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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】回転磁気治療器
(51)【国際特許分類】
   A61N 2/02 20060101AFI20230105BHJP
【FI】
A61N2/02 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018203043
(22)【出願日】2018-10-29
(65)【公開番号】P2020068884
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000112299
【氏名又は名称】ピップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】503350655
【氏名又は名称】テクタイト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平塚 靖宣
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-225615(JP,A)
【文献】特開平08-126283(JP,A)
【文献】特開平05-146134(JP,A)
【文献】特開2016-029998(JP,A)
【文献】米国特許第06001055(US,A)
【文献】特開2009-130969(JP,A)
【文献】特開昭61-132920(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の皮膚に取り付けられて使用される回転磁気治療器であって、
前記回転磁気治療器が前記皮膚に取り付けられたときに前記皮膚に直接または間接的に接触する底面を有する筐体と、
前記筐体内に収容される治療用磁石部と、
前記治療用磁石部を支持する支持台と、
前記底面に対して略垂直に延びる回転軸を中心に前記支持台を回転駆動する回転駆動装置とを備え、
前記回転駆動装置が、互いに対向して配置される回転子および固定子を備え、
前記回転駆動装置の前記回転子が、前記支持台に設けられ
前記回転子は、前記筐体の前記底面に対して略平行な方向で、前記治療用磁石部と重なる位置に配置される、
回転磁気治療器。
【請求項2】
前記回転子が磁石であり、前記固定子がコイルである、
請求項1記載の回転磁気治療器。
【請求項3】
前記回転子の、前記固定子とは反対側に、回転子磁気遮蔽部が設けられる、
請求項1または2記載の回転磁気治療器。
【請求項4】
前記回転磁気治療器の動作を制御するための回路基板をさらに備え、
前記回路基板に、前記回転駆動装置の前記固定子が固定子磁気遮蔽部を介して固定される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の回転磁気治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転磁気治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の血行を良くし、肩こりや腰痛の症状を緩和するために、磁石が固定された絆創膏等を人体の皮膚に貼付して使用する貼付磁気治療器が用いられている。貼付磁気治療器は、コンパクトであるとともに、人体の皮膚に直接貼付して使用できるので、使用者は、活動中であるか就寝中であるかの別を問わずいかなる状態でも使用でき、効果的に治療効果を得ることができる。
【0003】
しかし、このような貼付磁気治療器では、磁石が皮膚に対して特定位置に固定され、磁場が固定されてしまうので、いわゆる「なれ」が生じて磁気治療効果が低減してしまうという問題がある。そのような問題に対して、たとえば特許文献1は、生体表面に対して平行な面内で永久磁石をモータにより回転させる回転磁気治療器を提案している。特許文献1の回転磁気治療器は、生体表面に対して平行な面内で永久磁石を回転させるので、生体の広い範囲に亘って、変動磁場を生じさせ、「なれ」を軽減する磁気治療効果を及ぼすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-118200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1の回転磁気治療器は、永久磁石の、生体とは反対側に別体として設けたモータによって永久磁石を回転させる構成となっているため、生体から離れる方向に非常に厚い構成となっている。したがって、使用者の皮膚に取り付けて使用するような場合には、使用者の皮膚に安定して回転磁気治療器を取り付けることが難しい。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みなされたもので、広い範囲で変動磁場を生じさせることができるコンパクトな回転磁気治療器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の回転磁気治療器は、人体の皮膚に取り付けられて使用される回転磁気治療器であって、前記回転磁気治療器が前記皮膚に取り付けられたときに前記皮膚に直接または間接的に接触する底面を有する筐体と、前記筐体内に収容される治療用磁石部と、前記治療用磁石部を支持する支持台と、前記底面に対して略垂直に延びる回転軸を中心に前記支持台を回転駆動する回転駆動装置とを備え、前記回転駆動装置が、互いに対向して配置される回転子および固定子を備え、前記回転駆動装置の前記回転子が、前記支持台に設けられることを特徴とする。
【0008】
また、前記回転子が磁石であり、前記固定子がコイルであることが好ましい。
【0009】
また、前記回転子の、前記固定子とは反対側に、回転子磁気遮蔽部が設けられることが好ましい。
【0010】
また、前記回転磁気治療器の動作を制御するための回路基板をさらに備え、前記回路基板に、前記回転駆動装置の前記固定子が固定子磁気遮蔽部を介して固定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、広い範囲で変動磁場を生じさせることができるコンパクトな回転磁気治療器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る回転磁気治療器の外観図であり、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。
図2図1(a)のA-A線断面図である。
図3図1の回転磁気治療器の部分分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る回転磁気治療器について説明する。ただし、以下で説明する実施形態は、あくまで一例であり、本発明の回転磁気治療器は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
本実施形態の回転磁気治療器1は、たとえば図1(b)に示されるように、人体の皮膚Sに取り付けられて使用される。回転磁気治療器1は、人体の皮膚Sに取り付けられて使用されることにより、人体の体内に磁場を印加し、これらの部位およびその周辺の血行を促進したり、代謝を向上したりするなどの磁気治療効果をもたらす。回転磁気治療器1の皮膚Sへの取付方法は、磁気治療効果が得られる期間にわたって、回転磁気治療器1が人体の皮膚Sに直接または間接的に密着されていれば、特に限定されることはなく、たとえば取付バンドなどにより皮膚Sに直接密着させる方法や、粘着シートなどの公知の粘着手段を介して間接的に皮膚Sに密着させる方法などを採用することができる。また、回転磁気治療器1が取り付けられる皮膚Sの位置は、磁気治療効果が発揮される位置であれば、特に限定されることはなく、人体の肩、腕、首、腰、脚など、いかなる位置であってもよい。
【0015】
本実施形態の回転磁気治療器1は、図1および図2に示されるように、筐体2と、筐体2内に収容される治療用磁石部3と、治療用磁石部3を支持する支持台4と、支持台4を回転駆動する回転駆動装置5とを備えている。回転磁気治療器1は、以下でも詳しく述べるように、回転駆動装置5により支持台4を回転させることによって、支持台4に支持された治療用磁石部3を回転させて、人体の皮膚Sに対して変動磁場を生じさせる。
【0016】
回転磁気治療器1は、本実施形態では、図2に示されるように、回転磁気治療器1の動作を制御するための回路基板9と、回路基板9および回転駆動装置5に電力を供給するバッテリ10と、回転磁気治療器1の電源をオン/オフするスイッチ11と、バッテリ10を充電するために外部からバッテリ10に電力を供給するためのUSB端子12とをさらに備えている。回転磁気治療器1は、回路基板9、バッテリ10、スイッチ11およびUSB端子12をさらに備えることで、単体として制御可能な磁気治療器として機能する。ただし、回転磁気治療器1は、本実施形態に限定されることはなく、回路基板9、バッテリ10、スイッチ11およびUSB端子12を備えることなく、外部制御によって動作されてもよい。
【0017】
筐体2は、回転磁気治療器1を構成する構成部品を収容する。筐体2は、図1(b)に示されるように、回転磁気治療器1が人体の皮膚Sに取り付けられたときに、皮膚Sに直接または間接的に接触する位置に配置される。筐体2は、回転磁気治療器1を構成する構成部品を収容する内部空間を有しており、その内部空間を囲繞する、上面と、側面と、回転磁気治療器1が皮膚Sに取り付けられたときに皮膚Sに直接または間接的に接触する底面21とを有している。回転磁気治療器1は、筐体2の底面21が人体の皮膚Sに直接または間接的に接触するように人体の皮膚Sに取り付けられて使用される。
【0018】
筐体2は、本実施形態では、図1(a)および(b)に示されるように、略円柱状または略円板状に形成されている。しかし、筐体2は、回転磁気治療器1の構成部品を収容するための内部空間を有し、人体の皮膚Sに直接または間接的に接触する底面21を有していれば、特に限定されることはなく、略角柱状などに形成されていてもよい。また、筐体2を構成する材料は、特に限定されることはないが、外部から受ける力に対して、収容する構成部品を保護することができる強度を有し、治療用磁石部3の磁力線が透過可能であることが好ましく、たとえばアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネートアクリロニトリルブタジエンスチレン(PC-ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成樹脂材料を好適に用いることができる。
【0019】
治療用磁石部3は、2つの磁極(N極、S極)を有し、人体の皮膚Sに対して影響を及ぼし得る磁場を生成する。治療用磁石部3は、図2に示されるように、支持台4に支持され、回転駆動装置5により支持台4が回転することによって、回転して変動磁場を生成する。なお、本明細書では、「変動磁場」という用語は、磁界の向きや強度が変動する磁場のことを意味する。回転磁気治療器1は、治療用磁石部3が回転して変動磁場を生成することにより、皮膚S表面および皮膚S表面近傍の体内のいわゆる「なれ」を解消して、高い磁気治療効果を発揮することができる。
【0020】
治療用磁石部3は、図2および図3に示されており、以下でも詳しく述べるように、支持台4が筐体2の底面21に対して略垂直に延びる回転軸6を中心に回転することにより、筐体2の底面21に対して略平行な面内で回転する。回転磁気治療器1は、人体の皮膚Sに取り付けられたときに、治療用磁石部3が筐体2の底面21に対して略平行な面内で回転することにより、皮膚Sの広い範囲に亘って変動磁場を生じさせることができる。
【0021】
治療用磁石部3は、本実施形態では、図2および図3に示されるように、複数(図示された例では2つ)の治療用磁石3a、3bを含んでいる。複数の治療用磁石3a、3bは、筐体2の底面21に対して略垂直に延びる磁極方向を有しており、複数の治療用磁石3a、3bのうち、支持台4の回転方向で隣り合う治療用磁石3a、3b同士が、互いに略反対方向を向く磁極方向を有している。複数の治療用磁石3a、3bのそれぞれは、支持台4の回転方向に沿って互いに離間して配置されており、複数の治療用磁石3a、3bが、支持台4の回転により回転して交番磁場を生成するように構成されている。図示された例では、治療用磁石3aは、底面21側がS極で、底面21に対して反対側がN極になるように(磁極方向が底面21側を向くように)磁化され、治療用磁石3bは、底面21側がN極で、底面21に対して反対側がS極になるように(磁極方向が底面21に対して反対側を向くように)磁化されている。したがって、治療用磁石3a、3bの回転軌道上の特定の位置において、支持台4が1回回転する毎に、筐体2の底面21に対して略垂直方向の上向きおよび下向きの磁界が1回ずつ交替で発生する。このように、治療用磁石部3が、それぞれの磁極方向が互いに反対方向を向く磁石を複数備えることにより、治療用磁石部3を回転した時に皮膚Sが受ける磁界強度の変化が、同じ方向を向く磁極方向を有する磁石を用いる場合と比べて、略倍の大きさになり、より大きな変動磁場を生成することができる。さらに、用いる治療用磁石3a、3bの磁極方向が筐体2の底面21(および皮膚S表面)に対して略垂直に延びることにより、磁極方向が底面21(および皮膚S表面)に対して平行に延びる磁石を用いる場合と比べて、皮膚S表面に対して略垂直な方向の磁界強度が大きくなり、皮膚S表面からより深い体内まで磁気を作用させることができる。ただし、治療用磁石部3は、人体の皮膚Sに対して影響を及ぼし得る磁場を生成することができれば、本実施形態に限定されることはなく、たとえば、1つまたは3つ以上の治療用磁石を備えていてもよいし、互いに同じ方向を向く磁極方向を有する複数の治療用磁石を備えていてもよいし、筐体2の底面21に対して略垂直方向でない磁極方向を有する治療用磁石を備えていてもよい。
【0022】
治療用磁石部3の複数の治療用磁石3a、3bはそれぞれ、図2および図3に示されるように、支持台4の回転中心から略同一の距離だけ離れた位置に配置されている。したがって、複数の治療用磁石3a、3bはそれぞれ、共通の軌道上を回転して、共通の軌道上で交番磁場を生成する。ただし、複数の治療用磁石3a、3bはそれぞれ、支持台4の略中心から異なる距離だけ離れた位置に配置されてもよい。また、複数の治療用磁石3a、3bのそれぞれの支持台4の略中心からの距離は、磁気治療効果を及ぼしたい皮膚Sの範囲に応じて適宜設定することができる。
【0023】
治療用磁石部3の複数の治療用磁石3a、3bはそれぞれ、本実施形態では、図2および図3に示されるように、略円柱状に形成されているが、2つの磁極(N極、S極)を有し、人体の皮膚Sに対して影響を及ぼし得る磁場を生成することができればよく、その形状は特に限定されることはない。また、治療用磁石3a、3bは、本実施形態では筐体2の底面21に対して略垂直に延びる磁極方向を有しているが、筐体2の底面21に対して傾斜する、または略平行に延びる磁極方向を有していてもよい。治療用磁石3a、3bは、特に限定されることはなく、たとえばフェライト、ネオジウム、サマリウムコバルトなどの永久磁石を採用することができる。ただし、その出力レベルは、皮膚S表面上において、厚生労働省の認証基準である200mT以下であることが好ましい。
【0024】
支持台4は、図2に示されるように、治療用磁石部3を支持して、筐体2の底面21に対して略垂直に延びる回転軸6を中心に回転するように構成されている。回転軸6は、本実施形態では、筐体2および回路基板9に固定されている。支持台4は、筐体2および回路基板9に固定された回転軸6に対してベアリング7を介して回転可能に取り付けられている。しかし、支持台4は、回転軸6を中心に回転するように構成されていれば、本実施形態に限定されることはなく、たとえば筐体2および回路基板9に回転可能に取り付けられた回転軸6に対して固定されて、回転軸6とともに回転するように構成されていてもよい。
【0025】
支持台4は、本実施形態では、図2および図3に示されるように、回転軸6が取り付けられる回転軸取付部41と、後述する回転駆動装置5の回転子51を支持するための回転子支持部42と、筐体2の底面21に沿って延びる延在部43と、治療用磁石部3(3a、3b)を支持するための治療用磁石支持部44とを備えている。
【0026】
回転軸取付部41は、支持台4の略中央で、筐体2の底面21に対して略平行な方向における回転子支持部42の内側に設けられている。回転軸取付部41は、回転軸6の延びる方向に沿って延びる筒状(図示された例では略円筒状)に形成され、回転軸6および回転軸6の周りに設けられたベアリング7を挿通可能に構成されている。回転軸取付部41は、回転軸取付部41の内周にベアリング7が固定されて、ベアリング7の内側に相対回転可能に回転軸6が取り付けられる。回転軸取付部41の内周へのベアリング7の固定は、特に限定されることはなく、接着剤などの公知の固定手段により行なうことができる。ただし、回転軸取付部41は、回転軸6を取り付けることができれば、本実施形態に限定されることはなく、たとえば貫通していない凹状に形成されていてもよいし、回転軸6が筐体2に対して回転可能に取り付けられている場合は、回転軸6が直接固定されてもよい。
【0027】
回転子支持部42は、筐体2の底面21に対して略平行な方向における回転軸取付部41の外側を取り囲むように設けられている。回転子支持部42は、回転駆動装置5の回転子51の少なくとも一部を収容可能な空間を有し、回転駆動装置5の固定子52に対向する側が開口し、固定子52が配置される側とは反対側が閉鎖した略ドーナツ状に形成されている。回転子支持部42の、固定子52が配置される側とは反対側の閉鎖部分には、後に詳しく述べるように、回転子磁気遮蔽部42aが設けられてもよい。回転子支持部42への回転子51の取り付けは、特に限定されることはなく、接着剤などの公知の固定手段により行なうことができる。回転子支持部42の形状や配置は、本実施形態に限定されることはなく、回転子51の形状や必要な配置に応じて適宜変更が可能である。
【0028】
延在部43は、回転子支持部42と治療用磁石支持部44との間で筐体2の底面21に沿って延び、回転子支持部42と治療用磁石支持部44とを接続している。延在部43は、本実施形態では、回転子支持部42から互いに反対方向に延びるように2つ設けられ、2つの治療用磁石支持部44を回転子支持部42に接続している。ただし、延在部43の数や配置は、治療用磁石部3(3a、3b)の必要な数や配置に応じて適宜変更が可能である。また、延在部43の延在方向の長さは、治療用磁石部3(3a、3b)の回転中心からの必要な距離に応じて適宜設定することができる。
【0029】
治療用磁石支持部44は、延在部43の径方向外側の端部側に接続されている。治療用磁石支持部44は、治療用磁石部3(図示された例では治療用磁石3a、3b)の少なくとも一部を収容可能な空間を有し、筐体2の底面21側が開口し、筐体2の底面21とは反対側が閉鎖した筒状(図示された例では略円筒状)に形成されている。治療用磁石支持部44の、筐体2の底面21とは反対側の閉鎖部分には、治療用磁石磁気遮蔽部44aが設けられてもよい。筐体2の底面21とは反対側の閉鎖部分に治療用磁石磁気遮蔽部44aが設けられることで、治療用磁石部3の磁気が底面21とは反対側に漏洩するのを抑制し、底面21側に磁力線をより多く集めることができる。さらに、底面21とは反対側に磁気が漏洩するのが抑制されることで、磁気の影響を受ける可能性のある回路基板9を治療用磁石部3のより近くに配置することができ、回転磁気治療器1をよりコンパクトにすることができる。治療用磁石磁気遮蔽部44aは、治療用磁石部3の磁気の少なくとも一部が底面21とは反対側に漏洩するのを抑制することができればよく、治療用磁石支持部44の、筐体2の底面21とは反対側の閉鎖部分だけでなく、治療用磁石支持部44の側面部分や延在部43にも設けられてもよい。治療用磁石磁気遮蔽部44aは、特に限定されることはなく、純鉄、珪素鋼、パーマロイなどの高透磁率材料などを用いて形成することができる。ただし、治療用磁石支持部44は、治療用磁石部3を支持することができれば、本実施形態に限定されることはなく、治療用磁石部3の形状や配置に応じて適宜変更が可能である。
【0030】
支持台4は、回転軸6を中心に回転可能であり、治療用磁石部3を支持し、回転子51を取り付けることができる強度を有していれば、構成する材料は特に限定されることはない。支持台4は、たとえば、全体が純鉄などの磁気遮蔽材料により形成されてもよいし、上述したように一部が純鉄などの磁気遮蔽材料により形成され、他の部分が樹脂材料により形成されてもよいし、全体が樹脂材料により形成されてもよい。用いられる樹脂材料としては、特に限定されることはなく、たとえばアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネートアクリロニトリルブタジエンスチレン(PC-ABS)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などが例示される。
【0031】
回転駆動装置5は、筐体2の底面21に対して略垂直に延びる回転軸6を中心に支持台4を回転駆動する。回転駆動装置5は、図2および図3に示されるように、互いに対向して配置される回転子51および固定子52を備えている。そして、回転駆動装置5の回転子51は、治療用磁石部3を支持する支持台4に設けられている。回転駆動装置5は、固定子52の作用によって回転子51を回転させ、回転子51が設けられた支持台4を回転駆動する。回転磁気治療器1は、回転駆動装置5の構成要素の一部である回転子51を支持台4に設けることによって、回転駆動装置5の設置スペースを支持台4の設置スペースと共有することができるので、全体をコンパクトにすることができる。
【0032】
回転駆動装置5は、本実施形態では、図2および図3に示されるように、回転子51が磁石であり、固定子52がコイルである。回転駆動装置5は、固定子52であるコイルに電流を流すことにより発生する磁場によって、回転子51である磁石がその磁場の作用を受けて回転する。回転駆動装置5は、回転子51を磁石とし、固定子52をコイルとすることで、ブラシレス構成にすることができ、固定子52に流す電流を制御することにより、回転子51の回転速度を安定させることができる。ただし、回転駆動装置5は、固定子52の作用により回転子51が回転するように構成されていれば、本実施形態に限定されることはなく、たとえば回転子51をコイルとし、固定子52を磁石としてもよい。
【0033】
回転子51である磁石は、固定子52であるコイルが生成する磁場の作用を受けて回転する。回転子51は、本実施形態では、図2および図3に示されるように、支持台4の回転子支持部42に支持される。回転子51は、回転子支持部42の形状に対応するように、中央部分が切り抜かれた略円形の板状(略ドーナツ状)に形成されている。回転子51は、筐体2の底面21に対して略垂直方向に延びる磁極方向を有し、円周方向で交互に磁極が反転するように磁化された磁石である。回転子51は、本実施形態では、図3に示されるように4極磁石として構成されているが、2極磁石として構成されてもよいし、6極以上の磁石として構成されてもよい。回転子51は、板表面が筐体2の底面21と略平行になるように支持台4に設けられ、底面21に対して略平行な面内で回転する。回転子51は、図2においてよく理解できるように、筐体2の底面21に対して略平行な方向で、治療用磁石部3と重なる位置に配置されている。したがって、筐体2の底面21に対して垂直方向において回転磁気治療器1をよりコンパクトにすることができる。
【0034】
本実施形態では、図2および図3に示されるように、回転子51の、固定子52とは反対側に、回転子磁気遮蔽部42aが設けられている。回転子51の固定子52とは反対側に回転子磁気遮蔽部42aが設けられることにより、回転子51から固定子52とは反対側に磁気が漏洩するのを抑制することができる。磁気漏洩の抑制により、回転子51と固定子52との磁気相互作用の効率を向上させ、回転駆動装置5の電気効率を向上させることができる。ただし、回転磁気治療器1は、回転子磁気遮蔽部42aが設けられなくてもよく、その場合は、回転子51が生成する磁場によっても人体に磁気治療効果をもたらすことができる。回転子磁気遮蔽部42aは、本実施形態では、支持台4の回転子支持部42の、固定子52が配置される側とは反対側の閉鎖部分に、支持台4の一部として構成されている。ただし、回転子磁気遮蔽部42aは、回転子51から固定子52とは反対側に磁気が漏洩するのを抑制することができれば、本実施形態に限定されることはなく、回転子支持部42の、固定子52が配置される側とは反対側の閉鎖部分だけでなく、回転子51の側面に対応する部分や延在部43にも設けられてもよい。また、回転子磁気遮蔽部42aは、支持台4の一部としてではなく、支持台4とは別に設けられてもよい。用いられる回転子磁気遮蔽部42aは、特に限定されることはなく、純鉄、珪素鋼、パーマロイなどの高透磁率材料などを用いて形成することができる。
【0035】
回転子51として用いられる磁石は、固定子52が生成する磁場の作用を受けて回転することができれば、特に限定されることはなく、フェライト、ネオジウム、サマリウムコバルトなどの永久磁石によって形成することができる。
【0036】
固定子52であるコイルは、電流が流されることによって、回転子51である磁石に作用する磁場を生成する。固定子52は、本実施形態では、図2に示されるように、回転子51に対して、筐体2の底面21とは反対側に設けられている。より具体的には、固定子52は、回転磁気治療器1の動作を制御するための回路基板9に固定されている。固定子52が回路基板9に固定されることにより、固定子52に電流を供給するためのリード線を筐体2内で配線する必要がなく、それによって、筐体2内にリード線を配線するためのスペースを確保する必要がないだけでなく、支持台4の回転によってリード線が断線するのを防止するための構造を設ける必要がないので、筐体2をよりコンパクトにし、回転磁気治療器1をよりコンパクトにすることができる。ただし、固定子52は、回転子51に対して磁場を作用させるように回転子51に対向して配置されていれば、本実施形態に限定されることはなく、たとえば、回転子51に対して筐体2の底面21側に設けられていてもよい。
【0037】
固定子52であるコイルは、本実施形態では、図3に示されるように、3つのコイルにより構成されている。各コイルは、電線が筐体2の底面21に対して略平行な面内で捲回されて、電線に電流が流されることによって底面21に対して略垂直方向に沿った磁界を発生させるように構成されている。固定子52は、本実施形態では3つのコイルであるが、その数は特に限定されることはない。また、コイルに用いられる電線としては、特に限定されることはなく、公知のエナメル線などを用いることができる。
【0038】
固定子52は、本実施形態では上述したように回路基板9に固定されているが、たとえば、図2および図3に示されるように、固定子磁気遮蔽部8を介して回路基板9に固定されてもよい。固定子磁気遮蔽部8は、固定子52から回路基板9側に磁気が漏洩するのを抑制する。固定子52が固定子磁気遮蔽部8を介して回路基板9に固定されることにより、固定子52が生成する磁場が回路基板9に作用するのを抑制することができる。したがって、回路基板9が誤作動するのを抑制できるとともに、固定子52の配置を考慮した回路配置の必要性が低減され、回路配置の自由度が増加して、回路基板9をよりコンパクトにし、回転磁気治療器1をよりコンパクトにすることができる。用いられる固定子磁気遮蔽部8は、特に限定されることはなく、純鉄、珪素鋼、パーマロイなどの高透磁率材料などを用いて形成することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 回転磁気治療器
2 筐体
21 底面
3 治療用磁石部
3a、3b 治療用磁石
4 支持台
41 回転軸取付部
42 回転子支持部
42a 回転子磁気遮蔽部
43 延在部
44 治療用磁石支持部
44a 治療用磁石磁気遮蔽部
5 回転駆動装置
51 回転子
52 固定子
6 回転軸
7 ベアリング
8 固定子磁気遮蔽部
9 回路基板
10 バッテリ
11 スイッチ
12 USB端子
13 USB端子カバー
S 皮膚
図1
図2
図3