(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-28
(45)【発行日】2023-01-12
(54)【発明の名称】アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス、その製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
C03C 3/095 20060101AFI20230104BHJP
H01L 31/0392 20060101ALI20230104BHJP
【FI】
C03C3/095
H01L31/04 284
(21)【出願番号】P 2021521018
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(86)【国際出願番号】 CN2019111444
(87)【国際公開番号】W WO2020078376
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-06-08
(31)【優先権主張番号】201811204465.3
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519319819
【氏名又は名称】トンシュー テクノロジー グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TUNGHSU TECHNOLOGY GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1112,Floor 11,101,Floor 1 to Floor 17,Building 4,Yard 2,Sihezhuang Road,Fengtai District Beijing China
(73)【特許権者】
【識別番号】518369475
【氏名又は名称】トンシュー グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TUNGHSU GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 369 Zhujiang Road, New & Hi-Tech Industrial Development Zone, Shijiazhuang, Hebei, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン グアンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジュンヘン
(72)【発明者】
【氏名】リ ガン
(72)【発明者】
【氏名】ハン ウェンメイ
(72)【発明者】
【氏名】リ ツィヨン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ドンチェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン リホン
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0168014(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107129142(CN,A)
【文献】国際公開第2015/033920(WO,A1)
【文献】特開2016-199467(JP,A)
【文献】特開2017-182856(JP,A)
【文献】特開2017-178711(JP,A)
【文献】国際公開第2013/129368(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00-14/00
H01L 31/0392
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスであって、
アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、酸化物換算で、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスは、70~72mol%のSiO
2、12~14mol%のAl
2O
3、0~1mol%のB
2O
3、3~5mol%のMgO、3~6mol%のCaO、0.1~1mol%のSrO、4~7mol%のBaO、0.3~1.5mol%のZnO、0.1~0.5mol%のRE
2O
3、0.02~0.3mol%のSe
2O
3、及び0.05mol%未満のR
2Oを含有し、
REは希土類元素であり、Rはアルカリ金属であり、
1600℃ではガラスメルトの抵抗率が200Ω・cm以下であり、
粘度35000ポアズに対応する温度T
35000が1250℃以上であり、
粘度10
13
ポアズに対応するアニーリング点が790℃以上である、ことを特徴とするアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項2】
1600℃ではガラスメルトの粘度が350~550ポアズである、ことを特徴とする請求項1に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項3】
前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの中で、単体硫黄Sの形で表される硫黄元素含有量は50ppm以下である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項4】
前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの中で、水酸基含有量は0.3/mm以下である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項5】
該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、Fe
2O
3の形で表されると、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスは0.001~0.01mol%のFe
2O
3を含有する、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項6】
該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、単体Fの形で表されると、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスは0.01~0.8mol%のFを含有する、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項7】
モル百分率換算で、Se
2O
3/Fe
2O
3>10である、ことを特徴とする請求項5又は6に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項8】
モル百分率換算で、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの中で、各成分の含有量はZ=1.5~4.5(ここで、Zは下記式により算出される。)を満たす、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
Z=-10.31+(16.04×SiO
2+6×Al
2O
3+3.29×B
2O
3-5.47×MgO-5.43×CaO+3.77×SrO+26.65×BaO-7.82×ZnO)
(ここで、SiO
2、Al
2O
3、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnOは、それぞれ、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスに占める該成分のモル百分率を示す。)
【請求項9】
モル百分率換算で、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの中で、各成分の含有量はG=2.5~6を満たし、Gの値は下記式により算出される、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
G=-10.31+(16.04×SiO
2+6×Al
2O
3+3.29×B
2O
3-5.47×MgO-5.43×CaO+3.77×SrO+26.65×BaO-7.82×ZnO+214.8×RE
2O
3+86.3×Se
2O
3)
(ここで、SiO
2、Al
2O
3、B
2O
3、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、RE
2O
3、Se
2O
3は、それぞれ、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスに占める該成分のモル百分率を示す。)
【請求項10】
モル百分率換算で、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの中で、各成分の含有量は、T=3~6.5を満たし、Tの値は下記式により算出される、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
T=-10.31+(16.04×SiO
2+6×Al
2O
3+3.29×B
2O
3-5.47×MgO-5.43×CaO+3.77×SrO+26.65×BaO-7.82×ZnO+214.8×RE
2O
3+86.3×Se
2O
3+162.5×F)
(ここで、SiO
2、Al
2O
3、B
2O
3、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、RE
2O
3、Se
2O
3、Fは、それぞれ、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスに占める該成分のモル百分率を示す。)
【請求項11】
モル百分率換算で、(CaO+BaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)は0.6以上である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項12】
(MgO+BaO)/(1-MO)は0.5以上であり、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、MOは、アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの中のSiO
2、Al
2O
3、B
2O
3以外のすべての成分のモル百分率の合計を示す、ことを特徴とする請求項11に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項13】
前記REはイットリウム及びランタニド元素であり、前記RはLi、Na、及びKであり、
前記REはY、La、Nd、及びLuのうちの1種又は複数種である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項14】
密度は2.7g/cm
3未満であり、50~350℃の範囲内での熱膨張係数は40×10
-7/℃未満であり、ヤング率は80GPaより高く、比弾性率は30GPa/(g×cm
-3)より高い、ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項15】
粘度200ポアズに対応する温度T
200は1730℃以下であり、粘度35000ポアズに対応する温度T
35000は1250℃以上であり、液相線温度T
Lは1260℃以下であり、粘度35000ポアズに対応する温度と液相線温度T
Lとの差は50℃以上である、ことを特徴とする請求項14に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項16】
波長308nmでの透過率は73%以上であり、波長550nmでの透過率は91%以上である、ことを特徴とする請求項14に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項17】
600℃/20minの条件での熱収縮は15ppm未満である、ことを特徴とする請求項14に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス。
【請求項18】
アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの製造方法であって、
請求項1~17のいずれか1項に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスに必要な混合材料に対して、溶融処理、成形処理、アニーリング処理、及び機械加工処理を順次行うステップを含む、ことを特徴とするアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの製造方法。
【請求項19】
前記混合材料の全重量を基準に0.02~0.7wt%のフッ化物を、混合材料に添加するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項18に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの製造方法。
【請求項20】
請求項1~17のいずれか1項に記載のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの、ディスプレイデバイス及び/又は太陽電池の製造における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス製造の分野に関し、具体的には、アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス、その製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
オプトエレクトロニクス産業の高速発展に伴い、たとえばアクティブマトリックス液晶ディスプレイ(AMLCD)、有機発光ダイオード(OLED)、及び低温ポリシリコン技術によるアクティブマトリックス液晶ディスプレイ(LTPS TFT-LCD)デバイスなど、各種のディスプレイデバイスへの需要がますます高まり、これらのディスプレイデバイスは、すべて薄膜半導体材料を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を生産する技術に基づくものである。主流のシリコンベースTFTは、アモルファスシリコン(a-Si)TFT、ポリシリコン(p-Si)TFT、及び単結晶シリコン(SCS)TFTに分けることができ、これらのうち、アモルファスシリコン(a-Si)TFTは現在の主流TFT-LCDに使用される技術であり、アモルファスシリコン(a-Si)TFT技術では、生産プロセスは300~450℃の処理温度で実施できる。LTPSポリシリコン(p-Si)TFTでは、プロセス過程において高温での複数回の処理が必要とされ、複数回の高温処理過程における基板の変形が避けなければならず、これにより、基板ガラスの性能により高い要件が求められ、好ましくは歪点は650℃よりも高く、より好ましくは670℃、700℃、720℃よりも高く、それにより、パネルプロセスにおける基板の熱収縮をできるだけ小さくする。また、応力や破壊をできるだけ減らすためにガラス基板の膨張係数をシリコンの膨張係数と近くする必要があり、したがって、基板ガラスの好ましい線形熱膨張係数は28~41×10-7/℃の間である。生産し易さから、ディスプレイ基板用のガラスには、低い溶融温度、高温表面張力、高温体積抵抗率及び液相線温度が求められる。
【0003】
フラットディスプレイ用のガラス基板では、スパッタリング、化学気相堆積(CVD)などの技術によって底層の基板ガラスの表面に透明導電性膜、絶縁膜、半導体(ポリシリコン、アモルファスシリコン等)膜及び金属膜を形成し、次に、フォトエッチング(Photo-etching)技術によって各種の回路及びパターンを形成する必要があり、ガラスにアルカリ金属酸化物(Na2O、K2O、Li2O)が含有されると、熱処理過程においてアルカリ金属イオンが拡散して堆積半導体材料に入り、半導体膜の特性を損ない、したがって、ガラスにはアルカリ金属酸化物を含まないようにすべきであり、SiO2、Al2O3、B2O3、アルカリ土類金属酸化物RO(RO=Mg、Ca、Sr、BaO)などを主成分とするアルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラスは最も好ましい。
【0004】
ほとんどのケイ酸塩ガラスは、アニーリング点、歪点がガラス形成体の含有量の増加及び変性剤の含有量の減少に伴い上昇する。しかし、高温溶融や清澄化が困難になり、耐火材料の侵食が深刻化し、エネルギー消費量及び生産のコストが増加する。したがって、成分を改良することにより、低温粘度を増大するとともに、高温粘度の大きな上昇を防止し、さらに低下させることは熱安定性を向上させるために有効な手段と考えられる。
【0005】
ディスプレイ用のアルカリフリーガラスは、高粘度のため、溶融する際には通常1600℃以上に加熱しなければならない。一般的に使用されている火炎溶融技術は、アルカリフリーガラスの品質及びプロセスの制御において欠点があり、ガラスを効率的に溶融するには補助電気溶融又は全電気溶融技術の使用が必要である。ディスプレイ用のアルカリフリーガラスは、室温では電気の絶縁体であり、抵抗率が1019~1022Ω・cmであるが、加熱されると、導電特性が温度の上昇に伴い明らかに向上し、ただし、溶融状態では通常10Ω・cm未満の抵抗率を有する高アルカリ金属含有量のケイ酸塩ガラスに比べて、ディスプレイ用のアルカリフリーガラスには、抵抗率が大きすぎて熱効率の向上に不利となるという問題が存在する。補助電気溶融又は全電気溶融技術では、高温状態での溶融ガラス自体の導電発熱特性を利用して電気エネルギーを熱エネルギーの形態に変換し、ガラス自体に内部から発熱させることにより、その内部の温度を向上させ、溶融ガラスの上下層の温度差を低下させ、清澄化効果を向上させ、この技術の熱効率が火炎放射加熱の場合に吸収される熱よりもはるかに高く、それにより、エネルギーを節約し、ガラスの溶融率を大幅に向上させ、溶融ガラスの品質を改善する。高温状態でのアルカリフリー溶融ガラスの抵抗率の大きさはガラスのジュール熱効果を左右するキーである。高温抵抗率が小さすぎると、ジュール熱効果が弱まり、自体の発熱量が溶融にとって不十分になり、また、高温粘度の劣化をもたらし、高温抵抗率が高すぎると、溶融ガラスの導電性に影響を与え、通電して加熱するときの電流が耐火材に流れて耐火材の高温侵食を引き起こす。したがって、溶融効率を向上させ、溶融ガラスの品質を改善する目的を達成するためには、高温での溶融ガラスの抵抗率を合理的な範囲に制御しなければならない。
【0006】
ガラス基板の加工過程において、基板ガラスは水平に配置されるので、ガラスの自重の作用により、ある程度下がり、下がり程度がガラスの密度に比例し、ガラスの弾性率に反比例する。基板製造の大寸法化、薄型化の発展に伴い、製造中のガラス板の下がりを重視化しなければならない。したがって、できるだけ低い密度及び高い弾性率を基板ガラスに持たせるように組成を設計すべきである。
【0007】
いくつかのフラットディスプレイの製造過程においては、紫外線をエネルギーとしてディスプレイユニットとそれに接触する基板ガラスとを分離する必要がある。分離コストを下げ、成功率を高めるために、ガラス基板に対して、紫外線領域において高くて安定的な透過率が要求され、たとえば、厚さ0.5mmのガラス基板の場合、波長308nmでの透過率が60%よりも高く、且つバッチ間の異なるガラス基板同士の透過率のレンジが1%以内であることが求められる。しかし、不可避的な因素により、ガラス基板の製造中、SO3、Fe3O4など紫外線領域に強吸収を有する成分が多かれ少なかれ導入されてしまい、このため、ガラス基板の製造過程において、各種の成分に対応する原材料中の不純物成分の含有量を厳格に制御しなければならないが、不純物の含有量をきわめて低くする原材料とするには、製造コストの上昇を引き起こし、その連鎖反応により産業チェーン全体のコストが高くなる。したがって、ガラスの製造過程において一定の手段により不純物含有量(たとえば、鉄酸化物)を必要以上低くすることなく、高紫外線透過率を有するガラスを製造することは、産業チェーン全体のコストの低減に有利でありつつ、環境にやさしい製造という産業コンセプトに合致する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、ディスプレイ基板ガラスの均質化効果が好適ではないこと、及び308nmでの透過率が低いという従来のアルミノケイ酸塩ガラスに存在する欠陥を解決するために、低い密度及び高い弾性率、良好な熱安定性及び低い熱収縮率を有し、308nm及び/又は550nmに高透過率を有するアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス、その製造方法、及び使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を実現するために、本発明の第1の態様は、
1600℃ではガラスメルトの抵抗率が200Ω・cm以下であり、
粘度35000ポアズに対応する温度T35000が1250℃以上であり、
粘度1013ポアズに対応するアニーリング点が790℃以上である、アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスを提供する。
【0010】
好ましくは、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスは、1600℃ではガラスメルトの粘度が350~550ポアズである。
【0011】
好ましくは、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス中、単体硫黄Sの形で表される硫黄元素含有量は50ppm以下である。
【0012】
好ましくは、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス中、水酸基含有量は0.3/mm以下である。
【0013】
好ましくは、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、酸化物換算で、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスは、69~73mol%のSiO2、11~15mol%のAl2O3、0~2mol%のB2O3、2~8mol%のMgO、2~8mol%のCaO、0~3mol%のSrO、3~10mol%のBaO、0.1~2mol%のZnO、0.02~0.7mol%のRE2O3、0.01~0.5mol%のSe2O3、及び0.05mol%未満のR2Oを含有し、REは希土類元素であり、Rはアルカリ金属である。
【0014】
好ましくは、アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、酸化物換算で、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスは、70~72mol%のSiO2、12~14mol%のAl2O3、0~1mol%のB2O3、3~5mol%のMgO、3~6mol%のCaO、0.1~1mol%のSrO、4~7mol%のBaO、0.3~1.5mol%のZnO、0.1~0.5mol%のRE2O3、0.02~0.3mol%のSe2O3、及び0.05mol%未満のR2Oを含有する。
【0015】
好ましくは、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、Fe2O3の形で表されると、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスは0.001~0.01mol%のFe2O3を含有する。
【0016】
好ましくは、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、単体Fの形で表されると、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスは0.01~0.8mol%のFを含有する。
【0017】
好ましくは、モル百分率換算で、Se2O3/Fe2O3>10である。
【0018】
好ましくは、モル百分率換算で、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス中、各成分の含有量はZ=1.5~4.5を満たし、Zは下記式により算出される。
Z=-10.31+(16.04×SiO2+6×Al2O3+3.29×B2O3-5.47×MgO-5.43×CaO+3.77×SrO+26.65×BaO-7.82×ZnO)
(ここで、SiO2、Al2O3、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnOは、それぞれ、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスに占める該成分のモル百分率を示す。)
【0019】
好ましくは、モル百分率換算で、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス中、各成分の含有量はG=2.5~6を満たし、Gの値は記式により算出される。
G=-10.31+(16.04×SiO2+6×Al2O3+3.29×B2O3-5.47×MgO-5.43×CaO+3.77×SrO+26.65×BaO-7.82×ZnO+214.8×RE2O3+86.3×Se2O3)
(ここで、SiO2、Al2O3、B2O3、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、RE2O3、Se2O3は、それぞれ、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスに占める該成分のモル百分率を示す。)
【0020】
好ましくは、モル百分率換算で、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス中、各成分の含有量は、T=3~6.5を満たし、Tの値は下記式により算出される。
T=-10.31+(16.04×SiO2+6×Al2O3+3.29×B2O3-5.47×MgO-5.43×CaO+3.77×SrO+26.65×BaO-7.82×ZnO+214.8×RE2O3+86.3×Se2O3+162.5×F)
(ここで、SiO2、Al2O3、B2O3、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、RE2O3、Se2O3、Fは、それぞれ、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスに占める該成分のモル百分率を示す。)
【0021】
好ましくは、モル百分率換算で、(CaO+BaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)は0.6以上である。
【0022】
好ましくは、(MgO+BaO)/(1-MO)は0.5以上であり、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、MOはアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス中のSiO2、Al2O3、B2O3以外のすべての成分のモル百分率の合計を示す。
【0023】
好ましくは、前記REはイットリウム及びランタニド元素であり、前記RはLi、Na、及びKであり、前記REはY、La、Nd、及びLuのうちの1種又は複数種である。
【0024】
好ましくは、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの密度は2.7g/cm3未満であり、50~350℃の範囲内での熱膨張係数は40×10-7/℃未満であり、ヤング率は80GPaより高く、比弾性率は30GPa/(g×cm-3)より高い。
【0025】
好ましくは、粘度200ポアズに対応する温度T200は1730℃以下であり、粘度35000ポアズに対応する温度T35000は1250℃以上であり、液相線温度TLは1260℃以下であり、粘度35000ポアズに対応する温度と液相線温度TLとの差は50℃以上である。
【0026】
好ましくは、波長308nmでの透過率は73%以上であり、波長550nmでの透過率は91%以上である。
【0027】
好ましくは、600℃/20minの条件での熱収縮は15ppm未満である。
【0028】
第2の態様によれば、本発明は、本発明の前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスに対して、溶融処理、成形処理、アニーリング処理、及び機械加工処理を順次行うステップを含むアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの製造方法を提供する。
【0029】
第3の態様によれば、本発明の前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの、ディスプレイデバイス及び/又は太陽電池の製造における使用を提供する。
【発明の効果】
【0030】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスは、低い密度及び高い弾性率、良好な熱安定性及び低い熱収縮率を有し、308nm及び/又は550nmに高透過率を有するなどの利点がある。ディスプレイデバイス及び/又は太陽電池の製造、特に、フラットディスプレイ製品のガラス基板材料及び/又はスクリーン表面保護用ガラスフィルム材料、フレキシブルディスプレイ製品のガラス基板材料及び/又は表面パッケージガラス材料及び/又はスクリーン表面保護用ガラスフィルム材料、フレキシブル太陽電池のガラス基板材料、安全ガラス、防弾ガラス、スマートカーガラス、高度道路交通システム用表示画面、スマートウィンドウ、及びスマートカードやチケット、ならびに高熱安定性、高紫外線透過率及び機械的安定性を必要とするほかのガラス材料の製造の使用分野に適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の特定実施形態を詳細に説明する。なお、ここで記載の特定実施形態は本発明を説明して解釈するために過ぎず、本発明を制限するものではない。
【0032】
第1の態様によれば、本発明は、
1600℃ではガラスメルトの抵抗率が200Ω・cm以下であり、
粘度35000ポアズに対応する温度T35000が1250℃以上であり、
粘度1013ポアズに対応するアニーリング点が790℃以上である、アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスを提供する。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、1600℃ではガラスメルトの粘度が350~550ポアズであり、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス中、単体硫黄Sの形で表される硫黄元素の含有量は50ppm以下であり、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス中、水酸基含有量は0.3/mm以下である。
【0034】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、酸化物換算で、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスは、70~72mol%のSiO2、12~14mol%のAl2O3、0~1mol%のB2O3、3~5mol%のMgO、3~6mol%のCaO、0.1~1mol%のSrO、4~7mol%のBaO、0.3~1.5mol%のZnO、0.1~0.5mol%のRE2O3、0.02~0.3mol%のSe2O3、及び0.05mol%未満のR2Oを含有する。
【0035】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、SiO2はガラス形成体であり、含有量が低すぎると、熱安定性の強化に不利となり、膨張係数が高すぎ、ガラスが失透しやすくなり、SiO2含有量の上昇はガラスの軽量化、熱膨張係数の減少、歪点の増大、耐薬品性の向上に有利であるものの、高温粘度が上昇し、これは溶融に不利となり、一般的には窯炉はこの場合の溶融のニーズに対応できない。したがって、総合的に考慮すると、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、酸化物換算で、前記SiO2の含有量は、69~73mol%、好ましくは70~72mol%、具体的には、たとえば69mol%、69.2mol%、69.56mol%、69.95mol%、70.2mol%、70.4mol%、70.6mol%、70.7mol%、70.9mol%、71.1mol%、71.4mol%、71.6mol%、71.9mol%、72mol%、72.4mol%、72.97mol%、73mol%及びこれらの数値のうちの任意の2つの数値からなる範囲内の任意の数値であってもよい。
【0036】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、Al2O3はガラス構造の強度を向上させるものであり、含有量が11mol%未満であると、ガラスは失透しやすくなり、また外界の蒸気及び化学試薬による侵食を受けやすい。高含有量のA12O3はガラスの歪点、曲げ強度の向上に有利であるが、高すぎると、ガラスは結晶化しやすい。したがって、総合的に考慮すると、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、酸化物換算で、前記Al2O3の含有量は、11~15mol%、好ましくは12~14mol%、具体的には、たとえば11mol%、11.1mol%、11.3mol%、11.4mol%、11.6mol%、11.95mol%、12mol%、12.4mol%、12.6mol%、12.7mol%、12.8mol%、12.9mol%、13mol%、13.3mol%、13.4mol%、13.5mol%、13.6mol%、13.7mol%、13.8mol%、13.9mol%、14mol%、14.4mol%、14.5mol%、14.69mol%、14.9mol%、15mol%及びこれらの数値のうちの任意の2つからなる範囲内の任意の数値であってもよい。
【0037】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、B2O3は、単独でガラスを生成することができ、良好なフラックスであり、高温溶融条件ではB2O3は[BO4]を形成しにくく、高温粘度を低下させることができ、低温ではBは遊離酸素を奪って[BO4]を形成する傾向があり、このため、構造をコンパクトにし、ガラスの低温粘度を向上させ、結晶化の発生を防止する。ただし、B2O3が多すぎると、ガラスの歪点が大幅に低下する。したがって、総合的に考慮すると、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、酸化物換算で、前記B2O3の含有量は、0~2mol%、好ましくは0~1mol%、より好ましくは0、具体的には、たとえば0、0.1mol%、0.11mol%、0.3mol%、0.42mol%、0.46mol%、0.47mol%、0.7mol%、1mol%、1.31mol%、1.4mol%、1.6mol%、1.9mol%、2mol%及び任意の2つの隣接する質量百分率含有量の間の任意の質量百分率の含有量であってもよい。
【0038】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、MgOはガラスのヤング率及び比弾性率を大幅に向上させ、高温粘度を低下させ、ガラスを溶融しやすくするという特徴を有する。ガラス中のアルカリ土類金属の含有量が少ない場合、電場強度の大きいネットワーク修飾イオンMg2+が導入され、構造で局所蓄積作用が発生しやすくなり、短距離秩序の範囲が増加する。このような場合、多くの中間体酸化物Al2O3が導入され、[AlO4]状態で存在すると、これらの多面体が負に帯電するため、一部のネットワーク修飾陽イオンが吸引され、ガラスの蓄積程度、結晶化能力が下がる。アルカリ土類金属の含有量が高く、ネットワークの破断が深刻である場合、MgOが導入され、破断した酸化ケイ素四面体を再び接続してガラスの結晶化能力を下げる。したがって、MgOを添加する際には、他の成分との配合比に注意を払うべきである。他のアルカリ土類金属酸化物に比べて、MgOの存在により、低い膨張係数及び密度、高い耐薬品性能、歪点及び弾性率が実現される。MgOが8mol%より大きければ、ガラスの耐薬品性が悪くなるとともに、ガラスは失透しやすくなる。したがって、総合的に考慮すると、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、酸化物換算で、前記MgOの含有量は、2~8mol%、好ましくは3~5mol%、具体的には、たとえば2mol%、2.2mol%、2.8mol%、3mol%、3.2mol%、3.3mol%、3.6mol%、3.9mol%、4.2mol%、4.4mol%、4.6mol%、4.7mol%、4.9mol%、4.96mol%、5mol%、5.5mol%、6.4mol%、7mol%、7.4mol%、7.95mol%、8mol%及びこれらの数値のうちの任意の2つの数値からなる範囲内の任意の数値であってもよい。
【0039】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、CaOは、ガラスの溶融を促進し、ガラスの成形性を調整するものである。酸化カルシウムの含有量が2mol%未満であると、ガラスの粘度を低下させにくく、含有量が高すぎると、ガラスは結晶化しやすく、熱膨張係数は大幅に大きくなり、脆性は増大し、後続のプロセスに不利となる。したがって、総合的に考慮すると、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、酸化物換算で、前記CaOの含有量は、2~8mol%、好ましくは3~6mol%、具体的には、たとえば2mol%、2.1mol%、2.4mol%、2.5mol%、2.9mol%、3mol%、3.4mol%、3.7mol%、4.1mol%、4.3mol%、4.5mol%、4.6mol%、5.1mol%、5.4mol%、5.7mol%、5.9mol%、5.95mol%、6mol%、6.6mol%、7mol%、7.4mol%、8mol%及びこれらの数値のうちの任意の2つの数値からなる範囲内の任意の数値であってもよい。
【0040】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、SrOは、フラックス、及びガラスの結晶化を防止する成分として機能し、含有量が多すぎると、ガラスの密度が高すぎ、製品の比弾性率が下がる。Sr2+はイオン半径が大きい二価金属イオンであり、高い配位数を有し、アルカリフリーガラスでは四面体ネットワーク骨格の間隙に充填される場合が多く、化学的安定性及び機械的安定性を向上させる特徴を有し、ただし、その含有量が多すぎると、密度を増大し、クラック、失透、相分離の発生を高める。したがって、総合的に考慮すると、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、酸化物換算で、前記SrOの含有量は、0~3mol%、好ましくは0.1~1mol%、具体的には、たとえば0、0.1mol%、0.2mol%、0.3mol%、0.4mol%、0.5mol%、0.76mol%、0.8mol%、1mol%、1.4mol%、1.5mol%、1.7mol%、2mol%、2.2mol%、2.6mol%、3mol%及びこれらの数値のうちの任意の2つの数値からなる範囲内の任意の数値であってもよい。
【0041】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、BaOは、フラックス及びガラスの結晶化を防止する成分として機能し、含有量が多すぎると、ガラスの高温体積抵抗率が上昇し、密度が高すぎ、製品の比弾性率が下がる。MgO、CaO、SrO、BaOはすべてアルカリ土類金属酸化物であるものの、実験した結果、各酸化物によるガラス形成安定性への影響には大きな差別があり、BaO含有量を適切に向上させ、配合比を合理的な範囲に制御すると、形成安定性の向上、抗結晶化性能(ガラス形成安定性)の向上、全体性能の最適化に有利である。したがって、総合的に考慮すると、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、酸化物換算で、前記BaOの含有量は、3~10mol%、好ましくは4~7mol%、具体的には、たとえば3mol%、3.2mol%、3.95mol%、4.1mol%、4.67mol%、4.8mol%、4.84mol%、4.9mol%、5.1mol%、5.9mol%、6.7mol%、6.95mol%、7mol%、7.9mol%、10mol%及びこれらの数値のうちの任意の2つの数値からなる範囲内の任意の数値であってもよい。
【0042】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、二価金属酸化物は、周期表の位置によって性質への影響が異なり、2種類に分けることができ、一方は、主族のアルカリ土類金属酸化物であり、イオンR2+が8個の外電子構造を有するものであり、他方は、周期表の副族(たとえばZnO、CdOなど)に属し、イオンR2+が18個の外層電子構造を有するものであり、ガラスでは、両方の構造状態はガラスの性質への影響が異なる。ZnOは、ガラスの高温粘度(たとえば1500℃)を低下させることができ、気泡の解消に有利であり、また、軟化点以下では強度、硬度を向上させ、ガラスの耐薬品性を高め、ガラスの熱膨張係数を下げるという役割を有する。アルカリフリーガラス又は低アルカリガラス系に適量のZnOを添加すると、結晶化の抑制に寄与し、結晶化温度を低下させることができる。理論的には、ZnOは、アルカリフリーガラス又は低アルカリガラスにネットワーク修飾体として導入されると、高温では一般には[ZnO4]の形で存在し、[ZnO6]ガラス構造よりも多孔質であり、同じ高温状態でのZnO不含のガラスに比べて、ZnO含有ガラスは粘度が小さく、原子運動速度が高く、結晶核を形成できず、結晶核を形成するにはさらなる温度低下が必要とされ、したがって、ガラスの結晶化の上限温度が下がる。ZnO含有量が多すぎると、ガラスの歪点が大幅に低下する。したがって、総合的に考慮すると、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、酸化物換算で、前記ZnOの含有量は、0.1~2mol%、好ましくは0.3~1.5mol%、具体的には、たとえば0.1mol%、0.13mol%、0.2mol%、0.25mol%、0.3mol%、0.37mol%、0.4mol%、0.43mol%、0.44mol%、0.45mol%、0.5mol%、0.65mol%、0.8mol%、0.9mol%、1mol%、1.2mol%、1.27mol%、1.43mol%、1.48mol%、1.5mol%、2mol%及びこれらの数値のうちの任意の2つからなる範囲内の任意の数値であってもよい。
【0043】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、希土類酸化物RE2O3は、ガラスの一部の性能を向上させる点では特有の能力を有し、たとえば、ガラスの曲げ強度、弾性率、歪点などの性能が希土類酸化物の添加に伴い大幅に向上し、それにより、ガラスの脆性が低下し、破断靭性が大幅に高まり、ガラスの高温粘度や高温体積抵抗率が低下でき、ガラスの工業的な量産、特に、ガラスの電気的溶融及び/又は電気的溶融促進に大きな利便性をもたらす。アルカリ土類金属、ZnOなどのネットワーク修飾体がガラス組成に導入されると、過剰な酸素原子によりガラス構造中の架橋酸素結合が破断して非架橋酸素を生成し、これらの非架橋酸素の存在によってガラスの曲げ強度が顕著に低下する。RE2O3の添加によってガラスの内部構造が変わり、生成するSi-O-RE化学結合はガラス中の孤立した島状ネットワークユニットを改めて接続し、それにより、ガラスのネットワーク構造を改善し、ガラスの曲げ強度、弾性率、歪点、化学安定性を大幅に向上させ、高温体積抵抗率などの性能を低下させる。しかし、RE2O3をさらに増加すると、調整用の非架橋酸素の数が減少するため、過量のRE2O3によるガラスの上記性能への作用が少ない。したがって、吸収スペクトルなどの他の性能を総合的に考慮すると、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、酸化物換算で、前記RE2O3の含有量は、0.02~0.7mol%、好ましくは0.1~0.5mol%であり、前記REはイットリウム及びランタニド元素である。好ましくは、前記REはY、La、Nd、及びLuのうちの1種又は複数種類である。本発明の特定実施形態では、REはY又はLuであり、REは複数種類の元素の組み合わせ、たとえば、LaとNd、YとLa、YとNd、La、Nd及びLu、具体的には、RE2O3、たとえば0.02mol%、0.1mol%、0.2mol%、0.23mol%、0.26mol%、0.28mol%、0.35mol%、0.36mol%、0.37mol%、0.4mol%、0.41mol%、0.43mol%、0.45mol%、0.48mol%、0.5mol%、0.7mol%及びこれらの数値のうちの任意の2つからなる範囲内の任意の数値であってもよい。
【0044】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、Se2O3は、フラックス及びガラスの結晶化を防止する成分として機能する。含鉄酸化物(特に低原子価の鉄酸化物)ガラスの場合、酸化セレンは、308nmなどでの紫外線スペクトル領域のガラスの吸収率を減少させ、ガラスの308nmでの透過率を向上させることができる。含有量が多すぎると、ガラスは、波長380~780nmでの透過率が低下する。したがって、総合的に考慮すると、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、酸化物換算で、前記Se2O3の含有量は0.01~0.5mol%、好ましくは0.02~0.3mol%、具体的には、たとえば0.01mol%、0.02mol%、0.03mol%、0.1mol%、0.14mol%、0.19mol%、0.21mol%、0.25mol%、0.27mol%、0.29mol%、0.3mol%、0.35mol%、0.39mol%、0.4mol%、0.43mol%、0.44mol%、0.45mol%、0.5mol%及びこれらの数値のうちの任意の2つからなる範囲内の任意の数値であってもよい。
【0045】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、不可避的な原材料の固有不純物や生産過程での接触などの経路を介して導入される少量の鉄酸化物は、ガラスの紫外線スペクトル領域(たとえば、308nm波長)での透過率の低下を引き起こし、フレキシブルOLEDのパネルプロセスのレーザーリフトオフ技術(LLO)に悪影響を与え、したがって、各種類の原材料中の鉄酸化物の導入を減少すると、紫外線透過率の向上に有利であるものの、低すぎると、原材料のコストの大幅の上昇を引き起こし、また、ガラスの製造過程に一定量のフッ化物(たとえばフッ化カルシウム)が導入されると、このようなフッ化物は、高温フラックスとして、ガラスのメルト粘度、高温表面張力、及び高温体積抵抗率を効果的に低下させ、硫酸塩と組み合わせて使用すると、一定の清澄化効果を有し、一方、フッ素の添加によって、鉄酸化物の含有量を意図的に低下させずにガラスの308nmでの透過率を向上させ、鉄含有ガラスの紫外線領域308nmでの透過率を改善することができるものの、含有量が多すぎると、ガラスの相分離又は析出を引き起こし、懸濁又は結晶化をもたらす。したがって、総合的に考慮すると、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、Fe2O3の形で表されると、前記Fe2O3の含有量は、0.001~0.01mol%、好ましくは0.002~0.008mol%、具体的には、たとえば0.001mol%、0.002mol%、0.003mol%、0.004mol%、0.005mol%、0.006mol%、0.007mol%、0.008mol%、0.009mol%、0.01mol%及びこれらの数値のうちの任意の2つからなる範囲内の任意の数値であってもよい。該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、単体Fの形で表されると、前記Fの含有量は、0.01~0.8mol%、好ましくは0.2~0.6mol%。具体的には、たとえば0.01mol%、0.02mol%、0.1mol%、0.2mol%、0.22mol%、0.25mol%、0.31mol%、0.34mol%、0.4mol%、0.42mol%、0.51mol%、0.52mol%、0.55mol%、0.6mol%、0.8mol%及びこれらの数値のうちの任意の2つからなる範囲内の任意の数値であってもよい。さらに、透過率性能について総合的に考慮すると、好ましくは、モル百分率換算で、Se2O3/Fe2O3>10、好ましくは>20である。
【0046】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、不可避的な原材料の固有不純物などの経路を介して少量のアルカリ金属酸化物が導入され、パネルの高温プロセスに悪影響を与えるため、アルカリ含有量を厳格に制御するべきである。該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、酸化物換算で、アルカリ金属酸化物R2Oは0.05mol%未満であり、ここで、R2OはLi2O、Na2O、K2O含有量の合計である。
【0047】
好ましい場合、モル百分率換算で、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス中、各成分の含有量は、Z=1.5~4.5を満たし、好ましくは2.5~3.5であり、Zは下記式により算出される。
Z=-10.31+(16.04×SiO2+6×Al2O3+3.29×B2O3-5.47×MgO-5.43×CaO+3.77×SrO+26.65×BaO-7.82×ZnO)
(ここで、SiO2、Al2O3、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnOは、それぞれ、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスに占める該成分のモル百分率を示す。)
【0048】
好ましい場合、モル百分率換算で、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス中、各成分の含有量はG=2.5~6を満たし、好ましくは3~4であり、Gの値は下記式により算出される。
G=-10.31+(16.04×SiO2+6×Al2O3+3.29×B2O3-5.47×MgO-5.43×CaO+3.77×SrO+26.65×BaO-7.82×ZnO+214.8×RE2O3+86.3×Se2O3)
(ここで、SiO2、Al2O3、B2O3、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、RE2O3、Se2O3は、それぞれ、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスに占める該成分のモル百分率を示す。)
【0049】
好ましい場合、モル百分率換算で、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス中、各成分の含有量はT=3~6.5を満たし、好ましくは4~5であり、Tの値は下記式により算出される。
T=-10.31+(16.04×SiO2+6×Al2O3+3.29×B2O3-5.47×MgO-5.43×CaO+3.77×SrO+26.65×BaO-7.82×ZnO+214.8×RE2O3+86.3×Se2O3+162.5×F)
(ここで、SiO2、Al2O3、B2O3、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、RE2O3、Se2O3、Fは、それぞれ、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスに占める該成分のモル百分率を示す。)
【0050】
好ましい場合、モル百分率換算で、(CaO+BaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO+ZnO)は0.6以上である。
【0051】
好ましい場合、モル百分率換算で、(MgO+BaO)/(1-MO)は0.5以上であり、該アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの全モル量を基準に、MOは、アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス中のSiO2、Al2O3、B2O3以外のすべての成分のモル百分率の合計を示す。
【0052】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、1600℃ではガラスメルトの抵抗率は200Ω・cm以下、好ましくは120~180Ω・cmである。
【0053】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、1600℃ではガラスメルトの粘度は350~550ポアズである。
【0054】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、粘度35000ポアズに対応する温度T35000は1250℃以上である。
【0055】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、粘度1013ポアズに対応するアニーリング点は790℃以上、好ましくは800℃以上である。
【0056】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、粘度1014.5ポアズに対応する歪点は750℃以上、好ましくは760℃以上である。
【0057】
好ましい場合、本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラス中、水酸基の含有量は0.3/mm以下である。
【0058】
好ましい場合、本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの密度は2.7g/cm3未満、好ましくは2.65g/cm3未満であり、50~350℃範囲内での熱膨張係数は40×10-7/℃未満、好ましくは39×10-7/℃未満であり、ヤング率は80GPaより高く、好ましくは81GPaより高く、比弾性率は30GPa/(g×cm-3)より高く、好ましくは31GPa/(g×cm-3)より高い。
【0059】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、粘度200ポアズに対応する温度、好ましくはT200は1690℃以下であり、粘度35000ポアズに対応する温度T35000は1250℃以上、好ましくは1280℃以上であり、液相線温度TLは1260℃以下、好ましくは1180℃以下であり、粘度35000ポアズに対応する温度と液相線温度TLとの差は50℃以上、好ましくは100℃以上である。
【0060】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、波長308nmでの透過率は73%以上、好ましくは74%以上であり、波長550nmでの透過率は91%以上、好ましくは92%以上である。
【0061】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、600℃/20minの条件下での熱収縮は15ppm未満、好ましくは10ppm未満である。
【0062】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスにおいて、前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスは清澄剤をさらに含有し、各成分の全モル数を基準に、前記清澄剤の含有量は0.5mol%以下であり、前記化学清澄剤は、好ましくは、硫酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、酸化第一スズのうちの少なくとも一種である。
【0063】
第2の態様によれば、本発明は、本発明の前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスに対して、溶融処理、成形処理、アニーリング処理、及び機械加工処理を行うステップを順次含むアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの製造方法を提供する。
【0064】
本発明の方法では、好ましい場合、前記方法は、前記混合材料の全重量を基準に0.02~0.7wt%のフッ化物を混合材料に添加するステップをさらに含み、本発明の特定実施形態では、フッ化カルシウムが使用される。フッ化カルシウムは、高温フラックスであり、ガラスのメルト粘度、高温表面張力、及び高温体積抵抗率を低下させるという役割を果たし、硫酸塩と組み合わせて使用すると、一定の清澄化効果を有し、一方、フッ素は鉄含有ガラスの紫外線領域308nmでの透過率を改善することができる。しかしながら、フッ化物の含有量が多すぎると、ガラス中に相分離又は析出が発生し、懸濁又は結晶化を引き起こしやすい。
【0065】
好ましくは、前記混合材料は連続溶融キリンで高温溶融し、さらに好ましくは、電気加熱及び/又はガス加熱によって高温溶融し、よりさらに好ましくは、電気加熱によるエネルギーの割合は溶融ガラスの全部のエネルギーの60%以上であり、前記電気加熱とは、複数対の電極によって混合材料と溶融ガラスを直接加熱し、ケイ酸塩が反応してガラスを形成するようにし、清澄化・均質化などの過程を促進し、前記電極は、酸化スズ電極、酸化モリブデン電極及び/又は白金電極などであってもよい。
【0066】
本発明の方法では、好ましい場合、溶融処理の条件は、1700℃未満の温度、1hよりも長い時間を含む。当業者であれば、実際の状況に応じて具体的な溶融温度や溶融時間を決定することができ、これは、当業者に公知のことであり、ここでは再度言及しない。
【0067】
本発明の方法では、好ましい場合、アニーリング処理の条件は、780℃より高い温度、0.1hよりも長い時間である。当業者であれば、実際の状況に応じて具体的なアニーリング温度やアニーリング時間を決定することができ、これは、当業者に公知のことであり、ここでは再度言及しない。
【0068】
本発明の方法では、機械加工処理について特に限定せず、当該分野でよく使用されている各種の機械加工方式、たとえば、アニーリング処理によって得られた製品に対する切断、研削、研磨などであってもよい。
【0069】
好ましくは、該方法は、機械加工処理によって得られた製品に対して二次溶融薄化処理を行うステップをさらに含む。
【0070】
好ましくは、厚さ0.1mm未満のガラスを製造するように、前記機械加工処理又は二次溶融薄化処理の条件を制御する。
【0071】
本発明の特定実施形態では、一定量の硫酸塩、たとえば硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウムなどの無機硫酸塩を、気体不純物を除去する成分として添加する。しかし、紫外線領域スペクトルの吸収などの角度から総合的に考慮すると、紫外線領域での高透過率を得るために、好ましくは、ガラス中、単体硫黄Sの形で表される残留硫黄元素の含有量は50ppm以下である。
【0072】
第3の態様によれば、本発明の前記アルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスの、ディスプレイデバイス及び/又は太陽電池の製造における使用を提供する。
【0073】
本発明のアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスは、低い密度及び高い弾性率、良好な熱安定性及び低い熱収縮率を有し、308nm及び/又は550nmに高透過率を有するなどの利点がある。ディスプレイデバイス及び/又は太陽電池の製造、特に、フラットディスプレイ製品のガラス基板材料及び/又は画面表面保護用ガラスフィルム材料、フレキシブルディスプレイ製品のガラス基板材料及び/又は表面パッケージガラス材料及び/又は画面表面保護用ガラスフィルム材料、フレキシブル太陽電池のガラス基板材料、安全ガラス、防弾ガラス、スマートカーガラス、高度道路交通システム用表示画面、スマートウィンドウ、及びスマートカードやチケット、ならびに高熱安定性、高紫外線透過率及び機械的安定性を必要とするほかのガラス材料の製造の使用分野に適用できる。
【0074】
実施例
以下、実施例にて本発明を詳細に説明する。以下の実施例では、特に断らない限り、使用される各材料は、市販品として入手でき、特に断らない限り、使用する方法は本分野の一般的な方法である。
【0075】
ASTM C-693を参照してガラス密度を測定し、単位がg/cm
3である。
ASTM E-228を参照して横型膨張計を用い、50~350℃の範囲内のガラス熱膨張係数を測定し、単位が10
-7/℃である。
ASTM C-623を参照してガラスヤング率を測定し、単位がGPaである。
ASTM C-965を参照して回転式高温粘度計を用い、ガラスの高温粘度-温度曲線を測定し、ここで、1600℃に対応する粘度をη
1600とし、単位がPであり、粘度Xポアズに対応する温度をT
Xとし、単位が℃である。
ASTM C-829を参照して温度勾配炉方法を用い、溶融ガラス相線温度T
Lを測定し、単位が℃である。
ASTM C-336を参照してアニーリング点歪点テスターを用い、ガラスアニーリング点T
aと歪点T
stを測定し、単位が℃である。
島津UV-2600型紫外線-可視分光光度計を用い、ガラス透過率を測定し、ガラスサンプルの厚さは0.5mmであり、それぞれ、308nm、550nmでの透過率を測定し、単位が%である。
熱電iCAP 6300MFC型誘導結合プラズマ発光分析計(ICP)を用い、ガラス中の鉄含有量(Fe
2O
3の形で表される)及びフッ素含有量をテストし、単位がmol%又はppmである。
CS-9900型赤外線炭素・硫黄分析装置を用い、ガラス中の硫黄含有量をテストし、Sの形で表し、単位がppmである。
特許出願CN201710796764.Xで開示されたガラスメルトの高温抵抗率のテスト方法を参照してガラスの1600℃でのメルトの抵抗率を測定し、単位がΩ・cmである。
以下の熱処理方法(差分計算法)を用いて、熱処理した熱収縮率を測定し、すなわち、ガラスを25℃(測定初期長さ、L
0と記する)から5℃/minの昇温速度で600℃に昇温して20min保温し、その後、5℃/minの降温速度で25℃に降温すると、ガラス長さに一定量の収縮が発生し、さらにその長さを測定して、L
tと記すれば、熱収縮率Y
tは
として表される。
下記方法によって、ガラス中の水酸基OHの含有量を測定し、すなわち、PE社製のSPECTRUM TWO型フーリエ赤外分光計を用いて、波数範囲400~4000cm
-1での透過率をテストし、下記式によりガラスの水酸基含有量β-OH(単位/mm)を算出する。
β-OH=(1/D)*log
10(T
1/T
2)
ここで、
D:ガラス厚さ(mm);
T
1:参照波長3846cm
-1(2600nm)での透過率(%);
T
2:水酸基吸収波長3600cm
-1(2800nm)付近での最小透過率(%)。
【0076】
実施例1~8
表1に示すように各成分を秤量して均一に混合し、混合材料を高ジルコニウムれんがるつぼ(ZrO2>85wt%)に投入し、次に、1630℃の抵抗炉にて24時間加熱し、白金ロジウム合金(80wt%Pt+20wt%Rh)撹拌器を用いて等速で緩やかに撹拌した。溶融ガラスをステンレス製の金型に鋳込んで、所定のブロック状のガラス製品として成形し、次に、ガラス製品をアニーリング炉にて2時間アニーリングし、電源をオフにして25℃に炉冷した。ガラス製品を切断、研削、研磨し、次に、脱イオン水できれいに洗浄してベークし、厚さ0.5mmのガラス完成品を製造した。各ガラス完成品の各性能をそれぞれ測定し、結果を表1に示す。
【0077】
実施例9~15
混合材料成分(ガラス組成に対応する)、及び得られた製品の性能の測定結果が表2に示されるとおりである以外、実施例1の方法と同様であった。
【0078】
比較例1~4
混合材料成分(ガラス組成に対応する)、及び得られた製品の性能の測定結果が表3に示されるとおりである以外、実施例1の方法と同様であった。
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
表1~2の実施例と比較例のデータを比較したところ、本発明の方法は、高紫外線透過率、高歪点(高耐熱性)、低い高温体積抵抗率を有するガラスを得る課題に対して顕著な効果を有し、本発明に記載の組成、所定の配合比、所定のZ/G/T値の範囲、原材料中の鉄酸化物の含有量を厳格に制御していなくてもよいこと、適切な含有量のSe2O3とフッ化物、及び製造方法によって得られたアルカリフリーアルミノケイ酸塩ガラスは、高い耐熱安定性、低い高温体積抵抗率、高い紫外線可視スペクトルでの透過率、高いヤング率、低い溶融温度及び液相線温度、低い表面張力を有し、工業的な量産に適用でき、エネルギー由来の一部又は全部を電気とする加熱方式によって溶融ガラスを製造することに適しており、ディスプレイデバイス及び/又は太陽電池の製造における使用に適している。特に、フラットディスプレイ製品のガラス基板材料及び/又はスクリーン表面保護用ガラスフィルム材料、フレキシブルディスプレイ製品のガラス基板材料及び/又は表面パッケージガラス材料及び/又はスクリーン表面保護用ガラスフィルム材料、フレキシブル太陽電池のガラス基板材料、安全ガラス、防弾ガラス、スマートカーガラス、高度道路交通システム用表示画面、スマートウィンドウ、及びスマートカードやチケット、ならびに高熱安定性、高紫外線透過率及び機械的安定性を必要とするほかのガラス材料の製造の使用分野に適用できる。
【0083】
以上、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明したが、本発明はこれらに制限されない。本発明の技術的構想の範囲を逸脱することなく、本発明の技術案について、各技術的特徴を他の任意の適切な方式で組み合わせることを含む、さまざまな簡単な変形を行うことができ、これらの簡単な変形及び組み合わせも、本発明で開示された内容とみなすべきであり、すべて本発明の特許範囲に属する。