(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-01-04
(45)【発行日】2023-01-13
(54)【発明の名称】予応力拘束ブロックと複合装甲構造
(51)【国際特許分類】
F41H 5/04 20060101AFI20230105BHJP
B32B 7/08 20190101ALI20230105BHJP
B32B 18/00 20060101ALI20230105BHJP
【FI】
F41H5/04
B32B7/08
B32B18/00 Z
(21)【出願番号】P 2022505641
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 CN2021101945
(87)【国際公開番号】W WO2021259342
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】202010591444.2
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518229179
【氏名又は名称】青▲島▼理工大学
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO UNIVERSITY OF TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】王 子国
(72)【発明者】
【氏名】孫 宇雁
(72)【発明者】
【氏名】王 文杰
【審査官】金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公開第02153406(GB,A)
【文献】韓国登録特許第10-2079185(KR,B1)
【文献】特開2016-180588(JP,A)
【文献】特開2008-202876(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0083880(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1746609(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0363418(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105240356(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41H 5/02-5/04
B32B 7/08
B32B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合装甲に用いられる予応力拘束ブロックであって、充填台体(11)と、拘束リング(12)とを含み、前記充填台体(11)は、拘束リング(12)内輪と同じ形状の断面を有し、拘束リング(12)の内輪に固定嵌着されており、前記充填台体(11)の外側壁と拘束リング(12)の内輪壁との間は、錐面嵌合により楔締められており、
前記充填台体(11)の外側壁と拘束リング(12)の内輪壁は、それぞれマッチする円錐面、又はマッチする多角形角錐面である、ことを特徴とする予応力拘束ブロック。
【請求項2】
前記充填台体(11)外側壁の大端部と小端部の直径は、それぞれd
1及びd
2であり、前記拘束リング(12)内輪壁の大端部と小端部の直径は、それぞれR
1及びR
2であり、R
2<d
2<R
1≦d
1を満たし、前記充填台体(11)と拘束リング(12)の高さは、それぞれh
1及びh
2であり、ここで、h
1≦h
2であり、前記充填台体(11)の径厚比d
1/h
1は、0.5~40であ
る、ことを特徴とする請求項1に記載の予応力拘束ブロック。
【請求項3】
前記充填台体(11)外側壁の錐面傾斜角αの範囲は、1°~10°であり
、前記拘束リング(12)内輪壁の錐面傾斜角βの範囲は、1°~10°であり
、前記充填台体(11)の外側壁と拘束リング(12)の内輪壁との間には、角度差Δαが存在し、Δα=α-β、Δαの値取り範囲は、0°~0.5°であ
る、ことを特徴とする請求項1に記載の予応力拘束ブロック。
【請求項4】
前記充填台体(11)は、円錐面又は多角形角錐面外側壁を有する錐台体であり、
又は外部に第1の変径リング(14)が固定嵌着された円柱体又は角柱体であり、前記第1の変径リング(14)の外側壁は、円錐面又は多角形角錐面であり、前記拘束リング(12)は、円錐面又は多角形角錐面内輪壁を有する変径リング体であり、
又は内部に第2の変径リング(13)が固定嵌着された円柱リング又は角柱リングであり、前記第2の変径リング(13)の内輪壁は、円錐面又は多角形角錐面である、ことを特徴とする請求項1に記載の予応力拘束ブロック。
【請求項5】
前記充填台体(11)は、少なくとも2層の固定積層された充填ブロックを含む分層構造である、ことを特徴とする請求項4に記載の予応力拘束ブロック。
【請求項6】
前記充填台体(11)外表面には、被覆層(17)が被覆して設けられており、前記被覆層(17)は、アルミニウム合金、鉄合金、チタン合金、カーボン繊維、ガラス繊維、ケブラー繊維、超高分子量ポリエチレン繊維強化エポキシ樹脂、及び繊維強化フェノール樹脂材料のうちの少なくとも1つを含む靱性材料である、ことを特徴とする請求項4~5のいずれか1項に記載の予応力拘束ブロック。
【請求項7】
前記拘束リング(12)又は第2の変径リング(13)内輪壁の小端部には、底板構造が設けられており、前記底板構造は、拘束リング(12)と一体構成された拘束溝底板(16)であるか、又は充填台体(11)小端部の下に敷かれたパッド層(15)である、ことを特徴とする請求項4に記載の予応力拘束ブロック。
【請求項8】
前記拘束リング(12)の内壁には、係止溝(18)が開設されており、前記係止溝(18)内には、楔締められた後の充填台体(11)が拘束リング(12)内に軸方向に位置制限されるための係止リング(19)が取り付けられている、ことを特徴とする請求項4に記載の予応力拘束ブロック。
【請求項9】
前記充填台体(11)は、円錐台体、正四角錐台体又は正六角錐台体であり、それぞれ、対応する拘束リング(12)の内輪壁は、円錐台キャビティ、正四角錐台キャビティ又は正六角錐台キャビティであり、前記充填台体(11)は、セラミック、コンクリート又はガラス材料であり、前記拘束リング(12)は、金属又は繊維強化複合材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の予応力拘束ブロック。
【請求項10】
前記充填台体(11)は、多層充填材料を採用し、充填台体(11)は、上から下に順次に積層貼り合せられた第1の充填ブロック(111)と、中間層(113)と、第2の充填ブロック(112)とを含み、第1の充填ブロック(111)と第2の充填ブロック(112)は、充填台体と同じ材質から作られたものであり、2塊の充填ブロックの間に中間層又は間隙が存在し、前記中間層(113)の材質は、発泡金属、金属層、黒鉛封じ込め層、ゴム、ポリマー多孔質材料、樹脂接着剤、又は空気層のうちの少なくとも1つを選んで用いる、ことを特徴とする請求項5に記載の予応力拘束ブロック。
【請求項11】
複合装甲構造であって、少なくとも一層の装甲板を含み、前記装甲板は、請求項1~10のいずれか1項に記載の予応力拘束ブロックを含み、前記予応力拘束ブロックは、いくつかの分体の拘束リング(12)を用いて接合されているか、又は一体化ハニカム構造の拘束リング(12)を採用している、ことを特徴とする複合装甲構造。
【請求項12】
複合装甲の両側表面にそれぞれ貼合わせてカバーする蓋板(2)と裏板(3)とをさらに含むか、又はその一側の表面に前記蓋板(2)又は裏板(3)のうちの1つの板を貼合わせ、
前記蓋板(2)は、第1の外装層(21)の単層複合板であり、前記第1の外装層(21)は、前記装甲板の外側面に貼合わせ、又は前記蓋板(2)は、第1の外装層(21)+封じ込め層(22)が順次に配列接着された二層複合板であり、前記封じ込め層(22)の別の表面は、前記装甲板の外側面に貼合わせ、又は前記蓋板(2)は、第1の外装層(21)+第2の外装層(23)+封じ込め層(22)が順次に配列接着された三層複合板であり、前記封じ込め層(22)の他面は、前記装甲板の外側面に貼合わせ、前記第1の外装層(21)は、鋼板、アルミニウム合金、チタン合金材料、ポリウレアコーティング、又はポリカーボネートコーティングを採用し、前記第2の外装層(23)は、銅合金材料を採用し、前記封じ込め層(22)は、黒鉛材料を採用し、前記裏板(3)は、抵抗層(33)の単層構造であり、前記抵抗層(33)は、装甲板の内側面に直接に貼合わせ、又は前記裏板(3)は、エネルギ吸収層(32)+抵抗層(33)が順次に配列接着された二層構造であり、前記エネルギ吸収層(32)の他面は、前記装甲板の内側面に密着し、又は前記裏板(3)は、衝突層(31)+エネルギ吸収層(32)+抵抗層(33)が順次に配列接着された三層構造であり、前記衝突層(31)の他面は、前記装甲板の内側面に密着し、前記抵抗層(33)は、鋼板、アルミニウム合金、チタン合金
の金属材料のうちの1つ若しくは複数、又はポリマー材料若しくは繊維強化ポリマー材料を採用し、前記エネルギ吸収層(32)は、発泡金属、ゴムのうちの1つ又は複数材料を採用し、前記衝突層(31)は、鋼板、アルミニウム合金、チタン合金
の金属材料のうちの1つ若しくは複数、又はポリマー材料若しくは繊維強化ポリマー材料を採用する、請求項11に記載の複合装甲構造。
【請求項13】
充填台体(11)、前記充填台体(11)にマッチする拘束リング(12)を作製するステップであって、前記充填台体(11)外側壁の大端部と小端部の直径は、それぞれd
1及びd
2であり、外側壁の錐面傾斜角は、αであり、高さは、h
1であり、拘束リング(12)内輪壁の大端部と小端部の直径は、それぞれR
1及びR
2であり、内輪壁の錐面傾斜角は、βであり、高さは、h
2であり、充填台体(11)と拘束リング(12)は、R
2<d
2<R
1≦d
1、α=β、h
1≦h
2を満たす、ステップ1と、
前記拘束リング(12)をプラットフォームに置き、前記拘束リング(12)の内輪壁と充填台体(11)の外側壁に、仮潤滑剤、エポキシ樹脂又はガラスゴムを塗布した後、充填台体(11)を拘束リング(12)の内輪に装入するステップであって、推力を加える前に、両方の接触面には接触力がなく、この時、充填台体(11)の頂面と拘束リング(12)の頂面との間の高度差は、h3であり、台体の底面と拘束リングの底面との間の高度差は、h4である、ステップ2と、
ジャッキ、油圧機又はボルト締結方式を採用して、前記充填台体(11)を高度方向に沿って押下力を加え、拘束リング(12)内部に圧入し、拘束リング(12)の弾性回復力が充填台体(11)を内向きに押圧して仮締め、その径方向にプレストレス力を加え、充填台体(11)の拘束リング(12)内輪における押下深さが大きいほど、拘束リング(12)が充填台体(11)に加える径方向プレストレス力が大きくなり、充填台体(11)を所定位置に圧入されると、予応力拘束ブロック(1)を得る、ステップ3と、
いくつかの前記予応力拘束ブロック(1)を単層装甲板となるように組み立てるか、又は前記単層装甲板を多層装甲板に接着積層し、前記単層装甲板において隣接する予応力拘束ブロック(1)の間は、直接接触、接着剤接合又は溶接のうちの少なくとも1つの接続方式を採用し、前記多層装甲板において隣接する層装甲板の予応力拘束ブロック(1)の間は、位置ずれて分布している、ステップ4とを含む、ことを特徴とする複合装甲構造の作製方法。
【請求項14】
前記充填台体(11)がコンクリート材質である場合、前記充填台体(11)は、そのまま前記拘束リング(12)を枠板として充填台体(11)の流し込み成形を行い、コンクリートを流し込む前に、予め拘束リング(12)内側に隔離油を塗布するか、又は隔離フィルムを配置し、拘束リング(12)の底部にコンクリート成形後の圧入空間を保留し、コンクリートが強度を有するまで、拘束リングの底部を支持又は固定し、充填台体(11)をさらに拘束リング(12)内に圧入し、充填台体(11)に径方向予応力を発生させ、装甲板を得る、ことを特徴とする請求項13に記載の複合装甲構造の作製方法。
【請求項15】
前記単層装甲板は、別の装甲板の舗装方式を採用して得られ、即ち、全ての予応力拘束ブロック(1)の拘束リング(12)は、一体化ハニカム構造を採用し、全ての拘束リング(12)は、一体化された連体拘束リング(121)となるように接続されており、溶接により一体的に固定されるか、又は一枚の一体化板構造上に全ての拘束リング(12)の内輪壁を直接に加工することにより、ハニカム板構造を形成し、その後、全ての充填台体(11)を対応する拘束リングの内輪に一つずつ組み立て、装甲板となるように組み立てる、ことを特徴とする請求項13に記載の複合装甲構造の作製方法。
【請求項16】
前記拘束リング(12)の高さは、充填台体(11)の厚さよりも大きく、充填台体(11)を拘束リング(12)内輪に圧入される前に、まず、拘束リング(12)内輪底部にエネルギ吸収パッド層(15)を充填するか、又は拘束溝底板(16)の上表面に薄いパッド層(15)を充填し、その後、充填台体(11)を圧入して予応力を加え、前記パッド層(15)は、発泡アルミニウム材料を採用し、又は緩衝材料として、ゴムポリマー材料を採用している、ことを特徴とする請求項13~15のいずれか1項に記載の複合装甲構造の作製方法。
【請求項17】
前記装甲板の両側面に、それぞれ蓋板(2)と裏板(3)を覆って貼合わせ、複合装甲構造に統合し、前記蓋板(2)が充填台体の大端部に近接した一面に取り付けら
れ、裏板(3)が別の面に取り付けられ、
前記蓋板(2)と裏板(3)は、樹脂系接着剤を採用して前記装甲板の予応力拘束ブロック(1)に接着したり、又はボルトを採用して前記蓋板(2)及び裏板(3)のうちの1つ又は両方を前記装甲板にアンカー固定し、前記ボルトは、蓋板(2)又は裏板(3)の予備穴を貫通してアンカー固定する、ことを特徴とする請求項13~15のいずれか1項に記載の複合装甲構造の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装甲技術に属し、具体的には、予応力拘束ブロック及び複合装甲構造に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック材料を用いた複合装甲の耐貫徹性能は、主として、セラミックの耐圧強度と硬度、粉砕特徴、破片流動摩擦性と砕粒研磨に依存する。セラミックの高耐圧強度は、ある程度で耐貫徹性能を高める。セラミック表面積粉砕領域エネルギー吸収は、セラミック耐貫徹の重要な要素の一つであり、厚くて厳格に拘束されたセラミックブロックの場合、セラミック破片の流動摩擦作用は耐貫徹の最も重要な要素である。研究で、セラミックターゲットに対して側方向拘束を行った後、弾体が拘束セラミックを貫徹する過程では、拘束リングは、セラミックターゲット板に対して拘束力が生じ、このように、セラミック材料の裂け目の拡張を効果的に抑制することができ、それによってセラミック材料の耐貫徹性能を高めることができることが明かされた。研究の進展に伴い、ますます多くの人がセラミックに事前に内部応力を加え、セラミック材料の耐貫徹性能への影響の研究を始めた。
【0003】
複合装甲のセラミック材料に予応力を加えることにより、ターゲット内部の裂け目の発生と拡張を効果的に抑制することができる。高速衝撃でセラミック内部に断裂が生じても、セラミックの各裂けブロックの間は、依然として緊密に押し出されており、裂け目しかなく、拡大しておらず、破砕セラミック領域内部に比較的大きな貫徹抵耐力が存在する。セラミック顆粒と弾丸との逆方向移動は、弾丸質量に対して摩耗作用を発生し、そして相互の摩擦等エネルギー消費メカニズムを作用させ、セラミックの耐貫徹性能を効果的に向上させることができる。
【0004】
現在、国内外の学者がセラミックに予応力を加える方法としては、主に機械押出法とホットチャージ法が挙げられ、機械押出法は、セラミック材料の側面から加圧し、セラミック材料内部に対して横方向の押圧予応力を形成し、ホットチャージ法は、セラミック材料と金属材料の拘束構造を高温で互いに固定させ、その後、温度を全体的に下げ、熱膨張係数が比較的大きく、収縮がより速い金属によりセラミックを圧縮して予応力を加え、例えば、出願番号201810777211.4の中国特許出願に拘束セラミック-金属複合防弾装甲板及びその作製方法が開示されている。
【0005】
熱冷収縮又は機械的加圧を採用する方式は、いずれもセラミック内部に予応力を発生させることができる。複合装甲についての予応力試験では、安定した予応力が必要であり、かつ予応力の大きさは調整可能であり、実際の試験条件の制限下で、ホットチャージ法は熱処理時に、金属の強度に悪影響を与え、温度を制御してセラミック内部の予応力の大きさを調節することにより、長ロッド弾衝突試験を実現することは困難であるため、試験では機械押出法が用いられることが多い。一方、機械圧力印加装置は、セラミック材料の周りから均一に側方向に加圧することが要求され、セラミック材料と拘束構造との間の組立寸法加工精度に対する要求が高く、かつ複数面に同時に付勢し、設備構造が複雑であるが、実際の工事での応用は困難であり、研究のみに限定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明によって解決される技術的問題は、既存の複合装甲に予応力を加える機械押出法とホットチャージ法に存在する上記問題点に対して、室温環境下で迅速な組み立てを実現することができる予応力拘束ブロックと複合装甲構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の技術案によって実現される。
【0008】
予応力拘束ブロックであって、充填台体11と、拘束リング12とを含み、前記充填台体11は、拘束リング12内輪と同じ形状の断面を有し、拘束リング12の内輪に固定嵌着されており、前記充填台体11の外側壁と拘束リング12の内輪壁との間は、錐面嵌合により楔締められており、
前記充填台体11の外側壁と拘束リング12の内輪壁は、それぞれマッチする円錐面、又はマッチする多角形角錐面である。
【0009】
上記技術案における予応力拘束ブロックにおいて、前記充填台体11外側壁の大端部と小端部の直径は、それぞれd1及びd2であり、前記拘束リング12内輪壁の大端部と小端部の直径は、それぞれR1及びR2であり、R2<d2<R1≦d1を満たし、前記充填台体11と拘束リング12の高さは、それぞれh1及びh2であり、ここで、h1≦h2である。
【0010】
上記技術案における予応力拘束ブロックにおいて、前記充填台体11外側壁の錐面傾斜角αの範囲は、1°~10°であり、好ましくは3°~6°であり、前記拘束リング12内輪壁の錐面傾斜角βの範囲は、1°~10°であり、好ましくは3°~6°であり、前記充填台体11の外側壁と拘束リング12の内輪壁との間には、角度差Δαが存在し、Δα=α-β、Δαの値取り範囲は、0°~0.5°であり、好ましくは0°~0.2°である。
【0011】
上記技術案における予応力拘束ブロックにおいて、前記充填台体11の径厚比d1/h1は、0.5~40であり、好ましくは3~12である。
【0012】
上記技術案における予応力拘束ブロックにおいて、前記充填台体11は、円錐面又は多角形角錐面外側壁を有する錐台体であり、
又は外部に第1の変径リング14が固定嵌着された円柱体又は角柱体であり、前記第1の変径リング14の外側壁は、円錐面又は多角形角錐面である。
【0013】
上記技術案における予応力拘束ブロックにおいて、前記拘束リング12は、円錐面又は多角形角錐面内輪壁を有する変径リング体であり、
又は内部に第2の変径リング13が固定嵌着された円柱リング又は角柱リングであり、前記第2の変径リング13の内輪壁は、円錐面又は多角形角錐面である。
【0014】
上記技術案における予応力拘束ブロックにおいて、前記充填台体11は、少なくとも2層の固定積層された充填ブロックを含む分層構造である。
【0015】
上記技術案における予応力拘束ブロックにおいて、前記充填台体11外表面には、被覆層17が被覆して設けられている。
【0016】
上記技術案における予応力拘束ブロックにおいて、前記拘束リング12又は第2の変径リング13内輪壁の小端部には、底板構造が設けられており、前記底板構造は、拘束リング12と一体構成された拘束溝底板16であるか、又は充填台体11小端部の下に敷かれたパッド層15である。
【0017】
上記技術案における予応力拘束ブロックにおいて、前記充填台体11は、セラミック、コンクリート又はガラス材料であり、前記拘束リング12は、金属又は繊維強化複合材料である。
【0018】
本発明の予応力拘束ブロックにおいて、前記拘束リング12の内壁には、係止溝18が開設されており、前記係止溝18内には、楔締められた後の充填台体11が拘束リング12内に軸方向に位置制限されるための係止リング19が取り付けられている。
【0019】
本発明による複合装甲構造は、少なくとも一層の装甲板を含み、前記装甲板は、いくつかの本発明の上述した予応力拘束ブロックを含み、前記予応力拘束ブロックは、いくつかの分体の拘束リング12を用いて接合されているか、又は一体化ハニカム構造の拘束リング12を採用している。
【0020】
上記技術案における複合装甲構造には、複合装甲の両側表面にそれぞれ貼合わせてカバーする蓋板2と裏板3とをさらに含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明の有益効果は、以下のとおりである。
【0022】
本発明は、セラミック、コンクリート又はガラス等材質の充填台体を金属又は繊維強化複合材料からなる拘束リング内輪に圧入して予応力拘束ブロックを得て、ここで、拘束リングと充填台体との間は、錐面により嵌合楔締められ、フェルール拘束原理により、拘束リング内輪と充填台体との間は、錐面により楔締められ、自己緊締機能を有し、充填台体が拘束リング内輪に押圧されるほど、拘束力の錐面斜面に生じる径方向フェルール力は、垂直圧力が大きくなるほど大きくなり、このように充填台体の強度が大きくなり、拘束リングの弾性回復力は、充填台体に側方向予応力を加え、拘束ブロックの耐貫徹性と耐爆発衝撃性能を増加させる。
【0023】
本発明の予応力拘束ブロックは、セラミック、コンクリート又はガラス等の脆性材料に対して、径方向予応力を室温条件下で非常に簡便に加えることができ、予応力は、充填台体の拘束リング内輪に楔引込んだ深さ又は充填台体と拘束リングとの間の楔締められた錐面傾斜角の大きさによって制御することができ、様々な寸法の充填台体部材の予応力印加に適している。
【0024】
本発明の予応力拘束ブロックは、ホットチャージ法のように加熱により部材の相対寸法を変更する必要がないため、ホットチャージ法に適用困難な繊維強化複合材料の拘束リング、コンクリート材料又はガラス材料の充填台体の場合、本発明に適用することが可能である。
【0025】
単一予応力拘束ブロックは、より大きな面積の複合装甲構造に組み立て、単層防護装甲板となるように組み立てることができ、又は将単層防護装甲板を位置ずれさせて多層防護装甲板に合成し、弱い部位を減少させ、防護效果をさらに増加させることができる。拘束リングは、全体構造に作製し、拘束リングの全体性と装甲板の抗曲げ能力を向上させることができる。
【0026】
充填台体を拘束リングに装入される過程では、充填台体の小端部外径寸法が拘束リング内輪の大端部口径よりも大きな許容差を有するため、本発明の予応力拘束ブロックは、ホットチャージ法よりも組み立てが簡単であり、台体と拘束リング部材の寸法許容誤差範囲がより大きく、より環境に優しく、損傷又は破壊された部品の交換がより簡単であり、武装ヘリコプタ、装甲車、艦船、戦車、航空機洞窟とミサイル井戸カバーなどの様々な防護分野でより広い利用可能性がある。本発明の予応力方法は、装甲などの防護性材料に応用することに加えて、航空、宇宙器材のセラミック反射ミラー、レンズ、透明窓などの脆性材料部材にも適用可能であり、拘束リングにより予応力を加えることにより、これらの部材の曲げ強度を向上させ、構造の重量を軽減させることができる。
【0027】
以下、添付図面及び具体的な実施の形態を結び付けながら、本出願についてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施例1の円形断面予応力拘束ブロックの組み立て概略図である。
【
図2】実施例1の正六角形断面予応力拘束ブロックの組み立て概略図である。
【
図3】実施例1における充填台体及び拘束リングの分解断面図である。
【
図4】実施例1における充填台体及び拘束リング組み立て過程で予応力を加える概略図である。
【
図5c】それぞれ実施例2における3種類の充填台体及び拘束リングの組み立て過程で予応力を加える概略図である。
【
図6】実施例3における充填台体及び拘束リングの組み立て過程で予応力を加える概略図である。
【
図7b】実施例4における充填台体及び拘束リングの2種類の組み立て過程で予応力を加える概略図である。
【
図8】実施例5における充填台体及び拘束リングの組み立て過程で予応力を加える概略図である。
【
図9】実施例6における充填台体及び拘束リングの組み立て過程で予応力を加える概略図である。
【
図10】実施例7における充填台体及び拘束リングの組み立て過程で予応力を加える概略図である。
【
図11c】実施例8の複合装甲組み立て概略図である。
【
図12c】実施例9の複合装甲の3種類の蓋板断面概略図である。
【
図13c】実施例9の複合装甲の3種類の裏板断面概略図である。
【
図14e】実施例9の5種類の複合装甲の断面概略図である。
【
図15】実施例1における制定された円台及び拘束リング軸線断面寸法図である。
【
図16】実施例1における制定寸法の1/4有限要素モデル図である。
【
図17】実施例1における予応力拘束ブロックが予応力模擬過程における予応力-押下深さ関係曲線である。
【
図18】実施例1における予応力拘束ブロックが貫徹模擬過程における充填台体損傷雲画像である。
【
図19】実施例1における予応力拘束ブロックが貫徹模擬過程における充填台体の貫徹深さ-予応力関係曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<実施例1>
図1-4を参照すると、図中の予応力拘束ブロック1は、充填台体11と、拘束リング12とを含み、充填台体11は、
図1の円形断面及び
図2の正六角形断面のような拘束リング12内輪と同じ形状の断面を有し、拘束リング12の内輪内に固定嵌着されており、充填台体11の外側壁と拘束リング12の内輪壁との間は、錐面嵌合により相互楔締められており、フェルール拘束原理を利用して、充填台体11が拘束リング12の内輪に圧入される過程では、拘束リング12の弾性回復力が充填台体11に反作用し、充填台体11の外側壁側から充填台体11に押圧予応力を加える。
【0030】
本実施例における充填台体11と拘束リング12は、いずれも一体型構造であり、両方の間は、錐面により楔締められており、
図1における充填台体11の断面は、円形であり、その外側壁は、一段の円錐面の台体構造であり、拘束リング12の内輪壁も同様に一段の円錐面である。
図2における充填台体11断面は、正六角形であり、その外側壁は、一段の六角錐面の変径リング体であり、拘束リング12の内輪壁も同様に一段の六角錐面であり、多角形断面の拘束リング12は、連続した装甲層に接合しやすく、実用的応用では、三角形、四角形、五角形を含むが、それらに限らない他の多角形角錐面を採用してもよい。
【0031】
具体的に、
図3を参照すると、充填台体11が拘束リング12内部に圧入されて押圧予応力を発生できることを確保するために、充填台体11と拘束リング12との間の寸法は、以下の条件を満たすべきである。
【0032】
充填台体11及び拘束リング12の断面寸法に関しては、充填台体11外側壁が錐面であり、即ち、充填台体11の軸方向両端をそれぞれ大端部及び小端部に設定し、そのうち、充填台体11の大端部直径はd
1であり、充填台体11の小端部直径はd
2であり、d
1>d
2、ここでいう直径は、
図1の充填台体11断面の外円直径と
図2の充填台体11断面の正六角形外接円直径である。同様に、拘束リング12内輪壁は錐面であり、拘束リング12内輪壁の軸方向両端に、それぞれ大端部及び小端部が設定されており、そのうち、拘束リング12の大端部直径はR
1であり、拘束リング12の小端部直径はR
2であり、R
1>R
2、ここでいう直径は、
図1の拘束リング12内輪壁断面内円直径と
図2の拘束リング12内輪壁断面の正六角形外接円直径であり、好ましくは、R
2<d
2<R
1≦d
1である。
【0033】
充填台体11と拘束リング12とが楔合する錐面傾斜角寸法に関しては、充填台体11外側壁の錐面傾斜角αの範囲は1°~10°であり、好ましくは3°~6°であり、拘束リング12内輪壁の錐面傾斜角βの範囲は1°~10°であり、好ましくは3°~6°であり、ここでいう錐面傾斜角は、
図1の充填台体11外側壁と拘束リング12内輪壁との円錐母線と鉛直方向との夾角又は
図2の充填台体11外側壁と拘束リング12内輪壁との角錐稜線と鉛直方向との夾角である。
【0034】
充填台体11と拘束リング12の軸方向寸法に関しては、充填台体11と拘束リング12の軸方向の高さは、それぞれh1及びh2であり、ここで、h1≦h2である。
【0035】
予応力拘束ブロックの組み立て方法と予応力の基本原理は、具体的には、以下のとおりである。
【0036】
円形予応力拘束ブロックと六角形予応力拘束ブロックの組み立て概略図は、それぞれ
図1及び2に示されるように、円形断面の充填台体11又は六角形断面の充填台体11を対応する拘束リング12内輪に配置し、付勢を容易にするために、一般に、拘束リング12の内輪大端部開口を上向きにし、充填台体11の小端部を拘束リング12の内輪に下向きに圧入した後、充填台体11に対して高度方向に沿って押下推力を加え、拘束リング12の弾性回復力は、充填台体11を内向きに押圧して仮締め、その径方向にプレストレス力を加え、充填台体11の拘束リング12内輪における押下深さが大きいほど、拘束リング12が充填台体11に加える径方向プレストレス力が大きくなり、充填台体を所定位置に圧入されると、予応力拘束ブロックを得る。充填台体11を圧入する方式は、ジャッキ、油圧機又はボルト締めなどの方式を採用してもよく、圧入抵抗を減少させるために、両方の接触錐面に仮潤滑剤を塗布し、所定位置まで圧入した後、潤滑剤を除去してもよい。充填台体11の径方向予応力の大きさは、台体外側壁円錐母線又は角錐稜線と高さとの夾角、及び充填台体の押下深さを設計調整することにより、夾角が一定である場合、拘束リング12が降伏しない又は無破壊の前に、充填台体11の押下深さが大きいほど、予応力が大きくなる。台体と拘束リングは、滑りを防止するために、接着剤で接着してもよく、又は直接接触し、両方の摩擦力によって安定させてもよい。
【0037】
充填台体11は、セラミック、コンクリート又はガラス材料を採用してもよく、拘束リング12は、金属又は繊維強化複合材料であり、繊維強化複合材料は、繊維強化金属基複合材料又は繊維強化ポリマーを含む。
【0038】
コンクリート材質を採用した充填台体11の予応力拘束ブロックの場合、そのまま拘束リング12を枠板として充填台体11の流し込み成形を行うことができ、コンクリートを流し込む前に、予め拘束リング12内側に隔離油を塗布するか、又は隔離フィルムを配置し、拘束リング12の底部にコンクリート成形後の圧入空間を保留し、コンクリートが強度に達するまで、拘束リングの底部を支持又は固定し、充填台体11をさらに拘束リング12内に圧入し、充填台体11に径方向予応力を発生させる。
【0039】
図4を参照すると、充填台体11及び拘束リング12の組み立て過程では、台体を拘束リング内に装入することを容易にするために、充填台体11の底面小端部直径d
2<拘束リング12内輪頂部の大端部開口直径R
1とする。充填台体11の径厚比又は径高比d
1/h
1は0.5~40であり、好ましくは3~12である。拘束リング12のリング壁は、可変厚さであってもよく、等しい厚さであってもよく、即ち、拘束リング12の頂部壁厚さt1≦底部壁厚さt2である。充填台体11に加える必要な予応力に基づいて、拘束リング12の壁厚さと降伏強度を決定し、拘束リング12の壁厚さと充填台体11の直径との比t/dが大きいほど、及び拘束リング12の降伏強度が大きいほど、提供可能な拘束予応力の潜在力が大きくなる。充填台体11の上下断面直径の不一致と拘束リング12の高度方向の壁厚の不一致要因の影響を受け、充填台体11の予応力は高度方向に不均一になり、充填台体11の外側壁錐面夾角αと拘束リング12の内輪壁錐面夾角βとの微小差別を設計調整することにより、上下予応力の大きさ変化を調整することができる。充填台体11を拘束リング12内に圧入する過程では、予応力拘束ブロックの予応力は上から下に徐々に増加し、αとβとの間の角度差Δαを適切に大きくすることで、台体の上下予応力の差を減少させることができ、Δαの値取り範囲は0°~0.5°であり、好ましくは0°~0.2°である。α=βの場合、充填台体11を拘束リング12内に装入し、充填台体11の外側壁と拘束リング12内輪壁との接触面が貼り合せられる。充填台体11を拘束リング12内に装入すると、充填台体11外側壁と拘束リング12内輪壁との接触応力は非常に小さくなり、このとき、充填台体11の頂面と拘束リング12の頂面との間の高度差はh3であり、台体の底面と拘束リングの底面との間の高度差はh4である。
【0040】
具体的には、
図1における充填台体11は、円台体であり、拘束リング12の内輪壁は、円台キャビティである。充填台体11の材質は、セラミック、コンクリート又はガラスのうちの1つであり、拘束リング12における材質は、鋼材、アルミニウム合金、チタン合金又は繊維強化ポリマー材料である。その組み立て方法は、拘束リング12をプラットフォームに置き、拘束リング12の内壁と充填台体11の外側壁にエポキシ樹脂、ガラスゴムを塗布するか、又は欠如にし、充填台体11を拘束リング12内輪内に装入し、推力を加える前に、両方の接触面には接触力がない。円台充填台体の上表面にジャッキ又は圧力機を用いて推力を加え、充填台体11を拘束リング12内輪で押下して、予応力拘束ブロック1を得、充填台体11と拘束リング12との干渉公差により、拘束リング12の弾性回復力が充填台体11を押圧仮締め、その径方向にプレストレス力を加える。
【0041】
具体的には、
図2における充填台体11は、正六角錐台体であり、拘束リング12の内輪壁は、正六角錐台キャビティである。充填台体11の材質は、セラミック、コンクリート又はガラスのうちの1つであり、拘束リング12における材質は、鋼材、アルミニウム合金、チタン合金又は繊維強化ポリマー材料である。その組み立て方法は、拘束リング12をプラットフォームに置き、拘束リング12の内輪壁と充填台体11の外側壁にエポキシ樹脂、ガラスゴムを塗布するか、又は欠如にし、充填台体11を拘束リング12の大端部開口に装入し、推力を加える前に、両方の接触面には接触力がない。充填台体11の上表面にジャッキ又は圧力機を用いて鉛直下向きの推力を加え、充填台体11を拘束リング12内輪で押下して、予応力拘束ブロック1を得る。充填台体11と拘束リング12との干渉公差により、拘束リング12の弾性回復力が充填台体11を押圧仮締め、その径方向にプレストレス力を加える。
【0042】
<実施例2>
本実施例における充填台体11と拘束リング12のうちの少なくとも1つは、組み合わせ構造を採用している。充填台体11は、第1の変径リング14と、第1の変径リング14内に固定された円柱体又は角柱体からなる組み合わせ台体であってもよい。拘束リング12は、第2の変径リング13と等断面円柱リング又は角柱リングからなる組み合わせ式リング構造であってもよく、第2の変径リング13は、等断面円柱リング又は角柱リングに固定されている。第1の変径リング14と第2の変径リング13の軸線断面は、いずれも楔形断面であり、第1の変径リング14の外側壁と第2の変径リング13の内輪壁は、円錐面又は角錐面になっている。
【0043】
図5aを参照すると、図中の充填台体11は、実施例1と同様の円錐台体又は角錐台体を採用し、拘束リング12は、内部に第2の変径リング13を固定嵌着した円柱リング又は角柱リングを採用し、第2の変径リング13の内輪壁は、拘束リング12の円錐面又は多角形角錐面内輪壁である。
【0044】
図5bを参照すると、図中の充填台体11は、外部に第1の変径リング14を固定嵌着した円柱体又は角柱体を採用し、第1の変径リング14の外側壁は、充填台体11の円錐面又は多角形角錐面外側壁であり、拘束リング12は、実施例1と同様の円錐面又は多角形角錐面内輪壁を有する一体型変径リング体を採用している。
【0045】
図5cを参照すると、図中の充填台体11は、外部に第1の変径リング14を固定嵌着した円柱体又は角柱体を採用し、第1の変径リング14の外側壁は、充填台体11の円錐面又は多角形角錐面外側壁であり、拘束リング12は、内部に第2の変径リング13を固定嵌着した円柱リング又は角柱リングを採用し、第2の変径リング13の内輪壁は、拘束リング12の円錐面又は多角形角錐面内輪壁である。
【0046】
本実施例における第2の変径リング13は、等断面拘束リング12内壁の傾斜角を調整するために用いられ、第1の変径リング14は、等断面充填台体11外側面の傾斜角を調整するために用いられ、等断面拘束リングと等断面充填ブロックを、変径リングを介してそれぞれ組み合わせ式拘束リング及び組み合わせ式充填台体に変え、形成された組み合わせ式拘束リングと組み合わせ式充填台体の寸法は、実施例1を参照されたい。変径リングは、嵌着、溶接又は接着剤接着の接続手法を採用して台体又は拘束リングと結合固定されている。変径リングの材質は、靭性が比較的良く、剛性が比較的大きい金属又は繊維強化ポリマーなどの弾塑性材料、例えば、アルミニウム合金、低強度鋼を用いてもよく、押圧過程で適量の圧縮変形が生じ、充填ブロックと拘束リングをより貼合わせる。
【0047】
<実施例3>
図6を参照すると、実施例1に加えて、本実施例では、充填台体11外表面には、被覆層17が被覆して設けられている。実施例では、充填台体11が拘束リング12に圧入される前に、その外表に一層比較的薄い金属を被覆し、例えば、溶融アルミニウム合金又は鉄合金などの金属材料を塗布するか、又はその表面に、繊維強化ポリマー材料、例えば、カーボン繊維、ガラス繊維、ケブラー繊維又は超高分子量ポリエチレン繊維強化エポキシ樹脂、繊維強化フェノール樹脂などのポリマー材料を貼り付け被覆することにより、充填台体11の被覆層17を形成する。その後、被覆層17を被覆する充填台体11を拘束リング12の内輪に圧入する。充填台体11の外側に靱性材料を被覆して被覆層17を形成することにより、充填台体11の複数回の耐攻撃能力を増加させることができ、充填台体11の材質が衝撃を受けた後に飛散して二次的損傷を招くことを防止することができる。
【0048】
<実施例4>
図7a及び
図7bに示されるように、本実施例における充填台体11は、多層充填材料を採用し、充填台体11は、上から下に順次に積層貼り合せられた第1の充填ブロック111と、中間層113と、第2の充填ブロック112とを含み、第1の充填ブロック111と第2の充填ブロック112は、充填台体と同じ材質から作られたものであり、2塊の充填ブロックの間に中間層又は間隙が存在する。
【0049】
組み立てる時に、
図7aの方式のように、下方の第2の充填ブロック112を拘束リング12内輪に圧入した後、その表面に中間層113を配置するか、又は欠如にし、その後、第1の充填ブロック111を圧入して予応力拘束ブロック1を得ることができる。
図7bの方式のように、まず、第1の充填ブロック111、中間層113及び第2の充填ブロック112を順次に充填台体11に貼合わせた後、充填台体11の全体を拘束リング12内輪に圧入することができる。中間層113の材質は、発泡金属、金属層、黒鉛封じ込め層、ゴム、ポリマー多孔質材料、樹脂接着剤、又は空気層などの材質のうちの少なくとも1つを選んで用いてもよく、発泡金属は、好ましくは発泡アルミニウムである。
【0050】
多層充填ブロック構造を採用した充填台体は、充填ブロックの衝撃損傷範囲と破壊程度を減少させることができ、実用的応用では、装甲厚さに応じて二層及びそれ以上の多層充填ブロックで充填してもよく、充填ブロックの材質は、セラミック、コンクリート、ガラス、金属材質のうちの少なくとも1つを選択してもよく、外側に位置する面層は、好ましくはセラミック材料である。
【0051】
本実施例では、多層充填材料を採用した充填台体11表面には、実施例4の方式のように、充填台体11全体表面に被覆層17を設けてもよい。
【0052】
また、充填台体11は、多角形角錐台体構造を採用する場合、損傷範囲を減少させるために、角錐台体は、複数の小さい角柱体から大角錐充填台体に平面配列組み合わせ、組み合わせた大角錐台体を拘束リング12内に嵌合して予応力を加えてもよい。充填台体11の上表面又は下表面は、平面であってもよいし、球冠状凸部、角錐凸部、又は他の余盛方式に設けられていてもよい。
【0053】
<実施例5>
拘束リング12には、底板構造が設けられ、
図8に示されるように、本実施例における拘束リング12の高さは、充填台体11の厚さよりも大きく、実施例1における拘束リング12底部又は実施例2における第2の変径リング13の底部小端部開口部に、パッド層15が設けられ、充填台体11を拘束リング12内輪に圧入する前に、まず、拘束リング12内輪底部にエネルギ吸収パッド層15を充填し、その後、充填台体11を圧入して予応力を加える。パッド層15は、多孔材料又は発泡金属、例えば、発泡アルミニウムを採用してもよく、又は緩衝材料としてゴムなどのポリマー材料を採用してもよい。
【0054】
<実施例6>
図9に示されるように、本実施例における拘束リング12の底板構造は、実施例5とは異なり、本実施例における拘束リング12は、拘束リング12と一体構成された拘束溝底板16であり、即ち、拘束溝底板16は、拘束リング12の外壁と一体構成され、拘束溝底板16により拘束リング12の底部小端部を密封し、1つの溝形拘束リングを形成し、充填台体11を拘束リング12に圧入する前に、まず、拘束溝底板16の上表面に比較的薄い発泡アルミニウムパッド層を充填してから充填台体11を圧入してもよく、発泡アルミニウムパッド層により、充填台体11の底面と拘束溝底板16とをより貼合わせるようにする。拘束溝底板16は、ある程度上で予応力拘束ブロックの耐曲げ剛性を増大させ、ある程度上で装甲裏板の役割を果たす。
【0055】
<実施例7>
図10に示されるように、本実施例における拘束リング12は、内輪壁の大端部内側に1輪の係止溝18が設けられ、充填台体11を拘束リング12の内輪に圧入し、所定位置に達した後、拘束リング12の係止溝18内に係止リング19を取り付けて充填台体11に対して軸方向制限を行い、軸向き方向において、充填台体11の大端部寸法が拘束リング12内輪小端部開口よりもはるかに大きいため、楔締後の充填台体11は、拘束リング12の小端部から脱出することができず、拘束リング12の大端部内輪壁に係止リング19を組み立てることにより、充填台体11が衝撃を受ける時に拘束リング12の大端部から滑出することを効果的に防止することができる。
【0056】
係止リング19は、取付けに好都合な弾性開口係止リングを採用し、充填台体11に損傷を受けた後、係止リング19を取り出し、拘束リング内輪の小端部から大端部口に向かって損傷した充填台体11を逆方向に押し出すことにより、新たな充填台体11を交換し、損傷又は破壊された装甲構造を迅速に修復することができる。
【0057】
拘束リング12大端部内輪壁に係止溝を加工するため、係止リング19を組み立てた後、充填台体11表面は、拘束リング12の頂面よりも低くなり、さらに、金属板、エポキシ樹脂又はポリウレアなどのポリマー材料により充填し面一にしてもよい。
【0058】
本実施例は、実施例1ないし6における予応力拘束ブロックに応用してもよく、そして充填台体と拘束リングとの横方向断面形状に応じて、対応する円形開口係止リング又は多角形係着口係止リングを選んで用いてもよい。
【0059】
<実施例8>
本実施例は、本発明の複合装甲構造の一つの具体的な実施形態を開示する。
図11aに示されるように、この複合装甲構造は、いくつかの予応力拘束ブロック1によって接合された装甲板を一層含み、本実施例における予応力拘束ブロック1は、断面が正六角形である充填台体11と拘束リング12を採用し、横方向に沿って延在して連続する装甲板に舗装している。拘束リング12は、高強度鋼材を採用し、正六角充填台体11は、セラミック、コンクリート又はガラスのうちのいずれか1つ又は複数の材質を採用している。
【0060】
図11bには、
図11aの装甲板を2層含む複合装甲構造が開示されており、装甲板の間の予応力拘束ブロック1の間は、位置ずれて分布し、位置ずれて分離された予応力拘束ブロック1を介して、単層複合装甲構造の予応力拘束ブロック継ぎ目部の防護弱い領域を補強し、複合装甲構造の防護効果を増加させる。実用的応用では、防護要求と装甲全体の厚さに応じて、異なる層数の積層された装甲板を採用してもよい。
【0061】
図11a及び
図11bにおける装甲板では、接合された予応力拘束ブロック1は、いずれも分体の拘束リングであり、即ち、全ての拘束リング12と充填台体11とを単独の予応力拘束ブロック1に組み立てた後、全ての予応力拘束ブロック1を接合舗装する。
図11cには、別の装甲板の舗装方式が開示されており、即ち、全ての予応力拘束ブロック1の拘束リング12は、一体化ハニカム構造を採用し、全ての拘束リング12は、一体化された連体拘束リング121となるように接続されており、溶接により一緒に固定するか、又は一枚の一体化板構造上に全ての拘束リング12の六角形内輪壁を直接に加工することにより、ハニカム板構造を形成し、その後、全ての充填台体11を対応する拘束リングの内輪に一つずつ組み立て、一体構成された連体拘束リング121により装甲板の全体性を向上させる。
【0062】
<実施例9>
本実施例は、本発明の複合装甲構造のさらに具体的な実施形態を開示し、実施例7に加えて、本実施例は、装甲板の両側面に、それぞれ蓋板2と裏板3を覆って貼合わせる。そのうち、蓋板2は、装甲外側の美観に用いられ、そして、装甲防護効果をある程度向上させ、裏板3は、装甲内側の耐衝撃強度を向上させる。
【0063】
蓋板2又は裏板3の取り付け方式は、接着剤を採用して装甲板の予応力拘束ブロック1に接着したり、又はボルトを採用して蓋板2又は裏板3を装甲板にアンカー固定したりすることができ、そのうち、ボルトは、蓋板2又は裏板3の予備穴を貫通してアンカー固定することができる。
【0064】
蓋板2は、単層、二層又は多層複合板に分けられている。具体的には、
図12a、12b及び12cに示されるように、本実施例で選択可能な蓋板2は、単層外装層、外装層+封じ込め層、二層外装層+封じ込め層という3つの形態に分けられている。
【0065】
単層外装層の蓋板2は、
図12aに示されるように、第1の外装層21が、好ましくは鋼板、アルミニウム合金、チタン合金などの金属材料、又はポリマー材料又は繊維強化ポリマー材料、例えば、ポリウレアコーティング、ポリカーボネートコーティングを採用する。
図14a及び
図14cにおける複合装甲構造は、蓋板2として、いずれも装甲板の外側表面に第1の外装層21を貼合わせる。
【0066】
外装層+封じ込め層の二層構造の蓋板2は、
図12bに示されるように、第1の外装層21が、好ましくは鋼板、アルミニウム合金、チタン合金などの金属材料、又はポリマー材料又は繊維強化ポリマー材料、例えば、ポリウレアコーティング、ポリカーボネートコーティングを採用し、封じ込め層22は、黒鉛材料を採用して予応力拘束ブロックに貼合わせる。
図14b、
図14d及び
図14eにおける複合装甲構造は、いずれも装甲板の外側表面に
図12bにおける蓋板2を貼合わせ、予応力拘束ブロックの遠端から近端のまでの順に、蓋板2を鋼板の第1の外装層+黒鉛封じ込め層の順に装甲板外側に貼合わせている。
【0067】
二層外装層+封じ込め層という3つの形態の三層構造の蓋板2は、
図12cに示されるように、第1の外装層21が、好ましくは鋼板、アルミニウム合金、チタン合金などの金属材料、又はポリマー材料又は繊維強化ポリマー材料、例えば、ポリウレアコーティング、ポリカーボネートコーティングを採用し、封じ込め層22は、黒鉛材料を採用して予応力拘束ブロックに貼合わせ、第2の外装層23は、銅合金材料を採用し、予応力拘束ブロックの遠端から近端のまでの順に、三層構造の蓋板2は、一層の鋼板第1の外装層+一層の銅板第2の外装層+黒鉛封じ込め層の順に装甲板外側に貼合わせている。
【0068】
具体的には、
図13a、13b及び13cに示されるように、裏板3は、単層、二層又は多層複合板に分けられており、衝突層31、エネルギ吸収層32、抵抗層33の少なくとも一層を含む。
図13aにおける裏板3は、単層抵抗層33構造であり、抵抗層33は、鋼板、アルミニウム合金、チタン合金などの金属材料のうちの1つ若しくは複数、又はポリマー材料又は繊維強化ポリマー材料を採用し、
図14a及び
図14bにおける複合装甲構造は、裏板3として、装甲板の内側表面に抵抗層33を直接に貼合わせる。
【0069】
図13bにおける裏板3は、エネルギ吸収層32+抵抗層33の二層構造であり、抵抗層33は、鋼板、アルミニウム合金、チタン合金などの金属材料のうちの1つ若しくは複数、又はポリマー材料若しくは繊維強化ポリマー材料を採用し、エネルギ吸収層32は、発泡金属、ゴムのうちの1つ又は複数の材料を採用する。
図14c及び
図14dにおける複合装甲構造は、装甲板の内側表面に
図13bにおける二層裏板3を貼合わせ、エネルギ吸収層32は、装甲板に密着して設けられている。
【0070】
図13cにおける裏板3は、衝突層31+エネルギ吸収層32+抵抗層33の三層構造であり、抵抗層33は、鋼板、アルミニウム合金、チタン合金などの金属材料のうちの1つ若しくは複数、又はポリマー材料若しくは繊維強化ポリマー材料を採用し、エネルギ吸収層32は、発泡金属、ゴムのうちの1つ又は複数の材料を採用し、衝突層31は、鋼板、アルミニウム合金、チタン合金などの金属材料のうちの1つ若しくは複数、又はポリマー材料若しくは繊維強化ポリマー材料を採用する。
図14eにおける複合装甲構造は、装甲板の内側表面に
図13cにおける三層裏板3を貼合わせ、衝突層31は、装甲板に密着して設けられている。
【0071】
予応力拘束ブロック1が接合された装甲板は、シェルとして単独で使用してもよいが、より良い防護効果を得るために、その表面に蓋板2と裏板3とを取り付け、蓋板2を予応力拘束ブロックの2つの表面のいずれかの一面に貼合わせ、好ましくは充填台体の大端部に近接した一面に取り付けられ、裏板3は別の面に取り付けられる。蓋板2と裏板3及び予応力拘束ブロックは、樹脂系接着剤で接着してもよく、又はボルトでアンカー固定してもよい。
【0072】
以上は、本発明のいくつかの具体的な実施の形態にすぎないが、本発明の設計構想がこれに限られず、この構想を用いて本発明を非実質的に変更することは、本発明の保護範囲を侵害する行為であるべきである。本発明の技術的解決手段から逸脱していない内容や、本発明の技術的解決手段によって以上の実施例に対するいかなる簡単な修正や、均等変化及び修飾は、いずれも本発明の技術的解決手段の保護範囲に属する。
【0073】
以下、実施例1における予応力拘束ブロックの予応力の印加及び耐貫徹効果模擬について実験検証を行う。
【0074】
(1)有限要素モデル
図15を参照して記述されるように、実施例1における充填台体及び拘束リングを具体的な寸法に立案し、充填台体を円台体とし、拘束リングの内輪壁を円台キャビティとした。充填台体の台体高さh
1は40mm、拘束リング12の高さh
2は50mmであった。充填台体11の母線と拘束リング12内輪壁の母線は、いずれも直線であり、充填台体11の母線と高さとの夾角α=3°、拘束リング12内輪壁の母線と高さとの夾角β=3°であった。充填台体11頂面大端部直径d
1は100mm、底面小端部直径d
2は95.8mmであった。拘束リング12内輪壁の頂面大端部内径R
1は100mm、底面小端部内径R
2は94.8mmであった。充填台体11底面小端部外径と拘束リング12底面小端部内径との干渉公差は1mmであり、拘束リングの高さが充填台体の高さよりも大きく、そして拘束リングの内輪壁傾斜角が充填台体の外側壁傾斜角と同じであるため、充填台体を下向きに両方の小端部が面一するまで拘束リングに圧入するにつれて、充填台体11頂面大端部外径と拘束リング12の内輪壁との間には、小端部と同じ干渉公差が生じる可能性がある。拘束リング12の外径は110mm、拘束リング12の頂面壁厚さは5mm、底面壁厚さは7.6mmであった。充填台体11の材質はセラミック、コンクリート又はガラスのうちの1つであり、拘束リング12における材質は、鋼材、アルミニウム合金、チタン合金又は繊維強化ポリマー材料であった。
【0075】
予応力拘束ブロックは、明示式有限要素プログラムLS-DYNAを採用してコンクリート円台を鋼拘束リングに圧入する場合の予応力印加と弾丸貫徹の三次元数値モデルを構築した。充填台体と拘束リングの幾何寸法に基づいて、予応力拘束ブロックの有限要素モデルとメッシュ区分を構築し、
図16に示されるように、モデルは、円形拘束リング、円台、弾丸、受板とスラストブロックからなり、8結点実体六面体ユニット(*SECTION_SOLID)でモデル化し、対称条件に基づいて、zy平面とzx平面に沿って対称な1/4モデルのみを構築した。円台ユニットと拘束リングユニットの平均寸法は約1.25mm、コンクリート円台のユニット総数は49152個、拘束リングユニット総数は10240個であった。弾丸の平均メッシュ寸法は1.25mmであり、計300個のユニットに分割された。受板の限界条件は、固定であり、拘束リング、円台、受板、スラストブロックの間は、面面接触(キーワード*CONTACT_AUTOMATIC_SURFACE_TO_SURFACE)を採用し、両方間の静摩擦係数は0.08、動摩擦係数は0.06であった。弾丸とコンクリートとの接触は、キーワード*CONTACT_ERODING_SURFACE_TO_SURFACEを採用して実現した。
【0076】
(2)コンクリート材料モデル
コンクリート材料は、HJCモデルを採用し、コンクリート密度は2400kg/m3、強度は170MPaであり、具体的なパラメータは、表1に示されるとおりである。ユニットに歪みが発生して砂時計効果を引き起こし、計算の安定性に影響を与えることを避けるために、*MAT_ADD_EROSION侵蝕破損準則を導入し、最大主歪みでユニットの破損を制御する。模擬過程において、ターゲットのあるユニットの最大主歪みがこの歪み値を超えた場合、このユニットは破損であると考えられ、それを削除し、破損歪みを0.1とした。
【0077】
【0078】
(3)鋼材料モデル
拘束リングと平頭弾の材料は、*MAT_PLASTIC_KINEMATIC材料モデルを採用し、材料モデルの主要パラメータは、表2に示されるとおりである。
【0079】
【0080】
(4)装荷要件
装荷要件と試験プロトコルは、両段階に分け、第1段階で円台を押下して予応力を加える模擬試験を行い、その後、第2段階で耐貫徹模擬試験を行った。第1段階は、キーワード*BOUNDARY_PRESCRIBED_MOTION_SETを採用してスラストブロックに変位を付与し、コンクリート円台を鋼リングの指定深さまで推進し、装荷速率は200mm/sであり、10ms安定し、相応な再起動ファイルを生成した。弾丸は、第1段階で動かず、第1段階終了後、LS-DYNAにおける全再起動機能を使用して第2段階模擬を行い、キーワード*CHANGE_VELOCITY_GENERATIONにより弾丸に速度を付与するとともに、キーワード*STRESS_INITIALIZATIONにより前過程における各部品の応力状態を再起動過程中の相応な部品に伝達する。弾丸は、直径が7.62mm、長さが20mm、初期速度が600m/sである平頭弾であった。
【0081】
(4)予応力模擬結果と分析
コンクリート材質の充填台体を10mm押下した後、充填台体の円心ユニット予応力-押下深さ関係曲線は、
図17に示されるように、押下深さが大きくなるにつれて、円台の内部応力が徐々に大きくなり、押下深さが10mmである場合、円台軸線ユニットの平均径方向応力は169MPaとなることから、本発明が押下深さ又は変位により予応力の大きさを調整することができ、そして、十分な予応力を加えることができることが証明された。
【0082】
(5)貫徹模擬結果分析
充填台体の拘束リング内輪での押下深さは、0~10mmであり、押下変位は、合計10段に分類され、押下深さの増加に伴い、円台の径方向予応力は徐々に大きくなり、600m/sの平頭弾の正面衝撃下で、各段の押下深さの充填台体コンクリート円台の損傷雲画像は、
図18に示されるとおりであり、
図19に示されるコンクリート円台の貫徹深さと予応力との関係曲線に関連して、予応力の増加に伴い、貫徹深さは徐々に減少し、押下深さが7mmであれば、即ち、充填台体中心に加えた予応力が119MPaである場合、充填台体の貫徹深さは37.5%低下し、最適な耐貫徹性能を達成したことがわかった。一方、予応力のさらなる増大に伴い、その耐貫徹性能が低下した。そのため、本発明の予応力拘束ブロックを用いて合理的な予応力値を加えると、複合装甲部材の耐貫徹性能を大きく向上させることができる。
【符号の説明】
【0083】
1 予応力拘束ブロック
11 充填台体
111 第1の充填ブロック
112 第2の充填ブロック
113 中間層
12 拘束リング
121 連体拘束リング
13 第2の変径リング
14 第1の変径リング
15 パッド層
16 拘束溝底板
17 被覆層
18 係止溝
19 係止リング
2 蓋板
21 第1の外装層
22 封じ込め層
23 第2の外装層
3 裏板
31 衝突層
32 エネルギ吸収層
33 抵抗層