(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】固体撮像装置、距離測定装置および距離測定方法
(51)【国際特許分類】
H04N 25/53 20230101AFI20230105BHJP
H04N 25/779 20230101ALI20230105BHJP
【FI】
H04N5/353
H04N5/376 500
(21)【出願番号】P 2021508561
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2019013413
(87)【国際公開番号】W WO2020194615
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 基範
(72)【発明者】
【氏名】春日 繁孝
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-188879(JP,A)
【文献】国際公開第2012/053127(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/104794(WO,A1)
【文献】特開2010-11246(JP,A)
【文献】特開2012-217060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225-5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に配列された複数の画素と、
それぞれが、前記複数の画素の中の行方向に並んだ画素に共通に接続された、複数の第1信号線と、
前記複数の画素を露光させるために、前記第1信号線に電圧を供給するドライバ回路と、
を備え、
前記画素は、前記第1信号線を介して第1電圧の供給を受けたときは、前記画素から信号の出力を行う一方、前記第1信号線を介して第2電圧の供給を受けたときは、前記画素から信号を出力しないものであり、
前記ドライバ回路は、
前記複数の第1信号線の少なくとも1つに接続された第1ノードと、
前記第1ノードに電圧を出力するドライバ回路部とを備え、
前記ドライバ回路部は、
前記第1電圧の供給を受け、前記第1ノードに前記第1電圧を供給する第1キャパシタと、
前記第2電圧の供給を受け、前記第1ノードに前記第2電圧を供給する第2キャパシタと、
前記第1電圧と前記第1キャパシタとの間に設けられた第1スイッチトランジスタと、
前記第2電圧と前記第2キャパシタとの間に設けられた第2スイッチトランジスタと、
前記第1キャパシタと前記第1ノードとの間に設けられた第3スイッチトランジスタと、
前記第2キャパシタと前記第1ノードとの間に設けられた第4スイッチトランジスタと
を備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
請求項1記載の固体撮像装置において、
前記第1電圧は、前記第2電圧よりも高い電圧であり、
前記第3スイッチトランジスタは、ソースに前記第1キャパシタが接続され、ドレインに前記第1ノードが接続されており、ゲートに受けた電圧によってオン状態およびオフ状態が切り替わる、P型MOSトランジスタであり、
前記第4スイッチトランジスタは、ソースに前記第2キャパシタが接続され、ドレインに前記第1ノードが接続され、ゲートに受けた電圧によってオン状態およびオフ状態が切り替わる、N型MOSトランジスタであることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項3】
請求項1記載の固体撮像装置において、
前記第2キャパシタの容量は、前記第1キャパシタの容量よりも大きいことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項4】
請求項1記載の固体撮像装置において、
前記第1および第2スイッチトランジスタのゲートに接続されたゲート線をさらに備え、
前記第1スイッチトランジスタは、前記ゲート線を介してゲートに入力される電圧に従って、オン状態およびオフ状態が切り替わり、
前記第2スイッチトランジスタは、前記ゲート線を介してゲートに入力される電圧に従って、オン状態およびオフ状態が切り替わることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項5】
請求項1記載の固体撮像装置において、
前記ドライバ回路は、前記第1ノードおよび前記ドライバ回路部を、前記複数の第1信号線のそれぞれに対して設けられていることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項6】
請求項5記載の固体撮像装置において、
複数の第2ノードを備え、前記複数の画素を行ごとに順次露光させるように、前記複数の第2ノードから前記第1電圧および前記第2電圧を出力するマルチプレクサと、
前記複数の第1信号線にそれぞれ設けられており、当該第1信号線の接続先を前記第1ノードまたは前記第2ノードに切り替える、複数の切替スイッチと
をさらに備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項7】
請求項1記載の固体撮像装置において、
前記ドライバ回路における前記第3スイッチトランジスタおよび前記第4スイッチトランジスタを制御する補助ドライバ回路をさらに備え、
前記補助ドライバ回路は、
前記第3スイッチトランジスタまたは前記第4スイッチトランジスタのゲートに接続された第3ノードと、
第3電圧の供給を受け、前記第3ノードに前記第3電圧を供給する第3キャパシタと、
第4電圧の供給を受け、前記第3ノードに前記第4電圧を供給する第4キャパシタと、
前記第3電圧と前記第3キャパシタとの間に設けられた第5スイッチトランジスタと、
前記第4電圧と前記第4キャパシタとの間に設けられた第6スイッチトランジスタと、
前記第3キャパシタと前記第3ノードとの間に設けられた第7スイッチトランジスタと、
前記第4キャパシタと前記第3ノードとの間に設けられた第8スイッチトランジスタと
を備えることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項8】
請求項7記載の固体撮像装置において、
前記第3ノードは、前記第3スイッチトランジスタのゲートに接続されており、
前記第3スイッチトランジスタは、前記第3ノードからゲートに前記第4電圧が供給されたときは、オン状態となる一方、前記第3ノードからゲートに前記第3電圧が供給されたときは、オフ状態となることを特徴とすること固体撮像装置。
【請求項9】
請求項7記載の固体撮像装置において、
前記第3ノードは、前記第4スイッチトランジスタのゲートに接続されており、
前記第4スイッチトランジスタは、前記第3ノードからゲートに前記第3電圧が供給されたときは、オン状態となる一方、前記第3ノードからゲートに前記第4電圧が供給されたときは、オフ状態となることを特徴とすること固体撮像装置。
【請求項10】
請求項1記載の固体撮像装置において、
前記画素は、
光電変換部と、
トランスファゲートトランジスタと
を含み、
前記光電変換部は、入射光を信号電荷に変換し、
前記トランスファゲートトランジスタは、ゲートに前記第1信号線が接続されており、ゲートに前記第1電圧が供給されたとき、前記光電変換部により生成された信号電荷をフローティングディフュージョンに転送することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項11】
請求項10記載の固体撮像装置において、
前記画素は、オーバーフロートランジスタをさらに含み、
前記オーバーフロートランジスタは、ゲートに前記第1信号線が接続されており、ゲートに前記第1電圧が供給されたとき、前記光電変換部により生成された信号電荷を排出することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項12】
請求項10記載の固体撮像装置において、
前記光電変換部は、アバランシェフォトダイオードであることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項13】
請求項10記載の固体撮像装置において、
第2信号線と、
マルチプレクサと、
前記画素から出力される信号電荷を列方向に転送する垂直シフトレジスタと、
をさらに備え、
前記画素は、ゲートに前記第2信号線が接続されており、ゲートに出力信号を受けたとき、前記信号電荷を前記フローティングディフュージョンから前記垂直シフトレジスタに出力する選択トランジスタをさらに含み、
前記マルチプレクサは、前記第2信号線に接続され、前記第2信号線を介して、前記選択トランジスタに出力信号を送信し、
前記第1信号線は、第2信号線よりも配線幅が広いことを特徴とする固体撮像装置。
【請求項14】
請求項1記載の固体撮像装置と、
光源と、
を備える距離測定装置であって、
前記光源の発光時間は、前記第1および第2スイッチトランジスタがオン状態となる時時間よりも短いことを特徴とする距離測定装置。
【請求項15】
請求項1記載の固体撮像装置と、
光源と、
を備える距離測定装置であって、
前記光源を発光時、および、前記ドライバ回路による前記画素の露光時に、前記第1および第2スイッチトランジスタはオフ状態であることを特徴とする距離測定装置。
【請求項16】
請求項1記載の固体撮像装置と、光源とを用いた距離測定方法であって、
前記第1スイッチトランジスタをオン状態にして、前記第1キャパシタを前記第1電圧まで充電するとともに、前記第2スイッチトランジスタをオン状態にして、前記第2キャパシタを前記第2電圧まで充電する第1ステップと、
前記第1スイッチトランジスタをオフ状態にして、前記第1キャパシタの充電を終了するとともに、前記第2スイッチトランジスタをオフ状態にして、前記第2キャパシタの充電を終了する第2ステップと、
前記光源を発光させる第3ステップと
前記第3スイッチトランジスタをオン状態にして、前記第1キャパシタから前記画素へ、前記第1信号線を介して、前記第1電圧を供給する第4ステップと、
前記第3スイッチトランジスタをオフ状態にするとともに、前記第4スイッチトランジスタをオン状態にして、前記第2キャパシタから前記画素へ、前記第1信号線を介して、前記第2電圧を供給する第5ステップと、
を含む距離測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、距離情報の取得が可能に構成された固体撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、固体撮像装置は画像を高感度、高精細に撮像することに注力されてきたが、それに加えて固体撮像装置からの距離情報も取得できる機能を併せ持つものも近年登場してきた。画像に距離情報が加われば固体撮像装置の撮影対象の3次元的な情報が感知できることになる。例えば、人物を撮影すれば、しぐさ(ジェスチャー)を3次元的に検知できるので、様々な機器の入力装置として使用できる。さらに例示すると、自動車に搭載すれば自車の周囲に存在する物体・人物との距離を認識できるので衝突防止や自動運転などに応用できる。
【0003】
固体撮像装置から物体までの距離測定に使用される数々の方法の中に、光を固体撮像装置付近から物体に向けて照射されてから、物体により反射し固体撮像装置に帰還するまでの時間を測定するTOF(Time Of flight)法がある。
【0004】
TOF法を固体撮像装置に適用するためには、光源の変調もしくはパルス発射時刻に同期して画素全体を同時に露光、すなわちグローバルシャッタ機能が必須となる。さらに、数m以下の精度で物体までの距離を検知するためには、前記グローバルシャッタを10ns以下の速度で動作させる必要がある。
【0005】
全画素に対して高速なグローバルシャッタ機能を提供する回路(ドライバ回路)についての技術が、特許文献1に開示されている。特許文献1では、画素に対してゲート駆動回路を設けることによって、画素に供給される電圧を第1電圧から第3電圧に高速で切り替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の技術では、電圧源から画素までの間の配線抵抗が画素の配置位置に応じて大きく異なってしまう。例えば、画素アレイの端部に配置された行よりも中央部に配置された行の方が、配線抵抗の抵抗値が大きくなる。すなわち、画素が配置された位置により配線抵抗の抵抗値が異なるため、スイッチを切り替えたときの瞬間的な挙動が画素によって異なる。その結果、全ての画素を同時に制御することができず、画素の位置によりグローバルシャッタの時刻にずれが生じてしまうおそれがあり、距離検知に影響してしまうおそれがある。
【0008】
本開示はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、画素の駆動タイミングのずれを抑えつつ、画素の駆動を高速化した固体撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る固体撮像装置は、行列状に配列された複数の画素と、それぞれが、前記複数の画素の中の行方向に並んだ画素に共通に接続された、複数の第1信号線と、前記複数の画素を露光させるために、前記第1信号線に電圧を供給するドライバ回路と、を備える。前記画素は、前記第1信号線を介して第1電圧の供給を受けたときは、前記画素から信号の出力を行う一方、前記第1信号線を介して第2電圧の供給を受けたときは、前記画素から信号を出力しないものである。前記ドライバ回路は、前記複数の第1信号線の少なくとも1つに接続された第1ノードと、前記第1ノードに電圧を出力するドライバ回路部とを備える。前記ドライバ回路部は、前記第1電圧の供給を受け、前記第1ノードに前記第1電圧を供給する第1キャパシタと、前記第2電圧の供給を受け、前記第1ノードに前記第2電圧を供給する第2キャパシタと、前記第1電圧と前記第1キャパシタとの間に設けられた第1スイッチトランジスタと、前記第2電圧と前記第2キャパシタとの間に設けられた第2スイッチトランジスタと、前記第1キャパシタと前記第1ノードとの間に設けられた第3スイッチトランジスタと、前記第2キャパシタと前記第1ノードとの間に設けられた第4スイッチトランジスタとを備える。
【発明の効果】
【0010】
この構成によれば、画素の駆動タイミングのずれを抑えつつ、画素の駆動を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る距離測定装置の構成例を示す概略図。
【
図3】第1実施形態に係る固体撮像装置が同時露光を行う際の動作シーケンスを示す図。
【
図4】第2実施形態に係る距離測定装置の構成例を示す概略図。
【
図5】第2実施形態に係る補助ドライバ回路の回路図。
【
図6】
図3の露光期間における補助ゲートドライバの動作シーケンスを示す図。
【
図8】第3実施形態に係る固体撮像装置における画素の回路図。
【
図9】第3実施形態に係る距離測定装置が同時露光を行う際の動作シーケンスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。例えば、具体的なブロック構成や回路構成を開示し、それを参照しながら説明するが、開示した構成はあくまでも一例であり、これに限られるわけではない。
【0013】
(第1の実施形態)
-距離測定装置の構成-
図1は第1実施形態に係る距離測定装置の構成例を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態に係る距離測定装置は、固体撮像装置1と、信号処理装置2と、計算機3と、光源4とを備える。
【0014】
固体撮像装置1は、画素アレイ11と、垂直シフトレジスタ12と、マルチプレクサ13と、ドライバ回路14と、列回路15と、水平シフトレジスタ16と、出力アンプ17とを備える。
【0015】
画素アレイ11には、画素100が行列状に配列されている。各画素100は、マルチプレクサ13またはドライバ回路14から入力される電圧に従って、露光を行う。また、各画素100は、マルチプレクサ13から入力される選択信号に従って、露光結果を示す電圧信号を出力する。以下の説明では、画素アレイ11は、N行の画素100を含むものとする。
【0016】
垂直シフトレジスタ12は、画素100から出力された(画素100から後述する垂直信号線121に出力された)電圧信号を列方向、すなわち、列回路15に転送する。また、垂直シフトレジスタ12は、画素アレイ11の行ごとに、画素100から露光結果を示す電圧信号を順次出力させるため、画素アレイ11内の特定の行の画素100を選択する。垂直シフトレジスタ12は、画素アレイ11のうち選択した行を示すアドレス信号をマルチプレクサ13に出力する。
【0017】
マルチプレクサ13は、垂直シフトレジスタ12から入力されたアドレス信号に従って、画素100から信号電荷を出力させるため、画素100に電圧を供給する。また、マルチプレクサ13は、画素100を行ごとに順次露光させるローリングシャッタを実行するために、画素100に電圧を供給する。
【0018】
ドライバ回路14は、画素アレイ11に含まれる全画素100を同時露光させるために、画素100に電圧を供給する。
【0019】
列回路15は、垂直シフトレジスタ12から転送される電圧信号を受け、各画素100で異なるオフセット成分を除去するCDS(Correlated Double Sampling)処理などを行い、水平シフトレジスタ16に出力する。
【0020】
水平シフトレジスタ16は、列回路15から出力される信号を順次出力アンプ17に転送する。
【0021】
出力アンプ17は、水平シフトレジスタ16から順次入力される信号を増幅し信号処理装置2に出力する。
【0022】
信号処理装置2は、アナログフロントエンド21と、ロジック・メモリ22とを備える。
【0023】
アナログフロントエンド21は、固体撮像装置1の出力アンプ17から出力された信号をアナログ形式からデジタル形式に変換する。また、アナログフロントエンド21は、デジタル形式に変換した信号を、ロジック・メモリ22に出力する。なお、アナログフロントエンド21は必要に応じて、出力アンプ17から出力された信号の順序を入れ替えてもよい。
【0024】
ロジック・メモリ22は、アナログフロントエンド21から受けた信号に基づき、距離信号を生成する。生成された距離信号は、計算機3に出力される。
【0025】
計算機3は、例えば、コンピュータ等であり、ロジック・メモリ22から入力される距離信号に基づいて、固体撮像装置1の周囲の三次元情報を構成する。なお、信号処理装置2が距離信号に基づいて、固体撮像装置1の周囲の三次元情報を構成してもよい。
【0026】
光源4は、三次元情報を得たい箇所に光を投射する。光源4には、必要に応じて、光を拡散することにより三次元情報を得たい箇所全体に光を照射する機構が内蔵されている。光源4からは、時間方向にパルス状の光(以下、単にパルス光という)が出力される。パルス光の出力時刻や幅は、ロジック・メモリ22によって制御される。
【0027】
-固体撮像装置の構成-
図2は固体撮像装置の回路図を示す。なお、
図2では、ドライバ回路14の説明をしやすくするために、固体撮像装置1の一部を省略して図示している。また、
図2では、k,k+1行目の画素100に入力される選択信号を、それぞれ、選択信号φSEL(k)、φSEL(k+1)として図示しており、k,k+1行目の画素100におけるゲート電圧V
TRNを、それぞれ、ゲート電圧V
TRN(k)、V
TRN(k+1)として図示している。
【0028】
図2に示すように、行方向に並んだ画素100が、同じ第1信号線201および第2信号線202に接続されている。また、列方向に並んだ画素100が、同じ垂直信号線121に接続されている。第1信号線201は、切替スイッチ211と接続されている。切替スイッチ211は、スイッチ信号φGSWを受け、第1信号線201の接続先を、ドライバ回路14の第1ノード302、および、マルチプレクサ13の第2ノード131のいずれか一方に切り替える。具体的に、切替スイッチ211は、スイッチ信号φGSWがハイレベルのときは、第1信号線201の接続先を、ドライバ回路14の第1ノード302に切り替える一方、スイッチ信号φGSWがローレベルのときは、第1信号線201の接続先を、マルチプレクサ13の第2ノード131に切り替える。なお、第1信号線201の配線幅は、第2信号線202の配線幅よりも広い。
【0029】
ドライバ回路14は、外部に設けられた、第1電源221から第1電圧の供給を受け、第2電源222から第1電圧より低い第2電圧の供給を受ける。また、ドライバ回路14は、第1ゲート線231を介して、外部からチャージ信号φCHGを受ける。ドライバ回路14は、第2および第3ゲート線232,233を介して、第1オン信号φONおよび第2オフ信号φOFFをそれぞれ受ける。
【0030】
また、ドライバ回路14は、複数のドライバ回路部301と、複数の第1ノード302とを備える。ドライバ回路14には、各第1信号線201に対応するように、ドライバ回路部301と第1ノード302とが設けられている。
【0031】
ドライバ回路部301は、第1スイッチトランジスタ303と、第2スイッチトランジスタ304と、第1キャパシタ305と、第2キャパシタ306と、第3スイッチトランジスタ307と、第4スイッチトランジスタ308と、第1ノード302とを備える。第1および第2スイッチトランジスタ303,304、ならびに、第4スイッチトランジスタ308は、N型のMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、第3スイッチトランジスタ307は、P型のMOSトランジスタである。
【0032】
第1スイッチトランジスタ303は、ソースが第1電源221に、ゲートが第1ゲート線231に、ドレインが第1キャパシタ305の一端および第3スイッチトランジスタ307のソースにそれぞれ接続されている。第2スイッチトランジスタ304は、ソースが第2電源222に、ゲートが第1ゲート線231に、ドレインが第2キャパシタ306の一端および第4スイッチトランジスタ308のソースにそれぞれ接続されている。第1および第2キャパシタ305,306は、それぞれ、他端が接地電源に接続されている。第3スイッチトランジスタ307は、ゲートが第2ゲート線232に、ドレインが第1ノード302および第4スイッチトランジスタ308のドレインにそれぞれ接続されている。第4スイッチトランジスタ308は、ゲートが第3ゲート線233に接続されている。
【0033】
ここで、第1および第2スイッチトランジスタ303,304のゲートには、それぞれ、第1ゲート線231を介して、チャージ信号φCHGが与えられる。また、第3スイッチトランジスタ307のゲートには、第2ゲート線232を介して、第1オン信号φONがそれぞれ与えられる。また、第4スイッチトランジスタ308のゲートには、第3ゲート線233を介して、第1オフ信号φOFFが与えられる。すなわち、チャージ信号φCHGによって、第1および第2スイッチトランジスタ303,304のオン状態およびオフ状態が切り替えられる。また、第1オン信号φONによって、第3スイッチトランジスタ307のオン状態およびオフ状態が切り替えられる。また、第1オフ信号φOFFによって、第4スイッチトランジスタ308のオン状態およびオフ状態が切り替えられる。
【0034】
マルチプレクサ13は、複数の第2ノード131を備える。第2ノード131は、各第1信号線201に対応するように設けられている。また、ローリングシャッタ方式により画素100を露光させる場合、切替スイッチ211により、第1信号線201の接続先が、マルチプレクサ13の第2ノード131に切り替えられる。このとき、マルチプレクサ13は画素100を行ごとに順次露光させるように、第2ノード131に第1電圧および第2電圧を供給する。
【0035】
また、マルチプレクサ13は、垂直シフトレジスタ12からアドレス信号φadrを受けて、第2信号線202を介して、画素100に選択信号φSELを出力する。例えば、1行目の画素100が垂直シフトレジスタ12により選択されたことをアドレス信号φadrが示す場合、マルチプレクサ13は、1行目の画素100が接続された第2信号線202に、ハイレベルの選択信号φSELを出力する。
【0036】
図2に示すように、画素100は、フォトダイオード101と、トランスファゲートトランジスタ102と、選択トランジスタ103とを備える。なお、画素100には、画素100内の信号電荷をリセットするリセットトランジスタ等が含まれるが、説明を簡潔にするため、
図2では省略して図示している。
【0037】
フォトダイオード101は、入射光に応じて信号電荷を生成する。
【0038】
トランスファゲートトランジスタ102は、N型のMOSトランジスタであり、ソースがフォトダイオード101に、ゲートが第1信号線201に接続されている。トランスファゲートトランジスタ102は、フォトダイオード101が生成した信号電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。ここで、トランスファゲートトランジスタ102は、第1信号線201を介して、第1電圧が供給されたときは、フォトダイオード101が生成した信号電荷の転送を行う一方、第1信号線201を介して、第2電圧が供給されたときは、フォトダイオード101が生成した信号電荷の転送を行わない。すなわち、トランスファゲートトランジスタ102は、ゲートに入力されるゲート電圧VTRNに従って、信号電荷の転送を行う。したがって、画素100は、第1信号線201を介して、第1電圧の供給を受けたときは、画素100から信号の出力を行う一方、第1信号線201を介して、第2電圧が供給されたときは、画素100から信号の出力を行わない。
【0039】
選択トランジスタ103は、N型のMOSトランジスタであり、ゲートに入力される選択信号φSELに従って、フローティングディフュージョンFDに蓄積された信号電荷に基づいた電圧信号を、垂直信号線121に出力する。例えば、選択トランジスタ103は、ソースがフローティングディフュージョンFDに、ゲートが第2信号線202に、ドレインが垂直信号線121にそれぞれ接続されている。すなわち、選択トランジスタ103は、マルチプレクサ13から入力される選択信号φSELがハイレベルのとき、フローティングディフュージョンFDに蓄積された信号電荷に応じた電圧信号を垂直信号線121に出力する。
【0040】
図3は固体撮像装置が同時露光(グローバルシャッタ)を行う際の動作シーケンスを示す。
図3に示すように、同時露光を行う場合、固体撮像装置1は、露光期間に示す動作を複数回行った後に、読出期間に示す動作を行う。固体撮像装置1は、露光期間において、画素100の同時露光を行い、読出期間において、画素100から露光結果を示す電圧信号の出力を行う。
【0041】
まず、露光期間における固体撮像装置1の動作を説明する。
【0042】
時刻t1より前の初期状態では、チャージ信号φCHG、スイッチ信号φGSW、第1オフ信号φOFF、選択信号φSEL(k),φSEL(k+1)が、それぞれ、ローレベルであり、第1オン信号φONがハイレベルである。また、マルチプレクサ13の第2ノード131には接地電圧が供給されている。また、ゲート電圧VTRN(k),VTRN(k+1)を含む1~N行目の画素100におけるゲート電圧VTRNは、それぞれ接地電圧である。
【0043】
時刻t1において、チャージ信号φCHGがハイレベルとなる。このとき、第1および第2スイッチトランジスタ303,304が、それぞれオン状態となり、第1電源221と第1キャパシタ305とが接続されるとともに、第2電源222と第2キャパシタ306とが接続される。このため、第1電源221から第1キャパシタ305に第1電圧が供給され、第2電源222から第2キャパシタ306に第2電圧が供給される。すなわち、時刻t1において、第1および第2キャパシタ305,306の充電が開始される。
【0044】
時刻t2において、チャージ信号φCHGがローレベルとなる。このとき、第1および第2スイッチトランジスタ303,304が、それぞれオフ状態となり、第1電源221から第1キャパシタ305への第1電圧の供給が停止されるとともに、第2電源222から第2キャパシタ306への第2電圧の供給が停止される。すなわち、時刻t2において、第1および第2キャパシタ305,306の充電がそれぞれ終了する。
【0045】
時刻t3において、スイッチ信号φGSWがハイレベルとなる。このとき、切替スイッチ211により、第1信号線201の接続先が、マルチプレクサ13の第2ノード131からドライバ回路14の第1ノード302に切り替えられる。
【0046】
時刻t4において、第1オン信号φONがローレベルとなる。このとき、第3スイッチトランジスタ307がオン状態となり、第1キャパシタ305と第1ノード302とが接続されるため、第1信号線201を介して、第1キャパシタ305からトランスファゲートトランジスタ102のゲートに第1電圧が供給される。このため、ゲート電圧VTRN(k),VTRN(k+1)を含む、1~N行目の画素100におけるゲート電圧VTRNが、それぞれ第1電圧となり、1~N行目の画素100におけるトランスファゲートトランジスタ102がオン状態となる。すなわち、時刻t4において、トランスファゲートトランジスタ102は、フォトダイオード101が生成した信号電荷の転送を開始するため、1~N行目の画素100から信号が出力される。したがって、時刻t4において、画素100の同時露光が開始される。
【0047】
時刻t5において、第1オン信号φON、第1オフ信号φOFFがそれぞれハイレベルとなる。このとき、第3スイッチトランジスタ307がオフ状態となり、第1キャパシタ305から第1ノード302への第1電圧の供給が停止される。また、第4スイッチトランジスタ308がオン状態となり、第2キャパシタ306と第1ノード302とが接続されるため、第1信号線201を介して、第2キャパシタ306からトランスファゲートトランジスタ102のゲートに第2電圧が供給される。このため、ゲート電圧VTRN(k),VTRN(k+1)を含む、1~N行目の画素100におけるゲート電圧VTRNが、それぞれ第2電圧となり、トランスファゲートトランジスタ102がオフ状態となる。すなわち、時刻t5において、トランスファゲートトランジスタ102は、フォトダイオード101が生成した信号電荷の転送を停止するため、1~N行目の画素100からの信号の出力が停止される。したがって、時刻t5において、画素100の同時露光が終了される。
【0048】
ここで、時刻t5において、第3スイッチトランジスタ307と第4スイッチトランジスタ308とが同時にオンになる瞬間が生じるため、第2キャパシタ306に蓄積された電荷の一部が第1キャパシタ305に流れ込むことにより、ゲート電圧VTRN(k),VTRN(k+1)を含む、1~N行目の画素100におけるゲート電圧VTRNが完全に第2電圧になりきらない。しかし、このときのトランスファゲートトランジスタ102のゲート電圧VTRNが、トランスファゲートトランジスタ102のしきい値電圧以下であれば、信号電荷の転送を停止することができる。
【0049】
時刻t6において、第1オフ信号φOFFがローレベルとなる。このとき、第4スイッチトランジスタ308がオフ状態になり、第2キャパシタ306から第1ノード302への第2電圧の供給が停止される。
【0050】
時刻t7において、スイッチ信号φGSWがローレベルとなる。このとき、切替スイッチ211により、第1信号線201の接続先が、ドライバ回路14の第1ノード302からマルチプレクサ13の第2ノード131に切り替えられる。このため、ゲート電圧VTRN(k),VTRN(k+1)を含む、1~N行目の画素100におけるゲート電圧VTRNがそれぞれ第2電圧から接地電圧となる。
【0051】
時刻t7の後、所定回数、露光期間の動作が行われる。
【0052】
次に、読出期間における固体撮像装置1の動作を説明する。ここでは、読出期間において、k,k+1行目に並んだ画素100から露光結果に応じた電圧信号の読み出しを行う場合における固体撮像装置1の動作を説明する。
【0053】
時刻t8において、選択信号φSEL(k)がハイレベルとなる。このとき、k行目に並んだ画素100の選択トランジスタ103がオン状態となり、フローティングディフュージョンFDに蓄積された信号電荷に応じた電圧信号が垂直信号線121に出力される。
【0054】
時刻t9において、選択信号φSEL(k)がローレベルとなる。このとき、選択トランジスタ103がオフ状態となり、k行目に並んだ画素100からの電圧信号の出力が終了する。
【0055】
時刻t9の後、k+1行目に配置された画素100に対しても、k行目に配置された画素と同様に、信号電荷の出力が行われる。このように、読出期間において、行ごとに画素100の電圧信号の出力が行われる。
【0056】
以上の構成により、第1スイッチトランジスタ303は、第1電源221と第1キャパシタ305との間に設けられ、チャージ信号φCHGを受けて、オン状態およびオフ状態が切り替えられる。第2スイッチトランジスタ304は、第2電源222と第2キャパシタ306との間に設けられ、チャージ信号φCHGを受けて、オン状態およびオフ状態が切り替えられる。第3スイッチトランジスタ307は、第1キャパシタ305と第1ノード302の間に設けられ、第1オン信号φONを受けて、オン状態およびオフ状態が切り替えられる。第4スイッチトランジスタ308は、第2キャパシタ306と第1ノード302の間に設けられ、第1オフ信号φOFFを受けて、オン状態およびオフ状態が切り替えられる。すなわち、第1スイッチトランジスタ303によって、第1電源221と第1キャパシタ305とを接続することにより、第1キャパシタ305を第1電圧まで充電することができる。第2スイッチトランジスタ304によって、第2電源222と第2キャパシタ306とを接続することにより、第2キャパシタ306を第2電圧まで充電することができる。また、第1スイッチトランジスタ303によって第1電源221から第1キャパシタ305への第1電圧の供給を停止し、第3スイッチトランジスタ307によって第1キャパシタ305と第1ノード302とを接続することにより、第1ノード302および第1信号線201を介して、第1キャパシタ305から画素100に第1電圧が供給することができ、画素100に信号電荷の転送、すなわち、画素100から信号を出力させることができる。また、第2スイッチトランジスタ304によって第2電源222から第2キャパシタ306への第2電圧の供給を停止し、第4スイッチトランジスタ308によって第2キャパシタ306と第1ノード302とを接続することにより、第1ノード302および第1信号線201を介して、第2キャパシタ306から画素100に第2電圧が供給され、画素100に信号電荷の転送の停止、すなわち、画素100からの信号の出力を停止させることができる。したがって、画素100に第1電圧が供給されるとき、画素100は、第1電源221と接続されず、第1キャパシタ305と接続される。また、画素100に第2電圧が供給されるとき、画素100は、第2電源222と接続されず、第2キャパシタ306と接続される。このため、第1および第2電圧の供給源から画素100までの配線長が短くなり、画素100の高速駆動が可能となる。また、第1および第2キャパシタ305,306から画素100までの配線以外の配線に係る寄生成分の影響を受けないので、複数の画素100に対する駆動タイミングのずれを抑えることができる。これにより、画素100の駆動タイミングのずれを抑えつつ、画素100の駆動を高速化することができる。
【0057】
また、第1電圧は第2電圧よりも高い電圧である。また、第3スイッチトランジスタ307はP型MOSトランジスタであり、第4スイッチトランジスタ308はN型MOSトランジスタである。これにより、第1キャパシタ305に第1電圧が充電されているとき、第3スイッチトランジスタ307のゲートに第1電圧よりも低い電圧を供給することにより、第3スイッチトランジスタ307を駆動させることができる。また、第2キャパシタ306に第2電圧が充電されているとき、第4スイッチトランジスタ308のゲートに第2電圧よりも高い電圧を供給することにより、第4スイッチトランジスタ308を駆動させることができる。したがって、第3および第4スイッチトランジスタ307,308の駆動に要する電圧の範囲を抑えることができる。
【0058】
また、第2キャパシタ306の容量は、第1キャパシタ305の容量よりも大きい。これにより、時刻t5において、第1オン信号φONがハイレベルになるタイミングが、第1オフ信号φOFFがハイレベルとなるタイミングよりも遅くなったとしても、第2キャパシタ306の容量が第1キャパシタ305の容量よりも大きいため、画素100に第2電圧を素早く供給することができる。
【0059】
また、第1および第2キャパシタ305,306の充電時間、すなわち、時刻t1から時刻t2までの時間は、特に制限がなく、例えば、数μsに設定してもよい。このため、第1電源221から第1キャパシタ305までの配線抵抗、および、第2電源222から第2キャパシタ306までの配線抵抗を抑えるようなレイアウトを行う必要がない。これにより、第1電源221から第1キャパシタ305までの配線の配線幅、および、第2電源222から第2キャパシタ306までの配線の配線幅を広くする必要がなくなるため、固体撮像装置1のレイアウト面積を圧迫することがない。例えば、第1および第2キャパシタ305,306の容量が数pFである場合、各配線抵抗が数kΩとなってもよい。
【0060】
なお、第1および第2キャパシタ305,306により、行方向に並んだ画素100のトランスファゲートトランジスタ102を駆動させるため、第1および第2キャパシタ305,306の容量は、それぞれ、第1ノード302から画素100までに含まれる寄生容量の総和よりも大きくする必要がある。
【0061】
また、各画素100を1ns程度で高速動作させるためには、第3および第4スイッチトランジスタ307,308からトランスファゲートトランジスタ102のゲートまでの配線抵抗を十分小さくしなければならない。例えば、画素100のサイズが行方向および列方向に10μm程度で、画素100の列数が1000程度であるとすると、第1信号線201の配線幅を500nm~1μm程度にする必要がある。また、トランスファゲートトランジスタ102の容量値を0.5pF、第1信号線201の、シート抵抗を0.1Ωとし、配線幅を1μmとすれば、第1信号線201の配線抵抗は1kΩとなるため、時定数が0.5nsとなり、1nsで高速動作させることができる。
【0062】
また、選択トランジスタ103が高速で駆動する必要がないため、第2信号線202の配線幅を、第1信号線201の配線幅よりも狭く形成することができる。これにより、フォトダイオード101の光入射のための開口幅を確保することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、1つの第1信号線201に対して、1つのドライバ回路部301が設けられているが、これに限られない。複数の第1信号線201に対して、1つのドライバ回路部301が設けられていてもよい。
【0064】
(第2実施形態)
図4は第2実施形態に係る距離測定装置の構成例を示す概略図であり、
図5は補助ドライバ回路の回路図である。
図4に示すように、固体撮像装置1は、補助ドライバ回路18をさらに備える。
【0065】
補助ドライバ回路18は、第2および第3ゲート線232,233を介して、ドライバ回路14に第1オン信号φONおよび第1オフ信号φOFFをそれぞれ出力するものである。
【0066】
具体的に、補助ドライバ回路18は、外部に設けられた第3および第4電源223,224から電圧の供給を受ける。第3電源223は第3電圧の供給を行い、第4電源224は第3電圧より低い第4電圧の供給を行う。なお、第3および第4電圧は、第1および第2電圧とそれぞれ同一でもよいし、それぞれ異なってもよい。
【0067】
また、補助ドライバ回路18は、第1オン信号φONを生成するオン信号生成回路19と、第1オフ信号φOFFを生成するオフ信号生成回路20とを備える。
【0068】
オン信号生成回路19は、第3ノード402aと、第5スイッチトランジスタ403aと、第6スイッチトランジスタ404aと、第3キャパシタ405aと、第4キャパシタ406aと、第7スイッチトランジスタ407aと、第8スイッチトランジスタ408aとを備える。なお、第3および第6スイッチトランジスタ403a,404a、ならびに、第8スイッチトランジスタ408aは、N型のMOSトランジスタであり、第7スイッチトランジスタ407aは、P型のMOSトランジスタである。
【0069】
第5スイッチトランジスタ403aは、ソースが第3電源223に、ドレインが第3キャパシタ405aの一端および第7スイッチトランジスタ407aのソースにそれぞれ接続されており、ゲートにチャージ信号φCHGを受ける。第6スイッチトランジスタ404aは、ソースが第4電源224に、ドレインが第4キャパシタ406aの一端および第8スイッチトランジスタ408aのソースにそれぞれ接続されており、ゲートにチャージ信号φCHGを受ける。第3および第4キャパシタ405a,406aは、それぞれ、他端が接地電源に接続されている。第7スイッチトランジスタ407aは、ドレインが第3ノード402aおよび第8スイッチトランジスタ408aのドレインにそれぞれ接続されており、ゲートに第2オン信号φdONを受ける。第8スイッチトランジスタ408aは、ゲートに第2オフ信号φdOFFを受ける。第3ノード402aは、第2ゲート線232に接続されており、第2ゲート線232を介して、ドライバ回路14の第3スイッチトランジスタ307に接続されている。
【0070】
オフ信号生成回路20は、オン信号生成回路19とほぼ同様に構成されるが、第7および第8スイッチトランジスタのゲートに入力される信号と、第3ノードの接続先が異なる。
【0071】
具体的に、オフ信号生成回路20は、第3ノード402bと、第5スイッチトランジスタ403bと、第6スイッチトランジスタ404bと、第3キャパシタ405bと、第4キャパシタ406bと、第7スイッチトランジスタ407bと、第8スイッチトランジスタ408bとを備える。第7スイッチトランジスタ407bは、ゲートに第3オン信号φuONを受ける。第8スイッチトランジスタ408bは、ゲートに第3オフ信号φuOFFを受ける。また、第3ノード402bは、第3ゲート線233に接続されており、第3ゲート線233を介して、ドライバ回路14の第4スイッチトランジスタ308に接続されている。
【0072】
図6は、
図3の露光期間における補助ゲートドライバの動作シーケンスを示す。
【0073】
時刻t21より前の初期状態では、チャージ信号φCHG、第2オフ信号φdOFF、第3オフ信号φuOFFおよび第1オフ信号φOFFがローレベルであり、第2オン信号φdON、第3オン信号φuONおよび第1オン信号φONがハイレベルである。
【0074】
時刻t21において、チャージ信号φCHGがハイレベルとなる。このとき、第5スイッチトランジスタ403a,403b、および、第6スイッチトランジスタ404a,404bが、それぞれオン状態となる。このため、第3電源223と第3キャパシタ405a,405bとが接続されるとともに、第4電源224と第4キャパシタ406a,406bとが接続される。すなわち、第3電源223から第3キャパシタ405a,405bに第3電圧が供給され、第4電源224から第4キャパシタ406a,406bに第4電圧が供給される。したがって、時刻t21において、第3キャパシタ405a,405bおよび第4キャパシタ406a,406bの充電が開始される。
【0075】
時刻t22において、チャージ信号φCHGがローレベルとなる。このとき、第5スイッチトランジスタ403a,403b、および、第6スイッチトランジスタ404a,404bが、それぞれオフ状態となる。このため、第3電源223から第3キャパシタ405a,405bへの第3電圧の供給が停止されるとともに、第4電源224から第4キャパシタ406a,406bへの第4電圧の供給が停止される。すなわち、時刻t22において、第3キャパシタ405a,405bおよび第4キャパシタ406a,406bの充電が終了する。
【0076】
時刻t23において、第2オフ信号φdOFFがハイレベルとなる。このとき、オン信号生成回路19において、第8スイッチトランジスタ408aがオン状態となり、第4キャパシタ406aと第3ノード402aとが接続されるため、第4キャパシタ406aから第3ノード402aに第4電圧が供給される。すなわち、時刻t23において、オン信号φONがローレベルとなり、ドライバ回路14の各第3スイッチトランジスタ307がオン状態となる。なお、時刻t23は、
図3における時刻t4に相当する。
【0077】
時刻t24において、第2オン信号φdONおよび第3オフ信号φuONがそれぞれローレベルとなる。このとき、オン信号生成回路19において、第7スイッチトランジスタ407aがオン状態となり、第3キャパシタ405aと第3ノード402aとが接続されるため、第3キャパシタ405aから第3ノード402aに第3電圧が供給される。すなわち、第1オン信号φONがハイレベルとなり、ドライバ回路14の各第3スイッチトランジスタ307がオフ状態となる。
【0078】
また、オフ信号生成回路20において、第7スイッチトランジスタ407bがオン状態となり、第3キャパシタ405bと第3ノード402bとが接続されるため、第3キャパシタ405bから第3ノード402bに第3電圧が供給される。すなわち、第1オフ信号φOFFがハイレベルとなり、ドライバ回路14の各第4スイッチトランジスタ308がオン状態となる。なお、時刻t24は、
図3における時刻t5に相当する。
【0079】
時刻t25において、第3オフ信号φuOFFがハイレベルとなる。このとき、オフ信号生成回路20において、第8スイッチトランジスタ408bがオン状態となり、第4キャパシタ406bと第3ノード402bとが接続されるため、第4キャパシタ406bから第3ノード402bに第4電圧が供給される。すなわち、第1オフ信号φOFFがローレベルとなり、ドライバ回路14の各第4スイッチトランジスタ308がオフ状態となる。なお、時刻t25は、
図3における時刻t6に相当する。
【0080】
時刻t25の後、第2オフ信号φdOFFをローレベル、第2オン信号φdONをハイレベル、第3オン信号φuONをハイレベル、第3オフ信号φuOFFをローレベルに順次変更することにより、時刻t21より前の初期状態に戻る。
【0081】
以上の構成により、固体撮像装置1は、ドライバ回路14における第3スイッチトランジスタ307および第4スイッチトランジスタ308を制御する補助ドライバ回路18を備える。補助ドライバ回路18のオン信号生成回路19は、第3ノード402aおよび第2ゲート線232を介して、第3スイッチトランジスタ307のゲートにオン信号φONを出力する。補助ドライバ回路18のオフ信号生成回路20は、第3ノード402bおよび第3ゲート線233を介して、第4スイッチトランジスタ308のゲートにオフ信号φOFFを出力する。これにより、ドライバ回路部14に多数のドライバ回路部301を設けた場合であっても、各第3スイッチトランジスタ307の駆動タイミング、および、各第4スイッチトランジスタ308の駆動タイミングのずれを抑えつつ、第3および第4スイッチトランジスタ307,308の駆動を高速化することができる。
【0082】
なお、ドライバ回路14の各第3スイッチトランジスタ307を同時に駆動するため、オン信号生成回路19の第4キャパシタ406aの容量は、第3キャパシタ405aから第3スイッチトランジスタ307までの寄生容量の総和よりも大きく設定される。また、第3スイッチトランジスタ307を高速で駆動するため、第2ゲート線232の配線抵抗は、上記寄生容量との積によって算出される時定数がns以下となるように設計される。
【0083】
(第3実施形態)
図7は第3実施形態に係る固体撮像装置の回路図を示し、
図8は第3実施形態に係る固体撮像装置における画素の回路図を示す。なお、
図7では、k行目の画素600における、オーバーフロートランジスタ105のゲートに入力されるゲート電圧、トランスファゲートトランジスタ102のゲートに入力されるゲート電圧、リセットトランジスタ106のゲートに入力されるリセット信号、カウントトランジスタ107のゲートに入力されるカウント信号、選択トランジスタ103のゲートに入力される選択信号を、それぞれ、ゲート電圧V
OVF(k)、ゲート電圧V
TRN(k)、リセット信号φRST(k)、カウント信号φCNT(k)、選択信号φSEL(k)として図示している。また、
図7では、k+1行目の画素600における、オーバーフロートランジスタ105のゲートに入力されるゲート電圧、トランスファゲートトランジスタ102のゲートに入力されるゲート電圧、リセットトランジスタ106のゲートに入力されるリセット信号、カウントトランジスタ107のゲートに入力されるカウント信号、選択トランジスタ103のゲートに入力される選択信号を、それぞれ、ゲート電圧V
OVF(k+1)、ゲート電圧V
TRN(k+1)、リセット信号φRST(k+1)、カウント信号φCNT(k+1)、選択信号φSEL(k+1)として図示している。
【0084】
図7および
図8に示すように、第3実施形態に係る固体撮像装置1は、行列状に並んだ複数の画素600を備える。画素600は、アバランシェフォトダイオード104と、オーバーフロートランジスタ105と、トランスファゲートトランジスタ102と、リセットトランジスタ106と、カウントトランジスタ107と、メモリキャパシタ108と、増幅トランジスタ109と、選択トランジスタ103とを備える。各トランジスタは、いずれもN型のMOSトランジスタである。
【0085】
アバランシェフォトダイオード104は、入射光を信号電荷に変換する光電変換を行うものである。アバランシェフォトダイオード104は、光電変換により1つの信号電荷を生成したとき、その信号電荷を数万から数十万個の電荷に増幅するものである。
【0086】
オーバーフロートランジスタ105は、ソースがアバランシェフォトダイオード104に、ドレインがリセットドレインに、ゲートが第3信号線203にそれぞれ接続されている。オーバーフロートランジスタ105は、ゲートに第1電圧が供給されたとき、オン状態となり、アバランシェフォトダイオード104とリセットドレインとを接続して、アバランシェフォトダイオード104により生成された信号電荷をリセットドレインに排出する。
【0087】
トランスファゲートトランジスタ102は、ソースがアバランシェフォトダイオード104に、ドレインがフローティングディフュージョンFDに、ゲートが第1信号線201にそれぞれ接続されている。トランスファゲートトランジスタ102は、ゲートに第1電圧が供給されたとき、オン状態となり、アバランシェフォトダイオード104とフローティングディフュージョンFDとを接続して、アバランシェフォトダイオード104により生成された信号電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。
【0088】
リセットトランジスタ106は、ソースがフローティングディフュージョンFDに、ドレインがリセットドレインにそれぞれ接続されており、ゲートにマルチプレクサ13から出力されるリセット信号φRSTを受ける。リセットトランジスタ106は、リセット信号φRSTがハイレベルのとき、オン状態となり、フローティングディフュージョンFDとリセットドレインとを接続して、フローティングディフュージョンFDの信号電荷をリセットドレインに排出する。
【0089】
カウントトランジスタ107は、ソースがフローティングディフュージョンFDに、ドレインがメモリキャパシタ108の一端にそれぞれ接続され、ゲートにマルチプレクサ13から出力されるカウント信号φCNTを受ける。また、メモリキャパシタ108の他端には、接地電圧が接続されている。カウントトランジスタ107は、カウント信号φCNTがハイレベルのとき、フローティングディフュージョンFDとメモリキャパシタ108を接続して、フローティングディフュージョンFDに蓄積された信号電荷をメモリキャパシタ108に転送する。すなわち、メモリキャパシタ108には、カウント信号φCNTがハイレベルとなる度に、カウントトランジスタ107から転送される。すなわち、メモリキャパシタ108には、露光結果に基づいた信号電荷が蓄積される。
【0090】
増幅トランジスタ109は、ゲートがフローティングディフュージョンFDに接続されており、フローティングディフュージョンFDの電圧を増幅して、ドレインから出力する。
【0091】
選択トランジスタ103は、ソースが増幅トランジスタ109のドレインに、ドレインが垂直信号線121にそれぞれ接続され、ゲートに選択信号φSELを受ける。選択トランジスタ103は、選択信号φSELがハイレベルのとき、オン状態となり、ドレインに入力された電圧を垂直信号線121に出力する。すなわち、選択トランジスタ103は、アバランシェフォトダイオード104の露光結果に応じた電圧信号を垂直信号線121に出力する。
【0092】
また、固体撮像装置1は、第1信号線201を介して、トランスファゲートトランジスタ102のゲートにゲート電圧V
TRNを供給する第1ドライバ回路14aと、第3信号線203を介して、オーバーフロートランジスタ105のゲートにゲート電圧V
OVFを供給する第2ドライバ回路14bと、第1ドライバ回路14aに第1オン信号φON_TRNおよび第1オフ信号φOFF_TRNを入力する第1補助ドライバ回路18aと、第2ドライバ回路14bに第1オン信号φON_OVFおよび第1オフ信号φOFF_OVFを入力する第2補助ドライバ回路18bと、画素600にリセット信号φRST、カウント信号φCNTおよび選択信号φSELを入力するマルチプレクサ13と、マルチプレクサ13にアドレス信号φadrを入力する垂直シフトレジスタ12とを備える。なお、第1および第2ドライバ回路14a,14bは、それぞれ、ドライバ回路14と同一の回路構成であり、第1および第2補助ドライバ回路18a,18bは、それぞれ、補助ドライバ回路18と同一の回路構成である。また、
図7では、第1補助ドライバ回路18aに入力される第2オン信号、第2オフ信号、第3オン信号、第3オフ信号を、それぞれ、第2オン信号φdON_TRN、第2オフ信号φdOFF_TRN、第3オン信号φuON_TRN、第3オフ信号φuOFF_TRNとし、第2補助ドライバ回路18bに入力される第2オン信号、第2オフ信号、第3オン信号、第3オフ信号を、それぞれ、第2オン信号φdON_OVF、第2オフ信号φdOFF_OVF、第3オン信号φuON_OVF、第3オフ信号φuOFF_OVFとして図示している。
【0093】
図9は、本実施形態に係る距離測定装置が同時露光を行う際の動作シーケンスを示す。
【0094】
まず、露光期間における距離測定装置の動作について説明する。
【0095】
時刻t41の前の初期状態において、チャージ信号φCHG、スイッチ信号φGSW、第1オフ信号φOFF_OVF,φOFF_TRN、第2オフ信号φdOFF_OVF,φdOFF_TRN、第3オフ信号φuOFF_OVF,φuOFF_TRNは、それぞれ、ローレベルであり、第1オン信号φON_OVF,φON_TRN、第2オン信号φdON_OVF,φdON_TRN、第3オン信号φuON_OVF,φuON_TRNはそれぞれハイレベルである。また、マルチプレクサ13の各第2ノード131には、接地電圧が供給されている。
【0096】
また、ゲート電圧VTRN(k),VOVF(k)を含む、1~N行目の画素600におけるゲート電圧VTRNは、それぞれ接地電圧である。また、カウント信号φCNT(k)、選択信号φSEL(k)、リセット信号φRST(k)を含む、1~N行目の画素600におけるカウント信号φCNT、選択信号φSEL、リセット信号φRSTは、ローレベルである。
【0097】
時刻t41において、チャージ信号φCHGがハイレベルになる。このとき、第1および第2ドライバ回路14a,14bにおいて、第1および第2スイッチトランジスタ303,304がそれぞれオン状態となり、第1電源221と第1キャパシタ305とが接続され、第2電源222と第2キャパシタ306とが接続される。また、第1および第2補助ドライバ回路18a,18bにおいて、第3および第6スイッチトランジスタ403a,403b,404a,404bがそれぞれオン状態となり、第3電源223と第3キャパシタ405a,405bが接続され、第4電源224と第4キャパシタ406a,406bが接続される。すなわち、時刻t41において、第1~第4キャパシタ305,306,405a,405b,406a,406bの充電が開始される。
【0098】
時刻t42において、チャージ信号φCHGがローレベルになる。第1および第2ドライバ回路14a,14bにおいて、第1および第2スイッチトランジスタ303,304がそれぞれオフ状態となり、第1電源221から第1キャパシタ305への第1電圧の供給が停止され、第2電源222から第2キャパシタ306への第2電圧の供給が停止される。また、第1および第2補助ドライバ回路18a,18bにおいて、第3および第6スイッチトランジスタ403a,403b,404a,404bがそれぞれオフ状態となり、第3電源223から第3キャパシタ405a,405bへの第3電圧の供給が停止され、第4電源224から第4キャパシタ406a,406bへの第4電圧の供給が停止される。すなわち、時刻t42において、第1~第4キャパシタ305,306,405a,405b,406a,406bの充電が終了する。
【0099】
時刻t43において、スイッチ信号φGSWがハイレベルになる。このとき、切替スイッチ211により、第1信号線201の接続先が第1ドライバ回路14aの第1ノード302となり、第3信号線203の接続先が第2ドライバ回路14bの第1ノード302となる。
【0100】
時刻t44からt45の間において、光源4から物体に対してパルス光が照射される。
【0101】
時刻t46において、第2オフ信号φdOFF_OVFがハイレベルとなる。このとき、第2補助ドライバ回路18bにおいて、第8スイッチトランジスタ408aがオン状態となり、第4キャパシタ406aと第3ノード402aとが接続される。このため、第1オン信号φON_OVFがローレベルとなる。これに伴い、第2ドライバ回路14bにおける第3スイッチトランジスタ307がオン状態となり、第1キャパシタ305と第1ノード302が接続される。すなわち、第3信号線203を介して、画素600のオーバーフロートランジスタ105のゲートに第1電圧が供給される。したがって、ゲート電圧VOVF(k)を含む、1~N行目の画素600のゲート電圧VOVFが第1電圧となるため、オーバーフロートランジスタ105がオン状態となり、リセットドレインとアバランシェフォトダイオード104とが接続され、1~N行目の画素600におけるアバランシェフォトダイオード104内の信号電荷がリセットドレインに排出される。
【0102】
時刻t47において、第2オン信号φdON_OVF、第3オン信号φuON_OVFがローレベルとなり、第2オフ信号φdOFF_TRNがハイレベルとなる。
【0103】
このとき、第2補助ドライバ回路18bのオン信号生成回路19において、第7スイッチトランジスタ407aがオン状態となり、第3キャパシタ405aと第3ノード402aとが接続される。このため、第1オン信号φON_OVFがハイレベルとなる。これに伴い、第2ドライバ回路14bにおける第3スイッチトランジスタ307がオフ状態となり、第1キャパシタ305から第1ノード302への第1電圧の供給が停止される。一方、第2補助ドライバ回路18bのオフ信号生成回路20において、第7スイッチトランジスタ407bがオン状態となり、第3キャパシタ405bと第3ノード402bとが接続される。このため、第1オフ信号φOFF_OVFがハイレベルとなる。これに伴い、第2ドライバ回路14bにおける第4スイッチトランジスタ308がオン状態となり、第2キャパシタ306と第1ノード302とが接続される。すなわち、第3信号線203を介して、画素600のオーバーフロートランジスタ105のゲートに第2電圧が供給される。したがって、ゲート電圧VOVF(k)を含む、1~N行目の画素600におけるゲート電圧VOVFが第2電圧となり、オーバーフロートランジスタ105がオフ状態となり、1~N行目の画素600におけるリセットドレインとアバランシェフォトダイオード104とが接続されていない状態となる。
【0104】
また、第1補助ドライバ回路18aのオン信号生成回路19において、第8スイッチトランジスタ408aがオン状態となり、第4キャパシタ406aと第3ノード402aとが接続される。このため、第1オン信号φON_TRNがローレベルとなる。これに伴い、第1ドライバ回路14aにおける第3スイッチトランジスタ307がオン状態となり、第1キャパシタ305と第1ノード302とが接続される。すなわち、第1信号線201を介して、画素600のトランスファゲートトランジスタ102のゲートに第1電圧が供給される。したがって、ゲート電圧VTRN(k)を含む、1~N行目の画素600におけるゲート電圧VTRNが第1電圧となり、トランスファゲートトランジスタ102がオン状態となり、アバランシェフォトダイオード104からフローティングディフュージョンFDへの信号電荷の転送が開始され、1~N行目の画素600から信号が出力される。すなわち、時刻t47において、画素600の同時露光が開始される。
【0105】
時刻t48において、第3オフ信号φuOFF_OVFがハイレベルとなり、第2オン信号φdON_TRN、第3オン信号φuON_TRNがローレベルとなる。
【0106】
このとき、第1補助ドライバ回路18aのオフ信号生成回路20において、第8スイッチトランジスタ408bがオン状態となり、第4キャパシタ406bと第3ノード402bとが接続される。このため、第1オフ信号φON_OVFがローレベルとなる。これに伴い、第2ドライバ回路14bにおける第4スイッチトランジスタ308がオフ状態となり、第2キャパシタ306から第1ノード302への第2電圧の供給が停止される。
【0107】
また、第1補助ドライバ回路18aのオン信号生成回路19において、第7スイッチトランジスタ407aがオン状態となり、第3キャパシタ405aと第3ノード402aとが接続される。このため、第1オン信号φON_TRNがハイレベルとなる。これに伴い、第1ドライバ回路14aにおける第3スイッチトランジスタ307がオフ状態となり、第1キャパシタ305から第1ノード302への第1電圧の供給が停止される。一方、第1補助ドライバ回路18aのオフ信号生成回路20において、第7スイッチトランジスタ407bがオン状態となり、第3キャパシタ405bと第3ノード402bとが接続される。このため、第1オフ信号φOFF_TRNがハイレベルとなる。これに伴い、第1ドライバ回路14aにおける第4スイッチトランジスタ308がオン状態となり、第2キャパシタ306と第1ノード302とが接続される。すなわち、第1信号線201を介して、画素600のトランスファゲートトランジスタ102のゲートに第2電圧が供給される。したがって、ゲート電圧VTRN(k)を含む、1~N行目の画素600におけるゲート電圧VTRNが第2電圧となり、トランスファゲートトランジスタ102がオフ状態となり、アバランシェフォトダイオード104からフローティングディフュージョンFDへの信号電荷の転送が停止される。すなわち、時刻t48において、画素600の同時露光が終了する。
【0108】
時刻t48の後、第2オン信号φdON_OVF,φdON_TRN、第2オフ信号φdOFF_OVF,φdOFF_TRN、第3オン信号φuON_OVF,φuON_TRN、第3オフ信号φuOFF_OVF,φuOFF_TRNが順次、初期状態に戻される。
【0109】
時刻t49からt50までの間において、カウント信号φCNT(k)を含む、1~N行目の画素600におけるカウント信号φCNTがハイレベルとなる。このとき、カウントトランジスタ107がオン状態となり、フローティングディフュージョンFDからメモリキャパシタ108に信号電荷が転送される。メモリキャパシタ108は、フローティングディフュージョンFDから転送される信号電荷を蓄積する。
【0110】
その後、露光期間における動作が所定回数行われる。すなわち、本実施形態に係る距離測定装置では、画素600の同時露光を複数回行い、その露光結果を示す信号電荷がメモリキャパシタ108に蓄積される。
【0111】
ここで、本実施形態に係る距離測定装置からの距離がdとなる物体を露光する場合、時刻t44から時刻t47までの時間は以下のように設定される(cは光速)。
【0112】
【0113】
この場合、時刻t46から時刻t47までの時間がhのとき、距離dから以下の距離までの物体が露光されることとなる。
【0114】
【0115】
すなわち、hが短くなれば、物体までの距離を正確に算出することができる。
【0116】
次に、読出期間における距離測定装置の動作について説明する。ここでは、k行目に並んだ画素600から露光結果に応じた信号電荷の読み出しを行う場合の動作を説明する。
【0117】
時刻t51において、選択信号φSEL(k)がハイレベルとなる。このとき、選択トランジスタ103がオン状態となり、増幅トランジスタ109と垂直信号線121とが接続される。
【0118】
時刻t52において、リセット信号φRST(k)をハイレベルとなる。このとき、リセットトランジスタ106がオン状態となり、フローティングディフュージョンFDとリセットドレインとが接続され、フローティングディフュージョンFDに蓄積された信号電荷がリセットドレインに排出される。
【0119】
時刻t53において、リセット信号φRST(k)がローレベルとなる。このとき、リセットトランジスタ106がオフ状態となり、フローティングディフュージョンFDとリセットドレインとが接続されていない状態となる。
【0120】
時刻t54において、カウント信号φCNT(k)がハイレベルとなる。このとき、カウントトランジスタ107はオン状態となり、メモリキャパシタ108とフローティングディフュージョンFDとが接続される。すなわち、メモリキャパシタ108の電圧に応じた信号電荷が、フローティングディフュージョンFDに供給される。これに伴い、増幅トランジスタ109が、フローティングディフュージョンFDの電圧を増幅して、選択トランジスタ103に出力する。選択トランジスタ103は、増幅トランジスタ109から出力された電圧を垂直信号線121に出力する。すなわち、画素600は、メモリキャパシタ108に蓄積された信号電荷に応じた電圧信号を垂直信号線121に出力する。
【0121】
時刻t55において、カウント信号φCNT(k)がローレベルとなる。このとき、カウントトランジスタ107はオフ状態となり、メモリキャパシタ108とフローティングディフュージョンFDとが接続されていない状態となる。
【0122】
時刻t56において、リセット信号φRST(k)およびカウント信号φCNT(k)がハイレベルとなる。このとき、リセットトランジスタ106およびカウントトランジスタ107がオン状態となり、メモリキャパシタ108およびフローティングディフュージョンFDの信号電荷がリセットドレインに排出される。すなわち、メモリキャパシタ108およびフローティングディフュージョンFDの電圧がリセットされる。
【0123】
時刻t56の後、リセット信号φRST(k)、カウント信号φCNT(k)および選択信号φSEL(k)がローレベルとなり、初期状態に戻る。その後、画素600の行ごとに同様の操作が行われ、画素600から電圧信号が出力される。
【0124】
以上の構成により、距離測定装置は、固体撮像装置1と、光源4とを備える。固体撮像装置1は、アバランシェフォトダイオード104と、アバランシェフォトダイオード104により生成された信号電荷をリセットドレインに排出するオーバーフロートランジスタ105と、アバランシェフォトダイオード104により生成された信号電荷をフローティングディフュージョンFDに転送するするトランスファゲートトランジスタ102とを含む画素600を備える。また、固体撮像装置1は、トランスファゲートトランジスタ102を制御する第1ドライバ回路14aと、オーバーフロートランジスタ105を制御する第2ドライバ回路14bと、第3スイッチトランジスタ307を制御する第1補助ドライバ回路18aと、第4スイッチトランジスタ308を制御する第2補助ドライバ回路18bとを備える。トランスファゲートトランジスタ102およびオーバーフロートランジスタ105は、ゲートに第1電圧が供給されるとき、第1電源221と接続されず、第1キャパシタ305と接続される。トランスファゲートトランジスタ102およびオーバーフロートランジスタ105は、ゲートに第2電圧が供給されるとき、第2電源222と接続されず、第2キャパシタ306と接続される。また、第3および第4スイッチトランジスタ307,308は、ゲートに第3電圧が供給されるとき、第3電源223と接続されず、第3キャパシタ405a,405bとそれぞれ接続される。第3および第4スイッチトランジスタ307,308は、ゲートに第4電圧が供給されるとき、第4電源224と接続されず、第4キャパシタ406a,406bとそれぞれ接続される。すなわち、第1および第2電圧の供給源からトランスファゲートトランジスタ102までの配線長、ならびに、オーバーフロートランジスタ105までの配線長が短くなり、トランスファゲートトランジスタ102およびオーバーフロートランジスタ105の高速駆動が可能となる。また、第1および第2キャパシタ305,306からトランスファゲートトランジスタ102までの配線以外の配線、ならびに、第1および第2キャパシタ305,306からオーバーフロートランジスタ105までの配線以外の配線に係る寄生成分の影響を受けないので、複数の画素600に対する駆動タイミングのずれを抑えることができる。さらに、第3および第4電圧の供給源から第3スイッチトランジスタ307まで、ならびに、第3および第4電圧の供給源から第4スイッチトランジスタ308までの配線長が短くなり、第および第4スイッチトランジスタ307,308の高速駆動が可能となる。また、第3および第4キャパシタ405a,406aから第3スイッチトランジスタ307までの配線以外の配線、ならびに、第3および第4キャパシタ405b,406bから第4スイッチトランジスタ308までの配線以外の配線に係る寄生成分の影響を受けないので、第3および第4スイッチトランジスタ307,308に対する駆動タイミングのずれを抑えることができる。これにより、画素600の駆動タイミングのずれを抑えつつ、画素600の駆動を高速化することができる。
【0125】
また、第2信号線202は、第1および第3信号線201,203のいずれよりも配線幅が狭く形成される。これにより、画素600のレイアウトの面積が圧迫されない。
【0126】
また、例えば、光源4がレーザーである場合、光源4は、ピークパワーが極めて大きく(例えば、100W以上)、幅の小さい(数10ns程度)パルス光を照射する。すなわち、光源4が非常に短い期間(時刻t44~t45の間)にパルス光を照射するため、それ以外の期間(時刻t41~t42の間)に、第1~第4キャパシタ305,306,405a,405b,406a,406bの充電を行うことができる。これにより、光源4の発光タイミングと第1~第4キャパシタ305,306,405a,405b,406a,406bの充電タイミングとを異なるタイミングに設定することができるため、光源4の発光時のパワー低下を防止することができる。
【0127】
また、光源4の発光時間は、第1~第4キャパシタ305,306,405a,405b,406a,406bの充電時間よりも短い。例えば、光源4の発光時間と各キャパシタの充電時間は1:100に設定される。これにより、各キャパシタの充電時間が長くなるため、光源4の温度上昇による、光源4のパワー低下を抑制することができる。
【0128】
なお、時刻t52において、列回路15は、垂直信号線121を介して、供給される電圧をリセットレベル電圧に設定してもよい。このリセットレベル電圧に基づいて、列回路15は、画素600から出力される信号電荷のサンプリングを行ってもよい。
【0129】
なお、上記各実施形態では、固体撮像装置および距離測定装置は、複数回露光期間の動作を行った後、読出期間の動作を行うが、これに限られず、1回の露光期間の動作を行った後、読出期間の動作を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本開示は、画素の駆動タイミングのずれを抑えつつ、画素の駆動を高速化することができるため、例えば、距離カメラ等に適用可能である。
【符号の説明】
【0131】
1 固体撮像装置
4 光源
12 垂直シフトレジスタ
13 マルチプレクサ
131 第2ノード
14(14a,14b) ドライバ回路
18(18a,18b) 補助ドライバ回路
100,600 画素
102 トランスファゲートトランジスタ
103 選択トランジスタ
104 アバランシェフォトダイオード
105 オーバーフロートランジスタ
201~203 第1~第3信号線
221~224 第1~第4電源
231~233 第1~第3ゲート線
301 ドライバ回路部
302 第1ノード
303 第1スイッチトランジスタ
304 第2スイッチトランジスタ
305 第1キャパシタ
306 第2キャパシタ
307 第3スイッチトランジスタ
308 第4スイッチトランジスタ
402a,402b 第3ノード
403a,403b 第5スイッチトランジスタ
404a,404b 第6スイッチトランジスタ
405a,405b 第3キャパシタ
406a,406b 第4キャパシタ
407a,407b 第7スイッチトランジスタ
408a,408b 第8スイッチトランジスタ