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特許7203186押圧力維持可能な電池セル挟持装置及び電池セル挟持方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】押圧力維持可能な電池セル挟持装置及び電池セル挟持方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20230104BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20230104BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20230104BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20230104BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/04 Z
H01M50/211
H01M50/262 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021207244
(22)【出願日】2021-12-21
(65)【公開番号】P2022105290
(43)【公開日】2022-07-13
【審査請求日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】109147044
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】505441638
【氏名又は名称】致茂電子股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Chroma Ate Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100210402
【弁理士】
【氏名又は名称】頼 亮介
(72)【発明者】
【氏名】温 鎭州
(72)【発明者】
【氏名】李 駿
(72)【発明者】
【氏名】譚 世清
(72)【発明者】
【氏名】王 銘輝
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-140844(JP,A)
【文献】特表2008-521175(JP,A)
【文献】特開2010-021104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0585
H01M 10/04
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの電池セルを挟持するための電池セル挟持装置であって、
少なくとも一つの貫通孔が形成されている第一の端板と、第二の端板と、前記第一の端板と前記第二の端板との間に設置されている複数のガイドバーとを含むフレームと、
前記複数のガイドバーにカップリングし、前記少なくとも一つの電池セルが固定されている少なくとも一つの仕切り板と、
前記第一の端板と前記少なくとも一つの仕切り板の間に位置し、前記複数のガイドバーに沿って摺動するように前記複数のガイドバーにカップリングする押圧板と、
前記押圧板がある前記第一の端板の側とは反対側に設けられている付勢板と、
前記第一の端板の前記少なくとも一つの貫通孔に通って延在し、前記付勢板と前記押圧板との間に位置する少なくとも一つの押圧力維持バネと、
前記少なくとも一つの押圧力維持バネを対抗して前記第一の端板に向けて前記付勢板を付勢し、前記第一の端板に締め付けられる少なくとも一つのボルトとを含み、
前記付勢板は前記少なくとも一つの押圧力維持バネを圧縮するように付勢され、前記少なくとも一つの押圧力維持バネのバネ力は前記押圧板を介して前記少なくとも一つの仕切り板に伝達され、前記少なくとも一つの仕切り板は前記少なくとも一つの電池セルを挟持するように付勢される
ことを特徴とする押圧力維持可能な電池セル挟持装置。
【請求項2】
前記第一の端板の前記少なくとも一つの貫通孔に通って延在し、一端が前記押圧板に接続され、他端が前記付勢板にカップリングする少なくとも一つのバネガイドバーをさらに含み、前記少なくとも一つの押圧力維持バネは前記少なくとも一つのバネガイドバーに外嵌され、前記付勢板は前記少なくとも一つのバネガイドバーに沿って摺動可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の押圧力維持可能な電池セル挟持装置。
【請求項3】
前記付勢板に少なくとも一つの通し穴が形成されており、前記第一の端板に少なくとも一つのネジ穴が形成されており、前記少なくとも一つのボルトは前記少なくとも一つの通し穴に通って延在して前記少なくとも一つのネジ穴に締め付けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の押圧力維持可能な電池セル挟持装置。
【請求項4】
前記複数のガイドバーは、前記第一の端板及び前記第二の端板の四隅にそれぞれ設けられた一対の上ガイドバーと一対の下ガイドバーを含み、前記少なくとも一つの仕切り板の一方の側縁部が前記一対の上ガイドバーのうちの一つに掛けられており、他方の側縁部が前記一対の下ガイドバーのうちの一つに当接する
ことを特徴とする請求項1に記載の押圧力維持可能な電池セル挟持装置。
【請求項5】
前記第一の端板は、前記第一の端板の一方の面に位置し、前記押圧板に向かって突出させるピラーとをさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の押圧力維持可能な電池セル挟持装置。
【請求項6】
第一の固定板及び第二の固定板をさらに含み、
前記第一の固定板は前記押圧板に接続されており、前記押圧板と前記少なくとも一つの仕切り板との間に位置し、
前記第二の固定板は前記第二の端板に接続され、前記第二の端板と前記少なくとも一つの仕切り板の間に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の押圧力維持可能な電池セル挟持装置。
【請求項7】
少なくとも一つの電池セルを挟持するための電池セル挟持装置であって、
少なくとも一つの貫通孔が形成されている第一の端板と第二の端板と前記第一の端板と前記第二の端板との間に配置されている複数のガイドバーを含むフレームと、
前記複数のガイドバーにカップリングし、前記少なくとも一つの電池セルが固定されている少なくとも一つの仕切り板と、
前記複数のガイドバーに沿って摺動するように前記複数のガイドバーにカップリングし、前記第一の端板と前記少なくとも一つの仕切り板との間に位置する押圧板と、
前記押圧板がある前記第一の端板の側とは反対側に設けられており、少なくとも一つの貫通ガイド孔が形成されている付勢板と、
前記第一の端板の前記少なくとも一つの貫通孔に通って延在し、前記付勢板と前記押圧板との間に位置する少なくとも一つの押圧力維持バネと、
一端が前記付勢板に通って延在し、他端が前記第一の端板に締め付けられている少なくとも一つのボルトと、
前記第一の端板の前記少なくとも一つの貫通孔に通って延在し、一端が前記押圧板に接続されており、他端が前記付勢板の前記少なくとも一つの貫通ガイド孔にカップリングする少なくとも一つのバネガイドバーとを含み、
前記少なくとも一つの押圧力維持バネは前記少なくとも一つのバネガイドバーに外嵌されており、前記付勢板が前記少なくとも一つのバネガイドバーに沿って摺動可能であり、
前記付勢板は前記少なくとも一つの押圧力維持バネを圧縮するように付勢され、前記少なくとも一つの押圧力維持バネのバネ力は前記押圧板を介して前記少なくとも一つの仕切り板に伝達され、前記少なくとも一つの仕切り板は前記少なくとも一つの電池セルを挟持するように付勢され、前記付勢板が前記少なくとも一つのボルトにより現在の位置に保持される
ことを特徴とする押圧力維持可能な電池セル挟持装置。
【請求項8】
前記付勢板に少なくとも一つの通し穴が形成されており、前記第一の端板に少なくとも一つのネジ穴が形成されており、前記少なくとも一つのボルトは前記少なくとも一つの通し穴に通って延在して前記少なくとも一つのネジ穴に締め付けられる
ことを特徴とする請求項7に記載の押圧力維持可能な電池セル挟持装置。
【請求項9】
前記複数のガイドバーは前記第一の端板及び前記第二の端板の四隅にそれぞれ設けられた一対の上ガイドバー及び一対の下ガイドバーを含み、
前記少なくとも一つの仕切り板は一方の側縁部が前記一対の上ガイドバーの一つに掛けられており、他方の側縁部が前記一対の下ガイドバーの一つに当接する
ことを特徴とする請求項7に記載の押圧力維持可能な電池セル挟持装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の押圧力維持可能な電池セル挟持装置を使用して少なくとも一つの電池セルを挟持する電池セル挟持方法であって、
(A)前記付勢板を前記第一の端板に向かって付勢するように押圧装置により前記付勢板に押圧力を加えて、前記少なくとも一つの押圧力維持バネを圧縮して前記少なくとも一つの電池セルを挟持するように前記押圧板を押圧することと、
(B)前記押圧装置により加えた前記押圧力が所定値に達すると、前記付勢板が現在の位置に保持されるように前記少なくとも一つのボルトを締め付けることと、
(C)前記押圧装置により加えた前記押圧力を解除することとを含む、
ことを特徴とする電池セル挟持方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は押圧力維持可能な電池セル挟持装置及びその挟持方法に関し、特にパウチ型リチウム電池セルを化成工程において電池セルを挟持し、電池セルを充放電する電池セル治具に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム電池セルは製品になる前に、化成(フォーメション)することが必要である。「化成」とは、パウチ型リチウム電池セル(リチウム電池セル半製品)の電極に給電して、パウチ型リチウム電池セルの流動性を有する成分を固化して電気エネルギーを蓄える状態になる。さらに説明すると、パウチの内部に流動性を有する成分が充填されてなるパウチ型リチウム電池セル(pouch-type battery)は、化成工程において膨張するため、形状を維持するように持続に均一な力を加えなければならない。
【0003】
そのため、化成工程において電池セルを挟持して押圧する治具が必要である。業界では一般にそれを拘束トレイと称する。現行技術では、減速機構からなる押圧機構を備える拘束トレイが一般的で、押圧機構は、拘束トレイの一部を構成し、拘束トレイの間に設けられた仕切り板に挟持された電池セルに押圧力を加えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】CN108666609A 特許文献1(CN108666609Aの「リチウムイオンパワーバッテリーパックに用いるクランピングトレイ」)には、化成時に過大な押圧力に起因した電池セルの膨張を緩衝・防止するように挟持板の面にシリコーンシートが設けられることが開示されている。なお、特許文献1には押圧機構のドライバ(モータ)が図示されていないが、特許文献1のクランピングトレイには押圧機構に備えたスクリューに接続されるドライバ(モータ)と減速機構が欠かせない。
【0005】
【文献】CN108666608A 特許文献2(CN108666608Aの「リチウムイオンパワーバッテリーパッククランピングトレイ」)には、特許文献1と同様に、化成時に過大な押圧力に起因した電池セルの膨張を防止するためのものである。特許文献2のクランピングトレイは特許文献1と違って、バネを緩衝機構とするように構成されている。特許文献1と同じく図示されていないが、特許文献2のクランピングトレイには押圧機構に備えたスクリューに接続されるドライバ(モータ)と減速機構も欠かせない。
【0006】
従って、産業界では、拘束トレイ毎に押圧機構又は押圧装置が配置される必要がなく、単一の押圧機構が複数の拘束トレイに共用されることが可能になり、化成設備外での押圧力付与可能で、製造コストを大幅に減少するものが切望されている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は従来のパウチ型リチウム電池セルのクランピングトレイに必要となる押圧機構又は部品を含まないように構成され、簡単で信頼性の高い押圧力維持機構を用いて化成設備外での押圧力付与可能な装置になり、適応性が高い製造プロセスの実現が可能であり、信頼性及び長寿命化の向上を図る低コストの押圧力維持可能な電池セル挟持装置を提供することを主な目的とする。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、少なくとも一つの電池セルを挟持するための電池セル挟持装置であって、
少なくとも一つの貫通孔が形成されている第一の端板と、第二の端板と、前記第一の端板と前記第二の端板との間に設置されている複数のガイドバーとを含む、フレームと、
前記複数のガイドバーにカップリングし、前記少なくとも一つの電池セルが固定されている少なくとも一つの仕切り板と、
前記第一の端板と前記少なくとも一つの仕切り板の間に位置し、前記複数のガイドバーに沿って摺動するように前記複数のガイドバーにカップリングする押圧板と、
前記押圧板がある前記第一の端板の側とは反対側に設けられている付勢板と、
前記第一の端板の前記少なくとも一つの貫通孔に通って延在し、前記付勢板と前記押圧板との間に位置する少なくとも一つの押圧力維持バネと、
前記少なくとも一つの押圧力維持バネを抵抗して前記第一の端板に向けて前記付勢板を付勢し、前記第一の端板に締め付けられる少なくとも一つのボルトとを含み、
前記付勢板は前記少なくとも一つの押圧力維持バネを圧縮するように付勢され、前記少なくとも一つの押圧力維持バネのバネ力は前記押圧板を介して前記少なくとも一つの仕切り板に伝達され、前記少なくとも一つの仕切り板は前記少なくとも一つの電池セルを挟持するうように付勢されることを特徴とする押圧力維持可能な電池セル挟持装置。
【0009】
それにより、本発明は、押圧力維持バネを介して押圧板と仕切り板とを押圧して電池セルを適切な挟持力で挟持する。なお、押圧力維持バネは、化成工程で電池セルが過剰に膨張した場合の膨張量に応じて圧縮可能な緩衝効果を奏するだけでなく、過剰で不当な押圧力を吸収する機能も有する。また、本発明はボルトにより圧縮力維持効果を生じさせ、即ち付勢板と押圧板との間の距離(即ち押圧力維持バネの長さ)を一定に維持して所定押圧力を形成することで、従来の電池セルクランピングトレイに比べて、本発明は押圧機構又は部品を装備する必要がない。
【0010】
さらに説明すると、本発明の電池セル挟持装置は前記第一の端板の前記少なくとも一つの貫通孔に通って延在し、一端が前記押圧板に接続され、他端が前記付勢板にカップリングする少なくとも一つのバネガイドバーをさらに含み、前記少なくとも一つの押圧力維持バネは前記少なくとも一つのバネガイドバーに外嵌され、前記付勢板は前記少なくとも一つのバネガイドバーに沿って摺動可能である。本発明によれば、付勢板及び押圧力維持バネが揺動又は位置ズレしないようにガイドされる。
【0011】
好ましくは、本発明の電池セル挟持装置では、前記付勢板に少なくとも一つの通し穴が形成されており、前記第一の端板に少なくとも一つのネジ穴が形成されており、前記少なくとも一つのボルトは前記少なくとも一つの通し穴に通って延在して前記少なくとも一つのネジ穴に締め付けられる。それにより、本発明はボルトにより付勢板の位置、即ち付勢板の変位量を一定に維持することで、押圧力維持バネの圧縮量を制御して、電池セルに対する挟持力を調整できる。本発明によれば、ボルトの第一の端板に対する締め付け量を調整することで、付勢板と押圧板との間の距離を調整し、押圧力維持バネの圧縮量を調整できる。換言すれば、電池セルに対する挟持力を手動で調整できる。
【0012】
一方、本発明の電池セル挟持装置では、前記複数のガイドバーは前記第一の端板及び前記第二の端板の四隅にそれぞれ設けられた一対の上ガイドバーと一対の下ガイドバーとを含んでよい。而も前記少なくとも一つの仕切り板の一方が前記一対の上ガイドバーの一方に掛けられ、他方が前記一対の下ガイドバーの一方に当接する。言い換えると、本発明の仕切り板は二箇所のみによってガイドバーに掛けられるため、電池セルを装填・取出する場合、仕切り板を簡単に持ち上げるだけで、仕切り板の交換又は増減を素早く行うことができるとともに、電池セル挟持装置へのメンテナンスや改造を迅速に行うことができる。
【0013】
本発明の電池セル挟持装置は、前記第一の端板の一方の面に位置し、前記押圧板に向かって突出させるピラーとをさらに含んでよい。前記ピラーは、押圧板を止めて押圧板が第一の端板に近接することを防止し、押圧力が解除された時に押圧板が第一の端板に突き当たってしまうことを防止する。なお、本発明は第一の固定板及び第二の固定板をさらに含み、前記第一の固定板は前記押圧板に接続されており、前記押圧板と前記少なくとも一つの仕切り板との間に位置し、前記第二の固定板は前記第二の端板に接続され、前記第二の端板と前記少なくとも一つの仕切り板の間に位置する。また、第一の固定板と第二の固定板とは電池セルの装着に使用してもよい。
【0014】
前記目的を達成するための本発明は、少なくとも一つの電池セルを挟持するための電池セル挟持装置であって、
少なくとも一つの貫通孔が形成されている第一の端板と第二の端板と前記第一の端板と前記第二の端板との間に配置されている複数のガイドバーを含むフレームと、
前記複数のガイドバーにカップリングし、前記少なくとも一つの電池セルが固定されている少なくとも一つの仕切り板と、
前記複数のガイドバーに沿って摺動するように前記複数のガイドバーにカップリングし、前記第一の端板と前記少なくとも一つの仕切り板との間に位置する押圧板と、
前記押圧板がある前記第一の端板の側とは反対側に設けられており、少なくとも一つの貫通ガイド孔が形成されている付勢板と、
前記第一の端板の前記少なくとも一つの貫通孔に通って延在し、前記付勢板と前記押圧板との間に位置する少なくとも一つの押圧力維持バネと、
一端が前記付勢板に通って延在し、他端が前記第一の端板に締め付けられている少なくとも一つのボルトと、
前記第一の端板の前記少なくとも一つの貫通孔に通って延在し、一端が前記押圧板に接続されており、他端が前記付勢板の前記少なくとも一つの貫通ガイド孔にカップリングする少なくとも一つのバネガイドバーとを含み、
前記少なくとも一つの押圧力維持バネは前記少なくとも一つのバネガイドバーに外嵌されており、前記付勢板が前記少なくとも一つのバネガイドバーに沿って摺動可能であり、
前記付勢板は前記少なくとも一つの押圧力維持バネを圧縮するように付勢され、前記少なくとも一つの押圧力維持バネのバネ力は前記押圧板を介して前記少なくとも一つの仕切り板に伝達され、前記少なくとも一つの仕切り板は前記少なくとも一つの電池セルを挟持するように付勢され、前記付勢板が前記少なくとも一つのボルトにより現在の位置に保持されることを特徴とする押圧力維持可能な電池セル挟持装置。
【0015】
このほか、前記目的を達成するための本発明は、押圧力維持可能な電池セル挟持装置を使用する電池セル定圧挟持方法であって、前記付勢板を前記第一の端板に向かって付勢するように押圧装置により前記付勢板に押圧力を加えて、前記少なくとも一つの押圧力維持バネを圧縮して前記少なくとも一つの電池セルを挟持するように前記押圧板を押圧することと、前記押圧装置により加えた前記押圧力が所定値に達すると、前記付勢板が現在の位置に保持されるように前記少なくとも一つのボルトを締め付けることと、前記押圧装置により加えた前記押圧力を解除することとを含む。それにより、本発明の電池セル挟持装置は押圧装置を搭載する必要はない。本発明によれば、ボルトにより現在の押圧力を維持し、化成設備外での押圧力付与が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明に係る電池セル挟持装置の好ましい実施例を示す斜面図である。
図2図2は本発明に係る電池セル挟持装置から仕切り板を外した状態を示す斜面図である。
図3図3は本発明に係る電池セル挟持装置の好ましい実施例を示す分解図である。
図4図4は本発明に係る電池セル挟持装置の好ましい実施例を示す断面図であり、ガイドバーに仕切り板が架設された状態を示す図である。
図5A図5Aは押圧力が加えられていない電池セル挟持装置の側面図である。
図5B図5Bは押圧力が加えられている電池セル挟持装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施例において、本発明に係る電池セル挟持装置及びその挟持方法を詳しく説明する。下記の説明において、同様の機能および構成を有する要素にはそれぞれ同一の符号を付して表示する。更に、図面は模式的なものであり、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、明確性及び簡潔さのために、特定の図面は、誇張された又は一般化された形態で示され得る。その全ての詳細を図示するものではない。
【0018】
図1は本発明に係る電池セル挟持装置の好ましい実施例を示す斜面図であり、図2は本発明に係る電池セル挟持装置から仕切り板を外した状態を示す斜面図であり、図3は本発明に係る電池セル挟持装置の好ましい実施例を示す分解図である。図に示すように、本実施例の電池セル挟持装置は主として、フレーム2と、複数の仕切り板3と、押圧板4と、付勢板5と、四つの押圧力維持バネ6と、四つのバネガイドバー61と、二つのボルト7とを含む。
【0019】
また、フレーム2は第一の端板21と、第二の端板22と、四本のガイドバー23とからなり、四本のガイドバー23は第一の端板21及び第二の端板22の四隅にそれぞれ設けられた一対の上ガイドバー231及び一対の下ガイドバー232を含む。また、第一の端板21に四つの貫通孔211及び二つのネジ穴212が形成されている。第一の端板21は第一の端板21の一方の側面に位置し、押圧板4に向かって突出するピラー213(図2を参照)を含む。本実施例では、ピラー213は押圧板4を止める。特に仕切り板3の数が多く存在した場合、ピラー213は、押圧板4が第一の端板21に近接することを防止し、押圧力が解除された時に押圧板4が第一の端板21に突き当たってしまうことを防止する。
【0020】
複数の仕切り板3はガイドバー23に架設され、仕切り板3は電池セル(図示せず)を装着するのに用いられ、表面と裏面の両面に1つずつ電池セルが固定されるのが一般的である。仕切り板3をガイドバー23に架設することについて、図4を参照する。図4は本発明の好ましい実施例の断面図であり、仕切り板31がガイドバー23に架設された状態を示す。図示のように、本実施例の仕切り板31は、本体33と、上片持ち部34と、下片持ち部35とを含み、上片持ち部34及び下片持ち部35は本体33の反対両側縁部からそれぞれ突出し、本体33に対角配置され、上片持ち部34及び下片持ち部35のうちの一方は本体部33の上縁に配置され、上片持ち部34及び下片持ち部35のうちの他方は本体部33の下縁に配置される。上片持ち部34は下端面にV字状の切欠き341を含んでおり、V字状の切欠き341を介して上ガイドバー231に掛けられる。下片持ち部35の下端面は下ガイドバー232に当接する。
【0021】
以上から分かるように、本実施例の仕切り板3はただ上片持ち部34及び下片持ち部35を介して2点で支持され、ガイドバー23に掛けられるので、接触点が少なく、摩擦抵抗も小さく、摺動しやすい。重要な点は、仕切り板3を持ち上げれば仕切り板3の取出は可能なので、かなり便利である。言い換えると、電池セルを装填・取出する場合、仕切り板3を持ち上げると、仕切り板3の交換や増減を素早く行うことができる。電池セル挟持装置に対するメンテナンスや改造を迅速に行うことができる。一方、V字状切欠き341による位置決めの効果により、仕切り板3が左右に摺動する問題はない。
【0022】
図1図2及び図3に示すように、本実施例において、押圧板4には四本のガイドバー23が貫通するための貫通ガイド孔41が四隅に形成され、これによって押圧板4はガイドバー23に沿って摺動する。押圧板4は、第一の端板21と複数の仕切り板3との間に位置している。また、押圧板4は四つの円形状の凹部421を含む第一の端面42と、第一の固定板31が配置されている第二の端面43とを有する。第二の固定板32が第二の端板22に配置されている。言い換えると、複数の仕切り板3は第一の固定板31と第二の固定板32との間に挟持されて設けられる。また、第一の固定板31及び第二の固定板32のそれぞれは、仕切り板3に向かう面に電池セル(図示せず)が配置される。
【0023】
さらに、図に示すように、付勢板5は押圧板4がある第一の端板21の側とは反対側(装置の最外側)に設けられている。四つの貫通ガイド孔52が付勢板5の四隅にそれぞれ形成されている。二つの通し穴51は付勢板5の両側縁部の近傍にそれぞれ形成されており、一方の通し穴51は左側縁部の近傍に位置する二つの貫通ガイド孔52の間に形成され、他方の通し穴51は右側縁部の近傍に位置する二つの貫通ガイド孔52の間に形成されている。
【0024】
本実施例において、四つの押圧力維持バネ6は第一の端板21に形成された四つの貫通孔211をそれぞれ通って延在する。各押圧力維持バネ6の二端が付勢板5と押圧板4とにそれぞれ当接される。押圧力維持バネ6の押圧板4に当接される端は、押圧力維持バネ6が位置ずれないように円形状の凹部421に収容される。
【0025】
また、図に示すのように、四つのバネガイドバー61は、第一の端板21の四つの貫通孔211をそれぞれ通って延在する。各バネガイドバー61はヘッド611と先端612を含む。先端612は付勢板5の貫通ガイド孔52を通して押圧板4の円形状の凹部421の中心に固設されている。ヘッド611は付勢板5を止める。四つの押圧力維持バネ6はそれぞれ四つのバネガイドバー61に外嵌されるため、バネガイドバー61によって押圧力維持バネ6の撓みは防止される。
【0026】
本実施例において、各ボルト7は、第一の端板21のネジ穴212に締め付けられるネジ部71と、付勢板5の通し穴51を通らない寸法を有する頭部72とを含む。ボルト7をねじ込むことで、付勢板5と第一の端板21との間の距離を調整して押圧力維持バネ6の所定圧縮量を一定に維持することができる。それにより押圧力維持バネ6のバネ力を一定に維持できる。
【0027】
以下、図1図5A、及び図5Bを参照しながら、本実施例の電池セル挟持装置の操作方法を説明する。図5Aは押圧力が加えられていない電池セル挟持装置の側面図であり、図5Bは押圧力が加えられている電池セル挟持装置の側面図である。まず、押圧装置Pで付勢板5に押圧力Fを加える。本実施例における押圧装置Pは空気圧シリンダ、油圧シリンダ、リニアモータ、またはモータとスクリューとからなる押圧機構であってもよいし、その他の付勢板5を第一の端板21に向かって付勢する等価装置又は等価部品であってもよい。
【0028】
この際、付勢板5は、バネガイドバー61とボルト7とに沿って第一の端板21に向かって摺動するように押圧力Fによって付勢される。この場合、バネガイドバー61と、ボルト7と、第一の端板21とが安定して動かない。付勢板5が摺動して押圧力維持バネ6が圧縮されるため、押圧力Fは押圧力維持バネ6を介して押圧板4に伝達される。ここで、押圧力維持バネ6は力を伝達するほか、過剰な力又は不安定な力を吸収することができる緩衝手段としても機能する。
【0029】
次に、押圧力Fが押圧板4に加えられると、押圧板4を第二の端板22に向かって移動させることで、仕切り板3を押圧して仕切り板3上の電池セルを挟持する。本実施例では、押圧装置Pと付勢板5の間に力センサユニット(図示せず)が更に設けられているため、押圧力が加えられている期間において、押圧装置Pにより加えた押圧力Fが常に監視される。
【0030】
前記押圧力Fは所定値に達すると押圧力の増大を抑えると共に、図5Bに示すように、ボルト7の頭部72が付勢板5に当接するまでボルト7をねじ込んで第一の端板21のネジ穴212に締め付ける。ボルト7により、付勢板5と第一の端板21との間の距離が一定に維持されるように付勢板5を現在の位置に維持するができる。押圧力維持バネ6を介して仕切り板3上の電池セルに加えた一定なクランプ力は押圧装置Pにより加えた押圧力Fに相当する。
【0031】
本実施例には、圧縮されている押圧力維持バネ6によって押圧板4と仕切り板3とが電池セルを適切な挟持力で挟持するように押圧される。押圧力維持バネ6は瞬間的に過剰な押圧力を吸収する緩衝手段として機能する。このほか、押圧力維持バネ6は圧縮可能なので、化成工程にて電池セルが過剰に膨張する場合、電池セルの膨張が許容されて、強固に挟持されることに起因した電池セルの破裂するのを防ぐことができる。
【0032】
最後に、押圧装置Pにより加えた押圧力Fが解除される。つまり電池セル挟持装置を押圧装置Pから分離され、化成工程が行われる。このことから分かるように、本実施例の電池セル挟持装置自体は押圧装置を具える必要がなく化成設備外での押圧力付与が可能で、製造ライン全体において、押圧装置Pは複数の電池セル挟持装置に対応できる。複数の電池セル挟持装置は次々に一つの押圧装置によって押圧され、そして押圧力が維持するようにされる。よって、装置機構全体は明らかに簡素化され、信頼性及び長寿命化の向上を図ることができ、コストを顕著に削減できる。
【0033】
上記した実施例は説明のために挙げられたものに過ぎない。本発明が主張する権利範囲は上記した実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲に基づくものである。
【符号の説明】
【0034】
2:フレーム、3:仕切り板、4:押圧板、5:付勢板、6:押圧力維持バネ、7:ボルト、21:第一の端板、22:第二の端板、23:ガイドバー、31:第一の固定板、32:第二の固定板、33:本体、34:上片持ち部、35:下片持ち部、41:貫通ガイド孔、42:第一の端面、43:第二の端面、51:通し穴、52:貫通ガイド孔、61:バネガイドバー、71:ネジ部、72:締め付け頭部、211:貫通孔、212:ネジ穴、213:ピラー、231:上ガイドバー、232:下ガイドバー、421:円形状の凹部、611:先端、612:基端、F:押圧力、P:押圧装置。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B