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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】マッサージ装置およびその制御装置
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20230105BHJP
   A61H 15/00 20060101ALI20230105BHJP
【FI】
A61H7/00 323H
A61H15/00 350C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019100785
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020192190
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西谷 信行
(72)【発明者】
【氏名】岡本 貴之
(72)【発明者】
【氏名】泉中 健志
(72)【発明者】
【氏名】木村 三千代
(72)【発明者】
【氏名】西堀 裕一
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩平
(72)【発明者】
【氏名】池部 宗清
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-202818(JP,A)
【文献】特開2005-185422(JP,A)
【文献】特開2006-081824(JP,A)
【文献】特開2008-086591(JP,A)
【文献】特開2008-055194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
A61H 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座に対する位置を変更できる背もたれ、身体をマッサージするマッサージ部、および、使用者に向けて情報を出力する表示部を備えるマッサージ装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は前記背もたれの位置を初期位置に復帰させるか否かを、前記マッサージ部の制御モードが終了したときに使用者に問い合わせる確認情報を含む前記背もたれの位置に関する位置情報を前記表示部に出力させる
マッサージ装置の制御装置。
【請求項2】
前記制御部は操作部に対する前記制御モードを選択する操作に応じて前記操作部から操作信号を受信した場合、前記初期位置を記憶し、前記背もたれの位置を前記初期位置に復帰させるか否かを、前記制御モードが終了したときに使用者に問い合わせる前記確認情報を含む前記位置情報を前記表示部に出力させる
請求項1に記載のマッサージ装置の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は前記初期位置への復帰を要求する情報が前記確認情報に対する応答情報に含まれる場合、前記背もたれを前記初期位置に復帰させる
請求項1または2に記載のマッサージ装置の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は前記制御モードが終了したときに前記背もたれの位置が前記初期位置および非初期位置のいずれであるかを確認し、前記背もたれの位置が前記非初期位置である場合に前記位置情報を前記表示部に出力させる
請求項1~3のいずれか一項に記載のマッサージ装置の制御装置。
【請求項5】
前記マッサージ部は前記背もたれに設けられる施療機構を含み、
前記制御部は前記制御モードが終了したときに前記施療機構を初期状態に復帰させる
請求項1~4のいずれか一項に記載のマッサージ装置の制御装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の制御装置を備える
マッサージ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ装置およびその制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
身体をマッサージするマッサージ部、および、マッサージ部を制御する制御装置を備えるマッサージ装置が知られている。制御装置は、例えば制御モードに応じて動作するようにマッサージ部を制御する。特許文献1は、従来のマッサージ装置の一例を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-168111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マッサージ部の制御モードの終了後に背もたれの位置が変更される場合がある。制御モードの終了後に背もたれが動作することを使用者が意識していない場合、背もたれの動作に対して使用者が違和感を覚えるおそれがある。
本発明の目的は、使用者が違和感を覚えるおそれを低減できるマッサージ装置およびその制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に関するマッサージ装置の制御装置は、クライニング動作する背もたれ、身体をマッサージするマッサージ部、および、使用者に向けて情報を出力する表示部を備えるマッサージ装置を制御する制御部を備え、前記制御部は前記マッサージ部の制御モードが終了したときに前記背もたれの位置に関する位置情報を前記表示部に出力させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明に関するマッサージ装置の制御装置によれば、使用者が違和感を覚えるおそれを低減できるマッサージ装置およびその制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態のマッサージ装置の斜視図。
図2】マッサージ装置の構成を示すブロック図。
図3】体型検知モードにおいて制御部が実行する制御の一例。
図4】表示部が表示するマッサージに関する情報の一例。
図5】表示部が表示するマッサージに関する情報の一例。
図6】制御モードにおいて制御部が実行する制御の一例。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(マッサージ装置およびその制御装置が取り得る形態の例1)
マッサージ装置の制御装置はクライニング動作する背もたれ、身体をマッサージするマッサージ部、および、使用者に向けて情報を出力する表示部を備えるマッサージ装置を制御する制御部を備え、前記制御部は前記マッサージ部の制御モードが終了したときに前記背もたれの位置に関する位置情報を前記表示部に出力させる。
上記制御装置によれば、使用者はマッサージ部の制御モードが終了したときに背もたれの位置情報を認識できる。このため、例えば制御モードの終了後における背もたれの動作に対して使用者が違和感を覚えるおそれが低減される。
【0009】
前記制御装置の一例では、前記位置情報は前記背もたれの位置を初期位置に復帰させるか否かを使用者に問い合わせる確認情報を含む。
上記制御装置によれば、使用者は背もたれの位置を初期位置に復帰させるか否かを選択できる。
【0010】
前記制御装置の一例では、前記制御部は前記初期位置への復帰を要求する情報が前記確認情報に対する応答情報に含まれる場合、前記背もたれを前記初期位置に復帰させる。
上記制御装置によれば、使用者の要求に応じて背もたれが動作するため、背もたれの動作に対して使用者が違和感を覚えるおそれが低減される。
【0011】
前記制御装置の一例では、前記制御部は前記制御モードが終了したときに前記背もたれの位置が初期位置および非初期位置のいずれであるかを確認し、前記背もたれの位置が前記非初期位置である場合に前記位置情報を前記表示部に出力させる。
上記制御装置によれば、使用者は背もたれの位置が初期位置に復帰するように背もたれが動作する可能性があることを認識できる。
【0012】
前記制御装置の一例では、前記マッサージ部は前記背もたれに設けられる施療機構を含み、前記制御部は前記制御モードが終了したときに前記施療機構を初期状態に復帰させる。
上記制御装置によれば、次にマッサージ部が制御モードに応じて動作する場合に、施療機構がすでに初期状態に復帰しているため、制御モードに応じてマッサージ部の動作を速やかに開始できる。
【0013】
マッサージ装置は前記制御装置を備える。
上記マッサージ装置によれば、上記制御装置の効果と同様の効果が得られる。
【0014】
(マッサージ装置およびその制御装置が取り得る形態の例2)
マッサージ装置の制御装置は身体をマッサージするマッサージ部、および、前記マッサージ部によるマッサージの状態に関する画像を表示する表示部を備えるマッサージ装置を制御する制御部を備え、前記制御部は前記マッサージ部の動作中に前記画像の表示の仕方を使用者の体型に応じて変更する。
上記制御装置によれば、マッサージの状態を使用者が認識しやすくなる。
【0015】
前記マッサージ装置の制御装置の一例では、前記マッサージ部は揉み玉を含み、前記画像は前記揉み玉のモデルを示す第1画像および身体のモデルを示す第2画像を含み、前記制御部は前記第1画像の大きさと前記第2画像の大きさとの比率を前記使用者の体型に応じて変更する。
上記制御装置によれば、揉み玉によりマッサージされる身体の範囲を使用者が認識しやすくなる。
【0016】
前記マッサージ装置の制御装置の一例では、前記制御部は使用者の体型が大きくなるほど前記第2画像に対して前記第1画像を小さく表示させる。
使用者の体型が大きくなるほど、実際の使用者の背中の面積に対する揉み玉の接触面の面積が狭くなる。上記制御装置によれば、このような面積の関係が第1画像および第2画像に反映されるため、揉み玉によりマッサージされる身体の範囲を使用者が認識しやすくなる。
【0017】
前記マッサージ装置の制御装置の一例では、前記制御部は使用者の体型が小さくなるほど前記第2画像に対して前記第1画像を大きく表示させる。
使用者の体型が小さくなるほど、実際の使用者の背中の面積に対する揉み玉の接触面の面積が広くなる。上記制御装置によれば、このような面積の関係が第1画像および第2画像に反映されるため、揉み玉によりマッサージされる身体の範囲を使用者が認識しやすくなる。
【0018】
マッサージ装置は前記制御装置を備える。
上記マッサージ装置によれば、上記制御装置の効果と同様の効果が得られる。
【0019】
(実施の形態)
図1および図2を参照して、マッサージ装置1の構成について説明する。
図1に示されるマッサージ装置1は、人体の対象部位をマッサージするために用いられる。人体の対象部位は、肩、腕、および、体幹に存在する筋肉である。対象部位の筋肉がマッサージされることで、使用者に対してリラックス効果を付与する。マッサージ装置1は、例えば人体を押圧して人体の対象部位をマッサージする。使用者は、所定の姿勢でマッサージ装置1を使用できる。所定の姿勢の一例は、着席姿勢である。マッサージ装置1を構成する主な要素は、本体部10、マッサージ部20、制御装置50、調節装置60、および、操作装置70である。マッサージ装置1は、例えば外部の商用電源から供給される電力により駆動する。
【0020】
本体部10は、使用者が着席するのに適した構成を備えている。一例では、本体部10は、椅子である。本体部10は、マッサージ装置1の使用者が着席できる座11、座11の後方に配置される背もたれ12、座11の側部に配置される一対の肘掛け13、および、座11の前方に配置されるオットマン14を備える。前方および後方は、使用者が本体部10に着座した状態において、使用者から見た方向と一致する。背もたれ12は、座11との接続部分を軸として回転可能に座11に取り付けられる背壁12A、および、背壁12Aの側部に形成される一対の肩壁12Bを備える。肘掛け13は、使用者の前腕を支持する前腕支持部13A、および、前腕支持部13Aを支持する肘掛けベース13Bを備える。肘掛けベース13Bに対して前腕支持部13Aをスライドさせることで、肘掛けベース13Bに対して前腕支持部13Aを取り付ける。
【0021】
オットマン14は、下肢の一部である脚を支持する脚支持部15、および、下肢の一部である足を支持する足支持部16を備える。脚支持部15は、脚の背面を支持する背壁15A、右脚の外側の部分を支持する側壁15B、左脚の外側の部分を支持する側壁15B、および、右脚の内側の部分と左脚の内側の部分とを支持する側壁15Bにより構成される。各側壁15Bは背壁15Aの正面に取り付けられる。
【0022】
足支持部16は、足裏を支持する底壁16A、右足の外側の部分を支持する側壁16B、左足の外側の部分を支持する側壁16B、右足の内側の部分と左足の内側の部分とを支持する側壁16B、および、足の背面を支持する背壁により構成される。底壁16A、各側壁16B、および、背壁は、一体的に形成される。
【0023】
マッサージ部20は、人体の対象部位を叩く、揉む、および、押圧するマッサージの少なくとも1つに適した構成を備えている。マッサージ部20は、押圧するマッサージに適したエアバッグ30を含む。エアバッグ30は、本体部10の所定場所に設けられる。本体部10の所定場所は、人体の対象部位と対面する場所と一致する。エアバッグ30は、内部に設けられる内部空間の空気量が変化することで膨張または収縮し使用者に対してマッサージ効果を与える。
【0024】
エアバッグ30は、人体の対象部位と対向する表面と、表面に対して人体の対象部位と反対側に形成される裏面と、表面と裏面とを接続する側面とを備えている。裏面は、本体部10に固定されている。側面は、エアバッグ30の膨張または収縮に適した構成を備える。一例では、側面は、蛇腹に形成される。エアバッグ30は、膨張または収縮するのに適した材料が選択される。一例では、エアバッグ30の材料は、ポリエチレンである。
【0025】
エアバッグ30は、第1エアバッグ31、第2エアバッグ32、および、第3エアバッグ33を含む。第1エアバッグ31、第2エアバッグ32、および、第3エアバッグ33は、人体の異なる対象部位をマッサージすることに適した場所に設けられる。第1エアバッグ31、第2エアバッグ32、および、第3エアバッグ33は、本体部10に複数設けられ、本体部10の幅方向における中心線に対して線対称の関係を有する。第1エアバッグ31、第2エアバッグ32、および、第3エアバッグ33が膨張したとき、各エアバッグ30の内部空間の空気密度は略同様になるように構成される。
【0026】
第1エアバッグ31は、人体の肩甲骨付近に存在する筋肉を押圧するのに適した場所に配置される。第1エアバッグ31は、背壁12Aに設けられる。第1エアバッグ31の形状は、人体の肩甲骨付近に存在する筋肉を押圧するのに適した形状である。第1エアバッグ31の形状の一例は、楕円形状である。肩甲骨付近に存在する筋肉の一例は、僧帽筋である。
【0027】
第2エアバッグ32は、人体の上腕付近に存在する筋肉を押圧するのに適した場所に配置される。第2エアバッグ32は、背壁12Aに設けられる。第2エアバッグ32の形状は、上腕付近に存在する筋肉を押圧するのに適した形状である。第2エアバッグ32の形状の一例は、楕円形状である。上腕付近に存在する筋肉の一例は、上腕筋である。
【0028】
第3エアバッグ33は、人体の肩付近に存在する筋肉を押圧するのに適した場所に配置される。第3エアバッグ33は、肩壁12Bに設けられる。第3エアバッグ33の形状は、使用者の肩付近に存在する筋肉を押圧するのに適した形状である。好ましくは、使用者の肘付近に存在する筋肉を押圧しない形状である。第3エアバッグ33の形状の一例は、三角形状である。肩付近に存在する筋肉の一例は、三角筋である。
【0029】
エアバッグ30は、第4エアバッグ34、第5エアバッグ35、第6エアバッグ36、第7エアバッグ37、および、第8エアバッグ38をさらに備える。第4エアバッグ34、第5エアバッグ35、第6エアバッグ36、第7エアバッグ37、および、第8エアバッグ38は、人体の異なる対象部位をマッサージすることに適した場所に設けられる。第4エアバッグ34、第5エアバッグ35、第6エアバッグ36、第7エアバッグ37、および、第8エアバッグ38は、本体部10に複数設けられ、本体部10の幅方向における中心線に対して線対称の関係を有する。
【0030】
第4エアバッグ34は、人体の前腕付近に存在する筋肉を押圧するのに適した場所に配置される。第4エアバッグ34は、前腕支持部13Aに設けられる。第4エアバッグ34の形状は、前腕付近に存在する筋肉を押圧するのに適した形状である。第4エアバッグ34の形状の一例は、楕円形状である。前腕付近に存在する筋肉の一例は、前腕伸筋群および前腕屈筋群の筋肉である。好ましくは、第4エアバッグ34は、前腕支持部13Aの長手方向に沿って設けられる。
【0031】
第5エアバッグ35は、人体の腰付近に存在する筋肉を押圧するのに適した場所に配置される。第5エアバッグ35は、背壁12Aに設けられる。第5エアバッグ35の形状は、腰付近に存在する筋肉を押圧するのに適した形状である。第5エアバッグ35の形状の一例は、楕円形状である。腰付近に存在する筋肉の一例は、大腰筋である。
【0032】
第6エアバッグ36は、人体の大腿付近に存在する筋肉を押圧するのに適した場所に配置される。第6エアバッグ36は、肘掛けベース13Bに設けられる。第6エアバッグ36の形状は、大腿付近に存在する筋肉を押圧するのに適した形状である。第6エアバッグ36の形状の一例は、楕円形状である。大腿付近に存在する筋肉の一例は、大殿筋および大腿四頭筋である。好ましくは、第6エアバッグ36は、肘掛けベース13Bの長手方向に沿って複数設けられる。
【0033】
第7エアバッグ37は、人体の脚付近に存在する筋肉を押圧するのに適した場所に配置される。第7エアバッグ37は、脚支持部15の背壁15Aおよび側壁15Bの少なくとも1つに設けられる。第7エアバッグ37の形状は、脚付近に存在する筋肉を押圧するのに適した形状である。第7エアバッグ37の形状の一例は、楕円形状である。脚付近に存在する筋肉の一例は、下腿三頭筋である。好ましくは、第7エアバッグ37は、背壁15Aおよび側壁15Bに沿って設けられる。
【0034】
第8エアバッグ38は、人体の足付近に存在する筋肉を押圧するのに適した場所に配置される。第8エアバッグ38は、足支持部16の底壁16Aまたは側壁16Bの少なくとも1つに設けられる。第8エアバッグ38の形状は、足付近に存在する筋肉を押圧するのに適した形状である。第8エアバッグ38の形状の一例は、楕円形状である。足付近に存在する筋肉の一例は、虫様筋である。好ましくは、第8エアバッグ38は、底壁16Aおよび側壁16Bに沿って設けられる。
【0035】
マッサージ部20は、叩くまたは揉むマッサージに適した施療機構40をさらに含む。施療機構40は、例えば背もたれ12の内部空間に設けられる。施療機構40は、複数の要素を収容する施療ブロック41、施療ブロックに接続される一対のアーム、および、各アームの端部に取り付けられ、身体をマッサージ可能な揉み玉42を備える。人体の対象部位と揉み玉42とが接触することにより人体の対象部位がマッサージされる。施療機構40はさらに、背もたれ12の高さ方向に伸びるレールを備える。施療ブロック41はレールに沿って移動できるようにレールに取り付けられる。
【0036】
制御装置50は、マッサージ装置1の各種要素を制御する制御部51と各種情報を記憶する記憶部52とを備えている。制御部51は、プログラムを実行する演算処理装置により構成される。演算処理装置は例えばCPU(Central Processing Unit)およびMPU(Micro Processing Unit)の一方または両方により構成される。制御部51は、調節装置60を制御することにより、マッサージ装置1の各種要素を制御する。
【0037】
記憶部52は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリの少なくとも1つを備える。記憶部52は、各種制御に必要な情報を記憶する。一例では、記憶部52は、制御部51が調節装置60をどのように制御するかを規定する制御モードを記憶する。一例では、制御モードの一例は、使用者の体幹をストレッチするための体幹ストレッチモードである。別の例では、使用者の肩および腕をストレッチするための肩腕ストレッチモードである。制御モードは、制御部51が調節装置60を調節する時間および調節量を規定する。
【0038】
調節装置60は、制御部51の制御に従ってマッサージ装置1の各種動作を調節する。調節装置60は、本体部10を調節する第1調節部61、エアバッグ30を調節する第2調節部62、および、施療機構40を調節する第3調節部63を含む。
【0039】
第1調節部61は、座11に対して本体部10を構成する要素の位置を調節する。一例では、第1調節部61は、座11に対して背もたれ12およびオットマン14の少なくとも1つの位置を変更する。第1調節部61は、座11と背もたれ12との接続部分に配置され、本体部10の幅方向に伸びる回転軸、および、複数の歯車を介して回転軸に接続されるモータを備える。制御部51がモータを一方に回転させることにより、背もたれが低い位置から高い位置に向けて回転する。制御部51がモータを他方に回転させることにより、背もたれ12が高い位置から低い位置に向けて回転する。第1調節部61は、座11とオットマン14との接続部分に配置され、本体部10の幅方向に伸びる回転軸、および、複数の歯車を介して回転軸に接続されるモータを備える。制御部51がモータを一方に回転させることにより、オットマン14が低い位置から高い位置に向けて回転する。制御部51がモータを他方に回転させることにより、オットマン14が高い位置から低い位置に向けて回転する。
【0040】
第2調節部62は、エアバッグ30の内部空間の空気量を調節する。一例では、第2調節部62は、エアバッグ30に空気を供給するエアポンプ、エアバッグ30の内部に空気を供給するための給気通路、エアバッグ30の空気を外部に排出するための排気通路、および、エアバッグ30における空気の給排態様を変更する電磁弁、を含む。電磁弁を介してエアバッグ30とエアポンプとが給気経路を介して接続されるとき、エアバッグ30の内部空間の空気量が増加し、エアバッグ30が膨張する。電磁弁を介してエアバッグ30と排気通路とが接続されるとき、エアバッグ30の内部空間の空気量が減少し、エアバッグ30は収縮する。
【0041】
第3調節部63は、背もたれ12に対する揉み玉42の位置を調節する。第3調節部63は、例えば施療ブロック41に設けられる。第3調節部63は、背もたれ12の上下方向、幅方向、前後方向の少なくとも1つの方向において揉み玉42を移動する移動機構を含む。移動機構は、背もたれ12の上下方向において施療ブロックを移動させる第1移動機構、背もたれ12の幅方向において施療ブロック41を移動させる第2移動機構、および、背もたれの前後方向において施療ブロック41を移動させる第3移動機構を含む。
【0042】
第1移動機構は、本体部10の幅方向に伸びる第1回転軸および複数の歯車を介して第1回転軸に接続される第1モータを備える。第1回転軸には、複数のピニオンが形成される。複数のピニオンは、背もたれ12の高さ方向に設けられるレールのラックとかみ合わされる。第1モータが回転することにより、揉み玉42はレールに沿って背もたれ12の上下方向に移動する。
【0043】
第2移動機構は、本体部10の幅方向に伸びる第2回転軸および複数の歯車を介して第2回転軸に接続される第2モータを備える。第2回転軸は、例えばボールねじで構成される。ボールねじは、ねじ軸およびナットを含む。揉み玉42は、アームを介してナットに取り付けられる。第2モータが回転することにより、ナットがねじ軸に対して移動し、揉み玉が本体部10の幅方向に移動する。
【0044】
第3移動機構は、本体部10の幅方向に伸びる第3回転軸および複数の歯車を介して第3回転軸に接続される第3モータを備える。第3回転軸には、例えば本体部10の前後方向にアームを回転させるための歯車が設けられる。この歯車は、アームと一体的に回転する歯車とかみ合っている。第3モータが回転することにより、アームが本体部10の前後方向に回転し、揉み玉が本体部10の前後方向に移動する。
【0045】
操作装置70は、制御装置50を操作するための操作信号を出力する。一例では、操作装置70は、リモコンである。操作装置70は、外部からの入力を受け付ける操作部71を備えている。操作部71は、制御装置50の電源のオンおよびオフを切り替える電源ボタン、および、制御モードを選択するモード選択ボタンの少なくとも1つを備える。モード選択ボタンにより制御モードが選択されることにより、制御部51がその制御モードを実行する。電源ボタンは、本体部10の任意の場所に設けられていてもよい。
【0046】
操作装置70は、情報を表示する表示部72を備えている。制御部51は、表示部72を制御することにより表示部72に表示される画像を変更する。制御部51は、例えばマッサージ装置1に関する情報、および、使用者に関する情報の少なくとも一方に応じて表示部72を制御する。マッサージ装置1に関する情報には、例えばマッサージ部20の制御モードに関する情報、揉み玉42の位置に関する情報、エアバッグ30の空気量に関する情報、および、背もたれ12の位置に関する情報が含まれる。使用者に関する情報には、例えば使用者の体型、名前、性別、年齢、および、好みのマッサージ動作に関する情報が含まれる。
【0047】
操作装置70は、接続線73を介して制御装置50と接続される。接続線73は、例えば電力線搬送通信が可能になるように構成される。接続線73は、保護部を含む。保護部は、接続線73を折り曲げから保護する。一例では、保護部は、ナイロンで形成されたコードブッシュである。
【0048】
マッサージ装置1は、操作装置70を肘掛け13に対して支持する支持部80をさらに備える。支持部80は、操作装置70が本体部10に対して回動可能となるように構成される。支持部80は、アーム形状の本体81、肘掛け13に対して本体81を回動可能となるように設ける取付部82、および、支持部80に対して操作装置70を保持する保持部83を含む。
【0049】
図3から図5を参照して、表示部72に表示される情報について説明する。マッサージに関する情報は、制御モードに応じた制御を実行中の人体の対象部位の位置情報に関する情報を含む。
【0050】
(体型検知モード)
制御部51は、体型検知モードにより、使用者の体型を検知する。制御部51は、体型検知モードによって得られた使用者の体型に関する情報に基づいて、表示部72に表示される画像を変更する。一例では、制御部51は、制御モードに応じた制御を実行する前に体型検知モードを実行する。別の例では、制御部51は、対応する操作部71が操作されたときに、体型検知モードを実行する。
【0051】
図3に示されるように、制御部51は、ステップS11において第1調節部61を制御する。具体的には、制御部51は、座11に対する背もたれ12の背壁12Aおよびオットマン14を構成する脚支持部15の背壁15Aの角度を変更する。制御部51は、使用者の姿勢を仰臥位に近づくように第1調節部61を制御する。一例では、制御部51は、座11に対する背もたれ12の角度を20度増加させる。制御部51は、座11に対するオットマン14の角度を60度減少させる。ステップS11の終了後、制御部51は、ステップS12の処理を実行する。
【0052】
制御部51は、ステップS12において第3調節部63を制御する。具体的には、制御部51は、第1から第3移行機構の少なくとも1つを制御し、揉み玉42を背もたれ12に対して移動させることで、座11に対する使用者の肩の位置を決定する。一例では、制御部51は、揉み玉42の検出する応力の変化に基づいて、使用者の肩の位置を決定する。ステップS12の終了後、制御部51は、ステップS13の処理を実行する。
【0053】
制御部51は、ステップS13において、体型レベルを決定する。一例では、体型レベルは、0から20段階に分類される。体型レベルが0に近いほど、体型が大きいと判定する。体型レベルが20に近いほど、体型が小さいと判定する。使用者の肩の位置と体型レベルとを決定する参照テーブルは、予め記憶部52に保存される。ステップS13の終了後、制御部51は、体型検知モードを終了する。
【0054】
制御部51は、マッサージ部20を制御モードに応じて動作させる場合、少なくとも第1画像および第2画像を表示部に表示させる。第1画像は、揉み玉42のモデルを示す。第2画像は、使用者のモデルを示す。制御部51は、揉み玉42の位置に関する情報、および、使用者の体型に関する情報を基に、実際の揉み玉42と使用者との位置関係が反映されるように第1画像および第2画像の少なくとも1つを変化させる。図4および図5では、制御部51は、第1画像を変化させ、第2画像は一定に構成される構成を示す。制御部51は、第1画像を一定の大きさに表示し、第2画像を使用者の体型に関する情報をもとに変化させてもよい。
【0055】
制御部51は、第1画像として施療機構40が現在施療中の施療機構の位置情報を示す施療ポイントPを表示部72に表示する。施療ポイントPは、例えば丸型で表示される。制御部51は、施療ポイントPの大きさを使用者の体型に応じて変更する。図4は、体型レベルが0の場合の表示部72の表示を示す。表示部72に表示される施療ポイントPは、標準表示に対して小さく表示される。標準表示は、例えば体型レベルが10の場合の表示である。図5は、体型レベルが20の場合の表示部72の表示を示す。表示部72に表示される施療ポイントPは、標準表示に対して大きく表示される。
【0056】
施療機構40の移動に伴う表示部72における施療ポイントPの移動は、体型レベルに応じて異なる。表1は、制御部51が参照する体型レベルと表示部72上で施療ポイントPが1ドット移動する場合の施療機構40の移動量との対応を示すテーブルを示す。
【0057】
【表1】
【0058】
体型レベルが20に近いほど、施療ポイントPが1ドット移動する場合の施療機構40の移動量が少なく設定される。体型レベルが0に近いほど、施療ポイントPが1ドット移動する場合の施療機構40の移動量が大きく設定される。
【0059】
図6を参照して、制御モードに従って制御部51が実行する制御について説明する。
制御部51は、ステップS21において、操作部71が操作されたか否かを判定する。具体的には、制御部51は、操作部71において制御モードの実行を選択するボタンが操作され、操作信号を受け取ったか否かを判定する。操作信号を受け取ったと判定した場合、制御部51は、ステップS22の処理を実行する。操作信号を受け取っていないと判定した場合、制御部51は、ステップS21の処理を再度実行する。
【0060】
制御部51は、ステップS22において、背もたれ12の初期位置を記憶する。具体的には、座11に対する背もたれ12の背壁12Aの角度を少なくとも記憶する。ステップS22の終了後、制御部51は、ステップS23の処理を実行する。制御部51は、ステップS23において、体型検知モードを実行する。ステップS23の終了後、制御部51は、ステップS24の処理を実行する。
【0061】
制御部51は、ステップS24において、制御モードに応じてマッサージ部20を制御する。制御部51は、体型検知モードで得た使用者の体型レベルに応じた施療ポイントPを表示部72に表示する。制御部51は、ステップS25において、制御モードが終了したか否かを判定する。制御モードが終了したと判定した場合、制御部51は、ステップS26の処理を実行する。
【0062】
制御部51は、ステップS26において、終了動作を実行する。終了動作は、調節装置60を介して、背もたれ12を除くマッサージ装置1を構成する要素を初期状態に復帰させる動作を含む。一例では、終了動作は、施療機構40の移動、オットマン14の移動、および、エアバッグ30の収縮の少なくとも1つを含む。ステップS26の終了後、制御部51は、ステップS27の処理を実行する。
【0063】
制御部51は、ステップS27において、背もたれ12の位置が初期位置から変化しているか否かを判定する。具体的には、制御部51は、制御の開始前と終了後との座11に対する背もたれ12の角度が所定角度以上変化しているか否かを判定する。所定角度の一例は、30度である。初期位置から変化していると判定した場合、制御部51は、ステップS28の処理を実行する。初期位置から変化していないと判定した場合、制御部51は、制御を終了する。
【0064】
制御部51は、ステップS28において、背もたれ12の位置に関する位置情報を表示部72に出力する。背もたれ12の位置に関する位置情報は、制御モードによる制御が終了した情報および背もたれ12が初期位置に戻すことを使用者に確認する確認情報を含む。ステップS28の終了後、制御部51は、ステップS29の処理を実行する。
【0065】
制御部51は、ステップS29において、操作部71が操作されたか否かを判定する。操作部71が操作されたとき、制御部51は、背もたれ12を初期位置に復帰させる要求する情報が、応答情報に含まれていると判定する。操作部71が操作されたと判定した場合、ステップS30の処理を実行する。操作部71が操作されていないと判定した場合、制御部51は、ステップS29の処理を再度実行する。
【0066】
制御部51は、ステップS30において、背もたれ12を初期位置に戻す。ステップS30の終了後、制御部51は制御を終了する。
【0067】
(変形例)
実施の形態に関する説明は本発明に関するマッサージ装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明は実施の形態以外に例えば以下に示される実施の形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0068】
・操作装置70は、情報を入力できる入力部を備えていてもよい。入力部は、例えばタッチパネルまたはボタンにより構成された文字盤である。入力情報は、記憶部52に記憶される。制御部51は、入力情報を表示部72に表示してもよい。
【0069】
・制御部51は、所定の第1制御モードに基づいた制御を実行中に、モード選択ボタンが操作され第1制御モードとは異なる第2制御モードが選択された場合、第2制御モードに基づく制御を実行するように構成されてもよく、第2制御モードへの変更を実行しないように構成されていてもよい。
【0070】
・制御部51が実行する制御は、任意に変更できる。一例では、制御部51は、制御モードが終了したと判断した場合、ステップS27の処理を省略してステップS28の処理を実行できる。別の例では、ステップS29の判断において、操作部71の操作に代えてまたは加えて使用者が座11に着席しているか否かに基づいてもよい。この場合、座11は、荷重センサを備え、荷重が所定値以下となったときに、制御部51は、背もたれ12を初期位置に復帰させることを要求する情報が応答情報に含まれていると判定する。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明に関するマッサージ装置は、家庭用および業務用をはじめとする各種マッサージ装置に利用できる。
【符号の説明】
【0072】
1 :マッサージ装置
10 :本体部
11 :座
12 :背もたれ
12A:背壁
12B:肩壁
13 :肘掛け
13A:前腕支持部
13B:肘掛けベース
14 :オットマン
15 :脚支持部
15A:背壁
15B:側壁
16 :足支持部
16A:底壁
16B:側壁
20 :マッサージ部
30 :エアバッグ
31 :第1エアバッグ
32 :第2エアバッグ
33 :第3エアバッグ
34 :第4エアバッグ
35 :第5エアバッグ
36 :第6エアバッグ
37 :第7エアバッグ
38 :第8エアバッグ
40 :施療機構
41 :施療ブロック
42 :揉み玉
50 :制御装置
51 :制御部
52 :記憶部
60 :調節装置
61 :第1調節部
62 :第2調節部
63 :第3調節部
70 :操作装置
71 :操作部
72 :表示部
73 :接続線
80 :支持部
P :施療ポイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6