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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】ブレーキ付きロック機構
(51)【国際特許分類】
   B60B 33/00 20060101AFI20230105BHJP
【FI】
B60B33/00 U
B60B33/00 501B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018147200
(22)【出願日】2018-07-18
(65)【公開番号】P2020011702
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】598085526
【氏名又は名称】ホッタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堀田 国男
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-092251(JP,A)
【文献】特開2011-025800(JP,A)
【文献】特開2008-001355(JP,A)
【文献】国際公開第2018/011043(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 33/00 - 33/08
F16D 53/00 ; 63/00
B62B 1/00 - 5/08
B62B 7/00 - 19/04
A61G 1/00 - 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪支持枠に車輪が回転可能に支持されているキャスターに装着する制動具であって、
周縁に凹凸溝を設けた停止体と、
枠体に前記停止体に歯合する爪体と車輪を圧接するブレーキ体を垂直に昇降可能に取り付け、
前記ブレーキ体の下方に回転軸の左右に上下軸と加圧板を付設の昇降体の前記上下軸を前記爪体に接続して前記加圧板を前記ブレーキ体に隣接させ、前記昇降体に回動枠を連結し前記枠体に回動可能に取り付けた駆動体とから成り、
前記キャスターの前記車輪に前記停止体を取り付け、前記キャスターの車輪支持枠に前記駆動体を載置して取り付け、
前記回動枠を引くことで前記停止体から前記爪体を離脱させて車輪のロックを解除し、前記回動枠を更に引くとブレーキ体で前記車輪を圧接することを特徴とするブレーキ付きロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、車輪の回転の減速およびロックを行う機構に関する。
【背景技術】
【0002】
手押し台車のブレーキ機構においても、電動式台車と同様に駐車時に確実なロックができることは勿論のこと、走行の際の減速停止や坂道などでの加速回避ができるブレーキ機構を併せ持ち、しかも安価で簡単に取り付けができるタイプのものが望まれている。
【0003】
こうした、車輪のロック機構とブレーキ機構を併せ持つ先行技術として特願2012-218935があるが、ブレーキ機構と停止機構を支持脚に直接取り付けた単位の構成となっており、汎用のキャスターに後付けできるタイプの台車等においてはコスト面で割高となり不向きである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特願2012-218935
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明は、従来方法の課題を解決するためになされたもので、車輪のタイヤにブレーキ片を圧接して回転を減速させるブレーキ機構と車輪のホイールに停止体を付設して爪体により回転を止めるロック機構とで制動具を構成し、これをキャスターに取り付けて、同一操作具によりブレーキ機構とロック機構とを使い分けることを可能にしたブレーキ付きロック機構の提供。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1は、車輪支持枠に車輪が回転可能に支持されているキャスターに装着する制動具であって、周縁に凹凸溝を設けた停止体と、枠体に前記停止体に歯合する爪体と車輪を圧接するブレーキ体を昇降可能に取り付け、その下方に上下軸と加圧板を回転軸の左右に付設してある昇降体を回動可能に取り付け、前記上下軸を前記爪体に接続し、前記加圧板を前記ブレーキ体に隣接し、前記昇降体に回動枠を連結した駆動体とから成り、前記停止体をキャスターの車輪に取り付け、前記駆動体を前記キャスターの車輪支持枠に取り付けて、前記回動枠を引くことで前記停止体から前記爪体を離脱させて車輪のロックを解除し、前記回動枠を更に引くとブレーキ体で前記車輪を圧接する構成にしてある。
これにより、同一の操作レバーで握り方を変えるだけで、車輪の回転速度を無段階で減速させることや、完全に制止させることが可能となり、台車等の手押し式車両の安全走行に貢献できる。また制動具の形態を採ることで普及し易くなってある。
【発明の効果】
【0007】
本願発明は、小さいストロークでブレーキとロックを連動して動かす簡便な構成であり、汎用性と経済性に有効な機構である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ブレーキ付きロック機構の正面図
図2図1の右側面図
図3図1の平面図
図4】キャスターに内蔵してあるブレーキ付きロック機構の正面図
図5図4の右側面図
図6】ブレーキ付きロック機構のロック状態を示す正面図
図7】ブレーキ付きロック機構のロック解除時点を示す正面図
図8】ブレーキ付きロック機構のブレーキ状態を示す正面図
図9】ブレーキ付きロック機構を組込んだ台車の正面図
図10図9の右側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本願発明の実施形態について説明する。
最初に、ブレーキ付きロック機構について図1、2、3を参照して説明する。
ブレーキ付きロック機構は、車輪に取り付ける停止体3および前記停止体のロックと前記車輪の減速をするための駆動体4とからなっている。
停止体3は、円形の板の周縁に凹凸溝3-1と、その内側に車輪に取り付けるためのネジ座3-2を付設した構成にしてある。尚、前記ネジ座はキャスターに取り付けたときに、後述の爪体18に歯合する寸法に設定してある。
一方、駆動体4は、枠体5、ブレーキ体13、爪体18、昇降体20、21と回動枠22で構成してある。
【0010】
最初に前記駆動体の個々の構成について説明する。
枠体5は、車両等にキャスターと同時固定するための取付け穴6-1を付設の底板6と、軸受穴7-1a、bとガイド穴7-2を付設の前板7と、前記前板と同様に軸受穴8-1a、bとガイド穴8-2を付設の後板8と、ブレーキ体13用の吊りボルト17aを挿通する穴9-1を付設の左側板9と、前記左側板と同様に穴10-1を付設の右側板10および右端にワイヤー用のアウター支持板11とで構成してある。
ブレーキ体13は、側面に長穴14-1a、bとガイド板14-2を付設のホルダー14と側面にネジ穴15-1a、bを付設のブレーキ片15とを組み合わせて構成し、前記ホルダーの両端付近に弾性体16a、bを支持するためのネジ穴14-3a、bを設けてある。
爪体18は、先端に前記停止体の凹凸溝3-1に嵌める凸状の爪18-1と中央にガイド用の角溝18-2と前記角溝の両側に上下軸20-3と連結するための長穴18-3aと上下軸21-3と連結するための長穴18-3bとを付設して構成してある。
昇降体20、21は、回転軸20-1、21-1と前記回転軸の左側にブレーキ体13を加圧するための加圧板20-2、21-2と後述の回動枠22に接続する連結ピン23を4か所に付設し、前記回転軸の右側に爪体18を昇降するための上下軸20-3、21-3を設けて構成してある。
回動枠22は、連結ピン23の接続穴22-1a、b、c、dと先端にワイヤー接続具22-2を設けて構成してある。
【0011】
次に、前記駆動体の全体構成について説明する。
昇降体20を枠体5に付設の前板7の軸受穴7-1aと後板8の軸受穴8-1aに前記昇降体に付設の加圧板20-2を左側にして回転軸20-1の両端を挿入し、同じく昇降体21を前記前板の軸受穴7-1bと前記後板の軸受穴8-1bに前記昇降体に付設の加圧板21-2を左側にして回転軸21-1の両端を挿入して回動可能に併設してあり、昇降体20と昇降体21の上方にはホルダー14に付設のガイド板14-2を前板7のガイド溝7-2と後板8のガイド溝8-2とに嵌めて、前記ホルダーの両端付近に設けてあるネジ穴14-3a、bに弾性体16a、bを装着した吊りボルト17a、bを枠体5の左側板9に付設の穴9-1と右側板10に付設の穴10-1を挿通してブレーキ体13を昇降可能に固定してあり、常時ブレーキ体13を車輪から離隔する方向に付勢している。
次に、爪体18をホルダー14のガイド板14-2に前記爪体の角溝18-2を嵌めて、前記爪体に付設の長穴18-3aに昇降体20の上下軸20-3と長穴18-3bに昇降体21の上下軸21-3をそれぞれ挿入した後、ガイド板14-2にピン19を挿して垂直に昇降するように取り付けて、その後に昇降体20に回動枠22に付設の接続穴22-1a、bと前記昇降体に付設の穴20-4a、bに連結ピン23を挿し、また昇降体21に前記回動枠に付設の接続穴22-1b、cと前記昇降体に付設の穴21-4a、bに連結ピン23を挿して連結し、前記回動枠の左端と左側板9との間に弾性体24を装着して駆動体4を構成している。
尚、本構成はブレーキ体の水平昇降と加圧の均一化を考慮し、昇降体を左右2個所の配置としてあるが車輪径が小さい場合など、用途に合わせて中央1個所にしても構わない。
【0012】
続いて、ブレーキ付きロック機構をキャスターに内蔵した状態と、その動作について図を参照して説明する。
最初にブレーキ付きロック機構をキャスターに内蔵した状態を図4、5を参照して説明する。
停止体3はキャスターの車輪支持枠1に回転可能に取り付けてある車輪2の側面に前記車輪のホイールに付設の穴2-1にボルト25を通して前記停止体のネジ座3-2に締結して取り付けてあり、駆動体4は前記停止体の下方に枠体5の底板6に設けてある取付け穴6-1と前記車輪支持枠の固定用の穴とが合致する位置に内蔵してあり、前記キャスターと台車等に同時固定ができる形態にしてある。従って、前記状態においては図4、5に示すようにブレーキ片15は車輪2を圧接するのに適正な位置となり、爪体18は停止体3と正確に歯合する位置になるように設定してある。
次に、ブレーキ付きロック機構の動作について図6、7、8を参照して説明する。尚、便宜上の理由により図6、7、8は車輪支持枠1の図示を省略してある。
図6はワイヤー25を引く前の状態のブレーキ片15と爪体18の位置を示すものであり、弾性体24の付勢により回動枠22を介して昇降体20、21を反時計方向に回動させて加圧板20-2、21-2はホルダー14から離隔し、上下軸20-3、21-3は爪体18を持ち上げて停止体3と噛み合った状態である。
つまり、車輪2の回転を減速させるブレーキ機構がフリーで、前記車輪の回転を制止させるロック機構が利いた状態である。
次に図6の状態からワイヤー25を引くと、回動枠22が弾性体24を縮めて右に移動し、前記回動枠と連結してある昇降体20、21が時計方向に回動して、図7に示すように加圧板20-2、21-2がホルダー14に接触しブレーキ片15を車輪方向に持ち上げ始め、上下軸20-3、21-3は爪体18を押し下げて、前記爪体を停止体3から離脱した状態である。
つまり、車輪2の回転を減速させるブレーキ機構と、前記車輪の回転を制止させるロック機構とがフリーの状態である。
更に図7の状態からワイヤー25を引くと、回動枠22が弾性体24を更に縮めて右に移動し、昇降体20、21が更に時計方向に回動して、図8に示すように上下軸20-3、21-3は爪体18を停止体3から離脱させたままで、加圧板20-2、21-2がホルダー14を介してブレーキ片15を更に持ち上げて車輪2に圧接した状態である。
つまり、車輪2の回転を制止させるロック機構がフリーで、前記車輪の回転を減速させるブレーキ機構が利いた状態である。
【0013】
次に、本願発明のブレーキ付きロック機構の取付け方法と操作方法について説明する。
最初に台車への取り付け方法の一例として、図4、5、9、10及び図6、7、8を参照して説明する。
図9、10は、台車100の台板101に図4、5に示すキャスターに内蔵してあるブレーキ付きロック機構50、51と、前記台車のハンドル102に特願2013-244115にある操作具200とを取り付けて、前記操作具に接続してある右ワイヤー202の他端を右側のブレーキ付きロック機構50に付設のワイヤー接続具22-2に接続し、前記操作具に接続してある左ワイヤー202の他端を左側のブレーキ付きロック機構51に付設のワイヤー接続具22-2に接続した状態を示してあり、図10には、図6図7図8の動作状態に対比した操作レバー201の位置が示してある。
【0014】
続いて、前述の状態での操作方法について図6、7、8及び図9、10を参照して説明する。尚、操作具以降のワイヤー、ブレーキ付きロック機構については左右同じ形態につき、右側のみの説明とする。
操作具200の操作レバー201を図10のAの位置から上方に引くと、接続されている右ワイヤー202を介して回動枠22を右に引き、前記操作レバーがBの位置で停止体3から爪体18が離脱して図7に示す状態となり、台車100はブレーキを使用しない走行が可能となり、この状態から前記操作レバーを更に上方に引いても前記停止体から前記爪体は更に離れて離脱状態のままで、前記台車はブレーキを使用しない走行を継続して行うことができる。
そして、前記操作レバーがCの位置になるとブレーキ片15が車輪2に接触して図8に示す状態となり、前記台車はブレーキを掛けての走行が可能となる。
また、Cの位置から前記操作レバーを更に上方に引くことで、ブレーキ片15が車輪2を圧接する力を増大し、これに比例して前記車輪の回転を減速させるブレーキ力も強くすることができる。
そして、前記図7および図8に示す状態から操作レバー201を開放してAの位置に戻すと、図6に示す停止体3に爪体18が噛み合って車輪2の回転をロックした状態となる。
これにより、同一の操作具の握り方を調整することで、駐停車時の車輪のロックとブレーキを掛けない通常走行とブレーキを掛けながらの減速走行とが自由に使い分けできる。
尚、本願発明のブレーキ付きロック機構はキャスター装着の構成としているが、枠体を使わずキャスターの車輪支持枠に直接取り付ける構成にしても構わない。
【符号の説明】
【0015】
1 車輪支持枠
2 車輪輪
2-1 穴
3 停止体
3-1 凹凸溝
3-2 ネジ座
4 駆動体
5 枠体
6 底板
6-1 取付け穴
7 前板
7-1a、b 軸受穴
7-2 ガイド溝
8 後板
8-1a、b 軸受穴
8-2 ガイド溝
9 左側板
9-1 穴
10 右側板
10-1 穴
11 アウター支持板
12 ワイヤー
13 ブレーキ体
14 ホルダー
14-1a、b 長穴
14-2 ガイド板
14-3a、b ネジ穴
15 ブレーキ片
15-1a、b ネジ穴
16-1a、b 弾性体
17-1a、b 吊りボルト
18 爪体
18-1 爪
18-2 角溝
18-3a、b 長穴
19 ピン
20 昇降体
20-1 回転軸
20-2 加圧板
20-3 上下軸
20-4a、b 穴
21 昇降体
21-1 回転軸
21-2 加圧板
21-3 上下軸
21-4a、b 穴
22 回転枠
22-1a、b、c、d 接続穴
22-2 ワイヤー接続具
23 連結ピン
24 弾性体
25 ボルト
50 ブレーキ付きロック機構
51 ブレーキ付きロック機構
100 台車
101 台板
102 ハンドル
200 操作具
201 操作レバー
202 右ワイヤー
203 左ワイヤー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10