(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/38 20120101AFI20230104BHJP
【FI】
G06Q20/38 310
(21)【出願番号】P 2021018969
(22)【出願日】2021-02-09
【審査請求日】2021-02-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年10月23日 阪神電気鉄道株式会社本社(大阪市福島区海老江1丁目1番24号)にて発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年11月11日 株式会社三菱総合研究所本社(東京都千代田区永田町2丁目10番3号)にて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】591115475
【氏名又は名称】株式会社三菱総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】奥村 拓史
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-520503(JP,A)
【文献】特開2020-077078(JP,A)
【文献】特開2019-121147(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0188653(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取部で読み取られた情報とブロックチェーンに書き込まれた情報とを照合して取引の有効性を判別し、取引が有効であると判別された場合に入場を許可する指令を送信する判別部と、
前記読取部で読み取られた情報の一部である第一情報をブロックチェーンに書き込む第一書込部と、
前記読取部で読み取られた情報の一部であって、前記第一情報と異なる情報を含む第二情報をローカル記憶部に書き込む第二書込部と、
を備
え、
前記第二情報はユーザ情報と前記読取部の設置場所に関する情報を含む情報処理装置。
【請求項2】
第一情報と第二情報は共通する共通情報を有する請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第一情報は、ユーザ情報、チケットの発行主体情報、チケット種別情報又はチケットの有効期間情報を有
し、
ユーザ情報は前記共通情報である請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第二情報は入場及び出場についての情報を有する請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の情報処理装置からなる第一情報処理装置と、
前記第一情報処理装置と通信可能な中央処理装置と、
を備え、
前記中央処理装置は、前記第二情報を記憶する中央記憶部を有する情報処理システム。
【請求項6】
請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の情報処理装置からなる第二情報処理装置を備え、
前記第二情報処理装置のローカル記憶部は、前記中央記憶部に記憶された前記第二情報を記憶する請求項
5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
情報処理装置にインストールされるプログラムであって、
前記プログラムがインストールされた情報処理装置は、
読取部で読み取られた情報とブロックチェーンに書き込まれた情報とを照合して取引の有効性を判別し、取引が有効であると判別された場合に入場を許可する指令を送信する機能と、
前記読取部で読み取られた情報の一部である第一情報をブロックチェーンに書き込む機能と、
前記読取部で読み取られた情報の一部であって、前記第一情報と異なる情報を含む第二情報をローカル記憶部に書き込む機能と、
を果たすようにな
り、
前記第二情報はユーザ情報と前記読取部の設置場所に関する情報を含むプログラム。
【請求項8】
読取部で読み取られた情報とブロックチェーンに書き込まれた情報とを照合して取引の有効性を判別部で判別し、前記取引が有効であると判別された場合に入場を許可する指令を送信する工程と、
前記読取部で読み取られた情報の一部である第一情報を第一書込部によってブロックチェーンに書き込むとともに、前記読取部で読み取られた情報の一部であって、前記第一情報と異なる情報を含む第二情報を第二書込部によってローカル記憶部に書き込む工程と、
を備え
、
前記第二情報はユーザ情報と前記読取部の設置場所に関する情報を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックチェーンを用いた情報処理装置、情報処理システム、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、不正使用を防止するための電子チケットシステムが提案されている。特許文献1では、メンバーデータベースが、複数のメンバーのアカウント情報及び各アカウントに対応する特性コードを記憶し、チケットプラットホームが各タイプのチケットの販売と認証の機能を提供し、チケットデータベースが複数のチケットのチケット情報及び各チケットに対応する特性コードを記憶する態様が開示されている。そして、各サービスユニットは、チケット確認装置を用いて、メンバーによって提供された特性コードキャリアの特性コード読み取り、それをサーバに送信して、チケットデータベースに記憶されたチケット情報及び特性コードと照合し、認証結果を警告装置に表示させることで、チケットに対応するサービスを提供するべきかどうかを判断することとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、不正使用を防止しつつ、取引の有効性の判別を迅速にできる情報処理装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による情報処理装置は、
読取部で読み取られた情報とブロックチェーンに書き込まれた情報とを照合して取引の有効性を判別し、取引が有効であると判別された場合に入場を許可する指令を送信する判別部と、
前記読取部で読み取られた情報の一部である第一情報をブロックチェーンに書き込む第一書込部と、
前記読取部で読み取られた情報の一部であって、前記第一情報と異なる情報を含む第二情報をローカル記憶部に書き込む第二書込部と、
を備えてもよい。
【0006】
本発明による情報処理装置において、
前記第二情報はユーザ情報と前記読取部の設置場所に関する情報を含んでもよい。
【0007】
本発明による情報処理装置において、
第一情報と第二情報は共通する共通情報を有してもよい。
【0008】
本発明による情報処理装置において、
前記第一情報は、ユーザ情報、チケットの発行主体情報、チケット種別情報又はチケットの有効期間情報を有してもよい。
【0009】
本発明による情報処理装置において、
前記第二情報は入場及び出場についての情報を有してもよい。
【0010】
本発明による情報処理システムは、
前述した情報処理装置からなる第一情報処理装置と、
前記第一情報処理装置と通信可能な中央処理装置と、
を備え、
前記中央処理装置は、前記第二情報を記憶する中央記憶部を有してもよい。
【0011】
本発明による情報処理システムは、
前述した情報処理装置からなる第二情報処理装置を備え、
前記第二情報処理装置のローカル記憶部は、前記中央記憶部に記憶された前記第二情報を記憶してもよい。
【0012】
本発明によるプログラムは、
情報処理装置にインストールされるプログラムであって、
前記プログラムがインストールされた情報処理装置は、
読取部で読み取られた情報とブロックチェーンに書き込まれた情報とを照合して取引の有効性を判別し、取引が有効であると判別された場合に入場を許可する指令を送信する機能と、
前記読取部で読み取られた情報の一部である第一情報をブロックチェーンに書き込む機能と、
前記読取部で読み取られた情報の一部であって、前記第一情報と異なる情報を含む第二情報をローカル記憶部に書き込む機能と、
を果たしてもよい。
【0013】
本発明による情報処理方法は、
読取部で読み取られた情報とブロックチェーンに書き込まれた情報とを照合して取引の有効性を判別部で判別し、前記取引が有効であると判別された場合に入場を許可する指令を送信する工程と、
前記読取部で読み取られた情報の一部である第一情報を第一書込部によってブロックチェーンに書き込むとともに、前記読取部で読み取られた情報の一部であって、前記第一情報と異なる情報を含む第二情報を第二書込部によってローカル記憶部に書き込む工程と、
を備えてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、不正使用を防止しつつ、取引の有効性の判別を迅速にできる情報処理装置等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態によるローカル情報処理装置と中央情報処理装置との関係を説明するための概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態による情報処理システムの概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態における流れを説明するための概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態が鉄道以外でも用いられることを示すための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態
《構成》
以下、本発明に係る情報処理システム及び情報処理装置の実施の形態について説明する。本実施の形態では、情報処理装置を利用した情報処理方法、情報処理装置を生成するためにインストールされるプログラムや、当該プログラムを記憶したUSB、DVD等からなる記憶媒体も本実施の形態により提供される。また、パソコン、スマートフォン、タブレット等の各種端末にインストールされるプログラムも提供される。本実施の形態の「又は」は「及び」を含む概念であり、A又はBは、A、B並びにA及びBの両方のいずれかを意味している。本実施の形態の情報処理システムはプラットフォームを提供してもよい。
【0017】
図1及び
図2に示すように、情報処理システムは、複数のローカル情報処理装置100と、ローカル情報処理装置100の各々と通信可能な中央処理装置500と、を有してもよい。ローカル情報処理装置100の一部又は全部は交通機関の施設に設置されてもよい。ローカル情報処理装置100の各々は、ローカル記憶部60と、第一情報の一例である判別対象情報をブロックチェーンに書き込む第一書込部11と、第二情報の一例である履歴情報をローカル記憶部60に書き込む第二書込部21と、を有してもよい。ローカル記憶部60は典型的には駅構内(駅の設備内)又は駅が管理している施設内に設置されているデータベースである。本実施の形態では、ローカル情報処理装置100が、ローカルサーバ20と、ローカルサーバ20と通信可能なノード装置10とを有している。そして、ノード装置10が第一書込部11を有し、ローカルサーバ20が第二書込部21を有している。
【0018】
ブロックチェーンでは、取引情報(トランザクション)の集まりであるブロック同士がチェーンで繋がれることで、取引情報が記録される。取引情報はハッシュ化されてブロックチェーンに書き込まれてもよく、この際には、例えばSHA-256(Secure Hash Algorithm 256-bit)によってハッシュ化が行われる。ブロックチェーンに書き込むことで改ざんできないようにすることができ、また耐タンパ性も実現できる。一例としては、ブロックチェーンに取引情報等を書き込む際には秘密鍵を用いてデータを暗号化すればよい。そして、ブロックチェーンに書き込まれた取引情報を読み出す際には公開鍵を用いてデータを復号すればよい。また別の例としては、ブロックチェーンに取引情報等を書き込む際には公開鍵を用いてデータを暗号化すればよい。また、ブロックチェーンに書き込まれた取引情報を読み出す際には秘密鍵を用いてデータを復号すればよい。
【0019】
なお、ブロックチェーンを用いて電子署名(デジタル署名)を行いたい場合には、元のデータ及び元のデータをハッシュ化したデータを秘密鍵で暗号化したデータと、秘密鍵に対応する公開鍵とをブロックチェーンに記録すればよい。ブロックチェーンを読み出す際に、元のデータをハッシュ化したデータと、公開鍵によって復号されたデータとが合致することを確認することで、データを記録した者が署名を行った者であることを確認することができる。
【0020】
ブロックチェーンとしては、パブリック型、コンソーシアム型、プライベート型等のいずれを用いてもよい。パブリック型を用いた場合には、マイニングが行われることになる。他方、コンソーシアム型を用いる場合には、マイニングは行われず、合意形成は特定者間のコンセンサスで行われることになる。プライベート型を用いる場合にも、マイニングは行われず、合意形成は組織内承認による。なお、コンソーシアム型を用いた場合には、ブロックチェーンの管理者は存在するものの、中央集権的にならない点で有益である。
【0021】
第一情報と第二情報はこれらを紐づけるための共通情報を有してもよい。共通情報はユーザ情報であってもよい。この場合には、ユーザ情報によって、ブロックチェーンに書き込まれる第一情報と、ローカル記憶部60に書き込まれる第二情報とが関連付けられることになる。ユーザ情報は後述する決済の際にも利用される情報である。ユーザ情報は、ユーザ識別番号、ユーザ識別記号、ウォレットID等のユーザ識別情報、ユーザの氏名、電話番号、メールアドレス、性別、年齢等の個人識別情報や、クレジットカードのカード番号、有効期限、デビットカードのカード番号、引き落とし口座情報等の決済手段情報を含んでもよい。決済を行うことだけを鑑みると、ユーザ情報は決済手段情報だけを含んでもよい。なお、クレジットカードのカード番号としてはスマートフォンに登録されている情報又はスマートフォンに紐づけて登録されている情報を利用してもよい。
【0022】
以下では、第一情報として判別対象情報を用い、第二情報として履歴情報を用いて説明するが、これに限られることはない。
【0023】
情報処理システムは、取引情報を表示する携帯端末200を有してもよい(
図3参照)。携帯端末200はユーザが保有する携帯電話やタブレット端末であってもよい。携帯電話やタブレット端末に専用のアプリケーションがインストールされることで、携帯端末200が取引情報を表示できるようになってもよい。
【0024】
携帯端末200は端末表示部210と端末表示部220とを有しており、スマートフォンやタブレット端末の場合には、携帯端末200の表示画面が端末表示部210と端末表示部220の両方の機能を兼ねている。取引情報はQRコード(登録商標)等のコード情報として端末表示部210で表示されてもよい。このような表示は端末表示部220における操作によって実現されるようになってもよい。携帯端末200に所定のプログラム(アプリケーション)がインストールされることで、本実施の形態における情報処理システムの一環として機能する携帯端末200が実現されるようにしてもよい。
【0025】
コード情報は、チケットコードといったチケット種別情報、会社コードといったチケットの発行主体情報、ウォレットID等といったユーザ識別情報、チケットトークンといったトークン情報(例えばワンタイムトークン)、自動改札機105に設けられた読取部110の設置場所を識別するための設置場所情報(例えばロケーションコード)、入場、出場等のアクションタイプを示すアクション情報を含んでもよい。また、企画乗車券の場合には、コード情報はチケットの有効期間情報(例えば期間コード)を有してもよい。ウォレットIDは一例として、ユーザのウォレットの公開鍵(例えば33バイト)を16進数表記した文字列(例えば66文字)であってもよい。
【0026】
一例として、判別対象情報は、チケット種別情報、発行主体情報、有効期間情報、ユーザ情報、トークン情報等を有する。他方、履歴情報は、ユーザ情報、設置場所情報、アクション情報等を有する。なお、ブロックチェーン上に記録されることになる取引情報(トランザクション)はインプットとアウトプットの二つから構成されているが、インプットとアウトプットを処理するためにトークン情報は用いられるものである。
【0027】
判別対象情報をブロックチェーンに記録し、履歴情報をクラウド記憶部といった中央記憶部560に記憶させることで、ブロックチェーンに記録される情報を制限しつつ、決済等に必要な情報を中央記憶部560に記憶することができる。このため、ブロックチェーンでの処理性能を高い状態で維持しつつ、有益な情報を中央記憶部560等で記憶させることができる。中央記憶部560は中央処理装置500に含まれる記憶部である。中央処理装置500はローカル情報処理装置100とインターネット等を介して通信可能な中央情報処理装置520を有し、中央情報処理装置520がローカル情報処理装置100から取得した情報を中央記憶部560に記録されるようにしてもよい。
【0028】
判別対象情報は改札を通過するための最小限の情報であってもよい。企画乗車券ではなく通常の乗車券である場合には判別対象情報は有効期間情報を有さなくてもよい。また、複数の事業者が参加する態様ではなく、単独の事業者が発券する場合には、判別対象情報は発行主体情報を有さなくてもよい。また、チケットの種類が1種類である場合には、判別対象情報はチケット種別情報を有さなくてもよい。このように判別対象情報を制限することでブロックチェーンに書き込まれる情報量を少なくすることができ、ひいては効果的に、ブロックチェーンでの処理性能を高い状態で維持することができるようになる。
【0029】
判別対象情報を記録する手段としてブロックチェーンを用いることで、不正を防止することができる。また、ブロックチェーンを用いることで、複数の事業者間での情報共有を簡易かつ低コストで行うことができる。
【0030】
携帯端末200で表示された取引情報を駅の自動改札機105が読み取ると、読み取られた取引情報がローカル記憶部60に書き込まれるとともに、ブロックチェーンにも書き込まれることになってもよい。この際、取引情報のうち判別対象情報(第一情報)がブロックチェーンにも書き込まれ、取引情報のうち履歴情報(第二情報)がローカル記憶部60に書き込まれてもよい。
【0031】
ローカル情報処理装置100は、読取部110で取引情報が読み取られると、当該取引情報による交通機関の利用の可否を判別する判別部120を有してもよい。判別部120によって取引情報が有効であると判別された場合には、判別部120が入場を許可する指令を自動改札機105等に送信し、その結果として、ユーザは自動改札機105を通過可能となり、駅等の施設への入場又は出場が可能になる。
【0032】
ローカルサーバ20はAPIサーバ等からなるエッジサーバであってもよい。また、ノード装置10が上記判別部120を有し、ノード装置10に判別部120で用いるための判定プログラムがインストールされていてもよい。
【0033】
本実施の形態の情報処理システムは、一般的な乗車券の代わりとして用いられるものであってもよい。また、企画乗車券の代わりとして用いられるものであってもよい。企画乗車券として用いられる場合には、判別部120は駅だけではなくレジャー施設、バス、タクシー、船等のその他の施設や設備の利用可否を判別するようにしてもよい(
図4参照)。
【0034】
本実施の形態の情報処理システム(例えばプラットフォーム)では、ユーザのチケットに関する権利や仮想通貨を譲渡し、移転することができるようになってもよい。チケットに関する権利を譲渡する場合を例に挙げると、チケット種別情報と言った権利に関する情報とトークンをハッシュ化し、秘密鍵で署名した上で公開鍵と一緒に送信するようにしてもよい。このような譲渡に関する情報はブロックチェーンに書き込まれることになり、送り手(例えばCさん)から受け手(例えばDさん)に対して権利が譲渡されたことがブロックチェーンに書き込まれることになる。当該権利を譲り受けた受け手(例えばDさん)の真正性は、受け手が当該権利を利用する際に認識されるQRコード等のコード情報によって読み取られる受け手のID等の識別情報及びチケット種別情報と言った権利に関する情報と、ブロックチェーンに書き込まれている受け手のID等の識別情報及びチケット種別情報と言った権利に関する情報とが判別部120で照合されることで確認されるようにしてもよい。
【0035】
情報の流れについて、一例を示す。
乗車券がインターネットや券売機を介して発券されるとブロックチェーンに当該情報(取引情報)が書き込まれる(
図3参照)。このことによって、取引情報を示すコード情報が携帯端末200で表示可能となる。携帯端末200で表示されたコード情報が駅の自動改札機105の読取部110で読み取られると、当該コード情報における取引情報とブロックチェーンに書き込まれた取引情報とが比較され、有効な取引情報であるかが判別部120で判別される。一例としては、コード情報における取引情報(例えば判別対象情報)とブロックチェーンに書き込まれた取引情報(例えば判別対象情報)とが合致した場合に判別部120が有効な取引情報であると判別し、コード情報における取引情報とブロックチェーンに書き込まれた取引情報とが合致しない場合に判別部120が有効ではない取引情報であると判別してもよい。
【0036】
一例としては、A駅に設置された自動改札機105の読取部110でコード情報が読み取られると、コード情報で示される取引情報内の判別対象情報がA駅に設置されたノード装置10によって判別され、有効なトランザクション情報であるかが判別される(
図3参照)。ここで判別対象情報が有効であると判別された場合には判別部120からの指令を受けて自動改札機105が開き、ユーザは駅構内に入ることができるようになる。また、この場合には、判別対象情報がブロックチェーンへ書き込まれるとともに、履歴情報がA駅内のローカル記憶部60に記憶されることになる。他方、コード情報における取引情報とブロックチェーンに書き込まれた取引情報とが合致せず、取引情報が有効ではないと判別部120が判別した場合には、自動改札機105が閉じた状態となり、ユーザはA駅構内に入ることはできない。
【0037】
また、A駅の例えばエッジサーバであるローカルサーバ20は、例えばAWS(アマゾン ウェブ サービス)といったクラウド内のクラウドサーバである中央処理装置500の中央記憶部560にトランザクション情報を書き込む。クラウドサーバである中央処理装置500には多数の駅やその他の施設のエッジサーバから利用履歴に関する情報が送られ、当該利用履歴に関する情報が中央記憶部560で記憶されることになる。
【0038】
クラウドサーバに書き込まれた利用履歴に関する情報はB駅のエッジサーバであるローカルサーバ20によってB駅に設置されたローカル記憶部60に記憶されることになる。このような態様により、各駅に設置されたローカル記憶部60は中央記憶部560が有している情報と同じ情報を有することになる。
【0039】
A駅から入ったユーザがB駅で出場する際には、B駅の自動改札機105の読取部110にコード情報を読み取らせることになるが、B駅に設置された自動改札機105の読取部110でコード情報が読み取られると、コード情報で示される取引情報内の判別対象情報がB駅に設置されたノード装置10によって判別され、有効なトランザクション情報であるかが判別される。ここで判別対象情報が有効であると判別された場合には判別部120からの指令を受けて自動改札機105が開き、ユーザは駅構外に出ることができるようになる。また、この場合にも、判別対象情報がブロックチェーンへ書き込まれるとともに、履歴情報がB駅内のローカル記憶部60に記憶されることになる。他方、コード情報における取引情報とブロックチェーンに書き込まれた取引情報とが合致せず、取引情報が有効ではないと判別部120が判別した場合には、自動改札機105が閉じた状態となり、自動改札機105を介してユーザはB駅構内から出ることはできない。
【0040】
中央記憶部560にはユーザがどの駅から入りどの駅から出たのかが記憶されていることから、この利用履歴に基づいて利用料金が決定することも可能である。ポストペイ型の場合には、一定期間ごとにユーザ毎の利用状況に応じた料金が確定される。そして、確定された料金に応じて、クレジットカードに基づく決済要求がなされ、決済されることになる。料金の確定及び/又は決済要求は中央処理装置500の算出部530によって行われてもよい。履歴情報がユーザ情報、設置場所情報及びアクション情報を有する場合には、どの場所から誰が入場し出場したことかが判断することができることから、これらの情報を用いることで決済を行うことができるようになる。
【0041】
読取部110は鉄道の駅、バスやタクシー内、フェリー等の船舶内に設置されてもよい(
図4参照)。また、読取部110は、対象となっている施設に設置されてもよい。施設は遊園地、動物園、植物園、博物館等の各種施設であってもよい。フェリー等の船舶については、窓口に読取部110が設置されてもよい。
【0042】
算出部530は中央記憶部560で記憶された交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報を用いて利益配分情報を算出してもよい。
【0043】
複数の読取部110が複数の事業者によって管理されてもよい。読取部110と事業者とが関連付けられ、算出部530は、事業者ごとの利益配分情報を算出してもよい。α社が管理しているA駅でユーザが乗車し、β社が管理しているB駅でユーザが降車した場合には、A駅からB駅の間で、α社が管理している駅での利用料金と、β社が管理している利用料金に応じて、利益配分情報を算出部530が算出してもよい。
【0044】
算出部530は、タクシー、バス又は船舶で読み取られた取引情報に関しては乗車距離又は乗車区間に関係なく利益配分情報を算出してもよい。この態様を採用する場合には、利用可能なタクシーの区間や時間が予め設定されていてもよい。利用可能な時間が設定されている場合には、タクシーに設置された読取部110で取引情報が読み取られた時点から一定の期間の間だけ、当該タクシーを利用できるようになってもよい。このような態様に限られることはなく、利用した距離や区間に応じて算出部530が益配分情報を算出してもよい。なお、読取部110の各々には識別情報が割り振られており、取引情報が読み取られると、読取部110の識別情報と取引情報とが関連付けられて、第一書込部11によってブロックチェーンに書き込まれてもよいし、第二書込部21によってローカル記憶部60に書き込まれてもよい。ローカル記憶部60に書き込まれた情報が中央記憶部560で記憶され、また別の駅等に設置されたローカル記憶部60で記憶されることは前述したとおりである。関連付けられた読取部110の識別情報と取引情報は、日時とともに第一書込部11によってブロックチェーンに書き込まれてもよいし、第二書込部21によってローカル記憶部60に書き込まれてもよい。読取部110の識別情報によって、ユーザが利用した駅、バス又はタクシーの利用等についての情報は第二書込部21によってローカル記憶部60に書き込まれてもよい。但し、このような態様に限られることはなく、ユーザが利用した駅、バス又はタクシーの利用等についての情報は第一書込部11によってブロックチェーンに書き込まれてもよい。
【0045】
中央記憶部560で記憶された鉄道の利用区間(利用料金)、タクシーの利用回数、バスの利用回数、施設の利用回数等の各々に対して所定の係数をかけ、これらを事業者別に集計して算出部530が利益分配情報を算出するようにしてもよい。例えば、L1×鉄道の利用料金+L2×タクシーの利用回数+L3×バスの利用回数+L41×m1施設の利用回数+・・・+L4n×mn施設の利用回数を合計した計算結果を取引情報毎に算出部530が算出し、算出結果を事業者別に合計することで事業者別の利益分配情報を算出するようにしてもよい。
【0046】
読取部110で取引情報が最初に読み取られた時点を用いて、取引情報による交通機関又は施設の利用期間が決定されてもよい。利用期間の管理は管理部580で行われてもよい。管理部580は中央処理装置500内に設置されてもよいし、各駅や施設等のローカルエリアに設置されてもよい(
図1の管理部80参照)。取引情報と利用開始時間とが関連付けられてローカル記憶部60で記憶されてもよい。一例としては、読取部110で取引情報が最初に読み取られた時点から24時間、72時間、1日、3日、一週間というような一定の期間の間、対象となっている交通機関及び施設を自由に利用できるようになってもよい。また例えば企画乗車券として用いる場合には、当該企画が有効な期間が定まっているので、当該有効な期間のうち、読取部110で取引情報が最初に読み取られた時点から24時間、72時間、1日、3日、一週間というような一定の期間の間、対象となっている交通機関及び施設を自由に利用できるようになってもよい。利用期間の制限は、スクリプト(locktime)で行われてもよい。
【0047】
情報処理システムは仮想通貨を取り扱ってもよい。仮想通貨を用いて取引情報を購入できるようにしてもよい。仮想通貨の利用に際してもQRコード等のコード情報が表示されてもよい。取引情報を表示するコード情報(第一コード情報)と仮想通貨を利用する際に表示されるコード情報(第二コード情報)とは別のコード情報(例えば別のQRコード)であってもよい。なお、このような態様に限られることはなく、取引情報を現金、クレジットカード、デビットカード等を用いて購入するようにしてもよい。また、取引情報を表示するコード情報(第一コード情報)と仮想通貨を利用する際に表示されるコード情報(第二コード情報)とで同じコード情報を用いるようにしてもよく、例えば同じQRコードで表示するようにしてもよい。
【0048】
仮想通貨の価値は時間とともに減価するように管理部580が管理してもよい。仮想通貨の価値は暫時減価するように行われてもよいし、ある一定期間が経過した場合には0になるように減価してもよいし、段階的に減価するようにしてもよい。現金から仮想通貨を購入する場合には、一定のプレミアムが付加されてもよい。仮想通貨は特定の地域でのみ利用できる地域仮想通貨であってもよい。地域ごとに、減価の程度、プレミアムの値が異なるように設定されてもよい。一例としては、変換する現金の価値を「1」とした場合に、変換された仮想通貨の価値は「1+p」(0%<p≦50%)となってもよく、さらに具体的な例として「p」は10%~30%であってもよい。
【0049】
所定の発行主体による仮想通貨を用いた場合には、取引情報を割安で購入できるようにしてもよい。この場合には、管理部580によって利用される仮想通貨の種類が判別され、管理部580によって所定の発行主体による仮想通貨であると判断された場合には、取引情報を値引きした値段で購入できるようにしてもよい。また、取引情報を所定の発行主体による仮想通貨で購入する場合には、当該仮想通貨に対してプレミアムを付与するようにしてもよい。この場合にも、管理部580によって利用される仮想通貨の種類が判別され、管理部580によって所定の発行主体による仮想通貨であると判断された場合には、携帯端末200で管理されている仮想通貨に対してプレミアムが付与されてもよい。このような態様を採用することで、ユーザが移動した先等で当該仮想通貨を利用する可能性を高めることができ、ユーザによる仮想通貨の利用を促すことを期待できる。また、取引情報を購入する際に当該地域で利用可能な仮想通貨を同時に購入できるようにしてもよく、同時購入を行う場合には、管理部580によって購入される仮想通貨にプレミアムが付与されてもよい。この場合には、購入された仮想通貨の利用可能な期間と取引情報が有効な期間とが合致するように管理部580によって管理されてもよい。例えば取引情報が最初の利用から1週間有効である場合には、最初の利用から1週間において仮想通貨が利用可能となり、1週間を経過した時点で仮想通貨の価値が0になるように管理部580が仮想通貨の価値を減価してもよい。
【0050】
仮想通貨は、仮装コイン、ポイント、電子マネー等であってもよく、これらのうちの2つ以上であってもよい。仮想通貨として、これらの2つ以上を用いる場合には、仮想コインを電子マネーに変換できるがポイントに変換できないように管理部580が管理してもよい。電子マネーを仮想コイン及びポイントに変換できないように管理部580が管理してもよい。ポイントを仮想コイン及びポイントに変換できるように管理部580が管理してもよい。異なる種類のアセット間の交換比率は任意に設定されてもよいし、需給予測モデル(ダイナミック・プライシング)により設定されてもよい。需給予測モデルを採用する場合には、管理部580が人工知能機能を有し、採用変数と採用変数に対する採用係数を用いて需給予測モデルを生成してもよい。この場合には、アセット間の需給バランスに応じて異なるアセットへの変更を行うことができる。
【0051】
発行されるトークンにおいては10000といった十分な量のトランザクションが、予め定められた期間で利用可能となってもよい。このトランザクションは改札を通過したり、施設を利用したりするといった状態の変化が発生する度に消費されることになる。利用期間が到来した際に余ったトランザクションは管理部580が消滅させてもよいし、管理部580によって回収されてもよい。
【0052】
ブロックチェーンを用いる場合には、カラードコインを用いて、取引情報によって利用可能なサービス情報の判別が判別部120で行われてもよい。利用可能なサービス情報は、利用できる交通機関の種類、施設の種類、利用可能な期間等によって異なってもよい。交通機関の種類としては、利用できる鉄道会社、利用できる区間、利用できるタクシーの区間、利用できるバスの区間等が異なるようになってもよい。
【0053】
本実施の形態の、第一書込部11、第二書込部21及び判別部120等、また算出部530、管理部580等は一つのユニット(制御ユニット)によって実現されてもよいし、異なるユニットによって実現されてもよい。複数の「部」による機能が一つのユニット(制御ユニット)で統合されて実現されてもよい。また、第一書込部11、第二書込部21及び判別部120等、また算出部530、管理部580等は回路構成によって実現されてもよい。
【0054】
≪方法≫
次に、本実施の形態による情報処理方法の一例について、
図3を用いて説明する。
【0055】
ユーザが、インターネットを介して又は駅の券売機等のターミナル端末を用いて、ユーザが対象となる取引情報を購入する。インターネットを介して取引情報を購入できる態様を採用することで、海外から国内に来る旅行客の利用を促進することができ、また駅等の施設での取引情報の購入に関する事務手続きを省くことができる。インターネットを介して購入する場合には購入したパソコンがターミナル装置となってもよい。券売機で購入する場合には当該券売機がターミナル装置となってもよい。
【0056】
取引情報が購入されると、ユーザの保有する携帯端末200で、取引情報が例えばQRコード等のコード情報として表示可能となる。携帯端末200がターミナル装置で表示される情報を読み取ったり、ターミナル装置から指定した電子メールアドレスに電子メールが送信されたり、ターミナル装置からBluetooth等の近距離通信で通信されることによって、携帯端末200がコード情報を取得し、当該コード情報が携帯端末200で表示可能となってもよい。携帯端末200で取引情報を購入する場合には、当該携帯端末200でQRコード等のコード情報が表示可能となってもよい。
【0057】
ユーザは、コード情報を携帯端末200で表示させ、駅の改札に設置されたQRコード読取部等の読取部110で当該コード情報を読み取らせる。このようにコード情報が読取部110で読み取られると、コード情報として表示された取引情報による交通機関の利用の可否が判別部120で判別される。施設の入り口に設置されたQRコード読取部等の読取部110で当該コード情報を読み取らせる場合には、コード情報として表示された取引情報による施設の利用の可否が判別部120で判別される。
【0058】
鉄道等を利用する場合であって、移動先の駅を出る場合には、駅の改札に設置されたQRコード読取部等の読取部110で当該コード情報を読み取らせる。
【0059】
施設において、判別部120で利用可能と判断された場合には、施設の利用を開始した時間が第一書込部11でブロックチェーンに書き込まれてもよいし、第二書込部21によってローカル記憶部60で記憶されてもよい。施設を出る際にも、施設の例えば出口に設置されたQRコード読取部等の読取部110で当該コード情報を読み取らせるようにしてもよい。この場合には、ユーザが施設を出た時間を管理することができる。算出部530は、施設での滞在時間に応じて利益配分情報を算出するようにしてもよい。この場合には、滞在時間が長い施設では高い利益配分を行い、滞在時間が短い施設では低い利益配分を行うようにしてもよい。一例としては、施設ごとの単位時間あたりの利益係数Kに滞在時間Tを掛けた計算結果(K×T)を用いて、算出部530が利益配分情報を算出するようにしてもよい。このような態様を採用することで、より公平に利益の配分を行うことができる。
【0060】
タクシーやバスを利用する場合には、タクシーやバスに設置された読取部110で取引情報が読み取られるようにしてもよい。この場合には、対象となっている区間内では、乗車距離に関係なく、算出部530が利益配分情報を算出するようにしてもよい。
【0061】
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。「構成」で説明していない構成であっても「効果」で用いたいずれの構成も本件発明では採用することができる。
【0062】
ローカル情報処理装置100が、読取部110で読み取られた情報とブロックチェーンに書き込まれた情報とを照合して取引の有効性を判別する判別部120を有する態様を採用した場合には、読取部110で読み取られた情報とブロックチェーンに書き込まれた情報との照合を迅速に行うことができる。
【0063】
特に読取部110と判別部120とがインターネットを介さずに有線又は無線の回線(モバイル回線等)で接続される場合には、その処理速度を速めることができる。実証実験を行ったところ、インターネットを介して接続された判別部による判別を行った場合には、自動改札機105の読取部110で読み取られた情報の判別には標準分布の中央値として1回あたり600~700msの時間が必要であった。他方、読取部110と判別部120とがインターネットを介さずに有線又は無線の回線(モバイル回線等)で接続される場合には、標準分布の中央値として1回あたり125~150msの時間で処理することができ、格段に速くすることができた。一般的には、駅の混雑時でスムーズに処理するためには200ms以内での処理が必要になるが、本態様では、当該要件を満たすことができた。
【0064】
また、読取部110で読み取られた情報の一部である第一情報を第一書込部11でブロックチェーンに書き込み、読取部110で読み取られた情報の一部であって、第一情報と異なる情報を含む第二情報を第二書込部21でローカル記憶部60に書き込む場合には、情報の種別に応じてブロックチェーンへの書き込みを行ったり、ローカル記憶部60への書き込みを行ったりすることができる。このためブロックチェーンへの負担を軽減しつつ、必要な情報をローカル記憶部60で記憶することできる。
【0065】
第二情報がユーザ情報と読取部110の設置場所に関する情報を含む場合には、対象のユーザが典型的にはどの駅の読取部110を利用したのかをローカル記憶部60で記憶することができ、ひいてはクラウドサーバの中央記憶部560で記憶することができる。このため、ユーザに対する料金の請求をこれらの情報に基づいて行うことができる。
【0066】
第一情報と第二情報が共通する共通情報を有する場合には、ブロックチェーンに書き込まれる第一情報と、ローカル記憶部60や中央記憶部560に記憶される第二情報とを関連付けることができる。このため、ブロックチェーンに書き込まれた情報とローカル記憶部60や中央記憶部560で記憶された情報とを必要な場合に紐づけて、分析等で利用することができるようになる。
【0067】
中央処理装置500があるローカル情報処理装置(第一ローカル情報処理装置)100のローカル記憶部60で記憶されている情報と同じ情報を入手して、当該情報を中央記憶部560が記憶する場合には、各駅の自動改札機105で入手された情報を中央処理装置500でも管理することができるようになる。
【0068】
また、中央記憶部560で記憶されているあるローカル情報処理装置(第一ローカル情報処理装置)100のローカル記憶部60で記憶されている情報を、別のローカル情報処理装置(第二ローカル情報処理装置)100に同期させ、当該別のローカル情報処理装置(第二ローカル情報処理装置)100であるローカル情報処理装置(第一ローカル情報処理装置)100のローカル記憶部60で記憶されている情報を記憶させる場合には、ある駅で入手された情報を別の駅でも共有して保持することができるようになる。このような態様を採用した場合には、例えば降車駅のローカル記憶部60に乗車駅に関するデータが記憶されることから、(ポストペイ型ではないときに)降車駅の自動改札機105からユーザが出場する際に、乗車駅に関するデータを用いて精算を行うことが可能になる。なお、ローカル情報処理装置100のローカル60から中央処理装置500への情報の送信及び送信された情報の中央記憶部560での記憶は駅や施設等が稼働している時間では定期的(例えば1分に1回等)に行われるようにしてもよい。なお、ポストペイ型の場合には、まとめて決済が行われることから、ローカル情報処理装置100のローカル60から中央処理装置500への情報の送信及び送信された情報の中央記憶部560での記憶はそれほど頻繁に行われなくてもよく、例えば1日に1回、1週間に1回等であってもよい。
【0069】
交通機関と施設の両方を携帯端末200に表示される取引情報によって利用できる態様によれば、交通機関による移動と移動先の施設の利用の両方を携帯端末200によって実現できる。このため、複数のチケットを持つ必要がなく、携帯端末200だけで簡便に利用できる点で非常に有益である。一例として、企画乗車券のデジタル化を行うことで、企画乗車券の購買から乗り物および施設の利用、そして決済まで、駅の窓口や旅行会社での乗車券の受渡・引換を介することなく、シームレスにスマートフォン等の携帯端末200のみで完結可能となる点で非常に有益である。
【0070】
記憶部60で記憶された交通機関の利用に関する情報又は施設の利用に関する情報を用いて利益配分情報を算出する算出部530が設けられている場合には、利用状況に応じて利益配分を行うことができる。現在用いられている使い放題のチケット等では、利益配分が利用状況に応じてなされていなかったことから、本態様を採用した場合には、利益配分を実態に沿って行うことができるようになる。
【0071】
読取部110と事業者とが関連付けられ、算出部530が事業者ごとの利益配分情報を自動で算出する態様を採用した場合には、各事業者に割り振られる利益を自動で算出することができる点で有益である。
【0072】
タクシー又はバスで読み取られた取引情報に関しては乗車距離又は乗車区間に関係なく利益配分情報を算出部530が算出する態様を採用した場合には、タクシーやバスについては簡便に利益配分を行うことができる。なお、鉄道に関しては乗車区間に基づいて算出部530が利益配分情報を算出してもよい。この場合には、利用区間に応じて利益配分を行うことができる。
【0073】
読取部110で取引情報が最初に読み取られた時点を用いて、取引情報による交通機関又は施設の利用期間が決定される態様を採用した場合には、利用開始時点を用いて利用終了時点を決定することができ、一定期間においては鉄道や施設を自由に利用できるサービスを提供できる。
【0074】
判別部120によって、カラードコインを用いて取引情報によって利用可能なサービス情報の判別が行われる態様を採用した場合には、利用可能な交通機関及び/又は施設の種類、利用可能なサービス提供機関等を区別して、サービスを提供できる。
【0075】
本実施の形態の態様を企画乗車券として用いた場合には、発行・管理面での運用コストやオペレーションにかかる事務コスト(人件費、印刷費、運搬費、管理費)を低減できる。より具体的には、ブロックチェーン基盤とQRコード等のコード情報とを用いて企画乗車券のデジタル化を行った場合には、窓口販売や観光施設での検札等を省くことができ、事務コストを大きく低減させることができる。また、本態様によれば、旅行代理店等に支払っていた販売委託手数料等を無くす又は低く抑えることができる。
【0076】
また、磁気式タイプの乗車券とは異なり、高いセキュリティを高めることができ(偽造、不正利用、不正転売等を防止でき)、真正性チェックを低コストで実現できる。また、乗車、利用、購買等の行動履歴の一元的な蓄積が可能となり、データの利活用を促進することができ、例えばマーケティング活動に利用することもできるようになる。
【0077】
本実施の形態では、スマートコントラクトを使ったサービスと支払いの一体化を採用してもよい。より具体的には証券の引渡し(Delivery)と代金の支払い(Payment)を相互に条件を付け、一方が行われない限り他方も行われないようにする態様を採用する場合には、決済にかかるコストも低減させることができる。
【0078】
磁気乗車券の正当性判定処理は複雑なため、自動改札機105の導入やメンテナンスに高いコストがかかるが、本実施の形態によれば、シンプルな判定処理が実現可能なため、磁気式に比べ安価に仕組みを導入できる。
【0079】
上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書、図面等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。
【符号の説明】
【0080】
10 ノード装置
11 第一書込部
21 第二書込部
110 読取部
120 判別部
200 携帯端末
100 ローカル情報処理装置(情報処理装置)
500 中央処理装置