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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】多軸式破砕篩装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 4/30 20060101AFI20230105BHJP
   B02C 4/42 20060101ALI20230105BHJP
   B02C 4/08 20060101ALI20230105BHJP
   B07B 1/14 20060101ALI20230105BHJP
   B07B 1/42 20060101ALI20230105BHJP
   B07B 1/46 20060101ALI20230105BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20230105BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20230105BHJP
   E02F 7/00 20060101ALI20230105BHJP
【FI】
B02C4/30 ZAB
B02C4/42
B02C4/08
B07B1/14
B07B1/42 Z
B07B1/46 A
B07B1/46 K
B09B3/35
B09B5/00 F
E02F7/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019106683
(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2020199439
(43)【公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】592099215
【氏名又は名称】株式会社冨士機
(74)【代理人】
【識別番号】100114731
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 重男
(72)【発明者】
【氏名】藤田 以和彦
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05975441(US,A)
【文献】実開平05-085476(JP,U)
【文献】実開平06-052928(JP,U)
【文献】特開平11-128841(JP,A)
【文献】特開2002-143819(JP,A)
【文献】特開平09-155215(JP,A)
【文献】特開2001-017876(JP,A)
【文献】実開昭61-200142(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第101053866(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00-25/00
B09B 1/00-5/00
B09C 1/00-1/10
B07B 1/00-15/00
E02F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料の進行方向に直交する方向に、所定間隔を以って左右の側板部に軸支された複数本の回転ロールからなる上段回転ロール部と、上記上段回転ロール部より低い位置において上記上段の回転ロールに平行に、所定間隔を以って左右の上記側板部に軸支された複数本の回転ロールからなる下段回転ロール部とを具備する下り傾斜の筐体が機枠に設けられ、
下段の上記回転ロールは、上段の隣接する上記回転ロール間に位置するように平面的に配列され、
上下段の上記各回転ロールには軸方向に複数枚の破砕用ディスクが各々固定され、
下段の上記回転ロールの上記破砕用ディスクは上段の上記回転ロールの二つの上記破砕用ディスク間に位置するように軸方向に配列され、
上記上下段の隣接する回転ロール間及び上記上下段の破砕用ディスク間の隙間が篩目として構成され、
上段の上記各回転ロールを回転駆動する上段ローラ駆動手段と、下段の上記各回転ロールを上段の上記回転ロールとは独立に回転駆動する下段ローラ駆動手段とが設けられ、
上記筐体の上開口部に原料投入用のホッパが設けられ、上記筐体の下開口部に篩下の下部シュートが設けられ、
上記筐体の下流側の側板に篩上の排出シュートが設けられたものである多軸式破砕篩装置であって、
上記上段ローラ駆動手段は、上流側の一群の上段の上記回転ロールを回転駆動する一群の駆動プーリと、上記一群の駆動プーリを回転駆動する駆動ベルトにより構成された第1上段ローラ駆動手段と、下流側の残りの一群の上段の上記回転ロールを回転駆動する残りの一群の駆動プーリと、上記残りの一群の駆動プーリを回転駆動する駆動ベルトにより構成された第2上段ローラ駆動手段により構成され、
上記下段ローラ駆動手段は、上流側の一群の下段の上記回転ロールを回転駆動する一群の駆動プーリと、上記一群の駆動プーリを回転駆動する駆動ベルトにより構成された第1下段ローラ駆動手段と、下流側の残りの一群の下段の上記回転ロールを回転駆動する残りの一群の駆動プーリと、上記残りの一群の駆動プーリを回転駆動する駆動ベルトにより構成された第2下段ローラ駆動手段により構成されたものであって、
上記第1及び第2上段ローラ駆動手段は、各々駆動モータ及びインバータ制御手段が独立して設けられており、上記第1及び第2上段ローラ駆動手段は、各上記駆動モータの回転方向、及び/又は、回転速度を独立して制御し得るように構成されたものであり、
上記第1及び第2下段ローラ駆動手段は、各々駆動モータ及びインバータ制御手段が独立して設けられており、上記第1及び第2下段ローラ駆動手段は、各上記駆動モータの回転方向、及び/又は、回転速度を独立して制御し得るように構成されたものである多軸式破砕篩装置。
【請求項2】
上段の上記破砕用ディスクと、上記破砕用ディスクと隣接する下段の上記破砕用ディスクは、外周部においてオーバーラップするように構成されている請求項1記載の多軸式破砕篩装置。
【請求項3】
上段及び下段の上記回転ロールの上記各破砕用ディスクには、各外周部に複数の突出片が設けられているものであり、
上下段の上記回転ロールの回転軸は各々断面多角形の棒状に構成され、
上下段の上記破砕用ディスクの中心部には上記回転軸の断面多角形と相似形状の断面多角形の挿入口が設けられ、上記破砕用ディスクは上記挿入口を以って上記回転軸に装着されたものであり、
上下段の上記破砕用ディスクは、直径線に沿う分割線に沿って分割された2つのディスク片から構成されており、上記回転軸に上記挿入口を合わせて2つの上記ディスク片を接合し、上記突出片にて両ディスク片を接合するように構成されたものである請求項1又は2記載の多軸式破砕篩装置。
【請求項4】
上記下段の回転ロールの上記破砕用ディスクの直径は、上段の回転ロールの上記破砕用ディスクの直径より大である請求項1~3の何れかに記載の多軸式破砕篩装置。
【請求項5】
上記ホッパの上流側に原料を上記ホッパ内に投入するための搬送コンベアが設けられ、上記下部シュートの下方に篩下の原料を搬送するための搬送コンベアが設けられたものである請求項1~4の何れかに記載の多軸式破砕篩装置。
【請求項6】
上記ホッパ内に上記原料と共に土壌改良剤を投入するように構成され、
上記上下段の破砕用ディスクにて上記原料を破砕する過程において、上記原料と上記土壌改良剤とを混合し得るように構成されたものである請求項1~5の何れかに記載の多軸式破砕篩装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土木掘削工事等において発生する土砂、或いは、コンクリート塊、砕石等を含む土砂等を破砕すると共に選別し、また土壌改良剤と混合して練り混ぜることを可能とした多軸式破砕篩装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、土木掘削工事等により発生した建設発生土(土砂)を処理する装置として、特許文献1の建設発生土処理装置が提案されている。
【0003】
この装置は、ロールスクリーンで建設発生土を篩い分けながら、ロールスクリーンの上方に近接して設けた破砕カッターにてロールスクリーン上を移送される大きな原料を破砕することが可能であり、上記ロールスクリーンの篩下にベルトフィーダが設けられ、ベルトフィーダの移動先にミキサが設けられ、該ミキサ内に固化剤(土壌改良剤)が投入され、当該ミキサにて篩下の原料と固化材が混合され、改良土を生成し得る装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-143819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の装置では、破砕カッターがロールスクリーンの上面の途中の1か所のみにロールスクリーンの上面に近接して設けられているものであるから、破砕カッターの位置まで到達しない原料は破砕されず、投入された原料を万遍なく破砕して篩分けすることができないという課題があった。
【0006】
また、建設発生土を改質するために、別途、ロールスクリーン、ベルトフィーダのほかに、篩下の原料と固化材とを混合するミキサを必要とするという課題があった。
【0007】
本発明は、土木掘削工事等において発生する原料(土砂等)の破砕、篩い分けを1つの装置にて行い得る多軸式破砕篩装置を提供することを目的とする。
【0008】
また本発明は、上記破砕動作及び篩動作と共に、土壌改良剤等と土砂等との混合動作を1つの装置にて行い得る多軸式破砕篩装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、
第1に、原料の進行方向に直交する方向に、所定間隔を以って左右の側板部に軸支された複数本の回転ロールからなる上段回転ロール部と、上記上段回転ロール部より低い位置において上記上段の回転ロールに平行に、所定間隔を以って左右の上記側板部に軸支された複数本の回転ロールからなる下段回転ロール部とを具備する下り傾斜の筐体が機枠に設けられ、下段の上記回転ロールは、上段の隣接する上記回転ロール間に位置するように平面的に配列され、上下段の上記各回転ロールには軸方向に複数枚の破砕用ディスクが各々固定され、下段の上記回転ロールの上記破砕用ディスクは上段の上記回転ロールの二つの上記破砕用ディスク間に位置するように軸方向に配列され、上記上下段の隣接する回転ロール間及び上記上下段の破砕用ディスク間の隙間が篩目として構成され、上段の上記各回転ロールを回転駆動する上段ローラ駆動手段と、下段の上記各回転ロールを上段の上記回転ロールとは独立に回転駆動する下段ローラ駆動手段とが設けられ、上記筐体の上開口部に原料投入用のホッパが設けられ、上記筐体の下開口部に篩下の下部シュートが設けられ、上記筐体の下流側の側板に篩上の排出シュートが設けられたものである多軸式破砕篩装置であって、上記上段ローラ駆動手段は、上流側の一群の上段の上記回転ロールを回転駆動する一群の駆動プーリと、上記一群の駆動プーリを回転駆動する駆動ベルトにより構成された第1上段ローラ駆動手段と、下流側の残りの一群の上段の上記回転ロールを回転駆動する残りの一群の駆動プーリと、上記残りの一群の駆動プーリを回転駆動する駆動ベルトにより構成された第2上段ローラ駆動手段により構成され、上記下段ローラ駆動手段は、上流側の一群の下段の上記回転ロールを回転駆動する一群の駆動プーリと、上記一群の駆動プーリを回転駆動する駆動ベルトにより構成された第1下段ローラ駆動手段と、下流側の残りの一群の下段の上記回転ロールを回転駆動する残りの一群の駆動プーリと、上記残りの一群の駆動プーリを回転駆動する駆動ベルトにより構成された第2下段ローラ駆動手段により構成されたものであって、上記第1及び第2上段ローラ駆動手段は、各々駆動モータ及びインバータ制御手段が独立して設けられており、上記第1及び第2上段ローラ駆動手段は、各上記駆動モータの回転方向、及び/又は、回転速度を独立して制御し得るように構成されたものであり、上記第1及び第2下段ローラ駆動手段は、各々駆動モータ及びインバータ制御手段が独立して設けられており、上記第1及び第2下段ローラ駆動手段は、各上記駆動モータの回転方向、及び/又は、回転速度を独立して制御し得るように構成されたものである多軸式破砕篩装置により構成される。
【0010】
上記上段の回転ロールが軸支される上記側板部は、左右の側板(4a,4b)と軸受(21a,21b)から構成することができる。上記下段の回転ロールが軸支される上記側板部は、左右の側板(4a,4b)と軸受(28a,28b)から構成することができる。上記上段ローラ駆動手段は、各上段の回転ローラの各駆動用プーリ(2a~2a12)、これらを連結するベルト(12)、上記駆動用プーリ(2a~2a12)を駆動する駆動モータ(M1,M2)により構成することができる。上記下段ローラ駆動手段は、各下段の回転ローラの各駆動用プーリ(3a~3a11)、これらを連結するベルト(12)、上記駆動用プーリ(3a~3a11)を駆動する駆動モータ(M3,M4)により構成することができる。このように構成すると、ホッパ内に土砂等の原料を投入すると、上下段の回転ロールの全域に配置された上下段の破砕用ディスクにより原料を破砕しながら、篩目より小さい原料(篩下)を下部シュートから下方に排出し、篩目より大きい原料(篩上)は下流側の排出シュートから排出することができ、原料の破砕動作と、篩動作を同時に行うことができる。上記第1上段ローラ駆動手段は上記駆動モータ(M1)及びインバータ制御回路(m1)、上記第2上段ローラ駆動手段は上記駆動モータ(M2)及びインバータ制御回路(m2)、上記第1下段ローラ駆動手段は上記駆動モータ(M3)及びインバータ制御回路(m3)、上記第2下段ローラ駆動手段は上記駆動モータ(M4)及びインバータ制御回路(m4)により構成することができる。このように構成すると、上段の回転ロールを、上流の一群の回転ロール(2 ~2 )と、下流の一群の回転ロール(2 ~2 12 )の回転方向を逆方向とし、下段上流の回転ロール(3 ~3 )を、上段上流の一群の回転ロールの回転方向と逆方向とし、下段下流の一群の回転ロール(3 ~3 11 )を、上段下流の一群の回転ロールの回転方向と逆方向とする等の制御が可能となり、上流側と下流側で回転ロールの回転方向を逆方向とすることにより、例えば破砕効率をより向上させることができる。上記インバータ制御手段は、インバータ制御回路(m1~m4)により構成することができる。このように構成すると、上段の上流側の一群の回転ロール、上段の下流側の一群の回転ロール、下段の上流側の一群の回転ロール、下段の下流側の一群の回転ロールの各回転方向及び/又は回転速度を独立して制御することができ、原料の性状に合わせて最適な回転方向及び/又は回転速度を設定することが可能となる。
【0011】
第2に、上段の上記破砕用ディスクと、上記破砕用ディスクと隣接する下段の上記破砕用ディスクは、外周部においてオーバーラップするように構成されている上記第1記載の多軸式破砕篩装置により構成される。
【0012】
このように構成すると、上下段回転ロール部を平面で見ると、上下段の破砕用ディスクにより構成される篩目(空間)がより細かくなるし、例えば、隣接する上下段の破砕用ディスクを対向方向に回転させることにより、原料を狭い篩目の空間に引き込むように破砕することが可能となり、より破砕の効率を高めることができる。
【0013】
第3に、上段及び下段の上記回転ロールの上記各破砕用ディスクには、各外周部に複数の突出片が設けられているものであり、上下段の上記回転ロールの回転軸は各々断面多角形の棒状に構成され、上下段の上記破砕用ディスクの中心部には上記回転軸の断面多角形と相似形状の断面多角形の挿入口が設けられ、上記破砕用ディスクは上記挿入口を以って上記回転軸に装着されたものであり、上下段の上記破砕用ディスクは、直径線に沿う分割線に沿って分割された2つのディスク片から構成されており、上記回転軸に上記挿入口を合わせて2つの上記ディスク片を接合し、上記突出片にて両ディスク片を接合するように構成されたものである請求項1又は2記載の多軸式破砕篩装置により構成される。
【0014】
このように構成すると、例えば上下段の破砕用ディスクを対向する方向に回転することにより、各ディスクの突出片により、原料を狭い篩目(空間)に引き込み易くなり、原料の破砕効率をより高めることができる。上記挿入口は、上段の破砕用ディスクは開口(22a)、軸挿入口(23a)、下段の破砕用ディスクは開口(30a)、軸挿入口(31a)により構成することができる。このように構成すると、破砕用ディスクと回転軸との固定を容易に行うことができる。上記ディスク片は、上段の破砕用ディスクでは左半部(22 )と右半部(22 )、下段の破砕用ディスクは左半部(30 )、右半部(30 )により構成することができる。このように構成すると、回転軸に対する破砕用ディスクの取り付けを容易に行うことができるし、回転軸の中心軸の周りに回転しない破砕用ディスクを容易に構成することができる。
【0015】
第4に、上記下段の回転ロールの上記破砕用ディスクの直径は、上段の回転ロールの上記破砕用ディスクの直径より大である上記第1~3の何れかに記載の多軸式破砕篩装置により構成される。
【0016】
このように構成すると、上段の破砕用ディスクと下段の破砕用ディスクの外周部をオーバーラップし易くなり、破砕効率を高めることができる。
【0017】
第5に、上記ホッパの上流側に原料を上記ホッパ内に投入するための搬送コンベアが設けられ、上記下部シュートの下方に篩下の原料を搬送するための搬送コンベアが設けられたものである上記第1~4の何れかに記載の多軸式破砕篩装置により構成される。
【0018】
このように構成すると、搬送コンベアにより上記ホッパ内に連側的に原料を投入することができ、また、下部シュートの下方の搬送コンベアにより篩下の原料を連続的に搬送することができる。
【0025】
に、上記ホッパ内に上記原料と共に土壌改良剤を投入するように構成され、上記上下段の破砕用ディスクにて上記原料を破砕する過程において、上記原料と土壌改良剤とを混合し得るように構成されたものである上記第1~の何れかに記載の多軸式破砕篩装置により構成される。
【0026】
上記土壌改良剤は例えば固化剤としての石灰粉等である。このように構成すると、原料の破砕動作、篩動作と共に、土砂と土壌改良剤との混合動作を同時に行うことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は上述のように、上下段の回転ロールの全域に配置された上下段の破砕用ディスクにより原料を破砕しながら、篩目より小さい原料(篩下)を下部シュートから下方に排出し、篩目より大きい原料(篩上)は下流側の排出シュートから排出することができ、原料の破砕動作と、篩動作を同時に行うことができる。また、上流側と下流側で回転ロールの回転方向を逆方向とすることにより、例えば破砕効率をより向上させることができる。また、上段の上流側の一群の回転ロール、上段の下流側の一群の回転ロール、下段の上流側の一群の回転ロール、下段の下流側の一群の回転ロールの各回転方向及び/又は回転速度を独立して制御することができ、原料の性状に合わせて最適な回転方向及び/又は回転速度を設定することが可能となる。
【0030】
また、上下段の上記破砕用ディスクをオーバーラップするように構成したので、例えば、隣接する上下段の破砕用ディスクを対向方向に回転させることにより、原料を狭い篩目の空間に引き込むように破砕することが可能となり破砕の効率を高めることができる。
【0031】
また、破砕用ディスクの外部に突出片を設けたので、例えば上下段の破砕用ディスクを対向する方向に回転することにより、各ディスクの突出片により、原料を狭い篩目(空間)に引き込み易くなり、原料の破砕効率をより高めることができる。
【0032】
また、下段の破砕用ディスクの直径を上段の破砕用ディスクより大とすることにより、上下段の破砕用ディスクの外周部をオーバーラップし易くなり、破砕効率を高めることができる。
【0033】
また、搬送コンベアにより上記ホッパ内に連側的に原料を投入することができ、また、下部シュートの下方の搬送コンベアにより篩下の原料を連続的に搬出することができる。
【0035】
また、回転ロールの回転軸が断面多角形に構成されているので、破砕用ディスクと回転軸との固定を容易に行うことができる。
【0036】
また、破砕用ディスクは2分割のディスク片により構成されているので、回転軸に対する破砕用ディスクの取り付けを容易に行うことができるし、回転軸の中心軸の周りに回転しない破砕用ディスクを容易に構成することができる。
【0037】
また、原料の破砕動作、篩動作と共に、土砂と土壌改良剤との混合動作を同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明に係る多軸式破砕篩装置の動作状態を示す側面図である。
図2】同上装置の斜視図である。
図3】同上装置の側面図である。
図4】同上装置の上下段回転ロール部の斜視図である。
図5】同上装置の上下段回転ロール部の傾斜状態の平面図である。
図6図5のX-X線断面であるが、長方形の筐体を水平に設置した状態の断面図である。
図7】同上装置の長方形筐体を水平に設置した状態の側面図である。
図8図6のY-Y断面図であり、上段の回転ロール(1本)のみを示したものである。
図9図6のZ-Z断面図であり、下段の回転ロール(1本)のみを示したものである。
図10】同上装置の下流側から上流側を見た背面図である。
図11】同上装置の下流側の排出口近傍の背面図である。
図12】(a)は上段の破砕用ディスクの縦方向の断面図((c)のK-K線断面図)、(b)は同上ディスクの平面図、(c)は同上ディスクの側面図である。
図13】(a)は上段の破砕用ディスクの分割状態の断面図、(b)は同上ディスクの平面図、(c)は同上ディスクの側面図である。
図14】(a)は下段の破砕用ディスクの縦方向の断面図((c)のR-R線断面図)、(b)は同上ディスクの平面図、(c)は同上ディスクの側面図である。
図15】(a)は下段の破砕用ディスクの分割状態の縦方向の断面図、(b)は同上ディスクの平面図、(c)は同上ディスクの側面図である。
図16】上段の破砕用ディスクと下段の破砕用ディスクとの関係を示す両ディスクの縦方向の断面図である。
図17】下段の回転軸に角度を変化させて取り付けた状態の下段の破砕用ディスクの縦方向の断面図である。
図18】同上装置の下部シュートの平面図である。
図19】同上装置の図5のエリア(N)の一部拡大図である。
図20】同上装置の回転ロールの回転方向の一例を示す表である。
図21】(a)は上段の回転軸の断面図、(b)は下段の回転軸の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明における多軸式破砕篩装置について詳細に説明する。
【0041】
まず図1図2を用いて、本発明に係る多軸式破砕篩装置1の全体構成を説明する。
同図において、当該装置1は、上段回転ロール部2Aと下段回転ロール部3A(図6参照)とから構成された多軸式の上下段の回転ロール2,3(上段の回転ロール2が12本、下段の回転ロール3が11本、何れの回転ロール2,3の回転軸2b,3bも断面は六角形、図5図6参照)を、長手方向の対向する左右の側板4a,4b(図4図8図9参照)にて軸支する長方形の筐体4(上下開口)と、この長方形の筐体4を上流側が高位置、下流側が低位置となるように、下り傾斜状態で水平な地面G上に支持する機枠5と、上記筐体4の長方形状の上開口部4d(図4図6参照)に設けられた上部開口フランジ4cに、フランジ6aを以って接続され、長方形状の上開口部6b(図2参照)が上記筐体4と同一傾斜角度で傾斜したホッパ6と、上記筐体4の長方形状の下部開口部4e(図6参照)に、下方に向けて延長するように接続され、長方形状の下開口部17aの開口縁が上記地面Gに沿うように水平に形成された下部シュート17とから構成されている。
【0042】
上記上段の12本の回転ロール2は、各両端部が上記左右の側板4a,4bに軸受21a,21bにて回転可能に軸支されており(図5図8参照)、上記下段の11本の回転ロール3は、各両端部が上記左右の側板4a,4bに軸受28a,28bに回転可能に軸支されている(図5図9参照)。上記上下段回転ロール部2A,3Aの各回転ロール2,3は何れも原料の進行方向に直交する方向に平行に設けられている。
【0043】
尚、上記図1図2において、上記筐体4の高位置側を「上流側」又は「前方側」、上記筐体4の低位置側を「下流側」又は「後方側」、上流側から下流側をみた場合の上下、左右を「上下方向」、「左右方向」と定義する。従って、上記ホッパ6に投入された原料は上下段回転ロール部2A,3A上を上流側から下流側に移送される。
【0044】
また、上記上下段の回転ロール2,3については、上段の回転ロール(12本)の全体を示す場合、又は、位置を特定しない場合は、符号「2」、個別の回転ロールを示す場合は、上流側から添字を付して「2,2,2・・・212」とし(図5参照)、下段の回転ロール(11本)の全体を示す場合、又は、位置を特定しない場合は、符号「3」、個別の回転ロールを示す場合は、上流側から添字を付して「3,3,3・・・311」とする(図5参照)。また、回転ロール2,3の軸方向に設けられた破砕用ディスクは各々符号「7」、「8」により示す(図5図6参照)。
【0045】
また、上記上段の回転ロール2の駆動プーリ2aについても同様に、全体を示す場合、又は、位置を特定しない場合は、符号「2a」、個別の駆動プーリを示す場合は、上流側から添字を付して「2a~2a12」とし(図5図7参照)、また、上記下段の回転ロール3の駆動プーリ3aについても同様に、全体を示す場合、又は、位置を特定しない場合は、符号「3a」、個別の駆動プーリを示す場合は、上流側から添字を付して「3a~3a11」とする(図5参照)、
【0046】
尚、図5においては、上段の回転ロール2については、各中心軸P1の外側(右側)に2~212の符号を付し、下段の回転ロール3については、各中心軸P3の外側(左側)に3~311の符号を付している。
【0047】
上記筐体4の下流端の短辺の側板4fには方形の下側出口用開口4f’が設けられており(図4参照)、上記ホッパ6の下流端の短辺の側板6cの下半部には下流側に向けて突出する上記排出用筒部6dが上記側板6cに一体に形成されており(図3図18参照)、上記排出用筒部6dの下流端は、上記下側排出用開口4f’と一体となる上側排出用開口6d’が開口形成されている(図2図3図11参照)。よって、上記下側排出用開口4f’と上記上側排出用開口6d’により長方形状の排出用開口9が形成されており、当該排出用開口9に排出シュート10の排出用開口部10aがフランジ10a’を以って接続されている(図2参照)。上記ホッパ6は、上流端に傾斜面6eが形成され、投入された原料を円滑に下流側に案内すると共に、上下方向に長い距離T8の深さを有するものである(図3参照)。
【0048】
よって、ホッパ6内に投入された土砂Fは、図3に示すように、ホッパ6内にある程度の厚み(上下方向)をもった状態で積層され、この状態で上下段回転ロール2A,3Aにて破砕及び/又は練り混ぜ(混合)されながら選別され、かつ、下り傾斜の下流側に移送され、篩下(細かい土、或いは、改良土)は下部シュート17の下開口部17aから下方に落下して行き、篩上(比較的大きなコンクリート塊、砕石等)は下流端の排出用開口9から排出シュート10に投入排出されるように構成されている。
【0049】
上記排出シュート10は、上記上段回転ロール部2A上を移動してきた原料(所謂篩上)が排出されるものであり、上記排出用開口部10aは上記排出用開口9と同一面積の開口を有するものである。
【0050】
そして、図3図11に示すように、上記下側排出用開口4f’の下縁レベルは、上段回転ロール部2Aの回転ロール2の各回転軸2bの中心軸P1と同一の高さであるから、この排出シュート10は、いわゆる上段回転ロール部2A上を下流側に移動してきた原料(篩目S1,S2より大きな原料)、いわゆる篩上が排出される。この排出シュート10は、右方向に排出口10bを有しており、いわゆる篩上の原料(例えば100mm~150mmを超える大きさの原料)を右側の排出口10bから排出し得るように構成されている。
【0051】
上記下部シュート17は(図3図19参照)、上流端の側板は下流側に傾斜する傾斜面17bを有し(上記ホッパ6の傾斜面6eと同一傾斜角度)、下流端の側板は上流側に傾斜する傾斜面17cを有し、左右側板は、下方に傾斜する傾斜面17d,17dを有しており、上記下開口部17aは、上記筐体4の上記下部開口部4eの面積より面積の小さい、若干下流よりの開口部となるように構成されている(図3図18参照)。これにより、上記上下段回転ロール部2A,3Aによる篩下の原料が、上記傾斜面17b,17c,17dを介して円滑に下方に落下し得るように構成されている。
【0052】
上記機枠5は、上記筐体4の上流側端部に左右方向に突出して設けられた上側支持杆11、その両端部において上端部5a’を以って軸支固定された上側支柱5a,5a(左右2本)と、上記長方形の傾斜した筐体4の下流側端部に左右方向に突出して設けられた下側支持杆11’に、その両端部において上端部5b’を以って軸支固定された下側支柱5b,5b(左右2本)により構成されている。
【0053】
また、図2において、5cは上下の支柱5a,5b間に設けられた補強杆(左右2本)、5dは上記補強杆5cと上下支持柱5a,5bとの間に傾斜配置された補強杆、5eは上側支柱5a,5a間に設けられた補強杆、5fは上記下側支柱5b,5b間に設けられた補強杆である。
【0054】
上記上段の各回転ロール2(両端の軸受21a,21b)は、各右側の端部は右側の側板4a側に突出され、右側の軸受21aからさらに右側に突出され、各突出端に各々駆動用プーリ2a(2a~2a12)が固定されている(図5図7図8参照)。これらの駆動用プーリ2aの内、右側の上流側の6個の駆動用プーリ2a~2aについて、2個ずつの駆動用プーリ2aと2a、駆動プーリ2aと2a、駆動プーリ2aと2a、駆動プーリ2aと2a、駆動プーリ2aと2aに、各5本の駆動ベルト12を、隣接する駆動プーリに重複させるように掛け回し、上流側端部の駆動用プーリ2aと、駆動モータM1の駆動プーリ13との間に駆動ベルト12を掛け回すことにより、上記回転ロール2~2を、上記回転ロール2~212とは独立して、同一方向に正逆回転駆動し得るように構成されている。
【0055】
また、右側の下流側の6個の駆動用プーリ2a~2a12について、2個ずつの駆動用プーリ2aと2a、駆動用プーリ2aと2a、駆動用プーリ2aと2a10、駆動用プーリ2a10と2a11、駆動用プーリ2a11と2a12に、各5本の駆動ベルト12を、隣接する駆動プーリに重複させるように掛け回し、下流側端部の駆動用プーリ2a12と、駆動モータM2の駆動プーリ13との間に駆動ベルト12を掛け回すことにより、上記回転ロール2~212を、上記回転ロール2~2とは独立に、同一方向に正逆回転駆動し得るように構成されている。
【0056】
さらに、上記下段の各回転ロール3(両端の軸受28a,28b)は(図5参照)、左側の各端部は左側の側板4b外に突出され、各軸受28bよりさらに左側に突出する突出端に、各々駆動用プーリ3a(3a~3a11)が固定されている。これらの駆動用プーリの内、左側の上流側の6個の駆動用プーリ3a~3aについて、2個ずつの駆動用プーリ3aと3a、駆動用プーリ3aと3a、駆動用プーリ3aと3a、駆動用プーリ3aと3a、駆動用プーリ3aと3aに、各5本の駆動ベルト12を、隣接する駆動用プーリに重複させるように掛け回し、上流側端部の駆動用プーリ3aと、駆動モータM3の駆動プーリ13との間に駆動ベルト12を掛け回すことにより、上記回転ロール3~3を、上記回転ロール3~311とは独立して、同一方向に正逆回転駆動し得るように構成されている。
【0057】
また、左側の下流側の5個の駆動用プーリ3a~3a11について、2個ずつの駆動用プーリ3aと3a、駆動用プーリ3aと3a、駆動用プーリ3aと3a10、駆動用プーリ3a10と3a11に、各4本の駆動ベルト12を、隣接する駆動用プーリに重複させるように掛け回し、下流側端部の駆動用プーリ3a11と、駆動モータM4の駆動プーリ13との間に駆動ベルト12を掛け回すことにより、上記回転ロール3~311を、上記回転ロール3~3とは独立に、同一方向に正逆回転駆動し得るように構成されている。
【0058】
尚、上記駆動モータM1~M4は各々インバータ制御回路m1~m4を有しており、インバータによって回転速度、回転方向を独立して制御できるように構成されている。また、図1中、符号4gは上記駆動モータM1,M3を載置固定する板であり、駆動モータM2,M4は上記排出用筒部6d上に載置固定されている。
【0059】
そして、図1に示すように、上記ホッパ6の上流側端部上に、投入シュート15を固定することで原料投入口15aを設け、上記原料投入口15a上に搬送コンベア16の先端ローラ14を設けることで、搬送コンベア16のコンベアベルト16aを矢印A方向に駆動して、上記ホッパ6内に原料を投入し得るように構成されている(矢印D方向)。
【0060】
上記コンベアベルト16aは、地面Gに近い位置の前方側に設けられた下端ローラ18に掛け回された後、上記シュート17の上記下開口部17aの下方を水平に走行し得るように設けられている。よって、上記搬送コンベア16は、上記シュート17の下開口部17a下方を矢印A方向に通過するため、上記上下段回転ロール2,3間の篩目S1,S2(図5図19参照)を通過して、上記下開口部17aを下方に落下する所謂篩下の原料(直径が約100mm~150mm以下の原料)を受けて、矢印A方向に搬送するものである。
【0061】
図1中、37は土壌改良剤を投入するためのホッパであり、上記搬送コンベア16の先端ローラ14より上流側におけるコンベアベルト16a上に設置されている。このホッパ37は上記搬送コンベア16上を搬送される土砂等の原料に、土壌改良剤を落下供給することで、上記土砂等に土壌改良剤を添加し得るように構成されている。
【0062】
19は上記先端ローラ14の上流側にてコンベアベルト16aの下方を支持する支持ローラ、20は上記下端ローラ18の下流側にて上記コンベアベルト16aの下方を水平に支持する支持ローラであり、上記コンベアベルト16aは、図示しない駆動ローラにより矢印A方向に駆動され、上記シュート17の下開口部17aから落下してくる篩下を受け取り、下流側(矢印A方向)に搬送するものである。
【0063】
次に、上記上段回転ロール部2Aの各回転ロール2~212は、同一の構成であるので、図8により1本の回転ロール2の構成について説明する。
【0064】
上段の回転ロール2は、断面が六角形の回転軸2bにより構成されており(図6参照)、該回転軸2bの両端部は上記対向する側板4a,4bから左右外側に突出され、上記対向側板4a,4b外側に設けられた軸受21a,21bにより回転自在に設けられている。さらに、右側の端部は、上記軸受21より外側に突出され、突出端部には上記駆動プーリ2aが接続固定されている。
【0065】
上記上段の回転ロール2には図12図13に示す破砕用ディスク7が軸方向に6枚(中心線Pを中心として、左側3枚、右側3枚、図8参照)が固定されている。この6枚の破砕用ディスク7は、同一の構成なので、図12図13において、その1枚について詳細に説明する。
【0066】
図12において、上記破砕用ディスク7は、略円形のディスク部22(例えば直径は約230mm)と円筒状のスリーブ23とにより構成される。上記ディスク部22は、その中心に上記回転軸2bの横断面六角形と略同一面積(相似形状)の六角形の開口22aが開口形成されている。この破砕用のディスク部22は図13に示すように、直径線に沿う分割線L1を中心に左半部22と右半部22のディスク片に2分割される構成であり、上記分割線L1の両端部に各々接合用の切欠22c,22dが形成され、かつ各切欠22c,22dに雌螺子孔B’が2本ずつ形成されている。
【0067】
そして、上記六角柱の回転軸2bに、その中心部の六角形の上記開口22aの形状が一致するように左半部22と右半部22とを嵌合し、両左右半部22,22の上記分割線L1に沿う部分を接合し、上記切欠22c,22dの部分に各々接合片としての突出片24,24を嵌合し、上記各突出片24,24の外側から、各突出片24,24の各ボルト孔に、各2本のボルトB,Bを上記突出片24,24を介して上記ディスク部22の左半部22と右半部22の上記雌螺子孔B’,B’に螺子込むことで、当該破砕用ディスク7を1枚のディスクとして、上記回転軸2bに固定し得るように構成されている。これにより、上記破砕用ディスク7は六角形の回転軸2bに対して、周方向に回転することなく固定される。
【0068】
上記突出片24,24は図12に示すように、破砕用ディスク7の外周縁における180度隔てた2か所に設けられ、その外周面24a,24aは上記破砕用ディスク7の外周縁7’から突出するように構成されており、上記回転軸2b(回転軸2bの中心軸P1)を中心として回転することで、原料を下流側に移送すると共に、下段の破砕用ディスク8と共に、大きな原料を破砕する機能を有している。
【0069】
上記スリーブ部23は、上述のように円筒状を成しており、その中心部には上記回転軸2bの横断面六角形と略同一横断面積の六角柱状の軸挿入口23aが設けられている。また、上記スリーブ部23の上記ディスク部22が接続される側の端部肉厚23’には、中心軸P1を中心として、周方向に60度毎に、6個の螺子孔25が設けられており、上記破砕用ディスク7の六角形の開口22aの周りにも、上記螺子孔25に対応する位置に、即ち、周方向に60度毎に、6個の螺子孔26が貫通形成されている。
【0070】
また、上記スリーブ部23の外周面の90度毎に、半径方向に上記軸挿入口23aに貫通する雌螺子孔27が4か所に設けられており、一方、上記回転軸2bにおける当該スリーブ部23を固定する箇所には、4か所の上記雌螺子孔27に対応する位置(4か所)に、4か所の雌螺子孔29(図21(a)参照)が設けられている。そして、上記スリーブ部23をその軸挿入口23aを以って上記回転軸2bに挿入し、当該スリーブ部23の固定箇所に位置させ、上記雌螺子孔27と上記雌螺子孔29を一致させ、上記スリーブ部23の外周から上記各雌螺子孔27にボルトBを挿入して螺合する。すると、上記各ボルトBは、上記スリーブ部23の各雌螺子孔27を介して、上記回転軸2bの各雌螺子孔29に至るので、当該回転軸2bの位置にて当該スリーブ部23の軸方向の位置を固定することができる。
【0071】
その後、上記破砕用ディスク7の左半部22と右半部22とを、上記ディスク面が上記スリーブ部23の上記端部肉厚23’に接する位置にて分割線L1を合わせて接合し、ボルトB(6本)をディスク7の上記スリーブ部23が取り付けられていない側から各雌螺子孔26(6か所)に螺子込み、各ボルトBの先端を上記スリーブ部23の雌螺子孔25に螺子込み、これにより当該ディスク部22を上記スリーブ部23に固定する。このように構成することで、上記ディスク部22と上記スリーブ部23を上記回転軸2bに固定して破砕用ディスク7を構成することができる。
【0072】
実際には、1本の上段の回転ロール2には、図8に示すように、左右方向の中心線Pを中心として、左側に、上記破砕用ディスク7が外側(上記スリーブ部23は内側向)を向いた状態でディスク間隔T1(例えばT1=200mm)を以って、3個の破砕用ディスク7が固定され、右側に、上記破砕用ディスク7が外側(上記スリーブ部23は内側向)を向いた状態で間隔T1を以って、3個の破砕用ディスク7が固定されている。よって、回転ロール2の中心線Pには、スリーブ部23,23の他端部23”,23”側が接した状態となるように構成している。尚、中央の破砕用ディスク7,7の間隔もT1である。
【0073】
次に、上記下段回転ロール部3Aの各回転ロール3~311は、同一の構成であるので、図9により1本の回転ロール3の構成について説明する。
【0074】
下段の回転ロール3は、断面が六角形の回転軸3bにより構成されており、該回転軸3bの両端部は上記対向側板4a,4bから左右外側に突出され、上記対向側板4a,4b外側に設けられた軸受28a,28bにより回転自在に設けられている。さらに、左側の端部は、上記軸受28bより外側に突出され、突出端部には上記駆動プーリ3aが接続固定されている。
【0075】
上記下段の回転ロール3には図14図15に示す破砕用ディスク8が軸方向に7枚(左側3枚、右側3枚、中心線P位置に1枚)が固定されている。この7枚の破砕用ディスク8は、同一の構成なので、1つの破砕用ディスク8について、図14図15にて詳細に説明する。
【0076】
図14において、上記破砕用ディスク8は、略正方形のディスク部30(中心軸P3から最大径部までの直径は例えば約290mm)と円筒状のスリーブ部31とにより構成される。上記ディスク部30は、その中心に上記回転軸3bの横断面六角形と略同一面積(相似形状)の横断面六角形の開口30aが開口形成されている。この破砕用のディスク部30は図15に示すように、直径線に沿う分割線L2を中心に左半部30と右半部30のディスク片に2分割される構成であり、上記分割線L2の両側に各々接合用の切欠30b,30cが形成され、さらに、上記分割線L2に直交する直径線L3の両側において、上記切欠30b,30cに対して90度ずれた位置に、切欠30d,30eが設けられている。そして、上記切欠30b,30cには左右に2個ずつの雌螺子孔B’(合計4個)が形成されており、上記切欠30d,30eには各々4個ずつの雌螺子孔B’が形成されている。
【0077】
そして、上記六角柱の回転軸3bに、その中心部の六角形の上記開口30aの形状が一致するように左半部30と右半部30とを嵌合し、両左右半部30,30の上記分割線L2に沿う部分を接合し、上記切欠30b,30cの部分に各々接合片としての突出片34,34を嵌合し、上記各突出片34,34の螺子孔に外側から各4本のボルトBを上記突出片34を介して上記ディスク部30の左半部30と右半部30の上記雌螺子孔B’,B’に螺子込むことで(図14参照)、当該ディスク30を1枚のディスクとして、上記回転軸3bに取り付けられるように構成されている。
【0078】
また、上記ディスク部30の上記切欠30d,30eに上記突出片34と同一の突出片34,34を嵌合し、各突出片34,34の螺子孔の外側からボルトBを上記突出片34,34を介して上記雌螺子孔B’,B’に螺子込むことで、2つの突出片34,34を上記突出片34と90度ずれた位置に固定するように構成されている。
【0079】
上記突出片34は図14に示すように、破砕用ディスク8の外周における90度隔てた4か所に設けられ、その外周面はディスク8の外周縁8’より半径方向外側に突出した位置にある高位置面34aと、上記高位置面34aより低い位置にあるが、ディスク8の外周縁8’より半径方向外側に突出した位置にある低位置面34bとから構成されており、図14において上記高位置面34a同士が対向しており、180度離間した位置にあるコーナ部8b,8bと、低位置面34b同士が対向しており、180度離間した位置にあるコーナ部8c,8cとから構成されている。
【0080】
これら4つの突出片34は、上述のように、上記高位置面34a,上記低位置面34b共に、上記破砕用ディスク8の外周縁8’から突出するように構成されており、上記回転軸3b(回転軸3bの中心軸P3)を中心として回転することで(例えば、上段の回転軸3aとは逆方向に回転)、上段の破砕用ディスク7と共に、原料を破砕する機能を有している。
【0081】
上記スリーブ部31は、円筒状を成しており、その中心部には上記回転軸3bの横断面六角形と略同一の六角柱状の軸挿入口31aが設けられている。また、上記スリーブ部31の上記破砕用のディスク部30が接続される側の端部肉厚31’には、中心軸P3を中心として周方向の60度毎に6個の螺子孔32が設けられており、一方、上記破砕用ディスク8の六角形の開口30aの周りにも、上記螺子孔32に対応する位置に、周方向の60度毎に6個の螺子孔33が貫通形成されている。
【0082】
また、上記スリーブ部31の外周面の90度毎に、半径方向に上記軸挿入口31aに貫通する雌螺子孔35が4か所に設けられており、一方、上記回転軸3bにおける当該スリーブ部31を固定する箇所には、4か所の上記雌螺子孔35に対応する位置(4か所)に、4か所の雌螺子孔36(図21(b)参照)が設けられている。そして、上記スリーブ部31をその軸挿入口31aを以って上記回転軸3bに挿入し、当該スリーブ部31の固定箇所に位置させ、上記雌螺子孔35と上記雌螺子孔36を一致させ、上記スリーブ部31の外周から上記各雌螺子孔35にボルトBを挿入して螺合する。すると、上記各ボルトBは、上記スリーブ部31の各雌螺子孔35を介して、上記回転軸3bの各雌螺子孔36に至るので、当該回転軸3bの位置にて、回転軸3bの軸方向に当該スリーブ部31を固定することができる。
【0083】
その後、上記ディスク部30の左半部30と右半部30とを、上記ディスク面が上記スリーブ部31の上記端部31’に接する位置にて分割線L2を接合するように合わせて接合し、ボルトBをディスク部30の上記スリーブ部31が取り付けていない側から各雌螺子孔33に螺子込み、各ボルトBの先端を上記スリーブ部31の雌螺子孔32にねじ込み、当該ディスク部30を上記スリーブ部31に固定する。このように構成することで、上記ディスク部30と上記スリーブ部31を上記回転軸3bに破砕用ディスク8として固定することができる。
【0084】
実際には、1本の下段の回転ロール3には、図9に示すように、左右の中心線Pの位置に1枚の破砕用ディスク8が位置するように1枚の破砕用ディスク8を固定し(スリーブ部31は右向)、左右方向の中心線Pを中心として、左側の中心線P寄りに、スリーブ部31を外側(左側)に向けた状態で1枚の破砕用ディスク8を固定し、さらにその外側に、スリーブ部31,31を対向させた状態で2枚の破砕用ディスク8,8を固定する。尚、破砕用ディスク8,8間の間隔は何れもT2(例えばT2=200mm)である。
【0085】
そして、左右方向の中心線Pを中心として、右側の中心線P寄りに、スリーブ部31を外側に向けた状態で1枚の破砕用ディスク8を固定し、さらにその外側に、スリーブ部31,31を対向させた状態で2枚の破砕用ディスク8,8を固定する。尚、破砕用ディスク8,8間の間隔は何れもT2である。
【0086】
また、上記下段の破砕用ディスク8は、上記回転軸3bに取り付ける際、最も左側のディスク8は、図14に示すように、各突出片34が上下方向と左右方向に位置する状態であるが、隣接する破砕用ディスク8は、矢印E方向に回転軸3bの一辺の角度分、即ち矢印E方向に60度毎回転させた状態として上記回転軸3bに固定している。よって、左端の破砕用ディスク8から隣接する破砕用ディスク8は、矢印B方向に60度ずつ回転した状態で固定されており、最終的に、7枚目の右端の破砕用ディスク8にて、1枚目の左端の破砕用ディスク8からみると、360度回転してもとの位置(図14の位置)に戻るように構成されている。これにより、回転軸3bの軸方向において上記突出片34の位置が変化するため、原料の破砕性を向上させることができる。
【0087】
次に、図6に示す、上段回転ロール部2Aと下段回転ロール部3Aの位置関係について説明する。図5図6に示すように、上段の回転ロール2の中心軸P1は相互に間隔T3(例えばT3=374mm)を以って符号2~212の位置に設けられており、下段の回転ロール3は、上記上段の隣接する回転ロール2,2の中間位置、即ち、例えば上段の回転ロール2と2の中間位置、即ち、回転ロール3~311の位置に設けられている(図6参照)。また、下段の回転ロール3の中心軸P3の間隔はT4(例えばT4=374mm=T3)である(図6参照)。よって、上段の回転ロール2の中心軸P1と下段の回転ロール3の中心軸P3との距離T5は例えば187mm(T3/2)となる(図6図16参照)。
【0088】
尚、図5は傾斜状態の長方形傾斜筐体4を平面視したものであるため、間隔T3において、下段の回転軸3bが上流側寄りにあるように見えるが、図6に示すように、下段の回転軸3bは上段の2つの回転軸2b,2bの中間に位置している。また、上段の回転ロール2の中心軸P1と下段の回転ロール3の中心軸P3の上下方向の距離T6は例えば100mm(図6図16参照)である。
【0089】
また、図5図19に示すように、上段の回転ロール2の破砕用ディスク7と、下段の回転ロール3の破砕用ディスク8は、平面視でみると、上段の2つの隣接する破砕用ディスク7,7の軸方向(左右方向)の中間位置に、下段の回転ロール3の破砕用ディスク8が位置する関係となっており、上段と下段の破砕用ディスク7,8は平面視にて(図19参照)、軸方向の距離T7(例えばT7=100mm)離間して位置するように構成されている。
【0090】
さらに、側面からみると、図6図16に示すように、上段の破砕用ディスク7の直径よりも、下段の破砕用ディスク8の直径の方が大きく、上下段において、両破砕用ディスク7,8はディスクの周縁部においてオーバーラップ(overlap、部分的に重複)している(図5図6図19参照)。
【0091】
具体的には、図6図16に示すように、下段の破砕用ディスク8の上半部の前後両端部に、隣接する上段の破砕用ディスク7,7の一部が重複(オーバーラップ)する構成となっている。その結果、図5図19に示すように、上段回転ロール部2Aと下段回転ロール部3Aによって、上段の回転軸2b、上段の破砕用ディスク7(スリーブ部23を含む)と、下段の回転軸3b、下段の破砕用ディスク8(スリーブ部31を含む)によって、上記上段回転ロール部2Aの上方から上記下段回転ロール部3Aの下方に抜けるための空間S(S1,S2)が構成されている。
【0092】
この空間Sは、平面からみると(図5図19参照)、上記上段の破砕用ディスク7と下段の破砕用ディスク8が重複(オーバーラップ)していることによる比較的大きい凹状の空間S1と、大中小の方形状の空間S2とから構成されており、これらの空間S1,S2が篩目として機能している。また、これらの空間(篩目)S1,S2(S)は、従来のロールスクリーンのように同一水準位置に軸支された一段の回転ロールのみにより構成されたものではなく、上段回転ロール部2Aと下段回転ロール部3Aにより上下方向に2段に構成された上下段回転ロール部2A,3A(中心軸P1,P3間の上下方向の距離は例えばT6=100mm、図6図16参照)により立体的に構成されている点に特徴を有している。そして、上記空間S1又は空間S2より小さい原料(例えば100mm~150mm以下)、及び、上段の破砕用ディスク7と下段の破砕用ディスク8にて破砕され、上記空間S1又は空間S2より小さく破砕された原料(例えば100mm~150mm以下)が、上記篩目S1,S2を通って下方に落下排出されるものである。
【0093】
本発明は上述のように構成されるので、次に、本発明の作用を説明する。
(基本的な動作)
本発明の多軸式破砕篩装置1は、図1に示すように地面G上に設置され、搬送コンベア16が同図に示すように設置され、コンベアベルト16aが矢印A方向に走行しているものとする。また、多軸式破砕篩装置1の上段回転ロール部2Aの駆動モータM1とM2を駆動して、図6に示すように、上段の回転ロール2の全部を矢印C方向(上流側から下流側への回転方向)に同一速度で回転させると共に、下段回転ロール部3Aの駆動モータM3とM4を駆動して、図6に示すように、下段の回転ロール3の全部を矢印C方向とは逆の矢印E方向(下流側から上流側への回転方向)に同一速度で回転させているものとする(図20パターン1参照)。
【0094】
かかる状態で、例えば搬送コンベア16に土木掘削工事等にて発生した建設発生土(コンクリート塊、砕石、粘性の高い土塊等を含む土砂、以下、これらを「原料」という)を投入する(矢印D方向)。
【0095】
上記原料は、上記搬送コンベア16の先端ローラ14から原料投入口15aを通って、ホッパ6の上流側に投入され、上下段回転ロール部2A,3A上に落下供給される。土砂の投入量は例えば図3の二点鎖線の土砂Fにて示すように、ある程度の層を構成する量を投入する。尚、図3中の上記土砂Fの層の深さはあくまでも一例であり、より低い層の場合もあり得る。
【0096】
上記上段回転ロール2Aの各回転ロール2は矢印C方向に回転しており、上段の破砕用ディスク7も矢印C方向に回転しているため、上記原料は上段回転ロール部2Aの矢印C方向の回転により、上流側から下流側に搬送されると共に、篩目S1,S2の大きさより小さい原料(直径が約100mm~150mm程度以下の土砂、コンクリート塊或いは砕石等)は、上記下流側への移動の過程において、上記篩目S1,S2から下方に落下し、下部シュート17を通じて下開口部17aより、下方の搬送コンベア16のコンベアベルト16a上に落下し、矢印A方向に搬送されていく。
【0097】
また、上記下段回転ロール部3Aの回転ロール3は上段の上記回転ロール2とは逆方向に回転しているので、上記篩目S1,S2より大きなコンクリート塊、砕石、或いは、粘性が高く上記篩目S1,S2より大きな土塊等は、上段の破砕用ディスク7の突出片24の矢印C方向の回転により、上流側から下流側に移動される過程で、上記突出片24の作用によって下方向に移送され、上段の回転軸2bの隣接する破砕用ディスク7,7の中間の位置に、下段の回転軸3bの破砕用ディスク8が位置しているので、下段の破砕用ディスク8の突出片34の矢印E方向(上段の破砕用ディスク7とは逆方向)の回転により、上記下方に移動した大きな原料が、少なくとも2つ、或いは2つ以上に分離、分割されつつ、さらに下方に引き込まれ、かかる過程において、上記原料が細かく破砕され、篩目S1、S2から下方に落下する。
【0098】
このように、上段の回転ロール2の回転によって下流側及び下方向に移送された原料は、下段の回転ロール3の逆方向の回転によって、互いに逆方向に回転する上段の破砕用ディスク7と下段の破砕用ディスク8により下方向に噛み込まれるような状態となって、両破砕用ディスク7,8によって細かく破砕され、これにより篩目S1,S2より小さくなった原料(コンクリート塊、砕石、或いは、粘性の高い土塊)は、上記篩目S1,S2を通って、下段回転ロール部3Aから下方に落下していく。
【0099】
このとき、下段の破砕用ディスク8は、その周縁の4か所に突出片34を有しており、この突出片34が、上段の解砕用ディスク7とは逆方向の矢印E方向に回転しているので、上段の解砕用ディスク7の2か所の突出片24と共に、両突出片24,34が互いに対向方向(矢印C方向及び矢印E方向)に回転することで、コンクリート塊、或いは、砕石等の原料であってもこれらを確実に破砕しながら、下方に引き込む作用を実現している。そして、このような破砕動作が、上記上段回転ロール部2Aと下段回転ロール部3Aの全体(全面又は全範囲)で行われるため(図5参照)、原料が上流側から下流側に移動される過程において、上下段回転ロール部2A,3A上の位置に拘わらず、その全面において、万遍なく、均等に上記破砕動作を行うことができる。
【0100】
また、そのような破砕動作は、ホッパ6内の層を構成する土砂Fの深部、即ち、上段回転ロール部2Aに近いところから行われるため、上段回転ロール部2Aに近い深部から徐々に破砕動作が行われ、上流側から下流側に移送される過程において、篩目S1,S2より小さく破砕された原料が下方の下部シュート17内に落下供給される。
【0101】
よって、上流側にて破砕されなかった原料についても、下流側に移送されるまでに間において、何れかの破砕用ディスク7,8の位置において、上段の破砕用ディスク7と下段の破砕用ディスク8によって破砕することができ、特に粘性の高い土塊等が存在しても、下流側に行き着くまでに、確実に破砕することが可能となる。
【0102】
また、土砂中に、コンクリート塊或いは砕石等が混入していたとしても、上述のように破砕用ディスク7,8にて細かく破砕することができ、上記篩目S1,S2を通過可能となるまで破砕された原料(約100mm~150mm以下)の砕石等は、上記下部シュート17を介して下方の搬送コンベア16に落下供給することができる。このように、下部シュート17に落下する原料は、篩目S1,S2以下の原料、或いは、篩目S1,S2以下に破砕された細かい原料であり、これらの原料を搬送コンベア16にて篩下の集積場所まで搬送することが可能となる。
【0103】
上記篩目S1,S2より大きな砕石、コンクリート塊等で、下流に行き着くまでに上記上下段の破砕用ディスク7,8にて破砕できなかった大きな原料は、上記上段回転ロール部2Aの矢印C方向の回転により下流側に送られ、排出用開口9、排出用開口部10aから排出シュート10に投入され(図2参照)、排出口10bから排出される。そして、上記排出口10bの出口近傍に、篩上である大きなコンクリート塊或いは砕石等の集積部を設けることができるし、上記排出口10bの下方に別の搬送コンベアを設けて、他の場所に搬送し、上記他の場所に篩上の集積部を設けることができる。
【0104】
(対向回転動作)
次に、上流側の6個の上段の回転ロール2~2は、駆動モータM1により矢印C方向(上流側から下流側)に回転させ、上流側の6個の下段の回転ロール3~3は、駆動モータM3により矢印C方向とは逆方向(矢印E方向)に回転させ、下流側の6個の上段の回転ロール2~212は、駆動モータM2により矢印C’方向(矢印Cとは対向方向、即ち、下流側から上流側)に回転駆動し、下流側の下段の5個の回転ロール3~311は矢印C’方向とは逆方向(矢印E’方向)に回転させることもできる(図6図20パターン2参照)。尚、各回転ロールの回転速度は同一とする。
【0105】
上記上下段回転ロール部2A,3Aをこのように回転すると、上流側の6個の上段の回転ロール2~2と、上流側の6個の下段の回転ロール3~3においては、上記の基本動作と同様の破砕及び篩動作が行われるが、下流側の6個の上段の回転ロール2~212と、下流側の5個の下段の回転ロール3~311は、上記上流側の上下段回転ロール2A,3Aと各々対向する逆方向(矢印C,C’方向)、各々離間する逆方向(矢印E,E’方向)に回転しているので、下流側(回転ロール2~212のエリア)に移動した原料は、直ちに排出用開口部10aに移動せずに、下流側のエリア(回転ロール2~212のエリア)に比較的長い時間、留まるという動作が行われる。
【0106】
そして、上記上流側のエリア(回転ロール2~2のエリア)において、十分に破砕されなかった原料が、下流側のエリア(回転ロール2~212のエリア)に留まらせることにより、下流側のエリアにて、十分に破砕動作を行うことができる、という効果を奏するものである。
【0107】
即ち、上記下流側のエリアにおいては、上段の回転ロール2~212は下流側から上流側に回転しているので(矢印C’方向)、上流側から下流側のエリアに移送されてきた原料は、下流側の回転ロール2~212の破砕用ディスク7によって、上流側に若干戻される。この間において、上流側に戻された原料は、上流側に隣接する下段の回転ロール3~311の上段の破砕用ディスク7とは対向する方向の破砕用ディスク8の回転(矢印E’方向)により、破砕されながら、下方に移送され、結果として、より細かく破砕され、篩目S1,S2より小さい原料となり、下方に落下していく。
【0108】
また、上記筐体4は上流側が高く、下流側が低くなるように下り傾斜に設置されているので、下流側の回転ロール2~212により上流側に若干戻されても、筐体4の下り傾斜によって、原料は下流側に徐々に移送され、上記篩目S1,S2より大の原料(コンクリート塊、砕石等)は、排出用開口部10aより排出シュート10に投入されていく。
【0109】
このように、上段回転ロール部2Aの上流側の上段の回転ロール2~2と、下流側の上段の回転ロール2~212とを、互いに対向するように回転させ(矢印C方向と矢印C’方向)、上流側の下段の回転ロール3~3は上段の回転ロール2~2とは逆方向に回転させ(矢印E方向)、下流側の下段の回転ロール3~311を上段の回転ロール2~212とは逆方向に回転させることにより(矢印E’方向)、原料をホッパ6内において、下流側により長い時間、留まらせることができ、これにより、破砕の割合を高くして(排出用開口部10aから排出シュート10に排出される篩上を少なくして)、原料をより細かく破砕することが可能となる。
【0110】
(回転方向について)
本発明の核モータの回転方向は、上下段回転ロール部2A,3Aの上記のような回転方向(図20パターン1,2参照)に限定されない。よって、上段の回転ロール2~212を矢印C方向に回転駆動して、下段の回転ロール3~311を上記上段の回転ロール2~212と同一方向(矢印E’方向)に回転しても良い(図20パターン3参照)。
【0111】
また、上段回転ロール部2Aの回転ロール2~212を下流側から上流側(矢印C’方向、駆動モータM1,M2)、下段回転ロール部3Aの回転ロール3~311を逆方向の上流側から下流側(矢印E’方向、駆動モータM3,M4)に回転しても良いし(図20パターン4参照)、上段の上流側の回転ロール2~2を下流側から上流側に回転させ(矢印C’方向、駆動モータM1)、上段の下流側の回転ロール2~212を上流側から下流側に回転させ(矢印C方向、駆動モータM2)、下段の上流側の回転ロール3~3は上流側から下流側に回転させ(矢印E’方向、駆動モータM3)、下段の下流側の回転ロール3~311は下流側から上流側に回転させる(矢印E方向、駆動モータM4)ように構成しても良い(図20パターン5参照)。
【0112】
何れにしても、上下段回転ロール部2A,3Aの回転方向は、4つの正逆駆動モータM1~M4にて独立して駆動し得るので、原料の性状に応じて、図20に示すパターン以外の回転方向で回すことも考えられる。
【0113】
(回転速度について)
上記においては、回転方向について述べたが、各駆動モータM1~M4は各々独立したインバータ制御回路m1~m4を持っているので、上段の上流側の回転ロール2~2、下流側の回転ロール2~212、下段の上流側の回転ロール3~3、下流側の回転ロール3~311の各々について、個別に回転速度を独立して制御することが可能である。
【0114】
例えば、図20のパターン2の回転方向において、上流側の上下段回転ロール2A,3Aの回転速度より、下流側の上下段回転ロール2A,3Aの回転速度を速くすることにより、下流側における土砂の破砕をより促進することができる。
【0115】
このように、各駆動モータM1~M4の回転速度を独立して変化させることにより、破砕の促進等の効果を得ることができるものである。
【0116】
(土壌改良剤との混合動作)
この場合、図20のパターン2、即ち、上流側の上段回転ロール部2A(2~2)は、矢印C方向の回転(上流側から下流側への回転)、下流側の上段回転ロール部2A(2~212)は、矢印C’方向(対向方向)の回転、上流側の下段回転ロール部3A(3~3)は、矢E方向の回転(上段の回転ロールとは逆方向の回転)、下流側の下段回転ロール部3A(3~311)は、矢印E’方向の回転(上段の回転ロールとは逆方向の回転)となっているものとする。
【0117】
搬送コンベア16の上流側の上方に土壌改良剤のホッパ37を設け、搬送コンベア16上を搬送される土砂に土壌改良剤を投入する。この場合、搬送コンベア16により土砂と土壌改良剤とが同時にホッパ6内に投入されることになる。尚、土壌改良剤としては、例えば固化剤(石灰等)が考えられる。
【0118】
その後、ホッパ6内に投入された土砂は、上記(対向回転動作)と同様の動作により、粘性の高い土砂は破砕されながら、篩目S1,S2から下方に落下していく。この際、上述のように、上段の破砕用ディスク7と下段の破砕用ディスク8は、互いに対向する方向に回転しているので、粘性の高い土砂等に上記両ディスク7,8が食い込んで、土砂を破砕していき、上記両ディスク7,8が対向回転する際、土砂と上記土壌改良剤とが混合され、その状態で、篩目S1,S2から下方に落下していく。
【0119】
上記混合動作は、上下段回転ロール部2A,3Aの全体(全範囲)にて行われるから、上記上下段回転ロール部2A,3Aの全範囲にて土砂と土壌改良剤とが均等に混合され、上記下部シュート17の下開口部17aから下方の搬送コンベア16には、土壌改良剤と土砂とが均等に混合された状態の良質な改良土が落下供給される。よって、上記改良土を上記搬送コンベア16にて搬送することで、良質な改良土を集積場所に集積することができる。
【0120】
この混合動作中においても、コンクリート塊或いは砕石等の篩目S1,S2より大の原料は、下流側に搬送され、排出用開口部10aから排出シュート10内に排出することができる。よって土壌改良剤との混合動作中においても、篩動作を行うことができる。
【0121】
また、改良土に交じって、コンクリート塊、砕石等が破砕され、篩目S1,S2を通過してきたコンクリート塊、砕石等(100mm~150mm以下)は、上記改良土と共に、搬送コンベア16上に落下してくるが、その後、再度篩にかけてコンクリート塊、砕石等を排除することで、良質な改良土を得ることができるものである。
【0122】
本発明は以上のように、上下段の回転ロール2,3の全域に配置された上下段の破砕用ディスク7,8により原料を破砕しながら、篩目S1,S2より小さい原料(篩下)を下部シュート17から下方に排出し、篩目S1,S2より大きい原料(篩上)は下流側の排出シュート10から排出することができ、原料の破砕動作と、篩動作を同時に行うことができる。
【0123】
また、上下段の上記破砕用ディスク7,8をオーバーラップするように構成したので、例えば、隣接する上下段の破砕用ディスク7,8を対向方向に回転させることにより、原料を狭い篩目S1,S2の空間に引き込むように破砕することが可能となり破砕の効率を高めることができる。
【0124】
また、破砕用ディスク7,8の外部に突出片24,34を設けたので、例えば上下段の破砕用ディスクを対向する方向に回転することにより、各ディスクの突出片により、原料を狭い篩目(空間)に引き込み易くなり、原料の破砕効率をより高めることができる。
【0125】
また、下段の破砕用ディスク8の直径を上段の破砕用ディスク7より大とすることにより、上下段の破砕用ディスクの外周部をオーバーラップし易くなり、破砕効率を高めることができる。
【0126】
また、搬送コンベア16により上記ホッパ6内に連続的に原料を投入することができ、また、下部シュート17の下方の搬送コンベア16により篩下の原料を連続的に搬送することができる。
【0127】
また、上流側と下流側で回転ロール2,3の回転方向を逆方向とすることにより、例えば破砕効率をより向上させることができる。
【0128】
また、回転ロール2,3の回転軸2b,3bが断面多角形に構成されているので、破砕用ディスク7,8と回転軸との固定を容易に行うことができる。
【0129】
また、破砕用ディスク7,8は2分割のディスク片により構成されているので、回転軸2b,3bに対する破砕用ディスク7,8の取り付けを容易に行うことができるし、回転軸の中心軸の周りに回転しない破砕用ディスクを容易に構成することができる。
【0130】
また、原料の破砕動作、篩動作と共に、土砂と土壌改良剤との混合動作を同時に行うことができる。
【0131】
また、上段の上流側の一群の回転ロール2(2~2)、上段の下流側の一群の回転ロール2(2~212)、下段の上流側の一群の回転ロール3(3~3)、下段の下流側の一群の回転ロール3(3~311)の各回転方向及び/又は回転速度を独立して制御することができ、原料の性状に合わせて最適な回転方向及び/又は回転速度を設定することが可能となる。
【0132】
尚、図2中符号6eはホッパ6の補強杆、図19図5の筐体4内のエリア(N)(下流側から上流側に向かって2番目のエリア)の拡大図である。また、上記回転軸2b,3bは金属材料、上記破砕用ディスク7,8は耐摩耗性の高い金属材料、セラミック材料等、特に突出片24,34は耐摩耗性及び硬度の高い超硬質合金等により構成することができる。また、上記突出片24,34はディスク部にボルトBにて固定されているので、破損した場合は適宜取り換えることができ、メンテナンス性にも優れている。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明に係る多軸式破砕篩装置によると、1台の装置にて、土砂等の破砕動作、篩動作、土壌改良動作を行うことができ、極めて実用効果の高いものである。
【符号の説明】
【0134】
1 多軸式破砕篩装置
2 回転ロール
~212 回転ロール
2a~2a12 駆動用プーリ
2b 回転軸
2A 上部回転ロール部
3 回転ロール
~311 回転ロール
3a~3a11 駆動用プーリ
3b 回転軸
3A 下部回転ロール部
4 筐体
4a,4b 側板
4d 上開口部
4e 下開口部
5 機枠
6 ホッパ
7 破砕用ディスク
8 破砕用ディスク
10 排出シュート
16 搬送コンベア
17 下部シュート
21a,21b 軸受
22 ディスク部
22a 開口
22 左半部
22 右半部
23a 軸挿入口
24 突出片
28a,28b 軸受
30 ディスク部
30 左半部
30 右半部
30a 開口
31a 軸挿入口
34 突出片
S1,S2 篩目
M1~M4 駆動モータ
L1,L2 分割線
m1~m4 インバータ制御回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21