IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊大株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-液体処理装置 図1
  • 特許-液体処理装置 図2
  • 特許-液体処理装置 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】液体処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20230101AFI20230105BHJP
【FI】
C02F1/00 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022151447
(22)【出願日】2022-09-22
【審査請求日】2022-11-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522376586
【氏名又は名称】豊大株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(74)【代理人】
【識別番号】100225347
【弁理士】
【氏名又は名称】鬼澤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】荒川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】松岡 秀政
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-100746(JP,A)
【文献】特開2013-86034(JP,A)
【文献】特表2020-508212(JP,A)
【文献】特開2021-58832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
C02F 1/44
E03B 1/00
E03C 1/00- 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を処理する液体処理部と、
前記液体処理部から送られる液体を液体利用部へ送る第1輸送路と、
前記第1輸送路に接続され、かつ、前記第1輸送路の液体を、再度、前記液体処理部へ送る第2輸送路と、
前記第1輸送路と前記第2輸送路とを接続及び遮断するバルブと、
を有する液体処理装置において、
前記液体処理部から送られる液体の流れ方向で前記液体処理部と前記第1輸送路との間に配置され、前記液体処理部から送られる液体を貯留する第1タンクが設けられ、
前記バルブは、前記第1輸送路の第1圧力、及び前記第2輸送路の第2圧力を受けて作動する弁体を備え、
前記バルブは、前記第1圧力が前記第2圧力以下であると、前記第1輸送路と前記第2輸送路とを遮断し、
前記バルブは、前記第1圧力が前記第2圧力を超えると、前記第1輸送路と前記第2輸送路とを接続する、液体処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の液体処理装置において、
前記バルブが前記第1輸送路と前記第2輸送路とを遮断すると、前記第2輸送路の液体が前記第1輸送路へ送られることが阻止され、
前記バルブが前記第1輸送路と前記第2輸送路とを接続すると、前記第1輸送路の液体が前記第2輸送路へ送られることが許容される、液体処理装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の液体処理装置において、
重力の作用方向で前記第2輸送路より上に配置され、かつ、前記液体処理部で処理する前の液体を貯留する第2タンクと、
前記第2タンクの液体を前記第2輸送路へ送る第3輸送路と、
が更に設けられている、液体処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の液体処理装置において、
前記第2輸送路と前記液体処理部との間に設けられ、かつ、前記第2輸送路の液体を吸い込んで前記液体処理部へ送る第1ポンプと、
前記第1ポンプと前記液体処理部との間に配置され、かつ、前記第1ポンプから前記液体処理部へ送られる液体の流量を調整する流量調整バルブと、
が更に設けられている、液体処理装置。
【請求項5】
請求項4記載の液体処理装置において、
前記第3輸送路と前記液体利用部とを接続する第4輸送路と、
前記第4輸送路に設けられ、かつ、前記第1輸送路の液体を吸い込んで前記液体利用部へ送る第2ポンプと、
が更に設けられている、液体処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の液体処理装置において、
前記第1タンク内の液位を検出する液位検出部と、
前記液位検出部で検出される液位に基づいて、前記第2ポンプの駆動及び停止を制御する制御部と、
を更に備えている、液体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体を処理する液体処理部を備えた液体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を処理する液体処理部を備えた液体処理装置の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された液体処理装置は、具体的には水処理システムである。この水処理システムは、原水を溜める一次貯水槽と、一次貯水槽との間で原水を循環させて浄化する水浄化装置(液体処理部)と、水浄化装置で浄化された浄水を溜める二次貯水槽と、洗浄配管と、切替部と、を備えている。また、水浄化装置は、原水を含む水を循環させる循環配管と、循環配管に接続される複数の並列配管と、並列配管の各々に設置され、一次貯水槽から原水を汲み出して送る複数の送水ポンプと、洗浄配管と並列になるように循環配管に設置され、原水をろ過するろ過槽と、を備えている。二次貯水槽から、各住宅(液体利用部)へ浄水が供給される。
【0003】
さらに、切替部は、ろ過槽で生成されたろ過水が一次貯水槽に向かうか、ろ過槽で生成されたろ過水が二次貯水槽に向かうか、または、洗浄配管内を通過した水がろ過槽に向かうように流路を切り替える構成である。さらに、切替部は第1切替部であり、第1切替部の他に第2切替部を備えている。第2切替部は、複数の並列配管とろ過槽との間で循環配管に少なくとも一部が設置されている。第2切替部は、複数の送水ポンプによって送られた水が洗浄配管を介さずに前記ろ過槽へ向かうか、または、前記複数の送水ポンプによって送られた水が洗浄配管を介してろ過槽へ向かうように流路を切り替える構成である。第1切替部は、第1二方弁、第2二方弁及び第3二方弁を含み、第1二方弁、第2二方弁及び第3二方弁は、電磁弁である。そして、第1切替部の切り替え動作を行う制御部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-100746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1に記載されている液体処理装置は、液体処理部で処理された液体を、再度、液体処理部へ送る経路を開閉するバルブが、複数の電磁弁で構成されているため、故障する可能性がある、という課題を認識した。
【0006】
本開示の目的は、液体処理部で処理された液体を、再度、液体処理部へ送る経路を開閉するバルブの故障を抑制可能な液体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、液体を処理する液体処理部と、前記液体処理部から送られる液体を液体利用部へ送る第1輸送路と、前記第1輸送路に接続され、かつ、前記第1輸送路の液体を、再度、前記液体処理部へ送る第2輸送路と、前記第1輸送路と前記第2輸送路とを接続及び遮断するバルブと、を有する液体処理装置において、前記液体処理部から送られる液体の流れ方向で前記液体処理部と前記第1輸送路との間に配置され、前記液体処理部から送られる液体を貯留する第1タンクが設けられ、前記バルブは、前記第1輸送路の第1圧力、及び前記第2輸送路の第2圧力を受けて作動する弁体を備え、前記バルブは、前記第1圧力が前記第2圧力以下であると、前記第1輸送路と前記第2輸送路とを遮断し、前記バルブは、前記第1圧力が前記第2圧力を超えると、前記第1輸送路と前記第2輸送路とを接続する、液体処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、液体処理部で処理された液体を、再度、液体処理部へ送る経路を開閉するバルブは、弁体を作動させるアクチュエータを設けずに済む。したがって、バルブの故障を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】液体処理装置の一例である水処理装置の構成であり、チャッキバルブが閉じられた図である。
図2】水処理装置の構成であり、チャッキバルブが開かれた図である。
図3】水処理装置の制御系統を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[概要]
以下、液体処理装置に含まれる液体処理装置に関し、いくつかの実施形態を図面に基づいて説明する。水処装置を説明する図において、同一の構成には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。図1及び図2に示す水処理装置10は、水利用部11へ送る前の水を処理、輸送、及び貯留する機能を有する。水処理装置10は、水利用部11より低位置に設けられている。図1には、水処理装置10が地下に設けられ、水利用部11が地上に設けられている例が示されている。なお、水処理装置10は、全てが地中に埋められているのではなく、主として、地下に設けられた空間に配置されている。また、地上には、サブタンク12及び輸送管13が設けられている。輸送管13内を流れる水は、サブタンク12へ送られる。サブタンク12は、金属製、硬質合成樹脂製、コンクリート製の何れでもよい。
【0011】
水利用部11は、人の居住施設を含み、水利用部11では、水が、飲食、清掃、入浴等に利用される。水処理装置10は、チャッキバルブ(逆止弁)14、ラインポンプ15、水処理部16、メインタンク17、供給ポンプ18を有する。また、メインタンク17の排水口19と、チャッキバルブ14の入口20とを接続する輸送管21が設けられている。さらに、チャッキバルブ14の出口22と、ラインポンプ15の吸込口23とを接続する輸送管24が設けられている。輸送管21,24は、共に略水平に配置されている。鉛直方向において、輸送管21,24は、同じ高さに設けられている。鉛直方向は、重力の作用方向、つまり、高さ方向を意味する。鉛直方向は、図1及び図2における上下方向である。
【0012】
さらに、サブタンク12の排水口25に、輸送管26の入口が接続され、輸送管26の出口が、輸送管24に接続されている。鉛直方向において、輸送管24は、サブタンク12の排水口25より下に設けられている。輸送管26は、鉛直方向に沿って配置されている。輸送管26の出口は、チャッキバルブ14とラインポンプ15との間で輸送管24に接続されている。サブタンク12の水は、輸送管26内を通って輸送管24内へ送られる。
【0013】
チャッキバルブ14は、輸送管21と輸送管24との間における水の流れ方向を一方向に限定する機能を有する。具体的に説明すると、チャッキバルブ14は、輸送管21内の水が輸送管24内へ流れることを許容する機能と、輸送管24内の水が輸送管21内へ流れ込むことを阻止する機能と、を有する。チャッキバルブ14は、支持軸40を支点として作動する弁体41を有する。弁体41は、輸送管21内の水圧P1、及び輸送管24内の水圧P2を受けて、ポートを開閉する板部材である。チャッキバルブ14は、輸送管21内の水圧P1が、輸送管24内の水圧P2を超えていると、輸送管21と輸送管24とを接続する。つまり、チャッキバルブ14が開き、輸送管21内の水が、輸送管24へ流れることを許容する。これに対して、チャッキバルブ14は、輸送管21内の水圧P1が、輸送管24内の水圧P2以下であると、輸送管21と輸送管24とを遮断する。つまり、チャッキバルブ14が閉じられ、輸送管24内の水が輸送管21内へ流れ込むことを阻止する。
【0014】
輸送管21は、水の流れ方向で何れの位置においても、流路断面積が同じである。輸送管24は、水の流れ方向で何れの位置においても、流路断面積が同じである。輸送管26は、水の流れ方向の何れの位置においても、流路断面積が同じである。また、輸送管21の流路断面積は、輸送管24の流路断面積と同じである。さらに、輸送管24の流路断面積は、輸送管26の流路断面積より広い。
【0015】
ラインポンプ15は、容積ポンプまたは非容積ポンプの何れでもよい。ラインポンプ15は、駆動源としての電動モーターを有する。ラインポンプ15は、吸込口23及び吐出口27を有する。ラインポンプ15が駆動されると、輸送管24内の水が吸込口23へ吸い込まれ、かつ、吐出口27から吐出される。ラインポンプ15の吐出口27と、水処理部16の入口28とを接続する輸送管29が設けられている。また、流量調整バルブ30が、輸送管29に設けられている。流量調整バルブ30は、ラインポンプ15から輸送管29を介して水処理部16へ送られる水の流量を調整するためのものである。流量調整バルブ30の構造は、ニードルバルブ、バタフライバルブの何れでもよい。また、本開示では、作業者が手動で流量調整バルブ30を操作する例を説明する。ラインポンプ15を駆動する電動モーターの回転速度が一定であると、流量調整バルブ30を操作することにより、輸送管29内の流路断面積が変更され、ラインポンプ15から輸送管29内へ吐出される水の流量を調整できる。
【0016】
輸送管29内の流路断面積が減少されると、輸送管29内の水圧が上昇する。輸送管29内の水圧が上昇すると、ラインポンプ15から吐出される水の流量が減少し、輸送管24内の水圧P2が上昇する。これに対して、輸送管29内の流路断面積が増加されると、輸送管29内の水圧が低下する。輸送管29内の水圧が低下すると、ラインポンプ15から吐出される水の流量が増加し、輸送管24内の水圧P2が低下する。つまり、流量調整バルブ30は、輸送管24内の水圧P2を間接的に調整する役割を果たす。また、流量調整バルブ30には、圧力計31が設けられている。圧力計31は、輸送管29内において、ラインポンプ15の吐出口27と流量調整バルブ30との間における水圧を検出して表示する。作業者は、圧力計31の水圧表示を目視できる。
【0017】
水処理部16は、水を処理するために設けられている。水処理部16は、水の入口28及び出口42と、容器と、容器内に収容された水処理材と、を有する。水処理材としては、例えば、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有する天然鉱石を含むセラミックを用いることができる。入口28から水処理部16に進入した水が、天然鉱石を含むセラミックと接触することにより、天然鉱石が含有するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属が、水に溶出し得る。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、水素よりイオン化傾向が高い。このように、水処理部16の出口42から出る水は、水処理部16へ入る前の水よりもイオン化傾向が高められる。
【0018】
水処理部16の出口42と、メインタンク17の入口32とを接続する輸送管33が設けられている。水処理部16で処理された水は、輸送管33内を通ってメインタンク17へ貯留される。メインタンク17は、一例として、金属製、合成樹脂製、コンクリート製の何れでもよい。鉛直方向において、メインタンク17の入口32は、メインタンク17の排水口19より上に配置されている。輸送管21内はメインタンク17内につながっている。
【0019】
輸送管34が輸送管21へ接続されている。輸送管34は、輸送管21内を流れる水の一部を水利用部11へ送るものであり、輸送管34は、輸送管21から分岐されている。供給ポンプ18の吸込口37は、輸送管34に接続されている。供給ポンプ18の吐出口38は、輸送管39に接続されている。輸送管39は、水利用部11へ接続される。供給ポンプ18は、容積ポンプまたは非容積ポンプの何れでもよく、供給ポンプ18は、駆動源としての電動モーターを有する。
【0020】
輸送管34,39は、鉛直方向に沿って配置されている。輸送管34,39及び供給ポンプ18は、鉛直方向で輸送管21より上に配置されている。供給ポンプ18が停止されていると、輸送管21内の水圧P1と、メインタンク17内の水圧とが同じになる。さらに、メインタンク17に貯留される水の上面W1の位置、つまり、水位H1を検出して信号を出力する水位センサー35が設けられている。水位H1は、鉛直方向において、メインタンク17の底面から上面W1までの高さである。
【0021】
図3は、水処理装置10を模式的に示すブロック図である。水処理装置10は、制御部(制御盤)36を有する。制御部36は、入力ポート、出力ポート、演算処理装置を有するマイクロコンピュータであり、制御部36は記憶回路44に接続されている。記憶回路44には、ラインポンプ15及び供給ポンプ18を制御する情報が、予め記憶されている。制御部36は、水位センサー35から出力される信号を処理し、かつ、記憶回路44に記憶されている情報に基づいて、ラインポンプ15及び供給ポンプ18を制御する機能を備えている。
【0022】
[水処理例]
水処理装置10における水処理例を説明する。図示しないバルブから排出された水、具体的には新水は、輸送管13内を通ってサブタンク12内へ貯留される。新水とは、水処理部16で処理されていない水を意味する。サブタンク12内の水は、重力により輸送管26内を通って輸送管24内へ送られる。
【0023】
一方、メインタンク17内の貯水量が所定量以下である、つまり、水位H1が所定高さ未満であると、供給ポンプ18は停止されている。また、メインタンク17内へ貯留される水は、位置エネルギーを有する。メインタンク17に接続されている輸送管21内の水圧は、水位H1、及びメインタンク17内の平面断面積に応じて定まる。メインタンク17内の平面断面積は、メインタンク17の水平方向の断面内における水の貯留面積である。また、サブタンク12内へ貯留された水は、位置エネルギーを有する。輸送管24内の水圧P2は、輸送管24から排水口25までの高さH2、輸送管26内の流路断面積、輸送管24内からラインポンプ15を介して輸送管29へ吐出される水の流量等に応じて定まる。
【0024】
そして、輸送管21内の水圧P1が、輸送管24内の水圧P2以下であると、チャッキバルブ14が閉じられており、輸送管24内の水が輸送管21内へ流れ込むことが阻止される。また、メインタンク17内の水が、輸送管21を通って輸送管24内へ送られることも無い。ラインポンプ15は、常時、駆動されており、輸送管24内の水は、輸送管29内へ送られる。輸送管29内へ送られた水は、水処理部16で所定の処理が施された後、輸送管33内へ吐出される。輸送管33内の水圧は、輸送管29内の水圧より低い。輸送管33内を流れる水は、メインタンク17へ送られる。
【0025】
メインタンク17へ貯留される水の量が増加することに伴い、輸送管21内の水圧P1が上昇する。そして、輸送管21内の水圧P1が、輸送管24内の水圧P2を超えると、チャッキバルブ14が開き、メインタンク17内の水は、輸送管21内を通って輸送管24内へ送られる。このように、チャッキバルブ14が開いていると、サブタンク12から輸送管24内へ送られた水は、ラインポンプ15、輸送管29、水処理部16、輸送管33、メインタンク17、輸送管21、輸送管24を含む環状の経路内で循環する。そして、制御部36は、水位H1が所定高さ以上であることを検出すると、供給ポンプ18を駆動させる。
【0026】
すると、供給ポンプ18は、輸送管34から水を吸い込み、かつ、輸送管39へ水を吐出する。輸送管39へ吐出された水は、水利用部11へ送られる。制御部36が、供給ポンプ18の駆動または停止を判断する水位H1の所定高さを定める基準情報は、記憶回路44へ記憶されている。水位H1の所定高さを定める基準情報は、水利用部11における所定期間内の水の必要量からシミュレーションによって求めることができる。
【0027】
本開示では、水処理部16で処理されてメインタンク17に貯水された水を、輸送管21内を通して、再度、水処理部16へ送る経路を開閉するチャッキバルブ14が設けられている。このチャッキバルブ14の弁体41は、輸送管21内の水圧P1、及び輸送管24内の水圧P2を受けて作動する要素である。つまり、チャッキバルブ14は、弁体41を作動させるためのアクチュエータ、例えば、電磁石、及び電磁石に電力を供給する電線等を設けずに済む。したがって、チャッキバルブ14の故障を抑制可能である。また、部品点数の増加を抑制でき、かつ、構造の複雑化を抑制できる。
【0028】
さらに、作業者が流量調整バルブ30を操作して、輸送管29内の流路断面積を変更することにより、輸送管24内の水圧P2を間接的に調整できる。具例えば、作業者が流量調整バルブ30を操作して、輸送管29内の流路断面積が相対的に減少されると、輸送管24内の水圧P2が上昇する。また、作業者が流量調整バルブ30を操作して、輸送管29内の流路断面積が相対的に増加されると、輸送管24内の水圧P2が低下する。このため、作業者が流量調整バルブ30を操作すると、チャッキバルブ14が、常時、閉じられることを抑制できる。
【0029】
さらに、作業者が流量調整バルブ30を操作することより、輸送管24内の水圧P2を間接的に調整できる。そして、チャッキバルブ14は、輸送管21内の水圧P1が、輸送管24内の水圧P2を超えると開かれる。したがって、流量調整バルブ30を操作することより、チャッキバルブ14が開かれる水位H1を変更できる。この場合、作業者は、圧力計31を目視して流量調整バルブ30を操作することで、チャッキバルブ14が開かれる水位H1を、目標とする高さに調整できる。ここで、水位H1の目標高さが相対的に高くなることに伴い、輸送管21内の目標水圧が相対的に高くなる。
【0030】
本実施形態で説明した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。水処理装置10は、液体処理装置の一例である。水処理部16は、液体処理部の一例である。輸送管21は、第1輸送路の一例である。輸送管24は、第2輸送路の一例である。チャッキバルブ14は、バルブの一例である。メインタンク17は、第1タンクの一例である。水圧P1は、第1圧力の一例である。水圧P2は、第2圧力の一例である。弁体41は、弁体の一例である。サブタンク12は、第2タンクの一例である。輸送管26は、第3輸送路の一例である。ラインポンプ15は、第1ポンプの一例である。流量調整バルブ30は、流量調整バルブの一例である。輸送管34,39は、第4輸送路の一例である。水利用部11は、液体利用部の一例である。供給ポンプ18は、第2ポンプの一例である。水位センサー35は、液位検出部の一例である。制御部36は、制御部の一例である。水位H1は、液位の一例である。液位は、鉛直方向で液体の上面の位置を意味する。水は、液体の一例である。
【0031】
本実施形態は、図面を用いて開示されたものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本実施形態において、チャッキバルブの弁体は、ポートを開閉する板部材に代えて、ポートを開閉するボール部材であってもよい。このボール部材は、輸送路の液圧を受けて作動する。また、液体処理部は、液体のイオン化傾向を高めるものの他、液体の濾過装置、蒸留水の製造装置、純水の製造装置等であってもよい。さらに、輸送管26の長さ方向における少なくとも一部は、重力の作用方向で輸送管24より上に配置されていればよい。本開示における輸送路は、液体が長れる構成であればよく、孔、ポート、通路を含む。また、輸送路を構成する輸送部材は、輸送管の他、輸送路を有するブロック部材、輸送路を有するハウジングまたはケーシングであってもよい。輸送部材は、液体圧で変形しない材質、例えば、金属製、硬質合成樹脂製等で構成されている。本開示における液体は、水、湯、飲料等を含む。液体処理装置は、地上に設けられていてもよい。
【0032】
本開示の水処理装置10の一部の構成を変更する例を、図3を参照して説明する。作業者が操作する水位設定部43が設けることができる。作業者は、水位設定部43を操作することにより、水位H1の目標高さを設定できる。水位設定部43は、作業者の操作に応じた信号を出力する。また、流量調整バルブ30を、アクチュエータの作動力で作動する構成、例えば、ソレノイドバルブで構成することができる。圧力計31は、輸送管29内の水圧を検出し、かつ、検出された水圧に対応する信号を出力するものとする。
【0033】
そして、制御部36は、水位設定部43から出力される信号を処理し、輸送管29内の水圧の目標値、つまり、目標水圧を求める。水位H1の目標値に応じて目標水圧を求める情報は、記憶回路44に記憶されている。制御部36は、圧力計31から出力される信号を処理することにより、輸送管29内の実水圧を検出する。さらに、制御部36は、流量調整バルブ30を制御することにより、輸送管29内の実水圧を目標水圧に近づける制御を行うことができる。ここで、水位H1の目標高さが相対的に高くなることに伴い、輸送管21内の目標水圧が相対的に高くなる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本実施形態は、液体を処理する液体処理部を備えた液体処理装置として適用可能である。
【符号の説明】
【0035】
10…水処理装置、11…水利用部、12…サブタンク、14…チャッキバルブ、15…メインポンプ、16…水処理部、17…メインタンク、18…供給ポンプ、21,24,26,34,39…輸送管、30…流量調整バルブ、35…水位検出センサー、36…制御部、41…弁体、P1,P2…水圧
【要約】
【課題】液体処理部で処理された液体を、再度、液体処理部へ送る経路を開閉するバルブの故障を抑制可能な液体処理装置を提供する。
【解決手段】水を処理する水処理部16と、水処理部16から送られる水を水利用部11へ送る輸送管21と、輸送管21に接続され、かつ、輸送管21の水を、再度、水処理部16へ送る輸送管24と、輸送管21と輸送管24とを接続及び遮断するチャッキバルブ14と、を有する水処理装置10において、水の流れ方向で水処理部16と輸送管21との間に配置されたメインタンク17が設けられ、チャッキバルブ14は、輸送管21の第1圧力及び輸送管24の第2圧力を受けて作動する弁体41を備え、チャッキバルブ14は、第1圧力が第2圧力以下であると、輸送管21と輸送管24とを遮断し、チャッキバルブ14は、第1圧力が第2圧力を超えると、輸送管21と輸送管24とを接続する。
【選択図】図1
図1
図2
図3