IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】門脈圧を測定するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0215 20060101AFI20230104BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20230104BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
A61B5/0215 D
A61B5/0215 C
A61B1/018 515
A61B1/00 550
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021503118
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 US2019047681
(87)【国際公開番号】W WO2020050988
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-01-20
(31)【優先権主張番号】62/728,528
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】メランソン、ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】デイトン、ピーター エル.
(72)【発明者】
【氏名】クリスタキス、ローラ エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】フルーリー、ショーン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ライト、コーリー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】デュバル、ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】モナハン、バネッサ
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-080434(JP,A)
【文献】特表2013-516298(JP,A)
【文献】特表2017-520348(JP,A)
【文献】特開平04-253868(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0006145(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/0215
A61B 1/018
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の作業チャンネルの中に挿入されるような寸法及び形状に形成された可撓性を有する針であって、長手方向に内部を貫通して延びるチャンネルを含む前記針と、
前記針のチャンネルの中に摺動可能に挿入される寸法及び形状に形成された長手方向に延びる本体を備える圧力感知装置であって、前記本体には、その遠位部分にセンサが取り付けられており前記センサは、同センサから前記本体内を通って近位方向に延びる接続ケーブルによって圧力感知装置の近位部分に接続され且つ静脈内の血流の圧力に対応する情報を検出するように構成されている、前記圧力感知装置と
を備え、
前記圧力感知装置は、前記センサが前記針の一部によって覆われる挿入形態と、前記圧力感知装置の本体の遠位端が前記針の遠位端を超えて遠位側に延びて前記センサを前記静脈内の流体の流れに露出させる、圧力感知形態との間で、前記針に対して長手方向に移動可能であり、
前記圧力感知装置の本体の遠位端は尖端を含んでおり、前記針の遠位端は丸みを帯びた端を含んでおり、前記挿入形態では、前記圧力感知装置の前記尖端は前記針のチャンネル内に収容され、前記圧力感知形態では、前記圧力感知装置は前記針に対して遠位方向に移動されて前記静脈を穿刺するために前記圧力感知装置の前記尖端を露出し、
前記圧力感知装置の本体は、前記本体の遠位部分を横方向に貫通して延びる穴を含んでおり、前記センサの遠位面が前記穴を通過する前記流体の流れに露出されるように構成されている、静脈内の圧力を測定するためのシステム。
【請求項2】
前記圧力感知形態では、前記本体の遠位端は、予め定められた距離だけ前記針の遠位端を越えて遠位方向に移動され、前記圧力感知装置は、前記本体に連結されたフィンを含み、前記フィンは、挿入形態においてフィンが前記本体の外面に向かって拘束される第1の形態と、圧力感知形態においてフィンが径方向外方に移動されて前記針の一部に係合する第2の形態との間で移動可能である、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
門脈圧は、例えば肝硬変の患者の高血圧を理解し且つ管理するために使用される。現在、門脈圧の測定値は、患者の肝静脈圧勾配(HVPG)を計算することによって推定されている。自由肝静脈圧と閉塞肝静脈圧とを測定するために検出機能を備えたバルーンカテーテルが使用される。肝静脈圧勾配は、自由肝静脈圧と閉塞肝静脈圧の差をとることによって計算される。しかしながら、バルーンカテーテルを留置する処置は、侵襲的な経頸静脈アプーチであり、門脈圧の概算値のみを提供するものである。
【発明の概要】
【0002】
本実施形態は、内視鏡の作業チャンネルを通して挿入されるようなサイズ及び形状に形成された針であって、長手方向に延び且つ内部を貫通して長手方向に延びるチャンネルを含む針と、針のチャンネル内に摺動可能に挿入されるようなサイズ及び形状に形成された長手方向に延びる本体と、本体の遠位部分に取り付けられて接続ケーブルによって圧力感知装置の近位部分に接続されたセンサとを含む圧力感知装置と、からなる静脈内の圧力を測定する為のシステムに関し、センサは、静脈内の血流の圧力に対応する情報を感知するように構成されている。
【0003】
一実施形態では、圧力感知装置は、センサが針の一部によって覆われる挿入形態と、圧力検知装置の本体の遠位端が針の遠位端を越えて遠位方向に延びてセンサを静脈内の流体の流れに暴露する圧力感知形態との間で針に対して長手方向に移動可能である。
【0004】
一実施形態では、針の遠位端は、門脈の壁を穿刺するための尖端を含み、圧力感知装置の本体の遠位端は、丸みを帯びた先端を含み、挿入形態では、本体の遠位端は、針の尖端が内視鏡の作業チャンネルを損傷することを防止するために針の尖端に対して配置される。
【0005】
一実施形態では、圧力感知装置は、尖端が露出されて静脈の壁を穿刺するように針に対して近位方向に移動される。
一実施形態では、圧力感知装置の本体の遠位端は、尖端を含み、針の遠位端は丸みを帯びており、挿入形態において、圧力感知装置の尖端は、針のチャンネル内に収容され、圧力感知形態において、圧力感知装置は、針に対して遠位方向に移動され、門脈の壁を穿刺するために本体の尖端を露出させる。
【0006】
一実施形態では、圧力感知形態では、本体の遠位端は、所定の距離だけ針の遠位端を越えて遠位方向に移動される。圧力感知装置は、本体に連結されたフィンを含み、フィンは、挿入形態においてフィンが本体の外面に向かって拘束されている第1の形態と、圧力感知形態においてフィンが径方向外方に移動されて針の一部に係合する第2の形態との間で移動可能である。
【0007】
一実施形態では、システムは、針のチャンネルの中を貫通して挿入されるような寸法及び形状に形成されたスタイレットをさらに含み、スタイレットは、挿入形態と穿刺形態との間で針に対して長手方向に移動可能である。
【0008】
一実施形態では、スタイレットの遠位端は尖端を含み、針の遠位端は丸みを帯びており、挿入形態では、スタイレットの尖端は、針のチャンネル内に収容され、穿刺形態では、スタイレットの尖端は、針の遠位端を越えて遠位方向に移動される。
【0009】
一実施形態では、針の遠位端は尖端を含み、スタイレットの遠位端は丸みを帯びており、挿入形態では、スタイレットの遠位端は、針の尖端が内視鏡の作業チャンネルを損傷するのを防止し、穿刺形態では、スタイレットは、針に対して近位方向に引かれて静脈の壁を穿刺するために針の尖端を露出させるために針の遠位端に対して配置される。
【0010】
一実施形態では、センサは、その遠位部分に沿って圧力感知装置の本体の中に横方向に延びる凹部内に載置される。
一実施形態では、圧力感知装置の本体は、センサの遠位面が貫通穴を通過する流体の流れに暴露されるように、本体の遠位部分の中を貫通して横方向に延びる貫通穴を含む。
【0011】
本実施形態は、近位端から遠位端まで長手方向に延びる本体であって、内視鏡の作業チャンネル及び内視鏡針のチャンネルのうちの1つの中を通って挿入されるようなサイズ及び形状に形成された本体と、本体の遠位部分に配置され、ケーブル接続によって装置の近位部分に接続され、静脈の中を流れる血流の圧力に対応する情報を検出するように構成されたセンサとを備える静脈内の圧力を測定する為の装置にも関する。
【0012】
一実施形態では、装置は、本体を通って長手方向に延びる作業チャンネルをさらに含む。
一実施形態では、センサは、センサの一部が本体内を貫通して延びる作業チャンネルの遠位開口部を閉塞する第1の形態と、本体の作業チャンネルの中に挿入される器具が静脈に挿入する為の明確な経路を有するようにセンサが本体の中心軸線から離れる方向に移動される第2の形態との間で移動可能である。
【0013】
一実施形態では、装置は、静脈の圧力を測定するために本体が挿入可能な穴を静脈の壁に作成するために、本体内に摺動可能に収容される焼灼針ナイフをさらに含む。
本実施形態は、内視鏡の作業チャンネルの中を貫通して針を静脈の近位の標的組織に挿入する工程と、静脈の壁を穿刺する工程と、圧力感知装置の遠位部分を圧力を測定する為に静脈内に挿入する工程とを備える静脈内の圧力を測定する為の方法にも関し、圧力感知装置は、遠位部分に載置されて接続ケーブルによって圧力感知装置の近位部分に接続されたセンサを備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の例示的な実施形態にかかるシステムを示す概略図。
図2図1のシステムの圧力感知装置の遠位部分を示す縦側面図。
図3】代替的な実施形態にかかる圧力感知装置の遠位部分を示す縦側面図。
図4】本発明の別の例示的な実施形態にかかるシステムを示す概略図。
図5】本発明のさらに別の例示的な実施形態にかかるシステムを示す概略図。
図6】本発明の別の例示的な実施形態にかかるシステムを示す概略図。
図7】本発明の代替的な実施形態にかかる圧力感知装置を含む図6のシステムを示す概略図。
図8】本発明のさらに別の代替的な実施形態にかかる圧力感知装置を含む、図6のシステムを示す概略図。
図9】本発明の別の例示的な実施形態にかかるシステムの遠位部分を第1の形態で示す縦側面図。
図10図9のシステムの遠位部分を第2の形態で示す縦側面図。
図11図9のシステムの遠位部分を第3の形態で示す縦側面図。
図12】本発明の代替的な実施形態にかかるシステムの遠位部分を第1の形態で示す縦側面図。
図13図12のシステムの遠位部分を第2の形態で示す縦側面図。
図14】本発明のさらに別の例示的な実施形態にかかるシステムの遠位部分を第1の形態で示す縦側面図。
図15図14のシステムの遠位部分を第2の形態で示す縦側面図。
図16】本発明の別の例示的な実施形態にかかるシステムを示す概略図。
図17】本発明の別の例示的な実施形態にかかる本発明の圧力感知装置を示す縦側面図。
図18図17の圧力感知装置を示す断面図。
図19】代替的な実施形態にかかる圧力感知置を示す縦側面図。
図20図19の圧力感知装置を示す断面図。
図21】本発明のさらに別の例示的な実施形態にかかるシステムを示す概略図。
図22】本発明の別の例示的な実施形態にかかるシステムを第1の形態で示す縦側面図。
図23図22のシステムを第2の形態で示す縦側面図。
図24図22のシステムのセンサを示す拡大側面図。
図25図24のセンサを示す拡大端面図。
図26】本発明の例示的な実施形態による受動センサを示す概略図。
図27】本発明の別の例示的な実施形態による受動センサを示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、以下の説明及び添付の図面を参照してさらに理解することができる。類似する要素は、同一の参照符号で参照される。本発明は、門脈圧を測定するためのシステム及び方法に関し、特に超音波内視鏡ガイダンスの下で門脈にガイドされる針を介した門脈の中への圧力感知装置の挿入について開示する。門脈圧を測定するために、圧力検知装置が門脈に直接挿入される。本発明は、門脈圧の正確な測定を提供するための非侵襲的なシステム及び方法を提供する。例示的な実施形態は、門脈内の圧力を測定するためのセンサを含むものとして圧力感知装置について具体的に図に示し且つ説明するが、センサは、圧力に加えて追加の情報も測定し得る。したがって、当業者であれば、以下で説明するシステム及び方法は、門脈圧以外の情報を取得し且つ測定するためにも利用され得ることが理解できる。本明細書で使用する「近位」及び「遠位」という用語は、装置の使用者に向かう(近位)方向、及び離れる(遠位)方向を指すことを意図していることに留意されたい。
【0016】
図1に示すように、本開示の例示的な実施形態にかかる門脈10内の圧力を測定するためのシステム100は、針102、スタイレット104、及び圧力感知装置106を含み、スタイレット及び圧力感知装置はそれぞれ、針102のチャンネル108内を通過可能である。図1はさらに、システム100を使用して門脈10にアクセスを得るための工程1~4を示す。まず、工程1に示すように、挿入中に組織がチャンネル108に入ることを防止するために、スタイレット104がチャンネル108内に受承された状態で、針102は、以下に示すように可撓性を有する内視鏡の作業チャンネルの中を通って患者の門脈10の近くに配置される。針102が門脈に近接する所望の位置に配置されると、工程2に示すように、スタイレット104は、その中から除去され、針102の鋭い遠位尖端110は前進されて門脈10の壁12を穿刺し、工程3に示すように、針102の遠位開口部は、門脈10内に配置される。門脈10へのアクセスを得ると、圧力感知装置106は、工程4に示すように、チャンネル108の中を通って門脈10の中に挿入され、圧力感知装置106の遠位部分114内の圧力センサ112は、門脈10を通る血流に暴露されて門脈10内の圧力を測定する。
【0017】
針102は、近位端(図示せず)から遠位端116まで長手方向に延び且つ内部を貫通して延びるチャンネル108を含む。針102は、好ましくは可撓性であり、可撓性内視鏡の作業チャンネルの中に挿入されるような寸法及び形状に形成され、針102が門脈10に近接する所望の位置にガイドされるように、超音波誘導下で見えるように特に構成されている。この実施形態では、針102の遠位端116は、門脈10の穿刺を容易にするために遠位尖端110を含む。
【0018】
スタイレット104は、近位端(図示せず)から遠位端118まで長手方向に延び且つ針102のチャンネル108内で摺動可能な寸法及び形状に形成される。遠位端118は丸みを帯びており、挿入形態において、スタイレット104は、針102のチャンネル内に受承され、丸みを帯びた遠位端118は、針102の遠位端116に整合、又は遠位端をわずかに超えて遠位方向に延びて、針102の尖端110が門脈10に隣接する標的部位に移動された時、非標的組織に対する損傷を最小限にする(すなわち、針102が標的組織に挿入される経路を囲む組織を不注意に穿刺又は損傷すること、及び、針102を標的組織に挿入する間にチャンネル108内に組織が集まることを防止する)。
【0019】
この実施形態では、圧力感知装置106は、可撓性本体120と、その遠位部分114に沿って配置された圧力センサ112とを含む。当業者であれば、内視鏡が門脈10に隣接する標的部位への蛇行経路を横断する時、本体120が可撓性を有する内視鏡の作業チャンネルの中を通過可能にするために、好ましくは十分な柔軟性を有することが理解できる。本体120は、近位端(図示せず)から遠位端122まで延び、且つ針102のチャンネル108内に摺動可能に挿入されるような寸法及び形状に形成される。圧力センサ112は、例えば、圧力センサ112から本体120の中を貫通して本体の長さに沿って近位方向に延びる接続ケーブル124などのデータ伝送媒体によって装置106の近位端に接続される。圧力センサ112は、光学センサ又は電気センサである。当業者であれば理解し得るように、光学センサは、流体がそれを横切って流れることを必要とし、それは、対応する圧力値を計算するために分析されるが、電気センサは、血圧を測定するために静脈内の血液との接触のみを単に必要とする。しかしながら、当業者であれば、門脈10内の圧力を測定することができる任意のセンサを使用することができ、センサは、例えば、無線接続、光ファイバ接続、及び有線接続を含む任意の既知の方法でデータをデータ処理装置に転送できることが理解できる。圧力センサ112は、当業者であれば理解できるように、いくつかの構成のうちのいずれかで本体120内に収容又は本体120に沿って取り付けられる。
【0020】
一実施形態では、図2に示すように、本体120の遠位部分114は、その中に横方向に延びる凹部126を含み、センサ112はその中に配置される。センサ112が、例えば、隔膜をベースとする光学センサである場合、センサ112は、それを横切る適切な流れを可能にするために、傾斜した隔膜113を備え得る。この構成は、センサ112が電気センサである場合にも、適切な流体との接触を可能にする。別の実施形態では、図3に示すように、圧力感知装置106'の本体120’の遠位部分114'は、穴126'によって遠位部分114'内に収容されたセンサ112'の遠位面113'を横切って流体が流れるように、内部を貫通して横方向に延びる穴126'を含む。この実施形態では、センサ112'は、例えば、遠位方向に面する隔膜を備えた光学センサである。この実施形態は、圧力測定値の偏りにつながる可能性がある、圧力センサ112'の周りに気泡が形成されるのを低減又は防止するのに特に適している。整合リングは、患者の体内の蛇行経路の中を通って圧力感知装置106’を挿入する間に、圧力センサ112'が、損傷を引き起こす可能性のある本体120'のいかなる部分とも接触することがないように、遠位部分114'内に収容されて圧力センサ112'をその内部に固定する。
【0021】
システム100を使用する例示的な技術によれば、針102は、スタイレット104が挿入時形態でその内部に受承された状態で、内視鏡の作業チャンネルの中を通って門脈10に近接する標的部位に挿入される。当業者が理解するように、針102は、例えば、胃又は十二指腸を介したEUS誘導の下で、門脈10に誘導される。針102が門脈10に近接する所望の部位に配置されると、スタイレット104は、針102のチャンネルから引き抜かれ、針102の鋭い遠位端は、露出され、針102は、門脈10を穿刺するために遠位方向に移動される。針102を介して門脈10にアクセスを得ると、圧力感知装置は、圧力センサ112が門脈10の中で針102の遠位端116を超えて遠位方向に延びるまで針102のチャンネル108の中を通って挿入される。次に、門脈10内の圧力センサ112は、その血圧測定を実施する。例えば、上記のように、圧力センサ112の隔膜に沿った門脈10内の血流又は圧力センサ112との流体との接触は、圧力測定のための読み取り値を形成する。門脈10の圧力測定値が得られたら、針102及び圧力感知装置106は、患者の体内から取り出される。所望の場合には、針102が体内から除去されるために内視鏡の中に近位方向に引き戻される時、圧力感知装置は、任意に針102から取り除かれ、スタイレット104が挿入時形態に再度挿入される。
【0022】
圧力測定値を取得するとすぐに圧力感知装置106を本体から除去することができるように、システム100は、長尺状をなす本体120の遠位部分114に沿って圧力センサ112を含む圧力感知装置106を含むものとして図に示され且つ説明されているが、別の例示的な実施形態によれば、システム100は、門脈圧の定期的な監視を提供するために門脈10内に配備された圧力感知装置を含んでもよい。この実施形態では、図26に示すように、圧力感知装置は、圧力センサ112”を含み、これは、例えば、スタイレット104又は任意の別の送達装置によって針102の中を通って門脈10の中に押し込まれる。圧力センサ112”は、並列インダクタ及びコンデンサの共振タンク回路を含む無線受動センサであり得る。一実施形態では、図26に示すように、受動センサは、絶縁基板を挟む2つの並列インダクタ用の微細機械加工されたトレースを使用して1mm×1mmの形態に形成される。センサ用に平行板コンデンサを生成するために並列誘導トレースが使用できる。受動センサは、例えば、共振タンク回路センサのインダクタ又はインダクタの一部として機能し得るニチノールアンカーワイヤによって門脈10内に固定される。別の実施形態では、図27に示すように、コンデンサは、ループワイヤに取り付けられたポリマー基板上に微細加工される。
【0023】
一実施形態では、誘導ワイヤ又はコイルは、数十nHになるようにトレース加工することができる。1つの特定の例では、インダクタンスは47nHである。静電容量は、物理的な制約が与えられた場合に、低い共振周波数を確保するために可能な限り大きくする必要があり、一例では、1pFの最小値を有する。一実施形態では、絶縁体として機能するポリマー基板は、4より大きい比誘電率を維持しながら、圧力下で与えるポリマーで形成される。一例によれば、ポリマー基板は、10μmの厚さを有する。一実施形態では、高いQ(品質係数)が望ましく、巻数を増やすこと、コイルを上層及び下層から均等に分割すること、L/Cの比を高く保つことによって達成することができる。一実施形態では、共振周波数は、体外からのカップリングを可能にするのに十分に低く(例えば、1GHz未満)、血流を妨げないためにフォームファクタを十分に小さく保つべきである。一実施形態では、共振周波数は、800MHz~1000MHzの間の範囲である。
【0024】
一例によれば、可撓性ラミネートで形成されたポリマーは、誘電率(例えば、9又は10)を可能にし、高いQ及びより小さな寸法の受動共振回路を可能にする。受動センサを固定するために使用されるニチノールワイヤーは、アンカーの柔軟性を高めることができる。アンカーワイヤの長さを制御することにより、インダクタを33~47nHの範囲にすることが可能になり、端部における平行板コンデンサセンサは、1mm以下の寸法を有するディスクのスペースの制約で0.8pF~1.2pFの値となり、800MHz~1000MHzの範囲で共振する。
【0025】
受動センサ112”は、例えば、本体から配備されるときに受動回路の共振周波数に調整することができる近距離無線通信装置を使用することによって読み取ることができる。共振周波数は圧力の変化に応じてシフトするため、システムに導入される前に、システム内に配備された圧力とニュートラル状態の変化を追跡することで、圧力の外挿が行われる。一実施形態では、近距離無線通信装置は、スマートフォンを介して利用することができる。電圧制御発振器と受信機で送信から受信まで多重化されたループアンテナのバリエーションを含む装置がスマートフォンに取り付けられ、電話で実行されるアプリケーションによって制御される。アプリケーションは、受動センサからのピーク出力を検出し、ピーク時に周波数設定を読み取る。受動センサが製造される場合、周波数と圧力に線形の相関がある。ベースライン周波数と感度のキャリブレーションは、スマートフォンのアプリケーションで使用される初期テスト中に作成される。例えば最適な信号強度が電話に示されるまでスマートフォンを標的部位の近くに置くことで、読み取り値を体内から取得できる。周波数の定期的な読み取り値を取得して、圧力の変化を監視することができる。
【0026】
図4に示すように、本開示の別の例示的な実施形態にかかるシステム200は、上記のシステム100とjほぼ同一であり、針202及び圧力感知装置206を含む。しかしながら、システム200は、門脈20の内部にアクセスするために、図4の工程1~4に示すように、スタイレットを必要としない。むしろ、圧力感知装置206が、丸みを帯びた位端222を含み、内視鏡の作業チャンネルの中を通って門脈20に近接する標的部位に針202を挿入する間針202のチャンネル208内に受承されている。システム100のスタイレット104と同様に、この実施形態の圧力感知装置206は、針202のチャンネル208内に配置され、圧力感知装置206の丸みを帯びた位端222は、組織がチャンネル208に入ること、及び/又は針202の尖端210が針202の挿入中に内視鏡の作業チャンネルを損傷することを防止するとともに、針202が内視鏡から遠位方向に延ばされた時、非標的組織に対する損傷を防止する。
【0027】
針202及び圧力感知装置206は、システム100の針102及び圧力感知装置106とほぼ同一である。上記のように、圧力感知装置206は、丸みを帯びた位端222を含み、針202の遠位尖端210が、挿入中に内視鏡の作業チャンネルを損傷するのを防止する。したがって、挿入形態では、圧力感知装置206は、丸みを帯びた位端222の位置が針202の遠位尖端210に一致、又はそれを超えてわずかに遠位に突出するように、針202内に配置される。したがって、この実施形態では、圧力センサ212は、圧力感知装置206の長手方向本体220の遠位部分214に沿って配置されなければならない為、圧力感知装置206が針202に対して挿入形態にある時、圧力センサ212は、針202の一部に覆われる。言い換えれば、針202の遠位尖端210が、針202の遠位端216でテーパー状に形成される場合、圧力センサ212は、本体220の遠位端222から十分に離れているため、圧力センサ212は、針202内の圧力感知装置206の回転方向に拘わらず針202の一部によって完全に覆われる。
【0028】
システム200は、システム100とほぼ同一の方法で使用することができる。しかしながら、針202は、工程1に示すように、挿入形態では、圧力感知装置206がその内部に受承された状態で標的部位に挿入される。針202が標的部位に到達すると、圧力感知装置206は、工程2に示すように、針202の遠位尖端210が露出されるように、針202に対して近位方向に引かれる。次に、針202は、工程3に示すように、門脈20の壁22が遠位尖端210によって穿刺され、針202がその内部に延びるように遠位方向に前進される。門脈20の内部にアクセスが得られると、工程4に示すように、圧力感知装置206は、門脈20内の圧力を測定するために圧力センサ212が針202の遠位端216を越えて遠位方向に延びるまで針202に対して遠位方向に移動される。
【0029】
図5に示すように、別の例示的な実施形態にかかるシステム300は、上記のシステム100と実質的に同一であり、針302、スタイレット304、及び圧力感知装置306を含む。図5は、システム100を使用して門脈30にアクセスを得るための工程1~5を示す。システム100と同様に、針302は、スタイレット304がその内部に受承されている状態で、挿入形態で、内視鏡の作業チャンネルの中を通って門脈30に近接する標的部位に挿入される。しかしながら、この実施形態では、門脈30は、針302によってではなく、スタイレット304の遠位尖端318によって穿刺される。
【0030】
針302は、上記の針102と同一である。しかしながら、針302の遠位端316は、尖端を含む必要はない。遠位端316は、例えば、針302が門脈30を穿刺するために必要とされないため、針302の長手方向軸を実質的に横切って延びる遠位面を含む。
【0031】
この実施形態では、スタイレット304は、システム100に関して説明した上記スタイレット104とほぼ同一である。しかしながら、スタイレット304は、遠位尖端318を含む。遠位尖端318は、いくつかの構成のいずれかで形成される。一例では、遠位尖端318は、スタイレット304の長手方向軸に対して非直交角度で延びる先細の遠位に面する表面によって形成される。
【0032】
挿入形態では、スタイレット304は、工程1に示すように、遠位先端318が針302の遠位端316、又はそのわずかに近位に一致するように針302のチャンネル308内に受承される。これにより、スタイレット304の遠位尖端318が内視鏡の作業チャンネルを損傷することを防止するとともに、その内部に組織の不注意に収集することを防止する。針302及びスタイレット304が門脈30の近位の標的部位に到達すると、針302は、スタイレット304に対して近位方向に引かれて、スタイレット304の遠位尖端318は、工程2に示すように、穿刺形態で露出される。穿刺形態における針302及びスタイレット304は、工程3に示すように、スタイレット302の遠位尖端318が門脈30を穿刺するまで遠位方向に移動される。スタイレット304が門脈30を穿刺した後、針302は、スタイレット304上を遠位方向に前進されて門脈30に入る。針302の遠位端316が門脈30内に所望に従って配置された後、工程4に示すように、スタイレット304は除去され、次に、工程5に示すように、圧力感知装置306の本体320に沿って載置及び/又は配置された圧力センサ312が門脈30を通って流れる流体に曝露されて門脈圧力測定値を生成するまで、圧力感知装置306が挿入される。
【0033】
図6に示すように、システム400は、上記のシステム200、300とほぼ同一である。システム200と同様に、システム400は、図6の工程1,2に示すように、門脈40にアクセスするために使用される針402及び圧力感知装置406を備える。システム200と同様に、システム400は、針402が内視鏡の作業チャンネルの中を通って門脈40に近接する標的部位に挿入され、圧力感知装置406が挿入形態でその内部に受承されているため、別個のスタイレットを必要としない。しかしながら、この実施形態では、門脈40は、針402の遠位端416を介してではなく、圧力感知装置406の遠位尖端422によって穿刺される。したがって、針402は、遠位尖端を含まないシステム300について説明したように、針302とほぼ同一である。
【0034】
圧力感知装置406は、上記の圧力感知装置206とほぼ同一であり、長手方向に延びる本体420と、その遠位部分414に沿って配置された圧力センサ412とを含む。しかしながら、丸みを帯びた位端ではなく、本体420の遠位端422は、尖端428を含み、尖端428は、遠位端422の先細りによって形成されている。尖端428は、いくつかの構成のいずれかを有する。一例では、尖端428は、本体420の長手方向軸に対して直角でない角度で延びる先細の遠位に面する表面によって形成される。別例では、図7に示すように、圧力感知装置406'の本体420'の遠位端422'は、尖端428'を形成するために円錐状をなして先細にされる。さらに別例では、図8に示すように、本体420”の遠位端422”は、丸みを帯びた縁430”を含み、尖端428”は、そこから遠位方向に延びている。尖端428”は円錐形である。図7,8に示す両方の例において、尖端428'、428”はそれぞれ、本体420'、420”の長手方向軸線に対してほぼ中心に置かれる。尖端428'、428”が中心にあるため、尖端428'、428”が内視鏡の作業チャンネルを損傷する可能性が低減され、必要に応じて、尖端428'、428”を含む圧力感知装置は、門脈へのアクセスを得るために、針402を使用せずに、内視鏡の作業チャンネルの中に直接挿入される。
【0035】
図9~11に示すように、本発明のさらに別の例示的な実施形態にかかるシステム500は、上記システム200、400とほぼ同一であり、針502及び圧力感知装置506を含む。しかしながら、針502及び圧力感知装置506は、針502及び圧力感知装置506が互いにインターフェースすることを可能にする追加の特徴を含み、挿入形態から圧力感知形態に移動された時、圧力感知装置506の遠位端522は、針502の遠位端516を越えて予め定められた距離だけ遠位方向に移動する。門脈は、他の静脈と比較して非常に小さいため、当業者であれば、この特徴は、門脈内の圧力を測定するのに有用であることが理解できる。つまり、圧力感知形態において、圧力感知装置506の遠位端522と針502の遠位端516との間で予め定められた距離がセットされているため、システムが動作位置(すなわち、門脈)で圧力感知形態にあるとき、圧力感知装置506の遠位端522は、挿入された門脈の離間する側の壁に接触したり、穿刺することがなく、門脈への損傷は防止される。
【0036】
針502は、針202又は402のいずれかとほぼ同一であり、圧力感知装置506が挿入されるチャンネル508を含む。圧力感知装置506は、圧力感知装置206又は406のいずれかと実質的に同様であり、その遠位部分に沿って配置された圧力センサ(図示せず)を備えた本体520を含む。針502又は本体520のいずれかの遠位端は、門脈を穿刺してそれにアクセスを得るための尖端を含む。圧力感知装置506が針502に対して予め定められた距離を超えて移動することを防止するために、本体520は、フィン532を備え、フィン532は、フィン532が圧力感知装置506の本体520の外面534に向かって移動される拘束形態と、本体520の外面534から離れて径方向外方に移動する外方付勢形態との間で移動可能である。フィン532が拘束形態にあるとき、圧力感知装置506は、針502のチャンネル508に受承され、システム500は挿入形態をなす。圧力感知装置506が針502に対して遠位方向に圧力感知形態に向かって移動されると、フィン532は外方付勢形態に復帰して針502の一部と係合し、針502に対して圧力感知装置506がさらに遠位方向に移動することを防止する。
【0037】
フィン532は、挿入形態にあるとき、針502のチャンネル508の内面に拘束される。圧力感知装置506を針502に対して遠位方向に動かすと、フィン532は、外方付勢形態に復帰して、圧力感知形態において、針502の遠位部分(例えば、チャンネル508の内面の遠位部分に沿った窪み又は溝)に係合する。この実施形態では、フィン532の動きは、1つ以上のプルワイヤ536によって制御することができ、圧力感知装置506を挿入形態に向かって針502の中に引き戻すことが望ましい場合には、プルワイヤ536を圧力感知装置506に対して近位方向に引くことにより、フィン532は、拘束形態に向かって移動され、圧力感知装置506は、チャンネル508内に引き戻される。
【0038】
別例によれば、図12~13に示すように、システム500'は、システム500'とほぼ同一でありインターフェースする特徴を有する、針502'及び圧力感知装置506'を含み、圧力感知装置506'の遠位端522'は、圧力感知形態にある時、針502'の遠位端516'を越えて予め定められた距離だけ遠位方向に移動される。圧力感知装置506と同様に、圧力感知装置506'の本体520'は、拘束形態と外方付勢形態との間で移動可能なフィン532'を含み、フィン532'は、圧力感知形態にある時、針502’の対応する部分に係合する。しかしながら、この実施形態のフィン532'は、プルワイヤを介して制御することはできない。むしろ、フィン532'は、本体520'に連結され、システム500'を圧力感知形態から挿入形態に移動させたい場合、圧力感知装置506'を針に対して近位方向に移動させると、フィン532'を拘束形態に向かって拘束されて、圧力感知装置506'は、針502'のチャンネル508'の中に引き込まれるように構成されている。
【0039】
例えば、フィン532'の近位端538'は、本体520'に連結され、フィン532'の遠位端540'は、挿入形態及び圧力感知形態のそれぞれにおいて、本体520'の内面534'に向かって及び離れて移動可能である。フィン532'は、圧力感知形態において、チャンネル508'の遠位部分に沿って対応するサイズ及び形状に形成された溝542'に係合するように構成され得る。溝542'は、例えば、そこから近位方向に延びる傾斜面544'を含み、フィン532'が傾斜面544'に対して近位方向にスライドされると、フィン532'は、拘束形態に向かって移動されて、感知装置506'は、針502'のチャンネル508'に近位方向に引き込まれる。
【0040】
図14~15に示すように、システム500”は、上記のシステム500、500’とほぼ同一であり、針502”及びフィン532”を備えた本体520”を含む圧力感知装置506”からなり、フィン532”は、圧力感知装置506”の遠位端522”が針502”の遠位端516”を超えて所定の距離だけ遠位に移動することを可能にする。しかしながら、この実施形態におけるフィン532”は可動ではない。むしろ、システム500”は、フィン532”の遠位端540”が、針”のチャンネル508”の径方向内方に延びる突起542”に当接するように構成されて、針502”に対して圧力感知装置506”がさらに遠位に移動することを防止する。したがって、針502”の径方向内方に延びる突起542”は、圧力感知装置506”のフィン532”の遠位方向への移動を防止するストッパーとして機能する。
【0041】
システム500(システム500'及び500”と共に)は、圧力感知装置506の本体520の遠位端522が針の遠位端516から遠位方向に延びる距離を制御するためのフィン532について具体的に示し且つ説明しているが、当業者であれば、上記システムは、圧力センサ506の遠位端522が針の遠位端516を超えて延びる距離を制御するための他の様々な特徴の任意の特徴を含み得ることが理解できる。例えば、システム500のハンドル部材は、圧力感知装置506の遠位端522を所定の距離だけ針502から突出させる特徴(例えば、ばね式スライダー、ツイストロック付きスライダー、ボタン)を含み得る。
【0042】
図16に示すように、別の例示的な実施形態によるシステム600は、上記の圧力感知装置と同様に、その遠位部分614に沿って配置された圧力センサ612を備えた長手方向に延びる本体620を含む圧力感知装置606を含む。しかしながら、圧力感知装置606は、門脈60の壁62に小さな穴を開けてその中にアクセスするために、本体620内に長手方向に移動可能に収容された格納式ニードルナイフ646をさらに含む。この実施形態の圧力感知装置606は、門脈60にアクセスするためのニードルナイフ646を含むため、別個の針及び/又はスタイレットは必要とされない。
【0043】
圧力感知装置606は、本体620の中を貫通して長手方向に延びるルーメン650を含み、ニードルナイフ646は、その内部に摺動可能に受承される。ニードルナイフ646は、ニードルナイフ646の遠位端648が圧力感知装置606の本体620の遠位端622を超えて遠位方向に延びない挿入形態と、ニードルナイフ626が本体620に対して遠位方向に移動され、ニードルナイフ626の遠位端648が本体620の遠位端622を超えて遠位方向に延びて、門脈60の壁の中に小さな穴を形成する切断形態との間で移動可能である。一実施形態では、ニードルナイフ646の遠位端648は、静脈を通る小さな穴を作成するのに十分鋭利であり、その中を通って、圧力感知装置606の本体620が挿入される。別の実施形態では、ニードルナイフ646は、高温焼灼を利用して、門脈60の壁62を通る小さな穴を作成することができる。ニードルナイフ646は、従来の針によって形成されたものよりも門脈の壁62に小さな穴を作成することができ、これは、患者が経験している疾患のレベルに応じて有利である可能性がある。
【0044】
図16は、圧力感知装置606を使用して門脈60にアクセスを得るための工程1~4を示す。圧力感知装置606は、挿入形態において、ニードルナイフ646が本体620内に収容された状態で、内視鏡の作業チャンネルの中を通って患者の体内の標的部位に直接挿入される。工程1に示すように、圧力感知装置の本体620の遠位端622は、標的部位で門脈60の壁62の近くに配置される。圧力感知装置506が標的部位に配置さえると、工程2に示すように、ニードルナイフ646は、挿入形態から切断形態に移動される。次に、ニードルナイフ646の遠位端648を使用して、門脈60の壁62に小さな穴が形成され、工程3に示すように、その中を通って本体620の遠位端622が入れられる。工程4に示すように、圧力センサ612が門脈60の中の血流に暴露されるまで、本体620は、小さな穴の中に挿入される。門脈60が本体620によってアクセスが得られると、ニードルナイフ646は、圧力の読み取りが行われているときに門脈60への損傷を防止するために、挿入形態に向かって本体内に引き込まれる。
【0045】
圧力感知装置600は、内視鏡の作業チャンネルの中を通って挿入されて門脈60にアクセスするように示され説明されているが、当業者であれば、圧力感知装置606も、システム200、400に関して上記したように、針とともに使用され得ることが理解できる。針で圧力感知装置606を挿入することは、胃又は十二指腸を通って門脈にアクセスすることについて懸念がある場合に特に有用である。針が肝臓に入ったら、針ナイフ646を使用して静脈にアクセスすることにより、潜在的な出血を減らすことができる。
【0046】
図17~18に示すように、別の例示的な実施形態にかかる圧力感知装置706は、上記のように、システム100~500のいずれかで使用され得る。圧力感知装置706は、圧力感知装置106~506とほぼ同一であり、本体720の遠位部分714に沿って配置され、且つ本体720の長さに沿って圧力センサ712から近位方向に延びる接続ケーブル724(例えば、電気、光ファイバ)によって圧力感知装置706の近位部分に接続された圧力センサ712を含む長手方向に延びる本体720を含む。しかしながら、圧力感知装置706は、別の診断及び/又は治療器具が作業チャンネル752の中を通って門脈の中に挿入されるように、本体720の中を貫通して延びる作業チャンネル752をさらに含む。作業チャンネル752は、本体720の中心長手方向軸線に平行な軸線に沿って延びる。
【0047】
圧力センサ712も、接続ケーブル724が本体720の中心長手方向軸線に平行に延びるように、本体720の中心長手方向軸線からオフセットされている。一実施形態では、圧力センサ712は、遠位に面する隔膜713及び/又は読み取り面を有し、圧力センサは、本体720の遠位端722内に取り付けられ、遠位に面する隔膜は、遠位端722と実質的に同一平面をなす。圧力感知装置706は、門脈へのアクセスを得て、圧力測定を行うために、システム100~500に関して説明したのと実質的に同じ方法で使用することができる(例えば、針のチャンネルを通して挿入される)。
【0048】
代替的な実施形態によれば、図19~20に示すように、圧力感知装置706'は、圧力感知装置706とほぼ同一であり、装置706'は、本体720'の中を長手方向に貫通して延びる作業チャンネル752'と、接続ケーブル724'によって装置706’の近位端に接続された圧力センサ712'とを含む長手方向本体720'を備える。しかしながら、圧力センサ712'は、図2に関して示し且つ説明した圧力センサ112と同様に本体720'の遠位部分714'を通って横方向に延びる凹部726'内に取り付けられる。この実施形態では、圧力センサ712'は、本体720'の遠位端722'から離れているため、遠位端722'は、(示すように)丸みを帯びていてもよいし、又は門脈を穿刺するために尖端を含んでもよい。圧力感知装置706と同様に、圧力感知装置706'は、システム100~500に関して説明したように、門脈106~506とほぼ同一の方法で使用することができる。
【0049】
図21に示すように、システム800は、上記システム(例えば、システム200、400)に実質的に類似し、針802及び圧力感知装置706に実質的に類似する圧力感知装置806を含む。図21は、圧力感知装置806が挿入されている門脈内の圧力を測定し及び/又は門脈に治療を実施するための工程1,工程2を示す。針802は、針202、402とほぼ同一であり、圧力感知装置806が摺動可能に受承される長手方向チャンネル808を含む。圧力感知装置806は、圧力感知装置706とほぼ同一であり、例えば、診断及び/又は治療器具などの別の器具860の通過のために、圧力感知装置806の長手方向に延びる本体820の中を貫通して延びる作業チャンネル852を含む。しかしながら、圧力センサ812は、本体820内又は本体820に沿って固定されていない。むしろ、圧力センサ812は、圧力センサ812が本体820の遠位端822内に受承される第1の構成(工程1)と、圧力センサ812が遠位端822から出て遠位方向に移動されて、接続ケーブル824によって圧力感知装置の近位端に接続された圧力センサ812が、遠位端822の外に遠位方向に延びる時遠位端822から横方向に離れるように移動される第2の構成(工程2)との間で本体820内に移動可能に収容される。本体820の遠位端822は、尖端を含むものとして示され、針802の遠位端816は、丸みを帯びているように示されているが、当業者であれば、システム200及び400について上記したように、針802又は圧力感知装置806のいずれかが門脈の壁を穿刺してその中にアクセスを得る為に尖端を含み得ることが理解できる。
【0050】
第1の構成では、圧力センサ812の一部が、作業チャンネル852の遠位開口部854を部分的に閉塞している。一実施形態では、作業チャンネル852の中を通って追加の器具860を挿入することが望ましい場合、医師など使用者は、例えば、接続ケーブル824に接続されたプルワイヤ又はバネ式機構などの圧力感知装置806のハンドル部に連結された機構によって第1の形態から第2の形態に圧力センサ812の移動を制御し得る。代替的には、圧力センサ812は、作業チャンネル852に沿って延びる機械的スイッチ又はセンサによって第1の形態から第2の形態に向かって(及びその逆に)自動的に移動することができるため、追加の器具860は、作業チャンネル852の中を通って遠位方向に移動され、機械的スイッチ又はセンサは、本体820に対する接続ケーブル824の遠位方向の移動により遠位端822を超えて遠位方向に第2の形態に向かって圧力センサ812を移動するように始動される。第2の形態では、圧力センサ812は、本体820の遠位端822を越えて遠位方向に移動され、圧力感知装置806の長手方向軸線に対して横方向に延びる。言い換えれば、圧力センサ812が遠位端822を越えて遠位方向に移動されると、接続ケーブル824は湾曲し、圧力センサ812は、圧力感知装置806の長手軸線から離間する方向に外れて追加の器具860が門脈に入る為の明確な経路を設ける。一実施形態では、接続ケーブル824は、形状記憶特性を備え、圧力センサ812が本体820から押し出された時、接続ケーブル824は、予め定められた形態に向かって湾曲する。
【0051】
作業チャンネル852から追加の器具860を取り除くと、圧力センサ812は、第1の形態に向かって手動で本体820の中に引き戻され、又は代替的には、追加の器具860が作業チャンネル852の中を通って近位方向に移動された時始動される機械的スイッチ又はセンサによって自動的に本体820に引き戻され得る。
【0052】
図22~25に示すように、本開示の別の例示的な実施形態によるシステム900は、システム800とほぼ同一であり、針902及び圧力感知装置906を含む。上記のように、門脈は、針902及び圧力感知装置906のうちの1つによって穿刺され、門脈の圧力は、門脈の中に挿入される圧力感知装置906のセンサ912によって測定される。圧力感知装置906は、圧力感知装置806とほぼ同一であり、門脈にアクセスするために追加の器具960を挿入することを可能にするためにその内部を貫通して長手方向に延びる作動チャンネル952を有する本体920を含む。圧力感知装置806と同様に、第1の形態では、圧力センサ912は、作業チャンネル952の遠位開口部954の一部を閉塞するため、圧力センサ912は、追加の器具960が作業チャンネル952の中を通って門脈の中に通過可能にするために第2の構成に向かって移動されなければならない。しかしながら、第2の形態では、圧力センサ912は、本体920の遠位端922を超えて遠位方向に移動されるのではなく、本体920の内面に沿って形成された対応する寸法、形状、及び配置を有する空洞956に移動される。
【0053】
特に、図22~23に示すように、圧力感知装置906は、長手方向に延びる本体920からなり、作業チャンネル952は、その内部を貫通して本体920の中心長手方向軸線に平行に延びる。圧力センサ912は、本体920の遠位端922に配置され、本体920の中を通って長手方向に延びる接続ケーブル924によって圧力感知装置906の近位部分に接続される。接続ケーブル924も、本体920の中心長手方向軸線に実質的に平行に延びる。接続ケーブル924及び圧力センサ912は、本体920に対して長手方向に固定された位置にある。しかしながら、圧力センサ912は、本体920の中心長手方向軸線に対して横方向に移動可能である。具体的には、本体920は、圧力センサ912に対応する寸法及び形状に形成された空洞956を含む。空洞956は、圧力センサ912に軸方向に位置合わせされるため、圧力センサ912が第2の形態に向かって移動されると、圧力センサ912は、空洞956に落下及び/又は押し込まれて、追加の器具960が作業チャンネル952を介して門脈の中に挿入される明確な通路を設ける。
【0054】
一実施形態では、圧力センサ912は、接続ケーブル924に対して移動可能に接続されたハウジング、すなわちケーシング958を含む。ハウジング958は、第1の形態と第2の形態との間で接続ケーブル924に対して横方向にスライドさせることができる。特に、ハウジング958は、図25に示すようにスロット又はトラック959を含み、その内部で、接続ケーブル924の遠位端925は、図24に示すように、第1の形態と第2の形態との間で圧力センサ912の移動を可能にするためにスライドされる。遠位端925は、接続ケーブル924がハウジング958から不用意に離脱されるのを防止するために、トラック959内に受承される拡大端を含む。
【0055】
一実施形態では、圧力センサ912は、第1の形態に向かって付勢されている。追加の器具960が本体920の作業チャンネル952の中を通って遠位方向に挿入されたとき、追加の器具960の遠位端962は、ハウジング958の丸みを帯びた縁に対して押し付けられ、圧力センサ912を空洞956の中に第2の形態に向かって押し込むため、追加の器具960は、そこを超えて遠位方向に門脈の中に移動される。追加の器具960を取り除くと、圧力センサ912は、付勢された第1の形態に戻る。
【0056】
システム100~900に関して上で説明したように、圧力感知装置は、EUSガイダンスの下で門脈に誘導される。いくつかの場合には、上記門脈感知装置は、磁気駆動の追跡及び/又はマッピングを可能にするための追加のセンサも含み得る。この特徴は、圧力測定装置606が超音波なしで使用される場合、又はEUS処置中に生体構造内のワイヤの位置を空間的に検証するための訓練目的のために特に有用であり得る。代替的又は追加的に、磁気駆動又は光ファイバ3D成形センサを追加の制御として追加されることが可能であり、手技中に門脈にアクセスするために使用される圧力感知装置、針、又はスタイレットの尖端を追跡することができる。使用者(例えば、医師)に提供された情報は、静脈の反対側(すなわち、静脈の遠い方の壁)が不注意に穿刺されないことを確実にするための安全フィードバックとして使用され得る。
【0057】
本発明の範囲から逸脱することなく、本発明に様々な修正を行うことができることは、当業者であれば明白である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27