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特許7203470二酸化炭素排出量管理装置、管理方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】二酸化炭素排出量管理装置、管理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20230101AFI20230105BHJP
【FI】
G06Q10/08 ZAB
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022105970
(22)【出願日】2022-06-30
【審査請求日】2022-09-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520465172
【氏名又は名称】株式会社Added
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100166442
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋雅
(72)【発明者】
【氏名】神垣 耕一
【審査官】後藤 昂彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-004331(JP,A)
【文献】特開2007-207140(JP,A)
【文献】特開2009-230740(JP,A)
【文献】特開2017-126227(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0276697(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送ルートを登録する輸送ルート登録手段と、
前記輸送ルートにおける二酸化炭素排出量算出方法を指定する算出方法指定手段と、
前記輸送ルートにおける輸送実績を登録する輸送実績登録手段と、
前記算出方法指定手段により指定された前記二酸化炭素排出量算出方法と前記輸送実績登録手段により登録された前記輸送実績とに基づいて、二酸化炭素排出量を算出する算出手段と、
前記輸送実績に対して、付加情報を付加する付加手段と、
前記付加情報に基づいて抽出された前記輸送実績の二酸化炭素排出量を出力する出力手段と、を備える
ことを特徴とする二酸化炭素排出量管理装置。
【請求項2】
前記出力手段は、二酸化炭素排出量に関する報告書を出力可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素排出量管理装置。
【請求項3】
前記輸送ルート登録手段により登録された前記輸送ルートを複数のユーザで共有可能である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の二酸化炭素排出量管理装置。
【請求項4】
前記二酸化炭素排出量算出方法は、燃料法、燃費法、改良トンキロ法、及び、従来トンキロ法を含み、
前記輸送実績登録手段は、前記輸送ルートにおいて指定された前記二酸化炭素排出量算出方法に応じた情報を、前記輸送実績として登録可能である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の二酸化炭素排出量管理装置。
【請求項5】
二酸化炭素排出量管理装置により実行される管理方法であって、
輸送ルートを登録し、
前記輸送ルートにおける二酸化炭素排出量算出方法を指定し、
前記輸送ルートにおける輸送実績を登録し、
指定された前記二酸化炭素排出量算出方法と登録された前記輸送実績とに基づいて、二酸化炭素排出量を算出し、
前記輸送実績に対して、付加情報を付加し、
前記付加情報に基づいて抽出された前記輸送実績の二酸化炭素排出量を出力する
ことを特徴とする管理方法。
【請求項6】
コンピュータを、
輸送ルートを登録する輸送ルート登録手段、
前記輸送ルートにおける二酸化炭素排出量算出方法を指定する算出方法指定手段、
前記輸送ルートにおける輸送実績を登録する輸送実績登録手段、
前記算出方法指定手段により指定された前記二酸化炭素排出量算出方法と前記輸送実績登録手段により登録された前記輸送実績とに基づいて、二酸化炭素排出量を算出する算出手段、
前記輸送実績に対して、付加情報を付加する付加手段、
前記付加情報に基づいて抽出された前記輸送実績の二酸化炭素排出量を出力する出力手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素排出量管理装置、管理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の異なる企業で排出される二酸化炭素の排出量を集計可能にする二酸化炭素排出量の自動集計システムが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案第3237670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物流の場面では、複数の事業者が関わり、各事業者が二酸化炭素の排出量を管理する必要があるが、特許文献1のシステムでは、物流の場面の二酸化炭素の排出量については考慮されていなかった。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたものであり、物流の場面において、好適に二酸化炭素の排出量を管理できる二酸化炭素排出量管理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の二酸化炭素排出量管理装置は、
輸送ルートを登録する輸送ルート登録手段と、
前記輸送ルートにおける二酸化炭素排出量算出方法を指定する算出方法指定手段と、
前記輸送ルートにおける輸送実績を登録する輸送実績登録手段と、
前記算出方法指定手段により指定された前記二酸化炭素排出量算出方法と前記輸送実績登録手段により登録された前記輸送実績とに基づいて、二酸化炭素排出量を算出する算出手段と、
前記輸送実績に対して、付加情報を付加する付加手段と、
前記付加情報に基づいて抽出された前記輸送実績の二酸化炭素排出量を出力する出力手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、好適に二酸化炭素の排出量を管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態における二酸化炭素排出量管理システムの構成例を示す図である。
図2】二酸化炭素排出量管理装置等のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】二酸化炭素排出量管理の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4】二酸化炭素排出量管理システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
図5】二酸化炭素排出量管理システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
図6】(A)~(C)は、二酸化炭素排出量管理システムにおけるデータの例を示す図である。
図7】二酸化炭素排出量管理システムにおける表示画面の一例を示す図である。
図8】二酸化炭素排出量管理システムにおける表示画面の一例を示す図である。
図9】二酸化炭素排出量管理システムにおける表示画面の一例を示す図である。
図10】二酸化炭素排出量管理システムにおける表示画面の一例を示す図である。
図11】二酸化炭素排出量管理システムにおける表示画面の一例を示す図である。
図12】従来のデータの流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る二酸化炭素排出量管理システム(CO2排出量管理システム)について図面を参照しながら説明する。本実施の形態では、二酸化炭素をCO2と表記する場合がある。
【0010】
物流事業者に輸送を依頼する荷主は行政に対してCO2排出量の定期報告書を提出する必要がある。従来、図12に示すように、荷主は物流事業者から輸送事業者からCO2排出量の情報の提供を受けて、行政へ提出する定期報告書を、行政が提供している支援ツールを活用し手作業で作成していた。また、輸送事業者は、荷主に提供するCO2排出量を手作業で集計していた。さらに輸送事業者は、他の輸送事業者に輸送を委託するケースもあり、その場合、委託先からCO2排出量の情報の提供を受ける必要があった。そして、委託先の輸送事業者もCO2排出量を手作業で集計していた。このように、CO2排出量の集計や定期報告書の作成に多大な労力を要していた。
【0011】
CO2排出量管理システム100は、このような課題を解決するためのシステムであり、輸送事業者のCO2排出量の集計や、荷主へのCO2排出量データの送信を自動化したシステムである。
【0012】
図1は、CO2排出量管理システム100の構成例を示す図である。CO2排出量管理システム100は、図1に示すように、CO2排出量管理サーバ10と、複数の荷主端末15と、複数の輸送事業者端末20と、から構成される。CO2排出量管理サーバ10と荷主端末15と輸送事業者端末20とは、ネットワーク30を介して接続される。
【0013】
CO2排出量管理サーバ10は、輸送事業者端末20から輸送事業者の輸送ルート、輸送実績等の情報を受信し、指定されたCO2排出量算出方法にて、CO2排出量算出を算出する。CO2排出量管理サーバ10は、算出したCO2排出量算出に関するデータを、要求に応じて輸送事業者端末20や荷主端末15に送信する。また、CO2排出量管理サーバ10は、CO2排出量算出量に関する定期報告書を作成し、荷主端末15に送信する機能を有する。
【0014】
荷主端末15は、CO2排出量管理システム100を導入し、利用する荷主事業者が管理する情報処理装置である。荷主端末15は、CO2排出量管理サーバ10からCO2排出量算出量に関するデータを受信し、受信したデータに対応する情報を表示する機能を有する。また、荷主端末15は、CO2排出量算出量に関する定期報告書をCO2排出量管理サーバ10から受信する。
【0015】
輸送事業者端末20は、CO2排出量管理システム100を導入し、利用する輸送事業者(物流事業者)が管理する情報処理装置である。輸送事業者端末20は、輸送事業者のスタッフ等のユーザから入力された輸送ルート、輸送実績に関するデータをCO2排出量管理サーバ10に送信する。また、輸送事業者端末20は、CO2排出量管理サーバ10からCO2排出量算出に関するデータを受信し、受信したデータに対応する情報を表示する機能を有する。
【0016】
ネットワーク30は、例えば、インターネット、移動体通信網、VPN(Virtual Private Network)、専用線といった各種の情報を伝送可能な通信ネットワークである。
【0017】
このように、CO2排出量管理システム100によれば、輸送事業者のCO2排出量を算出、集計し、算出したCO2排出量算出量に関するデータを荷主端末15や輸送事業者端末20により参照可能である。さらに、CO2排出量管理システム100は、CO2排出量算出量に関する定期報告書を作成し、荷主端末15に送信する機能を有する。詳しくは後述する。
【0018】
図1に示すように、この実施の形態では、複数の荷主、複数の輸送事業者間でCO2排出量管理システム100を利用することを想定している。そのため、図1に示すCO2排出量管理システム100においては、複数の荷主端末15と、複数の輸送事業者端末20と、がネットワーク30を介してCO2排出量管理サーバ10とに接続されている。なお、図1では、2つの荷主端末15、3つの輸送事業者端末20が示されているが一例であり、これらの数は荷主、輸送事業者の数に応じて任意でよい。
【0019】
CO2排出量管理サーバ10、荷主端末15及び輸送事業者端末20は、パーソナルコピュータ、スマートフォン、タブレット端末等の情報処理装置で構成される。図2は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、情報処理装置は、例えば、ディスプレイ40と、入力デバイス41と、通信インタフェース42と、CPU(Central Processing Unit)43と、ROM(Read Only Memory)44と、RAM(Read Only Memory)45と、補助記憶装置46と、を備える。
【0020】
ディスプレイ40は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスを含んで構成される。ディスプレイ40は、CPU43の制御の下、ユーザ操作に応じた各種の画面等を表示する。
【0021】
入力デバイス41は、キーボード、タッチパネル、マウス等により構成され、ユーザからの操作入力を受け付け、受け付けた操作に係る信号をCPU43に送出する。
【0022】
通信インタフェース42は、上述したネットワーク30を介して通信するためのハードウェアであり、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)モジュールである。
【0023】
CPU43は、情報処理装置を統括的に制御する。ROM44は、CPU43が実行する動作プログラムや各種のデータを記憶する。RAM45は、CPU43の作業領域として使用される。
【0024】
補助記憶装置46は、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリで構成される。読み書き可能な不揮発性の半導体メモリは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ等である。補助記憶装置46は、各種データやアプリケーションプログラム(特にCO2排出量管理システムに関するデータやアプリケーションプログラム)を記憶する。
【0025】
なお、図2に示した情報処理装置の構成は一例であり、この実施の形態のCO2排出量管理サーバ10、荷主端末15及び輸送事業者端末20として機能できれば図2に示すものに限定されない。
【0026】
図3は、CO2排出量管理サーバ10の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。CO2排出量管理サーバ10は、機能構成として、輸送ルート登録部101と、算出方法指定部102と、輸送実績登録部103と、付加部104と、算出部105と、出力部106と、データベース(DB)107と、を備える。情報処理装置のCPU43がROM44または補助記憶装置46に記憶されるプログラムを読み込むことで、CO2排出量管理サーバ10として機能し、これらの機能部の機能を実現する。
【0027】
輸送ルート登録部101は、輸送事業者端末20から輸送ルートに関する情報を受信し、DB107に登録する。
【0028】
算出方法指定部102は、輸送ルートにおけるCO2排出量算出方法の指定を輸送事業者端末20から受け付け、輸送ルートに対応付けてDB107に登録する。
【0029】
輸送実績登録部103は、輸送事業者端末20から所定の輸送ルートにける輸送実績の情報を受信し、DB107に登録する。
【0030】
付加部104は、輸送実績の登録の際に指定された付加情報(タグ)を輸送実績に付加する。
【0031】
算出部105は、算出方法指定部102により指定されたCO2排出量算出方法と輸送実績登録部103により登録された輸送実績とに基づいて、CO2素排出量を算出する。
【0032】
出力部106は、付加情報に基づいてDB107により抽出された輸送実績のCO2排出量に関する情報を荷主端末15や輸送事業者端末20に出力する。また、出力部106は、CO2排出量に関する定期報告書を作成し出力可能である。
【0033】
DB107は、補助記憶装置46から構成され、輸送ルート、CO2排出量算出方法、輸送実績、算出されたCO2排出量に関する情報、付加情報等を記憶する。DB107は、CO2排出量管理サーバ10に接続された外部の記憶装置から構成されてもよい。
【0034】
なお、情報処理装置をCO2排出量管理サーバ10として機能させるプログラムは、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)、光磁気ディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することも可能である。
【0035】
続いて、CO2排出量管理システム100の動作について説明する。先ず、輸送ルートの登録から輸送実績の登録までの処理の流れを説明する。図4は、CO2排出量管理システム100における輸送ルート登録から輸送実績登録までの処理の流れを示すシーケンス図である。輸送事業者のスタッフといった輸送事業者側のユーザが輸送事業者端末20により輸送ルートの登録操作をすると、輸送ルート登録リクエスト(プロジェクト登録リクエスト)がCO2排出量管理サーバ10に送信される(ステップS11)。この実施の形態では、一の輸送ルートをプロジェクトと呼ぶ。
【0036】
図7は、輸送事業者端末20の表示画面(ディスプレイ40)に表示されるプロジェクト(輸送ルート)登録画面の一例を示す図である。プロジェクト登録画面では、「プロジェクト名」、「荷主名」、「輸送事業者名」を入力可能になっている。また、CO2排出量計算式(燃料法、燃費法、改良トンキロ法、従来トンキロ法)及び輸送モード(トラック、鉄道、船舶、航空)を選択可能となっている。そして、選択された輸送モード(住所入力有無の項目)に応じて「出発地」及び「目的地」、「出発駅」及び「目的駅」、「出発港」及び「目的港」、または、「出発空港」及び「目的空港」を入力できるようになっている。さらに、任意の「コメント」を入力可能となっている。ユーザが、必要項目を入力した後に、登録のボタンを操作することで、入力された情報を含むプロジェクト登録リクエストがCO2排出量管理サーバ10に送信される。なお、図7に示す項目以外の入力項目を設けてもよい。例えば、荷主名は発荷主名と着荷主名を入力できるようにしてもよいし、輸送ルートの距離を入力できるようにしてもよい。プロジェクト登録画面は、ウェブブラウザ上に表示されるようにしてもよいし、専用アプリケーションにより表示されるようにしてもよい。他の画面についても同様である。
【0037】
ここで、燃料法とは、「CO2排出量=燃料使用量×係数」でCO2排出量を算出する算出手法である。燃費法は、「CO2排出量=輸送距離/燃費×係数」でCO2排出量を算出する算出手法である。改良トンキロ法は、「CO2排出量=輸送量(トンキロ)×改良トンキロ法CO2排出原単位×係数」でCO2排出量を算出する算出手法である。従来トンキロ法は、「CO2排出量=輸送量(トンキロ)×従来トンキロ法CO2排出原単位」でCO2排出量を算出する算出手法である。各係数は、燃料種別により定められた周知の係数を用いればよい(例えば「ロジスティクス分野におけるCO2排出量算定方法共同ガイドラインVer.3.1」参照)。
【0038】
CO2排出量管理サーバ10は、プロジェクト登録リクエストを受信すると、DB107にプロジェクトデータを登録する(ステップS12)。プロジェクトデータは、プロジェクト登録リクエストに含まれる情報に対応しており、図6(A)に示すように、「プロジェクト名(ルート名)」、「荷主名」、「輸送事業者名」、「CO2排出量計算式、輸送モード」、「出発地」、「目的地」、「距離」等から構成される。なお、プロジェクトデータに他の情報が含まれていてもよい。「距離」は「出発地」、「目的地」及び地図データに基づいて自動的に算出するようにしてもよいし、輸送事業者端末20で入力された距離を採用してもよい。
【0039】
また、輸送事業者側のユーザが輸送事業者端末20により輸送実績の登録操作をすると、輸送実績登録リクエストがCO2排出量管理サーバ10に送信される(ステップS21)。
【0040】
図8は、輸送事業者端末20の表示画面に表示される輸送実績登録画面の一例を示す図である。輸送実績登録画面は、プロジェクトを選択して該プロジェクトの輸送ルートにおける輸送実績を登録するための画面である。輸送実績登録画面は、プロジェクトの内容401(図8ではプロジェクトAの内容)が表示され、「輸送開始日」、「輸送終了日」を入力可能になっている。また、「燃料」を選択して「燃料使用量」を入力可能になっている。なお、図8に示すプロジェクトAは、燃料法なので、「燃料使用量」を入力可能になっているが、入力項目はCO2排出量計算式に応じて変化する。図7に示すCO2排出量計算式、輸送モードの選択表示における「入力値」がその入力項目(燃料消費量、燃費、積載量、貨物重量等)となる。即ち、CO2排出量計算式に応じてCO2排出量の算出に必要な項目を入力させるようにすればよい。輸送事業者端末20は、輸送実績登録画面において、プロジェクト登録時に選択されたCO2排出量計算式、輸送モードに対応した入力項目を表示させる。これにより、選択されたCO2排出量計算式、輸送モードに対応した項目を輸送実績として登録でき、好適にCO2排出量を算出することができる。
【0041】
また、この実施の形態では、ユーザは、輸送実績に対して付加情報としてタグを付加することができるようになっている。タグは任意の文字情報である「タグ名」と数値情報である「タグの値」とを含み、任意の数タグを追加することができるようになっている。タグの例としては、荷主名、商品名、商品ナンバー、輸送ルート名等が考えられる。タグは数値情報を含まなくてもよい。このような付加情報を輸送実績に付加可能なので、輸送実績を付加情報により識別でき、検索や抽出することができる。また、任意のタグを設定できるので、必要に応じた輸送実績の検索、抽出が可能になる。ユーザが、必要項目を入力した後に、登録のボタンを操作することで、入力された情報を含む輸送実績登録リクエストがCO2排出量管理サーバ10に送信される。なお、図8に示す項目以外の入力項目を設けてもよい。
【0042】
CO2排出量管理サーバ10は、輸送実績登録リクエストを受信すると、プロジェクトデータのCO2排出量計算式、距離、輸送実績登録リクエストに含まれる燃料及び燃料使用量等の情報(輸送事業者端末20における入力内容)に基づいてCO2排出量を算出する(ステップS22)。そして、CO2排出量管理サーバ10は、DB107に輸送実績データを登録する(ステップS23)。輸送実績データは、プロジェクト登録リクエストに含まれる情報及びステップS22にて算出したCO2排出量に対応しており、図6(B)に示すように、「プロジェクト名」、「輸送開始日」、「輸送終了日」、「燃料」、「燃料使用量」、「CO2排出量」及び任意の数の「タグ」(図6(B)では「タグ1」、「タグ2」)等から構成される。なお、輸送実績データに他の情報が含まれていてもよい。
【0043】
続いて、輸送実績の参照からCO2排出量データ出力、定期報告書出力までの処理の流れを説明する。図5は、CO2排出量管理システム100における輸送実績の参照からCO2排出量データ出力、定期報告書出力までの処理の流れを示すシーケンス図である。輸送事業者のスタッフといった輸送事業者側のユーザが輸送事業者端末20により輸送実績の参照操作をすると、輸送実績参照リクエストがCO2排出量管理サーバ10に送信される(ステップS31)。この実施の形態では、輸送実績(CO2排出量)を、プロジェクト、及び/または、タグと、期間と、を指定して参照できるようになっている。輸送実績参照リクエストは、図6(C)に示すように、「プロジェクト、及び/または、タグ」、「期間(開始日付、終了日付)」等を含む。なお、期間は指定せずに(あるいは全期間指定で)輸送実績を参照することもできる。
【0044】
CO2排出量管理サーバ10は、輸送実績参照リクエストを受信すると、輸送実績参照リクエストに含まれる「プロジェクト、及び/または、タグ」に対応した輸送実績データのうち、「期間」に含まれるデータをDB107から抽出し(ステップS32)、輸送事業者端末20に送信する(ステップS33)。
【0045】
図9は、輸送事業者端末20の表示画面に表示される輸送実績一覧画面の一例を示す図である。輸送実績一覧画面は、プロジェクトを選択して該プロジェクトの輸送ルートにおける輸送実績の一覧を参照するための画面である。例えば、図示せぬプロジェクト一覧画面において、一のプロジェクトが選択されると、輸送事業者端末20から該プロジェクトを指定した輸送実績参照リクエストがCO2排出量管理サーバ10に送信され、輸送事業者端末20は該リクエストに応じた輸送実績データを受信する。そして、輸送事業者端末20の表示画面は指定したプロジェクトの輸送実績一覧画面が表示される。
【0046】
図9に示すように、輸送実績一覧画面には、プロジェクトの内容402(図9ではプロジェクトAの内容)が表示され、輸送実績の一覧403が表示される。なお、輸送実績の一覧403に表示される項目は一例であり、任意の項目が表示されてもよく、ユーザが表示項目を設定できるようにしてもよい。輸送実績一覧画面では、タグ(タグ名、タグの値)や日付(開始日付、終了日付)により、輸送実績を検索(ソート)できるようになっている。図9は「タグa:1」のタグ404が追加されていることを示している。ユーザは、タグや日付を指定して検索のボタンを操作することで、輸送実績を検索することができる。タグや日付を指定して検索のボタンが操作されると、そのタグや日付(期間)に応じた輸送実績参照リクエストがCO2排出量管理サーバ10に送信される。CO2排出量管理サーバ10は、輸送実績参照リクエストを受信すると、輸送実績参照リクエストに含まれる検索内容に応じた輸送実績をDB107から抽出して輸送事業者端末20に送信する。また、輸送実績一覧画面において、ユーザが、輸送実績追加のボタンを操作すると、図8に示す輸送実績登録画面に遷移する。
【0047】
図10は、輸送事業者端末20の表示画面に表示される輸送実績の検索画面の一例を示す図である。検索画面では、プロジェクト名、タグ(タグ名、タグの値)、(開始日付、終了日付)で輸送実績を検索できるようになっている。図10は「タグa:1」のタグ405が追加されていることを示している。ユーザは、プロジェクト名、タグ、日付を指定して検索のボタンを操作することで、輸送実績を検索することができる。検索はプロジェクト名のみ、タグのみ、プロジェクト名及びタグにより可能となっている。プロジェクト名、タグ、日付を指定して検索のボタンが操作されると、そのプロジェクト名、タグ、日付(期間)に応じた輸送実績参照リクエストがCO2排出量管理サーバ10に送信される。CO2排出量管理サーバ10は、輸送実績参照リクエストを受信すると、輸送実績参照リクエストに含まれる検索内容に応じた輸送実績をDB107から抽出して輸送事業者端末20に送信する。図10に示す検索画面では、「タグa:1」のタグ405による輸送実績の検索結果406が表示されていることを示している。なお、検索結果406に表示される項目は一例であり、任意の項目が表示されてもよく、ユーザが表示項目を設定できるようにしてもよい。
【0048】
図5に戻り、輸送事業者側のユーザが輸送事業者端末20により、一または複数の輸送実績に関するCO2排出量データの出力操作をすると、CO2排出量出力リクエストがCO2排出量管理サーバ10に送信される(ステップS34)。CO2排出量管理サーバ10は、CO2排出量出力リクエストを受信すると、対応する輸送実績のCO2排出量データを指定されたグラフまたはCSV(Comma-Separated Values)形式で、輸送事業者端末20に送信する。
【0049】
ユーザが、図10に示す検索結果406から、「選択」の項目のチェックボックスにより所定の輸送実績を選択してグラフ出力のボタンを操作すると、選択された輸送実績のグラフを出力する旨を示すCO2排出量出力リクエストがCO2排出量管理サーバ10に送信される。CO2排出量管理サーバ10は、CO2排出量出力リクエストを受信すると、CO2排出量出力リクエストに応じた輸送実績のCO2排出量に関するグラフを生成して輸送事業者端末20に送信する。CO2排出量出力リクエストには、期間の指定を含ませるようにしてもよい。
【0050】
ユーザが、図10に示す検索結果406から、「選択」の項目のチェックボックスにより所定の輸送実績を選択してCSV出力のボタンを操作すると、選択された輸送実績のCSVデータを出力する旨を示すCO2排出量出力リクエストがCO2排出量管理サーバ10に送信される。CO2排出量管理サーバ10は、CO2排出量出力リクエストを受信すると、CO2排出量出力リクエストに応じた輸送実績のCO2排出量に関するCSVデータを生成して輸送事業者端末20に送信する。CO2排出量出力リクエストには、期間の指定を含ませるようにしてもよい。ここでは、CO2排出量についてグラフまたはCSVデータを出力する例を示しているが、他のデータ型式でCO2排出量のデータを出力するようにしてもよいし、グラフの種類を選択できるようにしてもよい。
【0051】
また、輸送事業者側のユーザが輸送事業者端末20により、一または複数の輸送実績に関する定期報告書の出力操作をすると、CO2排出量定期報告書出力リクエストがCO2排出量管理サーバ10に送信される(ステップS41)。CO2排出量定期報告書出力リクエストには、定期報告書の送信先となる荷主を指定することができる。CO2排出量管理サーバ10は、CO2排出量定期報告書出力リクエストを受信すると、対応する輸送実績のCO2排出量データについての行政提出用形式の定期報告書を作成する(ステップS42)。
【0052】
そして、CO2排出量管理サーバ10は、作成した定期報告書を輸送事業者端末20及び指定された荷主の荷主端末15に送信する(ステップS43)。
【0053】
ユーザが、図10に示す検索結果406から、「選択」の項目のチェックボックスにより所定の輸送実績を選択して定期報告書のボタンを操作すると、選択された輸送実績の定期報告集を出力する旨を示すCO2排出量定期報告書出力リクエストがCO2排出量管理サーバ10に送信される。CO2排出量管理サーバ10は、CO2排出量定期報告書出力リクエストを受信すると、CO2排出量定期報告書出力リクエストに応じた輸送実績のCO2排出量に関する定期報告書を生成して輸送事業者端末20及び指定された荷主の荷主端末15に送信する。CO2排出量定期報告書出力リクエストには、期間の指定を含ませるようにしてもよい。
【0054】
図11は、荷主端末15及び輸送事業者端末20の表示画面に表示される定期報告書の画面の一例を示す図である。図11に示すように、CO2排出量に関する定期報告書410が表示される。この定期報告書410は、ユーザが、XML(Extensible Markup Language)ダウンロードのボタンを操作することで、荷主端末15や輸送事業者端末20に定期報告集のXMLデータをダウンロードすることができ、行政に提出することができる。
【0055】
これにより、荷主側では、特別な処理をすることなく定期報告書を取得することができる。なお、定期報告書は、荷主端末15のみに送信されるようにしてもよいし、輸送事業者端末20に送信された後、確認作業を経て輸送事業者端末20またはCO2排出量管理サーバ10から荷主端末15に送信されるようにしてもよい。また、定期報告書の対象となる輸送実績、定期報告書の送信先、送信タイミングを予め設定しておき、定期報告書が自動で送信先に送信されるようにしてもよい。
【0056】
なお本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形や応用が可能であり、更に特徴を追加してもよい。例えば、上記実施の形態に示した処理内容や構成は、一例であって、上記実施の形態と同様の作用、効果を奏することができれば任意でよい。また、上記実施の形態で説明した構成は、その全てが必須構成ではなく、その一部が欠けていてもよいし、異なる構成を置換、組合せ可能である。
【0057】
上記実施の形態では、図7図8に示す登録画面を介して輸送ルートや輸送実績を登録するようになっていたが、予め定められたコマンドや文字列で必要項目を指定したリクエストを送信し、輸送ルートや輸送実績を登録できるようにしてもよい。このようにすることで、大量のデータ送信が容易になる。同様に、他のリクエストもコマンド化してもよい。
【0058】
車両が備える自動診断システム(例えば、OBD(On-Board Diagnostic))から消費燃料、走行距離を自動取得して、該データに基づき輸送実績を入力するようにしてもよい。
【0059】
輸送ルートや輸送実績を登録して、CO2の排出量のシミュレーションをできるようにしてもよい。
【0060】
他の輸送事業者や荷主等にアクセス権限を設定して、他の輸送事業者や荷主等の他のユーザに輸送ルート情報、輸送実績情報を共有できるようにしてもよい。情報の共有は、プロジェクト単位、期間単位、タグ単位等でできるようにしてもよい。この場合、共有先の輸送事業者の輸送事業者端末20や、共有先の荷主の荷主端末15から、輸送実績の参照、定期報告書の取得等をできるようにしてもよい。このようにすることで、共有者がCO2排出量を参照したり、定期報告書を取得できるので、CO2排出量管理システムの利便性が向上する。
【符号の説明】
【0061】
10 CO2排出量管理サーバ
15 荷主端末
20 輸送事業者端末
30 ネットワーク
100 CO2排出量管理システム
【要約】
【課題】物流の場面において、好適に二酸化炭素の排出量を管理する。
【解決手段】輸送ルート登録部101は、輸送ルートに関する情報を受信し、DB107に登録する。算出方法指定部102は、輸送ルートにおけるCO2排出量算出方法の指定を受け付け、輸送ルートに対応付けて登録する。輸送実績登録部103は、輸送実績の情報を受信し、DB107に登録する。付加部104は、輸送実績の登録の際に指定された付加情報を輸送実績に付加する。算出部105は、CO2素排出量を算出する。出力部106は、付加情報に基づいてDB107により抽出された輸送実績の二酸化炭素排出量に関する情報を出力する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12