(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】タマリンド分解物、酪酸産生菌増殖促進剤、腸内酪酸産生用組成物、並びに、タマリンド分解物の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/125 20160101AFI20230105BHJP
A61K 31/716 20060101ALI20230105BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20230105BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230105BHJP
C08B 37/00 20060101ALN20230105BHJP
【FI】
A23L33/125
A61K31/716
A61K36/48
A61P1/00
C08B37/00 Q
(21)【出願番号】P 2022563417
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2022019239
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】P 2021076119
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501360821
【氏名又は名称】住友ファーマフード&ケミカル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000125347
【氏名又は名称】学校法人近畿大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山西 健太
(72)【発明者】
【氏名】栗原 新
【審査官】小路 杏
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-97168(JP,A)
【文献】特開平4-228041(JP,A)
【文献】特開平7-147934(JP,A)
【文献】特開2013-7816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B 37/00
A23L 33/125
A61K 31/716
A61K 36/48
A61P 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タマリンドガムの分解物であり重量平均分子量が500~30,000であるタマリンド分解物を含有する、ロゼブリア・インテスティナリス増殖促進剤。
【請求項2】
タマリンドガムの分解物であり重量平均分子量が500~20,000であるタマリンド分解物を含有する、選択的ロゼブリア・インテスティナリス増殖促進剤。
【請求項3】
タマリンドガムの分解物であり重量平均分子量が500~20,000であるタマリンド分解物を含有する、腸内
で選択的に酪酸を産生
させるための組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、日本国特願2021-076119号の優先権を主張し、引用によって本願明細書の記載に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、タマリンドガムの分解物であるタマリンド分解物、該タマリンド分解物を含む酪酸産生菌増殖促進剤、該タマリンド分解物を含む腸内酪酸産生用組成物、及び、該タマリンド分解物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、腸内環境を改善するための取り組みがなされている。
【0004】
近年の腸内環境に関する研究では、腸内細菌叢(腸内フローラ)における細菌の構成が、老化、免疫、各種疾病などに影響していることが明らかにされている。そこで、腸内細菌叢における特定の細菌を増殖させることが提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1では、アガロースなどの多糖類を用いることによって腸内の特定の細菌を増殖させ、この細菌が産生する代謝物により腸内環境を改善することが提案されている。
【0006】
かかる代謝物として短鎖脂肪酸を産生する腸内細菌が存在する。例えば、特許文献2に記載されているように、短鎖脂肪酸のなかでも酪酸は大腸上皮細胞の主要なエネルギー源となることから、酪酸産生菌を増殖させることにより、腸内環境を改善できることが知られている。また、最近の研究では、酪酸による腸内環境の改善が、大腸がんや自己免疫疾患の予防、感染症やアレルギーの予防及びこれらの症状の軽減に寄与することが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】日本国特開2017-163980号公報
【文献】日本国特開2004-346043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、酪酸産生菌自体を含有する薬剤等を服用し、外部から取り入れた菌により腸内の菌数を増やすことが行われている。一方で、腸内の酪酸産生菌の増殖を図る取り組みは十分になされているとは言い難く、その有効な手段が見出されてはいない。
【0009】
上記事情に鑑み、本発明は、酪酸産生菌の増殖に優れるタマリンド分解物、かかるタマリンド分解物を含む酪酸産生菌増殖促進剤及び腸内酪酸産生用組成物、並びに、かかるタマリンド分解物の製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は、飲食品、医薬品、サプリメント等に加えられた場合に、味や風味(粘性)への影響が少ないタマリンド分解物を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るタマリンド分解物は、
タマリンドガムの分解物であり、重量平均分子量が70,000以下である。
【0011】
また、本発明に係る酪酸産生菌増殖促進剤は、前記タマリンド分解物を含有する。
【0012】
また、本発明に係る腸内酪酸産生用組成物は、前記タマリンド分解物を含有する。
【0013】
また、本発明に係るタマリンド分解物の製造方法は、重量平均分子量が70,000以下になるまでタマリンドガムを分解してタマリンドガムの分解物であるタマリンド分解物を製造する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係るタマリンド分解物が含有する糖鎖の構造を示す。
【
図2】比較例1に係るタマリンドガムのGPCのクロマトグラムである。
【
図3】比較例2に係るタマリンドガムの分解物のGPCのクロマトグラムである。
【
図4】実施例1に係るタマリンド分解物のGPCのクロマトグラムである。
【
図5】実施例3に係るタマリンド分解物のGPCのクロマトグラムである。
【
図6】実施例4に係るタマリンド分解物のGPCのクロマトグラムである。
【
図7】実施例5に係るタマリンド分解物のGPCのクロマトグラムである。
【
図8】比較例1に係るタマリンドガム(重量平均分子量6,360,000)による腸内細菌の増殖促進効果を示すグラフである。
【
図9】比較例2に係るタマリンドガムの分解物(重量平均分子量1,310,000)による腸内細菌の増殖促進効果を示すグラフである。
【
図10】実施例1に係るタマリンド分解物(重量平均分子量67,300)による腸内細菌の増殖促進効果を示すグラフである。
【
図11】実施例2に係るタマリンド分解物(重量平均分子量29,000)による腸内細菌の増殖促進効果を示すグラフである。
【
図12】実施例3に係るタマリンド分解物(重量平均分子量16,700)による腸内細菌の増殖促進効果を示すグラフである。
【
図13】実施例4に係るタマリンド分解物(重量平均分子量11,700)による腸内細菌の増殖促進効果を示すグラフである。
【
図14】実施例5に係るタマリンド分解物(重量平均分子量973)による腸内細菌の増殖促進効果を示すグラフである。
【
図15】参考例1に係るイヌリンによる腸内細菌の増殖促進効果を示すグラフである。
【
図16】一般的なオリゴ糖による各種細菌の増殖促進効果を示すグラフである。
【
図17】酪酸産生菌であるロゼブリア・インテスティナリスの培養上清中の有機酸の含有量を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、一実施形態に係るタマリンド分解物について説明する。
【0016】
本実施形態に係るタマリンド分解物は、タマリンドガムの分解物であり、重量平均分子量が70,000以下である。かかる重量平均分子量のタマリンド分解物は、酪酸産生菌を増殖させることに優れる。前記酪酸産生菌は、本実施形態のタマリンド分解物を餌にして酪酸を産生する菌である。
【0017】
本実施形態のタマリンド分解物を餌にして増殖する前記酪酸産生菌は、例えば、ロゼブリア属の細菌であり、より具体的には、ロゼブリア・インテスティナリス(Roseburia Intestinalis)である。
【0018】
前記タマリンドガムは、タマリンド(Tamarindus Indica L.)の種子から得られる増粘性の多糖類である。前記タマリンドガムは、キシログルカンと呼ばれる構造を有する糖鎖を含有する。前記タマリンドガムにおけるキシログルカンは、β-グルコースにより構成される主鎖と、α-キシロース及びガラクトースにより構成される側鎖とを有する。タマリンド分解物の原料となる前記タマリンドガムの重量平均分子量は、例えば、200,000以上であってもよく、400,000以上であってもよく、800,000以上であってもよい。前記種子より得られる前記タマリンドガムの重量平均分子量は、通常、500,000程度である。
【0019】
重量平均分子量は、実施例に記載のように、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって測定することができる。前記タマリンド分解物の重量平均分子量は、70,000以下であることが重要であり、60,000以下であることが好ましく、50,000以下であることがより好ましく、40,000以下であることがさらに好ましく、30,000以下であることがより一層好ましく、20,000以下であることがとりわけ好ましい。また、前記タマリンド分解物の重量平均分子量は、900以上であることが好ましい。なお、前記タマリンド分解物の重量平均分子量は、500以上、600以上、700以上、800以上、5,000以上、8,000以上、10,000以上、又は12,000以上であってもよい。さらに、重量平均分子量が900~20,000であることによって、前記タマリンド分解物が、酪酸産生菌以外の他の細菌の増殖量よりも多くの酪酸産生菌を増殖させることに優れたものとなる。すなわち、前記タマリンド分解物が、選択的に酪酸産生菌を増殖させることに優れたものとなる。かかる選択性を高める上では、前記タマリンド分解物の重量平均分子量は、500以上25,000以下(好ましくは500以上20,000以下)であることが好ましく、600以上25,000以下(好ましくは600以上20,000以下)であることがより好ましく、700以上25,000以下(好ましくは700以上20,000以下)であることがさらに好ましく、800以上25,000以下(好ましくは800以上20,000以下)であることがより一層好ましい。
【0020】
図4~
図7に示されるように、GPC測定により取得されるクロマトグラムは、前記タマリンド分解物の分子量分布を示す。また、該分子量分布は、通常、1以上のピークを示す。そして、このピークの極大点が示すピークトップ分子量から、前記タマリンド分解物の好ましい分解の程度を把握することができる。前記クロマトグラムにおいて、前記タマリンド分解物の各ピークは、850~50,000のピークトップ分子量を示すことが好ましい。
【0021】
より具体的には、前記タマリンド分解物は、前記クロマトグラムにおいて、ピークトップ分子量が30,000~50,000の第1のピークP1を示すことが好ましく、ピークトップ分子量が3,100~8,000の第2のピークP2を示すことがより好ましく、ピークトップ分子量が2,000~3,000の第3のピークP3を示すことがさらに好ましく、ピークトップ分子量が850~1,500の第4のピークP4を示すことがより一層好ましい。
【0022】
さらに、第2のピークP2のピークトップ分子量は、3,500~7,500であることが好ましい。また、第3のピークP3のピークトップ分子量は、2,000~2,300であることが好ましい。また、第4のピークP4のピークトップ分子量は、900~1,100であることが好ましく、950~1,100であることがより好ましい。
【0023】
前記タマリンド分解物は、前記クロマトグラムにおいて、第1のピークP1を示すことが好ましく、第1のピークP1及び第2のピークP2を示すことがより好ましく、第1のピークP1、第2のピークP2及び第3のピークP3を示すことがさらに好ましく、少なくとも第4のピークP4を示すことがより一層好ましい。
【0024】
前記タマリンド分解物は、7~9糖からなる繰り返し単位が1以上結合した分子構造を有する糖鎖を含むことが好ましい。
図1に示されるように、前記繰り返し単位は、1,4-グリコシド結合によってつながった4つのβ-グルコースにより構成された主鎖を有する。また、前記繰り返し単位は、前記主鎖の4つのβ-グルコースのうちの3つのβ-グルコースの6位水酸基に1,6-グリコシド結合によってつながった3つのα-キシロースと、1つ又は2つのα-キシロースの2位水酸基に1,2-グリコシド結合によってつながった1つ又は2つのガラクトースと、により構成された側鎖を有する。また、前記繰り返し単位において、前記側鎖は、α-キシロースのみから構成されていてもよい。前記タマリンド分解物は、一つの前記繰り返し単位からなる糖鎖を含有していてもよい。すなわち、前記タマリンド分解物は、4つのβ-グルコースにより構成された主鎖と、3~5つのα-キシロース及びガラクトースにより構成された側鎖とからなる糖鎖を含有していてもよい。
【0025】
本実施形態のタマリンド分解物は、これを有効成分として含有する腸内酪酸産生用組成物を構成することが好ましい。例えば、本実施形態のタマリンド分解物は、各種製品に含有されて飲食品組成物を構成することが好ましい。かかる製品としては、経口摂取されるものが好ましく、例えば、各種飲料、ゼリー、ジャム、菓子、冷菓、たれ、ふりかけ、パン、米飯、総菜、レトルト食品、咀嚼・嚥下困難者用食品などの食品が挙げられる。言い換えれば、これらの製品は、本実施形態のタマリンド分解物を有効成分として含有する腸内酪酸産生用飲食品組成物である。本実施形態のタマリンド分解物は、飲食品の味や風味に対する影響が少ないため、上記の製品は、これらが本来有する味や風味が維持されたものとなる。なお、前記腸内酪酸産生用飲食品組成物は、飼育動物の飼料であってもよい。
【0026】
また、前記タマリンド分解物は、前記タマリンドガムなどの多糖類のような増粘性を示さないため、各種製品に高濃度で含有させることができる。より具体的には、前記タマリンド分解物を10質量%で含有する水溶液(タマリンド分解物の質量:水の質量=9:1)の粘度(E型粘度、温度20℃、剪断速度50[1/s])は50mPa・s以下である。これによって、該タマリンド分解物を飲食品組成物に高濃度で含有させた場合であっても、該飲食品組成物の流動性の低下を抑制することができる。前記粘度は、40mPa・s以下であることが好ましく、20mPa・s以下であることがより好ましく、15mPa・s以下であることがさらに好ましい。前記飲食品組成物の総質量に対する前記タマリンド分解物の含有量は、1質量%以上であってよく、3質量%以上であってもよく、10質量%以上であってもよい。また、前記含有量は、70質量%以下であってもよく、50質量%以下であってもよく、通常は20質量%以下である。
【0027】
本実施形態のタマリンド分解物は、腸内の酪酸産生菌の餌として機能し、酪酸産生菌を増殖させるものである。これに伴って、腸内の酪酸が増加し、腸内環境を改善させることができる。従って、本実施形態のタマリンド分解物は、酪酸産生菌増殖促進剤に用いられるのに好適である。また、本実施形態のタマリンド分解物は、酪酸産生菌以外の他の細菌の増殖量よりも多くの酪酸産生菌を増殖させることに優れる。従って、本実施形態のタマリンド分解物は、酪酸産生菌選択的増殖促進剤に用いられるのに好適である。
【0028】
前記タマリンド分解物の摂取量は、1日あたり0.05g/kg体重以上であることが好ましく、0.1g~2g/kg体重であることがより好ましく、0.2~1g/kg体重であることがさらに好ましく、0.2~0.4g/kg体重であることがより一層好ましい。
【0029】
前記タマリンド分解物を摂取させる対象は、ヒトであることが好ましい。この他、該対象は、サル、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタなどの哺乳動物であってもよい。
【0030】
次に、前記酪酸産生菌(選択的)増殖促進剤について説明する。
【0031】
前記酪酸産生増殖促進剤は、例えば、前記飲食品組成物を調製するための飲食品用添加剤であることが好ましい。また、酪酸産生増殖促進剤は、医薬品やサプリメントなどの薬剤であってもよい。
【0032】
前記酪酸産生菌増殖促進剤に含まれる多糖類の総質量に対する前記タマリンド分解物の割合は、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。前記酪酸産生菌増殖促進剤は、前記タマリンド分解物以外の多糖類を実質的に含有していないことが好ましい。これによって、前記酪酸産生菌増殖促進剤が、選択的に酪酸産生菌を増殖させるのに優れたものとなる。
【0033】
前記酪酸産生菌増殖促進剤に含まれる前記タマリンド分解物は、前記クロマトグラムにおいて、少なくとも第4のピークP4を示すことが好ましい。これによって、さらに、選択的に酪酸産生菌を増殖させるのに優れたものとなる。
【0034】
前記酪酸産生菌増殖促進剤は、前記タマリンド分解物を担持する担体や、前記タマリンド分解物を希釈する希釈剤を含んでいてもよい。かかる担体又は希釈剤としては、賦形剤、稀釈剤、増量剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、芳香剤、着色剤、甘味料、粘稠剤、矯味剤、溶解補助剤等が挙げられる。
【0035】
前記酪酸産生菌増殖促進剤が飲食品用添加剤である場合、剤型は、顆粒剤、粉末剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、液剤などが好ましい。
【0036】
前記酪酸産生菌増殖促進剤が薬剤である場合、剤型は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、ドロップ剤、内用液剤などの経口剤が好ましい。この他、剤型は、注射剤であってもよい。
【0037】
前記酪酸産生菌増殖促進剤の総質量に対する前記タマリンド分解物の含有量は、50質量%以上であってもよく、60質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよい。
【0038】
次に、前記タマリンド分解物の製造方法について説明する。
【0039】
前記タマリンド分解物の製造方法は、前記タマリンドガムを分解して前記タマリンド分解物を得る分解工程と、前記タマリンド分解物を精製する精製工程とを備える。
【0040】
前記分解工程では、タマリンドの種子を粉砕することによって得られる粉砕物を使用してもよく、タマリンドの種子又は粉砕物から前記タマリンドガムを抽出することによって得られるタマリンド種子抽出物を使用してもよい。また、前記粉砕物又は前記タマリンド種子抽出物を分離、精製することによって得られる高純度の精製物を使用してもよい。
【0041】
前記分解工程では、重量平均分子量が70,000以下になるまで前記タマリンドガムを分解することが重要である。前記分解工程では、重量平均分子量が、好ましくは60,000以下になるまで、より好ましくは50,000以下になるまで、さらに好ましくは40,000以下になるまで、より一層好ましくは30,000以下になるまで、特に好ましくは20,000以下になるまで、前記タマリンドガムを分解する。
【0042】
また、前記分解工程では、前記クロマトグラムにおいて、前記ピークトップ分子量が50,000以下のピークが表れるまで、前記タマリンドガムを分解することが好ましい。より具体的には、前記分解工程では、前記クロマトグラムにおいて、好ましくは少なくとも第1のピークP1が表れるまで、より好ましくは第1のピークP1及び第2のピークP2が表れるまで、さらに好ましくは第1のピークP1、第2のピークP2及び第3のピークP3が表れるまで、より一層好ましくは第4のピークP4が表れるまで、前記タマリンドガムを分解する。
【0043】
前記分解工程では、酵素によって前記タマリンドガムを分解し、前記タマリンド分解物を得ることが好ましい。前記酵素は、前記タマリンドガムの前記主鎖のグリコシド結合(β-1,4-グリコシド結合)を分解するものであることが好ましい。かかる酵素としては、セルラーゼが好ましい。なお、前記分解工程では、酸による加水分解によって前記タマリンドガムを分解してもよい。すなわち、前記タマリンド分解物は、前記タマリンドガムが前記酵素によって分解された酵素分解物であってもよく、酸加水分解によって分解された酸加水分解物であってもよい。
【0044】
前記分解工程では、前記酵素が安定して存在可能であり且つ活性を示すことが可能な水中で、前記タマリンドガムを分解することが好ましい。具体的には、前記分解工程では、前記タマリンドガム及び前記酵素が分散し且つpH3~7、温度25~60℃に維持された分散液中で前記タマリンドガムを分解することが好ましい。
【0045】
前記分散液における前記タマリンドガムの濃度は、60質量%以下であることが好ましい。
【0046】
前記分解工程における分解時間は、1時間以上に設定することが好ましく、3時間以上に設定することがより好ましく、5時間以上に設定することがさらに好ましい。前記タマリンド分解物の重量平均分子量やピークトップ分子量が所望の値になれば、80℃以上、好ましくは90℃以上に前記分散液を加熱することにより前記酵素を失活させることが好ましい。すなわち、本実施形態での前記分解時間は、分散液を調製してから分散液が上記の温度に加熱されて酵素が失活するまでの時間を変化させることで調整可能である。
【0047】
前記分解工程では、前記タマリンド分解物を含む分散液を凍結乾燥し、さらに、ミルなどを用いて乾燥物を粉砕、篩過することによって、未精製品としての前記タマリンド分解物を得てもよい。
【0048】
本実施形態の精製工程では、水溶性有機溶媒を含有する水溶液によって前記未精製品を精製し、精製品としての前記タマリンド分解物を得る。前記未精製品に前記水溶液を混合すると、一部のタマリンド分解物が該水溶液中に析出しつつ、残部のタマリンド分解物が該水溶液に溶解した状態となる。本実施形態の精製工程では、前記水溶液中に析出した析出物としての低分解タマリンド分解物と、前記水溶液に溶解した溶解物としての高分解タマリンド分解物とのそれぞれを精製品として得る。
【0049】
前記精製工程では、前記低分解タマリンド分解物の重量平均分子量が10,000以上となるように、前記水溶液を選択することが好ましい。また、前記高分解タマリンド分解物の重量平均分子量が1,500以下、好ましくは1,000以下となるように、前記水溶液を選択することが好ましい。かかる観点から、前記水溶液に含有させる水溶性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、又はiso-プロパノールなどの低級アルコール、アセトンなどのケトン系溶媒が好ましい。なお、水溶性有機溶媒に代えて、ヘキサンなどの非水溶性有機溶媒を用いてもよく、前記低級アルコール、前記ケトン系溶媒、及び前記非水溶性有機溶媒を併用してもよい。かかる併用によって、前記低分解タマリンド分解物及び前記高分解タマリンド分解物の重量分子量及びピークトップ分子量を調整することができる。
【0050】
前記精製工程では、前記水溶液から析出物としての前記低分解タマリンド分解物を分離することによって、前記低分解タマリンド分解物と前記高分解タマリンド分解物とを分離する。分離方法には、従来公知の方法を採用することができ、例えば、遠心分離や減圧ろ過が挙げられる。また、好ましくは、前記水溶液から固形物としての前記高分解タマリンド分解物を取得する。固形物としての前記高分解タマリンド分解物を取得する方法としては、前記水溶液を濃縮して得られる残渣に水を添加して凍結乾燥する方法が好ましい。前記高分解タマリンド分解物は、前記低分解タマリンド分解物と比較して、重量平均分子量が小さいものとなる。これによって、前記高分解タマリンド分解物は、酪酸産生菌を選択的に増殖させることに優れたものとなる。
【0051】
前記精製工程では、さらに、前記低分解タマリンド分解物及び前記高分解タマリンド分解物を凍結乾燥、粉砕、篩過することが好ましい。すなわち、前記精製工程では、粉状物などの固形物として、前記低分解タマリンド分解物及び前記高分解タマリンド分解物を取得することが好ましい。
【0052】
上記の一実施形態に係るタマリンド分解物は、
タマリンドガムの分解物であり、重量平均分子量が70,000以下である。
【0053】
斯かる構成によれば、重量平均分子量が70,000以下であることによって、酪酸産生菌の増殖に優れたものとなる。
【0054】
また、上記の一実施形態に係る酪酸産生菌増殖促進剤は、前記タマリンド分解物を含有する。
【0055】
斯かる構成によれば、前記タマリンド分解物を含有することによって、ヒトなどの動物に摂取された場合において、腸内の酪酸産生菌の増殖に優れたものとなる。
【0056】
また、上記の一実施形態に係る腸内酪酸産生用組成物は、前記タマリンド分解物を含有する。
【0057】
斯かる構成によれば、前記タマリンド分解物を含有することによって、ヒトなどの動物に摂取された場合において、腸内の酪酸産生に優れたものとなる。
【0058】
また、上記の一実施形態に係るタマリンド分解物の製造方法は、重量平均分子量が70,000以下になるまでタマリンドガムを分解してタマリンドガムの分解物であるタマリンド分解物を製造する。
【0059】
斯かる構成によれば、重量平均分子量が70,000以下になるまでタマリンドガムを分解することによって、酪酸産生菌の増殖に優れるタマリンド分解物を製造することができる。
【0060】
以上のように、例示として一実施形態を示したが、本発明に係るタマリンド分解物、酪酸産生菌増殖促進剤、腸内酪酸産生用組成物、並びに、タマリンド分解物の製造方法は、上記実施形態の構成に限定されるものではない。また、本発明に係るタマリンド分解物、酪酸産生菌増殖促進剤、腸内酪酸産生用組成物、並びに、タマリンド分解物の製造方法は、上記した作用効果により限定されるものでもない。本発明に係るタマリンド分解物、酪酸産生菌増殖促進剤、腸内酪酸産生用組成物、並びに、タマリンド分解物の製造方法は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【実施例】
【0061】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0062】
[タマリンド分解物の製造例]
(分解工程)
ミキサーにタマリンドガム(DSP五協フード&ケミカル株式会社製)を100g投入した。次いで、ミキサーによりタマリンドガムを撹拌しながらセルラーゼ(三菱ケミカルフーズ株式会社製スクラーゼC)の水溶液(酵素濃度1.0質量%、pH4の5mM酢酸緩衝液)を100g投入し、タマリンドガム及びセルラーゼを含有する分散液を作製した。撹拌を止め、薬さじでミキサーの内壁に付着した粉末を落とし、さらに手撹拌でかき混ぜた後、再びミキサーにより分散液を撹拌した。この操作を10分間繰り返した。分散液をレトルトパウチに移しヒートシール後、50℃の水浴に浸漬させ、下記表2に示す分解時間静置した。水浴からレトルトパウチを取り出し、125℃、60分間、加圧加熱(レトルト殺菌)処理を行い、セルラーゼを失活させた。レトルトパウチの上部をはさみで切断し、開封させた状態で金属トレイに載せ、-35℃の冷凍庫に入れ凍結後、凍結乾燥機(FD-1型、東京理化器械株式会社製)を用いて4日間凍結乾燥した。乾燥物を粉砕機(サンプルミルSK-M10型、協立理工株式会社製)で粉砕し、48メッシュで篩過し、未精製品のタマリンド分解物を得た。
(精製工程)
1Lステンレスビーカーにて脱イオン水に未精製品のタマリンド分解物を溶解し、全量200gとした(タマリンド分解物の濃度5質量%)。撹拌機で撹拌しながら、iso-プロパノール濃度が70質量%となるようiso-プロパノールをゆっくり滴下した。一晩放置後、遠沈処理(5,000rpm、10分)し、デカンテーションにて、高分解タマリンド分解物を溶解しているiso-プロパノール水溶液と、析出物たる低分解タマリンド分解物とを分離した。析出物を50mLの70%iso-プロパノール水溶液で1回洗浄した。析出物をスパーテルでほぐしながら遠沈管内で脱イオン水に溶解し、-35℃に設定したディープフリーザーにて一晩以上凍結させた。凍結乾燥し、得られた乾燥物を乳鉢ですりつぶして、粉状の低分解タマリンド分解物を得た。また、分離したiso-プロパノール水溶液をエバポレーターにて濃縮し、蒸留水30gに再度溶解し、-35℃に設定したディープフリーザーにて一晩以上凍結させた。凍結乾燥機で凍結乾燥し、得られた乾燥物を乳鉢ですりつぶして、粉状の高分解タマリンド分解物を得た。
【0063】
[分子量の測定]
下記測定条件のゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって、表2に示した各試料の分子量を測定した。EZchrom Elite SEC/GPCソフトウェアを使用し、表1に示した標準品の分析値により作成した近似式から各試料の重量平均分子量及びピークトップ分子量を算出した。各試料の測定結果は、表2に示したとおりである。また、GPCのクロマトグラムを
図2~
図7に示した。
<GPC測定条件>
試料 :0.1%濃度試料溶液(溶媒:0.2M硝酸ナトリウム水溶液)
前処理 :0.45μmメンブレンフィルター(DISMIC-13CP)
ガードカラム:Shodex OHpak SB-G
カラム :Shodex OHpak SB-806M HQ(8.0mmID×300mmL、2本直列で使用)
カラム温度 :40℃
移動相 :0.2M硝酸ナトリウム水溶液
流速 :0.8mL/min
検出器 :RI
標準品 :デキストラン及びグルコース
近似式 :指数近似
【0064】
【0065】
【0066】
[腸内細菌の増殖促進効果の評価]
表2に掲載した試料につき、ヒト腸内常在菌叢最優勢種及びプロバイオティクス細菌を用いたin vitro培養により、各試料による細菌の増殖促進効果を評価した。また、参考例1として、イヌリンによる細菌の増殖促進効果も評価した。
(試料の調製方法)
500mLビーカーに脱イオン水198.0gを量り取った。クローバー型撹拌羽を取り付けた撹拌機により600~800rpmの撹拌速度で撹拌しながら試料2.0gを分散させ、室温で15分間撹拌して完全に溶解させ、1.0%試料溶液を調製した。
(培地の調製)
200mLビーカーにスターラーと約120mLの脱塩水とを投入し、糖制限GAM(GAM糖分解用半流動培地(日水製薬株式会社製)42.01gを加え、撹拌して溶解させた。ろ紙を用いて吸引ろ過することによって培地に含まれる寒天を除去した。ろ液を脱塩水により400mLにメスアップした後、均一になるように混合し、耐熱性瓶に80mLずつ分注した(メーカー記載の濃度を1×とすると、2×の濃度となっている)。各耐熱性瓶に、上記で調製した1.0%試料溶液80mLを加え、転倒混和した。なお、コントロールには、脱塩水80mLを加えた。メディウム瓶に入れ、蓋を緩めた状態で115℃、15分オートクレーブした。蓋は半開きのまま素早く、嫌気条件下のアネロパック角型ジャー(三菱ガス化学社製) に入れ、嫌気チャンバー内で終夜放置し、0.5%の試料を含有する糖制限GAMを調製した。
(培養)
糖制限GAMで培養可能なヒト腸内常在菌叢最優勢種及びプロバイオティクス細菌の培養液を嫌気チャンバー内でマルチチャンネルピペットを用いて懸濁後、コピープレート96(トッケン)を用いて、0.5%の試料を含有する糖制限GAM500μLを加え、96ディープウェルプレートに、1ウェルにつき単一菌株を植菌した。ガス透過性モイスチャーバリア粘着シール(Gas permeable moisture barrier sheel)を貼り、嫌気チャンバー内で37℃にて24時間(
図8、
図9、
図10、
図13)又は48時間(
図11、
図12、
図14、
図15)培養を行った。
(細菌の生育度測定)
マイクロプレートリーダー(Thermo Scientific社製)を用い、600nmの吸光度(濁度)を測定した。ブランク測定には、未接種の0.5%の試料を含有する糖制限GAMを用いた。また、糖制限GAMにグルコースを添加した培地を用いた各細菌の培養液の濁度を光路長1cmのキュベットを用いて測定し、マイクロプレートでの測定値を光路長1cmのキュベットでの値に換算できる定数を算出した。得られた計算値から、各菌体について、[試料ありの測定値]/[コントロールの測定値]=[コントロールとの比]としての増殖促進倍率を計算した。結果は、
図8~
図15に示したとおりである。
【0067】
図8、
図9に示したように、重量平均分子量が実施例よりも大きい比較例1(重量平均分子量6,360,000)及び比較例2(重量平均分子量1,310,000)を用いた場合には、ロゼブリア・インテスティナリスの濁度に殆ど変化は認められなかった。これに対して、
図10、
図11、
図12、
図13、及び
図14に示したように、重量平均分子量が70,000以下の実施例1~5を用いた場合には、ロゼブリア・インテスティナリスの濁度に増加が認められた。特に、重量平均分子量が30,000以下の実施例2(重量平均分子量29,000)及び重量平均分子量が20,000以下の実施例3~5(重量平均分子量16,700、11,700、973)を用いた場合には、他の細菌の濁度に比べて突出したロゼブリア・インテスティナリスの濁度の増加が認められた。よって、これらは、ロゼブリア・インテスティナリスの選択的な増殖促進効果を有すると考えられる。
【0068】
上記結果は、in vitroの実験によるものである。そこで、生体内を模した環境としての糞便中であっても、同様の結果が得られるか確認した。具体的には、ヒト糞便を用いてタマリンド分解物によるロゼブリア・インテスティナリスの増殖促進効果を評価した。まず、糖制限GAM培地に実施例4又は実施例5のタマリンド分解物を含む試料を0.5%添加し、ここにヒト糞便とロゼブリア・インテスティナリスとを接種した。なお、ロゼブリア・インテスティナリスの初期菌体濃度はOD600=0.01とした。24時間37℃にて嫌気培養した後、DNA抽出を行い、ロゼブリア・インテスティナリス由来DNA量を定量PCRで測定した。その結果、前述のin vitro培養の結果と同様に、タマリンド分解物を添加したサンプルにおいてロゼブリア・インテスティナリスの増殖が認められた。
【0069】
[参考データ]
図16には、食品の分野において一般的に用いられているオリゴ糖であるラフィノース(Raffinose)、1-ケストース(1-kestose)、及びラクツロース(Lactulose)を用いた際の各種細菌の増殖促進効果を示すグラフを示した(日本農芸化学会2017年度大会 発表番号:2C19a03 2017年3月、“プロバイオティクス細菌を特異的に増殖させる次世代型プレバイオティクス・ガラクトシル-β-1,4-ラムノースの開発と偽膜性腸炎原因菌Clostridium difficileの生育抑制”)。このグラフから、一般的に知られているオリゴ糖は、複数の細菌を増殖させるものであることがわかる。すなわち、このグラフから、一般的なオリゴ糖は、特定の細菌を選択的に増殖させる機能を有さないことがわかる。
【0070】
[酪酸産生量の測定]
ロゼブリア・インテスティナリス(Roseburia intestinalis)の培養液における有機酸の濃度を測定することにより、酪酸の産生量を確認した。結果は、
図17に示したとおりである。
(試料の調製方法)
培養後の96ディープウェルプレートを遠心機(himac社製、CF16RN) を用い、4,700rpm、20分、25℃で遠心し、上清300μLを96ウェルプレート(平底、380μL)に移した。検体に含まれる有機酸の濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した。分析対象は、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、フマル酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、iso-酪酸、n-酪酸、iso-吉草酸、n-吉草酸とした。前処理方法、測定装置及び測定条件は以下のとおりである。
<HPLC測定条件>
試料前処理 :培養液を孔径0.20μmのメンブレンフィルターでろ過し、試料溶液とした。
システム :島津有機酸分析システム
ガードカラム:Shim-pack SCR-102(H)、50mm×6mmID
カラム :Shim-pack SCR-102(H)、300mm×8mmID(2本直列で使用)
溶離液 :5mmol/L p-トルエンスルホン酸
反応液 :5mmol/L p-トルエンスルホン酸、
100μmol/L EDTA、
20mmol/L Bis-Tris
流速 :0.8mL/min
オーブン温度:45℃
検出器 :電気伝導度検出器
【0071】
図17に示したように、実施例1(重量平均分子量67,300)及び実施例4(重量平均分子量11,700)を用いた培養液は、比較例1(重量平均分子量6,360,000)及び比較例2(重量平均分子量1,310,000)を用いた培養液と比較して、酪酸の含有量が多いことが認められた。この結果から、重量平均分子量が70,000以下のタマリンド分解物は、酪酸産生菌の増殖促進において有意であることがわかる。
【0072】
[使用例]
実施例1~5に係るタマリンド分解物の使用例としては、次のようなものが挙げられる。使用例1としての薬剤(サプリメント)及び下記使用例2~13の飲食品組成物は、問題なく摂取可能であり、タマリンド分解物を添加することによる味や風味に影響がないものと考えられる。
【0073】
(使用例2:飲料(お茶))
タマリンド分解物:5.0
市販のお茶:95.0
合計100(%)
【0074】
(使用例3:ゼリー)
タマリンド分解物:1.0
ゲル化剤(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、ゲルメイトNB):0.8
食物繊維(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、ヘルバセル)2%溶液:25.0
砂糖:11.0
1/5濃縮リンゴ透明果汁:12.0
果糖ブドウ糖液糖:8.0
20%(w/w)クエン酸溶液:0.25
20%(w/w)クエン酸三ナトリウム溶液:0.5
香料:0.1
水:41.35
合計100(%)
【0075】
(使用例4:菓子(ブラウニー))
タマリンド分解物:5.0
増粘剤(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、グリロイド2A):1.6
チョコレート(ビター):150.0
全卵:130.0
無塩バター:100.0
グラニュー糖:100.0
薄力粉:80.0
合計566.6g
【0076】
(使用例5:咀嚼・嚥下困難者用食品)
タマリンド分解物:1.0
増粘剤(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、ケルコゲルDGA):0.3
魚(焼サケ、煮サバなど):50.0
出汁:48.7
合計100(%)
【0077】
(使用例6:ジャム)
タマリンド分解物:1.0
アミドペクチン:0.7
増粘剤(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、グリロイド2A):0.1
冷凍イチゴ:40.0
グラニュー糖:26.0
水:残量
50%クエン酸:適量
合計100(%)
【0078】
(使用例7:冷菓(ラクトアイス))
タマリンド分解物:1.0
増粘剤(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、グリロイドCS-3):0.3
砂糖:12.0
脱脂粉乳:8.0
ヤシ油:6.0
乳化剤:0.3
水あめ(Brix85°):5.0
香料:0.1
色素:適量
水:残部
合計100(%)
【0079】
(使用例8:米飯)
タマリンド分解物:1g
米:1合
水:200g
【0080】
(使用例9:ふりかけ)
タマリンド分解物:0.1g
ふりかけ:2.0g
【0081】
(使用例10:パン(糖質オフパン))
タマリンド分解物:2.0g
食物繊維(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、ヘルバセル):10.0g
強力粉:165.0g
小麦ふすま:40.0g
大豆粉:35.0g
全卵:34.0g
小麦グルテン:20.0g
砂糖:27.0g
無塩バター:20.0g
食塩:6.0g
ドライイースト:3.4g
水:270.0g
【0082】
(使用例11:総菜(ハンバーグ))
タマリンド分解物:1.00
鶏ミンチ肉:77.00
玉ねぎみじん切り:13.00
ラード:5.00
濃口醤油:2.00
上白糖:1.00
食物繊維(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、ヘルバセル):1.00
食塩:0.70
白コショウ:0.15
ガーリックパウダー:0.15
合計100(%)
【0083】
(使用例12:レトルト食品(カレーペースト))
タマリンド分解物:1.0
増粘剤(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、グリロイド2A):0.2
牛脂:10.0
コーンスターチ:5.0
食塩:2.6
砂糖:4.0
グルタミン酸ナトリウム:0.2
脱脂粉乳:3.0
カレー粉:2.5
オニオンパウダー:2.0
香料(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、アロマビーフSD):0.5
水:69.0
合計100(%)
【0084】
(使用例13:たれ(みたらし団子用たれ))
タマリンド分解物:1.0
増粘剤(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、グリロイド3S):0.1
コーンスターチ:3.0
粉末こんぶだし:0.2
砂糖:42.0
水あめ(Brix83.5°):5.0
濃口しょうゆ(Brix37°):10.0
水:38.7
合計100(%)
【符号の説明】
【0085】
P1:第1のピーク、P2:第2のピーク、P3:第3のピーク、P4:第4のピーク
【要約】
タマリンドガムの分解物であり、重量平均分子量が70,000以下である、タマリンド分解物。