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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】超音波流量計
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20220101AFI20230105BHJP
【FI】
G01F1/66 102
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019082374
(22)【出願日】2019-04-24
(65)【公開番号】P2020180813
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 政則
(72)【発明者】
【氏名】安田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】木場 康雄
(72)【発明者】
【氏名】中井 弘
(72)【発明者】
【氏名】萱場 貴士
(72)【発明者】
【氏名】藤井 裕史
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第4561088(JP,B2)
【文献】特開2011-158470(JP,A)
【文献】特許第4822731(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波信号を送受信可能な一対の超音波振動子と、
一方の前記超音波振動子から送信され、流体を伝搬した超音波信号を他方の超音波振動子が受信するまでの超音波の伝搬時間を測定する伝搬時間測定部と、
受信側の前記超音波振動子が受信した受信波の第m波目を検知する受信検知回路と、
受信側の前記超音波振動子に超音波が到達して前記受信検知回路で受信開始から超音波の受信波の第m波目を受信したと検知するまでの受信遅れ時間TRを用いて前記伝搬時間測定部で測定した伝搬時間を補正する伝搬時間補正手段と、
前記伝搬時間補正手段で補正された伝搬時間から演算によって前記超音波振動子間を満たす流体の流量を求める制御部と、
送信側の前記超音波振動子から超音波を送信して1回目の受信波の第m波目を前記受信検知回路で受信するまでの伝搬時間TPと、受信側の前記超音波振動子と送信側の前記超音波振動子で1回づつ反射して受信側の前記超音波振動子に達した2回目の受信波の第m波目を前記受信検知回路で受信するまでの伝搬時間TP2を測定し、前記伝搬時間TPと伝搬時間TP2の差の2分の1より前記超音波振動子間の真の伝搬時間TP0を演算する方法で、上流側から下流側への真の下流側伝搬時間TP0dと下流側から上流側への真の上流側伝搬時間TP0uを求め、前記真の下流側伝搬時間TP0dと前記真の上流側伝搬時間TP0uの差より流量の有無を判定する流量無判定手段と、を備えた超音波流量計。
【請求項2】
前記流量無判定手段で求めた前記真の下流側伝搬時間TP0dと、前記真の上流側伝搬時間TP0uを用いて、上流側から下流側への伝搬時間を測定した時の下流側受信遅れ時間TRdと下流側から上流側への伝搬時間を測定した時の上流側受信遅れ時間TRuを求め保存する受信遅れ時間保存手段を備え、
前記伝搬時間補正手段は、前記受信遅れ時間保存手段に保存された下流側受信遅れ時間TRdと上流側受信遅れ時間TRuを用いて前記伝搬時間測定部で測定された1回目の受信波の伝搬時間を補正することを特長とした請求項1に記載の超音波流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の送受信可能な超音波振動子を用いて超音波の伝搬時間を測定し、被測定流体の流量を計測する超音波流量計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波流量計に用いられている超音波伝搬時間の測定方法は、一対の送受信可能な超音波振動子を対向して配置し、一方の超音波振動子をバースト信号で駆動し、超音波を送信し、他方の超音波振動子で受信して測定していた。図5は、伝搬時間の測定方法を説明する為の受信波形のイメージ図で、横軸に時間を、縦軸に電圧を示す。図中の起点T0は駆動波13の開始時点を、終点T1は駆動開始後、第m(図ではm=3)波終了時点を示す。受信波14の起点R0は受信開始時点を、終点R1は受信開始後、第m波終了時点を示す。
【0003】
このように、駆動波13の第1波目のゼロクロス点を起点T0とし、他方の超音波送受信器で受信した受信波14の第m波目を終点R1として、起点T0と終点R1との間の伝搬時間TPを測定し、駆動波数から想定される受信遅れ時間TRを予め設定しておき、伝搬時間TPから受信遅れ時間TRを引いて流量計測用の伝搬時間TP0を求め、この伝搬時間TP0を用いて流体の流速を計測し、流量を演算していた。
【0004】
図6は、特許文献1に記載された超音波流量計の構成を示すものである。この超音波流量計は流体の流れる測定流路101に設置した超音波振動子102と、超音波振動子102を駆動する駆動回路103と、駆動回路103にスタート信号を出力する制御部104と、超音波の伝搬時間を測定する伝搬時間測定部105と、超音波振動子102から送信した超音波を受ける超音波振動子107と、超音波振動子107の出力を増幅するアンプ106と、アンプ106の出力と検知基準電圧15とを比較し大小関係が反転したときに伝搬時間測定部105を停止させる受信検知回路108から構成されている。また、音速に対する温度の影響を無視できるように伝搬時間逆数差法を用いるために、測定流路101の上流側から下流側への超音波の伝搬時間と下流側から上流側への伝搬時間が測定できるように、切り替えスイッチ109を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-172556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、超音波振動子や送受信回路の温度特性や経年劣化の影響によって、被測定気体を伝わる超音波の伝搬時間以外の遅れ時間に差が発生し、実際には流量が無い状態でも微少の流量があると検知してしまう課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の超音波流量計は、超音波信号を送受信可能な一対の超音波振動子と、一方の前記超音波振動子から送信され、流体を伝搬した超音波信号を他方の超音波振動子が受信するまでの超音波の伝搬時間を測定する伝搬時間測定部と、受信側の前記超音波振動子が受信した受信波の第m波目を検知する受信検知回路と、受信側の前記超音波振動子に超音波が到達して前記受信検知回路で受信開始から超音波の受信波の第m波目を受信したと検知するまでの受信遅れ時間TRを用いて前記伝搬時間測
定部で測定した伝搬時間を補正する伝搬時間補正手段と、前記伝搬時間補正手段で補正された伝搬時間から演算によって前記超音波振動子間を満たす流体の流量を求める制御部と、送信側の前記超音波振動子から超音波を送信して1回目の受信波の第m波目を前記受信検知回路で受信するまでの伝搬時間TPと、受信側の前記超音波振動子と送信側の前記超音波振動子で1回づつ反射して受信側の前記超音波振動子に達した2回目の受信波の第m波目を前記受信検知回路で受信するまでの伝搬時間TP2を測定し、前記伝搬時間TPと伝搬時間TP2の差の2分の1より前記超音波振動子間の真の伝搬時間TP0を演算する方法で、上流側から下流側への真の下流側伝搬時間TP0dと下流側から上流側への真の上流側伝搬時間TP0uを求め、前記真の下流側伝搬時間TP0dと前記真の上流側伝搬時間TP0uの差より流量の有無を判定する流量無判定手段と、を備えたことを特徴としたものである。
【0008】
これによって、流量が無い場合の超音波振動子や送受信回路の温度特性や経年劣化の影響を受けることなく、流量が無いことを正確に判定できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の超音波流量計は、超音波振動子や送受信回路の特性の影響を受けることなく流量が無いことを判定できるため、微少流量の判定が困難な大型流量計においても微少流量漏れの検知が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1における超音波流量計の構成図
図2】本発明の実施の形態1における超音波の受信波形のイメージ図
図3】本発明の実施の形態2における超音波流量計の構成図
図4】(a)本発明の実施の形態2における上流側から下流側への超音波信号のイメージ図、(b)同下流側から上流側への超音波信号のイメージ図
図5】超音波の伝搬時間の測定方法を説明する為の受信波形のイメージ図
図6】従来例の超音波流量計の構成図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、超音波信号を送受信可能な一対の超音波振動子と、一方の前記超音波振動子から送信され、流体を伝搬した超音波信号を他方の超音波振動子が受信するまでの超音波の伝搬時間を測定する伝搬時間測定部と、受信側の前記超音波振動子が受信した受信波の第m波目を検知する受信検知回路と、受信側の前記超音波振動子に超音波が到達して前記受信検知回路で受信開始から超音波の受信波の第m波目を受信したと検知するまでの受信遅れ時間TRを用いて前記伝搬時間測定部で測定した伝搬時間を補正する伝搬時間補正手段と、前記伝搬時間補正手段で補正された伝搬時間から演算によって前記超音波振動子間を満たす流体の流量を求める制御部と、送信側の前記超音波振動子から超音波を送信して1回目の受信波の第m波目を前記受信検知回路で受信するまでの伝搬時間TPと、受信側の前記超音波振動子と送信側の前記超音波振動子で1回づつ反射して受信側の前記超音波振動子に達した2回目の受信波の第m波目を前記受信検知回路で受信するまでの伝搬時間TP2を測定し、前記伝搬時間TPと伝搬時間TP2の差の2分の1より前記超音波振動子間の真の伝搬時間TP0を演算する方法で、上流側から下流側への真の下流側伝搬時間TP0dと下流側から上流側への真の上流側伝搬時間TP0uを求め、前記真の下流側伝搬時間TP0dと前記真の上流側伝搬時間TP0uの差より流量の有無を判定する流量無判定手段と、を備えたことによって、超音波振動子や送受信回路の温度特性や経年劣化の影響を受けることなく正方向と逆方向の真の伝搬時間の差が確認できるため、流量の有無判定の精度を向上させることができる。
【0012】
第2の発明は、第1の発明の構成に加えて、前記流量無判定手段で求めた前記真の下流
側伝搬時間TP0dと、前記真の上流側伝搬時間TP0uを用いて、上流側から下流側への伝搬時間を測定した時の下流側受信遅れ時間TRdと下流側から上流側への伝搬時間を測定した時の上流側受信遅れ時間TRuを求め保存する受信遅れ時間保存手段を備え、
前記伝搬時間補正手段は、前記受信遅れ時間保存手段に保存された下流側受信遅れ時間TRdと上流側受信遅れ時間TRuを用いて前記伝搬時間測定部で測定された1回目の受信波の伝搬時間を補正することによって、超音波振動子や送受信回路の温度特性や経年劣化の影響を受けることなく流量計測精度を向上できる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における超音波流量計の構成図を示すものである。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態の超音波流量計20は、流体の流れる測定流路1の上流と下流に設置した超音波信号を送受信可能な一対の超音波振動子2、7と、一対の超音波振動子2、7の送受信の設定切り替えを行う切り替えスイッチ9と、送信側に設定された超音波振動子を駆動する駆動回路3と、駆動回路3にスタート信号を出力する制御部4と、受信側に設定された超音波振動子で受信した超音波信号を所定の振幅に増幅するアンプ6と、アンプ6で増幅された受信波の第m波目を検知する受信検知回路8と、送信側に設定された超音波振動子から送信され、流体を伝搬した超音波信号を受信側に設定された超音波振動子が受信するまでの超音波の伝搬時間TPを測定する伝搬時間測定部5と、伝搬時間TPから演算によって超音波振動子2,7間を満たす流体の流量を求める制御部4と、受信側の超音波振動子に超音波が到達して受信検知回路8で受信開始から超音波の受信波の第m波目を受信したと検知するまでの受信遅れ時間TRを用いて伝搬時間測定部5で測定した伝搬時間を補正する伝搬時間補正手段10、流量有無判定手段12を備えている。
【0016】
ここで、受信検知回路8は、図5に示すように、予め設定された検知基準電圧15とアンプ6で増幅された受信波14を比較し、大小関係が反転したことで第m波目を検知(タイミングP)し、その後の最初のゼロクロス点である終点R1を受信タイミングとし、伝搬時間測定部5は、送信開始(起点T0)から終点R1までの時間を伝搬時間TPとして測定する構成である。
【0017】
図2は本実施例の受信波と伝搬時間の関係を表したイメージ図である。図に示すように、送信側の超音波振動子は、駆動波13で駆動されて超音波信号を送信し、受信側の超音波振動子は1回目の受信波14として受信する。同時に、反射波が発生して送信側の超音波振動子に波形21として到達して反射される。更に、この反射波を受信側の超音波振動子が2回目の受信波22として受信する。そして、受信検知回路8は、この2回目の受信波22を検知する為の第2受信波検知手段11を備えている。
【0018】
伝搬時間測定部5は、送信側の超音波振動子2から超音波を送信して1回目の受信波14の第m波目を受信検知回路8で受信するまでの伝搬時間TPと、受信側の超音波振動子7と送信側の超音波振動子2で1回づつ反射して受信側の超音波振動子7に達した2回目の受信波22の第m波目を第2受信波検知手段11で受信したと判定するタイミングである終点R2までの伝搬時間TP2を測定する。
【0019】
図2から分かるように、超音波振動子間の真の伝搬時間TP0は次式(1)で求めることができる。
【0020】
TP0=(TP2-TP)/2 ・・・・・・(1)
本実施の形態では、第2受信波検知手段11を用いて、第2伝搬時間TP2を測定できるようにしたことで、予め定めた所定のタイミングにおいて、伝搬時間測定部5で上流側から下流側への下流側第2伝搬時間TP2dと下流側から上流側への上流側第2伝搬時間TP2uを測定し、流量有無判定手段12は、式(1)と同様に、下記の式(2)、(3)で下流側から上流側への真の下流側伝搬時間TP0dと下流側から上流側への真の上流側伝搬時間TP0uを計算し、2つの伝搬時間の差が所定の値以下だった場合に流量無と判定している。
【0021】
TP0d=(TP2d-TPd)/2 ・・・・・・(2)
TP0u=(TP2u-TPu)/2 ・・・・・・(3)
ここで、TPdとTPuは、通常の流量計測時(1回目の受信波の伝搬時間の測定のみで流量を計測する時)に測定している上流側から下流側への伝搬時間(下流側伝搬時間)と下流側から上流側への伝搬時間(上流側伝搬時間)である。
【0022】
以上のように、本実施の形態によると、第2受信波検知手段11を用いて、2回目の受信波を検知できるようにしたことで、超音波振動子や送受信回路の温度特性や経年劣化の影響を受けることなく流れの正方向と逆方向の真の伝搬時間の差が確認できるため、流量の有無判定の精度を向上させることができる。
【0023】
また、本発明の実施の形態では、超音波流量計が設置されている環境での微小漏れを確認することを想定しており、数時間毎に流量有無判定手段12を動作させている。これによって、超音波振動子や送受信回路の温度特性や経年劣化の影響を受けることなく、超音波流量計が設置されている配管システムに漏れがあるかどうかの判定が可能になる。
【0024】
なお、第2受信波検知手段11は、1回目の受信波14が受信側の超音波振動子に到着した時点では受信検知動作を行わずに、2回目の受信波22が到着した時点で受信検知動作を行ことで、第2伝搬時間TP2を測定する。図2中の受信遅れ時間TRは超音波振動子の特性で決まるため、1回目の受信波でも2回目の受信波でも同じ値となる。
【0025】
(実施の形態2)
図3は実施の形態2による超音波流量計の構成図を示す。基本的な構成、動作は実施の形態1と同じである。本実施の形態の超音波流量計30と実施の形態1の超音波流量計20との差異は、制御部4に受信遅れ時間保存手段16と受信遅れ時間更新手段17を設けたことである。
【0026】
受信遅れ時間保存手段16は、伝搬時間測定部5で測定された下流側伝搬時間TPdと上流側伝搬時間TPu、流量有無判定手段12で求めた真の下流側伝搬時間TP0dと、真の上流側伝搬時間TP0uより上流側から下流側への伝搬時間を測定した時の下流側受信遅れ時間TRdと下流側から上流側への伝搬時間を測定した時の上流側受信遅れ時間TRuを求めて保存する。
【0027】
図4(a)は上流側から下流側への超音波の伝搬、図4(b)は下流側から上流側への超音波の伝搬を示すイメージ図で、伝搬時間測定部5で測定された下流側伝搬時間TPdと上流側伝搬時間TPu、流量有無判定手段12で求めた真の下流側伝搬時間TP0dと真の上流側伝搬時間TP0u、受信遅れ時間保存手段16で求めて保存された下流側受信遅れ時間TRdと流側受信遅れ時間TRuを示す。
【0028】
図4から分かるように、下流側受信遅れ時間TRdと上流側受信遅れ時間TRuは、次式(4)、(5)で求めることができる。
【0029】
TRd=TPd-TP0d ・・・・・・(4)
TRu=TPu-TP0u ・・・・・・(5)
また、受信遅れ時間保存手段16に保存された受信遅れ時間TRdとTRuは、受信遅れ時間更新手段17により、伝搬時間測定部5で新しく受信遅れ時間TRdとTRuを測定する度に更新される。
【0030】
そして、伝搬時間補正手段10は、通常の流量測定時(第2受信波検知手段11による2回目の受信波の受信を行ず、1回目の受信波のみで伝搬時間を測定して流量を求める時)は、伝搬時間測定部5で測定された上流側から下流側への下流側伝搬時間TPdと下流側から上流側への上流側伝搬時間TPuから受信遅れ時間保存手段16に保存された下流側受信遅れ時間TRd、上流側受信遅れ時間TRuをそれぞれ引くことで補正し、制御部4は、伝搬時間補正手段10で補正された伝搬時間を利用して流量を計算する。
【0031】
以上の構成により、超音波振動子や送受信回路の温度特性や経年劣化の影響を受けることなく流量計測精度を向上できる。また、本実施の形態によれば、周囲環境や流量の有無に関係なくゼロ点補正を実施した状態と同じになるため、超音波流量計の製造時に実施されるゼロ点調整工程を省略でき、製造コストの低減も可能になる。
【0032】
なお、本実施の形態では、超音波の伝搬経路が測定流路1の流れ方向に一致するように上流と下流に一対の超音波振動子2,7を対向して配置した構成で説明したが、一対の超音波振動子2,7と超音波の伝搬経路はこれに限らず、(1)超音波の伝搬経路が測定流路1の流れ方向に対して斜めに横切るように上流と下流に一対の超音波振動子2,7を対向して配置したもの、(2)測定流路1の上流と下流の同一面に一対の超音波振動子2,7を配置し、超音波の伝搬経路が測定流路1の対向する面に1回反射するようにしたもの、(3)測定流路1の上流と下流の同一面に一対の超音波振動子2,7を配置し、超音波の伝搬経路が測定流路1の対向する面に2回反射するようにしたものなど、種々の形態を採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明にかかる超音波流量計は、超音波振動子や送受信回路の温度特性や経年劣化の影響を受けることなく、常に正確な流量無判定が可能となるため、配管の漏洩検知が必要なガスメータ等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0034】
1 測定流路
2、7 超音波振動子
3 駆動回路
4 制御部
5 伝搬時間測定部
6 アンプ
8 受信検知回路
9 切り替えスイッチ
10 伝搬時間補正手段
11 第2受信波検知手段
12 流量有無判定手段
16 受信遅れ時間保存手段
17 受信遅れ時間更新手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6