの90%以上を占め、
前記インサートは、第1の部分及び第2の部分を含み、
前記フェースプレートは、第1の密度を有する第1の材料を含み、
前記本体は、第2の密度を有する第2の材料を含み、
前記インサートの前記第1の部分は、第3の密度を有する第3の材料を含み、
前記インサートの前記第2の部分は、第4の密度を有する第4の材料を含み、
前記第3の密度は、前記第1の密度、前記第2の密度、及び前記第4の密度より小さい、
ゴルフクラブヘッド。
【0226】
項目22:
前記インサートの前記第2の部分は、前記フェースプレートに接触しない、
項目21に記載のゴルフクラブヘッド。
【0227】
項目23:
前記インサートの前記第2の部分は、前記本体の前記下部に完全に位置する、
項目22に記載のゴルフクラブヘッド。
【0228】
項目24:
前記第4の密度は、前記第1の密度及び前記第2の密度よりも大きい、
項目21に記載のゴルフクラブヘッド。
【0229】
項目25:
前記第1の深さと前記第2の深さの最大値との比は、1:3から4:5の範囲である、
項目21に記載のゴルフクラブヘッド。
【0230】
項目26:
ゴルフクラブヘッドは、さらに、
重心と、
前記グランド面に平行であり、ヒール部からトウ部への方向に延在し、前記打撃面上で最も低い前記中心面上の点と一致する前縁軸と、
前記グランド面に平行であり、前記前縁軸と一致する前縁面と、
前記グランド面に直交し、前記重心と一致するy軸と、
を備え、
前記ゴルフクラブヘッドの前記重心は、0.380インチから0.670インチ(0.965センチメートルから1.70センチメートル)の範囲で前記前縁面より上方に位置する、
項目21に記載のゴルフクラブヘッド。
【0231】
項目27:
前記ゴルフクラブヘッドは、さらに、
ヒール部と、
トウ部と、
前記本体に一体化された円筒形ホーゼルと、
を備え、
前記円筒形ホーゼルは、
トウ側面から見たときに、前記円筒形ホーゼルの前縁に平行なホーゼル基準面と、
前記円筒形ホーゼルの中心軸として定義されるホーゼル軸と、
前記グランド面に平行であり、前記ヒール部から前記トウ部への方向に延在し、前記打撃面上で最も低い前記中心面上の点と一致する前縁軸と、
正面から見たときに、前記前縁軸と前記中心面との交点から、前記前縁軸と前記ホーゼル軸との交点まで測定されるホーゼル-X距離であって、1.5インチ(3.8センチメートル)未満である前記ホーゼル-X距離と、
前記前縁軸と前記ホーゼル基準面との間の最小距離として測定されるオフセット距離であって、0.05インチから0.27インチ(0.13センチメートルから0.69センチメートル)の範囲である前記オフセット距離と、
を備える、
項目21に記載のゴルフクラブヘッド。
【0232】
項目28:
ゴルフクラブヘッドは、さらに、
ヒール部と、
トウ部と、
前記ヒール部から前記トウ部への方向において、前記ヒール部における前記打撃面の縁から前記トウ部の最外側の点まで測定されるブレード長さと、
を備え、
前記ブレード長さは2.8インチ(7.1センチメートル)未満である、
項目21に記載のゴルフクラブヘッド。
【0233】
項目29:
前記ゴルフクラブヘッドは、前記インサートと前記フェースプレートとの間に配置された高密度テープをさらに備える、
項目21に記載のゴルフクラブヘッド。
【0234】
項目30:
前記第1の深さは0.290インチ(0.74センチメートル)未満である、
項目21に記載のゴルフクラブヘッド。
【0235】
項目31:
前記第3の密度は2.4g/ccから5.0g/cc(2.4g/立方センチメートルから5.0g/立方センチメートル)の範囲である、
項目21に記載のゴルフクラブヘッド。
【0236】
項目32:
前記第3の材料は、アルミニウム及びチタンからなる群から選択される材料を含み、
前記第4の材料は、タングステンを含む、
項目31に記載のゴルフクラブヘッド。
【0237】
項目33:
ゴルフクラブヘッドは、さらに、
総質量と、
トウウェイトと、
を備え、
前記本体は、さらに、トウキャビティを備え、
前記トウキャビティは、前記トウウェイトを受け入れ、
前記トウウェイトは、前記クラブヘッドの前記総質量の5%から45%の範囲の質量を含む、
項目21に記載のゴルフクラブヘッド。
【0238】
項目34:
ゴルフクラブヘッドは、さらに、
ヒール部と、
トウ部と、
前記ヒール部から前記トウ部への方向に延在し、前記打撃面に対して平行であり、前記クラブヘッドの重心と一致するx軸と、
前記グランド面に直交し、前記重心と一致するy軸と、
を備え、
前記x軸の周りで測定される慣性モーメントIxxは、78グラム平方インチから120グラム平方インチ(503グラム平方センチメートルから774グラム平方センチメートル)の範囲であり、
前記y軸の周りで測定される慣性モーメントIyyは、310グラム平方インチから466グラム平方インチ(2000グラム平方センチメートルから3006グラム平方センチメートル)の範囲である、
項目21に記載のゴルフクラブヘッド。
【0239】
項目35:
ゴルフクラブヘッドの製造方法であって、
(1)第1の密度を有する第1の材料を含むフェースプレートを提供することと、
(2)第2の密度を有する第2の材料と、上部と、下部と、ソール部と、リア部と、トップレールと、を備える本体を提供することと、を含み、
前記フェースプレート及び前記本体の一部は前記ゴルフクラブヘッドの打撃面を画定し、
前記リア部は、屈曲継ぎ目を備え、
前記ソール部は、グランド面と接し、
ロフト面は、前記フェースプレートに対して接線方向であり、前記グランド面と交差し、
中心面は、前記グランド面に垂直であり、前記トップレール部から前記ソール部への方向に延在し、打撃面の中心点と一致し、
前記上部は、前記トップレールと前記屈曲継ぎ目とにより境界付けられ、
前記上部は、前記ロフト面に平行な方向において、前記トップレール部から前記屈曲継ぎ目まで、前記中心面に沿って測定される高さを含み、
前記下部は、前記ロフト面に平行な方向において、前記ソール部から前記屈曲継ぎ目まで、前記中心面に沿って測定される高さを含み、
前記上部の前記高さと前記下部の前記高さは、1:1から2:1の範囲の比を有し、
前記上部は第1の深さを含み、前記下部は第2の深さを含み、これらの深さは、前記打撃面から前記リア部の外側面まで、前記中心面に沿って、前記ロフト面に対して垂直に測定され、
前記第1の深さは、一定であり、前記第2の深さよりも小さく、
前記ソール部、前記リア部、及び前記トップレール部は、キャビティを画定し、
前記製造方法は、さらに、
(3)第1の部分及び第2の部分を含むインサートを提供することであって、前記第1の部分は、第3の密度を有する第3の材料を含み、前記第2の部分は、第4の密度を有する第4の材料を含み、前記第3の密度は、前記第1の密度、前記第2の密度、及び前記第4の密度未満である、前記提供することと、
(4)前記キャビティ内に前記インサートを配置することであって、前記インサートは前記キャビティの90%以上を占める、前記配置することと、
(5)前記フェースプレートを前記本体に固定することであって、前記フェースプレートは前記キャビティをさらに画定する、前記固定することと、
を含む、
ゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0240】
項目36:
前記(5)における前記フェースプレートを前記本体に固定することは、
前記フェースプレートを前記本体上へ加締める(swedging)ことと、
前記フェースプレートと前記本体との境界を熱処理(又はレーザー溶接)することと、
を含む、
項目35に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0241】
項目37:
前記フェースプレートと前記本体との前記境界をレーザー溶接することは、
0.070インチ(0.178センチメートル)未満の深さを含む熱影響部を生成することを含む、
項目35に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0242】
項目38:
ゴルフクラブヘッドは、さらに、
ヒール部と、
トウ部と、
前記ヒール部から前記トウ部への方向に延在し、前記打撃面に対して平行であり、前記クラブヘッドの重心と一致するx軸と、
前記グランド面に直交し、前記重心と一致するy軸と、
を備え、
前記x軸の周りで測定される慣性モーメントIxxは、78グラム平方インチから120グラム平方インチ(503グラム平方センチメートルから774グラム平方センチメートル)の範囲であり、
前記y軸の周りで測定される慣性モーメントIyyは、310グラム平方インチから466グラム平方インチ(2000グラム平方センチメートルから3006グラム平方センチメートル)の範囲である、
項目35に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0243】
項目39:
前記製造方法は、さらに、
前記(4)と前記(5)との間に、前記インサート上にテープ層を配置することを含み、
前記テープ層は、前記(5)の完了時に、前記インサートと前記フェースプレートとの間に挟まれる、
項目35に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0244】
項目40:
前記インサートの前記第1の部分及び前記第2の部分は、前記(4)の前に一体的に形成される、
項目35に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
【0245】
項目41:
ゴルフクラブヘッドであって、
フェースプレートと、
上部、下部、ソール部、リア部、及びトップレール部を備える本体と、
インサートと、
を備え、
前記フェースプレート及び前記本体の一部は、前記ゴルフクラブヘッドの打撃面を画定し、
前記フェースプレート、前記ソール部、前記リア部、及び前記トップレール部は、キャビティを画定し、
前記リア部は、屈曲継ぎ目と、開口部を画定する壁と、を備え、
前記開口壁は、前記屈曲継ぎ目の上方にあり、前記トップレール部に隣接する上部壁と、前記屈曲継ぎ目に隣接する底部壁と、トウ部壁と、ヒール部壁と、を備え、
前記ソール部は、グランド面と接し、
ロフト面は、前記フェースプレートに対して接線方向であり、前記グランド面と交差し、
中心面は、前記ロフト面に垂直であり、前記グランド面に垂直であり、前記打撃面の中心点と一致し、
前記ロフト面に対して平行に取られた前記開口部の投影面積は、25%から50%の前記リア部全体の投影面積を有し、
前記上部は、前記トップレール部と前記屈曲継ぎ目とにより境界付けられ、
前記上部は、前記ロフト面に平行な方向において、前記トップレール部から前記屈曲継ぎ目まで、前記中心面に沿って測定される高さを含み、
前記下部は、前記ロフト面に平行な方向において、前記ソール部から前記屈曲継ぎ目まで、前記中心面に沿って測定される高さを含み、
前記上部の前記高さと前記下部の前記高さは、1:1から2:1の範囲の比を有し、
前記上部は第1の深さを含み、前記下部は第2の深さを含み、これらの深さは、前記打撃面から前記リア部の外側面まで、前記中心面に沿って、前記ロフト面に対して垂直に測定され、
前記第1の深さは、一定であり、前記第2の深さより小さく、
前記ソール部、前記リア部、前記トップレール部、及び前記フェースプレートは、キャビティを囲み、
前記インサートは、前記キャビティ内に受け入れられ、前記インサートは前記キャビティの90%以下を占め、
前記フェースプレートは、第1の密度を有する第1の材料を含み、
前記本体は、第2の密度を有する第2の材料を含み、
前記インサートは、第3の密度を有する第3の材料を含み、
前記第3の密度は、前記第1の密度及び前記第2の密度よりも小さい、
ゴルフクラブヘッド。