(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】電気設備用キャビネット及び電気設備
(51)【国際特許分類】
H02B 1/01 20060101AFI20230105BHJP
H02B 1/20 20060101ALI20230105BHJP
H05K 7/00 20060101ALI20230105BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20230105BHJP
【FI】
H02B1/01 B
H02B1/20 N
H05K7/00 L
H05K5/02 B
(21)【出願番号】P 2018208372
(22)【出願日】2018-11-05
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中本 篤志
(72)【発明者】
【氏名】向 泰輝
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-049502(JP,U)
【文献】特開2013-005670(JP,A)
【文献】特開平06-217424(JP,A)
【文献】特開2012-204707(JP,A)
【文献】実開平05-074103(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/01
H02B 1/20
H05K 7/00
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品を収容する筐体と、
前記筐体の下面から下方に突出し、前記筐体を支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、
電線が挿入される電線挿入部が設けられた外側面を有し、
前記下面は、前記外側面の法線方向において、前記外側面に隣合う端部を有し、
前記下面に直交する方向から見て、前記外側面は、前記端部よりも前記下面の中心側に配置されており、
前記外側面は第1外側面であって、
前記支持部材は、前記第1外側面とは異なり、開口した第2外側面を更に有し、
前記支持部材は、
前記第2外側面に取り外し可能に取り付けられるカバー部材
と、
互いに間隔を空けて配置され、前記筐体を支持する一対の分離支持部と、を有し、
前記一対の分離支持部の各々の外側主面は、前記第1外側面であり、
前記一対の分離支持部の各々の前記外側主面の同側の側辺の間の開口は、前記第2外側面であり、
前記カバー部材は、前記一対の分離支持部の間に跨るようにして前記第2外側面に取り外し可能に取り付けられる、
電気設備用キャビネット。
【請求項2】
前記電線挿入部は第1電線挿入部であって、
前記カバー部材は、電線が挿入される第2電線挿入部を有する、
請求項1に記載の電気設備用キャビネット。
【請求項3】
前記端部は第1端部であって、
前記下面は、前記カバー部材の外側の主面である外側主面の法線方向において、前記外側主面に隣合う第2端部を有し、
前記下面に直交する方向から見て、前記カバー部材の前記外側主面は、前記第2端部よりも前記下面の中心側に配置されている、
請求項2に記載の電気設備用キャビネット。
【請求項4】
前記支持部材は、
前記外側面の上端部から前記外側面の法線方向に延び、前記下面に接触する延設部を有する、
請求項1~
3の何れか1項に記載の電気設備用キャビネット。
【請求項5】
前記支持部材は、
前記外側面の下端部から前記外側面の法線方向に延び、前記支持部材が配置される配置面に固定される固定部を有する、
請求項1~
4の何れか1項に記載の電気設備用キャビネット。
【請求項6】
前記筐体の内部において前記筐体の内部の天井面から離れて配置された板部を更に備え、
前記板部は、水平面に対して傾斜し、
前記板部の傾斜方向の下端部は、前記筐体の内側面と間隔を空けて配置されている、
請求項1~
5の何れか1項に記載の電気設備用キャビネット。
【請求項7】
前記筐体は、前記下面に前記電線が挿入される貫通孔を有する、
請求項1~
6の何れか1項に記載の電気設備用キャビネット。
【請求項8】
請求項1~
7の何れか1項に記載の電気設備用キャビネットと、
前記電気部品と、を備える、
電気設備
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電気設備用キャビネット及び電気設備に関し、より詳細には、電気部品を収容する筐体を支持する支持部材を備える電気設備用キャビネット及び電気設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の電気設備は、コンソール(筐体)と、チャンネルベース(支持部材)とを備えている。チャンネルベースは、コンソールと床との間に配置され、コンソールを支持する。チャンネルベースの外側面には、ケーブル(電線)をチャンネルベースの内部から外部に取り出すためのケーブル取出穴(電線挿入部)が設けられている。チャンネルベースの外側面は、コンソールの外側面と面一である。
【0003】
この電気設備では、ケーブルは、コンソールからチャンネルベースの内部を通ってケーブル取出穴からチャンネルベースの外部に取り出される。取り出されたケーブルは、チャンネルベースの外側面に沿って周囲に配置される。なお、このような電気設備では、ケーブル取出穴に配管が接続され、配管を通じて、ケーブルが外部に取り出される場合がある。この場合は、配管がチャンネルベースの周囲に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の電気設備では、チャンネルベースの外側面がコンソールの外側面と面一であるため、配管又はケーブル(以下、配管等と記載する。)の配置スペースは、コンソールの外側面よりも外側に配置される。この結果、電気設備を配置するとき、電気設備の配置スペースの他に、配管等の配置スペースを別に確保する必要があり、電気設備の配置スペース及び配管等の配置スペースを含む全体の配置スペースが大きくなるという欠点がある。
【0006】
本開示は、上記事由に鑑みて、電気設備及び電気設備の周囲に配置される配管等を含む全体の配置スペースを低減できる、電気設備用キャビネット及び電気設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る電気設備用キャビネットは、筐体と、支持部材と、を備えている。前記筐体は、電気部品を収容する。前記支持部材は、前記筐体の下面から下方に突出し、前記筐体を支持する。前記支持部材は、外側面を有する。前記外側面には、電線が挿入される電線挿入部が設けられている。前記下面は、前記外側面の法線方向において、前記外側面と隣合う端部を有する。前記下面に直交する方向から見て、前記外側面は、前記端部よりも前記下面の中心側に配置されている。前記外側面は第1外側面である。前記支持部材は、前記第1外側面とは異なり、開口した第2外側面を更に有する。前記支持部材は、前記第2外側面に取り外し可能に取り付けられるカバー部材と、互いに間隔を空けて配置され、前記筐体を支持する一対の分離支持部と、を有する。前記一対の分離支持部の各々の外側主面は、前記第1外側面である。前記一対の分離支持部の各々の前記外側主面の同側の側辺の間の開口は、前記第2外側面である。前記カバー部材は、前記一対の分離支持部の間に跨るようにして前記第2外側面に取り外し可能に取り付けられる。
【0008】
本開示の一態様に係る電気設備は、前記電気設備用キャビネットと、前記電気部品と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、電気設備及び電気設備の周囲に配置される配管等を含む全体の配置スペースを低減できる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電気設備を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の電気設備を蓋体を外した状態で示す斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の電気設備の排水キャップを示す斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の電気設備の支持部材の分解状態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の電気設備を下側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、変形例1に係る電気設備の断面を示す断面図である。
【
図7】
図7は、変形例2に係る電気設備の支持部材の分解状態を示す断面図である。
【
図8】
図8Aは、変形例3に係る電気設備の支持部材の一例を示す正面図である。
図8Bは、変形例3に係る電気設備の支持部材の別の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る電気設備について説明する。下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の例に過ぎない。また、下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、以下の説明における前後、左右、上下の方向は、説明のために便宜上使用しているに過ぎず、実施形態に係る電気設備の使用方向を規定する趣旨ではない。
【0012】
図1~
図5を参照して、本実施形態に係る電気設備1について説明する。
【0013】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る電気設備1は、例えば屋外に設置され、電気部品3を収容した設備である。電気設備1は、キャビネット2(電気設備用キャビネット)と、電気部品3とを備えている。キャビネット2は、電気部品3を収容する部材である。
【0014】
キャビネット2は、筐体4と、支持部材9とを備えている。
【0015】
筐体4は、
図2に示すように、電気部品3を収容する部材である。筐体4は、前面に開口5aを有する箱状の本体5と、本体5の前面の開口5aを開閉可能に塞ぐ蓋体6と、複数(例えば2つ)の排水キャップ7と、複数(例えば2つ)の閉塞キャップ8とを備えている。本体5及び蓋体6は、何れも鋼板などの金属板から形成されている。
【0016】
本体5は、例えば直方体形の箱状であり、前壁部51、後壁部52、左壁部53、右壁部54、上壁部55及び下壁部56を有する。前壁部51、後壁部52、左壁部53、右壁部54、上壁部55及び下壁部56はそれぞれ、例えば矩形の板状である。前壁部51は、開口51aを有する。開口51aは、矩形状であり、前壁部51の外周縁を残して前壁部51の中央を開口する。
【0017】
また、本体5は、
図2に示すように、周壁57と、外鍔58とを有する。周壁57は、前壁部51の開口51aの周縁から前方に突出している。周壁57は、開口51aの周縁の全周にわたって設けられている。外鍔58は、周壁57の前端から周壁57の外周側に突出している。すなわち、外鍔58は、周壁57の高さ分の距離を空けて前壁部51と対向している。外鍔58における上辺部の左右両端部及び下辺部の左右両端部には、ねじ孔58aが設けられている。ねじ孔58aの内周面には、ねじ溝が設けられている。
【0018】
また、本体5の下壁部56は、複数(例えば2つ)の電線挿入孔56bと、複数(例えば2つ)の排水孔56aとを有する。すなわち、筐体4は、下面4aに、複数(例えば2つ)の電線挿入孔56bと、複数(例えば2つ)の排水孔56aとを有する。
電線挿入孔56bは、電線を本体5の外部から内部に挿入するための貫通孔である。複数の電線挿入孔56bは、例えば、下壁部56の右前部分において、左右方向に並んで配置されている。排水孔56aは、本体5の内部に侵入した雨水などを、本体5の内部から外部に排出する貫通孔である。複数の排水孔56aは、例えば、下壁部56の左前角部付近及び右後角部付近に、1つずつ設けられている。
【0019】
複数の排水キャップ7は、複数の排水孔56aを塞ぐ部材である。排水キャップ7は、排水孔56aに取り外し可能に装着されている。排水キャップ7は、必要に応じて排水孔56aに装着される。各排水キャップ7は、例えば本体5の外側から、排水孔56aに装着される。排水キャップ7は、ゴム弾性を有する部材(例えばエラストマー)で形成されている。
【0020】
排水キャップ7は、
図3に示すように、基板部7aと、筒部7bと、排水溝7cとを有する。基板部7aは、排水孔56aよりも一回り大きい円形の板状である。筒部7bは、排水孔56aに挿入される部分であり、例えば円筒状であり、排水孔56aの直径と同じ大きさの外径を有する。筒部7bは、基板部7aの上面の中央から上方に立ち上がるように設けられている。排水溝7cは、本体5の内部の水分を本体5の内部から外部に排水する溝である。排水溝7cは、縦溝部7dと、横溝部7eとを有する。縦溝部7dは、筒部7bの外周面において、筒部7bの筒軸に沿って筒部7bの上端部から下端部まで設けられている。横溝部7eは、基板部7aの上面において、基板部7aの径方向に沿って縦溝部7dの下端部から基板部7aの外周端まで設けられている。
【0021】
排水キャップ7は、下壁部56の下側から排水孔56aに装着される。この装着状態では、排水キャップ7は排水孔56aを塞ぐ。ただし、排水キャップ7の排水溝7cの上端部7fは、本体5の内部空間と繋がり、排水溝7cの下端部7gは、本体5の外側の空間と繋がる。このため、排水キャップ7が排水孔56aに装着された状態でも、排水溝7cを通じて、本体5の内部の水分を本体5の外部に排水可能である。
【0022】
複数の閉塞キャップ8は、複数の電線挿入孔56bを塞ぐ部材である。閉塞キャップ8は、電線挿入孔56bに取り外し可能に装着されている。閉塞キャップ8は、例えば本体5の外側から電線挿入孔56bに装着される。閉塞キャップ8は、必要に応じて電線挿入孔56bに装着される。閉塞キャップ8は、ゴム弾性を有する部材(例えばエラストマー)で形成されている。
【0023】
本体5の内部には、
図2に示すように、複数の電気部品3が収容されている。複数の電気部品3は、例えば、変圧器31、端子台32、ブレーカ33、電線固定部材34及び取付台35である。変圧器31は、入力電圧を変圧(昇圧又は降圧)して出力する。端子台32は、電線挿入孔56bから本体5の内部に挿入された電線が電気的に接続される部品である。ブレーカ33は、ブレーカ33内の電路を開状態又は閉状態に切り替える部品である。電線固定部材34は、電線挿入孔56bから本体5の内部に挿入された電線を固定する部材である。取付台35は、端子台32及びブレーカ33を本体5に固定する部材である。変圧器31、端子台32及びブレーカ33は、所定の接続関係となるように電気的に接続されている。例えば、変圧器31、端子台32及びブレーカ33は、入力用の端子台32、ブレーカ33,変圧器31及び出力用の端子台32の順に接続されてもよいし、あるいは、入力用の端子台32、変圧器31、ブレーカ33及び出力用の端子台32の順に接続されてもよい。
【0024】
変圧器31は、例えば、本体5の内部空間の左半部分の下壁部56付近に配置されている。すなわち、変圧器31のような重い部品は、安定性の観点から下壁部56付近に配置されている。その際、電線挿入孔56bと干渉しないように、本体5の内部空間のうち、電線挿入孔56bの配置とは反対側の左半部分に配置されている。変圧器31と下壁部56との間には隙間が確保されており、変圧器31と後壁部52との間にも隙間が確保されている。変圧器31は、下壁部56及び後壁部52に固定されている。
【0025】
端子台32及びブレーカ33は、取付台35に取り付けられている。取付台35は、前面パネル35aと、複数の脚部35bとを有する。複数の脚部35bは、前面パネル35aを後壁部52の前面(より詳細には前面の右半部分の上部)に固定する。前面パネル35aと後壁部52との間には、間隔が確保されている。前面パネル35aは、上側領域35cと下側領域35dとを有する。上側領域35cは、後壁部52に対して平行であり、下側領域35dは、前方斜め下方向を向くように、後壁部52に対して傾斜している。
【0026】
端子台32は、前面パネル35aの下側領域35dの前面に取り付けられている。端子台32は、例えば2つ設けられており、2つの端子台32は、左右に並んでいる。端子台32は、例えば、速結端子台であり、例えば3本の電線接続孔32aを有する。電線接続孔32aに電線の先端部が挿入されると、電線と端子台32とが電気的に接続される。端子台32は、下壁部56の電線挿入孔56bの上方に配置されている。下側領域35dが前方斜め下方向に向けられていることで、端子台32の電線接続孔32aの中心軸が前方斜め下方向に向けられている。これにより、電線を端子台32の下側から電線接続孔32aに容易に挿入できる。
【0027】
ブレーカ33は、前面パネル35aの上側領域35c(すなわち端子台32の上側の空きスペース)に取り付けられている。より詳細には、ブレーカ33は、前面パネル35aの後面側に配置され、上側領域35cの開口35eから前方に露出している。
【0028】
電線固定部材34は、下壁部56の上面において、電線挿入孔56bの後側に配置されている。電線固定部材34は、固定部材本体34aと、2つの脚部34bとを有する。固定部材本体34aは、例えば左右方向(電線挿入孔56bの並び方向)に延びた細長形状である。2つの脚部34bは、固定部材本体34aの左右両端部から下方向に延びており、下壁部56の上面に固定されている。固定部材本体34aには、複数の貫通孔34cが設けられている。複数の貫通孔34cは、前後方向に貫通しており、固定部材本体34aの長手方向に沿って互いに間隔を空けて並んでいる。
【0029】
この電線固定部材34では、複数の貫通孔34cのうち、例えば隣接する2つの貫通孔34cに結束バンドが通される。その結束バンドによって、下壁部56の電線挿入孔56bからの電線が固定部材本体34aに固定される。電線固定部材34に固定された電線の先端部は、端子台32に電気的に接続される。上記の電線が電線固定部材34に固定されることで、上記の電線の荷重で、上記の電線が端子台33から外れることを抑制できる。
【0030】
蓋体6は、
図1に示すように、前パネル61と、上側壁62及び下側壁63とを有する。前パネル61は、本体5の開口51aを覆う部分である。上側壁62は、前パネル61の上端から後方に突出する部分である。下側壁63は、前パネル61の下端から後方に突出する部分である。前パネル61の左端61a及び右端61bは、例えば、円弧状に後方に湾曲している。前パネル61の左端61aの上下両端はそれぞれ、上側壁62の左端及び下側壁63の左端に繋がり、前パネル61の右端の上下両端はそれぞれ、上側壁62の右端及び下側壁63の右端に繋がっている。
【0031】
蓋体6は、4つの貫通孔6aを有する。4つの貫通孔6aは、前パネル61の4つの角部の付近に設けられている。すなわち、4つの貫通孔6aは、蓋体6の外鍔58の4つのねじ孔58aに対応した位置に設けられている。ねじN1が、前パネル61の前側から貫通孔6aを通って、その貫通孔6aに対応するねじ孔58aにねじ込まれる。これにより、蓋体6が本体5の前壁部51の前面に固定される。すなわち、前壁部51の開口51aが蓋体6で塞がれる。蓋体6は、ねじN1をねじ孔58aから外すことで、本体5から取り外すことが可能である。すなわち、蓋体6は、取り外し可能に本体5に取り付けられている。
【0032】
支持部材9は、
図1及び
図4に示すように、筐体4の下面4aから下方に突出している。支持部材9は、一対の分離支持部91と、前面カバー92と、後面カバー93とを有する。
【0033】
一対の分離支持部91、前面カバー92及び後面カバー93は何れも、例えば、筐体4よりも耐食性の高い材料(例えばステンレス)で形成されている。なお、一対の分離支持部91、前面カバー92及び後面カバー93は、筐体4と同じ金属で形成され、その表面に、筐体4よりも耐食性の高い部材でメッキが施されてもよい。
【0034】
一対の分離支持部91は、筐体4の下面(すなわち下壁部56の下面)4aを支持する部材である。一対の分離支持部91は、下面4aの長手方向(左右方向)に互いに間隔を空けて配置されている。一対の分離支持部91は、下面4aの長手方向の両端付近に配置されている。一対の分離支持部91は、例えば、互いに鏡像対称となる形に形成されている。以下、一対の分離支持部91のうち、左側の分離支持部91を分離支持部91Lとも記載し、右側の分離支持部91を分離支持部91Rとも記載する。
【0035】
一対の分離支持部91の各々は、
図4に示すように、支持部本体95と、延設部96と、固定部97とを有する。
【0036】
支持部本体95は、例えば矩形の板状である。支持部本体95の外側主面95a(外側面、第1外側面)は、一対の分離支持部91の対向方向(左右方向)の外側を向いている。なお、支持部本体95の外側主面95aは、支持部本体95の両側の主面のうちの外側の主面である。一対の分離支持部91の対向方向とは、一対の分離支持部91が互いに対向する方向である。すなわち、左側の分離支持部91Lの外側主面95aは、左方向を向いており、右側の分離支持部91Rの外側主面95aは、右方向を向いている。一対の分離支持部91の各々の外側主面95aは、例えば、筐体4の下面4aに対して垂直である。
【0037】
支持部本体95は、複数(例えば2つ)の電線挿入部95b(第1電線挿入部)を有する。電線挿入部95bは、電線が挿入される部分であり、また、電線挿入部95bに挿入される電線が通される配管の一端部が接続される部分である。複数の電線挿入部95bは、支持部本体95の外側主面95aにおいて、横幅方向に並んでいる。
【0038】
電線挿入部95bは、例えばノックアウト孔である。より詳細には、電線挿入部95bは、ノックアウト部95cを有する。ノックアウト部95cは、機械的衝撃(ノックアウト)を加えると支持部本体95から外れる部分である。ノックアウト部95cは、支持部本体95と一体的に形成されている。ノックアウト部95cの輪郭95dには、その輪郭95dの全体にわたって、例えば溝又は切り込みが設けられている。ノックアウト部95cに強い衝撃が加えられると、ノックアウト部95cがその輪郭95dに沿って切り取られ、輪郭95dの内側に貫通孔が形成される。この貫通孔は、支持部本体95の厚さ方向に貫通している。この貫通孔が、電線が挿入される孔又は配管が接続される孔として機能する。ノックアウト孔である電線挿入部95bは、必要に応じてノックアウト部95cを切り外して貫通孔にされて用いられる。電線挿入部95bはノックアウト孔であるため、必要に応じてノックアウトで孔を空けて用いられる。このため、コストを削減できる。また、電線挿入部95bはノックアウト孔であるため、簡単に孔を空けることができる。
【0039】
延設部96は、筐体4の下面4aに接触する部分である。延設部96は、支持部本体95の上辺部(上端部)から支持部本体95の外側主面95aの法線方向(一対の分離支持部9の対向方向の外側)に延びている。すなわち、左側の分離支持部91Lの延設部96は、左方向に延び、右側の分離支持部91Rの延設部96は、右方向に延びている。延設部96は、例えば、支持部本体95の外側主面95aに直交している。延設部96は、支持部本体95の上辺部の全体にわたって設けられている。
【0040】
延設部96は、複数(例えば2つ)の貫通孔96aを有する。貫通孔96aは、延設部96を筐体4の下面4aに固定するためのねじN2が挿入される孔である。複数の貫通孔96aは、例えば、延設部96の長手方向(前後方向)の両端部付近に設けられている。貫通孔96aに挿入されたねじN2が筐体4の下面4aのねじ孔にねじ込まれることで、延設部96は、筐体4の下面4aに固定される。すなわち、一対の分離支持部91が筐体4の下面4aに固定される。
【0041】
延設部96は、延設部96の上面が筐体4の下面4aに接触するように、筐体4の下面4aにねじで固定される。このように、延設部96によって支持部材9と筐体4の下面4aとの間の接触部分が確保されるため、支持部材9は、筐体4を安定して支持できる。その際、延設部96は支持部本体95の上辺部から支持部本体95の外側主面95aが対向する方向に延びている。このため、一対の分離支持部91の各々の延設部96の間の間隔を極力大きく確保でき、これにより、一対の分離支持部91は、筐体4を一層安定して支持できる。
【0042】
固定部97は、電気設備1が配置される配置面に固定される部分である。固定部97は、支持部本体95の下辺部(下端部)から支持部本体95の外側主面95aの法線方向(一対の分離支持部91の対向方向の外側)に延びている。すなわち、左側の分離支持部91Lの固定部97は、左方向に延び、右側の分離支持部91Rの固定部97は、右方向に延びている。固定部97は、例えば、支持部本体95の外側主面95aに直交している。固定部97は、支持部本体95の下辺部の全体にわたって設けられている。
【0043】
固定部97は、複数(例えば2つ)の貫通孔97aを有する。貫通孔97aは、固定部97を上記の配置面に固定するためのねじが挿入される孔である。複数の貫通孔97aは、固定部97の長手方向(前後方向)の両端部の付近に設けられている。貫通孔97aは、例えば、固定部97の長手方向に延びた長孔である。貫通孔97aの開口面の長手方向(前後方向)の一端部は、固定部97の長手方向(前後方向)の端部で開放している。貫通孔97aに挿入されたねじが上記の配置面のねじ孔にねじ込まれることで、固定部97は、上記の配置面に固定される。すなわち、一対の分離支持部91が上記の配置面に固定される。
【0044】
固定部97は、固定部97の下面が上記の配置面に接触するように、上記の配置面にねじで固定される。このように、固定部97によって支持部材9が上記の配置面に固定されるため、支持部材9を安定して上記の配置面に配置できる。その際、固定部97は支持部本体95の下辺部から支持部本体95の外側主面95aが対向する方向に延びているため、一対の分離支持部91の各々の固定部97の間の間隔を極力大きく確保でき、これにより、支持部材9は、上記の配置面に一層安定して配置できる。
【0045】
このように構成された一対の分離支持部91(支持部材9)では、
図5に示すように、筐体4の下面4aに直交する方向から見て、左側の分離支持部91Lの支持部本体95の外側主面95a(外側面)は、下面4aの左辺4L(端部)よりも下面4aの中心側に配置されている。これにより、左側の分離支持部91Lの外側主面95aと左辺4Lとの間のスペースS1を、左側の分離支持部91Lの電線挿入部95bに挿入される電線又は電線挿入部95bに接続される配管の配置スペースとして利用できる。なお、下面4aの左辺4Lは、左側の分離支持部91Lの外側主面95aの法線方向(左方向)において、下面4aにおける、左側の分離支持部91Lの外側主面95aと隣合う端部である。
【0046】
同様に、筐体4の下面4aに直交する方向から見て、右側の分離支持部91Rの外側主面95a(外側面)は、下面4aの右辺4R(端部)よりも下面4aの中心側に配置されている。これにより、右側の分離支持部91Rの外側主面95aと右辺4Rとの間のスペースS2を、右側の分離支持部91の電線挿入部95bに挿入される電線又は電線挿入部95bに接続される配管の配置スペースとして利用できる。なお、下面4aの右辺4Rは、右側の分離支持部91Rの外側主面95aの法線方向(右方向)において、下面4aにおける、右側の分離支持部91の外側主面95aと隣合う端部である。
【0047】
支持部材9は、
図4に示すように、2つの外側面99L,99R(第1外側面)と、開口前面99F(第2外側面)99Fと、開口後面99K(第2外側面)とを有する。
【0048】
2つの外側面99L,99Rは、一対の分離支持部91の各々の外側主面95aで構成されている。すなわち、左側の外側面99Lは、左側の分離支持部91Lの外側主面95aで構成され、右側の外側面99Rは、右側の分離支持部91Rの外側主面95aで構成されている。開口前面99Fは、一対の分離支持部91の各々の支持部本体95の前縁の間の開口である。開口後面99Kは、一対の分離支持部91の各々の支持部本体95の後縁の間の開口である。開口前面99F及び開口後面99Kは、2つの外側面99L,99Rと異なる外側面である。
【0049】
前面カバー92は、
図4に示すように、支持部材9の開口前面99Fを塞ぐ部材であり、開口前面99Fに取り外し可能に取り付けられている。前面カバー92は、カバー本体92H、左壁部92L、右壁部92R、上壁部92U及び下壁部92Dを有する。カバー本体92Hは、開口前面99Fと同形同大の矩形の板状である。左壁部92L、右壁部92R、上壁部92U及び下壁部92Dはそれぞれ、カバー本体92Hの左辺、右辺、上辺及び下辺から後方に延びている。左壁部92L、右壁部92R、上壁部92U及び下壁部92Dによって、前面カバー92の強度が向上されている。
【0050】
左壁部92L及び右壁部92Rはそれぞれ、複数(例えば2つ)の貫通孔92aを有する。左壁部92Lの貫通孔92aは、左壁部92Lを左側の分離支持部91Lの外側主面95aの前縁に固定するためのねじが挿入される孔である。右壁部92Rの貫通孔92aは、右壁部92Rを右側の分離支持部91Rの外側主面95aの前縁に固定するためのねじが挿入される孔である。なお、一対の分離支持部91の各々の外側主面95aの前縁には、上記のねじがねじ込まれるねじ孔95eが設けられている。
【0051】
このように構成された前面カバー92は、
図1に示すように、一対の分離支持部91の各々の前辺の間に跨るように配置される。この状態では、カバー本体92Hが開口前面99Fを塞ぐ。また、前面カバー92の左壁部92Lは、左側の分離支持部91Lの外側主面95aの前縁に重なり、前面カバー92の右壁部92Rは、右側の分離支持部91Rの外側主面95aの前縁に重なる。この状態で、ねじN3が、左壁部92Lの貫通孔92a(
図4参照)に挿入されて左側の分離支持部91Lのねじ孔95e(
図4参照)にねじ込まれる。同様に、ねじが、右壁部92Rの貫通孔92aに挿入されて右側の分離支持部91Rのねじ孔95eにねじ込まれる。これにより、前面カバー92が開口前面99Fに固定される。なお、ねじN3をねじ孔95eから外すことで、前面カバー92を開口前面99Fから外すことができる。すなわち、前面カバー92は、取り外し可能に開口前面99Fに取り付けられている。
【0052】
後面カバー93は、
図4に示すように、支持部材9の開口後面99Kを塞ぐ部材であり、開口後面99Kに取り外し可能に取り付けられている。後面カバー93は、カバー本体93H、上壁部93U及び下壁部93Dを有する。カバー本体93Hは、開口後面99Kと同形同大の矩形の板状である。上壁部93U及び下壁部93Dはそれぞれ、カバー本体93Hの上辺及び下辺から後方に延びている。上壁部93U及び下壁部93Dによって、後面カバー93の強度が向上されている。
【0053】
カバー本体93Hは、複数の貫通孔93aと、複数(例えば2つの)の電線挿入部93b(第2電線挿入部)とを有する。
【0054】
複数の貫通孔93aは、後面カバー93を一対の分離支持部91に固定するためのねじが挿入される孔である。複数の貫通孔93aは、後面カバー93の左縁の上下両端部付近、及び、後面カバー93の右縁の上下両端部付近に設けられている。
【0055】
なお、一対の分離支持部91の各々の支持部本体95は、後面カバー93が固定される複数(例えば2つ)の固定片95fを有する。複数の固定片95fは、支持部本体95の内側主面95hからその内側主面95hが対向する方向に突出している。すなわち、左側の分離支持部91Lの支持部本体95の固定片95fは、支持部本体95の内側主面95hから右方向に突出し、右側の分離支持部91Rの支持部本体95の固定片95fは、支持部本体95の内側主面95hから左方向に突出している。なお、支持部本体95の内側主面95hは、支持部本体95の両側の主面のうちの内側の主面である。
【0056】
複数の固定片95fは、支持部本体95の後辺よりも前側に配置されている。また、複数の固定片95fは、支持部本体95の後辺の長手方向(上下方向)に沿って配置されている。複数の固定片95fの各々は、例えば、支持部本体95から片状に切り出され、その片状の部分が内側に折り曲げられることで、形成されている。固定片95fは、ねじ孔95gを有する。ねじ孔95gは、後面カバー93を固定するためのねじがねじ込まれるねじ孔である。
【0057】
電線挿入部93bは、電線が挿入される部分であり、また、電線挿入部93bに挿入される電線が通される配管の一端部が接続される部分である。複数の電線挿入部93bは、後面カバー93のカバー本体93Hにおいて、横幅方向(左右方向)に並んでいる。電線挿入部93bは、例えばノックアウト孔である。ノックアウト孔は、電線挿入部95bで説明したノックアウト孔と同様に構成されている。ノックアウト孔である電線挿入部93bは、必要に応じてノックアウト部を切り外して貫通孔にされて用いられる。
【0058】
このように構成された後面カバー93は、
図1に示すように、一対の分離支持部91の間において、一対の分離支持部91の各々の固定片95fの後面に当接するように配置される。この状態では、カバー本体93Hが開口後面99Kを塞ぐ。この状態で、ねじN4が、カバー本体93Hの貫通孔93a(
図4参照)に挿入されて固定片95fのねじ孔95gにねじ込まれる。これにより、後面カバー93が開口後面99Kに固定される。なお、ねじN4をねじ孔95gから外すことで、後面カバー93を開口後面99Kから外すことができる。すなわち、後面カバー93は、取り外し可能に開口後面99Kに取り付けられている。
【0059】
また、
図5に示すように、筐体4の下面4aに直交する方向から見て、後面カバー93の外側主面(後面)93cは、下面4aの後辺4K(端部)よりも下面4aの中心側に配置されている。これにより、外側主面93cと後辺4Kとの間のスペースS3を、電線挿入部93bに挿入される電線又は電線挿入部93bに接続される配管の配置スペースとして利用できる。なお、下面4aの後辺4Kは、後面カバー93の外側主面(後面)93cの法線方向(後方向)において、下面4aにおける後面カバー93の外側主面93cと隣合う端部である。
【0060】
この電気設備1では、支持部材9の電線挿入部95b,93bが、必要に応じて、機械的衝撃を与えられることで貫通孔にされる。また、筐体4の下面4aの電線挿入孔56bから必要に応じて閉塞キャップ8が取りはずされる。そして、電線が電線挿入部95b又は93bを通じて支持部材9の外部から内部に挿入されて筐体4の下面4aの電線挿入孔56bから筐体4の内部に挿入される。そして、電線の端部が端子台32に電気的に接続される。また、その電線が電線固定部材34に結束バンドで固定される。
【0061】
そして、電線挿入部95bに挿入された電線のうち電気設備1の外側に引き出された部分は、支持部材9の外側主面95aの周囲に配置される。その際、その引き出された部分は、外側主面95aと、筐体4の底面4aにおける外側主面95aとの対向する部分(左辺4L又は右辺4R)との間のスペースS1,S2を利用して配置される。また、電線挿入部95bに上記の電線を通す配管が接続され、その配管が屈曲されて外側主面95aに沿って配置されてもよい。この場合は、スペースS1,S2を利用して上記の配管を配置できる。これにより、電気設備1の設置スペース、及び、上記の電線又は上記の配管の配置スペースを含む全体の配置スペースを低減できる。
【0062】
同様に、電線挿入部93bに挿入された電線のうち電気設備1の外側に引き出された部分は、支持部材9の後面93cの周囲に配置される。その際、その引き出された部分は、後面93cと、筐体4の底面4aにおける後面93cとの対向する部分(後辺4K)との間のスペースS3を利用して配置される。また、電線挿入部93bに上記の電線を通す配管が接続され、その配管が屈曲されて後面93cに沿って配置されてもよい。この場合は、スペースS3を利用して上記の配管を配置できる。これにより、電気設備1の設置スペース、及び、上記の電線又は上記の配管の配置スペースを含む全体の配置スペースを低減できる。
【0063】
(変形例)
以下、上記の実施形態の変形例を説明する。以下の変形例は、組み合わせて実施されてもよい。なお、以下の変形例の説明では、上記の実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明を省略する場合がある。
【0064】
(変形例1)
上記の実施形態において、
図6に示すように、庇部100(板部)が更に備えられもよい。庇部100は、筐体4の天井面4dから落ちる水滴を、電気部品3を避けて、筐体4の底面(下壁部56の上面)4bに誘導する部材である。庇部100は、筐体4の内部空間において、変圧器31及び取付台35の上側のスペースに配置される。庇部100は、例えば鋼板又はステンレスなどの金属で形成されている。
【0065】
庇部100は、庇本体101と、上側固定部102と、下側固定部103とを有する。庇本体101は、筐体4の天井面4dと同程度の大きさの例えば矩形の板状(例えば平板状)である。庇本体101は、筐体4の内部の天井面4dから離れて配置されている。庇本体101は、水平面に対して傾斜している。本実施形態では、庇本体101は、後ろ斜め下方向に傾斜している。庇本体101は、筐体4の内部空間の上側のスペースにおいて、下壁部56に直交する方向から見て、変圧器31、端子台32及びブレーカ33を覆っている。
【0066】
上側固定部102及び下側固定部103は、筐体4に固定される部分である。上側固定部102及び下側固定部103はそれぞれ、例えば矩形の板状である。上側固定部102は、庇本体101の上辺から上方に延びている。上側固定部102は、例えば、庇本体101の上辺全体にわたって設けられている。上側固定部102の前面は、筐体4の前壁部51の内側主面の上縁に接触している。この状態で、上側固定部102は、ねじ等で前壁部51に固定されている。
【0067】
下側固定部103は、庇本体101の下辺から下方に延びている。下側固定部103は、例えば、庇本体101の下辺101a全体にわたって設けられている。庇本体101の下辺101a及び下側固定部103は、筐体4の後壁部52と間隔を空けて配置されている。この状態で、下側固定部103は、棒状の取付部材104で後壁部52に固定されている。下側固定部103は、庇部100の傾斜方向の端部である。
【0068】
この庇部100では、筐体4の天井面4dから落ちた水滴は、庇本体101の上面に当たり、庇本体101の上面を庇本体101の下辺側に向かって流れる。そして、水滴は、下側固定部103と後壁部52との間を通って、筐体4の底面4bに落ちる。これにより、天井面4dから落ちた水滴が電気部品3(変圧器31、端子台32及びブレーカ33)に降りかかることを低減できる。筐体4の底面4bに落ちた水滴は、排水キャップ7(
図1参照)が外されている場合は、下壁部56の排水孔56a(
図1参照)から筐体4の外部に排出される。また、排水キャップ7が外されていない場合は、排水キャップ7の排水溝7c(
図3参照)から筐体4の外部に排出される。
【0069】
なお、この変形例では、庇部100は、後ろ斜め下方向に傾斜するが、庇部100が傾斜する方向は、後ろ斜め下方向に限定されない。庇部100が傾斜する方向は、例えば、前斜め下方向でもよいし、左斜め下方向でもよいし、右斜め下方向でもよい。
【0070】
(変形例2)
本変形例は、
図7に示すように、上記の実施形態と比べて、前面カバー92と支持部材9との取付構造が異なっている。すなわち、本変形例の前面カバー92は、上記の実施形態の前面カバー92において、左壁部92L及び右壁部92Rの貫通孔92aが省略されている。
【0071】
また、本変形例の前面カバー92は、上記の実施形態において、2つの貫通孔92bと、2つの引掛片92cと、2つの切欠部92dとを更に有する。2つの貫通孔92bは、例えば、カバー本体92Hの左縁上部及び右縁上部に設けられている。2つの切欠部92dは、例えば、矩形状であり、カバー本体92Hの左下角部及び右下角部に設けられている。2つの引掛片92cは、2つの切欠部92dに設けられている。すなわち、各引掛片92cは、切欠部92dの上辺から後方に段状に曲がり、下方に延びている。
【0072】
また、本変形例の一対の分離支持部91は、上記の実施形態の一対の分離支持部91において、ねじ孔95eが省略されている。また、本変形例の一対の分離支持部91は、上記の実施形態の一対の分離支持部91において、固定壁105を更に有する。固定壁105は、一対の分離支持部91の各々の支持部本体95に設けられている。固定壁105は、支持部本体95の前辺から支持部本体95の内側主面95hが対向する方向に延びている。また、固定壁105は、例えば、支持部本体95の前辺全体にわたって設けられている。
【0073】
固定壁105は、ねじ孔105aと、切欠部105bとを有する。ねじ孔105aは、固定壁105の上部(すなわちカバー本体92Hの貫通孔92bに対応する位置)に設けられている。切欠部105bは、固定壁105の下部(すなわちカバー本体92Hの引掛片92cに対応する位置)に設けられている。
【0074】
この変形例では、カバー本体92Hの2つの引掛片92cが、前側から、一対の分離支持部91の各々の固定壁105の切欠部105bに差し込まれて、切欠部105bの下縁の後側に引っ掛けられる。そして、カバー本体92Hの左縁及び右縁がそれぞれ、一対の分離支持部91の各々の固定壁105の前面に重ねられる。この状態で、ねじがカバー本体92Hの貫通孔92bを通って固定壁105のねじ孔105aにねじ込まれる。これにより、前面カバー92が開口前面99Fに取り付けられる。なお、ねじをねじ孔105aから外して、引掛片92cを切欠部105bから外すことで、前面カバー92を開口前面99Fから取り外すことができる。
【0075】
なお、本変形例において、貫通孔92bの位置は、カバー本体92Hの左右縁の上部に限定されず、例えば、カバー本体92Hの左右縁の下部に設けられてもよい。切欠部92d及び引掛片92cの位置は、カバー本体92Hの左右縁の下部に限定されず、例えば、カバー本体92Hの左右縁の上部でもよい。また、ねじ孔105aの位置は、固定壁105の上部に限定されず、例えば固定壁105の下部でもよい。切欠部105bの位置は、固定壁105の下部に限定されず、例えば、固定壁105の上部でもよい。
【0076】
(変形例3)
上記の実施形態では、支持部材9の延設部96は、分離支持部91の支持部本体95の外側主面95aが対向する方向に延びるが、
図8Aに示すように、支持部本体95の内側主面95hが対向する方向に延びてもよい。また、上記の実施形態では、固定部97は、支持部本体95の外側主面95aが対向する方向に延びるが、
図8Bに示すように、支持部本体95の内側主面95hが対向する方向に延びてもよい。
【0077】
(まとめ)
第1の態様に係る電気設備用キャビネット(2)は、筐体(4)と、支持部材(9)と、を備えている。筐体(4)は、電気部品(3)を収容する。支持部材(9)は、筐体(4)の下面(4a)から下方に突出し、筐体(4)を支持する。支持部材(9)は、外側面(95a)を有する。外側面(95a)には、電線が挿入される電線挿入部(95b)が設けられている。下面(4a)は、外側面(95a)の法線方向において、外側面(95a)と隣合う端部(4L又は4R)を有する。下面(4a)に直交する方向から見て、外側面(95a)は、端部(4L又は4R)よりも下面(4a)の中心側に配置されている。
【0078】
この構成によれば、筐体(4)の下面(4a)に直交する方向から見て、支持部材(9)の外側面(95a)は、下面(4a)の端部(4L又は4R)よりも下面(4a)の中心側に配置される。このため、下面(4a)に直交する方向から見て、外側面(95a)と端部(4L又は4R)との間のスペース(S1,S2)を、電線挿入部(95b)に挿入される電線の配置スペース、又は、電線挿入部(95b)に接続された配管の配置スペースに利用できる。これにより、電気設備(1)の設置スペース、及び、上記の電線又は上記の配管の配置スペースを含む全体の配置スペースを低減できる。
【0079】
第2の態様に係る電気設備用キャビネット(2)は、第1の態様において、外側面(95a)は第1外側面(95a)である。支持部材(9)は、第1外側面(95a)とは異なり、開口した第2外側面(99F,99K)を更に有する。支持部材(9)は、カバー部材(92,93)を有する。カバー部材(92,93)は、第2外側面(99F,99K)に取り外し可能に取り付けられる。
【0080】
この構成によれば、支持部材(9)の第2外側面(99F,99K)を、必要に応じて、カバー部材(92,93)によって塞ぐことができる。すなわち、必要に応じて、カバー部材を第2外側面(99F,99K)に設けることができるため、コストを削減できる。また、カバー部材(92,93)は、取り外し可能であるため、電線を電気設備(1)に挿入する作業時は、カバー部材(92,93)を外すことで、作業性を向上できる。
【0081】
第3の態様に係る電気設備用キャビネット(2)は、第2の態様において、電線挿入部(95b)は第1電線挿入部(95b)である。カバー部材(92,93)は、電線が挿入される第2電線挿入部(93b)を有する。
【0082】
この構成によれば、カバー部材(92,93)の電線挿入部(93b)を通じて支持部材(9)の外部から内部に電線を挿入することができる。
【0083】
第4の態様に係る電気設備用キャビネット(2)は、第3の態様において、端部(4L又は4R)は第1端部(4L又は4R)である。筐体(4)の下面(4a)は、第2端部(4K)を有する。第2端部(4K)は、カバー部材(93)の外側の主面である外側主面(93c)の法線方向において、外側主面(93c)と隣合う。下面(4a)に直交する方向から見て、カバー部材(93)の外側の主面(93c)は、第2端部(4K)よりも下面(4a)の中心側に配置されている。
【0084】
この構成によれば、筐体(4)の下面(4a)に直交する方向から見て、カバー部材(93)の外側の主面(93c)は、第2端部(4K)よりも下面(4a)の中心側に配置されている。このため、下面(4a)に直交する方向から見て、カバー部材(93)の外側の主面(93c)と第2端部(4K)との間のスペース(S3)を、第2電線挿入部(93b)から挿入される電線の配置スペースに利用できる。また、スペース(S3)を、第2電線挿入部(93b)に接続された配管の配置スペースに利用できる。これにより、電気設備(1)の設置スペース、及び、上記の電線又は配管の配置スペースを含む全体の配置スペースを低減できる。
【0085】
第5の態様に係る電気設備用キャビネット(2)は、第1~4の態様の何れか1つの態様において、支持部材(9)は、一対の分離支持部(91)を有する。一対の分離支持部(91)は、互いに間隔を空けて配置され、筐体(4)を支持する。
【0086】
この構成によれば、一対の分離支持部(91)は、互いに間隔を空けて配置された状態で筐体(4)を支持するため、筐体(4)を安定して支持できる。
【0087】
第6の態様に係る電気設備用キャビネット(2)は、第1~5の態様の何れか1つの態様において、支持部材(9)は、延設部(96)を有する。延設部(96)は、外側面(95a)の上端部から外側面(95a)の法線方向に延び、下面(4a)に接触する。
【0088】
この構成によれば、延設部(96)によって筐体(4)をより一層安定して支持できる。
【0089】
第7の態様に係る電気設備用キャビネット(2)は、第1~6の態様の何れか1つの態様において、支持部材(9)は、固定部(97)を有する。固定部(97)は、外側面(95a)の下端部から外側面(95a)の法線方向に延び、支持部材(9)が配置される配置面に固定される。
【0090】
この構成によれば、固定部(97)によって支持部材(9)を配置面に安定して配置できる。
【0091】
第8の態様に係る電気設備用キャビネット(2)は、第1~7の態様の何れか1つの態様において、板部(100)を更に備えている。板部(100)は、筐体(4)の内部において筐体(4)の内部の天井面(4d)から離れて配置されている。板部(100)は、水平面に対して傾斜している。板部(100)の傾斜方向の下端部は、筐体(4)の側壁部(52)と間隔を空けて配置されている。
【0092】
この構成によれば、板部(100)によって、筐体(4)の天井面(4d)から落ちてくる水滴を受け止めて筐体(4)の側壁部(52)の側に誘導し、筐体(4)の側壁部(52)の付近から筐体(4)の底面(4b)に落とすことができる。これにより、天井面(4d)から落ちてくる水滴が筐体(4)内の電気部品(3)に接触することを抑制できる。
【0093】
第9の態様に係る電気設備用キャビネット(2)は、第1~8の態様の何れか1つの態様において、筐体(4)は、下面(4a)に電線挿入孔(56b)を有する。電線挿入孔(56b)には、電線が挿入される。
【0094】
この構成によれば、電線挿入孔(56b)を通じて、電線を、筐体(4)の底面(4a)から筐体(4)の内部に挿入することができる。
【0095】
第10の態様に係る電気設備(1)は、第1~9の態様の何れか1つの態様に係る電気設備用キャビネット(2)と、電気部品(3)と、を備える。
【0096】
この構成によれば、上記の電気設備用キャビネット(2)の効果を有する電気設備(1)を提供できる。
【符号の説明】
【0097】
1 電気設備
2 キャビネット(電気設備用キャビネット)
3 電気部品
4 筐体
4a 下面
4b 底面
4d 天井面
4K 後辺(端部)
4L 左辺(端部)
4R 右辺(端部)
9 支持部材
56b 電線挿入孔
91 一対の分離支持部
92 前面カバー(カバー部材)
93 後面カバー(カバー部材)
93b 電線挿入部(第2電線挿入部)
93c 後面(外側主面)
95a 外側主面(外側面、第1外側面)
95b 電線挿入部
96 延設部
97 固定部
99F 開口前面(第2外側面)
99K 開口後面(第2外側面)
100 板部