IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケース ウェスタン リザーブ ユニバーシティの特許一覧

<>
  • 特許-生体試料を収集するための装置 図1
  • 特許-生体試料を収集するための装置 図2
  • 特許-生体試料を収集するための装置 図3
  • 特許-生体試料を収集するための装置 図4
  • 特許-生体試料を収集するための装置 図5
  • 特許-生体試料を収集するための装置 図6
  • 特許-生体試料を収集するための装置 図7
  • 特許-生体試料を収集するための装置 図8
  • 特許-生体試料を収集するための装置 図9
  • 特許-生体試料を収集するための装置 図10
  • 特許-生体試料を収集するための装置 図11
  • 特許-生体試料を収集するための装置 図12
  • 特許-生体試料を収集するための装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】生体試料を収集するための装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20230105BHJP
【FI】
A61B10/02
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019560210
(86)(22)【出願日】2018-05-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 US2018030907
(87)【国際公開番号】W WO2018204659
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】62/500,933
(32)【優先日】2017-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500429332
【氏名又は名称】ケース ウェスタン リザーブ ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】CASE WESTERN RESERVE UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】マーコウィッツ,サンフォード
(72)【発明者】
【氏名】セクレスト,ディーン
(72)【発明者】
【氏名】チャク,アミタブ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリス,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】シードラク,デニス
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0317132(US,A1)
【文献】特開2007-222387(JP,A)
【文献】特開2015-196040(JP,A)
【文献】特開2017-064067(JP,A)
【文献】特開昭59-064065(JP,A)
【文献】特開昭60-052817(JP,A)
【文献】特開2005-168910(JP,A)
【文献】特表2010-505592(JP,A)
【文献】特開2017-038884(JP,A)
【文献】特表2008-541851(JP,A)
【文献】特表2016-516491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の食道中の生体試料を収集するための装置であって、
前記装置は、
食道中の収集場所で試料を収集するために飲み込める収集部と、
飲み込むために患者の咽喉の後部に前記収集部を入れるために前記収集部に接続されたスタイレットと、
前記収集部およびコネクターに接続されたカテーテルと、を備え、
前記スタイレットはコネクターに配置されたキャップに固定される、
生体試料を収集するための装置。
【請求項2】
前記スタイレットは、前記スタイレットから前記収集部に向かって前記カテーテルを通して伸びる、請求項1に記載の生体試料を収集するための装置。
【請求項3】
前記コネクターはY継ぎ手であり、前記スタイレットは前記コネクターの第1の枝に接続され、前記コネクターの第1の枝は、前記コネクターの第2の枝に対して特定の角度で伸び、前記第2の枝は閉止栓を含む、請求項2に記載の生体試料を収集するための装置。
【請求項4】
収集部は第1軸端部および第2軸端部を含み、第2軸端部は、折り畳まれた状態および拡張した状態を有し、第2軸端部が折り畳まれた状態と拡張した状態との間を移動するとき、第2軸端部は前記第1軸端部に対して軸方向に移動し、前記第2軸端部が折り畳まれた状態にあるとき、前記第2軸端部は第1軸端部へ軸方向に伸び、凹状の形状を有する、請求項1に記載の生体試料を収集するための装置。
【請求項5】
第2軸端部が拡張した状態にあるとき、第2軸端部は放射状に外方を向く外表面を有し、外表面は第2軸端部が折り畳まれた状態にあるとき放射状に内方を向く、請求項1に記載の生体試料を収集するための装置。
【請求項6】
前記第2軸端部は、第2軸端部の外表面から伸びる複数の組織収集突起を含んでいる、請求項4に記載の生体試料を収集するための装置。
【請求項7】
前記組織収集突起の第1側壁は、第2軸端部の外表面に対して略直角に伸び、前記組織収集突起の第2側壁は、第2軸端部が折り畳まれた状態と拡張した状態との間で非膨張状態であるときに、第1と第2の側壁が外表面から放射状に外方に伸びるにつれて、前記第1側壁に向かって先細りしてなる、請求項6に記載の生体試料を収集するための装置。
【請求項8】
第2軸端部が拡張した状態にあるとき、リップは組織収集突起の第1側壁に向かって前記突起の外表面から放射状に伸びる、請求項7に記載の生体試料を収集するための装置。
【請求項9】
前記組織収集突起の少なくとも1つはV字形状を有し、前記第1側壁は近位方向を向き、V字形状の内壁を形成し、前記第2側壁は遠位方向を向き、V字形状の外壁を形成する、請求項8に記載の生体試料を収集するための装置。
【請求項10】
前記第2軸端部は、デュロメーターのタイプAにより5-90の硬さを有する、請求項6に記載の生体試料を収集するための装置。
【請求項11】
前記第2軸端部はデュロメーターのタイプAにより20-70の硬さを有する、請求項6に記載の生体試料を収集するための装置。
【請求項12】
前記第1軸端部にさらにスリーブを含む、請求項4に記載の生体試料を収集するための装置。
【請求項13】
リーブは第1軸端部のアンダーカットリムによって前記第1軸端部に保持される、請求項10に記載の生体試料を収集するための装置。
【請求項14】
前記第2軸端部は、前記第2軸端部の外表面から伸びる複数の組織収集突起を含み、各々の突起は隣接したV字形状の突起に接続されたV字形状を有する、請求項4に記載の生体試料を収集するための装置。
【請求項15】
第2軸端部が、折り畳まれた状態の第2軸端部を保持する折り畳まれた状態にあるとき、第2軸端部上を伸びるキャップをさらに含む、請求項4に記載の生体試料を収集するための装置。
【請求項16】
第1軸端部に接続されたおもりをさらに含む、請求項4に記載の生体試料を収集するための装置。
【請求項17】
患者の食道中の生体試料を収集するための装置であって、
前記装置は、
折り畳まれた状態と拡張した状態とを有する収集部と、
収集部の外表面から伸びる少なくとも1つの組織収集突起と、
収集部が折り畳まれた状態と、拡張した状態との間の非膨張状態にあるとき、収集部の外表面に対して略直角に延びる組織収集突起の第1側壁と、
前記組織収集突起の第2側壁であって、収集部が、折り畳まれた状態と拡張した状態との間の非膨張状態にあるとき、第1及び第2側壁が外表面から放射状に外方に伸びるにつれて、前記第1側壁に向かって先細りする、前記組織収集突起の第2側壁と、
を含んでなる生体試料を収集するための装置。
【請求項18】
収集部が拡張した状態にあるとき、リップが、前記突起の外表面から放射状に前記組織収集突起の第1側壁に向かって伸びる、請求項17に記載の生体試料を集めるための装置。
【請求項19】
前記組織収集突起の少なくとも1つはV字形状を有し、前記第1側壁は近位方向を向き、V字形状の内壁を形成し、前記第2側壁は遠位方向を向き、V字形状の外壁を形成する、請求項18に記載の生体試料を集めるための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願>
この出願は、2017年5月3日に出願された米国仮特許出願No.62/500,933からの優先権を主張し、その主題は、全体に亘って参照によって本明細書に組込まれる。
【0002】
<政府資金調達>
この発明はナショナル・インスティテュート・オブ・ヘルスによって付与された許可番号P50CA150964、U01CA152756、U54CA163060の下で政府の支援により作られた。アメリカ合衆国政府は、発明に対する特定の権利を有している。
【0003】
<本発明の背景>
本発明は生体試料を収集するための装置に向けられ、より詳しくは、患者の食道からの組織、細胞、タンパク質、RNA及び/又はDNAなどの生体試料を収集するための装置に向けられている。
【背景技術】
【0004】
公知の組織収集装置は、長手方向に伸びる折り目を備えた拡張可能な装置を含んでいる。当該拡張可能な装置は、食道などの体腔内の収集場所で放射状に拡大する。当該装置が拡張した後、組織は収集場所から集められる。組織が収集された後、拡張可能な装置は収縮される。当該装置が組織の収集の後に収縮すると、折り目が集めた組織を閉じ込める。当該公知の組織収集装置は、収集場所へ内視鏡を通して、あるいは標準的なカテーテル挿管技術を介して挿入され得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、患者の食道中の生体試料を収集するための装置に関する。前記装置は、食道中の収集場所で試料を収集するために、飲み込める収集部を含んでいる。収集部に接続されたスタイレット(stylet)は、飲み込みのための患者の咽喉の後部に収集部を入れるのを支援する。
【0006】
本発明の他の態様では、患者の食道中の生体試料を収集するための装置は、第1軸端部と第2軸端部を有する収集部を含んでいる。第2軸端部は折り畳まれた状態と拡張した状態とを有する。第2軸端部が折り畳まれた状態と拡張した状態の間を移動するとき、第2軸端部は、第1軸端部に対して軸方向に移動する。第2軸端部が折り畳まれた状態にあるとき、第2軸端部は、第1軸端部へと軸方向に伸び、凹状の形状を有する。スリーブは第1軸端部にある。
【0007】
本発明の他の態様では、患者の食道中の生体試料を収集するための装置は、折り畳まれた状態と拡張した状態とを有する収集部を含んでいる。少なくとも1つの組織収集突起が、収集部の外表面から伸びる。収集部が前記折り畳まれた状態と拡張した状態の間の非膨張状態にあるとき、前記組織収集突起の第1側壁は、収集部の外表面に対して略直角に伸びる。収集部が折り畳まれた状態と、拡張した状態の間の非膨張状態にあるとき、側壁が外表面から放射状に外方に伸びるにつれて、組織収集突起の第2側壁は第1側壁に向かって先細りになる。
【0008】
本発明の他の態様では、生体試料を収集する方法は、飲み込みのために患者の咽喉の後部へスタイレットで飲み込める収集部を移動させる工程を含んでいる。収集部は、折り畳まれた状態の収集部の一部と共に食道中の収集場所に移動される。収集部が収集場所にあるとき、収集部の一部は拡張する。生体試料は、拡張した状態の収集部の一部で収集される。収集部の一部は試料を収集した後に折り畳まれる。装置は患者の食道から取り除かれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の前述の特徴及び他の特徴は、添付図面を参照して以下の記載を読むことで、本発明に関係のある当業者には明らかになるだろう。
図1図1は、本発明に従って構築された生体試料収集装置の概略図である。
図2図2は、折り畳まれた状態で示される図1の収集装置の概略図である。
図3図3は、図2の収集装置の断面図である。
図4図4は、図1の収集装置の突起或いは剛毛の拡大平面図である。
図5図5は、図4の5-5線に沿って得られた突起の断面図である。
図6図6は、収集装置の一部の拡張の後に示された突起の拡大平面図である。
図7図7は、図6の7-7線に沿って得られた収集装置の一部の拡張後の突起の概略図である。
図8図8は、収集装置のスタイレットおよびコネクターを示す収集装置の概略図である。
図9図9は、図8のコネクターの拡大概略図である。
図10図10は、本発明の他の実施形態に従って構築された収集装置の概略断面図である。
図11図11は、本発明の第3実施形態に従って構築された収集装置の概略図である。
図12図12は、本発明の第4実施形態に従って構築された収集装置の概略断面図である。
図13図13は、本発明の第5実施形態に従って構築された収集装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に従って構築された生体試料を収集するための収集装置10が、図1-9に示される。収集装置10は、患者の食道など体腔から組織、細胞、タンパク質、RNAおよび/またはDNAを収集するために使用されてもよい。食道から収集された組織、細胞、タンパク質、RNAおよび/またはDNAは、米国特許出願No.14/109,041号、米国特許出願No.13/670,155号、米国特許出願No.13/263,020号、米国特許第8,642,271号公報、米国特許第8,481,707号、米国特許第8,415,100号、米国特許第8,221,977号、米国特許第7,964,353号および米国特許第7,485,420号に開示された方法のうちのいずれか1つで使用され得、それらは参照によって全体にわたって本明細書に組み込まれる。
【0011】
収集装置10は一般に中空の長手方向に伸びる収集部12を含んでいる。収集部12は、第2又は遠位軸端部16に接続された第1又は近位軸端部14を有する。遠位軸端部16は近位軸端部14に接続された第1軸端部22を有する。第1端部22は、接着か接合の使用によるなど任意の所望の方法で近位軸端部14に接続され得る。第1軸端部22は近位軸端部14の肩部24と係合する。したがって、収集部12は滑らかな外表面を有する。遠位軸端部16は任意の所望の方法で近位軸端部14に接続され得る。近位軸端部14および遠位軸端部16は、シリコーンまたはポリウレタンなどの柔軟なポリマーで作られ得る。遠位軸端部16は近位軸端部14より低い硬さを有する。遠位軸端部16は、デュロメーターのタイプAにより5-90のショア硬さを有し得る。遠位軸端部16の硬さは、好ましくはデュロメーターのタイプAにより20-70のショア硬さであり、より明確にはデュロメーターのタイプAによりおよそ30のショア硬さである。
【0012】
遠位軸端部16は拡大し収縮し得る。第1あるいは近位軸端部14は比較的リジッドである。したがって、近位軸端部14には固定された放射状の広がりがある。第1軸端部14および第2軸端部16は、別々の部分として形成され得る。当該別々の部分は、任意の所望の方法でともに接続されるか、ワンピースのものとして一体的に形成され得る。筒状体を有するように、近位軸端部14は例証されるが、近位軸端部には如何なる所望の形状も有し得る。
【0013】
近位軸端部14はカテーテルなどの支承部材20に接続される。支承部材20は、収集部12の内方との流体連通する管状部材であり得る。近位軸端部14は、空気などの流体を支承部材20から遠位軸端部16まで伝達する。真空が支承部材に適用され、収集場所から収集装置10の引っ込む間に延伸に抵抗するとき支承部材20は折り畳みに抵抗する。
【0014】
収集部12の第2或いは遠位軸端部16は拡張されたか或いは膨張した状態(図1)と、折り畳まれたか、或いは収縮した状態(図2-3)を有する。図1に示される拡張した状態は、遠位軸端部16のための多くの拡張した状態のうちの1つであり得る。図1に示されているよりも、遠位軸端部16は拡大され得ることが考えられ、その結果、遠位軸端部がより球状の形状を得、熱気球に似ているように見える。遠位軸端部16は、拡張しているか膨張した状態中にある時、図1に示される凸状の形状を有する。遠位軸端部16は、拡張した状態にあるとき、近位軸端部14より長い距離で外側に放射状に拡張し得る。
【0015】
遠位軸端部16は、折り畳まれたか、或いは収縮した状態にあるとき、第1又は近位軸端部14に伸びて、図2及び3に示される凹状の形状を有する。折り畳まれた状態にあるとき、遠位軸端部16は反転であり得る。折り畳まれたか、或いは収縮した状態にあるとき、遠位軸端部16は、近位軸端部14の内方に軸方向に伸びる。したがって、収縮した状態と拡張した状態の間を移動するとき、遠位軸端部16は、近位軸端部14に対して軸方向にあるいは長手方向に移動する。折り畳まれた状態にあるとき、遠位軸端部16の比較的より低い硬さは遠位軸端部が近位軸端部14の内方に軸方向に伸びて、凹状の形状を有することを可能にする。遠位軸端部16は、如何なる所望の方法であっても、折り畳まれたか或いは収縮した状態に付勢され得る。
【0016】
近位軸端部は比較的高い硬さを有しており、その結果、真空が支承部20を介して近位軸端部に適用されると、近位軸端部は折り畳むことはない。遠位軸端部16が収縮された状態と膨張した状態との間を移動するとき、近位軸端部14の形状は、変化しない。遠位軸端部16が収縮された状態と膨張した状態との間を移動するとき、近位軸端部14は放射状に移動しない。
【0017】
遠位軸端部16は、遠位部が拡張した状態にあるときに、組織を収集するための外表面32を有している。遠位軸端部16が拡張した状態にあるとき、外表面32は外側に放射状に向き、遠位軸端部が折り畳まれるか、或いは反転の状態にあるとき、内側に放射状に向きうる。遠位軸端部16の外表面32は組織を収集するために如何なる所望の構造をも有しうることが考えられる。遠位軸端部16の外表面32は組織を収集するために、複数の突起又は剛毛40を有しうる。遠位軸端部16は、突起又は剛毛40の如何なる所望の数をも有し得る。
【0018】
突起又は剛毛40はV字形状(図4)を有しうる。突起40はそれぞれ、交差部48から伸びる第1側面42と第2側面44を有する。遠位軸端部16が膨張した状態(図1)にあるとき、第1及び第2側面42および44は、交差部48から略近位方角に伸びる。遠位軸端部16が折り畳まれた状態或いは反転の状態(図2および3)にあるとき、第1及び第2側面42および44は略遠位方向に伸びる。第1及び第2側面42および44は、収集された生体試料を受け取るためのカップ50を画定する。カップ50は遠位部16が拡張した状態にあるとき、近位方向を向き、遠位部が折り畳まれた状態にあるとき、遠位方向を向く。
【0019】
第1及び第2側面42および44は、互いに略90度の角度で伸び得る。第1及び第2側面42および44は、互いに如何なる所望の角度でも伸び得ると考えられる。所望の角度は、収集されるべき生体試料のタイプに基づいて決定され得る。代替的に、突起40はカップ状の形状或いは半円形の形状であり得る。
【0020】
遠位部16が拡張した状態にあるとき、突起又は剛毛40の各々は、外表面32から放射状に外方へ伸びる側壁54および56(図5)を有する。遠位部が拡張した状態にあり、カップ50の内側を形成するとき、側壁56は近位方向を向く。遠位部が拡張した状態にあり、カップ50の外壁を形成するとき、側壁54は遠位方向を向く。側壁54および56は、放射状に外表面32から突起40の外表面58まで延びる。遠位軸端部16が拡張した状態と折り畳まれた状態の間の非膨張状態にあるとき、側壁56は、外表面32と突起40の外表面58に対して略直角に延びる。遠位軸端部16が非膨張状態にあるとき、側壁54は外表面32から突起40の外表面58に向かって放射状に延びるにつれて、側壁54は側壁56に向かって先細りになる。
【0021】
遠位軸端部16が拡張した状態にあるとき、側壁56はフラップ、フードあるいはリップ59(図6-7)を形成し得る。リップ59は、収集場所での試料収集を支援する。リップ59は、突起40の外側表面58から近位軸端部14に向かって伸びる。突起40は、遠位軸端部16の拡張中に、図4に示される形状から図6に示される形状に延びる。突起40は、さらに遠位軸端部16の拡張中に図7に示される形に図5に示される形からの高さを縮小する。突起40の高さにおける伸長と減少は突起40の収集側に収集リップ59を生じさせる。側壁54と56の間の先細りの差は、側壁56に向かって回転するように外壁部に僅かな付勢を生成する。突起40が付勢され、非膨張状態の側壁56に凹部が存在し、膨張中にさらに増強される。突起40が伸びると、突起は細くなり、垂直の支柱のまま残るほどに安定しなくなるので、当該垂直の支柱は、突起の近位或いは収集側のリップ59を形成する側壁壁56に向かってトップエッジを倒す。側壁54および56は両方とも、如何なる所望の角度でも先細りになり得る。また、側壁54および56は互いに向かって、先細りにならなくてもよいと考えられる。
【0022】
遠位軸端部16は、遠位軸端部16の遠位部から伸びる複数の突起或いは剛毛60(図1)を含み得る。突起60は突起40と同一の略V字形状を有し、突起40より小さい。突起60は、第1及び第2側面62および64を有し、当該第1及び第2側面62及び64は、突起40の第1及び第2側面42および44より小さい長さを有している。
【0023】
突起または剛毛40、60は周囲に列をなして(図1)配列される。各列は6つの突起40或いは60を有すると考えられる。各々の列は、突起40又は60の如何なる所望の数でも有しうる。突起40および60の各々は、隣接した列の突起から周辺に互い違いにされる。リブ66は、各列の中の隣接した突起40及び60の間で周辺に伸びる。リブ66は、交差部48で対向する側壁54および56の端部間に伸びる。
【0024】
カテーテル20は、医師又は技師がより容易な飲み込みのために患者の咽喉の後部に収集部12を置くように、カテーテル20にこわさを与えるスタイレット100(図8)を有しうる。スタイレット100はカテーテル20を通って収集部12の隣接する第1軸端部あるいは近位軸端部14からコネクター102へと伸びる。コネクター102はカテーテル20に連結され、収集部12の遠位軸端部16を拡張するためにカテーテルへの流体の導入を可能にする。スタイレット100は、好ましくはポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)ポリマーで作られる。しかしながら、スタイレットは、ステンレス鋼ガイドワイヤ、ポリマー・モノフィラメント押出および/またはステンレス鋼モノフィラメントのコアワイヤであってもよい。スタイレット100は収集部12から離間した丸い柔軟な遠位端104(図3を参照)を有しうる。柔軟な遠位端104は増加した柔軟性のために目盛り付きの領域であってもよい。遠位端104はスタイレット100の最も柔軟な部分でありうる。
【0025】
カテーテル20の近位端106(図8-9)は、コネクター102に接続される。コネクター102は、スタイレット100の近位端106に接続された、第1の枝110を備えたY継手であり得る。スタイレット100の近位端106は、第1の枝を通って、第1の枝を封止し閉じるキャップ112へと伸びる。近位端106は、エポキシ樹脂によりキャップ112および第1の枝110に接続され、キャップ112の近位端で噴流からカットされる。エポキシ樹脂は第1の枝110にキャップ112を接続し得る。スタイレット100は、インサート成形によるなとしてキャップ112に固定して接続され得ると考えられる。その後、スタイレット100はY継手102およびカテーテル20に挿入され、キャップによってY継手に接続され得る。その後、スタイレット100は所望によりカテーテル20およびY継手102から除去され得る。カテーテル20は、カテーテルからスタイレット100の取り外しを可能にするために滑らかにされ得る。さらに、近位端106は第1の枝110に接続されたテューイ・ボースト(Tuohy=Borst)アダプターを介して伸び得るのであり、ユーザがテューイ・ボースト・アダプターを緩めることを可能にし、カテーテル20のこわさを低減するために、スタイレット100を取り外すことが考えられる。また、スタイレットがカテーテル20の外側に沿って伸びることができることも考えられる。
【0026】
Y継手102は特定の角度で第1の枝110まで伸びる第2の枝120を有する。第2の枝120は第2の枝を開閉するために栓122を有しうる。注射器は、Y継手102およびカテーテル20へ、空気などの流体を導入するために第2の枝120に接続され得るのであり、収集部12の遠位軸端部16を拡張し、試料を収集した後に、遠位軸端部16を折り畳むために流体を除去すべく真空を適用する。栓122は、試料を得るときに、カテーテル20および収集部12中の流体を保持するために使用され得る。栓122および注射器は、流体の注入を制御するのを支援し、
折り畳まれた状態と拡張した状態との間に遠位軸端部16を移動させる。
【0027】
ディスク126は、カテーテル20の近位端あるいはコネクター102の遠位端に接続され得る。ディスク126はコネクター102が患者の口および/または咽喉に挿入されるのを防ぐために放射状にカテーテル20から離れて伸びる。
【0028】
収集部12は、遠位軸端部16を折り畳まれた状態か又は収縮した状態で、食道などの体腔内の収集場所に移動される。収集部12は患者によって飲み込まれうる。スタイレット100は収集部の飲み込みに対して支援するべき患者の咽喉の後部に収集部12を入れるために操作され得る。さらに、患者がカテーテルに付けられた収集部12で挿管されることができることが考えられる。遠位軸端部16は、支承部20を通して収集部12に真空を適用することにより、折り畳まれるか或いは収縮した状態で保持され得る。支承部材20又はカテーテルは、患者の解剖学的な収集場所を決定する深さ印を有しうる。収集部12は下部食道括約筋(LES)を過ぎて移動し、LESに向かって近位方向に引かれ得る。収集部12がLESと噛み合うと、技師或いは医師は、カテーテル20中の引張力の上昇を検知し得る。LESが検知されると、収集部12の遠位軸端部16は拡張され得る。収集部12が収集場所にあるとき、あるいはその収集場所に近いとき、遠位軸端部16は折り畳まれた状態から拡張した状態に移動される。Y継手102に接続された注射器は、遠位軸端部16に、空気などの加圧流体を適用するために駆動され得るのであり、折り畳まれた状態から拡張した状態へ遠位軸端部を軸方向に移動させる。
【0029】
収集部12は食道か体腔の中で移動され、遠位軸端部16が拡張した状態にあるとき、収集場所から組織、細胞、タンパク質、RNAおよび/またはDNAなどの生体試料を収集する。収集部12は単に近位方向に移動され、その結果、拡張した遠位軸端部16は生体試料を収集するために収集場所と噛み合うことが考えられる。支承部材20或いはカテーテル上の深さ印はガイドとして使用され得る。生体試料が集められた後、遠位軸端部16は拡張した状態から折り畳まれたか反転した状態に移動される。遠位軸端部16は、Y継手102に接続された注射器で収集部12に真空を適用することにより、拡張した状態から折り畳まれた状態に移動され得る。収集部12が体腔から出ると、遠位軸端部16は体腔と噛み合わず、収集された生体試料が収集場所と異なる体腔に沿った領域から組織で汚染されるのを防ぐ。一旦収集装置10が患者から取り外されると、生体試料は洗浄部および/または収集部12を介して収集されるか、あるいは、遠位軸端部16は支承部材20からカットされ、生体試料瓶に入れられ得る。
【0030】
収集装置140の他の実施形態は図10に示される。収集装置140は、図1-9で示される収集装置に略似ており、第1のあるいは近位軸端部144および第2の或いは遠位軸端部146を備えた収集部142を有する。遠位軸端部146は拡張し収縮し得る。第1のあるいは近位軸端部144は比較的リジッドである。したがって、近位軸端部144は固定の放射状延長部を有する。収集部142の第2あるいは遠位軸端部146は、図1に示される拡張した状態に類似した拡張した状態又は膨張した状態を有し、図10に示された折り畳まれた状態又は収縮した状態を有する。拡張しているか膨張した状態にあるとき、遠位軸端部146は凸状の形状を有する。遠位軸端部146は第1のあるいは近位軸端部144へ伸びて、折り畳まれた状態或いは収縮した状態にあるとき、凹状の形状を有する。折り畳まれた状態にあるとき、遠位軸端部146は反転し得る。折り畳まれた状態又は収縮した状態にあるとき、遠位軸端部146は、近位軸端部144の内方へ軸方向に伸びる。したがって、収縮した状態と膨張した状態との間を移動するとき、遠位軸端部146は、近位軸端部144に対して軸方向にあるいは長手方向に移動する。
【0031】
硬化性スリーブ148は、近位軸端部144に接続される。スリーブ148は、収集部142の近位軸端部144に軸方向に差し込まれ得る。その結果、遠位軸端部が折り畳まれた状態にあるとき、遠位軸端部146がスリーブへと伸びる。スリーブ148は、アンダーカットリム150がスリーブ上で引っ掛かり、近位軸端部のスリーブを保持するまで、近位軸端部144に軸方向に挿入され得、アンダーカットリムは、スリーブ148が遠位軸端部146へ滑り出しうるのを防ぐ。スリーブ148はポリプロピレンで成型されたシリンダーであり得、該シリンダーは近位軸端部144に付加的なカラム強度を与え、遠位軸端部146の真空反転の間にカラムおよび側壁の折り畳みの防止を支援する。スリーブ148は、近位端144の壁をより薄くすることを可能にする。近位軸端部144の壁がより薄くなることは、遠位軸端部146のために近位軸端部の内方により多くのスペースを与え、容易に反転する。遠位軸端部146が反転する容易さが、生体試料を可能な限り収集する能力を高め得る。遠位軸端部146が近位軸端部144と反転するとともに、遠位軸端部146の表面間の摩擦が大きくなりすぎると、それによって試料を拭き取ることができる。スリーブ148は反転の信頼度を高め、反転の間に遠位端部分146の表面が互いにこすれ合うことを減少する。スリーブ148はポリマーおよび/または金属の薄い壁のスリーブであり得、該薄い壁のスリーブは近位軸端部144に挿入されるか、あるいはインサート成型される。スリーブ148はフープ強度を提供し、近位軸端部144が真空下で折り畳むのを防ぐことを支援する。
【0032】
遠位軸端部146は、遠位部が拡張した状態にあるときに、組織を収集するための外表面を有する。遠位軸端部146が拡張した状態にあるとき、外表面は放射状に外方を向き、遠位軸端部が折り畳まれるか、或いは反転した状態にあるとき、放射状に内方を向き得る。遠位軸端部146の外表面は、組織を収集するための複数の突起又剛毛152を有する。突起152は図1-7に示されたV字形状の突起40に似ているV形状を有し得る。
【0033】
収集装置160の他の実施形態は図11に示される。収集装置160は、図1-9に示される収集装置に略似ている、しかしながら、図11に示された収集装置160は2倍のV組織を有する。収集装置160は第1又は近位軸端部164と第2又は遠位軸端部166を備えた収集部162を有する。遠位軸端部166は拡張し、収縮するかもしれない。第1あるいは近位軸端部164は比較的リジッドである。したがって、近位軸端部164には固定した放射状の延長部がある。は収集部162の第2又は遠位軸端部166は図1に示された拡張した状態に類似した、拡張しているか膨張した状態と、図3に示された折り畳まれた状態に類似した、折り畳まれた状態又は収縮した状態とを有する。収集部162は拡張した状態と折り畳まれた状態との間の非膨張状態で図11に示される。拡張した状態又は膨張した状態にあるとき、遠位軸端部166は凸状の形状を有する。遠位軸端部166は第1あるいは近位軸端部164に伸び、折り畳まれた状態又は収縮した状態にあるとき、凹状の形状を有する。折畳まれた状態或いは収縮した状態にあるとき、遠位軸端部166は、近位軸端部164の内方へ軸方向に伸びる。したがって、収縮した状態と膨張した状態の間を移動するとき、遠位軸端部166は、近位軸端部164に対して軸方向あるいは長手方向に移動する。
【0034】
遠位軸端部166は、遠位部が拡張した状態にあるときに、組織を収集するための外表面を有する。遠位軸端部166が拡張した状態にあるとき、外表面は放射状に外方を向き、遠位軸端部が折り畳まれたか、反転した状態にあるとき、放射状に内方を向き得る。遠位軸端部166の外表面は、組織を収集するために、複数の突起、あるいは剛毛172を有しうる。突起172は二重のV字形状を形成し得る。突起172の各々は、図1-7に示されたV字形状の突起40に似ている。V字形状の突起172は各々、隣接したV字形状の突起に直接接続される。
【0035】
収集装置180の他の実施形態は図12に示される。集収装置180は、図1-9に示される集収装置に略似ていて、第1あるいは近位軸端部184と、第2あるいは遠位軸端部186を備えた収集部182を有する。遠位軸端部186は膨張し収縮し得る。第1あるいは近位軸端部184は比較的リジッドである。したがって、近位軸端部184は固定された放射状の延長部を有する。収集部182の第2或いは遠位軸端部186は拡張しているか膨張した状態を有し、この状態は、図1に示される拡張した状態、および図12に示される、折り畳まれたか収縮した状態に似ている。拡張しているか膨張した状態にあるとき、遠位軸端部186は凸状の形状を有する。遠位軸端部186は第1の或いは近位軸端部184へ伸びて、折り畳まれた状態か収縮した状態にあるとき凹状の形状を有する。折り畳まれた状態にあるとき、遠位軸端部186は反転され得る。折り畳まれた状態か収縮した状態にあるとき、遠位軸端部186は、近位軸端部184の内方へ軸方向に伸びる。したがって、収縮した状態と拡張した状態との間を移動するとき、遠位軸端部186は、近位軸端部184に対して軸方向にあるいは長手方向に移動する。
【0036】
遠位軸端部186は、遠位部が拡張した状態にあるとき、組織を収集するための外表面を有している。遠位軸端部186が拡張した状態にあるとき、外表面は放射状に外方を向き、遠位軸端部が折り畳まれた状態か反転した状態にあるとき、放射状に内方を向き得る。遠位軸端部186の外表面は、組織を収集するために複数の突起或いは剛毛192を有し得る。突起192は図1-7に示されたV字状の形状の突起40に似ているV字状形状を有し得る。
【0037】
収集装置180は、収集部182の端部にロードされ得るジェルキャップ(gelcap)またはゼラチンのカバーあるいはキャップ194を含んでいる。キャップ194は、収集部182の挿入および収集場所への移動の間、折り畳まれた状態で遠位軸端部186を保持することができる。キャップ194は、収集部182が体腔に達すると、脱落する、はじけ飛ぶ、及び/又は分解する。キャップ194は、折り畳まれた状態から膨張した状態へ遠位軸端部186の移動に応答して脱落し得る。
【0038】
収集装置200の他の実施形態が図13に例証される。収集装置200は、図1-9で示される収集装置に略似ており、第1のあるいは近位軸端部204および第2の或いは遠位軸端部206を備えた収集部202を有する。遠位軸端部206は膨張し収縮し得る。第1あるいは近位軸端部204は比較的リジッドである。収集部202の第2或いは遠位軸端部206は、図1に示された拡張した状態に類似した、拡張した状態或いは膨張した状態と、図13に示された、折り畳まれた状態或いは収縮した状態とを有する。遠位軸端部206は、拡張しているか膨張した状態にあるとき、凸状の形状を有する。遠位軸端部206は、折り畳まれた状態か収縮した状態にあるとき、第1あるいは近位軸端部204に伸び、凹状の形状を有する。折り畳まれた状態にあるとき、遠位軸端部206は反転され得る。折り畳まれた状態か収縮した状態にあるとき、遠位軸端部206は、近位軸端部204の内方へ軸方向に伸びる。したがって、収縮した状態と拡張した状態との間を移動するとき、遠位軸端部206は、近位軸端部204に対して軸方向にあるいは長手方向に移動する。
【0039】
遠位軸端部206は、遠位部が拡張した状態にあるとき、組織を収集するための外表面を有する。遠位軸端部206が拡張した状態にあるとき、外表面は放射状に外方を向き、遠位軸端部が折り畳まれた状態か反転した状態にあるとき、放射状に内方を向き得る。遠位軸端部206の外表面は、組織を収集するために複数の突起又は剛毛212を有し得る。突起212は図1-7に示されたV字形状の突起40に似ているV字形状を有し得る。
【0040】
収集装置200は、近位軸端部204に接続されたおもり214を含んでいる。おもり214は収集部202を呑み込むことを支援し得る。おもり214はタングステンで作られ得るのであり、近位軸端部分204に挿入され得る。おもり214は近位軸端部分204にインサート成型され得ると考えられる。
【0041】
収集装置140、160、180および200は、図8-9のカテーテル20、スタイレット100および/またはコネクター102と共に使用され得る。スリーブ148、キャップ194および/または重おもり214は、収集装置のいずれかと共に、あるいは別々に使用され得ると考えられる。
【0042】
本発明の叙上の記載から、当業者は改良、変更および修正を理解するだろう。そのような改良、変更および修正は、添付の特許請求の範囲によってカバーされることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13